説明

位置情報提供システムおよびRFIDアンテナ装置および携帯電話端末

【課題】RFIDタグによって店舗や企業の広告を行い、RFIDタグの設置を促進させる。
【解決手段】RFIDアンテナ装置は、位置情報と共に付加情報を送信し、携帯電話端末は、RFIDアンテナ装置から送信された位置情報と共に付加情報を表示する。また、RFIDアンテナ装置は、位置情報を付加情報と共に記憶し、この記憶された付加情報を外部からの操作に応じて書き換えることができる。あるいは、複数の付加情報が記憶され、予め指定された期間または曜日または時間帯に予め指定されたいずれかの付加情報を位置情報と共に送信することができる。また、目的地と現在地点との距離情報を、目的地近傍のRFIDアンテナ装置と現在位置近傍のRFIDアンテナ装置との距離に基づき計算し、携帯電話端末は、距離情報を受信して距離の長短を自携帯電話端末の振動パターンに変換して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末の利用者に位置情報を提供するサービスに利用する。特に、RFID(Radio
Frequency Identifier) タグを利用した位置情報の提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話端末による位置情報提供サービスは通信キャリアまたはアプリケーションサービス事業者(以下、ASPと記す)により提供され、その位置情報は通信キャリアの移動端末通信局における携帯電話端末の接続状況やGPSなどから提供されている(例えば、特許文献1または4参照)。
【0003】
あるいは、道路の適当な位置に設置されたRFIDタグからの電波を受信することにより位置情報を取得する(例えば、特許文献3または5参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−312694号公報
【特許文献2】特開2005−165418号公報
【特許文献3】特開2005−189225号公報
【特許文献4】特開2006−118891号公報
【特許文献5】特許第3769257号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来主流となっているGPSを利用した携帯電話端末による位置情報提供サービスでは地下など電波不達あるいはGPS利用不可の範囲で当該のサービスを享受できない。
【0006】
したがって、将来、RFIDタグが広く街中に設置された場合には、従来のGPSを利用した携帯電話端末による位置情報提供サービスに替わり、RFIDタグを利用した位置情報提供サービスが主流となることも予想できる。
【0007】
ここで、RFIDタグの普及を促進させる一つの方法として、店舗や企業などが自己の広告を兼ねて自社の建物や設備にRFIDタグを積極的に設置すれば、国や地方自治体による公共事業としてのRFIDタグの設置と合わせて設置箇所の増加を促進させることができる。このような計画を早急に実現させるためには、RFIDタグの設置が店舗や企業の経営者にとって魅力的なものでなければならない。
【0008】
しかしながら、従来は、位置情報を取得するためのRFIDタグによって店舗や企業の広告を行うといった提案は無い。
【0009】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、位置情報を取得するためのRFIDタグによって店舗や企業の広告を行い、RFIDタグの設置を促進させることができる位置情報提供システムおよびRFIDアンテナ装置および携帯電話端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、位置情報を送信するRFIDアンテナ装置と、この位置情報を受信して表示する携帯電話端末とを備え、前記携帯電話端末からの位置情報の取得要求に応じて当該携帯電話端末近傍の前記RFIDアンテナ装置が位置情報を送信する位置情報提供システムである。
【0011】
ここで、本発明の特徴とするところは、前記RFIDアンテナ装置は、位置情報と共に付加情報を送信する手段を備え、前記携帯電話端末は、前記RFIDアンテナ装置から送信された前記位置情報と共に前記付加情報を表示する手段を備えたところにある。
【0012】
これによれば、単に位置情報を提供するだけではなく、付加情報として、例えば、携帯電話端末の現在位置の近傍にある店舗や企業の広告を提供することができる。したがって、店舗や企業は、自己の広告活動の一つとしてRFIDアンテナ装置の設置を進めることができ、民間主導によるRFIDアンテナ装置の設置を促進させることができる。
【0013】
また、前記RFIDアンテナ装置は、前記位置情報を前記付加情報と共に記憶する手段と、この記憶する手段に記憶された前記付加情報を外部からの操作に応じて書き換える付加情報書換手段とを備えることができる。
