説明

会議室設備及び会議室設備を用いた会議記録システム

【課題】 会議内容の正確な記録と守秘性の高い会議環境の整備に資する、守秘義務を前提とする研究発表に適した会議室設備及び会議室設備を用いた会議記録システムを提供する。
【解決手段】 会議室には、正面壁側にスクリーンとホワイトボードを設け、側面壁に沿って発表関係者と評価者が向かい合い、背面壁側には会議記録用のビデオレコーダと会議の管理者の机を配置する。発表関係者及び評価者の発言は、正面壁側のスピーカから再生されることで、発言を正確に録音して発言者の特定を確実にしている。背面壁側に設けられた入退室口には入室の管理者机を配置し、入室者を確認するとともに、入退室用のドアは開いた際にスクリーン等が視認できないように、内開きとなっている。以上の会議室設備の構造によって、会議内容を確実に録音して発言者が明確になり、かつ高い守秘性が確保されることで、参加者の活発な発言を促すことが可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、守秘義務を前提とする研究発表に適した会議室設備及び会議室設備を用いた会議記録システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業内や学会等における重要な会議では、会議の内容を正確に記録するために、映像や音声を電子的に記録する会議記録システムが利用されている。会議記録システムでは、会議への参加者を登録して参照できる情報を制限したり(例えば、特許文献1参照)、会議における発言者の位置を特定できるようにしたり(例えば、特許文献2参照)するなど、会議を円滑に運営し、かつ正確な情報を記録するための様々な工夫が施されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−251393号公報
【特許文献2】特開2004−208188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、新技術開発などの分野においては、そのアイデア発案、基本仕様作成、試作、製品化および特許出願などの各段階で複数の技術者、管理者が出席して発表、質疑応答、討論などを行った結果を認証し、後日に先発言権の所在や各段階でのアイデア提供元の確認、その証明を行うことで、共有権利の持分の明確化、資源の分担割合などを担保することが要求されている。このような活動を、DR(デザイン・レビュー)又はDRM(デザイン・レビュー・ミーティング)とも称するが、DRにおいても上記のような会議記録システムを利用することが有効である。
【0005】
DRにおいては、特許要件における新規性喪失にかかる問題を回避するために、全ての参加者について守秘義務を確認した状態で会議を開催することが重要になる。単一の企業や大学など組織内の参加者のみで開催される場合であれば大きな問題にはならないが、特に複数の組織に属する研究者が会議に参加する場合には、守秘性を確保するための仕組みが重要になる。
【0006】
また、異なる組織に属する研究者がDRに参加すると、DRの場の討議で明確になった発明について、後になって誰が本来の発明者であるのかが問題になりやすい。このような問題に対処するために、DRでの討議内容を電子的に記録し、公証物として保管することによって、異なる組織に属する研究者であってもDRで発言者を行いやすくする仕組みを導入し(出願人は「先発言主義」と称している)、成果を生んでいる。
【0007】
以上のように、DRの内容を会議記録システム等によって電子的手段で正確に記録し、かつ公証物として保存する仕組みを導入すれば、異なる組織に属する研究者が参加するDRにおいても活発な発言を促すことが可能になるが、その前提としてDRでの発言内容を正確に記録できるとともに、守秘性の高い環境が保証された会議室設備を整備することが求められることになる。
【0008】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、会議内容の正確な記録及び守秘性の高い会議環境の整備に資する、守秘義務を前提とする研究発表に適した会議室設備及び会議室設備を用いた会議記録システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために、本発明にかかる会議室設備は、研究発表のための会議室設備であって、研究発表を行う発表者及び発表関係者の発表関係者席と、前記発表関係者席に向かい合う研究発表を評価する評価者の評価席と、スクリーンの配置された会議室の正面壁と向かい合う研究発表を管理する管理者の管理者席とが、前記正面壁に向かって開放されたコの字型に配列され、会議室の左右いずれかの側面壁の会議室の背面壁に近い側に設けられた会議室への入退室口の近傍には会議室への入退室者を管理する入退室管理者席が配置され、前記管理者席には録音機能を少なくとも備えた記録装置が、前記スクリーンのスクリーン面から直角方向に離れた位置の天上近傍には前記スクリーン面に投影する投影装置が、前記発表関係者席及び前記評価者席には発言者用のマイクロフォンが、前記正面壁前の左右両端近傍又は前記正面壁近傍の会議室の左右側面壁には前記マイクロフォンで集音した音声を再生するためのスピーカが、それぞれ設置されていることを特徴とする会議室設備である。
