説明

低温硬化が可能なポリイミド樹脂及びその製造方法

【課題】本発明は、ジアミンと二無水物とを反応させてポリイミド樹脂を製造する方法において、沸点130〜180℃の溶媒の存在下で重合させて150〜250℃の温度範囲で低温硬化が可能なポリイミド樹脂を提供する。
【解決手段】本発明の方法によるポリイミドは、低温でも硬化が可能であるため、電子材料として用いられる場合、高温工程による装備の損傷などを最小化することができ、且つプラスチック基板などにも用いることができるため、電子材料としてより幅広く使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド樹脂及びその製造方法に関し、特に、低温硬化が可能なポリイミド樹脂とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体及び液晶表示素子を中心とする半導体素子の分野においては、電子素子の高集積化、高密度化、高信頼化、高速化などの動きの急激な拡散に伴い、加工性と高純度化などが容易な有機材料の利点を用いようとする研究が活発に進められている。
【0003】
特に、ポリイミド樹脂は、高耐熱性、優れた機械的強度、低誘電率及び高絶縁性などの優れた電気特性の他にも、コーティング表面の平坦化特性が良く、素子の信頼性を低下させる不純物の含有量が非常に低く、容易に微細形状に作ることができるという利点があり、近年、これを含んだ感光性樹脂をはじめとする感光性絶縁膜の用途が、半導体のみならず、ディスプレイの分野にまで拡大している。
【0004】
一般に、ポリイミドの合成方法としては、2段階縮合重合としてジアミン成分と二無水物成分をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びジメチルホルムアミド(DMF)のような極性有機溶媒中で重合させることにより、ポリイミド前駆体溶液を得、これをシリコンウェハやガラスなどにコーティングした後、高温で熱処理を行って硬化させる方法がある。
【0005】
商業化された電子材料用ポリイミド製品は、ポリイミド前駆体溶液或いはポリイミドフィルム状態で供給され、半導体素子の分野では主にポリイミド前駆体溶液状態で供給される。
【0006】
しかしながら、このようなポリイミド重合体の製造方法は、高い硬化温度(300℃以上)を必要とするため、熱に脆弱な工程には用いることができないという問題があり、高温の硬化を経ても前記ポリイミド前駆体溶液が完全にポリイミドに転換し難しいという問題がある。
【0007】
このような問題点を解決するために、従来の工程では、触媒を用いて液状で化学的イミド化をする重合方法が開発されたが、このような工程も依然と高温工程を必要とすることはもちろん、溶媒においても高沸点溶媒をそのまま使用しているため、前記重合工程以後に溶媒の除去のために再び高温の硬化工程を経なければならないという問題がある。
【0008】
また、前記ポリイミド樹脂の製造のために、高温の熱処理を行い生産効率を高めるためには熱設備が大型化されるという点も問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、発明者らは、ポリイミドの製造工程に低沸点の溶媒を用いたり、或いは前記低沸点溶媒と共に低沸点及び高い反応性のアミン系触媒を添加することにより、低温でもポリイミドの製造が可能であることを見出し、このような方法により製造された低温ポリイミドは、耐熱性及び加工性において依然と優れた性質を保持していることを確認して本発明を完成した。
【0010】
本発明の目的は、低沸点の溶媒を用いて低温でもイミド化が可能なポリイミド樹脂の製造方法を提供することにある。
【0011】
なお、本発明の他の目的は、前記低沸点の溶媒と共に低沸点及び高い反応性の特定触媒を用いて低温でもイミド化が可能なポリイミド樹脂の製造方法を提供することにある。
【0012】
なお、本発明の又他の目的は、前記ポリイミド樹脂を含む感光性組成物及びプリント用インク組成物を提供することにある。
【0013】
なお、本発明の又他の目的は、低温硬化が可能なポリイミド樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するための本発明のポリイミド樹脂の製造方法は、沸点130〜180℃の低沸点溶媒を用いてポリイミド樹脂を重合する段階を含むことができる。
【0015】
前記低沸点溶媒は、例えば、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)からなる群より選ばれる1種以上である。
【0016】
前記低沸点溶媒は、例えば、ポリイミド樹脂の製造のためのモノマー100重量部に対し20〜2000重量部で含まれる。
【0017】
本発明の方法によれば、前記ポリイミドは、ポリアミド酸前駆体の製造段階を経ず、直接ポリイミド樹脂を製造することができる。
【0018】
前記ポリイミド樹脂は、沸点60〜100℃の触媒存在下で製造することができる。
【0019】
前記触媒は、例えば、N,N-ジエチルメチルアミン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N-メチルピロリジン(N-Methylpyrrolidine)、ピロリジン(pyrrolidine)、及びトリエチルアミンからなる群より選ばれる1種以上である。
【0020】
前記触媒は、例えば、ポリイミド樹脂の出発原料のジアミンと二無水物100重量部に対し0.5〜30重量部で含まれる。
