説明

ロール巻き化粧シートの枚葉自動貼方法と化粧シートの枚葉自動貼装置

【課題】 化粧シートを台板に貼り付けする方法において、ロール状の化粧シートを連続で貼り付けする方法では、ロール交換時に巻始めと巻き終わりの化粧シートが無駄になる。また化粧シートを一旦枚葉にカットしてから貼り合わせる方法では、工程や設備面積が増え、化粧シートによっては巻き癖の影響で生産性が低下する問題があった。
【解決手段】 化粧シートはロール状で供給可能とし、化粧シートの先端と台板先端を位置決めして挟み込んだ後、台板先端から後端に向けて化粧シートの貼り合せと接着を行い、台板後端で化粧シートを切り離すと同時に次の化粧シート先端を位置決め保持することで、台板の投入に応じた枚葉生産を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれた状態の合成樹脂製または紙製の化粧シートを、接着剤が塗布された合板等の台板1枚ごとに貼り付けながらカットする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧シートを台板に貼り付ける従来の方法としては、一つにはロール状の化粧シートを長く繰り出し、連続自動貼り機を用いて連続搬送された台板に貼り合わせてプレス工程を経た後でカットする方法がある(例えば特許文献1)。
もう一つには、化粧シートを別設備で一旦枚葉にカットし、枚葉自動貼り機を用いて貼り合わせる方法がある(例えば特許文献4)。
【0003】
【特許文献1】特許第2782433号公報
【特許文献2】特許第2747875号公報
【特許文献3】特許第2860893号公報
【特許文献4】特開第2006−281757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前者の連続自動貼り方法では、ロールの巻き始め及び巻き終わりで化粧シートの無駄が数メートルに渡って生じる。また台板を突き付けで連続搬送する必要があることから、搬送速度の制御が複雑であるのと、貼り合わせに不具合が生じてもすぐに生産を止められず、一旦不良が生じると、その後多量の不良品を排出せざるを得なかった。
また、後者の枚葉自動貼り方法では、工程や設備面積が増えることが負担となり、また化粧シートの性質によっては巻き癖によって台板への貼り合わせに不具合が生じるなど、生産効率に大きな影響が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、化粧シートを合板等の台板上に貼り付ける技術において、シートロールから直接繰り出した化粧シートを、台板に貼り合わせた直後にカットすることで、化粧板1枚ごとの効率的な生産を可能にすることで、高効率に枚葉生産する方法とそれを実現する装置の提供を目的とする。
【0006】
ロール状に巻かれた状態での合成樹脂製または紙製の化粧シートを、接着剤が塗布された合板等の台板に貼り付ける化粧シート自動貼り方法において、シートロールから繰り出された化粧シート先端に枚葉供給された台板先端を位置決めして挟み込んだ後、送りローラーによって台板先端から後端に向けて化粧シートの貼り合せと接着を行い、台板後端で化粧シートを切り離すと同時に次の化粧シート先端を位置決め挟持することで、台板の投入に応じた枚葉生産を可能とした。
【0007】
またこの方法を実現する装置として、化粧シート貼付部には化粧シート先端を挟持及びカットする装置を設けるとともに、台板を停止させて化粧シート前端とそろえる装置を配設してそれらが同調して回転しながら化粧シートをカットする構造から成り、接着部には化粧シート貼付部と同調して回転する空気排出ローラーとプレスローラーを添設して成る化粧シートの枚葉自動貼装置を発明した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、化粧シートロールを設置位置に置いた状態から化粧シート先端を保持するローラーに挟み込むまでの短い時間で品種交換ができ、かつ台板は接着剤が塗布されたものを枚葉で投入した後、自動で貼り合わせからプレスまで完了することが可能であるため、前後装置の搬送要求に左右されること無く、化粧板を効率よく枚葉生産できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による化粧シート枚葉自動貼装置の側面図
【図2】同上図1の正面図
【図3】本発明による化粧シート枚葉自動貼方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の装置側面図を図1に、正面図を図2に示す。化粧シートの幅に対して十分な幅を持つカッターローラー6と、台板ストッパー9を備えたストッパーローラー8とがあり、これらは互いに同調して回転する。開口部を持つカッターローラー6内部には走行するカッター7が備えられており、カッターローラー6の回転とカッター7の走行が同時に動作可能となる。またカッターローラー6は昇降装置10によって上下に昇降し、台板の厚みに追従すると共に化粧シートの挟持と開放時にも昇降動作する。ストッパーローラー8もまた同様に開口部を持ち、台板ストッパー9はエアー等により駆動されてストッパーローラー表面から出入りする構造をとり、これはカッターローラー6に化粧シートを挟持する役目も果たす。カッターローラー6下流側には、貼り合わせられた化粧シートと台板間の空気排出を行なう第1ローラー11と、プレス接着を行なう第2ローラー12があり、これらすべてのローラーは同じ速度を保つようサーボモーター等で駆動されるのが望ましい。また上方には化粧シートロールを保持する置き台1を設ける。これにはロールの回転による慣性を抑えるためのブレーキが備わっている。これはロールの品種交換を容易にできるよう、複数の置き台を切替える構造になっていればなお良い。
