説明

人体異常検知センサおよびそれを用いた通報システム

【課題】個人のプライバシーを守る必要がある室内での人の異常をプライバシーを侵害することなくより確実に検知することができる人体異常検知センサおよびそれを用いた通報システムを提供する。
【解決手段】送波素子10が音波を送波してから当該音波が人で反射されて各受波素子30に受波されるまでの時間差に基づいて人までの距離と人の存在する方位とを求める演算部44と、演算部44にて求めた距離と方位との3次元情報に基づいてプライバシー空間内の人が所定時間以上動かないことを検出したときに当該人が異常状態にあると判断して検知出力を発生する判断部45とを備える。送波素子10は、ベース基板11と発熱体層13との間に介在する熱絶縁層12を有し、発熱体層13への通電に伴う発熱体層13の温度変化により空気に熱衝撃を与えることで音波を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体異常検知センサおよびそれを用いた通報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一人暮らしの高齢者宅や介護施設や病院などにおいてCCDカメラなどのTVカメラにより所定空間内の人を撮像して得た画像に基づいて上記所定空間内の人が倒れて動かなくなった異常状態にあることを検知したときに、上記所定空間内の人が異常状態にあることを外部へ通報するようにした通報システムが提案されている。しかしながら、このような通報システムにおいては、人の異常状態を検知する人体異常検知手段として、TVカメラと、TVカメラにより撮像された画像に適宜の画像処理を施して異常状態の有無を判断するコンピュータとを用いているので、プライバシーを侵害してしまう恐れがある。
【0003】
これに対して、個人のプライバシーを侵害することなく人の異常状態を検知する人体異常検知センサとしては、例えば、検知エリア内へ送波信号を送波し検知エリア内の検知対象者により反射された反射波を受波し、受波信号の送波信号に対する周波数偏移に基づいて検知対象者を検知するドップラー式センサ部を備え、ドップラー式センサ部による検知出力と検知対象者の変位とを対応付けて検知対象者が正常状態であるか異常状態であるかを判断するように構成された人体異常検知器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−159453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された人体異常検知センサは、ドップラー式センサ部により人の動きを検知するものであり、動きのないものは検知することができないので、例えばトイレ室や浴室などの室内のように個人のプライバシーを守る必要がある空間(以下、プライバシー空間と称す)内の人が倒れて動きが止まった異常状態になった場合にその人を検知することができなかった。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、個人のプライバシーを守る必要がある室内での人の異常をプライバシーを侵害することなくより確実に検知することができる人体異常検知センサおよびそれを用いた通報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、室内に配置され前記室内にいる人が異常状態にあるか否かを検出する人体異常検知センサであって、前記室内に音波を送波可能な送波素子および送波素子を間欠的に駆動する駆動回路を有する送波装置と、送波素子から送波され人で反射された音波を受波するとともに受波した音波を電気信号である受波信号に変換する複数の受波素子を有する受波装置と、送波素子が音波を送波してから当該音波が各受波素子に受波されるまでの時間差に基づいて人までの距離と人の存在する方位とを求める演算部と、演算部にて求めた距離と方位との3次元情報に基づいて前記室内の人が所定時間以上動かないことを検出したときに当該人が異常状態にあると判断する判断部とを備えてなることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、送波素子から室内に送波され人で反射された音波を受波した受波素子の受波信号から得られた3次元情報に基づいて人が異常状態にあるか否かを判断するので、CCDカメラなどを用いることなく室内の人の動きが止まったことを判断でき、前記室内の人が所定時間以上動かないことを検出したときに当該人が倒れて動かなくなるなどの異常状態にあると判断するので、個人のプライバシーを守る必要がある室内での人の異常をプライバシーを侵害することなくより確実に検知することができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記送波素子は、ベース基板と、ベース基板の一表面側に形成された発熱体層と、ベース基板の前記一表面側でベース基板と発熱体層との間に介在する熱絶縁層とを有し、発熱体層への通電に伴う発熱体層の温度変化により空気に熱衝撃を与えることで音波を発生するものであることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、前記送波素子から前記室内に発生期間が短く残響時間の短い