【0021】
本発明の方法によれば、前記重合は、120〜200℃の温度で行うことができる。
【0022】
前記ポリイミド樹脂は、
例えば、

及び3,5-ジアミノベンゾ酸から由来する2価の有機基などフェノール性水酸基、カルボキシル基又は水酸基を含む2価の有機基からなる群より選ばれる1種以上の芳香族ジアミン;p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-メチレン-ビス(2-メチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、o-トリジン、m-トリジン、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、及び2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンからなる群より選ばれる1種以上の芳香族ジアミン;1,6-ヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、及び4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシルメタン及び4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,2-ビス-(2-アミノエトキシ)エタン、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンからなる群より選ばれる1種以上の脂肪族ジアミンからなる群より選ばれる1種以上のジアミンを出発原料として用いることができる。
【0023】
前記ポリイミド樹脂は、例えば、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシ-2-シクロペンタン酢酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物及び3,5,6-トリカルボキシ-2-ノルボルナン酢酸二無水物からなる群より選ばれる1種以上の酸無水物及びその誘導体からなる群より選ばれる1種以上の二無水物を出発原料として用いることができる。
【0024】
本発明は、前記の他の目的を達成するために、沸点130〜180℃の低沸点溶媒を用いて製造されたポリイミド樹脂を提供することができる。
【0025】
前記ポリイミドのガラス移転温度は150〜400℃であることが望ましい。
【0026】
前記ポリイミド樹脂の重量平均分子量は1,000〜100,000であることが望ましい。
【0027】
前記ポリイミド樹脂中の残留触媒量は、ポリイミド樹脂の総重量に対し0.001〜0.1重量%であることが望ましい。
【0028】
本発明は、前記の又他の目的を達成するために、前記のような方法により製造されたポリイミド樹脂を含んだ低温硬化が可能な感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0029】
前記感光性樹脂組成物は150〜250℃で硬化が可能であることを特徴とする。
【0030】
前記感光性樹脂組成物は、硬化後、感光性樹脂組成物中に残留溶媒が存在しないことを特徴とする。
【0031】
また、前記感光性樹脂組成物は、硬化後、感光性樹脂組成物中に残留溶媒が0.05重量%未満であることを特徴とする。
【0032】
前記感光性樹脂組成物を用いた感光膜は、予備焼成(prebake)後、EBR solvent(edge bead removal solvent)により除去することができるという特徴がある。
【0033】
前記感光性樹脂組成物は、ドレインの混用時、沈殿の発生なく溶解されるという特徴がある。
【0034】
又、本発明は、前記の方法により製造されたポリイミド樹脂を含むプリント用インク組成物を提供することができる。
【0035】
本発明は、前記又他の目的を達成するために、前記の方法により製造されたポリイミド樹脂を含むプリント用インク組成物を提供することができる。
【0036】
又、本発明は、前記感光性樹脂組成物を含んで製造されるOLED、LCD又は半導体絶縁膜を提供することができる。
【0037】
又、前記プリンティング用インク組成物を含んで製造されるOLED、LCD又は半導体絶縁膜を提供することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、低沸点溶媒を用いてポリイミド前駆体のポリアミド酸の製造段階を含まず、直接ポリイミド樹脂の製造が可能である。
【0039】
また、このように製造されたポリイミド樹脂は、低温でも硬化が可能であるため、電子材料として用いられる場合、高温工程による装備の損傷などを最小化することができ、且つプラスチック基板などにも用いることができるため、電子材料としてより幅広く使用できる。
【0040】
なお、本発明の製造方法によるポリイミド樹脂は、十分な機械的強度を有し、且つ加工性に優れ、生産効率が高いので、様々なディスプレイの感光性樹脂組成物のみならず、プリント用インク組成物などにも使用が可能であるという利点がある。
【0041】
本発明に係るポリイミド樹脂は、感光性樹脂組成物に含まれて電子材料の感光膜として用いられる場合、予備焼成後、EBR solventにより低い温度でも容易に除去することができる。
【0042】
