説明

ワーク把持装置、および、これを用いたアッセンブリの組立て方法

【課題】複数の部品が積層されて構成されるアッセンブリについて、省スペースで効率的に組み立てできるワーク把持装置を提供すること。
【解決手段】把持装置30は、基部31と、この基部31に設けられて所定方向に延出し先端に第1の駒421を有する円筒状のガイド部42と、このガイド部42の同軸上に設けられた円筒状のコレット43と、ガイド部42およびコレット43に挿通されて、先端に第2の駒441を有する棒状のシャフト部44と、ガイド部42とシャフト部44とを相対移動させることにより、駒421、441同士を接近または離隔させるアクチュエータ41と、基部31に設けられて所定方向に進退可能でありかつ先端がワークに係止可能な係止部50と、を備え、第1の駒421および第2の駒441の外径は、コレット43側では、コレット43の内径よりも小さく、コレット43の反対側では、コレット43の内径よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク把持装置、および、これを用いたアッセンブリの組立て方法に関する。詳しくは、穴が形成されたワークを把持するワーク把持装置、および、このワーク把持装置を用いたアッセンブリの組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動二輪車の前輪部分のアッセンブリは、一対のフロントフォーク、ステム、ホイール、ブレーキパネル、アクスルなどの部品で構成される。これらの部品のうち、フロントフォーク、ステム、ホイール、およびブレーキパネルには、貫通孔が形成されている。
この前輪部分のアッセンブリは、人手で組み立てられる。すなわち、一対のフロントフォークを平行に配置してステムで固定するとともに、ホイールにブレーキパネルを取り付ける。このブレーキパネルを取り付けたホイールを、フロントフォークの間に配置し、フロントフォークの貫通孔と同軸上に、ホイールおよびブレーキパネルの貫通孔を配置する。その後、これら貫通孔にアクスルを挿通して締め付ける。これにより、ホイールおよびブレーキパネルは、アスクルを回転軸として、フロントフォークに回転自在に取り付けられる。
【0003】
しかしながら、上述の組立て方法では、ホイールおよびフォークにアクスルを挿通する設備や、ホイールとフォークとを位置決めする設備が必要となる。よって、設備コストが高くなるうえに、広いスペースが必要となる。
【0004】
ところで、近年、製造コスト低減のため、上述の前輪部分のアッセンブリを、ロボットを用いて組み立てることが要請されている。
そこで、フォーク、ホイール、ブレーキパネルなどの部品に貫通孔が形成されている点に着目し、搬送装置により各部品の貫通孔部分を保持する手法が提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、特許文献1に示された搬送装置は、ワークの穴に挿入されるセンタープラグを備え、このセンタープラグには、膨張可能なゴムチューブが外装される。
この搬送装置によれば、ワークの穴にセンタープラグを挿入して、ゴムチューブを膨張させることで、センタープラグをワークの穴に係止させて、ワークを保持できる。
【特許文献1】特開2002−210689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された搬送装置を用いて上述のアッセンブリを組立てようとしても、この搬送装置では、一度に1つの部品しか把持できないため、アッセンブリを構成する部品を効率的に組み立てることは困難である。
【0006】
本発明は、複数の部品が積層されて構成されるアッセンブリについて、省スペースで効率的に組み立てできるワーク把持装置およびこれを用いたアッセンブリの組立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のワーク把持装置(例えば、後述の把持装置30)は、ロボットアーム(例えば、後述のロボットアーム32)に支持される基部(例えば、後述の基部31)と、当該基部に設けられて所定方向に延出し先端に第1の駒(例えば、後述の第1の駒421)を有する円筒状のガイド部(例えば、後述のガイド部42)と、当該ガイド部の同軸上に設けられた円筒状のコレット(例えば、後述のコレット43)と、前記ガイド部および前記コレットに挿通されて、先端に第2の駒(例えば、後述の第2の駒441)を有する棒状のシャフト部(例えば、後述のシャフト部44)と、前記ガイド部と前記シャフト部とを相対移動させることにより、前記駒同士を接近または離隔させる駆動部(例えば、後述のアクチュエータ41)と、前記基部に設けられて前記所定方向に進退可能でありかつ先端がワークに係止可能な係止部(例えば、後述の係止部50)と、を備え、前記第1の駒および第2の駒の外径は、前記コレット側では、前記コレットの内径よりも小さく、前記コレットの反対側では、前記コレットの内径よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、以下の手順で、穴が形成されたワークを把持する。
