説明

低環境負荷洗浄方法及び洗浄装置

【課題】低環境負荷で、より洗浄力の高い洗浄方法、その方法を実施するための洗浄ユニット、およびその洗浄ユニットを組み込んだ洗浄装置を提供すること。
【解決手段】洗浄方法は、洗浄液としての電解アルカリ性水にマイクロバブルを発生させ、その液中で超音波を間欠照射させて処理することを特徴とし、洗浄ユニットは、洗浄液としての電解アルカリ性水を内部に蓄えるための洗浄槽(102)と、該洗浄槽(102)内にマイクロバブルを発生させるためのマイクロバブル発生ノズル(103)と、前記洗浄槽(102)の内部に蓄えた電解アルカリ性水中に超音波を照射可能な超音波振動子と、を具備したことを特徴とし、洗浄装置は、被洗浄物を洗浄するための洗浄ユニットと、被洗浄液に付着した洗浄液を除去するためのリンスユニットと、被処理物を水切り乾燥する乾燥ユニットを具備し、洗浄ユニットとして、前記洗浄ユニットを用いたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機アルカリが微量に含有する洗浄液を、製造工程の洗浄プロセスに適用することが許せる分野の各種基板、および機械加工部品等のような一般工業部品の低環境負荷対応の、洗浄方法および洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洗浄分野において、環境負荷を低減させることを目的としての、電解アルカリ性水、およびマイクロバブルという技術が開発されている。更には、洗浄液としての電解アルカリ性水、電解アルカリ性水製造装置、マイクロバブル発生ノズル、あるいはポンプを組み込んだマイクロバブル発生ユニットが市販されるようになってきている。これらの技術を応用した洗浄方法及び洗浄装置は、例えば次のような特許文献に開示されている。
【0003】
特許文献1では、洗浄液としての電解アルカリ性水による洗浄(液温40〜90℃)、液切り、乾燥の工程の洗浄方法および構成の洗浄装置が開示されている。
【0004】
特許文献2では、洗浄液としての電解アルカリ性水による大気遮断洗浄(液温は洗浄液のpHまたは乳化度変化に対応して上昇させる)、リンス、乾燥の構成の洗浄装置が開示されている。
【0005】
特許文献3では、洗浄液としての空気バブリング電解アルカリ性水による超音波洗浄の洗浄方法および洗浄装置が開示されている。
【0006】
特許文献4では、洗浄液としての電解アルカリ性水による超音波洗浄(音圧、pHモニタリングにより洗浄時間、液補給を決める)の洗浄装置が開示されている。
【0007】
特許文献5では、洗浄液としての電解アルカリ性水による超音波洗浄(油分濃度による洗浄液管理)の洗浄装置が開示されている。
【0008】
特許文献6では、洗浄液としての処理液、マイクロバブル(直径20μm以下)、超音波(5〜100MHz)を適用した洗浄装置が開示されている。
【0009】
特許文献7では、洗浄液としての液体、マイクロバブル(所定のガス)、超音波によるバッチ式及び枚葉式の洗浄方法および洗浄装置が開示されている。
【0010】
特許文献8では、洗浄液としての常温の純水、窒素ガスマイクロバブル(30ppm以上)、超音波による洗浄方法および洗浄装置が開示されている。
【0011】
特許文献9では、洗浄液としての界面制御剤添加水溶液、マイクロバブル、油水分離の構成の洗浄装置が開示されている。
【0012】
【特許文献1】特開平10−192860号公報
【特許文献2】特開2001−286835号公報
【特許文献3】特開2002−320934号公報
【特許文献4】特開2005−013886号公報
【特許文献5】特開2005−262155号公報
【特許文献6】特開2005−093873号公報
【特許文献7】特開2006−179765号公報
【特許文献8】特開2006−310456号公報
