不良検査装置、部品実装システム、不良検査方法、プログラム
【課題】部品実装工程の中途段階において半田付け不良を検出可能な不良検査装置を提供する。
【解決手段】半田印刷工程後のプリント基板を撮像した印刷基板画像データと部品装着工程後のプリント基板を撮像した部品装着基板画像データからパッド上の半田面積を求める。そして、対のパッドごとにおける半田面積の半田印刷工程後と部品装着工程後とでの変化量の差分に基づいて部品実装の不良が発生したか否かについて判定する。
【解決手段】半田印刷工程後のプリント基板を撮像した印刷基板画像データと部品装着工程後のプリント基板を撮像した部品装着基板画像データからパッド上の半田面積を求める。そして、対のパッドごとにおける半田面積の半田印刷工程後と部品装着工程後とでの変化量の差分に基づいて部品実装の不良が発生したか否かについて判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の半田付け不良を検査する不良検査装置、不良検査方法およびプログラムに関する。また、不良検査装置を備える部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対する部品実装技術としてSMT(Surface Mount Technology:表面実装技術)が知られている。SMTは、プリント基板に部品実装用の孔部を形成するのではなく、プリント基板上に載置するように部品を装着し、装着面に対する半田付けにより部品の固定と接続を行うという技術である。このSMTによる基板への部品実装は、半田印刷工程、部品装着工程、リフロー工程の順に行われる。
【0003】
このSMTにより実装される部品として、その両端にそれぞれ電極を有するチップ型の部品が広く知られている。このチップ型の部品は、リフロー工程後において「部品浮き」または「部品立ち(マンハッタンあるいはツームストーン)」などと呼ばれるはんだ付け不良が発生する場合がある。この部品浮きとは、チップ型の部品の一方の端部が基板から浮き上がる(立ち上がる)現象である。
【0004】
上記部品浮きによる不良を検査するものとして、以下のような技術が知られている。つまり、半田印刷工程、部品装着工程およびリフロー工程の各工程においてプリント基板を撮像し、リフロー工程の撮像画像から浮き不良を検査し、浮き不良が検出された場合に、部品実装工程の撮像画像から半田にじみの有無を判定し、半田にじみが有る場合に、浮き不良の発生原因が半田印刷工程における半田ペースト量の過多であると特定するというものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−324424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の技術では、SMTにおける工程ごとの撮像画像に基づいて浮き不良の原因を特定することが可能である。しかし、この技術は、以降の不具合対策や品質管理を効率的に実現するために行われるもので、部品実装が完了するまでの工程の途中において不良を検出するための配慮は為されていない。
【0007】
部品実装完了後(リフロー工程後)の基板に不良が検出された場合には、この基板から部品を取り外して付け直しなどの修正を行うことになるが、リフロー工程後においては、部品と基板のパッドと半田により既に接合された状態になっているため、半田を溶かすなどして部品を外す必要があり手間がかかる。これに対して、リフロー工程の前段階で不良が検出可能となれば、まだ半田による接合が完了していないので、基板に実装された部品の取り外し作業は非常に容易なものとなり、製造効率が向上することとなって好ましい。
【0008】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる不良検査装置、部品実装システム、不良検査方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、本発明の一態様としての不良検査装置は、半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部とを備える。
【0010】
また、本発明の一態様としての部品実装システムは、プリント基板のパッドに半田を塗布する半田印刷工程を行う半田印刷装置と、前記半田印刷装置により前記パッドに半田が塗布されたプリント基板を撮像して印刷基板画像データを生成する印刷基板撮像装置と、前記半田印刷装置により半田が塗布された前記プリント基板のパッドに対して部品を装着する部品装着工程を行う部品装着装置と、前記部品装着装置により部品が装着されたプリント基板を撮像して部品装着基板画像データを生成する部品装着基板撮像装置と、前記部品装着装置により部品が装着されたプリント基板を加熱して前記半田を溶融させることにより、装着された前記部品を前記パッドに半田付けするリフロー工程を行うリフロー炉と、不良検査装置とを備え、前記不良検査装置は、前記印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、前記部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部とを備える。
【0011】
また、本発明の一態様としての不良検査方法は、半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成ステップと、部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成ステップと、判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定ステップとを備える。
【0012】
また、本発明の一態様としてのプログラムは、コンピュータを、半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成手段、部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成手段、判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定手段として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品実装工程の中途段階において半田付け不良を検出可能な不良検査装置を提供可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態としての不良検査装置を含む部品実装システムの構成例を示す図である。
【図2】装着時の部品の傾きを原因とする浮き不良に応じた部品と半田の状態例を示す図である。
【図3】装着時に部品が傾く原因例を示す図である。
【図4】図2における半田印刷工程後と部品装着工程後の半田面積の変化例を示す図である。
【図5】半田印刷時の半田量のアンバランスを原因とする浮き不良に応じた部品と半田の状態例を示す図である。
【図6】パッドから半田がはみ出しているに係わらず不良の発生がないとされる部品と半田の状態例を示す図である。
【図7】本実施形態における不良検査装置の構成例を示す図である。
【図8】本実施形態における不良検査装置の機能構成例を示す図である。
【図9】印刷基板半田情報または部品搭載基板半田情報の構造例を示す図である。
【図10】不良検査装置が実行する処理手順例を示す図である。
【図11】不良判定部が実行する不良判定処理の手順例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[部品実装システムの構成]
図1は、本実施形態の不良検査装置100を含む部品実装システム1の構成例を示している。本実施形態の部品実装システム1は、プリント基板のしかるべき位置に対して部品を半田付けすることにより部品実装を行うものであり、そのための複数の装置から成る。また、本実施形態の部品実装システム1は、SMT(Surface Mount Technology)に対応する。SMTは、プリント基板上に部品を装着し、基板上の部品実装面に対して半田付けを行うことにより部品の固定と接続を行うというものであり、半田印刷工程、部品装着工程、リフロー工程の順で進行する。
【0016】
半田印刷工程は、プリント基板に形成されたパッドといわれる電極に対してクリーム状の半田を塗布する工程である。部品装着工程は、上記のようにクリーム状の半田が塗布されたパッド位置に対して部品を載せ置くように装着する工程である。リフロー工程は、部品が装着されたプリント基板全体を加熱することにより半田を溶融させ、これによりプリント基板に部品を固定させる工程である。
【0017】
本実施形態の部品実装システム1は、半田印刷装置2、部品装着装置3、リフロー炉4、搬送装置5、搬送装置6、印刷基板撮像装置7、部品装着基板撮像装置8および不良検査装置100から成る。
【0018】
半田印刷装置2は、半田印刷工程としての動作を実行する装置である。半田印刷装置2には、部品が固定される導体であるパッドのパターンが形成されたプリント基板10が搬入されてくる。半田印刷装置2は、搬入されてくるプリント基板10のパッドに対してクリーム状の半田を塗布するためのスクリーン印刷を行う。
【0019】
半田の塗布が終了して半田印刷装置2から排出されたプリント基板10は、搬送装置5に受け渡される。搬送装置5は、この受け渡されたプリント基板10を部品装着装置3に対して搬送する。
【0020】
部品装着装置3には、上記のようにパッド上に半田が塗布されたプリント基板10が搬送装置5により搬入される。部品装着装置3は、この搬入されたプリント基板10上の半田が塗布されたパッド位置に載せ置くように部品を装着する。
【0021】
部品の装着が終了して部品装着装置3から搬出されたプリント基板10は、搬送装置6に対して受け渡される。搬送装置6は、この受け渡されたプリント基板をリフロー炉4に対して搬送する。
【0022】
リフロー炉4には、部品が装着されたプリント基板10が上記搬送装置6により搬入される。リフロー炉4は、搬入されたプリント基板10全体を所定の温度および時間により加熱することにより半田を溶融させることで半田付けを行い、プリント基板10に対する部品の固定とパッドとの電気的接続を行う。これにより、リフロー炉4からは、部品が固定された状態で実装されたプリント基板10が排出されることになる。
【0023】
印刷基板撮像装置7は、半田印刷装置2による半田印刷工程が終了した段階のプリント基板10ごとに、その半田が塗布される基板面を平面方向より撮像して画像データを生成する。このように生成された画像データは、プリント基板10ごとの半田印刷工程後の状態を示す印刷基板画像データとして不良検査装置100に出力される。本実施形態において、印刷基板撮像装置7は、搬送装置5により搬送途中のプリント基板10を撮像可能なように設けられているものとする。
【0024】
また、部品装着基板撮像装置8は、部品装着装置3による部品装着工程が終了した段階のプリント基板10ごとに、半田の塗布および部品の装着が行われた基板面(印刷基板撮像装置7が撮像するのと同じ基板面となる)を平面方向より撮像して画像データを生成する。このように生成された画像データは、プリント基板10ごとの部品装着工程後の状態を示す部品装着基板画像データとして不良検査装置100に出力される。また、部品装着基板撮像装置8は、搬送装置6により搬送途中のプリント基板10を撮像可能なように設けられているものとする。
【0025】
不良検査装置100は、印刷基板撮像装置7から出力される部品装着基板画像データと、部品装着基板撮像装置8から出力される部品装着基板画像データとを利用して、部品装着工程後の段階でプリント基板10における部品実装不良についての検査を行う。
【0026】
[不良発生の原因]
本実施形態の不良検査装置100による不良検査のための構成を説明するのに先立ち、不良検査装置100が検査対象とする不良が発生する原因について説明する。SMTにおける部品実装不良として代表的なものは浮き不良である。
【0027】
図2は、浮き不良が発生する過程の一例を示している。図2(a)および図2(b)は、プリント基板10におけるパッド11a、11bの各々に対して、半田印刷工程により半田20a、20bが塗布された状態を、それぞれ、平面図および側面図により示している。パッド11aと11bは対の関係にあり、それぞれに対して同じ1つの部品が実装される。つまり、部品30はその両端に2つの電極31を備えている。そして、上記2つの電極31のうち一方がパッド11aと半田付けされ、他方の電極31がパッド11bと半田付けされることで、パッド11aおよび11bに対応する位置に部品が固定されるように実装されるものである。
【0028】
図2(a)によると、半田20aと半田20bは、それぞれパッド11aと11bにおいて面積が互いにほぼ同じとなっている。また、図2(b)によると、半田20aと半田20bの高さは同じものとして示されている。これは、半田20aと半田20bの各塗布量(すなわち体積)が同じであることを示している。
