説明

代謝調節型グルタミン酸レセプターアンタゴニストとしてのアセチレン型ピペラジン

本発明は、化学式Iに示す化合物であって、ここで、Ar1、A、B、R1、m及びnが、本明細書中に定義されるような化合物、又はその医薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物に関する。また、本発明には、医薬組成物、並びに前記化合物の使用及び製造方法、並びにmGluR5媒介性障害の医学的治療方法も含まれる。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規な部類の化合物、該化合物を含有する医薬製剤、及び治療での該化合物の使用に関する。本発明は、更に前記化合物の製造方法及び該方法において製造される新規な中間体に関する。
【0002】
背景技術
グルタミン酸は、哺乳動物の中枢神経系(CNS)における主な興奮性の神経伝達物質である。グルタミン酸は、細胞表面レセプターに結合して、該レセプターを活性化させることにより、中枢神経に作用する。これらのレセプターは、レセプタータンパク質の構造特性、レセプターがシグナルを細胞に伝達する手段、及び薬理学的性質に基づいて、イオンチャンネル型グルタミン酸レセプターと代謝調節型グルタミン酸レセプターの2つの主要な種類に分けられる。
【0003】
代謝調節型グルタミン酸レセプター(mGluR)は、グルタミン酸の結合に続いて種々の細胞内セカンドメッセンジャー系を活性化させるGタンパク結合型レセプターである。無傷の哺乳動物のニューロンにおけるmGluRの活性化は、以下の反応の1又は2種類以上を誘発する:ホスホリパーゼCの活性化;ホスホイノシチド(PI)の加水分解の増大;細胞内のカルシウム放出;ホスホリパーゼDの活性化;アデニルシクラーゼの活性化又は阻害;環状アデノシン一リン酸(cAMP)形成の増大又は減少;グアニリルシクラーゼの活性化;環状グアノシン一リン酸(cGMP)形成の増大;ホスホリパーゼA2の活性化;アラキドン酸放出の増大;並びに電位作動性イオンチャネル及びリガンド作動性イオンチャネルの活性化の増大又は減少。Schoeppら, Trends Pharmacol. Sci. 14:13 (1993)、Schoepp, Neurochem. Int. 24:439 (1994)、Pin ら, Neuropharmacology 34:1 (1995)、Bordi及びUgolini, Prog. Neurobiol. 59:55 (1999)。
【0004】
分子クローニングにより、mGluR1ないしmGluR8と名付けられた、8種類の異なるmGluRサブタイプが同定された。Nakanishi, Neuron 13:1031 (1994)、Pinら, Neuropharmacology 34:1 (1995)、Knopfelら, J. Med. Chem. 38:1417 (1995)。また、特定のmGluRサブタイプの選択的スプライシング型の発現により、更なるレセプターの多様性が生じている。Pinら, PNAS 89:10331 (1992)、Minakamiら, BBRC 199:1136 (1994)、Jolyら, J. Neurosci. 15:3970 (1995)。
【0005】
代謝調節型グルタミン酸レセプターのサブタイプは、アミノ酸配列のホモロジー、レセプターが利用するセカンドメッセンジャー系、及びその薬理学的特徴に基づいて、mGluRグループI、グループII、及びグループIIIの3種類のグループに細分される。mGluRグループIには、mGluR1、mGluR5、及びこれらの選択的スプライシング変異体が含まれる。これら受容体へのアゴニストの結合により、ホスホリパーゼCの活性化と、これに続く細胞内カルシウムの流動が生じる。
【0006】
神経障害、精神障害及び疼痛性障害
mGluRのグループIの生理学的役割を解明しようとする試みにより、これらのレセプターの活性化が神経の興奮を誘起することが示唆される。種々の研究により、mGluRのグループIのアゴニストは、海馬、大脳皮質、小脳、及び視床、並びに他のCNS領域中のニューロンに適用した際に、シナプス後興奮を引き起こさせることが証明された。上記興奮は、シナプス後mGluRの直接的活性化に起因することが証拠により示されているが、シナプス前mGluRの活性化が起った結果として神経伝達物質の放出が増大することも示唆されている。Baskys, Trends Pharmacol. Sci. 15:92 (1992)、Schoepp, Neurochem. Int. 24:439 (1994)、Pinら, Neuropharmacology 34:1(1995)、Watkinsら, Trends Pharmacol. Sci. 15:33 (1994)。
【0007】
代謝調節型グルタミン酸レセプターは、哺乳動物のCNS内の数多くの正常なプロセスに関係すると考えられてきた。mGluRの活性化は、海馬の長期的な増強(potentiation)及び小脳の長期的な抑制の誘導に必要であることが示されている。Bashirら, Nature 363:347 (1993)、Bortolottoら, Nature 368:740 (1994)、Aibaら, Cell 79:365 (1994)、Aibaら, Cell 79:377 (1994)。痛覚及び痛覚消失におけるmGluR活性化の役割についても立証されている、Mellerら, Neuroreport 4: 879 (1993)、Bordi及びUgolini, Brain Res. 871:223 (1999)。加えて、mGluRの活性化は、シナプス伝達、神経発生、アポトーシスによる神経の死、シナプス可塑性、空間学習、嗅覚記憶、心臓活動の中枢制御、覚醒、運動制御並びに前庭眼反射の制御を含む、その他の多様な正常なプロセスにおいて調節的役割を果たすことが示唆されている。Nakanishi, Neuron 13: 1031 (1994)、Pinら, Neuropharmacology 34:1、Knopfelら, J. Med. Chem. 38:1417 (1995)。
【0008】
更に、グループIの代謝調節型グルタミン酸レセプター、特にmGluR5は、CNSを冒す種々の病態生理プロセスと障害にも関与していることが示唆されている。これらには、脳卒中、頭部外傷、酸素欠乏障害及び虚血性傷害、低血糖症、癲癇、アルツハイマー病等の神経変性障害並びに疼痛が含まれる。Schoeppら, Trends Pharmacol. Sci. 14:13 (1993)、Cunninghamら, Life Sci. 54:135 (1994)、Hollmanら, Ann. Rev. Neurosci. 17:31 (1994)、Pinら, Neuropharmacology 34:1 (1995)、Knopfelら, J. Med. Chem. 38:1417 (1995)、Spoorenら, Trends Pharmacol. Sci. 22:331 (2001)、Gaspariniら, Curr. Opin. Pharmacol. 2:43 (2002)、Neugebauer, Pain 98:1 (2002)。これら障害の主な病理は、CNSニューロンの過度のグルタミン酸誘導性興奮によるものであると考えられている。グループIのmGluRは、シナプス後機構及び増大したシナプス前グルタミン酸放出によるグルタミン酸媒介性の神経興奮を増大させると考えられることから、これらの活性化が、恐らく前記病理に寄与しているのであろう。従って、グループIのmGluRレセプターの選択的アンタゴニストは、特に神経保護薬、鎮痛薬又は抗けいれん薬として、治療上有益なものとなり得る。
【0009】
最近の、代謝調節型グルタミン酸レセプター全般と、特にグループIの神経生理学的な役割の解明の進歩から、これらのレセプターが、急性及び慢性の神経障害及び精神障害並びに慢性及び急性の疼痛性障害の治療における有望な薬剤標的であることが確証された。
【0010】
胃腸障害
下部食道括約筋(LES)は、断続的に弛緩する傾向がある。その結果、以下において「逆流」と呼ぶ現象の際に一時的に物理的障害が失われるため、胃内部の流体は、食道内に流れ込むことが可能になる。
【0011】
胃食道逆流性疾患(GERD)は、最も蔓延している上部胃腸管の疾患である。現在の薬物療法では、胃酸の分泌を低下させるか、又は食道内で酸を中和することを目的としている。逆流の背後にある主なメカニズムは、低緊張性の下部食道括約筋に依存していると考えられてきた。しかしながら、例えば、Holloway及びDent (1990) Gastroenterol. Clin. N. Amer. 19, ページ517-535、では、ほとんどの逆流の発症は、えん下により引き起こされる弛緩ではなく、一過性の下部食道括約筋弛緩(TLESR)時に起こることが示されている。また、GERDを患う患者では、胃酸分泌は一般的に正常であることも示されている。
【0012】
本発明に係る新規化合物は、一過性の下部食道括約筋弛緩(TLESR)の阻害に有用であり、従って、胃食道逆流性疾患(GERD)の治療に有用であると考えられる。
【0013】
「TLESR」、一過性の下部食道括約筋弛緩(transient lower esophageal sphincter relaxation)という表現は、本明細書において、Mittal, R.K., Holloway, R.H., Penagini, R., Blackshaw, L.A., Dent, J., 1995; 「一過性の下部食道括約筋弛緩(transient lower esophageal sphincter relaxation)」. Gastroenterology 109, ページ601-610、に従って定義される。
【0014】
「逆流」という表現は、本明細書において、発症時に物理的障害が一時的に失われることで、胃から食道内へ通過可能な流体として定義される。
【0015】
「GERD」、胃食道逆流性疾患(gastro-esophageal reflux disease)という表現は、本明細書において、van Heerwarden, M.A., Smout A.J.P.M., 2000; 「逆流疾患の診断(Diagnosis of reflux disease)」. Bailliere's Clin. Gastroenterol. 14, ページ759-774、に従って定義される。
【0016】
生理学及び病態生理学上の重要性から、mGluRサブタイプ、特にグループIのレセプターサブタイプ、最も具体的にはmGluR5に対する高い選択性を示す、新しい有効なmGluRアゴニスト及びアンタゴニストに対する需要が存在する。
【0017】
本発明の目的は、代謝調節型グルタミン酸レセプター(mGluR)、特にmGluR5レセプターにおいて活性を示す化合物を提供することである。
【0018】
発明の要約
本発明の一つの態様は、式I:
【0019】
【化1】