なお、本発明に係るポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物は、ドレインの混用時、沈殿の発生なく溶解されるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例による感光性樹脂組成物の硬化後の残留溶媒量の分析グラフである。
【図2】本発明の比較例による感光性樹脂組成物の硬化後の残留溶媒量の分析グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本実施形態をより詳しく説明する。本明細書で使用された用語は特定の実施例を説明するために用いられ、本発明を制限するものではない。本明細書で使用されているように、単数形態は、文脈上特定ケースをはっきり指摘するものでなければ、複数形態を含むことができる。
【0045】
また、本明細書で使用される「含む(comprise、comprising)」は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素および/または、これらのグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素および/または、グループの存在若しくは付加を排除するものではない。
【0046】
本実施形態は、ジアミンと二無水物とを反応させてポリイミド樹脂を製造するにおいて、沸点が低い特定触媒と溶媒を用いることにより、低温硬化が可能なのみでなく、可溶性のポリイミド樹脂を製造することができる。
【0047】
本実施形態のポリイミド樹脂は、従来のようにジアミンと二無水物(dianhydride)からポリアミド酸前駆体を製造し、これを高温硬化させてポリイミドフィルムに製造するものではなく、前記ジアミンと二無水物から直接ポリイミド樹脂を製造するものである。
【0048】
これは、本実施形態において、低温でもポリイミド樹脂の合成を可能にするために、沸点130〜180℃の低沸点の溶媒を用いることに特徴がある。
【0049】
通常、ポリイミド樹脂の合成は、ポリアミド酸前駆体を製造し、これを320℃ 以上の高温で硬化させることにより製造した。しかしながら、本実施形態では、ポリアミド酸前駆体の段階を経ず、直接ポリイミド樹脂に製造するが、従来よりさらに低い温度でポリイミド樹脂を合成するために上述のように低沸点溶媒を用いる。
【0050】
上述のように、沸点130〜180℃の低沸点の溶媒の具体的な例としては、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等からなる群より選ばれる1種以上であるか、若しくは前記温度範囲の沸点を有する低沸点の溶媒であれば良く、これに限定されない。
【0051】
本実施形態に係る溶媒の沸点が130℃未満である場合は、ポリイミドの作製において十分なエネルギーにならず転換率が低下する可能性があり、また、溶媒の沸点が180℃を超える場合は、硬化時にこれより高い200℃以上の温度を加えなければ溶媒が残留してしまうことから、硬化温度を低くし難いという問題があるため望ましくない。
【0052】
前記低沸点溶媒は、ジアミンと二無水物とを含んだ総モノマー100重量部に対し20〜2000重量部、望ましくは100〜1000重量部、最も望ましくは200〜400重量部で含まれ、前記溶媒の含有量が20重量部未満である場合は、ポリイミドを十分に溶解できなく、2000重量部を超える場合は、基板に塗布する時に十分な厚さの塗膜が形成できないという問題があるため望ましくない。
【0053】
本実施形態では、前記ポリイミド樹脂の製造時、低沸点触媒を含むことができる。
【0054】
前記触媒は、低温でイミド化が可能であり、反応後に除去が容易な触媒であって、低沸点且つ高い反応性を有する触媒が望ましい。
【0055】
具体的に、前記触媒は、沸点が60〜120℃、 望ましくは70〜100℃、 最も望ましくは80〜90℃である。触媒の沸点が60℃未満に非常に低いと、重合途中に全て蒸発してしまい望ましくなく、また、120℃を超えると、反応終了後に反応性の大きい触媒が残留してしまい、組成物の製造時に副反応を起こす恐れがある。
【0056】
本実施形態に係る前記触媒の具体的な例としては、N,N-ジエチルメチルアミン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N-メチルピロリジン(N-Methylpyrrolidine)、ピロリジン(pyrrolidine)及びトリエチルアミンからなる群より選ばれる1種以上であるが、これに限定されない。
【0057】
前記触媒は、ポリイミド樹脂の合成に用いられる前記ジアミンと二無水物とを含んだ総モノマー100重量部に対し0.5〜30重量部、望ましくは2〜20重量部、最も望ましくは5〜10重量部で含まれ、前記触媒の含有量が0.5重量部未満である場合は、触媒量が足りずポリイミドへの転換率が低下し、30重量部を超える場合は、未反応触媒の残留による付加反応が起きる可能性があるため、望ましくない。
【0058】
また、本実施形態のポリイミド樹脂に用いられるモノマーのジアミンと二無水物とは、通常のポリイミド樹脂の製造時に用いられるものであれば特に限定されなく、ただし、所定の用途に応じて選択して用いることができる。
【0059】
例えば、酸無水物又はその誘導体としては、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシ-2-シクロペンタン酢酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、及び3,5,6-トリカルボキシ-2-ノルボルナン酢酸二無水物からなる群より選ばれる1種以上の酸無水物及びその誘導体が挙げられる。