【0029】
部品実装不良を回避するにあたり、同じ部品に対応する複数のパッドに塗布される半田はできるだけ同量であることが求められる。パッドごとにおける半田の塗布量がアンバランスになると、パッドごとにおける半田と部品の電極31との接触面積にもアンバランスが生じる。この状態でリフロー工程を行ったとすると、半田が溶融した際の表面張力にも差異が生じて、部品は表面張力の大きい側のパッドに引き寄せられてしまう。これにより、表面張力が弱い側のパッドにおいて、部品の浮きが生じやすくなる。
【0030】
しかし、図2(a)および図2(b)のように同量の半田20a、20bが塗布されたとしても、次の部品装着工程での不具合によって不良が発生する可能性がある。図2(c)および図2(d)は、部品装着工程を終了した段階のパッド11aと11bの部分を平面図および側面図により示している。これら図2(c)および図2(d)には、パッド11aと11bに塗布された半田20aと20bに対して、その上から部品30を載せ置くようにして装着された状態が示されている。なお、この部品30は、チップ部品ともいわれるもので、その両端に電極31、31をそれぞれ備える。
【0031】
ここで示される部品30の装着状態には不具合が生じている。つまり、本来であれば、部品30は、半田20aと20bの上においてほぼ水平な姿勢となるように載せ置かれるべきである。しかし、図2(d)に示されるように、この場合の部品30は、半田20aよりも半田20bのほうに傾くように載せ置かれている。
【0032】
このような部品30の装着姿勢の傾きが生じる原因の一例について、図3により説明する。図3においてノズル40は、部品装着装置3において備えられ、部品30を装着位置にまで搬送するために、部品30を吸引して持ち上げる部位である。このノズル40が部品30を吸引しようとした際に、ノズル40と部品30の間に異物50があったとすると、この異物50が挟まってしまったまま部品30を持ち上げてしまい、部品30が傾いてしまう。そして、このままの状態で実装位置にまで搬送して装着が行われた場合、部品30は傾いた姿勢のまま半田20aと20bに押し当てられる。例えばこのようなことが原因で、部品30の装着姿勢が傾く。
【0033】
上記のように部品30が半田20b側に傾いて装着された場合、半田20bに対する部品30の押し込み具合は、もう一方の半田20a側よりも大きくなる。図4(a)は、図2(a)と同様の半田印刷工程後のパッド11a、11bにおける半田20a、20bの状態を示している。図4(b)は、図2(c)に示した部品装着工程後の状態において、説明の便宜から部品30の図示を省略したものである。つまり、図4(b)は、図2(c)および図2(d)の状況に対応した半田20a、20bの状態を示している。
【0034】
図4(a)に示される半田印刷工程後において、パッド11aに塗布された半田20aの面積Sa1とパッド11bに塗布された半田20bの面積Sb1は同じである。しかし、図4(b)の部品装着工程後においては、図2(d)のように部品30が傾いて半田20b側に傾いて装着されたことで、半田20bは、半田20aよりも部品30によって押し込まれる度合いが多くなる。これに伴い、部品30が押し込まれることによる平面方向における半田の拡がり具合は、半田20aよりも半田20bのほうが大きくなってしまう。この結果、図4(b)に示すように、部品装着工程後の半田20aの面積Sa2は、半田印刷工程後の面積Sa1に対してさほど変化していないのに対して、部品装着工程後の半田20bの面積Sb2は、半田印刷工程後の面積Sb1に対して相当に大きく拡大している。
【0035】
このように面積Sb2が拡大することにより部品30と半田20bの接触面積は半田20a側よりも大きくなり、これにより、前述のようにリフロー工程における半田20aと半田20bの表面張力差によって浮き不良が発生し得ることになる。
【0036】
図2(e)および図2(f)には、図2(c)および図2(e)の状態からリフロー工程を経た結果として浮きが発生した状態を示している。この図では、半田20a、20bが溶融した状態において半田20bの表面張力のほうが半田20aよりも大きかったために、半田20bのほうに部品30が引っ張られて偏り、その影響で、半田20a側において部品30の電極31が確実に接合していない浮き不良が発生した状態が示されている。
【0037】
また、図5を参照して、半田塗布量のアンバランスを原因とする浮き不良について説明する。図5(a)の平面図と図5(b)の側面図には、半田印刷工程後の状態として、パッド11a、11bのそれぞれに半田20a、20bが塗布された状態が示されている。
【0038】
図5(a)の平面図によると半田20a、20bの各面積Sa1、Sa2は同じとされているが、図5(b)の側面図に示されるように、半田20aよりも半田20bのほうが厚さ(高さ)が大きい。これは、半田20aと半田20bの塗布量がアンバランスであることを意味している。
【0039】
次に、上記図5(c)および図5(d)は、上記図5(a)および図5(b)の状態から部品装着工程により部品30を装着した状態を示している。この場合、部品30は、それ自体が傾くことなく正常に装着されたものとする。しかし、半田20bの量が過剰であったために、図5(d)に示すように、部品30は、半田20bの側において半田20aの側より高い度合いで押し込まれた状態となっている。これに伴い、図5(c)に示すように、平面方向からみた半田20bの面積Sb2は、半田20aの面積Sa2よりも大きく拡がっている。
【0040】
したがって、図5(c)および図5(d)においては、先の図4(c)および図4(d)と同じ半田20a、20bの状態となっており、これに伴って部品30との接触面積も半田20bのほうが大きくなっている。
【0041】
これにより、図5(c)および図5(d)の状態からリフロー工程を行った場合には、前述のように溶融した半田20aと半田20bとの間で生じる表面張力差によって図5(e)および図5(f)に示すように浮き不良が発生する。このように、半田印刷工程における塗布量のアンバランスも浮き不良の発生原因となる。
【0042】
また、図6を参照して、半田の塗布量が過多の傾向ではあるが不良ではないという状態について説明しておく。図6(a)には、半田印刷工程後のパッド11a、11bが示されている。この場合のパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの塗布量は、過多の傾向ではあるが同量であるという状態を想定する。このとき、平面方向における半田20aの面積Sa1と半田20bの面積Sb1は同じであるとする。
【0043】
上記の状態から部品装着工程を行った後の状態を図6(b)に示す。この場合には部品30は、傾くことなく正常に装着されたものとする。装着された部品30が半田20a、20bを押し込むことにより、半田20a、20bは、平面方向において或る程度拡がることになる。ここでは半田20a、20bの塗布量が過多の傾向であったために、半田20a、20bは、いずれもパッド11a、11bの一部からはみ出してしまった状態を示している。ただし、前述のように、半田20aと半田20bは同量であることにより、図6(b)に示される半田20aの面積Sa2と半田20bの面積Sb2は、それぞれ、面積Sa1と面積Sb1よりも大きいが、互いに同等となっている。
【0044】
図6(c)は、上記図6(b)の状態からリフロー工程を行った後の状態を示している。この場合、半田20a、20bの塗布量が過多の傾向ではあったものの、部品装着工程後の半田20aと半田20bの面積Sa2とSb2は上記図6(b)に示したように同等となっている。このために、浮き不良は生じていない。
【0045】
一方、半田20aと半田20bは、リフロー工程において一度溶融したために、パッド11a、11bからのはみ出しの程度は、図6(b)の状態よりも大きくなっている。しかし、この図6(c)に示される程度の半田20aと半田20bのパッド11a、11bからのはみ出し具合では、パッド間の短絡は生じないものであり、したがって不良にはつながらないものとされる。このように、半田の塗布量が過多であっても半田のパッドからのはみ出し量が許容以下である場合には不良とはならない。
【0046】
[不良検査装置の構成例]
本実施形態の不良検査装置100は、上記図2と図4により説明した部品実装不良を、部品装着工程後の段階、つまり、リフロー工程前の段階で検出する。また、半田20a、20bがパッド11a、11bからはみ出していても、図6により説明した状態については不良ではないと検出する。以降、このための不良検査装置100の構成について説明していく。
【0047】
図7は、不良検査装置100の構成例を示している。この図に示す不良検査装置100は、CPU101、RAM102、記憶部103、入力インターフェース104、出力インターフェース105およびデータインターフェース106を備える。また、これらの部位はデータバス107により接続される。
【0048】
CPU101は、記憶部103に記憶されるプログラムを実行することにより、不良検査装置100としての動作を実現する部位である。
【0049】
RAM102は、主記憶装置として機能するもので、CPU101が実行すべきプログラムが記憶部103から読み出されて展開される。また、RAM102は、CPU101が演算処理を実行する際の作業領域として使用される。
【0050】
記憶部103は、補助記憶装置として機能するもので、CPU101により実行されるプログラムや各種データを格納する。なお、この記憶部103には、例えばハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用することができる。
【0051】
入力インターフェース104は、例えばキーボードやマウスなどの操作デバイスをはじめとする入力デバイスを一括して示したものである。出力インターフェース105は、例えばディスプレイデバイス(表示部)やスピーカ(音声出力部)などの出力デバイスを一括して示したものである。
【0052】
データインターフェース106は、CPU101の制御に応じて、所定の1以上のデータインターフェース規格に対応して通信を実行する。本実施形態においては、印刷基板撮像装置7および部品装着基板撮像装置8がデータインターフェース106と接続される。これにより、不良検査装置100は、印刷基板撮像装置7にて生成された印刷基板画像データと部品装着基板撮像装置8にて生成された部品装着基板画像データをデータインターフェース106経由で入力することができる。なお、この図7に示す構成は、例えばコンピュータ装置により具現化することができる。
【0053】
[不良検査装置の機能構成例]
図8は不良検査装置100のCPU101がプログラムを実行することにより実現される機能部の構成例を示している。CPU101は、図示するように、印刷基板画像データ取得部111、印刷基板半田情報生成部112、部品装着基板画像データ取得部113、部品装着基板半田情報生成部114、不良判定部115および通知制御部116としての各機能を備える。また、同図においては、RAM102が記憶するデータのうち、CPU101が不良判定に利用するデータとして、印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220が示される。
【0054】
印刷基板画像データ取得部111は、データインターフェース106を経由して入力した印刷基板画像データを取得する。
【0055】
印刷基板画像データは、前述のように半田印刷工程後におけるプリント基板10においてパッドが形成されている基板面を印刷基板撮像装置7が平面方向から撮像して得たものである。つまり、印刷基板画像データの画像にはパッドごとの半田の塗布状態が示されている。印刷基板半田情報生成部112は、この印刷基板画像データから、プリント基板10のパッドごとにおける半田の塗布状態を反映した印刷基板半田情報210を生成し、RAM102に記憶させる。
【0056】
また、部品装着基板画像データ取得部113は、データインターフェース106を経由して入力した部品装着基板画像データを取得する。
【0057】
部品装着基板画像データは、部品装着工程後におけるプリント基板10においてパッドが形成されている基板面を平面方向から撮像して得たものである。したがって、部品装着基板画像データの画像には、パッドごとおいて部品が装着されたことにより変化した半田の塗布状態が示される。部品装着基板半田情報生成部114は、この部品装着基板画像データから、プリント基板10のパッドごとにおける部品装着後の半田の塗布状態を反映した部品装着基板半田情報220を生成し、RAM102に記憶させる。
【0058】
本実施形態において、印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220は同じ構造を有するものとする。図9は、印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220の構造例を示している。
