交通流監視装置
【課題】 個別車両を認識することなく、避走車両や停止車両などを効率よく検出できる交通流監視装置を得る。
【解決手段】 所定の周期で道路状態を撮像する画像撮像部10により撮像された画像がブロック分割された各ブロック毎に物体の移動方向を物体追跡部12により追跡し、一方、画像の各ブロック毎に道路形状に応じて基本物体移動方向を予め基本物体進行方向設定部11により設定しておき、物体移動方向比較部13により、基本物体移動方向と、物体追跡手段により追跡されたブロック毎の物体の移動方向とを比較して避走ブロックを設定し、この避走ブロックを避走ブロック連結処理部14により連結し、この連結された連結避走ブロック情報から避走物体判定部15により避走物体を判定する。
【解決手段】 所定の周期で道路状態を撮像する画像撮像部10により撮像された画像がブロック分割された各ブロック毎に物体の移動方向を物体追跡部12により追跡し、一方、画像の各ブロック毎に道路形状に応じて基本物体移動方向を予め基本物体進行方向設定部11により設定しておき、物体移動方向比較部13により、基本物体移動方向と、物体追跡手段により追跡されたブロック毎の物体の移動方向とを比較して避走ブロックを設定し、この避走ブロックを避走ブロック連結処理部14により連結し、この連結された連結避走ブロック情報から避走物体判定部15により避走物体を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車交通流における監視範囲内の避走停止車両・落下物の存在などを画像処理により検出する交通流監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交通流計測のうち避走車両検出手法の一つとして、個別車両を検出して、一定時間の移動量から避走を判定するという手法があった。
しかし、この手法では、個別車両を認識する必要があり、個別車両が認識できないと判定精度が低下するという問題があった。
また、落下物検出においては、画像内で落下物の大きさがある程度の画素を確保できない場合、映像ノイズ、もしくは、構造物による影と判定され、画面奥の微小な落下物を見つけられない場合があった。
特許文献1では、遠隔監視カメラで撮像された画像の動きベクトルと、動きベクトルの向きをブロック毎に計算し、この動きベクトルの向きと、予め検出されている平常時の動きベクトルの向きの平均とを比較して、所定量以上ずれているブロックがある場合に、越波などの道路異常と判断するものが、記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−357484号公報(第3〜4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の避走車両・落下物判定法では、避走車両を検出するには、個別認識した車両の移動軌跡を計測することが必要である。
また、落下物検出においては、画面奥の微小な画素の落下物をノイズとして見逃すという問題があった。
また、特許文献1のものでは、道路異常検出の基準を、予め検出されている平常時の動きベクトルの向きの平均としたため、平均値が一定しない場合や、動作開始時初期での動きベクトル蓄積量が少ないとき、動きベクトルの分散値が容易に変動しやすいため、検出精度の低下を招くという問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、個別車両を認識することなく、避走車両や停止車両などを効率よく検出できる交通流監視装置を得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる交通流監視装置においては、所定の周期で道路状態を撮像する画像撮像手段、この画像撮像手段により撮像された画像がブロック分割された各ブロック毎に物体の移動方向を追跡する物体追跡手段、画像の各ブロック毎に道路形状に応じた基本物体移動方向を予め設定する基本物体進行方向設定手段、この基本物体進行方向設定手段により設定されたブロック毎の基本物体移動方向と、物体追跡手段により追跡されたブロック毎の物体の移動方向とをブロック毎に比較する物体移動方向比較手段、及びこの物体移動方向比較手段による比較結果、移動方向差が第一の値以上のときに物体を避走物体として判定する避走物体判定手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以上説明したように、所定の周期で道路状態を撮像する画像撮像手段、この画像撮像手段により撮像された画像がブロック分割された各ブロック毎に物体の移動方向を追跡する物体追跡手段、画像の各ブロック毎に道路形状に応じた基本物体移動方向を予め設定する基本物体進行方向設定手段、この基本物体進行方向設定手段により設定されたブロック毎の基本物体移動方向と、物体追跡手段により追跡されたブロック毎の物体の移動方向とをブロック毎に比較する物体移動方向比較手段、及びこの物体移動方向比較手段による比較結果、移動方向差が第一の値以上のときに物体を避走物体として判定する避走物体判定手段を備えたので、監視道路の道路形状に応じたブロック毎の基本物体移動方向を設定すれば、低コストで避走物体を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を、図を用いて説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
図1において、画像撮像部10(画像撮像手段)は、監視用ITVカメラなどの撮像素子により所定の周期で画像を撮像し、その画像をデジタルデータとして記憶する。基本物体進行方向設定部11(基本物体進行方向設定手段)は、撮像画像上の監視を必要とする道路車線を含むブロック領域で、移動物体が車線に沿って移動する場合、各ブロック毎の基本物体移動方向を設定するものであり、カメラの設置条件が決定すると不変の設定値となるため、事前に決定しておく情報である。第(i,j)ブロックB(i,j)の基本物体移動方向S(i,j)の決定方法は、以下の通りである。
