説明

ワイヤレスフラッシュシステムおよびコマンダーフラッシュ装置ならびにスレーブフラッシュ装置、ワイヤレスフラッシュシステムの制御方法

【課題】光通信によって連携動作するワイヤレスフラッシュシステムにおいて、通信途中でエラーが発生しても、ユーザに確実に通信エラーを認識させる。
【解決手段】光通信によってコマンダーフラッシュ装置とスレーブフラッシュ装置が連携動作するワイヤレスフラッシュシステムにおいて、コマンダーフラッシュ装置は、光通信の1シーケンス内でプリ発光のトリガとなるパルス発光SFL5の発光信号強度It5を、メイン発光のトリガとなるパルス発光SFL10を含む他のパルス発光SFLnの発光信号強度Itnよりも小さくなるように送信する。受信側のスレーブフラッシュ装置では、パルス発光SFL5以外で受光レベル低下による通信エラーが発生する状況では、パルス発光SFL5の受信も必ずエラーとなりプリ発光が抑止されるので、ユーザがパルス発光SFL5に対応したプリ発光のみが実行されたときのメイン発光の誤認が確実に防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスフラッシュシステムおよびコマンダーフラッシュ装置ならびにスレーブフラッシュ装置、ワイヤレスフラッシュシステムの制御方法に関し、たとえば撮像装置などの補助照明装置として用いられる複数のフラッシュ装置を光通信によって連携動作させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置の補助照明として閃光を発生するフラッシュ装置を、閃光自体を利用した光通信によってマスターフラッシュ装置からワイヤレスで制御するフラッシュシステムが知られている。
【0003】
しかし、フラッシュ(閃光)の到達距離は有限であるので、マスターフラッシュ装置とスレーブフラッシュ装置との距離によっては光通信が不能となって使用できない場合もある。
【0004】
フラッシュシステムの適用範囲を広げるという観点からは、光通信のフラッシュの発光強度を大きくして到達距離を長くすることが望ましいが、マスターフラッシュ装置側の消費電力が大きくなり、実際の照明に利用可能なフラッシュ強度が低下する。
【0005】
この問題を解決するために、特許文献1では、マスターフラッシュ装置側におけるパワーパック等の補助電源の接続の有無に応じて、光通信のフラッシュの発光強度を制御する技術が開示されている。
【0006】
ところで、ワイヤレスでTTL(Through The Lens)調光を実施する場合の一手法として、本発光(メイン発光)の前に予備発光(プリ発光)を実施し、この予備発光の際の光量を計測してメイン発光の発光量を決定する方法がある。
【0007】
このようにプリ発光を利用する場合、もしプリ発光した後で通信エラーが発生すると、フラッシュは撮影時のメイン発光はできなくなるが、プリ発光とメイン発光は時間的に近接して実行されるため、ユーザは正しく発光したものと勘違いして、補助照明の不備による失敗写真に気づかない懸念がある。
【特許文献1】特開2004−126493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、光通信によって連携動作するワイヤレスフラッシュシステムにおいて、通信途中でエラーが発生しても、ユーザが確実に通信エラーを認識できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点は、コマンダーフラッシュ装置およびスレーブフラッシュ装置の間で光通信により制御データを授受して連携動作するワイヤレスフラッシュシステムであって、
前記コマンダーフラッシュ装置は、前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御する送信制御手段を含み、
前記スレーブフラッシュ装置は、前記プリ発光トリガパルス発光および前記メイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機に前記プリ発光および前記メイン発光の各々を行うとともに、前記プリ発光トリガパルス発光を、先行する前記データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止する受信制御手段を含むワイヤレスフラッシュシステムを提供する。
【0010】
本発明の第2の観点は、コマンダーフラッシュ装置およびスレーブフラッシュ装置の間で光通信により制御データを授受して連携動作するワイヤレスフラッシュシステムであって、
前記コマンダーフラッシュ装置は、前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光に先行する第1データ送信用パルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御する送信制御手段を含み、
前記スレーブフラッシュ装置は、前記プリ発光トリガパルス発光および前記メイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機に前記プリ発光および前記メイン発光の各々を行うとともに、前記第1データ送信用パルス発光を、先行する第2データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止する受信制御手段を含むワイヤレスフラッシュシステムを提供する。
【0011】
本発明の第3の観点は、第2の観点に記載のワイヤレスフラッシュシステムにおいて、
前記第2データ送信用パルス発光は前記シーケンスの先頭に位置し、前記第1データ送信用パルス発光は前記シーケンスの二番目に位置し、
前記送信制御手段は、前記第2データ送信用パルス発光の発光強度を前記シーケンスの中で最大にし、前記第1データ送信用パルス発光の発光強度を前記シーケンスの中で最小にするワイヤレスフラッシュシステムを提供する。
【0012】
本発明の第4の観点は、コマンダーフラッシュ装置およびスレーブフラッシュ装置の間で光通信により制御データを授受して連携動作するワイヤレスフラッシュシステムであって、
前記コマンダーフラッシュ装置は、前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させる送信制御手段を含み、
前記スレーブフラッシュ装置は、
前記プリ発光トリガパルス発光および前記メイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機に前記プリ発光および前記メイン発光の各々を行うとともに、前記光通信が正常に行われたか否かを判別する受信制御手段と、
前記プリ発光の実行後に前記光通信の異常が検出された場合に警告表示を行う警告手段と、
を含むワイヤレスフラッシュシステムを提供する。
【0013】
本発明の第5の観点は、第4の観点に記載のワイヤレスフラッシュシステムにおいて、
前記スレーブフラッシュ装置の前記警告手段は、前記警告表示として、最小の前記発光強度にて複数回の発光を連続して実行するワイヤレスフラッシュシステムを提供する。
【0014】
本発明の第6の観点は、スレーブフラッシュ装置との間で光通信により制御データを授受して連携動作するコマンダーフラッシュ装置であって、
前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御する送信制御手段を含むコマンダーフラッシュ装置を提供する。
【0015】
本発明の第7の観点は、スレーブフラッシュ装置との間で光通信により制御データを授受して連携動作するコマンダーフラッシュ装置であって、
前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光に先行する第1データ送信用パルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御する送信制御手段を含むコマンダーフラッシュ装置を提供する。
【0016】
本発明の第8の観点は、第7の観点に記載のコマンダーフラッシュ装置において、
前記送信制御手段は、前記シーケンスの中で、先頭の第2データ送信用パルス発光の発光強度を最大にし、前記第2データ送信用パルス発光に続く前記第1データ送信用パルス発光の発光強度を最も低くするコマンダーフラッシュ装置を提供する。
【0017】
本発明の第9の観点は、コマンダーフラッシュ装置との間で光通信により制御データを授受して連携動作するスレーブフラッシュ装置であって、
前記コマンダーフラッシュ装置からデータ送信用パルス発光を介して前記制御データを受信し、前記コマンダーフラッシュ装置からのプリ発光トリガパルス発光およびメイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機にプリ発光およびメイン発光の各々を行うとともに、前記プリ発光トリガパルス発光を、先行する前記データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止する受信制御手段を含むスレーブフラッシュ装置を提供する。
【0018】
本発明の第10の観点は、コマンダーフラッシュ装置との間で光通信により制御データを授受して連携動作するスレーブフラッシュ装置であって、
前記コマンダーフラッシュ装置からデータ送信用パルス発光を介して前記制御データを受信し、前記コマンダーフラッシュ装置からのプリ発光トリガパルス発光およびメイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機にプリ発光およびメイン発光の各々を行うとともに、
前記プリ発光トリガパルス発光に先行する第1のデータ送信用パルス発光を、当該第1のデータ送信用パルス発光にさらに先行する第2データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止する受信制御手段を含むスレーブフラッシュ装置を提供する。
【0019】
本発明の第11の観点は、コマンダーフラッシュ装置との間で光通信により制御データを授受して連携動作するスレーブフラッシュ装置であって、
前記コマンダーフラッシュ装置からデータ送信用パルス発光を介して前記制御データを受信し、前記コマンダーフラッシュ装置からのプリ発光トリガパルス発光およびメイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機にプリ発光およびメイン発光の各々を行うとともに、前記光通信が正常か否かを判別する受信制御手段と、
前記プリ発光の実行後に前記光通信の異常が検出された場合に警告表示を行う警告手段と、
を含むスレーブフラッシュ装置を提供する。
【0020】
本発明の第12の観点は、コマンダーフラッシュ装置およびスレーブフラッシュ装置の間で光通信により制御データを授受して連携動作するワイヤレスフラッシュシステムの制御方法であって、
前記コマンダーフラッシュ装置では、前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御し、