【0059】
印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220は、図示するように、工程識別子領域211、221、基板識別子領域212、222、部品識別子領域213、223、パッド情報領域214、224および半田面積領域215、225の各領域から成る。
【0060】
工程識別子領域211、221は、直前段階において終了した工程を識別する識別子を格納する。印刷基板半田情報210であれば、半田印刷工程を示す識別子が格納される。部品装着基板半田情報220であれば、部品装着工程を示す識別子が格納される。
【0061】
基板識別子領域212、222は、当該印刷基板半田情報210または部品装着基板半田情報220が対応するプリント基板10を個々に識別する基板識別子を格納する。基板識別子領域212と222が同じ印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220は、それぞれ、同じプリント基板10に対応していることになる。
【0062】
部品識別子領域213、223は、対応のプリント基板10において実装される部品ごとに付された部品識別子を格納する。パッド情報領域214、224は、対応のプリント基板10に形成されたパッドごとの位置を示すパッド位置をはじめ、パッドに関連する所定の情報を格納する。部品識別子領域213、223とパッド情報領域214、224が格納するパッド位置との対応付けにより、各パッドが対応して実装される部品を特定することができる。
【0063】
半田面積領域215、225は、対応のパッド情報領域214、224が格納するパッド位置情報が示すパッドに塗布された半田についての面積を示す半田面積を格納する。この半田面積は、具体的に、図4において説明した半田面積Sa1、Sb1、Sa2、Sb2などに相当する。なお、半田面積は、後述するように半田の画像部分を形成する画素数として示すことができる。しかし、例えば、半田の平面方向における形状が方形であることを前提とした場合には、図4(a)に示すように、半田20aの隣り合う辺Px、Pyを格納してもよい。
【0064】
印刷基板半田情報生成部112は、一例として、以下のように上記構造の印刷基板半田情報210を生成する。図示は省略するが、記憶部103には、部品実装システム1により部品実装を行う基板についての各種情報を格納したデータベースが記憶されているものとする。
【0065】
印刷基板半田情報生成部112は、上記データベースから、現在において半田印刷工程の対象となっているプリント基板の基板識別子と、この基板識別子に対応付けられている部品識別子とパッド位置の情報を読み込む。そして、これらの読み込みを行った基板識別子、部品識別子およびパッド位置の情報を、それぞれ、基板識別子領域212、部品識別子領域213およびパッド情報領域214に格納する。また、工程識別子領域211には、半田印刷工程に対応して予め設定されている工程識別子の値を格納する。
【0066】
次に、印刷基板半田情報生成部112は、以下のように半田面積領域215に格納する半田面積を求める。印刷基板半田情報生成部112は、印刷基板画像データにおけるプリント基板10の画像とパッド情報領域214に格納される各パッド位置とを照合する。これにより、印刷基板画像データにおけるパッドをパッド情報領域214に格納されるパッド位置と対応付ける。これにより、印刷基板画像データにおけるパッド位置と部品の対応付けが認識される。
【0067】
そのうえで、印刷基板半田情報生成部112は、印刷基板画像データの画像において上記のように認識されたパッド位置ごとの半田面積を算出する。半田面積の算出手法としてはいくつか考えられるが、一例として、予め半田の画像部分に相当するものとして予め登録された画素値の情報を利用して、印刷基板画像データから半田が塗布されている半田領域を特定する。そして、この半田領域を形成する画素の数を求める。このように求められた画素数を半田面積とすることが考えられる。
【0068】
印刷基板半田情報生成部112は、上記のように取得した工程識別子、基板識別子、部品識別子、パッド位置および半田面積により、図9に示す印刷基板半田情報210を生成する。
【0069】
なお、部品装着基板半田情報生成部114による部品装着基板半田情報220の生成処理も、上記印刷基板半田情報生成部112による印刷基板半田情報210の処理に準ずる。ただし、部品装着基板画像データにおける半田の領域は、部品によってその一部が隠れた状態となるため、半田に相当する画素値の画素の数をそのまま半田面積として求めた場合には、実際の半田面積より小さくなってしまう。そこで、この場合には、部品によって隠れた半田の部分を補間処理などによって推定して半田領域全体を特定したうえで半田面積としての画素数を求めることとすればよい。
【0070】
説明を図8に戻す。不良判定部115は、印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220に基づいて半田の部品実装不良の有無についての判定を行う。なお、不良判定部115による不良判定手法例については後述する。
【0071】
通知制御部116は、不良判定部115により部品実装不良であると判定されるのに応じて、作業者に対して部品実装不良の発生を通知するための制御を実行する。具体例として、通知制御部116は、出力インターフェース105におけるスピーカなどから、部品実装不良が発生したことを通知するアラーム音を出力させる。また、不良が発生したプリント基板10を示す情報、不良が発生した箇所を示す情報などを出力インターフェース105におけるディスプレイデバイスなどに表示させる。
【0072】
不良判定部115による不良判定の一例について、再度、図4を参照して説明する。前述のように、図4(a)に示されるパッド11a、11bは同じ部品に対応している。そのうえで、半田印刷工程によりパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの状態が示されている。また、図4(b)は、図4(a)の状態から部品装着工程を行った後の半田20a、20bの状態について部品の図示を省略して示している。
【0073】
ここで、図4(a)の半田印刷工程後のパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの半田面積は、それぞれ、印刷基板半田情報210においてパッド11a、11bのパッド位置に対応した半田面積領域215に格納されている。同様に、図4(b)の部品装着工程後のパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの半田面積は、それぞれ、部品装着基板半田情報220において同じパッド11a、11bのパッド位置に対応した半田面積領域225に格納されている。
【0074】
不良判定部115は、上記印刷基板半田情報210から、半田印刷工程後のパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの半田面積Sa1、Sb1を読み込む。また、上記部品装着基板半田情報220から、部品装着工程後のパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの半田面積Sa2、Sb2を読み込む。そして、これらの半田面積と予め設定した閾値th1について以下の式が成立するか否かについて判定する。
|(Sb2−Sb1)−(Sa2−Sa1)|≧th1
不良判定部115は、上式が成立すれば不良が発生していると判定し、成立しなければ不良は発生していないと判定する
【0075】
上式の左辺における(Sb2−Sb1)の項は、パッド11bに塗布された半田20bについての半田印刷工程後と部品装着工程後の半田面積の差分を示している。また、同じ上式の左辺における(Sa2−Sa1)の項は、パッド11aに塗布された半田20aについての半田印刷工程後と部品装着工程後の半田面積の差分を示している。したがって、上式の左辺は、半田印刷工程後と部品装着工程後の間での半田20aの変化量と半田20bの変化量との差分を示している。
【0076】
例えば、図2にて例示したように部品30が傾いて装着されたことでパッド11bのほうの面積が大きく拡大したような場合(図2(a)から図2(c)への遷移)には、上式の左辺の値が大きくなって例えば閾値th1を超えることになる。また、図5にて例示したように半田の塗布量がアンバランスなために部品30の装着による半田面積の拡がりに差が生じたような場合(図5(a)から図5(c)への遷移)にも、上式の左辺の値が大きくなって閾値th1を超えることになる。このように、不良判定部115が上式を利用することにより、図2に例示した装着工程における部品30の傾きや、図5に例示した半田塗布量のアンバランスを原因とする部品実装不良を的確に判定することができる。
【0077】
また、図示による説明は省略するが、半田印刷工程によりパッド11aとパッド11bに塗布された半田20a、20bの半田面積が異なっていたのに、部品装着工程後において上記半田面積が同じなるような場合がある。これは、次のような場合に生じ得る。つまり、半田印刷工程後において半田20a、20bの塗布量に差により半田面積が異なる場合がある。この状態から部品30が傾いて装着されるなどした場合には部品30が半田を押し拡げる度合いに差が生じ、この結果、部品装着工程後において上記半田面積が同程度となる場合がある。このような状態も、部品実装不良となる可能性が高い。
【0078】
先の上式によれば、半田20aと半田20bとで、半田印刷工程後と部品装着工程後との間での半田面積の変化量の差を求めている。上記の不良は、部品装着工程後における半田20aと半田20bの半田面積が同等であっても、半田印刷工程後と部品装着工程後の半田面積の変化量は相当に異なっていることになる。したがって、先の上式によれば、半田塗布量が元々アンバランスではあるが、部品装着工程後において半田面積が同等となってしまうような場合にも対応して的確に不良判定を行うことが可能になる。
【0079】
これまでの説明から理解されるように、不良判定部115は、半田印刷工程と部品装着工程のそれぞれにおける半田面積を利用して不良判定を行っている。これは、不良判定にあたり、印刷基板画像データと部品装着基板画像データを組み合わせて利用していることを意味している。これにより、上述のように、パッドごとにおける半田印刷工程後と部品装着工程後の半田面積の変化量を求めることが可能となり、この変化量に基づいて不良判定を行う。そして、このように半田印刷工程後と部品装着工程後における半田の状態変化を利用していることで、本実施形態では、リフロー工程前の段階で不良判定を的確に行える。このようにリフロー工程前の段階で不良を検出することにより、部品の位置修正のためにプリント基板10から部品を取り外す作業を非常に容易に行うことが可能であり、製造効率の向上につながる。
【0080】
なお、特許文献1においては、半田印刷工程後と部品装着工程後とリフロー工程後のそれぞれにおけるプリント基板の撮像画像データから不良検出を行うが、不良検出の際には、各工程に対応する撮像画像データをそれぞれ個別に利用しており、工程間の撮像画像データの差分を利用するようなことは行っていない。このために、部品実装工程が進行しているのに応じて、リフロー工程前の段階でリアルタイムに不良判定を行うことはできない。
【0081】
さらに、不良判定部115は、図6により説明したように、半田20a、20bがパッド11a、11bからはみ出したとしても、そのはみ出し量が許容範囲内であり、両者の半田面積が同等である場合には不良ではないと判定することが好ましい。本実施形態としては、先に説明した工程間における半田面積の変動量のパッド間の差分に基づいた不良判定により不良を的確に判定可能である。そのうえで、図6の状態について誤検出しないように判定を行うことができれば、不良判定結果の信頼性はさらに向上する。
【0082】
そこで、本実施形態の不良判定部115は、先の上式が成立すると判定した場合、即座に不良ではないと判定するのではなく、さらに、以下の判定を行う。つまり、部品装着工程後の半田20a、20bのパッドからのはみ出し量が一定量以上か否かについて判定する。つまり、半田20a、半田20bのそれぞれについて、各パッドの設計値から求められるパッドのエリアに対して、各パッド上の半田エリアを算出し、パッドのエリアをPA、半田エリアをSA、PA外にあるSAの面積をS_drop、パッドエリアに対するマージンをmgとして、
S_drop>mg
が成立するか否かについて判定する。
なお、パッドのエリアPAはパッドごとに異なることが想定される。そこで、パッドのエリアPAについては、例えば部品装着基板半田情報220のパッド情報領域224においてパッド位置とともに格納しておき、上式の判定を行うにあたり読み込んで取得することとすればよい。
【0083】