【0014】
これによれば、RFIDアンテナ装置の設置主である店舗や企業は、付加情報の内容を自由に書き換えることができ、常時、最新情報を顧客に提供することができる。
【0015】
あるいは、前記記憶する手段には、複数の前記付加情報が記憶され、予め指定された期間または曜日または時間帯に予め指定されたいずれかの前記付加情報を前記位置情報と共に送信する付加情報変更手段を備えることができる。
【0016】
これによれば、RFIDアンテナ装置の設置主である店舗や企業は、予め複数の付加情報をRFIDアンテナ装置に記憶させておき、これらの付加情報を送信する期間または曜日または時間帯を予め指定しておくことにより、自動的に、付加情報を更新することができ、付加情報更新担当者の利便性を向上させることができる。
【0017】
ただし、前記付加情報書換手段または前記付加情報変更手段は、予め登録された操作者を認証した後にアクセスを許可する手段を備えることが望ましい。これによれば、不正な付加情報の変更などを防止することができるため付加情報管理の安全性を向上させることができる。
【0018】
また、前記携帯電話端末の利用者が予め指定した目的地と前記携帯電話端末の利用者の現在地点との距離情報を、前記目的地近傍に設置された前記RFIDアンテナ装置と前記現在位置近傍に設置された前記RFIDアンテナ装置との距離に基づき計算する手段を含む位置情報管理サーバを備えることができる。
【0019】
これによれば、従来のGPSを利用した位置情報提供サービスにおいて地下など電波不達あるいはGPS利用不可の範囲で位置情報提供サービスを享受できなかった場所でも目的地と現在地点との距離を知ることができる。
【0020】
さらに、前記携帯電話端末は、前記距離情報を受信して表示する距離情報表示手段を備え、この距離情報表示手段は、距離の長短を自携帯電話端末の振動パターンに変換して表示する手段を備えることが望ましい。これによれば、移動中あるいは懐中にしまった状態でも自動的に振動パターンが更新され、目的地への距離を生体感覚として認識出来るので、自動車運転中や視覚障害者であっても位置情報提供サービスを利用することができる。
【0021】
なお、特許文献4にも携帯電話端末の振動を利用する技術が開示されているが、特許文献4では目的地に対する進行方向のずれを検知して通知することが目的であり、目的地までの距離を計算して通知するものではない。
【0022】
また、本発明をRFIDアンテナ装置としての観点から観ることもできる。すなわち、本発明は、本発明の位置情報提供システムに適用される前記RFIDアンテナ装置であって、本発明の特徴とするところは、位置情報と共に付加情報を送信する手段を備えたところにある。
【0023】
また、前記位置情報を前記付加情報と共に記憶する手段と、この記憶する手段に記憶された前記付加情報を外部からの操作に応じて書き換える付加情報書換手段とを備えることができる。
【0024】
あるいは、前記記憶する手段には、複数の前記付加情報が記憶され、予め指定された期間または曜日または時間帯に予め指定されたいずれかの前記付加情報を前記位置情報と共に送信する付加情報変更手段を備えることができる。
【0025】
ただし、前記付加情報書換手段または前記付加情報変更手段は、予め登録された操作者を認証した後にアクセスを許可する手段を備えることが望ましい。
【0026】
また、本発明を位置情報管理サーバとしての観点から観ることもできる。すなわち、本発明は、本発明の位置情報提供システムに設けられ、前記携帯電話端末の利用者が予め指定した目的地と前記携帯電話端末の利用者の現在地点との距離情報を、前記目的地近傍に設置された前記RFIDアンテナ装置と前記現在位置近傍に設置された前記RFIDアンテナ装置との距離に基づき計算する手段を含む。
【0027】
また、本発明を携帯電話端末としての観点から観ることもできる。すなわち、本発明は、本発明の位置情報提供システムに適用される前記携帯電話端末であって、本発明の特徴とするところは、前記RFIDアンテナ装置から送信された位置情報および付加情報を表示する手段を備えたところにある。
【0028】
また、前記携帯電話端末は、前記RFIDアンテナ装置から送信される距離情報を受信して表示する距離情報表示手段を備えることもできる。このときには、前記距離情報表示手段は、距離の長短を自携帯電話端末の振動パターンに変換して表示する手段を備えることができる。
【0029】
また、本発明を位置情報提供方法としての観点から観ることもできる。すなわち、本発明は、前記RFIDアンテナ装置が、位置情報と共に付加情報を送信し、前記携帯電話端末が、前記RFIDアンテナ装置から送信された前記位置情報と共に前記付加情報を表示することを特徴とする位置情報提供方法である。
