説明

位置検出システム、スピーカシステムおよびユーザ端末装置

【課題】視聴者となるユーザの位置をより簡単に自動検出できるシステムを提供する。
【解決手段】スピーカ装置2は、スピーカSPから測定用音声信号を出力するとともに、タイマ23aにより時間の測定を開始する。リモコン3は、マイク32により測定用音声信号を受信すると、受信した旨を示す受信コマンドをスピーカ装置2に送信する。スピーカ装置2は、受信コマンドを受信すると、タイマ23aを停止させる。このようにして離間した2つのスピーカSPから測定用音声信号を出力させ、この測定用音声信号がリモコン3に到達するまでの時間を計測し、この計測した2つの時間に基づいて、演算部23cはリモコン3の位置を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出システムに関し、より具体的には、複数個のスピーカより構成されるスピーカシステムにおいて、聴者となるユーザの位置を検出する位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のスピーカより構成されるスピーカシステムにおいては、聴者となるユーザにとって最適な音場が得られるように、ユーザの位置を検出して、その位置に応じた音像を形成することが行われている。特に、アレイスピーカシステムにおいては、各スピーカに入力される音声信号に付加する遅延量を制御することによって、出力される音声に指向性を持たせ、このようにして形成した音声ビームを壁面で反射させることによって、立体的な音場を形成することが行われるようになってきた。したがって、ビームパラメータを適切に設定するためにも、ユーザの位置検出が重要となってきている。
【0003】
従来の位置検出技術としては、例えば、特許文献1に記載されたステレオ音声修復装置においては、視聴者に発信音装置を持たせると共に左右のスピーカの近傍にそれぞれ受信回路を設け、この発信音装置からの発信音を受信回路で受信したときの受信レベルから視聴者の位置を検出している。また、特許文献2には、専用の人体センサを複数個用いて人間の位置を検出することが開示されている。また、特許文献3には、ビデオカメラで撮った画像を処理することによって視聴者の位置を特定することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平05−091597号公報
【特許文献2】特開平05−137200号公報
【特許文献3】特開平13−054200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の位置検出技術は、専用の受信回路やセンサ、カメラ等を適当な位置に設置する必要があることに加え、次のような問題があった。
特許文献1に記載された位置検出技術では、試聴者が持つ発信音装置に、音声を出力するためのスピーカやそれを駆動するためのパワーアンプを設けることが必要となる。また、スピーカ側にも本来のスピーカ機能とは別に受音回路を設ける必要が生じる。したがって、発信音装置が大がかりなものとなる。また、特許文献2に記載された位置検出技術では、複数の人体センサ(赤外線センサ)を使用しているために、複数の人間が検出された場合など、人の位置検出の処理が複雑となる。また、引用文献3記載の技術によれば、ビデオカメラや画像処理装置が必要となるため、ハードウェアおよびソフトウェア双方のコストが増大してしまう。
そこで、本発明は、視聴者となるユーザの位置をより簡単に自動検出できるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本願発明にかかる位置検出システムは、空間的に配列された第1および第2のスピーカを含む複数のスピーカと、これらのスピーカをそれぞれ駆動する駆動手段とからなるスピーカシステムと、このスピーカシステムに対する無線信号を送出する信号送出手段を有するユーザ端末装置と、スピーカシステム側に設けられ、ユーザ端末装置の位置を検出する位置検出手段とからなり、ユーザ端末装置は、マイクロフォンと、スピーカのうち1のスピーカからの音声信号を検出すると信号を位置検出手段に送出する信号送出手段とを備え、位置検出手段は、ユーザ端末装置から送信された信号を受信する受信手段と、複数のスピーカのうち1のスピーカを駆動してからユーザ端末装置からの信号を受信するまでの時間を計測する計時手段と、第1のスピーカを駆動してからこの第1のスピーカからの音声信号に対する第1の信号を受信するまでの第1の時間と、第2のスピーカを駆動してから第2の信号を受信するまでの第2の時間とから、ユーザ端末装置の位置を演算する演算手段とを有することを特徴とする。
