ロール状物品用の保管設備
【課題】搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向と異なる場合において、必要な巻き方向に簡単に調整することが可能なロール状物品用の保管設備を提供する。
【解決手段】シート状体が巻き取られたロール状物品Rを横倒れ姿勢で収納する収納部S1を備える物品保管部H1と、ロール状物品Rが横倒れ姿勢で搬入される搬入部N1と、物品保管部H1に収納したロール状物品Rを横倒れ姿勢で搬出する搬出部T1と、搬入部N1に搬入されたロール状物品Rを収納部S1に収納しかつ収納部S1に収納されたロール状物品Rを搬出部T1に取り出す物品搬送手段とが設けられ、搬出部T1に、ロール状物品を左右反転する出庫用左右反転手段が設けられている。
【解決手段】シート状体が巻き取られたロール状物品Rを横倒れ姿勢で収納する収納部S1を備える物品保管部H1と、ロール状物品Rが横倒れ姿勢で搬入される搬入部N1と、物品保管部H1に収納したロール状物品Rを横倒れ姿勢で搬出する搬出部T1と、搬入部N1に搬入されたロール状物品Rを収納部S1に収納しかつ収納部S1に収納されたロール状物品Rを搬出部T1に取り出す物品搬送手段とが設けられ、搬出部T1に、ロール状物品を左右反転する出庫用左右反転手段が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状体が巻き取られたロール状物品を横倒れ姿勢で収納する収納部を備える物品保管部と、ロール状物品が横倒れ姿勢で搬入される搬入部と、前記物品保管部に収納したロール状物品を横倒れ姿勢で搬出する搬出部と、前記搬入部に搬入されたロール状物品を前記収納部に収納しかつ前記収納部に収納されたロール状物品を前記搬出部に取り出す物品搬送手段とが設けられたロール状物品用の保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるロール状物品用の保管設備は、布地やフィルム等のシート状体が巻き取られたロール状物品を保管するのに用いられるものであって、搬入部に搬入されるロール状物品を収納部に収納し、収納部に収納されたロール状物品を搬出部に取り出すことになる。
このようなロール状物品用の保管設備として、搬入部として入庫ステーションが設けられ、搬出部として出庫ステーションが設けられ、物品搬送手段としてスタッカークレーンが設けられたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ちなみに、保管されるロール状物品としては、例えば、各種の製品を製作するのに用いる原反がある。つまり、搬入部に搬入される原反を収納部に収納し、収納部に収納した原反を搬出部から、加工処理装置等の外部装置に搬出することになる。
また、保管されるロール状物品としては、原反の他に、外部装置が加工処理装置である場合において、加工処理装置にて原反を加工して作成された半製品(中間品)あるいは製品がある。
そして、半製品(中間品)は、搬出部から再度加工処理装置に搬出されて、製品に加工されることになり、また、製品は、例えば、外部の工場等に出荷されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−58704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
収納部に収納したロール状物品を搬出部から搬出する際に、搬出されるロール状物品の巻き方向が、その後の処理を行うために必要な巻き方向であることが要求される場合がある。
例えば、ロール状物品が原反である場合において、その原反を外部装置にて処理する場合において、搬出されるロール状物品の巻き方向が、外部装置が必要とする巻き方向であることが要求される場合がある。
【0006】
そして、搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる場合には、搬出部から搬出したのちに、外部において、吊り下げ式のクレーン装置等を用いてロール状物品を左右反転させることにより、ロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に調整する調整作業を行うことになるが、このような調整作業は手間の掛かる面倒な作業となるものであり、特に、搬出されるロール状物品を外部装置に供給する場合においては、外部装置へのロール状物品の供給が遅延することに起因して、作業効率の低下を招く虞がある。
【0007】
そこで、搬入部に搬入されるロール状物品を収納部に収納する際に、搬出部から搬出するときにロール状物品の巻き方向が必要となる方向となるように、ロール状物品の向きを予め調整して収納部に収納させることが考えられるが、このように、収納部に収納するロール状物品の向きを、予め調整する場合には、その調整作業のミスにより、搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる方向となる虞があった。
そして、搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なるときには、上述の如く、外部において、吊り下げ式のクレーン装置等を用いてロール状物品を左右反転させる面倒な作業を要するものであった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向と異なる場合において、必要な巻き方向に簡単に調整することが可能なロール状物品用の保管設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のロール状物品用の保管設備は、シート状体が巻き取られたロール状物品を横倒れ姿勢で収納する収納部を備える物品保管部と、ロール状物品が横倒れ姿勢で搬入される搬入部と、前記物品保管部に収納したロール状物品を横倒れ姿勢で搬出する搬出部と、前記搬入部に搬入されたロール状物品を前記収納部に収納しかつ前記収納部に収納されたロール状物品を前記搬出部に取り出す物品搬送手段とが設けられたものであって、その第1特徴構成は、
前記搬出部に、ロール状物品を左右反転する出庫用左右反転手段が設けられている点を特徴とする。
【0010】
すなわち、搬出部に、ロール状物品を左右反転する出庫用左右反転手段が設けられているから、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる場合には、出庫用左右反転手段にてロール状物品を左右反転することにより、搬出されるロール状物品の巻き方向を、必要な巻き方向に調整することができる。
【0011】
したがって、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向と異なる場合にも、ロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に簡単に調整することができるのである。
【0012】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる場合において、必要な巻き方向に簡単に調整することが可能なロール状物品用の保管設備を提供できる。
【0013】
本発明のロール状物品用の保管設備の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記搬出部に、前記物品搬送手段からロール状物品が供給される受取位置と供給されたロール状物品を外部装置に供給する排出位置とに往復移動自在で、且つ、ロール状物品を載置する載置支持部を備える搬送台車が設けられ、
前記出庫用左右反転手段が、前記載置支持部を前記搬送台車の台車本体部に対して旋回させる手段として構成されている点を特徴とする。
【0014】
すなわち、搬送台車を、搬送手段からロール状物品が供給される受取位置と供給されたロール状物品を外部装置に供給する排出位置とに往復移動させることにより、収納部から取り出したロール状物品を、外部装置に出庫することができる。
【0015】
そして、搬出するロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる場合には、載置支持部を搬送台車の台車本体部に対して旋回させることにより、搬出されるロール状物品の巻き方向を、必要な巻き方向に調整することができる。
【0016】
このように、受取位置から排出位置に搬送するために載置支持部に載置したロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる場合には、載置支持部を旋回させることによって、必要な巻き方向に調整することができるものであるから、ロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に調整することを、載置支持部にロール状物品を載置し続けた状態で迅速に行えるものとなり、ロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に調整する作業の迅速化を図ることができる。
【0017】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、ロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に調整する作業の迅速化を図ることができるロール状物品用の保管設備を提供できる。
【0018】
本発明のロール状物品用の保管設備の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記搬入部に、搬入されたロール状物品を左右反転する入庫用左右反転手段が設けられている点を特徴とする。
【0019】
すなわち、搬入部に搬入されるロール状物品を収納部に収納する際に、搬入されたロール状物品をそのまま収納部に収納すると、収納部に収納したロール状物品を搬出部から搬出する際に、そのロール状物品の巻き方向が必要な巻き方向とは異なる場合には、搬入されたロール状物品を入庫用左右反転手段にて左右反転することにより、搬出部から搬出されるときの巻き方向が必要な巻き方向となるように調整することができる。
【0020】
このように、搬入部に搬入されるロール状物品を収納部に収納する際に、搬出部から搬出されるときのロール状物品の巻き方向が必要な巻き方向となるように、搬入部に搬入されたロール状物品を、予め、入庫用左右反転手段にて左右反転することができるから、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向と異なる巻き方向になることを極力回避して、搬出部からロール状物品を搬出する際に、出庫用左右反転手段によってロール状物品の巻き方向を調整する作業を行う頻度を減少させて、搬出部からロール状物品を搬出する搬出作業を効率良く行わせることが可能となる。
【0021】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に調整するようにしながらも、搬出部からロール状物品を搬出する搬出作業を効率良く行わせることが可能となるロール状物品用の保管設備を提供できる。
【0022】
本発明のロール状物品用の保管設備の第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
一対の前記物品保管部が、前記物品搬送手段の物品搬送通路の両側に設けられ、
前記一対の物品保管部の夫々に、前記搬出部が設けられている点を特徴とする。
【0023】
すなわち、一対の物品保管部が、物品搬送手段の物品搬送通路の両側に設けられているから、物品搬送手段を一対の物品保管部に対するロール状物品の搬送のために有効利用しながら、一対の物品保管部にて、多量のロール状物品を保管することが可能となる。
【0024】
しかも、一対の物品保管部の夫々に、搬出部が設けられているから、例えば、一対の物品保管部の一方に対応させて外部装置を配置し、他方の物品保管部に対応させて別の外部装置を配設して、一対の物品保管部の夫々に設けられている搬出部を、異なる外部装置に対する搬出部として用いるようにする等、ロール状物品の搬出を、一対の物品保管部の夫々に設けられている搬出部を用いて、多様な形態で行うことができるものとなる。
