説明

位置検出装置、位置検出方法及び撮像装置

【課題】 小型化及び製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行う。
【解決手段】 所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力して光軸方向へ移動される可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと、所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力して前記可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとを設け、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーを異なら動作速度で動作するようにした。
これにより、第2の検出センサーの着磁ピッチを大きくしたり、第1の検出センサーとしてリニアリティー誤差やヒステリシスの小さいものを用いる必要がなく、小型化及び製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は位置検出装置、位置検出方法及び撮像装置についての技術分野に関する。詳しくは、可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとの動作速度を異ならせることにより高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行う技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
スチルカメラやビデオカメラ等の各種の撮像装置には、ズームレンズ等の光軸方向に移動される可動レンズの位置検出を行い、可動レンズを含むレンズ群の高精度な駆動制御が行われるようにしている。
【0003】
可動レンズとしては、例えば、合焦機能を有するフォーカスレンズも存在し、フォーカスレンズは被写体の像を撮像素子上に合焦する機能の他、ズームレンズが移動されたときの像面変動を補正するコンペンセーターとしての機能をも有するものがある。
【0004】
また、装置本体に対して着脱可能な交換レンズを有する撮像装置においては、交換レンズにマニュアル操作を行うことが可能なズームリングが設けられており、ズームリングを回転させることによりズームレンズが光軸方向へ移動されて変倍動作が行われる。
【0005】
上記のような各種の可動レンズは、上記したように、光軸方向における位置検出が位置検出装置によって行われるが、位置検出装置には可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載された撮像装置においては、第1の検出センサーとして線形の信号を出力する低精度なポテンショメーターが用いられ、第2の検出センサーとして周期的な信号を出力する高精度なMR(Magneto Resistive)センサーが用いられ、ズームリングの回転によって連結機構を介して光軸方向へ移動されるズームレンズの位置検出が行われる。
【0007】
【特許文献1】特開2006−258586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のような二つのセンサーによって可動レンズの位置検出を行う位置検出装置にあっては、高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うためには、検出精度の低い第1の検出センサーによって検出精度の高い第2の検出センサーの周期的な信号のマッチングを図ることが必要である。従って、線形の信号を出力する第1の検出センサーの検出誤差より周期的な信号を出力する第2の検出センサーの出力信号の1周期を大きくする必要がある。
【0009】
そこで、従来の撮像装置に設けられた位置検出装置においては、第2の検出センサーとして設けられたMRセンサーの着磁ピッチを大きくすることにより第1の検出センサーの検出誤差より第2の検出センサーの出力信号の1周期を大きくしていた。
【0010】
ところが、MRセンサーの着磁ピッチを大きくすることにより高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことは可能であるが、MRセンサーの着磁ピッチを大きくすると、その分、第2の検出センサーの動作範囲が大きくなり小型化に支障を来たしたりコストの高騰を来たすと言う問題があった。
【0011】
また、第1の検出センサーによる第2の検出センサーの周期的な信号のマッチングを図るために、検出誤差の小さい高精度の第1の検出センサー、例えば、リニアリティー誤差やヒステリシスの小さいポテンショメーターを用いる場合もあるが、この場合には第1の検出センサーが高価になりコストの高騰を来たすと言う問題がある。
【0012】
そこで、本技術位置検出装置は、上記した問題点を克服し、小型化及び製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1に、位置検出装置は、上記した課題を解決するために、所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力して光軸方向へ移動される可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと、所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力して前記可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとを備え、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーは異なる動作速度で動作するようにしたものである。
【0014】
従って、位置検出装置にあっては、第1の検出センサーと第2の検出センサーが異なる速度で動作される。
【0015】
第2に、上記した位置検出装置においては、前記第2の検出センサーの出力信号の1周期を前記第1の検出センサーの検出誤差以上にすることが望ましい。
【0016】
第2の検出センサーの出力信号の1周期を第1の検出センサーの検出誤差以上にすることにより、第2の検出センサーの動作速度が第1の検出センサーの動作速度より遅くなる。
【0017】
第3に、上記した位置検出装置においては、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせる範囲を前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作範囲の一部にすることが望ましい。
【0018】
第1の検出センサーと第2の検出センサーの動作速度を異ならせる範囲を第1の検出センサーと第2の検出センサーの動作範囲の一部にすることにより、敏感度に応じた検出精度となる感度調整を行うことが可能になる。
