説明

交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法

【課題】所定量の燃料で商用電源停電が長時間持続した場合でも、できる限り長時間交通管理システムを運用できる交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識を備え、商用電源で運用される交通管理システム6に、停電時に商用電源に替わって前記交通管理システムに電力を供給する燃料電池発電装置1を備えた交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法であって、商用電源が停電し、燃料電池発電装置1が運転された場合、その運転時間が予め定められた時間以上となった場合又は燃料電池の残燃料量が予め定められた所定量以下となった場合に、交通管理システム6を通常運転時より少ない消費電力の節電モードで運転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源の停電時に前記商用電源に替わって該交通管理システムに電力を供給する燃料電池発電装置を備えた交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法に関し、特に燃料電池発電装置の燃料電池に水素を燃料とする固体高分子燃料電池を使用する交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路に設置されている交通管理システム(車両用信号機、歩行者用信号機、方向指示器等の交通指示標識器)は通常商用電源を使用して運用されている。しかしながら、送電事故、交通事故、火災或いは落雷・地震などの天災など様々な原因によって商用電力の送電が停止する場合も想定される。
【0003】
交通管理システムは車両の走行規制、歩行者の安全確保など重要な任務を果たしているものであり、商用電力の停止によってその動作が停止すると、特に幹線道路等交通量が多い交差点などにおいては安全上重大なトラブルを引き起こすことが十分予測される。これに対応するために、一部の重要交通拠点においては商用電力が遮断された場合にこれに替わって交通管理システムの運用を維持する非常電源システムが導入されている。
【0004】
非常用電源として最も簡便なものとして鉛蓄電池に代表される二次電池の設置であるが、二次電池の発電容量は比較的小さく、瞬時或いは短時間の停電には対応できものの、長時間の使用を前提とすると、設備規模が大きくなり交差点に位置する交通システムの非常用電源としては実用的ではない。
【0005】
これに替わるものとしてディーゼル発電機等の内燃機関を用いた非常用電源が検討され、一部の重要交通拠点に既に導入されている。また、近年、燃料電池技術の発展が進み、ディーゼル発電機等の内燃機関で問題となる騒音或いは環境汚染の問題に鑑み、燃料電池を交通管理システム用の非常用電源として使用しようとする試みも検討され始めている。
【0006】
燃料電池は電気化学的に発電を行うものであり、発電部そのものには駆動部が無く、補機の騒音も低く抑えることが可能であることから運転音が静粛で、特に夜間の運転に際しては利点を有する。更に発電に伴う排出物は原理的には電気化学反応に伴う水のみであり、クリーン度の点においてもディーゼル発電機等の内燃機関と比較して優れているといえる。
【0007】
特に、ここ数年の固体高分子型燃料電池の開発の進歩度は顕著であり、発電温度が他のタイプの燃料電池に比較して低く、起動が迅速である特徴を持ち、交通管理システム用の非常用電源として好適であると考えられてきた。特に純水素を燃料とする固体高分子型燃料電池は、メタンに代表された炭化水素を改質して水素に富んだガスを得る必要がないため、極めて迅速に起動が可能であることから、この用途に好適である。
【0008】
この固体高分子型燃料電池開発システムの燃料としては水素吸蔵材料を使用した貯蔵システムなども考えられるが、入手性、汎用性、流通価格、メンテナンス性などを考慮すると通常のボンベに充填された高圧水素を用いることが好適である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記燃料電池を使用した非常用発電設備においては、その使用可能時間はディーゼル発電機等の内燃機関でも同様であるが、貯蔵している燃料の量によって定まる。燃料を多量に保有すれば使用時間を延長することが可能であるが、蓄電池設置と同様交差点設置というエリア的な問題を考えるとその貯蔵量を十分に確保することが難しい。更に、何時もどの程度の時間に亘って発生するか予測の難しい商用電源の停電に対応するために多量の非常用の燃料電池燃料用燃料を保有することは得策ではない。
【0010】
上記事情から、燃料電池を備えた交通管理システム用燃料電池発電装置は、商用電源の停電が長時間持続した場合には、燃料電池の燃料が不足し、交通管理システムの運用を維持することが困難となる事が懸念される。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、所定量の燃料で商用電源停電が長時間持続した場合でも、できる限り長時間交通管理システムを運用できる交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、少なくとも車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識を備え、商用電源で運用される交通管理システムに、停電時に前記商用電源に替わって前記交通管理システムに電力を供給する燃料電池発電装置を備えた交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法であって、前記商用電源が停電し、前記燃料電池発電装置が運転された場合、その運転時間が予め定められた時間以上となった場合又は燃料電池の残燃料量が予め定められた所定量以下となった場合に、前記交通管理システムを通常運転時より少ない