基本情報として、ブロック情報と道路線形情報の既知情報に基づき、ブロックB(i,j)の中心座標を(x,y)、B(i,j)の縦幅をH(B(i,j))、B(i,j)の横幅をW(B(i,j))、座標(x,y)の存在する車線の左端x座標をLE(y)、同様に右端x座標をRE(y)、車線端座標LE(y1)とLE(y2)を結ぶ曲線の平均傾きをLS(y1,y2)、同様に車線端座標RE(y1)とRE(y2)を結ぶ曲線の平均傾きをRS(y1,y2)として得られている場合、
ブロック中心の車線内x座標分率BR(i,j) を
BR(i,j) = (x-LE(y))/(RE(y)-LE(y))
とすると、これにより、各ブロックB(i,j)の基本物体移動方向S(i,j)は
S(i,j) = BR(i,j)*LS(y-K1*H(B(i,j)), y+ K2*H(B(i,j)))
+(1-BR(i,j))*RS(y-K1*H(B(i,j)), y+ K2*H(B(i,j)))
(K1 K2は定数値)
となる。
なお、基本物体進行方向設定部11で用いる画像のブロックは、予め固定の大きさのブロックとして分割されている。
【0009】
物体追跡部12(物体追跡手段)は、撮像画像上の監視を必要とする道路車線を含む全てのブロックの追跡処理を行なうものであり、ブロック追跡結果からブロック別の物体移動方向を算出し、またカメラ設置情報とを合わせることで、各ブロックの物体の移動速度も合わせて算出する。このときの物体追跡部12によるブロック毎の物体の追跡処理は、濃淡白黒2次元画像でのマッチング処理によるもので、各ブロックが次処理周期でどの方向にどれだけのピクセル量移動したかをマッチング処理で追跡し、その移動方向と移動量とカメラ設置情報から、道路に対する移動方向と移動速度を算出する。
物体移動方向比較部13(物体移動方向比較手段)は、基本物体進行方向設定部11で与えられる道路車線上の仮移動方向と、物体追跡部12で得られた物体移動方向から斜線に沿って移動を行なっていない、すなわち避走行動を行なっている物体の抽出を行なうものである。
【0010】
避走ブロック連結処理部14と避走物体判定部15は、避走物体判定手段を構成する。避走ブロック連結処理部14は、隣接するブロック間の類似する避走進行方向と進行速度のブロック情報を連結するものである。避走物体判定部15は、避走ブロック連結処理部14で得られた連結避走ブロック情報から車線内の避走有無を判断し、避走という交通事象の判定を行なうものである。
【0011】
図2は、この発明の実施の形態1による交通流監視装置の基本物体進行方向設定部により設定された各ブロックの仮進行方向を示す平面図である。
図2においては、基本物体進行方向設定部11により設定された道路形状に応じて一意に決定される物体の基本進行方向を示している。ブロックB毎に矢印が示されている。
図3は、この発明の実施の形態1による交通流監視装置の物体追跡部で追跡された移動物体の移動方向を示す平面図である。
図3において、ブロック毎に矢印で物体の移動方向が示されている。
図4は、この発明の実施の形態1による交通流監視装置の避走事象検出処理を示すフローチャートである。
図5は、この発明の実施の形態1による交通流監視装置の物体移動方向比較部で処理された移動物体の進行方向比較を示す平面図である。
図5において、左側の各ブロックの移動物体が、角度誤差範囲を越える移動方向を示している。
【0012】
次に、図4をもとに避走事象判定動作の説明をする。
図4は、物体追跡部12と物体移動方向比較部13と交通事象判定部14の処理フローである。まず、ステップS11では、物体追跡部12において、撮像画像をブロック分割した各ブロックで個別に物体の追跡処理を行なう。その追跡結果が図3に相当する。ステップS12では、ステップS11で得られた物体の追跡情報から各ブロックの物体の移動方向と移動速度の算出を行なう。ブロックの物体の移動速度は、カメラのレンズ焦点距離、俯角、仰角、設置高さから得られる情報と、単位当たりのブロック移動距離から算出可能な値である。
ステップS13では、物体移動比較部13において、ステップS12で得られたブロックの物体の移動方向と、基本物体進行方向設定部11において決定される、図2にような仮移動方向(基本物体移動方向)とを比較し、角度誤差±α1度(第一の値)以上の移動方向の差が発生しているブロックを避走ブロックに設定する。図5は、ブロック毎に設定された基本物体移動方向と移動追跡をして得られた物体移動方向と比較を行ない、避走ブロック設定が行なわれた状態を示している。左側に4つの避走ブロックがある。
【0013】
ステップS14では、避走ブロック連結処理部14において、ステップS13で得られた避走ブロックの領域連結を行なう。任意の避走ブロックに連結するブロックが、速度誤差V1km/h以内かつ移動角度差R1度以内の避走ブロックである場合、避走ブロック同士の連結処理を行なう。
ステップS15では、避走物体判定部15において、ステップS14で得られた避走連結ブロック情報から避走事象を検出する。T1サイクルの間、連結避走ブロック数が、B2個以上連続発生した場合、その車線上には避走移動物体が存在すると検出し、避走事象判定を行なう。このステップS15は、単純に車線内の任意の場所での避走ブロック連続発生回数から避走判定を行なっているが、判定基準をより詳細に、避走ブロック連結領域の発生場所に基づいて行なっても良い。
【0014】
以上のように、この実施の形態1では、監視車線の物体の移動する方向と車線の形状から得られる理想的な物体の移動方向とを比較することによって、個別車両を認識することなく車線内の避走物体を検出することが可能となる。
【0015】
実施の形態1によれば、これまでは個別車両を認識しなければ検出することができなかった避走事象を車線内の物体の流れから検出することが可能となり、また、道路線形から物体の理想的な移動方向を既知情報として算出していることから、統計処理などの情報蓄積処理を用いた避走事象判定よりも低コストで避走事象を判定する交通流監視装置を提供することが可能となる。
【0016】
実施の形態2.