【0020】
[式中、Ar1は、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール基であり、ここで、該置換基は、F、Cl、Br、I、OH、ニトロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルハロ、OC1-6アルキル、OC1-6アルキルハロ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、CN、CO2R2、SR2、S(O)R2、SO2R2、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルから成る群から選択され、ここで、いかなる環状基も、F、Cl、Br、I、OH、ニトロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルハロ、OC1-6アルキル、OC1-6アルキルハロ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、CN、CO2R2、SR2、S(O)R2及びSO2R2から成る群から選択される、少なくとも一つの置換基により更に置換されていてもよく;
Aは、Ar1、CO2R2、CONR2R3、S(O)R2及びSO2R2から成る群から選択され;
Bは、ビニレン及びエチニレンから成る群から選択され、ここで、前記ビニレン基は、2個以下の、独立して選択されるC1-6アルキル基で置換されていてもよく;
R1は、いずれの場合も、F、Cl、Br、I、OH、CN、ニトロ、C1-6アルキル、OC1-6アルキル、C1-6アルキルハロ、OC1-6アルキルハロ、(CO)R2、O(CO)R2、O(CO)OR2、CO2R2、CONR2R3、C1-6アルキレンOR2、OC2-6アルキレンOR2及びC1-6アルキレンシアノから成る群から独立して選択され;
R2及びR3は、H、C1-6アルキル、C1-6アルキルハロ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル及びシクロアルキルから成る群から独立して選択され;
mは、0、1、2、3及び4から成る群から選択される整数であり;そして
nは、1、2及び3から成る群から選択される整数である]
で表される化合物、又は、その医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、アイソフォーム、互変異性体、光学異性体、又はその組み合わせ、に関する。
【0021】
別の態様は、有効成分として、治療上有効量の式Iに示す化合物を、1又は2種類以上の医薬的に許容可能な希釈剤、賦形剤及び/又は不活性な担体といっしょに含む医薬組成物である。
【0022】
その他の態様は、下記により詳細に記載するように、mGluR5媒介性障害の治療、処置、mGluR5媒介性障害の処置用薬物の製造に用いる、式Iに示す化合物に関する。
【0023】
更に別の態様は、治療上有効量の式Iの化合物を哺乳動物に投与することを含む、mGluR5媒介性障害の治療方法に関する。
【0024】
別の態様では、mGluR5レセプターを含む細胞を、有効量の式Iに示す化合物で処理することを含む、mGluR5レセプターの活性化の阻害方法が提供される。
【0025】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、医薬品として、特に代謝調節型グルタミン酸レセプターのアンタゴニストとしての活性を示す化合物の発見に基づくものである。より詳細には、本発明の化合物は、mGluR5レセプターのアンタゴニストとしての活性を示すものであり、従って、治療、特に、グルタミン酸の機能障害に伴う神経障害、精神障害、疼痛性障害、及び胃腸障害の処置に有用である。
【0026】
定義
本明細書中で明記されない限り、本明細書で用いる命名法は、一般的に、「有機化学の命名法(Nomenclature of Organic Chemistry)」, パーガモン出版(Pergamon Press), オックスフォード, 1979、の第A、B、C、D、E、F、及びHに記載される例及び法則に従うものであり、上記文献は、その代表的な化学構造の名称及び化学構造の命名の法則に関するものとして、参照により本明細書中に取り込まれる。また、化合物の名称は、以下の化学的命名用プログラムを用いて作り出すこともできる:ACD/ケムスケッチ(ChemSketch)、バージョン5.09/2001年9月、アドバンストケミストリーデベロップメント社(Advanced Chemistry Development, Inc.)、トロント、カナダ。
【0027】
本明細書で用いる「アルキル」という用語は、1ないし6個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を意味しており、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t-ブチル等を含む。
【0028】
本明細書で用いる「アルケニル」という用語は、2ないし6個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖のアルケニル基を意味しており、エテニル、1-プロペニル、1-ブテニル等を含む。
【0029】
本明細書で用いる「アルキニル」という用語は、2ないし6個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖のアルキニル基を意味しており、1-プロピニル(プロパルギル)、1-ブチニル等を含む。
【0030】
本明細書で用いる「シクロアルキル」という用語は、3ないし7個の炭素原子を有する環状基(不飽和であってもよい)を意味しており、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル等を含む。
【0031】
本明細書で用いる「ヘテロシクロアルキル」という用語は、N、S及びOから成る群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する3員環ないし7員環基(不飽和であってもよい)を意味しており、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル等を含む。
【0032】
本明細書で用いる「アルコキシ」という用語は、1ないし6個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基を意味しており、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、t-ブトキシ等を含む。
【0033】
本明細書で用いる「ハロ」という用語は、ハロゲンを意味しており、放射性及び非放射性型の両方のフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等を含む。
【0034】
本明細書で用いる「アルキレン」という用語は、1ないし6個の炭素原子を有する、二官能性の分枝又は非分枝飽和炭化水素基を意味しており、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン等を含む。
【0035】
本明細書で用いる「アルケニレン」という用語は、2ないし6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの二重結合を有する、二官能性の分枝又は非分枝炭化水素基を意味しており、エテニレン、n-プロペニレン、n-ブテニレン等を含む。
【0036】
本明細書で用いる「アルキニレン」という用語は、2ないし6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの三重結合を有する、二官能性の分枝又は非分枝炭化水素基を意味しており、エチニレン、n-プロピニレン、n-ブチニレン等を含む。
【0037】
本明細書で用いる「アリール」という用語は、5ないし12個の原子を有する、芳香族基を意味しており、フェニル、ナフチル等を含む。
【0038】
本明細書で用いる「ヘテロアリール」という用語は、N、S及びOから成る群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む芳香族基を意味しており、基を含み、そして、ピリジル、インドリル、フリル、ベンゾフリル、チエニル、ベンゾチエニル、キノリル、オキサゾリル等を含む。
【0039】
本明細書で用いる「シクロアルケニル」という用語は、4ないし7個の炭素原子を有する、不飽和のシクロアルケニル基を意味しており、シクロペンタ-1-エニル、シクロヘキサ-1-エニル等を含む。
【0040】
「アルキルアリール」、「アルキルヘテロアリール」及び「アルキルシクロアルキル」という用語は、アリール、ヘテロアリール又はシクロアルキル基で置換されたアルキル基を指し、2-フェネチル、3-シクロヘキシルプロピル等を含む。
【0041】
「N、O及びSから成る群から独立して選択される2又は3個のヘテロ原子を含む5員複素環」という用語は、芳香環及び芳香族複素環、並びに飽和又は不飽和であってもよい環を包含し、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル等を含む
「医薬的に許容可能な塩」という用語は、患者の治療に適合性を有する酸付加塩又は塩基付加塩のいずれかを意味する。
【0042】
「医薬的に許容可能な酸付加塩」とは、式Iで表される塩基性の化合物又はそのあらゆる中間体の、非毒性の有機酸付加塩又は無機酸付加塩である。適切な塩を形成する例示的な無機酸には、塩酸, 臭化水素酸, 硫酸及びリン酸、並びにオルトリン酸一水素ナトリウム及び硫酸水素カリウムのような酸金属塩が含まれる。適切な塩を形成する例示的な有機酸には、モノ-、ジ-及びトリカルボン酸が含まれる。このような酸の例示としては、例えば、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、並びにメタンスルホン酸及び2-ヒドロキシエタンスルホン酸のような別のスルホン酸がある。一酸塩又は二酸塩のいずれも形成可能であり、このような塩は、水和、溶媒和又は事実上無水のいずれかの形態にて存在することができる。一般的に、これらの化合物の酸付加塩は、その遊離塩基型と比較して、水及び種々の親水性有機溶媒に溶解しやすく、全般的に高い融点を示す。適切な塩の選択基準は、当業者に公知である。また、例えば、シュウ酸塩のような、他の医薬的に許容不可能な塩を、例えば、式Iに示す化合物の単離に実験用で用いてもよく、又は後の医薬的に許容可能な酸付加塩への変換に用いてもよい。
【0043】
「医薬的に許容可能な塩基付加塩」とは、式Iで表される酸性の化合物又はそのあらゆる中間体の、非毒性の有機塩基付加塩又は無機塩基付加塩である。適切な塩を形成する例示的な無機塩基には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム又は水酸化バリウムが含まれる。適切な塩を形成する例示的な有機塩基には、メチルアミン、トリメチルアミン及びピコリンのような、脂肪族、脂環式又は芳香族有機アミン、又はアンモニアが含まれる。前記分子中の他の場所にエステル官能性が存在する場合であっても加水分解されないような、適切な塩の選択が重要になるであろう。適切な塩の選択基準は、当業者に公知である。
【0044】
「溶媒和物」とは、式Iに示す化合物、又は式Iに示す化合物の医薬的に許容可能な塩であって、結晶格子内に適切な溶媒の分子が取り込まれたものを意味する。適切な溶媒とは、溶媒和物として投与する投与量において、生理学的に許容できる溶媒である。適切な溶媒の例は、エタノール、水等である。水が溶媒となる場合、その分子は、水和物と呼ばれる。
【0045】
「立体異性体」という用語は、空間中でのその原子の配置のみが異なる個々の分子のすべての異性体に関する一般的な用語である。立体異性体には、鏡像異性体(エナンチオマー)、幾何(シス/トランス)異性体、及び複数のキラル中心を有する化合物の、互いの鏡像ではない異性体(ジアステレオマー)が含まれる。
【0046】
「治療する」又は「治療」という用語は、特定の障害又は状態の症状を軽減させるか、症状の原因作用を、一時的若しくは永続的に取り除くか、又は症状の発症を防ぐか若しくは遅延させることを意味する。
【0047】
「治療上有効量」という用語は、特定の障害又は状態を治療するのに有効な、化合物量を意味する。
【0048】
「医薬的に許容可能な担体」とは、医薬組成物、即ち患者に投与可能な剤形の製剤を可能にするために有効成分と混合される非毒性の溶媒、分散剤、賦形剤、アジュバント又はその他の材料を意味する。このような担体の一例としては、非経口投与に典型的に用いられる医薬的に許容可能なオイルがある。
【0049】
化合物
本発明の化合物は、一般的に式I:
【0050】
【化2】

