説明

乾燥装置

【課題】安全で高効率な乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥対象物を投入するホッパ11と、上記ホッパ11から乾燥対象物を送り出す投入スクリュウ13を備えた搬送部12と、搬送部12から到来する乾燥対象物を移動させるスクリュウ22Bを内部に備え、円筒体の中心軸を軸として回転する内筒体21と、内筒体21の外側に設けられ、内部において内筒体21を回転させる外筒体31と、内筒体21と外筒体31の間に設けられ、内筒体21と外筒体31の間の空間を螺旋状に複数条に区画するスクリュウ羽根33A〜33Cと、搬送部12におけるスクリュウに対し、乾燥対象物の搬送先端部から不燃ガスを供給する不燃ガス供給手段と、区画された空間へ熱気を送るバーナ34A〜34Cとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、産業廃棄物を高効率で乾燥もしくは炭化させる乾燥装置(もしくは炭化装置)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置にあっては、対象物の乾燥に伴って生じる乾留ガスを燃焼させて脱臭するなどの手法が採られている。しかしながら、乾留ガスを単に燃焼させることは省エネルギーの観点から問題である。
【0003】
上記に対し、特許文献1に示されている乾燥装置においては、乾留ガスを燃料として利用しており、また、熱風を螺旋状に進行させるためのフィンが設けられるなど、高効率化を目的とした構成が採用されている。
【特許文献1】特願2002−192107号公報(0018欄、0025欄など)
【0004】
しかしながら、上記の乾燥装置にあっては、熱風を供給する熱源である一次燃焼炉が乾燥処理の位置から遠く、効率的でない。これに対し、燃焼炉を乾燥対象物に近接させて設ける場合には、外気などからの酸素が流入することによる乾燥工程における爆発などの危険性があり、総合的に安全で高効率な乾燥装置の実現が望まれているのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、現状の乾燥装置においては燃焼炉で発生された熱の有効利用が不十分である点にあり、また、従来以上に高熱により乾燥した場合の安全対策が不十分である点である。本発明は、このような課題を解決して、総合的に安全で高効率な乾燥装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る乾燥装置は、乾燥対象物を投入するホッパと、前記ホッパから乾燥対象物を送り出すスクリュウを備えた搬送部と、前記搬送部から到来する乾燥対象物を移動させるスクリュウを内部に備え、円筒体の中心軸を軸として回転する内筒体と、前記内筒体の外側に設けられ、内部において前記内筒体を回転させる外筒体と、前記内筒体と前記外筒体の間に設けられ、前記内筒体と前記外筒体の間の空間を螺旋状に複数条に区画するスクリュウ羽根と、前記搬送部におけるスクリュウに対し、乾燥対象物の搬送先端部から不燃ガスを供給する不燃ガス供給手段と、前記区画された空間へ熱気を送るバーナとを具備することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る乾燥装置では、前記スクリュウ羽根は前記外筒体の内壁に固定されており、バーナは区画された空間毎に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る乾燥装置では、前記スクリュウ羽根は前記内筒体の外壁に固定されており、バーナは、前記外筒体の外側に設けられた燃焼室に設けられ、燃焼室から前記外筒体の一部に設けられた開口から熱気を送ることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る乾燥装置は、前記内筒体における酸素濃度を検出する酸素濃度センサと、前記酸素濃度センサにより得られる酸素濃度に基づいて不燃ガス供給手段による不燃ガス供給量を調整する不燃ガス供給調整手段を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る乾燥装置は、前記外筒体と前記内筒体との間における温度を検出する温度センサと、該温度センサにより検出される温度に基づいてバーナに供給する燃