説明

一体型本体短絡を有する上部ドレインFET

【課題】実装密度の向上した上部ドレインMOSを提供する。
【解決手段】上部ドレインMOSゲートデバイスは、半導体ダイの最上部にドレイン17を有し、ダイ基板の底部にソース20を有する。間隔を空けた平行トレンチ30,31は、ダイ上面から、ドリフト領域14、チャネル領域13を介して延び、基板領域において終了する。各トレンチ30,31の底部は、基板ソースをチャネル領域に短絡させるためにシリサイド導体50,51を収容する。シリサイド導体50,51は、その後、その上面において絶縁され、ゲート電極36,37が、チャネル/ソース短絡部を収容するものと同じトレンチ30,31に配置される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本願は、出典を明示することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とする2004年10月1日提出の米国仮出願第60/615,447号の利益及び優先権を主張する。
【0002】
本発明は、更に、出典を明示することによりその内容を本願明細書の一部とするDaniel M.Kinzer、David Paul Jomes、及びKyle Spring名義で2005年9月1日に提出された同時係属出願IR−2751「上部ドレインMOSゲートデバイス及びその製造プロセス」米国出願番号第11/217,870号に関連する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、パワーMOSゲートデバイスに関し、特に、半導体ダイの接合受領面の上にドレインが存在するデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
デバイスドレインが半導体ダイ又はウェーハの接合受領面の上に存在するパワーMOSFETは、周知である。こうしたデバイスは、ダイの上面内に深く配置された本体接合部にソースを短絡させる手段を有する必要がある。この接合部を作成するのに利用可能な一方法は、本体接合部へ延び、その後、トレンチ底部において導電短絡を形成する専用のトレンチを形成することだった。これは、デバイスのセル(又はストライプ)毎に、ポリシリコンゲートトレンチと、間隔を空けた別個の短絡トレンチとを必要とすることから、ダイの面積を使用する。
【発明の開示】
【0005】
本発明によれば、ソースと本体との短絡は、ゲートトレンチの底部において形成されるため、トレンチタイプのパワーMOSゲートデバイスにおいて、高いゲートトレンチ密度が可能となる。好ましくは、短絡材料は、ゲートポリシリコンとドレインとの上にわたる断続シリサイド層の一部である、トレンチ底部の導電性シリサイドである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
先ず図1を参照すると、二つの隣接する「セル」を断面により図示しており、「セル」は、半導体ダイ内で延長或いは封入してよく、本発明に従って構築し得るものであり、ソースと本体との接合部は、各ゲートトレンチの底部に存在する。
【0007】
したがって、図1において、図示したデバイスは、薄いN+タイプの層11を上に有したN++基板10を有する。P+層12は、層11の上に形成され、Pチャネル層13は、層12の上に形成される。N-ドリフト領域14は、層13の上に形成され、N+ドレイン接触層15は、層14の上に形成される。導電シリサイド層16は、層15の上に配置され、前部ドレイン金属17は、シリサイド層16の上に、接触して配置される。後部ソース金属20は、本体10の底部に堆積させることに留意されたい。Nチャネルデバイスが図示されている。導電形式を反転し、Pチャネルデバイスを形成してもよい。
【0008】
他の多数の同一のトレンチのうち、二つのゲートトレンチは、トレンチ30及び31として図示したように、ウェーハにおいて形成される。トレンチ30及び31は、それぞれ底部酸化物セグメント32及び33のような絶縁酸化物を収容し、それぞれゲート酸化物34及び35により内側を覆われる。それぞれポリシリコン等で構成された導電ゲート部36及び37は、トレンチ30及び31内に配置され、ゲート36及び37とドレイン17との間に適切な電位を加えた時、ゲート酸化物34及び35に対向するチャネル領域を反転させ、上部ドレイン17と底部ソース20との間でデバイスをオンにする作用が可能である。
【0009】
全てのゲート36、37は、任意の望ましい形で、共に適切に接続されることに留意されたい(図示せず)。更に、トレンチ30及び31は、ポリ部36及び37の上方において、酸化物充填キャップ40及び41によって充填されることに留意されたい。
【0010】