音波を送波させることができ、不感帯を短くすることができるので、前記室内の人の動きの有無をより確実に判断可能となる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記判断部は、前記3次元情報の時系列データに基づいて前記室内の人が前記異常状態にあるか否かを判断することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、前記室内の人が動いている正常状態から倒れて動かなくなった異常状態になったことをより確実に検知することができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の人体異常検知センサと、人体異常検知センサからの検知出力が入力されたときに人体異常検知センサが配置されている室内の人が異常状態にあることを外部へ通報する通報手段とを備えてなることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、人体異常検知センサが配置されている室内の人が異常状態になってから前記室内の人が異常状態にあることが外部へ通報されるまでの時間を短くすることができ、個人のプライバシーを守る必要がある室内で異常状態になった人に対して迅速な対応が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、個人のプライバシーを守る必要がある室内での人の異常をプライバシーを侵害することなくより確実に検知することができるという効果がある。
【0015】
請求項4の発明では、人体異常検知センサが配置されている室内の人が異常状態になってから前記室内の人が異常状態にあることが外部へ通報されるまでの時間を短くすることができ、個人のプライバシーを守る必要がある室内で異常状態になった人に対して迅速な対応が可能となるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本実施形態では、図1(a)に示すように、例えばトイレ室や浴室などの室内のように個人のプライバシーを守る必要があるプライバシー空間P(図2(a),(b)参照)内に配置されプライバシー空間P内の人M(図2(a),(b)参照)が異常状態にあるか否かを検出する人体異常検知センサAと、人体異常検知センサAからの検知出力が入力されたときに人体異常検知センサAが配置されているプライバシー空間P内の人Mが異常状態にあることを外部へ通報する通報手段Bとを備えた通報システムを例示する。なお、人体異常検知センサAは、プライバシー空間Pの天井面100(図2(a),(b)参照)に配置されている。
【0017】
人体異常検知センサAは、プライバシー空間P内に音波を送波可能な送波素子10および送波素子10を間欠的に駆動する駆動回路20を有する送波装置1と、送波素子10から送波され人Mで反射された音波を受波するとともに受波した音波を電気信号である受波信号に変換する複数の受波素子30を有する受波装置3と、受波装置3の出力を信号処理する信号処理回路4とを備え、信号処理回路4が、送波素子10が音波を送波してから当該音波が各受波素子30に受波されるまでの時間差に基づいて人Mまでの距離と人Mの存在する方位とを求める演算部44と、演算部44にて求めた距離と方位との3次元情報に基づいてプライバシー空間P内の人Mが所定時間以上動かないことを検出したときに当該人Mが異常状態にあると判断して検知出力を発生する判断部45とを備えている。ここにおいて、判断部45は、演算部44にて求めた距離と方位との3次元情報の時系列データに基づいてプライバシー空間P内の人Mが倒れて動かなくなるなどの異常状態にあるか否かを判断する機能を有しており、3次元情報に基づいて人Mと判定した物体が3次元情報の距離について予め設定された閾値を超える位置に存在し且つ3次元情報の時系列データに変化がない場合に人Mが倒れて動かなくなるなどの異常状態になったと判断する。ここにおいて、上記閾値は、プライバシー空間Pの用途などに応じて適宜設定すればよく、例えば、プライバシー空間Pが図2(a)のようなトイレ室の場合には、人体異常検知センサAから便座110の上面までの距離よりも規定値(例えば、30cm)だけ小さな値に設定し、プライバシー空間Pが図2(b)のような浴室である場合には、人体異常検知センサAから浴槽120の上面までの距離よりも規定値(例えば、35cm)だけ小さい値に設定すればよい。なお、演算部44および判断部45は、マイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することにより実現される。
【0018】
通報手段Bとしては、プライバシー空間Pが一人暮らしの高齢者宅内に存在する空間である場合であれば、例えば、人体異常検知センサAの検知出力からなる通報信号を受けたときに電話機を公衆網から切り離して予め設定されている報知先(例えば、契約している介護施設や警備会社など)の電話番号を公衆網に送出させる機能を有するマイクロコンピュータからなる制御回路を備えた通報装置を用いればよい。また、プライバシー空間Pが複数の人が居住する住宅内の空間であれば、例えば、人体異常検知センサAの検知出力からなる通報信号を受けたときにアラーム音を発生させる機能を有し住宅内でプライバシー空間P以外の空間に設置される通報装置を用いればよい。また、プライバシー空間Pが病院内に存在する空間である場合には、例えば、人体異常検知センサAの検知出力からなる通報信号を受けたときに無線でナースステーションへ通報可能な通報装置を用いればよく、プライバシー空間Pが介護施設内に存在する空間である場合には、例えば、人体異常検知センサAの検知出力からなる通報信号を受けたときに無線でケアステーションへ通報可能な通報装置を用いればよい。