消費電力の節電モードで運転することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、少なくとも車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識を備え、商用電源で運用される交通管理システムに、停電時に前記商用電源に替わって前記交通管理システムに電力を供給する燃料電池発電装置を備えた交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法であって、運転時間測定手段を備え、前記商用電源が停電し、前記非常用燃料電池発電装置が運転された場合、その運転時間を前記運転時間測定手段で測定し、該運転時間が予め定められた所定時間以上となった場合に、下記第1乃至第4の方法のいずれかを所定の節電基準に基づいて選択し、実行することを特徴とする。
第1の方法:前記車両用信号機及び前記歩行者用信号機或いは前記交通指示標識の点灯輝度を減じる
第2の方法:前記歩行者用信号機の点灯輝度を減じる
第3の方法:前記車両用信号機及び前記交通指示標識の点灯輝度はそのままに前記歩行者用信号機の点灯を停止する
第4の方法:前記車両用信号機及び前記交通指示標識の点灯輝度を減じると共に前記歩行者用信号機の点灯を停止する
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、前記運転時間測定手段に所定の第1の設定時間と、該第1の設定時間より長い第2の設定時間を設定し、前記商用電源が停電し、前記非常用燃料電池発電装置が運転された場合、運転時間が前記第1の設定時間を経過した場合と、前記第2の設定時間を経過した場合とで前記第1乃至4の方法を選択する節電基準を変え、前記第1の設定時間経過の場合は小さい節電の節電基準とし、前記第2の設定時間を経過した場合はそれより大きい節電の節電基準としたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、少なくとも車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識を備え、商用電源で運用される交通管理システムに、停電時に前記商用電源に替わって前記交通管理システムに電力を供給する燃料電池発電装置を備えた交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法であって、燃料の残量を検出する残燃料検出手段を備え、前記商用電源が停電し、前記非常用燃料電池発電装置が運転された場合、前記残燃料検出手段で検出した該非常用燃料電池発電装置の燃料の残量が予め定められた量以下となった場合に、下記第1乃至第4の方法いずれかを所定の節電基準に基づいて選択し、実行することを特徴とする。
第1の方法:前記車両用信号機及び前記歩行者用信号機或いは前記交通指示標識の点灯輝度を減じる
第2の方法:前記歩行者用信号機の点灯輝度を減じる
第3の方法:前記車両用信号機及び前記交通指示標識の点灯輝度はそのままに前記歩行者用信号機の点灯を停止する
第4の方法:前記車両用信号機及び前記交通指示標識の点灯輝度を減じると共に前記歩行者用信号機の点灯を停止する
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、前記残燃料検出手段に、所定の第1の設定残燃料量と、該第1の設定残燃料量より少ない第2の設定残燃料量を設定し、前記商用電源が停電し、前記非常用燃料電池発電装置が運転された場合、該非常用燃料電池発電装置の残燃料量が第1の設定残燃料量を下回った場合と、該第2の設定残燃料量を下回った場合とでの前記第1乃至4の方法を選択する節電基準を変え、前記残燃料量が第1の設定残燃料量を下回った場合は小さい節電の節電基準とし、前記残燃料量が第2の設定残燃料量を下回った場合はそれより大きい節電の節電基準としたことを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、前記車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識の標識部は多数のLEDが配列されたLED方式の標識部であり、前記点灯輝度を減じるとは前記標識部の全部のLEDの輝度を低減させるのではなく、所定の領域に配列されたLEDのみを点灯し、他を消灯することであることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、前記交通管理システム用非常用燃料電池発電装置が備える燃料電池は固体高分子型燃料電池であることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、前記固体高分子型燃料電池の燃料が容器に充填された水素であることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項5又は6に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、前記交通管理システム用非常用燃料電池発電装置が備える燃料電池は燃料として容器に充填された水素が供給される固体高分子型燃料電池であり、
