説明

一つの被駆動体を二つの電動機で駆動させる制御装置

【課題】二つの電動機間の機動力が互いに干渉することによって生じうる振動を抑制するために、二つのプロセッサで二つの電動機を制御することができる制御装置を提供する。
【解決手段】DSP11aは、取得した回転サーボモータ3aの速度値をDSP11bに送信するとともに回転サーボモータ3bの速度値をDSP11bから受信し、回転サーボモータ3aへのトルク指令に対する補正量を、回転サーボモータ3aの速度値と回転サーボモータ3bの速度値との速度値差に基づいて計算する。DSP11bは、取得した回転サーボモータ3bの速度値をDSP11aに送信するとともに回転サーボモータ3aの速度値をDSP11aから受信し、回転サーボモータ3bへのトルク指令に対する補正量を、回転サーボモータ3aの速度値と回転サーボモータ3bの速度値との速度値差に基づいて計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械等においてワークや工具のような一つの被駆動体を二つの電動機で駆動させる制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等において、電動機の被駆動体が大型であるために一つの電動機では加減速ができない場合や、電動機と被駆動体との間のバックラッシュが大きいために被駆動体を安定した状態で移動させることができない場合には、一つの被駆動体を二つの電動機で駆動するタンデム制御が行われている。
【0003】
このようなタンデム制御では、二つの電動機間の結合剛性が高い場合、二つの電動機間の僅かな同期誤差により二つの電動機間の機動力が互いに干渉し、振動が生じることがある。このような振動を抑制するために、二つの電動機の速度値差に基づいて振動を抑制する一つのプロセッサ(例えば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP))を有する制御装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3492583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一つのプロセッサの処理能力には限界がある。例えば、二つの電動機が、一つのロータ及び一つの速度検出器に対して複数のステータ巻線を有する回転型サーボモータである場合や、二つの電動機が、一つの磁石板及び一つの速度検出器に対して複数のスライダーを有する二つのリニアサーボモータである場合には、一つの電動機に対して電流制御等を含む複数のモータ駆動部の処理が必要なため、一つのプロセッサで二つの電動機を制御することができない。したがって、二つの電動機のタンデム制御で生じうる振動を抑制するために、二つのプロセッサで二つの電動機を制御しなければならない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、二つの電動機間の機動力が互いに干渉することによって生じうる振動を抑制するために、二つのプロセッサで二つの電動機を制御することができる制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による制御装置は、一つの被駆動体を第1の電動機及び第2の電動機で駆動させる制御装置であって、前記第1の電動機を制御する第1のプロセッサと、前記第2の電動機を制御する第2のプロセッサと、を備え、前記第1のプロセッサは、前記第1の電動機の速度値を取得する第1の速度値取得部と、前記第1の電動機の速度値を前記第2のプロセッサに送信するとともに前記第2の電動機の速度値を前記第2のプロセッサから受信する第1の送受信部と、前記第1の電動機の速度値と前記第2の電動機の速度値との速度値差を計算する第1の速度値差計算部と、前記第1の電動機と前記第2の電動機との間の機動力が互いに干渉することによって生じる振動を抑制するために、前記第1の電動機へのトルク指令に対する補正量を、前記速度値差に基づいて計算する第1の補正量計算部と、を有し、前記第2のプロセッサは、前記第2の電動機の速度値を取得する第2の速度値取得部と、前記第2の電動機の速度値を前記第1のプロセッサに送信するとともに前記第1の電動機の速度値を前記第1のプロセッサから受信する第2の送受信部と、前記第1の電動機の速度値と前記第2の電動機の速度値との速度値差を計算する第2の速度値差計算部と、前記第1の電動機と前記第2の電動機との間の機動力が互いに干渉することによって生じる振動を抑制するために、前記第1の電動機へのトルク指令に対する補正量を、前記速度値差に基づいて計算する第2の補正量計算部と、を有する。
【0008】
好適には、前記第1の補正計算部及び前記第2の補正計算部はそれぞれ、前記速度値差の位相を進める位相補償部と、前記位相を進めた速度値差からねじれ補正量を計算するねじれ補正量計算部又は前記位相を進めた速度値差から摩擦補正を計算する摩擦補正量計算部と、を有する。
