予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法及び燃料電池用セパレータ
【課題】高圧プレスの使用時間を短縮するため、これに好適な工程、加工条件及び素材を確立し、セパレータとしての性能条件を満足する燃料電池用セパレータの製造方法ならびに該方法を利用して製作されたセパレータを提供する。
【解決手段】本発明による燃料電池用セパレータの製造方法は、両端に結合されて単位電池を支持する燃料電池用セパレータが、セパレータの形状と類似した未完成の予備成形体を作る予備成形工程及び、予備成形体を成形してセパレータを製作する主成形工程の2段階を経て製造される。
【解決手段】本発明による燃料電池用セパレータの製造方法は、両端に結合されて単位電池を支持する燃料電池用セパレータが、セパレータの形状と類似した未完成の予備成形体を作る予備成形工程及び、予備成形体を成形してセパレータを製作する主成形工程の2段階を経て製造される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータに係り、より詳しくは、予備成形と主成形からなる2段階の製造工程で燃料電池用セパレータを製造し、高温高圧の成形時間を短縮した製造方法及び燃料電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高分子電解質燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell;以下PEMFCと称する)とは、水素イオン交換特性を有する高分子膜を電解質として使用する燃料電池を言う。PEMFCは、燃料である水素と酸素の電気化学的反応により燃焼過程なしに化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換させる装置である。PEMFCは、高分子電解質膜を中心に両方に貴金属触媒がコーティングされる多孔質の空気極と燃料極が位置し、その外部に燃料を供給するためのセパレータが結合された単位電池を基本にする。
【0003】
燃料電池用セパレータは、単位電池の支持体として、また水素と空気などの反応ガスと冷却水の通路として、優れた電気伝導性、高い機械的な強度、低いガス透過度が確保されなければならない。これを満足する材料として黒鉛が多く用いられている。純粋黒鉛は、電気伝導性が高く耐腐食性が強いが、内部に気孔が多く冷却水チャンネルの加工が難しい。これを解決するため、圧縮や射出成形工法を利用したセパレータの製作方法が研究されている。
【0004】
従来の圧縮成形工法による複合素材セパレータの製作技術は、製作時間が長く燃料電池原価の約60%を占め、さらに原価を下げるには限界があった。また、射出成形工法で製作する複合素材セパレータは、圧縮成形工法で製作するセパレータに比べて、電気伝導度が低いとの弱点がある。
【特許文献1】特開平10−3931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高圧プレスの使用時間を短縮するのに好適な工程、加工条件及び素材を確立し、性能条件を満足する燃料電池用セパレータの製造方法ならびに該方法を利用して製作されたセパレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による燃料電池用セパレータの2段階製造方法は、両端に結合されて単位電池を支持する燃料電池用セパレータの製造方法において、前記セパレータが、前記セパレータの形状と類似した未完成の予備成形体を作る予備成形工程及び、前記予備成形体を成形して前記セパレータを製作する主成形工程を経て製造されることを特徴とする。
【0007】
前記予備成形工程は、第1下部金型の両側に第1側面金型を装着する段階(S10)と、前記第1下部金型と第1側面金型の内側に膨脹黒鉛と板状黒鉛及びフェノール樹脂の混合物または膨脹黒鉛と炭素纎維及びフェノール樹脂の混合物のうちいずれか一つを充たす段階(S20)と、スプレッダを往復移動させて前記混合物を前記第1側面金型の高さに対応するように均一に分散させる段階(S30)と、前記第1側面金型の上部に前記混合物の充填高さを調節するための追加金型を設置する段階(S40)と、前記混合物の上部に設置される第1上部金型を装着して前記予備成形体を作る段階(S50)を含むことが好ましい。
【0008】
前記混合物は、前記第1上部金型が装着される状態から100〜120℃の温度で5〜10分間加熱されることが好ましい。
【0009】
前記予備成形体は、四つの角が実際に成形されるセパレータの大きさより0〜5mm小さく、し、5〜15mmの厚さに成形されることが好ましい。
【0010】
前記主成形工程は、第2下部金型の両側に第2側面金型を装着する段階(S100)と、前記第2下部金型及び第2側面金型の内側に前記予備成形体を挿入する段階(S200)と、前記予備成形体の上部に第2上部金型を装着する段階(S300)を含むことが好ましい。
【0011】
前記予備成形体は、前記第2上部金型が装着された状態から150〜180℃の温度及び0.5MPa以下の圧力で10〜60秒間低圧予熱した後、1〜5MPaまで加圧し、圧力を抜いて前記混合物内部の気泡を金型の外に抜き、さらに3〜15MPaの圧力で1〜5分間成形する変動圧力工程を経てセパレータを成形することが好ましい。
【0012】
本発明による燃料電池用セパレータは、両端に結合されて単位電池を支持する燃料電池用セパレータであって、前記セパレータは、膨脹黒鉛と板状黒鉛とフェノール樹脂の混合物または、膨脹黒鉛と炭素纎維とフェノール樹脂の混合物のうちいずれか一つからなり、前記セパレータの形状と類似の予備成形体が形成され、前記予備成形体を再成形して完成品が製造されることを特徴とする。
【0013】
