説明

位置誤差吸収装置

【課題】ロボットアームの様々な姿勢による重力作用が生じた場合においても十分な誤差吸収機能を発揮することができる位置誤差吸収装置を提供することを課題とする。
【解決手段】この発明は、部材W1、W2同士の組立て作業や嵌め合い作業用の位置誤差吸収装置であって、ロボットの出力端側に取り付けられる固定体1と、一方の部材W1が取り付けられる可動体2とを、両端に多自由度継手を具備させた複数の流体圧シリンダ3を介して連結することにより全体としてパラレルメカニズムを構成し、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体2の動きによって部材W1、W2間の位置誤差を吸収するようにしたことを特徴とする位置誤差吸収装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高精度の組立て作業や嵌め合い作業等を行わせるロボットの出力端に取り付けられる位置誤差吸収装置(リモートセンターコンプライアンス装置あるいはフローティング装置)に関するものであり、特に、ロボットアームの様々な姿勢による重力作用が生じた場合においても十分な誤差吸収機能を発揮することができる位置誤差吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば組立て用のロボットRにおいては、図7に示すように、部材P1をロボットハンドHの先端で把持し、これを相手方部品のガイド孔まで水平に移動させ、次いで垂直に下降させることにより部材P1をガイド孔に挿入して組立てを行っている。このような組立て用のロボットは、固定プレート100と可動プレート101とをゴムや金属製のベローズを構成要素とした弾性エレメント102を介して接続してなる位置誤差吸収装置を具備しており、固定プレート100をロボットRの出力端側に取り付けると共に、可動プレート101にロボットハンドHを取り付けるようにして使用される。この際、ロボットアームを移動させることによってある程度の位置決めを行い、部材P1とガイド孔に多少の位置ズレがある場合においても、部材P1がガイド孔の縁部に当接すると前記弾性エレメント102が有する弾性によって固定プレート100と可動プレート101とが相対移動(揺動運動や並進運動)するため、相互間の位置ズレを吸収し、部材P1をガイド孔の中心側に案内することが可能となる。(特許文献1)
【0003】
しかしながら、実際の部品の組立て作業においては、ロボットハンドHに把持させた部材P1と相手方部品のガイド孔とが上記したような水平に位置した状態で行われるものばかりではなく、図8に示すような垂直状態やその他の様々な位置、状態、姿勢で組立て作業が行われる場合もある。このようにロボットハンドHに把持させた部材P1と相手方部品のガイド孔とが垂直状態にある場合、ロボットハンドHに把持させた部材P1の自重によって弾性エレメント102が図8の矢印方向に垂れ下がってしまうことがあった。そして、このような状態で部材P1をガイド孔へ挿入しようとすると、垂れ下がり分に応じてロボットアームを動かす必要があるため非常に扱い難く、作業効率が低下するといった問題があった。
【0004】
なお、前述のような垂れ下がりを防止するために弾性エレメント102自体の剛性を高くすることもできるが、剛性を上げ過ぎると弾性エレメント102が弾性体として機能せず位置誤差を吸収できなくなるといった問題があった。
【0005】
また、一旦部材P1をガイド孔に挿入できたとしても、その状態を保持する手段がなかったため、挿入後の部材同士の溶接作業や固定作業における溶接ロボット等の外力が作用した際、従来の弾性エレメント102ではその外力に負けてしまい、部材P1とガイド孔との位置ズレや部材P1がガイド孔から浮き上がったり、抜けてしまうといった問題があった。
【0006】
さらに、組立て作業が水平状態で行われる場合でも、剛性の低すぎる弾性エレメント102ではロボットアームを所定のガイド孔に移動させる際の加減速を原因として部品に揺れを発生させてしまうため、正確な位置決めのためにはその揺れが収まるまで待機する必要があり、迅速な作業ができないといった問題があった。また、前記加減速に伴う揺れや部品の自重がロボット側にも作用し、変形や位置ズレを生じさせることがあった。
【特許文献1】特開平11−138487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、ロボットアームの様々な姿勢による重力作用が生じた場合においても十分な誤差吸収機能を発揮することができる位置誤差吸収装置を提供することを課題とする。