この発明における実施の形態2を図6および図7を用いて説明する。
図6は、この発明の実施の形態2による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
図6において、11〜15は図1におけるものと同一のものである。図6では、移動ブロック連結処理部16と逆走避走物体判定部17が設けられ、移動ブロック連結処理部16と逆走避走物体判定部17は、逆走避走物体判定手段を構成する。
【0017】
図7は、この発明の実施の形態2による交通流監視装置の逆走避走事象検出処理を示すフローチャートである。
次に、図7をもとに、逆走避走事象検出処理について説明する。
ステップS21では、移動ブロック連結処理部16として、物体追跡部12で追跡を行なったブロック情報から類似方向と類似速度で移動するブロックの領域連結を行なう。隣り合うブロック間の移動方向角度誤差±α2度以内で、かつ、移動速度誤差V2km/hの場合、連結ブロックとして作成する。
ステップS22では、連結ブロック領域の存在する車線とその連結ブロック領域の移動方向を確認する。連結ブロック領域の存在する車線の順走行方向と連結ブロック領域の移動方向差が(180±α3)度(第二の値、但し、α3<90)以上の場合、その移動物体は、逆走物体として設定する。
ステップS23では、ステップS22で設定した連結ブロック領域情報から、T2サイクルの間、逆走連結ブロックが連続発生した場合、その車線上には逆走移動物体が存在すると検出し、その逆走物体を順方向車線の避走物体として事象判定を行なう。このステップS23は、単純に車線内の任意の場所での逆走ブロック連続発生回数から逆走判定を行なっているが、判定基準をより詳細に、避走ブロック連結領域の発生場所に基づいて行なっても良い。
【0018】
以上のように、実施の形態2によれば、対面通行車線道路において、自車線上に走行を妨害する遮蔽物があった場合、対向車線を走行することで、その遮蔽物を回避することから、逆走物体を反対車線の避走物体として検出する。これにより、対面通行車線道路において、監視カメラ内で避走行動を取らない移動物体についても避走車両として検出することが可能となり、より幅広い交通流を計測することができる。
【0019】
実施の形態3.
この発明による実施の形態3を図8および図9を用いて説明する。
図8は、この発明の実施の形態3による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
図8において、10〜17は図6におけるものと同一のものである。図8では、移動ブロック連結処理部16の出力を受けて、移動停止物体を判定する移動停止物体判定部18(移動停止物体判定手段)が設けられている。
【0020】
図9は、この発明の実施の形態3による交通流監視装置の移動停止物体検出処理を示すフローチャートである。
次に、図9をもとに、移動停止物体判定部18の処理について説明する。
ステップS31では、移動ブロック連結処理部16で得られる連結ブロック情報の速度情報から低速移動連結ブロックを検出する。T31サイクル間、B3個以上の連結ブロックで、V31km/h以内の速度が連続することで、低速移動連結ブロックとして設定する。
ステップS32では、ステップS31で得られた低速連結ブロック情報を元に停止連結ブロックを検出する。低速移動連結ブロックとして設定されたブロック領域の移動物体が、T32サイクル間(所定期間)、V32km/h(所定速度)以内の速度が連続した場合、低速移動ブロックから移動停止ブロックとして状態を変更し、設定する。
これにより、車線内を移動して停止した物体を、効率よく検出することが可能となる。
【0021】
以上の処理から、移動停止物体判定には、最低(T31+T32)サイクルを必要とする。例えば、T31=0.5秒、B3=2個、V31=10.0km/h、T32=2.0秒、V32=5.0km/hとした場合、10km/h以下で移動する物体が車線内で停止した場合、最低(T31+T32)=2.5秒後には移動停止物体として検出される。
【0022】
以上のように、実施の形態3によれば、道路車線内を移動して停止する物体を検出することが可能となり、より幅広い交通流を計測することができる。
【0023】
実施の形態4.
この発明による実施の形態4を図10を用いて説明する。
図10は、この発明の実施の形態4による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
図10において、10〜18は図8におけるものと同一のものである。図10では、移動ブロック連結処理部16の出力を受けて渋滞を判定する渋滞判定部19(渋滞判定手段)が設けられている。
【0024】
次に、渋滞判定部19の処理について説明する。
まず、移動ブロック連結処理部16から得られた連結ブロック移動速度から車線平均速度算出を行なう。各走行車線の累積速度Vxは、移動停止ブロック以外の速度を有するブロック移動速度の累積により決定される。そのため、車線内の物体移動平均速度Vavは、Vav=Vx/(移動ブロック数+停止ブロック数)となる。
次いで、車線平均速度Vavが、T4サイクル間、V4km/h以下の場合、渋滞と判定する。
このように、この実施の形態4では、車線平均速度のみで渋滞判定を行なっているが、差分画像などを用いて車線占有率を求め、車線占有率と車線平均速度から、渋滞事象を判定すれば、より判定精度が向上する。
【0025】
以上のように、実施の形態4によれば、個別車両を認識しない条件下でも効率よく渋滞事象を検出することが可能となり、より幅広い交通流を計測することができる。
【0026】
実施の形態5.