【0019】
以下、人体異常検知センサAについて図1〜図13を参照しながら説明する。
【0020】
送波装置1は、上述の送波素子10および駆動回路20を備えている。なお、駆動回路20は、送波素子10から音波を間欠的に送波するタイミングを制御するタイミング制御部を有している。また、送波素子10は、矩形板状のガラスエポキシ基板からなる第1の回路基板23上に実装されている。
【0021】
一方、受波装置3は、上述のように受波素子30を複数備えている。ここにおいて、人体異常検知センサAは、上述のように人Mまでの距離だけでなく人Mの存在する方位も測定できるように、10個の受波素子30を1枚の矩形板状のガラスエポキシ基板からなる第2の回路基板24の一平面上に配列してある。具体的には、第2の回路基板24の1辺に沿った方向に5個の受波素子30を所定ピッチで配列するとともに、上記1辺に直交する方向に5個の受波素子30を所定ピッチで配列してある。
【0022】
説明を簡単にするために、受波素子30が同一平面上において上記1辺に沿った方向のみに所定ピッチで配列されているとし、受波素子30が配列された面に対する音波の波面の角度がθである場合を想定すると、図11に示すように、音波の到来方向(すなわち、受波装置3に対して人Mの存在する方位角)はθになり、音速をc、音波の波面が隣り合う受波素子30のうちの一方の受波素子30に到達する時刻における音波の波面と他方の受波素子30の中心との間の距離(遅延距離)をd、隣り合う受波素子30の中心間距離(上記所定ピッチ)をLとすれば、音波の波面が隣り合う受波素子30間に到達する時間差Δtは、Δt=d/c=L・sinθ/cになる。したがって、時間差Δtが分かれば、人Mの存在する方位を演算することができる。ここにおいて、上記所定ピッチは、送波素子10から送波する音波の波長の0.5倍程度に設定することが望ましい。
【0023】
信号処理回路4は、各受波素子30から出力された受波信号をそれぞれ増幅する複数のアンプ41aを有する信号増幅部41と、各アンプ41aにて増幅されたアナログの受波信号それぞれをディジタルの受波信号に変換して出力するA/D変換部42と、A/D変換部42の出力が格納されるメモリ43と、上記タイミング制御部から音波の送波タイミングを制御する制御信号に同期して出力されるタイミング信号を受けたときにA/D変換部42を所定の受波期間だけ作動させメモリ43に格納された受波信号のデータを用いて人Mまでの距離を求める演算および人Mの存在する方位を求める演算を行う上述の演算部44と、上述のように演算部44にて求めた距離と方位との3次元情報に基づいてプライバシー空間P内の人Mが倒れて動かなくなるなどの異常状態にあると判断したときに検知出力(通報信号)を発生する判断部45とを備えている。なお、信号処理回路4は、矩形板状のガラスエポキシ基板からなる第3の回路基板25に設けられている。
【0024】
演算部44は、上記タイミング信号を受けた時刻(つまり、送波素子10から音波を送波したタイミング)と、ディジタルの受波信号がメモリ43に格納された時刻(信号処理回路4内での遅れ時間を無視すれば、受波素子30により音波を受波したタイミング)との時間差(言い換えれば、送波装置1が音波を送波してから受波装置3が受波するまでの時間)に基づいて、人Mまでの距離を演算する距離演算手段と、メモリ43に格納された各受波素子30の受波信号のデータを利用して人Mの存在する方位(人Mにより反射された音波の到来方向)を求める方位検出手段とを備えている。ここにおいて、方位検出手段は、各受波素子30で音波を受波した時間の時間差と各受波素子30の配置位置とに基づいて受波装置3に対する音波の到来方向を求める。
【0025】
なお、本実施形態における人体異常検知センサAは、最大測定距離を例えば1.5mとすれば、音波は空気中において最大で3mの距離を伝搬すればよいが、送波素子10から送波された音波は拡散損失(距離減衰)や吸収損失や反射損失などの伝搬損失により減衰するので、各アンプ41aの増幅利得(電圧利得)を適宜設定することでS/N比の低下を防止している。また、上述のように最大測定距離を1.5mとすれば、音波が空気中で3mの距離を伝搬するのに要する時間は9ms程度であるから、上述の受波期間は9ms程度に設定すればよい。また、メモリ43には、受波期間における各受波素子30それぞれの受波信号が格納される、言い換えれば、メモリ43には、〔受波素子30の個数〕×〔各受波素子30からの受波信号のデータ数〕の数だけデータが格納されることになるので、例えば、受波素子30の個数を10個、受波期間を9ms、A/D変換部42のサンプリング周期を1μs(サンプリング周波数を1MHz)とした場合には、1データを16bitとして、(10〔個〕)×{(9×10−3)÷(1×10−6)×16}=1440000bit=180kbyteの容量が必要となるから、180kbyte以上の容量のSRAMなどを使用すればよい。