【0060】
前記ジアミンとしては、芳香族及び脂肪族ジアミンを用いることができ、ジアミン化合物の具体的な例としては、

及び3,5-ジアミノベンゾ酸から由来する2価の有機基などフェノール性水酸基、カルボキシル基又は水酸基を含む2価の有機基からなる群より選ばれる1種以上の芳香族ジアミン;p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-メチレン-ビス(2-メチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、o-トリジン、m-トリジン、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、及び2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンからなる群より選ばれる1種以上の芳香族ジアミン;1,6-ヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、及び4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシルメタン4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,2-ビス-(2-アミノエトキシ)エタン、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]-ウンデカン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンからなる群より選ばれる1種以上の脂肪族ジアミンが挙げられ、前記芳香族及び脂肪族ジアミンを混合して用いることができるが、これに限定されるのではない。
【0061】
一方、本実施形態に係るポリイミド樹脂の重合は、120〜200℃、望ましくは130〜180℃、最も望ましくは140〜160℃の低い温度で行うことができる。 上述のような過程でポリイミドを製造する場合、重合時、転換率は90〜100%であり、ポリイミド樹脂中の残留触媒量は、総ポリイミド樹脂中に0.001〜0.1重量%であることが望ましい。
【0062】
本実施形態に係る前記ポリイミドの製造方法は、比較的低い温度で重合するにもかかわらず、転換率が高く、最終製造されたポリイミド樹脂中の残留触媒量が少ないことが確認できるため、これから本実施形態に係る製造方法によりポリイミド樹脂を効果的に製造できることが分かる。
【0063】
このような一連の過程により製造された本実施形態に係るポリイミド樹脂は、150〜250℃の温度範囲で低温硬化が可能であり、可溶性である。
【0064】
これにより、従来、320℃以上の高温でのポリイミドの硬化による工程上の困難、及び熱に脆弱な工程には用いることはできないという問題、高温硬化を経ても前記ポリアミド酸前駆体溶液からポリイミド樹脂への低い転換率などの問題を解決することができる。
【0065】
通常、ポリイミド樹脂は、溶媒に対する溶解度が極めて制限的であることで知られているのに対し、本実施形態により製造されたポリイミド樹脂は、溶解度が低い溶媒にも可溶性を有することができる。
【0066】
通常、ポリイミドは、溶解度が非常に低くて、可溶性を有するためには可溶性の機能を付与できるモノマーを導入しなければならない。この場合も極性が高い高沸点溶媒により容易に溶ける傾向がある。
【0067】
しかしながら、本実施形態に係る低温硬化型ポリイミドは、可溶特性に優れ、本実施形態に用いられる沸点が130〜180℃の溶媒のように低沸点溶媒に対して優れた可溶性を有する。
【0068】
そのため、イミド環を作るために、塗布後、高温でイミド化させなくても良く、溶媒だけ除去すればポリイミド膜を得ることができる。また、既に化学的にイミド化させているため、高い転換率を有しており、イミド化されないポリアミド酸やポリアミド酸エステルから発生したout-gassingによって素子の信頼度が低下するという問題が生じない。特に、低沸点の溶媒を用いる場合は、溶媒の沸点に応じてその温度をより低くすることができ、低温工程が必要な素子工程に適用して既存のポリイミドのような高い機械的、熱的安全性を有する薄膜を形成できるという利点がある。
【0069】
本実施形態に係る前記ポリイミド樹脂のガラス移転温度は、例えば150〜400℃である。また、前記ポリイミド樹脂は、1,000〜500,000、望ましくは5,000〜100,000の重量平均分子量を有する。
【0070】
前記のような方法により製造されたポリイミド樹脂を含む低温硬化が可能な感光性樹脂組成物を提供することができ、150〜250℃の低温で硬化が可能であるという特徴を有する。
【0071】
また、本実施形態に係る前記感光性樹脂組成物は、硬化後、感光性樹脂組成物中の残留溶媒量が0.05重量%未満であり、より望ましくは、硬化後、感光性樹脂組成物中に残留溶媒が存在しない(0重量%)。
【0072】
前記感光性樹脂組成物を用いた感光膜は、予備焼成後、EBR solventにより容易に除去できるという特徴がある。これは通常のポリイミドの重合に使用してはいないが、普通のフォトレジストには汎用のグリム(glyme)系溶媒、プロピオネート(propionate)、PGMEAなどの溶媒を用いて重合を行い汎用のEBR solventによって低い温度で除去が容易だという特徴がある。