前記スレーブフラッシュ装置では、前記プリ発光トリガパルス発光および前記メイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機に前記プリ発光および前記メイン発光の各々を行うとともに、前記プリ発光トリガパルス発光を、先行する前記データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止するワイヤレスフラッシュシステムの制御方法を提供する。
【0021】
本発明の第13の観点は、コマンダーフラッシュ装置およびスレーブフラッシュ装置の間で光通信により制御データを授受して連携動作するワイヤレスフラッシュシステムの制御方法であって、
前記コマンダーフラッシュ装置では、前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光に先行する第1データ送信用パルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御し、
前記スレーブフラッシュ装置では、前記プリ発光トリガパルス発光および前記メイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機に前記プリ発光および前記メイン発光の各々を行うとともに、前記第1データ送信用パルス発光を、先行する第2データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止するワイヤレスフラッシュシステムの制御方法を提供する。
【0022】
本発明の第14の観点は、第13の観点に記載のワイヤレスフラッシュシステムの制御方法において、
前記コマンダーフラッシュ装置では、前記シーケンスの中で、先頭の第2データ送信用パルス発光の発光強度を最大にし、前記第2データ送信用パルス発光に続く前記第1データ送信用パルス発光の発光強度を最も低くするワイヤレスフラッシュシステムの制御方法を提供する。
【0023】
上記した本発明によれば、プリ発光トリガパルス発光、またはそれ以前のデータ送信用パルス発光の発光強度を、通信発光のシーケンス中で最小にしているため、たとえば、スレーブフラッシュ装置側での受信強度が認識限界付近であった場合、プリ発光トリガパルス発光の信号は受信できてスレーブフラッシュ装置がプリ発光したにもかかわらずメイン発光しない、というユーザを惑わす現象を生じることがない。
【0024】
このため通信が一部でも受信できない可能性があるときは、スレーブフラッシュ装置はプリ発光せず、またメイン発光前にプリ発光トリガパルス発光のエラーが認識できるためスレーブフラッシュ装置はメイン発光もせず、結果としてスレーブフラッシュ装置が発光しないことによりユーザは通信のエラーを確実に認識できる。
【0025】
また、通信発光のシーケンス中に、プリ発光トリガパルス発光およびメイン発光トリガパルス発光に先立って、データ送信用パルス発光による最大光量と最小光量で通信を確認しているため、最大光量と最小光量のデータ送信用パルス発光が正常に受信された場合には、それ以降の当該シーケンス内の通信を保証できる。またこの最大光量と最小光量のデータ送信用パルス発光による通信の確認がプリ発光およびメイン発光に先行して行われるので、スレーブフラッシュ装置の発光により撮影者が正常に動作したと誤認することがない。
【0026】
また、スレーブフラッシュ装置は、正しく通信が受信できなかったと認識した場合に警告表示を実施するので、通信エラーにより、ユーザが正しく撮影できたと誤認識する確率を一層低くできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、光通信によって連携動作するワイヤレスフラッシュシステムにおいて、通信途中でエラーが発生しても、ユーザが確実に通信エラーを認識できる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1Aは、本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムを構成するコマンダーフラッシュ装置として機能するカメラの構成の一例を示す斜視図であり、図1Bは、その背面側の斜視図である。
【0029】
図2は、本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムを構成するスレーブフラッシュ装置の構成の一例を示す斜視図である。
図3は、本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムの構成例を示す概念図である。
【0030】
本実施の形態では、コマンダーフラッシュ装置として、フラッシュ内蔵のデジタルカメラを例示する。
本実施の形態のカメラCMは、カメラボディ1、レンズユニット2、内蔵フラッシュ3、操作部材4、ファインダーユニット5、背面LCDパネル6を備えている。
【0031】
本実施の形態のカメラCMは、たとえば一眼レフレックスタイプのカメラボディ1を備えている。
レンズユニット2は、カメラボディ1な着脱自在の構成となっており、カメラボディ1に装着した場合はカメラボディ1と連携して機能する。
【0032】
内蔵フラッシュ3はポップアップ式の内蔵フラッシュである。この内蔵フラッシュ3は、本実施の形態のワイヤレスフラッシュシステムのコマンダーフラッシュ装置として機能し、信号フラッシュ光3aを放射して後述のスレーブフラッシュ装置FLを制御する。
【0033】
カメラボディ1に備えられた操作部材4は、たとえば、レリーズボタン4−1、電子ダイヤル4−2、十字ボタン4−3、ISOボタン4−4、露出補正ボタン4−5、INFOボタン4−6、メニューボタン4−7、パワーボタン4−8、からなる。
【0034】
レリーズボタン4−1は、半押しと全押しの2段スイッチで構成されている。
電子ダイヤル4−2は、所望の数値を変更設定する場合に使用する。
十字ボタン4−3は、上下左右の4ボタンと中央のOKボタンで構成され、背面LCDパネル6で図示しないメニュー画面を開いた際の項目の選択や決定に使用する。
【0035】
ISOボタン4−4は、カメラボディ1に備えられた撮像素子のISO感度を変更する場合に使用される。このISOボタン4−4を押しながら電子ダイヤル4−2を回動させることにより、ISO感度を所望の値に選択、設定可能である。
【0036】
露出補正ボタン4−5は、露出補正値の設定や入力に用いられる。この露出補正ボタン4−5を押しながら電子ダイヤル4−2を回動させることにより、露出補正値の変更が可能である。
【0037】
INFOボタン4−6は、背面LCDパネル6の表示態様を選択したり、変更する操作に用いられる。
メニューボタン4−7は背面LCDパネル6に表示される各種メニューの表示制御に用いられる。このメニューボタン4−7をおすと、背面LCDパネル6に各種設定のためのメニュー画面が表示される。
【0038】
パワーボタン4−8は、カメラボディ1の電源のON/OFF操作に用いられる。
ファインダーユニット5は、アイピース5−1を備えており、レンズユニット2を通過した光をカメラボディ1内の図示しないミラーおよびファインダ内のペンタプリズム、およびアイピース5−1により観察像を生成する、
背面LCDパネル6はカメラボディ1の背面側に備えられ、撮影画像の表示、観察用のライブビューの表示、各種情報の表示、設定値の表示および変更を確認するために用いられる。
【0039】
図2に例示されるように、本実施の形態のワイヤレスフラッシュシステムを構成するスレーブフラッシュ装置FL(リモートフラッシュ)は、スレーブフラッシュ本体11、フラッシュスタンド12、スレーブセンサー13、調光センサー14、発光窓15、発光ユニット16、ロック解除ボタン17、ホットシュー18、ホットシュー受け部19、モードスイッチ20、を備えている。
【0040】
スレーブフラッシュ本体11の上部には、発光窓15を通じて外部フラッシュ光15bを出射する機能を備えた発光ユニット16が固定され、下端部には、ホットシュー18が設けられている。
【0041】
フラッシュスタンド12は、ホットシュー18に対して着脱可能なホットシュー受け部19を備え、スレーブフラッシュ装置FLのホットシュー18とホットシュー受け部19とが係合することにより、スレーブフラッシュ本体11がフラッシュスタンド12に載置可能になっている。
【0042】
スレーブセンサー13は、スレーブフラッシュ本体11の正面側に設けられ、コマンダーフラッシュ装置FL−CMDからの信号フラッシュ光3aを受光してこれを光電変換することにより電気信号を発生させる。
【0043】
スレーブフラッシュ本体11のスレーブセンサー13の近傍には調光センサー14が設けられている。本実施の形態のワイヤレスフラッシュシステムでは、調光制御をカメラCM側のTTLセンサーで行うTTL調光と、スレーブフラッシュ装置FLの側の調光センサー14で行うフラッシュ側制御調光とが可能であり、調光センサー14は上述のフラッシュ側調光の際に利用される。
【0044】
発光ユニット16の発光窓15は、スレーブフラッシュ本体11の正面側を向くようにスレーブフラッシュ本体11に配置されている。この発光ユニット16はスレーブフラッシュ本体11に対して上下方向に回動(傾動)可能であり、発光ユニット16の側面に設けられたロック解除ボタン17を押しながら動かすことで、外部フラッシュ光15bの出射方向を調整できる。
【0045】
スレーブフラッシュ本体11の下端に設けられたホットシュー18は、カメラCMの上部に設けられた図示しないホットシュー部に装着できるほか、フラッシュスタンド12との係合も可能である。
【0046】
本実施の形態のスレーブフラッシュ装置FLには、TTL(スルー・ザ・レンズ)、M(マニュアル)、RC(リモートコントロール)の3モードがあり、スレーブフラッシュ本体11の側面に設けられたモードスイッチ20は、これらのTTL、M、RCの3モードを切り換える操作に用いられる。
【0047】
TTLとMは、スレーブフラッシュ装置FLをカメラCMに一体に取り付けた際の制御モードを示している。RCは、当該スレーブフラッシュ装置FLがワイヤレスフラッシュシステムのスレーブフラッシュ装置として機能することを示している。
【0048】
図3は、本実施の形態のワイヤレスフラッシュシステムの使用状況の一例を示している。
本実施の形態のコマンダーフラッシュ装置FL−CMDとなるカメラボディ1の前方に被写体OBJを配置している。この被写体OBJに対して3つの、別々のグループ設定になっているスレーブフラッシュ装置FLが配置されている。
【0049】
この3つのスレーブフラッシュ装置FLは、グループAのスレーブフラッシュ装置FL−A、グループBのスレーブフラッシュ装置FL−B、グループCのスレーブフラッシュ装置FL−Cで構成され、それぞれは図2で示したスレーブフラッシュ装置FLで構成されている。
【0050】