【0030】
また、前記RFIDアンテナ装置が、前記位置情報を前記付加情報と共に記憶しておき、この記憶された前記付加情報を外部からの操作に応じて書き換えることができる。
【0031】
あるいは、前記RFIDアンテナ装置が、複数の前記付加情報を記憶しておき、予め指定された期間または曜日または時間帯に予め指定されたいずれかの前記付加情報を前記位置情報と共に送信することができる。
【0032】
ただし、前記付加情報の書き換え、または、前記期間または曜日または時間帯の指定は、予め登録された操作者を認証した後にアクセスを許可することが望ましい。
【0033】
さらに、位置情報管理サーバが、前記携帯電話端末の利用者が予め指定した目的地と前記携帯電話端末の利用者の現在地点との距離情報を、前記目的地近傍に設置された前記RFIDアンテナ装置と前記現在位置近傍に設置された前記RFIDアンテナ装置との距離に基づき計算することができる。
【0034】
さらに、前記携帯電話端末が、前記距離情報を受信して表示することもできる。前記表示を行う際には、距離の長短を前記携帯電話端末の振動パターンに変換して表示することができる。
【0035】
また、本発明をプログラムとしての観点から観ることもできる。すなわち、本発明は、汎用の情報処理装置にインストールすることにより、その汎用の情報処理装置に、本発明のRFIDアンテナ装置の情報処理機能に相応する機能を実現させるプログラムである。
【0036】
あるいは、本発明は、汎用の情報処理装置にインストールすることにより、その汎用の情報処理装置に、本発明の位置情報管理サーバの機能に相応する機能を実現させるプログラムである。
【0037】
あるいは、本発明は、汎用の携帯電話端末が有する汎用の情報処理装置にインストールすることにより、その汎用の情報処理装置に、本発明の携帯電話端末の機能に相応する機能を実現させるプログラムである。
【0038】
本発明のプログラムは記録媒体に記録されることにより、前記汎用の情報処理装置は、この記録媒体を用いて本発明のプログラムをインストールすることができる。あるいは、本発明のプログラムを保持するサーバからネットワークを介して直接前記汎用の情報処理装置に本発明のプログラムをインストールすることもできる。
【0039】
これにより、汎用の情報処理装置を用いて、本発明のRFIDアンテナ装置の情報処理機能に相応する機能を実現することができる。あるいは、汎用の情報処理装置を用いて、本発明の位置情報管理サーバの機能に相応する機能を実現することができる。あるいは、汎用の携帯電話端末が有する汎用の情報処理装置を用いて、本発明の携帯電話端末の機能に相応する機能を実現することができる。
【0040】
なお、本発明のプログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、位置情報を取得するためのRFIDタグによって店舗や企業の広告を行い、RFIDタグの設置を促進させることができる。これにより、RFIDタグを用いた位置情報提供サービスの普及を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の実施の形態の位置情報提供システムを図面に基づいて説明する。まず、本システムの全体構成を図1に示す。インターネット10を介してASP20とルータ31、41、51がIPレベルの通信可能な状態にあるものとする。
【0043】
ASP20は位置情報管理サーバ21を利用して位置情報提供サービスを提供するサービスプロバイダであり、企業A30、企業B40、公共施設50は、ASP20に対して宣伝請負顧客の位置づけであり、ASP20が提供する位置情報提供サービスにおけるRFIDアンテナ装置32、42、52の設置などの協力的な立場にある。携帯電話端末100、110、120は、通話機能の他、インターネット接続、WEBブラウジング機能およびRFID通信機能を有するものとする。
【0044】
次に、本システムにおける各機能動作を図2〜図4を参照して説明する。位置情報提供サービスをユーザが利用するにあたり、事前にASP20にインターネットアクセスし、利用申請を行うことを前提とする。携帯電話端末におけるWEBブラウザー機能は既知の技術であるため説明を省略するが、申請内容として、ユーザが所有する携帯電話端末の電話番号(図4、「電話番号」列に登録)、位置情報の検索対象となる携帯電話端末の電話番号(図4、「検索対象の携帯端末番号」列に登録)あるいは、ASP20に事前登録している建物や施設を登録する。
【0045】
同時に、サービスの利用期限を設定する(図4、「期限」列に登録)。利用期限を過ぎると位置情報管理サーバ21上からデータが消去される。また、位置情報提供サービスを開始または停止することも申請をする(図4、「サービス」列に登録)。登録状態から開始状態に遷移すると、位置情報管理サーバ21はサービス利用な携帯電話端末を判別するための認証キーを発行する(図4、「認証キー」列に登録)。
