説明

亜鉛結合部分を含むVEGFRインヒビター

本発明は、VEGFRインヒビターおよび癌などの細胞増殖疾患の治療におけるそれらの使用に関する。前記の誘導体は、HDACインヒビターとしてさらに機能し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2007年9月10日に出願された米国仮特許出願第60/971,030号、および2008年3月10日に出願された米国仮特許出願第60/035,281号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
プロテインキナーゼ(PK)は、タンパク質のチロシン、セリンおよびトレオニン残基のヒドロキシル基のリン酸化を触媒する酵素である。細胞の成長、分化、増殖、細胞周期および生存などの細胞生涯の多くの局面はプロテインキナーゼ活性に依存する。さらに、異常なプロテインキナーゼ活性は癌および炎症などの多くの障害に関連している。したがって、プロテインキナーゼ活性を調節するための方法を同定する多くの努力がなされている。
【0003】
レセプターチロシンキナーゼ(「RTK」)は、多様な生物活性を有する膜貫通レセプターの多くのファミリーを含む。現在、少なくとも19種のRTKの異なるサブファミリーが同定されている。これらの例は、サブファミリー血小板由来成長因子レセプター(「PDGFR」)であり、これにはPDGFRα、PDGFRβ、CSFIR、c-Kit、c-Metおよびc-FMSが含まれる。これらのレセプターは、様々な数の免疫グロブリン様ループで構成されるグリコシル化細胞外ドメインおよびチロシンキナーゼドメインが無関係なアミノ酸配列で中断された細胞内ドメインからなる。PDGFRサブファミリーとの類似性のために、しばしば後者の群にまとめられる別の群は、胎児肝臓キナーゼ(「flk」)レセプターサブファミリーである。この群は、キナーゼ挿入ドメイン-レセプター胎児肝臓キナーゼ-1(KDR/FLK-1、VEGF-R2)、flk-1R、flk-4およびfms様チロシンキナーゼ1(flt-1)で構成されると考えられている。
【0004】
上皮増殖因子レセプターファミリーは、上皮増殖因子レセプター(EGFR、Erb-B1)およびHER2(Erb-B2)を含むチロシンキナーゼ増殖因子レセプターの別のファミリーである。これらのレセプターの両方は、正常細胞および悪性細胞の増殖に関与する(Artega, CL., J. Clin Oncol 19, 2001, 32-40)。EGFRの過剰発現は、非小細胞肺癌(NSCLC)、乳癌、神経膠腫、頭部および頚部の扁平上皮癌、ならびに前立腺癌などのヒトの癌の少なくとも70%に存在する(Seymour, L.K., Curr Drug Targets 2, 2001, 117-133)(Raymond et al., Drugs 60 Suppl 1, 2000, discussion 41-2;Salomon et al., Crit Rev Oncol Hematol 19, 1995, 183-232;Voldborg et al., Ann Oncol 8, 1997, 1197-1206)。HER2は、全ての乳癌の約15〜20%で過剰発現し、より攻撃的な疾患に関連する。したがって、EGFRおよびHER2は、新規癌治療の開発のための魅力的な標的であると広く認識されている。
【0005】
癌治療の魅力的な標的である別のレセプターチロシンキナーゼはc-Metである(Peruzzi and Bottaro, Clin. Cancer Res. 12, 2006 3657-3660;Jeffers et al., Mol. Cell Biol. 1996, 1115-1125)。c-Metは上皮、内皮および間葉細胞などの種々の細胞型で発現され、細胞の遊走、侵入および増殖に関与する。c-Metの過剰発現は、腎臓、膀胱、頚部、前立腺、乳房、肺、結腸、食道、胃、卵巣、肝臓および甲状腺の癌、ならびに血管腫、扁平上皮骨髄性白血病、星状細胞腫、メラノーマ、多発性骨髄腫および多形グリア芽腫などの種々の癌で生じる。c-Metの活性化は、腫瘍の侵襲性増殖および転移に寄与する。
【0006】
チロシンキナーゼ増殖因子レセプターファミリーのさらなるメンバーは、血管内皮増殖因子(VEGF")レセプターサブグループである。VEGFは、PDGFに類似の二量体糖タンパク質であるが、インビボでは異なる生物学的機能と標的細胞特異性を有する。特に、VEGFは、現在では脈管形成および血管形成に重要な働きをしていると考えられている。公知のRTKサブファミリーのより完全なリストはPlowman et al., DN&P, 1994, 7(6):334-339に記載される。血管形成の阻害は、癌、糖尿病、乾癬、関節リウマチ、カポジ肉腫、血管腫、急性および慢性の腎症、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性炎症、子宮内膜症、機能不全性子宮出血、ならびに網膜管増殖を伴う眼性疾患などの血管形成に関連する疾患状態の治療において明確に重要である。
【0007】
慢性骨髄性白血病(CML)の治療におけるチロシンキナーゼインヒビター、グレベック(ABLチロシンキナーゼ)の劇的な臨床の成功は、全てのkinomeのインヒビターを開発する活動に刺激を与えた。グレベックの早期の成功にも関わらず、個々のキナーゼを選択的に標的化することにより薬物耐性腫瘍の発生がもたらされ得ることが明らかとなった。薬物/キナーゼ結合ポケット内に変異を生じた細胞は、薬物の存在下で増殖の利点を示し、実質的に疾患の進行がもたらされる。
【0008】
かかる薬物耐性腫瘍の発生の機会の低減を補助し、観察される全体的な応答速度を増大するために、製薬会社は現在、広範囲に作用するキナーゼインヒビターの開発を始めている(Atkins, M, et al., Nat Rev Drug Discov 5(4), 2006, 279-280;Kling, J., Nat Biotechnol 24(8), 2006, 871-2;Frantz, S., Nature, 2006, 942-943;Garber, K., Nat Biotechnol, 2006, 24(2) 127-130)。セジラニブ(AZD 2171)は、VEGF1、VEGF2、VEGF3、Flt-1およびc-Kitを標的化することが見出された。

【0009】
さらに、複数の病原経路および多くの分子成分を伴う種々の疾患の複雑で多機能な性質を解明することにより、単独療法よりも多重標的療法が有利であり得ることが示唆される。癌、感染性疾患、心臓血管疾患およびその他の複雑な病理の分野において、多くのかかる疾患について2つ以上の薬剤を使用した最近の併用療法により、この併用アプローチが、薬物耐性の克服、毒性の低下、およびいくつかの場合は個々の成分と比較して相乗的な治療効果に関して利点を提供し得ることが示される。
【0010】
特定の癌はかかる併用アプローチにより効果的に治療されるが、細胞毒性薬物のカクテルを使用した治療計画は、しばしば毒性および薬物-薬物相互作用を制限する用量により制限される。分子標的化薬物を用いたさらに最近の進歩は、癌の併用治療に新規のアプローチをもたらし、複合的な標的化剤を同時に使用することを可能にするか、またはこれらの新規の療法と標準的な化学療法もしくは放射線を組み合わせて毒性を制限する用量に達することなく結果を向上させる。しかし、現在では、かかる組合せを使用する能力は、適合性のある薬理学および薬力学特性を示す薬物に限定される。また、併用療法の安全性および効力を示すための一定要件は、相当する単一薬剤試験よりもコスト高で長くなり得る。これまでに認可された併用ストラテジーは、必要とされるより複雑な投与模範のために患者に対するコストの増大および患者コンプライアンスの低下にも関連し得る。
【0011】
タンパク質およびポリペプチド系の治療の分野において、2つの異なるタンパク質/ポリペプチドのアミノ酸配列のほとんどもしくは全部を含み、別々のタンパク質/ポリペプチドの個々の結合活性を保持するコンジュゲートまたは融合タンパク質を調製することは慣例となった。このアプローチは、実質的に独立した様式でコンポーネントがその細胞標的に結合することを可能にする、構成タンパク質ドメインおよび大きなサイズのコンジュゲートの独立した折り畳みにより可能になる。しかしながら、かかるアプローチは、小分子治療剤の場合においては一般的に実行可能ではなく、より小さな構造改変により、得られる分子の標的結合および/または薬物動力学的/薬力学的特性に大きな変化をもたらし得る。
【0012】
他の標的化薬剤と組み合わせたヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の使用は、相乗効果を生じることが示されている。ヒストンアセチル化は可逆的な修飾であり、脱アセチル化はHDACと称される酵素のファミリーにより触媒される。HDACはヒトのX遺伝子により示され、4つの異なるクラスに分類される(J Mol Biol, 2004, 338:1, 17-31)。哺乳動物において、クラスI HDAC(HDAC1〜3、およびHDAC8)は酵母RPD3 HDACに関連し、クラス2(HDAC4〜7、HDAC9およびHDAC10)は酵母HDA1に関連し、クラス4(HDAC11)、およびクラス3(酵母Sir2に関連するsirtuinを包含する異なるクラス)がある。
【0013】
Csordas, Biochem. J., 1990, 286: 23-38には、ヒストンは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT1)により触媒される反応であるN末端リシン残基のε-アミノ基の翻訳後アセチル化に重要であることが教示される。アセチル化はリシン側鎖の正の電荷を中和し、クロマチン構造に影響を与えると考えられている。実際、転写因子のクロマチン鋳型への接近は、ヒストン過アセチル化により促進され、十分にアセチル化されていないヒストンH4の富化は、ゲノムの転写サイレント領域中に見られる(Taunton et al., Science, 1996, 272:408-411)。腫瘍抑制遺伝子の場合、ヒストンの修飾による転写サイレンシングは癌遺伝子の形質転換および癌をもたらし得る。
【0014】
現在、HDACインヒビターのいくつかのクラスが臨床の研究者により評価されている。最初のFDA認可HDACインヒビターは、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の治療のためのスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA、ゾリンザ(Zolinza)(登録商標))である。他のHDACインヒビターとしては、ヒドロキサム酸誘導体、PXD101およびLAQ824が挙げられ、現在臨床開発中である。HDACインヒビターのベンズアミドクラスでは、MS-275、MGCD0103およびCI-994が臨床試験に達している。Mourne et al.(Abstract #4725、AACR 2005)には、ベンズアミドのチオフェニル修飾がHDAC1に対するHDAC阻害活性を有意に増強することが示されている。
【0015】
最近の進歩により、他の標的薬剤と組み合わせたHDACインヒビターは癌の治療において有利な結果をもたらし得ることが示唆される。例えば、SAHAを用いた共治療は、BT-474およびSKBR-3細胞のEGFR2抗体、トラスツズマブ誘導性アポトーシスを有意に増大し、乳癌細胞に対して相乗的な細胞毒性効果を誘導した(Bali, Clin. Cancer Res., 2005, 11, 3392)。HDACインヒビター、例えばSAHAは、ゲフィチニブと組み合わせて使用した場合、ゲフィチニブ単独療法に対して耐性である株などの頭部および頚部癌細胞株において、相乗的な抗増殖、アポトーシス効果を示した(Bruzzese et al., Proc. AACR, 2004)。ゲフィチニブ耐性細胞株をHDACインヒビター、MS-275で前処理することにより、EGFR変異を有する系統などのゲフィチニブ感受性NSCLC細胞株において見られたものと同様のゲフィチニブの増殖阻害およびアポトーシス効果がもたらされた(Witta S. E., et al., Cancer Res 66:2, 2006, 944-50)。HDACインヒビター、PXD101は、EGFR1インヒビター、タルセバ(登録商標)(エルロチニブ)と共に相乗的に作用して増殖を阻害することが示された(WO2006082428A2)。
【0016】
PC3異種移植片中で観察されたHDACインヒビターFK228の抗腫瘍活性は、VEGFおよびβFGFなどの血管形成因子の抑制に依存する(Sasakawa et al., Biochem. Pharmacol., 2003, 66, 897)。HDACインヒビターNVP-LAQ824は、血管形成を阻害することが示され、血管内皮増殖因子レセプターチロシンキナーゼインヒビターPTK787/ZK222584と組み合わせて使用した場合に高い抗腫瘍効果を有する(Qian et al., Cancer Res., 2004, 64, 66260)。
【0017】
上述される種類の現在の治療計画は、複数の薬剤の投与による薬物耐性の課題に取り組むことを企図する。しかし、オフターゲットな副作用および薬物-薬物相互作用のために、複数の薬剤の組み合わされた毒性はしばしばこのアプローチの有効性を制限する。さらに、異なる薬物動態学を有する化合物を単一投与形態に組み合わせることはしばしば困難であり、異なる時間間隔で複数の医薬を服用することの必然的な要件として、薬物組合せの効力を害し得る患者コンプライアンスを伴った課題がもたらされる。また、併用療法の健康管理の費用は、単独分子療法よりも大きくなり得る。さらに、2つの薬剤の組合せの活性/安全性を示すことの負担が一薬剤よりも大きくなり得るので、併用療法の規制の認可を受けることがより困難になり得る。(Dancey J & Chen H, Nat. Rev. Drug Dis., 2006, 5:649)。交差反応性によってではなく合理的な設計によって選択される複数の治療標的を標的化する新規の薬剤の開発は、これらの制限を回避しながら患者の成果の向上を補助する。したがって、依然として多くの努力が選択的抗癌薬の開発および公知の抗癌薬の新規でより効果的な組合せに向けられている。
【発明の概要】
【0018】
(発明の概要)
本発明は、VEGFRのインヒビターとして、向上され予測されない特性を有する亜鉛結合部分を含むVEGFRインヒビターに基づく誘導体、ならびに癌などのVEGFRに関連する疾患および障害の治療におけるその使用に関する。
【0019】
本発明の化合物はさらに、亜鉛イオンに結合し得るためにHDACまたはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)のインヒビターとして作用し得る。驚くべきことに、これらの化合物は複数の治療標的に対して活性であり、疾患の治療に有効である。さらに、いくつかの場合において、個々にVEGFRおよびHDAC活性を有する別々の分子の組合せの活性と比較した場合に、化合物は増強された活性を有することが驚くべきことに見出された。言い換えると、ファーマコフォアを一分子に組み合わせることで、個々のファーマコフォアと比較して相乗効果がもたらされ得る。より具体的には、亜鉛イオンに結合してHDACおよび/またはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性を阻害し得る分子の第1の部分、ならびに別々の離れた標的に結合可能でVEGFRを阻害して治療の利益を提供する分子の少なくとも第2の部分を同時に含む化合物を調製することが可能であることが見出された。好ましくは、本発明の化合物は、VEGFR活性およびHDAC活性の両方を阻害する。
【0020】
したがって、本発明は、一般式I:


(式中
Z1、Z2およびZ3は独立して、CR21、NR8、N、OまたはSからなる群より選択され、ここでR8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族であり;R21は独立して水素、ヒドロキシ、置換ヒドロキシ、アミノ、置換アミノ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、置換または非置換チオール、CF3、CN、NO2、N3、置換カルボニル、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族からなる群より選択される;
X1〜X3は独立してNまたはCR21である;
YはNR8、O、S、SO、SO2、脂肪族および置換脂肪族である;
Mは独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、CF3、CN、N3、NO2、スルホニル、アシル、1つ以上のメチレンがO、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環で中断または終結され得る置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、またはアルキニルヘテロシクリルアルキニルから選択され;ここでR8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である;
Bはリンカーである;
Cは
(a)


(式中、W1はOまたはSであり;Y1は非存在、NまたはCHであり;Z1はNまたはCHであり;R7およびR9は独立して、水素、OR'、脂肪族または置換脂肪族であり、ここでR'は水素、脂肪族、置換脂肪族またはアシルである;但し、R7およびR9が両方存在する場合、R7またはR9の1つがOR'である必要があり、Yが非存在である場合、R9はOR'である必要があり;R8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である);
(b)


(式中、W1はOまたはSであり;JはO、NHまたはNCH3であり;R10は水素または低級アルキルである);
(c)


(式中、W1はOまたはSであり;Y2およびZ2は独立してN、CまたはCHである);ならびに
(d)


(式中、Z1、Y1およびW1は前述に規定の通りであり;R11およびR12は独立して水素または脂肪族から選択され;R1、R2およびR3は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、置換ジアルキルアミノ、置換または非置換アルキルチオ、置換または非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族、置換脂肪族、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環から選択される)
から選択される)
を有する化合物またはその幾何学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、それらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
第1の態様において、本発明の化合物は上述の式(I)で表される化合物、またはその幾何学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、それらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物である。一例において、Z1、Z2およびZ3は独立して、CR21、NR8、N、OまたはSからなる群より選択され、ここでR8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族であり;R21は独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族からなる群より選択される;
X1〜X3は独立してC、NまたはCR21であり;
YはNR8、O、S、SO、SO2、脂肪族および置換脂肪族であり;
Mは独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、CF3、CN、N3、NO2、スルホニル、アシル、1つ以上のメチレンがO、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環で中断または終結され得る置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニルまたはアルキニルヘテロシクリルアルキニルから選択され;ここでR8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である;
Bはリンカーである;
Cは
(a)


(式中、W1はOまたはSであり;Y1は非存在、NまたはCHであり;Z1はNまたはCHであり;R7およびR9は独立して水素、OR'、脂肪族または置換脂肪族であり、ここでR'は水素、脂肪族、置換脂肪族またはアシルであり;但し、R7およびR9が両方存在する場合、R7またはR9の1つはOR'である必要があり、Yが非存在である場合、R9はOR'である必要があり;R8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である);
(b)


(式中、W1はOまたはSであり;JはO、NHまたはNCH3であり;R10は水素または低級アルキルである);
(c)


(式中、W1はOまたはSであり;Y2およびZ2は独立してN、CまたはCHである);ならびに
(d)


(式中、Z1、Y1およびW1は前述に規定の通りであり;R11およびR12は独立して水素または脂肪族から選択され;R1、R2およびR3は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、置換ジアルキルアミノ、置換または非置換アルキルチオ、置換または非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族、置換脂肪族、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環から選択される)
から選択される。
【0022】
一態様において、本発明の化合物は、下記の式(II)で表される化合物、またはその幾何学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、それらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物である:


(式中、B1は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環またはアリールであり;B2は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)またはCOであり;B3は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)、CO、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであり;B4は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)、CO、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであり;B5は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであり;M、Y、R'、Z1〜Z3、X1〜X3およびR8は前述に規定の通りである)。
【0023】
一態様において、本発明の化合物は下記の式(III)で表される化合物、またはその幾何学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、それらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物である:


(式中、B1は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環またはアリールであり;B2は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)またはCOであり;B3は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)、CO、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであり;B4は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)、CO、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであり;B5は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであり;M1は非存在、C1〜C6アルキル、O、S、SO、SO2、NH、アルキルアミン、CO、アリール、ヘテロアリールであり;M2は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;M3は非存在、C1〜C6アルキル、O、S、SO、SO2、NH、アルキルアミン、アリール、ヘテロアリールであり;M4は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;M5はOH、SH、NR7R8、CO2R8、SOR8、SO2R8、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環であり;Y、R'、Z1〜Z3、X1〜X3およびR8は前述に規定の通りである)。
【0024】
本発明の代表的な化合物は下記の表Aから選択される化合物またはその幾何学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、それらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物である。
【0025】



