説明

乗員保護装置

【課題】シートに着座した乗員と車両の側部との間でエアバッグを迅速且つ確実に展開する空間を確保できるようにする。
【解決手段】制御コンピュータは、側部衝突予測器から取り込んだ受信情報に基づいて、車両の側方の物体までの距離や、車両の側方の物体と車両との間における相対速度を算出すると共に、この算出結果に基づいて側部衝突発生の可能性の有無を判断する。側部衝突の可能性が有る場合、制御コンピュータは、電動モータ17を正転又は逆転させる。これにより、第1の支軸22又は第2の支軸23が回転し、アームレスト14が図4(a)に実線で示す使用位置から鎖線で示す第1の退き位置又は第2の退き位置へ移動する。退き位置にあるアームレスト14は、エアバッグの展開領域外にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートに着座した乗員を車両における側部衝突から保護する乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートに着座した乗員とサイドドアとの間でエアバッグを膨張して展開させるエアバッグ装置は、車両の側部衝突から乗員を保護する。しかし、サイドドアにアームレストを固定した車両では、アームレストがエアバッグの展開に与える影響を考慮して形状や位置を設定することとなり、デザイン上の制約を受けている。
【0003】
これを解決する手段として、特許文献1に開示の装置では、アームレストが前後方向へスライド可能に設けられており、シートにはエアバッグ装置が設けられている。エアバッグが膨張すると、膨張するエアバッグがアームレストを前方へ押して移動させる。アームレストが通常の位置から前方へ移動するため、エアバッグは、アームレストの影響を抑制されて膨張し、展開する。
【0004】
特許文献2に開示の装置では、側部衝突を予測する手段によって側部衝突が予測されたときには、ドアトリムの上部に設けられた保護手段が作動される。保護手段は、可動パネルをパンタグラフ機構によって駆動する構成であり、側部衝突が予測されたときには、アームレストよりも上にある可動パネルがサイドドアに設けられたアームレストから遠ざけられる。これにより、乗員の腕部がアームレストに置かれていた場合には、乗員の腕部がサイドドアから遠ざけられる。又、特許文献2では、横加速度センサが採用されており、サイドエアバッグ装置がサイドドアに設けられている。横加速度センサによって側部衝突が検出されたときには、サイドドアに設けられたサイドエアバッグ装置が作動され、乗員の胸部や頭部が保護される。
【0005】
特許文献3に開示の装置では、アームレストが使用位置から下方へ移動可能に設けられており、側部衝突が発生したときにはアームレストが使用位置から下方へ移動される。アームレストは、駆動装置(強制降下装置)によって強制的に下方へ移動される。
【特許文献1】特開平9−315258号公報
【特許文献2】特開2001−206176号公報
【特許文献3】特開2005−231471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示の装置では、エアバッグの膨張力をアームレストを動かす駆動力として利用し、アームレストを前方へ移動させるため、エアバッグの展開の迅速性と、乗員の保護に必要なエアバッグの反力とを確保するためには、より大きな膨張力を必要とすることとなる。
【0007】
特許文献3に開示の装置では、駆動装置(強制降下装置)によってアームレストを強制的に下方へ移動させるため、アームレストを下方へ移動させた後にエアバッグを展開させる場合には、エアバッグの展開の迅速性が損なわれる可能性はない。しかし、側部衝突が発生してからアームレストを移動させるため、エアバッグと同程度の速さで使用位置から下方へアームレストを移動させる必要があり、アームレストの高速移動の実現化が困難であると考えられる。
【0008】
特許文献2に開示の装置では、側部衝突が予測されたときには可動パネルがアームレストから遠ざけられるが、移動された可動パネルがその位置にとどまる構成であり、サイドドアと乗員との間でエアバッグを展開させる空間が確保されない。
【0009】
本発明は、アームレストを有した車両においても、シートに着座した乗員と車両の側部との間でエアバッグを迅速且つ確実に展開する空間を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両における側部衝突を予測する側部衝突予測手段と、車両側部と車両のシートに着座した乗員との間でエアバッグを膨張させるエアバッグ装置とを備えた車両における乗員保護装置を対象とし、請求項1の発明は、前記シートに着座した乗員と前記車両側部との間に設けられたアームレストと、前記エアバッグの展開領域内にある前記アームレストの占有部分が低減するように、前記アームレストの使用位置から前記アームレストを回転させて退かせる退かせ手段とを備え、前記側部衝突予測手段が側部衝突を予測したときには、前記退かせ手段が前記アームレストを前記使用位置から退かせることを特徴とする。
【0011】
側部衝突予測手段が側部衝突を予測したときには、アームレストがエアバッグ装置とは別の退かせ手段の作動によって回転させられて使用位置から退かせられ、エアバッグの展開領域内にあるアームレストの占有部分が低減する。従って、シートに着座した乗員と車両の側部との間でエアバッグを迅速且つ確実に展開する空間が確保される。