【0046】
図2は、図1における携帯電話端末100、110、120の内部に組み込まれた機能ブロック図である。各キャリア毎に販売されている携帯電話端末で汎用性を持たせるため、図2のRFIDインタフェースの受信部310および送信部320を除き、携帯電話端末に内蔵するメモリ空間上で動作するソフトウェアモジュールで構成されるものとしてもよい。
【0047】
図3は、図1におけるRFIDアンテナ装置32、42、52内部の機能ブロック図である。RFIDデータを送受信するRFIDインタフェースの送信部450および受信部460と、Ethernet(登録商標)などのLANデータを送受信するLANインタフェースの受信部410および送信部420と、RFIDアンテナ装置400の設置情報(例として緯度、経度などの絶対座標)および設置場所に関連する付加情報(例として、設置されている建物の名称、階数、店舗名、宣伝広告情報、周辺でのイベント情報など)が格納される位置情報および付加情報記憶部440とを備え、位置情報および付加情報制御部470により付加情報は設置場所を提供している企業A30,企業B40、公共施設50の内部の担当者によって適宜書き換え可能なものとする。
【0048】
ここで、図1の携帯電話端末100のユーザが、携帯電話端末110の位置情報を得るサービスを実行する場合について説明する。すなわち、携帯電話端末100のユーザは、携帯電話端末110の現在位置に向かって移動を希望しているがそのための経路が不明であるため、携帯電話端末110の位置情報を得ようとしている。
【0049】
図1において、携帯電話端末100への位置情報は、携帯電話端末100の直近の企業A30に備えてあるRFIDアンテナ装置32から提供されるが、このときに、企業A30に関する広告としての付加情報も位置情報と共に携帯電話端末100に送信される。
【0050】
まず、携帯電話端末100のユーザは、携帯電話端末100内部の、図2における電話番号メモリ380に自身の電話番号をセットし、前記認証キーを認証キーメモリ390にセットする。セットされたデータは認証判定部350に通知され、位置情報を受信する際に図1のASP20が送信したデータであることを判定するために用いられる。
【0051】
また、図2のRFIDインタフェースの送信部320にも通知され、電話番号と認証キーとを合わせたデータグラムとして格納され、携帯電話端末100が図1のRFIDアンテナ装置32の有効範囲内にいるときに送信される。
【0052】
図1のRFIDアンテナ装置32にて前記の電話番号と認証キーとを合わせたデータグラムを受信すると、図3のRFIDインタフェースの受信部460に格納され、データ合成部430に通知される。
【0053】
データ合成部430では図1のRFIDアンテナ装置32の設置位置情報と付加情報とを受信したデータグラムに付加し、LANインタフェースの送信部420に通知し、UDP/IPパケット化(宛先IPアドレスは図1のASP20)およびEthernetなどのフレーム化を行った後に、図1のルータ31に受け渡される。NAPT処理などの後、図1のルータ31はASP20向けに当該のIPパケットを転送する。
【0054】
ここで、位置情報管理サーバ21の特徴および処理手順を図5および図6を参照して説明する。図5は位置情報管理サーバ21における本発明の特徴である距離情報計算および振動パターンデータ作成を行う機能ブロックを示す要部ブロック構成図である。図6は位置情報管理サーバ21の処理手順を示すフローチャートである。
【0055】
図5に示すように、位置情報管理サーバ21は、位置情報および付加情報取得部200、距離計算部201、振動パターンデータ作成部202、情報送信部203を備え、距離計算部201は、携帯電話端末100の利用者が予め指定した目的地と携帯電話端末100の利用者の現在地点との距離情報を、目的地近傍に設置されたRFIDアンテナ装置42と現在位置近傍に設置されたRFIDアンテナ装置32との距離に基づき計算する。
【0056】
図6に示すように、位置情報管理サーバ21が、図1のASP20にて位置情報要求に関するIPパケットを受信すると(S1)、要求のあったパケット内部の電話番号、認証キーが、自身が管理するデータベース(データベースのイメージは図4)に登録されているかどうかを確認する(S2)。電話番号および認証キーの組み合わせが一致しない場合には、受信したパケットは破棄され(S10)、位置情報検索処理は初期状態に戻る。
【0057】
一致した場合には(S3)、位置情報要求元の携帯電話端末100のサービスが開始状態になっているかどうか確認する(S4)。開始状態でない場合(つまり図4の該当するレコードにて「サービス」が「開始」以外の場合)は受信したパケットは破棄され(S10)、位置情報検索処理は初期状態に戻る。