すなわち、コレットは、第1の駒と第2の駒との間に配置されており、これら第1の駒および第2の駒の外径は、コレット側では、コレットの内径よりも小さくなっている。よって、第1の駒の先端側および第2の駒の基端側は、コレットの内部に入り込んでいる。
まず、この状態で、ワーク把持装置のコレットをワークの挿通孔の内部に挿入する。
【0009】
次に、駆動部を駆動して、シャフト部をガイド部に対して後退させて、第2の駒を第1の駒に接近させる。すると、第1の駒および第2の駒の外周面によりコレットの内壁面が押し拡げられて、コレットが弾性変形し、コレットの外径が拡張される。
したがって、ワークの穴の内壁面をコレットが押圧することになり、ワークの穴の内壁面とコレット外周面との摩擦力により、ワークが把持される。
【0010】
その後、駆動部を駆動して、シャフト部をガイド部に対して前進させて、第2の駒を第1の駒から離間させる。すると、コレットの弾性変形の復元力により、コレットの外径が収縮して元の外径に戻る。よって、ワークの穴の内壁面に対するコレットの押圧力が解除され、ワークを解放できる。
【0011】
したがって、以上のような動作を繰り返すことで、積層配置された複数のワークを同時に把持できるので、アッセンブリを省スペースで効率的に組み立てできる。
また、コレットを用いたことにより、従来のゴムチューブに比べて、強固にワークを把持できる。さらに、ワークの穴の内径が異なっても、確実にワークを把持できる。
【0012】
さらに、コレットを1つとしたので、コレットを複数とした場合に比べて、ワーク把持装置を簡素な構成にして、小型化できる。また、ガイド部を肉厚にして、ガイド部の外径をコレットの原形状態の外径と同程度まで大きくできるので、把持可能なワークの最大重量を向上でき、汎用性が高く、耐久性に優れている。
【0013】
本発明のアッセンブリの組立て方法は、それぞれ貫通孔を有するn(nは2以上の自然数)個の部品(例えば、後述の右フォーク11A、カラー151、ホイール13、ブレーキパネル14、および左フォーク11B)を、前記各貫通孔が同軸上に位置するように積層するとともに、第p(pは1または1近傍の自然数)番目の部品(例えば、後述の右フォーク11A)の位相と第q(qはn以下でpより大きい自然数)番目の部品(例えば、後述の左フォーク11B)の位相を決定するアッセンブリの組立て方法であって、基部と、当該基部に設けられて前記各挿通孔を把持可能な棒状の把持部と、前記基部に設けられて前記部品に係止可能な係止部と、を備えるワーク把持装置を用いて、最上段となる第1番目の部品の挿通孔に前記把持部を挿通して、当該第1番目の部品を把持する第1の手順と、既に把持した第1番目から第(m−1)(mは自然数)番目までの部品を、第m番目の部品の上に積層し、前記把持部の第(m−1)番目の部品の把持を解除して、第m番目の部品の挿通孔に前記把持部を挿通して、当該第m番目の部品を把持する第mの手順と、を備え、前記第mの手順を、mが2からnになるまで繰り返し、前記第pの手順では、前記第p番目の部品の一部に前記係止部を係止させて、当該第p番目の部品の位相を決定しつつ、当該第p番目の部品を把持し、前記第qの手順では、前記第p番目の部品の位相に対する当該第q番目の部品の位相を決定した状態で、当該第q番目の部品を把持することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、以下の手順でアッセンブリを組み立てる。具体的には、フロントフォークアッセンブリを組み立てる手順について説明する。このフロントフォークアッセンブリでは、最上段に位置するフォークと最下段に位置するフォークとの位相を一致させる必要がある。
【0015】
まず、ワーク把持装置により、最上段となる第1番目の部品すなわちフォークを把持する。ここで、このフォークの一部に係止部を係止させて、フォークの位相を決定する。
次に、ワーク把持装置により、既に把持した第1番目の部品を、第2番目の部品の上に積層し、第1番目の部品の把持を解除して、第2番目の部品の挿通孔に把持部を挿通して、第2番目の部品を把持する。
次に、ワーク把持装置により、第1番目および第2番目の部品を、第3番目の部品の上に積層し、第2番目の部品の把持を解除して、第3番目の部品の挿通孔に把持部を挿通して、第3番目の部品を把持する。
このような動作を、最下段の第n番目に位置する部品すなわちフォークを把持するまで繰り返す。
ここで、最上段のフォークの位相に対する最下段のフォークの位相を決定した状態で、最下段のフォークを把持する。
【0016】
よって、第1番目の部品から第n番目の部品まで順番にワーク把持装置を移動させるだけで、アッセンブリの組み付け状態を順番に実現していくので、アッセンブリを省スペースで効率的に組み立てできる。
【0017】
