説明

位相同期装置および位相同期方法

【課題】無線回線を介して接続された装置間の位相同期を行うことが可能な位相同期装置を得ること。
【解決手段】マスタ側無線装置3は、マスタ装置1からの受信パケットから、位相同期の基準となるタイミングを抽出し、基準となるタイミングに同期して、スレーブ側無線装置4へパケットを送信するタイミングを決定し、受信パケットをスレーブ側無線装置4へ送信し、スレーブ側無線装置4は、マスタ側無線装置3からの受信パケットから、位相同期の基準となるタイミングを抽出し、抽出したタイミングと自装置内の動作タイミングとを比較して検出した位相差に基づいて、周波数偏差を検出し、位相差および周波数偏差に基づいて、自装置内の動作クロックの周波数を制御し、基準となるタイミングに同期してスレーブ装置2へパケットを送信するタイミングを決定し、受信パケットをスレーブ装置2へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット通信を行う2つの装置間の位相同期を行う位相同期装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線伝送システムでは、無線回線を介して接続された装置間で動作周期を合わせるための位相同期を行う際、受信装置は、送信装置から一定時間間隔毎に送信されたパケットの受信間隔を監視し、この受信間隔の変動に基づいて、動作クロックを生成する発振器の周波数を制御して、受信装置側時刻を送信装置側時刻に同期させている。このような技術が下記特許文献1において開示されている。
【0003】
一般に、無線伝送では、電波伝搬の状態が時間的に変動することによって受信誤りが発生し、パケットを正常に受信できないケースがあることが知られている。受信誤りが発生した場合、送信装置が、受信誤りとなったのと同じパケットを再送することによって、無線伝送におけるパケットの欠落を防止している。この際、再送を行う分だけ、受信装置がパケットを受信するまでの遅延が増加する。
【0004】
また、再送が発生しない場合でも、例えば、IEEE802.11で規定されている無線LAN(Local Area Network)では、パケットを送信する際、他の装置が送信している電波を検出した場合には、この電波が無くなった後、さらにパケットを送信する毎に乱数を用いて算出するバックオフと呼ばれる時間だけ待ってから送信を開始する。そのため、他の装置が送信している時間と該バックオフを合計した時間だけ、パケットの遅延が増加する。このように、無線伝送では、パケットを転送する毎に遅延が増減することになる。以降、このパケット転送における遅延の増減を遅延揺らぎとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−350102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術によれば、一定時間間隔毎に送信されたパケットの受信間隔の変動に基づいて、動作クロックを生成する発振器の周波数を制御している。そのため、パケットの再送や他の装置の送信によってパケットの遅延揺らぎが発生した場合、送信装置と受信装置との間で、受信したパケットの遅延量に応じた位相のずれが発生し、正常に動作できなくなる、という問題があった。
【0007】
また、このような問題を回避する方法として、GPS(Global Positioning System)やNTP(Network Time Protocol)などの公知の技術を用いて、送信装置、受信装置の双方に、外部から共通の時刻情報を供給することにより位相同期を行うことも可能である。しかしながら、GPSでは屋内などのGPS電波の受信が困難な場所では使用できない、という問題があった。また、NTPでは時刻情報を供給するNTPサーバの追加設置が必要となり、システムとしての設備コスト、管理コストが増加する、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、外部からの時刻情報を必要とすることなく、無線回線を介して接続された装置間の位相同期を行うことが可能な位相同期装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、マスタ−スレーブの関係で動作周期を共有するマスタ装置およびスレーブ装置の間に挿入し、無線回線を介して前記2つの装置間の位相同期を確立する位相同期装置であって、前記位相同期装置が、マスタ装置に位相同期するマスタ側無線装置と、スレーブ装置に同期タイミングを供給するスレーブ側無線装置と、を備える場合に、前記マスタ側無線装置は、前記マスタ装置から受信したパケットから、位相同期の基準となるタイミングを抽出する第1の同期タイミング抽出手段と、前記基準となるタイミングに同期して、前記スレーブ側無線装置へパケットを送信するタイミングを決定する第1の動作タイミング生成手段と、前記決定したタイミングで、受信したパケットを前記スレーブ側無線装置に向けて送信する第1のパケット送信手段と、を備え、前記スレーブ側無線装置は、前記マスタ側無線装置から受信したパケットから、位相同期の基準となるタイミングを抽出する第2の同期タイミング抽出手段と、前記抽出したタイミングと自装置内の動作タイミングとを比較して、位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差に基づいて、周波数偏差を検出する周波数偏差検出手段と、前記位相差および前記周波数偏差に基づいて、自装置内の動作クロックの周波数を制御するクロック周波数制御手段と、前記基準となるタイミングに同期して前記スレーブ装置へパケットを送信するタイミングを決定する第2の動作タイミング生成手段と、前記決定したタイミングで受信したパケットを前記スレーブ装置に向けて送信する第2のパケット送信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外部からの時刻情報を必要とすることなく、無線回線を介して接続された装置間の位相同期を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、位相同期装置を適用する通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、マスタ側無線装置の構成例を示す図である。