【0058】
開始状態の場合には、事前に登録された検索対象の電話番号を持つ携帯電話端末110が、本サービスを開始しているかどうかを確認する(S5)。開始していない場合には、受信したパケットは破棄され(S10)、位置情報検索処理は初期状態に戻る(例として、図1における携帯電話端末120のような状態。図4のデータベース上のNo3のレコード上のデータが該当する)。
【0059】
開始している場合(例として、図1における携帯端末110のような状態。図4のデータベース上のNo2のレコード上のデータが該当する)には(S5)、位置情報および付加情報取得部200により要求元のRFIDアンテナ装置32の位置情報がデータベース上に取り込まれる(図4、「位置情報」の列)。合わせて付加情報(図4、「付加情報」の列にある“広告(企業A)”)も取り込む(S6)。取り込まれた付加情報の内容は公序良俗に反しない内容かどうかASP20の事業責任として管理し、必要であれば削除することとしてもよい。
【0060】
さらに、位置情報および付加情報取得部200は、検索対象である携帯電話端末110の位置情報としてRFIDアンテナ装置42の位置情報も取り込む(S6)。距離計算部201は、データベース上の位置情報列に含まれる絶対座標の差分より、図1のRFIDアンテナ装置32とRFIDアンテナ装置42との間の距離を計算する(計算方法は数学的に既知のため省略するが、付近の地形や道路の状態を考慮した数値に変換してもよい)(S7)。振動パターンデータ作成部202は、距離計算部201による計算結果の距離に応じ、図1の携帯電話端末100に通知すべき振動パターンデータを作成する(S8)。これらの各種情報は、情報送信部203によりASP20に送信される(S9)。
【0061】
ASP20は前記振動パターン、携帯電話端末100の電話番号、認証キーおよび付加情報をデータグラムとしたパケットを生成し、図1の企業A30のルータ31宛てに送信する。
【0062】
図1のインターネット10を介し、ASP20より送信されたパケットは企業A30のルータ31にて受信され、NAPT変換などの処理をした後、フォワーディングされ、RFIDアンテナ装置32に受け渡される。
【0063】
図1のRFIDアンテナ装置32で受信したEthernet形式のフレームは、図3のLANインタフェースの受信部410に格納され、図1の携帯電話端末100に通知すべき情報(振動パターン、携帯電話端末100の電話番号、認証キーおよび付加情報)を取り出し、図3のRFIDインタフェースの送信部450に通知する。
【0064】
RFIDインタフェースの送信部450に格納されたデータは、図1のRFIDアンテナ装置32の有効範囲内に携帯電話端末100が存在するときに、携帯電話端末100に当該データを送信する。
【0065】
図1の携帯電話端末100が、図1のASP20から送信された各種データを、図2のRFIDインタフェースの受信部310で受信する。RFIDインタフェースの受信部310は、振動パターン、電話番号、認証キーおよび付加情報を取り出し、振動パターンデータはデコード部340へ、電話番号および認証キーデータは認証判定部350へ、付加情報は付加情報処理部330へ通知する。
【0066】
認証判定部350では、既に電話番号メモリ380および認証キーメモリ390から通知されたデータが格納されており、RFIDインタフェースの受信部310から通知された電話番号および認証キーデータとの照合を行う。
【0067】
照合の結果、不一致の場合はRFIDインタフェースの受信部310にて受信した位置情報データは破棄される。一致した場合は、付加情報表示部360および振動制御部370に対し、機能動作を許可する通知を行う。
【0068】
図2のデコード部340では、RFIDインタフェースの受信部310から通知された振動パターンデータを取り込み、図1の携帯電話端末100を振動パターンに従った振動をさせるための命令を作成(デコードし)、図2の振動制御部370に通知する。
【0069】
図2の振動制御部370は、デコード部340から、図1の携帯電話端末100を振動パターンに従った振動をさせるための命令を受け、認証判定部350から機能動作の許可を通知されていた場合のみ、図1の携帯電話端末100を振動させる。図2の認証判定部350から機能動作の許可を通知されていない場合は、デコード部340から通知される命令は実行されない。
【0070】
図2の付加情報処理部330では、RFIDインタフェースの受信部310から通知された付加情報を取り込み、各携帯事業者が定義する文字コード変換を行い、付加情報表示部360へ変換データを通知する。付加情報が存在しない場合は、表示するデータがないことを付加情報表示部360へ変換データを通知する。