【0026】
実施例に示されるように、本発明の化合物は、一般的に異なる効力ではあるがHDACおよび種々のチロシンレセプターキナーゼを阻害し得る。データは、Yが酸素原子である化合物が、VEGFR2に対してより大きな阻害活性を有することを示す。データはまた、Yが酸素原子である化合物が、c-Metに対してより大きな阻害活性を有することを示す。データはさらに、YがNHである化合物が、EGFRに対してより大きな阻害活性を有することを示す。
【0027】
本発明はさらに、細胞の異常な増殖、分化もしくは生存に関連する疾患もしくは状態の予防または治療のための方法を提供する。一態様において、本発明はさらに、細胞の異常な増殖、分化もしくは生存に関連する疾患を停止または減少するための医薬の製造における本発明の1つ以上の化合物の使用を提供する。好ましい態様において、該疾患は癌である。一態様において、本発明は、被験体に治療有効量の本発明の化合物を投与する工程を含む、治療の必要な被験体における癌の治療方法に関する。
【0028】
用語「癌」は、悪性新形成細胞の増殖により引き起こされる任意の癌、例えば腫瘍、新生物、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫等のことをいう。例えば、癌としては、限定されないが、中皮腫、白血病およびリンパ腫、例えば皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)、非皮膚末梢T細胞性リンパ腫、ヒトT細胞性リンパ栄養ウイルス(HTLV)と関連するリンパ腫、例えば成体T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)、B細胞リンパ腫、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、成体T細胞性白血病リンパ腫、急性骨髄白血病(AML)、慢性骨髄白血病(CML)、または肝細胞癌が挙げられる。さらなる例としては、骨髄異形成症候群、小児期固体腫瘍、例えば脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、骨腫瘍、および軟組織肉腫、成体の一般的な固体腫瘍、例えば頭部および頚部癌(例えば口、咽頭、鼻咽頭および食道)、尿生殖器癌(例えば前立腺、膀胱、腎臓、子宮、卵巣、精巣)、肺癌(例えば小細胞および非小細胞)、乳癌、膵臓癌、メラノーマおよび他の皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、ゴーリン症候群と関連する腫瘍(例えば髄芽細胞腫、髄膜腫など)、ならびに肝臓癌が挙げられる。主題の化合物により治療され得るさらなる具体的な形態の癌としては、限定されないが、骨格筋または平滑筋の癌、胃癌、小腸の癌、直腸癌、唾液腺の癌、子宮内膜癌、副腎癌、肛門癌、直腸癌、副甲状腺癌および下垂体癌が挙げられる。
【0029】
予防、治療および研究において本明細書に記載される化合物が有用であり得るさらなる癌は、例えば結腸癌、家族性腺腫性ポリポーシス癌および遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、またはメラノーマである。さらに、癌としては、限定されないが、口唇癌、咽頭癌、下咽頭癌、舌癌、唾液腺癌、胃癌、腺癌、甲状腺癌(髄質および乳頭甲状腺癌)、腎臓癌、腎臓実質癌、頚部癌、子宮体癌、子宮内膜癌、柔毛膜癌、精巣癌、尿路癌、メラノーマ、脳腫瘍、例えば神経膠芽腫、星状細胞腫、髄膜腫、髄芽細胞腫および末梢神経外胚葉腫瘍、胆嚢癌、気管支癌、多発性骨髄腫、基底細胞腫、奇形腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜メラノーマ、精上皮腫、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫、ならびに形質細胞腫が挙げられる。本発明の一局面において、本発明は癌の治療のための医薬の製造における本発明の1つ以上の化合物の使用を提供する。
【0030】
一態様において、本発明は、さらなる細胞の異常な増殖、分化または生存を予防する医薬の製造における本発明の1つ以上の化合物の使用を含む。例えば、本発明の化合物は、腫瘍の大きさの増大または転移状態に達するのを防ぐことに有用であり得る。主題の化合物は、癌の進行もしくは進化を停止するため、または腫瘍アポトーシスを誘導するため、または腫瘍血管形成を阻害するために投与され得る。また、本発明は、癌の再発を防ぐための主題の化合物の使用を含む。
【0031】
本発明はさらに、過形成、異形成および前癌性病変などの細胞増殖障害の治療または予防を包含する。異形成は、病理学者により生検中で認識され得る前癌性病変の最も初期の形態である。主題の化合物は、前記過形成、異形成または前癌性病変が広がり続けることまたは癌性になることを防ぐために投与され得る。前癌性病変の例は、皮膚、食道組織、乳房および子宮頚部上皮内組織に生じ得る。
【0032】
「併用療法」は、他の生物学的に活性な成分(例えば、限定されないが第2のおよび異なる抗新形成剤)および非薬物療法(例えば、限定されないが、手術または放射線治療)とさらに組み合わせた、主題の化合物の投与を含む。例えば、本発明の化合物は、他の薬学的に活性な化合物、好ましくは本発明の化合物の効果を増強し得る化合物と組み合わせて使用され得る。本発明の化合物は、他の薬物療法と同時に(単一調製物または別々の調製物として)または続いて投与され得る。一般的に、併用療法は、治療の1サイクルまたは過程中の2つ以上の薬物の投与を構想する。
【0033】
本発明の一局面において、主題の化合物は、種々の疾患状態に関連するタンパク質キナーゼを調節する1つ以上の別の薬剤と組み合わせて投与され得る。かかるキナーゼの例としては、限定されないが、セリン/トレオニン特異的キナーゼ、レセプターチロシン特異的キナーゼおよび非レセプターチロシン特異的キナーゼが挙げられ得る。セリン/トレオニンキナーゼとしては、有糸分裂促進物質活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、減数分裂特異的キナーゼ(MEK)、RAFおよびauroraキナーゼが挙げられる。レセプターキナーゼファミリーの例としては、上皮増殖因子レセプター(EGFR)(例えば、HER2/neu、HER3、HER4、ErbB、ErbB2、ErbB3、ErbB4、 Xmrk、DER、Let23);線維芽細胞成長因子(FGF)レセプター(例えば、FGF-R1、GFF-R2/BEK/CEK3、FGF-R3/CEK2、FGF-R4/TKF、KGF-R);肝細胞成長/散乱因子レセプター(HGFR)(例えば、Met、RON、SEA、SEX);インスリンレセプター(例えば、IGFI-R);Eph(例えば、CEK5、CEK8、EBK、ECK、EEK、EHK-1、EHK-2、ELK、EPH、ERK、HEK、MDK2、MDK5、SEK);Axl(例えば、Mer/Nyk、Rse);RET;および血小板由来増殖因子レセプター(PDGFR)(例えば、PDGFα-R、PDGβ-R、CSF1-R/FMS、SCF-R/C-Kit、VEGF-R/FLT、NEK/FLK1、FLT3/FLK2/STK-1)が挙げられる。非レセプターチロシンキナーゼファミリーとしては、限定されないが、BCR-ABL(例えば、p43abl、ARG);BTK(例えば、ITK/EMT、TEC);CSK、FAK、FPS、JAK、SRC、BMX、FER、CDKおよびSYKが挙げられる。
【0034】
本発明の別の局面において、主題の化合物は、非キナーゼ性の生物標的またはプロセスを調節する1つ以上の別の薬剤と組み合わせて投与され得る。かかる標的としては、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)、熱ショックタンパク質(例えば、VEGFR)、およびプロテオソームが挙げられる。
【0035】
好ましい態様において、主題の化合物は、ゾリンザ、タルセバ、イレッサ、タイカーブ、グレベック、スーテント、スプリセル、ネクサバール、ソラフェニブ(Sorafinib)、CNF2024、RG108、BMS387032、アフィニタック、アバスチン、ハーセプチン、アービタックス、AG24322、PD325901、ZD6474、PD184322、オバトダックス(Obatodax)、ABT737およびAEE788などの1つ以上の生物標的を阻害する抗新形成剤(例えば、小分子、モノクローナル抗体、アンチセンスRNA、および融合タンパク質)と組み合わされ得る。かかる組合せは、いずれかの薬剤単独により達成される効果よりも治療効果を増強し得、耐性変異バリアントの出現を予防または遅延し得る。
【0036】
特定の好ましい態様において、本発明の化合物は、化学療法剤と組み合わせて投与される。化学療法剤は、腫瘍学の分野の広範囲な治療的処置剤を包含する。これらの薬剤は、腫瘍を縮小させる、手術後の残存癌細胞を破壊する、寛解を誘導する、寛解を維持するおよび/または癌もしくはその治療に関連する症状を緩和するために、疾患の種々の段階で投与される。かかる薬剤の例としては、限定されないが、アルキル化剤、例えば、マスタードガス誘導体(メクロレタミン、シロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、イホスファミド)、エチレンイミン(チオテパ、ヘキサメチルメラニン)、アルキルスルホネート(ブスルファン)、ヒドラジンおよびトリアジン(アルトレタミン、プロカルバジン、ダカルバジンおよびテモゾロミド)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチンおよびストレプトゾシン)、イホスファミドおよび金属塩類(カルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチン);植物アルカロイド類、例えば、ポドフィロトキシン(エトポシドおよびテニソピド)、タキサン類(パクリタキセルおよびドセタキセル)、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン)、ならびにカンプトテカンアナログ(イリノテカンおよびトポテカン);抗腫瘍抗生物質、例えばクロモマイシン(ダクチノマイシンおよびプリカマイシン)、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、バルルビシンおよびイダルビシン)、ならびに種々雑多な抗生物質、例えばマイトマイシン、アクチノマイシンおよびブレオマイシン;代謝拮抗物質、例えば葉酸アンタゴニスト(メトトレキサート、ペメトレキシド、ラルチトレキシド、アミノプテリン)、ピリミジンアンタゴニスト(5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、カペシタビン、およびゲムシタビン)、プリンアンタゴニスト(6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニン)ならびにアデノシンデアミナーゼインヒビター(クラドリビン、フルダラビン、メルカプトプリン、クロファラビン、チオグアニン、ネララビンおよびペントスタチン);トポイソメラーゼインヒビター、例えばトポイソメラーゼIインヒビター(イリノテカン、トポテカン)ならびにトポイソメラーゼIIインヒビター(アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド);モノクローナル抗体(アレムツズマブ、ゲムツズマブ オゾガミシン、リツキシマブ、トラツズマブ、イブリツモマブ チオキセタン、セツキシマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、ベバシズマブ);ならびに種々雑多な抗新生物形成薬剤、例えばリボヌクレオチドレダクターゼインヒビター(ヒドロキシ尿素);副腎皮質ステロイドインヒビター(ミトタン);酵素(アスパラギナーゼおよびペガスパルガーゼ);抗微小管薬剤(エストラムスチン);ならびにレチノイド類(ベキサロテン、イソトレチノイン、トレチノイン(ATRA))が挙げられる。
【0037】
特定の好ましい態様において、本発明の化合物は、化学保護剤と組み合わせて投与される。化学保護剤は、身体を保護するまたは化学療法の副作用を最小にするように作用する。かかる薬剤の例としては、限定されないが、アムホスチン、メスナ、およびデキスラゾザンが挙げられる。
【0038】
本発明の一局面において、主題の化合物は放射線療法と組み合わせて投与される。放射線は一般的に、内部に(癌部位の近位の放射線材料の埋め込み)または光子(x線もしくはγ線)もしくは粒子放射線を使用する機械から外部に送達される。併用療法がさらに放射線治療を含む場合、放射線治療は、治療剤と放射線治療の組合せによる共作用の有益な効果が達成される限り、任意の適当な時点で行われ得る。例えば、適当な場合、有益な効果は、放射線治療が治療剤の投与から一時的に除去される場合、おそらくは数日またはさらには数週間、さらに達成される。
【0039】
本発明の化合物は、免疫治療剤と組み合わせて使用され得ることが理解されよう。免疫療法の1つの形態は、腫瘍から離れた部位にワクチン組成物を投与することによる、宿主起源の全身性の腫瘍特異的能動免疫応答の生成である。単離腫瘍抗原ワクチンおよび抗イディオタイプワクチンなどの様々な種類のワクチンが提唱されている。別のアプローチは、治療される被験体由来の腫瘍細胞、またはかかる細胞の派生物の使用である(Schirrmacher et al. (1995) J. Cancer Res. Clin. Oncol. 121 :487に概説される)。米国特許第5,484,596号において、Hanna Jr.らは、腫瘍を外科的に除去する工程、コラゲナーゼにより細胞を分散させる工程、細胞に放射線照射する工程、および約107細胞の少なくとも3回連続した用量を患者にワクチン接種する工程を含む、再発または転移を予防するための切除可能な癌腫を治療する方法を特許請求している。
【0040】
本発明の化合物は、1つ以上の補助的治療剤と合わせて有利に使用され得ることが理解されよう。補助療法のための適切な薬剤の例としては、5HT1アゴニスト、例えばトリプタン(例えばスマトリプタンまたはナラトリプタン);アデノシンA1アゴニスト;EPリガンド;NMDAモジュレーター、例えばグリシンアンタゴニスト;ナトリウムチャンネル阻害剤(例えばラモトリジン);サブスタンスPアンタゴニスト(例えばNK1アンタゴニスト);カンナビノイド;アセトアミノフェンまたはフェナセチン;5-リポキシゲナーゼインヒビター;ロイコトリエンレセプターアンタゴニスト;DMARD(例えばメトトレキサート);ガバペンチンおよび関連化合物;三環状抗鬱剤(例えばアミトリプチリン);神経安定化抗痙攣薬;モノアミン作動性取り込みインヒビター(例えばベンラファキシン);マトリックスメタロプロテイナーゼインヒビター;一酸化窒素シンターゼ(NOS)インヒビター、例えばiNOSまたはnNOSインヒビター;腫瘍壊死因子αの放出または作用のインヒビター;抗体療法、例えばモノクローナル抗体療法;抗ウイルス薬、例えば、ヌクレオシドインヒビター(例えばラミブジン)または免疫系モジュレーター(例えばインターフェロン);オピオイド鎮痛薬;局所麻酔薬;興奮剤、例えばカフェイン;H2-アンタゴニスト(例えばラニチジン);プロトンポンプインヒビター(例えばオメプラゾール);制酸薬(例えば水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム;抗膨満薬(例えばシメチコン);うっ血除去薬(例えば、フェニルエフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、またはレボ-デスオキシエフェドリン);鎮咳薬(例えば、コデイン、ヒドロコドン、カルミフェン、カルベタペンタンまたはデキストラメトルファン);利尿薬;または鎮静性もしくは非鎮静性抗ヒスタミンが挙げられる。
【0041】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、集合的に、実質的に全てのマトリックス成分を分解し得る亜鉛依存性中性エンドペプチダーゼのファミリーである。20種より多くのMMP調節剤が製薬的に開発され、そのほぼ半分が癌に指示される。トロント大学の研究者らは、HDACが3T3細胞におけるMMPの発現および活性を制御することを報告した。特に、腫瘍形成および転移を妨げることが示されるトリコスタチンA(TSA)によるHDACの阻害は、マトリックスメタロプロテイナーゼであって、それ自体が腫瘍形成および転移に関わっているゼラチナーゼA(MMP2;IV型コラゲナーゼ)のmRNAおよび酵素電気泳動(zymographic)活性を減少させる(Ailenberg M., Silverman M., Biochem Biophys Res Commun. 2002, 298:110-115)。HDACとMMPの関係を記載する別の最近の論文はYoung D.A., et al., Arthritis Research & Therapy, 2005, 7: 503に見ることができる。さらに、HDACインヒビターとMMPインヒビターの間の共通性はその亜鉛結合機能である。従って、本発明の一局面において、本発明の化合物はMMPインヒビターとして使用され得、MMPの異常制御と関連するまたは相関する障害の治療に有用であり得る。MMPの過剰発現および活性化は、組織破壊を誘導することが公知であり、また、慢性関節リウマチ、歯周病、癌およびアテローム動脈硬化症などの多くの特定の疾患と相関している。
【0042】
該化合物はまた、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の異常制御を伴うか、それに関連するか、またはそれに関する障害の治療においても使用され得る。HDAC活性と関わるかまたは少なくとも部分的にHDAC活性により媒介されることが知られる多くの障害あり、HDAC活性は、疾患の開始またはその症状がHDACインヒビターにより緩和されることが公知であるかもしくは緩和されると示されている疾患の誘発に重要な役割を果たすことが知られている。本発明の化合物を用いた治療に従順であると予想されるこの種類の障害としては、限定されないが、以下のものが挙げられる:抗増殖障害(例えば癌);神経変性疾患、例えばハンチントン病、ポリグルタミン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、線条体黒質変性、進行性核上麻痺、ねじれ失調症、痙性斜頚およびジスキネジー、家族性振せん、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、びまん性レヴィー小体病、進行性核上麻痺、ピック病、脳内出血、原発性側索硬化症、脊髄筋肉萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、過形成間質性多発性神経障害、色素性網膜炎、遺伝性眼萎縮症、遺伝性痙性対麻痺、進行性運動失調およびシャイ-ドレーガー症候群;代謝性疾患、例えば2型糖尿病;眼の変性疾患、例えば緑内障、老化性黄斑変性、ルーベオシス緑内障;炎症性疾患および/または免疫系障害、例えば慢性関節リウマチ(RA)、炎症性骨関節炎、若年性慢性関節炎、移植片対宿主病、乾癬、喘息、脊椎関節症、クローン病、炎症性大腸疾患 潰瘍性大腸炎、アルコール性肝炎、糖尿病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強直性脊椎炎、膜性糸球体症、椎間板起因痛および全身性エリテマトーデス;血管形成に関連する疾患、例えば癌、乾癬、関節リウマチ;精神障害、例えば双極性疾患、統合失調症、躁病、鬱および痴呆;心臓血管疾患、例えば心不全、再狭窄および動脈性硬化症;線維性疾患、例えば肝臓線維症、嚢胞性線維症および血管線維腫;感染性疾患、例えば真菌感染、例えばカンジダアルビカンス、細菌感染、ウイルス感染、例えば単純ヘルペス、原生動物感染、例えばマラリア、リーシュマニア属感染、ブルーストリパノソーマ感染、トキソプラスマ症およびコクシジウム症(coccidlosis)ならびに造血障害、例えばサラセミア、貧血および鎌状赤血球貧血が挙げられる。
【0043】
一態様において、本発明の化合物を使用して、正常発生およびホメオスタシスに重要な生理学的細胞死プロセスであるアポトーシスを誘導または阻害し得る。アポトーシス経路の変換は種々のヒトの疾患の病因の一因となる。本発明の化合物は、アポトーシスのモジュレーターとして、アポトーシスの異常を伴う種々のヒトの疾患、例えば癌(特に、限定されないが、濾胞性リンパ腫、p53変異を伴った癌腫、ホルモン依存性の乳房、前立腺および卵巣の腫瘍、ならびに家族性腺腫様ポリポーシスなどの前癌性病変)、ウイルス感染(例えば、限定されないが、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタインバールウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルス)、自己免疫疾患(例えば、限定されないが、全身性狼瘡、エリテマトーデス、免疫媒介性糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、および自己免疫真性糖尿病)、神経変性障害(例えば、限定されないが、アルツハイマー病、AIDS関連痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮および小脳変性)、AIDS、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、虚血性傷害関連心筋梗塞、脳卒中および再灌流傷害、不整脈、アテローム硬化症、毒素誘導もしくはアルコール誘導肝臓疾患、血液疾患(例えば、限定されないが、慢性貧血および再生不良性貧血)、骨格筋系の変性疾患(例えば、限定されないが、骨粗しょう症および関節炎)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患、ならびに癌痛の治療に有用である。
【0044】
一局面において、本発明は、免疫応答または免疫媒介性応答および疾患の治療および/または予防、例えば心臓、腎臓、肝臓、骨髄、皮膚、角膜、血管、肺、膵臓、腸、足、筋肉、神経組織、十二指腸、小腸、膵臓島細胞、異種移植物等の組織の機能の全てまたは一部を置換するための合成または有機移植物質、細胞、器官または組織の移植後の拒絶の予防または治療;移植片対宿主病、自己免疫疾患、例えば関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、ハシモト甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病ブドウ膜炎、若年発症または最近発症真性糖尿病、ブドウ膜炎、グレーブス病、乾癬、アトピー性皮膚炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、脈絡炎、自己抗体媒介疾患、再生不良性貧血、エヴァンズ症候群、自己免疫溶血性貧血等の治療または予防;および外傷または病原誘導性免疫機能不全のような異常な免疫応答および/または活性化を生じる感染性疾患、例えばB型肝炎およびC型肝炎感染、HIV、スタフィロコッカスオレウス感染、ウイルス脳炎、敗血症、寄生性疾患によって生じ、損傷が炎症性応答(例えばらい病)によって誘導される疾患のさらなる治療;ならびに循環性疾患、例えば動脈性硬化症、アテローム性動脈硬化症、脈絡炎、結節性多発性動脈炎および心筋炎の予防または治療のための本発明の化合物の使用を提供する。また、本発明は、遺伝子治療処置、例えば自己細胞への外来遺伝子の導入およびコードされる産物の発現に関連する免疫応答を予防/抑制するために使用され得る。したがって、一態様において、本発明は、被験体に治療有効量の本発明の化合物を投与する工程を含む、治療の必要な被験体における、免疫応答疾患もしくは障害または免疫媒介性応答もしくは障害を治療する方法に関する。
【0045】
一局面において、本発明は、種々の神経変性疾患の治療における本発明の化合物の使用を提供し、その非完全なリストとしては:I. 他の顕著な神経学的兆候がない進行性痴呆を特徴とする障害、例えばアルツハイマー病;アルツハイマー型の老化性痴呆;およびピック病(葉萎縮症);II. 進行性痴呆と他の顕著な神経学的異常との混合型症候群、例えば、A)主に成体で現れる症候群(例えばハンチントン病、痴呆と運動失調および/またはパーキンソン病の症状との混合型多発性全身萎縮症、進行性核上麻痺(スティール-リチャードソン-オルゼウスキー)、びまん性レヴィー小体病、および皮質歯状核黒質(corticodentatonigral)変性症);ならびにB)主に子供または若年性成体で現れる症候群(例えばハレルフォルデン-シュパッツ病および進行性家族性ミオクローヌス癲癇);III. 姿勢および運動の異常を徐々に発現する症候群、例えば振せん麻痺(パーキンソン病)、線状体黒質変性、進行性核上麻痺、ねじれ失調症(ねじれ痙攣;変形性筋失調症)、痙性斜頚および他のジスキネジー、家族性振せん、およびジル・ド・ラ・トゥーレット症候群;IV. 進行性運動失調の症候群、例えば小脳変性(例えば小脳皮質変性およびオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA));および脊髄小脳変性(フリードライヒ失調症および関連障害);V. 中枢自律神経系機能不全の症候群(シャイ-ドレーガー症候群);VI. 感覚変化のない筋肉弱体および低下の症候群(運動ニューロン疾患、例えば筋萎縮性側索硬化症、脊髄筋肉萎縮症(例えば幼児脊髄筋肉萎縮症(ヴェルドニッヒ-ホフマン)、若年性脊髄筋肉萎縮症(ヴォールファルト-クーゲルベルク-ヴェランデル)および他の形態の家族性脊髄筋肉萎縮症)、原発性側索硬化症、および遺伝性痙性対麻痺;VII. 筋肉弱体および低下と感覚変化との混合型症候群(進行性神経筋肉萎縮症;慢性家族性多発性神経障害)、例えば腓骨筋肉萎縮症(シャルコー-マリー-ツース)、過形成間質性多発性神経障害(ドゥジュリーヌ-ソッタ)、および種々雑多な形態の慢性進行性神経障害;VIII 進行性視力低下の症候群、例えば網膜色素変性(色素性網膜炎)、および遺伝性眼萎縮症(レーバー病)が挙げられる。さらに、本発明の化合物は、クロマチンリモデリングに関与し得る。
【0046】
本発明は、上述されるような本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物を包含する。本発明はまた、本発明の化合物の水和物を含む医薬組成物を包含する。用語「水和物」としては、限定されないが、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物等が挙げられる。本発明はさらに、本発明の化合物の任意の固体または液体の物理的形態を含む医薬組成物を包含する。例えば、該化合物は、結晶形態、非晶質形態であり得、任意の粒径を有し得る。該粒子は微細化された、または凝集された粒状顆粒、粉末、油、油状懸濁物または固体もしくは液体物理形態の任意のその他の形態で有り得る。
【0047】
本発明の化合物およびその誘導体、断片、アナログ、ホモログ、薬学的に許容され得る塩または水和物は、薬学的に許容され得る担体または賦形剤と一緒に投与するのに適した医薬組成物に統合され得る。かかる組成物は、典型的に、治療有効量の上述の化合物のいずれか、および薬学的に許容され得る担体を含む。好ましくは、癌を治療する場合、有効量は、適当な新形成細胞の最終分化を選択的に誘導するのに有効であり、患者において毒性を生じる量よりも少ない。
【0048】
本発明の化合物は、任意の適切な手段、例えば、限定されることなく、非経口、静脈内、筋内、皮下、埋め込み、経口、舌下、口内、鼻腔、肺、経皮、局所、膣、直腸、および経粘膜投与等により投与され得る。また、局所投与は、経皮パッチまたはイオン導入デバイスなどの経皮投与の使用を伴い得る。医薬製剤としては、選択される投与形態に適切な、活性成分として本発明の化合物を含む固体、半固体または液体製剤(錠剤、ペレット、トローチ、カプセル、坐剤、クリーム、軟膏、エーロゾル、粉末、液体、エマルジョン、懸濁液、シロップ、注射等)が挙げられる。一態様において、医薬組成物は、経口投与され、したがって、経口投与に適した形態、すなわち固体または液体製剤として調製される。適切な固体経口製剤としては、錠剤、カプセル、丸薬、顆粒、ペレット、サシェおよび発泡剤、粉末等が挙げられる。適切な液体経口製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、エマルジョン、油等が挙げられる。本発明の一態様において、組成物はカプセル中に調製される。この態様によれば、本発明の組成物は、活性化合物および不活性担体または希釈剤に加えて、硬いゼラチンカプセルを含む。
【0049】
担体または希釈剤として一般的に使用される、例えばガム、スターチ、糖、セルロース材料、アクリレート、またはそれらの混合物などの任意の不活性賦形剤が本発明の製剤に使用され得る。好ましい希釈剤は微細結晶セルロースである。該組成物はさらに、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)および滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)を含み得、さらに、結合剤、バッファ、プロテアーゼインヒビター、界面活性剤、可溶化剤、可塑剤、乳化剤、安定化剤、増粘剤、甘味剤、膜形成剤、またはそれらの任意の組合せから選択される1つ以上の添加剤を含み得る。さらに、本発明の組成物は、徐放製剤または即時放出製剤の形態であり得る。
