説明

中枢神経系の疾患の治療に有用な1,2,4−トリアミノベンゼン誘導体

本発明は以下の式、
【化1】


で表される1,2,4-トリアミノベンゼン誘導体またはその薬学的に許容される塩およびその使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、KCNQファミリーカリウムチャネルの開口薬(openers)である、新規の1,2,4-トリアミノベンゼン誘導体に関する。上記化合物は中枢神経系疾患の予防、治療および/または抑制に有用である。
【背景技術】
【0002】
イオンチャネルは、カリウム、カルシウム、クロライドおよびナトリウムを含むイオンの細胞内外への流れを制御する、細胞のタンパク質である。上記チャネルはすべての動物およびヒト細胞に存在し、そして神経伝達、筋収縮および細胞分泌を含む種々の過程に影響する。
ヒトは、構造および機能の両方に関して大きな多様性を持つ、70を超えるカリウムチャネルサブユニットを有する(非特許文献1)。脳で見られるニューロン(Neuronal)のカリウムチャネルは主に、活動電位に続く膜再分極の制御と同様、負の静止膜電位の維持に関連する。
【0003】
カリウムチャネル遺伝子の一つのサブセットはKCNQファミリーである。5つのKCNQ遺伝子のうち4つにおける突然変異が、心不整脈、難聴およびてんかんを含む疾患において見られることが示されている(非特許文献1)。
【0004】
KCNQ4遺伝子は、蝸牛の外有毛細胞および前庭器のI型有毛細胞で見られるカリウムチャネル関連の分子をコードしており、この遺伝子の突然変異により遺伝性難聴が形成されると考えられる。
【0005】
KCNQ1(KvLQT1)は、心筋遅延整流性K(+)電流(cardiac-delayed rectifier-like K(+) current)を形成するために、心臓でKCNE1(最小のK(+)-チャネルタンパク質)遺伝子産物と共に会合する。このチャネルにおける変異は、難聴の形成に関連するのと同様、遺伝性QT延長症候群1型(LQT1)の一形態を引き起こしうる(非特許文献2)。
【0006】
KCNQ2とKCNQ3遺伝子は1988年に発見され、良性家族性新生児痙攣として知られるてんかんの遺伝形態において、突然変異が見られる(非特許文献3)。KCNQ2およびKCNQ3遺伝子によってコードされるタンパク質は、ヒトの、発作の発生および伝播に関連する脳の部位である皮質および海馬の錐体神経に局在している(非特許文献4)。
【0007】
KCNQ2とKCNQ3は、生体外(In vitro)で発現させると「M電流」を形成する、2つのカリウムチャネルサブユニットである。M電流は多くの神経細胞のタイプで見られる非不活化(non-inactivating)カリウム電流である。どの細胞のタイプにおいても、主に活動電位開始の領域における持続性電流のみによって膜興奮性は制御される(非特許文献5)。M電流の変調(Modulation)は、神経の興奮性に劇的な効果を及ぼし、例えば上記電流の活性化は神経の興奮性を減少させる。このように、これらのKCNQチャネル開口薬は、発作およびてんかんや神経因性疼痛のような過剰な神経活性で特定される疾患のような病気において、過剰な神経活性を減少させる。
【0008】
レチガビン(Retigabine)(D-23129; N-(2-アミノ-4-(4-フルオロベンジルアミノ)-フェニル) カルバミン酸エチルエステル)およびその類似体は特許文献1に開示されている。レチガビンは、生体外および生体内(in vivo)の両方で、広いスペクトルおよび強力な抗痙攣特性を持つ抗痙攣性の化合物である。それは、電気的に誘導される発作、ペンチレンテトラゾール(pentylenetetrazole)、ピクロトキシン(picrotoxin)およびN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)により化学的に誘導される発作を含む抗痙攣薬試験の範囲内におけるラットおよびマウス、および遺伝的動物モデルであるDBA/2マウスでの経口および腹腔内投与後に活性を有する(非特許文献6)。加えて、レチガビンは複雑部分発作の扁桃核キンドリング(amygdala kindling)モデルにおいて活性であり、さらにこの化合物が抗痙攣治療に効力を有することを示している。
【0009】
臨床試験において、レチガビンは最近、てんかん患者における発作の発生率を減少させる効果を示している(非特許文献7)。
【0010】
レチガビンは、神経細胞においてK(+)電流を活性化し、この誘導される電流の薬理学は、近年KCNQ2/3K(+)チャネルへテロ多量体と関連付けられて発表されているM-チャネルの薬理学との一致を示す。このことは、KCNQ2/3チャネルの活性化が、この作用薬のいくつかの抗痙攣活性の原因となっており(非特許文献8)、そして他の同じ機構で作用する作用薬は類似の用途をもつことを示唆している。
KCNQ2および3チャネルは、神経因性疼痛のモデルにおいてアップレギュレート(upregulated)されることが報告されており(非特許文献9)、カリウムチャネルモジュレーター(modulators)は、神経因性疼痛およびてんかんの両方において活性であると予想されている(非特許文献10)。さらにKCNQチャネルmRNAの局在化が、脳および痛みに関連する他の中枢神経系領域において報告されている(非特許文献11)。
【0011】
神経因性疼痛における役割に加えて、三叉神経および後根神経節および三叉神経尾側核(trigeminal nucleus caudalis)におけるKCNQ2-5のmRNAの発現は、これらのチャネルの開口薬が片頭痛(migraine pain)の感覚的な過程にも影響を及ぼしていることを暗示する(非特許文献11)。
【0012】
最近の報告では、KCNQ2に加えてKCNQ3および5のmRNAが星状およびグリア細胞で発現していることが示されている。従って、KCNQ2、3および5チャネルは、CNSにおけるシナプス活性の調節を助け、KCNQチャネル開口薬の神経保護効果に貢献している(非特許文献12)。レチガビンおよび他のKCNQモジュレーターは、従って、レチガビンがラットにおいて辺縁系の神経変性、およびカイニン酸(kainic acid)が誘導するてんかん重積状態に続くアポトーシスマーカーの発現を妨げることが示されているように、てんかんの神経変性の側面に対する保護を示す(非特許文献13)。これは、患者におけるてんかんの進行を妨げる、すなわち、抗てんかん誘発に関連性を有する。レチガビンは、さらにてんかんの進展したモデルであるラットにおいて海馬キンドリング(hippocampal kindling)の進行を遅らせることが示されている(非特許文献14)。
【0013】
ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)およびクロメチアゾール(chlormethiazole)のような抗痙攣薬化合物が、エタノール離脱症候群(ethanol withdrawal syndrome)の治療に臨床的に使用され、他の抗痙攣薬化合物、例えばガバペンチン(gabapentin)がこの症候群の動物モデル(非特許文献15)にとても効果的であるならば、KCNQ開口薬のような他の抗痙攣薬化合物はこの病気においても効果的であると期待できる。
【0014】
KCNQ2および3サブユニットのmRNAは、不安および双極性障害のような情動行動と関連する脳の領域、例えば海馬および扁桃において見られ (非特許文献16)、そしてレチガビンは伝えられるところによれば、不安様行動のいくつかの動物モデルで活性であり(非特許文献17)、他の臨床的に使用される抗痙攣薬化合物は、双極性障害の治療に使用されている。
【0015】
特許文献2には、不眠症のための、KCNQ2およびKCNQ3遺伝子の発現によって形成されるM電流のモジュレーターの使用が開示されており、さらに特許文献3には、KCNQ5のモジュレーターが睡眠障害の治療に利用できることが開示されている。
特許文献4には、異痛、痛覚過敏(hyperalgesic pain)、幻想痛(phantom pain)のような神経因性疼痛、糖尿病性神経障害に関連する神経因性疼痛、および片頭痛に関連する神経因性疼痛の予防および治療のための、レチガビンの使用について記載されている。
【0016】
特許文献5には、不安、全般性不安障害、パニック不安、強迫性障害、対人恐怖、パフォーマンス不安(performance anxiety)、外傷後ストレス障害、急性ストレス反応(acute stress reaction)、適応障害、心気症障害(hypochondriacal disorders)、分離不安障害(separation anxiety disorder)、広場恐怖症および特異恐怖症(specific phobias)のような不安障害の予防、治療、抑制および改善のための、レチガビンの使用について記載されている。
【0017】
特許文献6には、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、AIDS誘発性脳症(AIDS-induced encephalopathy)および風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ボレリア菌および未知の病原体に起因する、他の感染に関連した脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、外傷誘発性神経変性(trauma-induced neurodegenerations)のような神経変性障害および薬物離脱症状(medicament withdrawal)におけるようなまたは中毒によるような神経の過興奮状態(hyperexcitation states)、多発性神経障害および多発性神経炎(polyneuritides)のような抹消神経系の神経変性障害の治療のための、レチガビンの使用について記載されている。
【0018】
従って、KCNQファミリーカリウムチャネルの強力な開口薬である新規化合物が熱望される。
【0019】
レチガビンのようなKCNQファミリーカリウムチャネルの開口薬である既知の化合物と比較して、改善された特性をもつ新規化合物もまた所望されている。以下のパラメーター:
半減期、クリアランス(clearance)、選択性、他の薬剤との相互作用、生物学的利用能(bioavailability)、有効性(potency)、製剤化能(formulability)、化学的安定性、代謝安定性、膜透過性、溶解度および治療指数(therapeutic index);
の1つ以上の改善が所望されている。これらのパラメーターの改善は、以下のような:
・一日の必要用量を減少することによる、改善した用量での療法
・多剤治療の患者への投与の軽減
・副作用の減少
・治療指数の増大
・忍容性(tolerability)の改善、および/または
・服薬遵守(compliance)の改善;
をもたらす。
【特許文献1】欧州特許第554543号明細書
【特許文献2】特許出願公開(WO )第200196540号明細書
【特許文献3】特許出願公開(WO )第2001092526号明細書
【特許文献4】特許出願公開(WO )第01/022953号明細書
【特許文献5】特許出願公開(WO )第02/049628号明細書
【特許文献6】特許出願公開(WO )第97/15300号明細書
【非特許文献1】Jentsch Nature Reviews Neuroscience 2000, 1, 21-30
【非特許文献2】Robbins Pharmacol Ther 2001, 90, 1-19
【非特許文献3】Rogawski Trends in Neurosciences 2000, 23, 393-398
【非特許文献4】Cooper et al. Proceedings National Academy of Science U S A 2000, 97, 4914-4919
【非特許文献5】Marrion Annual Review Physiology 1997, 59, 483-504
【非特許文献6】Rostock et al. Epilepsy Research 1996, 23, 211-223
【非特許文献7】Bialer et al. Epilepsy Research 2002, 51, 31-71
【非特許文献8】Wickenden et al. Molecular Pharmacology 2000, 58, 591-600
【非特許文献9】Wickenden et al. Society for Neuroscience Abstracts 2002, 454.7
【非特許文献10】Schroder et al. Neuropharmacology 2001, 40, 888-898; Blackburn-Munro and Jensen European Journal of Pharmacology 2003, 460, 109-116
【非特許文献11】Goldstein et al. Society for Neuroscience Abstracts 2003, 53.8
【非特許文献12】Noda et al., Society for Neuroscience Abstracts 2003, 53.9
【非特許文献13】Ebert et al. Epilepsia 2002, 43 Suppl 5, 86-95
【非特許文献14】Tober et al. European Journal Of Pharmacology 1996, 303, 163-169
【非特許文献15】Watson et al. Neuropharmacology 1997, 36, 1369-1375
【非特許文献16】Saganich et al. Journal of Neuroscience 2001, 21, 4609-4624
【非特許文献17】Hartz et al. Journal of Psychopharmacology 2003, 17 suppl 3, A28,B16
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
(発明の概要)
従って、本発明の目的の1つは、KCNQファミリーカリウムチャネルの強力な開口薬である新規化合物を提供することである。
【0021】
本発明の化合物は、以下の式、
【0022】
【化1】

【0023】
で表される1,2,4-トリアミノベンゼン誘導体、またはその薬学的に許容される塩であって、式中、R1、R2、R2’、R3、X、Z、Yおよびqが以下に定義されるような1,2,4-トリアミノベンゼン誘導体、またはその薬学的に許容される塩である。
【0024】
本発明はさらに、式Iの化合物を含む医薬調合物およびその使用方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(発明の説明)
本発明は、以下の式、
【0026】
【化2】

【0027】
で表される新規の1,2,4-トリアミノベンゼン誘導体またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、R1は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アシル、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル) およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から選択され;
R2 およびR2’ は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アシル、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から独立して選択され;
R3は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 NR10R10’-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 NR10R10’-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群であって、
R10 およびR10’ は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 ヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)(halo-C1-6-alk(en/yn)yl)、 ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 シアノ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびシアノ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択されるか、または、R10およびR10’ が、それらに結合する窒素原子とともに、場合により1、 2 または3 個以上のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の4-8員環を形成する、
上記群から選択され;
X は、CO またはSO2であり;
Z は、O またはNR4であって、
式中、R4は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から選択されるか、または、
R3およびR4は、それらに結合する窒素原子とともに、場合により1、 2 または3 個以上のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の4-8員環を形成し、R3およびR4および窒素原子によって形成される環が場合により、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリールおよびアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており;
qは0 または1であり;
そして、
Yは以下の式IIまたはIII、
【0028】
【化3】