料供給量を調整する燃料供給量調整手段を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る乾燥装置は、前記内筒体において発生する乾留ガスを前記バーナに供給する経路を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る乾燥装置は、乾燥対象物を移動させるスクリュウを内部に備え、円筒体の中心軸を軸として回転する内筒体と、上記内筒体の外側に設けられ、内部において上記内筒体を回転させる外筒体と、上記内筒体と上記外筒体の間に設けられ、上記内筒体と上記外筒体の間の空間を螺旋状に複数条に区画するスクリュウ羽根と、上記外筒体における複数条のスクリュウが区画する空間へ熱気を送るバーナとを備えることにより、内筒体中をスクリュウにより移動する乾燥対象物に対し、上記外筒体と上記内筒体との間を複数条の螺旋状に区画する空間にバーナによる熱放射がなされ、間接的に近接した位置から熱供給を行い、複数条の螺旋状に区画された空間に熱を滞留させることができ効率的である。しかも、乾燥対象物の搬送先端側から不燃ガスを供給する構成を採用しており、乾燥対象物などからの酸素発生によっても乾燥工程における酸素濃度の制限を図り爆発などの危険性を回避でき、総合的に安全で高効率化を達成できる効果がある。
【0013】
また、請求項2における乾燥装置では、スクリュウ羽根は外筒体の内壁に固定されており、バーナは区画された空間毎に設けられているので、区画された空間毎に熱をコントロールして滞留させることができ効率的である。
【0014】
また、請求項3における乾燥装置では、スクリュウ羽根は前記内筒体の外壁に固定されており、バーナは、外筒体の外側に設けられた燃焼室に設けられ、燃焼室から前記外筒体の一部に設けられた開口から熱気を送るので、区画された空間を一体として熱コントロール、個々に区画された全区画の空間へ熱気を送って効率良く乾燥を行うことが可能となる効果がある。
【0015】
また、請求項4における乾燥装置では、酸素濃度に基づいて不燃ガス供給手段による不燃ガス供給量を調整するので、乾燥対象物などからの酸素発生によっても乾燥工程における酸素濃度の制御を行うことで爆発などの危険性を回避できる効果がある。
【0016】
また、請求項5における乾燥装置では、検出される温度に基づいてバーナに供給する燃料供給量を調整するので、熱量制御が可能であり、乾燥装置としての必要十分な乾燥を行うことが可能となる。
【0017】
また、請求項6における乾燥装置では、発生する乾留ガスをバーナに供給する経路を具備するので、発生した乾留ガスを有効利用できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る乾燥装置は、内筒体中をスクリュウにより移動する乾燥対象物に対し、この内筒体の外側に設けられた上記内筒体との空間を複数条の螺旋状に区画する空間にバーナによる熱放射を行う構成を採用し、間接的にではあるが近接した位置から熱供給を行う構成となっており、複数条の螺旋状に区画する空間に熱を滞留させ、効率的な乾燥を実現したものである。しかも、乾燥対象物の搬送先端側から不燃ガスを供給する構成を採用し、乾燥対象物などからの酸素発生によっても乾燥工程における酸素濃度の制限を図り、総合的に安全で高効率化を達成したものである。
【実施例1】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明に係る乾燥装置の実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、本発明に係る乾燥装置の実施例の構成図が示されている。この図1では、図2〜図4に示すモータによる各部の駆動機構が省略されている。本実施例に係る乾燥装置は、乾燥対象物を投入するホッパ11を備え、ホーン状に下方へ進むほど細径に絞られたホッパ11の底部には、上部から乾燥対象物を受け入れる筒状の搬送部12が設けられている。
【0020】
搬送部12内には、投入スクリュウ13が設けられている。投入スクリュウ13は搬送部12の両端部にて軸支され、図1の左側面図である図2に示すように、モータ14の回転をベルト(又はチェーン)15を介して受けて回転し、乾燥対象物を図1の右方向へ移動させる。搬送部12の一端側は、内筒体21の入口側に挿入されており、この搬送部12の一端側に設けられた排出口16A、16Bから乾燥対象物が内筒体21内に投下される。