【0050】
液体製剤に関して、薬学的に許容され得る担体は、水性もしくは非水性溶液、懸濁液、エマルジョンまたは油であり得る。非水性溶媒の例は、プロピレングリコールおよびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体としては、水、アルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液、例えば食塩水および緩衝化培地が挙げられる。油の例は、石油、動物、植物、または合成起源の油、例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、オリーブ油、ヒマワリ油および魚肝油である。また、溶液または懸濁液は以下の成分:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);酢酸、クエン酸またはリン酸などのバッファ、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性の調整剤を含み得る。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整され得る。
【0051】
また、組成物はさらに、結合剤(例えば、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアールガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアールガム、デンプングリコール酸ナトリウム、プリモゲル(Primogel))、種々のpHおよびイオン強度のバッファ(例えばtris-HCI.、酢酸、リン酸)、表面への吸着を防ぐアルブミンまたはゼラチンなどの添加剤、界面活性剤(例えばTween 20、Tween 80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、プロテアーゼインヒビター、界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、浸透促進剤、可溶化剤(例えばグリセロール、ポリエチレングリセロール、シクロデキストリン)、流動促進剤(例えばコロイド二酸化ケイ素)、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定化剤(例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増粘剤(例えばカルボマー、コロイド二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアールガム)、甘味剤(例えばスクロース、アスパルテーム、クエン酸)、調味剤(例えばペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバー)、保存剤(例えばチメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、滑剤(例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動助剤(例えばコロイド二酸化ケイ素)、可塑剤(例えばフタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えばカルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)、コーティングおよび膜形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)および/またはアジュバントを含み得る。
【0052】
一態様において、活性化合物は、体内からの迅速な排除に対して化合物を保護する、徐放製剤、例えば包埋物およびマイクロカプセル送達システムなどの担体と共に調製される。酢酸ビニルエチレン、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性のポリマーが使用され得る。かかる製剤の調製方法は、当業者に明らかである。また、材料は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Incから市販され得る。リポソーム懸濁液(例えば、ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞に標的化されるリポソーム)も、薬学的に許容され得る担体として使用し得る。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に公知の方法にしたがって調製され得る。
【0053】
投与の簡易化および用量の均一化のために、経口組成物を投与単位の形態で調製することが特に有利である。本明細書で使用する場合、投与単位形態は、治療される被験体に対して、単一の用量として適した物質的に別々の単位のことをいい、それぞれの単位が、必要とされる医薬担体と共に所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投与単位形態についての詳細は、活性化合物および達成される特定の治療効果の特有の性質、ならびに個体の治療のためのかかる活性化合物の調製の技術分野に固有の制限により規定されるか、それらに直接依存する。
【0054】
該医薬組成物は、投与のための指示書と共に、容器、パック、またはディスペンサー中に含まれ得る。
【0055】
毎日の投与は数日から数年の期間、継続して反復され得る。経口治療は、1週間から患者の一生の間継続され得る。好ましくは、投与は、さらなる投与が必要かどうか、患者が評価されて決定され得るときから5日間連続で行われ得る。投与は連続または断続であり得、例えば数日間連続の治療の後に休息期間を続ける。本発明の化合物は、治療の1日目に静脈内投与され得、2日目以降は経口投与され得る。
【0056】
例えば、混合、顆粒化または錠剤形成プロセスによる活性成分を含む医薬組成物の調製は、当該技術分野で周知である。活性治療成分はしばしば、薬学的に許容され得、活性成分と適合性である賦形剤と混合される。経口投与のために、活性剤は、この目的に慣例の添加剤、例えばビヒクル、安定化剤または不活性希釈剤と混合され、慣例の方法により、投与に適切な形態、例えば詳細に上述される錠剤、被覆錠剤、硬化もしくは軟化ゼラチンカプセル、水性、アルコール性、または油性溶液等に転換される。
【0057】
患者に投与される化合物の量は、患者において毒性を生じる量よりも少ない。特定の態様において、患者に投与される化合物の量は、患者の血漿中で化合物の濃縮を引き起こし、化合物の毒性レベルと同等またはそれを超える量よりも少ない。好ましくは、患者の血漿中の化合物の濃度は、約10nMで維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約25nMで維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約50nMで維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約100nMで維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約500nMで維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約1000nMで維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約2500nMで維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約5000nMで維持される。本発明の実施において患者に投与される化合物の最適量は、使用される特定の化合物および治療される癌の種類に依存する。
【0058】
定義
本発明を説明するために使用される種々の用語の定義が以下に列挙される。これらの定義は、他に具体的な例で限定されない限りは、個々に、または大きな群の一部のいずれかとして本明細書および特許請求の範囲を通して使用される際の用語に適用される。
【0059】
「脂肪族基」または「脂肪族」は、飽和され得るか(例えば単結合)、または1つ以上の不飽和の単位、例えば二重および/または三重結合を含み得る非芳香族部分である。脂肪族基は、直鎖、分岐または環状で、炭素、水素もしくは任意に1つ以上のへテロ原子を含み得、置換または非置換であり得る。リンカーとして使用する場合、脂肪族基は、好ましくは約1〜約24個の原子、より好ましくは約4〜約24個の原子、より好ましくは約4〜12個の原子、より典型的には約4〜約8個の原子を含む。置換基として使用する場合、脂肪族基は、好ましくは約1〜約24個の原子、より好ましくは約1〜約10個の原子、より好ましくは約1〜8個の原子、より典型的には約1〜約6個の原子を含む。脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基としては、例えばポリアルキレングリコール、ポリアミンおよびポリイミンなど、例えばポリアルコキシアルキルが挙げられる。かかる脂肪族基はさらに置換され得る。脂肪族基としては本明細書に記載のアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル基が挙げられることが理解されよう。
【0060】
用語「置換カルボニル」には、二重結合で酸素原子に結合した炭素を含む化合物および部分ならびにその互変異性体が含まれる。置換カルボニルを含む部分の例としては、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物等が挙げられる。用語「カルボニル部分」とは、アルキル基がカルボニル基に共有結合した「アルキルカルボニル」基、アルケニル基がカルボニル基に共有結合した「アルケニルカルボニル」基、アルキニル基がカルボニル基に共有結合した「アルキニルカルボニル」基、アリール基がカルボニル基に共有結合した「アリールカルボニル」基などの基のことをいう。さらに、該用語はまた、1つ以上のへテロ原子がカルボニル部分に共有結合した基のことをいう。例えば、該用語は、例えばアミノカルボニル部分などの部分(ここでは窒素原子がカルボニル基の炭素に結合する、例えばアミド)を含む。
【0061】
用語「アシル」とは、水素、アルキル、部分飽和または完全飽和シクロアルキル、部分飽和または完全飽和複素環、アリールおよびヘテロアリール置換カルボニル基のことをいう。例えば、アシルとしては、(C1〜C6)アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、カプロイル、t-ブチルアセチル等)、(C3〜C6)シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等)、複素環式カルボニル(例えば、ピロリジニルカルボニル、ピロリド-2-オン-5-カルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、テトラヒドロフラニルカルボニル等)、アロイル(例えば、ベンゾイル)およびヘテロアロイル(例えば、チオフェニル-2-カルボニル、チオフェニル-3-カルボニル、フラニル-2-カルボニル、フラニル-3-カルボニル、1H-ピロール-2-カルボニル、1H-ピロール-3-カルボニル、ベンゾ[b]チオフェニル-2-カルボニル等)などの基が挙げられる。また、アシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリール部分は、それぞれの定義に記載される基のいずれか1つであり得る。「任意に置換される」と示される場合、アシル基は、非置換であり得るか、もしくは独立して、「置換された」についての定義で以下に列挙される置換基の群から選択される1つ以上の置換基(典型的には1〜3個の置換基)で任意に置換され得るか、またはアシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリール部分はそれぞれの置換基の好ましいおよびより好ましい一覧において上述されるように置換され得る。
【0062】
用語「アルキル」は、1〜約20個の炭素原子、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する直鎖または分岐の基を包含する。より好ましいアルキル基は、1〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキル」基である。1〜約8個の炭素原子を有する低級アルキル基が最も好ましい。かかる基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル等が挙げられる。
【0063】
用語「アルケニル」は、2〜約20個の炭素原子、好ましくは2〜約12個の炭素原子中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分岐の基を包含する。より好ましいアルケニル基は、2〜約10個の炭素原子、より好ましくは約2〜約8個の炭素原子を有する「低級アルケニル」基である。アルケニル基の例としては、エテニル、アリル、プロペニル、ブテニルおよび4-メチルブテニルが挙げられる。用語「アルケニル」および「低級アルケニル」は「シス」および「トランス」配置、または代替的に「E」および「Z」配置を有する基を包含する。
【0064】
用語「アルキニル」は、2〜約20個の炭素原子または、好ましくは2〜約12個の炭素原子の少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する線状または分岐した基を包含する。より好ましいアルキニル基は、2〜約10個の炭素原子、より好ましくは約2〜約8個の炭素原子を有する「低級アルキニル」基である。アルキニル基の例としては、プロパルギル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチン、2-ブチニルおよび1-ペンチニルが挙げられる。
【0065】
用語「シクロアルキル」は、3〜約12個の炭素原子を有する飽和炭素環式基を包含する。用語「シクロアルキル」は、3〜約12個の炭素原子を有する飽和炭素環式基を包含する。より好ましいシクロアルキル基は、3〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルキル」基である。かかる基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0066】
用語「シクロアルケニル」は、3〜12個の炭素原子を有する部分不飽和炭素環式基を包含する。2つの二重結合(共役していてもしていなくてもよい)を含有する部分不飽和炭素環式基であるシクロアルケニル基は、「シクロアルキルジエニル」と呼ばれ得る。より好ましいシクロアルケニル基は、4〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルケニル」基である。かかる基の例としては、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。
【0067】
用語「アルコキシ」は、各々が1〜約20個の炭素原子または、好ましくは1〜約12個の炭素原子のアルキル部分を有する線状または分岐したオキシ含有基を包含する。より好ましいアルコキシ基は、1〜約10個の炭素原子を有する、より好ましくは1〜約8個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。かかる基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert-ブトキシが挙げられる。
【0068】
用語「アルコキシアルキル」は、アルキル基に結合された1つ以上のアルコキシ基を有する、すなわち、モノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキル基を形成するアルキル基を包含する。
【0069】
用語「アリール」は、単独または組合せで、1、2または3個の環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、ここで、かかる環は、垂れ下がる様式で一緒に結合され得るか、または縮合され得る。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルなどの芳香族基を包含する。
【0070】
用語「ヘテロシクリル」、「複素環」、「複素環式」または「ヘテロシクロ」は、飽和、部分不飽和および不飽和ヘテロ原子含有環形状の基を包含し、これらは、相応じて「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルケニル」および「ヘテロアリール」と呼ばれることもあり得、ヘテロ原子は、窒素、イオウおよび酸素から選択され得る。飽和ヘテロシクリル基の例としては、1〜4個の窒素原子を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基(例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニルなど);1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基(例えば、モルホリニルなど);1〜2個のイオウ原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基(例えば、チアゾリジニルなど)が挙げられる。部分不飽和ヘテロシクリル基の例としては、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフランおよびジヒドロチアゾールが挙げられる。ヘテロシクリル基としては、テトラゾリウムおよびピリジニウム基などの5価窒素が挙げられ得る。用語「複素環」はまた、ヘテロシクリル基がアリールまたはシクロアルキル基と縮合された基を包含する。かかる縮合二環式基の例としては、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンなどが挙げられる。
【0071】
用語「ヘテロアリール」は、不飽和ヘテロシクリル基を包含する。ヘテロアリール基の例としては、1〜4個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリルなど)テトラゾリル(例えば、1H-テトラゾリル、2H-テトラゾリルなど)など;1〜5個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(例えば、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニルなど)など;酸素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピラニル、フリルなど;イオウ原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、チエニルなど;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリルなど)など;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサジアゾリルなど);1〜2個のイオウ原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、チアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリルなど)など;1〜2個のイオウ原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリルなど)などが挙げられる。
【0072】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロ置換アルキル基を包含する。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、ヘテロシクロ基内に1〜6個の炭素原子を有する「低級ヘテロシクロアルキル」基である。
【0073】
用語「アルキルチオ」は、2価のイオウ原子に結合された1〜約10個の炭素原子の線状または分岐したアルキル基を含有する基を包含する。好ましいアルキルチオ基は、1〜約20個の炭素原子または、好ましくは1〜約12個の炭素原子のアルキル基を有する。より好ましいアルキルチオ基は、1〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキルチオ」基であるアルキル基を有する。1〜約8個の炭素原子の低級アルキル基を有するアルキルチオ基が最も好ましい。かかる低級アルキルチオ基の例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオおよびヘキシルチオである。
【0074】
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチル、およびジフェニルエチルなどのアリール置換アルキル基を包含する。
【0075】
用語「アリールオキシ」は、酸素原子を介して他の基に結合されたアリール基を包含する。
【0076】
用語「アラルコキシ」または「アリールアルコキシ」は、酸素原子を介して他の基に結合されたアラルキル基を包含する。
【0077】
用語「アミノアルキル」は、アミノ基で置換されたアルキル基を包含する。好ましいアミノアルキル基は、約1〜約20個の炭素原子または、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を有する。より好ましいアミノアルキル基は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基を有する「低級アミノアルキル」である。1〜8個の炭素原子を有する低級アルキル基を有するアミノアルキル基が最も好ましい。かかる基の例としては、アミノメチル、アミノエチルなどが挙げられる。
【0078】
用語「アルキルアミノ」は、1つまたは2つのアルキル基で置換されたアミノ基を表す。好ましいアルキルアミノ基は、約1〜約20個の炭素原子または、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を有する。より好ましいアルキルアミノ基は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基を有する「低級アルキルアミノ」である。1〜約8個の炭素原子を有する低級アルキル基を有するアルキルアミノ基が最も好ましい。適当な低級アルキルアミノは、例えば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノなどの一置換N-アルキルアミノまたは二置換N,N-アルキルアミノであり得る。
【0079】
用語「リンカー」は、化合物の2つの部分を連結する有機部分を意味する。リンカーは、典型的に、直接結合または酸素もしくはイオウなどの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NHなどの単位または置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリールなどの原子鎖を含み、ここで、1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環式によって中断もしくは終結され得、R8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である。一態様において、リンカーBは、1〜24個の原子、好ましくは4〜24個の原子、好ましくは4〜18個の原子、より好ましくは4〜12個の原子、最も好ましくは約4〜10個の原子である。いくつかの態様において、リンカーはC(O)NH(アルキル)鎖またはアルコキシ鎖である。
【0080】
用語「置換された」は、与えられた構造内の1つ以上の水素基の、指定された置換基の基、例えば、限定されないが、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アリールスルホニルアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキル、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアミノアルキル、アリールアミノアルキル、アミノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アシル、アラルコキシカルボニル、カルボン酸、スルホン酸、スルホニル、ホスホン酸、アリール、ヘテロアリール、複素環式、および脂肪族による置き換えをいう。置換基は、さらに置換され得ることが理解される。
【0081】
簡単にするため、全体を通して定義され言及される化学的部分は、当業者に明白で適切な構造状況下において、一価化学的部分(例えば、アルキル、アリールなど)または多価部分であり得る。例えば、「アルキル」部分は、一価の基(例えば、CH3-CH2-)を指し得、または他の場合では、二価の連結部分が「アルキル」であり得、この場合、当業者は、アルキルが、用語「アルキレン」に等価である二価基(例えば、-CH2-CH2-)であると理解する。同様に、2価の部分が必要とされ、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「複素環式」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」、または「シクロアルキル」であると記載されている状況において、当業者は、用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「複素環式」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」、または「シクロアルキル」が、対応する2価の部分をいうと理解する。
【0082】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、本明細書で使用されるように、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子をいう。
【0083】
本明細書で使用されるように、用語「異常型増殖」は、異常な細胞増殖をいう。
【0084】
句「補助療法」は、本発明の併用療法に関連する副作用を低減または回避する薬剤、例えば限定されないが、例えば、抗癌薬の毒性効果を低減する薬剤、例えば、骨吸収インヒビター、心臓保護剤;化学療法、放射線療法もしくは手術に関連する吐気および嘔吐の発生を予防もしくは低減する薬剤;または骨髄抑制性抗癌薬投与に関連する感染の発生を低減する薬剤での被験体の治療を包含する。
【0085】
用語「新脈管形成」は、本明細書で使用されるように、血管の形成をいう。具体的には、新脈管形成は、内皮細胞が病巣に集まって崩壊し、それ自体の基底膜内に浸潤し、間隙の間質を介して脈管形成刺激に向かって移動し、移動先端の近位で増殖し、血管に組織化され、新たに合成された基底膜に再付着する多段階プロセスである(Folkman et al., Adv. Cancer Res., Vol. 43,pp. 175-203 (1985)参照)。抗脈管形成剤は、このプロセスに干渉する。これらの工程のいくつかに干渉する薬剤の例としては、トロンボスポンジン-1、アンギオスタチン、エンドスタチン、インターフェロンαならびにマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)インヒビターなどの新たに形成されている血管が従う経路を切り開いて作り出す酵素の作用をブロックする化合物;.アルファ.v.ベータ.3 インヒビターなどの血管細胞が親血管と腫瘍を橋かけするのに使用する分子に干渉する化合物;特異的COX-2インヒビターなどの新しい血管を形成する細胞の増殖を妨げる薬剤;ならびにこれらの標的のいくつかに同時に干渉するタンパク質系化合物が挙げられる。
【0086】
用語「アポトーシス」は、本明細書で使用されるように、年齢または細胞の健康状態および条件により指令された場合、正常に機能しているヒトおよび動物細胞の核によってシグナル伝達されるプログラムされた細胞死をいう。「アポトーシス誘導剤」は、プログラムされた細胞死のプロセスを誘発する。
【0087】
用語「癌」は、本明細書で使用される場合、制御されない細胞分裂、および浸潤による隣接組織内への直接増殖または転移による遠位部位への移植のいずれかによって他の組織に浸潤するこれらの細胞の能力を特徴とする疾患または障害の種類を表す。
【0088】
用語「化合物」は、本明細書において、本明細書に示す式を有する化合物の薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、多型、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物などを含むと定義される。
