説明

上映ライセンス管理システム,上映ライセンス管理方法および上映ライセンス管理プログラム

【課題】コンテンツとその上映期間,上映スクリーンの指定に加え,劇場内の同時上映スクリーン数の最大数の指定を可能とする上映ライセンス管理システムを提供する。
【解決手段】ライセンス発行装置20において,有効期間を設定したコンテンツ暗号鍵を上映装置42の公開鍵によって暗号化し,各上映装置42宛ての鍵配信メッセージ31を生成すると同時に,生成した鍵配信メッセージ31を束としてまとめた鍵配信メッセージ束30に,上映ライセンス10で指定される同時上映数と各鍵配信メッセージ31の宛先スクリーン情報とを設定して劇場管理装置41に送付し,劇場管理装置41に対し同時に上映するスクリーンの数を前記同時上映数以下に制限させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,複数の上映装置を有する劇場に対して,上映ライセンスの管理を行う際に用いられる上映ライセンス管理システム,上映ライセンス管理方法および上映ライセンス管理プログラムに関するものである。特に,劇場において同時に上映可能なスクリーン数を制限する必要がある場合の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツの上映を管理するライセンス管理方式として,暗号化したコンテンツを上映装置に配信し,有効期限を設定したコンテンツの暗号鍵を鍵配信メッセージにより別途配布する方法が広く用いられている[非特許文献1参照]。このような鍵配信メッセージの規格として,例えば,デジタルシネマで用いられているKDM(Key Delivery Message)が挙げられる[非特許文献2参照]。
【0003】
KDM規格においては,コンテンツの暗号鍵は,上映装置の有する秘密鍵に対応した公開鍵により暗号化され,付加情報を含めたXMLメッセージ形式により送信される。上映装置の公開鍵によって暗号化が行われるため,特定の上映装置だけが上映できるように上映を制限することが可能であり,暗号鍵に有効期限が指定されているため,コンテンツを上映可能な期間を制限することができる。さらに,デジタルシネマ規格では,上映装置に対して耐タンパ性を要求しており,上映装置の秘密鍵は安全に保管され,また,コンテンツ暗号鍵およびコンテンツの復号は装置内部で行われ,データや暗号鍵が平文のまま上映装置外に出ることがない。
【0004】
一方,従来のフィルム映画の興行における上映ライセンスは,劇場に対して配布するフィルム本数によって規定されており,劇場内で同時に上映できるスクリーン数は制限されるが,どのスクリーンで上映するかは指定しないのが一般的である。前記KDM規格においては,このようなライセンス形態は考慮されていないため,劇場内では上映スクリーンを自由に選択することはできない。また,上映スクリーンを移動するには,KDMを再発行する必要があり,そのたびにKDMの再発行が必要となる。
【0005】
また,一旦発行され,上映装置にロードされたKDMを無効化する手段は定義されていないため,移動元のスクリーンに対するKDMを取り消すことはできない。スクリーンを移動するたびに上映可能なスクリーン数は増加するため,同時上映数を超えてスクリーンの移動が行われると,同時上映数を制限することができなくなるという問題が避けられない。
【0006】
KDMの無効化手続きが定義されていないのは,ライセンスの発行を行うシステムと上映装置がオンライン接続されているとは限らないという仮定のもとで設計が行われており,無効化処理が確実に適用されるという保証がないためである。
【非特許文献1】“ユビキタス時代の著作権管理技術 DRMとコンテンツ流通”今井秀樹編著 ISBN4-501-54180-6 東京電機大学出版局 2006年10月20日発行
【非特許文献2】“Digital Cinema System Specification V1.0”,Digital Cinema Initiatives,LLC ,July 20 ,2005,インターネット<URL:http://www.dcimovies.com/v1errata/DCI _Digital _Cinema_System_Spec_v1.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コンテンツの上映を管理する従来のライセンス管理方法(例えばデジタルシネマで用いられているKDM規格)では,複数の上映スクリーンを有する劇場内において,上映スクリーンを自由に選択することができない,あるいは同時上映数を超えて上映スクリーンの移動を行うと同時上映数を制限することができなくなってしまうという課題があった。
