両面粘着テープ貼付け方法および両面粘着テープ貼付け装置
【課題】基板に両面粘着テープを貼付けた際に、当該両面粘着テープ片のはみ出しによる貼付け不良のあった基板を速やかに再生して再使用する。
【解決手段】基板形状に切断したセパレータ付きの両面粘着テープ片taを長尺のキャリアテープctに貼付け支持した原反テープTをナイフエッジ14に導き、原反テープTをナイフエッジ14において折り返し走行させることにより、基板形状に切断された両面粘着テープ片taをキャリアテープctから剥離し、剥離した両面粘着テープ片taを剥離速度と同調して相対移動される基板Wに貼付けてゆき、貼付け処理が終了した基板Wにおける両面粘着テープ片taの貼付けの良否を監視し、貼付け不良が検知された場合には、貼付け不良の基板Wから両面粘着テープ片taを剥離除去し、両面粘着テープ片taが剥離除去された基板Wに再度両面粘着テープ貼付け処理する。
【解決手段】基板形状に切断したセパレータ付きの両面粘着テープ片taを長尺のキャリアテープctに貼付け支持した原反テープTをナイフエッジ14に導き、原反テープTをナイフエッジ14において折り返し走行させることにより、基板形状に切断された両面粘着テープ片taをキャリアテープctから剥離し、剥離した両面粘着テープ片taを剥離速度と同調して相対移動される基板Wに貼付けてゆき、貼付け処理が終了した基板Wにおける両面粘着テープ片taの貼付けの良否を監視し、貼付け不良が検知された場合には、貼付け不良の基板Wから両面粘着テープ片taを剥離除去し、両面粘着テープ片taが剥離除去された基板Wに再度両面粘着テープ貼付け処理する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープを半導体ウエハなどの基板に貼付ける両面粘着テープ貼付け方法および両面粘着テープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウエハ(以下、適宜、「ウエハ」という)の薄型化に伴って、バックグラインド加工などの処理中におけるウエハの剛性を補うために、ウエハと同形状に形成されたガラス板や金属板などの支持板を両面粘着テープを介してウエハの表面に貼合わせている。
【0003】
ウエハと同形状の支持板を両面粘着テープを介してウエハの表面に貼合わせるに際しては、先ず、ウエハの表面に両面粘着テープを貼付け、その後、貼付けた両面粘着テープを介して支持板を貼合わせている。ウエハの表面に両面粘着テープを貼付ける装置として、例えば、粘着フィルム貼付け装置を応用した装置が採用されている(特許文献1を参照)。
【0004】
すなわち、予めウエハ形状にプリカットした両面粘着テープ片を、長尺のキャリアテープに所定間隔をもって貼付け支持して両面粘着テープ供給用の原反テープを形成する。この原反テープをロール状に巻回した原反ロールから繰り出してナイフエッジに導き、原反テープをナイフエッジで折り返しながら走行させる。このとき、ナイフエッジ先端において、キャリアテープから両面粘着テープ片が剥離される。剥離された両面粘着テープ片は、剥離速度に同調して移動されるウエハの表面に連続して貼付けられてゆく。
【0005】
【特許文献1】特開平7−195527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来装置で両面粘着テープを貼付ける場合、長尺の両面粘着テープを基板に貼付けた後に、基板の外形に沿って切断刃を走行させて切り抜く方法に比べて、1回の貼付け処理時間を短縮して全体の処理能率を高めることができる。しかしながら、貼付け前に切断した両面粘着テープ片を基板に貼付ける仕様であるために、基板に対して両面粘着テープ片が位置ズレするなどの貼付け不良が発生するおそれがある。
【0007】
すなわち、両面粘着テープ片をキャリアタープに貼付け支持してロール巻きにした原反ロールは、両面粘着テープ片を貼付けた部位と貼付けていない部位とで厚さの異なる。それ故に、テープの巻締めが不十分な場合、搬送過程で巻き乱れが生じている。
【0008】
このような状態のロールは、コーン状に変形しているので、原反テープの搬送過程で当該テープが蛇行し、基板と両面粘着テープ片との貼付け位置がずれてしまい両面粘着テープ片を基板に精度よく貼付けることができないといった問題が生じている。
【0009】
また、両面粘着テープ片の切断工程において切断刃の摩耗などによって周縁の切断仕上がりが悪化し、両面粘着テープ片の粘着剤が基板側面に回り込んだ状態で貼付けられてしまうこともある。また、切断後の不要テープの剥離時に両面粘着テープの端縁が強引に引きちぎられ、髭状のもが生じている。
【0010】
このような貼付け不良が発生すると、当該基板を両面粘着テープ貼付け装置の工程から一旦外部に取り出して所定の位置に回収する。この回収した基板が所定数に纏まった時点で、両面粘着テープ貼付け装置とは個別に配備された剥離装置で両面粘着テープ片を基板から剥離除去して基板を再生する。これら所定枚数の再生基板を再び両面粘着テープ貼付け装置に戻している。
【0011】
しかしながら、貼付け不良の基板を一旦外部に取り出して回収して再生するには、回収した基板を保管する容器および場所、再生基板を専用に搬送する搬送機構、基板から貼付け不良の両面粘着テープ片を剥離除去するの機構、これらの機構を運転制御する制御装置などを別途用意する必要があり、設備費用がかかるのみならず、運転費用も高くつくといった不都合が生じている。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、少ない費用で貼付け不良のあった基板を速やかに再生して再使用することができる両面粘着テープ貼付け方法および両面粘着テープ貼付け装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、両面粘着テープを基板に貼付ける両面粘着テープ貼付け方法であって、
前記基板形状に切断したセパレータ付きの両面粘着テープ片を長尺のキャリアテープに貼付け支持した原反テープをナイフエッジで折り返し走行させることにより、両面粘着テープ片をキャリアテープから剥離する剥離過程と、
剥離した前記両面粘着テープ片を剥離速度と同調して相対移動される基板に貼付ける貼付け過程と、
貼付け処理された前記両面粘着テープ片の基板からのはみ出しを検査機構で検査する検査過程と、
前記両面粘着テープ片の基板からのはみ出しが検知された場合、当該不良基板をテープ剥離機構に搬送し、両面粘着テープ片を基板から剥離除去する剥離過程と、
前記両面粘着テープ片が剥離除去された再生基板を前記貼付け過程のテープ貼付け位置からテープ剥離機構に搬送した同じ搬送経路を通して当該テープ貼付け位置に戻す再投入過程と、
前記貼付け過程で再生基板に再び両面粘着テープ片を貼付ける再生過程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
(作用・効果) 上記方法によれば、基板形状に切断した両面粘着テープ片をキャリアテープに貼付け支持した原反テープがナイフエッジにおいて折り返し走行されることにより、ナイフエッジ先端で両面粘着テープ片がキャリアテープから剥離されながら送り出される。この両面粘着テープ片の先端を貼付けローラなどを用いて同調移動する基板に押圧することにより、基板表面に当該基板と同形状の両面粘着テープ片を貼付けてゆく。
【0015】
また、貼付け処理後の検査過程において、両面粘着テープ片が基板からはみ出た貼付け不良が検知されると、不良基板がその位置で回収されることなくテープ剥離機構に搬送されてテープ剥離処理が施される。両面粘着テープ片を剥離除去して再生された基板は、テープ貼付け位置からテープ剥離機構に搬送された同じ搬送経路を通って直ちにテープ貼付け位置に戻され、再度の両面粘着テープ貼付け処理がされる。
【0016】
したがって、不良基板の保管する容器および場所、再生基板を専用に搬送する搬送機構などを備える必要がなく、かつ、不良基板の再生を速やかに行うことができる。
【0017】
なお、上記方法において、剥離過程は、例えば、不良基板に対して両面粘着テープ片のセパレータに剥離テープを貼付けて両面粘着テープ片からセパレータを剥離するセパレータ剥離過程と、
前記セパレータの剥離された両面粘着テープ片に剥離テープを貼付けて、基板から両面粘着テープ片を剥離除去する両面粘着テープ剥離過程とを含む。
【0018】
この方法によれば、1回目のセパレータ剥離過程で、基板に貼付けられた両面粘着テープ片の最上層にあるセパレータが先ず剥離除去され、両面粘着テープ本体が露出される。2回目の両面粘着テープ剥離過程で、両面粘着テープ本体が基板から剥離除去され、基板が再生可能にされる。
【0019】
なお、剥離過程は、セパレータや両面粘着テープ本体に粘着力の強い剥離テープを貼付け、この剥離テープを巻取り回収することで、両面粘着テープ本体に粘着力の低減処理(例えば、紫外線照射や加熱)を加えなくても、セパレータおよび両面粘着テープ本体を容易に剥離することができる。
【0020】
また、上記方法において、剥離過程は、両面粘着テープ片の基板からのはみ出しのない良品基板上の両面粘着テープ片に剥離テープを貼付け、当該両面粘着テープ片からセパレータを剥離するセパレータ剥離過程をさらに含んでいてもよい。
【0021】