いずれのスレーブフラッシュ装置FLもモードスイッチ20をRCに設定され、不図示のグループ設定手段でスレーブフラッシュ装置FL−AはグループAに、スレーブフラッシュ装置FL−BはグループBに、スレーブフラッシュ装置FL−CはグループCにそれぞれ設定されている。
【0051】
コマンダーフラッシュ装置FL−CMD(カメラCM)で、各グループを独立に制御でき、各グループはそれぞれコマンダーフラッシュ装置FL−CMDから指示された設定に従って発光する。
【0052】
図4Aは、上述の図1Aおよび図1Bに例示された本実施の形態のカメラCMの回路構成の一例を示すブロック図である。
レンズユニット2内には、レンズ駆動制御回路101が設けられ、ボディ側からの指示に基づいてレンズのフォーカスや絞り等の駆動制御を行う。
【0053】
カメラボディ1内には、フラッシュ制御回路102、発振回路103、ボディ駆動制御回路104、TTL調光回路105、画像処理回路106、撮像回路108、が設けられている。
【0054】
フラッシュ制御回路102は内蔵フラッシュ3における信号フラッシュ光3a等のフラッシュの発光制御を行う。
発振回路103は、例えば水晶発振子を用いた回路で構成され、クロックを生成する。カメラボディ1内には撮像素子(撮像回路108)をはじめ、高精度の時間制御を求められる部分が多いので、高価ではあるが精度が高い発振回路を備えている。
【0055】
ボディ駆動制御回路104は、カメラボディ1の全体を制御する。このボディ駆動制御回路104は、上述の発振回路103をクロックとして動作するデジタル回路を中心した構成である。このボディ駆動制御回路104は、ボディ内の各ブロックを制御し、またレンズユニット2に動作を指示する。さらにフラッシュ制御回路102にワイヤレスデータ通信のための発光指示を行う。さらに操作部材4の操作を検出してそれに対応した処理を実行する。
【0056】
TTL調光回路105は、プリ発光時に、レンズユニット2を通過してくる外部フラッシュ光15b等のフラッシュ光を測光し、この測光結果に基づいて、メイン発光の光量をボディ駆動制御回路104が決定する。
【0057】
画像処理回路106は、たとえばCCDなどの撮像素子とその出力信号処理を行う撮像回路108からの出力をデジタル処理し、記録媒体107に記録する動作を行う。また画像処理回路106は、記録媒体107に記録された画像データを読み出してそれを背面LCDパネル6に表示させるための表示データを生成する。
【0058】
図4Bは、本実施の形態のフラッシュ制御回路における発光駆動回路の一例を示す回路図である。図4Cは、その作用の一例を示すタイミングチャートである。
図4Bに例示されるように、本実施の形態のフラット発光駆動回路は、メインコンデンサ211、閃光発光管212(内蔵フラッシュ3)、IGBT素子213、充電用抵抗214、トリガコンデンサ215、トリガトランス216、を含んでいる。
【0059】
メインコンデンサ211は図示されない電源回路等により給電されている。そして、このメインコンデンサ211の両端に閃光発光管212およびスイッチ素子としてのIGBT素子213が直列に接続されている。また、閃光発光管212には並列に充電用抵抗214が接続されており、IGBT素子213のコレクタ側にはトリガコンデンサ215を介してトリガトランス216の1次側端子が接続されている。
【0060】
次に、このように構成された回路の動作について、図4Cのタイミングチャートを参照して説明する。
トリガコンデンサ215には、充電用抵抗214を介して電荷が蓄積されている。そして、発光制御信号SW1がオンされると(t1)、トリガトランス216、トリガコンデンサ215、IGBT素子213のコレクタ−エミッタの方向にループが形成されて、大きなトリガ電圧Vtrgが発生し、閃光発光管212は放電可能な状態となって管電流Ixeが流れることにより閃光(信号フラッシュ光3a)を発生する。
【0061】
その後、発光制御信号SW1がオフにされると(t2)、IGBT素子213のオフで、メインコンデンサ211から閃光発光管212への給電が停止され、トリガコンデンサ215には、充電用抵抗214を介して再び電荷が蓄積される。
【0062】
次に、再び発光制御信号SW1がオンされると(t3)、再び大きなトリガ電圧Vtrgが発生し、閃光発光管212の管電流Ixeが流れ、閃光発光管212から閃光が発生する。
その後、発光制御信号SW1によるIGBT素子213のオフ、オンに従って、閃光発光管212から閃光が発生する。
【0063】
そして、IGBT素子213のオン(t1)からオフ(t2)までの時間幅Δtや、オフ期間の長さ等を制御することで、閃光発光管212から発生する閃光の光量がフラッシュ制御回路102から入力される発光制御信号SW1によって制御される。
【0064】
図5は、本実施の形態のスレーブフラッシュ装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
本実施の形態のスレーブフラッシュ装置FLは、発光回路151、フラッシュ制御回路152、クロック回路153、データ検出回路154、を備えている。
【0065】
発光回路151は発光ユニット16内に設けられ、フラッシュ制御回路152からの指示に基づいて発光窓15内の発光部15aから外部フラッシュ光15bを発光させる。
フラッシュ制御回路152は、スレーブセンサー13、調光センサー14等の各種センサーや、モードスイッチ20等の操作部材からの情報をもとに、発光回路151を介して、発光部15aからのフラッシュ(閃光)の発光などの各種制御を行う。
【0066】
クロック回路153は、フラッシュ制御回路152のデジタル部の動作クロックを供給するとともに、後述のようなスレーブセンサー13のパルス間時間の測定クロックにもなる。スレーブフラッシュ装置FLではカメラボディ1に比べて高精度の時間制御が必要な機能が少ないため、このクロック回路153は、たとえばセラミック振動子などを用いた安価なものである。このクロック回路153はコマンダーフラッシュ装置FL−CMDとして機能するカメラボディ1のクロックよりも精度は低くてよい。
【0067】
データ検出回路154は、スレーブセンサー13から出力される、コマンダーフラッシュ装置FL−CMDからの発光信号(信号フラッシュ光3a)に対応したパルス信号の間隔を、クロック回路153のクロックを用いてパルスカウントする。そのカウントデータは、フラッシュ制御回路152によって読み出される。
【0068】
図6は、本実施の形態のコマンダーフラッシュ装置として機能するカメラボディの背面LCDパネル6に表示される、制御用の表示画面の遷移の一例を示す概念図である。
この背面LCDパネル6の表示画面は、カメラボディ1の背面のINFOボタン4−6により、表示画面DSP1、表示画面DSP2、表示画面DSP3に順次切り替え可能に設定されている。
【0069】
表示画面DSP1は通常表示状態であり、通常の撮影で確認することが多い項目について表示を行う。図6の表示画面DSP1の例では、カメラ動作モード:P(プログラムオート)、シャッタ速度:1/500、露出:F4.5、日付:2007.05.22、ISO感度:ISO、ホワイトバランス:WB、フラッシュモード:FLASH、画質:PICTURE、自動露出モード:AE、自動焦点モード:AF、自動焦点モード:FOCUS、ドライブ:DRIVE、画像記録フォーマット:XD,HQ、残記録枚数:12、等の情報が表示されている。
【0070】
また、この表示画面DSP1の表示上で十字ボタン4−3のOKボタンと十字キーで設定項目を選択すると、表示上で設定の変更が実施可能である。
表示画面DSP2は、背面LCDパネル6の表示をOFFした状態である。消費電力をセーブする場合や、ファインダを覗く際にパネルからの光が邪魔になる場合に消灯させた状態を示している。
【0071】
表示画面DSP3は、ワイヤレスリモート制御撮影を行う場合の専用の制御用パネル表示である。この表示はスレーブフラッシュ装置FLのワイヤレスリモート制御が不図示の設定メニューにより選択されている場合(このモードをRCモードとする)のみ表示可能である。
【0072】
この表示画面DSP3では、複数のスレーブフラッシュ装置FLの各グループの設定をマトリックス状に表示でき、また表示画面DSP1と同様、OKボタンと十字キーを用いて、その表示を見ながら設定の変更ができる。
【0073】
図6の例では、スレーブフラッシュ装置FLの各グループ毎(グループA、グループB、グループC)に、グループ名:GROUP、動作モード:MODE、調光値:VALUE、フラッシュ電源:FP(ON/OFF)、チャネル:CH、等の情報が表示されている。
【0074】
また、この表示画面DSP3の表示のままレリーズボタン4−1を押すとワイヤレスリモート制御でのフラッシュ撮影が実行され、撮影画像が所定時間だけ背面LCDパネル6に表示され、その後、撮影前の表示画面DSP3の表示状態に復帰する。
【0075】
ここで、ワイヤレスリモート制御が選択されている場合(すなわちRCモードがONに設定されている場合)のみ、表示画面DSP3への遷移が可能である。ワイヤレスリモート制御が非選択になっている場合(すなわちRCモードがOFFに設定されている場合)は表示画面DSP3の表示形態には遷移せず、表示画面DSP1と表示画面DSP2のみの遷移となる。
【0076】
なお、本実施の形態のカメラCMでは、所定の設定方法でワイヤレスリモート制御によるフラッシュ撮影を設定した場合、表示画面DSP1,表示画面DSP2,表示画面DSP3のいずれの状態でもワイヤレスリモート制御によるフラッシュ撮影が可能である。
【0077】
また、本実施形態のカメラCMでは、RCモードをONさせると、背面LCDパネル6の表示は表示画面DSP3の表示に切り替わり、ここでワイヤレスフラッシュシステムの各種設定を行い、または設定を確認するしくみになっている。
【0078】
図7は、本実施の形態のワイヤレスフラッシュシステムにおいて、コマンダーフラッシュ装置とスレーブフラッシュ装置との間における光通信に用いられる信号フラッシュ光のシーケンスの一例を示す概念図である。
【0079】
本実施の形態では、コマンダーフラッシュ装置として機能するカメラCMは1回の撮像について、信号フラッシュ光3aを、たとえば10回発光する。
一連の通信発光(シーケンス)の、1回目の発光をパルス発光SFL1、2回目をパルス発光SFL2、・・10回目をパルス発光SFL10とする。
【0080】
またパルス発光SFL1とパルス発光SFL2の発光間隔時間をデータ変調時間DT1、以後順次、データ変調時間DT2、データ変調時間DT3、準備時間TM1、準備時間TM2、データ変調時間DT4、データ変調時間DT5、データ変調時間DT6、準備時間TM3、準備時間TM4とする。
【0081】
個々のスレーブフラッシュ装置FLはパルス発光SFL5(プリ発光トリガパルス発光)に同期してプリ発光を行い、またパルス発光SFL10(メイン発光トリガパルス発光)に同期してメイン発光を行う。