【特許文献9】特開2007−301529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
公知の低環境負荷対応、マイクロバブル適用の洗浄方法および洗浄装置は、前記のように開示されており、それは、電解アルカリ性水を洗浄液とする、電解アルカリ性水と超音波を組み合わせる、マイクロバブル水を洗浄液とする、マイクロバブル水と超音波を組み合わせる、という内容であるが、本発明者らが、脱脂能力を洗浄力として評価した結果、上記いずれの場合も、十分に満足を得られるものではなかった。
【0014】
そこで、本発明は、低環境負荷で、より洗浄力の高い洗浄方法、その方法を実施するための洗浄ユニット、およびその洗浄ユニットを組み込んだ洗浄装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の洗浄方法は、洗浄液としての電解アルカリ性水にマイクロバブルを発生させる工程と、マイクロバブル電解アルカリ性水に超音波を間欠照射する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、この洗浄方法を実施するための本発明の洗浄ユニットは、洗浄液としての電解アルカリ性水を内部に蓄えるための洗浄槽と、該洗浄槽内にマイクロバブルを発生させるためのマイクロバブル発生ノズルと、前記洗浄槽の内部に蓄えた電解アルカリ性水中に超音波を照射可能な超音波振動子と、を具備したことを特徴とする。
【0017】
更に、本発明の洗浄装置は、被洗浄物を洗浄するための洗浄ユニットと、被洗浄液に付着した洗浄液を除去するためのリンスユニットと、被処理物を水切り乾燥する乾燥ユニットを具備した洗浄装置において、洗浄ユニットとして、前記の洗浄ユニットを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の特徴は、電解アルカリ性水、マイクロバブル、及び超音波を組み合わせた洗浄方法およびその洗浄方法を実施するための洗浄装置にある。
【0019】
本発明の洗浄方法によれば、各種被処理物に対しての、脱脂およびパーティクル除去などの洗浄力、および、洗浄の均一性を格段に向上させることができる。また、液温は常温(25℃程度)と高温にする必要がなく、蒸発などによる洗浄液としての電解アルカリ性水の消耗を少なくすることができる。
【0020】
更には、電解アルカリ性水は微量の無機物が含まれているだけであり、その主成分は水である。従って、従来のような非水系、準水系の洗浄液とは異なり、環境に対する負荷が極めて低い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の洗浄方法では、まず、洗浄液として、液温を常温(25℃程度)とした電解アルカリ性水を用いて、この電解アルカリ性水にマイクロバブルを発生させるとともに、この電解アルカリ性水を蓄えた洗浄槽内に被処理物を入れ、その後に、その液中に超音波を間欠照射させ、これにより、被処理物に付着している油脂、パーティクル等を除去する処理する。
【0022】
そして、この方法を実施するための本発明の洗浄ユニットでは、洗浄液としての電解アルカリ性水を内部に蓄えるための洗浄槽を備えるともに、洗浄槽内の電解アルカリ性水にマイクロバブルを発生させるためのマイクロバブル発生ノズルが備えられており、更に、前記洗浄槽内の電解アルカリ性水中に超音波を照射して、これによりマイクロバブル電解アルカリ性水を圧壊するための超音波振動子を具備している。
【0023】
また、本発明の洗浄装置では、被洗浄物を洗浄するための洗浄ユニットと、被洗浄液に付着した洗浄液を除去するためのリンスユニットと、被処理物を水切り乾燥する乾燥ユニットを具備した洗浄装置において、前記洗浄ユニットとして、前記の洗浄ユニットを用いたことを特徴としている。
【実施例1】
【0024】