【図3】図3は、スレーブ側無線装置の構成例を示す図である。
【図4】図4は、位相同期動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、スレーブ側無線装置の位相同期動作を示す図である。
【図6】図6は、スレーブ側無線装置の位相同期動作を示す図である。
【図7】図7は、スレーブ側無線装置の位相同期動作を示す図である。
【図8】図8は、スレーブ側無線装置の構成例を示す図である。
【図9】図9は、スレーブ側無線装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる位相同期装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかる位相同期装置を適用した通信システムの構成例を示す図である。通信システムは、マスタ装置1と、スレーブ装置2と、マスタ側無線装置3と、スレーブ側無線装置4と、を備える。マスタ装置1とマスタ側無線装置3は有線回線10で接続され、マスタ側無線装置3とスレーブ側無線装置4は無線回線20で接続され、スレーブ側無線装置4とスレーブ装置2は有線回線11で接続されている。マスタ側無線装置3およびスレーブ側無線装置4の2つの装置で位相同期装置を構成する。
【0014】
マスタ装置1は、有線回線10に接続され、自装置内で生成する動作周期に基づいて有線回線10を介してマスタ側無線装置3へ有線パケットを送信する。
【0015】
スレーブ装置2は、有線回線11に接続され、有線回線11を介してスレーブ側無線装置4から受信した有線パケットの受信タイミングに基づいて自装置内の動作周期を生成する。
【0016】
本来は、マスタ装置1とスレーブ装置2が有線回線を介して直接接続され、スレーブ装置2がマスタ装置1に従属する関係で動作周期を共有するよう動作する。特に、高い信頼性が要求されるFA(Factory Automation)用の制御装置においては、この動作周期の共有(即ち位相同期)においても高い精度が要求される。
【0017】
マスタ側無線装置3は、有線回線10および無線回線20に接続され、有線回線10を介してマスタ装置1から受信した有線パケットの受信タイミングに基づいて同期タイミングを抽出し、この同期タイミングに同期して無線回線20を介してスレーブ側無線装置4へ無線パケットを送信する。
【0018】
スレーブ側無線装置4は、有線回線11および無線回線20に接続され、無線回線20を介してマスタ側無線装置3から受信した無線パケットの受信タイミングに基づいて同期タイミングを抽出し、この同期タイミングに同期して有線回線11を介してスレーブ装置2へ有線パケットを送信する。
【0019】
つぎに、位相同期装置を構成するマスタ側無線装置3について詳細に説明する。図2は、マスタ側無線装置3の構成例を示す図である。マスタ側無線装置3は、有線パケット受信部30と、同期タイミング抽出部31と、動作クロック生成部32と、動作タイミング生成部33と、無線パケット送信部34と、を備える。
【0020】
有線パケット受信部30は、有線回線10で転送されるパケットを受信し、有線回線10上を転送するために付加されているヘッダ情報を取り除いて装置内へ出力する。
【0021】
同期タイミング抽出部31は、有線パケット受信部30で受信されたパケットの受信タイミングを記憶する。また、記憶した受信タイミングから共通する周期を検出し、同期タイミング信号として出力する。
【0022】
動作クロック生成部32は、自装置内の各部が動作するのに必要となるクロック信号を生成する。
【0023】
動作タイミング生成部33は、動作クロック生成部32からのクロック信号で動作し、前記同期タイミング信号を用いて無線パケットを無線回線20へ送信するタイミングを決定して無線送信タイミング信号を生成する。
【0024】
無線パケット送信部34は、有線パケット受信部30から出力されたパケットを、動作タイミング生成部33からの無線送信タイミング信号にしたがって無線回線20へ送信する。ここで、同期タイミング抽出部31は、例えば、以下のいずれかの方法によって受信タイミングから共通する周期を検出する。
【0025】
1.受信パケットの中から周期的に送信されるパケット種別を判別し、その受信タイミングのみを抽出する。
【0026】
2.全てのパケットに共通する周期を検出する。例えば、全てのパケットが、ある一定時間毎に送信すべきパケットがあれば送信し、送信すべきパケットが無ければ送信しない、という規則で送信される場合、受信タイミングの最小値を全てのパケットに共通する周期とする。
【0027】
つぎに、位相同期装置を構成するスレーブ側無線装置4について詳細に説明する。図3は、スレーブ側無線装置4の構成例を示す図である。スレーブ側無線装置4は、無線パケット受信部40と、同期タイミング抽出部41と、動作クロック生成部42と、動作タイミング生成部43と、有線パケット送信部44と、位相差検出部45と、周波数偏差検出部46と、クロック周波数制御部47と、を備える。
【0028】
無線パケット受信部40は、無線回線20から転送されてきたパケットを受信し、無線回線20上を転送するために付加されているヘッダ情報を取り除いて装置内へ出力する。
【0029】