【0082】
データ変調時間DT1、データ変調時間DT2、データ変調時間DT3はチャンネル、各グループ毎の発光モードのデータを上記発光間隔時間に変調して送信するために用いられる。データ変調時間DT1、データ変調時間DT2、データ変調時間DT3はそれぞれ3ビットデータに対応しており、それぞれのデータは5msのパルス間隔のオフセットに、1ビットあたり0.5msを加えたパルス間隔時間で表現される。
【0083】
以下に、DT1、DT2、DT3、TM1、TM2等の諸元の一例を示す。
データ内容:チャンネル、発光モードのデータ
ビット数:各3bit(0〜7)のデータ
データ対応パルス間隔: 5+0.5×DATA(ms)
5(ms)≦DT1,DT2,DT3≦8.5(ms)
TM1、TM2:5〜9ms
一方、データ変調時間DT4、データ変調時間DT5、データ変調時間DT6はグループA,B,Cの各々のスレーブフラッシュ装置FLの外部フラッシュ光15bの発光量に対応するデータである。それらは上記発光間隔のデータ変調時間DT4〜DT6の各々に対応したデジタルデータで送信する。
【0084】
データ変調時間DT4、データ変調時間DT5、データ変調時間DT6はそれぞれ5ビットのデータに対応しており、それぞれのデータは5msのパルス間隔のオフセットに、1ビットあたり0.25msを加えたパルス間隔時間で表現される。
【0085】
上述のDT4、DT5、DT6、TM3、TM4の諸元の一例を示す。
データ内容:
相対発光量データ(AUTO以外)
絞り・ISO・補正値合成データ(AUTOのみ)
ビット数: 各5bit(0〜31)のデータ
データ対応パルス間隔: 5+0.25×DATA(ms)
5(ms)≦DT4,DT5,DT6≦12.75(ms)
TM3、TM4:5〜9(ms)
いずれのデータも5msという、所定のオフセット時間をもって、さらにそこにデータに対応する時間を加算して生成されている。このため、本実施の形態では、データ変調時間DT1,データ変調時間DT2、データ変調時間DT3は最短で5ms(データが0の場合)、最長で8.5ms(データが7の場合)である。またデータ変調時間DT4,データ変調時間DT5,データ変調時間DT6は最短で5ms(データが0の場合)、最長で12.75ms(データが31の場合)である。
【0086】
さらに、プリ発光トリガであるパルス発光SFL5の、隣接発光との時間は5〜9msの範囲と規定されている。したがってパルス発光SFL1からパルス発光SFL6までのパルス間隔は5〜9msの範囲になるはずであり、1つでもパルスを認識できないとパルス間隔が10msをこえてしまうため、その時点でいずれかのフラッシュパルスが認識できなかったと判定でき、通信エラーとしてスレーブフラッシュ装置FLは以後の外部フラッシュ光15bの発光動作をキャンセル(抑止)して通信待ちの状態に戻る。
【0087】
図8は、本実施の形態のワイヤレスフラッシュシステムで、コマンダーフラッシュ装置の役割を果たすカメラにおいて、スレーブフラッシュ装置を光通信で制御するRCモードの設定手順の一例を示すフローチャートである。
【0088】
まず、撮影待機状態(ステップS801)で、メニューボタン4−7が操作されたと判断すると(ステップS802)、MENUによる設定動作に移行する(ステップS803)。
【0089】
次に、十字ボタン4−3の十字キーとOKボタン等により、メニュー項目の選択、設定の変更がユーザにより操作されるが、メニュー終了時にその設定でRCモードがONに設定されたかどうかを判断し(ステップS804)、RCモードがONされていなければMENUを開く前の画面に戻り(ステップS806)、ONに設定された場合は表示画面DSP3の状態になる(ステップS805)。つまり、RCモードが設定されると、RCモードでしか表示できない専用の表示画面DSP3に移行する。
【0090】
図9A、図9B、図9C、図9Dは、本実施の形態のコマンダーフラッシュ装置の役割を果たすカメラの、RCモードでの制御動作の一例を示すフローチャートである。
撮影者がレリーズボタン4−1を押して1stレリーズをONされたことをカメラCMのボディ駆動制御回路104が検知すると(ステップS901)、カメラボディ1はAF(自動焦点),AE(自動露出)動作を実行する(ステップS902)。
【0091】
次に、レリーズボタン4−1の2ndレリーズがONされたか否かをモニタし(ステップS903)、2ndレリーズがONされたことを確認すると、撮影前に設定されている、リモートフラッシュ(スレーブフラッシュ装置FL−A、FL−B、FL−C)のチャンネル、発光モードからデータ変調時間DT1、データ変調時間DT2,データ変調時間DT3の各送信データと、これに対応する時間を確定する(ステップS904)。
【0092】
次に、カメラCMは、コマンダーフラッシュ装置FL−CMDとしての内蔵フラッシュ3を用いて通信発光(信号フラッシュ光3aの出力)を開始する。
まず、最初のパルス発光SFL1の発光を行い(ステップS905)、発光したのち、データ変調時間DT1に対応した時間を経過したかをモニタする(ステップS906)。その時間の経過を確認すると、次の通信発光であるパルス発光SFL2を行う(ステップS907)。引き続き、パルス発光SFL2を発光してからの時間をカウントし、データ変調時間DT2に相当する時間が経過したかをモニタする(ステップS908)。ここでその時間の経過を確認すると、次の通信発光であるパルス発光SFL3を行う(ステップS909)。その後、データ変調時間DT3に対応した時間が経過したか否かをモニタし(ステップS910)、時間の経過を確認すると次の通信発光であるパルス発光SFL4を行う(ステップS911)。以上で、データ変調時間DT1、データ変調時間DT2、データ変調時間DT3の送信を完了する。
【0093】
次に、プリ発光指示のためのトリガ発光を実行する。個々のスレーブフラッシュ装置FLが受信データを判断してプリ発光準備をするための準備時間TM1に相当する時間の経過を確認し(ステップS912)、その時間の経過を確認すると、プリ発光のためのトリガであるパルス発光SFL5を行う(ステップS913)。
【0094】
これを実施後、スレーブフラッシュ装置FLが外部フラッシュ光15bのプリ発光を行うので、カメラCMはそのプリ発光により照射された被写体OBJ(被写界)を測光し(ステップS914)、その結果をもとに、外部フラッシュ光15bのメイン発光で個々のスレーブフラッシュ装置FLが発光すべき発光量、またはそれに対応する数値を確定する。その確定値にしたがって、スレーブフラッシュ装置FLに送信すべきデータ(データ変調時間DT4,データ変調時間DT5,データ変調時間DT6)を決定する(ステップS915)。
【0095】
カメラCMは、パルス発光SFL5の発光後、個々のスレーブフラッシュ装置FLが次のデータを受信できるように準備するための準備時間TM2の経過をカウントし(ステップS916)、準備時間TM2が経過したら次の通信発光であるパルス発光SFL6を行う(ステップS917)。この発光より、個々のスレーブフラッシュ装置FLが発光制御を行うためのデータの送信を開始する。
【0096】
カメラCMは、パルス発光SFL6の発光後、データ変調時間DT4に対応する時間が経過したか否かをモニタし(ステップS918)、データ変調時間DT4の経過を確認すると、次のパルス発光SFL7を発光する(ステップS919)。ここからさらにデータ変調時間DT5に対応する時間が経過したか否かをモニタし(ステップS920)、データ変調時間DT5の時間の経過を確認すると次のパルス発光SFL8を発光する(ステップS921)。
【0097】
その後さらに、データ変調時間DT6に対応する時間が経過したかをモニタし(ステップS922)、そのデータ変調時間DT6が経過するとデータ送信終了を示すパルス発光SFL9を発光する(ステップS923)。
【0098】
以上でカメラCMは個々のスレーブフラッシュ装置FLへのデータ送信を終了したので、撮影動作に入る。まず、クイックリターンミラーのミラーアップを開始し(ステップS924)、ミラーアップが完了するとフォーカルプレーンシャッターの先幕を走行開始させる(ステップS925)。そして、先幕走行が完了したか否かを判断し(ステップS926)、完了したと判断すると、メイン発光のためのトリガ発光となるパルス発光SFL10を発光する(ステップS927)。これに同期して、個々のスレーブフラッシュ装置FLはメイン発光を実施する。
【0099】
カメラCMは、フォーカルプレーンシャッターの後幕の走行完了を確認し(ステップS928)、確認すると撮影が終了したと判断する。そして撮像回路108から画像データを読み出し(ステップS929)、画像処理回路106で画像データ処理を実行する(ステップS930)。これを記録媒体107に書き込み(ステップS931)、一連の撮影動作は終了する(ステップS932)。
【0100】
次に、図10A、図10B、図10C、図10D、図10Eを参照して、本実施の形態のワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作を説明する。
図10A、図10B、図10C、図10D、図10Eは、本実施の形態のワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0101】
個々のスレーブフラッシュ装置FL(スレーブフラッシュ本体11)は、モードスイッチ20によってRCモード(リモート制御受付モード)に設定されると(ステップS1001)、スレーブセンサー13をONさせて(ステップS1002)、スレーブセンサー13からの信号の待ち状態になる(ステップS1003)。ここでスレーブセンサー13から信号を検出した場合、言い換えれば信号フラッシュ光3aのフラッシュパルスを検出した場合は、スレーブフラッシュ装置FLはパルス発光SFL1を検出したと認識し、タイマカウンタをリセットし、スタートさせる(ステップS1004)。
【0102】
その後、次のフラッシュパルス(このタイミングではパルス発光SFL2)の検出待ち状態で待機し(ステップS1005)、パルス発光SFL2を検出するとそのタイミングでのタイマカウンタの値を読み出す(ステップS1006)。引き続いてタイマカウンタをリセットし再スタートさせる(ステップS1007)。その後、検出したパルス発光SFL1とパルス発光SFL2とのパルス間隔の時間より、データ変調時間DT1が示すデータ値を、時間とデータ値との対応テーブルまたは対応式で復調(算出)する(ステップS1008)。
【0103】
上述のステップS1005でフラッシュパルスが検出できない際に、規定の時間範囲の最大値をオーバーしていないかについてチェックし(ステップS1005a)、もしも最大値をオーバーした場合は、通信エラーが発生したと判断してその時点までに受信した内容をリセットし、ステップS1002にもどって再度パルスモニタを再開する。
【0104】