【0019】
第4に、上記した位置検出装置においては、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが直進動作されるようにすることが望ましい。
【0020】
第1の検出センサーと第2の検出センサーが直進動作されるようにすることにより、検出動作が簡単になる。
【0021】
第5に、上記した位置検出装置においては、第1のカム部と第2のカム部を有し軸回り方向へ回転されるカム環が設けられ、前記第1の検出センサーが前記第1のカム部に摺動自在に係合され、前記第2の検出センサーが前記第2のカム部に摺動自在に係合され、前記カム環の回転によって前記可動レンズが光軸方向へ移動され、前記カム環の回転位置に応じて前記第1の検出センサーの前記第1のカム部に対する係合位置が変化されると共に前記第2の検出センサーの前記第2のカム部に対する係合位置が変化されることにより前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが直進動作されるようにすることが望ましい。
【0022】
カム環の回転によって可動レンズが光軸方向へ移動され、カム環の回転位置に応じて第1の検出センサーと第2の検出センサーが直進動作されることにより、第1の検出センサーと第2の検出センサーが可動レンズとともに光軸方向へ移動される。
【0023】
第6に、上記した位置検出装置においては、前記第1のカム部と前記第2のカム部の傾きを異ならせて前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせるようにすることが望ましい。
【0024】
第1のカム部と第2のカム部の傾きを異ならせて第1の検出センサーと第2の検出センサーの動作速度を異ならせるようにすることにより、構成が簡素になる。
【0025】
第7に、上記した位置検出装置においては、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが回転動作されるようにすることが望ましい。
【0026】
第1の検出センサーと第2の検出センサーが回転動作されるようにすることにより、検出動作が簡単になる。
【0027】
第8に、上記した位置検出装置においては、外周面にラック部を有し軸回り方向へ回転されるカム環が設けられ、前記第1の検出センサーに、前記ラック部に噛合されたギヤ部が設けられ、前記第2の検出センサーに、前記ラック部に噛合され前記第1の検出センサーのギヤ部と外径が異なるギヤ部が設けられ、前記カム環の回転によって前記可動レンズが光軸方向へ移動され、前記カム環の回転に伴って前記第1の検出センサーのギヤ部と前記第2の検出センサーのギヤ部とが回転されるようにすることが望ましい。
【0028】
カム環の回転によって可動レンズが光軸方向へ移動され、カム環の回転に伴って第1の検出センサーのギヤ部と第2の検出センサーのギヤ部とが回転されるようにすることにより、第1の検出センサーと第2の検出センサーが可動レンズの光軸方向への移動に伴って回転される。
【0029】
第9に、上記した位置検出装置においては、前記第1の検出センサーのギヤ部と前記第2の検出センサーのギヤ部との外径の大きさを異ならせて前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせるようにすることが望ましい。
【0030】
第1の検出センサーのギヤ部と第2の検出センサーのギヤ部との外径の大きさを異ならせて第1の検出センサーと第2の検出センサーの動作速度を異ならせるようにすることにより、構成が簡素になる。
【0031】
位置検出方法は、所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力する第1の検出センサーと所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力する第2の検出センサーとを異なる動作速度で動作するようにし、前記第1の検出センサーによって光軸方向へ移動される可動レンズの絶対位置を検出すると共に前記可動レンズの相対位置を第2の検出センサーによって検出し、前記第1の検出センサーによって検出された可動レンズの絶対位置と前記第2の検出センサーによって検出された前記可動レンズの相対位置とに基づいて前記可動レンズの位置検出を行うようにしたものである。
【0032】
従って、位置検出方法にあっては、第1の検出センサーと第2の検出センサーが異なる速度で動作される。
【0033】
撮像装置は、光軸方向へ移動される可動レンズと、前記可動レンズを含む複数のレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力して可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと、所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力して可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとを備え、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーは異なる動作速度で動作するようにしたものである。
【0034】
従って、撮像装置にあっては、第1の検出センサーと第2の検出センサーが異なる速度で動作される。
【発明の効果】
【0035】
本技術位置検出装置は、所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力して光軸方向へ移動される可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと、所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力して前記可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとを備え、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーは異なる動作速度で動作するようにしている。
【0036】
従って、本技術位置検出装置にあっては、小型化及び製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【0037】
請求項2に記載した技術にあっては、前記第2の検出センサーの出力信号の1周期を前記第1の検出センサーの検出誤差以上にしている。
【0038】
従って、検出精度の低い第1の検出センサーによって検出精度の高い第2の検出センサーの周期的な出力のマッチングを図ることができ、高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【0039】