【0007】
ユーザ端末装置側においては、スピーカから発生した音声信号を検出し、この音声信号が検出されると、信号を送信することによって、その旨をスピーカシステム側に通知する。スピーカシステム側においては、第1および第2のスピーカからそれぞれ発生した音声信号がユーザ端末装置に到達するまでの第1および第2の時間をそれぞれ計測し、これら2つの時間からユーザ端末装置の位置を演算する。
【0008】
また、本発明にかかる位置検出システムにおいては、ユーザ端末装置は、スピーカシステムに対して位置検出を開始することを表す起動信号を送信し、位置検出手段は、さらに、ユーザ端末装置からの起動信号を受信すると第1のスピーカを駆動する駆動制御手段を有するようにしてもよい。
【0009】
また、上記駆動制御手段は、ユーザ端末装置から第1の信号を受信した後に第2のスピーカを駆動するようにしてもよい。
【0010】
上記スピーカシステムは、さらに、ユーザ端末装置の位置に応じて、スピーカからそれぞれ出力される音量のバランスを制御する音量制御手段を有していてもよいし、スピーカシステムがアレイスピーカの場合は、ユーザ端末装置の位置に応じてスピーカに入力される音声信号に付加する遅延量を制御する遅延制御手段を備えていてもよい。
【0011】
上記スピーカシステムは、さらに、ユーザ端末装置の位置が適切であるか否かを判定する判定手段と、この判定手段の判定結果に基づいてスピーカから音声信号を発生させる報知手段とを備えていてもよい。また、ユーザ端末装置は、報知手段の音声信号を検出すると、この音声信号に基づく表示を行う表示手段をさらに備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、位置検出のために専用の受信回路やセンサ等を設けることなく、聴者となるユーザの位置をより簡単に自動検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかるスピーカシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すスピーカシステム1は、複数個のスピーカSPが水平方向に一列に配列されたスピーカ装置2と、このスピーカ装置2の動作を制御する制御信号を送出するリモートコントローラ(リモコン)3とから構成される。
【0014】
スピーカ装置2は、リモコン3からの制御信号を受信する受信部21と、この受信部21が受信した制御信号に基づいてスピーカ装置2の各構成要素を制御するシステムコントローラ22と、システムコントローラ22の指示に基づいてリモコン3の位置を検出する位置検出部23と、音声信号をスピーカ装置2に導入するオーディオ制御部24と、システムコントローラ22の指示と位置検出部23により検出されたリモコン3の位置とに基づいてスピーカSP毎に設けられたアンプ26を制御するスピーカ制御部25とから構成される。
【0015】
受信部21は、例えば赤外線受光装置等の公知のI/F装置から構成され、リモコン3から出力される変調された赤外線信号などを受信し、これを復調して得られた制御信号をシステムコントローラ22に入力する。
【0016】
システムコントローラ22は、受信部21が受信した制御信号に基づいて、位置検出部23およびスピーカ制御部25に各種指示を出す機能部である。例えば、音量の増減を指示する制御信号を受信した場合、システムコントローラ22は、スピーカ制御部25にスピーカSPの音量を調整させる。また、リモコン3の位置検出を要求する制御信号(以下、「開始コマンド」と呼ぶ。)を受信した場合、システムコントローラ22は、位置検出部23およびスピーカ制御部25に後述する位置検出動作を行わせる。
【0017】
位置検出部23は、システムコントローラ22からの指示に基づいて時間を計測するタイマ23aと、このタイマ23aにより計測された時間を記憶する他、プロセッサなどの演算装置の動作を制御するプログラムを記憶したメモリ23bと、このメモリ23bに記憶された時間に基づいてリモコン3の位置を演算する演算部23cとから構成される。演算部23cは、プロセッサなどの演算装置がメモリ23bに記憶されたプログラムに従って動作することによって所定の機能を実現する。
【0018】
オーディオ制御部24は、CD(Compact Disc)やMD(Mini Disc)等の記録媒体やMP3等の音声ファイルなどの再生装置から入力される音声信号をスピーカ制御部25に入力する機能部である。
【0019】