N領域14と、P領域13と、N領域10とによって構成される寄生的N/P/Nトランジスタは、このバイポーラデバイスがオンになるのを防止するために短絡させる必要がある。本発明によれば、この短絡は、各トレンチ30及び31の底部において提供される。そのため、導電シリサイド短絡50及び51が、それぞれトレンチ30及び31の底部において形成され、ソース領域10及び11を、チャネル領域13からのP+チャネル延長部に電気的に接続させる。
【0011】
この短絡は、それぞれN+及びN接触領域60及び61の提供によって改善される。
【0012】
図2乃至図5は、デバイス製造のための新規のプロセスと共に、本発明の第二の実施形態を図示している。
【0013】
先ず図2を参照すると、初期プロセスステップと共に開始N++基板100が図示されている。図1の実施形態と同様に、基板100は、上にN層101を有し、層101の上にP+層102が存在する。Pチャネル層103は、チャネル接触層102の上に存在し、N+タイプドリフト領域104は、層103の上に存在する。上記及び図1の様々な層の厚さは、図の右手余白にマイクロメートルの単位で記載され、上部余白にオングストロームの単位で記載されている。
【0014】
ウェーハを準備するシーケンスの第一の主要なステップとして、図2に示したように、ダイ上面の上で酸化物110を生成し、フォトリソグラフィステップを実行し、最終的に、一定の深度でドリフト領域104内へ延びる、間隔の空いたトレンチ111及び112を発生させ、層104に酸化物被覆メサ113及び114を残す。
【0015】
その後、図3に示したように、更なるトレンチエッチングを行い、トレンチ120及び121を形成し、Nタイプ本体短絡インプラント122及び123をトレンチ120及び121それぞれの底部に形成する。
【0016】
次に、ゲート酸化物(450Å)124、125をトレンチ120及び121それぞれにおいて生成し、ポリシリコン部126及び127をトレンチ120及び121それぞれに充填する。これらのポリシリコン部126及び127は、その後、ドーピングして導電性とし、次に、中心長さに沿って、それぞれインプラント122、123までエッチングする。
【0017】
次に、窒化物層131及び132(150Å)を、トレンチ120及び121内において、ポリシリコンゲート部126及び127の露出壁全体に堆積させる。この後、窒化物及び酸化物エッチングにより、インプラント122及び123が露出される。インプラント(リン)は、必要ならば、短絡駆動の前に、この時点で実施可能であることに留意されたい。
【0018】
次に図4を参照すると、更なるトレンチエッチングを実施して、ポリシリコンゲート126及び127の高さを低減し、トレンチ120及び121の底部において、N層101に対する窓140、141を開く。
【0019】
その後、図5に示したように、スペーサ窒化物層131、132を除去し、メサ酸化物エッチングを実施して、酸化物110をメサ113及び114のレベルまで同平面となるように除去する。その後、N+ドレインインプラント150、151を、Nドリフト領域113及び114の最上部に形成する
【0020】
次に、チタン層155及び156をドレインインプラント150、151それぞれの上に堆積させ、同時に、チタン接触層157及び158をトレンチ120及び121の底部に堆積させ、同じトレンチにおいて、ポリシリコンゲートとの本体短絡部として機能させる。急速熱アニールプロセスを実施し、余分なチタンを取り去り、その後、更なる急速熱アニールを行う。
【0021】
その後、トレンチ120及び121に、絶縁材(図示せず)を充填し、ドレイン接触部(図示せず)を、ダイ最上部に形成し、シリサイド155及び156に接触させ、更に、ドレイン接触部(図示せず)を、基板100の底部に堆積させる。
【0022】
以上、本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、その他の多数の変更及び変形並びにその他の用途は当業者には明らかであろう。したがって、本発明は本明細書での特定の開示により限定されないことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】各ゲートトレンチの底部において、シリサイドコーティングがP/P+基部(又はチャネル)領域と底部N/N+ソースとを短絡させる二つの隣接したゲートトレンチを示す、本発明によるトレンチデバイスの僅かな部分の断面図。
【図2】本発明の第二の実施形態のための初期プロセスステップ後、及びトレンチエッチング及びTEOS(酸化物)堆積後の開始ウェーハの僅かな部分を示す図。
【図3】第二のトレンチエッチングと、ポリ堆積及びポリドーピングと、窒化物堆積と、本体短絡インプラント及び駆動との後の図2の構造を示す図。
【図4】第三のトレンチエッチングと本体短絡酸化物及び駆動との後の図3の構造を示す図。