この発明による実施の形態5を図11および図12を用いて説明する。
図11は、この発明の実施の形態5による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
図11において、10〜19は図10におけるものと同一のものである。図11では、画像撮像部10の撮像画像を切替える映像多重化部20(映像多重化手段)を設けている。
【0027】
図12は、この発明の実施の形態5による交通流監視装置の映像多重化を示す概念図である
次に、図12をもとに、映像多重化部20について説明する。図12は4つのカメラからの映像を時間分割して多重化した映像の例である。
映像多重化部20は、一定周期TC秒間に1回の割合で映像を切り替え、(TC秒×多重化カメラ台数)秒後には、同じ場所の映像が入力されるような巡回型映像多重化を行うものである。これにより、1つの交通流監視装置で複数台のITVカメラの交通流計測を行うことができる。
【0028】
以上のように、この実施の形態5では、1つの入力映像により同時に複数のITVカメラ映像の交通流計測を行うことができ、コスト等を抑えた交通流計測が可能となる。
【0029】
実施の形態5では、任意の1台のカメラ映像は、TC×(多重化カメラ台数−1)秒間、映像がない状態、すなわち不監視状態になる。避走や渋滞などの事象については、不監視中や監視中を問わず継続して発生するため、特に問題がないが、停止車両については、不監視中に発生した停止車両を検出することができない。そのため、カメラが切替ったときにすでに存在する停止車両を、落下物等の障害物の一部として考えることで、停止車両の検出を、間接的に行なう。
落下物の検出方法は、次のように避走車両の有無から判断を行う。
TC×(多重化カメラ台数−1)後に、自カメラ映像に処理が戻ることを1監視期間と定義すると、P5監視期間中にH5回以上の監視期間で避走事象が検出された場合、移動物体の避走を発生させる要因の落下物が存在するとして、落下物の判定を行なう。これは不監視期間中に発生した停止車両も含まれるので、間接的に停止車両の判定も可能となる。これにより、避走事象の発生頻度から間接的に落下物や停止事象の検出も行なうことで、より正確な交通流監視装置を提供することができる。
【0030】
以上のように、実施の形態5によれば、映像多重化装置を用いることで、より多くの道路映像を監視することが可能となり、また不監視時間帯に発生する交通事象についても、他の継続発生する交通事象の情報から間接的に検出することで、検出事象を制限することなく交通流監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施の形態1による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による交通流監視装置の基本物体進行方向設定部により設定された各ブロックの仮進行方向を示す平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による交通流監視装置の物体追跡部で追跡された移動物体の移動方向を示す平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1による交通流監視装置の避走事象検出処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による交通流監視装置の物体移動方向比較部で処理された移動物体の進行方向比較を示す平面図である。
【図6】この発明の実施の形態2による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態2による交通流監視装置の逆走避走事象検出処理を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態3による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態3による交通流監視装置の移動停止物体検出処理を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態4による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態5による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態5による交通流監視装置の映像多重化を示す概念図である
【符号の説明】
【0032】
10 画像撮像部、11 基本物体進行方向設定部、12 物体追跡部、
13 物体移動方向比較部、14 避走ブロック連結処理部、
15 避走物体判定部、16 移動ブロック連結処理部、
17 逆走避走物体判定部、18 移動停止物体判定部、19 渋滞判定部、
20 映像多重化部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車交通流における監視範囲内の避走停止車両・落下物の存在などを画像処理により検出する交通流監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交通流計測のうち避走車両検出手法の一つとして、個別車両を検出して、一定時間の移動量から避走を判定するという手法があった。
しかし、この手法では、個別車両を認識する必要があり、個別車両が認識できないと判定精度が低下するという問題があった。
また、落下物検出においては、画像内で落下物の大きさがある程度の画素を確保できない場合、映像ノイズ、もしくは、構造物による影と判定され、画面奥の微小な落下物を見つけられない場合があった。
