説明

乾燥装置

【課題】室内を乾燥させるのに使用される乾燥装置において、換気扇だけでは乾燥に時間がかかり、加熱装置を用いると消費電力が大きいという課題を有していたため、単純な排気より乾燥が速く、加熱装置を使用していないので省エネとなる乾燥装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本体ケース1の室内側の風路6において、室内の高温高湿の空気を湿度交換素子8内に通すことで、湿度交換素子8に水を吸着させ、湿度だけを前記室外側の風路7に移動させ、吸着熱により温度が上がった高温低湿の空気を室内に返す。湿度交換素子内を室外側の風路7に移動した水分は室外送風手段10の風により気化し、室外へ排出される。この原理によって、加熱装置を用いることなく室内の温度を上げながら室内を乾燥させることができる構成にした乾燥装置を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内を乾燥させる乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の乾燥装置では、加熱手段を用いて温風を発生させることで室内を乾燥させるものが知られている。
【0003】
また、潜熱交換についても温度はそのままで湿度だけ交換するものが知られている。
【0004】
以下、その乾燥装置と湿度交換素子について図10と図11を参照しながら説明する。
【0005】
図10に示すように、浴室乾燥暖房装置本体101は浴室に設置される。加熱手段102を用いることで空気を乾燥させ、循環ファン103で風を循環させて、室内を乾燥させている。換気運転を行う際は、換気ファンユニット104を運転させ、室内の空気を連通口105から排気ダクト106を通じて屋外へ排出する(例えば特許文献1参照)。
【0006】
図10に示すように、この潜熱交換膜107は、断熱基材108により基材両側の空間の間の熱の伝導は抑制しつつ、透湿孔109を仕切るように配された親水性有機高分子膜110により水蒸気の透過は可能となっており、温度はできるだけそのままで水蒸気を主に交換することができる(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−91267号公報
【特許文献2】特開2005−288216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の乾燥装置においては、加熱装置を用いることで、消費電力が大きくなるという課題を有していた。また、加熱装置を用いずに室内を乾燥する際には、換気扇だけでは乾燥に時間がかかり、カビなどの発生の恐れがあるという課題を有していた。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、単純な排気より乾燥が速く、加熱装置を使用していないので省エネとなる乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために、本発明は吸気口と吐出口を有する本体ケースと、室内の空気を吸い込む第1の吸気口と、室内に空気を吐出する第1の吐出口と、室外の空気を吸い込む第2の吸気口と、室外に空気を排出する第2の吐出口と、前記第1の吸気口を通り、前記第1の吐出口へと通じる室内側の風路と、前記第2の吸気口を通り、前記第2の吐出口へと通じる室外側の風路と、前記室内側の風路と前記室外側の風路にまたがるように配置し、室内の空気と室外の空気の潜熱を交換する湿度交換素子と、前記室内側の風路に設けた室内送風手段と、前記室外側の風路に設けた室外送風手段とを備え、前記室内側の風路と前記室外側の風路を独立させる仕切り板を設け、前記湿度交換素子の潜熱交換で室内の空気の潜熱を室外の空気へ放出して室内を乾燥させることを特徴とした乾燥装置としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、湿度交換素子により潜熱交換を行うことで、加熱装置を用いることなく室内を乾燥させる事ができ、単純な排気より乾燥が速く、省エネとなる乾燥装置を提供できるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1の乾燥装置の構成を示す断面図
【図2】同実施の形態1の乾燥装置の構成を示すブロック図
【図3】同実施の形態2の乾燥装置の構成を示す断面図
【図4】同実施の形態2の乾燥装置の動作を示すブロック図
【図5】同実施の形態2の乾燥装置の動作を示すフローチャート
【図6】同実施の形態3の乾燥装置の構成を示す断面図
【図7】同実施の形態3の乾燥装置の動作を示すブロック図
【図8】同実施の形態4の乾燥装置の構成を示す断面図
【図9】同実施の形態5の乾燥装置の構成を示す断面図
【図10】従来の乾燥装置の構成を示す断面図