同期タイミング抽出部41は、無線パケット受信部40で受信されたパケットの受信タイミングを記憶する。また、記憶した受信タイミングの各々に対して無線伝送での遅延揺らぎを検出し、一定数毎に平均値を算出することで遅延揺らぎの平均化を行って平均受信タイミングとして記憶し、この平均受信タイミングから共通する周期を検出し、同期タイミング信号として出力する。
【0030】
動作クロック生成部42は、自装置内の各部が動作するのに必要となるクロック信号を生成すると共に、入力される周波数制御信号に従って該クロック信号の周波数を変更する。
【0031】
動作タイミング生成部43は、動作クロック生成部42からのクロック信号で動作し、有線パケットを有線回線11へ送信するタイミングを決定して有線送信タイミング信号を生成すると共に、前記同期タイミング信号と比較するための比較用タイミング信号を生成する。
【0032】
有線パケット送信部44は、無線パケット受信部40から出力されたパケットを動作タイミング生成部43からの有線送信タイミング信号に従い有線回線11へ送信する。
【0033】
位相差検出部45は、同期タイミング抽出部41で生成された同期タイミング信号と、動作タイミング生成部43で生成された比較用タイミング信号とを比較することにより、マスタ側無線装置3と自装置との動作周期の差、即ち装置間の位相差を検出し位相差情報として出力する。
【0034】
周波数偏差検出部46は、前記位相差を一定の周期で監視し、位相差の時間的な変動からマスタ側無線装置3に対する自装置における動作クロックの周波数偏差を検出する。
【0035】
クロック周波数制御部47は、位相差検出部45から出力された位相差情報と周波数偏差検出部46で検出された周波数偏差の値に基づき、マスタ側無線装置3と自装置との位相差が所望の値(例えば0)となるよう動作クロック周波数を制御するよう動作クロック生成部42へ出力する周波数制御信号を生成する。ここで、同期タイミング抽出部41は、例えば、以下のいずれかの方法によって平均受信タイミングから共通する周期を検出する。前述のマスタ側無線装置3の同期タイミング抽出部31と同様である。
【0036】
1.受信パケットの中から周期的に送信されるパケット種別を判別し、その受信タイミングのみを抽出する。
【0037】
2.全てのパケットに共通する周期を検出する。例えば、全てのパケットが、ある一定時間毎に送信すべきパケットがあれば送信し、送信すべきパケットが無ければ送信しない、という規則で送信される場合、受信タイミングの最小値を全てのパケットに共通する周期とする。
【0038】
つづいて、位相同期装置における位相同期動作について説明する。図4は、位相同期装置における位相同期動作を示すフローチャートである。まず、マスタ側無線装置3において、同期タイミング抽出部31が、有線パケット受信部30で受信されたパケットの受信タイミングから、共通する周期を検出し、位相同期の基準となるタイミングを抽出する(ステップS1)。
【0039】
つぎに、動作タイミング生成部33が、動作クロック生成部32からのクロック信号で動作し、抽出したタイミングに同期して、スレーブ側無線装置4へパケットを送信するタイミングを決定する(ステップS2)。
【0040】
そして、無線パケット送信部34が、有線パケット受信部30から出力されたパケットを、動作タイミング生成部33が決定したタイミングでスレーブ側無線装置4へ送信する(ステップS3)。
【0041】
図5は、スレーブ側無線装置4の位相同期動作を示す図である。マスタ側無線装置3とスレーブ側無線装置4との位相差の時間的な変化の様子を示すものである。図5において、スレーブ側無線装置4では、同期タイミング抽出部41が、無線パケット受信部40で受信されたパケットの受信タイミングから、共通する周期を検出し、位相同期の基準となるタイミングを抽出する(ステップS4)。具体的に、同期タイミング抽出部41は、個々のパケットの受信タイミングの各々に対して一定数毎に平均値を算出する。
【0042】
つぎに、位相差検出部45が、抽出したタイミングと自装置内の動作タイミングを比較して位相差を検出する(ステップS5)。具体的に、位相差検出部45は、時刻T1から時刻T2にかけてマスタ側無線装置3との間の位相差がΔt1からΔtnへ変化したことを検出する。
【0043】
つぎに、周波数偏差検出部46が、検出された位相差に基づいて周波数偏差を検出する(ステップS6)。具体的に、周波数偏差検出部46は、一定の周期(以降、同期化周期とする)で位相差検出部45から出力される位相差情報を監視しており、時刻T1から時刻T2までの時間に該当する位相監視時間における位相差変動量(Δtn−Δt1)より、時刻T2での周波数偏差Δfを以下の式(1)で算出する。
【0044】
T2での周波数偏差(Δf)=位相差変動量(Δtn−Δt1)/位相監視時間(T2−T1) …(1)
【0045】
つぎに、クロック周波数制御部47が、前記位相差および前記周波数偏差に基づいて、自装置内の動作クロックの周波数を制御する(ステップS7)。具体的に、クロック周波数制御部47は、時刻T2での位相差Δtnと周波数偏差Δfを用いて、時刻T2から時刻T3までの時間に該当する位相制御時間で所望の位相差(例えば0)となるよう動作クロック周波数を制御するための周波数制御量を決定する。このとき、所望の位相差とするための位相差修正量(ここではマスタ側無線装置3との間の位相差の変化が正の値となる方向へ位相差を変化させるための数値を正の符号で表すものとし、所望の位相差を0とする場合には、位相差修正量は−Δtnとなる)と周波数制御量との関係は以下の式(2)で表される。
【0046】
T2での周波数制御量=位相差修正量/位相制御時間(T3−T2)−Δf …(2)
【0047】
つぎに、動作タイミング生成部43が、抽出された基準となるタイミングに同期して、スレーブ装置2へパケットを送信するタイミングを決定する(ステップS8)。