特許文献1では、遠隔監視カメラで撮像された画像の動きベクトルと、動きベクトルの向きをブロック毎に計算し、この動きベクトルの向きと、予め検出されている平常時の動きベクトルの向きの平均とを比較して、所定量以上ずれているブロックがある場合に、越波などの道路異常と判断するものが、記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−357484号公報(第3〜4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の避走車両・落下物判定法では、避走車両を検出するには、個別認識した車両の移動軌跡を計測することが必要である。
また、落下物検出においては、画面奥の微小な画素の落下物をノイズとして見逃すという問題があった。
また、特許文献1のものでは、道路異常検出の基準を、予め検出されている平常時の動きベクトルの向きの平均としたため、平均値が一定しない場合や、動作開始時初期での動きベクトル蓄積量が少ないとき、動きベクトルの分散値が容易に変動しやすいため、検出精度の低下を招くという問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、個別車両を認識することなく、避走車両や停止車両などを効率よく検出できる交通流監視装置を得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる交通流監視装置においては、所定の周期で道路状態を撮像する画像撮像手段、この画像撮像手段により撮像された画像がブロック分割された各ブロック毎に物体の移動方向を追跡する物体追跡手段、画像の各ブロック毎に道路形状に応じた基本物体移動方向を予め設定する基本物体進行方向設定手段、この基本物体進行方向設定手段により設定されたブロック毎の基本物体移動方向と、物体追跡手段により追跡されたブロック毎の物体の移動方向とをブロック毎に比較する物体移動方向比較手段、及びこの物体移動方向比較手段による比較結果、移動方向差が第一の値以上のときに物体を避走物体として判定する避走物体判定手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以上説明したように、所定の周期で道路状態を撮像する画像撮像手段、この画像撮像手段により撮像された画像がブロック分割された各ブロック毎に物体の移動方向を追跡する物体追跡手段、画像の各ブロック毎に道路形状に応じた基本物体移動方向を予め設定する基本物体進行方向設定手段、この基本物体進行方向設定手段により設定されたブロック毎の基本物体移動方向と、物体追跡手段により追跡されたブロック毎の物体の移動方向とをブロック毎に比較する物体移動方向比較手段、及びこの物体移動方向比較手段による比較結果、移動方向差が第一の値以上のときに物体を避走物体として判定する避走物体判定手段を備えたので、監視道路の道路形状に応じたブロック毎の基本物体移動方向を設定すれば、低コストで避走物体を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を、図を用いて説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
図1において、画像撮像部10(画像撮像手段)は、監視用ITVカメラなどの撮像素子により所定の周期で画像を撮像し、その画像をデジタルデータとして記憶する。基本物体進行方向設定部11(基本物体進行方向設定手段)は、撮像画像上の監視を必要とする道路車線を含むブロック領域で、移動物体が車線に沿って移動する場合、各ブロック毎の基本物体移動方向を設定するものであり、カメラの設置条件が決定すると不変の設定値となるため、事前に決定しておく情報である。第(i,j)ブロックB(i,j)の基本物体移動方向S(i,j)の決定方法は、以下の通りである。
基本情報として、ブロック情報と道路線形情報の既知情報に基づき、ブロックB(i,j)の中心座標を(x,y)、B(i,j)の縦幅をH(B(i,j))、B(i,j)の横幅をW(B(i,j))、座標(x,y)の存在する車線の左端x座標をLE(y)、同様に右端x座標をRE(y)、車線端座標LE(y1)とLE(y2)を結ぶ曲線の平均傾きをLS(y1,y2)、同様に車線端座標RE(y1)とRE(y2)を結ぶ曲線の平均傾きをRS(y1,y2)として得られている場合、
ブロック中心の車線内x座標分率BR(i,j) を
BR(i,j) = (x-LE(y))/(RE(y)-LE(y))
とすると、これにより、各ブロックB(i,j)の基本物体移動方向S(i,j)は
S(i,j) = BR(i,j)*LS(y-K1*H(B(i,j)), y+ K2*H(B(i,j)))
+(1-BR(i,j))*RS(y-K1*H(B(i,j)), y+ K2*H(B(i,j)))
(K1 K2は定数値)
となる。
なお、基本物体進行方向設定部11で用いる画像のブロックは、予め固定の大きさのブロックとして分割されている。
【0009】
物体追跡部12(物体追跡手段)は、撮像画像上の監視を必要とする道路車線を含む全てのブロックの追跡処理を行なうものであり、ブロック追跡結果からブロック別の物体移動方向を算出し、またカメラ設置情報とを合わせることで、各ブロックの物体の移動速度も合わせて算出する。このときの物体追跡部12によるブロック毎の物体の追跡処理は、濃淡白黒2次元画像でのマッチング処理によるもので、各ブロックが次処理周期でどの方向にどれだけのピクセル量移動したかをマッチング処理で追跡し、その移動方向と移動量とカメラ設置情報から、道路に対する移動方向と移動速度を算出する。
物体移動方向比較部13(物体移動方向比較手段)は、基本物体進行方向設定部11で与えられる道路車線上の仮移動方向と、物体追跡部12で得られた物体移動方向から斜線に沿って移動を行なっていない、すなわち避走行動を行なっている物体の抽出を行なうものである。
【0010】
避走ブロック連結処理部14と避走物体判定部15は、避走物体判定手段を構成する。避走ブロック連結処理部14は、隣接するブロック間の類似する避走進行方向と進行速度のブロック情報を連結するものである。避走物体判定部15は、避走ブロック連結処理部14で得られた連結避走ブロック情報から車線内の避走有無を判断し、避走という交通事象の判定を行なうものである。