【0010】
このように構成された会議室設備では、発表者及び発表関係者と評価者の議論が行いやすく、かつ発言者の記録装置から離れた場所での発言も正確に集音して録音することが可能になるとともに、入退室口において入室者を管理することによって守秘性を確保することも可能になっている。
【0011】
また、本発明にかかる会議室設備は、前記管理者席に設置される記録装置は画像の撮影及び録画機能を備えており、かつ前記発表関係者席の前記管理者席に最も近い席から前記評価者席の前記管理者席に最も近い席まで撮影用カメラが可動な状態で設置されていることを特徴とすることもできる。
【0012】
このように構成すると、発言内容の録音とあわせて、全ての発言者の映像を録画することができるので、後に録画された映像を確認することによって発言者を正確に特定するのに資するものとなる。
【0013】
さらに、本発明にかかる会議室設備は、前記入退室口には、前記正面壁に近い側の端が固定された会議室内に向かって内開きで透視性のないドアが設けられていることを特徴としてもよい。
【0014】
このように構成すると、参加資格を確認される前の入室者がドアを開けて入室しようとしても、正面壁の側にあるスクリーン面を直ちに確認することができず、守秘性の確保に有効である。
【0015】
本発明にかかる会議記録システムは、上記いずれかの構成を備えた会議室設備を用いて開催される会議の内容を記録する会議記録システムであって、秘密保持契約を締結した前記会議への参加資格を有する参加資格者に関する情報を記憶する参加資格者情報記憶手段と、前記入退室口からの入室者を識別する入室者情報を前記入退室者管理者席に設置された入室者管理端末から受け付ける入室者情報受付手段と、前記参加者情報記憶手段を検索して、前記入室者情報受付手段の受け付けた入室者情報から識別される入室者が、前記参加資格者に含まれるかを確認する入室者確認手段と、前記入室者確認手段で前記参加資格者であることが確認された入室者のリストを記憶する入室者リスト記憶手段と、前記参加資格者の声紋データを記憶する声紋データ記憶手段と、前記記録装置に録音された音声データのうち一の発言者の発言部分を発言データとして識別し、前記声紋データ記憶手段に記憶された声紋データと対比して、前記発言データに対応する発言者を特定する発言者特定手段と、前記発言者特定手段の特定した発言者が、前記入室者リスト記憶手段に記憶された入室者のリストに含まれているかを確認する発言者確認手段と、前記会議の内容の記録ファイルを格納する会議内容格納手段と、前記発言者確認手段で前記発言者が前記入室者リストに含まれていることが確認されると、前記発言者を識別する情報を付した前記発言データを前記会議内容格納手段に記録する会議内容記録手段と、を備えることを特徴とする会議記録システムである。
【0016】
このように構成された会議記録システムでは、入退室口において入室者の参加資格を確認することが可能であり、かつ録音した発言の発言者を自動的に特定して記録することが可能になっている。
【0017】
また、本発明にかかる会議記録システムは、前記会議室には、前記入退室口の近傍に入室者の生体データを読み取る生体データ読取装置が備えられ、前記参加資格者の生体データを記憶する生体データ記憶手段と、前記入室者情報受付手段の受け付けた入室者情報に対応する生体データを前記生体データ記憶手段から読み出す生体データ読出手段と、前記生体データ読取装置の読み取った生体データと前記生体データ読出手段の読み出した生体データを対比して、前記入室者の本人認証を行う入室者認証手段と、を備えていて、前記入室者リスト記憶手段には、前記入室者確認手段で前記参加資格者であることが確認され、かつ前記入室者認証手段で生体データが一致して本人であることが認証された入室者のリストを記憶することを特徴とすることもできる。
【0018】
このように構成すると、入退室口において顔画像や指紋等の生体データを用いて入室者の本人認証を行うことによって、より厳密な入室管理を行うことが可能になる。
【0019】
さらに、本発明にかかる会議記録システムは、前記会議室の管理者席には前記管理者の操作する管理者端末が設置され、前記管理者端末から前記会議における一の発言者の発言部分毎に発言者を識別する情報を受信する発言者情報受信手段と、前記発言者情報受信手段の受信した情報から識別される発言者と、前記発言者特定手段の特定する発言者が一致するかを確認する第2の発言者確認手段と、を備えていて、前記会議内容記録手段は、前記発言者確認手段で前記発言者が前記入室者リストに含まれていることが確認され、かつ前記第2の発言者確認手段で発言者が一致した発言者に関する発言データを前記会議内容格納手段に記録することを特徴としてもよい。
【0020】