【0048】
そして、有線パケット送信部44が、前記動作タイミング生成部43が決定したタイミングで、無線パケット受信部40が受信したパケットをスレーブ装置2に向けて送信する(ステップS9)。このように、スレーブ側無線装置4では、位相監視時間および位相制御時間からなる同期化周期ごとに位相差の修正を行う。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態では、マスタ側無線装置3およびスレーブ側無線装置4で構成される位相同期装置において、マスタ側無線装置3がマスタ装置1の動作周期に位相同期して無線パケットを送信し、スレーブ側無線装置4が無線回線20における無線パケットの遅延揺らぎを平均化して同期タイミングを決定し、マスタ側無線装置3との間の位相差および周波数偏差を検出して所望の位相差となるように動作クロックを制御することとした。これにより、マスタ側無線装置3の動作周期に位相同期して有線パケットをスレーブ装置2へ送信することができ、マスタ装置1とスレーブ装置2が無線回線20を介して位相同期することができる。
【0050】
また、位相差だけでなく、周波数偏差を同時に検出することにより、動作クロックの周波数を制御する方向だけでなく、制御量を扱うことができ、位相制御時間(所望の位相差になるまでの時間)の調整が可能となる。これにより、システム要求、使用条件、環境変動などの状況変化に応じて、柔軟に位相制御時間や周波数制御量を調整することが可能となる。
【0051】
また、位相を直接制御するのではなく、動作クロックの周波数を制御することにより、スレーブ側無線装置4での急激な位相変動や動作クロック数の変化を防止することができる。これにより、大きな位相変動があると装置の誤動作が発生するような位相変動への要求が厳しいシステムへの適用が可能となる。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態1では、スレーブ側無線装置4における位相同期動作として、位相制御を行わずに位相差の監視のみを行う位相監視時間と、位相差の監視を行わずに位相制御のみを行う位相制御時間とを、同期化周期の中で時間を分けて動作していた。本実施の形態では、位相差の監視と位相制御を同時に行う。実施の形態1と異なる部分について説明する。
【0053】
図6は、本実施の形態におけるスレーブ側無線装置4の位相同期動作を示す図である。スレーブ側無線装置4において、位相監視時間、位相制御時間、および同期化周期を全て同じ値とすることにより、位相差の監視と位相制御を同時に行う場合の位相差の変化の様子を示すものである。位相の同期化動作は、ある同期化周期で位相差の監視を行い、つぎの同期化周期で位相制御を行うことで1つのサイクルが完結する。本実施の形態において位相差の監視と位相制御を同時に行うとは、ある同期化周期で位相差の監視を行い、つぎの同期化周期で位相制御を行うときに、位相制御と同時につぎのサイクルの位相差の監視を行うことである。図6では、位相同期化動作の1つのサイクルについてのみ記載する。
【0054】
図6において、スレーブ側無線装置4は、同期タイミング抽出部41で個々のパケットの受信タイミングの各々に対して一定数毎に平均値を算出し、位相差検出部45において時刻T1から時刻T2にかけてマスタ側無線装置3との間の位相差がΔt1からΔtnへ変化したことを検出する。周波数偏差検出部46は、同期化周期で位相差検出部45から出力される位相差情報を監視しており、時刻T1から時刻T2までの時間に該当する位相監視時間(この場合は位相制御時間および同期化周期と等しい)における位相差変動量(Δtn−Δt1)より、時刻T2での周波数偏差Δfを以下の式(3)で算出する。
【0055】
T2での周波数偏差(Δf)=位相差変動量(Δtn−Δt1)/同期化周期 …(3)
【0056】
つぎに、クロック周波数制御部47が、時刻T2での位相差Δtnと周波数偏差Δfから、つぎの同期化周期と同じ時間で所望の位相差(例えば0)となるよう動作クロック周波数を制御するための周波数制御量を決定する。このとき、所望の位相差とするための位相差修正量(所望の位相差を0とする場合には、位相差修正量は−Δtnとなる)と周波数制御量との関係は以下の式(4)で表され、位相制御時間が同期化周期と同じ時間となるように周波数制御量を決定する。
【0057】
T2での周波数制御量=位相差修正量/同期化周期−Δf …(4)
【0058】
ここで、実施の形態1(図5参照)では、位相監視時間に対して、位相制御時間を短くしているが、所望の位相差となるよう動作クロック周波数を制御する際の動作クロック周波数の変化量が大きくなる。変化量を必要最小限に抑えようとした場合、位相制御時間を長くする必要があり、それに伴って同期化周期も長くなる。そこで、本実施の形態(図6参照)では、前の時間帯の位相監視時間に対する位相制御時間と同一の時間で、つぎの位相監視を行う。これにより、動作クロック周波数を制御する際の動作クロック周波数の変化量を必要最小限に抑えつつ、同期化周期を短くすることができる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態では、スレーブ側無線装置4における位相差の監視と位相制御を同期化周期と同じ時間で行うこととした。これにより、同期化周期を長くすることなく、所望の位相差となるよう動作クロック周波数を制御する際の動作クロック周波数の変化量を必要最小限に抑えることができ、周波数変化による動作タイミングマージンの劣化を防止できる。
【0060】
また、動作クロック周波数の変化量が小さくなるため、クロックを発生するデバイスが対応する必要のある周波数変化幅を小さくすることができ、装置コストを低減できる。
【0061】
実施の形態3.