この方法によれば、適正に両面粘着テープ片が貼付けられた基板は、セパレータを剥離除去して両面粘着テープ本体の粘着面を露出させた状態で搬出回収することができる。すなわち、補強用の支持板の基板への貼合わせ処理を直ちに行うことが可能となる。
【0022】
また、この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0023】
すなわち、両面粘着テープを基板に貼付ける両面粘着テープ貼付け装置であって、
前記基板形状に切断したセパレータ付きの両面粘着テープ片を長尺のキャリアテープに貼付け支持した原反テープをナイフエッジに導くテープ走行案内機構と、
前記基板を保持する貼付けテーブルと、
前記貼付けテーブルをナイフエッジに対してテープ走行速度と同調して相対移動させるテーブル駆動機構と、
前記原反テープの折り返し走行によってナイフエッジの先端でキャリアテープから剥離された基板形状の両面粘着テープ片を貼付けテーブル上の基板に押圧する貼付けローラを備えたテープ貼付機構と、
前記基板に貼付けられた両面粘着テープ片のはみ出し状態を検査する検査機構と、
両面粘着テープ片が貼付けられた基板を保持する剥離テーブルと、
剥離テーブルに保持された基板から両面粘着テープ片を剥離除去するテープ剥離機構と、
前記貼付けテーブルと剥離テーブルとの間で基板の搬送を行う基板搬送機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、上記方法を好適に実現することができる。
【0025】
なお、上記構成において、検査機構は、貼付けテーブルに保持された両面粘着テープ片を貼付け済みの基板に対し、両面粘着テープ片の周端を一対の監視カメラで監視するよう構成することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、両面粘着テープ片の貼付けられた基板に対する位置ズレや、両面粘着テープ片の周縁における切断具合を監視することができ、貼付け不良を的確に検知することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の両面粘着テープ貼付け方法および両面粘着テープ貼付け装置によれば、両面粘着テープの貼付け工程で貼付け不良のあった基板から両面粘着テープ片を剥離除去するので、設備コストや運転コストなどをかけることなく、貼付け不良のあった基板を速やかに再生して再使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】両面粘着テープ貼付け装置の平面図である。
【図2】この装置の主要部の側面図である。
【図3】この装置主要部の斜視図である。
【図4】図4(a)から図4(c)は、テーププリカット機構の動作を示す概略側面図である。
【図5】テープ貼付け部の平面図である。
【図6】貼付けテーブルの平面図である。
【図7】貼付けテーブルの側面図である。
【図8】テープ貼付け部の斜視図である。
【図9】図9(a)および図9(b)は、両面粘着テープ貼付け動作を示す概略側面図である。
【図10】テープ剥離部の側面図である。
【図11】セパレータ片の剥離動作を示す概略側面図である。
【図12】貼付け不良両面粘着テープの剥離動作を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に本発明に係る両面粘着テープ貼付け装置の概略平面が、また、図2はその主要部の側面がそれぞれ示されている。
【0030】
この両面粘着テープ貼付け装置は、基板の一例である半導体ウエハW(以下、単に『ウエハW』という)の表面に、補強用の支持板を貼合せるための両面粘着テープを貼付けるよう構成されたものである。テープ供給部1、テーププリカット機構2、および、テープ貼付け部3が装置の前後方向(図1では左右方向)に沿って直列に配備されている。また、テープ貼付け部3の横側(図1では上側)にテープ剥離部4が配備されている。テープ貼付け部3とテープ剥離部4とに臨んで左右方向(図1では上下方向)に長い基板搬入搬出部5が配備された基本構成を備えている。なお、テープ供給部1からテープ貼付け部3にわたって送りローラやガイドローラなどによって、本発明のテープ走行案内機構が構成されている。
【0031】
図2に示すように、テープ供給部1は、ロール巻きした原反ロールTRから繰り出された原反テープTが所定のテープ経路に導かれ、テーププリカット機構2を経てテープ貼付け部3に供給されるように構成されている。
【0032】
図4に示すように、原反テープTは、ウエハWの直径より幅の広いキャリアテープctに同幅の両面粘着テープtを貼合わせたものである。両面粘着テープt自体は、上下面が粘着面に形成された両面粘着テープ本体t’の上向き粘着面にセパレータsを貼付け保持して形成されている。
【0033】
テーププリカット機構2は、図2に示すように、原反ロールTRから搬送されてきた原反テープTを水平に受け止めるよう固定配備されたテープ支持台6、テープ支持台6の上方において昇降可能に配備された刃台7、この刃台7の上方に配備された刃台昇降用の駆動シリンダ8などが備えられている。
【0034】
刃台7は、スライドガイド軸9を介して水平状態を維持したまま昇降可能に支持されるとともに、復帰バネ10によって設定の待機意位置に上昇付勢されている。また、刃台7の下面には、処理対象となるウエハWの外形に対応した環状のトムソン刃11が備えられている。
【0035】
駆動シリンダ8は、テープ支持台6上に支柱12を介して固定した架台13に鉛直姿勢で装着されている。また、駆動シリンダ8は、プランジャ8aが下方に突出作動して刃台7の上面に突設されたシャンク7aに当接することにより、刃台7が上方への復帰付勢力に抗して下方に移動される。このとき、トムソン刃11がテープ支持台6上の原反テープTに押し付けられるように構成されている。なお、駆動シリンダ8は、所定の円周上に等間隔をおいて架台13に4個装着されている。
【0036】
テープ貼付け部3には、図2および図3に示すように、テーププリカット機構2から送られてきたハーフカット済みの原反テープTを下方に折り返し案内する幅広のナイフエッジ14、切断された両面粘着テープ片taの周囲に残された帯状の両面粘着テープtbをナイフエッジ14の手前においてキャリアテープctから剥離して巻取り回収する不要粘着テープ回収部15、ナイフエッジ14の上方に位置するテープ位置監視機構16、ナイフエッジ14で下方に折り返されたキャリアテープctを巻取り回収するキャリアテープ回収部17、ナイフエッジ14の先端部に上方から臨む貼付けローラ18、および、ナイフエッジ14の下方において左右水平に往復移動可能に配備された貼付けテーブル19などが備えられている。
【0037】
不要粘着テープ回収部15は、ウエハ形状に切断された両面粘着テープ片taの周囲に帯状に残される不要な両面粘着テープtbを、テープ送りローラ20の直後にキャリアテープctから剥離して回収ボビン21に巻取るよう構成されている。したがって、キャリアテープctにセパレータ付きの両面粘着テープ片taが貼残された状態の原反テープTがナイフエッジ14に導かれる。
【0038】
テープ位置監視機構16は、ウエハ形状に切断された両面粘着テープ片taにおけるテープ横幅方向(左右方向)の一端と、両面粘着テープ片taにおけるテープ走行方向の前後端とをそれぞれ監視カメラ22,23で検出するよう構成されている。なお、各監視カメラ22,23は、図5に示すように、直線的にネジ送り移動される可動ブラケット24,25に支持されており、両面粘着テープ片taの端部を検出した移動位置を読み取ることで両面粘着テープ片taの横端位置と前後端位置の情報を得るようになっている。得た情報は、制御部に送られる。
【0039】
キャリアテープ回収部17は、図2に示すように、ナイフエッジ14で折り返されたキャリアテープctを送りローラ27で駆動走行させ、回収ボビン28で巻き取るよう構成されている。
【0040】
貼付けローラ18は、駆動シリンダ30によって昇降されるよう構成されており、ナイフエッジ14の先端においてキャリアテープctから剥離されて前方に押し出し移動されるセパレータ付きの両面粘着テープ片taをその上面から押圧し、貼付けテーブル19に吸着保持されて水平移動するウエハWの上面に貼付ける。なお、貼付けローラ18および駆動シリンダ30によって本発明のテープ貼付機構が構成されている。
【0041】
貼付けテーブル19は、前後方向、および、左右方向に移動できるよう構成されている。すなわち、図2および図7に示すように、ナイフエッジ14の下方にまで入り込むようにレール31が前後水平に設置され、このレール31に沿ってモータ32でネジ送り移動される前後可動台33が備えられている。前後可動台33の上には左右水平にレール34が固定されている。このレール34に沿って図示されていないモータでネジ送り移動される左右可動台35が装備されている。さらに、左右可動台35の上に貼付けテーブル19が装備されている。
【0042】
図6に示すように、貼付けテーブル19の前後左右の四箇所には、シリンダ36によってテーブル中心に向けて進退可能な位置決め部材37が配備されている。貼付けテーブル19の上に載置されたウエハWの外周端を位置決め部材37でテーブル中心に向けて四方から押圧することにより、ウエハWをテーブル中心上に位置決めするように構成されている。