前記残燃料検出手段は前記容器の水素充填圧力を検出して残水素量を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、商用電源が停電し、燃料電池発電装置が運転された場合、その運転時間が予め定められた時間以上となった場合又は燃料電池の残燃料量が予め定められた所定量以下となった場合に、交通管理システムを通常運転時より少ない消費電力の節電モードで運転するので、所定の一定量の燃料で燃料電池発電装置の運転時間、即ち交通管理システム運用時間を延長することが可能となる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、商用電源が停電し、非常用燃料電池発電装置が運転された場合、その運転時間を運転時間測定手段で測定し、該運転時間が予め定められた所定時間以上となった場合に、車両用信号機及び歩行者用信号機或いは交通指示標識の点灯輝度を減じる第1の方法、歩行者用信号機の点灯輝度を減じる第2の方法、車両用信号機及び交通指示標識の点灯輝度はそのままに歩行者用信号機の点灯を停止する第3の方法、車両用信号機及び交通指示標識の点灯輝度を減じると共に歩行者用信号機の点灯を停止する第4の方法のいずれかを所定の節電基準に基づいて選択して実行し、燃料電池発電装置の発電出力を低下させるので、所定の一定量の燃料で燃料電池発電装置の運転時間、即ち交通管理システム運用時間を延長することが可能となる。なお、輝度を減じることは車両或いは歩行者に識別しにくくなるという不都合となり、歩行者用信号機の点灯を停止することは歩行者にとって不都合となるが、歩行者は車両用信号機の信号を確認し車両が停止した後に横断することが可能であり、完全に交通管理システムが停止した場合には、更なる重大な不都合につながることを考慮すれば、本交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法は有効な運用方法である。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、商用電源が停電し、非常用燃料電池発電装置が運転された場合、運転時間が第1の設定時間を経過した場合と第2の設定時間を経過した場合とで第1乃至4の方法を選択する節電基準を変え、第1の設定時間を経過した場合は小さい節電の節電基準とし、第2の設定時間を経過した場合はそれより大きい節電の節電基準とするので、停電時間の経過とともに、非常用燃料電池発電装置の出力をより低出力とすることができ、燃料電池発電装置の運転時間、即ち交通管理システム運用時間を延長することが可能となる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、商用電源が停電し、非常用燃料電池発電装置が運転された場合、残燃料検出手段で検出した非常用燃料電池発電装置の燃料の残量が予め定められた量以下となった場合に、車両用信号機及び歩行者用信号機或いは交通指示標識の点灯輝度を減じる第1の方法、歩行者用信号機の点灯輝度を減じる第2の方法、車両用信号機及び交通指示標識の点灯輝度はそのままに歩行者用信号機の点灯を停止する第3の方法、車両用信号機及び交通指示標識の点灯輝度を減じると共に歩行者用信号機の点灯を停止する第4の方法のいずれかを所定の節電基準に基づいて選択して実行し、非常用燃料電池発電装置の発電出力を低下させるので、所定の一定量の燃料で燃料電池発電装置の運転時間、即ち交通管理システム運用時間を延長することが可能となる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、商用電源が停電し、非常用燃料電池発電装置が運転された場合、非常用燃料電池発電装置の残燃料量が第1の設定残燃料量を下回った場合と、該第2の設定残燃料量を下回った場合とでの第1乃至4の方法の選択する節電基準を変え、残燃料量が第1の設定残燃料量を下回った場合は小さい節電の節電基準とし、残燃料量が第2の設定残燃料量を下回った場合は大きい節電の節電基準とするので、燃料電池発電装置の運転時間、即ち交通管理システム運用時間を延長することが可能となる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、標識部はLED方式の標識部であり、点灯輝度を減じるとは標識部の全部のLEDの輝度を低減させるのではなく、所定の領域に配列されたLEDのみを点灯するので、点灯しないLEDの分消費電力を節約できると同時に点灯しているLEDの輝度は低減しないから、LEDが点灯している領域の視覚効果は低下しない。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、非常用燃料電池発電装置が備える燃料電池には発電温度の低い固体高分子型燃料電池を使用するので、迅速な起動が可能で、商用電源が停電した際、交通管理システムに供給する電力を迅速に非常用燃料電池発電装置からの電力に切り替えることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、非常用燃料電池発電装置が備える燃料電池に固体高分子型燃料電池を用い、その燃料に容器に充填された水素を使用するので、迅速な起動が可能となり、商用電源が停電した際、交通管理システムに供給する電力を迅速に非常用燃料電池発電装置からの電力に切り替えることができる。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、非常用燃料電池発電装置が備える燃料電池は燃料として容器に充填された水素が供給される固体高分子型燃料電池であり、残燃料検出手段は容器の水素充填圧力を検出して残水素量を検出するので、簡単な構成で残燃料量を精度良く検知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。交通管理システム用非常用燃料電池発電装置のシステム構成例を示す図である。本交通管理システム用非常用燃料電池発電装置は、図1に示すように、燃料電池発電装置1を備えている。該燃料電池発電装置1は固体高分子型燃料電池に代表される燃料電池2、燃料電池2で発電された直流電力を交流電力に変換するインバータを備えた直流−交流(DC−AC)変換装置3、燃料電池2に供給する燃料ガスが充填されているガス容器11、本燃料電池発電装置1の制御を行う制御装置4、交通管理システム6を制御する交通管理システム制御装置5を備えている。
【0031】