前記混合物の割合は、膨脹黒鉛2〜20重量%、板状黒鉛40〜70重量%、フェノール樹脂20〜40重量%または膨脹黒鉛6〜32重量%、炭素纎維30〜60重量%、フェノール樹脂35〜40重量%のうちいずれか一つであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、予備成形工程及び主成形工程の2段階でセパレータを製造するので、主成形時間が短縮されて大量生産に有利な燃料電池用セパレータを製造することができる。また、膨脹黒鉛と板状黒鉛及びフェノール樹脂、または膨脹黒鉛と炭素纎維及びフェノール樹脂を理想的に混合する複合素材を利用したので、製品の軽量化が可能である。さらに、セパレータの性能条件を満足させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の第1及び第2実施形態の燃料電池用セパレータ及びセパレータの製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。予備成形体が加圧されて複合材料セパレータを形成するので、セパレータに参照番号を表記せず、第1及び第2実施形態での混合物には、便宜上同一の参照番号を使用する。
【実施例】
【0016】
本発明の第1実施形態の燃料電池用セパレータは、板状黒鉛を補強する複合材料セパレータとして、膨脹黒鉛と板状黒鉛とフェノール樹脂を混合した混合物13が、予備成形工程(A)及び主成形工程(B)を経て作られる。
【0017】
また、本発明の第2実施形態の燃料電池用セパレータは、炭素纎維を補強する複合材料セパレータとして、膨脹黒鉛と炭素纎維とフェノール樹脂を混合した混合物が、予備成形工程を経て予備成形体17になり、この予備成形体17が主成形工程を経てセパレータになる。
【0018】
この時、第1実施形態に係る混合物13の理想的な造成の割合は、膨脹黒鉛が2〜20重量%、板状黒鉛が40〜70重量%、フェノール樹脂20〜40重量%であることが望ましい。その理由は次のとおりである。
【0019】
膨脹黒鉛は、伝導性ネットワークが形成され、充填体積が大きく、粒子がお互いに絡まれるので、予備成形体17の製作に有利である。膨脹黒鉛が2重量%未満の場合、充填体積が小さく予備成形体17の製作が難しい。また、膨脹黒鉛が20重量%を超過すると、充填体積が極めて大きくなり、内部気体が抜け出すことができず、曲げ強度の強さが弱くなる。そのため、膨脹黒鉛は、2〜20重量%程度に添加することが望ましい。
【0020】
板状黒鉛は、フェノール樹脂と共にセパレータの強度を確保する役割を果たす。板状黒鉛は、40%重量未満を入れた場合、曲げ強度をまともに補強することができず、70重量%を超過すれば膨脹黒鉛の伝導性ネットワーク形成を妨げて伝導度が大きく低下する。従って、板状黒鉛は、50〜500μmで40〜70重量%の範囲内で添加することが望ましい。
【0021】
フェノール樹脂は、粉末形態で使用し、セパレータの加工性を向上させるために添加される。また、20重量%未満を入れた場合、加工性が低下し、40重量%を超過すれば伝導度が低下してセパレータの硬度が弱くなるので、20〜40重量%で添加することが望ましい。
【0022】
一方、第2実施形態の混合物13の理想的な割合は、膨脹黒鉛が6〜32重量%、板状黒鉛が30〜60重量%、フェノール樹脂35〜40重量%であることが望ましい。その理由は次のとおりである。
【0023】
膨脹黒鉛が6重量%未満の場合、予備成形体17の製造は可能であるが、過多な炭素繊維量によって電気伝導度が燃料電池用セパレータの基準以下に低下する。膨脹黒鉛が32重量%を超過すれば、曲げ強度が確保されないので、6〜32重量%で添加することが望ましい。炭素纎維が30重量%未満の場合、曲げ強度をまともに補強することができず、60重量%を超過すれば、高圧に対する抵抗のため混合物の緻密化がなされず、電気伝導度がセパレータの基準以下に低下する。従って、炭素纎維は10〜15μm×200〜250μmで30〜60重量%の範囲内で添加されることが望ましい。フェノール樹脂は、第1実施形態のように20〜40重量%が添加されることが望ましいが、膨脹黒鉛及び炭素纎維の割合に合わせて35〜40重量%を添加することが好適である。
【0024】
本発明の第1と第2実施形態に使用されたフェノール樹脂代わりに、エポキシ樹脂、ピニルエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリビニルデンフルオライド樹脂(PVDF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂などの高分子物質を使用することができる。
【0025】
このようにセパレータに好適な割合で、膨脹黒鉛と補強材(板状黒鉛または炭素纎維)と高分子物質(フェノール樹脂)の混合物13を、30分間よく混ぜた後、予備成形工程(A)及び主成形工程(B)を実施する。
【0026】
図1は、本発明による燃料電池用セパレータの予備成形工程を示した概略図である。図2は、本発明による燃料電池用セパレータの主成形工程を示した概略図である。また、図3は、図1の予備成形工程を数値化したグラフである。図4は、図2の主成形工程を数値化したグラフである。
【0027】
本発明の第1及び第2実施形態による混合物13を予備成形体17に成形するための予備成形工程(A)は、第1下部金型10と第1側面金型12を準備し、混合物13を充填した後、追加金型14を装着して第1上部金型15を結合して加圧及び加熱する段階とを経る。
【0028】
図1に示すように、先ず、第1下部金型10の両側に第1側面金型12をそれぞれ装着して(S10)、第1下部金型10と第1側面金型12が結合された金型の内部に混合物13を充填する(S20)。その後、スプレッダ19を往復移動させ金型の内部空間に一定な高さで混合物13を均一に分散させ(S30)、第1側面金型12の上部に追加金型14をそれぞれ設置する(S40)。
【0029】
追加金型14は、第1上部金型15の下降通路を確保し、充填高さを調節するために使用される。追加金型14の装着後、第1上部金型15を混合物13の上部に位置させて加圧する(S50)。この時、上部金型の中間には、引っ掛けスティック16が形成されて追加金型14の上面に接触されるので、引っ掛けスティック16により所望の予備成形体17の厚さを確保することができる。