請求項3に記載した技術にあっては、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせる範囲を前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作範囲の一部にしている。
【0040】
従って、敏感度に応じた検出精度となる感度調整を行うことにより、第1の検出センサー1と第2の検出センサー2の検出範囲を有効に使用することが可能となり、第1の検出センサーと第2の検出センサーの小型化や第1の検出センサーと第2の検出センサーとして検出精度の低いものを使用することができる。
【0041】
請求項4に記載した技術にあっては、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが直進動作されるようにしている。
【0042】
従って、検出動作が簡単であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【0043】
請求項5に記載した技術にあっては、第1のカム部と第2のカム部を有し軸回り方向へ回転されるカム環が設けられ、前記第1の検出センサーが前記第1のカム部に摺動自在に係合され、前記第2の検出センサーが前記第2のカム部に摺動自在に係合され、前記カム環の回転によって前記可動レンズが光軸方向へ移動され、前記カム環の回転位置に応じて前記第1の検出センサーの前記第1のカム部に対する係合位置が変化されると共に前記第2の検出センサーの前記第2のカム部に対する係合位置が変化されることにより前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが直進動作されるようにしている。
【0044】
従って、第1の検出センサーと第2の検出センサーが可動レンズとともに光軸方向へ移動され、検出動作の制御が容易であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【0045】
請求項6に記載した技術にあっては、前記第1のカム部と前記第2のカム部の傾きを異ならせて前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせるようにしている。
【0046】
従って、構成が簡素であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【0047】
請求項7に記載した技術にあっては、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが回転動作されるようにしている。
【0048】
従って、検出動作が簡単であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【0049】
請求項8に記載した技術にあっては、外周面にラック部を有し軸回り方向へ回転されるカム環が設けられ、前記第1の検出センサーに、前記ラック部に噛合されたギヤ部が設けられ、前記第2の検出センサーに、前記ラック部に噛合され前記第1の検出センサーのギヤ部と外径が異なるギヤ部が設けられ、前記カム環の回転によって前記可動レンズが光軸方向へ移動され、前記カム環の回転に伴って前記第1の検出センサーのギヤ部と前記第2の検出センサーのギヤ部とが回転されるようにしている。
【0050】
従って、第1の検出センサーと第2の検出センサーが可動レンズの光軸方向への移動に伴って回転され、検出動作の制御が容易であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【0051】
請求項9に記載した技術にあっては、前記第1の検出センサーのギヤ部と前記第2の検出センサーのギヤ部との外径の大きさを異ならせて前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせるようにしている。
【0052】
従って、位置検出装置の構成が簡素であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【0053】
本技術位置検出方法は、所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力する第1の検出センサーと所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力する第2の検出センサーとを異なる動作速度で動作するようにし、前記第1の検出センサーによって光軸方向へ移動される可動レンズの絶対位置を検出すると共に前記可動レンズの相対位置を第2の検出センサーによって検出し、前記第1の検出センサーによって検出された可動レンズの絶対位置と前記第2の検出センサーによって検出された前記可動レンズの相対位置とに基づいて前記可動レンズの位置検出を行うようにしている。
【0054】
従って、本技術位置検出方法にあっては、小型化及び製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【0055】
本技術撮像装置は、光軸方向へ移動される可動レンズと、前記可動レンズを含む複数のレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力して可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと、所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力して可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとを備え、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーは異なる動作速度で動作するようにしている。
【0056】
従って、本技術撮像装置にあっては、小型化及び製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下に、本技術を実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。
【0058】
以下に示した最良の形態は、本技術撮像装置をスチルカメラに適用し、本技術位置検出装置をこのスチルカメラに設けられた位置検出装置に適用し、本技術位置検出方法をこのスチルカメラにおける位置検出方法に適用したものである。尚、本技術の適用範囲はスチルカメラ、スチルカメラに設けられる位置検出装置及びスチルカメラにおける位置検出方法に限られることはない。本技術は、例えば、ビデオカメラや交換レンズや他の機器に組み込まれる各種の撮像装置、これらの各種の撮像装置に設けられる位置検出装置及びこれらの各種の撮像装置における位置検出方法に広く適用することができる。
【0059】
以下の説明にあっては、スチルカメラの撮影時において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側が前方となり、撮影者側が後方となる。