また、ワーク把持装置の係止部を、最上段または最上段近傍の部品に係止させるだけで、この部品の位相を決定でき、さらに、係止部が係止した部品の位相に対する他の部品の位相も決定できるので、部品の位相を簡易な構成で容易に決定できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、積層配置された複数のワークを同時に把持できるので、アッセンブリを省スペースで効率的に組み立てできる。また、第1番目の部品から第n番目の部品まで順番にワーク把持装置を移動させるだけで、アッセンブリの組み付け状態を順番に実現していくので、アッセンブリを省スペースで効率的に組み立てできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明一実施形態に係るアッセンブリの組立方法により組み立てられるフロントフォークアッセンブリ10の分解斜視図である。
【0020】
フロントフォークアッセンブリ10は、自動二輪車の前輪部分であり、一対のフォーク11A、11B、ステム12、ホイール13、ブレーキパネル14、アクスル15を含んで構成される。
【0021】
一対のフォーク11A、11Bは、右側に配置される右フォーク11Aと、左側に配置される左フォーク11Bとで構成され、それぞれ、長尺状の部材であり、先端側には、挿通孔111が形成されている。
ステム12は、フォーク11A、11Bが挿通される一対の挿通孔121が形成されており、これら挿通孔121のそれぞれにフォーク11A、11Bを挿通してボルト122で締め付けることにより、一対のフォーク11A、11Bを略平行に保持する。
【0022】
ホイール13は、略円盤状であり、ホイール13の中心には挿通孔131が形成されている。
ブレーキパネル14は、略円盤状であり、ホイール13に取り付けられる。このブレーキパネル14の中心には、挿通孔141が形成されている。
ホイール13は、ブレーキパネル14が取り付けられた状態で、一対のフォーク11A、11Bの間に配置される。
【0023】
アクスル15は、一対のフォーク11、ホイール13、およびブレーキパネル14のそれぞれの挿通孔111、131、141と、円筒状のカラー151とに挿通され、ナット152で締め付けられることにより、ホイール13をフォーク11に回転自在に固定する。つまり、アクスル15を挿通することにより、一対のフォーク11、ホイール13、およびブレーキパネル14のそれぞれの挿通孔111、131、141と、円筒状のカラー151とは、同軸上に位置することになる。
【0024】
図2は、ワーク把持装置としての把持装置30の概略構成を示す斜視図であり、図3は、把持装置30の把持部40の断面図である。
把持装置30は、ロボットのハンドであり、この把持装置30の姿勢および3次元空間上の位置を変化させるロボットアーム32の先端に設けられている。
把持装置30は、ロボットアーム32に支持される平板状の基部31と、この基部31から略垂直の方向に延びる把持部40と、基部31から略垂直の方向に延びる進退可能な係止部50と、を備える。
【0025】
係止部50は、基部31に略垂直に設けられた係止部本体51と、この係止部本体51にスライド自在に設けられたスライド部52と、を備える。
係止部本体51には、延出方向に沿って延びるスライドレール511が設けられている。また、係止部本体51の先端近傍には、一対の突起部512が設けられている。
【0026】
スライド部52は、このスライドレール511に沿って移動可能である。このスライド部52の基端側には、一対のストッパ521が設けられ、これらストッパ521が係止部本体51の突起部512に係止することにより、スライド部52の先端側への移動が規制される。
また、スライド部52の先端縁には、切欠き部523が形成されている。
以上のスライド部52は、外力が加えられていない状態では、自重により下方に移動して、ストッパ521が突起部512に係止した状態となっている。
【0027】
把持部40は、基部31に設けられた駆動部としてのアクチュエータ41と、このアクチュエータ41に固定された円筒状のガイド部42と、このガイド部42の同軸上に設けられた円筒状のコレット43と、ガイド部42およびコレット43に挿通される棒状のシャフト部44と、を備える。
【0028】
アクチュエータ41は、シャフト部44をガイド部42内で進退させることで、ガイド部42とシャフト部44とを相対移動させる。
【0029】
ガイド部42の先端には、第1の駒421が形成されている。
シャフト部44の先端には、第2の駒441が形成されている。
コレット43は、ガイド部42の第1の駒421とシャフト部44の第2の駒441と間に配置されている。
【0030】
図4は、把持装置30のコレット43近傍の分解斜視図である。
コレット43には、一端縁付近から他端縁に至るスリット431と、他端縁付近から一端縁に至るスリット432と、が交互に形成されている。
【0031】