実施の形態2では、スレーブ側無線装置4における位相同期動作として、位相差の監視と位相制御を同期化周期と同じ時間で行う。本実施の形態では、位相差の監視を同期化周期と同じ時間で行いつつ、位相制御を同期化周期より短い時間で完了する。実施の形態2と異なる部分について説明する。
【0062】
図7は、本実施の形態におけるスレーブ側無線装置4の位相同期動作を示す図である。スレーブ側無線装置4において、位相監視時間と同期化周期を同じ値とし、位相制御時間を同期化周期より短い値とすることにより、位相制御を同期化周期の時間を待たずに完了させる場合の位相差の変化の様子を示すものである。図7において、スレーブ側無線装置4は、同期タイミング抽出部41で個々のパケットの受信タイミングの各々に対して一定数毎に平均値を算出し、位相差検出部45において時刻T1から時刻T2にかけての位相差変動量を検出する。このとき、時刻T1から時刻T2までの時間の中で、T1〜T4aの位相制御時間では、以下の式(5)で算出された周波数制御が時刻T1で行われた状態でクロック周波数が設定されている。
【0063】
T1での周波数制御量=T1での位相差修正量/位相制御時間(T4a−T1)−T1での周波数偏差 …(5)
【0064】
また、T4a〜T2の期間では、以下の式(6)で算出された周波数制御が時刻T4aで行われた状態でクロック周波数が設定されている。
【0065】
T4aでの周波数制御量=−T1での位相差修正量/位相制御時間(T4a−T1) …(6)
【0066】
ここで、T4aでの周波数制御は、マスタ側無線装置3との間の位相差を所望の値とするようスレーブ側無線装置4の位相を制御するために付加した分を除去するものであり、時刻T2で検出する周波数偏差は、T4aでの周波数制御を行った後の状態のみに対応する値でなければならない。このとき、時刻T4aから時刻T2での位相差変動量のみを用いて周波数偏差を算出すると、位相監視時間が短くなることによって算出誤差が大きくなり、位相同期の精度が劣化してしまうという問題がある。このため、T4aでの周波数制御を行った後の状態が時刻T1から継続していた場合の時刻T1における位相差Δt2を以下の式(7)で算出し、時刻T1から時刻T2にかけてマスタ側無線装置3との間の位相差がΔt2からΔtnへ変化したものとして位相差変動量を検出する。
【0067】
Δt2=Δt1+T1での位相差修正量 …(7)
【0068】
周波数偏差検出部46は、同期化周期毎に位相差検出部45から出力される位相差情報を監視しており、時刻T1から時刻T2までの時間に該当する同期化周期における位相差変動量(Δtn−Δt2)より、時刻T2での周波数偏差Δfを以下の式(8)で算出する。
【0069】
T2での周波数偏差(Δf)=位相差変動量(Δtn−Δt2)/位相監視時間 …(8)
【0070】
つぎに、クロック周波数制御部47が、時刻T2での位相差Δtnと周波数偏差Δfから、予め決められた固定の周波数制御量によって所望の位相差(例えば0)となるまでの時間(位相制御時間)を算出し、動作クロック周波数の制御を実施する。このとき、所望の位相差とするための位相差修正量(所望の位相差を0とする場合には、位相差修正量は−Δtnとなる)と周波数制御量との関係は、以下の式(9)で表され、これより位相制御時間が算出できる。
【0071】
T2での周波数制御量=T2での位相差修正量/位相制御時間(T4b−T2)−Δf …(9)
【0072】
また、時刻T2で周波数を制御してからこの位相制御時間が経過した後、時刻T4aでの動作と同様に、周波数偏差が0となるよう以下の式(10)で算出される周波数制御を行う。
【0073】
T4bでの周波数制御量=−T2での位相差修正量/位相制御時間(T4b−T2) …(10)
【0074】
以上説明したように、本実施の形態では、スレーブ側無線装置3における位相制御として、固定の周波数制御量で所望の位相差となるよう動作クロック周波数を制御し、位相差が所望の値となった後は周波数偏差が0となるよう制御することとした。これにより、同期化周期の時間を待たずに所望の位相差とすることができるため、装置間の位相差に起因する装置内での送信時間の増加を抑制することができ、パケット転送における遅延時間の増加を防止できる。
【0075】
なお、位相制御時間が位相監視時間(同期化周期)よりも短い場合について説明したが、T2の時刻での位相差が大きかった場合、固定の周波数制御量ではT3の時刻に所望の位相差にできない場合も考えられる。このような場合、所望の位相差との差分については、つぎの位相制御に繰り越すようにすればよい。
【0076】
実施の形態4.