【0071】
図2の付加情報表示部360は、付加情報処理部330から付加情報を受け、認証判定部350から機能動作の許可を通知されていた場合のみ、携帯電話端末100のディスプレイなどに表示させる。付加情報が存在しない場合あるいは認証判定部350から機能動作の許可を通知されていない場合は表示しない。
【0072】
図1の携帯電話端末100を有するユーザは、携帯電話端末110および公共施設50の近傍に設置されたRFIDアンテナ装置42または52までの距離を、携帯電話端末100の振動パターンを通じて認識することが可能となる。またRFIDインタフェースを介する通信はユーザによる操作を伴わないため、移動中、懐中にしまった状態でも自動的に振動パターンが更新され、目的地までの距離を生体感覚として認識出来る。
【0073】
このとき、携帯電話端末100の表示画面には、付加情報として企業Aの広告が表示される。携帯電話端末100の利用者は、振動パターンを通じて目的地までの距離を生体感覚として認識する他に、表示画面を見ることができる状況下である場合には、表示画面を目視確認し、自分の現在位置周辺の情報(ここでは企業Aの広告)を得ることができる。
【0074】
併せて途中経路上のRFIDアンテナ装置32、42、52に設定された付加情報を自動的に受信するため、経路の正当性や目的地に至る周辺情報を確認することも可能である。
【0075】
振動パターンの例を図7に示す。目的地との距離が遠い場合には、長い振動期間の後に短い2回の振動期間を設ける。さらに、目的地に近づいた場合には、長い振動期間の後に短い1回の振動期間を設ける。目的地近傍では、短い振動期間を連続させる。
【0076】
付加情報の表示例を図8に示す。携帯電話端末の表示画面を見ることができる状況でないときには、振動表示(図8(a))により目的地との距離情報を得ることができる。携帯電話端末の表示画面を見ることができる状況下では、画像表示(図8(b))された付加情報を見ることができる。図8の例では企業Aの広告が表示されている。また、振動表示と画像表示とを同時に利用することもできる(図8(c))。
【0077】
本位置情報提供サービスを運営するにあたり、利用者を対象に課金する形態が一般的だが、ASP20のようなサービス提供事業者は、企業や公共施設などにRFIDアンテナ装置を設置し、前記付加情報に基づいた広告宣伝の自由度を与える代償として、位置情報提供サービス運営に関わる費用を拠出させ、サービス利用者は無料で本サービスを利用できる、という形態として利用者を拡大する形態も考えられる。
【0078】
また、携帯電話端末個々に共通的な認証キーを設定することで、放送形態の情報提供サービスも考えられる。特に近隣の災害に関する情報などを聴覚障害のある方へ提供する有効な手段として用いてもよい。
【0079】
なお、本実施例では、振動パターンによって目的地との距離を生体感覚として認識する例を示したが、従来どおり、携帯電話端末の表示画面上に現在位置または目的地までの経路などの地図情報またはテキスト情報を位置情報として表示してもよい。さらに、振動パターンによる距離情報の表示と表示画面上の地図情報の表示とを両方行ってもよい。
【0080】
(その他の実施例)
その他の実施例を図9を参照して説明する。図9はその他の実施例における付加情報の登録例を示す図である。本実施例では、位置情報および付加情報記憶部440に、複数の付加情報が記憶され、位置情報および付加情報制御部470は、予め指定された期間または曜日または時間帯に予め指定されたいずれかの付加情報を位置情報と共にASP20に送信する。本実施例の場合にも操作者の認証を行った後にアクセスを許可することが望ましい。
【0081】
これによれば、RFIDアンテナ装置の設置主である店舗や企業は、予め複数の付加情報を位置情報および付加情報記憶部440に記憶させておき、これらの付加情報を送信する期間または曜日または時間帯を予め指定しておくことにより、位置情報および付加情報制御部470が自動的に付加情報を更新することができ、付加情報更新担当者の利便性を向上させることができる。
(プログラムの実施例)
汎用の情報処理装置にインストールすることにより、その汎用の情報処理装置に、本実施例のRFIDアンテナ装置32、42、52の情報処理機能または位置情報管理サーバ21の機能に相応する機能を実現させるプログラムおよび汎用の携帯電話端末が有する汎用の情報処理装置にインタフェースすることにより、その汎用の情報処理装置に、本実施例の携帯電話端末100、110、120の機能に相応する機能を実現させるプログラムの実施例を説明する。
【0082】