【0008】
本発明の目的は,前記課題の解決を図り,上映コンテンツ,上映スクリーン,上映期間に加え,劇場内におけるコンテンツの同時上映数がライセンス条件として指定されたとき,これらの上映ライセンス条件が守られて上映が行われていることを保証できる上映ライセンス管理システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上映ライセンス管理システムにおけるライセンス発行装置には,上映装置に配布するコンテンツ暗号鍵を保管する手段と,上映ライセンスによって指定されるスクリーン情報を上映装置情報に変換するための上映装置の公開鍵証明書および上映装置のスクリーンへの設置情報を管理する手段が設けられる。さらに,指定された有効期間,上映装置においてのみ上映を可能とするため,コンテンツの暗号鍵に有効期限を付加し,これをスクリーンに設置された上映装置の公開鍵によって暗号化することにより鍵配信メッセージを生成する手段が設けられる。
【0010】
さらに,本発明の上映ライセンス管理システムにおいては,劇場内で前記鍵配信メッセージを管理する手段として劇場管理装置が設けられ,前記ライセンス発行装置には,生成された複数の鍵配信メッセージに対して,同時上映数,および,各鍵配信メッセージの宛先スクリーン情報を付加することにより,鍵配信メッセージ束を生成する手段,および,生成された鍵配信メッセージ束を劇場管理装置に送付する手段が設けられる。
【0011】
前記ライセンス発行装置は,上映ライセンスの指定において,スクリーンの指定がなく,同時上映数のみが指定された場合に,劇場内の全スクリーンに対し,前記鍵配信メッセージを生成する手段を有する。本手段により,スクリーン指定がない場合に任意のスクリーンを選択して上映を行うことが可能となる。
【0012】
一方,前記劇場管理装置においては,上映装置に対する鍵配信メッセージのロード要求に対し,指定されたスクリーンに対する鍵配信メッセージの宛先装置IDと,上映装置から提示される装置IDが合致していることを確認することにより鍵配信メッセージの送付先となる上映装置を認証する手段と,劇場内の全上映装置において有効な鍵配信メッセージが,鍵配信メッセージ束で指定される同時上映数を超えないときにのみ,前記鍵配信メッセージを上映装置に送信する手段が設けられる。本手段を用いることにより,劇場内で有効な鍵配信メッセージの数を同時上映数以下に抑えることが可能となる。
【0013】
さらに,前記ライセンス発行装置において,鍵配信メッセージ束に含まれる鍵配信メッセージを,劇場管理装置においてのみ復号可能な暗号方法により暗号化する手段と,暗号鍵メッセージ束に付加される同時上映数および宛先スクリーン情報に対する改竄防止を行う手段が用いられる。これにより,劇場管理装置において鍵配信メッセージと同時上映数情報を改竄なく安全に保管することが可能となる。
【0014】
また,同時上映数を超えた回数,スクリーンの移動を行うことを可能とするため,前記ライセンス発行装置において,上映ライセンス期間を複数の期間に分割し,分割された期間ごとに有効な前記鍵配信メッセージを生成する手段,または,前記上映装置において,劇場管理装置より送信された鍵配信メッセージを,ロード時点から指定期間内に破棄する手段が設けられる。これらの手段を用いることにより,上映装置にロードされた鍵配信メッセージが一定期間の後に無効となることが保証されるため,新たな上映装置に対して新たな鍵配信メッセージをロードすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は,本発明の実施形態に係る上映ライセンス管理システムの全体構成を示している。本システムは,指定された上映ライセンス10の情報をもとにライセンスを発行するライセンス発行装置20と,劇場40内に設置された劇場管理装置41と,スクリーンごとに設置された1個または複数個の上映装置42によって構成される。
【0016】