【0030】
複合素材セパレータの厚さは、混合物13の充填量によって決まるが、粉末の充填の割合及び粒子の種類と大きさによって混合物13の充填高さが変わる。従って、追加金型14の高さを変更することで、所望の充填高さを確保してセパレータの厚さを調節することができる。
【0031】
本発明の第1及び第2実施形態で使用される複合素材セパレータ成形用高分子物質は、フェノール樹脂とした。フェノール樹脂は、融点が90℃で、通常的に150℃で1分になると硬化する。このような硬化時間は、純粋フェノール樹脂の状態である時の時間なので、膨脹黒鉛と板状黒鉛または膨脹黒鉛と炭素纎維が、80重量%程度が混合した状態では、熱が伝達されるため、より長い時間が必要とされる。従って、予備成形体17を成形する温度は、フェノール樹脂が溶融される温度より高めの100〜120℃であることが望ましい。また、過度な硬化を防ぐために5〜10分間加熱することが望ましい。
【0032】
また、予備成形体17の厚さは、内部気体の除去及び主成形工程(B)の容易性のために5〜15mm厚さに成形することが望ましい。そして、予備成形体17が主成形工程(B)で再び加圧され伸びるので、実際製作しようとするセパレータの大きさより四つの角が0〜5mm程度ずつ小さく製作することが望ましい。予備成形体17の成形後、これを金型から容易に分離できるように第1側面金型12が第1下部金型10の左右に分離できるように設置される。このように形成された予備成形体17は、完全に硬化する前に分離された後、常温で保管して主成形工程(B)に使用する。
【0033】
主成形工程(B)は、第2下部金型20の両側に第2側面金型21を装着した後(S100)、第2下部金型20と第2側面金型21の内部空間に予備成形体17を挿入する(S200)。その後、予備成形体17の上部に第2上部金型(22)を位置させて加圧する。
【0034】
第2上部金型22が予備成形体17の上部に結合された状態で、予備成形体17は常温で少し硬化された状態なので、フェノール樹脂の2次流動を確保するために150〜180℃で10〜60秒間予熱して流動を確保する。この時、予熱圧力は0.5MPa以下の低圧であることが望ましい。予熱工程が終われば、1〜5MPaの圧力を加えた後、解止して内部の気泡を除去する。この工程が変動(fluctuating)圧力工程である。
【0035】
なお、混合物13の圧縮、加熱過程で、粉末の間に存在していた空気またはフェノール樹脂に含有されていた水分から生成された水蒸気は、予備成形体17の内部から気泡となって抜け出す。適切な流動を確保し、適切な主成形圧力で成形する必要がある。
【0036】
主成形圧力が3MPa未満の場合、成形が完全になされず、電気伝導度及び曲げ強度などが低下する。主成形圧力が15MPaを超過しても、これ以上の物性向上がないので、主成形圧力は3〜15MPaであることが望ましい。
【0037】
主成形工程(B)において、プレス(press)温度は、予熱から脱型まで一定に維持されなければならない。成形温度が100℃未満の場合には成形時間が長く、また、200℃を超過する場合、フェノール樹脂に破壊が生じるので、100〜200℃間を維持することが望ましい。また、主成形工程(B)において、成形維持時間が1分未満の場合、電気的かつ機械的物性が良くなく、3分を超過しても、それぞれの物性がこれ以上向上せず、1〜5分間の成形を維持することが望ましい。
【0038】
本発明の第1実施形態の板状黒鉛を補強する複合セパレータは、先ず、膨脹黒鉛を7重量%、板状黒鉛を64重量%、フェノール樹脂を29重量%として混合物を作り、これを110℃の温度で7分間成形して10mm厚さの予備成形体に成形する。その後、予備成形体を150℃で加熱された高温プレスで20秒間予熱して2次流動を確保し、圧力を3.5MPaまで上げた後、圧力を抜いて気泡を除去した後、直に7MPaまで圧力を上げて3分間主成形をして板状黒鉛を補強する複合セパレータが完成される。
【0039】
また、本発明の第2実施形態の炭素纎維を補強する複合セパレータも、膨脹黒鉛を6〜32重量%、炭素纎維を30〜60重量%、フェノール樹脂を35〜40重量%で混合して110℃で7分間過熱し、10mm厚さに成形した後、同一の主成形過程を経て炭素纎維を補強する複合セパレータが完成される。
【0040】
このようにして製作した本発明の第1と第2実施形態の複合材料セパレータの性能は次に示す。
【0041】
図5は、本発明に係る燃料電池用セパレータの密度、電気伝導度及び曲げ強度測定のための試片の位置を示した平面図である。図6は、第1実施形態による図5の試片の密度分布を示したグラフである。図7は、第1実施形態による図5の試片の電気伝導度分布を示したグラフである。図8は、第1実施形態による図5の試片の曲げ強度分布を示したグラフである。
【0042】
図5に示すように、セパレータの四つの地点で試片を準備し、密度と電気伝導度及び曲げ強度を測定した。よって、板状黒鉛補強セパレータの密度分布は、1.71〜1.75g/cm3の範囲にあり、平均密度は1.73g/cm3、標準偏差は0.013g/cm3として、位置に係る密度の分布が良好であることが分かる。同じく電気伝導度は180〜190S/cmの範囲にあり、平均電気伝導度は184S/cm、標準偏差は3.887S/cmであり、曲げ強度の範囲は49〜53MPa、平均曲げ強度は52MPa、標準偏差は1.683MPaであり、また、位置による分布に偏りはなく、ほぼ類似していることが分かる。
【0043】
図9は、第2実施形態による図5の試片の密度分布を示したグラフである。図10は、第2実施形態による図5の試片の電気伝導度分布を示したグラフである。図11は、第2実施形態による図5の試片の曲げ強度分布を示したグラフである。
【0044】
本発明の第2実施形態の炭素纎維補強セパレータも、図5に示すような四つの試片を準備して、密度と電気伝導度及び曲げ強度を測定した。
【0045】