本実施例のプログラムは記録媒体に記録されることにより、前記汎用の情報処理装置は、この記録媒体を用いて本実施例のプログラムをインストールすることができる。あるいは、本実施例のプログラムを保持するサーバからネットワークを介して直接前記汎用の情報処理装置に本実施例のプログラムをインストールすることもできる。
【0083】
これにより、汎用の情報処理装置または汎用の携帯電話端末が有する汎用の情報処理装置を用いて、本実施例のRFIDアンテナ装置32、42、52の情報処理機能または位置情報管理サーバ21の機能または携帯電話端末100、110、120の機能に相応する機能を実現することができる。
【0084】
なお、本実施例のプログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、位置情報を取得するためのRFIDタグによって店舗や企業の広告を行い、RFIDタグの設置を促進させることに利用できる。これにより、RFIDタグを用いた位置情報提供サービスの普及に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施例の位置情報提供システムの全体構成図。
【図2】本実施例の携帯電話端末のブロック構成図。
【図3】本実施例のRFIDアンテナ装置のブロック構成図。
【図4】本実施例の位置情報管理サーバのデータベース構成図。
【図5】本実施例の位置情報管理サーバの要部ブロック構成図。
【図6】本実施例の位置情報管理サーバの処理手順を示すフローチャート。
【図7】振動パターンの例を示す図。
【図8】携帯電話端末の画像表示例を示す図。
【図9】その他の実施例の付加情報の登録例を示す図。
【符号の説明】
【0087】
10 インターネット
20 ASP
21 位置情報管理サーバ
30 企業A
31、41、51 ルータ
32、42、52、400 RFIDアンテナ装置
40 企業B
50 公共施設
100、110、120、300 携帯電話端末
200 位置情報および付加情報取得部
201 距離計算部
202 振動パターンデータ作成部
203 情報送信部
310、410、460 受信部
320、420、450 送信部
330 付加情報処理部
340 デコード部
350 認証判定部
360 付加情報表示部
370 振動制御部
380 電話番号メモリ
390 認証キーメモリ
430 データ合成部
440 位置情報および付加情報記憶部
470 位置情報および付加情報制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を送信するRFIDアンテナ装置と、
この位置情報を受信して表示する携帯電話端末と
を備え、
前記携帯電話端末からの位置情報の取得要求に応じて当該携帯電話端末近傍の前記RFIDアンテナ装置が位置情報を送信する
位置情報提供システムにおいて、
前記RFIDアンテナ装置は、位置情報と共に付加情報を送信する手段を備え、
前記携帯電話端末は、前記RFIDアンテナ装置から送信された前記位置情報と共に前記付加情報を表示する手段を備えた
ことを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項2】
前記RFIDアンテナ装置は、
前記位置情報を前記付加情報と共に記憶する手段と、
この記憶する手段に記憶された前記付加情報を外部からの操作に応じて書き換える付加情報書換手段と
を備えた請求項1記載の位置情報提供システム。
【請求項3】
前記記憶する手段には、複数の前記付加情報が記憶され、
予め指定された期間または曜日または時間帯に予め指定されたいずれかの前記付加情報を前記位置情報と共に送信する付加情報変更手段を備えた
請求項2記載の位置情報提供システム。
【請求項4】
前記付加情報書換手段または前記付加情報変更手段は、予め登録された操作者を認証した後にアクセスを許可する手段を備えた請求項2または3記載の位置情報提供システム。
【請求項5】
前記携帯電話端末の利用者が予め指定した目的地と前記携帯電話端末の利用者の現在地点との距離情報を、前記目的地近傍に設置された前記RFIDアンテナ装置と前記現在位置近傍に設置された前記RFIDアンテナ装置との距離に基づき計算する手段を含む位置情報管理サーバを備えた請求項1ないし4のいずれかに記載の位置情報提供システム。
【請求項6】
前記携帯電話端末は、前記距離情報を受信して表示する距離情報表示手段を備え、
この距離情報表示手段は、距離の長短を自携帯電話端末の振動パターンに変換して表示する手段を備えた
請求項5記載の位置情報提供システム。
【請求項7】
位置情報を送信するRFIDアンテナ装置と、
この位置情報を受信して表示する携帯電話端末と
を備え、
前記携帯電話端末からの位置情報の取得要求に応じて当該携帯電話端末近傍の前記RFIDアンテナ装置が位置情報を送信する
位置情報提供システムに適用される前記RFIDアンテナ装置において、