【0025】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、第1〜第3特徴構成による作用効果のいずれかに加えて、多量のロール状物品を保管することが可能となり、しかも、ロール状物品の搬出を多様な形態で行うことができるロール状物品用の保管設備を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ロール状物品用の保管設備の概略平面図
【図2】同設備の側面図
【図3】第1実施形態の入出庫用搬送車の概略平面図
【図4】スタッカークレーンの要部を示す側面図
【図5】第1中継用ステーションの搬送台車の平面図
【図6】同車の正面図
【図7】同車の側面図
【図8】第2中継用ステーションの搬送台車の平面図
【図9】同車の正面図
【図10】ラックの要部を示す正面図
【図11】同部を示す側面図
【図12】第2実施形態の入出庫用搬送車の正面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のロール状物品用の保管設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、第1自動倉庫A1、及び、第2自動倉庫A2が、その外周囲を区画壁Kにて囲まれた状態で、シート状体が巻き取られたロール状物品R(図10参照)を加工処理する工場内に設けられている。
本実施形態においては、ロール状物品Rとしては、加工前の原反Rg、その原反Rgを途中まで加工した半製品Rh、及び、その半製品Rhを加工した製品Rsがあり、以下の説明においては、それらを区別しない場合には、単にロール状物品Rと記載する。
【0029】
原反Rgは、例えば、その横幅が1720mmで、外径が700mmであり、そして、半製品Rh及び製品Rsの夫々は、例えば、その横幅が860mmで、外径が600mmである。
そして、図10及び図11に示すように、原反Rgは、その中心部の筒状のコア1に、2260mmの長さのシャフト2を挿入した状態で収納され、半製品Rh及び製品Rsは、その中心部の筒状のコア3に、1400mmの長さのシャフト4を挿入した状態で収納される(図10及び図11参照)。
【0030】
第1自動倉庫A1は、ロール状物品Rを横倒れ姿勢で収納する収納部S1を備える物品保管部H1と、ロール状物品Rが横倒れ姿勢で搬入される搬入部N1と、物品保管部Hに収納したロール状物品Rを横倒れ姿勢で搬出する搬出部T1と、搬入部N1に搬入されたロール状物品Rを収納部S1に収納しかつ収納部S1に収納されたロール状物品Rを搬出部T1に取り出す物品搬送手段としてのスタッカークレーンF1とが設けられている。
そして、この第1自動倉庫Aは、原反Rg、半製品Rh及び製品Rsを収納するように構成されている。
【0031】
第2自動倉庫A2には、ロール状物品Rを横倒れ姿勢で収納する収納部S2を備える物品保管部H2と、ロール状物品Rが横倒れ姿勢で搬入される搬入部N2と、物品保管部Hに収納したロール状物品Rを横倒れ姿勢で搬出する搬出部T2と、搬入部N2に搬入されたロール状物品Rを収納部S2に収納しかつ収納部S2に収納されたロール状物品Rを搬出部T2に取り出す物品搬送手段としてのスタッカークレーンF2とが設けられている。
そして、この第2自動倉庫A2は、半製品Rh及び製品Rsをエイジング処理(乾燥処理)するために一時的に収納するように構成されている。つまり、第2自動倉庫A2の内部が、エイジング処理(乾燥処理)に適した空調状態に保たれている。
【0032】
第1自動倉庫A1について説明を加えると、図1及び図2に示すように、一対の物品保管部H1が、スタッカークレーンF1の物品搬送通路L1の両側に設けられ、原反Rgを入庫し且つ製品Rsを出庫する入出庫ステーション5が、一対の物品保管部Hの一方の端部に連なる状態で設けられ、一対の物品保管部H1の夫々に、原反Rgや半製品Rhを出庫し且つ半製品Rhや製品Rsを入庫する第1中継ステーション6A、及び、半製品Rhを出庫し且つ半製品Rhや製品Rsを入庫する第2中継ステーション6Bが設けられている。
したがって、この第1自動倉庫においては、原反Rgを入庫する入出庫ステーション5、第1中継ステーション6A、及び、第2中継ステーション6Bの夫々が、搬入部N1並びに搬出部T1として機能することになる。
【0033】
一対の物品保管部H1は、入出庫ステーション5に近い側の半分が、原反Rg、半製品Rh、及び、製品Rsを収納するように構成され、かつ、入出庫ステーション5から離れる側の半分が、半製品Rh及び製品Rsを収納するように構成されている。
一対の物品保管部H1における入出庫ステーション5に近い側の半分について説明を加えると、図2、図10及び図11に示すように、その下方側に原反Rgを収納し、且つ、その上方側に半製品Rh及び製品RSを収納するように構成されている。
つまり、収納部S1を構成する腕木7が、上下方向での設置間隔を下方側の方が上方側よりも広くする状態で、支柱8に設けられている。
尚、腕木7には、原反Rgのシャフト2や半製品Rh及び製品Rsのシャフト4を受け止める凹入状の受止め体7aが設けられている。
【0034】
また、一対の物品保管部H1における入出庫ステーション5から離れる側の半分は、図2に示すように、その全体に亘って半製品Rh及び製品Rsを収納するものであって、収納部S1を構成する腕木7が、上下方向に沿って同じ間隔に並ぶ状態で、支柱8に設けられている。
【0035】
第2自動倉庫A2について説明を加えると、図1に示すように、一対の物品保管部H2が、スタッカークレーンF2の物品搬送通路L2の両側に設けられ、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1から供給される半製品Rh及び製品Rsを入庫し且つ保管していた半製品Rh及び製品Rsを第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1に出庫する入出庫ステーション9が設けられている。
したがって、第2自動倉庫においては、入出庫ステーション9が、搬入部N2及び搬出部T2と機能することになる。
【0036】
上記の如く構成された本実施形態のロール状物品用の保管設備は、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5に入庫された原反Rgを、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1にて物品保管部H1に保管することになる。
【0037】
そして、保管した原反Rgを半製品Rhに加工するときには、保管している原反RgをスタッカークレーンF1にて第1中継ステーション6Aに搬送して、その第1中継ステーション6から外部装置としての加工処理装置に供給することになる。
外部の加工処理装置にて加工された半製品Rhが第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bに戻されてくると、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1にて第2自動倉庫A2の入出庫ステーション9に搬送し、第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2にて物品保管部H2に保管することになる。
尚、第2自動倉庫A2に保管されている半製品Rhは、エンジング処理(乾燥処理)が終了すると、第1自動倉庫A1に移されることになる。
【0038】
また、第1自動倉庫A1の物品保管部H1に保管している半製品Rhを製品Rsに加工するときには、保管している半製品RhをスタッカークレーンF1にて第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bに搬送して、その第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bから外部の加工処理装置に供給することになる。
外部の加工処理装置にて加工された製品Rsが第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bに戻されてくると、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1にて第2自動倉庫A2の入出庫ステーション9に搬送し、第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2にて物品保管部H2に保管することになる。
尚、第2自動倉庫A2に保管されている製品Rsは、エンジング処理(乾燥処理)が終了すると、第1自動倉庫A1に移されることになる。
【0039】
また、第2自動倉庫A2の物品保管部H2に保管している半製品Rh及び製品Rsのエイジング処理が終了したときには、上述の如く、第1自動倉庫A1に移動させることになり、具体的には、保管している半製品Rh及び製品RsをスタッカークレーンF2にて入出庫ステーション9に搬送し、次に、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1にて、第1自動倉庫A1の物品保管部H1に保管することになる。
【0040】
さらに、第1自動倉庫A1の物品保管部H1に保管している製品Rsを外部に出庫するときには、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1にて、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5に搬送して、その入出庫ステーション5から外部に搬出することになる。
【0041】
ちなみに、原反Rsには、その原反Rsの固有情報及び加工情報を表示するラベル(伝票)が付されており、原反Rsを入庫する場合には、入出庫ステーション5の作業者が、そのラベルの記載されている固有情報を、情報入力部(図示せず)を用いて入力したのち、入庫指令を指令することになる。
このように入庫指令が指令されると、設備の運転を制御する運転制御手段(図示せず)が、入出庫ステーション5に装備した後述の搬送台車10や第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1の作動を制御して、原反Rgを第1自動倉庫A1の物品保管部H1に入庫することになる。
【0042】
また、原反Rsを出庫する場合には、第1中継ステーション6Aの作業者が、予め作成された作業リストに基づいて、原反Rgの固有情報を、情報入力部(図示せず)を用いて入力したのち、出庫指令を指令することになる。
このように出庫指令が指令されると、運転制御手段が、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1や第1中継ステーション6Aに装備した後述の搬送台車20の作動を制御して、原反Rgを出庫することになる。
【0043】
半製品Rhを入庫する場合には、第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bの作業者が、半製品Rhが戻されてきた際に、半製品Rhの入庫指令を指令することになる。
このように入庫指令が指令されると、運転制御手段が、第1中継ステーション6Aに装備した後述の搬送台車20又は第2中継ステーション6Bに装備した後述の搬送台車30、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1、第2自動倉庫A2の入出庫ステーション9に装備した後述の搬送コンベヤ40、及び、第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2の作動を制御して、半製品Rhを第2自動倉庫A2の物品保管部H2に入庫することになる。