実施の形態3までは、スレーブ側無線装置4において受信した無線パケットを全て対象としていた。本実施の形態では、再送パケットについては、同期タイミング抽出対象から除外する。実施の形態1〜3と異なる部分について説明する。
【0077】
図8は、本実施の形態におけるスレーブ側無線装置4aの構成例を示す図である。スレーブ側無線装置4aは、無線パケット受信部40に替えて無線パケット受信部40aを、同期タイミング抽出部41に替えて同期タイミング抽出部41aを備え、さらに、再送パケット検出部48を備える点が実施の形態1〜3(図3参照)と異なる。
【0078】
無線パケット受信部40aは、無線回線20で転送されるパケットを受信し、無線回線20上を転送するために付加されているヘッダ情報を取り除いて装置内へ出力すると共に、前記ヘッダ情報を出力する。
【0079】
同期タイミング抽出部41aは、無線パケット受信部40aで受信されたパケットに対して、入力された除外指示信号に従って該当するパケットを同期タイミング抽出対象から除外し、同期タイミング抽出対象となったパケットの受信タイミングを記憶する。また、記憶した受信タイミングの各々に対して無線伝送での遅延揺らぎを検出し、一定数毎に平均値を算出することで遅延揺らぎの平均化を行って平均受信タイミングとして記憶し、この平均受信タイミングから共通する周期を検出し、同期タイミング信号として出力する。
【0080】
再送パケット検出部48は、無線パケット受信部40aから出力されたヘッダ情報から受信されたパケットが再送パケットであることを検出し、除外指示信号を同期タイミング抽出部41aへ出力する。ここで、同期タイミング抽出部41aは、例えば、以下のいずれかの方法によって平均受信タイミングから共通する周期を検出する。前述の同期タイミング抽出部41と同様である。
【0081】
1.受信パケットの中から周期的に送信されるパケット種別を判別し、その受信タイミングのみを抽出する。
【0082】
2.全てのパケットに共通する周期を検出する。例えば、全てのパケットが、ある一定時間毎に送信すべきパケットがあれば送信し、送信すべきパケットが無ければ送信しない、という規則で送信される場合、受信タイミングの最小値を全てのパケットに共通する周期とする。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態では、スレーブ側無線装置4aは、無線回線20における無線パケットの再送を検出し、同期タイミング抽出対象から除外した上で遅延揺らぎを平均化して同期タイミングを決定することとした。これにより、無線パケットの再送による遅延揺らぎに起因する位相同期の誤差を抑制することができる。
【0084】
実施の形態5.
本実施の形態では、無線パケットの再送回数を検出して受信タイミングを補正する。実施の形態1〜4と異なる部分について説明する。
【0085】
図9は、本実施の形態におけるスレーブ側無線装置4bの構成例を示す図である。スレーブ側無線装置4bは、無線パケット受信部40に替えて無線パケット受信部40aを、同期タイミング抽出部41に替えて同期タイミング抽出部41bを備え、さらに、再送回数検出部49を備える点が実施の形態1〜3(図3参照)と異なる。
【0086】
同期タイミング抽出部41bは、無線パケット受信部40aで受信されたパケットに対して、入力された補正指示信号により通知された遅延の増加量に従いパケットの受信タイミングを補正し、これを記憶する。また、記憶した受信タイミングの各々に対して無線伝送での遅延揺らぎを検出し、一定数毎に平均値を算出することで遅延揺らぎの平均化を行って平均受信タイミングとして記憶し、この平均受信タイミングから共通する周期を検出し、同期タイミング信号として出力する。
【0087】
再送回数検出部49は、無線パケット受信部40aから出力されたヘッダ情報から受信したパケットが再送パケットであることおよびその再送回数を検出し、再送回数に応じた遅延の増加量を補正指示信号により同期タイミング抽出部41bへ通知する。ここで、同期タイミング抽出部41bは、例えば、以下のいずれかの方法によって平均受信タイミングから共通する周期を検出する。前述の同期タイミング抽出部41と同様である。
【0088】
1.受信パケットの中から周期的に送信されるパケット種別を判別し、その受信タイミングのみを抽出する。
【0089】
2.全てのパケットに共通する周期を検出する。例えば、全てのパケットが、ある一定時間毎に送信すべきパケットがあれば送信し、送信すべきパケットが無ければ送信しない、という規則で送信される場合、受信タイミングの最小値を全てのパケットに共通する周期とする。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態では、スレーブ側無線装置4bは、無線回線20における無線パケットの再送回数を検出し、受信タイミングを補正した上で遅延揺らぎを平均化して同期タイミングを決定することとした。これにより、無線パケットの再送による遅延揺らぎに起因する位相同期の誤差を抑制でき、且つ、同期タイミング抽出に使用可能なパケットの減少を防止することができる。
【0091】