半田20a、20bのいずれについても上式が成立しない場合、半田20a、20bは、いずれもパッド11a、11bからはみ出ていないか、はみ出しているとしてもマージンmgに対応する許容範囲内であることになる。そのうえで、先の工程間の半田面積変化量に基づく不良判定が不良ではないと判定されていることで、部品装着工程後における半田20a、20bの半田面積の差も許容範囲に収まっていることが分かっている。つまり、半田20a、20bの半田面積は同等とみてよく、かつ、パッドに対するはみ出し量も一定以内であることになる。そこで、この場合には、図6の説明にしたがって不良はでないと判定する。
【0084】
これに対して、半田20a、20bの少なくともいずれか一方について上式が成立する場合、半田20a、20bの少なくともいずれか一方は、パッドからのはみ出し量が許容範囲を超えていることになる。そこで、この場合には不良であると判定する。
【0085】
このように、本実施形態においては、図6に示した状態に対応して的確に不良判定を行える。特許文献1においては、パッドから半田がはみ出しているか否かについてのみ検出し、この検出結果のみにより不良判定を行っており、同一部品に対応するパッド間の半田面積の差については考慮していない。このために、特許文献1では、パッド11a、11bから半田20a、20bがはみ出してはいるが、そのはみ出し量が許容範囲であるために不良が発生していない良品の場合にも不良であると判定されてしまうことになる。
【0086】
[処理手順例]
図10のフローチャートは、不良検査装置100が実行する処理手順例を示している。この図では、図1の部品実装システム1により各工程を経て部品が実装される1つのプリント基板10に対応して実行される処理を示している。また、この図に示す処理は、図8に示すCPU101内の機能部が適宜実行するものとしてみることができる。
【0087】
まず、印刷基板画像データ取得部111は、印刷基板撮像装置7からデータインターフェース106が入力した印刷基板画像データを取得する(ステップS101)。次に、印刷基板半田情報生成部112は、上記ステップS101により取得された印刷基板画像データから印刷基板半田情報210を生成し、RAM102に記憶させる(ステップS102)。
【0088】
また、部品装着基板画像データ取得部113は、部品装着基板撮像装置8からデータインターフェース106が入力した部品装着基板画像データを取得する(ステップS103)。なお、このステップS103により取得する部品装着基板画像データは、先のステップS101により取得した印刷基板画像データを生成するために印刷基板撮像装置7が撮像したのと同じプリント基板10を撮像したものである。次に、部品装着基板半田情報生成部114は、上記ステップS103により取得された印刷基板画像データから部品装着基板半田情報220を生成し、RAM102に記憶させる(ステップS104)。
【0089】
次に、不良判定部115は、印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220を利用して、部品装着工程後のプリント基板10についての不良判定処理を実行する(ステップS105)。
【0090】
図11のフローチャートは、上記ステップS105としての不良判定処理のための手順例を示している。先ず、不良判定部115は、印刷基板半田情報210から、判定対象のプリント基板10における1つの対象部品に対応するパッドごとの半田面積を取得する(ステップS201)。つまり、印刷基板半田情報210において、判定対象のプリント基板10の基板識別子と、上記対象部品として選択した部品識別子に対応するパッド位置ごとの半田面積領域215に格納されている半田面積を読み込んで取得する。
【0091】
また、不良判定部115は、部品装着基板半田情報220から、同じ判定対象のプリント基板10における1つの部品に対応するパッドごとの半田面積を、上記ステップS201に準じた処理によって取得する(ステップS202)。
【0092】
次に、不良判定部115は、半田面積変化量差分値αを算出する(ステップS203)。半田面積変化量差分値αは、1つの部品に対応するパッド上の半田面積ごとについての、半田印刷工程後と部品装着工程後の変化量の差分値である。つまり、先に示した式における左辺であり、
α=|(Sb2−Sb1)−(Sa2−Sa1)|
のように求めることができる。
【0093】
そして、不良判定部115は、上記半田面積変化量差分値αと予め設定された閾値th1とを比較して、
α≧th1
が成立するか否かについて判定する(ステップS204)。
上式が成立した場合(ステップS204−YES)、不良判定部115は不良が発生した(不良有り)事を記憶する(ステップS206)。これに対して、上式が成立しないと判定した場合には(ステップS204−NO)、対象部品に対応するパッドごとにおける半田のはみ出し量が一定以上であるか否かについて判定する(ステップS205)。このためには、前述のようにパッド位置ごとに、パッド外にある半田の面積をS_dropとして
S_drop>mg
が成立するか否かについて判定する。
【0094】
対象部品に対応するパッドのうち少なくとも1つのパッドにおいて上式が成立した場合には(ステップS205−YES)、そのパッドに対する半田のはみ出し量が許容範囲を超えていることになる。この場合、不良判定部115は、不良が発生した事(不良有り)を記憶する(ステップS206)。
【0095】
これに対して、半田のはみ出し量が一定未満とされて、対象部品に対応するいずれのパッドにおいても上式が成立しないと判定した場合(ステップS205−NO)、または上記ステップS206の後、不良判定部115は、プリント基板10上の全部品を対象とする不良判定を終了したか否かについて判定する(ステップS207)。ここで、未だ対象部品が残っている場合には(ステップS207−NO)、ステップS201に戻ることで、次の対象部品についての不良判定を実行する。これに対して、全部品を対象とする不良判定を終了した判定した場合(ステップS207−YES)、これまでにステップS206を実行したことによる「不良有り」の履歴が記憶されているか否かについて判定する(ステップS208)。「不良有り」の履歴が記憶されていない場合には(ステップS208−NO)、結果的に、すべての部品において不良と判定されなかったことになる。そこで、この場合の不良判定部115は、不良が発生していない(不良無し)と判定する(ステップS209)。これに対して、少なくとも1つの「不良有り」の履歴が記憶されている場合(ステップS208−YES)、不良判定部115は、不良が発生した(不良有り)と判定する(ステップS210)。
【0096】
説明を図10に戻す。上記図11に示すようにステップS105としての不良判定処理を実行した後、不良判定部115は、上記ステップS105による判定結果が、不良有りであったか否かについて判定する(ステップS106)。不良有りの判定結果であった場合(ステップS106−YES)、通知制御部116は、不良が発生したことを通知するための音声出力や表示などが出力インターフェース105にて行われるように制御する(ステップS107)。これに対して、不良無しの判定結果であった場合には(ステップS106)、特に通知を行うことなくステップS101に戻ることで、次の検査対象のプリント基板10の不良検査に以降する。
【0097】
なお上述の処理以外にも、例えば、半田面積変化量差分値αは、1つの部品に対応するパッド上の半田面積ごとについての部品装着工程後の変化量の差分値であるようにしてもよい。この場合、
α2=|Sb2−Sa2|
のように求めることができる。この場合、不良判定部115は、上記半田面積変化量差分値α2と予め設定された閾値th2とを比較して、
α2≧th2
が成立するか否かについて判定する。当該式が成立した場合、不良判定部115は不良が発生した(不良有り)と判定し、当該式が成立しないと判定した場合には、対象部品に対応するパッドごとにおける半田のはみ出し量が一定以上であるか否かについて判定する。
【0098】
なお、これまでの説明においては、説明を分かりやすくすることの便宜上、1つの部品に対応するパッドは2つの例を示している。しかし、1つの部品に対応するパッド数が3以上の場合であっても、これらのパッド間の半田面積の変化量の差分に基づいて不良判定を行うことが可能である。
【0099】
また、上述の不良検査装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した不良判定の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0100】
また、図8における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本実施形態における不良判定を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0101】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 部品実装システム
2 半田印刷装置
3 部品装着装置
4 リフロー炉
7 印刷基板撮像装置
8 部品装着基板撮像装置
10 プリント基板
11a、11b パッド
20a、20b 半田
30 部品
31 電極
100 不良検査装置
111 印刷基板画像データ取得部
112 印刷基板半田情報生成部
113 部品装着基板画像データ取得部
114 部品装着基板半田情報生成部
115 不良判定部
116 通知制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の半田付け不良を検査する不良検査装置、不良検査方法およびプログラムに関する。また、不良検査装置を備える部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対する部品実装技術としてSMT(Surface Mount Technology:表面実装技術)が知られている。SMTは、プリント基板に部品実装用の孔部を形成するのではなく、プリント基板上に載置するように部品を装着し、装着面に対する半田付けにより部品の固定と接続を行うという技術である。このSMTによる基板への部品実装は、半田印刷工程、部品装着工程、リフロー工程の順に行われる。
【0003】
このSMTにより実装される部品として、その両端にそれぞれ電極を有するチップ型の部品が広く知られている。このチップ型の部品は、リフロー工程後において「部品浮き」または「部品立ち(マンハッタンあるいはツームストーン)」などと呼ばれるはんだ付け不良が発生する場合がある。この部品浮きとは、チップ型の部品の一方の端部が基板から浮き上がる(立ち上がる)現象である。
【0004】
上記部品浮きによる不良を検査するものとして、以下のような技術が知られている。つまり、半田印刷工程、部品装着工程およびリフロー工程の各工程においてプリント基板を撮像し、リフロー工程の撮像画像から浮き不良を検査し、浮き不良が検出された場合に、部品実装工程の撮像画像から半田にじみの有無を判定し、半田にじみが有る場合に、浮き不良の発生原因が半田印刷工程における半田ペースト量の過多であると特定するというものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−324424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の技術では、SMTにおける工程ごとの撮像画像に基づいて浮き不良の原因を特定することが可能である。しかし、この技術は、以降の不具合対策や品質管理を効率的に実現するために行われるもので、部品実装が完了するまでの工程の途中において不良を検出するための配慮は為されていない。
【0007】
部品実装完了後(リフロー工程後)の基板に不良が検出された場合には、この基板から部品を取り外して付け直しなどの修正を行うことになるが、リフロー工程後においては、部品と基板のパッドと半田により既に接合された状態になっているため、半田を溶かすなどして部品を外す必要があり手間がかかる。これに対して、リフロー工程の前段階で不良が検出可能となれば、まだ半田による接合が完了していないので、基板に実装された部品の取り外し作業は非常に容易なものとなり、製造効率が向上することとなって好ましい。
【0008】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる不良検査装置、部品実装システム、不良検査方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、本発明の一態様としての不良検査装置は、半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部とを備える。
【0010】