【0043】
貼付けテーブル19の中心には、上面が真空吸着面に構成された吸着パッド38が備えられている。この吸着パッド38は、図7に示すように、駆動シリンダ39によって昇降される。また、吸着パッド38は、モータ40にベルト掛け連動されて、貼付けテーブル19の中心を通る縦軸心P周りに回動可能になっている。
【0044】
また、貼付けテーブル19の上方には、貼付け検査機構41が配備されている。この貼付け検査機構41は、一対の監視カメラ42でウエハWの対角周縁を監視して、ウエハWに対する両面粘着テープ片taの位置ズレ、および、両面粘着テープ片taにおける切断端縁の仕上がり具合(切れ味)を検出するよう構成されている。なお、貼付け検査機構41は、本発明の検査機構に相当する。
【0045】
基板搬入搬出部5は、図1に示すように、左右移動可能な搬送ロボット43が備えられている。また、基板搬入搬出部5の周囲の複数箇所には、両面粘着テープtの貼付け処理前のウエハWを多段に差込み収容したカセットC、および、両面粘着テープtの貼付け処理の済んだウエハWを差込み収容するカセットCの支持台44がそれぞれ昇降可能に配備されている。
【0046】
搬送ロボット43には、水平に屈伸可能かつ全方向に旋回可能かつなロボットアーム45が備えられている。ロボットアーム45の遊端部には上面が真空吸着面に構成された馬蹄形の吸着部45aが備えられている。なお、搬送ロボット43は、本発明の基板搬送機構に相当する。
【0047】
図10に示すように、テープ剥離部4には、剥離テーブル50、剥離テープ供給部51、剥離ローラ52、および、剥離テープ回収部53が備えられている。なお,テープ剥離部4に備わったこれらの構成が、本発明のテープ剥離機構を構成している。
【0048】
剥離テーブル50は、前後水平に移動可能かつ昇降可能に配備されている。すなわち、前後水平に設置されたレール54に沿ってモータ55でネジ送り移動する可動台56が備えられている。この可動台56に、剥離テーブル50がガイド軸57を介して駆動昇降可能に支持されている。また、剥離テーブル50の中心部には、ウエハ搬入搬出用の吸着パッド58が出退昇降可能に装備されている。
【0049】
剥離テープ供給部51、剥離ローラ52、および、剥離テープ回収部53は、剥離テーブル移動経路脇の上部に設置固定されたフレーム板59に装備されている。
【0050】
剥離テープ供給部51は、剥離テープhtを原反ロールHRから繰り出し、剥離ローラ52を経て送りローラ60に導くよう構成されている。なお、剥離テープhtは、粘着面を下向きにした姿勢で剥離ローラ52に巻回される。
【0051】
剥離ローラ52は、剥離テーブル50に対向するようフレーム板59の下部に配備され、駆動シリンダ61によって昇降される。
【0052】
剥離テープ回収部53は、送りローラ60によって上方に向けて送り出された剥離テープhtを回収ボビン62に巻取り回収するよう構成されている。
【0053】
本発明に係る両面粘着テープ貼付け装置は以上のように構成されており、この装置を用いてウエハ表面に両面粘着テープを貼付け処理する一巡の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0054】
(1)基板搬入搬出部5において、支持台44に装填された所定のカセットCに搬送ロボット43のロボットアーム45が差し入れられる。ロボットアーム45は、収容されたウエハWの1枚の裏面を吸着保持し、ウエハ表面が上向きの姿勢で取り出す。ロボットアーム45は、テープ貼付け部3の前方に待機している貼付けテーブル19の上方にウエハWを搬入する。
【0055】
貼付けテーブル19上には吸着パッド38が突出待機している。ロボットアーム45によって搬入されたウエハWは、一旦吸着パッド38に移載される。ロボットアーム45は、貼付けテーブル19上から退避する。吸着パッド38は下降し、ウエハWが保持テーブル19上に載置される。
【0056】
貼付けテーブル19にウエハWが載置されると、四方の位置決め部材37がそれぞれテーブル中心側に進出し、ウエハWがテーブル中心上に位置決めされる。この位置決め状態で図示しない真空ポンプが作動され、ウエハWが貼付けテーブル19上に吸着保持される。その後、貼付けテーブル19が後方に移動してテープ貼付け部3の下方の所定位置に送られる。
【0057】
(2)他方、テーププリカット機構2において、図4(a)に示すように、上方の待機位置にあるトムソン刃11は、駆動シリンダ8の作動によって刃台7が復帰バネ10の付勢力に抗して下降駆動され、テープ支持台6の上で走行停止している原反テープTに押し付けられる。この場合、図4(b)に示すように、トムソン刃11は、原反テープT上でセパレータs付きの両面粘着テープtだけを切断し、キャリアテープctを完全に切断しきらないよう刃台7の下降限界が規制されている。両面粘着テープtを切断したトムソン刃11は、図4(c)に示すように、待機位置に復帰する。両面粘着テープtがウエハ形状に切断された後、原反テープTが前方に送られる。
【0058】
切抜き孔を有する帯状の不要な両面粘着テープtbだけがキャリアテープctから剥離されて不要粘着テープ回収部15に回収されてゆく。この場合、ウエハ形状に切り抜き切断された両面粘着テープ片taはキャリアテーctに貼り残されたままである。
【0059】
(3)キャリアテープctに両面粘着テープ片taのみを貼付け支持した原反テープTは走行し、ナイフエッジ14で折り返される。このとき、両面粘着テープ片taは、折り返されて走行してゆくキャリアテープctから剥離され、ナイフエッジ14の上面に沿って前方に突出してゆく。そして、図9(a)に示すように、両面粘着テープ片taの前端がナイフエッジ14の先端を越えて、上方待機位置にある貼付けローラ18の直下位置に到達した時点でテープ走行が一旦停止される。
【0060】
このとき、キャリアテープctによってテープ貼付け部3に送られる両面粘着テープ片taは、その前端部分、横端部分、および後端部分の順に監視カメラ22,23によって読み取られる。つまり、監視カメラ23によってその前端部分の位置の画像が取得され、監視カメラ22によってその横端部分の画像が取得され、さらに、監視カメラ23によってその後端部分の画像が取得され、それぞれの画像による位置情報が制御部に送られる。
【0061】
制御部は、各画像に含まれる両面粘着テープ片taのそれぞれの部分から外周の位置座標を求める。両面粘着テープ片taの各位置座標に基づいて貼付けテーブル19に保持されているウエハWと両面粘着テープ片taとの位置ズレ方向と位置ズレ量を求める。つまり、両面粘着テープ片taの前後端部分の各座標から両面粘着テープ片taの搬送方向の距離を算出し、その距離が最大となる位置を先端として求める。位置ズレ方向と位置ズレ量は、先に求めた先端の位置と横端部分の画像と予め取得した基準画像とのパターンマッチングによって求められる。
【0062】
制御部は、求めた両面粘着テープtaの位置ズレ方向および位置ズレ量に基づいて、貼付けテーブル19を前後および左右方向、並びに縦軸心P周りに作動制御し、貼付け位置が修正される。
【0063】
(4)次に、貼付けローラ18が下降され、ナイフエッジ14から前方に突出している両面粘着テープ片taの前端部分を貼付けテーブル19に保持されているウエハWの前端部表面に押し付ける。その後、図9(b)に示すように、テープ走行が再開され、キャリアテープctから剥離されながら前方に移動してゆく両面粘着テープ片taの前方移動速度に同調した速度で貼付けテーブル19が前方に移動される。すなわち、キャリアテープctから剥離された両面粘着テープ片taが貼付けローラ18によって連続してウエハWの表面に貼付けられてゆく。
【0064】
(5)両面粘着テープ片taの貼付けが完了した貼付けテーブル19は、所定の待機位置まで移動して停止する。その位置で、貼付け検査機構41によって両面粘着テープ片taの貼付け具合や切断仕上がりの良否が検査される。
【0065】
すなわち、貼付けテーブル19が、ウエハWを搬送ロボット43に受け渡す位置(図1のレール右端)に到達すると、吸着バッド38がウエハWを吸着保持したまま上昇し、縦軸心P周りに回転する。この回転の最中に一対の監視カメラ42がウエハWの外周を撮影する。例えば、一方の監視カメラ42を利用して撮影した当該画像データを制御部に送る。制御部は、この監視カメラ42で撮影したウエハWの外周輪郭の座標を求める。この求めた実座標と、予め決めて制御部内のメモリに記憶している基準座標とを比較する。この比較により実座標が基準座標と一致しない場合に、ウエハWからの両面粘着テープ片taのはみ出しが有ると判断される。
【0066】
他方の監視カメラ42は、ウエハWを回転させている最中に外周を同じく撮影し、その画像データを制御部に送る。制御部は、例えば、この画像データを2値化処理する。このとき、トムソン刃11の摩耗による両面粘着テープ片taの切断不良により、テープ外周に引き裂きによる髭状の部分がウエハWからはみ出していると、その部位がウエハWの部分およびウエハWの外側の部分とは異なる色になって現れる。すなわち、ウエハWに向けて照射装置から照射されている光の反射により、ウエハWの部分は白色になる。ウエハWの外側は、反射光がない状態なので、黒色になる。テープ端から髭状の切断不良の発生している部分は、グレーになる。したがって、制御部は、2値化処理によりウエハWの外周部分にグレーゾーンが生じている場合は、切断不良とみなす。