【図11】従来の湿度交換素子の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の請求項1記載の乾燥装置は、吸気口と吐出口を有する本体ケースと、室内の空気を吸い込む第1の吸気口と、室内に空気を吐出する第1の吐出口と、室外の空気を吸い込む第2の吸気口と、室外に空気を排出する第2の吐出口と、前記第1の吸気口を通り、前記第1の吐出口へと通じる室内側の風路と、前記第2の吸気口を通り、前記第2の吐出口へと通じる室外側の風路と、前記室内側の風路と前記室外側の風路にまたがるように配置し、室内の空気と室外の空気の潜熱を交換する湿度交換素子と、前記室内側の風路に設けた室内送風手段と、前記室外側の風路に設けた室外送風手段とを備え、前記室内側の風路と前記室外側の風路を独立させる仕切り板を設け、前記湿度交換素子の潜熱交換で室内の空気の潜熱を室外の空気へ放出して室内を乾燥させるものである。
【0014】
前記室内側の風路において、室内の高温高湿の空気を前記湿度交換素子内に通すことで、前記湿度交換素子に水を吸着させ、湿度だけを前記室外側の風路に移動させ、吸着熱により温度が上がった高温低湿の空気を室内に返す。湿度交換素子内を室外側の風路に移動した水分は前記室外送風手段の風により気化し、室外へ排出される。これにより、加熱装置を用いることなく室内の温度を上げながら室内を乾燥させることができ、単純な排気より乾燥が速く、省エネとなる乾燥機を提供できるという効果を奏する。
【0015】
また、請求項2記載の乾燥装置は、室内送風手段を第1の吸気口付近に配置し、室外送風手段を第2の吸気口付近に配置するものである。
【0016】
これにより、室内送風手段と室外送風手段は湿度交換素子に対して対向流として空気を押し込むことができ、効率よく室内を乾燥することができるという効果を奏する。
【0017】
また、請求項3記載の乾燥装置は、室内側の風路より室外側の風路の方が風路面積が大きいものである。
【0018】
これにより、室外側の風が当たる面積を増やし、水を気化する箇所を増やすことができ、効率よく室内を乾燥することができるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項4記載の乾燥装置は、室内送風手段と室外送風手段の風量を調整する風量調整手段を備え、室内送風手段の風量より室外送風手段の風量を大きくした状態で運転を行うものである。
【0020】
これにより、室外側の風量を増やし、水を気化しやすくすることができ、効率よく室内を乾燥することができるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項5記載の乾燥装置は、前記湿度交換素子は、断熱性を有する素材を用いるものである。
【0022】
これにより、熱ロスを低減して潜熱交換を行うことができ、効率よく室内を乾燥することができるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項6記載の乾燥装置は、前記室内側の風路と前記室外側の風路を独立させるための仕切り板は断熱性の高い素材であるものである。
【0024】
これにより、熱が室外に逃げてしまうのを低減することができ、効率よく室内を乾燥することができるという効果を奏する。
【0025】
また、請求項7記載の乾燥装置は、停止操作後の一定時間は運転を継続させる停止遅延手段を備えたものである。
【0026】
これにより、運転後に湿度交換素子を乾燥させる事ができ、湿度交換素子の劣化を抑制することができるという効果を奏する。
【0027】
また、請求項8記載の乾燥装置は、室内側の風路に室内の状態を検出する室内環境条件検出手段を備え、前記室内環境条件検出手段により検出した湿度が第1の所定の値以上の場合は、前記室内送風手段と前記室外送風手段の風量を上げるものである。
【0028】
これにより、室内の湿度が第1の所定の値以上の場合は、風量を上げることで湿度交換素子の吸着量を上げて、効率よく乾燥ができるようになるという効果を奏する。
【0029】
また、請求項9記載の乾燥装置は、室内環境条件検出手段により検知した室内の湿度が第2の所定の値より低い場合は前記室内送風手段と前記室外送風手段の風量を下げる機能を備えたものである。
【0030】
これにより、室内の湿度が第2の所定の値より低い場合は、風量を下げることで無駄な消費電力を削減できるという効果を奏する。
【0031】
また、請求項10記載の乾燥装置は、室内の風路と室外の風路を独立させる仕切り板を駆動可能にする風路切替手段を設け、前記風路切替手段により、第1の吸気口と第2の吐出口をつなぐ風路と、第2の吸気口と第1の吐出口をつなぐ風路に切り替えて運転を行う機能を備えたものである。
【0032】
これにより、室内の空気を室外に排出し空気の入れ替えを行うことができ、使用感を向上することができるという効果を奏する。