また、この発明は、ロボットアームの様々な姿勢による重力作用が生じた場合においても十分な誤差吸収機能を発揮することができると共に、一旦部材同士の組立てや嵌め合いが行われた際、その状態を維持することできる位置誤差吸収装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の位置誤差吸収装置は、部材同士の組立て作業や嵌め合い作業用の位置誤差吸収装置であって、ロボットの出力端側に取り付けられる固定体と、一方の部材が取り付けられる可動体とを、両端に多自由度継手を具備させた複数の流体圧シリンダを介して連結することにより全体としてパラレルメカニズムを構成し、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体の動きによって部材間の位置誤差を吸収するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明の位置誤差吸収装置は、部材同士の組立て作業や嵌め合い作業用の位置誤差吸収装置であって、ロボットの出力端側以外の任意箇所に取り付けられる固定体と、一方の部材が取り付けられる可動体とを、両端に多自由度継手を具備させた複数の流体圧シリンダを介して連結することにより全体としてパラレルメカニズムを構成し、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体の動きによって部材間の位置誤差を吸収するようにしたことを特徴とする。
【0010】
ここでパラレルメカニズムとは、固定体と可動体とが、並列に配置された複数の脚リンク機構によって接続された閉リンク機構の総称である。また、リンク機構とは、複数のリンクを組み合わせて構成した機械機構であって、リンクとは形の変化しない構造物(剛体)のことであり、本願発明においては流体圧シリンダをリンクとして採用している。
【0011】
このようなパラレルメカニズムは、固定体と可動体に対して如何なる方向の力が作用した場合であっても、流体圧シリンダには引っ張り応力又は圧縮応力のみが作用するだけで、曲げ応力が作用することが殆どなく、使用目的に応じた十分な剛性を確保しやすいといった特徴を有している。
【0012】
なお、前記位置誤差吸収装置において、前記流体圧シリンダを少なくとも6本有するものとし、各流体圧シリンダの両端部分をそれぞれユニバーサルジョイントあるいはボールジョイントを介して固定プレートおよび可動プレートに接続することにより、前記パラレルメカニズムがXYZ軸方向に3軸とその各軸回転方向に3軸の計6自由度を持つようにしてもよい。
【0013】
また、前記位置誤差吸収装置において、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体の動きを必要に応じて適時にロックさせることができるロック機構を具備するようにしてもよい。
【0014】
ここで、前記ロック機構として、流体圧シリンダに流体圧を供給してピストンロッドの伸縮運動を拘束することにより、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体の動きを必要に応じて適時にロックさせることができるようにしてもよい。
【0015】
また、前記ロック機構として、固定体と可動体の間にロック部材を架設することにより、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体の動きを必要に応じて適時にロックさせることができるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、この発明の位置誤差吸収装置は、部材同士の組立て作業や嵌め合い作業用の位置誤差吸収装置であって、ロボットの出力端側に取り付けられる固定体と、一方の部材が取り付けられる可動体とを、両端に多自由度継手を具備させた複数の流体圧シリンダを介して連結することにより全体としてパラレルメカニズムを構成し、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体の動きによって部材間の位置誤差を吸収するようにしているため、ロボットアームの様々な姿勢による重力作用が生じた場合においても十分な誤差吸収機能を発揮することが可能な位置誤差吸収装置を提供することができる。
【0017】
また、前記位置誤差吸収装置において、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体の動きを必要に応じて適時にロックさせることができるロック機構を具備しているため、ロボットアームの様々な姿勢による重力作用が生じた場合においても十分な誤差吸収機能を発揮することができると共に、一旦部材同士の組立てや嵌め合いが行われた際、その状態を維持することが可能な位置誤差吸収装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明を実施形態として示した図面に従って説明する。
【実施例1】
【0019】
図1はこの発明の位置誤差吸収装置の斜視図であり、図2はその正面図、図3はその上面図、図4はこの発明の位置誤差吸収装置による位置誤差吸収前の状態を示した状態図、図5はこの発明の位置誤差吸収装置による位置誤差吸収動作中の状態を示した状態図、図6はこの発明の位置誤差吸収装置による位置誤差吸収動作後の状態を示した状態図である。
【0020】