【0067】
(6)貼付け検査が終了すると、貼付けテーブル19の吸着が解除されるとともに吸着パッド38が上昇され、テーブル上に浮上されたウエハWは、搬送ロボット43によって搬出されてテープ剥離部4に送られ、前方の所定位置で待機している剥離テーブル50に移載される。
【0068】
(7)剥離テーブル50に載置されたウエハWが、貼付け検査機構41によって良品として判定された場合、次の処理が行われる。
【0069】
ウエハWを載置して吸着保持した剥離テーブル50は一旦後方(図1では左方)に移動し、図11(a)に示すように、ウエハWの端部が剥離ローラ52の直下位置に到達した時点でテーブル移動が停止される。剥離ローラ52は、下方に移動されて剥離テープhtの下向き粘着面がウエハWの上面に貼付けられた両面粘着テープ片taのセパレータsに押し付けられる。その後、図11(b)に示すように、剥離テーブル50が前方に復帰移動されるとともに、剥離テープhtがそれと同調した速度で回収方向に走行される。すなわち、この剥離テーブル50の復帰移動によって剥離テープhtに貼付け保持されたセパレータsが、両面粘着テープ片taにおける両面粘着テープ本体t’の上向き粘着面から剥離されて、剥離テープhtとともに巻取り回収されてゆく。
【0070】
(6)両面粘着テープ本体t’からのセパレータsの剥離除去が完了すると、剥離ローラ52は上昇復帰し、剥離テーブル50が元の待機位置まで復帰移動して停止する。ここで、先の検査によって両面粘着テープ片taがウエハWに正しく貼付けられていることが認識されていた場合には、搬送ロボット43によってウエハWが剥離テーブル50から搬出され、所定のカセットCに差込み収納される。
【0071】
(7)剥離テーブル50に載置されたウエハWに両面粘着テープ片taが適正に貼付けられていないことが認識されていた場合には、上記のセパレータsの剥離と同じ作動が繰り返される。つまり、剥離テーブル50は、ウエハWの直下位置に剥離ローラ52が位置させるために移動して一旦停止する。剥離ローラ52は、下方に移動されて剥離テープhtの下向き粘着面がウエハWの上面に貼付けられた両面粘着テープ片taに押し付けられる。その後、図12に示すように、剥離テーブル50が前方に復帰移動されるとともに、剥離テープhtがそれと同調した速度で回収方向に走行される。すなわち、この剥離テーブル50の復帰移動によってウエハWの上面に残された両面粘着テープ片taの両面粘着テープ本体t’に剥離テープhtが貼付けられる。この剥離テープhtを巻取り回収することにより、両面粘着テープ本体t’は、剥離テープhtとともウエハWから剥離されて巻取り回収されてゆく。
【0072】
(8)2回の剥離作動によって、貼付け不良であった両面粘着テープ片taがセパレータsとともに剥離除去されると、表面が露出されたウエハWは、搬送ロボット43によって剥離テーブル50から搬出される。搬送ロボット43は、貼付け検査機構41の受け渡し位置に待機している貼付けテーブル19に再生されたウエハWを移載する。貼付けテーブル19は、両面粘着テープ片taの貼付け位置に移動する。その後、上記した両面粘着テープ貼付け作動、検査が順番に再度行われる。
【0073】
以上で一巡の動作が終了し、以後同じ動作が繰り返される。
【0074】
上記実施例装置によれば、両面粘着テープ片taの貼付け不良のウエハWを通常処理のテープ剥離部4に搬送し、セパレータsおよび両面粘着テープ本体t’の順に2回の剥離処理を行ってウエハWから剥離除去し、再生されたウエハWをこの剥離テーブル50に搬送されてきた同じ搬送経路に沿って貼付けテーブル19まで戻すことができる。したがって、両面粘着テープ貼付け装置内で発生したテープ貼付け不良のウエハWの再生を、同じ装置内で一連の処理として速やかに行うことができる。換言すれば、テーブ貼付け不良のウエハWを再生するために個別の工程および装置を必要としない。
【0075】
なお、本発明は以下のような形態で実施することもできる。
【0076】
(1)上記実施例では、ウエハWに両面粘着テープ片taが正しく貼付けられている場合でも、セパレータsを剥離除去してカセットCに回収格納し、直ちに支持板の貼合わせ工程に移行できるようにしているが、セパレータsを剥離することなくウエハWを回収格納し、支持板を貼合わせる工程で両面粘着テープ片taのセパレータsを剥離除去するようにしてもよい。
【0077】
(2)両面粘着テープtを貼付ける対象としての基板としては、円形に形成された半導体ウエハのみならず、矩形のガラス基板などの各種基板を処理対象とすることができる。
【0078】
(3)上記実施例では、貼付け検査機構41に備わった2台の監視カメラ42を利用し、それぞれでウエハWの外周の画像データを取得していたが、一台の監視カメラ42を利用しもよい。この場合、一台の監視カメラ42で取得したウエハWの外周の画像データを利用し、上記と同じ座標変換を利用してテープのはみ出しによる不良を判定するとともに、2値化処理で切断不良を判定するする。また、一台の監視カメラ42でウエハWの全体を撮影し、取得した実画像と予め取得した基準画像とのパターンマッチングによってテープ貼付け不良を判定してもよい。
【0079】
(4)本発明では、切断処理が施されていない原反テープTをロール巻きして装填し、原反ロールTRから繰り出した原反テープTをナイフエッジ14に導く途中で切断処理を施す形態を採用しているが、次のように構成してもよい。すなわち、原反テープTに予め基板形状のハーフカット処理を所定ピッチで施してロール巻きにする。この原反ロールTRからハーフカット処理済みの原反テープTを繰り出し、不要両面粘着テープtbの剥離回収、および、両面粘着テープ片taを貼付け支持した原反テープTの折り返し走行を行い、両面粘着テープ片taの剥離および貼付けを連続して行う形態にして実施することも可能である。
【符号の説明】
【0080】
14 … ナイフエッジ
18 … 貼付けローラ
19 … 貼付けテーブル
41 … 貼付け検査機構
42 … 監視カメラ
50 … 剥離テーブル
ca … キャリアテープ
s … セパレータ
t … 両面粘着テープ
t’ … 両面粘着テープ本体
ta … 両面粘着テープ片
T … 原反テープ
W … 基板(半導体ウエハ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープを半導体ウエハなどの基板に貼付ける両面粘着テープ貼付け方法および両面粘着テープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウエハ(以下、適宜、「ウエハ」という)の薄型化に伴って、バックグラインド加工などの処理中におけるウエハの剛性を補うために、ウエハと同形状に形成されたガラス板や金属板などの支持板を両面粘着テープを介してウエハの表面に貼合わせている。
【0003】
ウエハと同形状の支持板を両面粘着テープを介してウエハの表面に貼合わせるに際しては、先ず、ウエハの表面に両面粘着テープを貼付け、その後、貼付けた両面粘着テープを介して支持板を貼合わせている。ウエハの表面に両面粘着テープを貼付ける装置として、例えば、粘着フィルム貼付け装置を応用した装置が採用されている(特許文献1を参照)。
【0004】
すなわち、予めウエハ形状にプリカットした両面粘着テープ片を、長尺のキャリアテープに所定間隔をもって貼付け支持して両面粘着テープ供給用の原反テープを形成する。この原反テープをロール状に巻回した原反ロールから繰り出してナイフエッジに導き、原反テープをナイフエッジで折り返しながら走行させる。このとき、ナイフエッジ先端において、キャリアテープから両面粘着テープ片が剥離される。剥離された両面粘着テープ片は、剥離速度に同調して移動されるウエハの表面に連続して貼付けられてゆく。
【0005】
【特許文献1】特開平7−195527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来装置で両面粘着テープを貼付ける場合、長尺の両面粘着テープを基板に貼付けた後に、基板の外形に沿って切断刃を走行させて切り抜く方法に比べて、1回の貼付け処理時間を短縮して全体の処理能率を高めることができる。しかしながら、貼付け前に切断した両面粘着テープ片を基板に貼付ける仕様であるために、基板に対して両面粘着テープ片が位置ズレするなどの貼付け不良が発生するおそれがある。
【0007】
すなわち、両面粘着テープ片をキャリアタープに貼付け支持してロール巻きにした原反ロールは、両面粘着テープ片を貼付けた部位と貼付けていない部位とで厚さの異なる。それ故に、テープの巻締めが不十分な場合、搬送過程で巻き乱れが生じている。
【0008】
このような状態のロールは、コーン状に変形しているので、原反テープの搬送過程で当該テープが蛇行し、基板と両面粘着テープ片との貼付け位置がずれてしまい両面粘着テープ片を基板に精度よく貼付けることができないといった問題が生じている。
【0009】
また、両面粘着テープ片の切断工程において切断刃の摩耗などによって周縁の切断仕上がりが悪化し、両面粘着テープ片の粘着剤が基板側面に回り込んだ状態で貼付けられてしまうこともある。また、切断後の不要テープの剥離時に両面粘着テープの端縁が強引に引きちぎられ、髭状のもが生じている。