【0089】
用語「デバイス」は、特定の機能を果たすように設計された通常機械的または電気的である任意の器具をいう。
【0090】
本明細書で使用されるように、用語「形成異常」は、異常な細胞増殖をいい、典型的に、病理学者が生検材料において認識可能な前癌性病変の最も初期の形態をいう。
【0091】
用語「過形成」は、本明細書で使用されるように、過剰な細胞分裂または増殖をいう。
【0092】
句「免疫療法剤」は、接種によって、免疫ドナー、例えば、別の人または動物の免疫性を宿主に移すために使用される薬剤をいう。該用語は、別の個体または動物によって産生された予め形成された(performed)抗体を含有する血清またはγグロブリン;非特異的全身刺激;アジュバント;能動特異的免疫療法;および養子免疫療法の使用を包含する。養子免疫療法は、感作リンパ球、転移因子、免疫RNA、または血清中抗体もしくはγグロブリンの宿主接種を含む治療または薬剤による疾患の治療をいう。
【0093】
新形成、腫瘍増殖または腫瘍細胞増殖に関連する用語「阻害」は、とりわけ、原発性または続発性腫瘍出現の遅延、原発性または続発性腫瘍の発達の遅延、原発性または続発性腫瘍の発生の減少、疾患の副次効果の重症度の遅延または減少、腫瘍増殖の停止および腫瘍の後退によって評価され得る。極端には、本明細書において、完全な阻害は、予防または化学的予防をいう。
【0094】
用語「転移」は、本明細書で使用されるように、元の腫瘍部位から血管およびリンパ管を介して癌細胞が移動し、他の組織において癌が発生することをいう。また、転移は、遠位部位での続発性癌増殖に対して使用される用語である。
【0095】
用語「新生物」は、本明細書で使用されるように、過剰な細胞分裂から生じる異常な組織塊をいう。新生物は、良性(癌性でない)、または悪性(癌性)であり得、腫瘍とも呼ばれ得る。用語「新形成」は、腫瘍形成をもたらす病理学的過程である。
【0096】
本明細書で使用されるように、用語「前癌性」は、悪性ではないが、治療しないままだと悪性となるであろう状態をいう。
【0097】
用語「増殖」は、有糸分裂している細胞をいう。
【0098】
句「放射線療法剤」は、新形成の治療における電磁気または粒状放射線の使用をいう。
【0099】
用語「再発」は、本明細書で使用されるように、ある期間の寛解後の癌の戻りをいう。これは、最初の癌からの細胞の不完全な除去によるものであり得、局所(最初の癌の同じ部位)、限局(最初の癌の近傍、おそらくはリンパ節または組織)、および/または転移の結果遠位で起こり得る。
【0100】
用語「治療」は、ヒトを含む哺乳動物が、哺乳動物の状態を直接または間接的に改善する目的で医療扶助に供される任意のプロセス、作用、適用、療法などをいう。
【0101】
用語「ワクチン」は、腫瘍関連抗原(Tea)を発現する細胞を攻撃することにより、患者の免疫系が腫瘍に対する免疫応答を示すように誘導する薬剤を含む。
【0102】
本明細書で使用されるように、主題の治療方法に関する用語「有効量の主題の化合物」は、所望の投与計画の一部として送達された場合、例えば、臨床的に許容され得る標準に対して細胞増殖速度および/または分化の状態および/または細胞の生存の割合の変化をもたらす主題の化合物の量をいう。この量は、さらに、新形成障害の症状の1つ以上をある程度緩和し得る、例えば限定されないが、1)癌細胞の数を低減;2)腫瘍の大きさを縮小;3)末梢器官内への癌細胞浸潤を阻害(すなわち、ある程度の遅延、好ましくは停止);4)腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度の遅延、好ましくは停止);5)腫瘍増殖をある程度阻害;6)該障害に関連する症状の1つ以上をある程度軽減もしくは低減;および/または7)抗癌剤の投与に関連する副作用を軽減もしくは低減し得る。
【0103】
本明細書で使用されるように、用語「薬学的に許容され得る塩」は、論理的に正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなく、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適し、妥当な利益/リスク比に相応する塩をいう。薬学的に許容され得る塩は当該技術分野で周知である。例えば、S. M. Berge,et al.は、J. Pharmaceutical Sciences,66:1-19 (1977)に薬学的に許容され得る塩を詳細に記載している。該塩は、本発明の化合物の最終の単離および精製中にインサイチュで、または遊離塩基官能基を適当な有機酸もしくは無機酸と反応させることにより別々に調製され得る。薬学的に許容され得る無毒性の酸付加塩の例としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸ラクトビオン酸またはマロン酸などの有機酸と形成されるか、あるいはイオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用することにより形成されるアミノ基の塩が挙げられる。他の薬学的に許容され得る塩としては、限定されないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンフルスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタン-スルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロヨウ化物塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容され得る塩としては、適宜、無毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、ならびにハロゲン化物、水酸化物、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ナイトレート、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、スルホネートおよびアリールスルホネートなどの対イオンを用いて形成されるアミンカチオンが挙げられる。
【0104】
本明細書で使用されるように、用語「薬学的に許容され得るエステル」は、インビボで加水分解するエステルをいい、ヒト体内で容易に分解して親化合物またはその塩が生じるものが挙げられる。適当なエステル基としては、例えば、薬学的に許容され得る脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカンジオン酸に由来するものであって、各アルキルまたはアルケニル部分が有利には6個以下の炭素原子を有するものが挙げられる。具体的なエステルの例としては、限定されないが、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルが挙げられる。
【0105】
用語「薬学的に許容され得るプロドラッグ」は、本明細書で使用されるように、論理的に正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等を伴い、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適し、妥当な利益/リスク比に相応し、その意図される使用に有効な本発明の化合物のプロドラッグ、ならびに可能な場合は本発明の化合物の両性イオン形態をいう。「プロドラッグ」は、本明細書で使用されるように、代謝的手段によって(例えば、加水分解によって)インビボで本発明の化合物に変換可能な化合物を意味する。プロドラッグの種々の形態は、例えば、Bundgaard(編),Design of Prodrugs,Elsevier (1985);Widder,et al. (編),Methods in Enzymology,第4巻,Academic Press (1985);Krogsgaard-Larsen,et al.(編)."Design and Application of Prodrugs,Textbook of Drug Design and Development,第5章,113-191 (1991);Bundgaard,et al., Journal of Drug Deliver Reviews,8:1-38(1992);Bundgaard,J. of Pharmaceutical Sciences,77:285 以下参照 (1988);HiguchiおよびStella (編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems,American Chemical Society (1975);ならびにBernard Testa & Joachim Mayer,“Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry And Enzymology,” John Wiley and Sons,Ltd. (2002)に記載のように、当該技術分野で公知である。
【0106】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容され得る担体」は、滅菌発熱物質無含有水などの医薬投与と適合する任意の全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などを含むことが意図される。適当な担体は、参照により本明細書に援用される当該技術分野の標準的な参考教科書であるRemington's Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。かかる担体または希釈剤の好ましい例としては、限定されないが、水、生理食塩水、リンゲル(finger's)液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。リポソームおよび固定油などの非水性ビヒクルもまた使用され得る。薬学的に活性な物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と適合性でない場合を除き、該組成物におけるその使用が企図される。補助活性化合物もまた該組成物中に組み込まれ得る。
【0107】
本明細書で使用されるように、用語「前癌性」は、悪性ではないが、治療しないままだと悪性となるであろう状態をいう。
【0108】
用語「被験体」は、本明細書で使用されるように動物をいう。好ましくは、動物は哺乳動物である。より好ましくは哺乳動物はヒトである。また、被験体は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、魚類、鳥類などをいう。
【0109】
本発明の化合物は、選択的な生物学的性質を向上させるために適切な官能基を付加することにより修飾され得る。かかる修飾は当該技術分野で公知であり、与えられた生物学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)内への生物学的浸透を増大させる、経口アベイラビリティを増大させる、注射による投与を可能にするために可溶性を増大させる、代謝を改変する、および排出速度を改変するものが挙げられ得る。
【0110】
合成された化合物は、反応混合物から分離され得、カラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、または再結晶などの方法によってさらに精製され得る。当業者によって認識され得るように、本明細書の式の化合物のさらなる合成方法は、当業者に明白である。さらに、種々の合成工程は、所望の化合物を得るために、代替的なシーケンスまたは順序で行なわれ得る。本明細書に記載の化合物の合成に有用な合成化学変換ならびに保護基の方法論(保護および脱保護)は当該技術分野で公知であり、例えば、R. Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers (1989);T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第2版, John Wiley and Sons (1991);L. FieserおよびM. Fieser,Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons (1994);ならびにL. Paquette編,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons (1995)、ならびにその後続版などに記載のものが挙げられる。
【0111】
本明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学に関してアミノ酸について(R)もしくは(S)または(D)もしくは(L)で定義され得る他の立体異性形態が生じる。本発明は、かかる可能なすべての異性体、ならびにそのラセミ形態および光学的に純粋な形態を含むことが意図される。光学異性体は、上記の手順によって、またはラセミ混合物を分離することによって、そのそれぞれの光学的に活性な前駆体から調製され得る。該分離は、分離剤の存在下で、クロマトグラフィーまたは反復結晶化または当業者に公知のこれらの技術のいくつかの組合せによって行なわれ得る。分離に関するさらなる詳細は、Jacques,et al., Enantiomers,Racemates,and Resolutions (John Wiley & Sons,1981)に見られ得る。本明細書に記載の化合物がオレフィン性二重結合、他の不飽和、または他の幾何不斉中心を含む場合、特に記載のない限り、該化合物は、EおよびZ幾何異性体ならびに/またはシス-およびトランス-異性体の両方を含むことが意図される。同様に、すべての互変異性形態もまた含まれることが意図される。本明細書に示された任意の炭素-炭素二重結合の立体配置は、便宜上のみのために選択され、本文中にそうと記載されていない限り、特定の立体配置を指定することを意図しない。したがって、本明細書において随意にトランスと示された炭素-炭素二重結合または炭素-ヘテロ原子二重結合は、シス、トランス、または両者の任意の比率の混合物であり得る。
【0112】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1種類以上の薬学的に許容され得る担体または賦形剤と一緒に製剤化された治療有効量の本発明の化合物を含む。
【0113】
本明細書で使用されるように、用語「薬学的に許容され得る担体または賦形剤」は、無毒性で不活性な固形、半固形または液体充填剤、希釈剤、カプセル化材料または任意の型の製剤化補助剤を意味する。薬学的に許容され得る担体としての機能を果たし得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;アルファ-(α)、ベータ-(β)およびガンマ-(γ)シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;トウモロコシデンプンおよびイモデンプンなどのデンプン;セルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質無含有水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒性の適合性潤滑剤であり、加えて、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料剤、保存剤ならびに抗酸化剤もまた、製剤者の判断に従って組成物中に存在し得る。
【0114】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレーにより、局所、直腸、鼻腔内、口内、膣または埋め込みレザバーにより、好ましくは経口投与または注射による投与によって投与され得る。本発明の医薬組成物は、任意の従来の無毒性の薬学的に許容され得る担体、補助剤またはビヒクルを含有し得る。いくつかの場合において、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を向上させるため、薬学的に許容され得る酸、塩基またはバッファーで製剤のpHが調整され得る。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、鞘内、病変内および頭蓋内注または注入技術を含む。
【0115】
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加え、液体投薬形態は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、ラッカセイ、コーン、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物などの当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含有し得る。不活性な希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤および香料剤などの補助剤を含み得る。
【0116】
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて公知の技術に従って製剤化され得る。また、滅菌注射用調製物は、無毒性の非経口に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液またはエマルジョン、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。許容され得るビヒクルおよび溶媒のうち、使用され得るものは、水、リンゲル液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液である。また、滅菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体として以前より使用されている。この目的のため、任意の無刺激固定油、例えば、合成モノ-またはジグリセリドが使用され得る。また、オレイン酸などの脂肪酸が注射用剤の調製に使用される。
【0117】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターによる濾過によって、または使用前に、滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体に溶解もしくは分散され得る滅菌剤を滅菌固形組成物の形態で組み込むことによって滅菌され得る。
【0118】
薬物の効果を延長するため、しばしば、皮下または筋肉内注射による薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性の乏しい結晶性または非晶質物質の懸濁液の使用によって達成され得る。したがって、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、これは、結晶サイズおよび結晶性形態に依存し得る。あるいは、非経口投与薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することにより達成される。注射用蓄積形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する薬物の比および使用される特定のポリマーの性質に応じて薬物放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。蓄積注射用製剤はまた、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を閉じ込めることにより調製される。
【0119】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、ココアバター、ポリエチレングリコールなどの適当な非刺激性賦形剤もしくは担体または常温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸もしくは膣腔で融解し、活性化合物を放出する坐剤用ワックスと本発明の化合物を混合することにより調製され得る坐剤である。
【0120】
経口投与用の固形投薬形態としては、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、および顆粒が挙げられる。かかる固形投薬形態において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性な薬学的に許容され得る賦形剤もしくは担体および/または:a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアラビアゴムなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)寒天-寒天、炭酸カルシウム、イモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、ならびにその混合物と混合される。カプセル、錠剤および丸剤の場合、投薬形態は緩衝剤も含み得る。
【0121】
類似した型の固形組成物もまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールのような賦形剤を使用するソフトおよびハード充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用され得る。
【0122】
腸溶性コーティングおよび医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよび殻を有する錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒の固形投薬形態が調製され得る。これらは、任意に、不透明化剤を含有し得、また、活性成分(1種類または複数種)のみを、または優先的に、腸管の特定部分に任意に遅延様式で放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0123】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の投薬形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤または貼付剤が挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で薬学的に許容され得る担体および必要に応じて任意の必要とされる保存剤またはバッファーと混合される。眼科用製剤、点耳剤、眼用軟膏、粉末および溶液もまた、本発明の範囲内にあることが企図される。
【0124】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物などの賦形剤を含有し得る。
【0125】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物の他に、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含み得る。スプレーはさらに、クロロフルオロヒドロカーボンなどの通例のプロペラントを含み得る。
【0126】
経皮パッチは、化合物の体内への制御送達を提供するというさらなる利点を有する。かかる投薬形態は、化合物を適切な媒体に溶解または懸濁することにより作製することができる。また、吸着促進剤を使用して、皮膚を通過する化合物の流入を高めることができる。速度制御膜を提供するかまたは化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることのいずれかにより速度を制御することができる。
【0127】
肺系送達のためには、本発明の治療組成物を、固体または液体粒状形態で製剤化し、直接投与、例えば呼吸器系への吸入によって患者に投与する。本発明を実施するために調製された活性化合物の固体または液体粒状形態は吸入可能な大きさの粒子:つまり、吸入時に口および咽頭を通過し、ならびに気管支および肺胞に侵入するほど充分に小さいサイズの粒子を含む。エーロゾル化治療剤、特にエーロゾル化抗生物質の送達は当該技術分野に公知である(例えば、その全てが本明細書中で参照により援用されるVanDevanterらの米国特許第5,767,068号、Smithらの米国特許第5,508,269号、およびMontgomeryによるWO 98/43650参照)。抗生物質の肺系送達の記載は、参照により本明細書中に援用される米国特許第6,014,969号にも見られる。
【0128】
「治療有効量」の本発明の化合物は、任意の医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスク比で、治療された被検体に治療効果を付与する化合物の量を意味する。
【0129】
治療効果は客観的であり得る(つまり、いくつかの試験またはマーカーにより測定可能)か、または主観的であり得る(つまり、被検体が効果の兆候を示すかまたは効果を感じる)。上述の化合物の有効量は、約0.1mg/Kg〜約500mg/Kg、好ましくは約1〜約50mg/Kgの範囲であり得る。有効用量は、投与経路および他の薬剤の併用の可能性によって変化する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日当たりの全使用量は、適正な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されよう。任意の特定の患者についての具体的な治療有効投与レベルは、治療される障害および障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与時間、投与経路および排泄速度;治療期間;使用される具体的な化合物と併用されるかまたは同時に使用される薬物;ならびに医学分野に周知の要素などの種々の要素に依存する。
【0130】
ヒトまたは他の動物に1回または複数回用量で投与される本発明の化合物の1日当たりの全用量は、例えば0.01〜50mg/体重kgまたはより一般的には0.1〜25mg/体重kgの量であり得る。単回用量組成物はかかる量、または1日当たりの用量をなすかかる量を複数に分けた量を含み得る。一般的に、本発明による治療計画は、かかる治療が必要な患者に、単回または複数用量で1日あたり約10mg〜約1000mgの本発明の化合物(1または複数)の投与を含む。
【0131】
本明細書に記載される式の化合物は、例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉もしくは皮下注射により;または経口、口内、鼻腔、経粘膜、局所、眼用製剤で、または吸入により、約0.1〜約500mg/体重kgの範囲の用量、あるいは1mg〜1000mg/投薬で、4〜120時間毎に、または特定の薬物の要件に従って投与することができる。本明細書における方法は、所望のまたは規定の効果を達成するための、有効量の化合物または化合物組成物の投与を企図する。典型的に、本発明の医薬組成物は、1日当たり約1〜約6回投与されるか、または代替的に連続点滴として投与される。かかる投与は慢性的または急性的治療として使用することができる。単回投与形態を形成するために医薬賦形剤または担体と組み合わされ得る活性成分の量は、治療されるホストおよび特定の投与形態に依存して変化する。典型的な調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含む。あるいは、かかる調製物は約20%〜約80%の活性化合物を含み得る。
【0132】
上述のものよりも低いかまたは高い用量が必要とされることもあり得る。任意の特定の患者についての具体的な用量および治療計画は、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、疾患の重症度および経過、状態または症状、疾患に対する患者の素質、状態または症状、ならびに治療する医師の判断などの種々の要素に依存する。
【0133】
患者の状態の改善の際に、必要に応じて本発明の化合物、組成物または組合せの維持用量を投与してもよい。その後、症状が所望のレベルまで改善された場合には、改善された状態が維持されるレベルまで、症状に応じて投与の用量もしくは頻度、またはその両方を減らしてもよい。しかしながら、患者は、疾患症状の再発時には長期ベースで間欠的な治療を必要とし得る。
【0134】
合成方法
式IおよびIIの化合物、またはその薬学的に許容され得る塩は、化学的に関連のある化合物の調製に適用可能なことが公知である任意の方法によって調製され得る。特定の中間体を作製する適切な方法としては、例えば米国特許第7,074,800号に記載されるものが挙げられる。必要な出発材料は、有機化学の標準的な手法により入手してもよい。かかる出発材料の調製は、付随の非限定的な実施例中に記載される。あるいは、必要な出発材料は、化学者の一般的な技術の範囲内にある例示的な手法と同様の手法により入手可能である。
【0135】
本発明の化合物および方法は、本発明の化合物が調製され得る方法を示す、以下の代表的な合成スキームに関連して良好に理解されるが、これらは単なる例示として意図され、本発明の範囲を限定しない。
【0136】