【0051】
[ここで、Ar1、A、B、R1、m及びnは、前述と同様に定義される]に従う。
【0052】
一つの態様において、Bは、エチニレン基である。
【0053】
一つの態様において、Ar1は、置換されていてもよいフェニル基であり、例示的な置換基は、F、Cl、Br、ニトロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルハロ、OC1-6アルキル、OC1-6アルキルハロ、及びCNから成る群から選択することができる。
【0054】
別の態様において、Ar2は、例えば2-ピリジル基のような、置換されていてもよいピリジル基であり、例示的な置換基は、F、Cl、Br、ニトロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルハロ、OC1-6アルキル、OC1-6アルキルハロ、及びCNから成る群から選択することができる。更に別の態様では、R1は、C1-6アルキル、C1-6-ハロアルキル、CN、CO2R2、CONR2R3、及びC1-6アルキレンOR2から成る群から選択することができる。
【0055】
一つの態様において、nは1であり、別の態様では、nは2である。
【0056】
更に別の態様では、mは0であり、他の態様では、mは1又は2である。
【0057】
当業者であれば、本発明の化合物が、1又は2か所以上のキラル中心を含む場合には、本発明の化合物が、エナンチオマー若しくはジアステレオマーの形態として、又はラセミ混合物として存在し、そして単離されてもよいことを理解するであろう。本発明には、式Iに示す化合物の、あらゆる可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、又はこれらの混合物が包含される。本発明に係る化合物の光学活性型は、例えば、キラルクロマトグラフィーによるラセミ化合物の分離、又は化学的若しくは酵素的な分割方法、光学活性を有する出発材料からの合成、又は後述する方法に基づく不斉合成により製造することができる。
【0058】
また、当業者であれば、本発明の特定の化合物は、例えばアルケンのE及びZ異性体のような、幾何異性体として存在してもよいことを理解するであろう。本発明には、式Iに示す化合物のあらゆる幾何異性体が包含される。更に、本発明には、式Iに示す化合物の互変異性体も包含されることが理解されるであろう。
【0059】
また、当業者であれば、本発明の特定の化合物は、非溶媒和型として、並びに、例えば水和型等の溶媒和型として存在してもよいことを理解するであろう。更に、本発明には、式Iに示す化合物の、このような溶媒和型がすべて包含されることも理解されるであろう。
【0060】
式Iに示す化合物の塩もまた、本発明の範囲内にある。一般的に、本発明の化合物の医薬的に許容可能な塩は、例えば、アルキルアミン等の十分に塩基性な化合物を、例えばHCl又は酢酸等の適切な酸と反応させて、生理学的に許容可能なアニオンと共に塩を生じさせる等、当該技術分野においてよく知られる標準的な方法により得られる。また、カルボン酸又はフェノールのような、適度に酸性のプロトンを有する本発明の化合物を、水性媒体中で、1当量のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物若しくはアルコキシド(エトキシドまたはメトキシド等)、又は適度に塩基性の有機アミン(コリンまたはメグルミン等)で処理すること、及びこれに続く従来の精製技術により、これに対応するアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、若しくはリチウム等)塩、又はアルカリ土類金属(カルシウム等)塩を製造することも可能である。加えて、中性アミン等へのアルキル化剤の添加により、第四級アンモニウム塩を製造することもできる。
【0061】
本発明の一つの態様において、式Iに示す化合物は、その医薬的に許容可能な塩又は溶媒和物、特に、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩のような酸付加塩に変換されてもよい。
【0062】
本発明の具体例には、以下の化合物、その医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、光学異性体、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
【表5】

【0068】
【表6】

【0069】
【表7】

【0070】
【表8】

【0071】
【表9】

【0072】
【表10】

【0073】
【表11】

【0074】
【表12】

【0075】
医薬組成物
本発明の化合物は、医薬的に許容可能な担体又は賦形剤と共に、式Iに示す化合物、又はその医薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を含有する、通常の医薬組成物に製剤されてもよい。前記医薬的に許容可能な担体は、固体又は液体のいずれであってもよい。固体型の製剤には、粉剤、錠剤、分散性の顆粒、カプセル、カシェ剤、及び坐剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
固体の担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤又は錠剤崩壊剤としても作用できる、1又は2種類以上の物質であってもよい。固体の担体は、封入材料にもなりうる。
【0077】
粉剤の場合、前記担体は、微細に分断された本発明の化合物、又は有効成分との混合物としての微細に分断された固体である。錠剤の場合、有効成分は、必要な結合特性を有する担体と適切な比率で混合され、所望の形状及びサイズに押し固められる。
【0078】
坐剤組成物を調製するためには、脂肪酸のグリセリドとカカオ脂の混合物等の低融点ワックスを最初に融かし、そして、その中に有効成分を例えば撹拌等により分散させる。次いで、溶融した均一な混合物を、都合の良いサイズの型に流し込んで冷却させて凝固させる。
【0079】
適切な担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラクトース,糖、ペクチン、デキストリン、スターチ、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
組成物という用語は、有効成分(他の担体有り又は無しで)が担体に取り囲まれ、従って、担体と有効成分が共存するカプセルを提供する担体としての封入材料と共に、有効成分の製剤を含むことも意図する。同様にして、カシェ剤も含まれる。
【0081】
タブレット、粉剤、カシェ剤、及びカプセルは、経口投与に適した固体剤形として用いることができる。
【0082】
液体型の組成物には、溶液、懸濁液、及びエマルジョンが含まれる。例えば、有効成分の滅菌水溶液又はプロピレングリコール水溶液は、非経口投与に適した液体製剤である。液体組成物は、ポリエチレングリコール水溶液である溶液中で製剤することもできる。
【0083】
経口投与用の水溶液は、有効成分を水に溶解して、所望により適切な着色剤、香味剤、安定剤及び増粘剤を添加することにより調製することができる。経口的に使用するための水性懸濁液は、微細に分断された有効成分を、天然合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム等の粘着性物質、及び医薬製剤の分野において公知の他の懸濁剤と共に水中に分散させることにより製造することができる。経口での使用が意図される代表的組成物には、1又は2種類以上の着色剤、甘味剤、香味剤及び/又は保存剤が含まれていてもよい。
【0084】
投与方法にもよるが、医薬組成物には、該組成物の総重量を基準とする重量パーセントとして、約0.05%w(重量パーセント)ないし約99%w、より好ましくは、約0.10%wないし50%wの本発明の化合物が含まれるであろう。
【0085】
本発明を実施するための治療上有効量は、個々の患者の年齢、体重及び応答を含む公知の評価基準を用いて当業者が決定することができ、そして、治療又は予防する疾患との関連で判断することができる。
【0086】
医学的用途
本発明に係る化合物は、個々の代謝調節型グルタミン酸レセプター(mGluR)サブタイプに対する高い効力と選択性を示すことが判明している。従って、本発明の化合物は、mGluR5の興奮活性化に関連する障害の治療とmGluR5の興奮活性化により生じる神経損傷の阻害に有用であることが期待される。本発明の化合物を用いて、ヒトを含む哺乳動物内のmGluR5の阻害作用を生じさせることもできる。
【0087】
mGluR5を含むグループIのmGluRは、中枢及び末梢神経系並びに他の組織内で高発現している。従って、本発明の化合物が、急性及び慢性の神経障害及び精神障害、胃腸障害、並びに慢性及び急性の疼痛性障害等のmGluR5媒介性障害の治療に非常に適していることが期待される。
【0088】
本発明は、治療に用いるための、上記に定義する式Iに示す化合物に関する。
【0089】
本発明は、mGluR5媒介性障害の治療に用いるための、上記に定義する式Iに示す化合物に関する。
【0090】
本発明は、アルツハイマー病、老年痴呆、AIDS誘導性痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、片頭痛、てんかん、統合失調症、うつ病、不安、急性不安、網膜症、糖尿病性網膜症、緑内障等の眼科障害、耳鳴等の聴神経障害、化学療法誘導性神経障害、ヘルペス後神経痛及び三叉神経痛、耐性、依存性、ぜい弱X症候群、自閉症、精神遅滞、統合失調症並びにダウン症候群の治療に用いるための、上記に定義する式Iに示す化合物に関する。
【0091】
本発明は、片頭痛に関連する疼痛、炎症性疼痛、糖尿病性神経障害、関節炎及びリウマチ様疾患等の神経因性疼痛障害、腰痛、術後疼痛及び癌を含む種々の障害に伴う疼痛、アンギナ、腎疝痛又は胆石疝痛、月経、片頭痛並びに痛風の治療に用いるための、上記に定義する式Iに示す化合物に関する。
【0092】
本発明は、脳卒中、頭部外傷、酸素欠乏障害及び虚血性傷害、低血糖症、心血管疾患及び癲癇の治療に用いるための、上記に定義する式Iに示す化合物に関する。
【0093】
また、本発明は、グループIのmGluRレセプター媒介性障害及び上記に列挙するあらゆる障害の治療用薬物の製造における、上記に定義する式Iに示す化合物の使用に関する。
【0094】
本発明の一つの態様は、胃腸障害の治療における、式Iに示す化合物の使用に関する。
【0095】
本発明の別の態様は、一過性の下部食道括約筋弛緩の阻害用、GEDRの治療用、胃腸逆流(G.I. reflux)の防止用、吐き戻しの治療用、喘息の治療用、喉頭炎の治療用、肺疾患の治療用、成長障害の管理用、過敏性大腸疾患(IBS)の治療用並びに機能性消化不良(FD)の治療用の薬物の製造における、式Iに示す化合物の使用に関する。
【0096】
また、本発明は、上記に定義する式Iに示す化合物の有効量を患者に投与することを含む、mGluR5媒介性障害及び上記に列挙されるあらゆる障害を患うか又はその危険のある患者での、該障害の治療方法を提供する。
【0097】
特定の障害の治療上又は予防上の処置に必要な投与量は、処置を受けるホスト、投与経路及び治療する疾患の重症度に応じて必然的に変化するであろう。
【0098】
本明細書との関係において、これと反対の内容が特別に示されない限りは、「治療」及び「処置」という用語は、防止又は予防を包含する。「治療の」又は「治療上」という用語も、これに従って解釈されるべきである。
【0099】
本明細書では、他に明記されない限り、「アンタゴニスト」又は「阻害剤」という用語は、リガンドによる反応を生じさせる伝達経路を、いかなる手段においても、部分的に又は完全にブロックする化合物を意味するものとする。
【0100】
「障害」という用語は、他に明記されない限り、代謝調節型グルタミン酸レセプター活性と関連するあらゆる状態及び疾患を意味する。
【0101】
非医学的用途
治療用医薬におけるこれら化合物の使用に加え、式Iに示す化合物、並びにこのような化合物の塩及び水和物は、新規な治療剤の探索の一環として、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラット及びマウス等の実験動物でのmGluR関連活性の阻害効果を評価するための、インビトロ及びインビボの試験系の開発及び標準化における薬理学的ツールとしても有用である。
【0102】
製造方法
本発明の別の側面では、式Iで表される化合物、又はその塩若しくは水和物の製造方法が提供される。本発明における該化合物の製造方法をここに記載する。
【0103】
下記のこのような方法の説明を通じ、適当な場合には、有機合成分野の当業者に直ちに理解されるような方法で、適切な保護基が種々の反応物質及び中間体に付加され、そして続いて取り除かれるであろうことが理解されるべきである。このような保護基を用いるための従来からの方法、並びに適切な保護基の例は、例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis」, T.W. Green, P.G.M. Wuts, Wiley-Interscience, ニューヨーク, (1999)、に記載されている。化学的操作による、ある基又は置換基の別の基又は置換基への変換は、最終生成物に向けた合成経路上のいかなる中間体又は最終生成物に対して行うことが可能であり、その段階にある分子が有する、該変換で用いる条件又は試薬に対する別の官能性の本質的な不適合性によってのみ、可能な該変換の種類が制限される、ということも理解されるべきである。有機合成の分野における当業者であれば、このような本質的な不適合性、並びに、適切な変換及び適切な順序の合成工程を行うことでこの不適合性を回避する方法を直ちに理解するであろう。変換の例を以下に示すが、記載された変換は、該変換に例示されるような一般基又は置換基のみに限定されるものではないことが理解されるべきである。他の適切な変換に関する参照と説明が、「Comprehensive Organic Transformations - A Guide to Functional Group Preparations」, R. C. Larock, VHC出版社 (1989) に記載されている。他の適切な反応に関する参照と説明は、例えば、「Advanced Organic Chemistry」, March, 第4版, McGraw Hill (1992)、又は「Organic Synthesis」, Smith, McGraw Hill, (1994)、等の有機化学の教科書にも記載されている。中間体及び最終生成物を精製するための技術には、例えば、当業者であれば直ちに理解することであろう、カラム又は回転板上での順相及び逆相クロマトグラフィー、再結晶、蒸留及び液体−液体抽出又は固体−液体抽出が含まれる。置換基と基の定義は、異なる定義がされた場合を除いて、式Iでの定義と同様である。「室温」及び「周囲温度」という用語は、他に明記されない限り、16℃ないし25℃の温度を意味するものとする。
【0104】
n=1である二環式中間体のRS/SRジアステレオマーは、以下のスキーム1に示す方法に従って、a のメソジブロミド(meso-dibromide)をエチレンジアミンで処理することにより調製できる。アミド基とエステル基の還元を、LAH等の還元剤を用いて1つのポット内で行って、c の二環式ピペラジンアルコールを生じさせることができる。ピペラジンの遊離NHは、ピリジンまたはピラジンのような複素環式芳香族化合物由来の塩化物等のハロゲン原子を置換して、この段階で式Iの部位Aを導入することもできるし、又は、該NHは、BOC等の基により保護して、脱保護に続く後の段階におけるA基の後期での導入を可能にすることもできる。
【0105】
【化3】