ちなみに、半製品Rsには固有情報が付されていないため、運転制御手段は、入庫順序等に基づいて、半製品Rsの夫々を区別することになる。
【0044】
半製品Rhを出庫するときには、第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bの作業者が、予め作成された作業リストに基づいて、半製品Rhの出庫指令を指令すると、運転制御手段が、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1や、第1中継ステーション6Aに装備した後述の搬送台車20又は第2中継ステーション6Bに装備した後述の搬送台車30の作動を制御して、半製品Rgを出庫することになる。
ちなみに、半製品Rhの出庫指令が指令されると、運転制御手段は、保管している半製品Rhのうちの最も古いものを選択する等の設定選択条件に基づいて、保管している半製品Rhのうちで出庫する半製品Rhを選択することになる。
【0045】
製品Rsを入庫するときには、半製品Rhが戻されてきた際に、第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bの作業者が、製品Rsに付されたラベルの固有情報を、情報入力部(図示せず)を用いて入力したのち、入庫指令を指令することになる。
このように入庫指令が指令されると、運転制御手段が、第1中継ステーション6Aに装備した後述の搬送台車20又は第2中継ステーション6Bに装備した後述の搬送台車30、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1、第2自動倉庫A2の入出庫ステーション9に装備した後述の搬送コンベヤ40、及び、第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2の作動を制御して、製品Rsを第2自動倉庫A2の物品保管部H2に入庫することになる。
【0046】
さらに、製品Rsを出庫するときには、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5の作業者が、予め作成された作業リストに基づいて、製品Rsに付されたラベルの固有情報を、情報入力部(図示せず)を用いて入力したのち、出庫指令を指令することになる。
このように出庫指令が指令されると、運転制御手段が、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1や、入出庫ステーション5に装備した後述の搬送台車10の作動を制御して、製品Rsを出庫することになる。
【0047】
以下、各部の構成について説明を加える。
第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5には、図1及び図3に示すように、搬送台車10が、外部移載箇所と内部移載箇所とに亘って床面に設置した走行レール11に沿って走行自在に設けられている。
外部移載箇所は、外部との間でロール状物品Rの移載を行う位置であり、内部移載箇所は、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1との間でロール状物品Rの移載を行う位置である。
【0048】
搬送台車10には、原反Rgに挿入されたシャフト2を受止め支持する左右一対の受け枠12が設けられている。
また、この左右一対の受け枠12は、製品Rsに挿入されたシャフト4を受け止めることもあるので、間隔を変更自在に支持され、且つ、間隔調整用の電動モータ13にて間隔を変更操作できるように構成されている。
具体的には、その電動モータ13にて回転操作されるアーム14と受け枠12とが、リンク15にて連動連結されている。
【0049】
したがって、原反Rgを入庫するときには、搬送台車10を外部移載箇所に位置させ、且つ、左右一対の受け枠12の間隔を、原反Rgを受け止めるための間隔にする(図3(a)参照)。
そして、シャフト2を挿入された原反Rgが、左右一対の受け枠12にて受け止められる状態で搬送台車10に移載されると、搬送台車10を内部移載箇所に走行させることになる。
【0050】
また、製品Rsを出庫するときには、搬送台車10を内部移載箇所に位置させ、且つ、左右一対の受け枠12の間隔を、製品Rsを受け止めるための間隔にする(図3(b)参照)。
そして、シャフト4を挿入された製品Rsが、左右一対の受け枠12にて受け止められる状態で搬送台車10に移載されると、搬送台車10を外部移載箇所に走行させる。
【0051】
第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1は、図1及び図4に示すように、床面に設置したスタッカークレーン用の走行レール16にて案内されて、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5に対する物品移載位置、第2自動倉庫A2入出庫ステーション9に対する物品移載位置、及び、物品保管部H1における各物品収納部S1に対する物品移載位置に走行するように構成されている。
このスタッカークレーンF1には、前後のポスト17Aに沿って昇降操作される昇降台17が設けられ、その昇降台17には、原反Rgのシャフト2や、半製品Rh及び製品Rsのシャフト4の両端を受け止め支持する左右一対の支持枠18が装備されている。
【0052】
左右一対の支持枠18は、左右方向での間隔が変更調整自在に構成されて、原反Rgを支持するための間隔や、半製品Rh及び製品Rsを支持するための間隔に変更調整でき、また、物品移載のために出退操作されるように構成されている。
【0053】
第1自動倉庫A1の第1中継ステーション6Aには、図5〜図7に示すように、搬送台車20が、区画壁Kに形成した開口部Rを通過する状態で且つ走行レール21に沿って走行する状態で、内部移載箇所Jnと外部移載箇所Joとの間を往復移動自在に設けられている。
内部移載箇所Jnは、スタッカークレーンF1から供給される原反Rg及び半製品Rhを受け取る受取位置、及び、半製品Rh及び製品RsをスタッカークレーンF1に供給する受渡し位置として機能することになる。
外部移載箇所Joは、原反Rg及び半製品Rhを外部の加工処理装置に供給する排出位置、及び、外部の加工処理装置から供給される半製品Rh及び製品Rsを受取る搬入位置として機能することになる。
【0054】
搬送台車20には、台車本体部20Aに対して旋回自在な旋回台20Bが設けられ、その旋回台20Bに、原反Rgのシャフト2や、半製品Rh及び製品Rsのシャフト4の両端を受け止め支持する左右一対の受け枠22が設けられている。
左右一対の受け枠22は、旋回台20Bに設けたガイド23に沿って接近離間自在に支持され、そして、間隔調整用の電動モータ24にて揺動操作される揺動アーム25にて係止されて、接近離間操作されるように構成されている(図5参照)。
つまり、左右一対の受け枠22は、左右方向での間隔が変更調整自在に構成されて、原反Rgの間隔や、半製品Rh及び製品Rsの間隔に変更調整されるようになっている。
【0055】
旋回台20Bは、台車本体部20Aに対して旋回軸25周りで旋回自在に支持された状態で、且つ、台車本体部20Aに設けた受け止めローラ26にてその下面が受け止め支持された状態で、台車本体部20Aに対して旋回自在に支持され、そして、旋回台20Bの両端部には、旋回操作用の把手27Aが設けられている。
尚、旋回台20Bを特定回転位相にて固定する一対のロックピン27Bが、旋回台20Bと台車本体部20Aとに亘って貫通する状態に装着されるロック状態と、離脱されるロック解除状態とに手動操作によって切り換え自在に設けられている。
【0056】
したがって、外部移載箇所Joにおいて、原反Rg及び半製品Rhを外部の加工処理装置に供給するときに、その原反Rg及び半製品Rhの巻き方向が、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向とは異なる場合には、旋回台20Bを180度旋回させて、原反Rg及び半製品Rhを左右反転させることにより、原反Rg及び半製品Rhの巻き方向を、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向に変更できるように構成されている。
【0057】
ちなみに、この第1中継ステーション6Aにおいては、左右一対の受け枠22を備える旋回台20Bが、ロール状物品Rを載置する載置支持部を構成することになり、そして、ロール状物品Rを左右反転する出庫用左右反転手段Wが、旋回台20Bを主要部として構成されている。
【0058】
尚、外部移載箇所Joにおいて、原反Rg及び半製品Rhを外部装置に供給するときに、その原反Rg及び半製品Rhの巻き方向が、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向とは異なるか否かの判断は、その外部移載箇所に位置する作業者の目視検査によって行われるようになっている。
【0059】
ちなみに、本実施形態においては、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5が存在する位置から第1自動倉庫A1を見た状態において、右側に位置する第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bから搬出するロール状物品Rについての必要とする巻き方向は、時計周りの巻き方向であり、かつ、左側に位置する第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bから搬出するロール状物品Rについての必要とする巻き方向は、反時計周りの巻き方向である。
尚、例示はしないが、ロール状物品Rには、その巻き方向を示す目印が付されているため、作業者は、その目印を確認することによって、ロール状物品Rの巻き方向を認識できることになる。
【0060】
図7に示すように、区画壁Kにおける開口部Rの上部には、塵埃侵入防止用のシートシャッタ28の繰り出し収納装置28B、並びに、防火シャッタ29の繰り出し収納装置29Bが設置されている。
そして、搬送台車20を外部移載箇所Joに移動させるときには、シートシャッタ28を開くものの、搬送台車20を内部移載箇所Jnに位置させるときには、シートシャッタ28を閉じることによって、塵埃が区画壁K内に侵入するのを阻止できるようになっている。
尚、防火シャッタ29は、通常は開かれており、火災の発生時などにおいては、閉じられることになる。
【0061】
第1自動倉庫A1の第2中継ステーション6Bには、図8及び図9に示すように、搬送台車30が、区画壁Kに形成した開口部Uを通過する状態で且つ走行レール31に沿って走行する状態で、内部移載箇所Jnと外部移載箇所Joとの間を往復移動自在に設けられている。
内部移載箇所Jnは、スタッカークレーンF1から供給される半製品Rhを受け取る受取位置、及び、半製品Rh及び製品RsをスタッカークレーンF1に供給する受渡し位置として機能することになる。
外部移載箇所Joは、半製品Rhを外部の加工処理装置に供給する排出位置、及び、外部の加工処理装置から供給される半製品Rh及び製品Rsを受取る搬入位置として機能することになる。
【0062】
搬送台車30には、台車本体部30Aに対して旋回自在な旋回台30Bが設けられ、その旋回台30Bに、半製品Rh及び製品Rsのシャフト4の両端を受け止め支持する左右一対の受け枠32が設けられている。
【0063】
旋回台30Bは、台車本体部30Aに対して旋回軸33周りで旋回自在に支持された状態で、且つ、台車本体部30Aに設けた受け止めローラ34にてその下面が受け止め支持された状態で、台車本体部30Aに対して旋回自在に支持され、そして、旋回台30Bの両端部には、旋回操作用の把手35が設けられている。
また、第1中継ステーション6Aの搬送台車20と同様に、旋回台30Bを特定回転位相にて固定する一対のロックピン36が、旋回台30Bと台車本体部30Aとに亘って貫通する状態に装着されるロック状態と、離脱されるロック解除状態とに手動操作によって切り換え自在に設けられている。