【0009】
好適には、前記第1の電動機及び前記第2の電動機はそれぞれ、一つのロータと一つの速度検出器に対して複数のステータ巻線を有する回転型サーボモータである。
【0010】
好適には、前記第1の電動機及び前記第2の電動機はそれぞれ、一つの磁石板と一つの速度検出器に対して複数のスライダーを有するリニアサーボモータである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1の電動機の速度と第2の電動機の速度との差に基づいて振動を抑制するために、二つのプロセッサがいずれも第1の電動機の速度と第2の電動機の速度の両方を取得することができる。したがって、二つの電動機間の機動力が互いに干渉することによって生じうる振動を抑制するために二つのプロセッサで二つの電動機を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による制御装置によって二つの回転型サーボモータを駆動するシステムのブロック図である。
【図2】図1の制御装置の一方のプロセッサを詳細に示すブロック図である。
【図3】図1の制御装置の他方のプロセッサを詳細に示すブロック図である。
【図4】図1の制御装置の動作のフローチャートである。
【図5】本発明による制御装置によって二つのリニアサーボモータを駆動するシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による制御装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、図面中、同一構成要素には同一符号を付す。
図1は、本発明による制御装置によって二つの回転型サーボモータを駆動するシステムのブロック図である。図1において、制御装置1は、制御装置1に接続されたCNC(数値制御装置)等の上位制御装置2からの作業工程に応じた指令信号に基づいて、回転型サーボモータ3a,3bの位置、速度、トルク等をそれぞれ制御する。制御装置1の制御により、回転型サーボモータ3a,3bに接続された被駆動体としてのテーブル4がボールねじ5a,5bに沿ってスライドするようになる。
【0014】
制御装置1が回転型サーボモータ3a,3bの位置、速度、トルク等をそれぞれ制御するために、回転型サーボモータ3a,3bの速度(回転速度)を検出し、検出した速度を制御装置1に供給する速度検出器6a,6bをそれぞれ設ける。検出器6a,6bを、例えば、回転型サーボモータ3a,3bの速度に比例したパルスを生成するエンコーダとする。
【0015】
回転型サーボモータ3aは、一つのロータ(図示せず)と一つの速度検出器6aに対して複数(この場合、2個)のステータ巻線31a,32aを有し、ボールねじ5aに連結した回転型サーボモータ3aの駆動軸(図示せず)が、マスタ軸としての役割を果たす。一方、回転型サーボモータ3bは、一つのロータ(図示せず)と一つの速度検出器6bに対して複数(この場合、2個)のステータ巻線31b,32bを有し、ボールねじ5bに連結した回転型サーボモータ3bの駆動軸(図示せず)が、スレーブ軸としての役割を果たす。
【0016】
制御装置1は、プロセッサとしてのDSP11a,11bと、アンプ12a,12b,13a,13bと、を有する。DSP11aは、モータ駆動部40a,50aと、制振制御部60aと、を有する。同様に、DSP11bは、モータ駆動部40b,50bと、制振制御部60bと、を有する。
【0017】
図2は、図1の制御装置の一方のプロセッサを詳細に示すブロック図である。図2において、モータ駆動部40aは、位置制御部41aと、速度制御部42aと、加算器43aと、電流制御部44aと、を有する。位置制御部41aは、設定された位置ゲインに基づいて、モータ駆動部50aと同期を取りながら上位制御装置2から入力される位置指令信号と、速度検出器6aからの速度のフィードバック信号を積分することによって生成される位置のフィードバック信号とに応じた動作を行う。速度制御部42bは、設定された速度ゲインに基づいて、位置制御部41aからの速度指令信号と、速度検出器6aからの速度のフィードバック信号とに応じた動作を行う。
【0018】
加算器43aは、一方の入力部に入力される速度制御部42aからのトルク指令信号と、他方の入力部に入力される後述する補正量信号とを加算し、加算器43aの出力信号を電流制御部44aに供給する。電流制御部44aは、加算器43aの出力信号と、アンプ12aからの電流のフィードバック信号とに応じた動作を行う。アンプ12aは、アンプ12aに入力される電流制御部44aの出力信号に応じて、回転サーボモータ3aへの供給電力を制御する。
【0019】