【0106】
n=2であるホモロゲートされた(homologated)二環式ピペラジンアルコールは、eのピリジルジエステルからfのピペリジンジエステルへの還元から始まる、スキーム2に示す方法に従って製造できる。ジケトピペラジン形成は、保護α-アミノ酸によるアシル化、脱保護及び環化;又はα-ブロモ酸ハライドによるアシル化と、これに続く、ピペラジンN原子の供給源としてアンモニアを用いた環化を介して行うことができる。ジケトピペラジンのエステル部位及びアミド部位を同時に還元して、hの二環式ピペラジンアルコールを提供することもできる。上記の通り、ピペラジン部位の遊離NHへAを導入するアリール化は、この段階で行うこともできるし、又は、該NHを、保護して、脱保護に続く後の段階でAを導入することもできる。
【0107】
【化4】

【0108】
n=1であるSSエナンチオマーの二環式中間体は、以下のスキーム3に示す方法に従って、キラルプールからの保護ピログルタミン酸誘導体を用いて製造できる。ラクタム基は、トリエチル水素化ホウ素リチウムのような還元性試薬を用いた還元により、iのラクトールへ変換することができる。トルエンスルホン酸等の弱酸の存在下でのメタノール等のアルコールによる処理を用いて、OHをアルコキシ脱離基へ変換させることもでき、該アルコキシ脱離基を用いて、ビニルマグネシウムブロミド若しくはプロペニルリチウムのようなビニル金属種、CuBr・Me2S等の銅塩及びBF3・Et2Oで処理することによりオレフィン部分を導入することもできる。ビニル基のオゾン分解とこれに続くMe2S等の試薬を用いた処理によって、アルデヒドを得ることができ、次の工程で該アルデヒドをmの二環式ピペラジンアルコールへと還元して、これに続くピペラジンNHへのヘテロアリール部位A又は保護基の導入を促進することができる。RRエナンチオマーも、同様の方法により製造することができる。
【0109】
【化5】

【0110】
Bがアセチレンである式Iの化合物は、以下のスキーム4に示す方法により製造することができる。これら二環式ピペラジンアルコールnの対応するアルデヒドoへの酸化は、スワーン酸化等の穏やかな条件下で行い、これに続いて、メタノール等のプロトン性溶媒中での弱塩基条件下でジアゾホスホネートを用いて、対応する末端アセチレンpへ変換することができる。Et3N等のアミン塩基の存在下で、CuIといっしょのPd(PPh3)2Cl2のようなパラジウム及び銅触媒を用いて、該末端アセチレンをヨウ化アリール又は臭化アリールとカップリングさせることで、化合物qを得ることができる。
【0111】
【化6】

【0112】
BがE-オレフィンである式Iに示す化合物は、以下のスキーム5に示す方法により製造することができる。二環式ピペラジンアルデヒドoのオレフィン化は、低温(-78℃ないし-20℃)で、THF等の溶媒中にて、臭化ベンジルトリフェニルホスホニウムとnBuLi等の強塩基から作られた安定化されたウィッティヒ試薬を用いることで達成でき、化合物rが生じる。
【0113】
【化7】

【0114】
本発明は、本発明の複数の態様を詳述することを意図した、以下の実施例により更に例示される。これら実施例は、本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、また制限するものと解釈されるべきものではない。本発明が、本明細書に特記される以外の方法でも実施できることは明らかであろう。本明細書中の教示から、本発明の数多くの改変及び変種が可能であり、従って、これらも本発明の範囲内に含まれる。
【0115】
一般的方法
全ての出発原料は、市販されているか、又は先に文献に記載されている。
【0116】
1H及び13CのNMRスペクトルは、他に記載されない限り、溶媒としての重水素化クロロホルム中で、TMS又は残留溶媒シグナルを基準として用い、1H NMRについて300、400及び400MHzで操作する場合には、それぞれブルカー(Bruker)300、ブルカー(Bruker)DPX400又はバリアン(Varian)+400スペクトロメーターを用いて記録した。報告する全ての化学シフトは、δスケール上のppmで表わされ、シグナルは、記録に表わされるように良好に分裂している(s:1重線、br s:幅広の1重線、d:2重線、t:3重線、q:4重線、m:多重線)。他に記載されない限り、以下の表中の1H NMRデータは、溶媒としてCDCl3を用いて、300MHzにて得た。
【0117】
分析インライン液体クロマトグラフィー分離(analytical in line liquid chromatography separation)とこれに続く質量スペクトル検出は、アライアンス(Alliance)2795 (LC)とZQシングル四重極型質量検出計からなるウォーターズ(Waters)LCMSを用いて記録した。該質量分析計には、陽イオン及び/又は陰イオンモードで操作されるエレクトロスプレーイオン源が具備されていた。該イオンスプレーの電位は、±3 kVであり、該質量分析計については、0.8秒の走査時間で、100-700 m/zに亘って走査した。X-テラ(X-Terra)MS、ウォーターズ(Waters)、C8、2.1 x 50mm、3.5mmのカラムに、10mMの酢酸アンモニウム(水溶液)、又は0.1% TFA(水溶液)中の5%ないし100%のアセトニトリルの直線勾配を適用した。
【0118】
また、生成物の精製は、ケムエリュートエクストラクションカラム(Chem Elut Extraction Column)(バリアン(Varian)社、カタログ番号#1219-8002)、メガ(Mega)BE-SI(ボンドエリュートシリカ(Bond Elut Silica))SPEカラム(バリアン(Varian)社、カタログ番号# 12256018;12256026;12256034)を用いるか、又はシリカ充填ガラスカラム中でのフラッシュクロマトグラフィーにより行った。
【0119】
マイクロ波加熱は、バイオテージ/パーソナルケミストリー(Biotage/Personal Chemistry)社からのエムリスオプティマイザー(Emrys Optimizer)、又は2450 MHzでの連続照射を生み出すスミスシンセサイザーシングルモードマイクロ波空洞(Smith Synthesizer Single-mode microwave cavity)(Personal Chemistry AB、Uppsala、スウェーデン)中で行った。
【0120】
本発明の化合物の薬理学的特性は、機能活性用の標準的なアッセイにより分析することができる。グルタミン酸レセプターアッセイの例は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、Aramoriら, Neurone 8:757 (1992)、Tanabeら, Neuron 8:169 (1992)、Millerら, J. Neuroscience 15: 6103 (1995)、Balazsら, J. Neurochemistry 69:151 (1997)、に記載される通りである。これらの刊行物に記載される方法論は、参照により本明細書に取り込まれる。好都合なことに、本発明の化合物は、細胞内カルシウムの流動、即ちmGluR5発現細胞内の[Ca2+]iを測定するアッセイにより試験することができる。
【0121】
細胞内のカルシウム流動は、蛍光指示薬のフルオ-3(fluo-3)を注入した細胞の蛍光変化を検出することにより測定した。蛍光シグナルは、FLIPRシステム(モレキュラーデバイス(Molecular Devices)社)を用いて測定した。レセプターを活性化又はアンタゴナイズする化合物を検出できる、2種類の追加的実験も用いた。
【0122】
FLIPR分析では、黒色の壁面を有し、コラーゲンコーティングされた透明の底面の96ウェルプレート上にヒトmGluR5dを発現する細胞を播種して、播種から24時間後に[Ca2+]i流動の分析を行った。
【0123】
FLIPR実験は、0.800Wと0.4秒のCCDカメラシャッター速度のレーザー装置を用いて行った。各FLIPR実験は、前記細胞プレートの各ウェル中に存在する160μLのバッファーを用いて開始した。化合物をそれぞれ添加した後に、蛍光シグナルを1秒間のインターバルで50回サンプリングし、次いで5秒間のインターバルで3回サンプリングした。反応は、サンプリング時間内の反応のピークの高さとして測定した。
【0124】
EC50と IC50の決定は、2つの系で重複して行った8点濃度反応曲線(CRC)から得られたデータに基づいて行った。アゴニストのCRCは、すべての反応を、前記プレートで観察された最大の反応を基準として評価することにより作成した。アゴニストチャレンジ(agonist challenge)のアンタゴニストブロックは、前記サンプルプレートの14個のコントロールウェル中でのアゴニストチャレンジの平均の反応へ標準化させた。
【0125】
我々は、イノシトールリン酸(IP3)のターンオーバーに基づいて、mGluR5dの2次的機能アッセイを確認した。IP3の蓄積は、レセプター媒介性のホスホリパーゼCターンオーバーの指標として測定される。安定してヒトmGluR5dレセプターを発現するGHEK細胞を、[3H]ミオイノシトールと一晩インキュベートし、HEPES緩衝食塩水で3回洗浄し、そして10分間10mM LiClとプレインキュベートした。化合物(アゴニスト)を添加して37℃で30分間インキュベートした。アンタゴニストの活性は、試験化合物を15分間プレインキュベートして、次いでグルタメート(80μM)又はDHPG(30 μM)の存在下で30分間インキュベートすることにより測定した。反応は、過塩素酸(5%)の添加により停止させた。サンプルを回収して中和し、重力送込み式(Gravity-Fed)イオン交換カラムを用いてイノシトールリン酸を分離した。
【0126】
一般的方法
【0127】
【表13】