【0012】
好適な例では、前記退かせ手段は、前記使用位置から前記エアバッグの展開領域外へ前記アームレストを退かせる。
アームレストがエアバッグの展開領域外へ出てしまうため、シートに着座した乗員と車両の側部との間でエアバッグを迅速且つ確実に展開する空間が確実に確保される。
【0013】
好適な例では、前記退かせ手段は、前記アームレストを回転させて上方へ移動させる。
乗員の腕がアームレストに乗っている場合、アームレストが上方へ移動すると、乗員の腕が上方へ持ち上げられる。従って、シートに着座した乗員と車両の側部との間でエアバッグを迅速且つ確実に展開する空間が確保される。
【0014】
好適な例では、前記アームレストは、前記シート、若しくは前記車両側部の一部であるセンターピラーのいずれか一方に設けられており、前記退かせ手段は、車両のサイドドアの開閉に連動するように前記アームレストを使用位置と退き位置とに切り換え配置する連動制御手段であり、前記連動制御手段は、前記サイドドアの開状態から閉状態への移行に応じて前記アームレストを退き位置から使用位置へ切り換え配置すると共に、前記サイドドアの閉状態から開状態への移行に応じて前記アームレストを使用位置から退き位置へ切り換え配置し、前記側部衝突予測手段が側部衝突を予測したときには、前記連動制御手段は、前記アームレストを使用位置から退き位置へ切り換え配置する。
【0015】
サイドドアが開かれるとき、及び側部衝突予測手段が側部衝突を予測したときには、アームレストが使用位置から退き位置へ切り換え配置される。アームレストの退き位置を乗り降りする際の妨げにならない場所に設定すれば、サイドドアが開かれたときには、アームレストが乗り降りする際の妨げにならない場所に配置される。
【0016】
好適な例では、前記退き位置は、前記センターピラーに対応する位置である。
センターピラーに対応する位置に退き位置を設定した構成は、乗員の乗り降りの容易性に関して好ましい。
【0017】
好適な例では、前記退かせ手段は、前記アームレストに止着された支軸を有すると共に、前記支軸を回転させる回転手段を有する。
側部衝突予測手段が側部衝突を予測したときには、回転手段が支軸を回転させ、アームレストが使用位置から退かせられる。支軸を回転させてアームレストを回転させる構成は、簡便である。
【0018】
好適な例では、前記退かせ手段は、前記アームレストの前端側で前記アームレストを支持する第1の支軸と、前記アームレストの後端側で前記アームレストを支持する第2の支軸と、前記アームレストが使用位置にあるときには、前記第1,2の支軸を拘束位置に拘束する拘束手段と、前記第1の支軸と前記第2の支軸とのいずれか一方を選択して回転させる回転位置選択手段とを備え、前記第1の支軸及び第2の支軸は、アームレストに止着されており、前記回転位置選択手段は、前記第1の支軸を回転させるときには、前記拘束手段による前記第2の支軸の拘束状態を解除し、前記回転位置選択手段は、前記第2の支軸を回転させるときには、前記拘束手段による前記第1の支軸の拘束状態を解除する。
【0019】
第1の支軸が回転されたときには、アームレストが使用位置から前方の退き位置へ移動され、第2の支軸が回転されたときには、アームレストが使用位置から後方の退き位置へ移動される。シートが後寄りにあるときには、アームレストを使用位置から前方の退き位置へ移動させるのが好ましく、シートが前寄りにあるときには、アームレストを使用位置から後方の退き位置へ移動させるのが好ましい。第1の支軸と第2の支軸とのいずれか一方を選択してアームレストを回転させる構成は、前後方向におけるシートの位置に応じたアームレストの適切な退き位置の選択を可能にする。
【0020】
好適な例では、前記退かせ手段は、その作動後にその作動前の初期状態に復帰可能な可逆装置であり、前記退かせ手段がその作動後にその作動前の初期状態に復帰したときには、前記アームレストは、使用位置に復帰する。
【0021】
退かせ手段が作動されたとしても、側部衝突が起きない限り、退かせ手段を初期状態に復帰させて使用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の乗員保護装置は、シートに着座した乗員と車両の側部との間でエアバッグを迅速且つ確実に展開する空間を確保できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1(a)は、車両の前側から見た図であり、図1(b)は、車両の上から見た図である。図1(a)に示すように、車両の右側のサイドドア11のフレームを構成するインナーパネル12には上側ドアトリム13Aと下側ドアトリム13Bとが固定されている。下側ドアトリム13Bよりも上側にはアームレスト14が配設されている。サイドドア11のフレームを構成するアウターパネル16とインナーパネル12との間には上下に移動可能に設けられた窓ガラス15が配置されている。
【0024】
図2は、車両の前側から見た図である。図2に示すように、インナーパネル12と下側ドアトリム13Bとの間の空間部には電動モータ17が配設されている。電動モータ17は、インナーパネル12に固定されており、電動モータ17の出力軸171は、アウターパネル16側からインナーパネル12側に向かう方向(車幅方向)を向いている。上側ドアトリム13Aの下部と下側ドアトリム13Bの上部との間には収容空間が設けられており、出力軸171は、収容空間に入り込んでいる。出力軸171の先端部にはピニオンギヤ18が止着されている。前記収容空間にはスライドバー19が車両の前後方向へスライド可能に配設されている。