【0137】

【0138】

【0139】

【0140】

【実施例】
【0141】
本発明の化合物および方法は、例示のみを意図し、本発明の範囲を限定しない以下の実施例に関連して良好に理解されよう。開示される態様に対する種々の変更および改変は当業者に明らかであり、限定されることなく本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤および/または方法に関連するものを含むかかる変更および改変は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲を逸脱することなくなされ得る。
【0142】
実施例1:7-(4-(ベンゾフラン-5-イルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物2)の調製
工程1a. 2-ブロモ-1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(化合物102)
化合物101 (8.75g、500mmol)の硫酸(50ml)溶液に68%HNO3(4mL)を、反応の温度が40℃未満に維持されるような様式で添加した。添加後、混合物を20℃で1時間攪拌した。混合物を300mLの氷水で希釈し、濾過した。回収された固体を石油エステルから再結晶化し、表題化合物102を白色固体(8.06g、73.3%)として得た:1H NMR (DMSO-d6); δ 8.6 (dd,1H)、8.3 (m,1H)、7.7 (t,1H)。
【0143】
工程1b. ((2-フルオロ-5-ニトロフェニル)エチニル)トリメチルシラン(化合物103)
化合物102(2.5g、11.4mmol)、トリフェニルホスフィン(0.114g、0.44mmol)、塩化白金(II)(0.045g、0.26mmol)およびトリエチルアミン(28ml)の混合物を攪拌し、窒素下で16時間100℃に加熱した。混合物を室温に冷却し、沈殿物を濾過した。固体をトリエチルアミンで洗浄し、合わせた濾液を蒸発させると、暗褐色油状物が残り、これを120℃で減圧下で蒸留して除去し、化合物103を褐色黄色固体(1.708g、63%)として得た:LCMS:238 [M+1]+
【0144】
工程1c. 5-ニトロベンゾフラン(化合物104)
化合物103 (7.30g、30.8mmol)、酢酸ナトリウム(10.1g、123mmol)およびN,N-ジメチルホルムアミド(70mL)の混合物を攪拌し、100℃に16時間加熱した。沈殿物を濾過し、N,N-ジメチルホルムアミドで洗浄した。合わせた濾液を蒸発させると残渣が残り、これをショートシリカゲルカラム(溶出液:酢酸エチル/石油 エーテル = 1/10)によって精製し、表題化合物104を褐色固体(3.0g、60%)として得た。
【0145】
工程1d. ベンゾフラン-5-アミン(化合物105)
化合物104 (1.89g、11.63mmol)、鉄粉 (6.5g、11.6mmol)、36.5%HCl(1ml)、エタノール(30mL)および水(6mL)の混合物を攪拌し、100℃に3時間加熱した。沈殿物を濾過し、エタノールで洗浄した。合わせた濾液を蒸発させると、残渣が残り、これをジクロロメタン(50mL)に溶解した。有機層をNaHCO3水溶液(20mL×2)およびブライン(20mL×1)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、蒸発させ、表題化合物105を褐色固体(0.8g、51%)として得た:LC-MS:134 [M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6):δ4.8 (s,2H)、6.57 (m,1H)、6.67 (m,1H)、6.69 (m,1H)、7.21 (d,J= 9.3 Hz,1H)、7.74 (d,J= 2.4 Hz,1H)。
【0146】
工程1e. 6,7-ジメトキシキナゾリン-4(3H)-オン(化合物107)
化合物106 (2.1g、10mmol)、ギ酸アンモニウム(0.63g、10mmol)およびホルムアミド(7mL)の混合物を攪拌し、190〜200℃に2時間加熱した。混合物を室温に冷却し、得られた沈殿物を単離し、水で洗浄し、乾燥し、表題化合物107を褐色固体(1.8g、84.7%)として得た:LCMS:207 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6); δ 3.87 (s,3H)、3.89 (s,3H)、7.12 (s,1H)、7.43 (s,1H)、7.97 (s,1H)、12.08 (bs,1H)。
【0147】
工程1f. 6-ヒドロキシ-7-メトキシキナゾリン-4 (3H)-オンメタンスルホネート(化合物108)
化合物107 (10.3g、50mmol)を、攪拌メタンスルホン酸(68mL)に分けて添加した。次いで、L-メチオノン(8.6g、57.5mmol)を添加し、混合物を150〜160℃に5時間加熱した。混合物を室温に冷却し、氷と水との混合物(250mL)に注入した。混合物を水酸化ナトリウム水溶液(40%)の添加によって中和した。得られた沈殿物を単離し、水で洗浄し、乾燥し、表題化合物108を灰色固体(10g、粗製)として得た:LCMS:193 [M+1]+1H NMR (DMSO-d6); δ 2.99 (s,3H)、3.88 (s,3H)、7.08 (s,1H)、7.36 (s,1H)、7.89 (s,1H)、9.83 (bs,1H)、11.86 (bs,1H)。
【0148】
工程1g. 7-メトキシ-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イルアセテート(化合物109)
化合物108 (10g、粗製)、無水酢酸(100mL)およびピリジン(8mL)の混合物を攪拌し、3時間還流加熱した。混合物を室温に冷却し、氷と水との混合物(250mL)に注入した。得られた沈殿物を単離し、乾燥し、表題生成物109を灰色固体(5.8g、50%2工程の全収率)として得た:LCMS:235 [M+1]+; 1H NMR (CDCl3):δ 2.27 (s,3H)、3.89 (s,3H)、7.28 (s,1H)、7.72 (s,1H)、8.08 (d,J= 6.0 Hz,1H)、12.20 (bs,1H)。
【0149】
工程1h. 4-クロロ-7-メトキシキナゾリン-6-イルアセテート(化合物110)
化合物109 (2.0g、8.5mmol)および三塩化ホスホリル(20mL)の混合物を攪拌し、3時間還流加熱した。透明な溶液が得られたとき、過剰の三塩化ホスホリルを減圧下で除去した。残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解し、有機層をNaHCO3水溶液(20mL×2)およびブライン(20mL×1)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、蒸発させ、表題生成物110を黄色固体(1.4g、65%)として得た:LCMS:253 [M+1]+
【0150】
工程1i. 4-(ベンゾフラン-5-イルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-オール(化合物111)
イソプロパノール(2mL)中化合物110 (0.151g、0.6mmol)および105 (0.20g、1.504mmol)の混合物を攪拌し、一晩還流加熱した。混合物を室温に冷却し、濾過し、表題生成物111を白色固体(0.169g、92%)として得た:LCMS:308 [M+1]+
【0151】
工程1j. エチル7-(4-(ベンゾフラン-5-イルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イルオキシ)ヘプタノエート(化合物112-2)
N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中化合物111 (0.169g、0.55mmol)、エチル7-ブロモヘプタノエート(0.13g、0.55mmol)および炭酸カリウム(0.38g、2.75mmol)の混合物を60℃で3時間攪拌した。沈殿物を濾過し、濾液を水に注入した。得られた沈殿物を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥し、表題化合物112-2を灰色固体(0.207g、81%)として得た。
【0152】
工程1k. 7-(4-(ベンゾフラン-5-イルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物2)
メタノール(24mL)中ヒドロキシルアミン塩酸塩(4.67g、67mmol)の攪拌溶液に、0℃で、メタノール(14mL)中水酸化カリウム(5.61g、100mmol)の溶液を添加した。添加後、混合物を30分間0℃で攪拌し、低温で放置した。得られた沈殿物を単離し、溶液を調製し、遊離ヒドロキシルアミンを得た。
【0153】
新たに調製したヒドロキシルアミン溶液(2.5mL)を10mLフラスコ内に配置した。化合物112-2 (207mg、0.45mmol)をこの溶液に添加し、25℃で0.5時間攪拌した。混合物を酢酸で中和し、得られた沈殿物を単離し、水で洗浄し、乾燥し、表題化合物2を白色固体(97mg、48%)として得た:mp 191〜195℃、LCMS:451 [M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6):δ 1.33 (m,2H),1.43 (m,2H),1.51 (m,2H),1.82 (m,2H),1.94 (m,2H),3.90 (s,3H),4.15 (m,2H),7.03 (m,1H),7.22 (s,1H、7.50 (m,1H、7.70 (d,J= 2.7 Hz,1H、7.90 (d,J= 2.1Hz,1H、8.03 (s,1H),8.06 (d,J= 2.4 Hz,1H),8.65 (s,1H),8.71 (s,1H),10.33 (s,1H),10.84 (s,1H)。
【0154】
実施例2:7-(4-(ベンゾフラン-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物6)の調製
工程2a. メチル4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシベンゾエート(化合物202)
N,N-ジメチルホルムアミド中化合物201 (18.2g、0.1mol)、炭酸カリウム(34.55g、0.25mol)の混合物に、臭化ベンジル(14.5ml、0.105mol)を滴下した。次いで、反応物を60℃に加熱し、2時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、残渣を酢酸エチル500mLに溶解した。有機層を水およびブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、濃縮し、表題化合物202を白色固体(26g、95%)として得た:LCMS:273 [M+1]+
【0155】
工程2b. メチル4-(ベンジルオキシ)-5-メトキシ-2-ニトロベンゾエート(化合物203)
HNO3(45mL、0.963mol)およびHOAc (45mL)の混合物を氷浴中に配置し、攪拌した。200ml HOAc中の化合物202 (10.3g、50mmol)を滴下した。添加後、反応混合物を-10℃で20分間攪拌した。混合物を氷と水との混合物(250mL)に注入し、水酸化ナトリウム水溶液(40%)の添加によって中和した。沈殿物を濾過によって単離し、水で洗浄し、乾燥し、表題化合物203を灰色固体(30g、98%)として得た:LCMS:318 [M+1]+
【0156】
工程2c. メチル2-アミノ-4-(ベンジルオキシ)-5-メトキシベンゾエート(化合物204)
化合物203(10g、粗製)、鉄粉(54g、0.96mol)、エタノール(100mL)、およびH2O(20mL)の混合物を攪拌し、3時間還流加熱した。混合物を室温に冷却し、水酸化ナトリウム水溶液(10%)で中和した。反応物を濾過し、濾液を濃縮し、残渣を得、これをジクロロメタン(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、濃縮し、表題化合物204を灰色固体(14.5g、85%)として得た:LCMS:288 [M+1]+
【0157】
工程2d. 7-(ベンジルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-4(3H)-オン(化合物205)
化合物204 (7.5g、25mmol)、ギ酸アンモニウム(1.1g、22.4mmol)およびホルムアミド(60mL)の混合物を攪拌し、180〜190℃ (油浴温度)で2時間加熱した。次いで、混合物を室温に冷却し、得られた沈殿物を単離し、水で洗浄し、乾燥し、表題化合物205を褐色固体(6.5g、95%)として得た:LCMS:283 [M+1]+
【0158】
工程2e. 7-(ベンジルオキシ)-4-クロロ-6-メトキシキナゾリン(化合物206)
化合物205 (6.5g、8.5mmol)および三塩化ホスホリル(40mL)の混合物を攪拌し、3時間還流加熱した。透明な溶液が得られたとき、過剰の三塩化ホスホリルを減圧下で除去した。残渣をジクロロメタン(200mL)に溶解し、有機層をNaHCO3水溶液(100mL×3)およびブライン(100mL×1)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、蒸発させ、表題化合物206を黄色固体(1.4g、65%)として得た:LCMS:301[M+1]+
【0159】
工程2f. N-(ベンゾフラン-5-イル)-7-(ベンジルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-アミン(化合物207)
イソプロパノール(5mL)中化合物206 (0.5g、1.5mmol)および化合物105 (0.2g、1.5mmol)の混合物を攪拌し、3時間還流加熱した。混合物を室温に冷却し、濾過し、表題生成物207を白色固体(0.546g、91%)として得た:LCMS:398 [M+1]+
【0160】
工程2g. 4-(ベンゾフラン-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-オール(化合物208)
メタノール(6mL)中化合物207 (0.51g、1.3mmol)およびPd/C (0.2 g)の混合物を室温で4時間攪拌した。沈殿物を単離し、乾燥し、表題化合物208を灰色固体(0.4g、100%)として得た:LCMS:308 [M+1]+
【0161】
工程2h. エチル7-(4-(ベンゾフラン-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)ヘプタノエート(化合物209-6)
N,N-ジメチルホルムアミド(15mL)中化合物208 (0.4g、1.3mmol)、エチル7-ブロモヘプタノエート(0.31g、1.3mmol)および炭酸カリウム(0.89g)の混合物を60℃で3時間攪拌した。沈殿物を濾過によって単離し、濾液を水に注入した。得られた固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥し、表題化合物209-6を灰色固体(0.6g、100%)として得た:LC-MS:464[M+1]+
【0162】
工程2i. 7-(4-(ベンゾフラン-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物6)
化合物2(実施例1)で記載のものと類似した手順を使用し、化合物209-6 (600mg、1.3mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH (7.3mL、13mmol)から、表題化合物6を白色固体(96mg、16%)として作製した:mp 214〜217℃、LC-MS:451[M+1]+;1H NMR(DMSO-d6):δ1.34 (m,2H)、1.45 (m,2H),1.53 (m,2H),1.79 (m,2H),1.97 (m,2H),3.97 (s,3H、4.97(m,2H),7.00 (m,1H、7.16 (s,1H),7.58 (m,1H、7.62 (d,J= 9.0 Hz,1H),7.90 (s,1H),8.00 (d,J= 2.1Hz,1H),8.07(d,J= 1.2 Hz,1H),8.41 (s,1H),8.67 (s,1H),9.53 (s,1H),10.34 (s,1H)。
【0163】
実施例3:5-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシペンタンアミド(化合物9)の調製
工程3a:1-(2,3-ジフルオロ-6-ニトロフェニル)プロパン-2-オン(化合物302)
THF (100mL)中水素化ナトリウム(5.42g、226mmol)の懸濁液に、反応温度を15℃未満に維持しながら、エチルアセトアセテート(29.4g、226mmol)を添加した。添加終了後、混合物を15分間攪拌した。反応温度を5℃未満に維持しながら、混合物に、THF (150mL)中の化合物301 (20.0g、113mmol)の溶液を添加した。次いで、混合物を24時間室温で攪拌した。溶媒を真空除去し、残渣を酢酸エチルと2N塩酸との間に分配した。有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮した。次いで、残渣に、濃塩酸(400mL)および酢酸(300mL)を添加し、混合物を12時間還流した。冷却後、混合物を濃縮し、残渣を5%炭酸水素ナトリウムと酢酸エチルとの間に分配した。有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル = 1/2)によって精製し、化合物302(14.5g、60%)を褐色油状物として得た:LCMS:216 [M+1]+
【0164】
工程3b:1-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-6-ニトロフェニル)プロパン-2-オン(化合物303)
302 (4.30g、0.02mol)、AcONa (1.72g、0.021mol)およびDMF(40mL)の混合物を100℃で12時間攪拌した。次いで、混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し(EtOAc/石油エーテル = 1/1)、化合物303(2.3g、54%)を薄黄色固体として得た:LCMS:214 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6):δ 2.30 (s,3 H)、4.26 (s,2 H)、7.67 (m,1H)、8.05 (m,1H)。
【0165】
工程3c:4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-オール(化合物304)
303 (900mg、4.2mmol)、Pd/C (90mg)およびエタノール(20mL)の混合物をH2下、周囲温度で8時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し(EtOAc/石油エーテル = 1/15)、表題化合物304を褐色固体(120mg、17%)として得た:LCMS:166 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6):δ 2.34 (s,3 H)、6.05 (s,1H)、6.64 (t,J = 8.4 Hz,1H)、6.86 (d,J= 8.4 Hz,1H)、8.70 (s,1H)、10.84 (s,1H)。
【0166】
工程3d:7-(ベンジルオキシ)-4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン(化合物305)
206 (1.5g、5mmol)、304 (0.99g、6mmol)、K2CO3 (1.38g、10mmol)およびDMF(30mL)の混合物を80℃で24時間攪拌した。混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮し、表題化合物305を褐色固体(1.6g、75%)として得た:LCMS:430 [M+1]+
【0167】
工程3e:4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-オール(化合物306)
化合物305 (1.6g、3.7mmol)、Pd/C (160mg)およびメタノール(60mL)の混合物をH2下、周囲温度で24時間攪拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。得られた固体をエーテルで洗浄し、乾燥し、表題化合物306を褐色固体(0.98g、81%)として得た:LCMS:340 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6):δ 2.42 (s,3 H)、4.00 (s,3 H)、6.25 (s,1H)、6.98 (m,1H)、7.15 (d,J= 9.0 Hz,1H)、7.23 (s,1H)、7.60 (s,1H)、8.43 (s,1H)、11.33 (s,1H)。
【0168】
工程3f:メチル5-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)ペンタノエート(化合物307-9)
化合物306 (300mg、0.88mmol)、K2CO3 (365mg、2.64mmol)およびDMF(10mL) の混合物を10分間攪拌した後、メチル5-ブロモペンタノエート(202mg、1.06mmol)を添加した。得られた混合物を80℃で3時間攪拌した。混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮し、表題化合物307-9を褐色固体(280mg、70%)として得た:LCMS:454 [M+1]+
【0169】
工程3g: 5-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシルペンタンアミド(化合物9)
化合物2(実施例1)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物9(70mg、25%)を、化合物307-9(280mg、0.62mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH(5mL、10mmol)から淡褐色固体として調製した: LCMS: 455[M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6) : δ 1.69(m、2H)、1.79(m、2H)、2.06(t、J=7.2Hz、2H)、2.41(s、3H)、3.99(s、3H)、4.20(t、J=6.0Hz、2H)、6.24(s、1H)、6.99(m、1H)、7.14(m、1H)、7.39(s、1H)、7.60(s、1H)、8.50(s、1H)、8.72(s、1H)、10.40(s、1H)、11.34(s、1H)。
【0170】
実施例4 : 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘキサンアミド(化合物10)の調製
工程4a: エチル 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)ヘキサノエート(化合物307-10)
化合物307-9(実施例3)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物307-10(330mg、68%)を、化合物306(340mg、1mmol)およびエチル6-ブロモヘプタノエート(268mg、1.2mmol)から褐色固体として調製した: LCMS: 482 [M+1]+
【0171】
工程4b: 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシ-ヘキサンアミド(化合物10)
化合物2(実施例1)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物10(38mg、12%)を、化合物307-10(320mg、0.66mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH(5mL、10mmol)から淡褐色固体として調製した: LCMS: 469[M+1]+1H NMR(DMSO-d6) δ 1.44(m、2H)、1.60(m、2H)、1.82(m、2H)、2.00(m、2H)、2.41(s、3H)、3.99(s、3H)、4.20(t、J=6.3Hz、2H)、6.24(s、1H)、6.99(m、1H)、7.14(m、1H)、7.39(s、1H)、7.60(s、1H)、8.50(s、1H)、8.70(s、1H)、10.38(s、1H)、11.35(s、1H)。
【0172】
実施例5: 7-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物11)の調製
工程5a: エチル7-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)ヘプタノエート(化合物307-11)
化合物307-9(実施例3)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物307-11(310mg、82%)を、化合物306(260mg、0.76mmol)およびエチル7-ブロモヘプタノエート(218mg、0.92mmol)から褐色固体として調製した: LCMS: 496[M+1]+
【0173】
工程5b: 7-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物11)
化合物2(実施例1)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物11(39mg、13%)を、化合物307-11(300mg、0.6mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH(5mL、10mmol)から淡褐色固体として調製した: LCMS: 483[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.34(m、2H)、1.44(m、4H)、1.82(m、2H)、1.97(t、J=7.5Hz、2H)、2.42(s、3H)、3.99(s、3H)、4.20(t、J=6.0Hz、2H)、6.24(s、1H)、6.99(m、1H)、7.15(m、1H)、7.38(s、1H)、7.60(s、1H)、8.50(s、1H)、8.66(s、1H)、10.34(s、1H)、11.34(s、1H)。
【0174】
実施例6: 5-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシペンタンアミド(化合物12)の調製
工程6a: 1-(3-アミノ-2-フルオロ-6-ニトロフェニル)プロパン-2-オン(化合物 401)
密封したチューブで、化合物302(3.4g、15.8mmol)、MeOH(100mL)中の液体アンモニアの30%溶液および水(2mL)の混合物を8O℃で6時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮して化合物401(3.1g、92%)を黄色固体として得た: LCMS: 213[M+1]+
【0175】
工程6b: 4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-アミン(化合物402)
化合物401(2.94mg、13.8mmol)、Pd/C(290mg)およびエタノール(80mL)の混合物を、H2下の周囲温度で4時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、表題の化合物402を褐色固体(2.1g、93%)として得た: LCMS: 165[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 2.29(s、3H)、4.29(s、2H)、5.94(s、1H)、6.50(t、J=8.4Hz、1H)、6.78(d、J=7.8Hz、1H)、10.66(s、1H)。
【0176】
工程6c: 7-(ベンジルオキシ)-N-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)-6-メトキシキナゾリン-4-アミン(化合物403)
化合物206(1.5g、5mmol)、402(821mg、5mmol)およびイソプロパノール(15mL)の混合物を、1時間還流した。混合物を周囲温度に冷却し、濾過し、乾燥させ、表題の化合物403を褐色固体(1.91g、89%)として得た: LCMS: 429[M+1]+
【0177】
工程6d: 4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-オール(化合物404)
化合物403(1.94g、4.17mmol)、Pd/C(200mg)およびメタノール(100mL)の混合物を、H2下の周囲温度で48時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、表題の化合物404を褐色固体(1.36g、96%)として得た: LCMS: 339[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6) : δ 2.42(s、3H)、3.95(s、3H)、6.22(s、1H)、7.00(m、1H)、7.13(m、2H)、7.91(s、1H)、8.20(s、1H)、9.47(s、1H)、11.33(s、1H)。
【0178】
工程6e: メチル 5-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)ペンタノエート(化合物405-12)
化合物307-9(実施例3)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物405-12(151mg、33%)を、化合物404(338mg、1mmol)およびメチル5-ブロモペンタノエート(214mg、1.1mmol)から褐色固体として調製した:LCMS: 453[M+1]+
【0179】
工程6f: 5-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシル-ペンタンアミド(化合物12)
化合物2(実施例1)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物12(103mg、69%)を、化合物405-12(151mg、0.33mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH(5mL、8.85mmol)から淡褐色固体として調製した: LCMS: 454[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6) : δ 1.69(m、2H)、1.78(m、2H)、2.05(t、J=7.2Hz、2H)、2.41(s、3H)、3.93(s、3H)、4.13(t、J=5.7Hz、2H)、6.21(s、1H)、7.00(m、1H)、7.12(m、2H)、7.85(s、1H)、8.24(s、1H)、9.38(s、1H)、11.27(s、1H)。
【0180】
実施例7: 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘキサンアミド(化合物13)の調製
工程7a: エチル 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)ヘキサノエート(化合物405-13)
化合物307-9(実施例3)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物405-13(172mg、33%)を、化合物404(372mg、1.1mmol)およびエチル6-ブロモヘキサノエート(269mg、1.2mmol)から褐色固体として調製した: LCMS: 481[M+1]+