【0064】
したがって、外部移載箇所Joにおいて、半製品Rhを外部の加工処理装置に供給するときに、その半製品Rhの巻き方向が、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向とは異なる場合には、旋回台30Bを180度旋回させて、半製品Rhを左右反転させることにより、半製品Rhの巻き方向を、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向に変更できるように構成されている。
【0065】
ちなみに、第2中継ステーション6Bにおいては、左右一対の受け枠32を備える旋回台30Bが、ロール状物品Rを載置する載置支持部を構成することになり、そして、ロール状物品Rを左右反転する出庫用左右反転手段Wが、旋回台30Bを主要部として構成されている。
【0066】
外部移載箇所Joにおいて、半製品Rhを外部装置に供給するときに、半製品Rhの巻き方向が、外部装置が必要とする巻き方向とは異なるか否かの判断は、第1中継ステーション6Aと同様に、外部移載箇所に位置する作業者の目視検査によって行われることになる。
【0067】
ちなみに、本実施形態においては、図2及び図7に示すように、第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bには、その両側部及び上部を覆う逆U字状や下向きE字状に形成されたステーション形成枠体Mが、床面に設置されており、物品保管部H1を構成する柱8が、ステーション形成枠体Mが設置されている箇所においては、そのステーション形成枠体Mにて支持されるようになっている。
【0068】
第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2は、詳述はしないが、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1と同様に構成されるものである。
但し、この第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2は、ロール状物品Rとして、半製品Rh及び製品Rsを搬送するものであるから、例示はしないが、半製品Rh及び製品Rsのシャフト4の両端を受け止め支持する左右一対の支持枠が、半製品Rh及び製品Rsに対応する間隔に固定された状態で、昇降操作される昇降台に装備されることになる。
【0069】
第2自動倉庫A2における入出庫ステーション9には、搬送コンベヤ40が、半製品Rh及び製品Rsのシャフト4の両端を受け止め支持した状態で、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1との間での移載を行う第1自動倉庫側移載箇所と、第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2との間で移載を行う第2自動倉庫側移載箇所との間で、半製品Rh及び製品Rsを搬送するように設けられている。
具体的には、例示はしないが、シャフト4の両端を各別に支持する一対の支持体が、第1自動倉庫側移載箇所と第2自動倉庫側移載箇所との間を往復移動されるように構成されている。
ちなみに、第2自動倉庫A2は、区画壁Kにて外部から区画されることに加えて、図1に示すように、仕切壁Ksにて、第1自動倉庫A1との間が区画され、そして、上述の如く、その内部がエイジング処理(乾燥処理)に適する状態に空調されている。
【0070】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。
この第2実施形態は、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5に装備される搬送台車10の構成が、第1実施形態とは異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
したがって、以下、主として搬送台車10について説明して、その他の構成についての説明は省略する。
【0071】
すなわち、図12に示すように、搬送台車10が、第1自動倉庫A1における第1中継ステーション6Aに装備した搬送台車20と同様に構成されている。
つまり、搬送台車10が、台車本体部10Aと、その台車本体部10Aに対して旋回自在な旋回台10Bとから構成され、その旋回台20Bに、左右一対の受け枠12が、上記第1実施形態と同様な形態にて設けられている。
【0072】
そして、旋回台10Bの両端部には、旋回操作用の把手10Cが設けられている。
また、旋回台20Bを特定回転位相にて固定するロックピン10Dが、旋回台10Bと台車本体部10Aとに亘って貫通する状態に装着されるロック状態と、離脱されるロック解除状態とに手動操作によって切り換え自在に設けられている。
【0073】
したがって、この第2実施形態においては、入庫する原反Rgの巻き方向が外部の加工処理装置に供給するときの巻き方向と異なる場合には、旋回台10Bを180度旋回させて、原反Rgを左右反転させることにより、原反Rgの巻き方向を、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向に変更できるように構成されている。
ちなみに、この第2実施形態においては、左右一対の受け枠12を備える旋回台10Bが、ロール状物品Rを載置する載置支持部を構成することになり、そして、ロール状物品Rを左右反転する入庫用左右反転手段Vが、旋回台10Bを主要部として構成されることになる。
【0074】
原反Rgの巻き方向が、外部装置が必要とする巻き方向とは異なるか否かの判断は、その外部移載箇所に位置する作業者の目視検査によって行われることになる。
ちなみに、原反Rsには、第1実施形態にて述べた如く、固有情報及び加工情報を記載したラベル(伝票)が付設され、また、巻き方向を示す目印が付されている。
そして、作業者は、予め作成された作業リストに基づいて、入庫する原反Rgを加工処理する加工処理装置を判別して、原反Rgの巻き方向が、その加工処理装置が必要とする巻き方向であるか否かを判別して、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向と異なる場合には、旋回台10Bを旋回操作して、原反Rgの巻き方向を、それを加工処理する加工処理装置が必要とする巻き方向に調整することになる。
【0075】
つまり、第1実施形態にて述べた如く、入出庫ステーション5が存在する位置から第1自動倉庫A1を見た状態において、右側に位置する第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bから加工処理装置に搬出するロール状物品Rについての必要とする巻き方向は、時計周りの巻き方向であり、かつ、左側に位置する第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bから加工処理装置に搬出するロール状物品Rについての必要とする巻き方向は、反時計周りの巻き方向であるが、原反Rgの巻き方向が、それを加工する加工処理装置が必要とする巻き方向とは異なる場合には、旋回台10Bを旋回操作して、原反Rgの巻き方向を、それを加工処理する加工処理装置が必要とする巻き方向に調整することになる。
【0076】
ちなみに、加工処理装置から戻される半製品Rhの巻き方向は、基本的には、その加工処理装置が必要とする巻き方向にて戻されることになるので、第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bにて、半製品Rhの巻き方向を調整する必要はないが、その加工処理装置が必要とする巻き方向にて戻されていない場合には、上述の第1実施形態で述べた如く、その半製品Rhを搬出するときに、第1中継ステーション6Aに装備した搬送台車20や、第2中継ステーション6Bに装備した搬送台車30を用いて、半製品Rhの巻き方向を加工処理装置が必要とする巻き方向に調整することになる。
【0077】
尚、加工処理装置から戻される半製品Rhの巻き方向が、その加工処理装置が必要とする巻き方向とは異なる巻き方向にて戻されている場合には、第1中継ステーション6Aに装備した搬送台車20や、第2中継ステーション6Bに装備した搬送台車30を用いて、半製品Rhの巻き方向を加工処理装置が必要とする巻き方向に調整したのち、第2自動倉庫A2に保管するようにしてもよい。
【0078】
〔別の実施形態〕
(1)上記第1及び第2実施形態においては、出庫用左右反転手段を、載置支持部を搬送台車の台車本体部に対して旋回させる手段として構成する場合を例示したが、例えば、搬送台車の載置支持部に支持されているロール状物品を持ち上げて吊り下げ支持する吊り下げ装置を、ロール状物品を持ち上げた状態で180度旋回させることができるように構成して、吊り下げ装置にてロール状物品を旋回させる出庫用左右反転手段を構成する形態で実施しても良い。
【0079】
(2)上記第1及び第2実施形態においては、入庫用左右反転手段を構成する旋回台を、手動にて回転操作する場合を例示したが、電動モータ等の駆動手段を用いて旋回させるようにしてもよい。
この場合、作業者が、旋回指令を指令すると、運転制御手段が駆動手段の作動を制御して、旋回台を旋回させることになる。
【0080】
(3)上記第2実施形態においては、出庫用左右反転手段を構成する旋回台を、手動にて回転操作する場合を例示したが、電動モータ等の駆動手段を用いて旋回させるようにしてもよい。
この場合、作業者が、旋回指令を指令すると、運転制御手段が駆動手段の作動を制御して、旋回台を旋回させることになる。
【0081】
(4)上記第1及び第2実施形態においては、ロール状物品として、横幅の異なる複数の物品を保管する場合を例示したが、例えば、上記実施形態にて説明した原反を入庫して、出庫することのみを行う形態や、同じ横幅の半製品を入庫して出庫することのみを行う形態の保管設備を構成する場合にも適用できる。
【0082】
(5)上記第1及び第2実施形態では、ロール状物品をコアに挿入するシャフトを用いて支持する形態で、保管や搬送を行う場合を例示したが、シャフトを用いずに、ロール状物品を載置支持する形態で、保管や搬送を行うようにしてもよい。
【0083】
(6)上記第1及び第2実施形態では、搬入部や搬出部を複数設ける場合を例示したが、搬入部や搬出部を1つ設けるなど、搬入部や搬出部の設置個数は如何なる数でもよく、例えば、搬入部と搬出部を兼用する1つの入出庫部を設ける形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0084】
20 搬送台車
20A 台車本体部
20B 載置支持部
30 搬送台車
30A 台車本体部
30B 載置支持部
F1 搬送手段
R ロール状物品
S 収納部
L1 物品搬送通路
N1、N2 搬入部
H1、H2 物品保管部
T1、T2 搬出部
V 入庫用左右反転手段
W 出庫用左右反転手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状体が巻き取られたロール状物品を横倒れ姿勢で収納する収納部を備える物品保管部と、ロール状物品が横倒れ姿勢で搬入される搬入部と、前記物品保管部に収納したロール状物品を横倒れ姿勢で搬出する搬出部と、前記搬入部に搬入されたロール状物品を前記収納部に収納しかつ前記収納部に収納されたロール状物品を前記搬出部に取り出す物品搬送手段とが設けられたロール状物品用の保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるロール状物品用の保管設備は、布地やフィルム等のシート状体が巻き取られたロール状物品を保管するのに用いられるものであって、搬入部に搬入されるロール状物品を収納部に収納し、収納部に収納されたロール状物品を搬出部に取り出すことになる。