【0010】
このような貼付け不良が発生すると、当該基板を両面粘着テープ貼付け装置の工程から一旦外部に取り出して所定の位置に回収する。この回収した基板が所定数に纏まった時点で、両面粘着テープ貼付け装置とは個別に配備された剥離装置で両面粘着テープ片を基板から剥離除去して基板を再生する。これら所定枚数の再生基板を再び両面粘着テープ貼付け装置に戻している。
【0011】
しかしながら、貼付け不良の基板を一旦外部に取り出して回収して再生するには、回収した基板を保管する容器および場所、再生基板を専用に搬送する搬送機構、基板から貼付け不良の両面粘着テープ片を剥離除去するの機構、これらの機構を運転制御する制御装置などを別途用意する必要があり、設備費用がかかるのみならず、運転費用も高くつくといった不都合が生じている。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、少ない費用で貼付け不良のあった基板を速やかに再生して再使用することができる両面粘着テープ貼付け方法および両面粘着テープ貼付け装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、両面粘着テープを基板に貼付ける両面粘着テープ貼付け方法であって、
前記基板形状に切断したセパレータ付きの両面粘着テープ片を長尺のキャリアテープに貼付け支持した原反テープをナイフエッジで折り返し走行させることにより、両面粘着テープ片をキャリアテープから剥離する剥離過程と、
剥離した前記両面粘着テープ片を剥離速度と同調して相対移動される基板に貼付ける貼付け過程と、
貼付け処理された前記両面粘着テープ片の基板からのはみ出しを検査機構で検査する検査過程と、
前記両面粘着テープ片の基板からのはみ出しが検知された場合、当該不良基板をテープ剥離機構に搬送し、両面粘着テープ片を基板から剥離除去する剥離過程と、
前記両面粘着テープ片が剥離除去された再生基板を前記貼付け過程のテープ貼付け位置からテープ剥離機構に搬送した同じ搬送経路を通して当該テープ貼付け位置に戻す再投入過程と、
前記貼付け過程で再生基板に再び両面粘着テープ片を貼付ける再生過程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
(作用・効果) 上記方法によれば、基板形状に切断した両面粘着テープ片をキャリアテープに貼付け支持した原反テープがナイフエッジにおいて折り返し走行されることにより、ナイフエッジ先端で両面粘着テープ片がキャリアテープから剥離されながら送り出される。この両面粘着テープ片の先端を貼付けローラなどを用いて同調移動する基板に押圧することにより、基板表面に当該基板と同形状の両面粘着テープ片を貼付けてゆく。
【0015】
また、貼付け処理後の検査過程において、両面粘着テープ片が基板からはみ出た貼付け不良が検知されると、不良基板がその位置で回収されることなくテープ剥離機構に搬送されてテープ剥離処理が施される。両面粘着テープ片を剥離除去して再生された基板は、テープ貼付け位置からテープ剥離機構に搬送された同じ搬送経路を通って直ちにテープ貼付け位置に戻され、再度の両面粘着テープ貼付け処理がされる。
【0016】
したがって、不良基板の保管する容器および場所、再生基板を専用に搬送する搬送機構などを備える必要がなく、かつ、不良基板の再生を速やかに行うことができる。
【0017】
なお、上記方法において、剥離過程は、例えば、不良基板に対して両面粘着テープ片のセパレータに剥離テープを貼付けて両面粘着テープ片からセパレータを剥離するセパレータ剥離過程と、
前記セパレータの剥離された両面粘着テープ片に剥離テープを貼付けて、基板から両面粘着テープ片を剥離除去する両面粘着テープ剥離過程とを含む。
【0018】
この方法によれば、1回目のセパレータ剥離過程で、基板に貼付けられた両面粘着テープ片の最上層にあるセパレータが先ず剥離除去され、両面粘着テープ本体が露出される。2回目の両面粘着テープ剥離過程で、両面粘着テープ本体が基板から剥離除去され、基板が再生可能にされる。
【0019】
なお、剥離過程は、セパレータや両面粘着テープ本体に粘着力の強い剥離テープを貼付け、この剥離テープを巻取り回収することで、両面粘着テープ本体に粘着力の低減処理(例えば、紫外線照射や加熱)を加えなくても、セパレータおよび両面粘着テープ本体を容易に剥離することができる。
【0020】
また、上記方法において、剥離過程は、両面粘着テープ片の基板からのはみ出しのない良品基板上の両面粘着テープ片に剥離テープを貼付け、当該両面粘着テープ片からセパレータを剥離するセパレータ剥離過程をさらに含んでいてもよい。
【0021】
この方法によれば、適正に両面粘着テープ片が貼付けられた基板は、セパレータを剥離除去して両面粘着テープ本体の粘着面を露出させた状態で搬出回収することができる。すなわち、補強用の支持板の基板への貼合わせ処理を直ちに行うことが可能となる。
【0022】
また、この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0023】
すなわち、両面粘着テープを基板に貼付ける両面粘着テープ貼付け装置であって、
前記基板形状に切断したセパレータ付きの両面粘着テープ片を長尺のキャリアテープに貼付け支持した原反テープをナイフエッジに導くテープ走行案内機構と、
前記基板を保持する貼付けテーブルと、
前記貼付けテーブルをナイフエッジに対してテープ走行速度と同調して相対移動させるテーブル駆動機構と、
前記原反テープの折り返し走行によってナイフエッジの先端でキャリアテープから剥離された基板形状の両面粘着テープ片を貼付けテーブル上の基板に押圧する貼付けローラを備えたテープ貼付機構と、
前記基板に貼付けられた両面粘着テープ片のはみ出し状態を検査する検査機構と、
両面粘着テープ片が貼付けられた基板を保持する剥離テーブルと、
剥離テーブルに保持された基板から両面粘着テープ片を剥離除去するテープ剥離機構と、
前記貼付けテーブルと剥離テーブルとの間で基板の搬送を行う基板搬送機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、上記方法を好適に実現することができる。
【0025】
なお、上記構成において、検査機構は、貼付けテーブルに保持された両面粘着テープ片を貼付け済みの基板に対し、両面粘着テープ片の周端を一対の監視カメラで監視するよう構成することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、両面粘着テープ片の貼付けられた基板に対する位置ズレや、両面粘着テープ片の周縁における切断具合を監視することができ、貼付け不良を的確に検知することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の両面粘着テープ貼付け方法および両面粘着テープ貼付け装置によれば、両面粘着テープの貼付け工程で貼付け不良のあった基板から両面粘着テープ片を剥離除去するので、設備コストや運転コストなどをかけることなく、貼付け不良のあった基板を速やかに再生して再使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】両面粘着テープ貼付け装置の平面図である。
【図2】この装置の主要部の側面図である。
【図3】この装置主要部の斜視図である。
【図4】図4(a)から図4(c)は、テーププリカット機構の動作を示す概略側面図である。
【図5】テープ貼付け部の平面図である。
【図6】貼付けテーブルの平面図である。
【図7】貼付けテーブルの側面図である。
【図8】テープ貼付け部の斜視図である。
【図9】図9(a)および図9(b)は、両面粘着テープ貼付け動作を示す概略側面図である。
【図10】テープ剥離部の側面図である。
【図11】セパレータ片の剥離動作を示す概略側面図である。
【図12】貼付け不良両面粘着テープの剥離動作を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に本発明に係る両面粘着テープ貼付け装置の概略平面が、また、図2はその主要部の側面がそれぞれ示されている。
【0030】
この両面粘着テープ貼付け装置は、基板の一例である半導体ウエハW(以下、単に『ウエハW』という)の表面に、補強用の支持板を貼合せるための両面粘着テープを貼付けるよう構成されたものである。テープ供給部1、テーププリカット機構2、および、テープ貼付け部3が装置の前後方向(図1では左右方向)に沿って直列に配備されている。また、テープ貼付け部3の横側(図1では上側)にテープ剥離部4が配備されている。テープ貼付け部3とテープ剥離部4とに臨んで左右方向(図1では上下方向)に長い基板搬入搬出部5が配備された基本構成を備えている。なお、テープ供給部1からテープ貼付け部3にわたって送りローラやガイドローラなどによって、本発明のテープ走行案内機構が構成されている。
【0031】
図2に示すように、テープ供給部1は、ロール巻きした原反ロールTRから繰り出された原反テープTが所定のテープ経路に導かれ、テーププリカット機構2を経てテープ貼付け部3に供給されるように構成されている。
【0032】