【0026】
上述の方位検出手段は、メモリ43に格納された各受波素子30それぞれの受波信号をそれぞれ各受波素子30の配列パターン(配置位置)に応じた遅延時間で遅延させた受波信号を組にして出力する遅延手段と、遅延手段により遅延された受波信号の組を加算する加算器と、加算器の出力波形のピーク値と適宜の閾値との大小関係を比較し閾値を超えるピーク値が得られたときに遅延手段で設定されている遅延時間の組み合わせに対応する方向を人Mの存在する方位(音波の到来方向)と判断する判断手段とを備えている。なお、演算部44の距離演算手段および方位検出手段は、演算部44を構成するマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することにより実現できる。
【0027】
ところで、人体異常検知センサAは、送波素子10として、空気に熱衝撃を与えることにより音波を発生させる熱励起式の音波発生素子を用いることで、送波素子10の共振特性のQ値を圧電素子に比べて十分に小さくして残響時間が短い音波を送波するようにし、かつ、受波素子30として共振特性のQ値が圧電素子に比べて十分に小さく受波信号に含まれる残響成分の発生期間が短い静電容量型のマイクロホンを用いている。
【0028】
ここにおいて、送波素子10は、図1(b)に示すように、単結晶のp形のシリコン基板からなるベース基板11の一表面(図1(b)における上面)側に多孔質シリコン層からなる熱絶縁層(断熱層)12が形成され、熱絶縁層12上に金属薄膜からなる発熱体層13が形成され、ベース基板11の上記一表面側に発熱体層13と電気的に接続された一対のパッド14,14が形成された熱励起式の音波発生素子により構成してある。ベース基板11の平面形状は長方形状であって、熱絶縁層12、発熱体層13それぞれの平面形状も長方形状に形成してある。なお、発熱体層13は、ベース基板11の少なくとも上記一表面側に形成されていればよい。
【0029】
上述の送波素子10では、発熱体層13の両端のパッド14,14間に通電して発熱体層13に急激な温度変化を生じさせると、発熱体層13に接触している空気に急激な温度変化(熱衝撃)が生じる(つまり、発熱体層13に接触している空気に熱衝撃が与えられる)。したがって、発熱体層13に接触している空気は、発熱体層13の温度上昇時には膨張し発熱体層13の温度下降時には収縮するから、発熱体層13への通電を適宜に制御することによって空気中を伝搬する音波を発生させることができる。要するに、送波素子10を構成する熱励起式の音波発生素子は、発熱体層13への通電に伴う発熱体層13の急激な温度変化を媒質の膨張収縮に変換することにより媒質を伝搬する音波を発生する。なお、本実施形態では、発熱体層13が薄板状の発熱体を構成している。ここに、熱励起式の音波発生素子は、少なくとも薄板状の発熱体を備えていればよく、例えば、アルミニウム製の薄板を発熱体として当該発熱体への通電に伴う発熱体の急激な温度変化による熱衝撃によって音波を発生させるものでもよい。
【0030】
また、上述の送波素子10は、ベース基板11としてp形のシリコン基板を用いており、熱絶縁層12を多孔度が略60〜略70%の多孔質シリコン層により構成しているので、ベース基板11として用いるシリコン基板の一部をフッ化水素水溶液とエタノールとの混合液からなる電解液中で陽極酸化処理することにより熱絶縁層12となる多孔質シリコン層を形成することができる。多孔質シリコン層は、多孔度が高くなるにつれて熱伝導率および熱容量が小さくなるので、熱絶縁層12の熱伝導度および熱容量をベース基板11の熱伝導度および熱容量に比べて小さくし、熱絶縁層12の熱伝導度と熱容量との積をベース基板11の熱伝導度と熱容量との積に比べて十分に小さくすることにより、発熱体層13の温度変化を空気に効率よく伝達することができ発熱体層13と空気との間で効率的な熱交換が起こり、かつ、ベース基板11が熱絶縁層12からの熱を効率良く受け取って熱絶縁層12の熱を逃がすことができて発熱体層13からの熱が熱絶縁層12に蓄積されるのを防止することができる。なお、熱伝導率が148W/(m・K)、熱容量が1.63×10J/(m・K)の単結晶のシリコン基板を陽極酸化して形成される多孔度が60%の多孔質シリコン層は、熱伝導率が1W/(m・K)、熱容量が0.7×10J/(m・K)であることが知られている。本実施形態では、熱絶縁層12を多孔度が略70%の多孔質シリコン層により構成してあり、熱絶縁層12の熱伝導率が0.12W/(m・K)、熱容量が0.5×10J/(m・K)となっている。
【0031】
発熱体層13は、高融点金属の一種であるタングステンにより形成してあるが、発熱体層13の材料はタングステンに限らず、例えば、タンタル、モリブデン、イリジウム、アルミニウムなどを採用してもよい。また、上述の送波素子10では、ベース基板11の厚さを300〜700μm、熱絶縁層12の厚さを1〜10μm、発熱体層13の厚さを20〜100nm、各パッド14の厚さを0.5μmとしてあるが、これらの厚さは一例であって特に限定するものではない。また、ベース基板11の材料としてSiを採用しているが、ベース基板11の材料はSiに限らず、例えば、Ge,SiC,GaP,GaAs,InPなどの陽極酸化処理による多孔質化が可能な他の半導体材料でもよい。なお、熱絶縁層12は多孔質半導体層に限らず、例えばSiO膜などにより構成してもよく、このような場合にはベース基板11上に熱絶縁層12となるSiO膜を陽極酸化処理以外の方法で形成してもよく、ベース基板11の材料の選択肢がより多くなる。