このようなロール状物品用の保管設備として、搬入部として入庫ステーションが設けられ、搬出部として出庫ステーションが設けられ、物品搬送手段としてスタッカークレーンが設けられたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ちなみに、保管されるロール状物品としては、例えば、各種の製品を製作するのに用いる原反がある。つまり、搬入部に搬入される原反を収納部に収納し、収納部に収納した原反を搬出部から、加工処理装置等の外部装置に搬出することになる。
また、保管されるロール状物品としては、原反の他に、外部装置が加工処理装置である場合において、加工処理装置にて原反を加工して作成された半製品(中間品)あるいは製品がある。
そして、半製品(中間品)は、搬出部から再度加工処理装置に搬出されて、製品に加工されることになり、また、製品は、例えば、外部の工場等に出荷されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−58704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
収納部に収納したロール状物品を搬出部から搬出する際に、搬出されるロール状物品の巻き方向が、その後の処理を行うために必要な巻き方向であることが要求される場合がある。
例えば、ロール状物品が原反である場合において、その原反を外部装置にて処理する場合において、搬出されるロール状物品の巻き方向が、外部装置が必要とする巻き方向であることが要求される場合がある。
【0006】
そして、搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる場合には、搬出部から搬出したのちに、外部において、吊り下げ式のクレーン装置等を用いてロール状物品を左右反転させることにより、ロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に調整する調整作業を行うことになるが、このような調整作業は手間の掛かる面倒な作業となるものであり、特に、搬出されるロール状物品を外部装置に供給する場合においては、外部装置へのロール状物品の供給が遅延することに起因して、作業効率の低下を招く虞がある。
【0007】
そこで、搬入部に搬入されるロール状物品を収納部に収納する際に、搬出部から搬出するときにロール状物品の巻き方向が必要となる方向となるように、ロール状物品の向きを予め調整して収納部に収納させることが考えられるが、このように、収納部に収納するロール状物品の向きを、予め調整する場合には、その調整作業のミスにより、搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる方向となる虞があった。
そして、搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なるときには、上述の如く、外部において、吊り下げ式のクレーン装置等を用いてロール状物品を左右反転させる面倒な作業を要するものであった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向と異なる場合において、必要な巻き方向に簡単に調整することが可能なロール状物品用の保管設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のロール状物品用の保管設備は、シート状体が巻き取られたロール状物品を横倒れ姿勢で収納する収納部を備える物品保管部と、ロール状物品が横倒れ姿勢で搬入される搬入部と、前記物品保管部に収納したロール状物品を横倒れ姿勢で搬出する搬出部と、前記搬入部に搬入されたロール状物品を前記収納部に収納しかつ前記収納部に収納されたロール状物品を前記搬出部に取り出す物品搬送手段とが設けられたものであって、その第1特徴構成は、
前記搬出部に、ロール状物品を左右反転する出庫用左右反転手段が設けられている点を特徴とする。
【0010】
すなわち、搬出部に、ロール状物品を左右反転する出庫用左右反転手段が設けられているから、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる場合には、出庫用左右反転手段にてロール状物品を左右反転することにより、搬出されるロール状物品の巻き方向を、必要な巻き方向に調整することができる。
【0011】
したがって、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向と異なる場合にも、ロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に簡単に調整することができるのである。
【0012】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる場合において、必要な巻き方向に簡単に調整することが可能なロール状物品用の保管設備を提供できる。
【0013】
本発明のロール状物品用の保管設備の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記搬出部に、前記物品搬送手段からロール状物品が供給される受取位置と供給されたロール状物品を外部装置に供給する排出位置とに往復移動自在で、且つ、ロール状物品を載置する載置支持部を備える搬送台車が設けられ、
前記出庫用左右反転手段が、前記載置支持部を前記搬送台車の台車本体部に対して旋回させる手段として構成されている点を特徴とする。
【0014】
すなわち、搬送台車を、搬送手段からロール状物品が供給される受取位置と供給されたロール状物品を外部装置に供給する排出位置とに往復移動させることにより、収納部から取り出したロール状物品を、外部装置に出庫することができる。
【0015】
そして、搬出するロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる場合には、載置支持部を搬送台車の台車本体部に対して旋回させることにより、搬出されるロール状物品の巻き方向を、必要な巻き方向に調整することができる。
【0016】
このように、受取位置から排出位置に搬送するために載置支持部に載置したロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向とは異なる場合には、載置支持部を旋回させることによって、必要な巻き方向に調整することができるものであるから、ロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に調整することを、載置支持部にロール状物品を載置し続けた状態で迅速に行えるものとなり、ロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に調整する作業の迅速化を図ることができる。
【0017】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、ロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に調整する作業の迅速化を図ることができるロール状物品用の保管設備を提供できる。
【0018】
本発明のロール状物品用の保管設備の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記搬入部に、搬入されたロール状物品を左右反転する入庫用左右反転手段が設けられている点を特徴とする。
【0019】
すなわち、搬入部に搬入されるロール状物品を収納部に収納する際に、搬入されたロール状物品をそのまま収納部に収納すると、収納部に収納したロール状物品を搬出部から搬出する際に、そのロール状物品の巻き方向が必要な巻き方向とは異なる場合には、搬入されたロール状物品を入庫用左右反転手段にて左右反転することにより、搬出部から搬出されるときの巻き方向が必要な巻き方向となるように調整することができる。
【0020】
このように、搬入部に搬入されるロール状物品を収納部に収納する際に、搬出部から搬出されるときのロール状物品の巻き方向が必要な巻き方向となるように、搬入部に搬入されたロール状物品を、予め、入庫用左右反転手段にて左右反転することができるから、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向が、必要な巻き方向と異なる巻き方向になることを極力回避して、搬出部からロール状物品を搬出する際に、出庫用左右反転手段によってロール状物品の巻き方向を調整する作業を行う頻度を減少させて、搬出部からロール状物品を搬出する搬出作業を効率良く行わせることが可能となる。
【0021】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、搬出部から搬出されるロール状物品の巻き方向を必要な巻き方向に調整するようにしながらも、搬出部からロール状物品を搬出する搬出作業を効率良く行わせることが可能となるロール状物品用の保管設備を提供できる。
【0022】
本発明のロール状物品用の保管設備の第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
一対の前記物品保管部が、前記物品搬送手段の物品搬送通路の両側に設けられ、
前記一対の物品保管部の夫々に、前記搬出部が設けられている点を特徴とする。
【0023】
すなわち、一対の物品保管部が、物品搬送手段の物品搬送通路の両側に設けられているから、物品搬送手段を一対の物品保管部に対するロール状物品の搬送のために有効利用しながら、一対の物品保管部にて、多量のロール状物品を保管することが可能となる。
【0024】
しかも、一対の物品保管部の夫々に、搬出部が設けられているから、例えば、一対の物品保管部の一方に対応させて外部装置を配置し、他方の物品保管部に対応させて別の外部装置を配設して、一対の物品保管部の夫々に設けられている搬出部を、異なる外部装置に対する搬出部として用いるようにする等、ロール状物品の搬出を、一対の物品保管部の夫々に設けられている搬出部を用いて、多様な形態で行うことができるものとなる。
【0025】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、第1〜第3特徴構成による作用効果のいずれかに加えて、多量のロール状物品を保管することが可能となり、しかも、ロール状物品の搬出を多様な形態で行うことができるロール状物品用の保管設備を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ロール状物品用の保管設備の概略平面図
【図2】同設備の側面図
【図3】第1実施形態の入出庫用搬送車の概略平面図
【図4】スタッカークレーンの要部を示す側面図
【図5】第1中継用ステーションの搬送台車の平面図
【図6】同車の正面図
【図7】同車の側面図
【図8】第2中継用ステーションの搬送台車の平面図
【図9】同車の正面図
【図10】ラックの要部を示す正面図
【図11】同部を示す側面図
【図12】第2実施形態の入出庫用搬送車の正面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のロール状物品用の保管設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、第1自動倉庫A1、及び、第2自動倉庫A2が、その外周囲を区画壁Kにて囲まれた状態で、シート状体が巻き取られたロール状物品R(図10参照)を加工処理する工場内に設けられている。
本実施形態においては、ロール状物品Rとしては、加工前の原反Rg、その原反Rgを途中まで加工した半製品Rh、及び、その半製品Rhを加工した製品Rsがあり、以下の説明においては、それらを区別しない場合には、単にロール状物品Rと記載する。
【0029】
原反Rgは、例えば、その横幅が1720mmで、外径が700mmであり、そして、半製品Rh及び製品Rsの夫々は、例えば、その横幅が860mmで、外径が600mmである。