位置情報と共に付加情報を送信する手段を備えた
ことを特徴とするRFIDアンテナ装置。
【請求項8】
前記位置情報を前記付加情報と共に記憶する手段と、
この記憶する手段に記憶された前記付加情報を外部からの操作に応じて書き換える付加情報書換手段と
を備えた請求項7記載のRFIDアンテナ装置。
【請求項9】
前記記憶する手段には、複数の前記付加情報が記憶され、
予め指定された期間または曜日または時間帯に予め指定されたいずれかの前記付加情報を前記位置情報と共に送信する付加情報変更手段を備えた
請求項8記載のRFIDアンテナ装置。
【請求項10】
前記付加情報書換手段または前記付加情報変更手段は、予め登録された操作者を認証した後にアクセスを許可する手段を備えた請求項8または9記載のRFIDアンテナ装置。
【請求項11】
請求項1ないし6のいずれかに記載の位置情報提供システムに設けられ、
前記携帯電話端末の利用者が予め指定した目的地と前記携帯電話端末の利用者の現在地点との距離情報を、前記目的地近傍に設置された前記RFIDアンテナ装置と前記現在位置近傍に設置された前記RFIDアンテナ装置との距離に基づき計算する手段を備えた
位置情報管理サーバ。
【請求項12】
位置情報を送信するRFIDアンテナ装置と、
この位置情報を受信して表示する携帯電話端末と
を備え、
前記携帯電話端末からの位置情報の取得要求に応じて当該携帯電話端末近傍の前記RFIDアンテナ装置が位置情報を送信する
位置情報提供システムに適用される前記携帯電話端末において、
前記RFIDアンテナ装置から送信された位置情報および付加情報を表示する手段を備えた
ことを特徴とする携帯電話端末。
【請求項13】
前記携帯電話端末は、請求項11記載の位置情報管理サーバにより計算された前記距離情報を受信して表示する距離情報表示手段を備え、
この距離情報表示手段は、距離の長短を自携帯電話端末の振動パターンに変換して表示する手段を備えた
請求項12記載の携帯電話端末。
【請求項14】
RFIDアンテナ装置が位置情報を送信し、
携帯電話端末がこの位置情報を受信して表示し、
前記携帯電話端末からの位置情報の取得要求に応じて当該携帯電話端末近傍の前記RFIDアンテナ装置が位置情報を送信する
位置情報提供方法において、
前記RFIDアンテナ装置が、位置情報と共に付加情報を送信し、
前記携帯電話端末が、前記RFIDアンテナ装置から送信された前記位置情報と共に前記付加情報を表示する
ことを特徴とする位置情報提供方法。
【請求項15】
前記RFIDアンテナ装置が、前記位置情報を前記付加情報と共に記憶しておき、この記憶された前記付加情報を外部からの操作に応じて書き換える請求項14記載の位置情報提供方法。
【請求項16】
前記RFIDアンテナ装置が、複数の前記付加情報を記憶しておき、予め指定された期間または曜日または時間帯に予め指定されたいずれかの前記付加情報を前記位置情報と共に送信する請求項14記載の位置情報提供方法。
【請求項17】
前記付加情報の書き換え、または、前記期間または曜日または時間帯の指定は、予め登録された操作者を認証した後にアクセスを許可する請求項14または16記載の位置情報提供方法。
【請求項18】
位置情報管理サーバが、前記携帯電話端末の利用者が予め指定した目的地と前記携帯電話端末の利用者の現在地点との距離情報を、前記目的地近傍に設置されたRFIDアンテナ装置と前記現在位置近傍に設置されたRFIDアンテナ装置との距離に基づき計算する請求項14ないし17のいずれかに記載の位置情報提供方法。
【請求項19】
前記携帯電話端末が、前記距離情報を受信して表示し、
この表示を行う際には、距離の長短を前記携帯電話端末の振動パターンに変換して表示する
請求項18記載の位置情報提供方法。
【請求項20】
汎用の情報処理装置にインストールすることにより、その汎用の情報処理装置に、請求項7ないし10のいずれかに記載のRFIDアンテナ装置の情報処理機能に相応する機能を実現させるプログラム。
【請求項21】
汎用の情報処理装置にインストールすることにより、その汎用の情報処理装置に、請求項11記載の位置情報管理サーバの機能に相応する機能を実現させるプログラム。
【請求項22】
汎用の携帯電話端末が有する汎用の情報処理装置にインストールすることにより、その汎用の情報処理装置に、請求項12または13のいずれかに記載の携帯電話端末の機能に相応する機能を実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−236651(P2008−236651A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76894(P2007−76894)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】