【0073】
したがって、その他の半導体ラインや、OLED、LCDなどのディスプレイラインにおいて、製造工程時、リワーク(rework)に使用する一般的な溶剤で除去が可能であり、ドレイン(drain)の混用時に発生する沈殿の発生なく溶解され、配管の詰まりなどを防ぐことができるという特徴がある。
【0074】
なお、プリンティング用組成物の場合、通常のポリミイドの重合に用いられるNMP、GBL、DMAc、DMFなどの溶媒は使用が不可能であるが、本実施形態のポリミイド樹脂は、このような溶媒を使用しないため、プリンティング用インク組成物に有利に用いることができる。
【0075】
結論的に、本実施形態に係るポリイミド樹脂は、OLED、LCDを含んだ様々な電子材料の感光性樹脂組成物及びプリンティング用インク組成物のバインダー樹脂として用いることができるが、これに限定されるのではない。
【0076】
したがって、本実施形態は、前記感光性樹脂組成物を含んで製造されたポリイミドフィルムや、前記プリンティング用インク組成物を含んで製造されるポリイミドフィルムを提供することができ、さらに、前記ポリイミドフィルムを用いて製造されるOLED、LCD又は半導体絶縁膜を提供することができる。
【0077】
(実施の形態)
以下、本発明を実施例に基づいてより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0078】
(実施例1:低温ポリイミドの重合例)
100ml丸底フラスコに2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン12.1gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60gとを順次投入し、ゆっくり撹はんして完全に溶解させた後、前記フラスコを水浴(water bath)で室温に維持しながら、3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物10.2gをゆっくり添加した。前記混合溶液に11gのトルエンと4gのトリエチルアミンとを入れ、ディーンスターク蒸留装置(dean-stark distillation)により水を除去できるように設けた後、150℃で5時間還流させた。ディーン-スターク蒸留装置の水を除去した後、触媒の除去のために2時間追加還流させ、常温冷却して可溶性ポリイミド溶液を得ることができた。
【0079】
IRにてポリイミドの生成ピークを確認し、GPCにて測定された前記ポリイミド樹脂の重量平均分子量は40,000であり、多分散指数(Polydisperse index、PDI)は1.5であった。
【0080】
(実施例2:低温ポリイミドの重合例)
100ml丸底フラスコに2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン12.1gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60gとを順次投入し、ゆっくり撹はんして完全に溶解させた後、前記フラスコを水浴で室温に維持しながら、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物6.5gをゆっくり添加した。前記混合溶液に11gのトルエンと4gのトリエチルアミンとを入れ、ディーン-スターク蒸留装置により水を除去できるように設けた後、150℃で5時間還流させた。ディーン-スターク蒸留装置の水を除去した後、触媒の除去のために2時間追加還流させ、常温冷却して可溶性ポリイミド溶液を得ることができた。
【0081】
IRにてポリイミドの生成ピークを確認し、GPCにて測定された前記ポリイミド樹脂の重量平均分子量は35,000であり、多分散指数は1.7であった。
【0082】
(比較例1:高温ポリイミドの重合例)
100ml丸底フラスコに2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン12.1gとγ-ブチロラクトン60gとを順次投入し、ゆっくり撹はんして完全に溶解させた後、前記フラスコを水浴で室温に維持しながら、3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物10.2gをゆっくり添加した。前記混合溶液を16時間室温で撹はんした後、7gのトルエンを入れ、ディーン-スタークにより水を除去できるように設けた後、180℃で3時間還流させた。ディーン-スターク蒸留装置の水を除去した後、触媒の除去のために2時間追加還流させ、常温冷却して可溶性ポリイミド溶液を得ることができた。
【0083】
IRにてポリイミドの生成ピークを確認し、GPCにて測定された前記ポリイミド樹脂の重量平均分子量は40,000であり、多分散指数は1.6であった。
【0084】
(比較例2:ポリイミド前駆体の重合例)
1Lの丸底ジャケット反応器に4,4'-オキシジアニリン73.3g及びγ-ブチロラクトン300gとを順次投入し、ゆっくり撹はんして完全に溶解させた後、反応器のジャケット温度を20℃に維持しながら、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物55.8gをゆっくり添加して撹はんさせた。前記混合溶液を2時間撹はんして十分に反応させた後、16時間室温でさらに撹はんさせ、ポリアミド酸を製造した。IRにてポリアミド酸の生成ピークを確認し、GPCにて測定された前記ポリイミド樹脂の重量平均分子量は50,000であり、多分散指数は1.6であった。