【0033】
また、請求項11記載の乾燥装置は、本体ケース下部に室内側の風路の水を溜める水受け部と、室外の風路に水が溜まっていることを検出する水分検出手段とを備え、前記水分検出手段から信号を受けた場合、風路切替手段により仕切り板を動かし、水を排出する機能を備えたものである。
【0034】
これにより、本体内の水が湿度交換素子に逆流するのを防ぎ、潜熱交換性能を維持することができるという効果を奏する。
【0035】
また、請求項12記載の乾燥装置は、第2の吐出口に風路遮蔽板と、室外の状態を検出する室外環境条件検出手段を設け、前記環境条件検出手段により検出した室外の温度が湿度交換素子水分を気化することができない第3の所定の値以下だった場合は前記風路遮蔽板を閉め、運転を停止させる機能を備えたものである。
【0036】
これにより、潜熱交換性能を維持できない条件の場合は運転を停止することができるという効果を奏する。
【0037】
また、請求項13記載の乾燥装置は、前記環境条件検出手段により検出した室外の湿度が湿度交換素子が水分を気化することができない第4の所定の値を超えた場合は前記風路遮蔽板を閉め、運転を停止させる機能を備えたものである。
【0038】
これにより、潜熱交換性能を維持できない条件の場合は運転を停止することができるという効果を奏する。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1に示すように室内の天井に取り付けられた本体ケース1内には、室内の空気を吸い込む第1の吸気口2と、室内に空気を吐出する第1の吐出口3と、室外の空気を吸い込む第2の吸気口4と、室外に空気を排出する第2の吐出口5とを備えている。前記第1の吸気口2を通り、前記第1の吐出口3へと通じる室内側の風路6と、前記第2の吸気口4を通り、第2の吐出口5へと通じる室外側の風路7を備えている。また、前記室内側の風路6と前記室外側の風路7にまたがるように設置し、室内の空気と室外の空気の潜熱交換を行う湿度交換素子8を備えている。前記湿度交換素子8は、吸湿性が高く、素材内部の水分拡散に優れ、かつ、熱伝導率の低い素材、例えば、セラミックをベースとした無機材料、具体的には、コージェライトやシリカゲル、アルミナ、ゼオライト等を用いた素子であって、室内側の空気と、室外側の空気が通過する空間を下部と上部に隣接して設け、それぞれに空気が通過する孔を複数備え、それぞれの空間が前記素材によって仕切られ、互いに連通していないことを特徴とするものである。
【0041】
また、前記室内側の風路6に室内送風手段9と、前記室外側の風路7に室外送風手段10を備えている。前記室内送風手段9と前記室外送風手段10としては例えばファンモータがある。前記湿度交換素子8の面に対して風を均一に当てるために前記室内送風手段9と前記室外送風手段10と前記湿度交換素子8は一定の距離が必要となる。水の吸着と放出の割合を等しくするためにその距離はどちらも同じ距離であることが望ましい。そこで、前記室内送風手段9と前記室外送風手段10を前記本体ケース1内の対角に配置することで、前記室内側の風路6と前記室外側の風路7の前記室内送風手段9と前記室外送風手段10それぞれと前記湿度交換素子8へ空気を押し込む構成となり、湿度交換素子8へ流れ込む空気は対向流となり、水の吸着と放出の割合が等しくなる。
【0042】
また、前記室内側の風路6と前記室外側の風路7を独立させるための仕切り板11を備えている。
【0043】
また、第2の吸気口4付近に制御部12を備え、前記制御部12には前記室内送風手段9と前記室外送風手段10の風量を少なくとも2段階(最も強い状態の強、最も弱い状態の弱)に調整する風量調整手段13と、停止後の一定時間は運転を継続させる停止遅延手段14を備えている。前記風量調整手段13は前記室内送風手段9と前記室外送風手段10の交流の整流子モータへの電源の通電比率(duty)を調整するものである。
【0044】
上記構成により、前記室内側の風路6において、室内の高温高湿の空気を前記湿度交換素子8内に通すことで、前記湿度交換素子8に水を吸着させ、水は前記湿度交換素子8内部を拡散し、さらに吸着熱により温度が上がった高温低湿の空気を室内に返す。前記湿度交換素子8内を前記室外側の風路7に移動した水分は前記室外送風手段10の風により気化し、室外へ排出される。この原理によって、加熱装置を用いることなく室内の温度を上げながら室内を乾燥させることができる。また、水分を気化させる室外側の前記湿度交換素子8が乾燥していた方が、室内側の水分が浸透しやすく水を吸着させる効率が上がる。
【0045】
そこで、室外側の前記湿度交換素子8を乾燥させるために、前記室内側の風路6より前記室外側の風路7の風路面積を大きくすることで、室外側の前記湿度交換素子8の風が当たる面積を増やし、水を気化する箇所を増やすことができる。