このように構成すると、自動的に特定された発言者を会議の場で管理者が確認した発言者と照合することによって、より正確な発言者の特定が可能になる。
【0021】
さらに、本発明にかかる会議記録システムは、前記会議内容記録手段が記録する発言データをテキストデータに変換し、前記発言者を識別する情報を付して前記会議内容格納手段に記録する第2の会議内容記録手段を備えることを特徴としてもよい。
【0022】
このように構成すると、後に会議内容を文字情報としても確認することが可能になり、利用者の利便性に資するものとなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によって、会議内容の正確な記録と守秘性の高い会議環境の整備が促進されるため、特に異なる組織に属する研究者が参加するDR等の会議の場において、活発な発言を促すことによって、共同研究等の研究活動を活性化させることが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は本発明の実施形態の一例を示したものであり、会議室における設備の配置場所等の実施形態は、以下に示す例に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明にかかる会議室設備が配置された会議室の平面図である。図2は、本発明にかかる会議記録システムの構成を示すブロック図である。図3は、本発明にかかる会議記録システムの入室者管理端末の詳細な構成を示すブロック図である。図4は、本発明にかかる会議記録システムによる入室者確認の処理フローを示すフローチャートである。図5は、本発明にかかる会議記録システムにおいて用いられる資格者リストの一例を示す図である。図6は、本発明にかかる会議記録システムの発言者特定部の詳細な構成を示すブロック図である。図7は、本発明にかかる会議記録システムによる発言者特定の処理フローを示すフローチャートである。図8は、本発明にかかる会議記録システムによる会議ファイル利用の処理フローを示すフローチャートである。
【0026】
図1は、企業や大学等複数の組織の研究者が参加する新技術開発などをテーマとする会議に適した会議室を示した平面図である。このような複数の組織の研究者が参加する会議では、会議に参加する研究者及び研究者の所属する組織の特許を受ける権利等に対する配慮から積極的な発言が行われにくくなりやすい傾向がある。このような課題に対しては、会議における発言者及び発言内容を正確に記録するとともに、守秘性の高い会議環境を整備することが有益である。
【0027】
そこで、図1に例示したような守秘性が高く、かつ発言の記録が確実に行うことができる会議室環境を整備し、記録した会議の内容を公的機関に公証物として保管することとすれば、研究者及び研究者の所属する組織の特許を受ける権利等が保証され、会議に参加する研究者の積極的な発言を促すことができる。出願人はこのような方策を「先発言主義」と称している。
【0028】
図1に示した会議室は、以下のような設備を備えることによって、守秘性の高い環境を確保している。
【0029】
会議室には、左側面壁WLS(右側面壁WRSでもよい)の正面壁WF及び背面壁WRに近い位置に、それぞれ正面壁近傍扉DF及び背面壁近傍扉DRが備えられているが、発表内容が投影されるスクリーンSCやホワイトボードBに近い正面壁近傍扉DFは閉じられた状態となっており、参加者は背面壁近傍扉DRのみから入退室できるようになっている。背面壁近傍扉DRには、主催者(入退室管理者)用机T5が設けられていて、入室者の参加資格や守秘義務契約の有無を確認することによって(入退室者の氏名等を記録する入退室者記録用紙RAを備えておくことが好ましい)、守秘性の高い環境を確保している。尚、主催者(入退室管理者)用机T5は、背面壁近傍扉DRの外側に配置されるものであってもよい。
【0030】
また、背面壁近傍扉DRとして用いられるドアは、正面壁WFに近い側の端が固定された会議室内に向かって内開きであり、透視性のない材質のものであることが好ましい。守秘義務を有していない者が入室しようとしてドアを開けた際にも、直ちにスクリーンSCやホワイトボードBが見えてしまうことがなく、秘密情報が漏洩することを防止できるためである。
【0031】
図1に示した会議室は、以下のような設備を備えることによって、発言の記録を確実に行って活発な議論を促す環境を確保している。
【0032】
正面壁WF側には、発表者のプレゼンテーション資料等を投影するためのスクリーンSC、発表者の補足説明や議論に使用するためのホワイトボードBが、全ての参加者から見やすいように背面壁WRに向けて設置されている(ホワイトボードBは特に評価者X11に見やすいように評価者用机T11側に向けて若干斜めに設置するとよい)。発表者には 発表者用マイクロフォンM3が用意され、発表者の発言はスピーカ制御機器CSを介してスピーカSPから再生される。発表者の手元資料等を置くために、発表者用机T3が設けられることが好ましいが、発表者用机T3を設けずに発表者は起立したまま発表することとしてもよい。
【0033】