炭素纎維補強セパレータの密度分布は、1.33〜1.37g/cm3の範囲にあり、平均密度は1.351g/cm3、標準偏差は0.013/cm3として、位置による密度の分布が良好であることが分かる。同じく、電気伝導度は148〜151S/cmの範囲にある。平均電気伝導度は151S/cm、標準偏差は1.136S/cmである。曲げ強度の範囲は45〜50MPaであり、平均曲げ強度は47MPa、標準偏差は2.09MPaである。また、位置による分布に偏りはなく、ほぼ類似していることが分かる。
【0046】
従って、本発明による膨脹黒鉛と板状黒鉛及びフェノール樹脂の混合物、または膨脹黒鉛と炭素纎維及びフェノール樹脂の混合物を利用し、2段階の方法で複合素材セパレータを製造することは、既存の粉末圧縮成形の短所を克服することができ、セパレータの軽量化が可能になる。また、予備成形を介して主成形時間が短縮され、より経済的な燃料電池用セパレータを製造することができる。
【0047】
以上、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本概念に基づき、様々な実施形態が可能である。そのような形態も本発明の技術範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明による2段階製造方法は、燃料電池用セパレータの製造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による燃料電池用セパレータの予備成形工程を示した概略図である。
【図2】本発明による燃料電池用セパレータの主成形工程を示した概略図である。
【図3】図1の予備成形工程を数値化したグラフである。
【図4】図2の主成形工程を数値化したグラフである。
【図5】本発明による燃料電池用セパレータの密度、電気伝導度及び曲げ強度を測定するための試片の位置を示した平面図である。
【図6】第1実施形態による図5の試片の密度分布を示したグラフである。
【図7】第1実施形態による図5の試片の電気伝導度分布を示したグラフ。
【図8】第1実施形態による図5の試片の曲げ強度分布を示したグラフ。
【図9】第2実施形態による図5の試片の密度分布を示したグラフ。
【図10】第2実施形態による図5の試片の電気伝導度分布を示したグラフ。
【図11】第2実施形態による図5の試片の曲げ強度分布を示したグラフ。
【符号の説明】
【0050】
10 第1下部金型
12 第1側面金型
13 混合物
14 追加金型
15 第1上部金型
16 引っ掛けスティック
17 予備成形体
19 スプレッダ
20 第2下部金型
21 第2側面金型
22 第2上部金型
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータに係り、より詳しくは、予備成形と主成形からなる2段階の製造工程で燃料電池用セパレータを製造し、高温高圧の成形時間を短縮した製造方法及び燃料電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高分子電解質燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell;以下PEMFCと称する)とは、水素イオン交換特性を有する高分子膜を電解質として使用する燃料電池を言う。PEMFCは、燃料である水素と酸素の電気化学的反応により燃焼過程なしに化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換させる装置である。PEMFCは、高分子電解質膜を中心に両方に貴金属触媒がコーティングされる多孔質の空気極と燃料極が位置し、その外部に燃料を供給するためのセパレータが結合された単位電池を基本にする。
【0003】
燃料電池用セパレータは、単位電池の支持体として、また水素と空気などの反応ガスと冷却水の通路として、優れた電気伝導性、高い機械的な強度、低いガス透過度が確保されなければならない。これを満足する材料として黒鉛が多く用いられている。純粋黒鉛は、電気伝導性が高く耐腐食性が強いが、内部に気孔が多く冷却水チャンネルの加工が難しい。これを解決するため、圧縮や射出成形工法を利用したセパレータの製作方法が研究されている。
【0004】
従来の圧縮成形工法による複合素材セパレータの製作技術は、製作時間が長く燃料電池原価の約60%を占め、さらに原価を下げるには限界があった。また、射出成形工法で製作する複合素材セパレータは、圧縮成形工法で製作するセパレータに比べて、電気伝導度が低いとの弱点がある。
【特許文献1】特開平10−3931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高圧プレスの使用時間を短縮するのに好適な工程、加工条件及び素材を確立し、性能条件を満足する燃料電池用セパレータの製造方法ならびに該方法を利用して製作されたセパレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による燃料電池用セパレータの2段階製造方法は、両端に結合されて単位電池を支持する燃料電池用セパレータの製造方法において、前記セパレータが、前記セパレータの形状と類似した未完成の予備成形体を作る予備成形工程及び、前記予備成形体を成形して前記セパレータを製作する主成形工程を経て製造されることを特徴とする。
【0007】
前記予備成形工程は、第1下部金型の両側に第1側面金型を装着する段階(S10)と、前記第1下部金型と第1側面金型の内側に膨脹黒鉛と板状黒鉛及びフェノール樹脂の混合物または膨脹黒鉛と炭素纎維及びフェノール樹脂の混合物のうちいずれか一つを充たす段階(S20)と、スプレッダを往復移動させて前記混合物を前記第1側面金型の高さに対応するように均一に分散させる段階(S30)と、前記第1側面金型の上部に前記混合物の充填高さを調節するための追加金型を設置する段階(S40)と、前記混合物の上部に設置される第1上部金型を装着して前記予備成形体を作る段階(S50)を含むことが好ましい。
【0008】