【0029】
のどちらか一方で表されるヘテロアリールであって、
式中、
Wは、OまたはSであり;
mは 、0、1、 2 または3であり;
nは、0、 1、 2、 3 または4であり;
pは、0または1であり;そして
それぞれのR5は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アシル、 ハロゲン、 ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、 -CO-NR6R6’、 シアノ、 ニトロ、 -NR7R7’、 -S-R8、 -SO2R8およびSO2OR8からなる群から独立して選択されて;
式中、
R6およびR6’ は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびアリールからなる群から独立して選択され;
R7およびR7’ は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリールおよびアシルからなる群から独立して選択され;そして
R8は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリールおよび-NR9R9’からなる群から選択され、式中、
R9およびR9’ は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択される、
上記新規の1,2,4-トリアミノベンゼン誘導体またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0030】
q が1のときはR3 はZに結合し、ZはX に結合する一方、q が0のときはR3 はX に結合する。従って、X-(Z)q-R3はX-R3、X-O-R3またはX-NR3R4を表すことができる。
【0031】
特定の実施態様において、本発明は式Iの化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩であって、
式中、R1、 R2、 R2’、 X、およびq が上記のように定義され;そして、
R3は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から選択され;そして、
Z は、R4が水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から選択される、という条件とともに上記のように定義され;そして、
Y は、それぞれのR5がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アシル、 ハロゲン、 ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 -CO-NR6R6’、 シアノ、 ニトロ、 -NR7R7’、 -S-R8、 -SO2R8 およびSO2OR8からなる群から独立して選択される、という条件とともに上記のように定義される、
上記式Iの化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩に関する。
【0032】
1つの実施態様において、R1 が、アシル、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル) およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から選択される。
【0033】
もう1つの実施態様において、本発明は、R1 が水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)および C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される、上記化合物に関する。
1つの好ましい実施態様において、本発明は、R1 が水素およびC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される、上記化合物に関する。
特定の実施態様において、本発明は、R1 が水素原子である上記化合物に関する。
【0034】
もう1つの特定の実施態様において、本発明は、R1 がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である上記化合物に関する。
【0035】
1つの実施態様において、R2 およびR2’ の 少なくとも1つが、アリール、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アシル、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から選択される。
【0036】
もう1つの実施態様において、R2 およびR2’ の 少なくとも1つが、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される。
【0037】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、置換基R2 およびR2’ の 少なくとも1つが水素原子である、上記化合物に関する。
【0038】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、R2 およびR2’ の両方が水素原子である、上記化合物に関する。
【0039】
1つの実施態様において、R3は、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 NR10R10’-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 NR10R10’-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群であって;
R10およびR10’ は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 ヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 シアノ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびシアノ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択され、または、
R10およびR10’ が、それらに結合する窒素原子とともに、場合により1、 2 または3 つ以上のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の4-8員環を形成する;
上記群から選択される。
【0040】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、q が1、Z が NR4、およびR3 が水素原子である、上記化合物に関する。
【0041】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、R3が水素原子とは異なる上記化合物に関する。
【0042】
さらにもう1つの実施態様において、R3はC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される。
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、R3がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される、上記化合物に関する。
【0043】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、R3がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である、上記化合物に関する。
【0044】
さらにもう1つの実施態様において、R3は、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である。
【0045】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、R3 がアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である、上記化合物に関する。
【0046】
1つの実施態様において、本発明は、X がSO2である上記化合物に関する。
【0047】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、XがCOである上記化合物に関する。
【0048】
1つの実施態様において、qは0である。
【0049】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、XがCOおよびqが0である上記化合物に関する。
【0050】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、XがCOおよびqが0であってR3がアリールとは異なる上記化合物に関する。
【0051】
もう1つの実施態様において、qは1である。
1つの実施態様において、本発明は、qが1およびZ がNR4である上記化合物に関する。
【0052】
1つの実施態様において、qは1であり、そしてZ がNR4であって、R3およびR4は結合する窒素原子とともに、場合により1、 2 または3 つ以上のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の4-8員環を形成し、R3およびR4および窒素原子によって形成される環は場合により、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリールおよびアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択される1つ以上の置換基で置換される。
【0053】
もう1つの実施態様において、qは1であり、そしてZ がNR4であって、R4は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から選択される。
【0054】
さらにもう1つの実施態様において、 q は1、Z はNR4であって、 R4は水素原子 である。
【0055】
1つの実施態様において、q は1、Z はNR4 であって、R3 およびR4の少なくとも1つは水素原子とは異なる。
【0056】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、q が1、Z が酸素原子である上記化合物に関する。
【0057】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、XがCO、q が1およびZが酸素原子である上記化合物に関する。
【0058】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、R2 およびR2’ が水素原子、XがCO、q が1およびZが酸素原子である上記化合物に関する。
【0059】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Wが酸素原子である上記化合物に関する。
【0060】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Wが硫黄原子である上記化合物に関する。
【0061】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Wが硫黄原子およびXがCOである上記化合物に関する。
【0062】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Wが硫黄原子およびq が0である上記化合物に関する。
【0063】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Wが硫黄原子、XがCOおよびq が0である上記化合物に関する。
【0064】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Wが硫黄原子、q が1およびZが酸素原子である上記化合物に関する。
【0065】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Wが硫黄原子、XがCO、q が1およびZが酸素原子である上記化合物に関する。
【0066】
さらにもう1つの実施態様において、 mは0である。
【0067】
さらにもう1つの実施態様において、 m は1である。
【0068】
さらにもう1つの実施態様において、 m は2である。
【0069】
1つの実施態様において、mは3である。
【0070】
さらにもう1つの実施態様において、 n は0である。
【0071】
さらにもう1つの実施態様において、 n は1である。
【0072】
1つの実施態様において、n は2、 3または4である。
【0073】
1つの実施態様において、 p は0である。
【0074】
もう1つの実施態様において、 p は1である。
【0075】
1つの実施態様において、少なくとも1つのR5は、アシル、 -CO-NR6R6’、 ニトロ、 -S-R8およびSO2OR8からなる群から選択される。
【0076】
もう1つの実施態様において、それぞれのR5は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ハロゲン、 ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、 シアノ、 -NR7R7’および-SO2R8からなる群から独立して選択される。
【0077】
さらにもう1つの実施態様において、 それぞれのR5は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール、 ハロゲン、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、 -NR7R7’および-SO2R8からなる群から独立して選択される。
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、それぞれのR5が、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ハロゲンおよびR8がアリールである-SO2R8からなる群から独立して選択される、上記化合物に関する。
【0078】
さらにもう1つの実施態様において、 置換基R5の少なくとも1つはC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である。
【0079】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つはアリールである。
【0080】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つはC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシである。
【0081】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つは-SO2R8である。
【0082】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つはハロゲン原子である。
【0083】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つは、クロロ(chloro)、ブロモ(bromo)およびヨード(iodo)からなる群から選択されるハロゲン原子である。
【0084】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つはフルオロ(fluoro)である。
【0085】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つはクロロ である。
【0086】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つはブロモ である。
【0087】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つは-NR7R7’ である。
【0088】
1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つは-NR7R7’ であり、R7およびR7’ の少なくとも1つはアリールまたはアシルである。
1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つは-NR7R7’ であり、R7およびR7’ の少なくとも1つは、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される。
【0089】
もう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つは-NR7R7’ であり、R7およびR7’ の少なくとも1つは、水素およびC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される。
【0090】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つは-NR7R7’ であり、R7およびR7’の少なくとも1つは、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である。
【0091】
さらにもう1つの実施態様において置換基R5の少なくとも1つは-NR7R7’ であり、R7およびR7’の両方が、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である。
【0092】
1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つは-SO2R8であり、R8は-NR9R9’ であり、R9およびR9’は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択される。
1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つは-SO2R8であり、R8は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびアリールからなる群から選択される。
【0093】
さらにもう1つの実施態様において、置換基R5の少なくとも1つは-SO2R8であり、R8はアリールである。
【0094】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Yが式IIで表される上記化合物に関する。
【0095】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Yが式IIIで表される上記化合物に関する。
【0096】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Yが以下の式IIbまたはIIIb
【0097】
【化4】

【0098】
のいずれかで表される上記化合物であって、式中、W、 m、 n、 pおよびR5が上述のように定義される上記化合物に関する。
【0099】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Yが式IIbで表される上記化合物に関する。
【0100】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、mが0でありYが式IIbで表される上記化合物に関する。
【0101】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、Yが式IIIbで表される上記化合物に関する。
【0102】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、nが0でありYが式IIIbで表される上記化合物に関する。
【0103】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、pが0でありYが式IIIbで表される上記化合物に関する。
【0104】
さらにもう1つの実施態様において、 本発明は、nが0、pが0でありYが式IIIbで表される上記化合物に関する。
【0105】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Yが式IIIbで表されn + pが1であり、その特定の態様においてはnが1およびpが0、ならびにそのもう1つの特定の態様においてはnが0およびpが1である、上記化合物に関する。
【0106】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Yが式IIIbで表されn + pが2であり、その特定の態様においてはnが2およびpが0、ならびにそのもう1つの特定の態様においてはnが1およびpが1である、上記化合物に関する。
【0107】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Yが以下の式IIb1、IIb2、IIb3、IIIb1、IIIb2、IIIb3またはIIIb4
【0108】
【化5】

【0109】
のいずれかで表される上記化合物であって、
式中、Wが上記のように定義され;
rが 0、1または2であり;
sが0、1、2または3であり;そして
R5’およびR5’’ が、独立してR5として定義され、それぞれのR5が独立して上記のように定義される;上記化合物に関する。
【0110】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、
・mが0であり、そしてY が式IIb で表され;または
・nが0であり、そしてY が式IIIbで表され;または
・pが0であり、そしてY が式IIIbで表され;または
・nが0、pが0であり、そしてY が式IIIbで表され;または
・Y が式IIIbで表され、n + pが1であって、その特定の態様においてはnが1およびpが0、ならびにそのもう1つの特定の態様においてはnが0およびpが1であり;または
・Y が式IIIbで表され、n + pが2であって、その特定の態様においてはnが2およびpが0、およびそのもう1つの特定の態様においてはnが1およびpが1であり;または
・Y が式IIb1;またはIIb2;またはIIb3;またはIIIb1;またはIIIb2;またはIIIb3;またはIIIb4で表される;
上記化合物に関する。
【0111】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Yが式IIb1;またはIIb2;または IIb3で表され、またはmが0であり、Yが式IIbで表される、上記化合物に関する。
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Yが式IIb1で表される、上記化合物に関する。
【0112】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Yが式IIb2で表される、上記化合物に関する。
【0113】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Yが式IIb3で表される、上記化合物に関する。
【0114】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、
・Y が式IIIb1;またはIIIb2;またはIIIb3;またはIIIb4で表され;または
・nが0であり、そしてY が式IIIb で表され;または
・pが0あり、そしてY が式IIIb で表され;または
・nが0、pが0あり、そしてY が式IIIb で表され;または
・Y が式IIIbで表され、そしてn + pが1であって、その特定の態様においてはnが1およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが0およびpが1であって;または
・Y が式IIIbで表され、そしてn + pが2であり、その特定の態様においてはnが2およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが1およびpが1である、
上記化合物に関する。
【0115】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIb1で表される上記化合物に関する。
【0116】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIb2で表される上記化合物に関する。
【0117】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIb3で表される上記化合物に関する。
【0118】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIb4で表される上記化合物に関する。
【0119】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Yが以下の式IIcまたはIIIc
【0120】
【化6】

【0121】
のどちらかで表され、式中、W、m、n、pおよびR5が上記のように定義される、上記化合物に関する。
【0122】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIcで表される上記化合物に関する。
【0123】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、mが0であり、そしてY が式IIcで表される上記化合物に関する。
【0124】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIcで表される上記化合物に関する。
【0125】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、nが0であり、そしてY が式IIcで表される上記化合物に関する。
【0126】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、pが0であり、そしてY が式IIIcで表される上記化合物に関する。
【0127】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、nが0、pが0であり、そしてY が式IIIcで表される上記化合物に関する。
【0128】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIc で表され、n + p が1であって、その特定の態様においてはnが1およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが0およびpが1である上記化合物に関する。
【0129】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIc で表され、n + p が2であり、その特定の態様においてはnが2およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが1およびpが1である上記化合物に関する。
【0130】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が以下の式IIc1、IIc2、IIc3、IIIc1、IIIc2、IIIc3またはIIIc4
【0131】
【化7】