【0032】
上述のように送波素子10は、一対のパッド14,14を介した発熱体層13への通電に伴う発熱体層13の温度変化に伴って音波を発生するものであり、発熱体層13へ与える駆動電圧波形あるいは駆動電流波形からなる駆動入力波形を例えば周波数がf1の正弦波波形とした場合、理想的には、発熱体層13で生じる温度振動の周波数が駆動入力波形の周波数f1の2倍の周波数f2となり、駆動入力波形f1の略2倍の周波数の音波を発生させることができる。すなわち、上述の送波素子10は、平坦な周波数特性を有しており、発生させる音波の周波数を広範囲にわたって変化させることができる。また、上述の送波素子10では、例えば正弦波波形の半周期の孤立波を駆動入力波形として駆動回路20から一対のパッド14,14間へ与えることによって、図5(a)に示すような残響の少ない略1周期の音波P1を発生させることができる。本実施形態では、図5(a)に示すような略1周期の音波P1を発生させる場合、当該音波P1の1周期の時間を50kHz〜70kHz程度の超音波の1周期の時間に設定してあるが、この数値は特に限定するものではない。
【0033】
また、上述の送波素子10では、一対のパッド14,14を介して発熱体層13へ与える駆動電圧の波形を図6(a)に示すようなガウス波形状の電圧波形とした場合、図6(b)に示すようなガウス波形状の音波を送波することができる。
【0034】
ここにおいて、送波素子10から図6(b)に示すようなガウス波形状の音波(ここでは、当該音波の発生期間を50kHz〜70kHz程度の超音波の1周期の時間に設定してある)を送波させるには、駆動回路20として、例えば図7に示す回路を採用すればよい。図7に示す構成の駆動回路20は、直流電源Eの両端間にスイッチSW2を介してコンデンサCが接続され、コンデンサCの両端間にサイリスタThとインダクタLと抵抗R1と保護用抵抗R2との直列回路が接続され、保護用抵抗R2の両端間に送波素子10を接続するように構成されている。また、駆動回路20は、上述のように送波素子10から音波を送波させるタイミングを制御する上述のタイミング制御部を有しており、タイミング制御部によってスイッチSW2のオンオフが制御されるとともにサイリスタThへ制御信号を与えるタイミングが制御される。ここにおいて、駆動回路20では、スイッチSW2のオン期間にコンデンサCが充電されるが、タイミング制御部は、コンデンサCの両端電圧を検出しており、コンデンサCの両端電圧が所定電圧値を超えるとスイッチSW2をオフさせてからサイリスタThのゲートへ制御信号を与える。すなわち、図7に示す構成の駆動回路20では、直流電源EからコンデンサCに電荷を蓄積し、コンデンサCの両端電圧が上記所定電圧値を超えると、タイミング制御部からサイリスタThへ制御信号が与えられてサイリスタThがターンオンし、送波素子10のパッド14,14間に電圧が印加されて発熱体層13の温度変化に伴って音波が送波される。ここに、インダクタLのインダクタンスおよび抵抗R1の抵抗値を適宜設定することにより、図6(a)に示すようなガウス波形状の駆動電圧波形を送波素子10のパッド14,14間へ印加することができる。
【0035】
また、上述の受波素子30を構成する静電容量型のマイクロホンは、マイクロマシンニング技術を利用して形成されており、例えば、図8に示すように、シリコン基板に厚み方向に貫通する窓孔31aを設けることで形成された矩形枠状のフレーム31と、フレーム31の一表面側においてフレーム31の対向する2つの辺に跨る形で配置されるカンチレバー型の受圧部32とを備えている。ここにおいて、フレーム31の一表面側には熱酸化膜35と熱酸化膜35を覆うシリコン酸化膜36とシリコン酸化膜36を覆うシリコン窒化膜37とが形成されており、受圧部32の一端部がシリコン窒化膜37とを介してフレーム31に支持され、他端部が上記シリコン基板の厚み方向においてシリコン窒化膜37に対向している。また、シリコン窒化膜37における受圧部32の他端部との対向面に金属薄膜(例えば、クロム膜など)からなる固定電極33aが形成され、受圧部32の他端部におけるシリコン窒化膜37との対向面とは反対側に金属薄膜(例えば、クロム膜など)からなる可動電極33bが形成されている。なお、フレーム31の他表面にはシリコン窒化膜38が形成されている。また、受圧部32は、上記各シリコン窒化膜37,38とは別工程で形成されるシリコン窒化膜により構成されている。
【0036】
図8に示した構成の静電容量型のマイクロホンからなる受波素子30では、固定電極33aと可動電極33bとを電極とするコンデンサが形成されるから、受圧部32が音波の圧力を受けることにより固定電極33aと可動電極33bとの間の距離が変化し、固定電極33aと可動電極33bとの間の静電容量が変化する。したがって、固定電極33aおよび可動電極33bに設けたパッド(図示せず)間に直流バイアス電圧を印加しておけば、パッドの間には音波の音圧に応じて微小な電圧変化が生じるから、音波の音圧を電気信号に変化することができる。