【0060】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0061】
[撮像装置の構成等]
撮像装置50は外筐51の内外に所要の各部が配置されて成る(図1及び図2参照)。外筐51の外面には各種の操作部52、52、・・・が配置されている。操作部52、52、・・・としては、例えば、電源釦、シャッター、ズームスイッチ、モード切替摘子等が設けられている。
【0062】
撮像装置50にはレンズ鏡筒53が設けられ、レンズ鏡筒53の内部には複数のレンズ群54、54、・・・が配置されている。レンズ鏡筒53の後端部には撮像素子を有する図示しない撮像ユニットが配置されている。
【0063】
レンズ群54、54、・・・は固定群と可動群から成り、可動群としてズームレンズ群とフォーカスレンズ群が設けられている。ズームレンズ群とフォーカスレンズ群の各レンズはそれぞれ可動レンズ55、56とされている。
【0064】
レンズ鏡筒53には軸回り方向へ回転可能とされたカム環57が設けられ、カム環57には連結機構58を介してズームレンズ群の可動レンズ55が連結されている。連結機構58は、例えば、可動レンズ55をそれぞれ保持するレンズ保持枠やレンズ保持枠を支持する各部である。
【0065】
可動レンズ55はカム環57の回転量及び回転方向に応じ図示しない直進案内部に案内されて光軸方向における各位置に移動される。
【0066】
また、フォーカスレンズ群の可動レンズ56は第1のアクチュエーター59によって光軸方向へ移動される。可動レンズ56が第1のアクチュエーター59によって光軸方向へ移動されることによりオートフォーカス機能が実行される。
【0067】
カム環57は第2のアクチュエーター60の駆動力によって回転される。
【0068】
第1のアクチュエーター59と第2のアクチュエーター60は駆動回路61によって駆動制御される。駆動回路61は制御コントローラー62によって制御され、制御コントローラー62は可動レンズ55の光軸方向における位置を検出する位置検出手段及び駆動回路61等の各部を制御する制御手段として機能する。制御コントローラー62はメモリー62aを有し、メモリー62aにはズームレンズ群の可動レンズ55の移動位置に対して像面の維持を行うためのフォーカスレンズ群の可動レンズ56の位置を表す軌跡データー等が記憶されている。
【0069】
ズームレンズ群の可動レンズ55の位置が検出されると、検出された可動レンズ55の位置に応じて像面変動を補正するようにフォーカスレンズ群の可動レンズ56が第1のアクチュエーター59によって光軸方向へ移動されてコンペンセーターとしての機能が実行される。
【0070】
カム環57には第1のカム溝63と第2のカム溝64が形成されている(図2及び図3参照)。第1のカム溝63と第2のカム溝64はそれぞれ第1のカム部と第2のカム部として機能し、例えば、直線状に形成され、光軸方向に対して傾斜されている。第2のカム溝64の光軸方向に対する傾斜角度は第1のカム溝63の光軸方向に対する傾斜角度より大きくされている。
【0071】
カム環57の第1のカム溝63と第2のカム溝64にはそれぞれ第1の検出センサー1と第2の検出センサー2が摺動自在に支持されている。第1の検出センサー1と第2の検出センサー2は位置検出手段として機能する制御コントローラー62とともに位置検出装置100を構成する。
【0072】
第1の検出センサー1は連続的に増加又は減少する信号を出力して光軸方向へ移動される可動レンズ55の絶対位置を検出するセンサーであり、第1の検出センサー1としては、例えば、ポテンショメーターが用いられている。
【0073】
第2の検出センサー2は周期的かつ連続的に変化する信号を出力して可動レンズ55の相対位置を検出するセンサーであり、第2の検出センサー2としては、例えば、MRセンサーが用いられている。第2の検出センサー2は第1の検出センサー1に比して高精度な位置検出を行うことが可能とされている。
【0074】
第1の検出センサー1には係合突部1aが設けられ、係合突部1aが第1のカム溝63に摺動自在に係合されている。第1の検出センサー1は図示しない直進ガイドに前後方向へ移動自在に支持されており、カム環57の回転に応じて係合突部1aの第1のカム溝63に対する係合位置が変化されることにより直進ガイドに案内されて前後方向へ移動される。第1の検出センサー1の前後方向への移動は、カム環57の回転によって前後方向(光軸方向)へ移動される可動レンズ55の移動と同時に行われる。
【0075】
第2の検出センサー2には係合突部2aが設けられ、係合突部2aが第2のカム溝64に摺動自在に係合されている。第2の検出センサー2は図示しない直進ガイドに前後方向へ移動自在に支持されており、カム環57の回転に応じて係合突部2aの第2のカム溝64に対する係合位置が変化されることにより直進ガイドに案内されて前後方向へ移動される。第2の検出センサー2の前後方向への移動は、カム環57の回転によって前後方向(光軸方向)へ移動される可動レンズ55及び第1の検出センサー1の移動と同時に行われる。
【0076】
上記したように、第2のカム溝64の光軸方向に対する傾斜角度が第1のカム溝63の光軸方向に対する傾斜角度より大きくされているため、カム環57が回転されたときの第2の検出センサー2の動作速度は第1の検出センサー1の動作速度より遅くされている。また、カム環57が回転されたときの第2の検出センサー2の移動量は第1の検出センサー1の移動量より小さくされている。
【0077】
カム環57の回転時には可動レンズ55が光軸方向へ移動されると共に第1の検出センサー1と第2の検出センサー2が前後方向(光軸方向)へ移動され、第1の検出センサー1と第2の検出センサー2によって可動レンズ55の光軸方向における位置検出が行われる。
【0078】
可動レンズ55の位置検出は第1の検出センサー1によって出力される線形(直線状)な出力Pと第2の検出センサー2によって出力される周期的な出力Qとによって検出された検出信号に基づいて行われる(図3参照)。
【0079】
第1の検出センサー1は線形な出力Pによって可動レンズ55の絶対位置を検出し、検出信号を制御コントローラー62に送出する。第1の検出センサー1は、上記したように、第2の検出センサー2よりも検出精度が低いセンサーであり、図3に2本の平行な出力線によって示すように、一定の検出誤差Gを有している。即ち、第1の検出センサー1によって検出される可動レンズ55の光軸方向における位置は、検出誤差Gを含んだ検出位置である。
【0080】
一方、第2の検出センサー2は周期的な出力Qによって可動レンズ55の相対位置、例えば、移動前の直前の位置に対する移動位置を検出し、検出信号を制御コントローラー62に送出する。第2の検出センサー2は、上記したように、第1の検出センサー1よりも検出精度が高いセンサーであり、動作速度が第1の検出センサー1の動作速度より遅くされていることにより、出力Qの1周期Tが第1の検出センサー1の検出誤差G以上にされている。