第1の駒421の外径は、コレット43側つまり先端側では、コレット43の内径よりも小さく、コレット43の反対側つまり基端側では、コレット43の内径よりも大きくなっている。
第2の駒441の外径は、コレット43側つまり基端側では、コレット43の内径よりも小さく、コレット43の反対側つまり先端側では、コレット43の内径よりも大きくなっている。
よって、第1の駒421の先端側および第2の駒441の基端側は、コレット43の内径よりも小さいので、コレット43内部に入り込んだ状態となっている。
【0032】
次に、把持装置30の動作について説明する。
まず、アクチュエータ41を動作させない場合、第1の駒421の先端側および第2の駒441の基端側がコレット43の内部に入り込んでいるが、コレット43は、拡張していない状態である。
【0033】
次に、アクチュエータ41により、シャフト部44をガイド部42に対して矢印A方向に後退させて、第2の駒441が第1の駒421に接近させる。すると、図5に示すように、これらの駒421、441の外周面により、コレット43の内壁面が矢印A方向に押圧される。その結果、コレット43が弾性変形し、図6に示すように、コレット43の外径は矢印C方向に拡張される。
【0034】
その後、アクチュエータ41により、シャフト部44をガイド部42に対して前進させて、第2の駒441を第1の駒421から離間させる。すると、コレット43の弾性変形の復元力により、コレット43の外径は、収縮して原形に復帰させる。
【0035】
次に、上述のフロントフォークアッセンブリ10の組立手順を、図7〜図17を参照しながら説明する。
フロントフォークアッセンブリ10では、右フォークおよび左フォークにステムを取り付けるため、右フォークの位相および左フォークの位相を一致させる、つまり、右フォークおよび左フォークを平行にする必要がある。
【0036】
まず、図7に示すように、図示しない右フォーク供給エリアに把持装置30を移動し、把持装置30の係止部50の切欠き部523を右フォーク11Aに嵌合させながら、右フォーク11Aの挿通孔111に把持装置30を挿通して、コレット43を拡張させて右フォーク11Aを把持する。
すると、図8に示すように、把持装置30のスライド部52の先端の切欠き部523が右フォーク11Aに嵌合する。これにより、右フォーク11Aの位相が決定される。
【0037】
次に、図9に示すように、図示しないカラー供給エリアに把持装置30を移動し、右フォーク11Aをカラー151に積層する。次に、コレット43を原形に復帰させて右フォーク11Aの把持を解除し、右フォーク11Aに加えてカラー151にも把持装置30の把持部40を挿通する。すると、右フォーク11Aが把持装置30の把持部40の基端側に向かって移動し、これにより、係止部50のスライド部52も係止部本体51の基端側に向かって移動する。その後、コレット43を拡張させてカラー151を把持する。この状態では、右フォーク11Aの挿通孔111およびカラー151は、同軸上に位置している。
【0038】
次に、図10に示すように、図示しないホイール供給エリアに把持装置30を移動し、右フォーク11Aおよびカラー151を、ホイール13に積層する。次に、コレット43を原形に復帰させてカラー151の把持を解除し、右フォーク11Aおよびカラー151に加えて、ホイール13にも把持装置30の把持部40を挿通する。すると、右フォーク11Aおよびカラー151が把持装置30の把持部40の基端側に向かってさらに移動し、これにより、係止部50のスライド部52も係止部本体51の基端側に向かってさらに移動する。その後、コレット43を拡張させてホイール13を把持する。この状態では、右フォーク11Aの挿通孔111、カラー151、およびホイール13の挿通孔131は、同軸上に位置している。
【0039】
次に、図11に示すように、図示しないブレーキパネル供給エリアに把持装置30を移動し、右フォーク11A、カラー151、およびホイール13を、ブレーキパネル14に積層する。次に、コレット43を原形に復帰させてホイール13の把持を解除し、右フォーク11A、カラー151、およびホイール13に加えて、ブレーキパネル14にも把持装置30の把持部40を挿通する。すると、右フォーク11A、カラー151、およびホイール13が把持装置30の把持部40の基端側に向かってさらに移動し、これにより、係止部50のスライド部52も係止部本体51の基端側に向かってさらに移動する。その後、コレット43を拡張させてブレーキパネル14を把持する。この状態では、右フォーク11Aの挿通孔111、カラー151、ホイール13の挿通孔131、およびブレーキパネル14の挿通孔141は、同軸上に位置している。
【0040】