【0025】
図4(a)は、車両の左側から見た図である。図4(a)に示すように、スライドバー19は、車両の前後方向へ長い長尺形状をしており、スライドバー19の前端側の下部にはラックギヤ191が形成されている。図4(a)において、左側が車両の前方側であり、右側が車両の後方側である。ラックギヤ191にはピニオンギヤ18が噛合されている。電動モータ17の正逆回転は、ピニオンギヤ18及びラックギヤ191を介してスライドバー19へ伝えられ、スライドバー19が車両の前後方向へ移動する。スライドバー19の前端側の上部にはラックギヤ192が形成されており、スライドバー19の後端側の上部にはラックギヤ193が形成されている。
【0026】
アームレスト14には平板形状の支持壁141がスライドバー19の長さ方向に延びるように一体形成されている。支持壁141の前端側にはセクターギヤ20が形成されており、支持壁141の後端側にはセクターギヤ21が形成されている。セクターギヤ20の歯列は、円弧上にあり、この円弧の径中心には第1の支軸22が設けられている。セクターギヤ21の歯列は、円弧上にあり、この円弧の径中心には第2の支軸23が設けられている。第1の支軸22及び第2の支軸23は、車幅方向を向くように、支持壁141に止着されている。セクターギヤ20は、ラックギヤ192に噛合可能であり、セクターギヤ21は、ラックギヤ193に噛合可能である。
【0027】
図4(b)は、車両の左側から見た図である。図4(b)に示すように、上側ドアトリム13Aには支持ブラケット24がスライドバー19の前端側に対応するように止着されており、上側ドアトリム13Aには支持ブラケット25がスライドバー19の後端側に対応するように止着されている。支持ブラケット24,25の先端部には凹形状の支持座241,251が形成されている。支持座241には第1の支軸22が嵌り込み支持されるようになっており、支持座251には第2の支軸23が嵌り込み支持されるようになっている。
【0028】
図4(a)に示すように、支持ブラケット24には二叉形状のレバー26が支軸27を介して回転可能に支持されており、支持ブラケット24にはリンク28が支軸29を介して回転可能に支持されている。リンク28には二叉形状の拘束部281が形成されている。拘束部281は、支持座241に嵌り込んでいる第1の支軸22を支持座241に拘束可能である。レバー26の一方のアーム261の先端部には係合ピン30が止着されており、リンク28には係合孔282が形成されている。係合ピン30は、係合孔282に挿入されている。レバー26が支軸27を中心にして回転すると、リンク28が支軸29を中心にして回転する。
【0029】
支持ブラケット25には二叉形状のレバー31が支軸32を介して回転可能に支持されており、支持ブラケット25にはリンク33が支軸34を介して回転可能に支持されている。リンク33には二叉形状の拘束部331が形成されている。拘束部331は、支持座251に嵌り込んでいる第2の支軸23を支持座251に拘束可能である。レバー31の一方のアーム311の先端部には係合ピン35が止着されており、リンク33には係合孔332が形成されている。係合ピン35は、係合孔332に挿入されている。レバー31が支軸32を中心にして回転すると、リンク33が支軸34を中心にして回転する。
【0030】
スライドバー19にはガイド溝36が形成されている。ガイド溝36は、スライドバー19の前端側に設けられた第1の溝361と、スライドバー19の後端側に設けられた第2の溝362と、第1の溝361と第2の溝362との間に設けられた第3の溝363と、第1の溝361と第3の溝363とを繋ぐ第1の傾斜溝364と、第2の溝362と第3の溝363とを繋ぐ第2の傾斜溝365とからなる。スライドバー19の長さ方向に延びる第1の溝361、第2の溝362及び第3の溝363は、互いに平行である。
【0031】
レバー26,31の他方のアーム262,312の先端部にはガイドピン37,38がガイド溝36内に嵌り込むように取り付けられている。ガイド溝36内に嵌り込んでいるガイドピン37,38は、ガイド溝36内をスライド可能である。アームレスト14が図4に示す使用位置にあるときには、ガイドピン37は、第1の溝361内にあり、ガイドピン38は、第2の溝362内にある。
【0032】
図5(a),(b)は、車両の左側から見た図である。スライドバー19が図4(a)に示す通常位置にあるとき、電動モータ17が正転〔図5(a)に示すように出力軸171が矢印Q1の方向に回転する方向〕すると、ピニオンギヤ18が車両の左側から見て右回りに回転し、スライドバー19が図4(a)に示す通常位置から矢印Q2で示すように車両の後方へ移動する。スライドバー19の後方への移動に伴い、ガイドピン37は、第1の溝361内を相対的にスライドし、ガイドピン38は、第2の溝362から第2の傾斜溝365を経由して第3の溝363へ移行する。ガイドピン38が第2の溝362から第2の傾斜溝365を経由して第3の溝363へ移行すると、レバー31が支軸32を中心にして矢印Q3の方向〔車両の左側から見て右回りの回転方向〕へ回動する。これにより、リンク33が支軸34を中心にして矢印Q4の方向〔車両の左側から見て左回りの回転方向〕へ回動し、拘束部331が図4(a)に示す拘束位置から図5(a)に示す解除位置へ移行する。従って、第2の支軸23が拘束部331の拘束から解放される。拘束部331の拘束から解放された第2の支軸23は、支持座251から上方へ離脱可能となる。