発表者のプレゼンテーション資料を投影するためのプロジェクタPには、プロジェクタ用コンピュータCPのデータを表示する液晶プロジェクタが使用されるが、スクリーンSCに投影するために、スクリーンSCのスクリーン面から直角方向に離れた位置の天井近傍に設置される。この位置に設置すると、ビデオレコーダVRから発表者や発言者の撮影や録音の障害となりにくいためである。
【0034】
参加者の着席する席については、研究発表を行う発表関係者X21(発表者を含んでもよい)の発表関係者用机T21と、研究発表を評価する評価者X11の評価者用机T11が、スクリーンSCを見ながら議論が行いやすいように、スクリーンSCを横に見る位置に向かい合って配置されている。また、発言内容の記録など研究発表を管理する管理者の主催者(発表管理者)用机T4が背面壁WR側に配置されるので、評価者用机T11、発表関係者用机T21、主催者(発表管理者)用机T4は、正面壁WFに向かって開放されたコの字型に配列されることになる。
【0035】
尚、図1の例のように、発表関係者用机T21の後に参加者用机T22を配置して、発表者とは異なる企業の所属者で議論への参加や傍聴を目的とした者などの参加者X22が着席することとしてもよい。また、評価者用机T11の後に学識経験者用机T12を配置して、評価者X11以外に議論に参加して発表者等へのアドバイスを行う学識経験者X12が着席することとしてもよい。
【0036】
評価者用机T11及び発表関係者用机T21には、それぞれ評価者・学識経験者用マイクロフォンM1及び発表関係者・参加者用マイクロフォンM2が設置され、これらで集音された音声は、スピーカSPで再生される。スピーカSPは、会議室全域で聞き取れるようにするために、正面壁WFに近い左側面壁WLS及び右側面壁WRSの天井近傍に1対配置されている。
【0037】
会議での発言内容を録音するビデオレコーダVRは背面壁WRに近い側に設置されているため、特に、評価者X11や発表関係者X21のうち、正面壁WFに近い側に着席している者の発言した音声はビデオレコーダVRでは拾いにくい。そこで、上記のとおり評価者・学識経験者用マイクロフォンM1及び発表関係者・参加者用マイクロフォンM2で集音された音声をスピーカSPで再生し、正面壁WF側からビデオレコーダVRに向かって音声を発生させることとしているが、評価者・学識経験者用マイクロフォンM1及び発表関係者・参加者用マイクロフォンM2に固定マイクを用いる場合には、ビデオレコーダVRでは拾いにくい音声を優先的に拾えるように、評価者用机T11及び発表関係者用机T21の正面壁WFに近い側に、評価者・学識経験者用マイクロフォンM1及び発表関係者・参加者用マイクロフォンM2を配置することが好ましい。
【0038】
また、評価者用机T11及び発表関係者用机T21には、プロジェクタPに投影するプレゼンテーション資料等を格納して投影のための操作を行えるプロジェクタ用コンピュータCPが設置されている。これによって、発表者の指示で発表関係者21がプロジェクタPでスクリーンSCに表示する内容を選択したり、評価者11や発言者の指示で各自が保有している種々のデータをプロジェクタPでスクリーンSCに表示したりして、幅広い議論を可能にするために有効である。
【0039】
ビデオレコーダVRは、管理者が操作しやすいように主催者(発表管理者)用机T4の近傍に設置される。ビデオレコーダVRは少なくとも録音機能を備えることが必要であるが、会議後に発言者を映像からも特定できるように、録画機能も備えたオーディオビデオレコーダを用いることが好ましい。また、記録した映像や音声を公証物として管理できるように、記録媒体としてDVDを用いられるものであることが好ましい。
【0040】
また、設置したビデオレコーダVRは、全ての発言者を撮影することができるように、評価者用机T11(学識経験者用机T12がある場合は学識経験者用机T12)の主催者(発表管理者)用机T4に最も近い机から発表関係者用机T21(参加者用机T22がある場合は参加者用机T22)の主催者(発表管理者)用机T4に最も近い机まで、映像撮影用のカメラが可動な状態であることが好ましい。
【0041】
また、ビデオレコーダVRの撮影方向を変えて、スクリーンSCの表示やホワイトボードBの記載内容、発言者などを正確に記録できるようにするために、主催者(発表管理者)用机T4には、ビデオレコーダVRを制御するビデオレコーダ用コンピュータCVが設置される。映像を記録する他に、発言者が交代する毎に、管理者が発言者を特定してビデオレコーダ用コンピュータCVに入力して記録することとしてもよい(発言者記録用紙RCを備えておいて記録することとしてもよい)。
【0042】
図2は、本発明にかかる会議記録システムの構成を示している。本発明にかかる会議記録システムは、図1の例に示した会議室への参加者の入室状況を管理するとともに、会議の記録を行うための、会議室に設置されたビデオレコーダやコンピュータと接続されたコンピュータシステムであって、図2に示した入室者管理端末10及び会議記録サーバ20として構成されている。
【0043】