前記混合物は、前記第1上部金型が装着される状態から100〜120℃の温度で5〜10分間加熱されることが好ましい。
【0009】
前記予備成形体は、四つの角が実際に成形されるセパレータの大きさより0〜5mm小さく、し、5〜15mmの厚さに成形されることが好ましい。
【0010】
前記主成形工程は、第2下部金型の両側に第2側面金型を装着する段階(S100)と、前記第2下部金型及び第2側面金型の内側に前記予備成形体を挿入する段階(S200)と、前記予備成形体の上部に第2上部金型を装着する段階(S300)を含むことが好ましい。
【0011】
前記予備成形体は、前記第2上部金型が装着された状態から150〜180℃の温度及び0.5MPa以下の圧力で10〜60秒間低圧予熱した後、1〜5MPaまで加圧し、圧力を抜いて前記混合物内部の気泡を金型の外に抜き、さらに3〜15MPaの圧力で1〜5分間成形する変動圧力工程を経てセパレータを成形することが好ましい。
【0012】
本発明による燃料電池用セパレータは、両端に結合されて単位電池を支持する燃料電池用セパレータであって、前記セパレータは、膨脹黒鉛と板状黒鉛とフェノール樹脂の混合物または、膨脹黒鉛と炭素纎維とフェノール樹脂の混合物のうちいずれか一つからなり、前記セパレータの形状と類似の予備成形体が形成され、前記予備成形体を再成形して完成品が製造されることを特徴とする。
【0013】
前記混合物の割合は、膨脹黒鉛2〜20重量%、板状黒鉛40〜70重量%、フェノール樹脂20〜40重量%または膨脹黒鉛6〜32重量%、炭素纎維30〜60重量%、フェノール樹脂35〜40重量%のうちいずれか一つであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、予備成形工程及び主成形工程の2段階でセパレータを製造するので、主成形時間が短縮されて大量生産に有利な燃料電池用セパレータを製造することができる。また、膨脹黒鉛と板状黒鉛及びフェノール樹脂、または膨脹黒鉛と炭素纎維及びフェノール樹脂を理想的に混合する複合素材を利用したので、製品の軽量化が可能である。さらに、セパレータの性能条件を満足させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の第1及び第2実施形態の燃料電池用セパレータ及びセパレータの製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。予備成形体が加圧されて複合材料セパレータを形成するので、セパレータに参照番号を表記せず、第1及び第2実施形態での混合物には、便宜上同一の参照番号を使用する。
【実施例】
【0016】
本発明の第1実施形態の燃料電池用セパレータは、板状黒鉛を補強する複合材料セパレータとして、膨脹黒鉛と板状黒鉛とフェノール樹脂を混合した混合物13が、予備成形工程(A)及び主成形工程(B)を経て作られる。
【0017】
また、本発明の第2実施形態の燃料電池用セパレータは、炭素纎維を補強する複合材料セパレータとして、膨脹黒鉛と炭素纎維とフェノール樹脂を混合した混合物が、予備成形工程を経て予備成形体17になり、この予備成形体17が主成形工程を経てセパレータになる。
【0018】
この時、第1実施形態に係る混合物13の理想的な造成の割合は、膨脹黒鉛が2〜20重量%、板状黒鉛が40〜70重量%、フェノール樹脂20〜40重量%であることが望ましい。その理由は次のとおりである。
【0019】
膨脹黒鉛は、伝導性ネットワークが形成され、充填体積が大きく、粒子がお互いに絡まれるので、予備成形体17の製作に有利である。膨脹黒鉛が2重量%未満の場合、充填体積が小さく予備成形体17の製作が難しい。また、膨脹黒鉛が20重量%を超過すると、充填体積が極めて大きくなり、内部気体が抜け出すことができず、曲げ強度の強さが弱くなる。そのため、膨脹黒鉛は、2〜20重量%程度に添加することが望ましい。
【0020】
板状黒鉛は、フェノール樹脂と共にセパレータの強度を確保する役割を果たす。板状黒鉛は、40%重量未満を入れた場合、曲げ強度をまともに補強することができず、70重量%を超過すれば膨脹黒鉛の伝導性ネットワーク形成を妨げて伝導度が大きく低下する。従って、板状黒鉛は、50〜500μmで40〜70重量%の範囲内で添加することが望ましい。
【0021】
フェノール樹脂は、粉末形態で使用し、セパレータの加工性を向上させるために添加される。また、20重量%未満を入れた場合、加工性が低下し、40重量%を超過すれば伝導度が低下してセパレータの硬度が弱くなるので、20〜40重量%で添加することが望ましい。
【0022】
一方、第2実施形態の混合物13の理想的な割合は、膨脹黒鉛が6〜32重量%、板状黒鉛が30〜60重量%、フェノール樹脂35〜40重量%であることが望ましい。その理由は次のとおりである。
【0023】
膨脹黒鉛が6重量%未満の場合、予備成形体17の製造は可能であるが、過多な炭素繊維量によって電気伝導度が燃料電池用セパレータの基準以下に低下する。膨脹黒鉛が32重量%を超過すれば、曲げ強度が確保されないので、6〜32重量%で添加することが望ましい。炭素纎維が30重量%未満の場合、曲げ強度をまともに補強することができず、60重量%を超過すれば、高圧に対する抵抗のため混合物の緻密化がなされず、電気伝導度がセパレータの基準以下に低下する。従って、炭素纎維は10〜15μm×200〜250μmで30〜60重量%の範囲内で添加されることが望ましい。フェノール樹脂は、第1実施形態のように20〜40重量%が添加されることが望ましいが、膨脹黒鉛及び炭素纎維の割合に合わせて35〜40重量%を添加することが好適である。
【0024】
本発明の第1と第2実施形態に使用されたフェノール樹脂代わりに、エポキシ樹脂、ピニルエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリビニルデンフルオライド樹脂(PVDF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂などの高分子物質を使用することができる。