また、本発明の一態様としての部品実装システムは、プリント基板のパッドに半田を塗布する半田印刷工程を行う半田印刷装置と、前記半田印刷装置により前記パッドに半田が塗布されたプリント基板を撮像して印刷基板画像データを生成する印刷基板撮像装置と、前記半田印刷装置により半田が塗布された前記プリント基板のパッドに対して部品を装着する部品装着工程を行う部品装着装置と、前記部品装着装置により部品が装着されたプリント基板を撮像して部品装着基板画像データを生成する部品装着基板撮像装置と、前記部品装着装置により部品が装着されたプリント基板を加熱して前記半田を溶融させることにより、装着された前記部品を前記パッドに半田付けするリフロー工程を行うリフロー炉と、不良検査装置とを備え、前記不良検査装置は、前記印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、前記部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部とを備える。
【0011】
また、本発明の一態様としての不良検査方法は、半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成ステップと、部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成ステップと、判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定ステップとを備える。
【0012】
また、本発明の一態様としてのプログラムは、コンピュータを、半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成手段、部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成手段、判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定手段として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品実装工程の中途段階において半田付け不良を検出可能な不良検査装置を提供可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態としての不良検査装置を含む部品実装システムの構成例を示す図である。
【図2】装着時の部品の傾きを原因とする浮き不良に応じた部品と半田の状態例を示す図である。
【図3】装着時に部品が傾く原因例を示す図である。
【図4】図2における半田印刷工程後と部品装着工程後の半田面積の変化例を示す図である。
【図5】半田印刷時の半田量のアンバランスを原因とする浮き不良に応じた部品と半田の状態例を示す図である。
【図6】パッドから半田がはみ出しているに係わらず不良の発生がないとされる部品と半田の状態例を示す図である。
【図7】本実施形態における不良検査装置の構成例を示す図である。
【図8】本実施形態における不良検査装置の機能構成例を示す図である。
【図9】印刷基板半田情報または部品搭載基板半田情報の構造例を示す図である。
【図10】不良検査装置が実行する処理手順例を示す図である。
【図11】不良判定部が実行する不良判定処理の手順例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[部品実装システムの構成]
図1は、本実施形態の不良検査装置100を含む部品実装システム1の構成例を示している。本実施形態の部品実装システム1は、プリント基板のしかるべき位置に対して部品を半田付けすることにより部品実装を行うものであり、そのための複数の装置から成る。また、本実施形態の部品実装システム1は、SMT(Surface Mount Technology)に対応する。SMTは、プリント基板上に部品を装着し、基板上の部品実装面に対して半田付けを行うことにより部品の固定と接続を行うというものであり、半田印刷工程、部品装着工程、リフロー工程の順で進行する。
【0016】
半田印刷工程は、プリント基板に形成されたパッドといわれる電極に対してクリーム状の半田を塗布する工程である。部品装着工程は、上記のようにクリーム状の半田が塗布されたパッド位置に対して部品を載せ置くように装着する工程である。リフロー工程は、部品が装着されたプリント基板全体を加熱することにより半田を溶融させ、これによりプリント基板に部品を固定させる工程である。
【0017】
本実施形態の部品実装システム1は、半田印刷装置2、部品装着装置3、リフロー炉4、搬送装置5、搬送装置6、印刷基板撮像装置7、部品装着基板撮像装置8および不良検査装置100から成る。
【0018】
半田印刷装置2は、半田印刷工程としての動作を実行する装置である。半田印刷装置2には、部品が固定される導体であるパッドのパターンが形成されたプリント基板10が搬入されてくる。半田印刷装置2は、搬入されてくるプリント基板10のパッドに対してクリーム状の半田を塗布するためのスクリーン印刷を行う。
【0019】
半田の塗布が終了して半田印刷装置2から排出されたプリント基板10は、搬送装置5に受け渡される。搬送装置5は、この受け渡されたプリント基板10を部品装着装置3に対して搬送する。
【0020】
部品装着装置3には、上記のようにパッド上に半田が塗布されたプリント基板10が搬送装置5により搬入される。部品装着装置3は、この搬入されたプリント基板10上の半田が塗布されたパッド位置に載せ置くように部品を装着する。
【0021】
部品の装着が終了して部品装着装置3から搬出されたプリント基板10は、搬送装置6に対して受け渡される。搬送装置6は、この受け渡されたプリント基板をリフロー炉4に対して搬送する。
【0022】
リフロー炉4には、部品が装着されたプリント基板10が上記搬送装置6により搬入される。リフロー炉4は、搬入されたプリント基板10全体を所定の温度および時間により加熱することにより半田を溶融させることで半田付けを行い、プリント基板10に対する部品の固定とパッドとの電気的接続を行う。これにより、リフロー炉4からは、部品が固定された状態で実装されたプリント基板10が排出されることになる。
【0023】
印刷基板撮像装置7は、半田印刷装置2による半田印刷工程が終了した段階のプリント基板10ごとに、その半田が塗布される基板面を平面方向より撮像して画像データを生成する。このように生成された画像データは、プリント基板10ごとの半田印刷工程後の状態を示す印刷基板画像データとして不良検査装置100に出力される。本実施形態において、印刷基板撮像装置7は、搬送装置5により搬送途中のプリント基板10を撮像可能なように設けられているものとする。
【0024】
また、部品装着基板撮像装置8は、部品装着装置3による部品装着工程が終了した段階のプリント基板10ごとに、半田の塗布および部品の装着が行われた基板面(印刷基板撮像装置7が撮像するのと同じ基板面となる)を平面方向より撮像して画像データを生成する。このように生成された画像データは、プリント基板10ごとの部品装着工程後の状態を示す部品装着基板画像データとして不良検査装置100に出力される。また、部品装着基板撮像装置8は、搬送装置6により搬送途中のプリント基板10を撮像可能なように設けられているものとする。
【0025】
不良検査装置100は、印刷基板撮像装置7から出力される部品装着基板画像データと、部品装着基板撮像装置8から出力される部品装着基板画像データとを利用して、部品装着工程後の段階でプリント基板10における部品実装不良についての検査を行う。
【0026】
[不良発生の原因]
本実施形態の不良検査装置100による不良検査のための構成を説明するのに先立ち、不良検査装置100が検査対象とする不良が発生する原因について説明する。SMTにおける部品実装不良として代表的なものは浮き不良である。
【0027】
図2は、浮き不良が発生する過程の一例を示している。図2(a)および図2(b)は、プリント基板10におけるパッド11a、11bの各々に対して、半田印刷工程により半田20a、20bが塗布された状態を、それぞれ、平面図および側面図により示している。パッド11aと11bは対の関係にあり、それぞれに対して同じ1つの部品が実装される。つまり、部品30はその両端に2つの電極31を備えている。そして、上記2つの電極31のうち一方がパッド11aと半田付けされ、他方の電極31がパッド11bと半田付けされることで、パッド11aおよび11bに対応する位置に部品が固定されるように実装されるものである。
【0028】
図2(a)によると、半田20aと半田20bは、それぞれパッド11aと11bにおいて面積が互いにほぼ同じとなっている。また、図2(b)によると、半田20aと半田20bの高さは同じものとして示されている。これは、半田20aと半田20bの各塗布量(すなわち体積)が同じであることを示している。
【0029】
部品実装不良を回避するにあたり、同じ部品に対応する複数のパッドに塗布される半田はできるだけ同量であることが求められる。パッドごとにおける半田の塗布量がアンバランスになると、パッドごとにおける半田と部品の電極31との接触面積にもアンバランスが生じる。この状態でリフロー工程を行ったとすると、半田が溶融した際の表面張力にも差異が生じて、部品は表面張力の大きい側のパッドに引き寄せられてしまう。これにより、表面張力が弱い側のパッドにおいて、部品の浮きが生じやすくなる。
【0030】
しかし、図2(a)および図2(b)のように同量の半田20a、20bが塗布されたとしても、次の部品装着工程での不具合によって不良が発生する可能性がある。図2(c)および図2(d)は、部品装着工程を終了した段階のパッド11aと11bの部分を平面図および側面図により示している。これら図2(c)および図2(d)には、パッド11aと11bに塗布された半田20aと20bに対して、その上から部品30を載せ置くようにして装着された状態が示されている。なお、この部品30は、チップ部品ともいわれるもので、その両端に電極31、31をそれぞれ備える。
【0031】
ここで示される部品30の装着状態には不具合が生じている。つまり、本来であれば、部品30は、半田20aと20bの上においてほぼ水平な姿勢となるように載せ置かれるべきである。しかし、図2(d)に示されるように、この場合の部品30は、半田20aよりも半田20bのほうに傾くように載せ置かれている。
【0032】
このような部品30の装着姿勢の傾きが生じる原因の一例について、図3により説明する。図3においてノズル40は、部品装着装置3において備えられ、部品30を装着位置にまで搬送するために、部品30を吸引して持ち上げる部位である。このノズル40が部品30を吸引しようとした際に、ノズル40と部品30の間に異物50があったとすると、この異物50が挟まってしまったまま部品30を持ち上げてしまい、部品30が傾いてしまう。そして、このままの状態で実装位置にまで搬送して装着が行われた場合、部品30は傾いた姿勢のまま半田20aと20bに押し当てられる。例えばこのようなことが原因で、部品30の装着姿勢が傾く。
【0033】
上記のように部品30が半田20b側に傾いて装着された場合、半田20bに対する部品30の押し込み具合は、もう一方の半田20a側よりも大きくなる。図4(a)は、図2(a)と同様の半田印刷工程後のパッド11a、11bにおける半田20a、20bの状態を示している。図4(b)は、図2(c)に示した部品装着工程後の状態において、説明の便宜から部品30の図示を省略したものである。つまり、図4(b)は、図2(c)および図2(d)の状況に対応した半田20a、20bの状態を示している。
【0034】
図4(a)に示される半田印刷工程後において、パッド11aに塗布された半田20aの面積Sa1とパッド11bに塗布された半田20bの面積Sb1は同じである。しかし、図4(b)の部品装着工程後においては、図2(d)のように部品30が傾いて半田20b側に傾いて装着されたことで、半田20bは、半田20aよりも部品30によって押し込まれる度合いが多くなる。これに伴い、部品30が押し込まれることによる平面方向における半田の拡がり具合は、半田20aよりも半田20bのほうが大きくなってしまう。この結果、図4(b)に示すように、部品装着工程後の半田20aの面積Sa2は、半田印刷工程後の面積Sa1に対してさほど変化していないのに対して、部品装着工程後の半田20bの面積Sb2は、半田印刷工程後の面積Sb1に対して相当に大きく拡大している。
【0035】
このように面積Sb2が拡大することにより部品30と半田20bの接触面積は半田20a側よりも大きくなり、これにより、前述のようにリフロー工程における半田20aと半田20bの表面張力差によって浮き不良が発生し得ることになる。
【0036】
図2(e)および図2(f)には、図2(c)および図2(e)の状態からリフロー工程を経た結果として浮きが発生した状態を示している。この図では、半田20a、20bが溶融した状態において半田20bの表面張力のほうが半田20aよりも大きかったために、半田20bのほうに部品30が引っ張られて偏り、その影響で、半田20a側において部品30の電極31が確実に接合していない浮き不良が発生した状態が示されている。
【0037】