【0033】
スライドバー19がさらに後方へ移動すると、ラックギヤ192とセクターギヤ20とが噛合し、ラックギヤ192に噛合するセクターギヤ20が第1の支軸22を中心にして矢印Q5の方向〔車両の左側から見て左回りの回転方向〕へ回転する。拘束部331の拘束から解放されている第2の支軸23は、支持座251から上方へ離脱可能となっているため、アームレスト14が第1の支軸22を中心にして回転しながら図5(a)に示す第1の退き位置へ移動する。アームレスト14が図5(a)に示す第1の退き位置にあるときに電動モータ17が逆転〔矢印Q1とは逆の回転方向〕すると、ラックギヤ192に噛合するセクターギヤ20が第1の支軸22を中心にして逆転し、第2の支軸23が支持座251に復帰すると共に、拘束部331が図4(a)に示す拘束位置へ復帰する。
【0034】
スライドバー19が図4(a)に示す通常位置にあるとき、電動モータ17が逆転〔図5(b)に示すように出力軸171が矢印Q6の方向に回転する方向〕すると、ピニオンギヤ18が車両の左側から見て左回りに回転する。これにより、スライドバー19が図4に示す使用位置から矢印Q7で示すように車両の前方へ移動する。スライドバー19の前方への移動に伴い、ガイドピン38は、第2の溝362内を相対的に転動し、ガイドピン37は、第1の溝361から第1の傾斜溝364を経由して第3の溝363へ移行する。ガイドピン37が第1の溝361から第1の傾斜溝364を経由して第3の溝363へ移行すると、レバー26が支軸27を中心にして矢印Q8の方向〔車両の左側から見て左回りの回転方向〕へ回動する。これにより、リンク28が支軸29を中心にして矢印Q9の方向〔車両の左側から見て右回りの回転方向〕へ回動し、拘束部281が図4(a)に示す拘束位置から図5(b)に示す解除位置へ移行する。従って、第1の支軸22が拘束部281の拘束から解放される。拘束部281の拘束から解放された第1の支軸22は、支持座241から上方へ離脱可能となる。
【0035】
スライドバー19がさらに前方へ移動すると、ラックギヤ193とセクターギヤ21とが噛合し、ラックギヤ193に噛合するセクターギヤ21が第2の支軸23を中心にして矢印Q10の方向〔車両の左側から見て右回りの回転方向〕へ回転する。拘束部281の拘束から解放されている第1の支軸22は、支持座241から上方へ離脱可能となっているため、アームレスト14が第2の支軸23を中心にして回転しながら図5(b)に示す第2の退き位置へ移動する。アームレスト14が図5(b)に示す第2の退き位置にあるときに電動モータ17が正転すると、ラックギヤ193に噛合するセクターギヤ21が第2の支軸23を中心にして逆回転し、第1の支軸22が支持座241に復帰すると共に、拘束部281が図4(a)に示す拘束位置へ復帰する。
【0036】
図1(a)に示すように、サイドドア11に対応するシート39は、座部391と背もたれ部392とからなる。シート39は、車両の前後方向の位置を変更可能である。背もたれ部392内の芯材である金属製のフレーム393は、背もたれ部392の下端側から上端側に延びる一対の側枠394,395と、両側枠394,395の上端部を繋ぐ横枠396とを有する。
【0037】
座部391の前後方向の位置は、リミットスイッチ型の位置検出器44によって検出される。座部391が所定の位置より前側に有る場合には、位置検出器44は、ON信号を出力し、座部391が所定の位置より後側、及び所定の位置に有る場合には、位置検出器44は、ON信号を出力しない。位置検出器44から出力されたON信号は、制御コンピュータ43へ送られる。
【0038】
図3は、車両の右側から見た図である。図3に示すように、背もたれ部392にはサイドエアバッグ装置40が内蔵されている。サイドエアバッグ装置40は、ガス発生源としてのインフレータ401と、エアバッグ402と、インフレータ401及びエアバッグ402を収容するケース403とから構成されている。ケース403は、背もたれ部392を構成する側枠394に取り付けられている。インフレータ401が作動されると、インフレータ401から高圧ガスがエアバッグ402へ送られる。これにより、エアバッグ402がシート39に着座した乗員Mとサイドドア11との間で膨張展開する。エアバッグ402は、図1(b)及び図4(a)に示す使用位置にあるアームレスト14に対応するサイドドア11の内側部と、シート39に着座した乗員Mとの間で膨張展開する。エアバッグ402は、乗員Mの主として胸を車両の側部衝突から保護する。
【0039】
図1(a)に示す鎖線E1内の領域、及び図1(b)に示す鎖線E2内の領域は、膨張展開するエアバッグ402が存在する可能性があると見なされる展開領域である。以下においては、エアバッグ402の展開領域を展開領域(E1,E2)と記す。
【0040】