そして、図10及び図11に示すように、原反Rgは、その中心部の筒状のコア1に、2260mmの長さのシャフト2を挿入した状態で収納され、半製品Rh及び製品Rsは、その中心部の筒状のコア3に、1400mmの長さのシャフト4を挿入した状態で収納される(図10及び図11参照)。
【0030】
第1自動倉庫A1は、ロール状物品Rを横倒れ姿勢で収納する収納部S1を備える物品保管部H1と、ロール状物品Rが横倒れ姿勢で搬入される搬入部N1と、物品保管部Hに収納したロール状物品Rを横倒れ姿勢で搬出する搬出部T1と、搬入部N1に搬入されたロール状物品Rを収納部S1に収納しかつ収納部S1に収納されたロール状物品Rを搬出部T1に取り出す物品搬送手段としてのスタッカークレーンF1とが設けられている。
そして、この第1自動倉庫Aは、原反Rg、半製品Rh及び製品Rsを収納するように構成されている。
【0031】
第2自動倉庫A2には、ロール状物品Rを横倒れ姿勢で収納する収納部S2を備える物品保管部H2と、ロール状物品Rが横倒れ姿勢で搬入される搬入部N2と、物品保管部Hに収納したロール状物品Rを横倒れ姿勢で搬出する搬出部T2と、搬入部N2に搬入されたロール状物品Rを収納部S2に収納しかつ収納部S2に収納されたロール状物品Rを搬出部T2に取り出す物品搬送手段としてのスタッカークレーンF2とが設けられている。
そして、この第2自動倉庫A2は、半製品Rh及び製品Rsをエイジング処理(乾燥処理)するために一時的に収納するように構成されている。つまり、第2自動倉庫A2の内部が、エイジング処理(乾燥処理)に適した空調状態に保たれている。
【0032】
第1自動倉庫A1について説明を加えると、図1及び図2に示すように、一対の物品保管部H1が、スタッカークレーンF1の物品搬送通路L1の両側に設けられ、原反Rgを入庫し且つ製品Rsを出庫する入出庫ステーション5が、一対の物品保管部Hの一方の端部に連なる状態で設けられ、一対の物品保管部H1の夫々に、原反Rgや半製品Rhを出庫し且つ半製品Rhや製品Rsを入庫する第1中継ステーション6A、及び、半製品Rhを出庫し且つ半製品Rhや製品Rsを入庫する第2中継ステーション6Bが設けられている。
したがって、この第1自動倉庫においては、原反Rgを入庫する入出庫ステーション5、第1中継ステーション6A、及び、第2中継ステーション6Bの夫々が、搬入部N1並びに搬出部T1として機能することになる。
【0033】
一対の物品保管部H1は、入出庫ステーション5に近い側の半分が、原反Rg、半製品Rh、及び、製品Rsを収納するように構成され、かつ、入出庫ステーション5から離れる側の半分が、半製品Rh及び製品Rsを収納するように構成されている。
一対の物品保管部H1における入出庫ステーション5に近い側の半分について説明を加えると、図2、図10及び図11に示すように、その下方側に原反Rgを収納し、且つ、その上方側に半製品Rh及び製品RSを収納するように構成されている。
つまり、収納部S1を構成する腕木7が、上下方向での設置間隔を下方側の方が上方側よりも広くする状態で、支柱8に設けられている。
尚、腕木7には、原反Rgのシャフト2や半製品Rh及び製品Rsのシャフト4を受け止める凹入状の受止め体7aが設けられている。
【0034】
また、一対の物品保管部H1における入出庫ステーション5から離れる側の半分は、図2に示すように、その全体に亘って半製品Rh及び製品Rsを収納するものであって、収納部S1を構成する腕木7が、上下方向に沿って同じ間隔に並ぶ状態で、支柱8に設けられている。
【0035】
第2自動倉庫A2について説明を加えると、図1に示すように、一対の物品保管部H2が、スタッカークレーンF2の物品搬送通路L2の両側に設けられ、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1から供給される半製品Rh及び製品Rsを入庫し且つ保管していた半製品Rh及び製品Rsを第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1に出庫する入出庫ステーション9が設けられている。
したがって、第2自動倉庫においては、入出庫ステーション9が、搬入部N2及び搬出部T2と機能することになる。
【0036】
上記の如く構成された本実施形態のロール状物品用の保管設備は、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5に入庫された原反Rgを、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1にて物品保管部H1に保管することになる。
【0037】
そして、保管した原反Rgを半製品Rhに加工するときには、保管している原反RgをスタッカークレーンF1にて第1中継ステーション6Aに搬送して、その第1中継ステーション6から外部装置としての加工処理装置に供給することになる。
外部の加工処理装置にて加工された半製品Rhが第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bに戻されてくると、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1にて第2自動倉庫A2の入出庫ステーション9に搬送し、第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2にて物品保管部H2に保管することになる。
尚、第2自動倉庫A2に保管されている半製品Rhは、エンジング処理(乾燥処理)が終了すると、第1自動倉庫A1に移されることになる。
【0038】
また、第1自動倉庫A1の物品保管部H1に保管している半製品Rhを製品Rsに加工するときには、保管している半製品RhをスタッカークレーンF1にて第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bに搬送して、その第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bから外部の加工処理装置に供給することになる。
外部の加工処理装置にて加工された製品Rsが第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bに戻されてくると、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1にて第2自動倉庫A2の入出庫ステーション9に搬送し、第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2にて物品保管部H2に保管することになる。
尚、第2自動倉庫A2に保管されている製品Rsは、エンジング処理(乾燥処理)が終了すると、第1自動倉庫A1に移されることになる。
【0039】
また、第2自動倉庫A2の物品保管部H2に保管している半製品Rh及び製品Rsのエイジング処理が終了したときには、上述の如く、第1自動倉庫A1に移動させることになり、具体的には、保管している半製品Rh及び製品RsをスタッカークレーンF2にて入出庫ステーション9に搬送し、次に、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1にて、第1自動倉庫A1の物品保管部H1に保管することになる。
【0040】
さらに、第1自動倉庫A1の物品保管部H1に保管している製品Rsを外部に出庫するときには、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1にて、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5に搬送して、その入出庫ステーション5から外部に搬出することになる。
【0041】
ちなみに、原反Rsには、その原反Rsの固有情報及び加工情報を表示するラベル(伝票)が付されており、原反Rsを入庫する場合には、入出庫ステーション5の作業者が、そのラベルの記載されている固有情報を、情報入力部(図示せず)を用いて入力したのち、入庫指令を指令することになる。
このように入庫指令が指令されると、設備の運転を制御する運転制御手段(図示せず)が、入出庫ステーション5に装備した後述の搬送台車10や第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1の作動を制御して、原反Rgを第1自動倉庫A1の物品保管部H1に入庫することになる。
【0042】
また、原反Rsを出庫する場合には、第1中継ステーション6Aの作業者が、予め作成された作業リストに基づいて、原反Rgの固有情報を、情報入力部(図示せず)を用いて入力したのち、出庫指令を指令することになる。
このように出庫指令が指令されると、運転制御手段が、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1や第1中継ステーション6Aに装備した後述の搬送台車20の作動を制御して、原反Rgを出庫することになる。
【0043】
半製品Rhを入庫する場合には、第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bの作業者が、半製品Rhが戻されてきた際に、半製品Rhの入庫指令を指令することになる。
このように入庫指令が指令されると、運転制御手段が、第1中継ステーション6Aに装備した後述の搬送台車20又は第2中継ステーション6Bに装備した後述の搬送台車30、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1、第2自動倉庫A2の入出庫ステーション9に装備した後述の搬送コンベヤ40、及び、第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2の作動を制御して、半製品Rhを第2自動倉庫A2の物品保管部H2に入庫することになる。
ちなみに、半製品Rsには固有情報が付されていないため、運転制御手段は、入庫順序等に基づいて、半製品Rsの夫々を区別することになる。
【0044】
半製品Rhを出庫するときには、第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bの作業者が、予め作成された作業リストに基づいて、半製品Rhの出庫指令を指令すると、運転制御手段が、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1や、第1中継ステーション6Aに装備した後述の搬送台車20又は第2中継ステーション6Bに装備した後述の搬送台車30の作動を制御して、半製品Rgを出庫することになる。
ちなみに、半製品Rhの出庫指令が指令されると、運転制御手段は、保管している半製品Rhのうちの最も古いものを選択する等の設定選択条件に基づいて、保管している半製品Rhのうちで出庫する半製品Rhを選択することになる。
【0045】
製品Rsを入庫するときには、半製品Rhが戻されてきた際に、第1中継ステーション6A又は第2中継ステーション6Bの作業者が、製品Rsに付されたラベルの固有情報を、情報入力部(図示せず)を用いて入力したのち、入庫指令を指令することになる。
このように入庫指令が指令されると、運転制御手段が、第1中継ステーション6Aに装備した後述の搬送台車20又は第2中継ステーション6Bに装備した後述の搬送台車30、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1、第2自動倉庫A2の入出庫ステーション9に装備した後述の搬送コンベヤ40、及び、第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2の作動を制御して、製品Rsを第2自動倉庫A2の物品保管部H2に入庫することになる。
【0046】
さらに、製品Rsを出庫するときには、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5の作業者が、予め作成された作業リストに基づいて、製品Rsに付されたラベルの固有情報を、情報入力部(図示せず)を用いて入力したのち、出庫指令を指令することになる。