本発明の洗浄方法の実施例について説明すると、本実施例の洗浄方法では、まず、洗浄槽102内に電解アルカリ性水を蓄え、この電解アルカリ性水にマイクロバブルを発生させるとともに、この電解アルカリ性水内に被処理物を入れる。
【0025】
そして次に、前記マイクロバブルを発生させた電解アルカリ性水に超音波を間欠的に照射する。そうすると、これにより、マイクロバブルを圧壊し、被処理物に付着している油脂やパーティクルが除去される。
【0026】
次に、この方法を実施するための、本発明の洗浄ユニットの実施例について、図1を参照して説明すると、図1は本実施例の洗浄ユニット100の構成を示す図である。
【0027】
そして、本実施例の洗浄ユニットは、超音波振動子を備えた超音波洗浄槽102(周波数:35KHz)と、この超音波洗浄槽102内の洗浄液にマイクロバブルを発生させるためのマイクロバブル発生ノズル103と、気体が混入しても信頼性のあるポンプ104と、洗浄液を温度調節するための熱交換器105、および恒温水循環装置106と、水用流量計107と、空気用流量計108と、ボールバルブ109、110と、ニードルバルブ111と、圧力計112、113を具備して構成されており、前記超音波洗浄槽102内には、洗浄液101として、電解アルカリ性水を蓄えている。
【0028】
洗浄液101はポンプ104により循環させるが、ボールバルブ109、110とニードルバルブ111およびポンプ104のインバータ制御により、所定の圧力、流量に調節を行う。
【0029】
また、洗浄ユニット100の機器構成においては、圧力計112の指示値は0.4MPa、圧力計113の指示値は0.3MPa、水用流量計107の指示値は16L/分、空気用流量計108の指示値は0.8NL/分となる。
【0030】
更に、液温は熱交換器105および恒温水循環装置106により、24〜25℃に調節する。これにより、洗浄液101は白濁した外観となる。
【0031】
次に、本実施例の洗浄方法の評価結果について説明すると、本実施例の洗浄方法の評価において、脱脂能力としての洗浄力は、各種の表面張力を有する和光純薬工業製濡れ指数標準液(JIS K6768)を入手し、それを綿棒でテストピース(固体表面)に塗布し、その時の濡れ性で判断する評価方法とした。
【0032】
そして、入手した標準液は32mN/m、34mN/m、36mN/m、37mN/m、38mN/m、42mN/m、45mN/m、50mN/m、52mN/m、62mN/mの表面張力のものとした。表面張力の大きい標準液が濡れる程、残留油性物質量が少ないことを意味する。
【0033】
特開平11−217598には、和光純薬工業製濡れ指数標準液で求めた臨界表面張力とフーリエ積分赤外線分光計(FT−IR日本電子製JIR−WINSPEC50)で測定した油性物質の量とは相関関係があることが開示されている。表面張力72mN/mの水(25℃)が濡れる固体表面の残留油性物質量を“1”とした場合の相対値で示されている。参考のため相関図を図2に示すが、臨界表面張力とは固体表面の濡れる、濡れない、の境目における濡れる標準液の表面張力の値を意味する。
【0034】
また、パーティクル除去能力としての洗浄力は、脱脂能力があれば、被処理物に付着したパーティクルを剥離させる作用や、マイクロバブルへのパーティクルの付着による被処理物への再付着防止などの作用が考えられるため、脱脂能力とパーティクル除去能力は等価と判断した。
【0035】
テストピース作成方法について図3を参照して説明すると、まず、テストピースを準備し、綿棒でテストピースに油を塗布し、産業用ワイパー拭取りを行い、その後に加熱処理(80℃×2時間)を行い、その後、洗浄、市水によるリンス、エアーガンによる水切りを行った後に、脱脂能力の評価を行った。そして、テストピースは、SUS304ステンレス鋼板(57mm×40mm×1.5mm)を使用し、油としては、潤滑油(新日本石油株式会社製添加物ゼロ品)とした。
【0036】