【0021】
搬送部12の他端側には、ロータリーバルブ17を介して導入管18が接続されている。導入管18からロータリーバルブ17には公知の窒素発生装置により生成され加湿された不燃性ガスである窒素ガスが所要ガス圧にて搬送部12へ供給される。これにより、搬送部12の乾燥対象物は排出口16A、16B側へ向けてガス圧により押し出されることになる。
【0022】
内筒体21は、例えば鉄製であり、内壁にスクリュウ22A、22Bを備える。内壁にスクリュウ22Aは、搬送部12の排出口16A、16B付近に設けられているもので、急傾斜に設けられ、乾燥対象物をスクリュウ22B方向へ移動させる機能を有している。内筒体21の外部には、内筒体21と同心状に外筒体31が設けられ、内筒体21の外周に外筒体31によって覆われた空間が形成されている。スクリュウ22Bは、内筒体21が外筒体31によって覆われた一端から形成され、内筒体21の終端部21E付近まで設けられており、スクリュウ22Aに比べて緩い傾斜を有している。
【0023】
スクリュウ22Bを形成するフィンは複数条形成されており、各条は連続するものではなく、隣り合うフィンとは異なる長さの位置において途切れている。即ち、内筒体21の回転に伴いスクリュウ22Bにおける或る一条のフィンによって乾燥対象物が内筒体21の上部側へ掻き上げられながら移動して当該フィンの途切れ部から下側の別フィンへ落下し、以下同様に途切れ部までの搬送と別の一条のフィンへの落下が繰り返され、湿度コントロールによって水分を除去し乾燥対象物を炭化するに至る十分な機能を兼ね備え、乾燥対象物の搬送時間が長くされ、水分の含有が当初の半分(50%)から三分の一(30%)程度の乾燥状態となるために必要十分な時間がとられて終端部21E付近へと到るように構成されている。
【0024】
内筒体21における長手方向両端部付近には、内筒体21を、それ自体の中心軸を軸として回転させる駆動機構25A、25Bが備えられている。駆動機構25A、25Bの一方は駆動源により内筒体21を回転させ、駆動機構25A、25Bの他方は軸受けの作用をなす。例えば、図3に示すように、駆動機構25Aは、モータ26と歯車27A、27Bと滑車28とベルト(又はチェーン)29A〜29Cとにより構成されており、モータ26の回転が滑車28とベルト(又はチェーン)29A〜29Cにより歯車27A、27Bに伝達され、歯車27A、27Bが同方向へ回転されて内筒体21の外周部に設けられている歯車24と噛み合って内筒体21を回転する。駆動機構25Bは軸受けであり、内筒体21の回転に寄与する。勿論、駆動機構25A、25B共に駆動源を有して、内筒体21を両端部において回転させる構成を採用することもできる。
【0025】
外筒体31は、例えば鉄製であり、前述の通り、内部において内筒体21を回転させると共に、内壁にセラミック材により構成される断熱材32を保持している。外筒体31の内壁には、複数条(この実施例では、三条)のスクリュウ羽根33A〜33Cを備え、この三条のスクリュウ羽根33A〜33Cにより内筒体21との空間を三条の螺旋状に区画している。この三条の螺旋状に区画された各空間には、それぞれ重油バーナであるバーナ34A〜34Cが設けられている。
【0026】
上記バーナ34A〜34Cに対しては、外筒体31に形成されたガス供給口35A〜35Cから燃料供給がなされるように結合されている。上記ガス供給口35A〜35Cに対しては、燃料管36Aを介して燃料供給が行われ、また、耐熱ファン35には空気管36Bを介して空気供給が行われている。空気も燃料管36Aを介してバーナ34A〜34Cに送られて燃料と混合されて着火燃焼させられる。本実施例では、燃料としては重油を用いたが、これに限定されることなく、アルコールや灯油、軽油などを用いることも可能である。
【0027】
燃料管36Aには、乾留ガス管36Cを介して内筒体21における終端部21Eから乾燥対象物より発生した乾留ガスが送られるように構成されており、この乾留ガスは、重油による燃料ガスと混合した状態にてバーナ34A〜34Cに送られて燃料として消費されるため、燃費の低減を図ることができる。
【0028】