同様に、モータ駆動部50aは、位置制御部51aと、速度制御部52aと、加算器53aと、電流制御部54aと、を有する。位置制御部51aは、設定された位置ゲインに基づいて、モータ駆動部40aと同期を取りながら上位制御装置2から入力される位置指令信号と、速度検出器6aからの速度のフィードバック信号を積分することによって生成される位置のフィードバック信号とに応じた動作を行う。速度制御部52aは、設定された速度ゲインに基づいて、位置制御部51aからの速度指令信号と、速度検出器6aからの速度のフィードバック信号とに応じた動作を行う。
【0020】
加算器53aは、一方の入力部に入力される速度制御部52aからのトルク指令信号と、他方の入力部に入力される後述する補正量信号とを加算し、加算器53aの出力信号を電流制御部54aに供給する。電流制御部54aは、加算器53aの出力信号と、アンプ13aからの電流のフィードバック信号とに応じた動作を行う。アンプ13aは、アンプ13aに入力される電流制御部54aの出力信号に応じて、回転サーボモータ3aへの供給電力を制御する。
【0021】
制振制御部60aは、回転型サーボモータ3aと回転型サーボモータ3bとの間の機動力が互いに干渉することによって生じる振動を抑制する。このために、制振制御部60aは、速度値取得部61aと、送受信部62aと、メモリ63aと、速度値計算部64aと、補正量計算部65aと、を有する。
【0022】
速度値取得部61aは、速度検出器6aからの速度フィードバックの信号を回転型サーボモータ3aの速度値として所定のサンプリング周期T(例えば、T=1ミリ秒)で取得し、回転型サーボモータ3aの速度フィードバック値としてメモリ63aに記憶させる。
【0023】
送受信部62aは、メモリ63aに記憶された回転型サーボモータ3aの速度値をDSP11bに送信するとともに、速度値取得部61aが回転型サーボモータ3aの速度値を取得するのと同様な方法でDSP11bが取得した回転型サーボモータ3bの速度値を、DSP11bから受信する。なお、DSP11aとDSP11bとの間の通信は、上位制御装置2の制御に基づいて、DSP11aとDSP11bとの間に介在するIICバスのような通信経路7(図1)を用いて行われる。
【0024】
速度値差計算部64aは、回転型サーボモータ3aの速度値及び回転型サーボモータ3bの速度値をメモリ63aから読み出し、回転型サーボモータ3aの速度値と回転型サーボモータ3bの速度値との間の速度値差を計算する。
【0025】
補正量計算部65aは、回転型サーボモータ3aと回転型サーボモータ3bとの間の機動力が互いに干渉することによって生じる振動を抑制するために、回転型サーボモータ3aへのトルク指令に対する補正量を計算する。このために、補正量計算部65aは、位相補償部66aと、ねじれ補正部67aと、摩擦補正部68aと、を有する。
【0026】
位相補償部66aは、速度値差計算部64aが出力する速度値差信号の位相を進める機能を有する。ねじれ補正部67aは、位相補償部66aによって位相が進められた速度差信号からねじれ補正量信号を生成する。摩擦補正部68aは、位相補償部66aによって位相が進めた速度差信号から摩擦補正量信号を生成する。加算器69aは、一方の入力部に入力されるねじれ補正部67aからのねじれ補正量信号と、他方の入力部に入力される摩擦補正部68aからの摩擦補正量信号とを加算し、ねじれ補正量信号と摩擦補正量信号との和に相当する補正量信号を加算器43aの他方の入力部及び加算器53aの他方の入力部に供給する。したがって、電流制御部44aには、速度制御部42aからのトルク指令信号に加算器69aからの補正量信号を加算した信号が入力され、電流制御部54aには、速度制御部52aからのトルク指令信号に加算器69aからの補正量信号を加算した信号が入力される。
【0027】
位相補償部66aは、図1に示すシステムの遅れを補償することによって制振効果を向上させることができる。また、ねじれ補正部67aは、ねじれ補正(ばね補正)を行うことによって、回転型サーボモータ3aと回転型サーボモータ3bとの間の機動力が互いに干渉することによって生じる振動を抑制することができる。さらに、摩擦補正部68aは、摩擦補正を行うことによって、回転型サーボモータ3aと回転型サーボモータ3bとの間の機動力が互いに干渉することによって生じる振動を抑制することができる。
【0028】
図3は、図1の制御装置の他方のプロセッサを詳細に示すブロック図である。図3において、モータ駆動部40bは、図2の位置制御部41a、速度制御部42a及び電流制御部44aと同様な機能をそれぞれ有する位置制御部41b、速度制御部42b及び電流制御部44bを有し、図2の加算器43aの代わりに減算器43bを有する。
【0029】
同様に、モータ駆動部50bは、図2の位置制御部51a、速度制御部52a及び電流制御部54aと同様な機能をそれぞれ有する位置制御部51b、速度制御部52b及び電流制御部54bを有し、図2の加算器53aの代わりに減算器53bを有する。
【0030】