図4に示すように、原反テープTは、ウエハWの直径より幅の広いキャリアテープctに同幅の両面粘着テープtを貼合わせたものである。両面粘着テープt自体は、上下面が粘着面に形成された両面粘着テープ本体t’の上向き粘着面にセパレータsを貼付け保持して形成されている。
【0033】
テーププリカット機構2は、図2に示すように、原反ロールTRから搬送されてきた原反テープTを水平に受け止めるよう固定配備されたテープ支持台6、テープ支持台6の上方において昇降可能に配備された刃台7、この刃台7の上方に配備された刃台昇降用の駆動シリンダ8などが備えられている。
【0034】
刃台7は、スライドガイド軸9を介して水平状態を維持したまま昇降可能に支持されるとともに、復帰バネ10によって設定の待機意位置に上昇付勢されている。また、刃台7の下面には、処理対象となるウエハWの外形に対応した環状のトムソン刃11が備えられている。
【0035】
駆動シリンダ8は、テープ支持台6上に支柱12を介して固定した架台13に鉛直姿勢で装着されている。また、駆動シリンダ8は、プランジャ8aが下方に突出作動して刃台7の上面に突設されたシャンク7aに当接することにより、刃台7が上方への復帰付勢力に抗して下方に移動される。このとき、トムソン刃11がテープ支持台6上の原反テープTに押し付けられるように構成されている。なお、駆動シリンダ8は、所定の円周上に等間隔をおいて架台13に4個装着されている。
【0036】
テープ貼付け部3には、図2および図3に示すように、テーププリカット機構2から送られてきたハーフカット済みの原反テープTを下方に折り返し案内する幅広のナイフエッジ14、切断された両面粘着テープ片taの周囲に残された帯状の両面粘着テープtbをナイフエッジ14の手前においてキャリアテープctから剥離して巻取り回収する不要粘着テープ回収部15、ナイフエッジ14の上方に位置するテープ位置監視機構16、ナイフエッジ14で下方に折り返されたキャリアテープctを巻取り回収するキャリアテープ回収部17、ナイフエッジ14の先端部に上方から臨む貼付けローラ18、および、ナイフエッジ14の下方において左右水平に往復移動可能に配備された貼付けテーブル19などが備えられている。
【0037】
不要粘着テープ回収部15は、ウエハ形状に切断された両面粘着テープ片taの周囲に帯状に残される不要な両面粘着テープtbを、テープ送りローラ20の直後にキャリアテープctから剥離して回収ボビン21に巻取るよう構成されている。したがって、キャリアテープctにセパレータ付きの両面粘着テープ片taが貼残された状態の原反テープTがナイフエッジ14に導かれる。
【0038】
テープ位置監視機構16は、ウエハ形状に切断された両面粘着テープ片taにおけるテープ横幅方向(左右方向)の一端と、両面粘着テープ片taにおけるテープ走行方向の前後端とをそれぞれ監視カメラ22,23で検出するよう構成されている。なお、各監視カメラ22,23は、図5に示すように、直線的にネジ送り移動される可動ブラケット24,25に支持されており、両面粘着テープ片taの端部を検出した移動位置を読み取ることで両面粘着テープ片taの横端位置と前後端位置の情報を得るようになっている。得た情報は、制御部に送られる。
【0039】
キャリアテープ回収部17は、図2に示すように、ナイフエッジ14で折り返されたキャリアテープctを送りローラ27で駆動走行させ、回収ボビン28で巻き取るよう構成されている。
【0040】
貼付けローラ18は、駆動シリンダ30によって昇降されるよう構成されており、ナイフエッジ14の先端においてキャリアテープctから剥離されて前方に押し出し移動されるセパレータ付きの両面粘着テープ片taをその上面から押圧し、貼付けテーブル19に吸着保持されて水平移動するウエハWの上面に貼付ける。なお、貼付けローラ18および駆動シリンダ30によって本発明のテープ貼付機構が構成されている。
【0041】
貼付けテーブル19は、前後方向、および、左右方向に移動できるよう構成されている。すなわち、図2および図7に示すように、ナイフエッジ14の下方にまで入り込むようにレール31が前後水平に設置され、このレール31に沿ってモータ32でネジ送り移動される前後可動台33が備えられている。前後可動台33の上には左右水平にレール34が固定されている。このレール34に沿って図示されていないモータでネジ送り移動される左右可動台35が装備されている。さらに、左右可動台35の上に貼付けテーブル19が装備されている。
【0042】
図6に示すように、貼付けテーブル19の前後左右の四箇所には、シリンダ36によってテーブル中心に向けて進退可能な位置決め部材37が配備されている。貼付けテーブル19の上に載置されたウエハWの外周端を位置決め部材37でテーブル中心に向けて四方から押圧することにより、ウエハWをテーブル中心上に位置決めするように構成されている。
【0043】
貼付けテーブル19の中心には、上面が真空吸着面に構成された吸着パッド38が備えられている。この吸着パッド38は、図7に示すように、駆動シリンダ39によって昇降される。また、吸着パッド38は、モータ40にベルト掛け連動されて、貼付けテーブル19の中心を通る縦軸心P周りに回動可能になっている。
【0044】
また、貼付けテーブル19の上方には、貼付け検査機構41が配備されている。この貼付け検査機構41は、一対の監視カメラ42でウエハWの対角周縁を監視して、ウエハWに対する両面粘着テープ片taの位置ズレ、および、両面粘着テープ片taにおける切断端縁の仕上がり具合(切れ味)を検出するよう構成されている。なお、貼付け検査機構41は、本発明の検査機構に相当する。
【0045】
基板搬入搬出部5は、図1に示すように、左右移動可能な搬送ロボット43が備えられている。また、基板搬入搬出部5の周囲の複数箇所には、両面粘着テープtの貼付け処理前のウエハWを多段に差込み収容したカセットC、および、両面粘着テープtの貼付け処理の済んだウエハWを差込み収容するカセットCの支持台44がそれぞれ昇降可能に配備されている。
【0046】
搬送ロボット43には、水平に屈伸可能かつ全方向に旋回可能かつなロボットアーム45が備えられている。ロボットアーム45の遊端部には上面が真空吸着面に構成された馬蹄形の吸着部45aが備えられている。なお、搬送ロボット43は、本発明の基板搬送機構に相当する。
【0047】
図10に示すように、テープ剥離部4には、剥離テーブル50、剥離テープ供給部51、剥離ローラ52、および、剥離テープ回収部53が備えられている。なお,テープ剥離部4に備わったこれらの構成が、本発明のテープ剥離機構を構成している。
【0048】
剥離テーブル50は、前後水平に移動可能かつ昇降可能に配備されている。すなわち、前後水平に設置されたレール54に沿ってモータ55でネジ送り移動する可動台56が備えられている。この可動台56に、剥離テーブル50がガイド軸57を介して駆動昇降可能に支持されている。また、剥離テーブル50の中心部には、ウエハ搬入搬出用の吸着パッド58が出退昇降可能に装備されている。
【0049】
剥離テープ供給部51、剥離ローラ52、および、剥離テープ回収部53は、剥離テーブル移動経路脇の上部に設置固定されたフレーム板59に装備されている。
【0050】
剥離テープ供給部51は、剥離テープhtを原反ロールHRから繰り出し、剥離ローラ52を経て送りローラ60に導くよう構成されている。なお、剥離テープhtは、粘着面を下向きにした姿勢で剥離ローラ52に巻回される。
【0051】
剥離ローラ52は、剥離テーブル50に対向するようフレーム板59の下部に配備され、駆動シリンダ61によって昇降される。
【0052】
剥離テープ回収部53は、送りローラ60によって上方に向けて送り出された剥離テープhtを回収ボビン62に巻取り回収するよう構成されている。
【0053】
本発明に係る両面粘着テープ貼付け装置は以上のように構成されており、この装置を用いてウエハ表面に両面粘着テープを貼付け処理する一巡の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0054】
(1)基板搬入搬出部5において、支持台44に装填された所定のカセットCに搬送ロボット43のロボットアーム45が差し入れられる。ロボットアーム45は、収容されたウエハWの1枚の裏面を吸着保持し、ウエハ表面が上向きの姿勢で取り出す。ロボットアーム45は、テープ貼付け部3の前方に待機している貼付けテーブル19の上方にウエハWを搬入する。
【0055】
貼付けテーブル19上には吸着パッド38が突出待機している。ロボットアーム45によって搬入されたウエハWは、一旦吸着パッド38に移載される。ロボットアーム45は、貼付けテーブル19上から退避する。吸着パッド38は下降し、ウエハWが保持テーブル19上に載置される。
【0056】
貼付けテーブル19にウエハWが載置されると、四方の位置決め部材37がそれぞれテーブル中心側に進出し、ウエハWがテーブル中心上に位置決めされる。この位置決め状態で図示しない真空ポンプが作動され、ウエハWが貼付けテーブル19上に吸着保持される。その後、貼付けテーブル19が後方に移動してテープ貼付け部3の下方の所定位置に送られる。
【0057】