また、図5を参照して、半田塗布量のアンバランスを原因とする浮き不良について説明する。図5(a)の平面図と図5(b)の側面図には、半田印刷工程後の状態として、パッド11a、11bのそれぞれに半田20a、20bが塗布された状態が示されている。
【0038】
図5(a)の平面図によると半田20a、20bの各面積Sa1、Sa2は同じとされているが、図5(b)の側面図に示されるように、半田20aよりも半田20bのほうが厚さ(高さ)が大きい。これは、半田20aと半田20bの塗布量がアンバランスであることを意味している。
【0039】
次に、上記図5(c)および図5(d)は、上記図5(a)および図5(b)の状態から部品装着工程により部品30を装着した状態を示している。この場合、部品30は、それ自体が傾くことなく正常に装着されたものとする。しかし、半田20bの量が過剰であったために、図5(d)に示すように、部品30は、半田20bの側において半田20aの側より高い度合いで押し込まれた状態となっている。これに伴い、図5(c)に示すように、平面方向からみた半田20bの面積Sb2は、半田20aの面積Sa2よりも大きく拡がっている。
【0040】
したがって、図5(c)および図5(d)においては、先の図4(c)および図4(d)と同じ半田20a、20bの状態となっており、これに伴って部品30との接触面積も半田20bのほうが大きくなっている。
【0041】
これにより、図5(c)および図5(d)の状態からリフロー工程を行った場合には、前述のように溶融した半田20aと半田20bとの間で生じる表面張力差によって図5(e)および図5(f)に示すように浮き不良が発生する。このように、半田印刷工程における塗布量のアンバランスも浮き不良の発生原因となる。
【0042】
また、図6を参照して、半田の塗布量が過多の傾向ではあるが不良ではないという状態について説明しておく。図6(a)には、半田印刷工程後のパッド11a、11bが示されている。この場合のパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの塗布量は、過多の傾向ではあるが同量であるという状態を想定する。このとき、平面方向における半田20aの面積Sa1と半田20bの面積Sb1は同じであるとする。
【0043】
上記の状態から部品装着工程を行った後の状態を図6(b)に示す。この場合には部品30は、傾くことなく正常に装着されたものとする。装着された部品30が半田20a、20bを押し込むことにより、半田20a、20bは、平面方向において或る程度拡がることになる。ここでは半田20a、20bの塗布量が過多の傾向であったために、半田20a、20bは、いずれもパッド11a、11bの一部からはみ出してしまった状態を示している。ただし、前述のように、半田20aと半田20bは同量であることにより、図6(b)に示される半田20aの面積Sa2と半田20bの面積Sb2は、それぞれ、面積Sa1と面積Sb1よりも大きいが、互いに同等となっている。
【0044】
図6(c)は、上記図6(b)の状態からリフロー工程を行った後の状態を示している。この場合、半田20a、20bの塗布量が過多の傾向ではあったものの、部品装着工程後の半田20aと半田20bの面積Sa2とSb2は上記図6(b)に示したように同等となっている。このために、浮き不良は生じていない。
【0045】
一方、半田20aと半田20bは、リフロー工程において一度溶融したために、パッド11a、11bからのはみ出しの程度は、図6(b)の状態よりも大きくなっている。しかし、この図6(c)に示される程度の半田20aと半田20bのパッド11a、11bからのはみ出し具合では、パッド間の短絡は生じないものであり、したがって不良にはつながらないものとされる。このように、半田の塗布量が過多であっても半田のパッドからのはみ出し量が許容以下である場合には不良とはならない。
【0046】
[不良検査装置の構成例]
本実施形態の不良検査装置100は、上記図2と図4により説明した部品実装不良を、部品装着工程後の段階、つまり、リフロー工程前の段階で検出する。また、半田20a、20bがパッド11a、11bからはみ出していても、図6により説明した状態については不良ではないと検出する。以降、このための不良検査装置100の構成について説明していく。
【0047】
図7は、不良検査装置100の構成例を示している。この図に示す不良検査装置100は、CPU101、RAM102、記憶部103、入力インターフェース104、出力インターフェース105およびデータインターフェース106を備える。また、これらの部位はデータバス107により接続される。
【0048】
CPU101は、記憶部103に記憶されるプログラムを実行することにより、不良検査装置100としての動作を実現する部位である。
【0049】
RAM102は、主記憶装置として機能するもので、CPU101が実行すべきプログラムが記憶部103から読み出されて展開される。また、RAM102は、CPU101が演算処理を実行する際の作業領域として使用される。
【0050】
記憶部103は、補助記憶装置として機能するもので、CPU101により実行されるプログラムや各種データを格納する。なお、この記憶部103には、例えばハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用することができる。
【0051】
入力インターフェース104は、例えばキーボードやマウスなどの操作デバイスをはじめとする入力デバイスを一括して示したものである。出力インターフェース105は、例えばディスプレイデバイス(表示部)やスピーカ(音声出力部)などの出力デバイスを一括して示したものである。
【0052】
データインターフェース106は、CPU101の制御に応じて、所定の1以上のデータインターフェース規格に対応して通信を実行する。本実施形態においては、印刷基板撮像装置7および部品装着基板撮像装置8がデータインターフェース106と接続される。これにより、不良検査装置100は、印刷基板撮像装置7にて生成された印刷基板画像データと部品装着基板撮像装置8にて生成された部品装着基板画像データをデータインターフェース106経由で入力することができる。なお、この図7に示す構成は、例えばコンピュータ装置により具現化することができる。
【0053】
[不良検査装置の機能構成例]
図8は不良検査装置100のCPU101がプログラムを実行することにより実現される機能部の構成例を示している。CPU101は、図示するように、印刷基板画像データ取得部111、印刷基板半田情報生成部112、部品装着基板画像データ取得部113、部品装着基板半田情報生成部114、不良判定部115および通知制御部116としての各機能を備える。また、同図においては、RAM102が記憶するデータのうち、CPU101が不良判定に利用するデータとして、印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220が示される。
【0054】
印刷基板画像データ取得部111は、データインターフェース106を経由して入力した印刷基板画像データを取得する。
【0055】
印刷基板画像データは、前述のように半田印刷工程後におけるプリント基板10においてパッドが形成されている基板面を印刷基板撮像装置7が平面方向から撮像して得たものである。つまり、印刷基板画像データの画像にはパッドごとの半田の塗布状態が示されている。印刷基板半田情報生成部112は、この印刷基板画像データから、プリント基板10のパッドごとにおける半田の塗布状態を反映した印刷基板半田情報210を生成し、RAM102に記憶させる。
【0056】
また、部品装着基板画像データ取得部113は、データインターフェース106を経由して入力した部品装着基板画像データを取得する。
【0057】
部品装着基板画像データは、部品装着工程後におけるプリント基板10においてパッドが形成されている基板面を平面方向から撮像して得たものである。したがって、部品装着基板画像データの画像には、パッドごとおいて部品が装着されたことにより変化した半田の塗布状態が示される。部品装着基板半田情報生成部114は、この部品装着基板画像データから、プリント基板10のパッドごとにおける部品装着後の半田の塗布状態を反映した部品装着基板半田情報220を生成し、RAM102に記憶させる。
【0058】
本実施形態において、印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220は同じ構造を有するものとする。図9は、印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220の構造例を示している。
【0059】
印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220は、図示するように、工程識別子領域211、221、基板識別子領域212、222、部品識別子領域213、223、パッド情報領域214、224および半田面積領域215、225の各領域から成る。
【0060】
工程識別子領域211、221は、直前段階において終了した工程を識別する識別子を格納する。印刷基板半田情報210であれば、半田印刷工程を示す識別子が格納される。部品装着基板半田情報220であれば、部品装着工程を示す識別子が格納される。
【0061】
基板識別子領域212、222は、当該印刷基板半田情報210または部品装着基板半田情報220が対応するプリント基板10を個々に識別する基板識別子を格納する。基板識別子領域212と222が同じ印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220は、それぞれ、同じプリント基板10に対応していることになる。
【0062】
部品識別子領域213、223は、対応のプリント基板10において実装される部品ごとに付された部品識別子を格納する。パッド情報領域214、224は、対応のプリント基板10に形成されたパッドごとの位置を示すパッド位置をはじめ、パッドに関連する所定の情報を格納する。部品識別子領域213、223とパッド情報領域214、224が格納するパッド位置との対応付けにより、各パッドが対応して実装される部品を特定することができる。
【0063】
半田面積領域215、225は、対応のパッド情報領域214、224が格納するパッド位置情報が示すパッドに塗布された半田についての面積を示す半田面積を格納する。この半田面積は、具体的に、図4において説明した半田面積Sa1、Sb1、Sa2、Sb2などに相当する。なお、半田面積は、後述するように半田の画像部分を形成する画素数として示すことができる。しかし、例えば、半田の平面方向における形状が方形であることを前提とした場合には、図4(a)に示すように、半田20aの隣り合う辺Px、Pyを格納してもよい。
【0064】
印刷基板半田情報生成部112は、一例として、以下のように上記構造の印刷基板半田情報210を生成する。図示は省略するが、記憶部103には、部品実装システム1により部品実装を行う基板についての各種情報を格納したデータベースが記憶されているものとする。
【0065】
印刷基板半田情報生成部112は、上記データベースから、現在において半田印刷工程の対象となっているプリント基板の基板識別子と、この基板識別子に対応付けられている部品識別子とパッド位置の情報を読み込む。そして、これらの読み込みを行った基板識別子、部品識別子およびパッド位置の情報を、それぞれ、基板識別子領域212、部品識別子領域213およびパッド情報領域214に格納する。また、工程識別子領域211には、半田印刷工程に対応して予め設定されている工程識別子の値を格納する。
【0066】
次に、印刷基板半田情報生成部112は、以下のように半田面積領域215に格納する半田面積を求める。印刷基板半田情報生成部112は、印刷基板画像データにおけるプリント基板10の画像とパッド情報領域214に格納される各パッド位置とを照合する。これにより、印刷基板画像データにおけるパッドをパッド情報領域214に格納されるパッド位置と対応付ける。これにより、印刷基板画像データにおけるパッド位置と部品の対応付けが認識される。
【0067】
そのうえで、印刷基板半田情報生成部112は、印刷基板画像データの画像において上記のように認識されたパッド位置ごとの半田面積を算出する。半田面積の算出手法としてはいくつか考えられるが、一例として、予め半田の画像部分に相当するものとして予め登録された画素値の情報を利用して、印刷基板画像データから半田が塗布されている半田領域を特定する。そして、この半田領域を形成する画素の数を求める。このように求められた画素数を半田面積とすることが考えられる。
【0068】
印刷基板半田情報生成部112は、上記のように取得した工程識別子、基板識別子、部品識別子、パッド位置および半田面積により、図9に示す印刷基板半田情報210を生成する。
【0069】