【0011】
図2は、この発明の実施の形態1による交通流監視装置の基本物体進行方向設定部により設定された各ブロックの仮進行方向を示す平面図である。
図2においては、基本物体進行方向設定部11により設定された道路形状に応じて一意に決定される物体の基本進行方向を示している。ブロックB毎に矢印が示されている。
図3は、この発明の実施の形態1による交通流監視装置の物体追跡部で追跡された移動物体の移動方向を示す平面図である。
図3において、ブロック毎に矢印で物体の移動方向が示されている。
図4は、この発明の実施の形態1による交通流監視装置の避走事象検出処理を示すフローチャートである。
図5は、この発明の実施の形態1による交通流監視装置の物体移動方向比較部で処理された移動物体の進行方向比較を示す平面図である。
図5において、左側の各ブロックの移動物体が、角度誤差範囲を越える移動方向を示している。
【0012】
次に、図4をもとに避走事象判定動作の説明をする。
図4は、物体追跡部12と物体移動方向比較部13と交通事象判定部14の処理フローである。まず、ステップS11では、物体追跡部12において、撮像画像をブロック分割した各ブロックで個別に物体の追跡処理を行なう。その追跡結果が図3に相当する。ステップS12では、ステップS11で得られた物体の追跡情報から各ブロックの物体の移動方向と移動速度の算出を行なう。ブロックの物体の移動速度は、カメラのレンズ焦点距離、俯角、仰角、設置高さから得られる情報と、単位当たりのブロック移動距離から算出可能な値である。
ステップS13では、物体移動比較部13において、ステップS12で得られたブロックの物体の移動方向と、基本物体進行方向設定部11において決定される、図2にような仮移動方向(基本物体移動方向)とを比較し、角度誤差±α1度(第一の値)以上の移動方向の差が発生しているブロックを避走ブロックに設定する。図5は、ブロック毎に設定された基本物体移動方向と移動追跡をして得られた物体移動方向と比較を行ない、避走ブロック設定が行なわれた状態を示している。左側に4つの避走ブロックがある。
【0013】
ステップS14では、避走ブロック連結処理部14において、ステップS13で得られた避走ブロックの領域連結を行なう。任意の避走ブロックに連結するブロックが、速度誤差V1km/h以内かつ移動角度差R1度以内の避走ブロックである場合、避走ブロック同士の連結処理を行なう。
ステップS15では、避走物体判定部15において、ステップS14で得られた避走連結ブロック情報から避走事象を検出する。T1サイクルの間、連結避走ブロック数が、B2個以上連続発生した場合、その車線上には避走移動物体が存在すると検出し、避走事象判定を行なう。このステップS15は、単純に車線内の任意の場所での避走ブロック連続発生回数から避走判定を行なっているが、判定基準をより詳細に、避走ブロック連結領域の発生場所に基づいて行なっても良い。
【0014】
以上のように、この実施の形態1では、監視車線の物体の移動する方向と車線の形状から得られる理想的な物体の移動方向とを比較することによって、個別車両を認識することなく車線内の避走物体を検出することが可能となる。
【0015】
実施の形態1によれば、これまでは個別車両を認識しなければ検出することができなかった避走事象を車線内の物体の流れから検出することが可能となり、また、道路線形から物体の理想的な移動方向を既知情報として算出していることから、統計処理などの情報蓄積処理を用いた避走事象判定よりも低コストで避走事象を判定する交通流監視装置を提供することが可能となる。
【0016】
実施の形態2.
この発明における実施の形態2を図6および図7を用いて説明する。
図6は、この発明の実施の形態2による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
図6において、11〜15は図1におけるものと同一のものである。図6では、移動ブロック連結処理部16と逆走避走物体判定部17が設けられ、移動ブロック連結処理部16と逆走避走物体判定部17は、逆走避走物体判定手段を構成する。
【0017】
図7は、この発明の実施の形態2による交通流監視装置の逆走避走事象検出処理を示すフローチャートである。
次に、図7をもとに、逆走避走事象検出処理について説明する。
ステップS21では、移動ブロック連結処理部16として、物体追跡部12で追跡を行なったブロック情報から類似方向と類似速度で移動するブロックの領域連結を行なう。隣り合うブロック間の移動方向角度誤差±α2度以内で、かつ、移動速度誤差V2km/hの場合、連結ブロックとして作成する。
ステップS22では、連結ブロック領域の存在する車線とその連結ブロック領域の移動方向を確認する。連結ブロック領域の存在する車線の順走行方向と連結ブロック領域の移動方向差が(180±α3)度(第二の値、但し、α3<90)以上の場合、その移動物体は、逆走物体として設定する。
ステップS23では、ステップS22で設定した連結ブロック領域情報から、T2サイクルの間、逆走連結ブロックが連続発生した場合、その車線上には逆走移動物体が存在すると検出し、その逆走物体を順方向車線の避走物体として事象判定を行なう。このステップS23は、単純に車線内の任意の場所での逆走ブロック連続発生回数から逆走判定を行なっているが、判定基準をより詳細に、避走ブロック連結領域の発生場所に基づいて行なっても良い。
【0018】
以上のように、実施の形態2によれば、対面通行車線道路において、自車線上に走行を妨害する遮蔽物があった場合、対向車線を走行することで、その遮蔽物を回避することから、逆走物体を反対車線の避走物体として検出する。これにより、対面通行車線道路において、監視カメラ内で避走行動を取らない移動物体についても避走車両として検出することが可能となり、より幅広い交通流を計測することができる。
【0019】
実施の形態3.