【0081】
第1の検出センサー1及び第2の検出センサー2から送出された各検出信号に基づいて制御コントローラー62によって可動レンズ55の光軸方向における位置が検出される。
【0082】
上記のように第2の検出センサー2によって可動レンズ55の位置が検出されるときの出力Qの1周期Tが第1の検出センサー1の検出誤差G以上にされている。従って、検出精度の低い第1の検出センサー1によって検出精度の高い第2の検出センサー2の周期的な出力Qのマッチングを図ることができ、高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0083】
尚、上記には、直線状に形成された第1のカム溝63と第2のカム溝64を有するカム環57を第1の検出センサー1、第2の検出センサー2及び可動レンズ55を移動させる手段の例として示したが、例えば、カム環57に代えて以下に示すカム環57Aを用いてもよい(図4参照)。
【0084】
カム環57Aは第1のカム溝63Aと第2のカム溝64Aを有している。カム環57Aが回転されることにより、第1の検出センサー1、第2の検出センサー2及び可動レンズ55がそれぞれ光軸方向へ移動される。
【0085】
第1のカム溝63Aはそれぞれ直線状に形成された第1のカム係合部63aと第2のカム係合部63bと第3のカム係合部63cが連続して成り、第2のカム係合部63bの光軸方向に対する傾斜角度が第1のカム係合部63aと第3のカム係合部63cの光軸方向に対する傾斜角度に対して異なるようにされている。
【0086】
第2のカム溝64Aはそれぞれ直線状に形成された第1のカム係合部64aと第2のカム係合部64bと第3のカム係合部64cが連続して成り、第2のカム係合部64bの光軸方向に対する傾斜角度が第1のカム係合部64aと第3のカム係合部64cの光軸方向に対する傾斜角度に対して異なるようにされている。
【0087】
第1のカム溝63Aと第2のカム溝64Aにおいては、第1のカム係合部63aと第1のカム係合部64aの光軸方向に対する傾斜角度が同じにされ、第2のカム係合部63bと第2のカム係合部64bの光軸方向に対する傾斜角度が異なるようにされ、第3のカム係合部63cと第3のカム係合部64cの光軸方向に対する傾斜角度が同じにされている。第2のカム係合部64bの光軸方向に対する傾斜角度は第2のカム係合部63bの光軸方向に対する傾斜角度より大きくされている。
【0088】
第1の検出センサー1の係合突部1aと第2の検出センサー2の係合突部2aはそれぞれ第1のカム溝63Aと第2のカム溝64Aに摺動自在に係合されている。第1の検出センサー1と第2の検出センサー2においては、係合突部1aが第1のカム係合部63aに係合されているときには係合突部2aが第1のカム係合部64aに係合され、係合突部1aが第2のカム係合部63bに係合されているときには係合突部2aが第2のカム係合部64bに係合され、係合突部1aが第3のカム係合部63cに係合されているときには係合突部2aが第3のカム係合部64cに係合される。
【0089】
上記のように、第2のカム溝64Aの第2のカム係合部64bの光軸方向に対する傾斜角度が第1のカム溝63Aの第2のカム係合部63bの光軸方向に対する傾斜角度より大きくされているため、カム環57Aが回転され係合突部1a、2aがそれぞれ第2のカム係合部63b、64bに係合されているときの第2の検出センサー2の動作速度は第1の検出センサー1の動作速度より遅い。
【0090】
従って、カム環57Aが回転され係合突部1a、2aがそれぞれ第2のカム係合部63b、64bに係合されているときには、第2の検出センサー2の出力Qの1周期Tが第1の検出センサー1の検出誤差G以上にされている。
【0091】
このように可動レンズ55の光軸方向における一部の動作範囲においてのみ第2の検出センサー2の動作速度を第1の検出センサー1の動作速度より遅くされている。従って、当該一部の動作範囲について、検出精度の低い第1の検出センサー1によって検出精度の高い第2の検出センサー2の周期的な出力Qのマッチングを図ることができ、当該一部の動作範囲について高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0092】
ズーム光学系を有する撮像装置においては、ズームレンズ群(可動レンズ)に関して必要な位置検出精度がズームレンズ群の動作範囲における各変倍位置での敏感度に比例する。従って、上記のような一部の動作範囲について高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことは、例えば、可動レンズ55の動作範囲において特に敏感度の高い範囲で行うことが望ましい。このような敏感度に応じた検出精度となる感度調整を行うことにより、第1の検出センサー1と第2の検出センサー2の検出範囲を有効に使用することが可能となり、第1の検出センサー1と第2の検出センサー2の小型化や第1の検出センサー1と第2の検出センサー2として検出精度の低いものを使用することが可能となり、撮像装置50の小型化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0093】
また、上記には、第2のカム係合部の光軸方向に対する傾斜角度が異なる例を示したが、例えば、図5に示すカム環57Bのように、可動レンズ55の動作範囲における望遠側又は広角側の一方の側のみ光軸方向に対する傾斜角度が異なるように第1のカム溝63Bと第2のカム溝64Bを形成することが可能である。
【0094】
カム環57Bは第1のカム溝63Bが直線状に形成され、第2のカム溝64Bが光軸方向に対する傾斜角度の異なる第1のカム係合部64dと第2のカム係合部64eから成る。第2のカム溝64Bは、望遠側の第1のカム係合部64dの光軸方向に対する傾斜角度が第1のカム溝63Bの光軸方向に対する傾斜角度より大きくされ、広角側の第1のカム係合部64eの光軸方向に対する傾斜角度が第1のカム溝63Bの光軸方向に対する傾斜角度と同じにされている。
【0095】
従って、カム環57Bが回転され可動レンズ55が光軸方向へ移動されたときに、望遠側における第2の検出センサー2の出力Qの1周期Tが第1の検出センサー1の検出誤差G以上にされ、望遠側の動作範囲において高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0096】
尚、逆に、図6に示すように、第2のカム溝64Bの広角側の第2のカム係合部64fの傾斜角度を第1のカム溝63Bの傾斜角度より大きくすることにより、広角側の動作範囲において高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0097】
上記したように、撮像装置50にあっては、第1の検出センサー1と第2の検出センサー2を光軸方向へ移動させ直進動作させることにより可動レンズ55の位置検出を行っている。従って、検出動作が簡単であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0098】