本システムにおいては,ライセンス発行装置20より,コンテンツを復号するための暗号鍵を,上映ライセンス条件を示した鍵配信メッセージ31として,劇場40に配信される暗号化されたコンテンツとは別に配信することにより,上映ライセンスの管理を行う。ライセンス発行装置20が生成する鍵配信メッセージ31は,劇場40に対して鍵配信メッセージ束30としてまとめられて,まず劇場管理装置41に送付され,劇場40内の上映装置42からのライセンス取得要求,または劇場管理装置41の操作によって,劇場管理装置41から上映装置42内にロードされる。
【0017】
図2は,第1の実施形態における鍵配信メッセージの生成方法の例を示している。鍵配信メッセージ31を生成するライセンス発行装置20は,コンテンツの暗号鍵を管理するデータベースであるコンテンツ暗号鍵記憶部22と,上映装置42の装置ID,公開鍵証明書および上映装置42の設置情報を管理するデータベースである上映装置管理情報記憶部23を有する。上映装置42の設置情報とは,その上映装置42が劇場40内の何番目のスクリーンに上映するかということを示すスクリーンを特定する情報である。
【0018】
上映ライセンス10がライセンス発行装置20に入力されたとき,ライセンス発行装置20では,有効期間付加部21によって,指定されたコンテンツの暗号鍵をコンテンツ暗号鍵記憶部22から取り出す。次に,取り出した暗号鍵に,上映ライセンス10の情報に基づき,有効期限情報(もしくは有効期間情報)を付加する。なお,ここでは有効期限も有効期間も,暗号鍵が使用可能なときという同じ意味で用いている。
【0019】
また,ライセンス発行装置20は,上映ライセンス10によって指定される上映スクリーンの情報に基づき,上映装置42の管理データベースである上映装置管理情報記憶部23から,そのスクリーンに設置された上映装置42の公開鍵証明書24を取り出し,取り出した公開鍵証明書24に含まれる暗号鍵によって前記有効期限付きのコンテンツ暗号鍵を暗号化する。ここでは,暗号化されたコンテンツ暗号鍵に属性情報を付与したメッセージを“鍵配信メッセージ”と呼ぶ。ここで,鍵配信メッセージ31では,コンテンツ暗号鍵は,個々の上映装置42の公開鍵によって暗号化されているため,対応する秘密鍵を内蔵する上映装置42によってしか復号できない。
【0020】
次に,ライセンス発行装置20は,上映ライセンス10から生成した鍵配信メッセージ31の束に対し,上映ライセンス10で指定された同時上映数および各鍵配信メッセージ31の宛先スクリーンの情報を含む鍵配信メッセージ束属性情報32を付加し,鍵配信メッセージ束30として劇場管理装置41に送付する。
【0021】
図3は,第2の実施形態における上映ライセンス10にスクリーン指定のない場合の鍵配信メッセージ束30の生成方法を示している。上映ライセンス10にスクリーン指定のない場合には,上映装置42の管理データベースである上映装置管理情報記憶部23より,劇場40に設置された全上映装置42の公開鍵証明書24を取り出し,これを用いて,全スクリーンに宛てた鍵配信メッセージ31を生成する。全スクリーンに対して鍵配信メッセージ31が生成されるため,劇場40内では,いずれの上映装置42に対しても鍵配信メッセージ31をロード可能であり,任意のスクリーンを選択して上映を行うことが可能である。
【0022】
図4は,鍵配信メッセージ31の劇場管理装置41での管理と上映装置42へのロード方法を示している。
【0023】
まず,劇場管理装置41では,ライセンス発行装置20より送付された鍵配信メッセージ束30を受領し,耐タンパ性を有する鍵配信メッセージ束記憶部412に外部からアクセスができないように安全に保管する。劇場40の管理者から,劇場管理装置41に対して,あるいは,指定されたスクリーンの上映装置42を経由して上映装置42への鍵配信メッセージ31のロード要求があった場合,劇場管理装置41の装置認証/同時上映数チェック部411は,まず,鍵配信メッセージ束30より指定されたスクリーンに対する鍵配信メッセージ31を取り出す。次に,上映装置42から提示された公開鍵証明書と,鍵配信メッセージ31の宛先を比較することにより,鍵配信メッセージ31がロード対象の上映装置42宛であることを確認する。この処理により,上映装置42が正しくスクリーンに設置されていることを保証することが可能となる。
【0024】