この発明による実施の形態3を図8および図9を用いて説明する。
図8は、この発明の実施の形態3による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
図8において、10〜17は図6におけるものと同一のものである。図8では、移動ブロック連結処理部16の出力を受けて、移動停止物体を判定する移動停止物体判定部18(移動停止物体判定手段)が設けられている。
【0020】
図9は、この発明の実施の形態3による交通流監視装置の移動停止物体検出処理を示すフローチャートである。
次に、図9をもとに、移動停止物体判定部18の処理について説明する。
ステップS31では、移動ブロック連結処理部16で得られる連結ブロック情報の速度情報から低速移動連結ブロックを検出する。T31サイクル間、B3個以上の連結ブロックで、V31km/h以内の速度が連続することで、低速移動連結ブロックとして設定する。
ステップS32では、ステップS31で得られた低速連結ブロック情報を元に停止連結ブロックを検出する。低速移動連結ブロックとして設定されたブロック領域の移動物体が、T32サイクル間(所定期間)、V32km/h(所定速度)以内の速度が連続した場合、低速移動ブロックから移動停止ブロックとして状態を変更し、設定する。
これにより、車線内を移動して停止した物体を、効率よく検出することが可能となる。
【0021】
以上の処理から、移動停止物体判定には、最低(T31+T32)サイクルを必要とする。例えば、T31=0.5秒、B3=2個、V31=10.0km/h、T32=2.0秒、V32=5.0km/hとした場合、10km/h以下で移動する物体が車線内で停止した場合、最低(T31+T32)=2.5秒後には移動停止物体として検出される。
【0022】
以上のように、実施の形態3によれば、道路車線内を移動して停止する物体を検出することが可能となり、より幅広い交通流を計測することができる。
【0023】
実施の形態4.
この発明による実施の形態4を図10を用いて説明する。
図10は、この発明の実施の形態4による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
図10において、10〜18は図8におけるものと同一のものである。図10では、移動ブロック連結処理部16の出力を受けて渋滞を判定する渋滞判定部19(渋滞判定手段)が設けられている。
【0024】
次に、渋滞判定部19の処理について説明する。
まず、移動ブロック連結処理部16から得られた連結ブロック移動速度から車線平均速度算出を行なう。各走行車線の累積速度Vxは、移動停止ブロック以外の速度を有するブロック移動速度の累積により決定される。そのため、車線内の物体移動平均速度Vavは、Vav=Vx/(移動ブロック数+停止ブロック数)となる。
次いで、車線平均速度Vavが、T4サイクル間、V4km/h以下の場合、渋滞と判定する。
このように、この実施の形態4では、車線平均速度のみで渋滞判定を行なっているが、差分画像などを用いて車線占有率を求め、車線占有率と車線平均速度から、渋滞事象を判定すれば、より判定精度が向上する。
【0025】
以上のように、実施の形態4によれば、個別車両を認識しない条件下でも効率よく渋滞事象を検出することが可能となり、より幅広い交通流を計測することができる。
【0026】
実施の形態5.
この発明による実施の形態5を図11および図12を用いて説明する。
図11は、この発明の実施の形態5による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
図11において、10〜19は図10におけるものと同一のものである。図11では、画像撮像部10の撮像画像を切替える映像多重化部20(映像多重化手段)を設けている。
【0027】
図12は、この発明の実施の形態5による交通流監視装置の映像多重化を示す概念図である
次に、図12をもとに、映像多重化部20について説明する。図12は4つのカメラからの映像を時間分割して多重化した映像の例である。
映像多重化部20は、一定周期TC秒間に1回の割合で映像を切り替え、(TC秒×多重化カメラ台数)秒後には、同じ場所の映像が入力されるような巡回型映像多重化を行うものである。これにより、1つの交通流監視装置で複数台のITVカメラの交通流計測を行うことができる。
【0028】
以上のように、この実施の形態5では、1つの入力映像により同時に複数のITVカメラ映像の交通流計測を行うことができ、コスト等を抑えた交通流計測が可能となる。
【0029】
実施の形態5では、任意の1台のカメラ映像は、TC×(多重化カメラ台数−1)秒間、映像がない状態、すなわち不監視状態になる。避走や渋滞などの事象については、不監視中や監視中を問わず継続して発生するため、特に問題がないが、停止車両については、不監視中に発生した停止車両を検出することができない。そのため、カメラが切替ったときにすでに存在する停止車両を、落下物等の障害物の一部として考えることで、停止車両の検出を、間接的に行なう。
落下物の検出方法は、次のように避走車両の有無から判断を行う。
TC×(多重化カメラ台数−1)後に、自カメラ映像に処理が戻ることを1監視期間と定義すると、P5監視期間中にH5回以上の監視期間で避走事象が検出された場合、移動物体の避走を発生させる要因の落下物が存在するとして、落下物の判定を行なう。これは不監視期間中に発生した停止車両も含まれるので、間接的に停止車両の判定も可能となる。これにより、避走事象の発生頻度から間接的に落下物や停止事象の検出も行なうことで、より正確な交通流監視装置を提供することができる。
【0030】
以上のように、実施の形態5によれば、映像多重化装置を用いることで、より多くの道路映像を監視することが可能となり、また不監視時間帯に発生する交通事象についても、他の継続発生する交通事象の情報から間接的に検出することで、検出事象を制限することなく交通流監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施の形態1による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による交通流監視装置の基本物体進行方向設定部により設定された各ブロックの仮進行方向を示す平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による交通流監視装置の物体追跡部で追跡された移動物体の移動方向を示す平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1による交通流監視装置の避走事象検出処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による交通流監視装置の物体移動方向比較部で処理された移動物体の進行方向比較を示す平面図である。