【0128】
実施例1:(±)-エチル(6R,8aS)-1-オキソオクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキシレート
【0129】
【化8】

【0130】
1,2-エチレンジアミン(20 mL、0.28 mol)、K2CO3(40 g、0.29 mol)及びアセトニトリル(300 mL)の混合物に、アセトニトリル(200 mL)中のジエチルメソ-2,5-ジブロモアジペート(50 g、0.139 mol)の溶液を、室温で36時間以上かけて緩やかに添加した。溶媒を除去してDCM(300 mL)を添加した。ろ過後にDCMを蒸発させて、粗生成物(32 g、純度>90%)を得た。1H NMR (300 MHz、CDCl3):δ (ppm) 1.30 (t、3H)、1.96-2.18 (m、4H)、2.52 (m、1H)、2.94 (m、1H)、3.15 (m、1H)、3.35 (m、2H)、3.60 (m、1H)、4.23(q、2H)、6.12(ブロード、1H)。
実施例2:(±)-(6R,8aS)-オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-6-イルメタノール
【0131】
【化9】

【0132】
THF(350 mL)中のLiAlH4(16 g、0.42 mol)の懸濁液に、THF(150 mL)中の(±)-エチル(6R,8aS)-1-オキソオクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキシレート(32 g)の溶液を、0℃で30分以上かけて添加した。該反応混合物を室温で一晩撹拌し、そして80℃で2時間撹拌した。得られた混合物に、NaOH水溶液(10% 18 mL)を0℃で30分間以上かけて慎重に添加した。更に30分間撹拌した後、該混合物をセライト(Celite)(登録商標)に通してろ過し、ろ液を濃縮すると、粗製のアミノアルコール(20.5 g、純度>85%)が得られた。1H NMR (300 MHz、CDCl3):δ (ppm) 1.28 (m、1H)、1.76-1.87 (m、3H)、2.15 (m、2H)、2.45 (m、2H)、2.76 (m、1H)、3.01 (m、2H)、3.13 (m、1H)、3.46 (ブロード d、1H)、3.70-3.79 (m、2H)。
実施例3:(±)-tert-ブチル(6R,8aS)-6-(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-カルボキシレート
【0133】
【化10】

【0134】
アセトニトリル(120 mL)中の(±)-(6R,8aS)-オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-6-イルメタノール(9g、粗製)の溶液に、(Boc)2O(13.5 g、62 mmol)を、0℃で10分以上かけて添加した。該混合物を、室温で2時間撹拌した。得られた混合物に、Na2CO3水溶液(飽和 200 mL)を添加し、酢酸エチル(180 mL x 3)で抽出した。該混合抽出物を乾燥させ、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去すると、残渣が得られ、該残渣をシリカゲルカラム上で精製すると、bocで保護されたアルコール(8 g、64%)が得られた。1H NMR (300 MHz、CDCl3):δ (ppm) 1.28 (m、1H)、1.48 (s、9H)、1.79 (m、3H)、2.06 (m、2H)、2.53 (m、2H)、2.65-3.00 (m、2H)、3.58 (m、1H)、4.13 (m、1H)、4.12 (ブロード、2H)。
実施例4:1-tert-ブチル2-メチル(2S,5S)-5-[(1E/Z)-プロパ-1-エン-1-イル]ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【0135】
【化11】

【0136】
(2S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-5-オキソピロリジン-2-カルボン酸(9.7g、42 mmol)、K2CO3 (6.6 g、48 mmol)及びDMF(80 mL)の混合物を、室温で20分間撹拌した。MeI(5.5 mL、88 mmol)を添加して、該混合物を一晩撹拌し、酢酸エチル(600 mL)で希釈して、H2O(300 mL x 3)で洗浄した。無水硫酸ナトリウム上で有機層を乾燥させ、溶媒を除去するとメチルエステルが得られた。該エステルを乾燥THF(100 mL)で希釈して-78℃まで冷却した。上記の系に、LiHBEt3 THF溶液(1N、48 mL、48 mmol)を-78℃で15分間以上かけてゆっくりと添加した。混合物を1時間撹拌して、NaHCO3水溶液(飽和 200 mL)に注いで、次いでH2O2(30%、2 mL)を添加した。この得られた混合物を、0℃で1時間撹拌し、酢酸エチル(200 mL x 3)で抽出した。抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去した。残渣を乾燥MeOH(150 mL)と4-メチルベンゼンスルホン酸(2 g)で処理した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、NaHCO3(水溶液)(飽和 50 mL)を添加し、生成物をDCM(150 mL x 3)で抽出した。溶媒の除去により、中間体(9.7 g)を得た。
【0137】
CuBr・Me2S(16.8 g、76 mmol)とEt2O(100 mL)の懸濁液に、臭化プロペニル(6.5 mL、76 mmol)、金属リチウム(1.8 g、260 mmol)及びEt2O(100 mL)から室温、1時間で調製したプロペニルリチウムの溶液を、-40℃で10分以上かけて添加した。-40℃で1時間撹拌した後、該反応混合物を-78℃まで冷却してBF3・Et2O(11.5 mL、90 mmol)を5分間以上かけて添加した。得られた混合物を-78℃で1時間撹拌した。この反応混合物に、Et2O (100 mL)中の、上記で得られた中間体の溶液を添加した。3.5時間以上かけて該混合物を0℃まで温まらせた後、該混合物をNH4Cl(水溶液)/NH4OH(1:1)飽和溶液(200 mL)に注いで、そして30分間撹拌した。有機層を分離し、そしてEt2O(150 mL x 2)で水層を抽出した。該混合抽出物を乾燥させて溶媒を除去すると、生成物(10 g、純度>88%)が得られた。1H NMR (300 MHz、CD3OD):δ (ppm) 1.43 及び 1.50 (s、9H)、1.63-2.28 (m、7H)、3.73 (m、3H)、4.30-4.88 (m、2H)、5.37-5.58 (m、2H)。
実施例5:(6S,8aS)-6-[(1E/Z)-プロパ-1-エン-1-イル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-1,4-ジオン
【0138】
【化12】

【0139】
1-tert-ブチル2-メチル(2S,5S)-5-[(1E/Z)-プロパ-1-エン-1-イル]ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(10 g, 37 mmol)とDCM(75 mL)の混合物に、TFA(25 mL)を0℃で添加した。該混合物を室温で2時間撹拌した。DCMとTFAを除去した後、残渣を酢酸エチルで希釈してNa2CO3水溶液で洗浄した。無水硫酸ナトリウム上で有機溶液を乾燥させ、溶媒を除去するとアミンが得られた。該アミン中間体を、DMF(100 mL)中のEDCI(7.8 g、40 mmol)、HOBT(5.8 g、43 mmol)、HOCOCH2N(boc)(7.3 g、42 mmol)と室温で一晩、処理した。生成物を酢酸エチルへ抽出し、NaCl水溶液(飽和)で洗浄し、次いで水で洗浄した。有機層を濃縮するとアミドが生じ、該アミドをDCM(75 mL)中のTFA(25 mL)で、室温で1時間処理した。DCMとTFAを除去して、残渣をNa2CO3水溶液(飽和)で処理してpH値を約8に調整し、そしてDCM(3 x 300 mL)で抽出した。該抽出物を乾燥させて溶媒を除去すると固体が生じ、該固体をEt2Oとヘキサンで摩砕して、純粋な生成物を得た(4 g、47 %)。1H NMR (300 MHz、CD3OD):δ (ppm) 1.47 -1.83 (m、4H)、2.05-2.28 (m、3H)、3.82-3.89 (m、1H)、4.07-4.21 (m、2H)、4.65-4.95 (m、1H)、5.31-5.66 (m、2H)、6.86 (ブロード、1H)。
実施例6:tert-ブチル(6S,8aS)-6-(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-カルボキシレート
【0140】
【化13】

【0141】
MeOH(100 mL)中の(6S,8aS)-6-[(1E/Z)-プロパ-1-エン-1-イル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-1,4-ジオン(2.8 g、14.4 mmol)の溶液に、-78℃で20分間、O3をバブリングした。Me2S(4 mL)を添加して、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去し、残渣を、LiAlH4(2.6 g、70 mmol)とTHF(160 mL)により、室温にて一晩、そして80℃で2時間処理した。得られた混合物に、NaOH(水溶液)(10%、5 mL)を0℃で30分以上かけて慎重に添加した。更に30分間撹拌した後、該混合物をセライト(Celite)(登録商標)に通してろ過し、ろ液を濃縮すると、粗製のアミノアルコール(1.8 g、粗製)が得られた。Et3N(1 mL)及び(Boc)2O(2.66 g、12 mmol)を、DCM(15 mL)中の粗製アミノアルコールに0℃で添加し、得られた混合物を2時間撹拌した。飽和Na2CO3(水溶液)で洗浄した後、有機溶液を乾燥させ、濃縮してシリカゲルカラム上で精製すると、bocで保護されたアミノアルコール(638 mg, 18%)が得られた。1H NMR (300 MHz、CDCl3): δ (ppm) 1.48 (s、9H)、1.65-2.11 (m、4H)、2.55 (ブロード、1H)、2.76-3.24 (m、6H)、3.44-3.70 (m、4H)。
実施例7:(±)-tert-ブチル(6R,9aS)-6-(ヒドロキシメチル)オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート
i)ジメチル(2R, 6S)-ピペリジン-2,6-ジカルボキシレート
【0142】
【化14】

【0143】
ジメチルピリジン-2,6-ジカルボキシレート(15 g、77 mmol)を、MeOH(150 mL)とHCl(水溶液)(77 mL, 1M)中に溶解した。反応容器を排気して水素ガスを充填し、水素のバルーンの下で5日間撹拌した。反応が完了した時点で、該混合物をろ過して濃縮し、次いでDCM中に溶解して、Na2CO3(水溶液)で洗浄した。有機層を乾燥させ、濾過して濃縮すると表題の化合物(13.81 g、89%)が得られた。1H NMR (300 MHz、CDCl3):δ (ppm) 1.43 (m、3H); 2.01 (m、3H); 3.39 (dd、2H)、3.75 (s、6H)。
ii)(±)-メチル(6R,9aS)-1,4-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-6-カルボキシレート
【0144】
【化15】