なお、各実施の形態において、マスタ装置1とスレーブ装置2の間に無線回線を介して位相同期するマスタ側無線装置3とスレーブ側無線装置4(4a、4b)を挿入する場合について説明したが、このような構成に限定するものではない。例えば、マスタ装置1とマスタ側無線装置3を同一装置として一体化し、さらに、スレーブ装置2とスレーブ側無線装置4(4a、4b)を同一装置として一体化した場合についても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように、本発明にかかる位相同期装置は、パケット通信を行う伝送システムに有用であり、特に、装置間の動作の同期をとることに適している。
【符号の説明】
【0093】
1 マスタ装置
2 スレーブ装置
3 マスタ側無線装置
4、4a、4b スレーブ側無線装置
10、11 有線回線
20 無線回線
30 有線パケット受信部
31 同期タイミング抽出部
32 動作クロック生成部
33 動作タイミング生成部
34 無線パケット送信部
40、40a 無線パケット受信部
41、41a、41b 同期タイミング抽出部
42 動作クロック生成部
43 動作タイミング生成部
44 有線パケット送信部
45 位相差検出部
46 周波数偏差検出部
47 クロック周波数制御部
48 再送パケット検出部
49 再送回数検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ−スレーブの関係で動作周期を共有するマスタ装置およびスレーブ装置の間に挿入し、無線回線を介して前記2つの装置間の位相同期を確立する位相同期装置であって、
前記位相同期装置が、マスタ装置に位相同期するマスタ側無線装置と、スレーブ装置に同期タイミングを供給するスレーブ側無線装置と、を備える場合に、
前記マスタ側無線装置は、
前記マスタ装置から受信したパケットから、位相同期の基準となるタイミングを抽出する第1の同期タイミング抽出手段と、
前記基準となるタイミングに同期して、前記スレーブ側無線装置へパケットを送信するタイミングを決定する第1の動作タイミング生成手段と、
前記決定したタイミングで、受信したパケットを前記スレーブ側無線装置に向けて送信する第1のパケット送信手段と、
を備え、
前記スレーブ側無線装置は、
前記マスタ側無線装置から受信したパケットから、位相同期の基準となるタイミングを抽出する第2の同期タイミング抽出手段と、
前記抽出したタイミングと自装置内の動作タイミングとを比較して、位相差を検出する位相差検出手段と、
前記位相差に基づいて、周波数偏差を検出する周波数偏差検出手段と、
前記位相差および前記周波数偏差に基づいて、自装置内の動作クロックの周波数を制御するクロック周波数制御手段と、
前記基準となるタイミングに同期して前記スレーブ装置へパケットを送信するタイミングを決定する第2の動作タイミング生成手段と、
前記決定したタイミングで受信したパケットを前記スレーブ装置に向けて送信する第2のパケット送信手段と、
を備えることを特徴とする位相同期装置。
【請求項2】
前記スレーブ側無線装置では、
前記周波数偏差検出手段における周波数偏差を検出する前記マスタ側無線装置と自装置との動作位相の監視と、
前記クロック周波数制御手段における動作クロック周波数制御による位相差の制御と、
をそれぞれ一定の周期で別々の時間帯に行い、前記監視した結果に基づいて、当該周期で位相差が所望の値となるように、前記クロック周波数制御手段が動作クロック周波数の制御量を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の位相同期装置。
【請求項3】
前記スレーブ側無線装置では、
前記周波数偏差検出手段における周波数偏差を検出する前記マスタ側無線装置と自装置との動作位相の監視と、
前記クロック周波数制御手段における動作クロック周波数制御による位相差の制御と、
をそれぞれ一定の周期で同一時間帯に行い、前記監視した結果に基づいて、つぎの周期で位相差が所望の値となるように、前記クロック周波数制御手段が動作クロック周波数の制御量を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の位相同期装置。
【請求項4】
前記スレーブ側無線装置では、
前記周波数偏差検出手段における周波数偏差を検出する前記マスタ側無線装置と自装置との動作位相の監視と、
前記クロック周波数制御手段における動作クロック周波数制御による位相差の制御と、
をそれぞれ一定の周期で同一時間帯に行い、前記監視した結果に基づいて、つぎの周期の時間帯よりも短い時間内に位相差が所望の値となるように、前記クロック周波数制御手段が動作クロック周波数の制御量を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の位相同期装置。
【請求項5】
さらに、前記スレーブ側無線装置が、
無線回線における無線パケットの再送を検出する再送パケット検出手段、を備え、
前記同期タイミング抽出手段は、前記再送パケット検出手段が検出した再送された無線パケットを、位相同期の基準となるタイミングを抽出する対象から除外する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の位相同期装置。
【請求項6】
さらに、前記スレーブ側無線装置が、
無線回線における無線パケットの再送回数を検出し、再送回数に応じた遅延増加量を補正する補正指示信号を出力する再送回数検出手段、を備え、