【0025】
このようにセパレータに好適な割合で、膨脹黒鉛と補強材(板状黒鉛または炭素纎維)と高分子物質(フェノール樹脂)の混合物13を、30分間よく混ぜた後、予備成形工程(A)及び主成形工程(B)を実施する。
【0026】
図1は、本発明による燃料電池用セパレータの予備成形工程を示した概略図である。図2は、本発明による燃料電池用セパレータの主成形工程を示した概略図である。また、図3は、図1の予備成形工程を数値化したグラフである。図4は、図2の主成形工程を数値化したグラフである。
【0027】
本発明の第1及び第2実施形態による混合物13を予備成形体17に成形するための予備成形工程(A)は、第1下部金型10と第1側面金型12を準備し、混合物13を充填した後、追加金型14を装着して第1上部金型15を結合して加圧及び加熱する段階とを経る。
【0028】
図1に示すように、先ず、第1下部金型10の両側に第1側面金型12をそれぞれ装着して(S10)、第1下部金型10と第1側面金型12が結合された金型の内部に混合物13を充填する(S20)。その後、スプレッダ19を往復移動させ金型の内部空間に一定な高さで混合物13を均一に分散させ(S30)、第1側面金型12の上部に追加金型14をそれぞれ設置する(S40)。
【0029】
追加金型14は、第1上部金型15の下降通路を確保し、充填高さを調節するために使用される。追加金型14の装着後、第1上部金型15を混合物13の上部に位置させて加圧する(S50)。この時、上部金型の中間には、引っ掛けスティック16が形成されて追加金型14の上面に接触されるので、引っ掛けスティック16により所望の予備成形体17の厚さを確保することができる。
【0030】
複合素材セパレータの厚さは、混合物13の充填量によって決まるが、粉末の充填の割合及び粒子の種類と大きさによって混合物13の充填高さが変わる。従って、追加金型14の高さを変更することで、所望の充填高さを確保してセパレータの厚さを調節することができる。
【0031】
本発明の第1及び第2実施形態で使用される複合素材セパレータ成形用高分子物質は、フェノール樹脂とした。フェノール樹脂は、融点が90℃で、通常的に150℃で1分になると硬化する。このような硬化時間は、純粋フェノール樹脂の状態である時の時間なので、膨脹黒鉛と板状黒鉛または膨脹黒鉛と炭素纎維が、80重量%程度が混合した状態では、熱が伝達されるため、より長い時間が必要とされる。従って、予備成形体17を成形する温度は、フェノール樹脂が溶融される温度より高めの100〜120℃であることが望ましい。また、過度な硬化を防ぐために5〜10分間加熱することが望ましい。
【0032】
また、予備成形体17の厚さは、内部気体の除去及び主成形工程(B)の容易性のために5〜15mm厚さに成形することが望ましい。そして、予備成形体17が主成形工程(B)で再び加圧され伸びるので、実際製作しようとするセパレータの大きさより四つの角が0〜5mm程度ずつ小さく製作することが望ましい。予備成形体17の成形後、これを金型から容易に分離できるように第1側面金型12が第1下部金型10の左右に分離できるように設置される。このように形成された予備成形体17は、完全に硬化する前に分離された後、常温で保管して主成形工程(B)に使用する。
【0033】
主成形工程(B)は、第2下部金型20の両側に第2側面金型21を装着した後(S100)、第2下部金型20と第2側面金型21の内部空間に予備成形体17を挿入する(S200)。その後、予備成形体17の上部に第2上部金型(22)を位置させて加圧する。
【0034】
第2上部金型22が予備成形体17の上部に結合された状態で、予備成形体17は常温で少し硬化された状態なので、フェノール樹脂の2次流動を確保するために150〜180℃で10〜60秒間予熱して流動を確保する。この時、予熱圧力は0.5MPa以下の低圧であることが望ましい。予熱工程が終われば、1〜5MPaの圧力を加えた後、解止して内部の気泡を除去する。この工程が変動(fluctuating)圧力工程である。
【0035】
なお、混合物13の圧縮、加熱過程で、粉末の間に存在していた空気またはフェノール樹脂に含有されていた水分から生成された水蒸気は、予備成形体17の内部から気泡となって抜け出す。適切な流動を確保し、適切な主成形圧力で成形する必要がある。
【0036】
主成形圧力が3MPa未満の場合、成形が完全になされず、電気伝導度及び曲げ強度などが低下する。主成形圧力が15MPaを超過しても、これ以上の物性向上がないので、主成形圧力は3〜15MPaであることが望ましい。
【0037】
主成形工程(B)において、プレス(press)温度は、予熱から脱型まで一定に維持されなければならない。成形温度が100℃未満の場合には成形時間が長く、また、200℃を超過する場合、フェノール樹脂に破壊が生じるので、100〜200℃間を維持することが望ましい。また、主成形工程(B)において、成形維持時間が1分未満の場合、電気的かつ機械的物性が良くなく、3分を超過しても、それぞれの物性がこれ以上向上せず、1〜5分間の成形を維持することが望ましい。
【0038】
本発明の第1実施形態の板状黒鉛を補強する複合セパレータは、先ず、膨脹黒鉛を7重量%、板状黒鉛を64重量%、フェノール樹脂を29重量%として混合物を作り、これを110℃の温度で7分間成形して10mm厚さの予備成形体に成形する。その後、予備成形体を150℃で加熱された高温プレスで20秒間予熱して2次流動を確保し、圧力を3.5MPaまで上げた後、圧力を抜いて気泡を除去した後、直に7MPaまで圧力を上げて3分間主成形をして板状黒鉛を補強する複合セパレータが完成される。
【0039】
また、本発明の第2実施形態の炭素纎維を補強する複合セパレータも、膨脹黒鉛を6〜32重量%、炭素纎維を30〜60重量%、フェノール樹脂を35〜40重量%で混合して110℃で7分間過熱し、10mm厚さに成形した後、同一の主成形過程を経て炭素纎維を補強する複合セパレータが完成される。
【0040】