【図5】窒化物除去と、メサ酸化物エッチングと、ソースドレインインプラントと、Ti堆積及び急速温度アニールと、金属Tiの除去との後、N+ドレイン接触領域上で、ポリシリコンゲートに沿ってケイ化チタン層を残し、トレンチ底部においてN+/P+接合部を短絡させる、図4のデバイスを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部ドレインMOSゲートデバイスであって、組み合わせとして、
上面及び底面と、前記底面から延びる一導電タイプの基板と、前記基板上の第二の導電タイプのチャネル領域と、前記チャネル領域上の前記一導電タイプのドリフト領域と、を有する半導体ダイと、
前記上面から延びて前記ドリフト領域と前記チャネル領域とを貫通して前記基板領域で終端する、平行に離間した複数のトレンチであって、前記トレンチのそれぞれの底部は、前記基板領域を前記チャネル領域に接続する導電層をそれぞれ有する、複数のトレンチと、
前記トレンチのそれぞれの底部における底部絶縁部と、
少なくとも前記チャネル領域の深さの部分に隣接した、前記トレンチのそれぞれの壁を覆うゲート酸化物と、
前記トレンチのそれぞれの内部において、その底部では前記底部絶縁部によって境界され、その側部では前記ゲート酸化物ライナによって境界された導電ゲート部と、
前記導電ゲート部の上部の上方において、前記トレンチの上部を実質的に充填する上部絶縁部と、
前記上面に配置され、前記トレンチ間の前記ドリフト領域に接触した上部ドレイン電極と、
前記底面に接続された底部ソース電極と、
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記一導電タイプは、Nタイプである、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記導電部は、導電性ポリシリコンである、請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
前記トレンチの前記底部の前記導電層は、導電性シリサイドで形成されている、請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
更に、前記ドリフト領域層上に、前記一タイプのキャリアの増加した濃度を有する接触拡散部を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
更に、前記ドリフト領域上に導電性シリサイド層を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項7】
更に、前記第二の導電タイプの拡散部であって、前記チャネル層と前記基板との間に配置され、前記チャネル層よりも高濃度を有する拡散部を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項8】
更に、前記トレンチの前記壁に形成され、前記チャネル領域から前記基板へ延び、前記導電層の外側の壁に接触する前記一タイプの接触拡散部を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項9】
更に、前記ドリフト領域層上に、前記一タイプのキャリアの増加した濃度を有する接触拡散部を含む、請求項4記載のデバイス。
【請求項10】
更に、前記ドリフト領域上に、導電性シリサイド層を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項11】
更に、前記ドリフト領域上に、導電性シリサイド層を含む、請求項9記載のデバイス。
【請求項12】
更に、前記第二の導電タイプの拡散部であって、前記チャネル層と前記基板との間に配置され、前記チャネル層よりも高濃度を有する拡散部を含む、請求項10記載のデバイス。
【請求項13】
更に、前記第二の導電タイプの拡散部であって、前記チャネル層と前記基板との間に配置され、前記チャネル層よりも高濃度を有する拡散部を含む、請求項11記載のデバイス。
【請求項14】
更に、前記トレンチの前記壁に形成され、前記チャネル領域から前記基板へ延び、前記導電層の外側の壁に接触する前記一タイプの接触拡散部を含む、請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
前記導電性シリサイド層は、単一の堆積ステップにおいて形成される、請求項10記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−310735(P2006−310735A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−289980(P2005−289980)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(505300623)インターナショナル・レクティファイヤ・コーポレーション (23)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL RECTIFIER CORPORATION
【Fターム(参考)】