このように出庫指令が指令されると、運転制御手段が、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1や、入出庫ステーション5に装備した後述の搬送台車10の作動を制御して、製品Rsを出庫することになる。
【0047】
以下、各部の構成について説明を加える。
第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5には、図1及び図3に示すように、搬送台車10が、外部移載箇所と内部移載箇所とに亘って床面に設置した走行レール11に沿って走行自在に設けられている。
外部移載箇所は、外部との間でロール状物品Rの移載を行う位置であり、内部移載箇所は、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1との間でロール状物品Rの移載を行う位置である。
【0048】
搬送台車10には、原反Rgに挿入されたシャフト2を受止め支持する左右一対の受け枠12が設けられている。
また、この左右一対の受け枠12は、製品Rsに挿入されたシャフト4を受け止めることもあるので、間隔を変更自在に支持され、且つ、間隔調整用の電動モータ13にて間隔を変更操作できるように構成されている。
具体的には、その電動モータ13にて回転操作されるアーム14と受け枠12とが、リンク15にて連動連結されている。
【0049】
したがって、原反Rgを入庫するときには、搬送台車10を外部移載箇所に位置させ、且つ、左右一対の受け枠12の間隔を、原反Rgを受け止めるための間隔にする(図3(a)参照)。
そして、シャフト2を挿入された原反Rgが、左右一対の受け枠12にて受け止められる状態で搬送台車10に移載されると、搬送台車10を内部移載箇所に走行させることになる。
【0050】
また、製品Rsを出庫するときには、搬送台車10を内部移載箇所に位置させ、且つ、左右一対の受け枠12の間隔を、製品Rsを受け止めるための間隔にする(図3(b)参照)。
そして、シャフト4を挿入された製品Rsが、左右一対の受け枠12にて受け止められる状態で搬送台車10に移載されると、搬送台車10を外部移載箇所に走行させる。
【0051】
第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1は、図1及び図4に示すように、床面に設置したスタッカークレーン用の走行レール16にて案内されて、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5に対する物品移載位置、第2自動倉庫A2入出庫ステーション9に対する物品移載位置、及び、物品保管部H1における各物品収納部S1に対する物品移載位置に走行するように構成されている。
このスタッカークレーンF1には、前後のポスト17Aに沿って昇降操作される昇降台17が設けられ、その昇降台17には、原反Rgのシャフト2や、半製品Rh及び製品Rsのシャフト4の両端を受け止め支持する左右一対の支持枠18が装備されている。
【0052】
左右一対の支持枠18は、左右方向での間隔が変更調整自在に構成されて、原反Rgを支持するための間隔や、半製品Rh及び製品Rsを支持するための間隔に変更調整でき、また、物品移載のために出退操作されるように構成されている。
【0053】
第1自動倉庫A1の第1中継ステーション6Aには、図5〜図7に示すように、搬送台車20が、区画壁Kに形成した開口部Rを通過する状態で且つ走行レール21に沿って走行する状態で、内部移載箇所Jnと外部移載箇所Joとの間を往復移動自在に設けられている。
内部移載箇所Jnは、スタッカークレーンF1から供給される原反Rg及び半製品Rhを受け取る受取位置、及び、半製品Rh及び製品RsをスタッカークレーンF1に供給する受渡し位置として機能することになる。
外部移載箇所Joは、原反Rg及び半製品Rhを外部の加工処理装置に供給する排出位置、及び、外部の加工処理装置から供給される半製品Rh及び製品Rsを受取る搬入位置として機能することになる。
【0054】
搬送台車20には、台車本体部20Aに対して旋回自在な旋回台20Bが設けられ、その旋回台20Bに、原反Rgのシャフト2や、半製品Rh及び製品Rsのシャフト4の両端を受け止め支持する左右一対の受け枠22が設けられている。
左右一対の受け枠22は、旋回台20Bに設けたガイド23に沿って接近離間自在に支持され、そして、間隔調整用の電動モータ24にて揺動操作される揺動アーム25にて係止されて、接近離間操作されるように構成されている(図5参照)。
つまり、左右一対の受け枠22は、左右方向での間隔が変更調整自在に構成されて、原反Rgの間隔や、半製品Rh及び製品Rsの間隔に変更調整されるようになっている。
【0055】
旋回台20Bは、台車本体部20Aに対して旋回軸25周りで旋回自在に支持された状態で、且つ、台車本体部20Aに設けた受け止めローラ26にてその下面が受け止め支持された状態で、台車本体部20Aに対して旋回自在に支持され、そして、旋回台20Bの両端部には、旋回操作用の把手27Aが設けられている。
尚、旋回台20Bを特定回転位相にて固定する一対のロックピン27Bが、旋回台20Bと台車本体部20Aとに亘って貫通する状態に装着されるロック状態と、離脱されるロック解除状態とに手動操作によって切り換え自在に設けられている。
【0056】
したがって、外部移載箇所Joにおいて、原反Rg及び半製品Rhを外部の加工処理装置に供給するときに、その原反Rg及び半製品Rhの巻き方向が、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向とは異なる場合には、旋回台20Bを180度旋回させて、原反Rg及び半製品Rhを左右反転させることにより、原反Rg及び半製品Rhの巻き方向を、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向に変更できるように構成されている。
【0057】
ちなみに、この第1中継ステーション6Aにおいては、左右一対の受け枠22を備える旋回台20Bが、ロール状物品Rを載置する載置支持部を構成することになり、そして、ロール状物品Rを左右反転する出庫用左右反転手段Wが、旋回台20Bを主要部として構成されている。
【0058】
尚、外部移載箇所Joにおいて、原反Rg及び半製品Rhを外部装置に供給するときに、その原反Rg及び半製品Rhの巻き方向が、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向とは異なるか否かの判断は、その外部移載箇所に位置する作業者の目視検査によって行われるようになっている。
【0059】
ちなみに、本実施形態においては、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5が存在する位置から第1自動倉庫A1を見た状態において、右側に位置する第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bから搬出するロール状物品Rについての必要とする巻き方向は、時計周りの巻き方向であり、かつ、左側に位置する第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bから搬出するロール状物品Rについての必要とする巻き方向は、反時計周りの巻き方向である。
尚、例示はしないが、ロール状物品Rには、その巻き方向を示す目印が付されているため、作業者は、その目印を確認することによって、ロール状物品Rの巻き方向を認識できることになる。
【0060】
図7に示すように、区画壁Kにおける開口部Rの上部には、塵埃侵入防止用のシートシャッタ28の繰り出し収納装置28B、並びに、防火シャッタ29の繰り出し収納装置29Bが設置されている。
そして、搬送台車20を外部移載箇所Joに移動させるときには、シートシャッタ28を開くものの、搬送台車20を内部移載箇所Jnに位置させるときには、シートシャッタ28を閉じることによって、塵埃が区画壁K内に侵入するのを阻止できるようになっている。
尚、防火シャッタ29は、通常は開かれており、火災の発生時などにおいては、閉じられることになる。
【0061】
第1自動倉庫A1の第2中継ステーション6Bには、図8及び図9に示すように、搬送台車30が、区画壁Kに形成した開口部Uを通過する状態で且つ走行レール31に沿って走行する状態で、内部移載箇所Jnと外部移載箇所Joとの間を往復移動自在に設けられている。
内部移載箇所Jnは、スタッカークレーンF1から供給される半製品Rhを受け取る受取位置、及び、半製品Rh及び製品RsをスタッカークレーンF1に供給する受渡し位置として機能することになる。
外部移載箇所Joは、半製品Rhを外部の加工処理装置に供給する排出位置、及び、外部の加工処理装置から供給される半製品Rh及び製品Rsを受取る搬入位置として機能することになる。
【0062】
搬送台車30には、台車本体部30Aに対して旋回自在な旋回台30Bが設けられ、その旋回台30Bに、半製品Rh及び製品Rsのシャフト4の両端を受け止め支持する左右一対の受け枠32が設けられている。
【0063】
旋回台30Bは、台車本体部30Aに対して旋回軸33周りで旋回自在に支持された状態で、且つ、台車本体部30Aに設けた受け止めローラ34にてその下面が受け止め支持された状態で、台車本体部30Aに対して旋回自在に支持され、そして、旋回台30Bの両端部には、旋回操作用の把手35が設けられている。
また、第1中継ステーション6Aの搬送台車20と同様に、旋回台30Bを特定回転位相にて固定する一対のロックピン36が、旋回台30Bと台車本体部30Aとに亘って貫通する状態に装着されるロック状態と、離脱されるロック解除状態とに手動操作によって切り換え自在に設けられている。
【0064】
したがって、外部移載箇所Joにおいて、半製品Rhを外部の加工処理装置に供給するときに、その半製品Rhの巻き方向が、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向とは異なる場合には、旋回台30Bを180度旋回させて、半製品Rhを左右反転させることにより、半製品Rhの巻き方向を、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向に変更できるように構成されている。
【0065】
ちなみに、第2中継ステーション6Bにおいては、左右一対の受け枠32を備える旋回台30Bが、ロール状物品Rを載置する載置支持部を構成することになり、そして、ロール状物品Rを左右反転する出庫用左右反転手段Wが、旋回台30Bを主要部として構成されている。
【0066】
外部移載箇所Joにおいて、半製品Rhを外部装置に供給するときに、半製品Rhの巻き方向が、外部装置が必要とする巻き方向とは異なるか否かの判断は、第1中継ステーション6Aと同様に、外部移載箇所に位置する作業者の目視検査によって行われることになる。
【0067】
ちなみに、本実施形態においては、図2及び図7に示すように、第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bには、その両側部及び上部を覆う逆U字状や下向きE字状に形成されたステーション形成枠体Mが、床面に設置されており、物品保管部H1を構成する柱8が、ステーション形成枠体Mが設置されている箇所においては、そのステーション形成枠体Mにて支持されるようになっている。
【0068】
第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2は、詳述はしないが、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1と同様に構成されるものである。