次に、図12に示すように、図示しない左フォーク供給エリアに把持装置30を移動し、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14を、左フォーク11Bに積層する。次に、コレット43を原形に復帰させてブレーキパネル14の把持を解除し、図13および図14に示すように、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14に加えて、左フォーク11Bにも把持装置30の把持部40を挿通する。すると、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14が把持装置30の把持部40の基端側に向かってさらに移動し、これにより、係止部50のスライド部52も係止部本体51の基端側に向かってさらに移動する。その後、コレット43を拡張させて左フォーク11Bを把持し、アッセンブリ16とする。このとき、右フォーク11Aの位相に対して左フォーク11Bの位相を決定した状態で、この左フォーク11Bを把持する。
この状態では、右フォーク11Aの挿通孔111、カラー151、ホイール13の挿通孔131、ブレーキパネル14の挿通孔141、および左フォーク11Bの挿通孔111は、同軸上に位置している。
【0041】
次に、把持装置30を移動して、このアッセンブリ16を図示しない反転テーブル上に載置して、把持装置30をアッセンブリ16から離間させつつ、図15に示すように、アクスル15をこのアッセンブリ16に挿通する。
【0042】
次に、反転テーブルを反転させて、アクスル15が挿通されたアッセンブリ16を取り出す。その後、このアッセンブリ16を図示しない反転テーブル上に搬送して、図16に示すように、アクスル15の先端にナット152を締め付け、さらにステム12を取り付ける。
【0043】
次に、図17に示すように、図示しないボルト締付装置により、ステム12にボルト122を締め付けて、フロントフォークアッセンブリ10を完成させる。
【0044】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)コレット43を拡張させたり原形に復帰させたりすることで、ワークである右フォーク11A、カラー151、ホイール13、ブレーキパネル14、および左フォーク11Bを同時に把持できるので、フロントフォークアッセンブリ10を省スペースで効率的に組み立てできる。
また、コレット43を用いたことにより、従来のゴムチューブに比べて、強固にワークを把持できる。さらに、ワークの穴の内径が異なっても、確実にワークを把持できる。
【0045】
さらに、コレット43を1つとしたので、コレットを複数とした場合に比べて、把持装置30を簡素な構成にして、小型化できる。また、ガイド部42を肉厚にして、ガイド部42の外径をコレット43の原形状態の外径と同程度まで大きくできるので、把持可能なワークの最大重量を向上でき、汎用性が高く、耐久性に優れている。
【0046】
(2)把持装置30により、最上段に位置する右フォーク11Aを把持する。次に、把持装置30により、右フォーク11Aを把持した状態で、カラー151を把持する。次に、把持装置30により、右フォーク11Aからカラー151までを把持した状態で、ホイール13を把持する。次に、把持装置30により、右フォーク11Aからホイール13までを把持した状態で、ブレーキパネル14を把持する。次に、把持装置30により、右フォーク11Aからブレーキパネル14までを把持した状態で、左フォーク11Bを把持する。
【0047】
よって、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、ブレーキパネル14、および左フォーク11Bの順番に、把持装置30を移動させるだけで、フロントフォークアッセンブリ10の組み付け状態を順番に実現して、フロントフォークアッセンブリ10を組み立てることができる。
【0048】
(3)最上段の右フォーク11Aに係止部50を係止させるだけで、最上段の右フォーク11Aの位相を決定でき、さらに、この最上段の右フォーク11Aに対する最下段の左フォーク11Bの位相も決定できるので、部品の位相を簡易な構成で容易に決定できる。
【0049】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明一実施形態に係るアッセンブリの組立方法により組み立てられるフロントフォークアッセンブリの分解斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るワーク把持装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態に係るワーク把持装置の把持部の断面図である。
【図4】前記実施形態に係る把持部のコレット近傍の分解斜視図である。
【図5】前記実施形態に係るコレットに加圧した状態を示す断面図である。
【図6】前記実施形態に係るコレットが拡張した状態を示す断面図である。
【図7】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する右フォークを把持する手順を説明するための側面図である。