【0181】
工程7b: 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシル-ヘキサンアミド(化合物13)
化合物2(実施例1)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物(130mg、77%)を、化合物405-13(172mg、0.35mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH(5mL、8.85mmol)から淡黄色固体として調製した: LCMS: 468[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6) : δ 1.42(m、2H)、1.58 (m、2H)、1.79(m、2H)、1.99(t、J= 7.2Hz、2H)、2.40(s、3H)、3.92(s、3H)、4.11(t、J=6.0Hz、2H)、6.21(s、1H)、6.99(m、1H)、7.13(m、2H)、7.83(s、1H)、8.22(s、1H)、8.68(s、1H)、9.35(s、1H)、10.35(s、1H)、11.22(s、1H)。
【0182】
実施例8: 7-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-6-メトキシ-キナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物14)の調製
工程8a: エチル7-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-ヘプタノエート(化合物405-14)
化合物307-9(実施例3)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物405-14(182mg、37%)を、化合物404(338mg、1mmol)およびエチル7-ブロモヘプタノエート(261mg、1.1mmol)から黄色固体として調製した: LCMS: 495[M+1]+
【0183】
工程8b: 7-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-6-メトキシキナゾリン-7-イルオキシ)-N-ヒドロキシル-ヘプタンアミド(化合物14)
化合物2(実施例1)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物 (160mg、90%)を、化合物405-14(182mg、0.37mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH(5mL、8.85mmol)から淡黄色固体として調製した: LCMS: 482[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6) : δ 1.34(m、2H)、1.43(m、2H)、1.54(m、2H)、1.80(m、2H)、1.98(t、J=7.2Hz、2H)、2.41(s、3H)、3.94(s、3H)、4.12(t、J=6.3Hz、2H)、6.22(s、1H)、7.01(m、1H)、7.14(m、2H)、7.85(s、1H)、8.24(s、1H)、8.68(s、1H)、9.37(s、1H)、10.35(s、1H)、11.24(s、1H)。
【0184】
実施例9: 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-6-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘキサンアミド(化合物16)の調製
工程9a: エチル 4-(ベンジルオキシ)-3-ヒドロキシベンゾエート(化合物502)
アセトニトリル(250mL)中のエチル3,4-ジヒドロキシベンゾエート(9.1g、50mmol)、ベンジルクロライド(6.3g、50mmol)、KI(1.66g、10mmol)、およびK2CO3(13.8g、100mmol)の混合物を、4O℃で一晩撹拌した。混合物を次に室温に冷却し、濾過した。濾液を蒸発させ、石油エーテル/酢酸エチル(10/1)を用いて溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで残渣を精製し、表題の化合物502を白色固体(4.4g、33%)として得た: LCMS: 273 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6); δ 9.49(s、1H)、7.35(m、7H)、7.08(d、J=7.8Hz、1H)、5.16(s、2H)、4.21(m、2H)、1.26(t、J=7.5Hz、3H)。
【0185】
工程9b: エチル 4-(ベンジルオキシ)-3-(6-エトキシ-6-オキソへキシルオキシ)ベンゾエート(化合物503-16)
化合物307-9(実施例3)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物503-16(6.7g、100%)を、502(4.43g、16.3mmol)、エチル6-ブロモヘキサノエート(4.36g、19.5mmol)から黄色がかった油状物として調製した: LCMS: 437[M+23]+; 1H NMR (DMSO-d6) : δ 7.53(d、J=8.4Hz、1H)、7.44〜7.31(m、6H)、7.14(d、J=8.4Hz、1H)、5.17(s、2H)、4.25(q、J=7.2Hz、2H)、4.04〜3.98(m、4H)、2.26(t、J=6.9Hz、2H)、1.74〜1.65(m、2H)、1.59〜1.52(m、2H)、1.46〜1.36(m、2H)、1.28(t、J=6.9Hz、3H)、1.14(t、J=7.2Hz、3H)。
【0186】
工程9c: エチル 4-(ベンジルオキシ)-5-(6-エトキシ-6-オキソへキシルオキシ)-2-ニトロベンゾエート(化合物504-16)
AcOH(8mL)中の化合物503-16(6.74g、16.3mmol)の溶液に、AcOH(7mL)中のHNO3(3.2mL)を0℃で添加し、30分間撹拌した。混合物を室温に温めた。混合物を氷水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層を水、飽和NaHCO3、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して表題の化合物504-16を黄色固体(7.5g、100%)として得た: LCMS: 460 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.73(s、1H)、7.45〜7.34(m、5H)、7.30(s、1H)、5.26(s、2H)、4.28(q、J=7.0Hz、2H)、4.12(t、J=6.6Hz、2H)、4.00(q、J=6.9Hz、2H)、2.27(t、J=7.2Hz、2H)、1.79〜1.68(m、2H)、1.63〜1.52(m、2H)、1.43〜1.37(m、2H)、1.24(t、J=7.2Hz、3H)、1.14(t、J=7.8Hz、3H)。
【0187】
工程9d: エチル2-アミノ-4-(ベンジルオキシ)-5-(6-エトキシ-6-オキソへキシルオキシ)ベンゾエート(化合物505-16)
化合物504-16(6.3g、13.7mmol)、EtOH(50mL)、H2O(40mL)、およびHCl(3.2mL)の混合物を、透明な溶液になるまで加熱した。この透明な溶液に、Fe(4.4g、79mmol)を添加した。得られた混合物を、30分間還流加熱した。混合物を室温に冷却し、5N NaOHでpH 8に調整した。混合物を6O℃に加熱し、素早く濾過し、、熱EtOHで2回洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をCH2Cl2で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して表題の化合物505-16を黄色固体(5.7g、96%)として得た: LCMS: 430 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.44〜7.31(m、4H)、7.17(s、1H)、6.40(d、J=7.8Hz、2H)、5.05(s、1H)、4.20(q、J=7.2Hz、2H)、4.00(q、J=7.2Hz、2H)、3.79(t、J=6.3Hz、2H)、2.23(t、J=7.5Hz、2H)、1.63〜1.50(m、4H)、1.41〜1.33(m、2H)、1.27(t、J=6.2Hz、3H)、1.13(t、(J=6.6Hz、3H)。
【0188】
工程9e: エチル 6-(7-(ベンジルオキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イルオキシ)ヘキサノエート(化合物506-16)
ホルムアミド(80mL)中の化合物505-16(5.7g、13.3mmol)、アミノオキシホルムアルデヒド(0.81g、13.3mmol)の混合物を、19O℃で2時間加熱した。混合物を室温に冷却し、減圧下でホルムアミドを除去した。残渣を氷水に注いだ。得られた固体を濾過によって回収し、水(3X)で洗浄し、乾燥させ、表題化合物506-16を褐色固体(5.7g、95%)として得た: LCMS: 411 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 12.13(brs、1H)、7.94(s、1H)、7.47〜7.32(m、6H)、7.19(s、1H)、5.26(s、2H)、4.08〜3.97(m、4H)、2.28(t、J=7.5Hz、2H)、1.79〜1.70(m、2H)、1.63〜1.56(m、2H)、1.51〜1.38(m、2H)、1.14(t、J=6.6Hz、2H)。
【0189】
工程9f: エチル6-(7-(ベンジルオキシ)-4-クロロキナゾリン-6-イルオキシ)ヘキサノエート(化合物507-16)
化合物506-16(4.2g、10.2mmol)およびホスホリルトリクロライド(120mL)の混合物を4時間還流加熱した。混合物を室温に冷却し、減圧下でホスホリルトリクロライドを除去した。残渣をCH2Cl2に溶解した。有機層を水、飽和NaHCO3、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して表題の化合物507-16を灰色固体(2.4g、56%)として得た: LCMS: 429 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 8.83(s、1H)、7.52〜7.48(m、3H) 7.42〜7.36(m、4H)、5.37(s、2H)、4.18(t、J=6.6Hz、2H)、4.02(q、J=6.9Hz、2H)、2.28(t、J=7.2Hz、2H)、1.84〜1.75(m、2H)、1.65〜1.55(m、2H)、1.50〜1.43(m、2H)、1.13(t、J=6.9z、3H)。
【0190】
工程9g: エチル 6-(7-(ベンジルオキシ)-4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)キナゾリン-6-イルオキシ)-ヘキサノエート(化合物508-16)
DMF(40mL)中の化合物507-16(1.08g、2.52mmol)、K2CO3(696mg、5.05mmol)および4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-オール(500mg、3.02mmol)の混合物を、8O℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をCH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。石油エーテル/酢酸エチル(3/2)を用いて溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで残渣を精製し、表題の化合物508-16を褐色泡状物(1.0g、71%)として得た: LCMS: 558 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.13(t、J=6.9Hz、3H)、1.43〜1.49(m、2H)、1.58〜1.63(m、2H)、1.78〜1.84(m、2H)、2.28(t、J=7.2Hz、2H)、2.39(s、3H)、4.01(q、J=6.9Hz、2H)、4.19(t、J=6.6Hz、2H)、5.37(s、2H)、6.22(s、1H)、6.95(t、J=6.9Hz、1H)、7.12(d、J=8.7Hz、1H)、7.33〜7.52(m、6H)、7.61(s、1H)、8.46(s、1H)、11.33(s、1H)。
【0191】
工程9h: エチル6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-7-ヒドロキシキナゾリン-6-イルオキシ)ヘキサノエート(化合物509-16)
CH3OH(40mL)中の化合物508-16(1.0g、1.79mmoL)、10% Pd/C(100mg)の混合物を、H2下の15℃で24時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、表題の化合物 509-16を褐色泡状物(800mg、96%)として得た: LCMS: 468 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 1.15(t、J=6.9Hz、3H)、1.44〜1.50(m、2H)、1.58〜1.65(m、2H)、1.78〜1.85(m、2H)、2.30(t、J=7.2Hz、2H)、2.39(s、3H)、4.02(q、J=7.2Hz、2H)、4.16(t、J=6.3Hz、2H)、6.22(s、1H)、6.95(t、J=8.1Hz、1H)、7.14(d、J=9.0Hz、1H)、7.22(s、1H)、7.56(s、1H)、8.40(s、1H)、10.61(s、1H)、11.30(s、1H)。
【0192】
工程9i: エチル6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-6-イルオキシ)ヘキサノエート(化合物510-16)
509-16(800mg、1.72mmol)、K2CO3(475mg、3.44mmol)およびDMF(20mL)の混合物に1-(3-クロロプロピル)ピロリジン(302mg、2.06mmol)を添加した。混合物を6O℃に加熱し、3時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去した。残渣を、CH2Cl2および水に分けた。有機層を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、表題化合物510-16を褐色泡状物(630mg、63%)として得た: LCMS: 579 [M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6): δ 1.15(t、J=6.9Hz、3H)、1.47〜1.54(m、2H)、1.59〜1.71(m、6H)、1.77〜1.86(m、2H)、1.97〜2.04(m、2H)、2.32(t、J=6.6Hz、2H)、2.42(s、3H)、2.50〜2.59(m、4H)、2.62(t、J=6.9Hz、2H)、4.03(q、J=6.9Hz、2H)、4.18(t、J=6.0Hz、2H)、4.25(t、J=6.3Hz、2H)、6.24(s、1H)、6.98(t、J=8.1Hz、1H)、7.17(d、J=8.7Hz、1H)、7.37(s、1H)、7.59(s、1H)、8.49(s、1H)、11.36(s、1H)。
【0193】
工程9j: 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-6-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘキサンアミド(化合物16)
化合物2(実施例1)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物(20mg、10%)を、化合物510-16(200mg、0.35mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH(2mL)から白色固体として調製した: LCMS: 566 [M+1]+; 1H NMR (CD3OD): δ 1.47〜1.52(m、2H)、1.52〜1.70(m、2H)、1.79〜1.84(m、6H)、2.04〜2.10(m、4H)、2.35(s、3H)、2.68〜2.77(m、4H)、2.79(t、J=8.0Hz、2H)、4.10(t、J=6.0Hz、H)、4.17(t、J=6.0Hz、2H)、6.14(s、1H)、6.84(t、J=8.0Hz、1H)、7.03(d、J=8.8Hz、1H)、7.20(s、1H)、7.55(s、1H)、8.33(s、1H)。
【0194】
実施例 10: N-ヒドロキシ-5-(4-(2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-6-イルオキシ)ペンタンアミド(化合物18)の調製
工程10a: エチル4-(ベンジルオキシ)-3-(5-メトキシ-5-オキソペンチルオキシ)ベンゾエート(化合物503-18)
化合物307-9(実施例3)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物503-18(1.5g、100%)を、化合物502(1.0g、3.7mmol)、メチル5-ブロモペンタノエート(1.0g、4.4mmol)から黄色油状物として調製した: LCMS: 437[M+23]+; 1H NMR (DMSO-d6); δ 7.54(d、J=8.7Hz、1H)、7.44〜7.33(m、6H)、7.14(d、J=8.4Hz、1H)、5.18(s、2H)、4.25(q、J=7.2Hz、2H)、4.01(t、J=6.0Hz、2H)、3.56(s、3H)、2.33(m、2H)、1.80〜1.61(m、4H)、1.28(t、J=7.2Hz、3H)。
【0195】
工程10b: エチル4-(ベンジルオキシ)-5-(5-メトキシ-5-オキソペンチルオキシ)-2-ニトロベンゾエート(化合物504-18)
化合物504-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物504-18(1.2g、77%)を、化合物503-18(1.4g、3.6mmol)から黄色油状物として調製した: LCMS: 454 [M+23]+; 1H NMR (DMSO-d6); δ 7.74(s、1H)、7.40(m、5H)、7.31(s、1H)、5.26(s、2H)、4.27(q、J=7.2Hz、2H)、4.14(t、J=6.3Hz、2H)、3.55(s、3H)、2.38(t、J=6.9Hz、2H)、1.60〜1.80(m 4H)、1.25(t、J=7.2Hz、3H)。
【0196】
工程10c: エチル2-アミノ-4-(ベンジルオキシ)-5-(5-メトキシ-5-オキソペンチルオキシ)ベンゾエート(化合物505-18)
化合物505-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物505-18(1.9g、74%)を、化合物504-18(2.8g、6.6mmol)から黄色固体として調製した: LCMS: 402[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6); δ 7.42〜7.38(m、5H)、7.17(s、1H)、6.42(s、1H)、6.41(brs、2H)、5.05(s、2H)、4.20(q、J=7.2Hz、2H)、3.80(t、J=6.0Hz、2H) 3.55(s、3H)、2.38(t、J=6.9Hz、2H)、1.38〜1.44(m、4H)、1.26(t、J=7.2Hz、3H)。
【0197】
工程1Od: メチル5-(7-(ベンジルオキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イルオキシ)ペンタノエート(化合物506-18)
化合物506-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物506-18(1.2g、67%)を、化合物505-18(1.9g、4.9mmol)から黄色固体として調製した: LCMS: 383 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6); δ 12.04(s、1H)、7.94(s、1H)、7.47〜7.41(m、3H)、7.38〜7.32(m、3H)、7.20(s、1H)、5.26(s、2H)、4.08(t、J=6.0Hz、2H)、3.56(s、3H)、2.38(t、J=7.2Hz、2H)、1.79〜1.70(m、4H)。
【0198】
工程1Oe: メチル5-(7-(ベンジルオキシ)-4-クロロキナゾリン-6-イルオキシ)ペンタノエート(化合物507-18)
化合物507-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物507-18(1.1g、88%)を、化合物506-18(1.2g、3.1mmol)から灰色固体として調製した: LCMS: 401[M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6); δ 8.83(s、1H)、7.51〜7.48(m、3H)、7.42〜7.35(m、4H)、5.37(s、2H)、4.20(t、J=7.2Hz、H)、3.55(s、3H)、2.40(t、J=7.2Hz、2H)、1.83〜1.69(m、4H)。
【0199】
工程1Of: メチル5-(7-(ベンジルオキシ)-4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)キナゾリン-6-イルオキシ)-ペンタノエート(化合物601-18)
イソプロパノール(20mL)中の化合物507-18(500mg、1.25mmol)および4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-アミン(246mg、1.5mmol)の混合物を撹拌し、2〜3時間還流加熱した。混合物を室温に冷却し、濾過し、i-プロパノールで洗浄した。石油エーテル/酢酸エチル(1/1)を用いて溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで固体を精製し、表題の化合物601-18を褐色固体(173mg、37%)として得た: 1H NMR (DMSO-d6): δ 11.22(s、1H)、9.32(s、1H)、8.20(s、1H)、7.85(s、1H)、7.48(d、J=6.9Hz、2H)、7.43〜7.32(m、4H)、7.22(s、1H)、7.10(d、J=9.6Hz、1H)、6.97(t、J=8.4Hz、1H)、6.19(s、1H)、5.29(s、2H)、4.14(t、J=6.9Hz、2H)、3.56(s、3H)、2.44(t、J=8.0Hz、2H)、2.39(m、3H)、1.73〜1.82(m、4H)。
【0200】
工程1Og: メチル5-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-ヒドロキシキナゾリン-6-イルオキシ)-ペンタノエート(化合物602-18)
CH3OH(5mL)中の化合物601-18(170mg、0.33mmoL)、10% Pd/C(17mg)の混合物を、 H2下の3O℃で24時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮し、表題化合物を緑色固体(140mg、98%)として得た: LCMS: 439[M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6): δ 11.2O(s、1H)、10.14(brs、1H)、9.27(s、1H)、8.16(s、1H)、7.80(s、1H)、7.12(d、J=8.1Hz、1H)、7.01(s、1H)、6.97(t、J=8.1Hz、1H)、6.19(s、1H)、4.11(t、J=6.0Hz、2H)、3.58(s、3H)、2.44(s、1H)、2.39(t、J=6.9Hz、2H)、1.95〜1.72(m、4H)。
【0201】
工程1Oh: メチル5-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)-キナゾリン-6-イルオキシ)ペンタノエート (化合物603-18)
DMF(12mL)中の602-18(140mg、0.32mmol)、K2CO3(88mg、0.64mmol)の混合物に、1-(3-クロロプロピル)ピロリジン(47mg、0.32mmol)を添加した。得られた混合物を、6O℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を、CH2Cl2と水に分けて、有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して表題の化合物603-18を褐色固体(70mg、40%)として得た: LCMS: 550[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ11.22(s、1H)、9.30(s、1H)、8.19(s、1H)、7.82(s、1H)、7.10(m、2H)、6.98(t、J=8.1Hz、1H)、6.19(s、1H)、4.16〜4.11(m、4H)、3.57(s、3H)、2.60(m、2H)、2.58(m、4H)、2.39(s、3H)、1.98〜1.93(m、2H)、1.82〜1.75(m、4H)、1.68(m、4H)。
【0202】
工程1Oi: 5-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-6-イルオキシ)-N-ヒドロキシペンタンアミド(化合物18)
化合物2(実施例1)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物(40mg、61%)を、化合物603-18(65mg、0.12mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH(1.5mL)から褐色固体として調製した: LCMS: 551[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 11.30(s、1H)、10.48(s、1H)、9.43(s、1H)、8.24(s、1H)、7.90(s、1H)、7.18(s、1H)、7.15(d、J=8.7Hz、1H)、7.00(t、J=8.0Hz、1H)、6.21(s、1H)、4.24(t、J=6.0Hz、2H)、4.14(t、J=6.0Hz、2H)、3.30〜3.25(m、6H)、2.41(s、3H)、2.23(t、J=6.9Hz、2H)、2.11〜2.06(m、2H)、1.95(m、4H)、1.80〜1.70(m、4H)。
【0203】
実施例11: 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)-キナゾリン-6-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘキサンアミド(化合物19)
工程11a: エチル4-(ベンジルオキシ)-3-(6-エトキシ-6-オキソへキシルオキシ)ベンゾエート(化合物503-19)
化合物503-18(実施例10)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物503-19(6.7g、100%)を、化合物502(4.43g、16.3mmol)およびエチル6-ブロモヘキサノエート(4.36g、19.5mmol)から黄色油状物として調製した: LCMS: 437[M+23]+; 1H NMR (DMSO-d6) : δ 7.53(d、J=8.4Hz、1H)、7.44〜7.31(m、6H)、7.14(d、J=8.4Hz、1H)、5.17(s、2H)、4.25(q、J=7.2Hz、2H)、4.04〜3.98(m、4H)、2.26(t、J=6.9Hz、2H)、1.74〜1.65(m、2H)、1.59〜1.52(m、2H)、1.46〜1.36(m、2H)、1.28(t、J=6.9Hz、3H)、1.14(t、J=7.2Hz、3H)。
【0204】
工程11b: エチル4-(ベンジルオキシ)-5-(6-エトキシ-6-オキソへキシルオキシ)-2-ニトロベンゾエート(化合物504-19)
化合物507-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題化合物504-19(7.5g、100%)を、化合物503-19(6.74g、16.3mmol)から橙色固体として調製した: LCMS: 460[M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6): δ 7.73(s、1H)、7.45〜7.34(m、5H)、7.30(s、1H)、5.26(s、2H)、4.28(q、J=7.0Hz、2H)、4.12(t、J=6.6Hz、2H)、4.00(q、J=6.9Hz、2H)、2.27(t、J=7.2Hz、2H)、1.79〜1.68(m、2H)、1.63〜1.52(m、2H)、1.43〜1.37(m、2H)、1.24(t、J=7.2Hz、3H)、1.14(t、J=7.8Hz、3H)。
【0205】
工程11c: エチル2-アミノ-4-(ベンジルオキシ)-5-(6-エトキシ-6-オキソへキシルオキシ)ベンゾエート(化合物505-19)
化合物505-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物505-19(5.7g、96%)を、化合物504-19(6.3g、13.7mmol)から黄色固体として調製した: LCMS: 430 [M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6): δ 7.44〜7.31(m、4H)、7.17(s、1H)、6.40(d、J=7.8Hz、2H)、5.05(s、1H)、4.20(q、J=7.2Hz、2H)、4.00(q、J=7.2Hz、2H)、3.79(t、J=6.3Hz、2H)、2.23(t、J=7.5Hz、2H)、1.63〜1.50(m、4H)、1.41〜1.33(m、2H)、1.27(t、J=6.2Hz、3H)、1.13(t、(J=6.6Hz、3H)。
【0206】
工程11d: エチル6-(7-(ベンジルオキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イルオキシ)ヘキサノエート(化合物506-19)
化合物506-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題化合物506-19(5.7g、95%)を、化合物 505-18(5.7g、13.3mmol)から褐色固体として調製した: LCMS: 411[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 12.13(brs、1H)、7.94(s、1H)、7.47〜7.32(m、6H)、7.19(s、1H)、5.26(s、2H)、4.08〜3.97(m、4H)、2.28(t、J=7.5Hz、2H)、1.79〜1.70(m、2H)、1.63〜1.56(m、2H)、1.51〜1.38(m、2H)、1.14(t、J=6.6Hz、2H)。
【0207】
工程 11e: エチル6-(7-(ベンジルオキシ)-4-クロロキナゾリン-6-イルオキシ)ヘキサノエート(化合物507-19)