スピーカ制御部25は、システムコントローラ22からの指示と、位置検出部23により検出されたリモコン3の位置とに基づいて、スピーカSP毎に設けられたアンプ26の制御量やアンプ26に入力する音声信号の遅延量を制御することにより、オーディオ制御部24から入力された音声信号の音量のバランスを調整し、その音声信号をスピーカSPから出力させる機能部である。また、スピーカ制御部25は、システムコントローラ22からの指示に基づいて、所定のスピーカSPに測定用音声信号を出力させる。
【0020】
一方、リモコン3は、ユーザによる操作入力を検出する入力部31と、音声信号を検出するマイク32と、このマイク32の受音信号からスピーカ装置2が出力した測定用音声信号を検出する信号検出部33と、入力部31および信号検出部33が検出した情報に基づいてスピーカ装置2に送信する制御信号を生成するリモコン制御部34と、このリモコン制御部34により生成された制御信号によって変調された赤外線信号等を送信する送信部35とから構成される。
【0021】
入力部31は、ボタン、タッチパネル、ポインティングデバイス等の公知のユーザI/F装置から構成され、検出したユーザの操作入力に関する情報をリモコン制御部34に入力する。
【0022】
マイク32は、公知のマイクロフォンから構成され、検出した受音信号を信号検出部33に入力する。
【0023】
信号検出部33は、マイク32の受音信号からスピーカ装置2から出力された測定用音声信号を検出し、リモコン制御部34に入力する。
【0024】
リモコン制御部34は、入力部31が検出したユーザの操作入力に関する情報に基づいてスピーカ装置2に対する制御信号を生成する他、上述した信号検出部33から測定用音声信号を取得すると、測定用音声信号を受信した旨を示す制御信号(以下、「受信コマンド」と呼ぶ。)を生成する。なお、信号検出部33およびリモコン制御部34は、LSI等のデバイスにより一体に構成することもできる。
【0025】
送信部35は、例えば赤外線発光装置等の公知のI/F装置から構成され、リモコン制御部34により生成された制御信号に基づく赤外線信号等を出力する。
【0026】
次に、本実施の形態にかかるスピーカシステムによるリモコンの位置を検出する際の動作について、図2,3を参照して説明する。図2は、スピーカシステムの動作を示すシーケンス図、図3は、スピーカ装置2とリモコン3との位置関係を示す模式図である。なお、本実施の形態では、図3に示すように、12個のスピーカSP1〜SP12が所定間隔離間して水平方向に一列に配列されている場合を例に説明する。ここで、説明の便宜を図るために、スピーカSPの配列方向をX軸、このX軸に直交しかつ水平方向と平行な軸をY軸とする。X軸は、スピーカ装置2に向かって右側、すなわちスピーカSP12側を正の方向とし、Y軸は、スピーカSPからの音声信号の出力方向、すなわちユーザ側を正の方向とする。X軸とY軸の交点、すなわちX軸とY軸の原点は、スピーカSP1〜12の中央、すなわちスピーカSP6とスピーカSP7の中間とする。
【0027】
まず、リモコン3において、例えば、位置検出開始ボタンが押下される等により、入力部31がユーザから位置検出動作を要求する操作入力を検出する(ステップS201)と、リモコン制御部34は、リモコン3の位置検出の開始を指示する制御信号(開始コマンド)を生成し、これを送信部35により送信させる(ステップS202)。
【0028】
この開始コマンドをスピーカ装置2の受信部21が受信すると(ステップS203)、システムコントローラ22は、位置検出部23のタイマ23aに時間の計測を開始させるとともに、スピーカ制御部25により所定の第1のスピーカSP(本実施の形態においては一列に配列されたスピーカSP1〜12のうち一端に位置するスピーカSP1)から1番目の測定用音声信号(以下、「第1測定信号」と呼ぶ。)を出力させる(ステップS204)。このとき、スピーカ制御部25は、測定用音声信号として、停止の指示があるまで音声信号を出力し続ける連続音声信号をスピーカSP1から出力させてもよいが、パルス状の単発の音声信号である単発音声信号を出力させるようにしてもよい。
【0029】
スピーカSP1から出力された第1測定信号をリモコン3のマイク32の受音信号から信号検出部33が検出すると(ステップS205)、リモコン制御部34は、測定用音声信号を受信した旨を示す制御信号(受信コマンド)を生成し、送信部35によりこれを送信させる(ステップS206)。
【0030】