【0037】
受波素子30として用いる静電容量型のマイクロホンの構造は図8の構造に特に限定するものではなく、例えば、図9に示すように、シリコン基板141の一表面側に、中央部が周部に比べて薄肉である第1のダイアフラム部145を有するシリコン層が設けられ、シリコン基板141の他表面に凹所142を設けることによりシリコン基板141の中央部に第1のダイアフラム部145とギャップ144を介して対向する第2のダイアフラム部143が形成された構造体において、第1のダイヤフラム部145に可動電極146を設けるとともに第2のダイアフラム部143に固定電極(図示せず)を設けた構造としてもよい。また、受波素子30として用いる静電容量型のマイクロホンとしては、シリコン基板などをマイクロマシンニング技術などにより加工して形成され、音波を受けるダイヤフラム部からなる可動電極と、ダイヤフラム部に対向する背板部からなる固定電極との間に、音波を受けていない状態でのダイヤフラム部と背板部とのギャップ長を規定するスペーサ部が介在し、背板部に複数の排気孔が貫設された構造を有するものでもよい。
【0038】
ところで、図1(b)に示した熱励起式の音波発生素子からなる送波素子10は共振特性のQ値が1程度であり、図8に示した静電容量型のマイクロホンからなる受波素子30の共振特性のQ値は3〜4程度であり、圧電素子に比べてQ値が十分に小さく、一般的な超音波センサのように送波素子および受波素子に圧電素子を用いている場合に比べて、角度分解能を改善することができ、角度分解能を5°程度とすることができる。なお、距離分解能は0.01m程度とすることができる。また、受波素子30として圧電式の受波素子を用いた場合、受波素子30の受波信号に図5(c)に示すように受波素子30の残響に起因した信号P4が発生する可能性があり、しかも、人Mによる反射波(間接波)に起因した受波信号P3の発生期間が、図5(b)に示すように送波素子10から送波された音波P1(図5(a)参照)に比べて長くなるので、受波素子30としては、上述の静電容量型のマイクロホンを採用することが望ましい。図10(a)に、図1(b)に示した構造の送波素子10にて送波される音波の波形の一例を示し、図10(b)に図8に示した構造のマイクロホンから出力される出力電圧(受波信号)の波形の一例を示す。
【0039】
以上説明したように、本実施形態における人体異常検知センサAは、送波素子10が空気に熱衝撃を与えることにより音波を発生させる音波発生素子により構成されているので、送波素子10の共振特性のQ値が圧電素子の共振特性のQ値に比べて小さく、一般的な超音波センサのように送波素子として圧電素子を用いている場合に比べて、送波する音波の残響時間を短くできる。言い換えれば、従来の超音波センサに比べて送波素子10から送波する音波に含まれる残響成分が少なく、残響成分の発生期間を従来に比べて短くできる。要するに、人体異常検知センサAは、送波素子10が空気に熱衝撃を与えることにより音波を発生させるものからなるので、送波素子10から送波される音波における残響成分に起因した不感帯を従来の圧電素子を用いた超音波センサに比べて短くすることができ、プライバシー空間P内の人Mの動きの有無をより確実に判断可能となる。
【0040】
また、受波素子30が音波の音圧を静電容量の変化に変換する静電容量型のマイクロホンにより構成されているので、受波素子の共振特性のQ値が圧電素子の共振特性のQ値に比べて小さく音波の周波数に共振周波数を持たず、従来のように受波素子として圧電素子を用いている場合に比べて、受波信号における残響時間を短くできる。言い換えれば、受波素子30の受波信号に含まれる残響成分の発生期間を従来に比べて短くできる。したがって、受波素子30として圧電素子を用いる場合に比べて、受波素子30から出力される受波信号における残響成分を低減することができ、受波素子30から出力される受波信号における残響成分に起因した不感帯を短くすることができる。
【0041】
ところで、人体異常検知センサAは、送波素子10が実装された第1の回路基板23、各受波素子30が実装された第2の回路基板24、信号処理回路4が設けられた第3の回路基板25などが収納されるハウジング50(図3(a)参照)を備えている。
【0042】
ハウジング50は、図3(a)に示すように、一面(図3(a)における上面)が開放された矩形箱状に形成された合成樹脂製のハウジング本体51と、ハウジング本体51の上記一面側に固着された矩形板状のハウジング蓋52とで構成されている。ここにおいて、ハウジング蓋52には、送波素子10の送波面および各受波素子30の受波面を露出させる開口部として、送波素子10の送波面を露出させる第1の窓孔52aと各受波素子30の受波面を露出させる第2の窓孔52bとが別々に形成されているので、両窓孔52a,52bが連続して形成されている場合に比べて、送波素子10から各受波素子30へ音波が直接伝搬して図5(b),(c)に示すような直接波に起因した受波信号P2が発生するのを抑制することができ、各受波素子30それぞれから出力される受波信号のノイズを低減することができるとともに、音波を送波するタイミングと上記受波期間を開始するまでの期間T3,T4(図5(b),(c)参照)を短くすることが可能となる。なお、各窓孔52a,52bは、ハウジング蓋52の厚み方向に貫設されており、開口形状が矩形状となっている。