この位置誤差吸収装置は、図1〜3に示すように、固定体1と、可動体2とを、両端に多自由度継手を具備させた複数の流体圧シリンダ3を介して接続してなるものとし、全体としてパラレルメカニズムを構成している。そして、このパラレルメカニズムにより可動体2が相手方部材の姿勢に対応した動きをして、可動体2に取り付けられた一方の部材と相手方部材との相対位置誤差を吸収するものとしている。
【0021】
なお、固定体1及び可動体2には、図示していないが、電気、空気、油、水などの経路接続用の雄・雌コネクタを具備させてもよく、固定体1とロボット側とが適正に連結した場合、あるいは可動体2に取り付けられた一方の部材と相手方部材とが適性に連結した場合に、前記経路がON状態となるようにしてもよい。
【0022】
パラレルメカニズムは、図1に示すように、6本の流体圧シリンダ3を具備しており、この流体圧シリンダ3は空気圧又は油圧式の流体シリンダとすることができる。各流体圧シリンダ3は、そのシリンダ本体30が下方に、ピストンロッド31が上方に位置するように配置され、シリンダ本体30の下端部がユニバーサルジョイント4を介して固定体1に接続され、ピストンロッド31の上端部がボールジョイント5を介して可動体2に接続されている。また、各流体圧シリンダ3は流体供給ラインを介して流体供給源6に接続されており、その途中には圧力供給弁7やSOLバルブ8などが配置されたものとしている。これにより、各流体圧シリンダ3は、流体供給源6から流体圧の供給を受け、あるいは排出口(図示せず)から流体圧を排出させ、これらの動作の繰り返しにより、ピストンロッド31がその長さ方向への伸縮運動を行うようにしている。なお、流体圧シリンダ3にはロック機構が内蔵されたもの(例えば、SMC株式会社製あるいはCKD株式会社製のロック付きシリンダなど)を採用し、流体圧シリンダ3への流体圧の供給に応じて、ピストンロッド31をその上限位置(ピストンロッドが完全に伸びきった状態)や下限位置(ピストンロッドが完全に縮まった状態)、あるいはその中間位置において、自由にロックさせることができるものとしている。
【0023】
上述したような構成とすることにより、パラレルメカニズムは、ユニバーサルジョイント4に基づいた平行運動、ボールジョイント5に基づいた可動体2の回転運動、ピストンロッド31の伸縮運動に基づいた上下運動が可能となり、図1に示すようなXYZ軸方向に3自由度と各軸回転方向に3自由度の合計6自由度を有することとなり、可動体2に相手方部材の位置、姿勢、状態に対応した自由かつ高精度の動きをさせて部材間の位置誤差を吸収するものとしている。
【0024】
なお、図1において、流体圧シリンダ3は所定間隔に略直立した状態で取り付けたものとしているが、これに限られず、例えば2個の流体圧シリンダ3を1組として、120°間隔で配置された3個のボールジョイントにピストンロッド31の上端部を接続して流体圧シリンダ3に角度を持たせるように配置してもよい。また、上記のように6自由度のパラレルメカニズムの代わりに、必要に応じて2〜5自由度のパラレルメカニズムとしてもよく、この場合、流体圧シリンダ3の自由度を必要な数の自由度に抑えることで、構造を簡単化することができ、コストを抑えることもできる。
【0025】
図4〜6は、上述した位置誤差吸収装置を、ロボットアームが垂直状態にある工業用ロボットに接続したものを示しており、固定体1がロボットアームの出力端に固定され、可動体2に取り付けられた部材W1と、任意の位置、姿勢にある相手方部材W2との組み合せを行うものとしている。
【0026】
ところで、この実施形態では上記したように固定体1をロボットアームの出力端に固定するものとしたが、これに限られず、固定体1を地面などの任意箇所に固定して利用することも可能である。
【0027】
本発明の位置誤差吸収装置では、ロボットアームが垂直状態にある場合においても、それぞれのアクチュエータ(流体圧シリンダ3)の固さを空気圧、油圧、スプリング力などにより調節することで可動体2に取り付けられた部材W1からの重力作用やロボットアームの姿勢変化に伴う重力作用による可動体2と固定体1との位置ズレや芯ズレ、やわらかさの変動をキャンセルできる。
【0028】
なお、本実施形態においては、可動体2に取り付けられた部材W1を相手方部材W2に組み合わせるものとしているが、これに限られず、可動体2にロボットハンドを取り付け、このロボットハンドに把持させた部材W1と相手方部材W2との組み合わせを行うものや、可動体2に設けられたピンPを相手方部材に設けられたガイド孔へと挿入させて組み合わせを行うものとしてもよい。
【0029】
図4は、可動体2に取り付けられた部材W1が相手方部材W2に組み合わされる前の状態を示しており、この状態では各流体圧シリンダ3のピストンロッド31はロック機構により下限位置で強くロックされている。これにより、ロボットアームが移動する際の加減速を原因とする可動体2や部材W1の揺れを防止でき、迅速な作業が可能となる。
【0030】