以後の処理についても、図10Aから図10Eのフローチャートに記載したようにパルス間隔の最大値のタイムオーバーが発生した場合は(ステップS1009a、ステップS1013a、ステップS1017a、ステップS1020a、ステップS1022a、ステップS1026a、ステップS1030a、ステップS1035a)、通信エラーが発生したと判断して、そこまでで受信した内容をリセットし、S1002にもどって再度パルスモニタを再開する。
【0105】
データ変調時間DT1の算出が終了すると、スレーブフラッシュ装置FLは再びフラッシュパルスの待ち状態になる(ステップS1009)。そこでフラッシュパルス(ここではパルス発光SFL3)を検出すると、タイマカウンタを読み出し(ステップS1010)、引き続きタイマカウンタをリセットしてスタートする(ステップS1011)。その後、検出したパルス発光SFL2とパルス発光SFL3とのパルス間隔の時間より、データ変調時間DT2のデータ値を、時間とデータ値の対応テーブルまたは対応式で算出する(ステップS1012)。
【0106】
データ変調時間DT2の算出が終了すると、スレーブフラッシュ装置FLは再びフラッシュパルスの待ち状態になる(ステップS1013)。そこでフラッシュパルス(ここではパルス発光SFL4)を検出すると、タイマカウンタを読み出し(ステップS1014)、タイマカウンタをリセット・スタートさせる(ステップS1015)。その後、読み出したパルス発光SFL3とパルス発光SFL4とのパルス間隔の時間により、データ変調時間DT3の値を、時間とデータの対応テーブルまたは対応式で算出する(ステップS1016)。以上で、個々のスレーブフラッシュ装置FLはコマンダーフラッシュ装置FL−CMDが送信したデータのチャンネルと、各グループ毎の発光モードの受信を完了する。
【0107】
スレーブフラッシュ装置FLはこの後、次のフラッシュパルスの待ち状態になる(ステップS1017)。ここでフラッシュパルス(ここではパルス発光SFL5)が検出されると、スレーブフラッシュ装置FLはコマンダーフラッシュ装置FL−CMDからのプリ発光のトリガ信号と認識するので、直ちにタイマカウンタをリセット・スタートして(ステップS1018)、外部フラッシュ光15bのプリ発光を行う(ステップS1019)。
【0108】
ここでのプリ発光の光量は、ある値にあらかじめ固定されており、スレーブフラッシュ装置FLはその固定されている発光量でプリ発光する。
スレーブフラッシュ装置FLは、その後、フラッシュパルスの待ち状態になる(ステップS1020)。ここでフラッシュパルス(ここではパルス発光SFL6)が検出されると、タイマカウンタをリセットして再スタートする(ステップS1021)。パルス発光SFL6はデータ変調時間DT4以降のデータ送信を開始するフラッシュパルスとなる。
【0109】
次にフラッシュパルス(ここではパルス発光SFL7)を検知すると(ステップS1022)、タイマカウンタの読み出しを行い(ステップS1023)、タイマカウンタをリセット・スタートさせる(ステップS1024)。次に読み出したタイマカウンタの値から、データ変調時間DT4のデータ値を算出する(ステップS1025)。算出後、再びフラッシュパルスの待ち状態になる(ステップS1026)。
【0110】
次にフラッシュパルス(ここではSLF8)が検出されると、タイマカウンタの読み出しを行い(ステップS1027)、タイマカウンタをリセット・スタートさせる(ステップS1028)。次に、読み出したタイマカウンタの値から、データ変調時間DT5のデータ値を算出する(ステップS1029)。その後、フラッシュパルスの待機状態になる(ステップS1030)。
【0111】
次にフラッシュパルス(ここではパルス発光SFL9)が検出されると、タイマカウンタの読み出しを行い(ステップS1031)、タイマカウンタをリセット・スタートさせる(ステップS1032)。そして読み出したタイマカウンタの値から、データ変調時間DT6のデータ値を算出する(ステップS1033)。
【0112】
以上で個々のスレーブフラッシュ装置FLは全ての制御データを受信したので、それらの制御データと、そのスレーブフラッシュ装置FL自身が割り当てられているチャンネル、グループに対応したデータを採用して発光量、またはそれに対応する制御データを確定し、発光制御用のレジスタに格納する(ステップS1034)。
【0113】
こうして、個々のスレーブフラッシュ装置FLは発光量を決定した後、ふたたびフラッシュパルスの待機状態になる(ステップS1035)。この状態は、メイン発光のトリガ待ち状態であり、パルス発光SFL10を検知すると個々のスレーブフラッシュ装置FLは外部フラッシュ光15bによるメイン発光を実施し(ステップS1036)、個々のスレーブフラッシュ装置FLのRCモードにおけるリモート制御撮影は終了する(ステップS1037)。
【0114】
次に、コマンダーフラッシュ装置FL−CMDとして動作するカメラCMにおける信号フラッシュ光3a(パルス発光SFL1からパルス発光SFL10)の発光量制御について説明する。
【0115】
本実施の形態のカメラCMの内蔵フラッシュ3を制御するフラッシュ制御回路102には、上述の図4Bに例示されているように、フラッシュ発光制御回路が内蔵され、フラッシュの発光電流を途中で停止可能な、たとえばIGBT素子213などのスイッチング素子を備えている。このため信号フラッシュ光3aの個々のパルス発光の発光時間(時間幅Δt等)を随意にボディ駆動制御回路104から発光制御信号SW1にて制御でき、それにより、信号フラッシュ光3aの一連のシーケンスの個々のパルス発光の発光量が制御可能になっている。この制御により、信号フラッシュ光3aの一つのシーケンスを構成するフラッシュ(パルス発光)のピーク光量およびフラッシュの光量の時間積分値をボディ駆動制御回路104が発光制御信号SW1を操作して決定する(変える)ことができる。
【0116】
図11Aは、一般的なカメラがワイヤレス通信時にコマンダーフラッシュ装置として 出力する一連のパルス発光のシーケンスを示す概念図であり、図11B、図11C、図11Dは、スレーブフラッシュ装置側での様々な受信状態およびそれに対応したプリ発光およびメイン発光の動作例を示した概念図である。
【0117】
図11Aはコマンダーフラッシュ装置側の信号フラッシュ光の1シーケンス中における発光強度の分布を示している。この図11Aの例では一定の発光時間でコマンダーフラッシュ装置を発光させている。通常、フラッシュ発光用の電力を蓄えるメインコンデンサは、発光するたびに電流を放出し、次第に電圧が低下することにより信号フラッシュ光の発光量も少しずつ低下していく。
【0118】
このようなコマンダーフラッシュ装置を使用した場合、図11Bに示すように、光通信の1シーケンス内の全てのパルス発光(パルス発光SFL1からパルス発光SFL10)が、検出判定レベルIthよりも大きくなる十分な光量がある場合は問題ない。この場合は1シーケンス内の全部のパルス発光の信号が受信できるので、スレーブフラッシュ装置も正しくプリ発光およびメイン発光を実行することができる。
【0119】
同様に、図11Dのように、1シーケンス内の全ての発光パルスが検出判定レベルIth以下の場合も、プリ発光もメイン発光も実行されないので、ユーザはワイヤレスフラッシュシステムの異常に気づくので問題ない。
【0120】
しかし、丁度、コマンダーフラッシュ装置からの受光信号の強度が検出できる限界付近の条件(コマンダーフラッシュ装置とスレーブフラッシュ装置の距離が離れている場合など)は、図11Cのように、1シーケンス内の一部の発光パルスが検出判定レベルIthに達しない場合が生じる。この場合、結果的には、所定のパルス数が来ないため、スレーブフラッシュ装置はメイン発光しないが、スレーブフラッシュ装置のプリ発光のトリガとなるパルス発光SFL5までは正常に受信できているので、プリ発光は実行される。この際、ユーザが、スレーブフラッシュ装置の発光を認知するので正しく撮影できたと誤認する可能性が高くなる。
【0121】
そこで、本実施の形態のカメラCM(コマンダーフラッシュ装置FL−CMD)では、以下のようにして上述のようなユーザの誤認を防止する。
すなわち、図12A、図12B、図12Cを用いて、本実施の形態のカメラの発光制御(コマンダーフラッシュ装置の制御)の一例について説明する。
【0122】
図12Aは本実施の形態のカメラCMがワイヤレスフラッシュシステムにおけるコマンダーフラッシュ装置として機能する場合の発光制御を示す概念図であり、図12Bおよび図12Cは、スレーブフラッシュ装置における光通信の様々な受信状態を示す概念図である。
【0123】
なお、図12A以下の説明において、光通信の1シーケンスを構成する10個のパルス発光SFL1、パルス発光SFL2、パルス発光SFL3、パルス発光SFL4、パルス発光SFL5、パルス発光SFL6、パルス発光SFL7、パルス発光SFL8、パルス発光SFL9、パルス発光SFL10の各々の発光量を、発光信号強度It1、発光信号強度It2、発光信号強度It3、発光信号強度It4、発光信号強度It5、発光信号強度It6、発光信号強度It7、発光信号強度It8、発光信号強度It9、発光信号強度It10で示している。
【0124】
また、光通信の1シーケンスを構成する10個のパルス発光SFL1からパルス発光SFL10の各々のスレーブフラッシュ装置FLにおける受信レベルを受光信号強度Ir1、受光信号強度Ir2、受光信号強度Ir3、受光信号強度Ir4、受光信号強度Ir5、受光信号強度Ir6、受光信号強度Ir7、受光信号強度Ir8、受光信号強度Ir9、受光信号強度Ir10で示している。
【0125】
本実施の形態のカメラCM(コマンダーフラッシュ装置FL−CMD)では、プリ発光のトリガであるパルス発光SFL5の発光信号強度It5を、一連の光通信の1シーケンス内での10個のパルス発光(パルス発光SFL1からパルス発光SFL10)の中で最小になるようにボディ駆動制御回路104が発光制御信号SW1を制御する。この場合、制御のばらつきや、メインコンデンサ211の電圧低下による発光量の変動も含めてパルス発光SFL5が最小の発光量になるように設定している。
【0126】
図12Cの受信状況では、信号フラッシュ光3aの1シーケンス内でのいずれのパルス発光もスレーブフラッシュ装置FLの検出判定レベルIthを上回っており、すべて問題なく受信でき、個々のスレーブフラッシュ装置FLにおけるプリ発光およびメイン発光も正常に実施される。
【0127】
なお、1シーケンス内のパルス発光SFL1からパルス発光SFL10は、コマンダーフラッシュ装置FL−CMDから出射されて個々のスレーブフラッシュ装置FLに到達する間に通信環境等の影響をほぼ等しく受けて減衰するので、送信側における発光信号強度It1から発光信号強度It10と、受信側における受光信号強度Ir1から受光信号強度Ir10の各々の大小関係は、そのまま維持される。
【0128】