ガス容器11は、図1では燃料となる水素ガスを充填する水素ボンベであり、図では1本の水素ボンベを示しているが、複数本の水素ボンベを連結して使用してもよく、また複数本の水素ボンベが自動的に切り替わるように構成してもよい。ガス容器11からの水素ガスは仕切り弁12、電磁開閉弁13、自動調圧弁14を介して燃料電池2に供給されるようになっており、電磁開閉弁13は制御装置4に制御されるようになっている。また、15は圧力センサであり、該圧力センサ15でガス容器11の水素ガス充填圧力を検出し、制御装置4は該圧力センサで検出した圧力からガス容器11内の水素ガス量を検出できるようになっている。
【0032】
燃料電池2は上記のようにガス容器11から供給される水素ガスを燃料として低い発電温度で直流電力を発電する固体高分子型燃料電池を備えている。該固体高分子型燃料電池で発電された直流電力は、インバータ等を備えた直流−交流変換装置3で所定電圧の所定周波数(50Hz、60Hz)の商用電力に変換され、交通管理システム制御装置5に供給される。該交通管理システム制御装置5は交通管理システム6に電力を供給すると共に、後に詳述するような制御を行う。交通管理システム6は、少なくとも車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識を備えている。
【0033】
上記構成の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置において、待機状態、即ち常時は交通管理システム6に商用電源から商用電力が供給され、運用されている。また、水素ボンベであるガス容器11には、水素ガスが150kgf/cm2で充填されており、仕切り弁12は待機状態では開放されている。電磁開閉弁13は待機時に閉止されており、自動調圧弁14は電磁開閉弁13が開かれたとき、ガス容器11からの水素ガスを適正な圧力に調整し燃料電池2に供給するよう予め調整されている。
【0034】
商用電源に停電が発生すると、交通管理システム制御装置5から停電発生信号が制御装置4に送られ、該制御装置4は燃料電池発電装置1の起動を行う。即ち、制御装置4は停電発生信号を受けると、先ず電磁開閉弁13を開き、ガス容器11から水素ガスの供給を開始した後、燃料電池2を起動する。燃料電池2の起動が完了した後、該燃料電池2で発電された直流電力は直流−交流変換装置3で交流電力に変換され、交通管理システム制御装置5を介して、交通管理システム6に供給される。商用電源の停電が解消(復電)した場合には、交通管理システム制御装置5から復電信号が制御装置4に送られ、制御装置4は燃料電池2の運転を停止し、電磁開閉弁13を閉止し、その後は商用電源からの電力により、交通管理システム6は運用される。
【0035】
図2は請求項2に記載の発明に係る燃料電池発電装置1の制御フローを示す図である。待機状態、即ち交通管理システム6が商用電源からの電力により運用される状態(ステップST1)から、所定の周期で停電検知、即ち交通管理システム制御装置5からの商用電源停電発生信号があるか否かを判断し(ステップST2)、停電検知でなかったら待機状態に戻りこれを繰り返し、停電検知であったら燃料電池2を起動すると共に、タイマーの計時を開始する(運転時間測定手段による運転時間の開始)(ステップST3)。これにより燃料電池2の起動が完了したら、燃料電池2で発電された直流電力は直流−交流変換装置3で所定電圧、所定周波数の交流電力(商用電力)に変換され、交通管理システム制御装置5を介して交通管理システム6に供給される。
【0036】
続いて復電検知、即ち交通管理システム制御装置5から商用電源の復電信号があるか否かを判断し(ステップST4)、復電検知の場合は電磁開閉弁13を閉止して燃料電池2の発電を停止すると共に、上記タイマーをリセットする(ステップST5)。復電検知でない場合、該タイマーで計時した時間が交通管理システム6の制御を変更する所定の制御変更時間が経過したか否かを判断し(ステップST6)、制御変更時間に達していない場合は、前記ステップST4に戻り、制御変更時間が経過した場合は交通管理システム制御装置5に、制御指令1、制御指令2、制御指令3、制御指令4の内いずれかを選択し、該選択した制御指令を送り(ステップST7)、交通管理システム6を節電モード運用にする。なお、制御変更時間に達するまでは交通管理システム制御装置5は交通管理システム6を通常のモードで運用する。
【0037】
続いて復電検知、即ち交通管理システム制御装置5から復電信号があるか否かを判断し(ステップST8)、復電検知の場合は前記ステップST5の発電停止、タイマーリセット処理を行い、復電検知しない場合は、予め設定された発電停止時間経過したか否かを判断し(ステップST9)、経過した場合はアラームを発して発電停止を知らせると共に、上記タイマーをリセットする(ステップST10)。
【0038】
上記ステップST7において、制御指令1乃至4はそれぞれ下記の内容の節約運転モードを示す。
制御指令1:車両用信号機及び歩行者用信号機或いは交通指示標識の点灯輝度を減じる第1の方法を実行する指令、
制御指令2:歩行者用信号機の点灯輝度を減じる第2の方法を実行する指令
制御指令3:車両用信号機及び交通指示標識の点灯輝度はそのままに歩行者用信号機の点灯を停止する第3の方法を実行する指令
制御指令4:車両用信号機及び交通指示標識の点灯輝度を減じると共に歩行者用信号機の点灯を停止する第4の方法を実行する指令
【0039】
交通管理システム6の使用電力は予め分かっており、燃料電池2の燃料使用量は推測できるから、この燃料使用量から上記制御を変更する所定の時間を決めておく。この制御変更時間を、例えば、通常の運転状態では水素ガス燃料が半分とか1/3になる時間を設定しておくことにより、水素ガス燃料が半分とか1/3なったと、燃料電池発電装置1の運用が変更される。なお、制御指令は上記制御指令1乃至4に限定されるものではない。
【0040】
通常の交差点においては、車両用信号機用ランプは8灯(赤、青、黄いずれか1灯×8)、歩行者用も8灯(赤、青、黄いずれか1灯×8)点灯している。それぞれ通常の負荷容量を100とすると、例えば輝度を70%に低下させた場合、負荷容量は概ね70となり、停止させた場合は当然0となる。このように設定すると通常の運用における交通管理システム6の負荷容量を200とした場合、制御指令1で上記第1の方法を実行した場合は負荷容量170、制御指令2で第2の方法を実行した場合は負荷容量100、制御指令3で第3の方法を実行した場合は負荷容量140、制御指令4で第4の方法を実行した場合は負荷容量は70となる。