この受信コマンドをスピーカ装置2の受信部21が受信すると、システムコントローラ22は、位置検出部23のタイマ23aに時間の計測を停止させ、この計測した時間、すなわち第1測定信号がリモコン3に到達するまでに要した第1の時間t1を、メモリ23bに一時記憶させる(ステップS207)。また、測定用音声信号が上記連続音声信号の場合、受信コマンドを受信すると、システムコントローラ22は、スピーカSP1に測定用音声信号の出力を停止させる。なお、本実施の形態において、リモコン3における制御信号の生成とその制御信号の送受信に要する時間は、測定用音声信号の伝搬時間と比較してはるかに小さいので、無視するものとする。
【0031】
次に、システムコントローラ22は、再度タイマ23aに時間の計測を開始させるとともに、スピーカ制御部25によりスピーカSP1と離間した第2の所定のスピーカSP(本実施の形態においては一列に配列されたスピーカSP1〜12のうち一端に位置するスピーカSP12)から2番目の測定用音声信号(以下、「第2測定信号」と呼ぶ。)を出力させる(ステップS208)。
【0032】
スピーカSP12から出力された第2測定信号をリモコン3のマイク32の受音信号から信号検出部33が検出すると(ステップS209)、リモコン制御部34は、測定用音声信号を受信した旨を示す制御信号(受信コマンド)を生成し、送信部35によりこれを送信させる(ステップS210)。
【0033】
この受信コマンドをスピーカ装置2の受信部21が受信すると、システムコントローラ22は、位置検出部23のタイマ23aに時間の計測を停止させ、この計測した時間、すなわち第2測定信号がリモコン3に到達するまでに要した第2の時間t2をメモリ23bに一時記憶させる(ステップS211)。ここで、測定用音声信号が上記連続音声信号の場合、受信コマンドを受信すると、システムコントローラ22は、スピーカSP12に測定用音声信号の出力を停止させる。
【0034】
次に、位置検出部23の演算部23cは、メモリ23bに記憶した第1の時間t1および第2の時間t2を取得して、これらに基づきリモコン3の位置を演算する(ステップS212)。この演算方法について、図3を参照して説明する。
【0035】
第1の時間t1と第2の時間t2とが等しい場合は(t1=t2)、リモコン3とスピーカSP1の距離と、リモコン3とスピーカSP12の距離とが等しいことを意味する。したがって、図3中のY軸上、すなわちスピーカ装置2の中央正面(図3に示すリモコン3aの位置)にリモコン3が位置することがわかる。このとき、リモコン3とスピーカ装置2との距離yは、スピーカSP1のX軸の座標をx1、スピーカSP12のX軸の座標をx2とすると、第1の時間t1または第2の時間t2と、音速cと、スピーカSP1とスピーカSP12の距離(x2−x1)とから、下式(1)により算出することができる。
【0036】
y=[(ct12−{(x2−x1)/2}21/2
=[(ct22−{(x2−x1)/2}21/2 ・・・(1)
【0037】
第1の時間t1’が第2の時間t2’よりも長い場合は(t1’>t2’)、リモコン3とスピーカSP1の距離がリモコン3とスピーカSP12の距離よりも長いことを意味する。したがって、リモコン3がスピーカ装置2の中央よりもスピーカSP12側、すなわち図3を正面視した際にリモコン3がY軸よりも右側(図3に示すリモコン3bの位置)に位置することがわかる。このとき、リモコン3のX軸上の座標x’およびリモコン3とスピーカ2との距離y’は、下式(2),(3)により算出することができる。
【0038】
x’=[(ct2’)2−(ct1’)2+(x22−(x12]/[2(x2−x1)] ・・・(2)
【0039】
y’=[(ct1’)2−(x2−x’)21/2
=[(ct2’)2−(x’−x121/2 ・・・(3)
【0040】
第1の時間t1”が第2の時間t2”よりも短い場合は(t1”<t2”)、リモコン3とスピーカSP1の距離がリモコン3とスピーカSP12の距離よりも短いことを意味する。したがって、リモコン3がスピーカ装置2の中央よりもスピーカSP1側、すなわち図3を正面視した際にリモコン3がY軸よりも左側(図3に示すリモコン3cの位置)に位置することがわかる。このとき、リモコン3のX軸上の座標x”およびリモコン3とスピーカ2との距離y”は、下式(4),(5)により算出することができる。
【0041】
x”=[(ct2”)2−(ct1”)2+(x22−(x12]/[2(x2−x1)] ・・・(4)
【0042】
y”=[(ct1”)2−(x2−x”)21/2
=[(ct2”)2−(x”−x121/2 ・・・(5)
【0043】
ここで、第1の時間t1(t1’,t1”)および第2の時間t2(t2’,t2”)は、システム的に存在する固定の時間分が測定用信号の伝搬時間と比較して無視できない程度の時間の場合は、その分を補正した後に上式(1)〜(5)の演算を行う。