【0132】
のいずれかで表される上記化合物であって、
式中、Wが上記のように定義され;
rが0、1または2であり;
sが0、1、2または3であり;そして
R5’およびR5’’ が独立してR5として定義され、それぞれのR5が独立して上記のように定義される;上記化合物に関する。
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、
・mが0であり、そしてY が式IIcで表され;または
・nが0であり、そしてY が式IIIcで表され;または
・pが0であり、そしてY が式IIIcで表され;または
・nが0、pが0であり、そしてY が式IIIcで表され;または
・Y が式IIIcで表され、n + pが1であり、その特定の態様においてはnが1およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが0およびpが1であり;または
・Y が式IIIcで表され、n + pが2であり、その特定の態様においてはnが2およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが1およびpが1であり;または
・Y が式IIc1;またはIIc2;またはIIc3;またはIIIc1;またはIIIc2;または IIIc3;またはIIIc4で表される、
上記化合物に関する。
【0133】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIc1;またはIIc2;またはIIc3で表され;またはmが0であり、Y が式IIcで表される上記化合物に関する。
【0134】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIc1で表される上記化合物に関する。
【0135】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIc2で表される上記化合物に関する。
【0136】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIc3で表される上記化合物に関する。
【0137】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、
・Y が式IIc1;またはIIc2;またはIIc3;またはIIIc4で表され;または
・nが0であり、そしてYが式IIIc で表され;または
・pが0であり、そしてYが式IIIc で表され;または
・nが0、pが0であり、そしてYが式IIIc で表され;または
・Yが式IIIcで表され、n + pが1であって、その特定の態様においてはnが1およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが0およびpが1であり;または
・Yが式IIIcで表され、n + pが2であって、その特定の態様においてはnが2およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが1およびpが1である、
上記化合物に関する。
【0138】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIc1で表される上記化合物に関する。
【0139】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIc2で表される上記化合物に関する。
【0140】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIc3で表される上記化合物に関する。
【0141】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、Y が式IIIc4で表される上記化合物に関する。
【0142】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、rが0である上記化合物に関する。
【0143】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、rが1である上記化合物に関する。
【0144】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、rが2である上記化合物に関する。
【0145】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、sが0である上記化合物に関する。
【0146】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、sが1、2または3である上記化合物に関する。
【0147】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、式IIで表されるYが、
・IIb1;またはIIb2;または IIb3;またはIIc1;またはIIc2;または IIc3;または
・mが0である式IIbの群;または
・mが0である式IIcの群;
を示す、上記化合物に関する。
【0148】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、式IIで表されるYが、
・IIb1;またはIIb2;または IIb3;または
・mが0である式IIbの群;または
・mが0である式IIcの群;
を示す、上記化合物に関する。
【0149】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、式IIIで表されるYが、
・IIIb1;またはIIIb2;または IIIb3;またはIIIb4;またはIIIc1;またはIIIc2;または IIIc3;またはIIIc4;または
・nが0である式IIIbの群;または
・pが0である式IIIbの群;または
・nが0およびpが0である式IIIbの群;または
・n + pが1であって、その特定の態様においてはnが1およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが0およびpが1である式IIIbの群;または
・Yが式IIIbで表され、n + pが2であって、その特定の態様においてはnが2およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが1およびpが1であり;
・nが0である式IIIcの群;または
・pが0である式IIIcの群;または
・nが0およびpが0である式IIIcの群;または
・n + pが1であって、その特定の態様においてはnが1およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが0およびpが1である式IIIcの群;または
・Yが式IIIc表され、n + pが2であって、その特定の態様においてはnが2およびpが0であり、そのもう1つの特定の態様においてはnが1およびpが1であるY;
を示す、上記化合物に関する。
【0150】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、式III で表されるY が、
・IIIb2;または IIIc2;または
・nが0およびpが0である式IIIbの群;または
・nが0およびpが0である式IIIcの群;
を示す、上記化合物に関する。
【0151】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、mが0であり、そしてY が式II で表され、その特定の態様においてはY が式IIbまたはIIc で表される、上記化合物に関する。
【0152】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、mが1であり、Y が式II で表され、その特定の態様においてはY が式IIbで表され、さらに特定の態様においてはYが式IIb1、IIb2またはIIb3で表される、上記化合物に関する。
【0153】
さらにもう1つの実施態様においては、mは1であって、R5はC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびハロゲンからなる群から選択され、そしてY は式IIで表され、その特定の態様においてはY は式IIbで表され、さらに特定の態様においてはYが式IIb1、IIb2またはIIb3で表される。
【0154】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、mが1、R5 が C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であり、そしてY が式II 、その特定の状態においてはYが式IIb 、およびさらに特定の状態においてYが式IIb1またはIIb3で表される、上記化合物に関する。
【0155】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、mが1、R5 がブロモまたはクロロまたはフルオロのようなハロゲン原子であり、そしてYが式II で表され、その特定の態様においてはYが式IIb 、およびさらに特定の態様においてYが式IIb1、 IIb2またはIIb3で表される、上記化合物に関する。
【0156】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、mが1、R5 がブロモまたはクロロであり、そしてYが式II で表され、その特定の態様においてはYが式IIb 、そのさらに特定の態様においてYが式IIb1、 IIb2またはIIb3で表される、上記化合物に関する。
【0157】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、mが1、R3 がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であり、そしてYが式II で表され、その特定の態様においてはYが式IIb 、およびそのさらに特定の態様においてYが式IIb1、 IIb2またはIIb3、およびその最も特定の態様においてはYが式IIb3で表される、上記化合物に関する。
【0158】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、R1 がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、mが1、R5 がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)またはハロゲンであり、そしてYが式IIで表され、その特定の態様においてはYが式IIb 、およびそのさらに特定の態様においてはYが式IIb3で表される、上記化合物に関する。
【0159】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、nが0、pが0であり、そしてY が式III で表され;その特定の態様においてはYが式IIIbまたはIIIc で表される、上記化合物に関する。
【0160】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、nが1であり、そしてY が式IIIで表され 、その特定の態様においてはYが式IIIbまたはIIIc 、およびそのさらに特定の態様においてはYがIIIb2、IIIb3またはIIIc2で表される、上記化合物に関する。
【0161】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、n + pが1であり、そしてY が式III で表され;その特定の態様においてはYが式IIIc ;およびそのさらに特定の態様においてYがIIIc2で表される、上記化合物に関する。
【0162】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、n + pが2であり、そしてY が式III で表され;その特定の態様においてはYが式IIIb;およびそのさらに特定の態様においてYがIIIb2 またはIIIb3で表される、上記化合物に関する。
【0163】
さらにもう1つの実施態様において、W が酸素原子のときは、Y は式IIではない。
【0164】
さらにもう1つの実施態様において、式I の化合物は、ここで定義されるような3つのアリール基しか含まない。
【0165】
以下のリストの化合物:
{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-メチル-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル({2-Amino-4-[(5-chloro-thiophen-2-ylmethyl)-methyl-amino]-phenyl}-carbamic acid ethyl ester);
{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-メチル-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-ブロモ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(6-クロロ-3-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(4-ブロモ-3-メトキシ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-フェニル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(3-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
(2-アミノ-4-{[4-(4-クロロ-ベンゼンスルホニル)-3-メチル-チオフェン-2-イルメチル]-アミノ}-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(3-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-フルオロ-ベンゾフラン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル({2-Amino-4-[(5-fluoro-benzofuran-3-ylmethyl)-amino]-phenyl}-carbamic acid ethyl ester);
{2-アミノ-4-[(チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(4-ブロモ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-エチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-エチル-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-ジメチル-アミノ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-ジメチル-アミノ-3-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-フルオロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸プロピルエステル;
{2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸プロピルエステル;
N-{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)アミノ]-フェニル}-2-(4-フルオロ-フェニル)-アセトアミド; および
N-{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)アミノ]-フェニル}-3,3-ジメチル-ブチルアミド(N-{2-Amino-4-[(5-chloro-thiophen-2-ylmethyl)amino]-phenyl}-3,3-dimethyl-butyramide);および、
その薬学的に許容される塩が好ましい。
【0166】
特定の態様においては、以下のリストの化合物:
{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-メチル-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-メチル-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-ブロモ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(6-クロロ-3-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(4-ブロモ-3-メトキシ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-フェニル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(3-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
(2-アミノ-4-{[4-(4-クロロ-ベンゼンスルホニル)-3-メチル-チオフェン-2-イルメチル]-アミノ}-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(3-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-フルオロ-ベンゾフラン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(4-ブロモ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-エチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル; および
{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-エチル-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;および、
その薬学的に許容される酸付加塩が好ましい。
【0167】
1つの態様において、本発明は、治療に有効な用量において、1つ以上の薬学的に許容される担体(carriers)または希釈剤(diluents)とともに、上記に定義されるような式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を少なくとも1つ含む、医薬調合物を提供する。
1つの特定の態様において、本発明は、治療に有効な用量において、1つ以上の薬学的に許容される担体または希釈剤とともに、上記に定義されるような式Iの化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を少なくとも1つ含む、医薬調合物を提供する。
【0168】
本発明は、経口または非経口投与のための医薬調合物、治療に有効な用量において、1つ以上の薬学的に許容される担体または希釈剤とともに、式Iの化合物またはその塩を少なくとも1つ含む、上記医薬調合物を提供する。
【0169】
1つの実施態様において、本発明の化合物は、治療にのみ有効な化合物として投与される。
【0170】
もう1つの実施態様において、本発明の化合物は、併用療法の一部として投与されてもよく、すなわち、本発明の化合物は、例えば抗痙攣特性をもつ他の治療に有効な化合物と組み合わせて投与されてもよい。上記抗痙攣特性をもつ他の化合物の効果は、以下:
・ナトリウム、カリウムまたはカルシウムチャネルのようなイオンチャネル
・興奮性アミノ酸系、例えばNMDA受容体の遮断または変調(modulation)
・抑制性神経伝達物質系、例えばGABA放出の増大またはGABA取込の遮断および/または
・膜安定化効果
に関する活性を含むが、それに限定されない。
【0171】
現在用いられている抗痙攣薬剤としては、ベンゾジアゼピン(benzodiazepine)およびバルビツール酸誘導体(barbiturate)類の一員と同様に、チアガビン(tiagabine)、カルバマゼピン(carbamazepine)、バルプロエート(valproate)ナトリウム、ラモトリジン(lamotrigine)、ガバペンチン(gabapentin)、プレガバリン(pregabalin)、エトスクシミド(ethosuximide)、レベチラセタム(levetiracetam)、フェニトイン(phenytoin)、トピラメート(topiramate)、ゾニサミド(zonisamide)が含まれるがそれに限定されない。
【0172】
本発明の化合物は、電位依存性カリウムチャネルにおけるイオンの流れの増加のために有用であると考えられる。
本発明の化合物は、KCNQファミリーカリウムイオンチャネルのようなカリウムチャネルにおける増加したイオンの流れによく反応する疾患または病気を、予防、治療および/または抑制するために有用であると考えられる。
【0173】
1つの態様において、本発明の化合物は、KCNQファミリーのカリウムチャネル、特にKCNQ2サブユニットに効果を有することが見出された。
【0174】
1つの態様において、本発明の化合物は、痙攣、てんかんおよびてんかん重積状態のような発作性疾患;不安、全般性不安障害、パニック不安、強迫性障害、対人恐怖、パフォーマンス不安、外傷後ストレス障害、急性ストレス反応、適応障害、心気症障害、分離不安障害、広場恐怖症および特異恐怖症のような不安障害;のようないろいろな中枢神経系の疾患の予防、治療および/または抑制に有用であると考えられる。
【0175】
従って、本発明の化合物は、
・痙攣、てんかんおよびてんかん重積状態のような発作性疾患;
・異痛、痛覚過敏(hyperalgesic pain)、幻想痛、糖尿病性神経障害に関連する神経因性疼痛および片頭痛に関連する神経因性疼痛のような神経因性疼痛;
・不安、全般性不安障害、パニック不安、強迫性障害、対人恐怖、パフォーマンス不安、外傷後ストレス障害、急性ストレス反応、適応障害、心気症障害、分離不安障害、広場恐怖症、特異恐怖症のような不安障害;
・アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、AIDS誘発性脳症および、風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ボレリア菌および未知の病原体に起因する他の感染症による脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、外傷誘発性神経変性のような神経変性障害;および
・薬物離脱症状における、または中毒、多発性神経障害および多発性神経炎のような抹消神経系の神経変性障害によるような神経の過興奮状態;
のようないろいろな中枢神経系の疾患の予防、治療および/または抑制に有用であると考えられる。
【0176】
従って、本発明の化合物は、発作性疾患、神経因性および片頭痛による疼痛疾患、不安障害および神経変性障害のような疾患または病気の予防、治療および/または抑制に有用であると考えられる。
【0177】
1つの特定の態様においては、本発明の化合物は、痙攣、てんかんおよびてんかん重積状態のような発作性疾患の予防、治療および/または抑制に有用であると考えられる。
【0178】
もう1つの特定の態様においては、本発明の化合物は、異痛、痛覚過敏、幻想痛、糖尿病性神経障害に関連する神経因性疼痛および片頭痛に関連する神経因性疼痛のような神経因性および片頭痛による疼痛疾患の予防、治療および/または抑制に有用であると考えられる。
【0179】
本発明の化合物は、さらに不安、 全般性不安障害、 パニック不安、 強迫性障害、 対人恐怖、 パフォーマンス不安、 外傷後ストレス障害、 急性ストレス反応、 適応障害、 心気症障害、 分離不安障害、 広場恐怖症、一般身体疾患(general medical condition)のための不安障害、物質誘発性不安障害(substance-induced anxiety disorder)、および特異恐怖症のような不安障害の予防、治療および/または抑制に有用であると考えられる。
【0180】
本発明の化合物は、さらにアルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、AIDS誘発性脳症および、風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ボレリア菌および未知の病原体に起因する他の感染症による脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、外傷誘発性神経変性、および、薬物離脱症状における、または中毒によるような神経の過興奮状態のような神経変性障害の予防、治療および/または抑制に有用であると考えられる。
【0181】
もう1つの態様において、本発明は、以下の試験:
・「KCNQ2チャネルを通る相対流量」
これは、標的チャネルにおける化合物の有効性を測定するものである
・「最大電気ショック(Maximum electroshock)」
これは、電気的手段による非特異的CNS刺激によって誘導される発作を測定するものである。
【0182】
・「ピロカルピン(Pilocarpine)誘導性発作」
ピロカルピンによって誘導される発作は、しばしば多くの既存の抗発作薬剤により治療することが困難であるので、「薬剤耐性発作」のモデルをもたらす。
【0183】
・「電気的発作閾値試験(Electrical seizure-threshold tests)」および「化学的発作閾値試験(Chemical seizure-threshold tests)」
これらのモデルでは、発作が開始する閾値を測定し、化合物が発作開始を遅らせることができるかを検出する。
【0184】
・「扁桃核キンドリング(Amygdala kindling)」
疾患の進行を測定するために用いられ、正常動物においてと同様に、このモデルにおける発作は動物がさらに刺激を受けるにつれてより重篤になる。
の1つ以上で効果を示す化合物を提供する。
【0185】
本発明の1つの特定の態様において、上記化合物は、以下に記載される「KCNQ2チャネルを通る相対流量」試験によって測定した場合、15000 nM未満のEC50で、KCNQ2活性である。
【0186】
本発明の1つの特定の態様において、化合物は、以下に記載される「KCNQ2チャネルを通る相対流量」試験によって測定した場合、1500 nM未満のEC50で、KCNQ2活性である。
【0187】
本発明のもう1つの特定の態様において、化合物は、以下に記載される「KCNQ2チャネルを通る相対流量」試験によって測定した場合、150 nM未満のEC50で、KCNQ2活性である。
【0188】
本発明のもう1つの特定の態様において、化合物は、以下に記載される「最大電気ショック」試験において15mg/kg未満のED50を有する。
【0189】
本発明のさらにもう1つの特定の態様において、化合物は、以下に記載される「最大電気ショック」試験において5mg/kg未満のED50を有する。
【0190】
本発明の1つの特定の態様において、化合物は、以下に記載される「電気的発作閾値試験」および/または「化学的発作閾値試験」において5mg/kg未満のED50を有する。
【0191】
いくつかの化合物はほとんど副作用を示さないか、または臨床的に重要でない副作用を示す。従って、化合物のいくつかは、当該化合物の不要な鎮痛、体温降下および運動失調作用のモデルにおいて試験される。
【0192】
いくつかの化合物は、適当な半減期および適当なクリアランスを有し、それは、患者がそれらの錠剤を例えば1日に1回または2回服用するだけでよいということを意味する。これは、患者にとって覚えておくことが容易であり、薬物治療における服薬遵守(compliance with the drug therapy)を助ける。
いくつかの化合物は、回転棒(rotating rod)における行動により測定すると、抗痙攣効果と自発運動(locomotor activity)の障害または運動失調効果のような副作用の間で大きな治療指数を有する。これは、上記化合物を副作用が現れる前に、患者に高用量で使用することができることを意味する。従って、治療における服薬遵守は良好であり、他の薬剤では副作用が現れる患者において、より有効な治療である高用量の投与を行うことが可能であると期待される。
(定義)
ヘテロ原子という語句は、窒素、酸素または硫黄原子を示す。
【0193】
ハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード
を意味する。
【0194】
C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)という表現は、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニルまたはC2-6-アルキニル基を意味する。
【0195】
C1-6-アルキルという語句は、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-2-プロピル、2-2-ジメチル-1-プロピルおよび2-メチル-1-プロピルを含むがそれに限定されない、1から6個までの炭素原子を有する分岐または非分岐のアルキル基を示す。
【0196】
同様に、C2-6-アルケニルおよびC2-6-アルキニルは、1つの二重結合および1つの三重結合をそれぞれ含み、エテニル、プロペニル、ブテニル、エチニル、プロピニル およびブチニルを含むがそれに限定されない、1から6個までの炭素原子を有する上記基をそれぞれ表す。
【0197】
C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)という表現は、C3-8-シクロアルキル- またはシクロアルケニル基を意味する。
【0198】
C3-8-シクロアルキルという語句は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含むが、それに限定されない、3から8個までのC原子を有する単環式または二環式の炭素環を表す。
【0199】
C3-8-シクロアルケニルという語句は、3から8個までのC原子を有し、1つの二重結合を含む単環式または二環式の炭素環を表す。
2つの置換基がそれらが結合する窒素原子とともに、場合により1、2または3個以上のヘテロ原子を含む、飽和または不飽和の4-8員環を形成するときは、窒素原子、1-7炭素原子およびN、SまたはOから選択する0-3ヘテロ原子、から選択される4から8個までの原子により、単環系が形成される。このような環系の例は、アゼチジン、ベータ−ラクタム、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、オキサゾリジン(oxazolidine)、チアゾリジン、イミダゾリジン、テトラゾールおよびピラゾールである。
【0200】
アリールという語句は、場合により、ヒドロキシ、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルコキシ、C3-8-アルコキシ、アシル、ニトロまたはシアノ、-CO-NH-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、-CO-N(C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル))2、-NH-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、-N(C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル))2、-S- C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、
-SO2-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、-SO2O-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、-NH2、-SO2N(C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル))2または-SO2NH-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である1つ以上の置換基に独立して置換され、または2つの隣接する置換基が、それらが結合する芳香族基とともに、場合により、1または2つのヘテロ原子を含む4−8員環を形成する、ピリジン、チアゾール、オキサゾール、フェニル、ナプチル(naphtyl)、チオフェンおよびフランのような、芳香族系を示す。
【0201】
2つの隣接する置換基が、それらが結合する芳香族基とともに、場合により、1または2つのヘテロ原子を含む4-8員環を形成するときは、環系は、3-8個の炭素原子およびN、S、またはOから選択する0-2個のヘテロ原子から選択される4-8個の原子により形成される。これらの2つの隣接する置換基はともに、-(CH2)n’‘-CH2-、-CH=CH-(CH2)m’‘-、-CH2-CH=CH-(CH2)p’‘、-CH=CH-CH=CH-、-(CH2)n’‘-O-、-O-(CH2)m’‘-O-、-CH2-O-(CH2)p’‘-O-、-CH2-O-CH2-O-CH2-、-(CH2)n’‘-S-、-S-(CH2)m’‘-S-、-CH2-S-(CH2)p’‘-S-、-CH2-S-CH2-S-CH2-、-(CH2)n’‘-NH- 、-NH-(CH2)m’‘-NH-、-CH2-NH-(CH2)p’‘-NH-、- CH=CH-NH-、-O-(CH2)m’‘-NH-、-CH2-O-(CH2)p’‘-NH- または -O-(CH2)p’‘-NH-CH2-、-S-(CH2)m’‘-NH-、-N=CH-NH-、-N=CH-O- または -N=CH-S-:を形成する。式中、m’‘ は1、2または3、n’‘は2、3 または4そしてp’‘は1 または2である。
【0202】
ここで使用される場合、アシルという語句は、ホルミル、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)カルボニル、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)カルボニル、アリールカルボニル、アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)カルボニルまたはC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-カルボニル基を示し、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびアリールは上記で定義されたとおりである。
【0203】
ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)という語句は、トリフルオロメチルを含むがそれに限定されない、1つ以上のハロゲン原子で置換されるC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)を表す。同様に、ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)は、1つ以上のハロゲン原子で置換されるC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)を表し、そしてハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)は、1つ以上のハロゲン原子で置換されるC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)を表す。
【0204】
C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)という語句における、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)は、上記に定義したとおりである。
【0205】
さらに、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキルオキシ(シクロアルケニルオキシ)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)カルボニル、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)カルボニル、アリールカルボニル、アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)カルボニル、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)カルボニル、アリール-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、ヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、シアノ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR10R10’-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびNR10R10’-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)等のような語句は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびアリールが上記のように定義されている基を表す。
【0206】
本発明の塩は、好ましくは薬学的に許容される塩である。上記塩は、薬学的に許容される酸付加塩、薬学的に許容される金属塩、アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩を含む。
【0207】
本発明の薬学的に許容される塩は好ましくは酸付加塩である。
【0208】
酸付加塩は有機酸と同様、無機酸の塩を含む。
【0209】
本発明の酸付加塩は、好ましくは非毒性の酸で形成される、本発明の化合物の薬学的に許容される塩である。
【0210】
典型的な上記有機酸塩は、8-ハロテオフィリン(8-halotheophyllines)、例えば8-ブロモテオフィリン(8-bromotheophylline)と同様、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、シュウ酸、ビス−メチレンサリチル酸(bis-methylenesalicylic)、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸(ethanedisulfonic)、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、桂皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸およびテオフィリン酢酸(theophylline acetic acids)の塩である。
典型的な上記無機塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸の塩である。上記酸付加塩は、当業者に公知の方法により形成させることができる。
【0211】
薬学的に許容される無機または有機酸付加塩のさらなる例には、参照することにより本明細書に組み込まれる、J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2に記載されている薬学的に許容される塩が含まれる。
【0212】
本発明化合物が形成することができる水和物もまた、薬学的に許容される酸付加塩として考えられる。
【0213】
さらに、二重結合または完全にもしくは部分的に飽和された環系が分子に存在するときは、幾何異性体が形成されてもよい。分離される幾何異性体、純粋なもしくは部分的に精製される幾何異性体またはそれらの混合物は、いずれも本発明の範囲に含まれる。同様に、回転が制限される結合を有する分子は幾何異性体を形成しうる。これらもまた、本発明の範囲に含まれる。
【0214】
さらにいくつかの本発明の化合物は、異なる互変異性型で存在することができ、上記化合物が形成することができる互変異性型はいずれも、本発明の範囲に含まれる。
さらに本発明の化合物は、水、エタノールおよびそれと同等なもののような薬学的に許容される溶剤とともに溶媒和体(solvated forms)で存在するものと同様に、溶媒和されないで存在することができる。概して、本発明の目的においては、溶媒和体は非溶媒和体(unsolvated forms)と同等であると考えられる。
【0215】
いくつかの本発明化合物は、不斉中心を含み、そして上記化合物は異性体の形態(すなわちエナンチオマー)で存在する。本発明はすべての上記異性体およびラセミ混合物を含むそれらの混合物を含む。
【0216】
ラセミ体は、公知の方法、例えば、そのジアステレオマー塩の光学活性な酸を用いる分離、および塩基での処理による光学活性アミン化合物の遊離により、光学対掌体に分割することができる。ラセミ化合物の光学対掌体への分割のもう1つの方法は、光学活性なマトリックス(matrix)を用いたクロマトグラフィーに基づく。本発明のラセミ化合物はまた、d-またはl-酒石酸塩、マンデル酸塩またはカンファースルホン酸(camphorsulphonate)塩の分別晶出(fractional crystallization)によっても光学対掌体に分割することができる。本発明の化合物はまた、ジアステレオマー誘導体の形成によっても分割することができる。
【0217】
さらに、当業者に公知の光学対掌体の分割方法を使用することができる。上記方法には、J. Jaques, A. Collet and S. Wilen in “Enantiomers, Racemates, and Resolutions”, John Wiley and Sons, New York (1981) により議論されている方法が含まれる。
【0218】
光学活性化合物はまた、光学活性な出発物質から製造することもできる。
【0219】
本発明は、投与において、薬学的な活性物質となる前に代謝過程により化学的変換を受ける、本発明化合物のプロドラッグもまた包含する。概して、上記のプロドラッグは一般式I の化合物の機能的な誘導体であり、生体内において容易に、必要とされる式I の化合物に変換できる。
【0220】
適切なプロドラッグ誘導体の選択および製造に関する常套的な手段が、例えば「Design of Prodrugs」(ed.H. Bundgaard, Elsevier, 1985)に記載されている。本発明は、本発明化合物の活性代謝産物(active metabolites)もまた包含する。
【0221】
式Iの化合物に関連して記載される場合はいつでも、てんかん(epilepsy and epilepsies)という語句には、International League Against Epilepsy: Proposal for revised clinical and electroencephalographic classification of epileptic seizures. Commission on Classification and Terminology of the International League Against Epilepsy. Epilepsia 1981 22: 489-501 および International League Against Epilepsy: Proposal for revised classification of epilepsies and epileptic syndromes. Commission on Classification and Terminology of the International League Against Epilepsy. Epilepsia 1989 30(4): 389-399で言及される、いかなるてんかん(epilepsies)、てんかん性症候群(epileptic syndromes)、およびてんかん性発作(epileptic seizures)も含まれる。
(医薬調合物)
本発明の化合物は、概して遊離塩基として、またはその薬学的に許容される塩として利用される。代表的な例については上述した。
【0222】
所望の場合には、本発明の医薬調合物は、式Iの化合物をさらに上記物質のような、薬学的に活性な物質と組み合わせて含むことができる。
【0223】
上記医薬調合物は、具体的には経口、 直腸、 経鼻(nasal)、 肺(pulmonary)、 局所(口腔および舌下腺(sublingual)を含む)、 経皮、 嚢内(intracisternal)、 腹腔内、 膣および非経口 (皮下、 筋肉内、 髄腔内(intrathecal)、 静脈内および皮内を含む)経路のような適切な経路、好ましくは経口経路による投与のために製剤化(formulated)されてもよい。好ましい経路は、一般的な状態および治療対象者の年齢、治療されるべき病気の性質および選択される有効成分に依存するということは認識されるだろう。
本発明の医薬調合物または本発明に従って製造された医薬調合物は、いずれかの適切な経路、例えば錠剤、 カプセル剤、 粉剤、 顆粒剤、 小丸薬(pellets)、トローチ糖衣錠(troche dragees)、 丸剤(pills)またはトローチ剤(lozenges)、 液剤(solutions)、水性もしくは非水性液体での懸濁液、水中油型もしくは油中水型液体乳剤、 エリキシル剤、 シロップ剤等の形態で経口によって、または注射溶液の形態で非経口によって投与されてもよい。他の非経口投与のための医薬調合物には、使用に先立って滅菌注射用溶液または分散剤(dispersions)でもどされる滅菌粉剤と同様に、分散剤 、懸濁液または乳剤が含まれる。デポー注射製剤(Depot injectable formulations)もまた本発明の範囲に含まれるものとして考えられる。他の適当な投与形態としては、坐剤、 スプレー剤(sprays)、 軟膏、 クリーム剤(cremes)、 ゲル剤(gels)、 吸入剤(inhalants)、 皮膚パッチ剤(dermal patches)、 インプラント(implants)等が含まれる。
【0224】
上記調合物の製造には、当業者に公知の方法を使用することができ、当該技術分野において通常用いられるいずれの薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤または他の添加剤も使用することができる。
【0225】
本発明の化合物は、約0.01から100mgまでの量で上記化合物を含む一式の剤形で投与されるのが好ましい。一日当たりの全用量は通常、本発明の活性化合物が約0.05 - 500 mgまたはさらに0.05 - 1500 mgまたは0.05 - 3000 mg、および最も好ましくは約0.1-50 mgの範囲内である。一般的に、静脈内、 髄腔内、 筋肉内および類似の投与のような非経口経路のための用量は、経口投与で用いられる用量のほぼ半分程度である。
本発明の化合物は、単回または複数回投与で、単独でまたは薬学的に許容される担体もしくは賦形剤と組み合わせて投与されてもよい。本発明による医薬調合物は、他の公知のアジュバントおよび賦形剤と同様に、薬学的に許容される担体または希釈剤とともに、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19 Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995に開示されているような従来の技術に従って製剤化されてもよい。上記製剤は好ましくは、当業者に公知の方法によって一式の剤形で存在する。
【0226】
上記目的のために通常使用される、着色剤、 香味剤(flavourings)、 保存剤(preservatives)等のような他のアジュバントまたは添加剤は、有効成分と適合するならば使用することができる。
【0227】
本発明の薬学的な剤形は、本技術分野における従来の方法によって製造することができる。例えば、錠剤は有効成分を通常のアジュバントおよび/または希釈剤と混合し、その後上記混合物を通常の打錠機で圧縮することによって製造される。アジュバントまたは希釈剤の例としては、コーンスターチ、ジャガイモでんぷん(potato starch)、タルカム(talcum)、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、乳糖、増粘剤(gums)および同種のものが含まれる。上記目的のために通常使用される、着色剤、 香味剤、 保存剤等のような他のアジュバントまたは添加剤は、有効成分と適合するならば使用することができる。
適する場合には、固体の剤形は、当業者に公知の方法により、腸溶コーティング(enteric coatings)のようなコーティングをして製造することができ、またはそれらは有効成分を徐放もしくは持続放出のような制御放出(controlled release)をするように製剤化することもできる。
もし液体の担体を使用する場合には、シロップ剤、 乳剤、 ソフトゼラチンカプセルまたは水性もしくは非水性の液体懸濁液もしくは溶液のような滅菌注射用液体(sterile injectable liquid)の形態で製造することができる。
非経口投与のために、滅菌水溶液、水性のプロピレングリコール、水性のビタミンEまたはゴマ油またはピーナッツ油(sesame or peanut oil)において、本発明の新規化合物の溶液は使用される。注射溶液は、注射溶液の一部に、好ましくは滅菌水に有効成分および可能な添加剤を溶解させ、溶液を所望の容量に調整し、溶液を滅菌してそれを適当なアンプルまたはバイアルに満たすことにより製造することができる。本技術分野で従来用いられる適当な添加剤、例えば等張化剤(tonicity agents)、保存剤、酸化防止剤等を添加することができる。
【0228】
従って、必要な場合には、上記水溶液は適当に緩衝され、十分な生理食塩水またはグルコースを用いた液体の希釈剤によりまず等張化される。上記水溶液は特に静脈内、 筋肉内、皮下および腹腔内投与に適している。使用される上記水性媒体はすべて当業者に公知の標準的な技術により、簡単に利用することができる。
【0229】
適切な薬学的担体には、不活性な固体の希釈剤または充填剤、滅菌水溶液および様々な有機溶剤が含まれる。液体の担体の例としては、シロップ剤、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水が挙げられる。同様に上記担体または希釈剤は、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンのような本技術分野で公知の徐放物質を、単独でまたはワックス(wax)と混合して含むことができる。
【0230】
本発明の製剤化方法の標準的な例は以下のとおりである。
1) 遊離塩基として算出される5.0 mgの本発明の化合物を含む錠剤:
式Iの化合物 5.0 mg
乳糖 60 mg
トウモロコシでんぷん(Maize starch) 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 2.4 mg
微晶性セルロース(Microcrystalline cellulose) 19.2 mg
クロスカルメロースナトリウムタイプA 2.4 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.84 mg
2) 遊離塩基として算出される0.5 mgの本発明の化合物を含む錠剤:
式Iの化合物 0.5 mg
乳糖 46.9 mg
トウモロコシでんぷん 23.5 mg
ポビドン(Povidone) 1.8 mg
微晶性セルロース 14.4 mg
クロスカルメロースナトリウムタイプ A 1.8 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.63 mg
3) 1ミリリットルあたりに以下を含むシロップ剤:
式Iの化合物 25 mg
ソルビトール(Sorbitol) 500 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 15 mg
グリセロール 50 mg
メチル-パラベン 1 mg
プロピル-パラベン 0.1 mg
エタノール 0.005 mL
フレイバー(Flavour) 0.05 mg
サッカリンナトリウム 0.5 mg
水で1 mLに
4) 1ミリリットルあたりに以下を含む注射溶液:
式Iの化合物 0.5 mg
ソルビトール 5.1 mg
酢酸 0.05 mg
サッカリンナトリウム 0.5 mg
水で1 mLに
(本発明の化合物の製造)
R1、 R2、 R2’、 R3、 X、 Y、 Z およびqが上記のように定義される式Iの本発明の化合物は、反応式、
【0231】
【化8】