次に,劇場管理装置41の装置認証/同時上映数チェック部411は,鍵配信メッセージ束30の中で,劇場40内のスクリーンに送付済みとなっている有効な鍵配信メッセージ31の数をチェックし,この数が鍵配信メッセージ束30で指定された同時上映数を超えない場合にのみ,鍵配信メッセージ31を上映装置42に送付する。この処理により,あるコンテンツに対して,劇場40内において有効な鍵配信メッセージ31を有する上映装置42の数が,同時上映数以下となっていることを保証することが可能となる。
【0025】
上映装置42における鍵配信メッセージ暗号復号部424は,装置に内蔵する装置秘密鍵422を用いることにより,ロード済み鍵配信メッセージ記憶部421に格納されたロード済みの鍵配信メッセージ31を復号する。コンテンツ暗号復号部426は,あらかじめ暗号化コンテンツ記憶部425に記憶されている暗号化コンテンツを読み出し,鍵配信メッセージ暗号復号部424が復号したコンテンツ暗号鍵を取り出して暗号化コンテンツの暗号を復号する。ここで,コンテンツ暗号鍵には有効期限が設定されているため,上映ライセンス10によって指定される一定の期間の間のみに上映が可能である。
【0026】
図5は,前記鍵配信メッセージ束30の構成と,鍵配信メッセージ31の暗号化と,メッセージに対する署名処理の例を示している。
【0027】
鍵配信メッセージ束30は,宛先劇場321,同時上映数322,有効期間323といった劇場40に対する鍵配信メッセージ束属性情報32と,各スクリーン宛ての鍵配信メッセージ31ごとの鍵配信メッセージリスト310,鍵配信メッセージ束30の情報の改竄を防止するため,ライセンス発行装置20により付加される電子署名33,ライセンス発行装置公開鍵証明書34によって構成される。電子署名33により,改竄検出が可能なため,同時上映数の指定を変更することはできない。
【0028】
一方,鍵配信メッセージリスト310は,宛先スクリーン311,鍵配信メッセージ31を識別するID情報である鍵配信メッセージID312,鍵配信メッセージを暗号化した鍵配信メッセージ暗号鍵313によって構成される。ここで,鍵配信メッセージ31は,共通鍵暗号によって暗号化し,その暗号化に用いられた暗号鍵を,劇場管理装置41の秘密鍵に対応した公開鍵によって暗号化する。このため,鍵配信メッセージ31は,鍵配信メッセージ束30の宛先となる劇場管理装置41においてしか取り出すことができない。なお,具体的なファイル形式としては,鍵配信メッセージ31を鍵配信メッセージ束30の中に含める方法と,個別のファイルとする方法がある。
【0029】
図6は,本実施形態における上映ライセンス10の細分化の方法と鍵配信メッセージの生成の例を示している。本実施形態では,上映ライセンス有効期間を期間1,期間2,期間3の3つに分割し,各々の有効期間において,全スクリーンに対して鍵配信メッセージ束30を生成することを想定している。各期間において同時上映数が指定されるが,各期間内では,全スクリーンに対する鍵配信メッセージ31が発行されているため,劇場40内でスクリーンの指定を自由に行うことができる。したがって,1つのコンテンツで同時上映数以上の回数でスクリーン移動が行われた場合にもスクリーン選択が制限されることがない。
【0030】
一般的な映画の興行においては,上映スケジュールは1週間単位で行われるため,1週間ごとに鍵配信メッセージ31の有効期間を設定すればよい。また,さらに有効期間を細分化することで,上映スクリーンの移動を頻繁に行う場合にも対応することが可能である。なお,図6に示される鍵配信メッセージ31の管理方法においては,上映期間を細分化して管理するため,上映ライセンス10の変更により上映期間が打ち切られた場合にも対応することが可能である。
【0031】
図7は,上映装置42内の鍵配信メッセージ31に保持期間を設けた場合の同時上映数の管理方法の例を示している。この例では,4つの上映装置(A〜D)42に対して鍵配信メッセージ31が発行されている状態で,同時上映数の制限が“3”の場合を示している。
【0032】