入室者管理端末10及び会議記録サーバ20は、それぞれ1又は複数のコンピュータによって構成されている。図2の発言者特定部21、会議ファイル編集部22、利用処理部29は、いずれも機能的に特定されるものであって、各々の機能を実現するためのアプリケーションプログラムが会議記録サーバ20を構成するコンピュータのメインメモリ等のメモリ領域に読み出され、CPUによって演算処理が実行されて各々の機能が実現される。DVD出力部28はDVDへの書出処理を行うものであるが、上記と同様のアプリケーションプログラムによる処理機能と加えて、DVDへの書出が可能なディスクドライブによって構成されている。
【0044】
出席者リスト記憶部23、資格者リスト記憶部24、認証データ記憶部25、声紋データ記憶部26、会議ファイル格納部27、利用履歴記憶部30は、いずれも会議記録サーバ20を構成するコンピュータのHDD等記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられるが、これらの一部又がアプリケーションプログラムを実行するコンピュータとは異なるデータベースサーバや入室者管理端末10に設けられるものであってもよい。
【0045】
図3と図4を用いて、入室者管理端末10を用いて実行される会議室への参加者の入室管理方法について説明する。入室者管理端末10は図3に示したように構成されるPC等のコンピュータ端末であって、会議室の背面壁近傍扉DRの近傍(例えば、主催者(入退室管理者)用机T5の上)に設置される。尚、比較判断手段101、認証手段102、検索手段105は、いずれも機能的に特定されるものであって、各々の機能を実現するためのアプリケーションプログラムが入室者管理端末10のメインメモリ等のメモリ領域に読み出され、CPU100によって演算処理が実行されて各々の機能が実現される。
【0046】
会議への参加希望者が会議室に入室しようとすると、背面壁近傍扉DRの近傍にいる主催者(入退室管理者)に自己の氏名、所属等を告げる。IDカード等が配布されている場合には、IDカードの情報を目視あるいは電子的手段で読み取ることとしてもよい。入室者の氏名等の情報は、キーボード106から入室者管理端末10に入力される。以降の入室者管理端末10における処理は、図4のフローチャートのように行われる。
【0047】
入室者管理端末10が入室者の氏名等のデータの入力を受け付けると(S01)、このデータは第1レジスタ103にセットされ、検索手段105が資格者リスト記憶部24から順に会議への参加資格者の氏名や所属等のデータを読み出して第2レジスタ104にセットし(S02)、両者が比較判断手段101において比較されることによって入室者を特定し、入室者の会議への参加資格の有無と(S03)、秘密保持契約締結の有無が確認される(S04)。
【0048】
図5は資格者リスト記憶部24の一例を示したものであるが、会議への参加資格者毎に設けられたレコードに、氏名、所属、参加権限の種別、秘密保持契約(NDA)締結の有無などの情報が記録されている。資格者リスト記憶部24に参加資格を有し、かつ秘密保持契約締結がある者のみをリストアップしている場合であれば、ここでは単に該当する資格者が登録されているか否かのみを確認すればよいが、参加資格を有しないものや秘密保持契約を締結していない者もリストに含まれている場合には、ここで参加権限の種別や秘密保持契約(NDA)締結の有無に関するフィールドが確認される。
【0049】
ここで、比較判断手段101において有資格者であることが確認された後に、認証手段102において入室者の本人認証を行うこととしてもよい。例えば、読取装置11において読み取った入室者の生体データ(顔画像や指紋等)を受け付けて(S05)、特定された入室者について、予め認証データ記憶部25に記憶させておいた参加資格者の生体データから対応する生体データを検索して読み出し(S06)、両者が一致するか否かから入室者の本人認証を行うことができる(S07)。このため、入室者管理端末10には、生体データを読み取るための読取装置11(顔画像を撮影するカメラ、指紋リーダ等)が併設される。
【0050】
以上の処理において、参加資格を有しない、秘密保持契約を締結していない、本人の生体データと一致しないといった場合には、入室者管理端末10にエラーメッセージを表示するなどのエラー処理が行われる(S09)。参加資格を有し、秘密保持契約を締結していることが確認され、本人の生体データと一致した場合には、入室者の氏名や所属等のデータが出席者リスト記憶部23に書き込まれる(S08)。
【0051】
尚、入室者が参加資格を有しないとされた場合や秘密保持契約を締結していない場合には、主催者(入退室管理者)用机T5で所定の申込手続を行い、秘密保持契約を締結することによって、会議への参加を許可することとしてもよい。この場合、入室者管理端末10から手続を行った入室者に関する情報が入力され、資格者リスト記憶部24には参加資格者としての新たなデータが記録され、出席者リスト記憶部23にも出席者としての記録がされることになる。
【0052】