次に、本実施例の洗浄方法の評価のための洗浄処理シーケンスについて図4を参照して説明すると、洗浄方式Aは本発明の内容であり、マイクロバブルに超音波を間欠的に照射し、圧壊させる処理シーケンスである。一方、洗浄方式Bはマイクロバブル発生ノズル103を取り外した場合の処理シーケンスであり、マイクロバブル圧壊と比較することにある。
【0037】
なお、洗浄ユニット100においては、tは15秒、tは60秒の設定である。設定根拠は目視判断ではあるが、tは10秒程度でマイクロバブルが圧壊(消失)することにあり、tは30秒程度で元の白濁状態に戻ることにある。
【0038】
ここで、洗浄方式と目視観察による油剥離現象について説明すると、図5に、テストピースの姿勢は振動子に対して垂直であり、油としては潤滑油を用いた場合の洗浄方式の違いによる油剥離現象の差違を示す。現象をより明確にする為、洗浄液101には市水を用いた。
【0039】
図5において、洗浄方式Aの場合は、まず、油などの汚れに対して、マイクロバブルが大量に付着する。その後、超音波を照射すると、図5に示すごとく、振動子側から液面の方向にめくれる様に、短時間に剥離する。
【0040】
一方、洗浄方式Bは、一般的超音波洗浄であり、定在波の影響によりムラ状に剥離する。これは古くから知られている現象であり、ワーク揺動機構、あるいは超音波周波数のスウィープ等を組み込んだ洗浄装置が市販されている。洗浄方式Aでは、このような対応策は不要となるメリットがある。
【0041】
次に、図6にテストピースの姿勢は振動子に対して水平であり、油としては潤滑油を用いた場合の洗浄方式の違いによる油剥離現象の差違を示す。洗浄液101には電解アルカリ性水を用い、処理時間は2分、5分、10分である。
【0042】
洗浄方式Aの場合は、いずれも、ムラが観察されない。一方、洗浄方式Bは、いずれの場合も、テストピース中央部にムラが観察される。但し、処理時間が長くなれば程度の軽いムラとなる。
【0043】
以上の実験的事実から、マイクロバブルと超音波を組み合わせた圧壊利用の洗浄方法は、洗浄均一化に極めて有効であることが証明された。従って、機械的(揺動機構など)、電気的(周波数スウィープなど)対応策が不要となり、安価な装置政策が可能となる。
【0044】
次に、脱脂能力について説明すると、図7に、洗浄方式A、油は潤滑油、液温は24〜25℃による洗浄液101(電解アルカリ性水および市水)の脱脂能力を示す。
【0045】
目視観察によるムラは、いずれも、問題ないが、脱脂能力については明確な差違がある。電解アルカリ性水の場合の臨界表面張力は50〜52mN/m程度となり、残留油性物質量(相対値)は、図1によれば1.5以下となる。極めて満足できる。市水の場合は、濡れ指数標準液50mN/mが濡れないことから、洗浄液101としては好ましくない。
【0046】
このように、電解アルカリ性水、マイクロバブル、超音波を組み合わせた洗浄方法は非常に優れたものである。但し、処理時間が、若干長時間を必要とする欠点がある。従って、本洗浄方法はバッチ式洗浄装置に組み込むことを最適とするが、処理時間が許容できるのであれば、当然、枚葉式洗浄装置にも組み込むことはできる。しかしながら、一般的に、枚葉式洗浄装置の場合は、秒単位の処理時間でなければ、装置としての商品価値が低くなる。
【実施例2】
【0047】
(第1の形態)
本発明の洗浄装置の実施例の第1の形態について図8を参照して説明すると、本形態の洗浄装置は、被洗浄物を洗浄するための洗浄ユニットと、被洗浄液に付着した洗浄液を除去するためのリンスユニットと、被処理物を水切り乾燥する乾燥ユニットを具備した洗浄装置において、洗浄ユニットとして、前述した洗浄ユニットを用いたことを特徴としている。即ち、電解アルカリ性水を洗浄水として用いるとともに、マイクロバブル、超音波を組み合わせた洗浄方法を実施するための洗浄ユニットを組み込んだ洗浄装置としている。
【0048】