【0044】
上述したような方法によりリモコン3の位置が検出されると、スピーカ制御部25は、その検出したリモコン3の位置において最適な音場となるようにアンプ26および遅延量を制御して、音像を形成する(ステップS213)。上述したように、リモコン3の位置検出動作のトリガーは、ユーザによるリモコン3の操作であるので、リモコン3の位置はユーザの位置と等しいと考えることができる。したがって、リモコン3の位置において最適な音場が得られるように音像を形成することにより、ユーザの位置において最適な音場となる音像が形成されることとなる。
【0045】
このように本実施の形態によれば、スピーカ装置2のスピーカSPから出力される音声信号がリモコン3に到達するまでの時間を計測するという簡単な処理だけで、リモコン3の位置を自動的に検出することが可能となる。これは、従来のリモコン3に測定用音声信号を検出するマイク32および信号検出部33を設けるという簡単な構成で実現することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、リモコン3の位置検出開始ボタンが押下されることにより位置検出動作を開始するようにしたが、位置検出動作を開始するトリガーは、位置検出ボタンの押下に限定されず、例えば、スピーカシステム1の起動時、音量の増減等のユーザからの各種指示を入力部31が検出したときなど、適宜自由に設定することができる。
【0047】
また、本実施の形態において、第1測定信号と第2測定信号とは、同一の信号ではなく、音質や音量が異なる他の信号とするようにしてもよい。その場合、信号検出部33が、第1測定信号と第2測定信号とを別々に識別することが可能となることで、第1測定信号と第2測定信号とを同時に出力することも可能となり、結果として、リモコン3の位置検出動作にかかる時間を短縮することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、2つのスピーカSPから出力された測定用音声信号をリモコン3の位置を検出するようにしたが、一列に配置された異なる3つ以上のスピーカSPから出力された測定用音声信号に基づいてリモコン3の位置を検出するようにしてもよい。より多くのスピーカからの到達時間からリモコン3の位置を検出することにより、より精度の高い検出が可能となる。
【0049】
また、本実施の形態では、2つの測定用音声信号に基づいてリモコン3の位置を検出するようにしたが、3つの測定用音声信号に基づいてリモコン3の位置を検出するようにしてもよい。この場合、スピーカSPを2次元的または3次元的に配列し、位置の異なる3つのスピーカSPから測定用音声信号を出力し、各測定用音声信号のリモコン3までの到達時間からリモコン3の3次元的な位置を検出することが可能となる。
【0050】
次に、本実施の形態の変形例を図4に示す。図4は、本実施の形態にかかるスピーカシステムの変形例の構成を示すブロック図である。なお、図4に示すスピーカシステムにおいて、図1に示したスピーカシステムと同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
【0051】
スピーカ装置2の位置検出部23は、タイマ23aと、リモコン3の位置の適切な範囲に関する位置情報さらに記憶したメモリ23bと、演算部23cと、この演算部23cにより演算されたリモコン3の位置が適切であるか否かを判定する判定部23dとから構成される。
【0052】
リモコン3は、入力部31と、マイク32と、信号検出部33と、リモコン制御部34と、送信部35と、LED(Light Emitting Diode)等のライトや、LCD(Liquid Crystal Display)、FED(Field Emission Display)、有機EL(Electro Luminescence)等の表示装置からなる表示部36とから構成される。
【0053】
このような図4に示すスピーカシステムにおいて、上述した方法により演算部23cによってリモコン3の位置が演算されると、判定部23cは、演算部23cによる演算結果とメモリ23bに記憶された位置情報とからリモコン3の位置が適切であるか否か判定する。
【0054】