化合物507-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物507-19(2.4g、56%)を、化合物506-19(4.2g、10.2mmol)から褐色固体として調製した: LCMS: 429 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 8.83(s、1H)、7.52〜7.48(m、3H) 7.42〜7.36(m、4H)、5.37(s、2H)、4.18(t、J=6.6Hz、2H)、4.02(q、J=6.9Hz、2H)、2.28(t、J=7.2Hz、2H)、1.84〜1.75(m、2H)、1.65〜1.55(m、2H)、1.50〜1.43(m、2H)、1.13(t、J=6.9 z、3H)。
【0208】
工程 11f: エチル6-(7-(ベンジルオキシ)-4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)キナゾリン-6-イルオキシ)-ヘキサノエート(化合物601-19)
化合物601-18(実施例10)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題化合物601-19(183mg、100%)を、化合物507-19(140mg、0.33mmol)および402(64mg、0.39mmol)から褐色固体として調製した: LCMS: 557[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 11.23(s、1H)、9.33(s、1H)、8.18(s、1H)、7.84(s、1H)、7.52〜7.33(m、5H)、7.21(s、1H)、7.10(d、J=8.4Hz、1H)、6.98(t、J=6.9Hz、1H)、6.18(s、1H)、5.29(s、1H)、4.12(t、J=6.9Hz、2H)、4.01(q、J=6.9Hz、2H)、2.39(s、3H)、2.30(t、J=7.8Hz、2H)、1.84〜1.78(m、2H)、1.63〜1.69(m、2H)、1.49〜1.39(m、2H)、1.13(t、J=6.9Hz、3H)。
【0209】
工程 11g: エチル6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-ヒドロキシキナゾリン-6-イルオキシ)-ヘキサノエート(化合物602-19)
化合物602-18(実施例10)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物602-19(80mg、78%)を、化合物601-19(124mg、0.22mmol)から緑色固体として調製した: LCMS: 467[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ11.26 (s、1H)、9.70(s、1H)、8.27(s、1H)、7.86(s、1H)、7.14(d、J=8.4Hz、1H)、7.07(s、1H)、6.98(t、J=7.5Hz、1H)、6.20(s、1H)、4.10(t、J=6.3Hz、2H)、4.02(q、J=7.2Hz、2H)、2.34(s、3H)、2.28(t、J=6.3Hz、2H)、1.86〜1.79(m、2H)、1.66〜1.59(m、2H)、1.49〜1.44(m、2H)、1.15(t、J=6.9Hz、3H)。
【0210】
工程11h: エチル 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)-キナゾリン-6-イルオキシ)ヘキサノエート(化合物603-19)
化合物603-18(実施例10)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題化合物603-19(75mg、40%)を、化合物602-19(153mg、0.33mmol)から褐色固体として調製した: LCMS: 578 [M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 11.22(s、1H)、9.31(s、1H)、8.20(s、1H)、7.81(s、1H)、7.12(m、2H)、6.97(t、J=8.4Hz、1H)、6.19(s、1)、4.15(t、J=6.3Hz、2H)、4.11(t、J=6.3Hz、2H)、4.01(q、J=7.5Hz、2H)、2.62(t、J=6.9Hz、2H)、2.38(s、3H)、2.31(t、J=7.5Hz、2H)、1.98〜1.93(m、2H)、1.82〜1.80(m、2H)、1.69〜1.47(m、6H)、1.15(t、J=6.9Hz、3H)。
【0211】
工程 11i: 6-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-6-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘキサンアミド(化合物19)
化合物2(実施例1)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物(40mg、59%)を、化合物603-19(70mg、0.12mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH(1.5mL)から褐色固体として調製した: LCMS: 565[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ11.25 (brs、1H)、9.36(brs、1H)、8.20(s、1H)、7.82(s、1H)、7.10(m、2H)、6.97(t、J=7.5Hz、1H)、6.19(s、1H)、4.15(t、J=6.3Hz、2H)、4.07(t、J=6.6Hz、2H)、2.56(t、J=7.2Hz、2H)、2.44(m、4H)、2.38(s、3H)、1.98〜1.92(m、4H)、1.80〜1.77(m、2H)、1.70〜1.61(m、4H)、1.59〜1.47(m、2H)、1.44〜1.21(m、2H)。
【0212】
実施例12: 7-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)-キナゾリン-6-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物20)
工程12a: エチル4-(ベンジルオキシ)-3-(7-エトキシ-7-オキソヘプチルオキシ)ベンゾエート(化合物503-20)
化合物503-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物503-20(1.6g、100%)を、化合物502(4.43g、16.3mmol)およびエチル7-ブロモヘプタノエート(1.0g、4.4mmol)から黄色油状物として調製した: LCMS: 429 [M+1]+
【0213】
工程12b: エチル 4-(ベンジルオキシ)-5-(7-エトキシ-7-オキソヘプチルオキシ)-2-ニトロベンゾエート(化合物504-20)
化合物504-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物504-20(1.7g、100%)を、化合物503-20(1.58g、3.69mmol)から橙色油状物として調製した: LCMS: 496 [M+23]+
【0214】
工程12c: エチル2-アミノ-4-(ベンジルオキシ)-5-(7-エトキシ-7-オキソヘプチルオキシ)ベンゾエート(化合物505-20)
化合物505-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物505-20(2.9g、97%)を、化合物504-20(3.2g、6.7mmol)から黄色固体として調製した: LCMS: 444[M+1]+
【0215】
工程12d: エチル7-(7-(ベンジルオキシ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イルオキシ)ヘプタノエート(化合物506-20)
化合物506-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物506-20(1.6g、60%)を、化合物505-20(2.9g、6.55mmol)から褐色固体として調製した: LCMS: 425[M+1]+
【0216】
工程12e: エチル7-(7-(ベンジルオキシ)-4-クロロキナゾリン-6-イルオキシ)ヘプタノエート(化合物507-20)
化合物507-16(実施例9)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物507-20(1.9g、95%)を、化合物506-20(1.63g、3.85mmol)から褐色固体として調製した: LCMS: 443[M+1]+
【0217】
工程12f: エチル7-(7-(ベンジルオキシ)-4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)キナゾリン-6-イルオキシ)-ヘプタノエート(化合物601-20)
化合物601-18(実施例10)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物601-20(100mg、52%)を、化合物507-20(150mg、0.34 mmol)および402(67mg、0.41mmol)から黒色固体として調製した: LCMS: 571[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ11.22(s、1H)、9.33(s、1H)、8.20(s、1H)、7.84(s、1H)、7.50(d、J=8.4Hz、2H)、7.43〜7.32(m、3H)、7.21(s、1H)、7.10(d、J=8.4Hz、1H)、6.97(t、J=8.4Hz、1H)、6.19(s、1H)、5.29(s、2H)、4.11(t、J=8.7Hz、2H)、4.00(q、J=6.00Hz、2H)、2.38(s、3H)、2.26(t、J=7.5Hz、2H)、1.82〜1.76(m、2H)、1.57〜1.35(m、6H)、1.14(t、J=7.5Hz、3H)。
【0218】
工程12g: エチル7-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-ヒドロキシキナゾリン-6-イルオキシ)-ヘプタノエート(化合物602-20)
化合物602-18(実施例10)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物602-20(130mg、94%)を、化合物601-20(165mg、0.29mmol)から黄色固体として調製した: LCMS: 481[M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6): δ 11.23(s、1H)、10.42(brs、1H)、9.40(s、1H)、8.19(s、1H)、7.81(s、1H)、7.20(d、J=8.4Hz、1H)、7.00(s、1H)、6.97(t、J=8.4Hz、1H)、6.19(s、1H)、4.09(t、J=6.6Hz、2H)、4.04(t、J=6.9Hz、2H)、2.39(s、3H)、2.29(t、J=6.9Hz、2H)、1.84〜1.78(m、2H)、1.60〜1.15(m、6H)、1.15(t、J=6.9Hz、3H)。
【0219】
工程12h: エチル7-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)-キナゾリン-6-イルオキシ)ヘプタノエート (化合物603-20)
化合物603-18(実施例10)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物603-20(70mg、44%)を、化合物602-20(130mg、0.27mmol)および1-(3-クロロプロピル)ピロリジン(40mg、0.27mmol)から褐色固体として調製した: LCMS: 592[M+1]+; 1H NMR(DMSO-d6): δ 11.25(s、1H)、9.36(s、1H)、8.22(s、1H)、7.86(s、1H)、7.15(s、1H)、7.12(d、J=9.3Hz、1H)、6.97(t、J=8.4Hz、1H)、6.19(s、1H)、4.22(t、J=6.6Hz、2H)、4.10(t、J=6.6Hz、2H)、4.03(q、J= 7.2Hz、2H)、3.02(m、2H)、2.39(s、3H)、2.29(t、J=7.2Hz、2H)、2.23〜2.12(m、2H)、1.90〜1.78(m、6H)、1.60〜1.33(m、6H)、1.24〜1.19(m、4H)、1.14(t、J=7.2Hz、3H)。
【0220】
工程12i: 7-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルアミノ)-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-6-イルオキシ)-N-ヒドロキシヘプタンアミド(化合物20)
化合物2(実施例1)について記載される手順と同様の手順を用いて、表題の化合物 (30mg、47%)を、化合物603-20(65mg、0.11mmol)および新たに調製したNH2OH/MeOH(1.5mL)から褐色固体として調製した:LCMS: 578[M+1]+; 1H NMR (DMSO-d6): δ 11.25(brs、1H)、9.35(brs、1H)、8.20(s、1H)、7.82(s、1H)、7.11(m、2H)、6.97(t、J=7.5Hz、1H)、6.19(s、1H)、4.15(t、J=6.6Hz、2H)、4.08(t、J=6.6Hz、2H)、2.58(t、J=6.9Hz、2H)、2.43(m、4H)、2.38(s、3H)、1.96〜1.91(m、4H)、1.80〜1.76(m、2H)、1.67(m、4H)、1.54〜1.43(m、4H)、1.36〜1.32(m、2H)。
【0221】
生物学的アッセイ:
前述のように、本発明に規定された誘導体は抗増殖活性を有する。これらの特性を、例えば以下に記載の1つ以上の手順を用いて評価し得る:
【0222】
(a) 試験化合物がレセプターチロシンキナーゼを阻害する能力を測定するインビトロアッセイ
化合物がレセプターキナーゼ(VEGFR2およびPDGFR-β)活性を阻害する能力は、キナーゼの標準ラジオアイソトープアッセイを用いてアッセイされた。VEGFR2チロシンキナーゼは、アミノ末端に6Xヒスチジンが融合したヒトVEGFR2 cDNA (GenBankアクセッション番号 NM_002253) キナーゼドメイン(アミノ酸790〜終わり)断片を含む構築物からの、Sf21昆虫細胞におけるバキュロウイルス発現系を用いて作製された。PDGFR-βチロシンキナーゼは、アミノ末端に6-ヒスチジンが融合したヒトPDGFR-βc-DNA(GenBankアクセッション番号 NM_002600)断片(アミノ酸558〜1106)を含む構築物からのバキュロウイルス発現系を用いて作製された。タンパク質は、Ni2+/NTAアガロースアフィニティーカラムを用いて精製され、クーマシーブルー染色SDS-PAGEゲルによって測定された純度は>85%であった。
【0223】
VEGFR2/KDRアッセイのために、p33 ATPトレーサーを精製組み換えVEGFR2 キナーゼとインキュベートし、酵素活性をモニターした。このアッセイにおいて、反応は0.1mg/ml VEGFR2 キナーゼおよび0.33mg/ml ミエリン塩基性タンパク質の存在下で行われた。5OmM Tris-HCl、pH 7.5、30OmM NaCl、0.1mM EGTA、0.03% Brij 35、27OmM スクロース、1mM ベンズアミジン、0.2mM PMSF、 0.1% 2-メルカプトエタノールおよび1OOμM ATPを含む最終アッセイ条件において30℃で120分間反応を行った。等容積の25% TCAを添加して反応を停止させ、標識タンパク質を沈殿させた。沈殿したタンパク質を、ガラス繊維Bフィルタープレート上にトラップさせ、過剰な非標識p33 ATPを洗い落とした。30 uL/ウェルのPackard Microscint20を添加する前にプレートを風乾させた。Perkin Elmer TopCountプレートリーダーを用いて取り込まれた同位体の量を測定した。種々の濃度の化合物を反応物に添加し、VEGFR2キナーゼを阻害する化合物の活性を評価した。シグモイド用量応答曲線適合を有するPrismソフトウェアを用いてIC50を計算した。
【0224】
PDGFR-βアッセイのために、p33 ATPトレーサーを精製組み換えPDGFR-βキナーゼとインキュベートし、酵素活性をモニターした。このアッセイにおいて、0.4mg/ml PDGFR-βキナーゼおよび20OnMのAbl ペプチド基質(EAIYAAPFAKKK)の存在下で反応を行った。2OmM Tris-HCl、pH7.5、10OmM NaCl、0.05mM EDTA、0.05% NP-40、1mM DTT 50%グリセロールおよび1OOμM ATPを含んだ最終アッセイ条件下で、30℃で120分間反応を行った。等容積の25% TCAを添加して反応を停止させ、標識ペプチドを沈殿させた。沈殿したタンパク質をガラス繊維Bフィルタープレート上にトラップし、過剰な非標識p33 ATPを洗い落とした。30uL/ウェルのPackard Microscint 20を添加する前にプレートを風乾させた。Perkin Elmer TopCountプレートリーダーを用いて取り込まれた同位体の量を測定した。異なる濃度の化合物を反応物に添加し、PDGF-βキナーゼを阻害する化合物の活性を評価した。シグモイド用量応答曲線適合を有するPrismソフトウェアを用いてIC50を計算した。
【0225】
(b)試験化合物がHDAC酵素活性を阻害する能力を測定するインビトロアッセイ
HDAC蛍光測定アッセイキット(AK-500、Biomol、Plymouth Meeting、PA)を用いてHDACインヒビターをスクリーニングした。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、20mMの作業ストック濃度を得た。WALLAC Victor 2プレートリーダー上で蛍光を測定し、相対蛍光単位(RFU)として記録した。GraphPad Prism (v4.0a)を用いてデータをプロットし、シグモイド用量応答曲線適合アルゴリズムを用いてIC50を計算した。各アッセイを以下のように設定した: 全てのキット成分を解凍して、使用まで氷上で保持した。アッセイバッファ(50mM Tris/Cl、pH8.0、137mM NaCl、2.7mM KCl、1mM MgCl2)中にHeLa核抽出物を1:29に希釈した。アッセイバッファ中にトリコスタチンA(TSA、陽性対照)および試験化合物の希釈物を調製した(5xの最終濃度)。Fluor de LysTM基質をアッセイバッファ中に100uMに希釈した(50倍=2x最終)。Fluor de LysTM発色液の濃度を冷アッセイバッファ中に20倍(例えば50μl+950μlアッセイバッファ)に希釈した。第二に、1x 発色液中に0.2mM トリコスタチンAを100倍に希釈した(例えば、1ml中の10μl; 1X発色液中の最終トリコスタチンA 濃度=2μM; HDAC/基質反応に添加した後の最終濃度=1μM)。マイクロタイタープレートの適切なウェルにアッセイバッファ、希釈したトリコスタチンAまたは試験インヒビターを添加した。陰性対照を除く全てのウェルに、希釈したHeLA抽出物または他のHDAC試料を添加した。マイクロタイタープレート中の希釈したFluor de LysTM基質および試料をアッセイ温度(例えば、25または37℃に平衡化させた。希釈した基質(25μl)を各ウェルに添加し、完全に混合してHDAC反応を開始させた。HDAC反応を1時間進行させて、次にFluor de LysTM 発色液(50μl)を添加して反応を停止させた。プレートを室温(25℃)で10〜15分間インキュベートした。350〜380nmの範囲の波長で励起および440〜460nmの範囲の放出光を検出することができるマイクロタイタープレート読み取り蛍光測定器中で試料を読み取った。
【0226】
(c)試験化合物がc-MET酵素活性を阻害する能力を測定するインビトロアッセイ
c-Metアッセイのために、p33 ATPトレーサーを精製組み換えc-Metキナーゼとインキュベートし、酵素活性をモニターした。C-Met(アクセッション番号: GenBank NP_000236.2)は以下のように特徴付けられる: ヒスチジンタグを有する組み換えヒト触媒ドメイン(アミノ酸956〜1390)、昆虫細胞での発現。SDS-PAGEおよびクーマシーブルー染色による純度≧90%。MW=53.7kDa。373nmoleのリン酸が30℃でミエリン塩基性タンパク質(MBP)/分/全タンパク質mgに移動する比活性。活性を 2μg/mLの最終タンパク質濃度で測定した。20mM Tris(pH 7.5)、100mM NaCl、0.5mM EDTA、0.05% Triton X-100、2mM DTT、50% グリセロール中の0.41mg/mlの酵素。このアッセイにおいて、1OnM c-Metキナーゼおよび5uM ミエリン塩基性タンパク質の存在下で反応を行った。20mM HEPES、pH 7.5、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.02% Brij 35、0.02mg/ml BSA、0.1mM Na3VO4、2mM DTTおよび1μM ATPを含む最終アッセイ条件下で、30℃で120分間反応を行った。等容積の25% TCAを添加して反応を停止させ、標識タンパク質を沈殿させた。沈殿したタンパク質をガラス繊維Bフィルタープレート上にトラップし、過剰な非標識p33 ATPを洗い落とした。30uL/ウェルのPackard Microscint 20を添加する前にプレートを風乾させた。Perkin Elmer TopCountプレートリーダーを用いて取り込まれた同位体の量を測定した。異なる濃度の化合物を反応物に添加し、c-Metキナーゼを阻害する化合物の活性を評価した。シグモイド用量応答曲線適合を有するPrismソフトウェアを用いてIC50を計算した。
【0227】
(d)試験化合物がHER2酵素活性を阻害する能力を測定するインビトロアッセイ
10nM HER2および0.1mg/mlポリEYを反応バッファに入れ、2mM MnCl2、1μM ATPおよび1% DMSOを最終的に添加した。反応混合物を室温で2時間インキュベートした。ATPの変換率は22%であった。
【0228】
HER2(アクセッション番号: GenBank X03363)は以下の通りに特徴付けられる: N末端GSTタグ、組み換え、ヒトHER2アミノ酸679〜1255、Sf9昆虫細胞におけるバキュロウイルスによる発現。SDS PAGEおよびクーマシーブルー染色による純度>90%。MW=91.6kDa。比活性40 U/mg、活性の一単位は、1OOμMの最終ATP濃度を用いて30℃で1分あたりに30 ug/ml ポリ(Glu:Tyr)4:1基質に取り込まれる1nmolのリン酸として定義される。酵素は、25mM Tris-HCl、pH 8.0、100mM NaCl、0.05% Tween-20、50% グリセロール、10mM還元グルタチオン、および3mM DTT中に存在する。文献: Meyer, M. ら、EMBO J. 18,363-374 (1999); Rahimi, N. ら、J. Biol Chem 275, 16986-16992 (2000)。
【0229】
(e)試験化合物がEGFRキナーゼを阻害する能力を測定するインビトロアッセイ
HTScanTM EGFレセプターキナーゼアッセイキット(Cell Signaling Technologies, Danvers, MA)を用いて化合物がレセプターキナーゼ(EGFR)活性を阻害する能力をアッセイした。アミノ末端にGSTタグを有するヒトEGFR(His672-Alal210)(GenBankアクセッション番号 NM_005228)を発現する構築物を用いたバキュロウイルス発現系を用いて作製されたGSTキナーゼ融合タンパク質としてEGFRチロシンキナーゼを得た。グルタチオン-アガロースを用いた一工程アフィニティークロマトグラフィーによってタンパク質を精製した。抗ホスホチロシンモノクローナル抗体、P-Tyr-100を使用してビオチン化基質ペプチド(EGFR)、ビオチン-PTP1B(Tyr66)のリン酸化を検出した。60mM HEPES、5mM MgCl2 5mM MnCl2 200μM ATP、1.25mM DTT、3μM Na3VO4、1.5mMペプチド、および50ng EGF レセプターキナーゼにおいて酵素活性を試験した。DELFIA(登録商標)Europium標識抗マウスIgG(PerkinElmer、#AD0124)、DELFIA(登録商標)増強溶液(PerkinElmer、#1244-105)、および DELFIA(登録商標)ストレプトアビジン被覆96ウェルプレート(PerkinElmer、AAAND-0005)からなるDELFIAシステム(PerkinElmer, Wellesley, MA)を用いて結合抗体を検出した。WALLAC Victor 2プレートリーダーで蛍光を測定し、相対蛍光単位(RFU)として記録した。GraphPad Prism (v4.0a)を用いてデータをプロットし、シグモイド用量応答曲線適合アルゴリズムを用いてIC50を計算した。
【0230】
試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、20 mMの作業ストック濃度とした。各アッセイを以下の通りに設定した: 100μlの10mM ATPを1.25 mlの6mM基質ペプチドに添加した。混合物をdH20で2.5mlに希釈し、2X ATP/基質カクテル([ATP]=400mM、[基質]=3mM)とした。直ぐに-80℃から氷に酵素を移す。氷上で酵素を解凍させた。簡単に4℃で遠心分離して液体をバイアルの底部に落とした。直ぐに氷に戻した。10μlのDTT(1.25mM)を2.5mlの4X HTScanTMチロシンキナーゼバッファ(240mM HEPES pH 7.5、20mM MgCl2、20mM MnCl、12mM NaVO3)に添加し、DTT/キナーゼバッファを作製した。1.25mlのDTT/キナーゼバッファを酵素チューブに移し、4X反応カクテル([酵素]= 4X反応カクテル中の4ng/μL)を作製した。12.5μlの4X反応カクテルを12.5μl/ウェルの予め希釈した目的の化合物(通常約10μM)と室温で5分間でインキュベートした。25μlの2X ATP/基質カクテルを25μl/ウェルの予めインキュベートした反応カクテル/化合物に添加した。反応プレートを室温で30分間インキュベートした。50μl/ウェル停止バッファ(50mM EDTA、pH 8)を添加し、反応を停止した。25μlの各反応物および75μl dH2O/ウェルを96ウェルストレプトアビジン被覆プレートに移し、室温で60分間インキュベートした。200μl/ウェルPBS/T(PBS、0.05% Tween-20)で3回洗浄した。一次抗体、ホスホチロシンmAb(P-Tyr-100)を、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を有するPBS/T中に、1:1000に希釈した。100μl/ウェル一次抗体を添加した。室温で60分間インキュベートした。200μl/ウェルPBS/Tで3回洗浄した。Europium標識抗マウスIgGを 1% BSAを有するPBS/T中に1:500に希釈した。100μl/ウェル希釈抗体を添加した。室温で30分間インキュベートした。200μl/ウェルPBS/Tで5回洗浄した。100μl/ウェルDELFIA(登録商標)増強溶液を添加した。室温で5分間インキュベートした。適切な時間解像プレートリーダーを用いて615nmの蛍光放出を検出した。
【0231】
(f)試験化合物がc-Kitキナーゼを阻害する能力を測定するインビトロアッセイ
HTScanTMレセプターキナーゼアッセイキット(Cell Signaling Technologies, Danvers, MA)を用いて化合物がc-Kitチロシンキナーゼ活性を阻害する能力をアッセイした。c-Kitチロシンキナーゼは、アミノ末端にGSTタグを有するヒトc-Kit(Thr544-Val976)を発現する構築物からのバキュロウイルス発現系を用いて作製されるGSTキナーゼ融合タンパク質の部分的精製形態で得られる。グルタチオン-アガロースを用いた一工程アフィニティークロマトグラフィーによってタンパク質を精製した。抗ホスホチロシンモノクローナル抗体、P-Tyr-100を使用して、ビオチン化基質ペプチドKDR(Tyr996)のリン酸化を検出した。60mM HEPES、5mM MgCl2 5 mM MnCl2 200μM ATP、1.25mM DTT、3μM Na3VO4、1.5mMペプチド、および50ng c-Kitにおいて酵素活性を試験した。DELFIA(登録商標) Europium標識抗マウスIgG(PerkinElmer、#AD0124)、DELFIA(登録商標)増強溶液(PerkinElmer、#1244-105)、およびDELFIA(登録商標)ストレプトアビジン被覆96ウェルプレート(PerkinElmer、AAAND-0005)からなるDELFIAシステム(PerkinElmer, Wellesley, MA)を用いて結合抗体を検出した。WALLAC Victor 2プレートリーダーで蛍光を測定し、相対蛍光単位(RFU)として記録した。GraphPad Prism(v4.0a)を用いてデータをプロットし、シグモイド用量応答曲線適合アルゴリズムを用いてIC50を計算した。
【0232】
試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、20mMの作業ストック濃度とした。各アッセイを以下の通りに設定した: 100μlの10 mM ATPを1.25 ml 6mM基質ペプチドに添加する。混合物をdH20で2.5mlに希釈し、2X ATP/基質カクテル([ATP]=400mM、[基質]=3mM)を作製した。酵素を-80℃から氷に直ぐに移した。酵素を氷上で解凍させた。簡単に混合物を4℃で遠心分離して、バイアルの底部に液体を落として、氷に直ぐに戻した。10μlのDTT(1.25mM)を、2.5ml の4X HTScanTMチロシンキナーゼバッファ(240mM HEPES pH 7.5、20mM MgCl2、20mM MnCl、12mM NaVO3)に添加し、DTT/キナーゼバッファを作製した。1.25mlのDTT/キナーゼバッファを酵素チューブに移し、4X反応カクテル([酵素]= 4X 反応カクテル中の4ng/μL)を作製した。12.5μlの4X反応カクテルを、12.5μl/ウェルの予め希釈した目的の化合物(通常約10μM)と室温で5分間インキュベートした。25μlの2XATP/基質カクテルを、25μl/ウェルの予めインキュベートした反応カクテル/化合物に添加する。反応プレートを室温で30分間インキュベートした。50μl/ウェル停止バッファ(50mM EDTA、pH 8)を添加し、反応を停止させた。25μlの各反応物および75μl dH2O/ウェルを96ウェルストレプトアビジン被覆プレートに移し、室温で60分間インキュベートした。プレートを200μl/ウェル PBS/T(PBS、0.05% Tween-20)で3回洗浄した。一次抗体、ホスホチロシンmAb(P-Tyr-100)を、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を有するPBS/T中に1:1000に希釈した。100μl/ウェル一次抗体を添加し、混合物を室温で60分間インキュベートした。200μl/ウェルPBS/Tでプレートを再度3回洗浄した。Europium標識抗マウスIgGを、1% BSAを有するPBS/T中に1:500に希釈した。100μl/ウェル希釈抗体を添加し、混合物を室温で30分間インキュベートした。200μl/ウェルPBS/Tでプレートを5回洗浄した。100μl/ウェルDELFIA(登録商標)増強溶液を添加し、室温で5分間混合物をインキュベートした。615nmの蛍光放出を、適切な時間解像プレートリーダーを用いて検出する。
【0233】
以下の表Bに、HDAC、VEGFR2、EGFR、HER2/ErbB、c-Kit、c-MetおよびPDGFRアッセイにおける本発明の代表的な化合物および活性を列挙する。これらのアッセイにおいて、IC50のための以下の等級: I≧10μM、10μM>II>1μM、1μM>III>0.1μM、およびIV≦0.1μMを使用した。
【0234】