上映装置42にロードされた鍵配信メッセージ31には保持期間が設けられており,保持期間の後に,鍵配信メッセージ31は上映装置42から削除される。図7に示すように,新たな鍵配信メッセージ31の送付時に有効な鍵配信メッセージ数を増やし,保持期間の終了時に減らすことにより,劇場40内において上映装置42にロードされている有効な鍵配信メッセージ31の数を管理することができる。新たな上映装置42に対する鍵配信メッセージ31のロード要求がきたとき,有効な鍵配信メッセージ31の数が同時上映数を超えた場合にこれを拒否することによって,同時上映数を守って上映が行われていることを保証することが可能である。
【0033】
なお,この方法においては,保持期間を過ぎて引き続き同じ上映装置42で上映を行う場合には,鍵配信メッセージ31の再取得が必要である。また,上映装置42において,保持期間の途中で鍵配信メッセージ31を削除した場合,劇場管理装置41における有効な鍵配信メッセージ31のカウント数に誤差が生じるが,鍵配信メッセージ31の削除を劇場管理装置41に通知する機構を設けることにより正しい鍵配信メッセージ数をカウントすることが可能となる。
【0034】
以上のように,本システムは,複数の上映装置42を有する劇場40に対して上映ライセンスを管理するにあたって,コンテンツとその上映期間,上映スクリーンの指定に加え,劇場40内の同時上映スクリーン数の最大数の指定を可能とする。このための本システムの特徴は,以下のとおりである。
【0035】
本システムの第一の特徴は,ライセンス発行装置20において,有効期間を設定したコンテンツ暗号鍵を上映装置42の公開鍵によって暗号化し,各上映装置42宛ての鍵配信メッセージ31を生成すると同時に,生成した鍵配信メッセージ31を束としてまとめた鍵配信メッセージ束30に,上映ライセンス10で指定される同時上映数とスクリーン情報を併せて劇場管理装置41に送付することである。
【0036】
本システムでは,第一の特徴により,鍵配信メッセージ31内のコンテンツ暗号鍵を取り出すことができるのは特定の上映装置42に限られるため,指定された期間および上映装置42以外でコンテンツの上映が行われることを制限することができる。また,劇場管理装置41に同時上映数とスクリーン情報が通知されるため,指定された上映装置42がスクリーンに設置されていることを確認すると同時に,劇場40内で有効になっている鍵配信メッセージ数を同時上映数以下に制限することが可能となる。
【0037】
第二の特徴は,上映ライセンス10においてスクリーンの指定がなかった場合,あるいは劇場の複数のスクリーンに対して上映が許可されている場合には,許可された全スクリーンに対して鍵配信メッセージ31を生成することである。この第二の特徴により,スクリーン指定がない場合には,全スクリーン宛てに鍵配信メッセージ31が生成されるため,劇場40内でスクリーンを自由に選択して上映を行うことが可能である。
【0038】
第三の特徴は,劇場管理装置41において,劇場40内で有効な鍵配信メッセージ31がロードされた上映装置42の数を同時上映数以下に抑えることである。この第三の特徴により,劇場40内において上映装置42にロードされた鍵配信メッセージ31は,同時上映数以下に制限されていることが保証される。したがって,同時上映数を超えた数のスクリーンで上映が行われることがない。
【0039】
第四の特徴は,上映ライセンス10で指定された上映期間を細分し,細分化された有効期間に対して鍵配信メッセージ31を生成することである。
【0040】
第五の特徴は,上映装置42にロードされた鍵配信メッセージ31が,指定された保持期間の後に削除されるように管理することである。
【0041】
第四,第五の特徴は,スクリーンの移動が同時上映数を超えた回数行われた場合においても,スクリーンの自由な選択を行うことを可能とする2つの手段を示している。
【0042】
まず,第四の特徴によれば,上映ライセンス10の有効期間を細分して鍵配信メッセージ31の有効期限が設定される。細分された有効期間ごとに鍵配信メッセージ31をロードする上映装置42が選択可能であるため,各有効期間において有効な鍵配信メッセージ数を制限しながら,上映ライセンス全体では,同時上映数を超えた数のスクリーンの移動が可能となる。
【0043】
また,第五の特徴によれば,上映装置42にロードされた鍵配信メッセージ31は一定の保持期間の後に削除されることを保証できる。保持期間を考慮して劇場40内で有効な鍵配信メッセージ数を管理することにより,同時上映数を超えた数のスクリーンの移動が可能となる。
【0044】