【0232】
で示されるようなおよび以下の記載のような方法により製造される。
【0233】
以下における、R1、 R2、 R2’、 R3、 R4、 R5、 R6、 R6’、 R7、 R7’、 R8、 R9、 R9’、 R10、 R10’、 X、 Y、 Z、 W、 m、 n、 p およびqはいずれも上記に定義されているとおりである。
一般式VII の化合物は、当業者に公知の方法(v. Bebenburg et al. Chemiker Zeitung 1979, Sonderdruck 103, 3-15)で製造され、以下に概略を説明する。
【0234】
一般式IVの化合物は、4-ニトロアニリンを、トリアルキルアミン、 炭酸カリウム、 もしくは-リチウム、 -ナトリウム、またはカリウムアルコラート(potassium alcoholates)のような塩基の付加を伴ってまたは伴わずに、限定されないが、酸塩化物(acid chlorides)、 酸臭化物(acid bromides)、 酸ヨウ化物(acid iodides)、 塩化スルホニル、 イソシアネート(isocyanates)、 炭酸無水物(carbonic acid anhydrides)、 活性化エステル(activated esters)およびハロ-ギ酸(formiates)アルキル のような適当な求電子試薬と、酢酸エチル 、 ジオキサン、 テトラヒドロフラン、 アセトニトリルまたはジエチルエーテルのような適当な溶剤中、通常の加熱によりまたはマイクロ波照射下で得られる室温または還流温度(reflux temperature)のような適温(suitable temperature)で反応し、引き続き、ニトロ基を、適温下、メタノールまたはエタノールのような適当な溶剤中で、亜ジチオン酸ナトリウム(sodium dithionite)、 塩酸水溶液中の鉄もしくは亜鉛粉(iron or zinc powder)または活性炭上のパラジウムのような適当な水素化触媒の存在下における水素ガスのような適当な還元剤で還元することにより製造される。
【0235】
一般式V の化合物は、適温において、一般式IV の化合物を、アニリン基に保護基を形成させる試薬、例えば無水フタル酸と、氷酢酸のような適当な溶剤中で反応させることにより製造される。
【0236】
一般式VI の化合物は、適温における、氷酢酸のような適当な溶剤中での、発煙硝酸との反応のような当業者に公知のニトロ化反応によって、一般式Vの化合物から製造される。
【0237】
一般式VIIの化合物は、適温における、1,2-ジオキサンのような適当な溶剤中での、ヒドラジン水和物を用いたアニリンの官能基(aniline function)の脱保護により、一般式VIの化合物から製造される。
【0238】
もう1つの方法として、一般式VIIの化合物は、反応式に示すようにおよび以下に記載するように、3段階で2-ニトロ-1,4-ジアミノベンゼンから製造することができる。最初の段階では、ほとんど妨げられず、より反応性なアニリン窒素が、一般式XIの化合物を供給するのに適した温度およびアセトニトリルのような適当な溶剤中で、di-tert-ブチルジカルボナート (dicarbonate)のような保護基を形成させる適当な試薬との反応により、tert-ブチルオキシカルボニル基(Boc基)のような適当な保護基PG (Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition T. W. Greene, P. G. M. Wuts, Wiley Interscience 1999)で保護される。
【0239】
一般式XIIの化合物は、一般式IVの化合物に関して上述したように、通常の加熱またはマイクロ波照射下で得られる室温または還流温度のような適温下、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2-ジクロロエタンまたは塩化メチレンのような適当な溶剤中での、酸化マグネシウム、炭酸カリウム、トリアルキルアミン、ピリジンまたは炭酸水素ナトリウムのような塩基の付加を伴うまたは伴わない、アルキル、 アリールまたはクロロギ酸ヘテロアリール (heteroaryl chloroformiates)または塩化カルバモイル、 酸塩化物、 酸臭化物、 酸ヨウ化物、 塩化スルホニル、 イソシアネート、 炭酸無水物、 カルボジイミド(carbodiimides)または当業者に公知のその他のもののような活性化剤による活性炭酸のような、R3-(Z)q-X基を形成する適当な求電子試薬との反応により、一般式XIの化合物から得ることができる。
【0240】
上記保護基は当業者に公知の方法によって除去される。特に、Boc基は、一般式VIIの化合物を供給する適当な温度下、塩化メチレンまたはトルエンのような溶剤の存在下または非存在下において、適当な酸、例えばトリフルオロ酢酸で処理することにより切断される。
【0241】
一般式VIIIの化合物の製造方法
一般式VIIの化合物が、R1が水素である一般式VIIIの化合物を形成するために、当業者に公知の、適温下、メタノール、 エタノール、 テトラヒドロフラン、水、 ジオキサンまたはそれらの混合物のような適当な溶剤中での、酢酸のような酸の触媒量の付加を伴うまたは伴わない、ホウ化水素ナトリウムまたはシアノホウ化水素ナトリウム(sodium cyanoborohydride)のような還元試薬を用いる、R5、 W、 m、 nおよびpが上記のような一般式IIaまたはIIIaのアルデヒドとの、還元アルキル化反応に付される。
もう1つの方法として、結晶化によりまたは溶剤の蒸発により単離することができるイミンを形成するために、一般式VIIの化合物を、適温下、メタノール、 エタノール、 テトラヒドロフラン、 ジオキサン、 キシレンまたはそれらの混合物のような適当な溶剤中で、酢酸または酸性のイオン交換樹脂(acidic ion exchange resin)のような酸の触媒量の付加を伴ってまたは伴わないで、一般構造式IIaまたはIIIaのアルデヒドと反応させることができる。その後、上記イミンは、メタノール、 エタノール、 テトラヒドロフラン、水、 ジオキサンまたはそれらの混合物のような適当な溶剤中で、ホウ化水素ナトリウムまたはシアノホウ化水素ナトリウムのような還元剤を用いて、R1が水素である一般式VIIIの化合物に還元することができる。
【0242】
場合により、R1の変化に合わせて、得られる一般式VIIIの化合物を、上記のように、適温下、メタノール、 エタノール、 テトラヒドロフラン、 水、 ジオキサンまたはそれらの混合物のような適当な溶剤中で、酢酸のような触媒量の酸を伴ってまたは伴わないで、適当なアルデヒドおよびホウ化水素ナトリウムまたはシアノホウ化水素ナトリウムのような還元剤を用いる、付加的な還元アルキル化工程に付すことができる。この工程は、最初に一般式IIaまたはIIIaをアルデヒドにより還元アルカリ化した後にin-situ で実施される。
【0243】
もう1つの方法として、R1の変化に合わせて、得られる一般式VIIIの化合物を、上記のように、適温下、酢酸エチル、 ジオキサン、 テトラヒドロフラン、 またはジエチルエーテルのような適当な溶剤中で、トリアルキルアミン、 炭酸カリウムもしくは-リチウム、 -ナトリウム、またはカリウムアルコラートのような塩基の付加を伴って、酸塩化物、 酸臭化物、 酸ヨウ化物、 塩化スルホニルおよびハロ-ギ酸アルキルのような適当な求電子試薬を用いる、アシル化反応に付すことができる。
【0244】
一般式IX の化合物は、適温下、メタノールまたはエタノールまたは水/テトラヒドロフラン混合物のような適当な溶剤中、テトラヒドロフランもしくはエタノールのような有機溶剤または活性型炭酸上(activated carbon)のパラジウムのような適当な水素化触媒の存在下における水素ガスの存在下または非存在下で、亜ジチオン酸ナトリウム、 塩酸水溶液もしくは酢酸中の鉄もしくは亜鉛粉のような適当な還元剤で、一般式VIII の化合物を還元することにより形成される。結果として生じる化合物は、本発明の、R2およびR2’が水素であり、R1、R3、 X、 Y、 Z、 およびqが上記のように定義される一般式Iの化合物と一致する。
【0245】
R1が水素ではなく、R2および場合によりR2’ が水素ではない一般式Iの化合物は、以下の方法を用いることにより、R1が水素ではない一般式IXの化合物の反応により得られる。
【0246】
適温下、メタノール、 エタノール、 テトラヒドロフラン、 水、 ジオキサンまたはそれらの混合物のような適当な溶剤中で、酢酸のような触媒量の酸の付加を伴ってまたは伴わないで、適当なアルデヒドおよびホウ化水素ナトリウムまたはシアノホウ化水素ナトリウムのような還元剤を用いる、還元アルカリ工程により上記のようにR2を導入する。
【0247】
適温下、メタノール、 エタノール、 テトラヒドロフラン、 水、 ジオキサンまたはそれらの混合物のような適当な溶剤中で、酢酸のような触媒量の酸の付加を伴ってまたは伴わないで、適当なアルデヒドおよびホウ化水素ナトリウムまたはシアノホウ化水素ナトリウムのような還元剤を用いる、付加的な還元アルカリ化工程により上記のようにR2’を任意に導入する。
【0248】
もう1つの方法として、適温下、酢酸エチル、 ジオキサン、 テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルのような適当な溶剤中で、トリアルキルアミン、 炭酸カリウム、もしくは-リチウム、 -ナトリウム、またはカリウムアルコラートのような塩基の付加を伴って、酸塩化物、 酸臭化物、 酸ヨウ化物、 塩化スルホニル、 およびハロ-ギ酸アルキルのような適当な求電子試薬を用いる、アシル化反応により上記のようにR2’またはR2を導入する。
【0249】
R1が水素、 ならびにR2および場合によりR2’が水素でない、一般式I の化合物を得るために、tert-ブチルオキシカルボニルのような保護基が、ニトロ基を還元する前に当業者に公知の方法で、R1として導入される。この保護基は、R2および場合によりR2’の導入後に公知の方法によって切断される。
【0250】
一般式IIa およびIIIaの化合物は、以下に概説するような当業者に公知の標準的な方法により製造される。
【0251】
カルボン酸エステルを、水素化ジイソブチルアルミニウム(diisobutyl aluminium hydride)のような適当な還元剤で還元し、引き続き、生じたベンジル型アルコール(benzylic alcohol) をテトラプロピルアンモニウムペルルテナート(perruthenate)/N-メチルモルホリン-N-オキシド(N-methylmorpholin-N-oxide)、 塩化クロム酸ピリジニウム(pyridinium chlorochromate)、 ジメチルスルホキシド/ 塩化オキサリル(oxalylchloride)のような適当な酸化剤で酸化する。もう1つの方法として、一般式IIa およびIIIaの化合物は、ジクロロメチルメチルエーテルおよび四塩化チタン(titanium tetrachloride)とのホルミル化反応により製造することができる(Gross et al, Org. Synth. Coll, 1973 Vol V, 365; Fanghaenel et al. J. Prakt. Chem. 1997, 339, 277)。もう1つの方法として、一般式II およびIIIaの化合物は、アルキルリチウムのような強塩基での、ヘテロ芳香族化合物の脱プロトン化およびN,N-ジメチルホルムアミドでの後続反応のような当業者に公知の方法により製造することができる。もう1つの方法として、一般式IIa およびIIIaの化合物は、アルキルリチウムまたはアルキルマグネシウムハロゲン化物(alkylmagnesium halide)またはジアルキルマグネシウムのようなメタレーション試薬(metalating reagent)での反応による、臭化物またはヨウ化物のようなハロゲンで置換されたヘテロ芳香族化合物のハロゲン金属交換反応のような当業者に公知の方法により製造することができる。もう1つの方法として、一般式IIa およびIIIaの化合物は、N-メチル-N-フェニルホルムアミド(King et al. J. Org. Chem. 1949, 14, 638) またはN,N-ジメチルホルムアミド(Vilsmeier formylation, Raimundo et al. J. Org. Chem. 2002, 67, 205)存在下での、チオフェンおよびベンゾチオフェンと、塩化ホスホリル(phosphoryl chloride)との反応のような当業者に公知の方法により製造することができる。
【実施例】
【0252】
LC-MS解析データは、イオンスプレー源を装備したPE Sciex API 150EX装置およびShimadzu LC-8A/SLC-10A LCシステムで得た。カラム: 粒子サイズ3.5 μmの 30 X 4.6 mm Waters Symmetry C18 カラム; 溶剤系: A = 水/トリフルオロ酢酸 (100:0.05) および B = 水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸 (5:95:0.03); 方法: 4分間で90% A から100% Bまでおよび流速2 mL/minの直線的勾配による溶出。純度は、UV (254 nm) およびELSD トレース(trace)の積分(integration)により決定した。リテンションタイム(RTまたはtR) は分で表す。
【0253】
LC-MS-分取精製(Preparative LC-MS-purification)は、同一の装置で行った。カラム: 粒子サイズ5 μmの 50 X 20 mm YMC ODS-A; 方法: 7分間で80% A から100% Bまでおよび流速22.7 mL/minの直線的勾配による溶出。フラクションの回収は、分流式 MS 検出(split-flow MS detection)により行った。
【0254】
1H NMRスペクトルは、ブルカ(Bruker)Avance DRX500装置において500.13 MHzでまたはブルカAC 250装置において250.13 MHzで記録した。重水素置換クロロホルム(99.8%D)またはジメチルスルホキシド(99.8%D)を溶剤として使用した。TMSを内部参照標準として使用した。化学シフトは、ppm値で表す。以下の略語は、NMRシグナルの多重度に対して使用される
: s =シングレット(singlet)、 d =ダブレット(doublet)、 t =トリプレット(triplet)、 q = カルテット(quartet)、 qui = クインテット(quintet)、 h = ヘプテット(heptet)、 dd = ダブルダブレット(double doublet)、 ddd =ダブルダブルダブレット(double double doublet)、 dt =ダブルトリプレット(double triplet)、 dq = ダブルカルテット(double quartet)、 tt = トリプレットのトリプレット(triplet of triplets)、 m = マルチプレット(multiplet)および b = ブロードなシングレット(broad singlet)。 一定の場合にスピン結合定数、 J、 が与えられる。融点(M.p.)はBuechi B-540 apparatusで記録され、訂正されない。
(中間体の製造)
(4-アミノ-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル
4-ニトロ-アニリン(100 g, 0.72 mol)を酢酸エチル(800 mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(89.6 mL, 0.936 mol)を添加する。酢酸エチル(200 mL)に溶解したクロロギ酸エチル(252 mL, 1.45 mol)を添加し、上記溶液を18時間常温(ambient temperature)で撹拌する。上記混合物を2M HCl(300 mL)および食塩水(brine)(300 mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)して元の容積の半分にまで減圧下で濃縮する。その結果生じた溶液に活性炭上のパラジウム(10 g, 5% Pd, 50% H2O)を添加し、上記混合物を常温下、12時間パール装置(Parr apparatus)(pH2= 3 bar)で水素化する。上記混合物をセライト(Celite)を通してろ過し、溶剤を減圧下で蒸発させ、118 g(90%)の表題化合物を結晶質生成物として得る。
LC/MS (m/z) 180.9 (MH+); tR = 0.60分。1H NMR (CDCl3): 1.27 (t, 3H); 3.42 (b, , 2H, NH2); 4.19 (q, 2H); 6.52 (b, 1H NH); 6.64 (m, 2H); 7.14 (m, 2H)。
【0255】
以下の化合物を類似の方法で製造した。
【0256】
(4-アミノ-フェニル)-カルバミン酸プロピルエステル
収率: 98%。1H NMR (CDCl3): 0.96 (t, 3H); 1.68 (m, 2H); 3.51 (b, 2H); 4.09 (t, 2H); 6.46 (b, 1H); 6.63 (d, 2H); 7.14 (m, 2H)。
(4-フタルイミド-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル((4-フタルイミド-phenyl)-carbamic acid ethyl ester)
(4-アミノ-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル(118 g, 0.65 mol)を、窒素下で氷酢酸(2.0 L)に溶解し、上記混合物を90 °Cまで加熱した。無水フタル酸(102.0 g, 0.69 mol)を30分以上かけて分割して添加し、反応を90 °Cで2時間持続させる。上記混合物を常温まで冷却し、沈殿した固体をろ過により回収する。上記固体をフィルター上で水(2 L)、引き続きジエチルエーテル(3 L)で洗浄し、その後減圧下で乾燥させる。白色結晶質化合物としての表題化合物、
収率 127 g (62%) 。LC/MS (m/z) 311.3 (MH+); tR = 2.57 分。 1H NMR (DMSO-d6): 1.26 (t, 3H); 4.15 (q, 2H); 7.34 (dd, 2H); 7.58 (dd, 2H); 7.90 (ddd, 2H); 7.95 (ddd, 2H); 9.80 (s, 1H, NH)。
【0257】
以下の化合物を類似の方法で製造した。
(4-フタルイミド-フェニル)-カルバミン酸プロピルエステル
収率: 81% 。
(2-ニトロ-4-フタルイミド-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル
(4-フタルイミド-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル(99.0 g, 0.32 mol)を氷酢酸(1.5 L)に懸濁し、90 °Cまで加熱する。発煙硝酸(17.2 mL, 0.41 mol)を90-95 °Cで30分間以上かけて滴加(added dropwise)する。その後上記反応混合物を100 °Cで1時間撹拌し、常温まで冷却する。結晶化された固体をろ過により回収し、フィルター上で氷酢酸(500 mL)、水(1 L)およびジエチルエーテル(1 L)で洗浄して、その後減圧下で乾燥し、101 g(90%)の表題化合物を黄色固体として得る。
【0258】
LC/MS (m/z) 355.0 (MH+); tR = 3.34 分。1H NMR (DMSO-d6): 1.25 (t, 3H); 4.16 (q, 2H); 7.81 (m, 2H); 7.93 (ddd, 2H); 7.99 (ddd, 2H); 6.15 (dd, 1H); 9.99 (s, 1H, NH)。
【0259】
以下の化合物を類似の方法で製造した。
(2-ニトロ-4-フタルイミド-フェニル)-カルバミン酸プロピルエステル
収率: 70% 。
(4-アミノ-2-ニトロ-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル
1,2-ジメトキシエタン(1.0 L)を(2-ニトロ-4-フタルイミド-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル(101 g, 0.28 mol)に添加し、混合物を還流下で加熱する。ヒドラジン一水和物(19.6 g, 0.39 mol)を10分間滴加し、上記混合物を還流下1.5時間撹拌する。常温まで冷却して、上記混合物をろ過し、固体をフィルター上でジメトキシエタン(250 mL)で洗浄する。ろ液を蒸発の手段で濃縮し、赤色結晶質生成物をトルエン(350 mL)から再結晶化させ、沈殿生成物をろ過により回収して、減圧下で乾燥させる。母液を元の容積の半分までに濃縮し、16時間静置させておく。沈殿物質をろ過により回収して上述のように再結晶化させる。上記の再結晶化させた固体を合わせて、全量57.6 g(90%)の暗赤色の表題化合物を得る。
【0260】
LC/MS (m/z) 225.1 (MH+); tR = 2.08 分。 1H NMR (CDCl3): 1.33 (t, 3H); 3.77 (s, 2H, NH2); 4.23 (q, 2H); 6.98 (dd, 1H); 7.45 (d, 1H); 8.28 (d, 1H); 9.39 (s, 1H, NH)。
【0261】
以下の化合物を類似の方法で製造した。
(4-アミノ-2-ニトロ-フェニル)-カルバミン酸プロピルエステル
収率: 91% 。1H NMR (CDCl3): 0.98 (t, 3H); 1.71 (m, 2H); 3.78 (b, 2H); 4.13 (t, 2H); 6.98 (dd, 1H); 7.44 (d, 1H); 8.27 (d, 1H); 9.39 (s, 1H)。
(4-アミノ-3-ニトロ-フェニル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
テトラヒドロフラン(100 mL)における2-ニトロ-1,4-ジアミノベンゼン(10.135 g, 66.18 mmol)の還流溶液に、Boc2O(ジ-tert-ブチルジカルボナート, 32.6 g, 149 mmol)を分割して2時間かけて添加する。得られた溶液をヘプタン(2 L)に注ぎ込み、15分間の超音波処理、ろ過、および減圧下における乾燥を行って、13.40 gの表題化合物を赤色固体として得る。
【0262】
収率 80% 。LC/MS (m/z) 295.4 ([M+H+MeCN]+); tR= 2.54 (UV, ELSD) 96%, 100% 。 1H NMR (DMSO-d6): 1.47 (s, 9H); 6.96 (d, 1H); 7.24 (s, 2H, NH2), 7.41 (dd, 1H); 8.20 (s, 1H); 9.28 (s, 1H, NH)。
[4-(4-クロロ-ベンゼンスルホニル)-3-メチル-チオフェン-2-イル]-メタノール
乾燥テトラヒドロフラン(20 mL)およびCH2Cl2(10 mL)における4-(4-クロロ-ベンゼンスルホニル)-3-メチル-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステル(992 mg, 3.00 mmol)溶液をN2下で0 °Cまで冷却し、DIBAL-H(9.0 mL, 9.0 mmol, 1 Mトルエン溶液)を添加する。3時間後に、もう1つのDIBAL-Hのポーション(portion)(4.5 mL, 4.5 mmol)を添加し、さらに2時間撹拌を続ける。上記反応を飽和ロッシェル塩(saturated Rochelle salt)溶液(30 mL)の添加により抑制し、上記混合物を室温で1時間撹拌する。上記相を分離し、水相をEtOAc(2×50 mL)で抽出し、プール(pooled)した有機相をNa2SO4で乾燥して減圧下で蒸発させる。上記生成物を、溶出液(eluent)としてヘプタン/酢酸エチル(1:0から6:4までの直線的勾配による溶出)を用いたフラッシュマスターシステム(FlashMaster system)のシリカゲルを用いたクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含むフラクションをプールし、減圧下で蒸発させて所望の化合物を得た(788 mg, 87%)。
【0263】
LC-MS: (m/z) = 285.2 (M-H2O+H+)、calcd for C12H10ClO2S2: 284.9805, tR = 2.45分。 1H NMR (CDCl3):1.84 (t, J = 5.7 Hz, 1 H), 2.20 (s, 3 H), 4.73 (d, J = 5.7 Hz, 2 H), 7.49 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.84 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 8.18 (s, 1 H)。
【0264】
以下の化合物を類似の方法で製造した。
(3-クロロ-チオフェン-2-イル)-メタノール
収率: 73% 。1H NMR (CDCl3): 1.92 (b, 1 H), 4.81 (s, 2 H), 6.91 (d, J = 5.2 Hz, 1 H), 7.25 (d, J = 5.2 Hz, 1 H)。
(5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イル)-メタノール
収率: 63% 。 1H NMR (CDCl3): 1.62 (b, 1 H), 3.01 (s, 6 H), 4.89 (s, 2 H), 6.96 (dd, 1 H), 7.11 (d, 1 H), 7.34 (s, 1 H), 7.68, (d, J = 9.0 Hz, 1 H) 。
(5-ジメチルアミノ-3-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-メタノール
収率: 56% 。 1H NMR (CDCl3): 1.69 (t, J = 5.9 Hz, 1 H), 2.35 (s, 3 H), 3.00 (s, 6 H), 4.88 (d, 2 H), 6.90 (d, 1 H),6.93 (dd, 1 H), 7.63, (d, 1 H) 。
(4-ブロモ-3-メトキシ-チオフェン-2-イル)-メタノール
4-ブロモ-3-ヒドロキシ-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステル(948 mg, 4.00 mmol)、硫酸ジメチル(0.57 mL, 6.0 mmol)およびK2CO3(1.11 g, 8.0 mmol)のアセトン(10 mL)懸濁液を還流下で4時間加熱した。室温まで冷却した後、水(25 mL)を添加した。上記混合物をEtOAc(2×25 mL)で抽出し、抽出物をプールして、Na2SO4での乾燥および減圧下での蒸発を行った。残留物を乾燥テトラヒドロフラン(20 mL)に溶解し、上記溶液をN2下で0 °Cまで冷却して、DIBAL-H(12 mL, 12 mmol, 1 Mトルエン溶液)を添加した。2時間後、もう1つのDIBAL-H(6 mL, 6 mmol)のポーションを添加し、さらに2時間撹拌を続けた。上記反応を飽和ロッシェル塩溶液(30 mL)の添加により抑制し、上記混合物を室温で1時間撹拌した。上記相を分離し、水相をEtOAc(2×50 mL)で抽出し、プールした(pooled)有機相をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。上記生成物を、溶出液(eluent)としてヘプタン/酢酸エチル(1:0から2:1までの直線的勾配による溶出)を用いたフラッシュマスターシステムのシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製した。上記生成物を含むフラクションをプールし、減圧下で蒸発して所望の化合物を得た(482 mg, 54%)。
1H NMR (CDCl3): 1.86 (b, 1 H), 3.90 (s, 3 H), 4.77 (s, 2 H), 7.15 (s, 1 H) 。
以下の化合物を類似の方法で製造した。
(6-クロロ-3-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-メタノール
収率: 75% 。1H NMR (CDCl3): 1.92 (t, J = 5.9 Hz, 1 H), 3.99 (s, 3 H), 4.90 (d, J = 5.7 Hz, 2 H), 7.33 (dd, J = 1.9, 8.5 Hz, 1 H), 7.64 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 7.73 (d, J = 1.9 Hz, 1 H) 。