【0041】
燃料電池発電装置1は負荷容量、即ち交通管理システム6の負荷容量に追随して発電出力を調整しているから、この負荷容量の低減に比例して発電出力も低下し、一定時間当たりの燃料使用量も低減することとなる。上記制御指令1乃至4のうち、どの制御指令を採用するについてはその設置されている交差点の状況により判断される。更に極力正常運転を持続したい場合には、制御指令を変更するまでの時間を比較的長くとり、それ以降は一番負荷容量の小さくなる制御指令4を交通管理システム制御装置5に送り、交通管理システム6を第4の方法で運転する。また、歩行者が比較的多い場合には、制御指令2及び4の採用しない、即ち第2及び第4の方法を実行しない等の判断も当然行われる。
【0042】
こうした運転状況を変更して運用を持続する。途中の負荷容量を変更しても、ガス容器11に充填されている水素ガス燃料には限りがあるから、正常運転していた時間及び変更運転を行った時間とガス容器11の容量を勘案して定められた時間(ガス容器11の圧力が初期充填圧150kgf/cm2の1/10程度になると推定される発電停止時間〔ガス容器11がガスボンベからなる場合、このガスボンベを完全に空になるまで運転すると、このガスボンベに水素ガスを再充填するときガス純度を維持するのに支障がある〕)の前に復電を検知したら前記ステップST5で発電停止し、タイマーをリセットし、ステップST1の待機状態に戻る。但しこの場合はガス容器11内の水素ガス燃料が減少しているから、極力速やかにガス容器11であるボンベを交換すべきことをアラームとして外部に発信することも考慮される。この実施形態例において、ガス容器11であるガスボンベは初期充填圧力に近い状態で待機していることを前提としているので、後述する圧力検知による方法とは異なり、非常用発電が行われたときはガスボンベの点検を実行する必要がある。
【0043】
ガス容器11であるガスボンベの圧力が初期充填圧150kgf/cm2の1/10程度になると推定される時間、即ち発電停止時間経過した場合はこれ以上の燃料電池発電装置1による交通管理システム6の運用は困難であるから、上記のようにステップST10でアラームを発すると共に燃料電池2の停止を知られると共に、上記タイマーをリセットする。
【0044】
図3は請求項2に記載の発明に係る燃料電池発電装置1の制御装置4の制御フローを示す図である。ここでは制御を変更する所定の時間を2段階に設けることを特徴としている。図3において、待機状態、即ち交通管理システム6が商用電源からの電力により運用される状態(ステップST11)から、停電検知、即ち交通管理システム制御装置5から商用電源の停電発生信号があるか否かを判断し(ステップST12)、停電検知でなかったら待機状態に戻り、停電検知であったら燃料電池2を起動すると共に、タイマーの計時を開始する(ステップST13)。これにより燃料電池2の起動が完了したら、燃料電池2で発電された直流電力は直流−交流変換装置3で所定の電圧及び周波数の交流電力に変換され、交通管理システム制御装置5を介して交通管理システム6に供給する。
【0045】
続いて復電検知、即ち交通管理システム制御装置5から商用電源の復電信号があるか否かを判断し(ステップST14)、復電検知の場合は電磁開閉弁13を閉止して燃料電池2の発電を停止すると共に、上記タイマーをリセットする(ステップST15)。復電を検知しない場合、上記タイマーにセットした制御を変更する第1所定時間が経過したか否かを判断し(ステップST16)、該第1所定時間が経過したら、第1段階制御指令を発し、燃料電池発電装置を第1段階の運用制御に変更する(ステップST17)。
【0046】
続いて、復電検知か否かを判断し(ステップST18)、復電検知の場合は前記ステップ15の発電停止、タイマーリセット処理を行い、復電検知せず、且つ上記タイマーにセットした第2所定時間が経過し場合は(ステップST19)、第2段階制御指令を発し(ステップST20)、燃料電池発電装置を第2段階の運用制御に変更する。続いて復電検知、即ち交通管理システム制御装置5から復電信号があるか否かを判断し(ステップST21)、復電検知の場合は前記ステップST15の処理を行い、復電検知しない場合は、予め設定された発電停止時間経過したか否かを判断し(ステップST22)、経過した場合はアラームを発して発電停止を知られると共に、上記タイマーをリセットする(ステップST23)。
【0047】
前述のように制御指令1乃至制御指令4の4つの制御指令ではそれぞれに負荷容量が異なっており、請求項2に係る発明では、第1段階制御指令としては極力正常状態に近い状態、例えば制御指令1又は3を選択する。この状態で更に時間が経過した場合には、第2段階制御指令として、これよりも負荷容量の低い制御指令、例えば第1段階制御指令で制御指令1が選択されている場合には制御指令2又は3又は4、第1段階制御指令で制御指令3が選択されている場合には制御指令2又は4、第1段階制御指令で制御指令2が選択されている場合は制御指令4というようにより負荷容量の低い制御指令を選択し、燃料電池装置の運用を延命しようとするものである。
【0048】
図4は請求項4に記載の発明に係る燃料電池発電装置1の制御装置4の制御フローを示す図である。ここでは請求項1又は2に記載の発明とは異なり、制御指令を変更するための基準にガス容器(水素ガスボンベ)11の水素ガス圧力を採用している。
【0049】
図4において、待機状態、即ち交通管理システム6が商用電源からの電力により運用される状態(ステップST31)から、停電検知、即ち交通管理システム制御装置5から商用電源の停電発生信号があるか否かを判断し(ステップST32)、停電検知でなかったら待機状態に戻り、停電検知であったら燃料電池2を起動する(ステップST33)。これにより燃料電池2の起動が完了したら、燃料電池2で発電された直流電力は直流−交流変換装置3で所定電圧の商用周波数の交流電力に変換され、交通管理システム制御装置5を介して交通管理システム6に供給される。