【実施例】
【0011】
本発明の自動貼り方法を用いた自動貼り装置の実施例を説明する。図3(1)のように、ロール状に巻かれた化粧シートはカッターローラー6とストッパーローラー8に備えられた台板ストッパー9に挟持されて貼り合わせの先端が位置決めされる。この時、カッターローラー6とストッパーローラー8との隙間は台板の厚みよりも少し大きい。またカッター7はカッターローラー6の一方の軸端に台板幅と干渉しない位置で停止している。図3(2)にあるように台板が台板ストッパー9に接触して位置決めされた後、カッターローラー6とストッパーローラー8が台板を挟む様子を図3(3)に示す。台板ストッパー9は外部からの力で下降し得るため、カッターローラー6は台板ストッパー9を押し下げながら下降して、化粧シートと台板を共に挟むことができる。
【0012】
この後にカッターローラー6とストッパーローラー8は図3(4)のように同期回転を開始する。その後、台板ストッパー9は引込み、第1ローラー11の位置まで台板と化粧シートを貼り合わせた状態で送り込んでから、カッターローラー6は化粧シートと接触しない高さまで上昇する。図3(5)となる。またストッパーローラー8も自身のロール面開口部が台板と接触しない角度位置で回転を停止し、図3(6)の状態になる。
【0013】
やがて図3(7)のように台板の後端位置をセンサーで検出後、カッターローラー6とストッパーローラー8は台板の後端が通過する計算された位置に基づいて、同期を取りながら回転を開始し、次の台板に対する台板ストッパー9を昇降させ得る位置で再び台板ストッパー9を上昇させる。 この台板ストッパー9は化粧シートをカッターローラー6に挟持する機能も兼ねていることから、その挟持直後にカッターローラー6内のカッター7はローラー軸方向反対側に走行し、化粧シートを挟持したままカットする。この時、カッターローラー6及びストッパーローラー8は回転中である。カット後、カッターローラー6及びストッパーローラー8は図3(8)の位置で回転を停止し、次の台板搬送に備える。以降、この動作を枚葉で繰り返す。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明により、化粧シートロールの無駄を最小限にし、かつ製品の不良率を抑え、また品種交換時の手順も少ないことから、化粧板1枚からの効率的な生産が可能になり、小ロットで多品種に渡る化粧板の生産において、業界での大きな需要が期待できる。
【符号の説明】
【0015】
1:化粧シートロール置き台
2:化粧シートロール
3:化粧シート
4:台板
5:台板送り部
6:カッターローラー
7:カッター
8:ストッパローラー
9:台板ストッパー
10:スリッター昇降装置
11:第1ローラー
12:第2ローラー
13:サイドスリッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれた状態の合成樹脂製または紙製の化粧シートを、接着剤が塗布された合板等の台板に貼り付ける化粧シート自動貼り方法において、ロールから繰り出された化粧シート先端に枚葉供給された台板先端を位置決めして挟み込んだ後、台板先端から後端に向けて化粧シートの貼り合せと接着を行い、台板後端で化粧シートを切り離すと同時に次の化粧シート先端を位置決め保持することで、台板の投入に応じた枚葉生産ができることを特徴とする化粧シート自動貼り方法。
【請求項2】
ロール状に巻かれた状態の合成樹脂製または紙製の化粧シートを、接着剤の塗布された台板に貼付する化粧シート貼付部及び台板に化粧シートをプレス接着する接着部とから成る化粧シート自動貼り装置において、化粧シート貼付部には化粧シート先端を保持及びカットする装置を設けるとともに、台板を停止させて化粧シート前端とそろえる装置を配設してそれらが同調して回転しながら化粧シートをカットする構造から成り、接着部には化粧シート貼付部と同調して回転する空気排出ローラーとプレスローラーを添設して成る化粧シートの枚葉自動貼装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−264634(P2010−264634A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116994(P2009−116994)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(709002521)庄内鉄工株式会社 (2)
【Fターム(参考)】