制振制御部60bは、図2の速度値取得部61a、送受信部62a、メモリ63a、速度値計算部64a及び補正量計算部65aと同様な機能をそれぞれ有する速度値取得部61b、送受信部62b、メモリ63b、速度値計算部64b及び補正量計算部65bを有する。
【0031】
モータ駆動部40bが図2の加算器43aの代わりに減算器43bを有し、モータ駆動部50bが図2の加算器53aの代わりに減算器53bを有するので、電流制御部44bには、速度制御部42bからのトルク指令信号から加算器69aからの補正量信号を減算した信号が入力され、電流制御部54aには、速度制御部52aからのトルク指令信号から加算器69aからの補正量信号を減算した信号が入力される。
【0032】
図4は、図1の制御装置の動作のフローチャートである。このフローチャートは、上位制御装置2からのテーブル4を駆動する旨の指令信号をDSP11a及びDSP11bが受信した後に所定回数実行される。
【0033】
先ず、ステップS1−1において、速度値取得部61aは、回転型サーボモータ3aの速度値を取得し、ステップS2−1において、速度値取得部61bは、回転型サーボモータ3bの速度値を取得する。
【0034】
次に、ステップS2−1において、送受信部62aは、回転型サーボモータ3aの速度値をDSP11bに送信し、ステップS2−2において、送受信部62bは、回転型サーボモータ3bの速度値をDSP11aに送信する。
【0035】
次に、ステップS3−1において、送受信部62aは、回転型サーボモータ3bの速度値をDSP11bから受信し、ステップS3−2において、送受信部62aは、回転型サーボモータ3aの速度値をDSP11aから受信する。
【0036】
次に、ステップS4−1において、速度差値計算部64aは、回転型サーボモータ3aの速度値と回転型サーボモータ3bの速度値との間の速度値差を計算し、ステップS4−2において、速度差値計算部64bは、回転型サーボモータ3aの速度値と回転型サーボモータ3bの速度値との間の速度値差を計算する。
【0037】
次に、ステップS5−1において、位相補償部66aは、速度値差計算部64aが出力する速度値差信号の位相補償量を計算し、ステップS5−2において、位相補償部66bは、速度値差計算部64bが出力する速度値差信号の位相補償量を計算する。
【0038】
次に、ステップS6−1において、ねじれ補正部67aは、位相補償部66aによって位相補償された速度差信号からねじれ補正量を計算し、ステップS6−2において、ねじれ補正部67bは、位相補償部66bによって位相補償された速度差信号からねじれ補正量を計算する。
【0039】
次に、ステップS7−1において、摩擦補正部68aは、位相補償部66aによって位相補償された速度差信号から摩擦補正量を計算し、ステップS7−2において、摩擦補正部68bは、位相補償部66bによって位相補償された速度差信号から摩擦補正量を計算する。
【0040】
次に、ステップS8−1において、加算器43aは、速度制御部42aからのトルク指令に補正量(この場合、ねじれ補正量と摩擦補正量との和)を加算し、加算器53aは、速度制御部52aからのトルク指令に補正量を加算し、DSP11a側の処理を終了する。また、ステップS8−2において、減算器43bは、速度制御部42bからのトルク指令から補正量を減算し、減算器53bは、速度制御部52bからのトルク指令から補正量を減算し、DSP11b側の処理を終了する。
【0041】
本実施の形態によれば、回転型サーボモータ3aの速度値と回転型サーボモータ3bの速度値との間の速度差値に基づいて振動を抑制するために、二つのDSP11a及びDSP11bがいずれも回転型サーボモータ3aの速度値と回転型サーボモータ3bの速度値の両方を取得することができる。したがって、回転型サーボモータ3aと回転型サーボモータ3bとの間の機動力が互いに干渉することによって生じうる振動を抑制するために、二つのDSP11a及びDSP11bで二つの回転型サーボモータ3a及び回転型サーボモータ3bを制御することができる。
【0042】
図5は、本発明による制御装置によって二つのリニアサーボモータを駆動するシステムのブロック図である。図5において、制御装置1は、制御装置1に接続されたCNC(数値制御装置)等の上位制御装置2からの作業工程に応じた指令信号に基づいて、リニアサーボモータ13a,13bの位置、速度、トルク等をそれぞれ制御する。制御装置1の制御により、リニアサーボモータ13a,13bに接続された被駆動体としてのテーブル14が磁石板15a,15bに沿ってスライドするようになる。
【0043】
リニアサーボモータ13aは、一つの磁石板15aと一つの速度検出器6aに対して複数(この場合、2個)のスライダー33a,34aを有する。一方、リニアサーボモータ13bは、一つの磁石板15bと一つの速度検出器6bに対して複数(この場合、2個)のスライダー33b,34bを有する。
【0044】