一方、図12Bは、受信限界付近での信号フラッシュ光3aの1シーケンス内における受信信号強度の分布を示している。この場合、たとえばパルス発光SFL5,パルス発光SFL8,パルス発光SFL9,パルス発光SFL10が検出判定レベルIthを下回るため受信できない。
【0129】
このとき、本実施の形態では、上述のように、コマンダーフラッシュ装置FL−CMDから出力されるパルス発光SFL5の発光信号強度It5は他の信号強度よりも必ず低く設定されているので、スレーブフラッシュ装置FLにおける受光信号強度Ir5は、検出判定レベルIthよりも確実に小さくなり、パルス発光SFL5の検出で確実にタイムアウトを起こしてエラー判定となり、パルス発光SFL5に対応したスレーブフラッシュ装置FLのプリ発光およびそれ以後のメイン発光はいずれも確実に実施されない。
【0130】
このためユーザは、スレーブフラッシュ装置FLがまったく発光しないことにより、ワイヤレスフラッシュシステムにおけるワイヤレス通信のフラッシュパルスが個々のスレーブフラッシュ装置FLに十分に届いていないことを確実に認識することができる。この場合には、たとえば、個々のスレーブフラッシュ装置FLの配置を変更する等の適切な対策を講じた後に、撮影を行うことができる。
【0131】
この結果、ユーザがスレーブフラッシュ装置FLのプリ発光をメイン発光と誤認するような通信状況での失敗撮影を確実に防止できる。
なお、上述の本実施の形態において、信号フラッシュ光3aによる光通信の1シーケンス内で最小発光量となるフラッシュパルスとして、プリ発光トリガに対応するパルス発光SFL5を割り当てているが、これに限らず、パルス発光SFL5に先行するパルス発光SFL2、パルス発光SFL3、パルス発光SFL4の発光信号強度It2、発光信号強度It3、発光信号強度It4の何れかを最小の発光量に設定してもよい。
【0132】
スレーブフラッシュ装置FLにおいて、これらのパルス発光SFL2、パルス発光SFL3、パルス発光SFL4の受光信号強度Ir2、受光信号強度Ir3、受光信号強度Ir4の何れかで同様に受信エラーが検出されれば、上述のように、パルス発光SFL5に対応したプリ発光を実施する前に通信処理をキャンセルするので、通信エラーが発生した場合、スレーブフラッシュ装置FLはまったく発光せず、ユーザは通信エラーであることを確実に認識できる。
【0133】
(実施の形態2)
図13Aは、本発明の他の実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムの光通信におけるコマンダーフラッシュ装置の発光強度の制御例を示す概念図であり、図13Bおよび図13Cはスレーブフラッシュ装置における光通信の様々な受信状態を示す概念図である。
【0134】
本実施の形態2では、光通信の1シーケンス内における先頭側でパルス発光SFLnの発光強度の制御を行う点が異なっている。
なお、ワイヤレスフラッシュシステムにおけるコマンダーフラッシュ装置FL−CMDとして機能するカメラCM、およびスレーブフラッシュ装置FLの構成や、光通信の形態などは上述の実施の形態1と同様である。
【0135】
この実施の形態2では、コマンダーフラッシュ装置FL−CMDとして機能するカメラCMは、図13Aに示すように、その通信用パルス発光の強度を、初回発光のパルス発光SFL1(第2データ送信用パルス発光)の発光信号強度It1が一連の通信パルス発光中の最大(発光信号強度ItMAX)となり、後続のパルス発光SFL2(第1データ送信用パルス発光)の発光信号強度It2が最小(発光信号強度ItMIN)となるように制御する。
【0136】
図13Cに例示されるスレーブフラッシュ装置FLの受信状態では、パルス発光SFL1からパルス発光SFL10の受光信号強度Ir1から受光信号強度Ir10のいずれもスレーブフラッシュ装置FLの検出判定レベルIthを上回っており、すべて問題なく受信でき、個々のスレーブフラッシュ装置FLのプリ発光およびメイン発光も実施される。
【0137】
一方、図13Bに例示されるスレーブフラッシュ装置FLの受信状態は、受信信号強度が受信限界付近まで低下した状況を示している。
この場合、たとえばパルス発光SFL2,パルス発光SFL8,パルス発光SFL9,パルス発光SFL10が検出判定レベルIthを下回って受信できない。
【0138】
本実施の形態2の場合、上述のように、送信側でパルス発光SFL2の発光信号強度It2は他の信号強度よりも必ず低くなるように設定されているので、パルス発光SFL2以外の他のパルス発光の受光信号強度が検出判定レベルIthを下回る状況では、このパルス発光SFL2の検出で必ずタイムアウトを起こしてエラー判定となり、プリ発光やメイン発光は実施されない。
【0139】
このためユーザは、スレーブフラッシュ装置FLがまったく発光しないことにより、ワイヤレス通信のフラッシュパルスが十分に届いていないことを確実に認識することができる。
【0140】
また、1シーケンス内の先頭のパルス発光SFL1の発光信号強度It1(受光信号強度Ir1)は一連の通信発光中最大光量であるので、最初のパルス発光SFL1と後続のパルス発光SFL2の2パルスで、通信中エラーが発生する場合、すなわち一部のパルス発光は受信でき一部は受信できない受信状態の場合には、必ず最初の2パルスにより検出できるので、光通信のエラー判定をデータ変調時間DT1だけで判定可能であり、それ以降の通信時間でエラー判定が難しいような、パルス間隔の許容範囲を広くした場合などでも応用が可能である。
【0141】
なお、この実施の形態2では、コマンダーフラッシュ装置FL−CMDの最初のパルス発光SFL1の発光信号強度It1を最大、パルス発光SFL2の発光信号強度It2を最小にして通信エラー判定をできるようにしたが、たとえば、パルス発光SFL2とパルス発光SFL3など、プリ発光トリガ(パルス発光SFL5)やメイン発光トリガ(パルス発光SFL10)より前のパルス発光の組み合わせで通信エラーの判定をしてもよい。
【0142】
(実施の形態3)
図14は、本発明のさらに他実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作の一例を示すフローチャートであり、図15は、本実施の形態のワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作の一例を示す概念図である。
【0143】
この実施の形態3では、スレーブフラッシュ装置FLにおける通信エラーの検出後の処理が上述の各実施の形態の場合と異なっている。
ワイヤレスフラッシュシステムにおけるコマンダーフラッシュ装置FL−CMD(カメラCM)およびスレーブフラッシュ装置FLの構成や、光通信の形態などは上述の実施の形態1と同様である。
【0144】
なお、この実施の形態3では、コマンダーフラッシュ装置FL−CMD側の通信処理は上述の図12Aや図13Aに例示した発光強度のいずれの制御方法を用いてもよいが、簡単のため、光通信の送信側および受信側の状態は、上述の図11Aから図11Cに例示したとおりとする。
【0145】
本実施の形態3におけるスレーブフラッシュ装置FLの側の通信時の処理は、上述の図10Aから図10Eに例示したフローチャートとほぼ同様であるが、ステップS1005a、ステップS1009a、ステップS1013a、ステップS1017a、ステップS1020a、ステップS1022a、ステップS1026a、ステップS1030a、ステップS1035aの各々の判定においてタイムアウトでエラーとなった場合に、ステップS1002にもどる前に図14のフローチャートに例示される処理を行うサブルーチンを実行する。
【0146】
すなわち、パルス発光SFL2からパルス発光SFL10のいずれかの検出でタイムアウトした際に(ステップS1401)、プリ発光のトリガであるパルス発光SFL5が発光された後か否かを確認し(ステップS1402)、パルス発光SFL5の発光前(すなわちプリ発光が不実行)の場合はそのままリターンする。一方、パルス発光SFL5の発光後(すなわちプリ発光が実行済み)の場合は、警告のフラッシュ発光を実行し(ステップS1403)、その後サブルーチンを抜けてリターンする。
【0147】
図15は、上述のステップS1403における警告フラッシュ発光の発光パターンを示す。この場合、スレーブフラッシュ装置FLは、発光窓15から出射される外部フラッシュ光15bにて、最小限の発光光量(発光信号強度It0)にて、タイムアウト発生の、たとえば1秒後から、2Hz(1秒間に2回の割合)で8回だけ、警告フラッシュWFL1〜WFL8を発光させる。
【0148】
本実施の形態3によれば、スレーブフラッシュ装置FLが光通信の1シーケンス内のすべてのパルス発光SFL1からパルス発光SFL10を正常に受信できなかったが、外部フラッシュ光15bによるプリ発光が実行されてしまった場合に、引き続いて外部フラッシュ光15bによる警告フラッシュWFL1〜WFL8を発光させるので、ユーザがプリ発光のみに惑わされて正常に撮影されたと誤認することが確実に防止され、スレーブフラッシュ装置FLが光通信を受信しやすくなるように配置をかえるなど、ワイヤレスフラッシュシステムの環境設定を改善して再撮影をすることができる。
【0149】
なお、本実施の形態3において、スレーブフラッシュ装置FLの撮影後の警告フラッシュWFL1〜WFL8の周期発光により通信エラーの告知を行ったが、この通信エラーの告知には他の表示部材を用いてもよい。
【0150】
たとえば、スレーブフラッシュ装置FLに、充電完了の表示ランプ、調光がフラッシュの発光可能範囲でできたか否かの表示ランプ、AF補助光ランプ等の表示部材がある場合は、これを点灯、点滅等で表示することで通信エラーの告知を行ってもよい。また、音や、その他ユーザが認知しやすい他の方法でもよい。
【0151】
また、本実施の形態では、光通信の1シーケンス内の各パルス発光の強度(発光信号強度Itn)はメインコンデンサ211の電荷減少に任せた自然な漸減変化としているが、1シーケンス内においてメインコンデンサ211の電荷減少等による各パルス発光(発光信号強度Itn)の発光強度の減少を補償するように、パルス発光SFL1からパルス発光SFL10の各々の発光強度を変化させ、各パルス発光(発光信号強度Itn)がほぼ一定の発光量になるように制御した場合についても、パルス発光のばらつきで発光量がある程度上下するので、やはりプリ発光のトリガであるパルス発光SFL5が有効でプリ発光のみが実行される通信エラーが発生する場合が考えられるので、本実施の形態のようにスレーブフラッシュ装置FLが警告を発する対策は有効である。
【0152】
さらに、上述の実施の形態1および実施の形態2の場合であっても、プリ発光のトリガであるパルス発光SFL5からメイン発光のトリガであるパルス発光SFL10の途中で、万一、スレーブフラッシュ装置FLの向きがかわるなどした場合、プリ発光の後に通信エラーを生じる稀なケースもないとは言えず、そのような場合にも有効である。
【0153】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