バーナ34A〜34Cにおける燃料の燃焼による熱は、三条のスクリュウ羽根33A〜33Cにより三条の螺旋状に区画された空間をそれぞれ独立して進行して、螺旋状に内筒体21の外周を移動し、燃焼ガス排出管37A、37Bを介して煙突38からサイクロン39を介して排出される。
【0029】
内筒体21における終端部21Eの底部側には乾燥処理された乾燥対象物を排出する排出口41が形成され、排出口41の下部には図4に示されるように外筒体31の外円に接する方向に軸を有し、回転により乾燥処理された乾燥対象物を掻き出すスクリュウ42が設けられており、モータ43の回転をベルト(又はチェーン)44を介して受けて回転する構成となっている。スクリュウ42の下部には、吐出口45が設けられており、乾燥処理された乾燥対象物は吐出口45を介してスタッカなどの処理済物回収部へ吐出されることになる。
【0030】
本実施例に係る乾燥装置にあっては、P1〜P4の位置において図5に示すシール構造を採用しているので、これを説明する。図5は、位置P3における構造を示している。回転する内筒体21の外周部に羽根リング51を周回させて設け、外筒体31側からは羽根リング51を覆うようにシール板52を延設する。シール板52は、図5の右側を底部とした有底円筒体において、底部に内筒体21が非接触にて通過する程度の径を有する穴が形成された如くの構成となっている。シール板52の内壁には、セラミック耐熱材53が設けられている。
【0031】
シール板52の外側において、回転する内筒体21の外周部には羽根リング51より短径の羽根リング54を周回させて設け、シール板52からは、内筒体21の軸方向へ延び、羽根リング54を覆うようにシール板55を延設する。シール板55は二段で径が絞られ、内壁にセラミック耐熱材56が設けられている。シール板55についても、図5の右側を底部とした有底円筒体において、底部に内筒体21が非接触にて通過する程度の径を有する穴が形成されたものとなっている。このような所謂ラビリンスシール構造を採用することにより、内筒体21とは非接触であり摩擦がなく、燃焼ガスや乾留ガスのリークを適切に防止している。
【0032】
三条の螺旋状に区画された空間に対して、例えば、図1のQ1〜Q3の位置に各条の空間毎の温度を検出する温度センサ71−1〜71−3(図6)を設ける。これら温度センサ71−1〜71−3により検出される温度に基づいてバーナに供給する燃料供給量を調整する燃料供給量調整手段を具備する。また、内筒体21の終端部21E付近に内筒体21内の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ72を設ける。この酸素濃度センサ72により得られる酸素濃度に基づいて不燃ガス供給手段による不燃ガス供給量を調整する不燃ガス供給調整手段を具備する。
【0033】
図6には、燃料供給量調整手段61と不燃ガス供給制御手段62とを備えるコントローラ60を備えた本実施例に係る乾燥装置の構成図が示されている。温度センサ71−1〜71−3の出力及び酸素濃度センサ72の出力はコントローラ60へ与えられている。コンロトラー60は、燃料管36Aからバーナ34A〜34Cに到るそれぞれの経路に設けられたバルブ63−1〜63−3を、温度センサ71−1〜71−3の出力(温度情報)に基づき図7に示すフローチャートに示すように制御し、燃料タンク66から供給される燃料供給量調整手段61として動作するので、これを説明する。
【0034】
図7に示すフローチャートの動作は、温度センサ71−1〜71−3それぞれの出力毎に、バルブ63−1〜63−3中の対応するバルブを制御する動作を示したものである。ここでは、温度センサ71−1の出力に対し、バルブ63−1を制御する動作を説明する。温度センサ71−1から温度を得て(S11)、目標値(例えば350度C)と比較し(S12)、目標値に対してそれ以上か以下か或いは等しいかを検出する(S13)。ここで、等しい場合には、何等制御を行うことなくステップS11へ戻る。
【0035】
上記に対し、目標値に対してそれ以上であれば、バルブ63−1について予め定められた所定開度の閉成を行い(S14)ステップS11へ戻る。これに対し、ステップS13における結果が目標値に対してそれ以下であれば、バルブ63−1を予め定められた所定開度の開放を行い(S15)ステップS11へ戻る。このような制御を繰り返し、目標温度に該当区画空間の温度を保持する。
【0036】