【0050】
続いて復電検知、即ち交通管理システム制御装置5から商用電源の復電信号があるか否かを判断し(ステップST34)、復電検知の場合は電磁開閉弁13を閉止して燃料電池2の発電を停止する発電停止処理を行う(ステップST35)。復電を検知しない場合、ガス容器(水素ガスボンベ)11の圧力を検出する圧力センサ15で検出する水素ガス圧力が制御変更圧力に達したか否を判断し(ステップST36)、制御変更圧力に達していない場合は、前記ステップST34に戻り、制御変更圧力に達した場合は交通管理システム制御装置5に、制御指令1、制御指令2、制御指令3、制御指令4の内いずれかを選択し、該選択した制御指令を送り(ステップST37)、交通管理システム6を節電モード運用にする。なお、制御変更圧力に達するまでは交通管理システム制御装置5は交通管理システム6を通常のモードで運用する。
【0051】
続いて復電検知、即ち交通管理システム制御装置5から復電信号があるか否かを判断し(ステップST38)、復電検知の場合は前記ステップST35の処理を行い、復電検知しない場合は、ガス容器11の内圧が予め設定された発電停止圧力に達したか否かを判断し(ステップST39)、発電停止圧力に達した場合はアラームを発令して発電停止を知らせると共に、発電停止をする(ステップST40)。
【0052】
上記ステップST37において、制御指令1乃至4はそれぞれ下記の内容の節約運転モードを示す。
制御指令1:車両用信号機及び歩行者用信号機或いは交通指示標識の点灯輝度を減じる第1の方法を実行する指令、
制御指令2:歩行者用信号機の点灯輝度を減じる第2の方法を実行する指令
制御指令3:車両用信号機及び交通指示標識の点灯輝度はそのままに歩行者用信号機の点灯を停止する第3の方法を実行する指令
制御指令4:車両用信号機及び交通指示標識の点灯輝度を減じると共に歩行者用信号機の点灯を停止する第4の方法を実行する指令
【0053】
上記制御変更圧力、交通管理システム6の使用電力は予め分かっており、燃料電池2の燃料使用量は推測できるから、制御を変更する所定の圧力を、例えば、通常の運転状態では水素ガス燃料が半分とか1/3になる圧力を制御変更圧力としておく。なお、制御指令は上記制御指令1乃至4に限定されるものではない。
【0054】
通常の交差点においては、車両用信号機用ランプは8灯(赤、青、黄いずれか1灯×8)、歩行者用も8灯(赤、青、黄いずれか1灯×8)点灯している。それぞれ通常の負荷容量を100とすると、例えば輝度を70%に低下させた場合、負荷容量は概ね70となり、停止させた場合は当然0となる。このように設定すると、通常200の負荷容量に対して、制御指令1で上記第1の方法を実行した場合は負荷容量170、制御指令2で第2の方法を実行した場合は負荷容量100、制御指令3で第3の方法を実行した場合は負荷容量140、制御指令4で第4の方法を実行した場合は負荷容量は70となる。
【0055】
車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識の標識部を多数のLEDが配列されたLED方式の標識部とした場合、標識部の全部のLEDの輝度を個々低減させ全体的に輝度(平均的輝度)を低減する方法もあるが、例えば図5(a)に示すように標識部20の全部のLEDを定格輝度で点灯している状態から、図5(b)に示すように全部のLEDの輝度を低減したり、図5(c)に示すよう一列おきに(まだらに)消灯した場合、視覚効果が低減するという問題がある。
【0056】
そこで図5(d)に示すように、標識部20の外周部数列のみのLEDを定格輝度(通常の輝度)で点灯し中央部のLEDを消すか、或いは図5(e)に示すように中央部のみのLEDを定格輝度(通常の輝度)で点灯し外周部数列のLEDを消灯する。このようにすることにより、例えば点灯するLEDが半減して消費電力が半減しても、LEDが点灯している外周部(外周領域)又は中央部(中央量的)の平均的光強度は低減しないから、視覚効果は低下することがない。即ち図5(b)、(c)に示すように標識部20の全体のLEDの輝度を低減したり、一列おきに消灯させると、弱い光として認識されてしまうが、図5(d)、(e)に示すように標識部の外周部、又は中央部を点灯すれば、この部分が強い光として認識されることになり、視覚効果が低下することがない。
【0057】
燃料電池発電装置1は負荷容量、即ち交通管理システム6の負荷容量に追随して発電出力を調整しているから、この負荷容量の低減に比例して発電出力も低下し、一定時間当たりの燃料使用量も低減することとなる。上記制御指令1乃至4のうち、どの制御指令を採用するについてはその設置されている交差点の状況により判断される。更に極力正常運転を持続したい場合には、制御指令を変更するまでの圧力を比較的低く設定し、それ以降は一番負荷容量の小さい制御指令4を交通管理システム制御装置5に送り、交通管理システム6を第4の方法で運転する。また、歩行者が比較的多い場合には、制御指令2及び4の採用しない、即ち第2及び第4の方法を実行しない等の判断も当然行われる。
【0058】
上記のように運転状況を変更して運用を持続する。途中の負荷容量を変更しても、ガス容器11に充填されている水素ガス燃料の量には限りがあるから、ガス容器11(水素ガスボンベ)の所定の圧力(ガス容器11の圧力が初期充填圧150kgf/cm2の1/10程度の圧力〔ガス容器11がガスボンベからなる場合には、このガスボンベを完全に空になるまで運転すると、このガスボンベに水素ガスを再充填するときガス純度を維持するのに支障がある〕)の前に復電を検知した場合、前記ステップST35で発電停止処理を行い、ステップST31の待機状態に戻る。但しこの場合はガス容器内の水素ガス燃料が減少しているから、極力速やかにガス容器11であるボンベを交換すべきことをアラームとして外部に発信することも考慮される。ガス容器11の圧力が初期充填圧力150kgf/cm2の1/10程度に達した場合には、これ以上燃料電池発電装置1の運用を行うことは困難であるので、アラームを発令すると共に、燃料電池2の運転を停止する。