このようにして製作した本発明の第1と第2実施形態の複合材料セパレータの性能は次に示す。
【0041】
図5は、本発明に係る燃料電池用セパレータの密度、電気伝導度及び曲げ強度測定のための試片の位置を示した平面図である。図6は、第1実施形態による図5の試片の密度分布を示したグラフである。図7は、第1実施形態による図5の試片の電気伝導度分布を示したグラフである。図8は、第1実施形態による図5の試片の曲げ強度分布を示したグラフである。
【0042】
図5に示すように、セパレータの四つの地点で試片を準備し、密度と電気伝導度及び曲げ強度を測定した。よって、板状黒鉛補強セパレータの密度分布は、1.71〜1.75g/cm3の範囲にあり、平均密度は1.73g/cm3、標準偏差は0.013g/cm3として、位置に係る密度の分布が良好であることが分かる。同じく電気伝導度は180〜190S/cmの範囲にあり、平均電気伝導度は184S/cm、標準偏差は3.887S/cmであり、曲げ強度の範囲は49〜53MPa、平均曲げ強度は52MPa、標準偏差は1.683MPaであり、また、位置による分布に偏りはなく、ほぼ類似していることが分かる。
【0043】
図9は、第2実施形態による図5の試片の密度分布を示したグラフである。図10は、第2実施形態による図5の試片の電気伝導度分布を示したグラフである。図11は、第2実施形態による図5の試片の曲げ強度分布を示したグラフである。
【0044】
本発明の第2実施形態の炭素纎維補強セパレータも、図5に示すような四つの試片を準備して、密度と電気伝導度及び曲げ強度を測定した。
【0045】
炭素纎維補強セパレータの密度分布は、1.33〜1.37g/cm3の範囲にあり、平均密度は1.351g/cm3、標準偏差は0.013/cm3として、位置による密度の分布が良好であることが分かる。同じく、電気伝導度は148〜151S/cmの範囲にある。平均電気伝導度は151S/cm、標準偏差は1.136S/cmである。曲げ強度の範囲は45〜50MPaであり、平均曲げ強度は47MPa、標準偏差は2.09MPaである。また、位置による分布に偏りはなく、ほぼ類似していることが分かる。
【0046】
従って、本発明による膨脹黒鉛と板状黒鉛及びフェノール樹脂の混合物、または膨脹黒鉛と炭素纎維及びフェノール樹脂の混合物を利用し、2段階の方法で複合素材セパレータを製造することは、既存の粉末圧縮成形の短所を克服することができ、セパレータの軽量化が可能になる。また、予備成形を介して主成形時間が短縮され、より経済的な燃料電池用セパレータを製造することができる。
【0047】
以上、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本概念に基づき、様々な実施形態が可能である。そのような形態も本発明の技術範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明による2段階製造方法は、燃料電池用セパレータの製造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による燃料電池用セパレータの予備成形工程を示した概略図である。
【図2】本発明による燃料電池用セパレータの主成形工程を示した概略図である。
【図3】図1の予備成形工程を数値化したグラフである。
【図4】図2の主成形工程を数値化したグラフである。
【図5】本発明による燃料電池用セパレータの密度、電気伝導度及び曲げ強度を測定するための試片の位置を示した平面図である。
【図6】第1実施形態による図5の試片の密度分布を示したグラフである。
【図7】第1実施形態による図5の試片の電気伝導度分布を示したグラフ。
【図8】第1実施形態による図5の試片の曲げ強度分布を示したグラフ。
【図9】第2実施形態による図5の試片の密度分布を示したグラフ。
【図10】第2実施形態による図5の試片の電気伝導度分布を示したグラフ。
【図11】第2実施形態による図5の試片の曲げ強度分布を示したグラフ。
【符号の説明】
【0050】
10 第1下部金型
12 第1側面金型
13 混合物
14 追加金型
15 第1上部金型
16 引っ掛けスティック
17 予備成形体
19 スプレッダ
20 第2下部金型
21 第2側面金型
22 第2上部金型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に結合されて単位電池を支持する燃料電池用セパレータの製造方法において、前記セパレータが、前記セパレータの形状と類似した未完成の予備成形体を作る予備成形工程及び、前記予備成形体を成形して前記セパレータを製作する主成形工程を経て製造されることを特徴とする予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項2】
前記予備成形工程は、第1下部金型の両側に第1側面金型を装着する段階(S10)と、
前記第1下部金型と第1側面金型の内側に膨脹黒鉛と板状黒鉛及びフェノール樹脂の混合物または膨脹黒鉛と炭素纎維及びフェノール樹脂の混合物のうちいずれか一つを充たす段階(S20)と、
スプレッダを往復移動させて前記混合物を前記第1側面金型の高さに対応するように均一に分散させる段階(S30)と、
前記第1側面金型の上部に前記混合物の充填高さを調節するための追加金型を設置する段階(S40)と、
前記混合物の上部に設置される第1上部金型を装着して前記予備成形体を作る段階(S50)を含むことを特徴とする請求項1に記載の予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項3】
前記混合物は、前記第1上部金型が装着される状態から100〜120℃の温度で5〜10分間加熱されることを特徴とする請求項2に記載の予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項4】
前記予備成形体は、四つの角が実際に成形されるセパレータの大きさより0〜5mm小さく、5〜15mmの厚さに成形されることを特徴とする請求項3に記載の予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項5】