【0145】
ジメチル(2R,6S)-ピペリジン-2,6-ジカルボキシレート(7 g、34.8 mmol)、及びNa2CO3(7.37 g、69.5 mmol)を丸底フラスコに添加し、アセトニトリル(50 mL)とTHF(25 mL)中に溶解した。反応を0℃まで冷却し、塩化ブロモアセチル(6.56 g、41.7 mmol)を滴下により添加した。出発原料がなくなるまで反応を撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、残渣をMeOH(40 mL)に溶解した。溶液を0℃まで冷却して、濃アンモニア(20 mL)を添加した。中間体が消費された時点で溶媒を除去し、残渣をDCM中に溶解して水で洗浄した。水層を再度酢酸エチルで抽出して、前記DCMへ添加した。有機層を乾燥させ濾過して濃縮し、次いでカラムクロマトグラフィーにより精製すると、表題の化合物(6.5 g、83%)が得られた。1H NMR (300 MHz、CDCl3): δ (ppm) 1.66 (m、3H); 1.93 (m、3H); 3.75 (s、3H); 4.04 (m、4H); 7.15 (s、ブロード、1H)。
iii)(±)-(6R,9aS)-オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-6-イルメタノール
【0146】
【化16】

【0147】
LAH(5.45 g, 143 mmol)を、アルゴンでパージした三つ口丸底フラスコに添加した。THF(250 mL)を添加して0℃まで冷却した。(±)-メチル(6R,9aS)-1,4-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-6-カルボキシレート(6.5 g, 28.7 mmol)を固体で添加し、該反応を40℃で一晩撹拌した。次いで反応を0℃まで冷却し、水でゆっくりとクエンチした。該混合物をセライト(Celite)(登録商標)に通してろ過して、エーテルと酢酸エチルで洗浄した。ろ液を蒸発させると、表題の化合物が定量的収量で得られた。1H NMR (300 MHz、CDCl3): δ (ppm) 1.15 (m、1H); 1.42 (m、1H); 1.66 (m、2H); 1.71 (m、1H); 2.02-2.07 (m、4H); 2.53 (dd、1H); 2.85 (t、2H); 2.99 (m、2H); 3.12 (m、1H); 3.36 (dd、1H); 3.88 (dd、1H)。
iv)(±)-tert-ブチル(6R,9aS)-6-(ヒドロキシメチル)オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート
【0148】
【化17】

【0149】
DCM(40 mL)中の(±)-(6R,9aS)-オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-6-イルメタノール(5.5 g、32.3 mmol)の溶液に、(Boc)2O(7 g、32.3 mmol)を0℃で添加した。該混合物を0℃で1時間撹拌した。得られた混合物にNaHCO3水溶液(飽和 200 mL)を添加し、DCMで抽出した。該混合抽出物を乾燥させ、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去すると、残渣が得られ、該残渣をシリカゲルカラム上で精製すると、表題の化合物(4.4 g、50%)が得られた。1H NMR (300 MHz、CDCl3):δ (ppm) 1.40 (m、1H)、1.46 (s、9H)、1.55-1.8 (m、5H)、2.05 (s、3H)、2.5 (ブロード、2H)、2.88 (ブロード、1H)、3.08 (ブロード d、1H)、3.38 (ブロード d、1H)、4.14 (m、3H)。
実施例8.1:(±)-3-[(6R,8aS)-6-(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル
【0150】
【化18】

【0151】
(±)-(6R,8aS)-オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-6-イルメタノール(1.05 g、粗製)、3-クロロピラジン-2-カルボニトリル(860 mg、6.2 mmol)、Et3N (1.5 mL)及びTHF(10 mL)の混合物を、80℃で一晩撹拌した。該粗生成物を、濃縮した後に、シリカゲルカラム上で抽出すると、純粋な生成物(1.03 g、77%)が得られた。1H NMR (300 MHz、CDCl3): δ (ppm) 1.45 (m、1H)、1.85 (m、3H)、2.41 (m、3H)、2.63 (m、1H)、2.92 (dd、1H)、3.18 (m、2H)、3.53 (t、1H)、3.79 (dd、1H)、4.61 (m、2H)、8.03 (s、1H)、8.27 (s、1H)
同様の方法により以下の化合物を合成した:
【0152】
【表14】

【0153】
同様の方法により以下の化合物を、35℃で一晩かけて合成した:
【0154】
【表15】

【0155】
実施例9.1:(±)-tert-ブチル(6R,8aS)-6-エチニルヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-カルボキシレート
【0156】
【化19】

DCM (12 mL)中の塩化オキサリル(2M、3.3 mL、6.6 mmol)の溶液に、DMSO(0.71 mL、10 mmol)を-78℃で添加した。10分間撹拌した後、DCM(6 mL)中の(±)-tert-ブチル(6R,9aS)-6-(ヒドロキシメチル)オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート(850 mg、3.3 mmol)を添加した。該反応混合物を、-78℃で1時間撹拌した。Et3N(2 mL)を添加して、得られた混合物を室温で30分間撹拌し、次いでDCM(30 mL)/NH3-H2O(10%、10 mL)中に注いだ。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると粗製のアルデヒドが得られた。該アルデヒドに、MeOH(30 mL)、K2CO3 及びジメチル(1-ジアゾ-2-オキソプロピル)ホスフェート(768 mg、4 mmol)を室温で添加した。室温で50分間撹拌した後、得られた混合物を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解してろ過した。溶媒を除去した後、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより、純粋なアセチレン(557 mg、64%)が得られた。1H NMR 300 MHz、(CDCl3) δ (ppm) 1.48 (s、9H)、1.55 (m、1H)、1.66-2.2 (m、5H)、2.34 (s、1H)、2.63 (ブロード、1H)、2.90 (ブロード t、2H)、3.25 (ブロード d、1H)、4.16 (ブロード、2H)。
【0157】
同様の方法により以下の化合物を合成した:
【0158】
【表16】

【0159】
【表17】

【0160】
【表18】

【0161】
実施例10.1:(±)-(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン
【0162】
【化20】

【0163】
(±)-tert-ブチル(6R,8aS)-6-エチニルヘキサヒドロピロロ(1,2-a)ピラジン-2(1H)-カルボキシレート(557 mg、2.1 mmol)、3-ヨード-クロロベンゼン(952 mg、4 mmol)、Pd(PPh32Cl2(84 mg、0.12 mmol)、CuI(45 mg、0.24 mmol)及びEt3N(4 mL)の混合物を、室温で一晩撹拌した。アミンを空気流(air flow)で除去した後、残渣をシリカゲルカラム上で精製した。生じたフェニルアセチレンをDCM(2 mL)/TFA(1 mL)中、室温で2時間撹拌した。減圧下でDCMと過剰量のTFAを除去した。残渣を酢酸エチルで希釈して、水性Na2CO3で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。ろ過した後に、溶媒を減圧下で除去すると表題の化合物(367 mg、63%)が得られた。1H NMR (300 MHz、CDCl3):δ (ppm) 1.55 (m、1H)、1.85-2.25 (m、5H)、2.69 (dd、1H)、2.96 (dd、1H)、3.14- 3.55 (m、4H)、7.26 (m、3H)、7.45 (s、1H)。
【0164】
同様の方法により以下の化合物を合成した:
【0165】
【表19】

【0166】
実施例11:(±)-(9aS)-6-[(E)-2-(3-クロロフェニル)ビニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン
i)(3-クロロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド
【0167】
【化21】

【0168】
トルエン(80 mL)中の1-(ブロモメチル)-3-クロロベンゼン(5.5 mL、42 mmol)及びトリフェニルホスフィン(7.8g, 30 mmol)の混合物を、還流下で6時間加熱した。室温まで冷却した後、ろ過により固体を回収して、ベンゼンとヘキサンでリンスすると表題の化合物(13.7 g、98%)が得られた。
ii)(±)-tert-ブチル(9aS)-6-[(E)-2-(3-クロロフェニル)ビニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート
【0169】
【化22】

【0170】
THF(13mL)中の(3-クロロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(1.1g、2.4 mmol)の懸濁液に、nBuLi(1.6 mL、ヘキサン中で1.6M、2.6mmol)を-78℃で添加した。該混合物を-20℃まで3分間以上かけて温め、(±)-tert-ブチル(9aS)-6-ホルミルオクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート(1.9mmol、上記実施例と同様にスワーン酸化により、512mgのアルコールから調製された)の溶液を添加した。得られた混合物を一晩かけて室温になるまで放置した。該混合物は、酢酸エチルと水に分配した。有機層を乾燥させて減圧下で濃縮させた後、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより表題の化合物(347 mg、48%)が得られた。
iii)(±)-(9aS)-6-[(E)-2-(3-クロロフェニル)ビニル]オクタヒドロ-2H-ピリド [1,2-a]ピラジン
【0171】
【化23】

【0172】
(±)-tert-ブチル(9aS)-6-[(E)-2-(3-クロロフェニル)ビニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート(347 mg, 0.96 mmol)とDCM(3 mL)の混合物に、TFA(2 mL)を0℃で添加した。該混合物を室温で2時間撹拌した。DCMとTFAを除去した後、残渣をDCMで希釈してNa2CO3水溶液で洗浄した。有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去すると表題の生成物(218mg, 85%)が得られ、これを更に精製することなく用いた。
実施例12.1:(±)-メチル(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-カルボキシレート
【0173】
【化24】

【0174】
(±)-(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン(40 mg、0.15 mmol)、Et3N(40 mg、0.4 mmol)及びDCM(1 mL)の混合物に、クロロギ酸メチル(30 mg, 0.3 mmol)を-78℃で添加した。得られた混合物を室温で15分間撹拌し、次いでNaHCO3水溶液(飽和)で洗浄してシリカゲルカラムで処理して生成物(40 mg、84%)を得た。1H NMR (300 MHz、CDCl3): δ(ppm) 1.55 (m、1H)、1.85-2.25 (m、5H)、2.69 (ブロード、1H)、3.05 (ブロード、1H)、3.16 (dd、1H)、3.24(ブロード d、1H)、3.73 (s、1H)、4.2 (ブロード、2H)、7.28 (m、3H)、7.45 (s、1H)。
【0175】
同様の方法により以下の化合物を合成した:
【0176】
【表20】

【0177】
【表21】

【0178】
実施例13.1:(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル
【0179】
【化25】

【0180】
(±)-(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン(40 mg、0.15 mmol)、2-クロロ-3-シアノピラジン(30 mg、0.22mmol)、Et3N(0.1 mL)及びTHF(1.5 mL)の混合物を80℃で4時間撹拌した。得られた混合物を濃縮してシリカゲルカラム上で精製して、生成物(44 mg、81%)を得た。1H NMR (300 MHz、CDCl3): δ(ppm) 1.62 (m、1H)、1.85-2.25 (m、5H)、3.02 (dd、1H)、3.24-3.48 (m、3H)、4.61 (dt、2H)、7.29 (m、3H)、7.45 (s、1H)、8.02 (d、1H)、8.27 (d、1H)。
【0181】
同様の方法により以下の化合物を合成した:
【0182】
【表22】

【0183】
【表23】

【0184】
【表24】

【0185】
【表25】

【0186】
実施例14.1:(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル
【0187】
【化26】