【0046】
また、前記室内送風手段9の風量より、前記室外送風手段10の風量を上げた状態で運転を行うことで、水を気化しやすくさせることができる。
【0047】
以上のように、単純な排気より乾燥が速く、省エネとなる乾燥機を提供できるという効果を奏する。
【0048】
また、運転を停止させる場合は停止操作時に前記停止遅延手段14により、一定時間は運転を継続させることで前記湿度交換素子8を完全に乾燥させる事ができる。これにより、前記湿度交換素子8の劣化を防ぐことができる。
【0049】
また、前記湿度交換素子8は断熱性を有する素材のものを用いる。これにより、室内から室外への熱ロスを無視して潜熱交換を行うことができ、効率よく室内を乾燥することができる。
【0050】
また、前記室内側の風路6と前記室外側の風路7の間の仕切り板11は断熱性の高い素材のものを用いる。これにより、熱が前記室内側の風路6から前記室外側の風路7へ逃げてしまうのを防ぐことができ、効率よく室内を乾燥することができる。
【0051】
(実施の形態2)
実施の形態2の乾燥装置においては、室内の状態によって前記室内送風手段9と前記室外送風手段10の風量を変える機能を追加したものである。
【0052】
すなわち本実施の形態では、図3、図4に示すように前記第1の吸気口付近に室内の状態を検出する室内環境条件検出手段15を加えた構成とした。また、前記風量調整手段13は前記室内送風手段9と前記室外送風手段10の風量を少なくとも3段階(最も強い状態の強、最も弱い状態の弱、二つの中間の状態の中)に調整できるようにした。
【0053】
なお、実施の形態1で説明した同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0054】
上記構成により、室内の状態にあわせて運転ができる。
【0055】
以下、その詳細について図5のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
乾燥装置が第1ステップ16により運転を開始すると、前記室内環境条件検出手段15によって検出された湿度の値が第1の所定の値である湿度が60%以上かどうかを第2ステップ15aにおいて判定することとなる。第2ステップ15aにおいて60%以上と判定された場合、前記風量調整手段13により、前記室内送風手段9と前記室外送風手段10の風量を強として運転を行う。60%未満と判定された場合、湿度の値が第1の所定の値より小さい第2の所定の値である40%以上かどうかを第3ステップ15bにおいて判定することとなる。第3ステップ15bにおいて40%以上と判定された場合、前記風量調整手段13により、前記室内送風手段9と前記室外送風手段10の風量を中として運転を行う。40%未満と判定された場合、前記風量調整手段13により、前記室内送風手段9と前記室外送風手段10の風量を弱として運転を行う。
【0057】
以上のように、室内の湿度が高い場合は、風量を上げることで室内側の前記湿度交換素子8の吸着率を上げて、室外側の前記湿度交換素子8が水分を気化するのを促進することができ、効率よく乾燥ができる。
【0058】
また、室内の湿度が低い場合は、風量を下げることで無駄な消費電力を削減できるという効果を奏する。
【0059】
(実施の形態3)
実施の形態1で説明した同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0060】
実施の形態3の乾燥装置においては、風路を切り替え、換気運転を行うことができる機能を追加したものである。
【0061】
すなわち、図6に示すように、前記第1の吸気口2と前記第2の吐出口5を備えている空間の前記湿度交換素子8側の前記仕切り板11に第1の開口17と前記第2の吸気口4と前記第1の吐出口3を備えている空間の前記湿度交換素子8側の前記仕切り板に第2の開口18と、前記第1の開口17を塞ぐための第1のシャッター19と前記第2の開口18を塞ぐための第2のシャッター20とを加えて設けた構成とした。前記第1のシャッター19と前記第2のシャッター20は板体で構成され、軸を前記湿度交換素子8側に配置し、閉状態では前記第1のシャッター19は第1の開口17を、前記第2のシャッター20は第2の開口18を塞ぎ、開状態では第1のシャッター19は前記室内側の風路6の上流側の前記湿度交換素子8への風路を遮断し、新たに第1の吸気口2と第2の吐出口5をつなぐ第1の換気風路21を作り、前記第2のシャッター20は前記室外側の風路7の上流側の前記湿度交換素子8への風路を遮断し、新たに第2の吸気口4と第1の吐出口3をつなぐ第2の換気風路22を作る。前記第1のシャッター19と前記第2のシャッター20は断熱性の高いものを使用することが望ましい。前記第1のシャッター19と前記第2のシャッター20は開口を塞ぐものであればいいので、ダンパなどでも良い。