【0085】
(実験例1)
1. イミド化率の評価
- 120℃、4分間プレベーク(prebake)した後、250℃、1時間ハードベーク(hardbake)し、それぞれの場合のFT-IRを用いて測定した。
- 各試料の300℃、1時間硬化試料のCN bandの積分値を転換率100%と仮定し、各硬化条件で硬化した試料のCN bandの積分値によりイミド化率を確認した。
【表1】

【0086】
前記表1の結果から、本実施形態の方法のように低温でポリイミド樹脂を直接製造した実施例1、2の場合、高温で製造した比較例1に比べイミド化率が同等に維持されるか、或いは、むしろ優れたことが分かる。
【0087】
2. 残留触媒量の分析
:GC-MS分析による残留触媒量を定量分析し、結果は次の表2に示す。
【表2】

【0088】
前記表2から、本実施形態のように低沸点触媒を用いる場合、ポリイミド樹脂中に残留する触媒量が比較例1に比べて顕著に減ったことが分かる。このような結果から、本実施形態の方法のようにポリイミド樹脂を製造することが効果的であることが分かる。
【0089】
(実施例3:感光性樹脂組成物の製造例(ポリイミド組成物))
前記実施例1で合成した溶解性ポリイミド1.6gに光活性化合物としてジアゾナフトキノンエステル化合物(TPPA 320:OD/(OD+OH)=2/3の比率によりOH及びODのうち選択的に与えられる。)0.5g、溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)4gを加えて室温で1時間撹はんさせた後、これを細孔の大きさ1μmのフィルターでろ過して感光性樹脂組成物を製造した。
【0090】
(比較例3:感光性樹脂組成物の製造例(ポリイミド組成物))
前記比較例1で合成した溶解性ポリイミド1.6gに光活性化合物としてジアゾナフトキノンエステル化合物(TPPA 320:OD/(OD+OH)=2/3の比率によりOH及びODのうち選択的に与えられる。)0.5g、γ-ブチロラクトン(GHL)4gを加えて室温で1時間撹はんさせた後、これを細孔の大きさ1μmのフィルターでろ過して感光性樹脂組成物を製造した。
【0091】
(実験例2:残留溶媒量の分析)
:Purge&Trap-GC/MSD装備を利用して残留溶媒量を分析する。
基板に前記実施例3と比較例3の組成物を塗布した後、120℃で2分間プレベークし、200℃で1時間ハードベークして塗膜を形成した。前記塗膜を280℃でそれぞれ2時間後、3時間後、4時間後に捕集される溶媒量を分析して図1及び図2に示した。
【0092】
図1は、実施例3による残留溶媒量の分析グラフであり、図2は、比較例3の残留溶媒量の分析グラフである。図1に示すように、実施例3の場合、残留溶媒によるピーク(peak)の発生がないことを確認でき、組成物の分解によるピークだけ確認された。反面、図2では、残留溶媒によるピークによりGBLのピークが280℃、4時間捕集時まで確認されていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸点130〜180℃の低沸点溶媒を用いたポリイミド樹脂を重合する段階を含むポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記低沸点溶媒は、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記低沸点溶媒は、ポリイミド樹脂の製造のためのモノマー100重量部に対し20〜2000重量部で含まれることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項4】
ポリアミド酸前駆体の製造段階を経ず、直接ポリイミド樹脂を製造することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記ポリイミド樹脂は、沸点60〜100℃の触媒存在下で製造されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記触媒は、N,N-ジエチルメチルアミン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N-メチルピロリジン(N-Methylpyyolidine)、ピロリジン(pyrrolidine)及びトリエチルアミンからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項5に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記触媒は、ポリイミド樹脂の出発原料のジアミンと二無水物100重量部に対し0.5〜30重量部で含まれることを特徴とする請求項5または6に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記重合は、120〜200℃の温度で行われる段階を含むことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記ポリイミド樹脂は、