図1(a)に示すように、サイドドア11には横加速度検出器41及び側部衝突予測器42が設けられている。横加速度検出器41は、車両の側方からサイドドア11に加えられる衝撃(車両の側部衝撃)を横加速度(車両の車幅方向の加速度)として検出する。側部衝突予測器42は、超音波あるいは電波を発信し、車両の側方の物体から反射した超音波あるいは電波を受信する。
【0041】
横加速度検出器41によって検出された横加速度情報、及び側部衝突予測器42によって検出された受信情報は、制御コンピュータ43へ送られる。制御コンピュータ43は、横加速度検出器41から得られる横加速度情報に基づいて、サイドエアバッグ装置40の作動(エアバッグ402の膨張展開)を制御する。又、制御コンピュータ43は、側部衝突予測器42から得られる受信情報に基づいて、車両の側方の物体までの距離や、車両の側方の物体と車両との間における相対速度を算出し、この算出結果に基づいて電動モータ17の作動を制御する。
【0042】
図6は、制御コンピュータ43によって遂行される乗員保護制御プログラムを表すフローチャートである。以下、乗員保護制御をフローチャートに基づいて説明する。なお、通常時においては、アームレスト14は、図4(a)に示す使用位置にある。使用位置にあるアームレスト14の一部は、展開領域(E1,E2)内にある。
【0043】
制御コンピュータ43は、側部衝突予測器42から得られる受信情報を取り込む(ステップS1)。制御コンピュータ43は、取り込んだ受信情報に基づいて、車両の側方の物体までの距離や、車両の側方の物体と車両との間における相対速度を算出すると共に、この算出結果に基づいて側部衝突発生の可能性の有無を判断する(ステップS2)。側部衝突の可能性が無い場合(ステップS2においてNO)、制御コンピュータ43は、ステップS1へ移行する。
【0044】
側部衝突の可能性が有る場合(ステップS2においてYES)、制御コンピュータ43は、位置検出器44からのON信号の入力の有無に基づいて、シート39が前寄りにあるか否かを判断する。シート39が前寄りにない(後寄りにある)と判断された場合(ステップS3においてNO)、制御コンピュータ43は、電動モータ17を正転させる(ステップS4)。これにより、アームレスト14が図4(a)に示す使用位置から図5(a)に示す第1の退き位置へ移動する。第1の退き位置にあるアームレスト14は、展開領域(E1,E2)外にある。
【0045】
ステップS4の処理後、制御コンピュータ43は、横加速度検出器41から得られる横加速度情報を取り込む(ステップS5)。制御コンピュータ43は、取り込んだ横加速度情報に基づいて、側部衝突発生の有無を判断する(ステップS6)。側部衝突が発生したとの判断が行われた場合(ステップS6においてYES)、制御コンピュータ43は、サイドエアバッグ装置40を作動させる(ステップS7)。これにより、エアバッグ402が前方へ伸長しながら膨張展開する。アームレスト14は、使用位置から第1の退き位置へ退かせられており、エアバッグ402は、アームレスト14の使用位置に対応するドアトリム13A,13Bの部分と乗員Mとの間で膨張展開する。
【0046】
側部衝突が発生していないとの判断が行われた場合(ステップS6においてNO)、制御コンピュータ43は、側部衝突が発生していないとの判断が行われてから所定時間経過したか否かを判断する(ステップS8)。所定時間が経過していない場合(ステップS8においてNO)、制御コンピュータ43は、ステップS6へ移行する。所定時間が経過している場合(ステップS8においてYES)、制御コンピュータ43は、電動モータ17を逆転させる(ステップS9)。これにより、アームレスト14が図5(a)に示す第1の退き位置から図4(a)に示す使用位置へ復帰する。
【0047】
ステップS9の処理後、制御コンピュータ43は、ステップS1へ移行する。
ステップS3においてYESの場合(シート39が前寄りにあると判断された場合)、制御コンピュータ43は、電動モータ17を逆転させる(ステップS10)。これにより、アームレスト14が図4(a)に示す使用位置から図5(b)に示す第2の退き位置へ移動する。第2の退き位置にあるアームレスト14は、展開領域(E1,E2)外にある。
【0048】
ステップS10の処理後、制御コンピュータ43は、横加速度検出器41から得られる横加速度情報を取り込む(ステップS11)。制御コンピュータ43は、取り込んだ横加速度情報に基づいて、側部衝突発生の有無を判断する(ステップS12)。側部衝突が発生したとの判断が行われた場合(ステップS12においてYES)、制御コンピュータ43は、サイドエアバッグ装置40を作動させる(ステップS13)。これにより、エアバッグ402が前方へ伸長しながら膨張展開する。アームレスト14は、使用位置から第2の退き位置へ退かせられており、エアバッグ402は、アームレスト14の使用位置に対応するドアトリム13A,13Bの部分と乗員Mとの間で膨張展開する。
【0049】
側部衝突が発生していないとの判断が行われた場合(ステップS12においてNO)、制御コンピュータ43は、側部衝突が発生していないとの判断が行われてから所定時間経過したか否かを判断する(ステップS14)。所定時間が経過していない場合(ステップS14においてNO)、制御コンピュータ43は、ステップS12へ移行する。所定時間が経過している場合(ステップS14においてYES)、制御コンピュータ43は、電動モータ17を逆転させる(ステップS15)。これにより、アームレスト14が図5(b)に示す第2の退き位置から図4(a)に示す使用位置へ復帰する。