但し、この第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2は、ロール状物品Rとして、半製品Rh及び製品Rsを搬送するものであるから、例示はしないが、半製品Rh及び製品Rsのシャフト4の両端を受け止め支持する左右一対の支持枠が、半製品Rh及び製品Rsに対応する間隔に固定された状態で、昇降操作される昇降台に装備されることになる。
【0069】
第2自動倉庫A2における入出庫ステーション9には、搬送コンベヤ40が、半製品Rh及び製品Rsのシャフト4の両端を受け止め支持した状態で、第1自動倉庫A1のスタッカークレーンF1との間での移載を行う第1自動倉庫側移載箇所と、第2自動倉庫A2のスタッカークレーンF2との間で移載を行う第2自動倉庫側移載箇所との間で、半製品Rh及び製品Rsを搬送するように設けられている。
具体的には、例示はしないが、シャフト4の両端を各別に支持する一対の支持体が、第1自動倉庫側移載箇所と第2自動倉庫側移載箇所との間を往復移動されるように構成されている。
ちなみに、第2自動倉庫A2は、区画壁Kにて外部から区画されることに加えて、図1に示すように、仕切壁Ksにて、第1自動倉庫A1との間が区画され、そして、上述の如く、その内部がエイジング処理(乾燥処理)に適する状態に空調されている。
【0070】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。
この第2実施形態は、第1自動倉庫A1の入出庫ステーション5に装備される搬送台車10の構成が、第1実施形態とは異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
したがって、以下、主として搬送台車10について説明して、その他の構成についての説明は省略する。
【0071】
すなわち、図12に示すように、搬送台車10が、第1自動倉庫A1における第1中継ステーション6Aに装備した搬送台車20と同様に構成されている。
つまり、搬送台車10が、台車本体部10Aと、その台車本体部10Aに対して旋回自在な旋回台10Bとから構成され、その旋回台20Bに、左右一対の受け枠12が、上記第1実施形態と同様な形態にて設けられている。
【0072】
そして、旋回台10Bの両端部には、旋回操作用の把手10Cが設けられている。
また、旋回台20Bを特定回転位相にて固定するロックピン10Dが、旋回台10Bと台車本体部10Aとに亘って貫通する状態に装着されるロック状態と、離脱されるロック解除状態とに手動操作によって切り換え自在に設けられている。
【0073】
したがって、この第2実施形態においては、入庫する原反Rgの巻き方向が外部の加工処理装置に供給するときの巻き方向と異なる場合には、旋回台10Bを180度旋回させて、原反Rgを左右反転させることにより、原反Rgの巻き方向を、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向に変更できるように構成されている。
ちなみに、この第2実施形態においては、左右一対の受け枠12を備える旋回台10Bが、ロール状物品Rを載置する載置支持部を構成することになり、そして、ロール状物品Rを左右反転する入庫用左右反転手段Vが、旋回台10Bを主要部として構成されることになる。
【0074】
原反Rgの巻き方向が、外部装置が必要とする巻き方向とは異なるか否かの判断は、その外部移載箇所に位置する作業者の目視検査によって行われることになる。
ちなみに、原反Rsには、第1実施形態にて述べた如く、固有情報及び加工情報を記載したラベル(伝票)が付設され、また、巻き方向を示す目印が付されている。
そして、作業者は、予め作成された作業リストに基づいて、入庫する原反Rgを加工処理する加工処理装置を判別して、原反Rgの巻き方向が、その加工処理装置が必要とする巻き方向であるか否かを判別して、外部の加工処理装置が必要とする巻き方向と異なる場合には、旋回台10Bを旋回操作して、原反Rgの巻き方向を、それを加工処理する加工処理装置が必要とする巻き方向に調整することになる。
【0075】
つまり、第1実施形態にて述べた如く、入出庫ステーション5が存在する位置から第1自動倉庫A1を見た状態において、右側に位置する第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bから加工処理装置に搬出するロール状物品Rについての必要とする巻き方向は、時計周りの巻き方向であり、かつ、左側に位置する第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bから加工処理装置に搬出するロール状物品Rについての必要とする巻き方向は、反時計周りの巻き方向であるが、原反Rgの巻き方向が、それを加工する加工処理装置が必要とする巻き方向とは異なる場合には、旋回台10Bを旋回操作して、原反Rgの巻き方向を、それを加工処理する加工処理装置が必要とする巻き方向に調整することになる。
【0076】
ちなみに、加工処理装置から戻される半製品Rhの巻き方向は、基本的には、その加工処理装置が必要とする巻き方向にて戻されることになるので、第1中継ステーション6A及び第2中継ステーション6Bにて、半製品Rhの巻き方向を調整する必要はないが、その加工処理装置が必要とする巻き方向にて戻されていない場合には、上述の第1実施形態で述べた如く、その半製品Rhを搬出するときに、第1中継ステーション6Aに装備した搬送台車20や、第2中継ステーション6Bに装備した搬送台車30を用いて、半製品Rhの巻き方向を加工処理装置が必要とする巻き方向に調整することになる。
【0077】
尚、加工処理装置から戻される半製品Rhの巻き方向が、その加工処理装置が必要とする巻き方向とは異なる巻き方向にて戻されている場合には、第1中継ステーション6Aに装備した搬送台車20や、第2中継ステーション6Bに装備した搬送台車30を用いて、半製品Rhの巻き方向を加工処理装置が必要とする巻き方向に調整したのち、第2自動倉庫A2に保管するようにしてもよい。
【0078】
〔別の実施形態〕
(1)上記第1及び第2実施形態においては、出庫用左右反転手段を、載置支持部を搬送台車の台車本体部に対して旋回させる手段として構成する場合を例示したが、例えば、搬送台車の載置支持部に支持されているロール状物品を持ち上げて吊り下げ支持する吊り下げ装置を、ロール状物品を持ち上げた状態で180度旋回させることができるように構成して、吊り下げ装置にてロール状物品を旋回させる出庫用左右反転手段を構成する形態で実施しても良い。
【0079】
(2)上記第1及び第2実施形態においては、入庫用左右反転手段を構成する旋回台を、手動にて回転操作する場合を例示したが、電動モータ等の駆動手段を用いて旋回させるようにしてもよい。
この場合、作業者が、旋回指令を指令すると、運転制御手段が駆動手段の作動を制御して、旋回台を旋回させることになる。
【0080】
(3)上記第2実施形態においては、出庫用左右反転手段を構成する旋回台を、手動にて回転操作する場合を例示したが、電動モータ等の駆動手段を用いて旋回させるようにしてもよい。
この場合、作業者が、旋回指令を指令すると、運転制御手段が駆動手段の作動を制御して、旋回台を旋回させることになる。
【0081】
(4)上記第1及び第2実施形態においては、ロール状物品として、横幅の異なる複数の物品を保管する場合を例示したが、例えば、上記実施形態にて説明した原反を入庫して、出庫することのみを行う形態や、同じ横幅の半製品を入庫して出庫することのみを行う形態の保管設備を構成する場合にも適用できる。
【0082】
(5)上記第1及び第2実施形態では、ロール状物品をコアに挿入するシャフトを用いて支持する形態で、保管や搬送を行う場合を例示したが、シャフトを用いずに、ロール状物品を載置支持する形態で、保管や搬送を行うようにしてもよい。
【0083】
(6)上記第1及び第2実施形態では、搬入部や搬出部を複数設ける場合を例示したが、搬入部や搬出部を1つ設けるなど、搬入部や搬出部の設置個数は如何なる数でもよく、例えば、搬入部と搬出部を兼用する1つの入出庫部を設ける形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0084】
20 搬送台車
20A 台車本体部
20B 載置支持部
30 搬送台車
30A 台車本体部
30B 載置支持部
F1 搬送手段
R ロール状物品
S 収納部
L1 物品搬送通路
N1、N2 搬入部
H1、H2 物品保管部
T1、T2 搬出部
V 入庫用左右反転手段
W 出庫用左右反転手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状体が巻き取られたロール状物品を横倒れ姿勢で収納する収納部を備える物品保管部と、ロール状物品が横倒れ姿勢で搬入される搬入部と、前記物品保管部に収納したロール状物品を横倒れ姿勢で搬出する搬出部と、前記搬入部に搬入されたロール状物品を前記収納部に収納しかつ前記収納部に収納されたロール状物品を前記搬出部に取り出す物品搬送手段とが設けられたロール状物品用の保管設備であって、
前記搬出部に、ロール状物品を左右反転する出庫用左右反転手段が設けられているロール状物品用の保管設備。
【請求項2】
前記搬出部に、前記物品搬送手段からロール状物品が供給される受取位置と供給されたロール状物品を外部装置に供給する排出位置とに往復移動自在で、且つ、ロール状物品を載置する載置支持部を備える搬送台車が設けられ、
前記出庫用左右反転手段が、前記載置支持部を前記搬送台車の台車本体部に対して旋回させる手段として構成されている請求項1記載のロール状物品用の保管設備。
【請求項3】
前記搬入部に、搬入されたロール状物品を左右反転する入庫用左右反転手段が設けられている請求項1又は2記載のロール状物品用の保管設備。
【請求項4】
一対の前記物品保管部が、前記物品搬送手段の物品搬送通路の両側に設けられ、
前記一対の物品保管部の夫々に、前記搬出部が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のロール状物品用の保管設備。
【請求項1】
シート状体が巻き取られたロール状物品を横倒れ姿勢で収納する収納部を備える物品保管部と、ロール状物品が横倒れ姿勢で搬入される搬入部と、前記物品保管部に収納したロール状物品を横倒れ姿勢で搬出する搬出部と、前記搬入部に搬入されたロール状物品を前記収納部に収納しかつ前記収納部に収納されたロール状物品を前記搬出部に取り出す物品搬送手段とが設けられたロール状物品用の保管設備であって、
前記搬出部に、ロール状物品を左右反転する出庫用左右反転手段が設けられているロール状物品用の保管設備。
【請求項2】
前記搬出部に、前記物品搬送手段からロール状物品が供給される受取位置と供給されたロール状物品を外部装置に供給する排出位置とに往復移動自在で、且つ、ロール状物品を載置する載置支持部を備える搬送台車が設けられ、
前記出庫用左右反転手段が、前記載置支持部を前記搬送台車の台車本体部に対して旋回させる手段として構成されている請求項1記載のロール状物品用の保管設備。
【請求項3】
前記搬入部に、搬入されたロール状物品を左右反転する入庫用左右反転手段が設けられている請求項1又は2記載のロール状物品用の保管設備。
【請求項4】
一対の前記物品保管部が、前記物品搬送手段の物品搬送通路の両側に設けられ、
前記一対の物品保管部の夫々に、前記搬出部が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のロール状物品用の保管設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−17185(P2012−17185A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156047(P2010−156047)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
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