なお、部品装着基板半田情報生成部114による部品装着基板半田情報220の生成処理も、上記印刷基板半田情報生成部112による印刷基板半田情報210の処理に準ずる。ただし、部品装着基板画像データにおける半田の領域は、部品によってその一部が隠れた状態となるため、半田に相当する画素値の画素の数をそのまま半田面積として求めた場合には、実際の半田面積より小さくなってしまう。そこで、この場合には、部品によって隠れた半田の部分を補間処理などによって推定して半田領域全体を特定したうえで半田面積としての画素数を求めることとすればよい。
【0070】
説明を図8に戻す。不良判定部115は、印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220に基づいて半田の部品実装不良の有無についての判定を行う。なお、不良判定部115による不良判定手法例については後述する。
【0071】
通知制御部116は、不良判定部115により部品実装不良であると判定されるのに応じて、作業者に対して部品実装不良の発生を通知するための制御を実行する。具体例として、通知制御部116は、出力インターフェース105におけるスピーカなどから、部品実装不良が発生したことを通知するアラーム音を出力させる。また、不良が発生したプリント基板10を示す情報、不良が発生した箇所を示す情報などを出力インターフェース105におけるディスプレイデバイスなどに表示させる。
【0072】
不良判定部115による不良判定の一例について、再度、図4を参照して説明する。前述のように、図4(a)に示されるパッド11a、11bは同じ部品に対応している。そのうえで、半田印刷工程によりパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの状態が示されている。また、図4(b)は、図4(a)の状態から部品装着工程を行った後の半田20a、20bの状態について部品の図示を省略して示している。
【0073】
ここで、図4(a)の半田印刷工程後のパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの半田面積は、それぞれ、印刷基板半田情報210においてパッド11a、11bのパッド位置に対応した半田面積領域215に格納されている。同様に、図4(b)の部品装着工程後のパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの半田面積は、それぞれ、部品装着基板半田情報220において同じパッド11a、11bのパッド位置に対応した半田面積領域225に格納されている。
【0074】
不良判定部115は、上記印刷基板半田情報210から、半田印刷工程後のパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの半田面積Sa1、Sb1を読み込む。また、上記部品装着基板半田情報220から、部品装着工程後のパッド11a、11bに塗布された半田20a、20bの半田面積Sa2、Sb2を読み込む。そして、これらの半田面積と予め設定した閾値th1について以下の式が成立するか否かについて判定する。
|(Sb2−Sb1)−(Sa2−Sa1)|≧th1
不良判定部115は、上式が成立すれば不良が発生していると判定し、成立しなければ不良は発生していないと判定する
【0075】
上式の左辺における(Sb2−Sb1)の項は、パッド11bに塗布された半田20bについての半田印刷工程後と部品装着工程後の半田面積の差分を示している。また、同じ上式の左辺における(Sa2−Sa1)の項は、パッド11aに塗布された半田20aについての半田印刷工程後と部品装着工程後の半田面積の差分を示している。したがって、上式の左辺は、半田印刷工程後と部品装着工程後の間での半田20aの変化量と半田20bの変化量との差分を示している。
【0076】
例えば、図2にて例示したように部品30が傾いて装着されたことでパッド11bのほうの面積が大きく拡大したような場合(図2(a)から図2(c)への遷移)には、上式の左辺の値が大きくなって例えば閾値th1を超えることになる。また、図5にて例示したように半田の塗布量がアンバランスなために部品30の装着による半田面積の拡がりに差が生じたような場合(図5(a)から図5(c)への遷移)にも、上式の左辺の値が大きくなって閾値th1を超えることになる。このように、不良判定部115が上式を利用することにより、図2に例示した装着工程における部品30の傾きや、図5に例示した半田塗布量のアンバランスを原因とする部品実装不良を的確に判定することができる。
【0077】
また、図示による説明は省略するが、半田印刷工程によりパッド11aとパッド11bに塗布された半田20a、20bの半田面積が異なっていたのに、部品装着工程後において上記半田面積が同じなるような場合がある。これは、次のような場合に生じ得る。つまり、半田印刷工程後において半田20a、20bの塗布量に差により半田面積が異なる場合がある。この状態から部品30が傾いて装着されるなどした場合には部品30が半田を押し拡げる度合いに差が生じ、この結果、部品装着工程後において上記半田面積が同程度となる場合がある。このような状態も、部品実装不良となる可能性が高い。
【0078】
先の上式によれば、半田20aと半田20bとで、半田印刷工程後と部品装着工程後との間での半田面積の変化量の差を求めている。上記の不良は、部品装着工程後における半田20aと半田20bの半田面積が同等であっても、半田印刷工程後と部品装着工程後の半田面積の変化量は相当に異なっていることになる。したがって、先の上式によれば、半田塗布量が元々アンバランスではあるが、部品装着工程後において半田面積が同等となってしまうような場合にも対応して的確に不良判定を行うことが可能になる。
【0079】
これまでの説明から理解されるように、不良判定部115は、半田印刷工程と部品装着工程のそれぞれにおける半田面積を利用して不良判定を行っている。これは、不良判定にあたり、印刷基板画像データと部品装着基板画像データを組み合わせて利用していることを意味している。これにより、上述のように、パッドごとにおける半田印刷工程後と部品装着工程後の半田面積の変化量を求めることが可能となり、この変化量に基づいて不良判定を行う。そして、このように半田印刷工程後と部品装着工程後における半田の状態変化を利用していることで、本実施形態では、リフロー工程前の段階で不良判定を的確に行える。このようにリフロー工程前の段階で不良を検出することにより、部品の位置修正のためにプリント基板10から部品を取り外す作業を非常に容易に行うことが可能であり、製造効率の向上につながる。
【0080】
なお、特許文献1においては、半田印刷工程後と部品装着工程後とリフロー工程後のそれぞれにおけるプリント基板の撮像画像データから不良検出を行うが、不良検出の際には、各工程に対応する撮像画像データをそれぞれ個別に利用しており、工程間の撮像画像データの差分を利用するようなことは行っていない。このために、部品実装工程が進行しているのに応じて、リフロー工程前の段階でリアルタイムに不良判定を行うことはできない。
【0081】
さらに、不良判定部115は、図6により説明したように、半田20a、20bがパッド11a、11bからはみ出したとしても、そのはみ出し量が許容範囲内であり、両者の半田面積が同等である場合には不良ではないと判定することが好ましい。本実施形態としては、先に説明した工程間における半田面積の変動量のパッド間の差分に基づいた不良判定により不良を的確に判定可能である。そのうえで、図6の状態について誤検出しないように判定を行うことができれば、不良判定結果の信頼性はさらに向上する。
【0082】
そこで、本実施形態の不良判定部115は、先の上式が成立すると判定した場合、即座に不良ではないと判定するのではなく、さらに、以下の判定を行う。つまり、部品装着工程後の半田20a、20bのパッドからのはみ出し量が一定量以上か否かについて判定する。つまり、半田20a、半田20bのそれぞれについて、各パッドの設計値から求められるパッドのエリアに対して、各パッド上の半田エリアを算出し、パッドのエリアをPA、半田エリアをSA、PA外にあるSAの面積をS_drop、パッドエリアに対するマージンをmgとして、
S_drop>mg
が成立するか否かについて判定する。
なお、パッドのエリアPAはパッドごとに異なることが想定される。そこで、パッドのエリアPAについては、例えば部品装着基板半田情報220のパッド情報領域224においてパッド位置とともに格納しておき、上式の判定を行うにあたり読み込んで取得することとすればよい。
【0083】
半田20a、20bのいずれについても上式が成立しない場合、半田20a、20bは、いずれもパッド11a、11bからはみ出ていないか、はみ出しているとしてもマージンmgに対応する許容範囲内であることになる。そのうえで、先の工程間の半田面積変化量に基づく不良判定が不良ではないと判定されていることで、部品装着工程後における半田20a、20bの半田面積の差も許容範囲に収まっていることが分かっている。つまり、半田20a、20bの半田面積は同等とみてよく、かつ、パッドに対するはみ出し量も一定以内であることになる。そこで、この場合には、図6の説明にしたがって不良はでないと判定する。
【0084】
これに対して、半田20a、20bの少なくともいずれか一方について上式が成立する場合、半田20a、20bの少なくともいずれか一方は、パッドからのはみ出し量が許容範囲を超えていることになる。そこで、この場合には不良であると判定する。
【0085】
このように、本実施形態においては、図6に示した状態に対応して的確に不良判定を行える。特許文献1においては、パッドから半田がはみ出しているか否かについてのみ検出し、この検出結果のみにより不良判定を行っており、同一部品に対応するパッド間の半田面積の差については考慮していない。このために、特許文献1では、パッド11a、11bから半田20a、20bがはみ出してはいるが、そのはみ出し量が許容範囲であるために不良が発生していない良品の場合にも不良であると判定されてしまうことになる。
【0086】
[処理手順例]
図10のフローチャートは、不良検査装置100が実行する処理手順例を示している。この図では、図1の部品実装システム1により各工程を経て部品が実装される1つのプリント基板10に対応して実行される処理を示している。また、この図に示す処理は、図8に示すCPU101内の機能部が適宜実行するものとしてみることができる。
【0087】
まず、印刷基板画像データ取得部111は、印刷基板撮像装置7からデータインターフェース106が入力した印刷基板画像データを取得する(ステップS101)。次に、印刷基板半田情報生成部112は、上記ステップS101により取得された印刷基板画像データから印刷基板半田情報210を生成し、RAM102に記憶させる(ステップS102)。
【0088】
また、部品装着基板画像データ取得部113は、部品装着基板撮像装置8からデータインターフェース106が入力した部品装着基板画像データを取得する(ステップS103)。なお、このステップS103により取得する部品装着基板画像データは、先のステップS101により取得した印刷基板画像データを生成するために印刷基板撮像装置7が撮像したのと同じプリント基板10を撮像したものである。次に、部品装着基板半田情報生成部114は、上記ステップS103により取得された印刷基板画像データから部品装着基板半田情報220を生成し、RAM102に記憶させる(ステップS104)。
【0089】
次に、不良判定部115は、印刷基板半田情報210と部品装着基板半田情報220を利用して、部品装着工程後のプリント基板10についての不良判定処理を実行する(ステップS105)。
【0090】
図11のフローチャートは、上記ステップS105としての不良判定処理のための手順例を示している。先ず、不良判定部115は、印刷基板半田情報210から、判定対象のプリント基板10における1つの対象部品に対応するパッドごとの半田面積を取得する(ステップS201)。つまり、印刷基板半田情報210において、判定対象のプリント基板10の基板識別子と、上記対象部品として選択した部品識別子に対応するパッド位置ごとの半田面積領域215に格納されている半田面積を読み込んで取得する。
【0091】
また、不良判定部115は、部品装着基板半田情報220から、同じ判定対象のプリント基板10における1つの部品に対応するパッドごとの半田面積を、上記ステップS201に準じた処理によって取得する(ステップS202)。
【0092】
次に、不良判定部115は、半田面積変化量差分値αを算出する(ステップS203)。半田面積変化量差分値αは、1つの部品に対応するパッド上の半田面積ごとについての、半田印刷工程後と部品装着工程後の変化量の差分値である。つまり、先に示した式における左辺であり、
α=|(Sb2−Sb1)−(Sa2−Sa1)|
のように求めることができる。
【0093】
そして、不良判定部115は、上記半田面積変化量差分値αと予め設定された閾値th1とを比較して、
α≧th1
が成立するか否かについて判定する(ステップS204)。