【図6】この発明の実施の形態2による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態2による交通流監視装置の逆走避走事象検出処理を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態3による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態3による交通流監視装置の移動停止物体検出処理を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態4による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態5による交通流監視装置の構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態5による交通流監視装置の映像多重化を示す概念図である
【符号の説明】
【0032】
10 画像撮像部、11 基本物体進行方向設定部、12 物体追跡部、
13 物体移動方向比較部、14 避走ブロック連結処理部、
15 避走物体判定部、16 移動ブロック連結処理部、
17 逆走避走物体判定部、18 移動停止物体判定部、19 渋滞判定部、
20 映像多重化部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周期で道路状態を撮像する画像撮像手段、この画像撮像手段により撮像された画像がブロック分割された各ブロック毎に物体の移動方向を追跡する物体追跡手段、上記画像の各ブロック毎に道路形状に応じた基本物体移動方向を予め設定する基本物体進行方向設定手段、この基本物体進行方向設定手段により設定されたブロック毎の基本物体移動方向と、上記物体追跡手段により追跡されたブロック毎の物体の移動方向とをブロック毎に比較する物体移動方向比較手段、及びこの物体移動方向比較手段による比較結果、移動方向差が第一の値以上のときに上記物体を避走物体として判定する避走物体判定手段を備えたことを特徴とする交通流監視装置。
【請求項2】
上記物体移動方向比較手段による比較結果、移動方向差が第二の値(但し、第二の値>90度)以上のときに、上記物体を逆走避走物体として判定する逆走避走物体判定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の交通流監視装置。
【請求項3】
上記物体追跡手段は、上記画像のブロック毎の物体の移動速度を算出し、この算出されたブロック毎の物体の移動速度を元にして、車線平均速度を算出することにより渋滞を判定する渋滞判定手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の交通流監視装置。
【請求項4】
上記物体追跡手段は、上記画像のブロック毎の物体の移動速度を算出し、この算出された移動速度が所定期間、所定速度以下の場合に上記物体を移動停止物体として検出する移動停止物体判定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の交通流監視装置。
【請求項5】
上記画像撮像手段は、複数設けられ、この複数の画像撮像手段の出力を切替える映像多重化手段を備え、上記映像多重化手段により切替えられる複数の画像撮像手段からの映像が多重化されて上記物体追跡手段に入力されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の交通流監視装置。
【請求項6】
上記避走物体判定手段により判定される避走物体の発生頻度に基づき、移動停止物体が判定されることを特徴とする請求項5記載の交通流監視装置。
【請求項1】
所定の周期で道路状態を撮像する画像撮像手段、この画像撮像手段により撮像された画像がブロック分割された各ブロック毎に物体の移動方向を追跡する物体追跡手段、上記画像の各ブロック毎に道路形状に応じた基本物体移動方向を予め設定する基本物体進行方向設定手段、この基本物体進行方向設定手段により設定されたブロック毎の基本物体移動方向と、上記物体追跡手段により追跡されたブロック毎の物体の移動方向とをブロック毎に比較する物体移動方向比較手段、及びこの物体移動方向比較手段による比較結果、移動方向差が第一の値以上のときに上記物体を避走物体として判定する避走物体判定手段を備えたことを特徴とする交通流監視装置。
【請求項2】
上記物体移動方向比較手段による比較結果、移動方向差が第二の値(但し、第二の値>90度)以上のときに、上記物体を逆走避走物体として判定する逆走避走物体判定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の交通流監視装置。
【請求項3】
上記物体追跡手段は、上記画像のブロック毎の物体の移動速度を算出し、この算出されたブロック毎の物体の移動速度を元にして、車線平均速度を算出することにより渋滞を判定する渋滞判定手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の交通流監視装置。
【請求項4】
上記物体追跡手段は、上記画像のブロック毎の物体の移動速度を算出し、この算出された移動速度が所定期間、所定速度以下の場合に上記物体を移動停止物体として検出する移動停止物体判定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の交通流監視装置。
【請求項5】
上記画像撮像手段は、複数設けられ、この複数の画像撮像手段の出力を切替える映像多重化手段を備え、上記映像多重化手段により切替えられる複数の画像撮像手段からの映像が多重化されて上記物体追跡手段に入力されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の交通流監視装置。
【請求項6】
上記避走物体判定手段により判定される避走物体の発生頻度に基づき、移動停止物体が判定されることを特徴とする請求項5記載の交通流監視装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−99373(P2006−99373A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284086(P2004−284086)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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