たとえば、上述の各実施の形態において、コマンダーフラッシュ装置は、カメラの内蔵フラッシュ以外の、外部接続フラッシュなど、カメラと別体のものであってもよい。
【0154】
また、カメラからスレーブフラッシュ装置に送信する光通信の1シーケンスの通信フォーマットは、上述の図7に例示したもの限らず、別の通信フォーマットでもよい。
(付記1)
コマンダーフラッシュ装置からスレーブフラッシュ装置に、フラッシュの発光パターンによりデータを送信し、その受信データに基づいて作動するワイヤレスフラッシュシステムにおいて、
上記コマンダーフラッシュ装置は、データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、上記プリ発光トリガパルス発光の発光強度が、その他のいずれのパルス発光の発光強度よりも低くなるように制御する制御手段を備え、
上記スレーブフラッシュ装置は、上記プリ発光トリガパルス発光、及び上記メイン発光トリガパルス発光を受信してそれぞれプリ発光及びメイン発光を行うとともに、上記プリ発光トリガパルス発光を、その直前に検出したパルス発光から所定の時間範囲内に検出できなかった場合に、通信が異常と判定してプリ発光及びメイン発光を禁止する禁止手段を備えたことを特徴とするワイヤレスフラッシュシステム。
(付記2)
コマンダーフラッシュ装置からスレーブフラッシュ装置に、フラッシュの発光パターンによりデータを送信し、その受信データに基づいて作動するワイヤレスフラッシュシステムにおいて、
上記コマンダーフラッシュ装置は、データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、上記プリ発光トリガパルス発光よりも前に発せられる上記データ送信用パルス発光のうちの所定のパルス発光の発光強度が、その他のいずれのパルス発光の発光強度よりも低くなるように制御する制御手段を備え、
上記スレーブフラッシュ装置は、上記プリ発光トリガパルス発光、及び上記メイン発光トリガパルス発光を受信してそれぞれプリ発光及びメイン発光を行うとともに、上記制御手段により発光されるパルス発光の強度が最も低い上記パルス発光を、その直前に検出したパルス発光から所定の時間範囲内に検出できなかった場合に通信エラーと判定し、プリ発光およびメイン発光を禁止する禁止手段を備えたことを特徴とするワイヤレスフラッシュシステム。
(付記3)
コマンダーフラッシュ装置からスレーブフラッシュ装置に、フラッシュの発光パターンによりデータを送信し、その受信データに基づいて作動するワイヤレスフラッシュシステムにおいて、
上記コマンダーフラッシュ装置は、データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光またはメイン発光のタイミングを指示する発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、発光トリガパルス発光に対応せずかついずれの発光トリガパルス発光よりも前の通信の第1パルス発光を一連のパルス発光のうちの最大光量で発光させ、発光トリガパルス発光に対応せずかついずれの発光トリガパルス発光よりも前の通信の第2パルス発光を一連のパルス発光のうちの最小光量で発光させるように制御する制御手段を備え、
上記スレーブフラッシュ装置は、プリ発光またはメイン発光のタイミングを指示する発光トリガパルス発光を受信してプリ発光またはメイン発光を行うとともに、上記第1のパルス発光と第2のパルス発光の間隔が所定時間内であるか否かを判別することにより正常に通信がなされたか判断し、正常ではないと判断した場合はプリ発光およびメイン発光を禁止する禁止手段を備えたことを特徴とするワイヤレスフラッシュシステム。
(付記4)
コマンダーフラッシュ装置からスレーブフラッシュ装置に、フラッシュの発光間隔によりデータを送信し、その受信データに基づいて作動するワイヤレスフラッシュシステムにおいて、
上記コマンダーフラッシュ装置は、データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させる制御手段を備え、
上記スレーブフラッシュ装置は、上記プリ発光トリガパルス発光、及び上記メイン発光トリガパルス発光を受信してそれぞれプリ発光及びメイン発光を行うとともに、通信が正常に行われたか否か判別する制御手段と、
上記プリ発光を実施した後に上記制御手段により通信が異常と判別された場合に警告表示を行う警告手段とを備えたことを特徴とするワイヤレスフラッシュシステム。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1A】本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムを構成するコマンダーフラッシュ装置として機能するカメラの構成の一例を示す斜視図である。
【図1B】その背面側の斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムを構成するスレーブフラッシュ装置の構成の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムの構成例を示す概念図である。
【図4A】本発明の一実施の形態であるカメラの回路構成の一例を示すブロック図である。
【図4B】本発明の一実施の形態であるフラッシュ制御回路におけるフラット発光駆動回路の一例を示す回路図である。
【図4C】その作用の一例を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態であるスレーブフラッシュ装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態であるコマンダーフラッシュ装置として機能するカメラボディの背面に表示される、制御用のパネル表示画面の遷移の一例を示す概念図である。
【図7】本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムにおいて、コマンダーフラッシュ装置とスレーブフラッシュ装置との間における光通信に用いられる通信フォーマットを示す概念図である。
【図8】本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムにおいて、コマンダーフラッシュ装置の役割を果たすカメラにおいて、スレーブフラッシュ装置を光通信で制御するするRCモードの設定手順の一例を示すフローチャートである。
【図9A】本発明の一実施の形態であるコマンダーフラッシュ装置の役割を果たすカメラの、RCモードでの制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図9B】本発明の一実施の形態であるコマンダーフラッシュ装置の役割を果たすカメラの、RCモードでの制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図9C】本発明の一実施の形態であるコマンダーフラッシュ装置の役割を果たすカメラの、RCモードでの制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図9D】本発明の一実施の形態であるコマンダーフラッシュ装置の役割を果たすカメラの、RCモードでの制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図10A】本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10B】本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10C】本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10D】本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10E】本発明の一実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図11A】一般的なカメラがワイヤレス通信時にコマンダーフラッシュ装置して出力する一連のパルス発光のシーケンスを示す概念図である。
【図11B】スレーブフラッシュ装置側での様々な受信状態およびそれに対応したプリ発光およびメイン発光の動作例を示した概念図である。
【図11C】スレーブフラッシュ装置側での様々な受信状態およびそれに対応したプリ発光およびメイン発光の動作例を示した概念図である。
【図11D】スレーブフラッシュ装置側での様々な受信状態およびそれに対応したプリ発光およびメイン発光の動作例を示した概念図である。
【図12A】本発明の一実施の形態であるカメラCMがワイヤレスフラッシュシステムにおけるコマンダーフラッシュ装置として機能する場合の発光制御を示す概念図である。
【図12B】スレーブフラッシュ装置における光通信の様々な受信状態を示す概念図である。
【図12C】スレーブフラッシュ装置における光通信の様々な受信状態を示す概念図である。
【図13A】本発明の他の実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムの光通信におけるコマンダーフラッシュ装置の発光強度の制御例を示す概念図である。
【図13B】本発明の他の実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムの光通信におけるスレーブフラッシュ装置における光通信の様々な受信状態を示す概念図である。
【図13C】本発明の他の実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムの光通信におけるスレーブフラッシュ装置における光通信の様々な受信状態を示す概念図である。
【図14】本発明のさらに他実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】本発明のさらに他実施の形態であるワイヤレスフラッシュシステムにおけるスレーブフラッシュ装置の動作の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0156】
1 カメラボディ
2 レンズユニット
3 内蔵フラッシュ
3a 信号フラッシュ光
4 操作部材
4−1 レリーズボタン
4−2 電子ダイヤル
4−3 十字ボタン
4−4 ISOボタン
4−5 露出補正ボタン
4−6 INFOボタン
4−7 メニューボタン
4−8 パワーボタン
5 ファインダーユニット
5−1 アイピース
6 背面LCDパネル
11 スレーブフラッシュ本体
12 フラッシュスタンド
13 スレーブセンサー
14 調光センサー
15 発光窓
15a 発光部
15b 外部フラッシュ光
16 発光ユニット
17 ロック解除ボタン
18 ホットシュー
19 ホットシュー受け部
20 モードスイッチ
101 レンズ駆動制御回路
102 フラッシュ制御回路