【0235】
本明細書に言及される特許および科学文献は当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に引用される全ての米国特許および公開または未公開米国特許出願は、参照によって援用される。本明細書に引用される全ての公開外国特許および特許出願は、参照によって本明細書に援用される。本明細書に引用される全ての他の公開文献、文書、論文および科学文献は、参照によって本明細書に援用される。
【0236】
本発明は、その好ましい態様を参照して具体的に示されかつ記載されているが、添付の特許請求の範囲が包含する本発明の範囲を逸脱することなく形式および詳細における様々な変更が行われ得ることが当業者に理解される。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:


(式中、
Z1、Z2およびZ3は独立してCR21、NR8、N、OまたはSからなる群より選択され、ここでR8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である;R21は独立して水素、ヒドロキシ、置換ヒドロキシ、アミノ、置換アミノ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、置換または非置換チオール、CF3、CN、NO2、N3、置換カルボニル、スルホニル、アシル、脂肪族、および置換脂肪族からなる群より選択される;
X1〜X3は独立してNまたはCR21である、
YはNR8、O、S、SO、SO2、脂肪族、および置換脂肪族である;
Mは独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、CF3、CN、N3、NO2、スルホニル、アシル、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、またはアルキニルヘテロシクリルアルキニルから選択され、1つ以上のメチレンがO、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環によって中断または終結され得る; R8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である;
Bはリンカーである;
C は
(a)


(式中、W1はOまたはSである; Y1は非存在、N、またはCHである; Z1はNまたはCHである;R7およびR9は独立して水素、OR'、脂肪族または置換脂肪族であり、R'は水素、脂肪族、置換脂肪族またはアシルである; 但し、R7およびR9が両方存在する場合、R7またはR9の1つがOR'である必要があり、Yが非存在である場合、R9はOR'である必要がある;R8は水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である);
(b)


(式中、W1はOまたはSである; JはO、NHまたはNCH3である;R10は水素または低級アルキルである);
(c)


(式中、W1はOまたはSである;Y2およびZ2は独立してN、CまたはCHである);ならびに
(d)


(式中、Z1、Y1およびW1は前述に規定の通りである; R11およびR12は独立して水素または脂肪族から選択される; R1、R2およびR3は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、 ジアルキルアミノ、置換ジアルキルアミノ、置換または非置換アルキルチオ、置換または非置換アルキルスルホニル、CF3、CN、NO2、N3、スルホニル、アシル、脂肪族、置換脂肪族、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環から選択される)
から選択される)
で表される化合物、またはその幾何学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、それらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物。
【請求項2】
式(II):


(式中、B1は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環またはアリールである; B2は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)またはCOである; B3は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)、CO、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリール、またはヘテロアリールである; B4は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)、CO、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリール、またはヘテロアリールである; B5は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6 アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリール、またはヘテロアリールである; M、Y、R'、Z1〜Z3、X1〜X3およびR8は前に請求項1で規定した通りである)
で表される請求項1記載の化合物、またはその幾何学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、それらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物。
【請求項3】
式 (III):


(式中、B1は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環またはアリールである; B2は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)またはCOである; B3は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)、CO、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリール、またはヘテロアリールである; B4は非存在、O、S、SO、SO2、N(R8)、CO、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリール、またはヘテロアリールである; B5は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリール、またはヘテロアリールである; M1は非存在、C1〜C6アルキル、O、S、SO、SO2、NH、アルキルアミン、CO、アリール、ヘテロアリールである; M2は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルキニルである; M3は非存在、C1〜C6アルキル、O、S、SO、SO2、NH、アルキルアミン、アリール、ヘテロアリールである; M4は非存在、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルキニルである; M5はOH、SH、NR7R8、CO2R8、SOR8、SO2R8、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、または複素環である; Y、R'、Z1〜Z3、X1〜X3およびR8は前に請求項1で規定した通りである)
で表される請求項1記載の化合物、またはその幾何学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、それらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物。
【請求項4】
YがNHである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
YがOである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
表A:


に表される化合物から選択される請求項1記載の化合物、またはその幾何学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、それらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物。
【請求項7】
活性成分として請求項1記載の化合物および薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項8】
治療有効量の請求項7記載の医薬組成物を被験体に投与する工程を含む、治療の必要がある被験体における細胞増殖障害の治療方法。
【請求項9】
細胞増殖障害が、乳頭腫、芽細胞神経膠腫、カポジ肉腫、メラノーマ、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸癌、扁平上皮癌、星状細胞腫、頭部癌、頸部癌、膀胱癌、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、膵臓癌、腎細胞癌、胃癌、肝細胞癌、神経芽細胞腫、白血病、リンパ腫、外陰癌(vulcar cancer)、ホジキン病およびバーキット病からなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項7記載の医薬組成物を治療の必要がある被験体に投与する工程を含む、HDAC媒介疾患の治療方法。
【請求項11】
請求項7記載の医薬組成物を治療の必要がある被験体に投与する工程を含む、VEGFRおよびHDACに関連する細胞増殖障害の治療方法。

【公表番号】特表2010−539094(P2010−539094A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524241(P2010−524241)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/075844
【国際公開番号】WO2009/036055
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(501188889)キュリス,インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】