【0188】
(±)-3-[(6R,8aS)-6-エチニルヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル] ピラジン-2-カルボニトリル(40 mg、0.15 mmol)、3-ヨードベンゾニトリル(68 mg、0.3 mmol)、Pd(PPh32Cl2(8 mg、0.011 mmol)、CuI(4 mg、0.02 mmol)及びEt3N(0.8 mL)の混合物を、アルゴン下にて、室温で一晩撹拌した。得られた混合物を濃縮してシリカゲルカラム上で精製すると、表題の化合物(53 mg、99%)が得られた。1H NMR 300 MHz、(CDC13) δ (ppm) 1.65 (m、1H)、1.89-2.4 (m、5H)、3.02 (dd、1H)、3.23-3.51 (m、3H)、4.62 (m、2H)、7.45 (t、1H)、7.6-7.76 (m、3H)、8.02 (d、1H)、8.28 (d、1H)。
【0189】
同様の方法により以下の化合物を合成した:
【0190】
【表26】

【0191】
【表27】

【0192】
【表28】

【0193】
【表29】

【0194】
【表30】

【0195】
【表31】

【0196】
実施例15:(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチン酸
【0197】
【化27】

【0198】
(±)-メチル2-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチネート(160 mg、0.4 mmol)、LiOH(48 mg、2 mmol)、THF(1 mL)、EtOH(1 mL)及びH2O(1 mL)の混合物を、室温で一晩撹拌し、そして40℃で3時間撹拌した。これによって得られた混合物にHCl水溶液(1N、2 mL)を添加した。減圧下での溶液の除去の後、残渣をDCMに溶解してろ過した。ろ液を濃縮して真空ポンプを用いて乾燥させると、生成物(148 mg、94%)が得られた。1H NMR 300 MHz、(CD3OD): δ (ppm) 1.65-2.75 (m、6H)、3.06 (dd、1H)、3.33-4.15 (m、5H)、6.98 (dd、1H)、7.38 (m、3H)、7.47 (s、1H)、8.12 (d、1H)、8.3 l(d、1H)。
実施例16:(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル] ニコチン酸アミド
【0199】
【化28】

【0200】
(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル] ニコチン酸(30 mg、0.08 mmol)、SOCl2(70 mg、0.6 mmol)及びDCM (1 mL)の混合物を、室温で一晩撹拌し、そして50℃で2時間撹拌した。得られた混合物を濃縮してDCM(1 mL)で希釈し、-50℃まで冷却した。これにEt3N(0.2 mL)とNH3(ジオキサン中に0.5N、1.5 mL)を添加した。室温で1時間撹拌した後、得られた混合物をNa2CO3水溶液(飽和)で洗浄し、乾燥させ、濃縮してシリカゲルカラム上で精製すると、生成物(18 mg、60%)が得られた。1H NMR 300 MHz、(CDCl3) δ (ppm) 1.64-2.38 (m、6H)、2.99 (dd、1H)、3.24-3.65 (m、5H)、6.07 (ブロード、1H)、7.08 (dd、1H)、7.28 (m、3H)、7.45 (s、1H)、8.28 (d、1H)、8.3 (ブロード、1H)、8.41(d、1H)。
実施例17:(±)-(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]-2-[3-(2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル]オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン
【0201】
【化29】

【0202】
(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル(70 mg、0.2 mmol)、Me3SnN3 (160 mg、0.8 mmol)及びDMFの混合物を、90℃で一晩撹拌した。これによって得られた混合物に水を添加して酢酸エチルで抽出した。減圧下で溶媒を除去した後、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製すると、生成物(44 mg、55%)が得られた。1H NMR 300 MHz、(CDCl3) δ (ppm): 1.65-2.5 (m、6H)、3.04 (dd、1H)、3.25-3.46 (m、5H)、7.1 (dd、1H)、7.24 (m、3H)、7.4 (s、1H)、8.29(d、1H)、8.41 (d、1H)。
実施例18.1:(±)-3-{(6R,9aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル] オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}ピラジン-2-カルボニトリル
【0203】
【化30】

【0204】
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.018 mmol)及びヨウ化銅(I)(0.03 mmol)を、スターラーバーと共にマイクロ波用バイアルに加えた。3-ヨードベンゾニトリル(0.45 mmol)と(±)-3-[(6R,9aS)-6-エチニルオクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]ピラジン-2-カルボニトリル(0.3 mmol、80.2 mg)を、THF(1 mL)中に溶解し、攪拌しながら前記マイクロ波用バイアルに添加し、次いでEt3N(1 mL)を添加した。該バイアルを密封してマイクロ波で90℃にて6分間加熱した。次いで得られた混合物をDCMで希釈して水で洗浄した。カラムクロマトグラフィーにより有機層を精製すると、所望の生成物(80.3 mg、73%)が生じた。1H NMR 300 MHz、(CDCl3) δ (ppm): 1.41 (m、2H); 1.72 (m、1H); 1.87 (m、2H); 2.12 (m、1H); 2.21 (m、1H); 2.31 (td、1H); 2.95 (dd、1H); 3.09 (dd、1H); 3.33 (td、1H); 3.69 (d、1H); 4.35 (d、1H); 4.51 (d、1H); 7.43 (t、1H); 7.58 (d、1H); 7.64 (d、1H); 7.69 (s、1H); 8.00 (d、1H); 8.25 (d、1H)。
【0205】
同様の方法により以下の化合物を合成した(アルキニルピリジル化合物には、ヨードベンゼンの代わりにブロモピリジンを用いた):
【0206】
【表32】

【0207】
【表33】

【0208】
実施例19:2-ブロモ-6-(フルオロメチル)ピリジン
【0209】
【化31】

【0210】
DCM(70mL)中のDAST(7.85g、48mmol)の溶液に、DCM(50mL)中の(6-ブロモピリジン-2-イル)メタノール(3g、16mmol)の冷却溶液を、-78℃で、撹拌と窒素雰囲気の下で滴下により添加した。得られた溶液を更に1時間撹拌し、次いで一晩かけて室温まで温めた。該反応混合物を、攪拌と共に300mlの氷冷水に注いだ。該混合物をDCMで抽出した(x3)。混合有機層を水とブライン溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでヘキサン中の5-10%酢酸エチルで溶離して精製して表題の化合物(2.4g、79%)を得た。1H NMR (400MHz、CDCl3): δ (ppm) 7.62 (1H、t)、7.45 (2H、m)、5.51 (1H、s)、5.40 (1H、s)。
実施例20.1:(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(6-メトキシピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル
【0211】
【化32】

【0212】
3-[(6R,8aS)-6-エチニルヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル(300 mg、1.18 mmol)、2-ヨード-6-メトキシピリジン(278 mg、1.18 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(137 mg、0.118 mmol)、ヨウ化銅(46 mg、0.24 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.45mL、2.6mmol)及びDMF(4OmL)の混合物を、室温で一晩撹拌した。5%のEDTA・Na2・2H2O(水溶液)(2mL)を添加し、該反応混合液を、室温で更に30分間撹拌し、次いで濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーにより、表題の化合物(280 mg、65%)を得た。1H NMR (400 MHz、CDCl3): δ (ppm) 8.26 (d、1H)、8.02 (d、1H)、7.50 (t、1H)、7.08 (d、1H)、6.70 (d、1H)、4.60 (t、2H)、3.96(s、1H)、3.52 (d、1H)、3.38-3.26 (m、2H)、3.02 (t、1H)、2.38-2.18 (m、3H)、2.14-2.04 (m、1H)、2.00-1.90 (m、1H)、1.72-1.60 (m、1H)。
【0213】
同様の方法により以下の化合物を合成した:
【0214】
【表34】