(2)他方、テーププリカット機構2において、図4(a)に示すように、上方の待機位置にあるトムソン刃11は、駆動シリンダ8の作動によって刃台7が復帰バネ10の付勢力に抗して下降駆動され、テープ支持台6の上で走行停止している原反テープTに押し付けられる。この場合、図4(b)に示すように、トムソン刃11は、原反テープT上でセパレータs付きの両面粘着テープtだけを切断し、キャリアテープctを完全に切断しきらないよう刃台7の下降限界が規制されている。両面粘着テープtを切断したトムソン刃11は、図4(c)に示すように、待機位置に復帰する。両面粘着テープtがウエハ形状に切断された後、原反テープTが前方に送られる。
【0058】
切抜き孔を有する帯状の不要な両面粘着テープtbだけがキャリアテープctから剥離されて不要粘着テープ回収部15に回収されてゆく。この場合、ウエハ形状に切り抜き切断された両面粘着テープ片taはキャリアテーctに貼り残されたままである。
【0059】
(3)キャリアテープctに両面粘着テープ片taのみを貼付け支持した原反テープTは走行し、ナイフエッジ14で折り返される。このとき、両面粘着テープ片taは、折り返されて走行してゆくキャリアテープctから剥離され、ナイフエッジ14の上面に沿って前方に突出してゆく。そして、図9(a)に示すように、両面粘着テープ片taの前端がナイフエッジ14の先端を越えて、上方待機位置にある貼付けローラ18の直下位置に到達した時点でテープ走行が一旦停止される。
【0060】
このとき、キャリアテープctによってテープ貼付け部3に送られる両面粘着テープ片taは、その前端部分、横端部分、および後端部分の順に監視カメラ22,23によって読み取られる。つまり、監視カメラ23によってその前端部分の位置の画像が取得され、監視カメラ22によってその横端部分の画像が取得され、さらに、監視カメラ23によってその後端部分の画像が取得され、それぞれの画像による位置情報が制御部に送られる。
【0061】
制御部は、各画像に含まれる両面粘着テープ片taのそれぞれの部分から外周の位置座標を求める。両面粘着テープ片taの各位置座標に基づいて貼付けテーブル19に保持されているウエハWと両面粘着テープ片taとの位置ズレ方向と位置ズレ量を求める。つまり、両面粘着テープ片taの前後端部分の各座標から両面粘着テープ片taの搬送方向の距離を算出し、その距離が最大となる位置を先端として求める。位置ズレ方向と位置ズレ量は、先に求めた先端の位置と横端部分の画像と予め取得した基準画像とのパターンマッチングによって求められる。
【0062】
制御部は、求めた両面粘着テープtaの位置ズレ方向および位置ズレ量に基づいて、貼付けテーブル19を前後および左右方向、並びに縦軸心P周りに作動制御し、貼付け位置が修正される。
【0063】
(4)次に、貼付けローラ18が下降され、ナイフエッジ14から前方に突出している両面粘着テープ片taの前端部分を貼付けテーブル19に保持されているウエハWの前端部表面に押し付ける。その後、図9(b)に示すように、テープ走行が再開され、キャリアテープctから剥離されながら前方に移動してゆく両面粘着テープ片taの前方移動速度に同調した速度で貼付けテーブル19が前方に移動される。すなわち、キャリアテープctから剥離された両面粘着テープ片taが貼付けローラ18によって連続してウエハWの表面に貼付けられてゆく。
【0064】
(5)両面粘着テープ片taの貼付けが完了した貼付けテーブル19は、所定の待機位置まで移動して停止する。その位置で、貼付け検査機構41によって両面粘着テープ片taの貼付け具合や切断仕上がりの良否が検査される。
【0065】
すなわち、貼付けテーブル19が、ウエハWを搬送ロボット43に受け渡す位置(図1のレール右端)に到達すると、吸着バッド38がウエハWを吸着保持したまま上昇し、縦軸心P周りに回転する。この回転の最中に一対の監視カメラ42がウエハWの外周を撮影する。例えば、一方の監視カメラ42を利用して撮影した当該画像データを制御部に送る。制御部は、この監視カメラ42で撮影したウエハWの外周輪郭の座標を求める。この求めた実座標と、予め決めて制御部内のメモリに記憶している基準座標とを比較する。この比較により実座標が基準座標と一致しない場合に、ウエハWからの両面粘着テープ片taのはみ出しが有ると判断される。
【0066】
他方の監視カメラ42は、ウエハWを回転させている最中に外周を同じく撮影し、その画像データを制御部に送る。制御部は、例えば、この画像データを2値化処理する。このとき、トムソン刃11の摩耗による両面粘着テープ片taの切断不良により、テープ外周に引き裂きによる髭状の部分がウエハWからはみ出していると、その部位がウエハWの部分およびウエハWの外側の部分とは異なる色になって現れる。すなわち、ウエハWに向けて照射装置から照射されている光の反射により、ウエハWの部分は白色になる。ウエハWの外側は、反射光がない状態なので、黒色になる。テープ端から髭状の切断不良の発生している部分は、グレーになる。したがって、制御部は、2値化処理によりウエハWの外周部分にグレーゾーンが生じている場合は、切断不良とみなす。
【0067】
(6)貼付け検査が終了すると、貼付けテーブル19の吸着が解除されるとともに吸着パッド38が上昇され、テーブル上に浮上されたウエハWは、搬送ロボット43によって搬出されてテープ剥離部4に送られ、前方の所定位置で待機している剥離テーブル50に移載される。
【0068】
(7)剥離テーブル50に載置されたウエハWが、貼付け検査機構41によって良品として判定された場合、次の処理が行われる。
【0069】
ウエハWを載置して吸着保持した剥離テーブル50は一旦後方(図1では左方)に移動し、図11(a)に示すように、ウエハWの端部が剥離ローラ52の直下位置に到達した時点でテーブル移動が停止される。剥離ローラ52は、下方に移動されて剥離テープhtの下向き粘着面がウエハWの上面に貼付けられた両面粘着テープ片taのセパレータsに押し付けられる。その後、図11(b)に示すように、剥離テーブル50が前方に復帰移動されるとともに、剥離テープhtがそれと同調した速度で回収方向に走行される。すなわち、この剥離テーブル50の復帰移動によって剥離テープhtに貼付け保持されたセパレータsが、両面粘着テープ片taにおける両面粘着テープ本体t’の上向き粘着面から剥離されて、剥離テープhtとともに巻取り回収されてゆく。
【0070】
(6)両面粘着テープ本体t’からのセパレータsの剥離除去が完了すると、剥離ローラ52は上昇復帰し、剥離テーブル50が元の待機位置まで復帰移動して停止する。ここで、先の検査によって両面粘着テープ片taがウエハWに正しく貼付けられていることが認識されていた場合には、搬送ロボット43によってウエハWが剥離テーブル50から搬出され、所定のカセットCに差込み収納される。
【0071】
(7)剥離テーブル50に載置されたウエハWに両面粘着テープ片taが適正に貼付けられていないことが認識されていた場合には、上記のセパレータsの剥離と同じ作動が繰り返される。つまり、剥離テーブル50は、ウエハWの直下位置に剥離ローラ52が位置させるために移動して一旦停止する。剥離ローラ52は、下方に移動されて剥離テープhtの下向き粘着面がウエハWの上面に貼付けられた両面粘着テープ片taに押し付けられる。その後、図12に示すように、剥離テーブル50が前方に復帰移動されるとともに、剥離テープhtがそれと同調した速度で回収方向に走行される。すなわち、この剥離テーブル50の復帰移動によってウエハWの上面に残された両面粘着テープ片taの両面粘着テープ本体t’に剥離テープhtが貼付けられる。この剥離テープhtを巻取り回収することにより、両面粘着テープ本体t’は、剥離テープhtとともウエハWから剥離されて巻取り回収されてゆく。
【0072】
(8)2回の剥離作動によって、貼付け不良であった両面粘着テープ片taがセパレータsとともに剥離除去されると、表面が露出されたウエハWは、搬送ロボット43によって剥離テーブル50から搬出される。搬送ロボット43は、貼付け検査機構41の受け渡し位置に待機している貼付けテーブル19に再生されたウエハWを移載する。貼付けテーブル19は、両面粘着テープ片taの貼付け位置に移動する。その後、上記した両面粘着テープ貼付け作動、検査が順番に再度行われる。
【0073】
以上で一巡の動作が終了し、以後同じ動作が繰り返される。
【0074】
上記実施例装置によれば、両面粘着テープ片taの貼付け不良のウエハWを通常処理のテープ剥離部4に搬送し、セパレータsおよび両面粘着テープ本体t’の順に2回の剥離処理を行ってウエハWから剥離除去し、再生されたウエハWをこの剥離テーブル50に搬送されてきた同じ搬送経路に沿って貼付けテーブル19まで戻すことができる。したがって、両面粘着テープ貼付け装置内で発生したテープ貼付け不良のウエハWの再生を、同じ装置内で一連の処理として速やかに行うことができる。換言すれば、テーブ貼付け不良のウエハWを再生するために個別の工程および装置を必要としない。
【0075】
なお、本発明は以下のような形態で実施することもできる。
【0076】
(1)上記実施例では、ウエハWに両面粘着テープ片taが正しく貼付けられている場合でも、セパレータsを剥離除去してカセットCに回収格納し、直ちに支持板の貼合わせ工程に移行できるようにしているが、セパレータsを剥離することなくウエハWを回収格納し、支持板を貼合わせる工程で両面粘着テープ片taのセパレータsを剥離除去するようにしてもよい。
【0077】