【0059】
図6は請求項4に記載の発明に係る燃料電池発電装置1の制御装置4の制御フローを示す図である。ここでは制御を変更するガス容器11の圧力を2段階に設けることを特徴としている。図6において、待機状態、即ち交通管理システム6が商用電源からの電力により運用される状態(ステップST41)から、停電検知、即ち交通管理システム制御装置5から商用電源の停電発生信号があるか否かを判断し(ステップST42)、停電検知でなかったら待機状態に戻り、停電検知であったら燃料電池2を起動する(ステップST43)。これにより燃料電池2の起動が完了したら、燃料電池2で発電された直流電力は直流−交流変換装置3で所定電圧、所定周波数の交流電力に変換し、交通管理システム制御装置5を介して交通管理システム6に供給する。
【0060】
続いて復電検知、即ち交通管理システム制御装置5から商用電源の復電信号があるか否かを判断し(ステップST44)、復電検知の場合は電磁開閉弁13を閉止して燃料電池2の発電を停止すると共に、電磁開閉弁13を閉止する(ステップST45)。復電を検知しない場合、ガス容器(水素ガスボンベ)11の圧力を検出する圧力センサ15が検出する水素ガス圧力が制御変更第1圧力に達したか否を判断し(ステップST46)、制御変更第1圧力に達していない場合は、前記ステップST44に戻り、制御変更第1圧力に達した場合は第1段階制御指令を交通管理システム制御装置5に送り(ステップST47)、交通管理システム6を第1段階の節電モードで運用にする。なお、制御変更第1圧力に達するまでは交通管理システム制御装置5は交通管理システム6を通常のモードで運用する。
【0061】
続いて、復電検知か否かを判断し(ステップST48)、復電検知の場合は前記ステップST45の発電停止処理を行い、復電検知せず、且つ制御変更第2圧力に達した場合は(ステップST48、ST49)、第2段階制御指令を交通管理システム制御部5に送り(ステップST50)、交通管理システム6を第2段階の運用制御に変更する。続いて復電検知、即ち交通管理システム制御装置5から復電信号があるか否かを判断し(ステップST51)、復電検知の場合は前記ステップST45の発電停止処理を行い、復電検知しない場合は、予め設定された発電停止圧力に達したか否かを判断し(ステップST52)、達した場合はアラームを発して発電停止を知らせる(ステップST53)。
【0062】
前述のように第1乃至第4の4つの制御指令ではそれぞれに負荷容量が異なっており、請求項4に係る発明では、第1段階制御指令としては極力正常状態に近い状態、例えば制御指令1又は3を選択する。この状態で更にガス容器11の圧力が低下した場合には、第2段階制御指令として、これよりも負荷容量の低い制御指令、例えば第1段階制御指令で制御指令1が選択されている場合には制御指令2又は3又は4、制御指令3が選択されている場合には制御指令2又は4、制御指令2が選択されている場合は制御指令4というように選択し、燃料電池装置の運用を延命しようとするものである。
【0063】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態例では制御指令を第1乃至第4の方法を実施する制御指令1乃至4としたが、制御指令はこれに限定されるものではなく、要は商用電源が停電し、燃料電池発電装置1が運転された場合、その運転時間が予め定められた時間以上となった場合又はガス容器11内の残燃料量が予め定められた所定量以下となった場合に、交通管理システムを通常運転時より少ない消費電力の節電モードで運転することを指令する指令であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の構成例を示す図である。
【図2】請求項1に記載の発明に係る燃料電池発電装置の制御フローを示す図である。
【図3】請求項2に記載の発明に係る燃料電池発電装置の制御フローを示す図である。
【図4】請求項3に記載の発明に係る燃料電池発電装置の制御フローを示す図である。
【図5】本発明に係る交通管理システムのLED式標識部の点灯例を示す図である。
【図6】請求項4に記載の発明に係る燃料電池発電装置の制御フローを示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 燃料電池発電装置
2 燃料電池
3 直流−交流(DC−AC)変換装置
4 制御装置
5 交通管理システム制御装置
6 交通管理システム
11 ガス容器
12 仕切り弁
13 電磁開閉弁
14 自動調圧弁
15 圧力センサ
20 標識部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識を備え、商用電源で運用される交通管理システムに、停電時に前記商用電源に替わって前記交通管理システムに電力を供給する燃料電池発電装置を備えた交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法であって、
前記商用電源が停電し、前記燃料電池発電装置が運転された場合、その運転時間が予め定められた時間以上となった場合又は燃料電池の残燃料量が予め定められた所定量以下となった場合に、前記交通管理システムを通常運転時より少ない消費電力の節電モードで運転することを特徴とする交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法。
【請求項2】
少なくとも車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識を備え、商用電源で運用される交通管理システムに、停電時に前記商用電源に替わって前記交通管理システムに電力を供給する燃料電池発電装置を備えた交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法であって、