図6と図7を用いて、会議記録サーバ20の発言者特定部21及び会議ファイル編集部22において実行される会議における発言内容の記録方法について説明する。会議記録サーバ20には、会議室にあるビデオレコーダVRで集音した音声データが送信され(マイクロフォンM1〜M3からも直接送信されることとしてもよい)、さらに、ビデオレコーダ用コンピュータCVからは発言者を識別するデータが送信されるよう構成されている。尚、音声スペクトル抽出手段211、特徴データ作成手段212、音声処理手段213、比較(同定)手段214は、いずれも機能的に特定されるものであって、各々の機能を実現するためのアプリケーションプログラムが会議記録サーバ20のメインメモリ等のメモリ領域に読み出され、CPUによって演算処理が実行されて各々の機能が実現される。
【0053】
会議が行われている間、会議室のビデオレコーダVRは発言者を撮影するとともに、発言者の発言した音声をマイクロフォンM1〜M3とともに集音し、集音された音声データが会議記録サーバ20に送信される。さらに、主催者(発言管理者)が発言者の交代毎に発言者に関する情報をビデオレコーダ用コンピュータCVに入力し、発言者を識別するデータが会議記録サーバ20に送信される。以降の会議記録サーバ20における処理は、図7のフローチャートのように行われる。
【0054】
会議記録サーバ20が会議における発言の音声データを受け付けると(S11)、予め参加資格者の声紋データが登録された声紋データ記憶部26を検索して(S12)、一致する声紋データがあるかを確認して(S13)、発言者の可能性が高い候補者を特定する(S14)。一致する者がない場合は、エラー処理となる(S22)。複数の候補者が特定された場合は、エラー処理としてもよいが、後に説明するビデオレコーダ用コンピュータCVから受け付けた発言者を識別するデータによって絞り込むこととしてもよい。
【0055】
続いて、参加者の入室時に作成した出席者リスト記憶部23の出席者リストを検索して(S15)、特定された発言者が出席者に含まれているかを確認する(S16)。出席者に含まれていなければ、エラー処理となる(S22)。出席者に含まれていれば、さらに、ビデオレコーダ用コンピュータCVに管理者が入力した発言者を識別するデータを受け付けて(S17)、該データから識別される発言者が特定された候補者と一致するかを確認する(S18)。複数の候補者が特定されていた場合には、ここで識別される発言者からいずれかの候補者を絞り込むことができる。
【0056】
ここまでの処理を、さらに図6によって詳細に説明すると、以下のとおりである。音声スペクトル抽出手段211は、音声データから音声スペクトルを抽出する。抽出した音声スペクトルから、特徴データ作成手段212によって特徴データ(声紋データ)が作成され、この特徴データ、すなわち会議での発言から生成された声紋が、比較手段(同定手段)214によって、声紋データ記憶部26に予め登録された参加資格者の声紋データと比較される。
【0057】
ここで、特徴データが声紋データ記憶部26に登録された声紋データのいずれかと一致すると、発言者を特定することができる。その際に、出席リスト記憶部23に会議への出席者として記録されているか、ビデオレコーダ用コンピュータCVから受け付けたデータから識別される発言者と一致するか、といった確認を行うことによって、より精度の高い発言者の特定を行うことができる。声紋データによる一致処理で、複数の候補者が特定されてしまった場合には、これらのデータを活用して絞り込むと特に有効である。
【0058】
尚、音声データは発言者毎に切り分けることが必要になるが、その方法は特に限定されるものではない。例えば、音声スペクトル抽出手段211が音声スペクトルを抽出する際に、音声の切れ目から次の切れ目までを一単位として切り分けて、発言者を特定することとしてもよいし、音声スペクトル抽出手段211が抽出した音声スペクトルから特徴データ作成手段212によって特徴データを作成する際に、特徴データが共通する部分を一の発言者による発言部分として切り分けることとしてもよい。
【0059】
以上のようにして発言者が特定されると、特定された発言者が発言している部分の音声データに発言者、発言時間等のメタ情報を付して、会議ファイル格納部27に会議記録のファイルとして保存する(S19)。ここで格納するファイルは、音声のみでなく、ビデオレコーダVRで撮影した映像も含まれるものであることが好ましい。さらに、会議ファイル編集部22によって音声データをテキストデータに変換して(S20)、メタ情報を付した文書ファイルとして会議ファイル格納部27に会議ファイルとして保存することとしてもよい(S21)。
【0060】
また、このように生成した会議ファイルを、DVD出力部28からDVDに書き出して出力することとしてもよい。DVDに記録すると、これを公証人役場において保存して管理することによって、発言の記録を確実にすることができる。
【0061】