【0050】
ステップS15の処理後、制御コンピュータ43は、ステップS1へ移行する。
横加速度検出器41及び制御コンピュータ43は、車両における側部衝突を検出する側部衝突検出手段を構成する。側部衝突予測器42及び制御コンピュータ43は、車両における側部衝突を予測する側部衝突予測手段を構成する。電動モータ17、ピニオンギヤ18、スライドバー19及びセクターギヤ20,21は、乗員Mから遠ざけるように使用位置から退き位置へアームレスト14を退かせる回転手段(退かせ手段)を構成する。この回転手段(退かせ手段)は、その作動後にその作動前の初期状態に復帰可能な可逆装置である。位置検出器44、制御コンピュータ43、電動モータ17及びスライドバー19は、第1の支軸22と第2の支軸23とのいずれか一方を選択して回転させる回転位置選択手段を構成する。ガイド溝36、レバー26,31,リンク28,33及び拘束部281,331は、アームレスト14が使用位置にあるときには、第1の支軸22及び第2の支軸23を支持座241,251という拘束位置に拘束する拘束手段を構成する。
【0051】
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)側部衝突発生の可能性があるとの予測が行われたときには、アームレスト14が電動モータ17の作動によって使用位置から退き位置へ退かせられる。退き位置にあるアームレスト14は、エアバッグ402の展開領域(E1,E2)外にあり、側部衝突発生の可能性有りという予測の判断がなされた後には、エアバッグ402の展開領域(E1,E2)内にはアームレスト14の占有部分は無い。従って、シート39に着座した乗員Mとサイドドア11(車両の側部)との間でエアバッグを迅速且つ確実に展開する空間が確保される。
【0052】
(2)制御コンピュータ43が側部衝突発生の可能性有りとの予測の判断を行なったにも関わらず、側部衝突が発生しなかった場合には、電動モータ17が作動されてアームレスト14が退き位置から使用位置へ復帰される。つまり、側部衝突が起きない限り、側部衝突発生の可能性有りとの予測毎に、電動モータ17によってアームレスト14を使用位置から退き位置へ移動させることができる。
【0053】
(3)シート39が前寄りにあるときには、アームレスト14を使用位置から後方の第2の退き位置へ移動させるのが好ましく、シート39が後寄りにあるときには、アームレスト14を使用位置から前方の第2の退き位置へ移動させるのが好ましい。シート39が前寄りにあるときには、第2の支軸23が回転されてアームレスト14が使用位置から後方の第2の退き位置へ移動され、シート39が後寄りにあるときには、第1の支軸22が回転されてアームレスト14が使用位置から前方の第1の退き位置へ移動される。第1の支軸22と第2の支軸23とのいずれか一方を選択してアームレスト14を回転させる構成は、前後方向におけるシート39の位置に応じたアームレスト14の適切な退き位置の選択を可能にする。
【0054】
次に、図7(a),(b)の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。図7(a)は、車両の上から見た図であり、図7(b)は、車両の左側から見た図である。
【0055】
図7(a)に示すように、アームレスト14Cは、骨格部45と共にセンターピラーPを構成するピラーガーニッシュ46に設けられている。骨格部45の内側壁451とピラーガーニッシュ46の内側壁461との間の空間部にはセクターギヤ47が配設されている。セクターギヤ47に止着された支軸471は、骨格部45の内側壁451とピラーガーニッシュ46の内側壁461とに回転可能に支持されている。支軸471は、アームレスト14Cの後端部に止着されている。
【0056】
骨格部45の内側壁451の内側には電動モータ48が装着されている。電動モータ48の出力軸481は、内側壁451を貫通して、内側壁451と内側壁461との間の空間部に突出しており、この出力軸481の突出端部にはピニオンギヤ49が止着されている。ピニオンギヤ49は、セクターギヤ47に噛合されている。
【0057】
電動モータ48の回転は、ピニオンギヤ49、セクターギヤ47、支軸471及びピニオンギヤ49を介してアームレスト14Cに伝えられる。アームレスト14Cが図7(b)に実線で示す使用位置にあるときに電動モータ48が正転〔図7(b)に示すように出力軸481が矢印Q11の方向へ回転する方向〕すると、ピニオンギヤ49が車両の左側から見て左回りに回転し、セクターギヤ47が車両の左側から見て右回りに回転する。これにより、アームレスト14Cが支軸471を中心にして車両の左側から見て右回りに回転しながら使用位置から図7(b)に鎖線で示す退き位置に向けて移動する。アームレスト14Cが図7(b)の退き位置にあるときに電動モータ48が逆転〔矢印Q11とは逆の回転方向〕すると、アームレスト14Cが支軸471を中心にして回転しながら退き位置から使用位置に向けて移動する。
【0058】