コントローラ60は、酸素濃度センサ72の出力に基づき、図8に示すフローチャートの動作を行って、不燃ガス供給制御手段62として機能する。この場合、導入管18に設けられているロータリーバルブ17を制御して不燃性ガス源65から供給される不燃ガス量の調整を行うと共に、乾留ガス管36Cと燃料管36Aの結合部に設けられているバルブ68の切り換えを制御する。バルブ68は乾留ガスを燃料管36Aへ通過させるか、排気管67を介して乾留ガスを煙突38側へ送るかの切り換えを行うものである。以下、図8に示すフローチャートに基づき動作の説明を行う。酸素濃度センサ72から酸素濃度を得て(S21)、目標値(例えば容積%で5%)と比較し(S22)、目標値に対してそれ以上か以下か或いは等しいかを検出する(S23)。ここで、等しい場合には、何等制御を行うことなくステップS21へ戻る。
【0037】
上記に対し、目標値に対してそれ以下であれば、ロータリーバルブ17について予め定められた所定開度の閉成を行いうと共にバルブ68を切り換えて乾留ガスを燃料管36A側へ送り(S24)ステップS21へ戻る。また、目標値に対してそれ以下であれば、ロータリーバルブ17について予め定められた所定開度の開放を行うと共にバルブ68を切り換えて乾留ガスを煙突38側へ送り(S25)ステップS21へ戻る。このような制御を繰り返し、内筒体21内の酸素濃度をコントロールし、不用意な事故などを防止すると共に不燃ガスを用いた乾燥対象物の送り出しを行うことでエネルギーの有効活用を図っている。
【実施例2】
【0038】
図9には、第2の実施例に係る乾燥装置の構成図が示されている。この実施例にあっては、外筒体31の外側であって搬送部12側には燃焼室80が設けられている。この燃焼室80は、開口81を介して三条のスクリュウ羽根33A〜33Cにより三条に区画された空間と連通している。三条のスクリュウ羽根33A〜33Cは、外筒体31ではなく、内筒体21の外壁に固定されている。
【0039】
燃焼室80には、バーナ34A〜34Cが設けられ、この内の1つのバーナであるバーナ34Aは常に燃焼状態にあると共に、乾留ガスが当該バーナ34Aに送られている。燃焼室80において燃焼により発生した熱気は、外筒体の一部に設けられた開口を介して三条のスクリュウ羽根33A〜33Cにより三条に区画された空間へと送られる。乾留ガスが当該バーナ34Aに送られ三条に区画された空間へと送られることから乾留ガスに含まれる熱及び不燃ガスが上記区画された空間に対して気体を押圧する作用を有し、熱気が空間内を内筒体21の終端部21Eまでスムーズに移動して行く動作を補助する。また、このような熱気の移動を補助するため、三条のスクリュウ羽根33A〜33Cに、図10に示されるように無数の小孔82を穿設しても良い。また、一つの温度センサ71は燃焼室80に設けられている。
【0040】
その他の構成は、第1の実施例のものと概ね同様であり、図6に示す構成に代えて図11に示す構成が採用される。燃焼室80に設けられた温度センサ71を用いて、図8のフローチャートにおいて、ステップS24、S25では、乾留ガスについての制御を行うことなくバーナ34Aに送られる。
【0041】
また、図7のフローチャートの制御に代えて、通常はバーナ34Aのみにより燃焼を行っており、十分な温度が得られなければ、第2のバーナ34Bについても燃焼を行い、これでも十分な温度が得られなければ、第3のバーナ34Cについても燃焼を行う制御が行われる。また、温度が高くなると第3のバーナ34Cについて燃焼を停止し、次に第2のバーナ34Bの燃焼を停止させ、バーナ34Aのみにより燃焼を行っても温度が高ければバルブ63−1を絞ってガス供給量を低減して温度を低下させるものとする。
【0042】
この実施例では、三条のスクリュウ羽根33A〜33C毎にバーナを設けることなく、各条の空間の温度を適切にコントロールし、温度の高い乾留ガスの熱を利用して乾燥を行うと共に気体を押し出す効果を得ることができる、また、三条のスクリュウ羽根33A〜33Cを第1の実施例の如く外筒体31の内壁に固定する作業よりも、内筒体21の外周に固定する作業が容易であり、乾燥装置の製作が容易となる。更に、第1の実施例及び第2の実施例において、不燃ガスとして例えば焼却炉などの別施設から排出される排ガスを用いることができる。このように構成すると、排ガスは熱せられたものであり、温度の高い(例えば200℃程度)の不燃ガスを供給したことになり、当該乾燥装置において乾燥に利用でき、乾燥装置の燃費の抑制を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る乾燥装置の第1の実施例を示す構成図。