図8のフローチャートは、会議記録サーバ20の利用処理部29によって会議ファイルを利用する際の処理フローを示している。会議ファイルの利用は、秘密保持義務を有する参加資格者、又は実際に該当する会議に参加した参加者に限定されるが、これらの参加者である利用者が利用者端末50から会議ファイル利用のリクエストを会議記録サーバ20に送信する。
【0062】
会議記録サーバ20ではこれを受け付けて(S31)、資格者リスト記憶部24を検索して(S32)、参加資格者に該当するかを確認する(S33)。該当しない場合には、利用者端末50にエラーメッセージを送信する(S39)。
【0063】
参加資格者に該当する場合は、利用者が利用者端末50において指定した、利用したい会議ファイルの開催日、会議名、又は会議の識別コード等の会議を識別するために必要な利用データを、先に受け付けたリクエストから特定する(S34)。これらの利用データをキーにして会議ファイル格納部27を検索し(S35)、該当する会議ファイルがあるかを確認する(S36)。該当する会議ファイルがヒットしない場合には、利用者端末50にエラーメッセージを送信する(S39)。
【0064】
該当する会議ファイルがヒットすると、会議ファイル格納部27からその会議ファイルを読み出して、利用者端末50に送信する(S37)。さらに、利用履歴として、利用した会議ファイル、利用者、利用時間等に関する情報を、利用履歴記憶部30に記録する(S38)。
【0065】
以上説明したフローでは、秘密保持義務を有する参加資格者であれば会議ファイルを利用できることを前提としているが、実際に該当する会議に参加した参加者に利用を限定する場合には、会議ファイル利用のリクエストにおいて指定された会議について、出席者リスト記憶部23の出席者リストを参照し、出席者であるか否かから会議ファイルの利用の可否を判断することになる。
【0066】
尚、図2において、会議記録サーバ20は管理者端末40と接続されているが、管理者端末40からは、予め登録が必要な資格者リスト記憶部24、認証データ記憶部25、声紋データ記憶部26などのデータを入力しておくことが可能なよう構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明にかかる会議室設備が配置された会議室の平面図である。
【図2】本発明にかかる会議記録システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかる会議記録システムの入室者管理端末の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明にかかる会議記録システムによる入室者確認の処理フローを示すフローチャートである。
【図5】本発明にかかる会議記録システムにおいて用いられる資格者リストの一例を示す図である。
【図6】本発明にかかる会議記録システムの発言者特定部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】本発明にかかる会議記録システムによる発言者特定の処理フローを示すフローチャートである。
【図8】本発明にかかる会議記録システムによる会議ファイル利用の処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
WF 正面壁
WLS 左側面壁
WRS 右側面壁
WR 背面壁
DF 正面壁近傍扉
DR 背面壁近傍扉
SC スクリーン
B ホワイトボード
T11 評価者用机
T12 学識経験者用机
T21 発表関係者用机
T22 参加者用机
T3 発表者用机
T4 主催者(発表管理者)用机
T5 主催者(入退室管理者)用机
RA 入退室者記録用紙
RC 発言者記録用紙
M1 評価者・学識経験者用マイクロフォン
M2 発表関係者・参加者用マイクロフォン
M3 発表者用マイクロフォン
CS スピーカ制御機器
CP プロジェクタ用コンピュータ
CV ビデオレコーダ用コンピュータ
SP スピーカ
P プロジェクタ
VR ビデオレコーダ
X11 評価者
X12 学識経験者
X21 発表関係者
X22 参加者
10 入室者管理端末
100 CPU
101 比較判断手段
102 認証手段
103 第1レジスタ
104 第2レジスタ
105 検索手段
106 キーボード
11 読取装置
20 会議記録サーバ
21 発言者特定部
211 音声スペクトル抽出手段
212 特徴データ作成手段
213 音声処理手段
214 比較(同定)手段
22 会議ファイル編集部
23 出席者リスト記憶部
24 資格者リスト記憶部
25 認証データ記憶部
26 声紋データ記憶部
27 会議ファイル格納部
28 DVD出力部
29 利用処理部
30 利用履歴記憶部
40 管理者端末
50 利用者端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研究発表のための会議室設備であって、
研究発表を行う発表関係者の発表関係者席と、前記発表関係者席に向かい合う研究発表を評価する評価者の評価席と、スクリーンの配置された会議室の正面壁と向かい合う研究発表を管理する管理者の管理者席とが、前記正面壁に向かって開放されたコの字型に配列され、