図7(a)に示すように、サイドドア11には開閉検出器50が設けられている。開閉検出器50は、サイドドア11の開閉状態を検出する。開閉検出器50によって検出された開閉情報は、制御コンピュータ43へ送られる。開閉検出器50がサイドドア11の閉状態を検出すると、制御コンピュータ43は、アームレスト14Cが使用位置にあるように、電動モータ48を制御する。開閉検出器50がサイドドア11の開状態を検出すると、制御コンピュータ43は、アームレスト14Cが退き位置にあるように、電動モータ48を制御する。つまり、開閉検出器50がサイドドア11の閉状態から開状態への移行を検出すると、制御コンピュータ43は、電動モータ48を正転させ、アームレスト14Cが使用位置から退き位置へ移動される。開閉検出器50がサイドドア11の開状態から閉状態への移行を検出すると、制御コンピュータ43は、電動モータ48を逆転させ、アームレスト14Cが退き位置から使用位置へ移動する。
【0059】
制御コンピュータ43、開閉検出器50及び電動モータ48は、サイドドア11の開閉に連動するようにアームレスト14Cを使用位置と退き位置とに切り換え配置する連動制御手段を構成する。
【0060】
又、制御コンピュータ43が側部衝突発生の可能性有りという予測を行なうと、電動モータ48が正転され、アームレスト14Cが図7(a)に示す使用位置から図7(b)に示す退き位置へ移動される。電動モータ48が逆転されると、退き位置にあるアームレスト14Cが使用位置へ復帰する。
【0061】
アームレスト14Cが退き位置にあるときには、エアバッグ402の展開領域内にあるアームレスト14Cの占有割合が低減する。従って、シート39に着座した乗員Mとサイドドア11(車両の側部)との間でエアバッグ402を迅速且つ確実に展開する空間が確保される。又、アームレスト14Cの退き位置は、車両側部の一部であるセンターピラーPに対応する位置という乗り降りする際の妨げにならない場所に設定されているため、乗員は、アームレスト14Cに妨げられることなく容易に乗り降りできる。
【0062】
次に、図8(a),(b),(c)の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。図8(a),(b)は、車両の右側から見た図であり、図8(c)は、車両の上から見た図である。
【0063】
図8(a)に示すように、背もたれ部392内のフレーム393を構成する側枠394にはアームレスト14Dが支軸52を介して回転可能に支持されている。支軸52は、アームレスト14Dの後端部に止着されている。支軸52は、サイドエアバッグ装置40のケース403の後側にある。図8(c)に示すように、支軸52の内端部には傘歯車53が止着されている。
【0064】
図8(b)に示すように、側枠394には電動モータ51が装着されており、電動モータ51の出力軸511には傘歯車54が止着されている。傘歯車54は、傘歯車53に噛合されている。電動モータ51の回転は、傘歯車54,53及び支軸52を介してアームレスト14Dに伝えられる。
【0065】
制御コンピュータ43が側部衝突発生の可能性有りという予測を行なうと、電動モータ51が正転〔図8(c)に示すように出力軸511が矢印Q12の方向に回転する方向〕され、傘歯車54が車両の上から見て左回りに回転される。これにより、傘歯車53が車両の右側から見て左回りに回転し、アームレスト14Dが支軸52を中心にして車両の右側から見て左回りに回転する。つまり、アームレスト14Dは、乗員Mから遠ざかるように図8(a)に実線で示す使用位置から鎖線で示す退き位置へ移動される。電動モータ51が逆転〔矢印Q12とは逆の回転方向〕されると、退き位置にあるアームレスト14Dが使用位置へ復帰する。
【0066】
使用位置にあるアームレスト14Dの大部分は、サイドエアバッグ装置40のエアバッグ402の展開領域内にあるが、退き位置にあるアームレスト14Dは、エアバッグ402の展開領域外にある。従って、シート39に着座した乗員Mとサイドドア11(車両の側部)との間でエアバッグ402を迅速且つ確実に展開する空間が確保される。
【0067】
本発明では以下のような実施形態も可能である。
(1)使用位置にあるアームレストを回転させて下方へ移動させるようにしてもよい。
(2)第1の実施形態において、回転式の電動モータの代わりに、リニアアクチュエータ(例えばリニアモータ、流体圧シリンダ等)を用いてスライドバー19を前後に動かすようにしてもよい。
【0068】
(3)エアバッグは、アームレストの移動領域を考慮した上で、乗員の胸の保護のみならず、乗員の肩、腹、腰あるいは頭部の中から保護する部位を任意に選択して胸と共に側部衝突から保護するものであってもよい。
【0069】
前記した実施形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
〔1〕前記エアバッグの展開領域は、アームレストの使用位置に重なるように設定されている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の乗員保護装置。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1の実施形態を示し、(a)は正断面図。(b)は、平断面図。
【図2】部分拡大正断面図。
【図3】サイドエアバッグ装置を示す側面図。
【図4】(a)は、図2のA−A線断面図。(b)は、図2のB−B線断面図。
【図5】(a)は、アームレストを第1の退き位置に配置した状態を示す断面図。(b)は、アームレストを第2の退き位置に配置した状態を示す断面図。
【図6】乗員保護制御プログラムを表すフローチャート。