運転時間測定手段を備え、
前記商用電源が停電し、前記非常用燃料電池発電装置が運転された場合、その運転時間を前記運転時間測定手段で測定し、該運転時間が予め定められた所定時間以上となった場合に、下記第1乃至第4の方法いずれかを所定の節電基準に基づいて選択し、実行することを特徴とする交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法。
第1の方法:前記車両用信号機及び前記歩行者用信号機或いは前記交通指示標識の点灯輝度を減じる
第2の方法:前記歩行者用信号機の点灯輝度を減じる
第3の方法:前記車両用信号機及び前記交通指示標識の点灯輝度はそのままに前記歩行者用信号機の点灯を停止する
第4の方法:前記車両用信号機及び前記交通指示標識の点灯輝度を減じると共に前記歩行者用信号機の点灯を停止する
【請求項3】
請求項2に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、
前記運転時間測定手段に所定の第1の設定時間と、該第1の設定時間より長い第2の設定時間を設定し、
前記商用電源が停電し、前記非常用燃料電池発電装置が運転された場合、運転時間が前記第1の設定時間を経過した場合と、前記第2の設定時間を経過した場合とで前記第1乃至4の方法を選択する節電基準を変え、前記第1の設定時間経過の場合は小さい節電の節電基準とし、前記第2の設定時間を経過した場合はそれより大きい節電の節電基準としたことを特徴とする交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法。
【請求項4】
少なくとも車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識を備え、商用電源で運用される交通管理システムに、停電時に前記商用電源に替わって前記交通管理システムに電力を供給する燃料電池発電装置を備えた交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法であって、
燃料の残量を検出する残燃料検出手段を備え、
前記商用電源が停電し、前記非常用燃料電池発電装置が運転された場合、前記残燃料検出手段で検出した該非常用燃料電池発電装置の燃料の残量が予め定められた量以下となった場合に、下記第1乃至第4の方法いずれかを所定の節電基準に基づいて選択し、実行することを特徴とする交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法。
第1の方法:前記車両用信号機及び前記歩行者用信号機或いは前記交通指示標識の点灯輝度を減じる
第2の方法:前記歩行者用信号機の点灯輝度を減じる
第3の方法:前記車両用信号機及び前記交通指示標識の点灯輝度はそのままに前記歩行者用信号機の点灯を停止する
第4の方法:前記車両用信号機及び前記交通指示標識の点灯輝度を減じると共に前記歩行者用信号機の点灯を停止する
【請求項5】
請求項4に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、
前記残燃料検出手段に、所定の第1の設定残燃料量と、該第1の設定残燃料量より少ない第2の設定残燃料量を設定し、
前記商用電源が停電し、前記非常用燃料電池発電装置が運転された場合、該非常用燃料電池発電装置の残燃料量が第1の設定残燃料量を下回った場合と、該第2の設定残燃料量を下回った場合とでの前記第1乃至4の方法を選択する節電基準を変え、前記残燃料量が第1の設定残燃料量を下回った場合は小さい節電の節電基準とし、前記残燃料量が第2の設定残燃料量を下回った場合はそれより大きい節電の節電基準としたことを特徴とする交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、
前記車両用信号機、歩行者用信号機、交通指示標識の標識部は多数のLEDが配列されたLED方式の標識部であり、
前記点灯輝度を減じるとは前記標識部の全部のLEDの輝度を低減させるのではなく、所定の領域に配列されたLEDのみを点灯し、他を消灯することであることを特徴とする交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、
前記交通管理システム用非常用燃料電池発電装置が備える燃料電池は固体高分子型燃料電池であることを特徴とする交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法。
【請求項8】
請求項7に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、
前記固体高分子型燃料電池の燃料が容器に充填された水素であることを特徴とする交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法。
【請求項9】
請求項5又は6に記載の交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法において、
前記交通管理システム用非常用燃料電池発電装置が備える燃料電池は燃料として容器に充填された水素が供給される固体高分子型燃料電池であり、
前記残燃料検出手段は前記容器の水素充填圧力を検出して残水素量を検出することを特徴とする交通管理システム用非常用燃料電池発電装置の運用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−87164(P2007−87164A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275967(P2005−275967)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】