【0062】
また、図7に示すように、前記制御部12には前記第1のシャッター19と前記第2のシャッター20の開閉を指示する風路切替手段23を備えている。
【0063】
上記構成により、室内の空気を室外に排出し空気の入れ替えを行うことができる。
【0064】
通常本体を運転する場合、前記第1のシャッター19と前記第2のシャッター20は閉状態である。運転継続中に前記室内環境条件検出手段15が検出した室内の温度がある一定値を超えた場合、前記風路切替手段23より指示が送られ、前記第1のシャッター19と前記第2のシャッター20が開状態になる。ある一定値は例えば浴室を想定した場合、熱いと感じられる50度とする。前記第1のシャッター19が開状態になった場合、前記室内側の風路6の前記第1の吸気口2から前記第1の吐出口3へ向かう風路は遮断され、前記第1の換気風路21を通って、室内の空気が室外へ排出される。前記第2のシャッター20が開状態になった場合、前記室外側の風路7の第2の吸気口から第2の吐出口5へ向かう風路は遮断され、前記第2の換気風路22を通って、室外の空気が室内へ吸気される。風路構成により風が天井面を沿って室内を循環するので、室内の温度を均一にできる。
【0065】
また、前記室内環境条件検出手段15が検出した室内の温度がある一定値を下回った場合、前記第1のシャッター19と前記第2のシャッター20を閉状態にし、通常の運転状態に戻す。
【0066】
ある一定値は例えば浴室を想定した場合の標準温度40度とする。
【0067】
以上のように、換気を行うことで室内の温度を調整することで使用感を向上することができるという効果を奏する。
【0068】
(実施の形態4)
実施の形態4の乾燥装置においては、前記室外側の風路7において結露により水が発生した場合に水を検出し、一定量溜まったら排水する機能を追加したものである。
【0069】
すなわち、図8に示すように、前記本体ケース1下部に水受け部24と、前記室外側の風路7の前記湿度交換素子8側に水が溜まっている事を検出する水分検出手段25とを設ける構成とした。
【0070】
なお、実施の形態1で説明した同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0071】
上記構成により、本体内の水が前記湿度交換素子8に逆流するのを防ぐことができる。
【0072】
前記水分検出手段25から信号を受けた場合、前記風路切替手段23により前記仕切り板11を動かし、前記湿度交換素子8に逆流しようとしていた水を前記室内側の風路6に排水する。前記室内側の風路6に溜まっている水は吸気口または吐出口側に流れていき、前記水受け部24に流れ込む構造とし、前記水受け部24に水を溜めておく。前記水受け部24に溜まっている水は再度気化し、室内を循環する。
【0073】
以上のように、結露した水が湿度交換素子8に吸着し潜熱交換の効率が下がってしまうことを防ぐことができるという効果を奏する。
【0074】
(実施の形態5)
実施の形態5の乾燥装置においては、室外が異常な状態だった時に本体の運転を停止する機能を追加したものである。
【0075】
すなわち、図9に示すように第2の吐出口5付近に室外の空気を入れないようにする風路遮蔽板26と、室外の状態を検出する室外環境条件検出手段27を設ける構成とした。
【0076】
なお、実施の形態1で説明した同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0077】
上記構成により、室外の状態を検出することにより強制的に運転を停止することができる。
【0078】
前記室外環境条件検出手段27により検出した室外の温度が第3の所定の値である0度以下である時は、前記湿度交換素子8が凍結してしまい、水分を気化することができず、運転を継続することができないので、前記風路遮蔽板26を閉め運転を停止させる。また、一度運転を停止させてしまった場合は、前記室外環境条件検出手段27により検出した室外の温度が10度以上になった時に運転を再開する。
【0079】
また、前記室外環境条件検出手段27により検出した室外の湿度が第4の所定の値である80%以上である時は、前記湿度交換素子8が水分を気化することができず、運転を継続することができないので、前記風路遮蔽板26を閉め運転を停止させる。一度運転を停止させてしまった場合は、前記室外環境条件検出手段27により検出した室外の湿度が70%以下になった時に運転を再開する。
【0080】
以上のように、潜熱交換性能を維持できない条件の場合は運転を停止することができるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は区切られた室内空間での使用を目的として提供しているが、分離された高湿な空間と低湿な空間において、高湿な空間を乾燥させる用途で用いるものにおいても同様な効果は期待できる。