(一般式IIaおよびIIIaのヘテロアリールアルデヒドの製造)
4-(4-クロロ-ベンゼンスルホニル)-3-メチル-チオフェン-2-カルバルデヒド(4-(4-Chloro-benzenesulfonyl)-3-methyl-thiophene-2-carbaldehyde)
[4-(4-クロロ-ベンゼンスルホニル)-3-メチル-チオフェン-2-イル]-メタノール(786 mg, 2.60 mmol)、4-メチルモルホリンN-オキシド(0.46 g, 3.9 mmol)および粉末状 4 Åの分子ふるい(1.3 g, 減圧下での短時間の加熱により活性化)のCH2Cl2(7 mL)懸濁液へ、テトラプロピルアンモニウムペルルテナート(46 mg, 0.13 mmol)を添加した。その結果生じる混合液を1時間撹拌し、その後EtOAcで溶出するシリカのプラグ(plug )(約25 g)を通してろ過した。上記溶出液を減圧下で蒸発させ、生成物を溶出液としてヘプタン/酢酸エチル(1:0から1:1までの直線的勾配による溶出)を用いたフラッシュマスターシステムのシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製した。上記生成物を含むフラクションをプールし、減圧下で蒸発させて表題化合物を得た(644 mg, 82%)。
【0265】
1H NMR (CDCl3): 2.60 (s, 3 H), 7.53 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 7.87 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 8.53 (s, 1 H), 10.01 (s, 1 H) 。
【0266】
以下のアルデヒドを類似の方法で製造した。
3-クロロ-チオフェン-2-カルバルデヒド
収率: 94% 。1H NMR (CDCl3): 7.07 (d, J = 5.2 Hz, 1 H), 7.72 (d, J = 0.5, 4.7 Hz, 1 H), 10.07 (d, J = 0.9 Hz, 1 H) 。
4-ブロモ-3-メトキシ-チオフェン-2-カルバルデヒド
収率: 45% 。1H NMR (CDCl3): 4.18 (s, 3 H), 7.60 (d, J = 1.4 Hz, 1 H), 10.08 (d, J = 1.4 Hz, 1 H) 。
6-クロロ-3-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルバルデヒド
収率: 86% 。1H NMR (CDCl3): 4.34 (s, 3 H), 7.36 (dd, J = 1.7, 8.7 Hz, 1 H), 7.75 (d, J = 1.4 Hz, 1 H), 7.82 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 10.36 (s, 1 H) 。
5-ジメチルアミノ-ベンゾ[b]チオフェン-3-カルバルデヒド
収率: 72% 。1H NMR (CDCl3): 3.05 (s, 6 H), 7.00 (dd, J = 2.4, 9.0 Hz, 1 H), 7.68 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 7.99 (d, J = 2.8 Hz, 1 H), 8.24 (s, 1 H), 10.11 (s, 1 H) 。
5-ジメチルアミノ-3-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルバルデヒド
収率: 73% 。1H NMR (CDCl3): 2.74 (s, 3 H), 3.03 (s, 6 H), 7.00 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 7.12 (dd, J = 2.4, 9.0 Hz, 1 H), 7.69 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 10.30 (s, 1 H) 。
5-フルオロ-ベンゾフラン-3-カルバルデヒド
-60 °Cの一定温度で、ジクロロメタン(10 mL)中のジメチルスルホキシド(3.27 g, 41.8 mmol)を塩化オキサリル(2.65 g, 20.9 mmol)のジクロロメタン溶液に添加し、上記溶液を15分間撹拌した。ジクロロメタン(60 mL)に溶解した1-(5-フルオロベンゾフラン-3-イル)メタノール(3.16 g, 19.0 mmol)を-60 °Cで滴加した。上記混合物を20分間撹拌し、引き続きトリエチルアミン(9.61 g, 0.095 mmol)を添加した。10分間撹拌した後、上記混合物を常温まで加熱し、さらに20分間撹拌した。引き続いて有機フラクションを50 mLの水、1N HCl水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および食塩水のポーションで洗浄し、その後乾燥(MgSO4)、減圧下での濃縮を行って、ベージュの結晶質固体として定量的収率で粗な表題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3): 7.13 (dt, 1H); 7.50 (dd, 1H); 7.86 (dd, 1H); 8.30 (s, 1H); 10.15 (s, 1H) 。
5-フルオロ-チオフェン-2-カルバルデヒド
0 °Cでチオフェン(4.8 mL, 60 mmol)の乾燥Et-2O(200 mL)溶液に、n-BuLi(70 mL, 66 mmol, 0.95 M ヘキサン溶液)を滴加し、上記溶液を-5 - 0 °Cで1時間撹拌した。その後温度を-70 °Cに調節し、(PhSO2)2NF(28.4 g, 90 mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(200 mL)を添加して、温度を-50 °C以下に維持した。その後、得られた混合物を一晩かけてゆっくりと室温に温め、2 N NaOH(300 mL)を添加し、上記混合物をろ過して、有機相を2 N NaOH(2 x 300 mL)およびNH4Cl(300 mL)で洗浄し、その後Na2SO4で乾燥した。40 cm ビグルー(Vigreux)カラムを用いた蒸留でほとんどのEt2Oを除き、ヘプタン(50 mL)での最終共蒸留(co-distillation)で、20.7 mmolの2-フルオロチオフェンおよび4.6 mmol のチオフェンのテトラヒドロフランおよびヘプタン(沸点60 - 100 °C)溶液(200 μLのDMEを内部標準として用いた1H NMRにより測定)約100 mLを得た。この溶液を0 °Cまで冷却し、n-BuLi(44 mL, 41 mmol, 0.95 M ヘキサン溶液)を滴加した。1時間後、DMF(4.8 mL, 62 mmol)のEt2O溶液(15 mL)を滴加し、0 °Cでさらに1時間撹拌を続けた。その後、上記反応を、飽和NH4Cl(200 mL)で抑制し、Et2O(2 x 200 mL)で抽出して抽出物をNa2SO4で乾燥させた。ほとんどの溶剤が、大気圧での蒸発(40 cm ビグルーカラム)により除去され、その後浅黒い(dark)残留物を減圧蒸留して、5-フルオロ-チオフェン-2-カルバルデヒドおよびチオフェン-2-カルバルデヒドの約10:1混合物(沸点78-79 °C, 25 mmHg)を金色(golden)の油状物(1.32 g, 44%)として得た。この混合物をさらなる精製なしに使用した。
1H NMR (CDCl3): 6.65 (d, J = 4.2, 1 H), 7.50 (d, J = 3.8 Hz, 1 H), 9.76 (d, J = 4.2 Hz, 1 H) 。
(一般式VIIの中間体の製造)
一般式VII の中間体は{4-[(5-フルオロ-ベンゾフラン-3-イルメチル)-アミノ]-2-ニトロ-フェニル}-カルバミン酸エチルエステルの製造として以下に記載されるような一般的方法またはN-(4-アミノ-2-ニトロフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)アセトアミドとして以下に記載されるような一般的方法によって製造される。
{4-[(5-フルオロ-ベンゾフラン-3-イルメチル)-アミノ]-2-ニトロ-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
ディーンスターク(Dean-Stark)装置に適合する三口丸底フラスコで、5-フルオロ-ベンゾフラン-3-カルバルデヒド(3.59 g, 21.9 mmol)および(4-アミノ-2-ニトロ-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル(4.48 g, 19.9 mmol)をo-キシレン(80 mL)中で混合し、触媒量の酸性イオン交換樹脂(Amberlite IRC-84, 100 mg)を添加した。上記混合物を還流のために5時間加熱し、暖かいままろ過して、減圧下で濃縮した。この粗生成物をジオキサン:メタノール(4:1)混合物(90 mL)に溶解させ、ホウ化水素ナトリウム(1.50 g, 39.8 mmol)を30分以上おきに分割して添加した。上記反応物を常温で一晩撹拌して、その後水(200 mL)に注ぎ込み、そして酢酸エチル(3 x 75 mL)で抽出した。混合した有機フラクションを食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)および蒸発を行い、シリカゲルのクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル:ヘプタン 1:2)により精製して粗な個体を得た。これにより、赤色結晶質物質として4.50 g(61%)の表題化合物が得られた。
1H NMR (CDCl3): 1.33 (t, 3H); 4.07 (t, 1H); 4.23 (q, 2H); 4.42 (d, 2H); 6.99 (dd, 1H); 7.05 (dt, 1H); 7.25 (dd, 1H); 7.42 (t, 1H); 7.44 (d, 1H); 7.65 (s, 1H); 8.31 (d, 1H); 9.39 (s, 1H) 。
【0267】
以下の中間体を類似の方法で製造した。
{4-[(5-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-2-ニトロ-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
収率: 73% 。 LC/MS (m/z) 336 (MH+); tR = 3.41 分 。
{4-[(3-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-2-ニトロ-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
収率: 89% 。 LC/MS (m/z)
{4-[(チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-2-ニトロ-フェニル}-カルバミン酸 エチルエステル
収率: 71% 。LC/MS (m/z) 321 (MH+); tR = 3.24分 。
{4-[(チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-2-ニトロ-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
収率: 69% 。LC/MS (m/z) 320 (MH+); tR= 3.08分 。
{4-(ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-2-ニトロ-フェニル}-カルバミン酸 エチルエステル
収率: 87% 。融点 151-152 °C。LC-MS (m/z) 371.0 (MH+), tR = 3.59分 。
N-(4-アミノ-2-ニトロフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド
撹拌している{4-[2-(4-フルオロフェニル)-アセチルアミノ]-3-ニトロ-フェニル}-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(2.40 g, 6.16 mmol)の塩化メチレン(5 mL)懸濁液に、トリフルオロ酢酸(5 mL)を添加した。15分後に、塩化メチレンを蒸留除去し、残留溶液を飽和NaHCO3水溶液(200 mL)に移して超音波処理を行った。沈殿物をろ過し、水での洗浄および減圧下での乾燥を行って、赤褐色の固体として1.70 gの表題化合物を得た。
収率 96.3% 。 LC/MS; tR= 2.25 (UV, ELSD) 89%, 100% 。 1H NMR (DMSO-d6): 3.59 (s, 2H); 5.65 (b, 2H, NH2); 6.83 (dd, 1H); 7.08 (d, 1H); 7.15 (t, 2H), 7.21 (d, 1H); 7.32 (dd, 2H); 9.91 (s, 1H, NH) 。
【0268】
以下の化合物を類似の方法で製造した。
N-(4-アミノ-2-ニトロフェニル)-3,3-ジメチルブチルアミド
収率 680 mg, 93% 。 LC/MS (m/z) 293.43 ([M+H+MeCN]+); tR= 2.29 (UV, ELSD) 99.5%, 99.1% 。1H NMR (DMSO-d6): 1.00 (s, 9H); 2.12 (s, 2H); 3.45 (b, H2O+NH2); 6.84 (dd, 1H); 7.06 (d, 1H); 7.14 (d, 1H); 9.64 (s, 1H, NH) 。
(一般式VIIIの中間体の製造)
N-{4-[(5-クロロチオフェン-2-イルメチル)アミノ]-2-ニトロフェニル}-2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド
N-(4-アミノ-2-ニトロフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド(306 mg, 1.06 mmol)および5-クロロ-2-チオフェンカルボキシアルデヒド(5-chloro-2-thiophenecarboxaldehyde)(186 mg, 1.2 当量)の無水エタノール(40 mL)溶液を70 °C で30分間加熱した。得られた溶液を小容量(約3 mL)に濃縮し、ヘプタン(15 mL)で反応を抑制した。茶褐色の結晶質生成物をろ過により分離し、350 mgの中間体イミンN-{4-[(5-クロロチオフェン-2-イルメチレン)アミノ]-2-ニトロフェニル}-2-(4-フルオロフェニル)アセトアミドを得た。収率 79.2% 。 1H NMR (DMSO-d6): 3.71 (s, 2H); 7.17 (t, 2H); 7.29 (d, 1H); 7.36 (dd, 2H); 7.62 (d, 1H); 7.63 (dd, 1H); 7.71 (d, 1H); 8.83 (s, 1H); 10.44 (s, 1H) 。上記固体をメタノール(5 mL)に懸濁し、NaBH3CN(200 mg)、引き続いて酢酸(2 mL)を添加した。得られた溶液は、懸濁液となった。15分後に、水(50 mL)で処理し、生成物をろ過により分離して、減圧下で乾燥した後330 mgの赤色固体を得た。収率 93.8% 。LC/MS (m/z) 420 ([M+H]+); tR= 3.34 (UV, ELSD) 97%, 100% 。1H NMR (DMSO-d6): 3.60 (s, 2H); 4.45 (d, 2H); 6.87 (t, 1H, NH); 6.93 (dd, 1H); 6.94 (d, 1H); 6.97 (d, 1H); 7.11 (d, 1H); 7.14 (t, 2H); 7.28 (d, 1H); 7.32 (dd, 2H); 9.98 (s, 1H) 。
【0269】
以下の化合物を対応するアニリンから類似の方法で製造した。
N-{4-[(5-クロロチオフェン-2-イルメチル)アミノ]-2-ニトロフェニル}-3,3-ジメチルブチルアミド
粗中間体イミンを蒸発により分離し、上記のように還元した。その後上記混合物を小容量まで蒸発させ、飽和NaHCO3水溶液および 酢酸エチルで処理して、有機相を蒸発させた。残留物を熱ジイソプロピルエーテルに溶解し、ヘプタンで沈殿させて、ろ過した。収率 880 mg, 87.6% 。LC/MS (m/z) 382.48 ([M+H]+); tR= 3.46 (UV, ELSD) 88%, 91% 。1H NMR (DMSO-d6): 0.99 (s, 9H); 2.12 (s, 2H); 4.45 (d, 2H); 6.84 (t, 1H, NH); 6.92 (dd, 1H); 6.94 (d, 1H); 6.97 (d, 1H); 7.07 (d, 1H); 7.19 (d, 1H); 9.69 (s, 1H) 。
(一般式XIIの中間体の製造)
{4-[2-(4-フルオロフェニル)アセチルアミノ]-3-ニトロフェニル}カルバミン酸 tert-ブチルエステル
(4-アミノ-3-ニトロフェニル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(1.992 g, 7.87 mmol)およびNaHCO3(5.4 g)のアセトニトリル(20 mL)懸濁液に、(4-フルオロフェニル)アセチルクロリドを添加した(1.8 mL, 1.3当量)。得られた懸濁液に5分間超音波処理を施し、常温で16時間撹拌した。それを水(200 mL)に注ぎ入れ、5分間超音波処理し、ろ過ならびに水およびヘプタンでの洗浄を行った。得られた残留物を加熱した酢酸エチル(30 mL)に溶解させ、飽和NaHCO3(50 mL)水溶液を添加し、得られた混合物にヘプタン(200 mL)を加えて反応を抑制した。得られた懸濁液を5分間超音波処理し、ろ過した。残留物を水およびヘプタンで洗浄し、減圧下で乾燥して2.48 g の黄褐色(brown-yellow)の固体を得た。
収率 80.9% 。 LC/MS (m/z) 412.54 ([M+Na]+), 453.58 ([M+MeCN+Na]+); tR = 3.33 (UV, ELSD) 97%, 100% 。1H NMR (DMSO-d6): 1.48 (s, 9H); 3.66 (s, 2H); 7.16 (t, 2H), 7.34 (dd, 2H); 7.54 (d, 1H); 7.64 (dd, 1H); 8.16 (d, 1H); 9.79 (s, 1H, NH), 10.29 (s, 1H, NH) 。
【0270】
以下の化合物を対応する酸塩化物を用いて類似の方法で製造した。
[4-(3,3-ジメチルブチリルアミノ)-3-ニトロフェニル]カルバミン酸 tert-ブチル エステル
反応混合物を、過剰量のtert-ブチルアセチルクロリド(3当量)とともに45 °Cで30分間撹拌した。粗生成物を酢酸エチル-飽和NaHCO3水溶液でのワークアップ(work-up)後に分離し、10-15% 酢酸エチル - ヘプタンを溶出液としてSiO2(50 g)を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。収率 2.20 g (78.6%)、黄色の固体 。LC/MS (m/z) 415.58 ([M+MeCN+Na]+); tR= 3.31 (UV, ELSD) 99.5%, 99.9% 。1H NMR (DMSO-d6): 1.01 (s, 9H); 1.49 (s, 9H); 2.17 (s, 2H); 7.43 (d, 2H); 7.63 (dd, 1H); 8.11 (d, 1H); 9.77 (s, 1H, NH); 10.01 (s, 1H, NH) 。
(本発明の化合物)
本発明化合物の酸付加塩は当業者に公知の方法によって容易に形成される。
【0271】
実施例1
1a {2-アミノ-4-[(5-フルオロ-ベンゾフラン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
{4-[(5-フルオロ-ベンゾフラン-3-イルメチル)-アミノ]-2-ニトロ-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル (4.50 g, 12.1 mmol)を、無水エタノール(140 mL)に溶解し、そこに6N HCl水溶液(38 mL)および鉄粉(5.70 g, 0.10 mol)を添加した。赤色の混合物を濃い色が消えるまで60 °Cに加熱した(20分間)。上記固体をろ過により除去して、減圧下での蒸発によりろ液からエタノールを除去した。アンモニア水溶液(飽和)を残留鉄粉(remanence)に添加し、その後それを酢酸エチルで抽出した(3 x 100 mL)。混合した有機フラクションを食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)して減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲル(溶出液:酢酸エチル:ヘプタン 1:1)を用いたクロマトグラフィーによって精製し、固体として2.70 g(66%)の表題化合物を得た。融点150-151 °C 。 Calculated for C18H18FN3O3: C 62.96; H 5.28; N 12.24 。Found: C 63.00; H 5.38; N 12.13 。LC/MS (m/z) 344 (MH+); tR= 2.00 分。 1H NMR (DMSO-d6): 1.19 (t, 3H); 4.03 (q, 2H); 4.26 (d, 2H); 4.55 (s, 2H, NH2); 5.79 (t, 1H); 5.91 (dd, 1H); 6.02 (d, 1H, NH); 6.72 (d, 1H); 7.13 (dt, 1H); 7.56 (m, 2H); 7.95 (s, 1H); 8.16 (b, 1H, NH) 。
【0272】
以下の化合物を類似の方法で製造し、塩酸付加塩として単離した。
【0273】
1b {2-アミノ-4-[(5-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル二塩酸塩
粗生成物を酢酸エチルからエーテル塩酸(ethereal hydrochloric acid)の添加により沈殿させることによって、表題化合物を得た。
融点190 °C(摂氏)。
【0274】
Calculated for C15H19N3O2S,2HCl: C 47.00; H 5.67; N 10.97。 Found: C 46.84; H 5.86; N 11.10 。 LC/MS (m/z) 306 (MH+); tR = 1.77 分。 1H NMR (DMSO-d6): 1.22 (t, 3H); 2.37 (s, 3H); 4.08 (q, 2H); 4.37 (s, 2H); 6.64 (m, 1H); 6.67 (dd, 1H); 6.72 (d, 1H); 6.86 (d, 1H); 7.13 (d, 1H); 8.93 (b, 1H, NH) 。
1c {2-アミノ-4-[(3-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸 エチルエステル二塩酸塩
酢酸エチルからエーテル塩酸の添加により粗生成物を沈殿させることによって、表題化合物を得る。
LC/MS (m/z) 306 (MH+); tR = 1.68 分。1H NMR (CDCl3) (遊離塩基): 1.25 (t, 3H); 2.23 (s, 3H); 3.78 (b, 3H); 4.13 (q, 2H); 4.32 (s, 2H); 6.05-6.10 (m, 2H + NH); 6.82 (d, 1H); 6.93 (d, 1H); 7.11 (d, 1H) 。
1d {2-アミノ-4-[(チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル二塩酸
エーテル塩酸の添加により、エタノールから粗生成物を沈殿させることによって、表題化合物を得た。
融点95 °C 。 Calculated for C14H17N3O2S,2HCl: C 46.16; H 5.26; N 11.54 。 Found: C 46.34; H 5.43; N 11.28. LC/MS (m/z) 292 (MH+); tR = 1.58 分 。 1H NMR (DMSO-d6): 1.22 (t, 3H); 4.08 (q, 2H); 4.48 (s, 2H); 6.71 (dd, 1H); 6.79 (d, 1H); 6.97 (dd, 1H); 7.10 (d, 1H); 7.16 (d, 1H); 7.40 (d, 1H); 8.97 (b, 1H, NH) 。
1e {2-アミノ-4-[(チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル二塩酸塩
エーテル塩酸の添加により、酢酸エチルから粗生成物を沈殿させることにより、表題化合物を得た。
融点196-197 °C 。 Calculated for C14H17N3O2S,2HCl: C 46.16; H 5.26; N 11.54 。 Found: C 46.23; H 5.47; N 11.30. LC/MS (m/z) 292 (MH+); tR = 1.54 分。1H NMR (DMSO-d6): 1.21 (t, 3H); 4.08 (q, 2H); 4.29 (s, 2H); 6.66 (dd, 1H); 6.73 (d, 1H); 7.14 (dd, 1H); 7.16 (d, 1H); 7.45 (m, 1H); 7.51 (dd, 1H); 8.86 (b, 1H, NH) 。
1f {2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル二塩酸塩
エーテル塩酸の添加により、酢酸エチルから粗生成物を沈殿させることにより、表題化合物を得た。
融点 213-214 °C 。Calculated for C18H21N3Cl2O2S: C 51.68; H 4.95; N 10.05 。Found: C 51.88; H 5.35; N 9.95. LC/MS (m/z) 342.2 (M+H+); tR = 2.08 分。 1H NMR (DMSO-d6): 1.22 (t, 3H); 4.08 (q, 2H); 4.53 (s, 2H); 6.81 (dd, 1H); 6.93 (d, 1H); 7.19 (d, 1H); 7.41 (m, 2H); 7.70 (s, 1H); 7.98 (m, 2H); 8.97 (b, 1H, NH) 。
【0275】
実施例2
2a (2-アミノ-4-{[4-(4-クロロ-ベンゼンスルホニル)-3-メチル-チオフェン-2-イルメチル]-アミノ}-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル
無水エタノール(10 mL)中の4-(4-クロロ-ベンゼンスルホニル)-3-メチル-チオフェン-2-カルバルデヒド(301 mg, 1.00 mmol)および(4-アミノ-2-ニトロ-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル(293 mg, 1.30 mmol)をN2下で20時間還流下で加熱した。冷却した後、形成する橙から赤色の固体イミンをろ過により回収、そして真空乾燥し、粗生成物(312 mg, 61%)を得てそれをメタノール:酢酸10:1(10 mL)に懸濁した。NaBH3CN(0.19 g, 3.0 mmol)を添加し、上記混合物を室温で1時間撹拌した。その後もう1つのNaBH3CN(0.19 g, 3.0 mmol)のポーションを添加し、さらに1時間後飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20 mL)を添加した。形成する赤色固体のアミンをろ過により回収、そして真空乾燥し、粗生成物(293 mg, 94%)を得てそれを無水エタノール(10 mL)に懸濁した。これに6 N HCl(1.1 mL, 6.6 mmol)および鉄粉(193 mg, 3.46 mmol)を添加し、上記赤色混合物を赤色が黄色になるまで約10−20分間60 °Cに加熱した。上記混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50 mL)およびEtOAc(50 mL)に注ぎ入れ、上記混合物をろ過し、相を分離して、さらに水相をEtOAc(2×50 mL)で抽出した。混合した有機相を乾燥(Na2SO4)し、溶剤を減圧下で蒸発させた。生成物を、ヘプタン/酢酸エチル(通常8:2から1:1までの直線的勾配による溶出)を溶出液として、フラッシュマスターシステムのシリカゲルを用いたクロマトグラフィーによって精製した。上記生成物を含むフラクションをプールし、減圧下で蒸発させて、淡い黄色固体(213 mg, 78%)として表題化合物を得た。