図5は、ロボットアームによる部材W1の相手方部材W2への押付けにより、本発明の位置誤差吸収装置のパラレルメカニズムが働いて部材W1が相手方部材W2の位置や姿勢に倣うように可動体2を動かして、部材W1と相手方部材W2との位置誤差を吸収している状態を示す。この状態では、上述したように下限位置で強くロックされていたピストンロッド31を圧力の調節により伸縮自在なやわらかい状態にしておく。これにより、ユニバーサルジョイント4に基づいた流体圧シリンダ3及び可動体2の揺動運動と、ボールジョイント5に基づいた可動体2の回転運動と、流体圧シリンダ3への流体圧の供給・排出によるピストンロッド31の伸縮に基づいた可動体2の伸縮運動との組み合わせが可能となり、部材W1と相手方部材W2との位置誤差を吸収することができる。
【0031】
なお、本実施形態においては、ロボットアームによる部材W1の相手方部材W2への押付けにより、部材W1が相手方部材W2の位置や姿勢に倣って組み合わされるものとしているが、相手方部材W2の位置や姿勢、接触面の傾斜具合など、種々の情報をあらかじめロボット側に入力しておくことで、部材W1が相手方部材W2に接触する前であっても、ロボットが自動的に流体圧シリンダ3への流体圧の供給量などを調節して位置誤差吸収ができるようにしてもよい。あるいは、ロボットアームの先端部や可動体2にセンサを取り付け、相手方部材W2の位置や姿勢、接触面の傾斜具合などを検知して、その情報を基にロボットが自動的に位置誤差吸収動作を行うのとしてもよい。
【0032】
図6は、本発明の位置誤差吸収装置による位置誤差吸収動作が完了し、可動体2に取り付けられた部材W1と相手方部材W2とが組み合わさった状態を示す。この状態では、位置誤差吸収のため伸縮自在なやわらかい状態にあったピストンロッド31をロック機構によって再び強くロックしてその姿勢を維持するようにしている。これにより、部材同士を組み合わせた後、部材同士を溶接あるいは固定する際に溶接ロボット等からの外力が作用した場合においても部材W1と相手方部材W2との位置ズレや抜けを防止できる。
【0033】
なお、本実施例においては、流体圧シリンダ3に内蔵されたロック機構によりピストンロッド31をロック状態としたが、図7に示すような継手を組み合わせたロック部材9を固定体1と可動体2の間に架設し、このロック部材9により可動体2の動きを拘束して部材W1と相手方部材W2との位置ズレや抜けを防止するようにしてもよい。このロック部材9は、位置誤差吸収時においては可動体2とともに自在に動けるよう回転継手と揺動継手の組み合わせにより構成されており、また、必要に応じてその回転運動と揺動運動を停止、固定させることができるものとしている。これにより、部材同士を組み合わせた後、部材同士を溶接あるいは固定する際に溶接ロボット等からの外力が作用した場合においても、ロック部材9をロックさせて部材W1と相手方部材W2との位置ズレや抜けを防止できる。
【実施例2】
【0034】
実施例1においては、可動体2に取り付けられた部材W1と相手方部材W2とを組み合わせるものとしたが、この発明の位置誤差吸収装置は、工業用ロボット(例えば、特開平4−101796、図4)による工具交換用カップラーの接続・離反に使用することもできる。
【0035】
通常、アーム式の工業用ロボットには、工具交換機能を具備させてあり、アームの先端部に工具交換用カップラーを有するものとしてある。この工具交換用カップラーは、ロボット側に取り付けられる第1ハウジングと、工具が取り付けられたワーク側の第2ハウジングとから構成されており、工具が相違する多数の第2ハウジングが用意されてあり、1つの工程が終了し次の工程に移る際に、今まで使用していた第2ハウジングを第1ハウジングから取り外し、他の種類の工具を有する第2ハウジングを結合させる。なお、第1ハウジングと第2ハウジングには、これら相互を適正に接続させるために、これらのうち一方の接合面に先端に向かって縮径するテーパピンを直立させると共に、他方の接合面に前記テーパピンを案内するガイド孔が設けられている。
【0036】
そこで、上記のようなアーム式の工業用ロボットにおいて、この発明の位置誤差吸収装置の固定体1をロボットの出力端に固定すると共に、可動体2に前記第1ハウジングを取り付けて上記カップラーの接続作業を行うと、第1ハウジングの接合面と第2ハウジング接合面が平行でない場合であっても、上述したパラレルメカニズムによって、ハウジング同士を接触させることなく両接合面を平行にすることができ、さらに第1ハウジングのティーチング位置と第2ハウジングが置かれている位置が若干位置ズレしていても、パラレルメカニズムによって、テーパピンがガイド孔に案内される態様で第1ハウジングがロボットアームに対して移動し、第1ハウジングと第2ハウジングとを適正に接続させることができる。
【0037】
以上のように、この発明の位置誤差吸収装置では、ロボットアームの様々な姿勢による重力作用が生じた場合においても、あるいは相手方部材の姿勢や位置、状態に関わらず、パラレルメカニズムにより正確な位置誤差吸収を行うことができ、また、位置誤差吸収時の姿勢を維持できるロック機構により組み合わせ後の溶接作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の位置誤差吸収装置の斜視図。