会議室の左右いずれかの側面壁の会議室の背面壁に近い側に設けられた会議室への入退室口の近傍には会議室への入退室者を管理する入退室管理者席が配置され、
前記管理者席の近傍には録音機能を少なくとも備えた記録装置が、前記スクリーンのスクリーン面から直角方向に離れた位置の天上近傍には前記スクリーン面に投影する投影装置が、前記発表関係者席及び前記評価者席には発言者用のマイクロフォンが、前記正面壁前の左右両端近傍又は前記正面壁近傍の会議室の左右側面壁には前記マイクロフォンで集音した音声を再生するためのスピーカが、それぞれ設置されていること
を特徴とする会議室設備。
【請求項2】
前記管理者席に設置される記録装置は画像の撮影及び録画機能を備えており、かつ前記発表関係者席の前記管理者席に最も近い席から前記評価者席の前記管理者席に最も近い席まで撮影用カメラが可動な状態で設置されていること
を特徴とする請求項1記載の会議室設備。
【請求項3】
前記入退室口には、前記正面壁に近い側の端が固定された会議室内に向かって内開きで透視性のないドアが設けられていること
を特徴とする請求項1又は2記載の会議室設備。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の会議室設備を用いて開催される会議の内容を記録する会議記録システムであって、
秘密保持契約を締結した前記会議への参加資格を有する参加資格者に関する情報を記憶する参加資格者情報記憶手段と、
前記入退室口からの入室者を識別する入室者情報を前記入退室者管理者席に設置された入室者管理端末から受け付ける入室者情報受付手段と、
前記参加者情報記憶手段を検索して、前記入室者情報受付手段の受け付けた入室者情報から識別される入室者が、前記参加資格者に含まれるかを確認する入室者確認手段と、
前記入室者確認手段で前記参加資格者であることが確認された入室者のリストを記憶する入室者リスト記憶手段と、
前記参加資格者の声紋データを記憶する声紋データ記憶手段と、
前記記録装置に録音された音声データのうち一の発言者の発言部分を発言データとして識別し、前記声紋データ記憶手段に記憶された声紋データと対比して、前記発言データに対応する発言者を特定する発言者特定手段と、
前記発言者特定手段の特定した発言者が、前記入室者リスト記憶手段に記憶された入室者のリストに含まれているかを確認する発言者確認手段と、
前記会議の内容の記録ファイルを格納する会議内容格納手段と、
前記発言者確認手段で前記発言者が前記入室者リストに含まれていることが確認されると、前記発言者を識別する情報を付した前記発言データを前記会議内容格納手段に記録する会議内容記録手段と、
を備えることを特徴とする会議記録システム。
【請求項5】
前記会議室には、前記入退室口の近傍に入室者の生体データを読み取る生体データ読取装置が備えられ、
前記参加資格者の生体データを記憶する生体データ記憶手段と、
前記入室者情報受付手段の受け付けた入室者情報に対応する生体データを前記生体データ記憶手段から読み出す生体データ読出手段と、
前記生体データ読取装置の読み取った生体データと前記生体データ読出手段の読み出した生体データを対比して、前記入室者の本人認証を行う入室者認証手段と、
を備えていて、
前記入室者リスト記憶手段には、前記入室者確認手段で前記参加資格者であることが確認され、かつ前記入室者認証手段で生体データが一致して本人であることが認証された入室者のリストを記憶すること
を特徴とする請求項4記載の会議記録システム。
【請求項6】
前記会議室の管理者席には前記管理者の操作する管理者端末が設置され、
前記管理者端末から前記会議における一の発言者の発言部分毎に発言者を識別する情報を受信する発言者情報受信手段と、
前記発言者情報受信手段の受信した情報から識別される発言者と、前記発言者特定手段の特定する発言者が一致するかを確認する第2の発言者確認手段と、
を備えていて、
前記会議内容記録手段は、前記発言者確認手段で前記発言者が前記入室者リストに含まれていることが確認され、かつ前記第2の発言者確認手段で発言者が一致した発言者に関する発言データを前記会議内容格納手段に記録すること
を特徴とする請求項4又は5記載の会議記録システム。
【請求項7】
前記会議内容記録手段が記録する発言データをテキストデータに変換し、前記発言者を識別する情報を付して前記会議内容格納手段に記録する第2の会議内容記録手段を備えること
を特徴とする請求項4乃至6いずれかに記載の会議記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−230267(P2009−230267A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72363(P2008−72363)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(502266320)株式会社フューチャービジョン (73)
【Fターム(参考)】