【0276】
LC-MS: (m/z) = 480.1 (M+H+), calcd for C21H23ClN3O4S2: 480.0813, tR = 2.35 分, UV 純度 = 72.4%, ELS 純度 = 86.5% 。 1H NMR (DMSO-d6): 1.19 (b, 3 H), 2.16 (s, 3 H), 4.02 (q, J = 6.9 Hz, 2 H), 4.23 (d, J = 6.1 Hz, 2 H), 4.57 (s, 2 H), 5.81 (dd, J = 2.4, 8.5 Hz, 1 H), 5.91-5.95 (m, 2 H), 6.72 (broad d, J = 6.6 Hz, 1 H), 7.72 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.90 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 8.15 (b, 1H), 8.31 (s, 1 H) 。
【0277】
以下の化合物を類似の方法で製造した。
【0278】
2b {2-アミノ-4-[(3-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
収率: 76% 。 LC-MS: (m/z) = 326.0 (M+H+), calcd for C14H17ClN3O2S: 326.0725, tR = 1.95 分, UV 純度 = 85.8%, ELS 純度 = 98.1% 。1H NMR (DMSO-d6):1.19 (b, 3 H), 4.03 (q, J = 7.1 Hz, 2 H), 4.30 (d, J = 6.1 Hz, 2 H), 4.57 (s, 2 H), 5.83 (dd, J = 2.4, 8.5 Hz, 1 H), 5.93-5.97 (m, 2 H), 6.73 (broad d, J = 7.1 Hz, 1 H), 6.99 (d, J = 5.2 Hz, 1 H), 7.48 (d, J = 5.2 Hz, 1 H), 8.16 (b, 1 H) 。
2c {2-アミノ-4-[(4-ブロモ-3-メトキシ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
収率: 66% 。 LC-MS: (m/z) = 402.0 (M+H+), calcd for C15H19BrN3O3S: 400.0325 (100%), 402.0310 (97.3%), tR = 1.97 分, UV 純度 = 87.9%, ELS 純度 = 98.2% 。 1H NMR (DMSO-d6): 1.20 (b, 3 H), 3.83 (s, 3 H), 4.03 (q, J = 6.9 Hz, 2 H), 4.32 (d, J = 6.1 Hz, 2 H), 4.58 (s, 2 H), 5.84-5.89 (m, 2 H), 5.97 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 6.74 (b, 1 H), 7.46 (s, 1 H), 8.17 (b, 1 H) 。
2d {2-アミノ-4-[(6-クロロ-3-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
収率: 60% 。 LC-MS: (m/z) = 405.3 (M+H+), calcd for C19H21ClN3O3S: 406.0987, tR = 2.39 分, UV 純度 = 95.0%, ELS 純度 = 99.6% 。 1H NMR (DMSO-d6):1.19 (b, 3 H), 3.95 (s, 3 H), 4.02 (q, J = 7.1 Hz, 2 H), 4.43 (d, J = 6.1 Hz, 2 H), 4.56 (s, 2 H), 5.90 (dd, J = 2.4, 8.5 Hz, 1 H), 5.96 (t, J = 5.9 Hz, 1 H), 6.00 (d, J = 2.8 Hz, 1 H), 6.73 (broad d, J = 6.6 Hz, 1 H), 7.39 (dd, J = 1.9, 8.5 Hz, 1 H), 7.68 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 7.98 (d, J = 1.9 Hz, 1 H), 8.15 (b, 1 H) 。
2e {2-アミノ-4-[(5-ジメチル-アミノ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル.
収率: 13% 。LC-MS: (m/z) = 385.0 (M+H+),calcd for C20H25N4O2S: 385.1693, tR = 1.29 分, UV 純度 = 87.8%, ELS 純度 = 93.5% 。1H NMR (DMSO-d6): 1.19 (b, 3 H), 2.94 (s, 6 H), 4.02 (q, J = 6.9 Hz, 2 H), 4.34 (d, J = 5.7 Hz, 2 H), 4.53 (s, 2 H), 5.81 (t, J = 5.9 Hz, 1 H), 5.93 (dd, J = 2.4, 8.5 Hz, 1 H), 6.03 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 6.72 (b, 1 H), 6.95 (dd, J = 2.4, 9.0 Hz, 1 H), 7.08 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 7.38 (s, 1 H), 7.71 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 8.15 (b, 1 H) 。
2f {2-アミノ-4-[(5-ジメチル-アミノ-3-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
収率: 36% 。LC-MS: (m/z) = 399.2 (M+H+), calcd for C21H27N4O2S: 399.1849, tR = 1.31 分, UV 純度 = 98.4%, ELS 純度 = 99.4% 。 1H NMR (DMSO-d6): 1.19 (b, 3 H), 2.33 (s, 3 H), 2.93 (s, 6 H), 4.02 (q, J = 6.9 Hz, 2 H), 4.37 (d, J = 5.7 Hz, 2 H), 4.54 (s, 2 H), 5.86 (dd, J = 2.4, 8.5 Hz, 1 H), 5.89 (t, J = 6.6 Hz, 1 H), 5.96 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 6.71 (b, 1 H), 6.84-6.89 (m, 2 H), 7.58 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 8.16 (b, 1 H) 。
【0279】
実施例3
3a {2-アミノ-4-[(5-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-(メチル) -アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
o-キシレン(4 mL)中の5-メチル-2-チオフェンカルボキシアルデヒド(108 μL, 1.00 mmol)、(4-アミノ-2-ニトロ-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル(225 mg, 1.00 mmol)およびアンバーライト(Amberlite) IRC-84(10 mg)の混合物をアルゴン下還流して5時間加熱した。揮発性物質を減圧下蒸発により除去し、残留物をアセトニトリル(5 mL)に溶解させた。上記で得られた溶液にNaBH3CN(0.25 g, 4.0 mmol)、引き続いてHOAc(5 滴)を添加した。5分間撹拌した後、上記溶液は暗赤色になった。ホルムアルデヒド(37% 水溶液, 0.89 mL, 12 mmol)を添加し、HOAcを時々添加しながら撹拌を30分間続けた。上記反応混合物を減圧下で乾燥のために蒸発させ、残留物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50 mL)およびEtOAc(50 mL)の間で分配させた。水相をEtOAc(50 mL)で抽出し、混合した有機相を乾燥(Na2SO4)して、溶剤を減圧下で蒸発させた。その後残留物をエタノール(10 mL)に溶解させた。6 N HCl水溶液(2.0 mL, 12 mmol)および鉄粉(0.34 g, 6.0 mmol)を添加し、赤色混合物を60 °Cで赤色が黄色になるまで約15分間加熱した。上記混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50 mL)およびEtOAc(50 mL)に注ぎ入れ、その結果得られた混合物をろ過し、相を分離して、水相をさらにEtOAc(2×50 mL)で抽出した。混合した有機相を乾燥(Na2SO4)し、溶剤を減圧下で蒸発させた。ヘプタン/酢酸エチル(通常8:2から1:1までの直線的勾配による溶出)を溶出液として使用して、フラッシュマスターシステムのシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含むフラクションをプールし、減圧下で蒸発させて、淡い黄色固体として表題化合物を得た(145 mg, 概して45% )。
LC-MS: (m/z) = 319.9 (M+H+), calcd for C16H22N3O2S: 320.1427, tR = 1.80 分, UV 純度 = 98.4%, ELS 純度 = 97.2% 。1H NMR (CDCl3):1.29 (t, J = 7.1, 3 H), 2.41 (s, 3 H), 2.91 (s, 3 H), 3.76 (b, 2 H), 4.19 (q, J = 7.1 Hz, 2 H), 4.52 (s, 2 H), 6.02 (b, 1 H), 6.17 (d, J = 2.8 Hz, 1 H), 6.25 (dd, J = 2.8, 8.5 Hz, 1 H), 6.53-6.58 (m, 1 H), 6.66 (d, J = 3.3 Hz, 1 H), 6.98 (d, J = 8.5 Hz, 1 H) 。
【0280】
以下の化合物を類似の方法で製造した。
【0281】
3b {2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-(メチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
収率: 34% 。LC-MS: (m/z) = 340.0 (M+H+), calcd for C15H19ClN3O2S: 340.0881, tR = 2.14 分, UV 純度 = 82.3%, ELS純度 = 90.2% 。1H NMR (CDCl3): 1.29 (t, J = 6.8, 3 H), 2.91 (s, 3 H), 3.78 (b, 2 H), 4.20 (q, J = 7.2 Hz, 2 H), 4.49 (s, 2 H), 6.05 (b, 1 H), 6.16 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 6.24 (dd, J = 2.4, 8.5 Hz, 1 H), 6.73 (d, J = 3.8 Hz, 1 H), 6.99 (d, J = 8.5 Hz, 1 H) 。
【0282】
アセトアルデヒドをホルムアルデヒドの代わりに用いたことを除いて、以下の化合物を類似の方法で製造した。
【0283】
3c {2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-(エチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
収率: 12% 。 LC-MS: (m/z) = 353.9 (M+H+), calcd for C16H21ClN3O2S: 354.1038, tR = 2.02 分, UV 純度 = 97.5%, ELS 純度 = 99.0% 。1H NMR (CDCl3):1.16 (t, J = 7.1, 3 H), 1.29 (t, J = 6.8, 3 H), 3.36 (q, J = 7.1 Hz, 2 H), 3.76 (b, 2 H), 4.19 (q, J = 7.2 Hz, 2 H), 4.47 (s, 2 H), 6.05 (b, 1 H), 6.13 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 6.19 (dd, J = 2.4, 9.0 Hz, 1 H), 6.73 (d, J = 3.8 Hz, 1 H), 6.96 (d, J = 8.0 Hz, 1 H) 。
【0284】
ホルムアミドの添加を削除したことを除いて、以下の化合物を類似の方法で製造した。
【0285】
3d {2-アミノ-4-[(5-フルオロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
収率: 65%( 非フッ素化副生成物を除去するためのLC-MS分取精製後25%)。 LC-MS: (m/z) = 310.2 (M+H+), calcd for C14H17FN3O2S: 310.1020, tR = 1.76 分, UV 純度 = 96.6%, ELS 純度 = 83.4% 。1H NMR (CDCl3): 1.29 (b, 3 H), 3.82 (b, 2 H), 4.19 (q, J = 7.2 Hz, 2 H), 4.31 (d, J = 2.0 Hz, 2 H), 6.05 (b, 1 H), 6.09 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 6.29 (dd, J = 1.5, 3.8 Hz, 1 H), 6.58 (t, J = 3.5 Hz, 1 H), 6.94 (d, J = 8.0 Hz, 1 H) 。
【0286】
実施例4
4a {2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
5-クロロチオフェン-2-カルバルデヒド溶液(240 μL, 111 μmol, 463 mMの 1,2-ジクロロエタン溶液)を4-アミノ-2-ニトロフェニルカルバミン酸エチルエステル溶液(240 μL, 111 μmol, 463 mM の1,2-ジクロロエタン溶液)に添加した。トリアセトキシホウ化水素ナトリウム(118 mg, 555 μmol)を添加して、その結果得られた混合物を40 °Cで3.5時間撹拌した。上記混合物を常温まで冷却し、水(100 μL)を添加した。上記混合物をシルカゲル(500 mg)を通してろ過して、カラムを1,2-ジクロロエタン(3 mL)で洗浄した。混合させた有機相を減圧下で蒸発させて乾燥した。その結果得られた固体をエタノール(3 mL)に溶解させた。鉄(19 mg)を得られた溶液(1 mL)の3分の1に添加し、引き続き塩酸水溶液(96 μL, 6M)を添加した。その結果得られた混合物を超音波槽に10分間置いた。その後飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2 mL)を添加した。上記混合物を酢酸エチル(3 mL)で抽出した。有機相を水(3 mL)および食塩水(3 mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、および減圧下で蒸発させて乾燥した。その結果得られた生成物を190 μLのジメチルスルホキシドに溶解させ、LC-MS分取精製に付した。その結果得られた溶液を減圧下で蒸発させて乾燥した。
収率 (6.8 mg, 56%) 。 LC-MS (m/z) (M+H)+ 326.1 RT=1.90 (UV, ELSD) 92%, 99% 。
【0287】
以下の化合物を類似の方法で製造した。
【0288】
4b {2-アミノ-4-[(5-ブロモ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
LC-MS (m/z) (M+H)+ 371.9 RT=1.94 (UV, ELSD) 89%, 98% 。
4c {2-アミノ-4-[(4-ブロモ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
LC-MS (m/z) (M+H)+ 372.0 RT=1.96 (UV, ELSD) 76%, 100% 。
4d {2-アミノ-4-[(5-エチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
LC-MS (m/z) (M+H)+ 320.1 RT=1.90 (UV, ELSD) 72%, 96% 。
4e {2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
LC-MS (m/z) (M+H)+ 342.1 RT=2.06 (UV, ELSD) 75%, 100% 。
4f {2-アミノ-4-[(5-フェニル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル
LC-MS (m/z) (M+H)+ 368.2 RT=2.21 (UV, ELSD) 90%, 99% 。
【0289】
実施例5
5a {2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸プロピルエステル
ベンゾ[b]チオフェン-2-カルバルデヒド(1.36 g, 8.38 mmol)を(4-アミノ-2-ニトロ-フェニル)-カルバミン酸プロピルエステル(2.00 g, 8.36 mmol)のアセトニトリル溶液(10 mL)に添加した。混合物を20 mL のマイクロ波プロセス密閉バイアル(sealed microwave process vial)で160°C、2分間加熱した。冷却NaBH3CN(1.06 g, 16.7 mmol)およびAcOH(48 μL, 0.84 mmol)を添加して、混合物を25 °Cで30分間撹拌した。水/食塩水 (1:1, 100 mL)を添加し、上記混合物を酢酸エチル(3x 100 mL)で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過して減圧下で濃縮した。粗中間体をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル :ヘプタン 1:9)によって精製し、蒸発させて乾燥した。上記中間体をその後テトラヒドロフラン(20 mL)に溶解させ、水(50 mL)に溶解したNa2S2O4(3.67 g, 21 mmol)を添加した。その結果得られた混合物をアルゴン下40°Cで5時間撹拌した。その結果得られた混合物を酢酸エチル(3x 100 mL)で抽出し、混合した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル:ヘプタン 1:1)による精製により、固体として0.3 g(10%)の表題化合物を得た。LC/MS (m/z) 356 ([M+H]+); RT = 2.45分 。 1H NMR (CDCl3): 0.95 (t, 3H); 1.67 (m, 2H); 4.08 (t, 2H); 4.55 (s, 2H); 6.08 (d, 1H); 6.13 (dd, 1H); 6.93 (d, 1H); 7.20 (s, 1H); 7.27 (dt, 1H); 7.32 (dt, 1H); 7.68 (d, 1H); 7.77 (d, 1H) 。
【0290】
以下の化合物を類似の方法で製造した。
【0291】
5b {2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸プロピルエステル
収率: 16% 。LC/MS (m/z) 356 ([M+H]+); RT = 2.24 分。1H NMR (CDCl3): 0.96 (t, 3H); 1.68 (m, 2H); 4.10 (t, 2H); 4.51 (s, 2H); 6.12 (d, 1H); 6.14 (dd, 1H); 6.95 (d, 1H); 7.36 (s, 1H); 7.39 (dt, 1H); 7.40 (dt, 1H); 7.79 (dd, 1H); 7.87 (dd, 1H) 。
【0292】
実施例6
6a N-{2-アミノ-4-[(5-クロロチオフェン-2-イルメチル)アミノ]フェニル}-2-(4-フルオロフェニル)-アセトアミド
撹拌しているN-{4-[(5-クロロチオフェン-2-イルメチル)アミノ]-2-ニトロフェニル}-2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド(320 mg, 0.762 mmol)の赤色テトラヒドロフラン溶液(25 ml)および酢酸(8 mL)に、亜鉛粉(粒径<10ミクロン, 10 g)を30分間で一定時間ごとに分割して添加した。5分後溶液の色が消失した。得られた無色の懸濁液を、酢酸エチルを溶出液としてSiO2(10 g)のプラグを通してろ過し、得られた溶液を減圧下で蒸発させた。得られた固体を酢酸エチル/アセトン/トリフルオロ酢酸(3 mL/3 mL/0.2 mL)の混合物に溶解させ、飽和NaHCO3(50 mL)水溶液およびヘプタン(30 mL)で処理し、生成物をろ過によって分離して280 mgの淡い灰色固体を得た。 収率 94.2% 。 LC/MS (m/z) 390.4 ([M+H]+); RT = 2.26 (UV, ELSD) 99%, 100% 。1H NMR (DMSO-d6): 3.56 (s, 2H); 4.28 (d, 2H); 4.57 (s, 2H, NH2); 5.87 (dd, 1H); 5.98 (m, 2H, NH および 芳香族H); 6.74 (d, 1H); 6.86 (d, 1H); 6.93 (d, 1H); 7.13 (t, 2H); 7.35 (dd, 2H); 9.10 (s, 1H) 。
【0293】
以下の化合物を類似の方法で対応するニトロ化合物から製造した。
【0294】
6b N-{2-アミノ-4-[(5-クロロチオフェン-2-イルメチル)アミノ]フェニル}-3,3-ジメチルブチルアミド
SiO2を通したろ過および蒸発の後、生成物をヘプタン(50 mL)を用いて酢酸エチル-飽和NaHCO3水溶液(5 mL/20 mL)の二相溶液から沈殿させた。
収率 580 mg, 71.5% 。LC/MS (m/z) 352.48 ([M+H]+); RT = 2.16 (UV, ELSD) 96%, 99%。1H NMR (DMSO-d6): 1.01 (s, 9H), 2.11 (s, 2H); 4.29 (d, 2H); 4.54 (s, 2H, NH2); 5.88 (dd, 1H); 5.97 (t, 1H, NH); 5.99 (d, 1H); 6.72 (d, 1H); 6.87 (d, 1H); 6.93 (d, 1H); 8.82 (s, 1H) 。
【0295】
<生体外(In vitro)および生体内(in vivo)試験>
本発明の化合物の試験を行い、以下の1つ以上のモデルにおいて効果が示された。
【0296】
<KCNQ2チャネルを通る相対流量>
実験および[86Rb]をロードする前日に、電位依存性KCNQ2 チャネルの安定発現細胞を播種した。実験当日に細胞をHBSS含有緩衝液で洗浄した。細胞を薬剤および[86Rb+]と共にプレインキュベートし(preincubated)、薬剤を引き続き存在させた中で、最大下濃度(submaximal concentration)の15 mM KCl によって刺激した。適当な時間のインキュベート後、上清を除去して、液体シンチレーションカウンター(Tricarb)で計測した。細胞を2 mM NaOH で溶解し、86Rb+量を計測した。相対的流量を計算した ((CPMsuoer/CPMsuper+ CPMcell)Cmpd/ (CPMsuoer/CPMsuper+ CPMcell)15mM KCl)*100-100。
本発明の化合物は20000nM より小さいEC50を有し、ほとんどの場合で2000nM より小さいおよび多くの場合で200nM より小さいEC50を有する。従って、本発明の化合物はKCNQ ファミリーカリウムチャネルと関連する疾患の治療において有用であると考えられる。
【0297】
<最大電気ショック>
緊張性の後肢伸張(tonic hind-limb extension)により特徴づけられる痙攣を誘導するために、角膜電極および0.4秒間の26 mAの方形波電流処理を用いて、雄マウスの群で試験を実施した(Wlaz et al. Epilepsy Research 1998, 30, 219-229)。
【0298】
<ピロカルピン誘導性発作>
ピロカルピン誘導性発作を、雄マウスの群への250 mg/kgピロカルピンの腹腔内注射により誘導させて、30分以内の姿勢保持の喪失(loss of posture)を生じる発作活性を観察した(Starr et al. Pharmacology Biochemistry and Behavior 1993, 45, 321-325)。
【0299】
<電気的発作−閾値試験>
上下変動法(up-and-down method)(Kimball et a., Radiation Research 1957, 1-12)の変法を、雄マウス群において、角膜電気ショックに応答する緊張性の後肢伸張(tonic hind-limb extension)を誘導する閾値中央値を測定するために使用した。14 mA(0.4 s, 50 Hz)の電気ショックを受けたそれぞれの群の最初のマウスの発作活性を観察した。発作が観察された場合は、次のマウスに対する電流を1mA ずつ減少させ、発作が観察されなかった場合は、電流を1mA ずつ増加させた。この工程を処置群における全ての15マウスに繰り返した。
【0300】
<化学的発作−閾値試験>
間代性痙攣を誘導するために必要なペンチレンテトラゾール(pentylenetetrazole)の閾値用量を、ペンチレンテトラゾール(0.5 mL/min で5mg/mL)の雄マウス群の外側尾(lateral tail)静脈への持続注入により測定した(Nutt et al. J Pharmacy and Pharmacology 1986, 38, 697-698)。
【0301】
<扁桃核キンドリング(kindling)>
ラットの外側扁桃体に三極電極の植え込みのための外科処置を行った。外科処置後、ラット群が各用量の試験化合物または薬剤の賦形剤のどちらか一方を受ける前に、動物を正常な状態に戻した。上記動物を、閾値の+ 25 mAでの放電後、3-5週の間連日初期と同じ電流で刺激し、そのたびごとに発作重症度、発作継続時間、および放電後の電気の継続時間を観察した(Racine. Electroencephalography and Clinical Neurophysiology 1972, 32, 281-294)。
【0302】
<副作用>
中枢神経系の副作用を、マウスがロータロッド装置に留まる時間を測定することにより(Capacio et al. Drug and Chemical Toxicology 1992, 15, 177-201)、または、試験ケージ中を横切る赤外線の数の計測によって自発運動を測定すること(Watson et al. Neuropharmacology 1997, 36, 1369-1375)により測定した。化合物の動物中核体温における体温降下作用を直腸プローブまたは温度を測定できるインプラントの遠隔送信機により測定した(Keeney et al. Physiology and Behaviour 2001, 74, 177-184)。
【0303】
<薬物動態>
上記化合物の薬物動態特性を、Spraque Dawleyラットへの静脈注射(i.v.) および 経口(p.o.)投与およびその後20時間にわたって採取した血液サンプルによって決定した。血漿濃度をLC/MS/MSで測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式、
【化1】