【図2】図1に示された本発明に係る乾燥装置の左側面図。
【図3】図1に示された本発明に係る乾燥装置の内筒体を回転させる機構を示す図。
【図4】図1に示された本発明に係る乾燥装置の右側面図。
【図5】図1に示された本発明に係る乾燥装置に採用されるシール構造を示す図。
【図6】第1の実施例に係る乾燥装置の燃料供給及び不燃ガス供給の調整機構を示す構成図。
【図7】本実施例に係る乾燥装置の燃料供給の調整制御を示すフローチャート。
【図8】本実施例に係る乾燥装置の不燃ガス供給の調整制御を示すフローチャート。
【図9】本発明に係る乾燥装置の第2の実施例を示す構成図。
【図10】本発明に係る乾燥装置の第2の実施例に用いられるスクリュウ羽根を示す斜視図。
【図11】第2の実施例に係る乾燥装置の燃料供給及び不燃ガス供給の調整機構を示す構成図。
【符号の説明】
【0044】
11 ホッパ
12 搬送部
13 投入スクリュウ
16A、16B 排出口
17 ロータリーバルブ
18 導入管
21 内筒体
22A、22B スクリュウ
31 外筒体
32 断熱材
33A〜33C スクリュウ羽根
34A〜34C バーナ
35A〜35C ガス供給口
36A 燃料管
36B 空気管
乾留ガス管36C 乾留ガス管
37A、37B 燃焼ガス排出管
38 煙突
39 サイクロン
41 排出口
42 スクリュウ
45 吐出口
80 燃焼室
81 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物を投入するホッパと、
前記ホッパから乾燥対象物を送り出すスクリュウを備えた搬送部と、
前記搬送部から到来する乾燥対象物を移動させるスクリュウを内部に備え、円筒体の中心軸を軸として回転する内筒体と、
前記内筒体の外側に設けられ、内部において前記内筒体を回転させる外筒体と、
前記内筒体と前記外筒体の間に設けられ、前記内筒体と前記外筒体の間の空間を螺旋状に複数条に区画するスクリュウ羽根と、
前記搬送部におけるスクリュウに対し、乾燥対象物の搬送先端部から不燃ガスを供給する不燃ガス供給手段と、
前記区画された空間へ熱気を送るバーナと
を具備することを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記スクリュウ羽根は前記外筒体の内壁に固定されており、
バーナは区画された空間毎に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記スクリュウ羽根は前記内筒体の外壁に固定されており、
バーナは、前記外筒体の外側に設けられた燃焼室に設けられ、
燃焼室から前記外筒体の一部に設けられた開口から熱気を送ることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記内筒体における酸素濃度を検出する酸素濃度センサと、
前記酸素濃度センサにより得られる酸素濃度に基づいて不燃ガス供給手段による不燃ガス供給量を調整する不燃ガス供給調整手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記外筒体と前記内筒体との間における温度を検出する温度センサと、
該温度センサにより検出される温度に基づいてバーナに供給する燃料供給量を調整する燃料供給量調整手段を具備することを特徴とする請求項1乃至4に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記内筒体において発生する乾留ガスを前記バーナに供給する経路を具備することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−333369(P2007−333369A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212213(P2006−212213)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(302040227)
【Fターム(参考)】