また、可動レンズ55を移動させるカム環57、57A、57Bの回転により第1の検出センサー1と第2の検出センサー2を光軸方向へ移動させて可動レンズ55の位置検出を行っている。従って、第1の検出センサー1と第2の検出センサー2が可動レンズ55とともに光軸方向へ移動され、検出動作の制御が容易であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0099】
さらに、第1のカム溝63、63A、63Bと第2のカム溝64、64A、64Bの全体又は一部の光軸方向に対する傾斜角度を異ならせることにより可動レンズ55の位置検出を行っているため、構成が簡素であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0100】
[検出センサー等の別の例]
以下に、検出センサー等の別の例について説明する(図7及び図8参照)。
【0101】
先ず、ギヤ部を有する検出センサー等の例について説明する(図7参照)。
【0102】
第1の検出センサー3と第2の検出センサー4は回転型のセンサーであり、それぞれギヤ部3a、4aを有している。第2の検出センサー4のギヤ部4aの外径は第1の検出センサー3のギヤ部3aの外径より大きくされている。
【0103】
第1の検出センサー3は回転されることにより線形な信号を出力して光軸方向へ移動される可動レンズ55の絶対位置を検出するセンサーであり、第2の検出センサー4は周期的かつ連続的に変化する信号を出力して可動レンズ55の相対位置を検出するセンサーである。第2の検出センサー4は第1の検出センサー5に比して高精度な位置検出を行うことが可能とされている。
【0104】
カム環57Cには周方向に延びるラック部57aが形成され、ラック部57aにそれぞれ第1の検出センサー3のギヤ部3aと第2の検出センサー4のギヤ部4aとが噛合されている。従って、カム環57Cが回転されることにより第1の検出センサー3のギヤ部3aと第2の検出センサー4のギヤ部4aとが回転され、第1の検出センサー3の線形な出力Pと第2の検出センサー4の周期的な出力Qとによって検出された検出信号に基づいて可動レンズ55の位置検出が行われる。
【0105】
このとき第2の検出センサー4のギヤ部4aの外径が第1の検出センサー3のギヤ部3aの外径より大きくされているため、ギヤ部4aの角速度(動作速度)がギヤ部3aの角速度より遅くされ、第2の検出センサー4の出力Qの1周期Tが第1の検出センサー3の検出誤差G以上にされている。従って、検出精度の低い第1の検出センサー3によって検出精度の高い第2の検出センサー4の周期的な出力Qのマッチングを図ることができ、高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0106】
次に、プーリー部を有する検出センサー等の例について説明する(図8参照)。
【0107】
第1の検出センサー5と第2の検出センサー6は回転型のセンサーであり、それぞれプーリー部5a、6aを有している。第2の検出センサー6のプーリー部6aの外径は第1の検出センサー5のプーリー部5aの外径より大きくされている。
【0108】
第1の検出センサー5は回転されることにより線形な信号を出力して光軸方向へ移動される可動レンズ55の絶対位置を検出するセンサーであり、第2の検出センサー6は周期的かつ連続的に変化する信号を出力して可動レンズ55の相対位置を検出するセンサーである。第2の検出センサー6は第1の検出センサー5に比して高精度な位置検出を行うことが可能とされている。
【0109】
カム環57Dにはプーリー部5a、6aとの間でそれぞれベルト58、59が巻き付けられている。従って、カム環57Dが回転されることにより第1の検出センサー5のプーリー部5aと第2の検出センサー6のプーリー部6aとがベルト58、59によって回転され、第1の検出センサー5の線形な出力Pと第2の検出センサー6の周期的な出力Qとによって検出された検出信号に基づいて可動レンズ55の位置検出が行われる。
【0110】
このとき第2の検出センサー6のプーリー部6aの外径が第1の検出センサー5のプーリー部5aの外径より大きくされているため、プーリー部6aの角速度(動作速度)がプーリー部5aの角速度より遅くされ、第2の検出センサー6の出力Qの1周期Tが第1の検出センサー5の検出誤差G以上にされている。従って、検出精度の低い第1の検出センサー5によって検出精度の高い第2の検出センサー6の周期的な出力Qのマッチングを図ることができ、高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0111】
上記のように、検出センサー等の別の例については、第1の検出センサー3、5と第2の検出センサー4、6を回転動作させることにより可動レンズ55の位置検出を行っているため、検出動作が簡単であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0112】
また、可動レンズ55を移動させるカム環57C、57Dの回転により第1の検出センサー3、5と第2の検出センサー4、6を光軸方向へ移動させて可動レンズ55の位置検出を行っている。従って、第1の検出センサー3、5と第2の検出センサー4、6が可動レンズ55の光軸方向への移動に伴って回転され、検出動作の制御が容易であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0113】
さらに、ギヤ部3aとギヤ部4aの外径の大きさ又はプーリー部5aとプーリー部6aの外径の大きさを異ならせることにより可動レンズ55の位置検出を行っているため、位置検出装置100の構成が簡素であり、製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0114】
[撮像装置の別の例]
上記には、レンズ鏡筒53が内蔵されている撮像装置50の例を示したが、例えば、本技術は、図9に示すような着脱可能な交換レンズ70を有するタイプの撮像装置50Aにも適用することが可能である。
【0115】
交換レンズ70の内部には図示しない複数のレンズ群が配置され、これらの複数のレンズ群には可動群としてズームレンズ群とフォーカスレンズ群が設けられている。ズームレンズ群とフォーカスレンズ群の各レンズはそれぞれ可動レンズ55、56とされている。
【0116】
交換レンズ70の外周部にはマニュアル操作されるズームリング71が回転自在に支持されており、ズームリング71が回転されることにより可動レンズ55第1の検出センサー1及び第2の検出センサー2が光軸方向へ移動される。
【0117】
[まとめ]
以上に記載した通り、撮像装置50、50Aにあっては、第1の検出センサー1、3、5と第2の検出センサー2、4、6を異なる動作速度で動作するようにして可動レンズ55の位置検出を行うようにしている。
【0118】