上式が成立した場合(ステップS204−YES)、不良判定部115は不良が発生した(不良有り)事を記憶する(ステップS206)。これに対して、上式が成立しないと判定した場合には(ステップS204−NO)、対象部品に対応するパッドごとにおける半田のはみ出し量が一定以上であるか否かについて判定する(ステップS205)。このためには、前述のようにパッド位置ごとに、パッド外にある半田の面積をS_dropとして
S_drop>mg
が成立するか否かについて判定する。
【0094】
対象部品に対応するパッドのうち少なくとも1つのパッドにおいて上式が成立した場合には(ステップS205−YES)、そのパッドに対する半田のはみ出し量が許容範囲を超えていることになる。この場合、不良判定部115は、不良が発生した事(不良有り)を記憶する(ステップS206)。
【0095】
これに対して、半田のはみ出し量が一定未満とされて、対象部品に対応するいずれのパッドにおいても上式が成立しないと判定した場合(ステップS205−NO)、または上記ステップS206の後、不良判定部115は、プリント基板10上の全部品を対象とする不良判定を終了したか否かについて判定する(ステップS207)。ここで、未だ対象部品が残っている場合には(ステップS207−NO)、ステップS201に戻ることで、次の対象部品についての不良判定を実行する。これに対して、全部品を対象とする不良判定を終了した判定した場合(ステップS207−YES)、これまでにステップS206を実行したことによる「不良有り」の履歴が記憶されているか否かについて判定する(ステップS208)。「不良有り」の履歴が記憶されていない場合には(ステップS208−NO)、結果的に、すべての部品において不良と判定されなかったことになる。そこで、この場合の不良判定部115は、不良が発生していない(不良無し)と判定する(ステップS209)。これに対して、少なくとも1つの「不良有り」の履歴が記憶されている場合(ステップS208−YES)、不良判定部115は、不良が発生した(不良有り)と判定する(ステップS210)。
【0096】
説明を図10に戻す。上記図11に示すようにステップS105としての不良判定処理を実行した後、不良判定部115は、上記ステップS105による判定結果が、不良有りであったか否かについて判定する(ステップS106)。不良有りの判定結果であった場合(ステップS106−YES)、通知制御部116は、不良が発生したことを通知するための音声出力や表示などが出力インターフェース105にて行われるように制御する(ステップS107)。これに対して、不良無しの判定結果であった場合には(ステップS106)、特に通知を行うことなくステップS101に戻ることで、次の検査対象のプリント基板10の不良検査に以降する。
【0097】
なお上述の処理以外にも、例えば、半田面積変化量差分値αは、1つの部品に対応するパッド上の半田面積ごとについての部品装着工程後の変化量の差分値であるようにしてもよい。この場合、
α2=|Sb2−Sa2|
のように求めることができる。この場合、不良判定部115は、上記半田面積変化量差分値α2と予め設定された閾値th2とを比較して、
α2≧th2
が成立するか否かについて判定する。当該式が成立した場合、不良判定部115は不良が発生した(不良有り)と判定し、当該式が成立しないと判定した場合には、対象部品に対応するパッドごとにおける半田のはみ出し量が一定以上であるか否かについて判定する。
【0098】
なお、これまでの説明においては、説明を分かりやすくすることの便宜上、1つの部品に対応するパッドは2つの例を示している。しかし、1つの部品に対応するパッド数が3以上の場合であっても、これらのパッド間の半田面積の変化量の差分に基づいて不良判定を行うことが可能である。
【0099】
また、上述の不良検査装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した不良判定の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0100】
また、図8における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本実施形態における不良判定を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0101】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 部品実装システム
2 半田印刷装置
3 部品装着装置
4 リフロー炉
7 印刷基板撮像装置
8 部品装着基板撮像装置
10 プリント基板
11a、11b パッド
20a、20b 半田
30 部品
31 電極
100 不良検査装置
111 印刷基板画像データ取得部
112 印刷基板半田情報生成部
113 部品装着基板画像データ取得部
114 部品装着基板半田情報生成部
115 不良判定部
116 通知制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、
部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、
判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部と
を備えることを特徴とする不良検査装置。
【請求項2】
前記不良判定部は、
前記半田面積の半田印刷工程後と部品装着工程後とでの前記半田面積の変動量を、前記判定対象部品が接合されるべきパッド位置ごとに対応して算出し、この算出された変動量に基づいて前記不良の有無を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の不良検査装置。
【請求項3】
前記不良判定部は、
前記判定対象部品が接合されるべきパッド位置ごとに対応して算出した変動量の差分の絶対値を予め設定された閾値と比較した結果に基づいて前記不良の有無を判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の不良検査装置。
【請求項4】
前記不良判定部は、
前記半田面積に基づく不良判定結果が不良有りではない場合、さらに、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対する半田のはみ出し量に基づいて不良の有無を判定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の不良検査装置。
【請求項5】
プリント基板のパッドに半田を塗布する半田印刷工程を行う半田印刷装置と、
前記半田印刷装置により前記パッドに半田が塗布されたプリント基板を撮像して印刷基板画像データを生成する印刷基板撮像装置と、
前記半田印刷装置により半田が塗布された前記プリント基板のパッドに対して部品を装着する部品装着工程を行う部品装着装置と、
前記部品装着装置により部品が装着されたプリント基板を撮像して部品装着基板画像データを生成する部品装着基板撮像装置と、
前記部品装着装置により部品が装着されたプリント基板を加熱して前記半田を溶融させることにより、装着された前記部品を前記パッドに半田付けするリフロー工程を行うリフロー炉と、
不良検査装置とを備え、
前記不良検査装置は、
前記印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、
前記部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、
判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部とを備える
ことを特徴とする部品実装システム。
【請求項6】
半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成ステップと、
部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成ステップと、
判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定ステップと
を備えることを特徴とする不良検査方法。
【請求項7】
コンピュータを、
半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成手段、
部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成手段、
判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、
部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、
判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部と
を備えることを特徴とする不良検査装置。
【請求項2】
前記不良判定部は、
前記半田面積の半田印刷工程後と部品装着工程後とでの前記半田面積の変動量を、前記判定対象部品が接合されるべきパッド位置ごとに対応して算出し、この算出された変動量に基づいて前記不良の有無を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の不良検査装置。
【請求項3】
前記不良判定部は、
前記判定対象部品が接合されるべきパッド位置ごとに対応して算出した変動量の差分の絶対値を予め設定された閾値と比較した結果に基づいて前記不良の有無を判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の不良検査装置。
【請求項4】
前記不良判定部は、
前記半田面積に基づく不良判定結果が不良有りではない場合、さらに、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対する半田のはみ出し量に基づいて不良の有無を判定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の不良検査装置。
【請求項5】
プリント基板のパッドに半田を塗布する半田印刷工程を行う半田印刷装置と、
前記半田印刷装置により前記パッドに半田が塗布されたプリント基板を撮像して印刷基板画像データを生成する印刷基板撮像装置と、
前記半田印刷装置により半田が塗布された前記プリント基板のパッドに対して部品を装着する部品装着工程を行う部品装着装置と、
前記部品装着装置により部品が装着されたプリント基板を撮像して部品装着基板画像データを生成する部品装着基板撮像装置と、
前記部品装着装置により部品が装着されたプリント基板を加熱して前記半田を溶融させることにより、装着された前記部品を前記パッドに半田付けするリフロー工程を行うリフロー炉と、
不良検査装置とを備え、
前記不良検査装置は、
前記印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、
前記部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、
判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部とを備える
ことを特徴とする部品実装システム。
【請求項6】
半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成ステップと、
部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成ステップと、
判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定ステップと
を備えることを特徴とする不良検査方法。
【請求項7】
コンピュータを、
半田印刷工程によりパッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成手段、
部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板におけるパッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成手段、
判定対象部品が接合されるべきパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定手段
として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−69889(P2013−69889A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207693(P2011−207693)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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