例えば、メモリ23bの位置情報が、適切な位置として判定するスピーカ装置2から最も遠い位置と最も近い位置の2つのしきい値からなる場合、判定部23cは、それらのしきい値と演算部23cにより演算されたリモコン3の位置とを比較して、リモコン3の位置が適切であるか否かを判定する。ここで、2つのしきい値の間にリモコン3の位置がある場合、判定部23cは、リモコン3の位置が適切な範囲内にあると判定する。一方、最も近い位置のしきい値よりもリモコン3がスピーカ装置2の近くに位置する場合、判定部23cは、リモコン3がスピーカ装置2に近すぎると判定する。また、最も遠い位置のしきい値よりもリモコン3がスピーカ装置2から遠くに位置する場合、判定部23cは、リモコン3がスピーカ装置2から遠すぎると判定する。
【0055】
リモコン3の位置が適切な範囲内にある場合、判定部23dは、報知手段として機能し、図2のステップS213でビームパラメータが設定された後、リモコン3の位置が適切な範囲内にあることを意味する音声信号を、スピーカ制御部25を介して何れか1つ以上のスピーカSPから放音させる。この場合、例えば、Law→mid→Highのように低域から高域まで順に周波数を上げていくような音声信号を放音させる。ここで、Law,mid,Highの音声信号は、例えば、それぞれ250Hz、500Hz、1kHzを中心とした1/3octaveバンド程度の帯域を有する信号とするようにしてもよい。
【0056】
これに対して、リモコン3の位置が適切な範囲内にない場合、判定部23dは、リモコン3の位置が適切な範囲内にないことを意味する音声信号を、スピーカ制御部25を介して何れか1つ以上のスピーカSPから放音させる。例えば、リモコン3がスピーカ装置2に近すぎる場合は、Law→mid→Lawのように、低域側の音声信号から始めて一旦周波数を上げてから再び低域側に戻るような音声信号を放音させる。一方、リモコン3がスピーカ装置2から遠すぎる場合は、High→mid→Highのように、高域側の音声信号から始めて一旦周波数を下げてから再び高域側に戻るような音声信号を放音させる。
【0057】
このようにユーザの位置に応じて変化する音声信号を放音することにより、ユーザは、自分のいる位置が、適切な範囲内、スピーカ装置2に近すぎる位置、スピーカ装置2から遠すぎる位置の何れの位置にいるかを簡単に判別することが可能となる。
【0058】
なお、ユーザの位置に応じて変化する音声信号は、上述したようなLaw→mid→High,Law→mid→Law,High→mid→High等に限定されず、適切な範囲内、スピーカ装置2に近すぎる位置、および、スピーカ装置2から遠すぎる位置を区別できるのであれば、適宜自由に設定することができる。
【0059】
また、上述したような音声信号をリモコン3のマイク32の受音信号から信号検出部33が検出すると、リモコン制御部34は、その音声信号に応じた表示を表示部36にさせるようにしてもよい。
【0060】
この場合、信号検出部33に、Low,mid,Highの音声信号に対応する3つのバンドパスフィルタを設け、音声信号の出力がどのような順で変化しているかを検出させる。この検出結果に基づいて、リモコン制御部34は、表示部36を制御する。例えば、表示部36が青、赤、黄色の3種類のLEDからなる場合、リモコン3が適切な範囲内にある場合は青色、近すぎる場合は赤色、遠すぎる場合は黄色のLEDをそれぞれ点灯させる。これにより、ユーザは、自分の位置がどのような状況にあるかを手元のリモコン3から視覚的に認識することが可能となる。
【0061】
なお、表示部36が表示装置から構成される場合は、例えば、「適切な位置です」、「スピーカに近すぎます」、「スピーカから遠すぎます」など、表示部36にリモコン3の位置に応じた文字表示を行わせるようにしてもよい。これにより、ユーザは、自分の位置がどのような状況にあるのかを手元のリモコン3からより具体的に視覚的に認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のスピーカシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のスピーカシステムの位置検出動作を示すシーケンス図である。
【図3】本発明のスピーカシステムのスピーカ装置2とリモコン3との位置関係を示す平面図である。
【図4】本発明のスピーカシステムの構成の変形例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0063】
1…スピーカシステム、2…スピーカ装置、3…リモコン、21…受信部、22…システムコントローラ、23…位置検出部、23a…タイマ、23b…メモリ、23c…演算部、23d…判定部、24…オーディオ制御部、25…スピーカ制御部、26…アンプ、31…入力部、32…マイク、33…信号検出部、34…リモコン制御部、35…送信部、36…表示部、SP…スピーカ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間的に配列された第1および第2のスピーカを含む複数のスピーカと、これらのスピーカをそれぞれ駆動する駆動手段とからなるスピーカシステムと、