で表される、1,2,4-トリアミノベンゼン誘導体またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、R1は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アシル、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル) およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から選択され;
R2 およびR2’ は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アシル、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から独立して選択され;
R3は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 NR10R10’-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 NR10R10’-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群であって、
R10およびR10’ は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 ヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 シアノ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびシアノ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択されるか、または、R10およびR10’ が、それらに結合する窒素原子とともに、場合により1、 2 または3 個以上のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の4-8員環を形成する、
上記群から選択され;
X は、CO またはSO2であり;
Z は、O またはNR4であって、
式中、R4は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびヒドロキシ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)からなる群から選択されるか、または、
R3およびR4は、それらに結合する窒素原子とともに、場合により1、 2 または3個以上のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の4-8員環を形成し、R3およびR4および窒素原子によって形成される環が場合により、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリールおよびアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており;
qは0 または1であり;
そして、
Yは以下の式IIまたはIII、
【化2】

のどちらか一方で表されるヘテロアリールであって、
式中Wは、OまたはSであり;
mは 、0、1、 2 または3であり;
nは、0、 1、 2、 3 または4であり;
pは、0または1であり;そして
それぞれのR5は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 アリール、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アシル、 ハロゲン、 ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、 -CO-NR6R6’、 シアノ、 ニトロ、 -NR7R7’、 -S-R8、 -SO2R8、SO2OR8からなる群から独立して選択されて;
式中、R6およびR6’は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびアリールからなる群から独立して選択され;
R7およびR7’ は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリールおよびアシルからなる群から独立して選択され;そして
R8は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 アリールおよび-NR9R9’からなる群から選択され、式中R9およびR9’は、水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択される。
【請求項2】
R1が、水素およびC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
置換基R2およびR2'の少なくとも一方が水素原子である、請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
R2およびR2'の両方が水素原子である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
X がCOである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
qが0である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
qが1 であり、そしてZが酸素原子である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
R3が、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
R3がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R3がアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である、請求項8記載の化合物。
【請求項11】
Wが酸素原子である、請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項12】
Wが硫黄原子である、請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項13】
Yが式IIで表される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項14】
Yが式IIIで表される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項15】
Yが以下の式IIbまたはIIIb
【化3】