【0215】
実施例21:エナンチオマーのHPLC分離:
【0216】
【表35】

【0217】
【表36】

【0218】
【表37】

【0219】
【表38】

【0220】
【表39】

【0221】
実施例22:医薬例
mGluR5Dを発現するセルライン中でのmGluR5拮抗作用の機能評価
本発明の化合物の特性は、薬理活性用の標準的アッセイを用いて分析することが可能である。グルタミン酸レセプターアッセイの例は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、Aramori ら, Neuron 8:757(1992)、Tanabe ら, Neuron 8:169(1992)、Miller ら, J. Neuroscience 15: 6103(1995)、Balazs ら, J. Neurochemistry 69:151(1997)、に記載される通りである。これらの刊行物に記載される方法論は、参照により本明細書中に取り込まれる。好都合なことに、本発明の化合物は、細胞内カルシウムの流動、即ちmGluR5発現細胞内の[Ca2+]iを測定するアッセイ(FLIPR)、又はイノシトールリン酸のターンオーバーを測定する別のアッセイ(IP3)により試験することができる。
【0222】
FLIPRアッセイ
黒色の壁面を有し、コラーゲンコーティングされた透明の底面の96ウェルプレート上に、国際公開公報第WO97/05252号に記載されるヒトmGluR5d発現細胞を、1ウェル当たり100,000細胞で播種し、播種から24時間後に実験を行う。すべてのアッセイは、127 mMのNaCl、5 mMのKCl、2 mMのMgCl2、0.7 mMのNaH2PO4、2 mMのCaCl2、0.422 mg/mlのNaHCO3、2.4 mg/mlのHEPES、1.8 mg/mlのグルコース及び1 mg/mlのBSAフラクションIV(Fraction IV)(pH 7.4)を含有するバッファー中で行う。96ウェルプレート中の細胞培養は、0.01%のプルロニックアシッド(pluronic acid)(特許薬品、非イオン性界面活性剤ポリオール- CAS番号 9003-11-6)中に、4μMのアセトキシメチルエステル型の蛍光カルシウム指示薬フルオ-3(fluo-3)(モレキュラープローブ(Molecular Probes)社、ユージーン(Eugene)、オレゴン州)を含有する上述のバッファーに60分間ローディングしておく。ローディング時間の後に、フルオ-3バッファーを取り除き、新しいアッセイ用バッファーと入れ換える。FLIPR実験は、0.800Wと0.4秒のCCDカメラシャッター速度のレーザー装置を用いて、それぞれ488nmと562nmの励起波長と放出波長にて行う。各実験は、前記細胞プレートの各ウェル中に存在する160μlのバッファーを用いて開始する。アンタゴニストのプレートから40μlを添加し、次いでアゴニストのプレートから50μLを添加する。アンタゴニストとアゴニストの添加は、90秒間のインターバルによって隔てられる。2回の添加のそれぞれの直後に、蛍光シグナルを1秒間のインターバルで50回サンプリングし、次いで5秒間のインターバルで3回サンプリングする。反応は、アゴニストに対する反応のピークの高さの差として測定することで、同一時間内でのバックグラウンド蛍光が少なくなる。線形最小二乗適合プログラムを用いてIC50測定を行う。
【0223】
IP3アッセイ
mGluR5dの更なる機能アッセイが、国際公開公報第WO97/05252号に記載されており、ホスファチジルイノシトールのターンオーバーに基づいている。レセプターの活性化がホスホリパーゼC活性を刺激し、イノシトール1,4,5,三リン酸(IP3)の形成の増大へと至る。
【0224】
安定してヒトmGluR5dを発現するGHEKを、ポリ-L-リシンコートされた24ウェルプレートの上に、1μCi/ウェルの[3H]ミオイノシトールを含む培地中で、40x104細胞/ウェルで播種する。細胞を一晩(16時間)インキュベートし、次いで3回洗浄して、1ユニット/mlのグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ及び2 mMのピルベートが補充されたHEPES緩衝食塩水(146 mMのNaCl、4.2 mMのKCl、0.5 mMのMgCl2、0.1%のグルコース、20 mMのHEPES、pH 7.4)中に37℃で1時間インキュベートした。細胞をHEPES緩衝食塩水で1回洗浄し、10 mMのLiClを含有するHEPES緩衝食塩水中で10分間プレインキュベートする。化合物は、37℃で15分間、2つの系で重複してインキュベートし、次いでグルタメート(80 μM)又はDHPG(30 μM)のいずれかを添加して、更に30分間インキュベートする。反応は、氷上で0.5 mlの過塩素酸(5%)を添加して、4℃にて少なくとも30分間インキュベートすることにより停止させる。サンプルを15 mlのポリプロピレン管に回収し、イオン交換樹脂(ダウエックス(Dowex) AGl- X8 ギ酸型、200-400メッシュ、BIORAD)カラムを用いてイノシトールリン酸を分離する。イノシトールリン酸の分離は、最初に、30 mMのギ酸アンモニウム8 mlでグリセロールホスファチジルイノシトールを溶離して行った。次に、700 mM ギ酸アンモニウム/100 mM ギ酸8 mlで全イノシトールリン酸を溶離してシンチレーション用バイアルに回収する。次いでこの溶離液を8mlのシンチラント(scintillant)と混合し、[3H]イノシトールの取り込みをシンチレーション計数により測定する。2つの系の重複サンプルからの壊変毎分数をプロットし、線形最小二乗適合プログラムを用いてIC50を決定する。
【0225】
一般的に、本発明の化合物は、本明細書に記載するアッセイにおいて10μM未満の濃度(又はIC50値)で活性を示した。本発明に係る好ましい化合物は、1μM未満のIC50値を有し;より好ましい化合物は、100 nM未満のIC50値を有する。例えば、実施例12.3、13.3、14.26、13.12、18.7及び18.3の化合物は、それぞれ、187、486、439、23、83及び20nMのIC50値を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、Ar1は、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール基であり、ここで、該置換基は、F、Cl、Br、I、OH、ニトロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルハロ、OC1-6アルキル、OC1-6アルキルハロ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、-CN、CO2R2、SR2、S(O)R2、SO2R2、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルから成る群から選択され、ここで、いかなる環状基も、F、Cl、Br、I、OH、ニトロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルハロ、OC1-6アルキル、OC1-6アルキルハロ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、-CN、CO2R2、SR2、S(O)R2及びSO2R2から成る群から選択される、少なくとも一つの置換基により更に置換されていてもよく;
Aは、Ar1、CO2R2、CONR2R3、S(O)R2及びSO2R2から成る群から選択され;
Bは、ビニレン及びエチニレンから成る群から選択され、ここで、前記ビニレン基は、2個以下の、独立して選択されるC1-6アルキル基で置換されていてもよく;
R1は、いずれの場合も、F、Cl、Br、I、OH、CN、ニトロ、C1-6アルキル、OC1-6アルキル、C1-6アルキルハロ、OC1-6アルキルハロ、(CO)R2、O(CO)R2、O(CO)OR2、CO2R2、-CONR2R3、C1-6アルキレンOR2、OC2-6アルキレンOR2及びC1-6アルキレンシアノから成る群から独立して選択され;
R2及びR3は、H、C1-6アルキル、C1-6アルキルハロ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル及びシクロアルキルから成る群から独立して選択され;
mは、0、1、2、3及び4から成る群から選択される整数であり;そして
nは、1、2及び3から成る群から選択される整数である]
で示される化合物、
又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、アイソフォーム、互変異性体、光学異性体、又はその組み合わせ。
【請求項2】
Bが、エチニレン基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Ar1が、置換されていてもよいフェニル基及び置換されていてもよいピリジル基から成る群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、置換されていてもよいピリジル基及び置換されていてもよいピラジニル基から成る群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、置換されていてもよい2-ピリジル基及び置換されていてもよい2-ピラジニル基から成る群から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
以下から選択される化合物:
(±)-メチル(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-カルボキシレート、
(±)-エチル(6R,9aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド [1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート、
エチル(6S,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-カルボキシレート、
メチル(6S,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-カルボキシレート、
(6S,8aS)-N-(2-クロロエチル)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-カルボキサミド、
(±)-エチル(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-カルボキシレート、
(±)-エチル(6R,9aS)-6-[(E)-2-(3-クロロフェニル)ビニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-6-{(6R,9aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}ニコチノニトリル、
6-[(6S,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
2-[(6S,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
(6S,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イル)オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン、
2-[(6S,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]イソニコチノニトリル、
(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
(±)-2-{(6R,9aS)-6-[(E)-2-(3-クロロフェニル)ビニル]オクタヒドロ-2H-ピリド [1,2-a]ピラジン-2-イル}ニコチノニトリル、
(±)-2-{(6R,9aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}ニコチノニトリル、
(±)-3-{(6R,9aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
(±)-メチル2-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチネート、
(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]-5-フルオロ-ニコチノニトリル、
(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]-5-フルオロ-ニコチノニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-tert-ブチル(6R,9aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(2-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(3-メトキシフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(2,4-ジクロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(5-クロロ-2-フルオロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-(フェニルエチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(3-フルオロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(4-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(2-ブロモフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(3-ブロモフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(3,5-ジフルオロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(2,4-ジフルオロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(2,5-ジクロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(4-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-(ピリジン-2-イル-エチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(5-シアノピリジン-3-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-2-[(6R,8aS)-6-(ピリジン-2-イル-エチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(6-メチルピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
(±)-5-フルオロ-2-[(6R,8aS)-6-(ピリジン-2-イルエチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
(±)-5-フルオロ-2-[(6R,8aS)-6-[(6-メチルピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(4-メチルピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,9aS)-6-(ピリジン-2-イル-エチニル)オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-{(6R,9aS)-6-[(6-メチルピリジン-2-イル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド [1,2-a]ピラジン-2-イル}ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-{(6R,9aS)-6-[(4-メチルピリジン-2-イル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド [1,2-a]ピラジン-2-イル}ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-(1,3-チアゾール-2-イル-エチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-(ピリミジン-2-イル-エチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(5-フルオロピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ [1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(6-メチルピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-(1,3-チアゾール-4-イルエチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチン酸、
(±)-2-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチン酸アミド、
(±)-(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]-2-[3-(2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-2-イル]オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン、
(±)-3-{(6R,9aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-2-{(6R,9aS)-6-[(6-メチルピリジン-2-イル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}ニコチノニトリル、
(±)-2-{(6R,9aS)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}ニコチノニトリル、
(±)-2-{(6R,9aS)-6-(ピリジン-2-イル-エチニル)オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}ニコチノニトリル、
(±)-2-{(6R,9aS)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}-5-フルオロニコチノニトリル、
(±)-2-{(6R,9aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}-5-フルオロニコチノニトリル、
(±)-5-フルオロ-2-[(6R,9aS)-6-(ピリジン-2-イルエチニル)オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]ニコチノニトリル、
(±)-5-フルオロ-2-{(6R,9aS)-6-[(6-メチルピリジン-2-イル)エチニル]オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル}ニコチノニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(6-メトキシピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-[(6-シアノピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
(±)-3-[(6R,8aS)-6-{[6-(フルオロメチル)ピリジン-2-イル]エチニル}ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6R,8aS)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6S,8aR)-6-[(3-クロロフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6R,8aS)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6S,8aR)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6R,8aS)-6-(ピリジン-2-イルエチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6S,8aR)-6-(ピリジン-2-イルエチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
2-[(6R,8aS)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]-5-フルオロニコチノニトリル、
2-[(6S,8aR)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]-5-フルオロニコチノニトリル、
2-[(6R,8aS)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
2-[(6S,8aR)-6-[(3-シアノフェニル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
3-[(6R,9aS)-6-(ピリジン-2-イルエチニル)オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6S,9aR)-6-(ピリジン-2-イルエチニル)オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
2-[(6R,8aS)-6-(ピリジン-2-イルエチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
2-[(6S,8aR)-6-(ピリジン-2-イルエチニル)ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
2-[(6R,8aS)-6-[(6-メチルピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ニコチノニトリル、
2-[(6S,8aR)-6-[(6-メチルピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル)ニコチノニトリル、
3-[(6R,8aS)-6-[(6-メチルピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6S,8aR)-6-[(6-メチルピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6R,8aS)-6-[(6-メトキシピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6S,8aR)-6-[(6-メトキシピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6R,8aS)-6-[(6-シアノピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6S,8aR)-6-[(6-シアノピリジン-2-イル)エチニル]ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、
3-[(6R,8aS)-6-{[6-(フルオロメチル)ピリジン-2-イル]エチニル}ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル、及び
3-[(6S,8aR)-6-{[6-(フルオロメチル)ピリジン-2-イル]エチニル}ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル]ピラジン-2-カルボニトリル。
【請求項7】
有効成分として、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を、1又は2種類以上の医薬的に許容可能な希釈剤、賦形剤及び/又は不活性な担体といっしょに含む医薬組成物。
【請求項8】
mGluR5媒介性障害の治療に用いるための、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
治療に用いるための、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
mGluR5媒介性障害の治療に用いるための、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
mGluR5媒介性障害の治療用薬物の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項12】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物を哺乳動物に投与することを含む、mGluR5媒介性障害の治療方法。
【請求項13】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記障害が、神経障害である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記障害が、精神障害である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記障害が、慢性及び急性の疼痛性障害である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記障害が、胃腸障害である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
mGluR5レセプターを含有する細胞を、有効量の請求項1に記載の化合物で処理することを含む、mGluR5レセプターの活性化の阻害方法。

【公表番号】特表2009−504736(P2009−504736A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526975(P2008−526975)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/030394
【国際公開番号】WO2007/021575
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】