従って、第2の検出センサーの着磁ピッチを大きくしたり、第1の検出センサーとしてリニアリティー誤差やヒステリシスの小さいものを用いる必要がなく、小型化及び製造コストの低減を図った上で高分解能で高精度な可動レンズの位置検出を行うことができる。
【0119】
また、第1の検出センサー1、3、5と第2の検出センサー2、4、6の動作速度を任意に異ならせることが可能であり、検出精度を自由に切り替えることができ、必要とされる検出精度に応じた感度調整を行うことができる。
【0120】
さらに、必要十分な検出精度を満足する範囲で第1の検出センサー1、3、5と第2の検出センサー2、4、6を動作させることが可能になり、その分、動作範囲を必要な範囲に制限することにより、スペースの有効活用による撮像装置50、50Aの小型化を図ることができる。
【0121】
さらにまた、撮像装置50、50Aにあっては、第2の検出センサー2、4、6の出力信号の1周期を第1の検出センサー1、3、5の検出誤差以上にしている。
【0122】
従って、検出精度の低い第1の検出センサー1、3、5によって検出精度の高い第2の検出センサー2、4、6の周期的な出力Qのマッチングを図ることができ、高分解能で高精度な可動レンズ55の位置検出を行うことができる。
【0123】
[その他]
尚、上記には、ズームレンズ群の可動レンズ55の位置検出を行う例を示したが、位置検出装置100はズームレンズ群の可動レンズ55の位置検出を行う装置に限られることはなく、他の可動レンズや移動される光学部材の位置検出を行う撮像装置にも適用することが可能である。
【0124】
[本技術]
本技術は、以下のような構成にすることもできる。
【0125】
(1)所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力して光軸方向へ移動される可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと、所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力して前記可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとを備え、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーは異なる動作速度で動作する位置検出装置。
【0126】
(2)前記第2の検出センサーの出力信号の1周期を前記第1の検出センサーの検出誤差以上にした前記(1)に記載の位置検出装置。
【0127】
(3)前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせる範囲を前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作範囲の一部にした前記(1)又は前記(2)に記載の位置検出装置。
【0128】
(4)前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが直進動作されるようにした前記(1)から前記(3)の何れかに記載の位置検出装置。
【0129】
(5)第1のカム部と第2のカム部を有し軸回り方向へ回転されるカム環が設けられ、前記第1の検出センサーが前記第1のカム部に摺動自在に係合され、前記第2の検出センサーが前記第2のカム部に摺動自在に係合され、前記カム環の回転によって前記可動レンズが光軸方向へ移動され、前記カム環の回転位置に応じて前記第1の検出センサーの前記第1のカム部に対する係合位置が変化されると共に前記第2の検出センサーの前記第2のカム部に対する係合位置が変化されることにより前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが直進動作されるようにした前記(1)から前記(4)の何れかに記載の位置検出装置。
【0130】
(6)前記第1のカム部と前記第2のカム部の傾きを異ならせて前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせるようにした前記(5)に記載の位置検出装置。
【0131】
(7)前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが回転動作されるようにした前記(1)から前記(6)の何れかに記載の位置検出装置。
【0132】
(8)外周面にラック部を有し軸回り方向へ回転されるカム環が設けられ、前記第1の検出センサーに、前記ラック部に噛合されたギヤ部が設けられ、前記第2の検出センサーに、前記ラック部に噛合され前記第1の検出センサーのギヤ部と外径が異なるギヤ部が設けられ、前記カム環の回転によって前記可動レンズが光軸方向へ移動され、前記カム環の回転に伴って前記第1の検出センサーのギヤ部と前記第2の検出センサーのギヤ部とが回転されるようにした前記(7)に記載の位置検出装置。
【0133】
(9)前記第1の検出センサーのギヤ部と前記第2の検出センサーのギヤ部との外径の大きさを異ならせて前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせるようにした前記(8)に記載の位置検出装置。
【0134】
(10)所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力する第1の検出センサーと所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力する第2の検出センサーとを異なる動作速度で動作するようにし、前記第1の検出センサーによって光軸方向へ移動される可動レンズの絶対位置を検出すると共に前記可動レンズの相対位置を第2の検出センサーによって検出し、前記第1の検出センサーによって検出された可動レンズの絶対位置と前記第2の検出センサーによって検出された前記可動レンズの相対位置とに基づいて前記可動レンズの位置検出を行うようにした位置検出方法。
【0135】
(11)光軸方向へ移動される可動レンズと、前記可動レンズを含む複数のレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力して可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと、所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力して可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとを備え、前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーは異なる動作速度で動作する撮像装置。