【図8】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する右フォークを把持した状態を示す斜視図である。
【図9】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するカラーを把持する手順を説明するための側面図である。
【図10】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するホイールを把持する手順を説明するための側面図である。
【図11】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図である。
【図12】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する左フォークを把持する手順を説明するための側面図である。
【図13】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する左フォークを把持した状態を示す側面図である。
【図14】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する右フォークを把持した状態を示す斜視図である。
【図15】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するアッセンブリにアクスルを挿通した状態を示す側面図である。
【図16】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するアッセンブリにステムを取り付けた状態を示す側面図である。
【図17】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを完成させた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 フロントフォークアッセンブリ(アッセンブリ)
11A 右フォーク(第1番目の部品)
151 カラー(第2番目の部品)
13 ホイール(第3番目の部品)
14 ブレーキパネル(第4番目の部品)
11B 左フォーク(第5番目の部品)
30 把持装置(ワーク把持装置)
31 基部
32 ロボットアーム
40 把持部
41 アクチュエータ(駆動部)
42 ガイド部
43 コレット
44 シャフト部
50 係止部
421 第1の駒
441 第2の駒



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに支持される基部と、
当該基部に設けられて所定方向に延出し先端に第1の駒を有する円筒状のガイド部と、
当該ガイド部の同軸上に設けられた円筒状のコレットと、
前記ガイド部および前記コレットに挿通されて、先端に第2の駒を有する棒状のシャフト部と、
前記ガイド部と前記シャフト部とを相対移動させることにより、前記駒同士を接近または離隔させる駆動部と、
前記基部に設けられて前記所定方向に進退可能でありかつ先端がワークに係止可能な係止部と、を備え、
前記第1の駒および第2の駒の外径は、前記コレット側では、前記コレットの内径よりも小さく、前記コレットの反対側では、前記コレットの内径よりも大きいことを特徴とするワーク把持装置。
【請求項2】
それぞれ貫通孔を有するn(nは2以上の自然数)個の部品を、前記各貫通孔が同軸上に位置するように積層するとともに、第p(pは1または1近傍の自然数)番目の部品の位相と第q(qはn以下でpより大きい自然数)番目の部品の位相を決定するアッセンブリの組立て方法であって、
基部と、当該基部に設けられて前記各挿通孔を把持可能な棒状の把持部と、前記基部に設けられて前記部品に係止可能な係止部と、を備えるワーク把持装置を用いて、
最上段となる第1番目の部品の挿通孔に前記把持部を挿通して、当該第1番目の部品を把持する第1の手順と、
既に把持した第1番目から第(m−1)(mは自然数)番目までの部品を、第m番目の部品の上に積層し、前記把持部の第(m−1)番目の部品の把持を解除して、第m番目の部品の挿通孔に前記把持部を挿通して、当該第m番目の部品を把持する第mの手順と、を備え、前記第mの手順を、mが2からnになるまで繰り返し、
前記第pの手順では、前記第p番目の部品の一部に前記係止部を係止させて、当該第p番目の部品の位相を決定しつつ、当該第p番目の部品を把持し、
前記第qの手順では、前記第p番目の部品の位相に対する当該第q番目の部品の位相を決定した状態で、当該第q番目の部品を把持することを特徴とするアッセンブリの組立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−58191(P2010−58191A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224510(P2008−224510)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】