【図7】第2の実施形態を示し、(a)は部分平断面図。(b)は、側面図。
【図8】第3の実施形態を示し、(a)は、側面図。(b)は、部分拡大側断面図。(c)は、部分拡大平断面図。
【符号の説明】
【0071】
11…車両側部としてのサイドドア。14,14C,14D…アームレスト。17,48…退かせ手段及び回転手段を構成する電動モータ。19…回転位置選択手段を構成するスライドバー。22…第1の支軸。23…第2の支軸。26,31…拘束手段を構成するレバー。28,33…拘束手段を構成するリンク。281,331…拘束手段を構成する拘束部。36…拘束手段を構成するガイド溝。39…シート。40…サイドエアバッグ装置。401…ガス発生源としてのインフレータ。402…エアバッグ。42…制御コンピュータ43と共に側部衝突予測手段を構成する側部衝突予測器。44…回転位置選択手段を構成する位置検出器。471,52…支軸。50…制御コンピュータ43と共に連動制御手段を構成する開閉検出器。51…制御コンピュータ43と共に連動制御手段を構成する電動モータ。P…センターピラー。E1,E2…展開領域。M…乗員。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生源から発生するガスにより膨張して展開されるエアバッグを有するエアバッグ装置と、車両における側部衝突を予測する側部衝突予測手段とが備えられており、前記エアバッグは、車両側部と車両のシートに着座した乗員との間で膨張する車両における乗員保護装置において、
前記シートに着座した乗員と前記車両側部との間に設けられたアームレストと、
前記エアバッグの展開領域内にある前記アームレストの占有部分が低減するように、前記アームレストの使用位置から前記アームレストを回転させて退かせる退かせ手段とを備え、
前記側部衝突予測手段が側部衝突を予測したときには、前記退かせ手段は、前記アームレストを前記使用位置から退かせることを特徴とする車両における乗員保護装置。
【請求項2】
前記退かせ手段は、前記使用位置から前記エアバッグの展開領域外へ前記アームレストを退かせることを特徴とする請求項1に記載の車両における乗員保護装置。
【請求項3】
前記退かせ手段は、前記アームレストを回転させて上方へ移動させることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の車両における乗員保護装置。
【請求項4】
前記アームレストは、前記シート、若しくは前記車両側部の一部であるセンターピラーのいずれか一方に設けられており、前記退かせ手段は、車両のサイドドアの開閉に連動するように前記アームレストを使用位置と退き位置とに切り換え配置する連動制御手段であり、前記連動制御手段は、前記サイドドアの開状態から閉状態への移行に応じて前記アームレストを退き位置から使用位置へ切り換え配置すると共に、前記サイドドアの閉状態から開状態への移行に応じて前記アームレストを使用位置から退き位置へ切り換え配置し、前記側部衝突予測手段が側部衝突を予測したときには、前記連動制御手段は、前記アームレストを使用位置から退き位置へ切り換え配置することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両における乗員保護装置。
【請求項5】
前記退き位置は、前記センターピラーに対応する位置であることを特徴とする請求項4に記載の車両における乗員保護装置。
【請求項6】
前記退かせ手段は、前記アームレストに止着された支軸を有すると共に、前記支軸を回転させる回転手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両における乗員保護装置。
【請求項7】
前記退かせ手段は、前記アームレストの前端側で前記アームレストを支持する第1の支軸と、前記アームレストの後端側で前記アームレストを支持する第2の支軸と、前記アームレストが使用位置にあるときには、前記第1,2の支軸を拘束位置に拘束する拘束手段と、前記第1の支軸と前記第2の支軸とのいずれか一方を選択して回転させる回転位置選択手段とを備え、前記第1の支軸及び第2の支軸は、アームレストに止着されており、前記回転位置選択手段は、前記第1の支軸を回転させるときには、前記拘束手段による前記第2の支軸の拘束状態を解除し、前記回転位置選択手段は、前記第2の支軸を回転させるときには、前記拘束手段による前記第1の支軸の拘束状態を解除することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両における乗員保護装置。
【請求項8】
前記退かせ手段は、その作動後にその作動前の初期状態に復帰可能な可逆装置であり、前記退かせ手段がその作動後にその作動前の初期状態に復帰したときには、前記アームレストは、使用位置に復帰することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の車両における乗員保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−253672(P2007−253672A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78088(P2006−78088)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】