【図2】この発明の位置誤差吸収装置の正面図。
【図3】この発明の位置誤差吸収装置の上面図。
【図4】ロボットアームが垂直状態にあって、この発明の位置誤差吸収装置により位置誤差吸収する前の状態を示した状態図。
【図5】ロボットアームが垂直状態にあって、この発明の位置誤差吸収装置により位置誤差吸収している状態を示した状態図。
【図6】ロボットアームが垂直状態にあって、この発明の位置誤差吸収装置により位置誤差吸収した後の状態を示した状態図。
【図7】ロック機構が別途に設けられた位置誤差吸収装置により位置誤差吸収した後の状態を示した状態図。
【図8】ロボットアームが水平状態にあって、従来の位置誤差吸収装置により位置誤差吸収している状態を示す状態図。
【図9】ロボットアームが垂直状態にあって、従来の位置誤差吸収装置により位置誤差吸収している状態を示す状態図。
【符号の説明】
【0039】
W1 部材
W2 相手方部材
1 固定体
2 可動体
3 流体圧シリンダ
4 ユニバーサルジョイント
5 ボールジョイント
6 流体供給源
7 圧力供給弁
8 SOLバルブ
9 ロック部材
30 シリンダ本体
31 ピストンロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材(W1)(W2)同士の組立て作業や嵌め合い作業用の位置誤差吸収装置であって、ロボットの出力端側に取り付けられる固定体(1)と、一方の部材(W1)が取り付けられる可動体(2)とを、両端に多自由度継手を具備させた複数の流体圧シリンダ(3)を介して連結することにより全体としてパラレルメカニズムを構成し、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体(2)の動きによって部材(W1)(W2)間の位置誤差を吸収するようにしたことを特徴とする位置誤差吸収装置。
【請求項2】
部材(W1)(W2)同士の組立て作業や嵌め合い作業用の位置誤差吸収装置であって、ロボットの出力端以外の任意箇所に取り付けられる固定体(1)と、一方の部材(W1)が取り付けられる可動体(2)とを、両端に多自由度継手を具備させた複数の流体圧シリンダ(3)を介して連結することにより全体としてパラレルメカニズムを構成し、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体(2)の動きによって部材(W1)(W2)間の位置誤差を吸収するようにしたことを特徴とする位置誤差吸収装置。
【請求項3】
前記流体圧シリンダ(3)を少なくとも6本有すると共に、流体圧シリンダ(3)の両端に設けられた多自由度継手の少なくとも一方がユニバーサルジョイント(4)あるいはボールジョイント(5)からなるものとし、前記パラレルメカニズムがXYZ軸方向に3軸とその各軸回転方向に3軸の計6自由度を持つようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の位置誤差吸収装置。
【請求項4】
前記パラレルメカニズムに基づいた可動体(2)の動きを必要に応じて適時にロックさせることができるロック機構を具備することを特徴とする請求項1乃至3に記載の位置誤差吸収装置。
【請求項5】
前記ロック機構として、流体圧シリンダ(3)に流体圧を供給してピストンロッド(31)の伸縮運動を拘束することにより、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体(2)の動きを必要に応じて適時にロックさせることができるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の位置誤差吸収装置。
【請求項6】
前記ロック機構として、固定体(1)と可動体(2)の間にロック部材(9)を架設することにより、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体(2)の動きを必要に応じて適時にロックさせることができるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の位置誤差吸収装置。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載の位置誤差吸収装置において、前記部材(W1)(W2)の一方を、テーパピンをガイド孔に嵌入する態様で一体化させる形式のカップラーを構成するハウジングの一方として前記可動体(2)に取り付け、前記パラレルメカニズムに基づいた可動体(2)の動きによってテーパピンとガイド孔との位置誤差を吸収するようにしたことを特徴とする位置誤差吸収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−62335(P2008−62335A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242660(P2006−242660)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】