【符号の説明】
【0082】
1 本体ケース
2 第1の吸気口
3 第1の吐出口
4 第2の吸気口
5 第2の吐出口
6 室内側の風路
7 室外側の風路
8 湿度交換素子
9 室内送風手段
10 室外送風手段
11 仕切り板
12 制御部
13 風量調整手段
14 停止遅延手段
15 室内環境条件検出手段
17 第1の開口
18 第2の開口
19 第1のシャッター
20 第2のシャッター
21 第1の換気風路
22 第2の換気風路
23 風路切替手段
24 水受け部
25 水分検出手段
26 風路遮蔽板
27 室外環境条件検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と吐出口を有する本体ケースと、室内の空気を吸い込む第1の吸気口と、室内に空気を吐出する第1の吐出口と、室外の空気を吸い込む第2の吸気口と、室外に空気を排出する第2の吐出口と、前記第1の吸気口を通り、前記第1の吐出口へと通じる室内側の風路と、前記第2の吸気口を通り、前記第2の吐出口へと通じる室外側の風路と、前記室内側の風路と前記室外側の風路にまたがるように配置し、室内の空気と室外の空気の潜熱を交換する湿度交換素子と、前記室内側の風路に設けた室内送風手段と、前記室外側の風路に設けた室外送風手段とを備え、前記室内側の風路と前記室外側の風路を独立させる仕切り板を設け、前記湿度交換素子の潜熱交換で室内の空気の潜熱を室外の空気へ放出して室内を乾燥させることを特徴とした乾燥装置。
【請求項2】
室内送風手段を第1の吸気口付近に配置し、室外送風手段を第2の吸気口付近に配置することを特徴とした請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
室内側の風路より室外側の風路の方が風路面積が大きいことを特徴とした請求項1記載の乾燥装置。
【請求項4】
室内送風手段と室外送風手段の風量を調整する風量調整手段を備え、室内送風手段の風量より室外送風手段の風量を大きくした状態で運転を行うことを特徴とした請求項1記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記湿度交換素子は、断熱性を有する素材を用いることを特徴とした請求項1記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記室内側の風路と前記室外側の風路を独立させるための仕切り板は断熱性の高い素材であることを特徴とした請求項1記載の乾燥装置。
【請求項7】
停止後の一定時間は運転を継続させる停止遅延手段を備えたことを特徴とした請求項1記載の乾燥装置。
【請求項8】
室内側の風路に室内の状態を検出する室内環境条件検出手段を備え、前記室内環境条件検出手段により検出した湿度が第1の所定の値以上の場合は、前記室内送風手段と前記室外送風手段の風量を上げることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項9】
室内環境条件検出手段により検知した室内の湿度が第1の所定の値より小さい第2の所定の値より低い場合は前記室内送風手段と前記室外送風手段の風量を下げることを特徴とした請求項4記載の乾燥装置。
【請求項10】
室内の風路と室外の風路を独立させる仕切り板を駆動可能にする風路切替手段を設け、前記風路切替手段により、第1の吸気口と第2の吐出口をつなぐ風路と、第2の吸気口と第1の吐出口をつなぐ風路に切り替えて運転を行うことを特徴とした請求項1記載の乾燥装置。
【請求項11】
本体ケース下部に室内側の風路の水を溜める水受け部と、室外の風路に水が溜まっていることを検出する水分検出手段とを備え、前記水分検出手段から信号を受けた場合、風路切替手段により仕切り板を動かし、水を排出することを特徴とした請求項1記載の乾燥装置。
【請求項12】
第2の吐出口に風路遮蔽板と、室外の状態を検出する室外環境条件検出手段を設け、前記環境条件検出手段により検出した室外の温度が湿度交換素子水分を気化することができない第3の所定の値以下だった場合は前記風路遮蔽板を閉め、運転を停止させることを特徴とした請求項1記載の乾燥装置。
【請求項13】
前記環境条件検出手段により検出した室外の湿度が湿度交換素子が水分を気化することができない第4の所定の値を超えた場合は前記風路遮蔽板を閉め、運転を停止させることを特徴とした請求項1記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−19583(P2013−19583A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152524(P2011−152524)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】