本実施の形態によれば、制御装置1が上述したように制振制御を行うことによって、リニアサーボモータ13aとリニアサーボモータ13bとの間の機動力が互いに干渉することによって生じうる振動を抑制するために、二つのDSP11a及びDSP11bで二つのリニアサーボモータ3a及びリニアサーボモータ3bを制御することができる。
【0045】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、上記実施の形態において、本発明による制御装置によって二つの回転型サーボモータ又は二つのリニアサーボモータを制御する場合について説明したが、二つの振動型サーボモータ等も本発明による制御装置によって制御することができる。
【0046】
また、被駆動体として、アーム、それらに着脱されるワーク等を用いることもできる。さらに、上記実施の形態では、ねじれ補正と摩擦補正の両方を行う場合について説明したが、ねじれ補正と摩擦補正のうちのいずれか一方のみを行ってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 制御装置
2 上位制御装置
3a,3b 回転型サーボモータ
4,14 テーブル
5a,5b ボールねじ
6a,6b 速度検出器
7 通信経路
11a,11b DSP
12a,12b,13a,13b アンプ
13a,13b リニアサーボモータ
15a,15b 磁石板
31a,31b,32a,32b ステータ巻線
33a,33b,34a,34b スライダー
40a,40b,50a,50b モータ駆動部
60a,60b 制振制御部
41a,41b,51a,51b 位置制御部
42a,42b,52a,52b 速度制御部
43a,53a,69a,69b 加算器
43b,53b 減算器
44a,44b,54a,54b 電流制御部
61a,61b 速度値取得部
62a,62b 送受信部
63a,63b メモリ
64a,64b 速度値差計算部
65a,65b 補正量計算部
66a,66b 位相補償部
67a,67b ねじれ補正部
68a,68b 摩擦補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの被駆動体を第1の電動機及び第2の電動機で駆動させる制御装置であって、
前記第1の電動機を制御する第1のプロセッサと、
前記第2の電動機を制御する第2のプロセッサと、
を備え、
前記第1のプロセッサは、
前記第1の電動機の速度値を取得する第1の速度値取得部と、
前記第1の電動機の速度値を前記第2のプロセッサに送信するとともに前記第2の電動機の速度値を前記第2のプロセッサから受信する第1の送受信部と、
前記第1の電動機の速度値と前記第2の電動機の速度値との速度値差を計算する第1の速度値差計算部と、
前記第1の電動機と前記第2の電動機との間の機動力が互いに干渉することによって生じる振動を抑制するために、前記第1の電動機へのトルク指令に対する補正量を、前記速度値差に基づいて計算する第1の補正量計算部と、を有し、
前記第2のプロセッサは、
前記第2の電動機の速度値を取得する第2の速度値取得部と、
前記第2の電動機の速度値を前記第1のプロセッサに送信するとともに前記第1の電動機の速度値を前記第1のプロセッサから受信する第2の送受信部と、
前記第1の電動機の速度値と前記第2の電動機の速度値との速度値差を計算する第2の速度値差計算部と、
前記第1の電動機と前記第2の電動機との間の機動力が互いに干渉することによって生じる振動を抑制するために、前記第2の電動機へのトルク指令に対する補正量を、前記速度値差に基づいて計算する第2の補正量計算部と、を有する制御装置。
【請求項2】
前記第1の補正計算部及び前記第2の補正計算部はそれぞれ、
前記速度値差の位相を進める位相補償部と、
前記位相を進めた速度値差からねじれ補正量を計算するねじれ補正量計算部又は前記位相を進めた速度値差から摩擦補正を計算する摩擦補正量計算部と、
を有する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1の電動機及び前記第2の電動機はそれぞれ、一つのロータと一つの速度検出器に対して複数のステータ巻線を有する回転型サーボモータである請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1の電動機及び前記第2の電動機はそれぞれ、一つの磁石板と一つの速度検出器に対して複数のスライダーを有するリニアサーボモータである請求項1又は2に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−31234(P2013−31234A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163474(P2011−163474)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】