【0043】
また、本実施形態における人体異常検知センサAでは、上述の送波素子10および各受波素子30がハウジング50内において各窓孔52a,52bが形成された部位から後退して配置されるとともに、第1の回路基板23と第2の回路基板24とがハウジング蓋52に平行な面内で離間して配置され、第1の回路基板23におけるハウジング蓋52との対向面において送波素子10を囲む矩形枠状の第1の吸音部材6aと、第2の回路基板24におけるハウジング蓋52との対向面において各受波素子30を囲む矩形枠状の第2の吸音部材6bとを備えているので、送波素子10から各受波素子30へ音波が直接伝搬するのをより確実に防止することができる。
【0044】
また、上述の第3の回路基板25は、ハウジング本体51の内底面に接着剤により固着されており、第1の回路基板23および第2の回路基板24と第3の回路基板25との間には吸音部材7を介在させてあるので、送波素子10の振動が第3の回路基板25を介して第2の回路基板24へ伝わって信号処理回路4で信号処理する受波信号に送波素子10の振動に起因したノイズが発生するのを防止することができる。なお、各受波素子30から出力される受波信号は第2の回路基板24と第3の回路基板25とを電気的に接続しているコネクタ60を介して信号処理回路4へ伝送される。
【0045】
また、人体異常検知センサAは、図3(a)および図12(b)に示すように、ハウジング蓋52の各窓孔52a,52bを、通音性を有する防水性シート(例えば、多孔質のプラスチック膜など)8により覆い、防水シート8の周部をハウジング蓋52と同じ材料により形成した枠状のベゼル9(図3(a)および図13参照)で固定する。ここにおいて、ベゼル9とハウジング蓋52との間に防水性シート8の周部を挟持した形でベゼル9をハウジング蓋52の外面に固着してあるので、塵、埃、昆虫などの異物がハウジング50内に侵入して回路がショートしたり、水滴がハウジング50内に浸入して送波素子10および各受波素子30が劣化したり破壊されたりするのを防止することができ、信頼性を高めることができる。なお、本実施形態では、防水性シート8の外周形状を矩形状とし、ベゼル9の形状を矩形枠状としてある。また、図12(a)に示した吸音部材6は、上述の吸音部材6a,6bを一体化して1部材としたものであり、このような1部材の吸音部材6を用いることにより、2つの吸音部材6a,6bを用いる場合に比べて、部品点数の削減を図れるとともに、第1の回路基板23および第2の回路基板4それぞれとハウジング蓋52との間の距離を精度良く揃えることができる。
【0046】
また、人体異常検知センサAは、第1の回路基板23が複数個(例えば、4個)のスペーサ17a(図3(b)参照)を介してハウジング蓋52に固定ねじ(図示せず)により取り付けられ、第2の回路基板24が複数個(例えば、4個)の衝撃緩衝部材17b(図3(b)参照)を介してハウジング蓋52に取り付けられている。ここで、第2の回路基板24とハウジング蓋52との間に介在する各衝撃緩衝部材17bは、第2の回路基板24およびハウジング蓋52それぞれと接着剤により固着されている。ここにおいて、各受波素子30が実装された第2の回路基板24が衝撃緩衝部材17bを介してハウジング50に取り付けられていることにより、ハウジング50の振動が第2の回路基板24へ伝わるを抑制することができ、ハウジング50の振動により各受波素子30の受波信号に発生するノイズを低減できる。すなわち、受波素子30の受波信号に、ハウジング50の振動に起因したノイズP5(図5(c)参照)が発生するのを防止することが可能となる。
【0047】
ハウジング本体51およびハウジング蓋52の材料としては、ポリアセタール、例えばデルリン(商品名)やジュラコン(商品名)など、を採用している。なお、本実施形態では、ハウジング本体51およびハウジング蓋52をポリアセタールなどの合成樹脂により形成してあるが、これらの材料は合成樹脂に限定するものではなく、金属に比べて密度が小さく絶縁性を有する材料であればよく、例えば、セラミックにより形成してもよい。ここにおいて、ハウジング本体51とハウジング蓋52とで構成されるハウジング50が合成樹脂やセラミックにより形成されていることにより、ハウジング50を金属により形成する場合に比べて、ハウジング50を形成する材料の密度を小さくすることができ、音波がハウジング50を伝わりにくくなるとともに、送波素子10から送波される音波にハウジング50が共振しにくくなり、各受波素子30の受波信号にハウジング50の振動に起因したノイズP5が発生するのを防止することができる。また、衝撃緩衝材17bおよび上記防振部材としては、シリコーンを主原料とするゲル状素材、例えばアルファゲル:αGEL(登録商標)などを用いればよい。
【0048】