103 発振回路
104 ボディ駆動制御回路
105 TTL調光回路
106 画像処理回路
107 記録媒体
108 撮像回路
151 発光回路
152 フラッシュ制御回路
153 クロック回路
154 データ検出回路
211 メインコンデンサ
212 閃光発光管
213 IGBT素子
214 充電用抵抗
215 トリガコンデンサ
216 トリガトランス
218 ノイズ対策用ダイオード
219 ノイズ対策用抵抗
DSP1〜DSP3 表示画面
FL スレーブフラッシュ装置
FL−CMD コマンダーフラッシュ装置(カメラCM)
SFL1〜SFL10 パルス発光
Ir1〜Ir10 受光信号強度
It0〜It10 発光信号強度
DT1〜DT6 データ変調時間
TM1〜TM4 準備時間
WFL1〜WFL8 警告フラッシュ
Ith 検出判定レベル
OBJ 被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コマンダーフラッシュ装置およびスレーブフラッシュ装置の間で光通信により制御データを授受して連携動作するワイヤレスフラッシュシステムであって、
前記コマンダーフラッシュ装置は、前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御する送信制御手段を含み、
前記スレーブフラッシュ装置は、前記プリ発光トリガパルス発光および前記メイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機に前記プリ発光および前記メイン発光の各々を行うとともに、前記プリ発光トリガパルス発光を、先行する前記データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止する受信制御手段を含むことを特徴とするワイヤレスフラッシュシステム。
【請求項2】
コマンダーフラッシュ装置およびスレーブフラッシュ装置の間で光通信により制御データを授受して連携動作するワイヤレスフラッシュシステムであって、
前記コマンダーフラッシュ装置は、前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光に先行する第1データ送信用パルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御する送信制御手段を含み、
前記スレーブフラッシュ装置は、前記プリ発光トリガパルス発光および前記メイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機に前記プリ発光および前記メイン発光の各々を行うとともに、前記第1データ送信用パルス発光を、先行する第2データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止する受信制御手段を含むことを特徴とするワイヤレスフラッシュシステム。
【請求項3】
請求項2記載のワイヤレスフラッシュシステムにおいて、
前記第2データ送信用パルス発光は前記シーケンスの先頭に位置し、前記第1データ送信用パルス発光は前記シーケンスの二番目に位置し、
前記送信制御手段は、前記第2データ送信用パルス発光の発光強度を前記シーケンスの中で最大にし、前記第1データ送信用パルス発光の発光強度を前記シーケンスの中で最小にすることを特徴とするワイヤレスフラッシュシステム。
【請求項4】
コマンダーフラッシュ装置およびスレーブフラッシュ装置の間で光通信により制御データを授受して連携動作するワイヤレスフラッシュシステムであって、
前記コマンダーフラッシュ装置は、前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させる送信制御手段を含み、
前記スレーブフラッシュ装置は、
前記プリ発光トリガパルス発光および前記メイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機に前記プリ発光および前記メイン発光の各々を行うとともに、前記光通信が正常に行われたか否かを判別する受信制御手段と、
前記プリ発光の実行後に前記光通信の異常が検出された場合に警告表示を行う警告手段と、
を含むことを特徴とするワイヤレスフラッシュシステム。
【請求項5】
請求項4記載のワイヤレスフラッシュシステムにおいて、
前記スレーブフラッシュ装置の前記警告手段は、前記警告表示として、最小の前記発光強度にて複数回の発光を連続して実行することを特徴とするワイヤレスフラッシュシステム。
【請求項6】
スレーブフラッシュ装置との間で光通信により制御データを授受して連携動作するコマンダーフラッシュ装置であって、
前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御する送信制御手段を含むことを特徴とするコマンダーフラッシュ装置。
【請求項7】
スレーブフラッシュ装置との間で光通信により制御データを授受して連携動作するコマンダーフラッシュ装置であって、
前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光に先行する第1データ送信用パルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御する送信制御手段を含むことを特徴とするコマンダーフラッシュ装置。
【請求項8】
請求項7記載のコマンダーフラッシュ装置において、
前記送信制御手段は、前記シーケンスの中で、先頭の第2データ送信用パルス発光の発光強度を最大にし、前記第2データ送信用パルス発光に続く前記第1データ送信用パルス発光の発光強度を最も低くすることを特徴とするコマンダーフラッシュ装置。
【請求項9】
コマンダーフラッシュ装置との間で光通信により制御データを授受して連携動作するスレーブフラッシュ装置であって、
前記コマンダーフラッシュ装置からデータ送信用パルス発光を介して前記制御データを受信し、前記コマンダーフラッシュ装置からのプリ発光トリガパルス発光およびメイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機にプリ発光およびメイン発光の各々を行うとともに、前記プリ発光トリガパルス発光を、先行する前記データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止する受信制御手段を含むことを特徴とするスレーブフラッシュ装置。
【請求項10】
コマンダーフラッシュ装置との間で光通信により制御データを授受して連携動作するスレーブフラッシュ装置であって、
前記コマンダーフラッシュ装置からデータ送信用パルス発光を介して前記制御データを受信し、前記コマンダーフラッシュ装置からのプリ発光トリガパルス発光およびメイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機にプリ発光およびメイン発光の各々を行うとともに、
前記プリ発光トリガパルス発光に先行する第1のデータ送信用パルス発光を、当該第1のデータ送信用パルス発光にさらに先行する第2データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止する受信制御手段を含むことを特徴とするスレーブフラッシュ装置。
【請求項11】
コマンダーフラッシュ装置との間で光通信により制御データを授受して連携動作するスレーブフラッシュ装置であって、
前記コマンダーフラッシュ装置からデータ送信用パルス発光を介して前記制御データを受信し、前記コマンダーフラッシュ装置からのプリ発光トリガパルス発光およびメイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機にプリ発光およびメイン発光の各々を行うとともに、前記光通信が正常か否かを判別する受信制御手段と、
前記プリ発光の実行後に前記光通信の異常が検出された場合に警告表示を行う警告手段と、
を含むことを特徴とするスレーブフラッシュ装置。
【請求項12】
コマンダーフラッシュ装置およびスレーブフラッシュ装置の間で光通信により制御データを授受して連携動作するワイヤレスフラッシュシステムの制御方法であって、
前記コマンダーフラッシュ装置では、前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御し、
前記スレーブフラッシュ装置では、前記プリ発光トリガパルス発光および前記メイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機に前記プリ発光および前記メイン発光の各々を行うとともに、前記プリ発光トリガパルス発光を、先行する前記データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止することを特徴とするワイヤレスフラッシュシステムの制御方法。
【請求項13】
コマンダーフラッシュ装置およびスレーブフラッシュ装置の間で光通信により制御データを授受して連携動作するワイヤレスフラッシュシステムの制御方法であって、
前記コマンダーフラッシュ装置では、前記制御データを送信するデータ送信用パルス発光と、プリ発光のタイミングを指示するプリ発光トリガパルス発光と、メイン発光のタイミングを指示するメイン発光トリガパルス発光とを所定のシーケンスで発光させるとともに、前記プリ発光トリガパルス発光に先行する第1データ送信用パルス発光の発光強度が前記シーケンスの中で最も低くなるように制御し、
前記スレーブフラッシュ装置では、前記プリ発光トリガパルス発光および前記メイン発光トリガパルス発光の各々の受信を契機に前記プリ発光および前記メイン発光の各々を行うとともに、前記第1データ送信用パルス発光を、先行する第2データ送信用パルス発光の検出から所定の時間内に検出できなかった場合に前記プリ発光および前記メイン発光を抑止することを特徴とするワイヤレスフラッシュシステムの制御方法。
【請求項14】
請求項13記載のワイヤレスフラッシュシステムの制御方法において、
前記コマンダーフラッシュ装置では、前記シーケンスの中で、先頭の第2データ送信用パルス発光の発光強度を最大にし、前記第2データ送信用パルス発光に続く前記第1データ送信用パルス発光の発光強度を最も低くすることを特徴とするワイヤレスフラッシュシステムの制御方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図3】
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【図6】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−223018(P2009−223018A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67715(P2008−67715)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】