以上の上映ライセンス管理の処理は,コンピュータとソフトウェアプログラムとによって実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して提供することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】上映ライセンス管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】鍵配信メッセージの生成方法を示す図である。
【図3】スクリーン指定のない場合の鍵配信メッセージ束の生成方法を示す図である。
【図4】鍵配信メッセージの上映装置へのロード方法を示す図である。
【図5】鍵配信メッセージ束の暗号化と署名の例を示す図である。
【図6】上映ライセンス期間の細分化と鍵配信メッセージの生成の例を示す図である。
【図7】鍵配信メッセージの保持期間を設けた場合の同時上映数の管理方法の例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
10 上映ライセンス
20 ライセンス発行装置
30 鍵配信メッセージ束
31 鍵配信メッセージ
40 劇場
41 劇場管理装置
42 上映装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライセンス発行装置と,劇場内に設置される劇場管理装置と,劇場内において前記劇場管理装置に接続される1つ以上の上映装置とによって構成される上映ライセンス管理システムであって,
前記ライセンス発行装置は,
前記上映装置で上映する暗号化されたコンテンツの復号に用いるコンテンツ暗号鍵を保管するコンテンツ暗号鍵記憶手段と,
前記上映装置の公開鍵証明書および前記上映装置のスクリーンを特定する設置情報を管理する上映装置管理情報記憶手段と,
上映対象のコンテンツ,該コンテンツを上映する劇場とスクリーン,上映期間,および,劇場内で同時に上映可能なスクリーンの最大数を示す同時上映数を指定する上映ライセンスの情報を入力する手段と,
入力した上映ライセンスの情報に対して,前記コンテンツ暗号鍵記憶手段から読み出した該当するコンテンツ暗号鍵に,前記上映ライセンスで指定された上映期間に基づき有効期限を付加し,これを前記スクリーンに設置された上映装置の公開鍵証明書から得た公開鍵によって暗号化することにより鍵配信メッセージを生成する手段と,
生成された複数の鍵配信メッセージに対して,前記同時上映数,および,各鍵配信メッセージの宛先スクリーン情報を付加することにより,鍵配信メッセージ束を生成する手段と,
生成された鍵配信メッセージ束を前記劇場管理装置に送付し,送付先の劇場管理装置に対し同時に上映するスクリーンの数を前記同時上映数以下に制限させる手段とを備える
ことを特徴とする上映ライセンス管理システム。
【請求項2】
前記上映ライセンスの指定において,スクリーンの指定がなく,同時上映数が指定されている場合に,前記ライセンス発行装置の鍵配信メッセージを生成する手段は,劇場内の全スクリーンに対し,前記鍵配信メッセージを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の上映ライセンス管理システム。
【請求項3】
前記劇場管理装置は,
前記上映装置に対する鍵配信メッセージのロード要求に対し,指定されたスクリーンに対する鍵配信メッセージの宛先と,前記上映装置から提示される装置IDとが合致していることを確認することにより鍵配信メッセージの送付先となる上映装置を認証する手段と,
劇場内の全上映装置において有効な鍵配信メッセージが,前記鍵配信メッセージ束で指定される同時上映数を超えないときにのみ,前記鍵配信メッセージを前記上映装置に送信する手段とを備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の上映ライセンス管理システム。
【請求項4】
前記ライセンス発行装置は,
前記鍵配信メッセージ束に含まれる鍵配信メッセージを,送付先の劇場管理装置においてのみ復号可能な暗号方法により暗号化する手段と,
前記鍵配信メッセージ束に付加される同時上映数および宛先スクリーン情報に対する改竄防止のための電子署名手段とを備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の上映ライセンス管理システム。