(2)両面粘着テープtを貼付ける対象としての基板としては、円形に形成された半導体ウエハのみならず、矩形のガラス基板などの各種基板を処理対象とすることができる。
【0078】
(3)上記実施例では、貼付け検査機構41に備わった2台の監視カメラ42を利用し、それぞれでウエハWの外周の画像データを取得していたが、一台の監視カメラ42を利用しもよい。この場合、一台の監視カメラ42で取得したウエハWの外周の画像データを利用し、上記と同じ座標変換を利用してテープのはみ出しによる不良を判定するとともに、2値化処理で切断不良を判定するする。また、一台の監視カメラ42でウエハWの全体を撮影し、取得した実画像と予め取得した基準画像とのパターンマッチングによってテープ貼付け不良を判定してもよい。
【0079】
(4)本発明では、切断処理が施されていない原反テープTをロール巻きして装填し、原反ロールTRから繰り出した原反テープTをナイフエッジ14に導く途中で切断処理を施す形態を採用しているが、次のように構成してもよい。すなわち、原反テープTに予め基板形状のハーフカット処理を所定ピッチで施してロール巻きにする。この原反ロールTRからハーフカット処理済みの原反テープTを繰り出し、不要両面粘着テープtbの剥離回収、および、両面粘着テープ片taを貼付け支持した原反テープTの折り返し走行を行い、両面粘着テープ片taの剥離および貼付けを連続して行う形態にして実施することも可能である。
【符号の説明】
【0080】
14 … ナイフエッジ
18 … 貼付けローラ
19 … 貼付けテーブル
41 … 貼付け検査機構
42 … 監視カメラ
50 … 剥離テーブル
ca … キャリアテープ
s … セパレータ
t … 両面粘着テープ
t’ … 両面粘着テープ本体
ta … 両面粘着テープ片
T … 原反テープ
W … 基板(半導体ウエハ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面粘着テープを基板に貼付ける両面粘着テープ貼付け方法であって、
前記基板形状に切断したセパレータ付きの両面粘着テープ片を長尺のキャリアテープに貼付け支持した原反テープをナイフエッジで折り返し走行させることにより、両面粘着テープ片をキャリアテープから剥離する剥離過程と、
剥離した前記両面粘着テープ片を剥離速度と同調して相対移動される基板に貼付ける貼付け過程と、
貼付け処理された前記両面粘着テープ片の基板からのはみ出しを検査機構で検査する検査過程と、
前記両面粘着テープ片の基板からのはみ出しが検知された場合、当該不良基板をテープ剥離機構に搬送し、両面粘着テープ片を基板から剥離除去する剥離過程と、
前記両面粘着テープ片が剥離除去された再生基板を前記貼付け過程のテープ貼付け位置からテープ剥離機構に搬送した同じ搬送経路を通して当該テープ貼付け位置に戻す再投入過程と、
前記貼付け過程で再生基板に再び両面粘着テープ片を貼付ける再生過程と、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の両面粘着テープ貼付け方法において、
前記剥離過程は、不良基板に対して両面粘着テープ片のセパレータに剥離テープを貼付けて両面粘着テープ片からセパレータを剥離するセパレータ剥離過程と、
前記セパレータの剥離された両面粘着テープ片に剥離テープを貼付けて、基板から両面粘着テープ片を剥離除去する両面粘着テープ剥離過程と、
を含むことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の両面粘着テープ貼付け方法において、
前記剥離過程は、両面粘着テープ片の基板からのはみ出しのない良品基板上の両面粘着テープ片に剥離テープを貼付け、当該両面粘着テープ片からセパレータを剥離するセパレータ剥離過程をさらに含む
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項4】
両面粘着テープを基板に貼付ける両面粘着テープ貼付け装置であって、
前記基板形状に切断したセパレータ付きの両面粘着テープ片を長尺のキャリアテープに貼付け支持した原反テープをナイフエッジに導くテープ走行案内機構と、
前記基板を保持する貼付けテーブルと、
前記貼付けテーブルをナイフエッジに対してテープ走行速度と同調して相対移動させるテーブル駆動機構と、
前記原反テープの折り返し走行によってナイフエッジの先端でキャリアテープから剥離された基板形状の両面粘着テープ片を貼付けテーブル上の基板に押圧する貼付けローラを備えたテープ貼付機構と、
前記基板に貼付けられた両面粘着テープ片のはみ出し状態を検査する検査機構と、
両面粘着テープ片が貼付けられた基板を保持する剥離テーブルと、
剥離テーブルに保持された基板から両面粘着テープ片を剥離除去するテープ剥離機構と、
前記貼付けテーブルと剥離テーブルとの間で基板の搬送を行う基板搬送機構と、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記検査機構は、貼付けテーブルに保持された両面粘着テープ片を貼付け済みの基板に対し、両面粘着テープ片の周端を一対の監視カメラで監視するよう構成した
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項1】
両面粘着テープを基板に貼付ける両面粘着テープ貼付け方法であって、
前記基板形状に切断したセパレータ付きの両面粘着テープ片を長尺のキャリアテープに貼付け支持した原反テープをナイフエッジで折り返し走行させることにより、両面粘着テープ片をキャリアテープから剥離する剥離過程と、
剥離した前記両面粘着テープ片を剥離速度と同調して相対移動される基板に貼付ける貼付け過程と、
貼付け処理された前記両面粘着テープ片の基板からのはみ出しを検査機構で検査する検査過程と、
前記両面粘着テープ片の基板からのはみ出しが検知された場合、当該不良基板をテープ剥離機構に搬送し、両面粘着テープ片を基板から剥離除去する剥離過程と、
前記両面粘着テープ片が剥離除去された再生基板を前記貼付け過程のテープ貼付け位置からテープ剥離機構に搬送した同じ搬送経路を通して当該テープ貼付け位置に戻す再投入過程と、
前記貼付け過程で再生基板に再び両面粘着テープ片を貼付ける再生過程と、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の両面粘着テープ貼付け方法において、
前記剥離過程は、不良基板に対して両面粘着テープ片のセパレータに剥離テープを貼付けて両面粘着テープ片からセパレータを剥離するセパレータ剥離過程と、
前記セパレータの剥離された両面粘着テープ片に剥離テープを貼付けて、基板から両面粘着テープ片を剥離除去する両面粘着テープ剥離過程と、
を含むことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の両面粘着テープ貼付け方法において、
前記剥離過程は、両面粘着テープ片の基板からのはみ出しのない良品基板上の両面粘着テープ片に剥離テープを貼付け、当該両面粘着テープ片からセパレータを剥離するセパレータ剥離過程をさらに含む
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項4】
両面粘着テープを基板に貼付ける両面粘着テープ貼付け装置であって、
前記基板形状に切断したセパレータ付きの両面粘着テープ片を長尺のキャリアテープに貼付け支持した原反テープをナイフエッジに導くテープ走行案内機構と、
前記基板を保持する貼付けテーブルと、
前記貼付けテーブルをナイフエッジに対してテープ走行速度と同調して相対移動させるテーブル駆動機構と、
前記原反テープの折り返し走行によってナイフエッジの先端でキャリアテープから剥離された基板形状の両面粘着テープ片を貼付けテーブル上の基板に押圧する貼付けローラを備えたテープ貼付機構と、
前記基板に貼付けられた両面粘着テープ片のはみ出し状態を検査する検査機構と、
両面粘着テープ片が貼付けられた基板を保持する剥離テーブルと、
剥離テーブルに保持された基板から両面粘着テープ片を剥離除去するテープ剥離機構と、
前記貼付けテーブルと剥離テーブルとの間で基板の搬送を行う基板搬送機構と、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記検査機構は、貼付けテーブルに保持された両面粘着テープ片を貼付け済みの基板に対し、両面粘着テープ片の周端を一対の監視カメラで監視するよう構成した
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−81650(P2012−81650A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229535(P2010−229535)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(394016601)日東精機株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(394016601)日東精機株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
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