以上説明した本実施形態における人体異常検知センサAでは、上述のように送波素子10が空気に熱衝撃を与えることにより音波を発生させる音波発生素子により構成されていることにより、送波素子10からプライバシー空間P内に発生期間が短く残響時間の短い音波を送波させることができ、判断部45では演算部44にて求めた距離と方位との3次元情報に基づいてプライバシー空間P内の人が所定時間以上動かないことを検出したときに当該人Mが異常状態にあると判断したときに検知出力を発生するので、プライバシー空間P内の人Mが異常状態にあるか否かをプライバシーを侵害することなくより確実に検知することができる。ここで、判断部45は、上記3次元情報の時系列データに基づいてプライバシー空間P内の人Mが異常状態にあるか否かを判断するので、プライバシー空間P内の人Mが動いている正常状態から倒れて動かなくなった異常状態になったことをより確実に検知することができる。
【0049】
また、本実施形態の通報システムでは、通報手段Bが、上述の人体異常検知センサAの検知出力が入力されると直ちにプライバシー空間P内の人が異常状態にあることを外部へ通報するから、人体異常検知センサAが配置されているプライバシー空間P内の人が異常状態になってからプライバシー空間P内の人が異常状態にあることが外部へ通報されるまでの時間を短くすることができ、異常状態になった人Mに対して迅速な対応が可能となる。
【0050】
なお、人体異常検知センサAについては、プライバシー空間P内へ当該プライバシー空間Pを利用する人Mが入る際にプライバシー空間P内の照明器具を点灯させるためのスイッチのオン操作に連動して作動し、スイッチのオフ操作に連動して作動を停止するようにすれば、節電を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態における通報システムを示し、(a)はブロック図、(b)は送波素子の概略断面図である。
【図2】同上における人体異常検知センサの配置例の説明図である。
【図3】同上における人体異常検知センサを示し、(a)は概略断面図、(b)はハウジング蓋を外した状態における要部概略平面図である。
【図4】同上における人体異常検知センサの要部斜視図である。
【図5】同上の動作説明図である。
【図6】同上における送波素子の動作説明図である。
【図7】同上における送波素子の駆動回路の一例を示す回路図である。
【図8】同上における受波素子を示し、(a)は一部破断した概略斜視図、(b)は概略断面図である。
【図9】同上における受波素子の他の構成例を示す概略断面図である。
【図10】同上における人体異常検知センサの動作説明図である。
【図11】同上における人体異常検知センサの動作説明図である。
【図12】同上における人体異常検知センサのハウジング蓋に吸音部材および防水性シートを取り付けた状態を示し、(a)は下面図、(b)は平面図である。
【図13】同上におけるベゼルの平面図である。
【符号の説明】
【0052】
A 人体異常検知センサ
B 通報手段
1 送波装置
3 受波装置
4 信号処理回路
10 送波素子
11 ベース基板
12 熱絶縁層
13 発熱体層
14 パッド
20 駆動回路
30 受波素子
43 メモリ
44 演算部
45 判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に配置され前記室内にいる人が異常状態にあるか否かを検出する人体異常検知センサであって、前記室内に音波を送波可能な送波素子および送波素子を間欠的に駆動する駆動回路を有する送波装置と、送波素子から送波され人で反射された音波を受波するとともに受波した音波を電気信号である受波信号に変換する複数の受波素子を有する受波装置と、送波素子が音波を送波してから当該音波が各受波素子に受波されるまでの時間差に基づいて人までの距離と人の存在する方位とを求める演算部と、演算部にて求めた距離と方位との3次元情報に基づいて前記室内の人が所定時間以上動かないことを検出したときに当該人が異常状態にあると判断する判断部とを備えてなることを特徴とする人体異常検知センサ。
【請求項2】
前記送波素子は、ベース基板と、ベース基板の一表面側に形成された発熱体層と、ベース基板の前記一表面側でベース基板と発熱体層との間に介在する熱絶縁層とを有し、発熱体層への通電に伴う発熱体層の温度変化により空気に熱衝撃を与えることで音波を発生するものであることを特徴とする請求項1記載の人体異常検知センサ。
【請求項3】
前記判断部は、前記3次元情報の時系列データに基づいて前記室内の人が前記異常状態にあるか否かを判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載の人体異常検知センサ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の人体異常検知センサと、人体異常検知センサからの検知出力が入力されたときに人体異常検知センサが配置されている室内の人が異常状態にあることを外部へ通報する通報手段とを備えてなることを特徴とする通報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−24688(P2007−24688A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207576(P2005−207576)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】