【請求項5】
前記ライセンス発行装置の鍵配信メッセージを生成する手段は,前記上映ライセンスで指定された上映期間を複数の期間に分割し,分割された期間ごとに有効な前記鍵配信メッセージを生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の上映ライセンス管理システム。
【請求項6】
前記上映装置は,前記劇場管理装置から送信された鍵配信メッセージを,ロード時点から指定期間内に破棄する手段を備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の上映ライセンス管理システム。
【請求項7】
ライセンス発行装置と,劇場内に設置される劇場管理装置と,劇場内において前記劇場管理装置に接続される1つ以上の上映装置とによって構成される上映ライセンス管理システムにおける上映ライセンス管理方法であって,
前記ライセンス発行装置が,
上映対象のコンテンツ,該コンテンツを上映する劇場とスクリーン,上映期間,および,劇場内で同時に上映可能なスクリーンの最大数を示す同時上映数を指定する上映ライセンスの情報を入力するステップと,
入力した上映ライセンスの情報に対して,前記上映装置で上映する暗号化されたコンテンツの復号に用いるコンテンツ暗号鍵を保管するコンテンツ暗号鍵記憶手段から読み出した該当するコンテンツ暗号鍵に,前記上映ライセンスで指定された上映期間に基づき有効期限を付加し,これを前記上映装置の公開鍵証明書および前記上映装置のスクリーンを特定する設置情報を管理する上映装置管理情報記憶手段から読み出した前記上映装置の公開鍵証明書から得た公開鍵によって暗号化することにより鍵配信メッセージを生成するステップと,
生成された複数の鍵配信メッセージに対して,前記同時上映数,および,各鍵配信メッセージの宛先スクリーン情報を付加することにより,鍵配信メッセージ束を生成するステップと,
生成された鍵配信メッセージ束を前記劇場管理装置に送付し,送付先の劇場管理装置に対し同時に上映するスクリーンの数を前記同時上映数以下に制限させるステップとを実行する
ことを特徴とする上映ライセンス管理方法。
【請求項8】
ライセンス発行装置と,劇場内に設置される劇場管理装置と,劇場内において前記劇場管理装置に接続される1つ以上の上映装置とによって構成される上映ライセンス管理システムにおける上映ライセンス管理方法であって,
前記ライセンス発行装置が,
上映対象のコンテンツ,該コンテンツを上映する劇場,上映期間,および,劇場内で同時に上映可能なスクリーンの最大数を示す同時上映数を指定する上映ライセンスの情報を入力するステップと,
入力した上映ライセンスの情報に対して,前記上映装置で上映する暗号化されたコンテンツの復号に用いるコンテンツ暗号鍵を保管するコンテンツ暗号鍵記憶手段から読み出した該当するコンテンツ暗号鍵に,前記上映ライセンスで指定された上映期間に基づき有効期限を付加し,これを前記上映装置の公開鍵証明書および前記上映装置のスクリーンを特定する設置情報を管理する上映装置管理情報記憶手段から読み出した前記上映装置の公開鍵証明書から得た公開鍵によって暗号化することにより,鍵配信メッセージを送付先の劇場内の全スクリーンに対してそれぞれ生成するステップと,
生成された複数の鍵配信メッセージに対して,前記同時上映数,および,各鍵配信メッセージの宛先スクリーン情報を付加することにより,鍵配信メッセージ束を生成するステップと,
生成された鍵配信メッセージ束を前記劇場管理装置に送付し,送付先の劇場管理装置に対し同時に上映するスクリーンの数を前記同時上映数以下に制限させるステップとを実行する
ことを特徴とする上映ライセンス管理方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の上映ライセンス管理方法を,コンピュータに実行させるための上映ライセンス管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−94602(P2009−94602A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260560(P2007−260560)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】