及び3,5-ジアミノベンゾ酸から由来する2価の有機基などフェノール性水酸基、カルボキシル基又は水酸基を含む2価の有機基からなる群より選ばれる1種以上の芳香族ジアミン;p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-メチレン-ビス(2-メチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4'-メチレン-ビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン、4,4'-メチレン-ビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、o-トリジン、m-トリジン、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、 及び2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンからなる群より選ばれる1種以上の芳香族ジアミン;1,6-ヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、及び4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシルメタン及び4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,2-ビス-(2-アミノエトキシ)エタン、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンからなる群より選ばれる1種以上の脂肪族ジアミンからなる群より選ばれる1種以上のジアミンを出発原料として用いることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記ポリイミド樹脂は、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシ-2-シクロペンタン酢酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物及び3,5,6-トリカルボキシ-2-ノルボルナン酢酸二無水物からなる群より選ばれる1種以上の酸無水物及びその誘導体からなる群より選ばれる1種以上の二無水物を出発原料として用いることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項11】
請求項1から10の何れか1項に記載の方法により製造されたポリイミド樹脂。
【請求項12】
前記ポリイミドのガラス移転温度は150〜400℃であることを特徴とする請求項11に記載のポリイミド樹脂。
【請求項13】
前記ポリイミド樹脂の重量平均分子量は1,000〜100,000であることを特徴とする請求項11または12に記載のポリイミド樹脂。
【請求項14】
前記ポリイミド樹脂中の残留触媒量は、ポリイミド樹脂の総重量中に0.001〜0.1重量%であることを特徴とする請求項11から13の何れか1項に記載のポリイミド樹脂。
【請求項15】
請求項1から10の何れか1項に記載の方法により製造されたポリイミド樹脂を含む低温硬化が可能な感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記感光性樹脂組成物は150〜250℃で硬化可能であることを特徴とする請求項15に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
前記感光性樹脂組成物は、硬化後、感光性樹脂組成物中に残留溶媒が存在しないことを特徴とする請求項15または16に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項18】
前記感光性樹脂組成物は、硬化後、感光性樹脂組成物中に残留溶媒量が0.05重量%未満であることを特徴とする請求項15から17の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項19】
前記感光性樹脂組成物を用いた感光膜は、予備焼成(prebake)後、EBR solvent(edge bead removal solvent)により除去できることを特徴とする請求項15から18の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項20】
前記感光性樹脂組成物は、ドレインの混用時、沈殿の発生なく溶解されることを特徴とする請求項15から19の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項21】
請求項1から10の何れか1項に記載の方法により製造されたポリイミド樹脂を含むプリント用インク組成物。
【請求項22】
請求項15から20の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物を含んで製造されるOLED、LCD又は半導体絶縁膜。
【請求項23】
請求項21に記載のプリント用インク組成物を含んで製造されるOLED、LCD又は半導体絶縁膜。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−21133(P2012−21133A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42861(P2011−42861)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(504111015)エルジー ケム. エルティーディ. (38)
【Fターム(参考)】