前記主成形工程は、第2下部金型の両側に第2側面金型を装着する段階(S100)と、
前記第2下部金型及び第2側面金型の内側に前記予備成形体を挿入する段階(S200)と、
前記予備成形体の上部に第2上部金型を装着する段階(S300)を含むことを特徴とする請求項1に記載の予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項6】
前記予備成形体は、前記第2上部金型が装着された状態から150〜180℃の温度及び0.5MPa以下の圧力で10〜60秒間低圧予熱した後、1〜5MPaまで加圧し、圧力を抜いて前記混合物内部の気泡を金型の外に抜き、さらに3〜15MPaの圧力で1〜5分間成形する変動圧力工程を経てセパレータを成形することを特徴とする請求項5に記載の予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項7】
両端に結合されて単位電池を支持する燃料電池用セパレータであって、前記セパレータは、膨脹黒鉛と板状黒鉛とフェノール樹脂の混合物または、膨脹黒鉛と炭素纎維とフェノール樹脂の混合物のうちいずれか一つからなり、前記セパレータの形状と類似の予備成形体が形成され、前記予備成形体を再成形して完成品が製造されることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項8】
前記混合物の割合は、膨脹黒鉛2〜20重量%、板状黒鉛40〜70重量%、フェノール樹脂20〜40重量%または膨脹黒鉛6〜32重量%、炭素纎維30〜60重量%、フェノール樹脂35〜40重量%のうちいずれか一つであることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項1】
両端に結合されて単位電池を支持する燃料電池用セパレータの製造方法において、前記セパレータが、前記セパレータの形状と類似した未完成の予備成形体を作る予備成形工程及び、前記予備成形体を成形して前記セパレータを製作する主成形工程を経て製造されることを特徴とする予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項2】
前記予備成形工程は、第1下部金型の両側に第1側面金型を装着する段階(S10)と、
前記第1下部金型と第1側面金型の内側に膨脹黒鉛と板状黒鉛及びフェノール樹脂の混合物または膨脹黒鉛と炭素纎維及びフェノール樹脂の混合物のうちいずれか一つを充たす段階(S20)と、
スプレッダを往復移動させて前記混合物を前記第1側面金型の高さに対応するように均一に分散させる段階(S30)と、
前記第1側面金型の上部に前記混合物の充填高さを調節するための追加金型を設置する段階(S40)と、
前記混合物の上部に設置される第1上部金型を装着して前記予備成形体を作る段階(S50)を含むことを特徴とする請求項1に記載の予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項3】
前記混合物は、前記第1上部金型が装着される状態から100〜120℃の温度で5〜10分間加熱されることを特徴とする請求項2に記載の予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項4】
前記予備成形体は、四つの角が実際に成形されるセパレータの大きさより0〜5mm小さく、5〜15mmの厚さに成形されることを特徴とする請求項3に記載の予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項5】
前記主成形工程は、第2下部金型の両側に第2側面金型を装着する段階(S100)と、
前記第2下部金型及び第2側面金型の内側に前記予備成形体を挿入する段階(S200)と、
前記予備成形体の上部に第2上部金型を装着する段階(S300)を含むことを特徴とする請求項1に記載の予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項6】
前記予備成形体は、前記第2上部金型が装着された状態から150〜180℃の温度及び0.5MPa以下の圧力で10〜60秒間低圧予熱した後、1〜5MPaまで加圧し、圧力を抜いて前記混合物内部の気泡を金型の外に抜き、さらに3〜15MPaの圧力で1〜5分間成形する変動圧力工程を経てセパレータを成形することを特徴とする請求項5に記載の予備成形体を利用した燃料電池用セパレータの2段階製造方法。
【請求項7】
両端に結合されて単位電池を支持する燃料電池用セパレータであって、前記セパレータは、膨脹黒鉛と板状黒鉛とフェノール樹脂の混合物または、膨脹黒鉛と炭素纎維とフェノール樹脂の混合物のうちいずれか一つからなり、前記セパレータの形状と類似の予備成形体が形成され、前記予備成形体を再成形して完成品が製造されることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項8】
前記混合物の割合は、膨脹黒鉛2〜20重量%、板状黒鉛40〜70重量%、フェノール樹脂20〜40重量%または膨脹黒鉛6〜32重量%、炭素纎維30〜60重量%、フェノール樹脂35〜40重量%のうちいずれか一つであることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池用セパレータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−78107(P2008−78107A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322983(P2006−322983)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】
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