【0136】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本技術を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本技術の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図2乃至図9と共に本技術の最良の形態を示すものであり、本図は、撮像装置の概略斜視図である。
【図2】撮像装置の内部構成を示す概略図である。
【図3】カム環のカム溝の構成及び第1の検出センサーと第2の検出センサーの主力の関係等を示す図である。
【図4】一部の傾斜角度が異なるカム環のカム溝の構成及び第1の検出センサーと第2の検出センサーの出力の関係等を示す図である。
【図5】一部の傾斜角度が異なる別のカム溝の構成を示す展開図である。
【図6】一部の傾斜角度が異なるまた別のカム溝の構成を示す展開図である。
【図7】位置検出センサー等の別の例を示す概略斜視図である。
【図8】位置検出センサー等のまた別の例を示す概略斜視図である。
【図9】着脱可能な交換レンズを有する撮像装置を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0138】
50…撮像装置、55…可動レンズ、57…カム環、63…第1のカム溝、64…第2のカム溝、100…位置検出装置、1…第1の検出センサー、2…第2の検出センサー、57A…カム環、63A…第1のカム溝、64A…第2のカム溝、57B…カム環、63B…第1のカム溝、64B…第2のカム溝、3…第1の検出センサー、3a…ギヤ部、4…第2の検出センサー、4a…ギヤ部、57C…カム環、5…第1の検出センサー、6…第2の検出センサー、57D…カム環、50A…撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力して光軸方向へ移動される可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと、
所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力して前記可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとを備え、
前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーは異なる動作速度で動作する
位置検出装置。
【請求項2】
前記第2の検出センサーの出力信号の1周期を前記第1の検出センサーの検出誤差以上にした
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせる範囲を前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作範囲の一部にした
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが直進動作されるようにした
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項5】
第1のカム部と第2のカム部を有し軸回り方向へ回転されるカム環が設けられ、
前記第1の検出センサーが前記第1のカム部に摺動自在に係合され、
前記第2の検出センサーが前記第2のカム部に摺動自在に係合され、
前記カム環の回転によって前記可動レンズが光軸方向へ移動され、
前記カム環の回転位置に応じて前記第1の検出センサーの前記第1のカム部に対する係合位置が変化されると共に前記第2の検出センサーの前記第2のカム部に対する係合位置が変化されることにより前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが直進動作されるようにした
請求項4に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記第1のカム部と前記第2のカム部の傾きを異ならせて前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせるようにした
請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーが回転動作されるようにした
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項8】
外周面にラック部を有し軸回り方向へ回転されるカム環が設けられ、
前記第1の検出センサーに、前記ラック部に噛合されたギヤ部が設けられ、
前記第2の検出センサーに、前記ラック部に噛合され前記第1の検出センサーのギヤ部と外径が異なるギヤ部が設けられ、
前記カム環の回転によって前記可動レンズが光軸方向へ移動され、
前記カム環の回転に伴って前記第1の検出センサーのギヤ部と前記第2の検出センサーのギヤ部とが回転されるようにした
請求項7に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記第1の検出センサーのギヤ部と前記第2の検出センサーのギヤ部との外径の大きさを異ならせて前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーの動作速度を異ならせるようにした
請求項8に記載の位置検出装置。
【請求項10】
所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力する第1の検出センサーと所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力する第2の検出センサーとを異なる動作速度で動作するようにし、
前記第1の検出センサーによって光軸方向へ移動される可動レンズの絶対位置を検出すると共に前記可動レンズの相対位置を第2の検出センサーによって検出し、
前記第1の検出センサーによって検出された可動レンズの絶対位置と前記第2の検出センサーによって検出された前記可動レンズの相対位置とに基づいて前記可動レンズの位置検出を行うようにした
位置検出方法。
【請求項11】
光軸方向へ移動される可動レンズと、
前記可動レンズを含む複数のレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、
所定の方向へ動作され連続的に増加又は減少する信号を出力して可動レンズの絶対位置を検出する第1の検出センサーと、
所定の方向へ動作され周期的かつ連続的に変化する信号を出力して可動レンズの相対位置を検出する第2の検出センサーとを備え、
前記第1の検出センサーと前記第2の検出センサーは異なる動作速度で動作する
撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−44569(P2013−44569A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180876(P2011−180876)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】