前記同期タイミング抽出手段は、前記補正指示信号に基づいて、再送された無線パケットを用いて位相同期の基準となるタイミングを抽出する際に、受信タイミングを補正する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の位相同期装置。
【請求項7】
マスタ−スレーブの関係で動作周期を共有するマスタ装置およびスレーブ装置の間に挿入し、無線回線を介して前記2つの装置間の位相同期を確立する位相同期装置における位相同期方法であって、
前記位相同期装置が、マスタ装置に位相同期するマスタ側無線装置と、スレーブ装置に同期タイミングを供給するスレーブ側無線装置と、を備える場合に、
前記マスタ側無線装置が、前記マスタ装置から受信したパケットから、位相同期の基準となるタイミングを抽出する第1の同期タイミング抽出ステップと、
前記マスタ側無線装置が、前記基準となるタイミングに同期して、前記スレーブ側無線装置へパケットを送信するタイミングを決定する第1の動作タイミング生成ステップと、
前記マスタ側無線装置が、前記決定したタイミングで、受信したパケットを前記スレーブ側無線装置に向けて送信する第1のパケット送信ステップと、
前記スレーブ側無線装置が、前記マスタ側無線装置から受信したパケットから、位相同期の基準となるタイミングを抽出する第2の同期タイミング抽出ステップと、
前記スレーブ側無線装置が、前記抽出したタイミングと自装置内の動作タイミングとを比較して、位相差を検出する位相差検出ステップと、
前記スレーブ側無線装置が、前記位相差に基づいて、周波数偏差を検出する周波数偏差検出ステップと、
前記スレーブ側無線装置が、前記位相差および前記周波数偏差に基づいて、自装置内の動作クロックの周波数を制御するクロック周波数制御ステップと、
前記スレーブ側無線装置が、前記基準となるタイミングに同期して前記スレーブ装置へパケットを送信するタイミングを決定する第2の動作タイミング生成ステップと、
前記スレーブ側無線装置が、前記決定したタイミングで、受信したパケットを前記スレーブ装置に向けて送信する第2のパケット送信ステップと、
を含むことを特徴とする位相同期方法。
【請求項8】
前記周波数偏差検出ステップにおける周波数偏差を検出する前記マスタ側無線装置と自装置との動作位相の監視と、
前記クロック周波数制御ステップにおける動作クロック周波数制御による位相差の制御と、
をそれぞれ一定の周期で別々の時間帯に行い、前記監視した結果に基づいて、当該周期で位相差が所望の値となるように、前記クロック周波数制御ステップにおいて動作クロック周波数の制御量を決定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の位相同期方法。
【請求項9】
前記周波数偏差検出ステップにおける周波数偏差を検出する前記マスタ側無線装置と自装置との動作位相の監視と、
前記クロック周波数制御ステップにおける動作クロック周波数制御による位相差の制御と、
をそれぞれ一定の周期で同一時間帯に行い、前記監視した結果に基づいて、つぎの周期で位相差が所望の値となるように、前記クロック周波数制御ステップにおいて動作クロック周波数の制御量を決定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の位相同期方法。
【請求項10】
前記周波数偏差検出ステップにおける周波数偏差を検出する前記マスタ側無線装置と自装置との動作位相の監視と、
前記クロック周波数制御ステップにおける動作クロック周波数制御による位相差の制御と、
をそれぞれ一定の周期で同一時間帯に行い、前記監視した結果に基づいて、つぎの周期の時間帯よりも短い時間内に位相差が所望の値となるように、前記クロック周波数制御ステップにおいて動作クロック周波数の制御量を決定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の位相同期方法。
【請求項11】
さらに、
前記スレーブ側無線装置が、無線回線における無線パケットの再送を検出する再送パケット検出ステップ、を含み、
前記同期タイミング抽出ステップでは、前記再送パケット検出ステップにおいて検出した再送された無線パケットを、位相同期の基準となるタイミングを抽出する対象から除外する、
ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載の位相同期方法。
【請求項12】
さらに、
前記スレーブ側無線装置が、無線回線における無線パケットの再送回数を検出し、再送回数に応じた遅延増加量を補正する補正指示信号を出力する再送回数検出ステップ、を含み、
前記同期タイミング抽出ステップでは、前記補正指示信号に基づいて、再送された無線パケットを用いて位相同期の基準となるタイミングを抽出する際に、受信タイミングを補正する、
ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載の位相同期方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−114815(P2012−114815A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263886(P2010−263886)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】