このスピーカシステムに対する無線信号を送出する信号送出手段を有するユーザ端末装置と、
前記スピーカシステム側に設けられ、前記ユーザ端末装置の位置を検出する位置検出手段とからなり、
前記ユーザ端末装置は、
マイクロフォンと、
前記スピーカのうち1のスピーカからの音声信号を検出すると信号を前記位置検出手段に送出する信号送出手段と
を備え、
前記位置検出手段は、
前記ユーザ端末装置から送信された前記信号を受信する受信手段と、
前記複数のスピーカのうち1のスピーカを駆動してから前記ユーザ端末装置からの前記信号を受信するまでの時間を計測する計時手段と、
第1のスピーカを駆動してからこの第1のスピーカからの音声信号に対する第1の信号を受信するまでの第1の時間と、第2のスピーカを駆動してから第2の信号を受信するまでの第2の時間とから、前記ユーザ端末装置の位置を演算する演算手段と
を有することを特徴とする位置検出システム。
【請求項2】
請求項1記載の位置検出システムにおいて、
前記ユーザ端末装置は、
前記スピーカシステムに対して位置検出を開始することを表す起動信号を送信し、
前記位置検出手段は、
さらに、前記ユーザ端末装置からの前記起動信号を受信すると前記第1のスピーカを駆動する駆動制御手段
を有することを特徴とする位置検出システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載された位置検出システムにおいて、
さらに、前記スピーカシステムは、ユーザ端末装置の位置に応じて、前記スピーカからそれぞれ出力される音量のバランスを制御する音量制御手段
を有することを特徴とする位置検出システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載された位置検出システムにおいて、
さらに、前記スピーカシステムは、前記ユーザ端末装置の位置に応じて前記スピーカに入力される音声信号に付加する遅延量を制御する遅延制御手段
を有することを特徴とする位置検出システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載された位置検出システムにおいて、
前記スピーカシステムは、
前記ユーザ端末装置の位置が適切であるか否かを判定する判定手段と、
この判定手段の判定結果に基づいて前記スピーカから音声信号を発生させる報知手段と
を有することを特徴とする位置検出システム。
【請求項6】
請求項5記載の位置検出システムにおいて、
前記ユーザ端末装置は、
前記報知手段による音声信号を検出すると、この音声信号に基づく表示を行う表示手段
をさらに備えたことを特徴とする位置検出システム。
【請求項7】
空間的に配列された第1および第2のスピーカを含む複数のスピーカと、これらのスピーカをそれぞれ駆動する駆動手段とを有するスピーカシステムにおいて、
ユーザ端末装置から送信された信号を受信する受信手段と、
前記複数のスピーカのうち1のスピーカを駆動してから前記ユーザ端末装置からの前記信号を受信するまでの時間を計測する計時手段と、
第1のスピーカを駆動してからこの第1のスピーカからの音声信号に対する第1の前記信号を受信するまでの第1の時間と、第2のスピーカを駆動してから第2の前記信号を受信するまでの第2の時間とから、前記ユーザ端末装置の位置を演算する演算手段と
を有することを特徴とするスピーカシステム。
【請求項8】
マイクロフォンと、
スピーカシステムを構成する空間的に配列された複数のスピーカのうち1のスピーカからの第1の音声信号を検出すると信号を前記スピーカシステムに送出する信号送出手段と
を備えたことを特徴とするユーザ端末装置。
【請求項9】
請求項8記載のユーザ端末装置において、
前記スピーカから第2の音声信号を検出すると、この音声信号に基づく表示を行う表示手段
をさらに備えたことを特徴とするユーザ端末装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−258442(P2006−258442A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72480(P2005−72480)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】