のいずれかで表され、式中、W、m、n、p およびR5 が上記のように定義される、請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項16】
Yが以下の式IIcまたはIIIc
【化4】

のいずれかで表され、式中、W、m、n、p およびR5 が上記のように定義される、請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項17】
それぞれのR5が、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、アリール、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、-NR7R7’、-SO2R8からなる群から独立して選択される、請求項1〜16のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項18】
上記化合物が、以下の群:
{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-メチル-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-メチル-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-ブロモ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(6-クロロ-3-メトキシ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(4-ブロモ-3-メトキシ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-フェニル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(3-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
(2-アミノ-4-{[4-(4-クロロ-ベンゼンスルホニル)-3-メチル-チオフェン-2-イルメチル]-アミノ}-フェニル)-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(3-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-フルオロ-ベンゾフラン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(4-ブロモ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-エチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)-エチル-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-ジメチル-アミノ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-ジメチル-アミノ-3-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(5-フルオロ-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸エチルエステル;
{2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸プロピルエステル;
{2-アミノ-4-[(ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-アミノ]-フェニル}-カルバミン酸プロピルエステル;
N-{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)アミノ]フェニル}-2-(4-フルオロ-フェニル)-アセトアミド; および
N-{2-アミノ-4-[(5-クロロ-チオフェン-2-イルメチル)アミノ]フェニル}-3,3-ジメチル-ブチルアミド;
またはその薬学的に許容される塩;
から選択される、請求項1〜17のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項19】
1つ以上の薬学的に許容される担体(carriers)または希釈剤(diluents)を伴う、治療に有効な量の、請求項1〜18のいずれか1つに記載の化合物からなる医薬調合物。
【請求項20】
中枢神経系の疾患の予防、治療および/または抑制のための医薬調合物を製造するために、請求項1〜19のいずれか1つに記載の化合物を使用する方法。
【請求項21】
中枢神経系の疾患が、痙攣、てんかんおよびてんかん重積状態のような発作性疾患からなる群から選択されることを特徴とする、請求項20記載の使用方法。
【請求項22】
中枢神経系の疾患が、異痛、痛覚過敏(hyperalgesic pain)、幻想痛、糖尿病性神経障害に関連する神経因性疼痛および片頭痛に関連する神経因性疼痛のような、神経因性および片頭痛による疼痛疾患からなる群から選択されることを特徴とする、請求項21記載の使用方法。
【請求項23】
中枢神経系の疾患が、不安、 全般性不安障害、 パニック不安、 強迫性障害、 対人恐怖、 パフォーマンス不安、 外傷後ストレス障害、 急性ストレス反応、 適応障害、 心気症障害、 分離不安障害、 広場恐怖症、特異恐怖症、一般身体疾患のための不安障害、物質誘発性不安障害のような不安障害からなる群から選択されることを特徴とする、請求項21記載の使用方法。
【請求項24】
中枢神経系の疾患が、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、AIDS誘発性脳症および、風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ボレリア菌および未知の病原体に起因する他の感染症による脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、外傷誘発性神経変性のような神経変性障害からなる群から選択されることを特徴とする、請求項21記載の使用方法。
【請求項25】
中枢神経系の疾患が、薬物離脱症状における、または中毒によるような神経の過興奮状態からなる群から選択されることを特徴とする、請求項21記載の使用方法。

【公表番号】特表2006−515300(P2006−515300A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562504(P2004−562504)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000906
【国際公開番号】WO2004/058739
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】