そして、本形態は、ワークが搭載されているカゴあるいはカセットを移載しながら、洗浄処理を行なうバッチ式洗浄装置としており、一般工業部品及び無機アルカリが微量に含有する洗浄液が許せる分野の、比較的小形な基板の低環境負荷洗浄処理に最適である。
【0049】
基本構成200は、ローダ200−1、洗浄ユニット200−2、リンスユニット200−3、乾燥ユニット200−4、アンローダ200−5、移載機200−6である。本発明の洗浄ユニットは、洗浄ユニット200−2に組み込まれる。
【0050】
リンスユニット200−3は、純水による洗浄液のリンスを目的とするが、クイックダンプ、スプレー、シャワー等の既存の技術を、単独あるいは組み合わせた内容で製作する。乾燥ユニット200−4についても、真空乾燥、熱風乾燥等の既存の技術を利用して製作する。
【0051】
洗浄ユニット200−2は、超音波振動子202およびマイクロバブル発生ノズル203を取り付けたオーバーフロー形式の洗浄槽201と、電解アルカリ性水215の循環およびこれに空気を含有させる為のポンプ205と、電解アルカリ性水215を常温に温度調節する熱交換器206および恒温水循環ユニット207と、循環系を最適に成立させる為のバッファ槽204と、これに流入してくる、洗浄槽201からの汚れ(油分、パーティクル等)を除去する為の、汚れ回収ユニット214と、電解アルカリ性水供給ユニット213の構成で製作する。
【0052】
なお、この供給ユニットに替えて、電解アルカリ性水製造装置を配置しても構わない。また、前記した超音波振動子202は投げ込み式のものを使用しても構わない。更に、マイクロバブル発生ノズル203は、種類により循環系を最適な流量、圧力に調節する必要がある。その為に、水流量検知器208、圧力検知器209、210、空気流量検知器211、減圧検知器212を具備する。このような構成の洗浄装置は、洗浄力があり、低環境負荷タイプとなる。
【0053】
環境に対する負荷は、洗浄ユニット200−2では、マイクロバブル電解アルカリ性水を常温、循環系としている為、汚れ回収ユニット214から発生する少量の油分などだけである。ここで、汚れ回収は、既存の技術である、コアレッサー、UF膜方式等を適用することで対応できる。リンスユニット200−3からは、大量のリンス液が排出される。電解アルカリ性水原液は微量の無機アルカリが含有されているだけである。リンス工程では被処理物に残存しているこの原液が、残存液からみれば大量の純水でリンス・希釈される。このことから、水質汚濁防止法排水基準をクリアした排水となる。
【0054】
(第2の形態)
本発明の洗浄装置の実施例の第2の形態について図9を参照して説明すると、本形態の洗浄装置も、前述の第1の形態と同様に、被洗浄物を洗浄するための洗浄ユニットと、被洗浄液に付着した洗浄液を除去するためのリンスユニットと、被処理物を水切り乾燥する乾燥ユニットを具備した洗浄装置において、洗浄ユニットとして、前述した洗浄ユニットを用いたことを特徴としている。
【0055】
そして、第2の形態では、ワークを水平あるいは垂直の姿勢で移載しながら、洗浄処理を行なう枚葉式洗浄装置であり、比較的大形なガラス基板、石英基板、セラミック基板等の低環境負荷洗浄処理に最適である。
【0056】
基本構成300は、ローダ300−1、洗浄ユニット300−2、リンスユニット300−3、乾燥ユニット300−4、アンローダ300−5、移載機300−6、ローラ搬送機構300−7である。本発明の洗浄ユニットは、洗浄ユニット300−2に組み込まれるが、その内容は第1の形態と同一である。このような形態の場合、リンス以降はローラ搬送が一般的である。従って、リンスユニット300−3は、純水による、スプレー、シャワー等の既存の技術を、単独あるいは組合わせた内容で製作する。乾燥ユニット300−4についても既存の技術であるエアナイフ方式等で製作する。
【0057】
尚、洗浄ユニット300−2において、ワークが水平姿勢の場合は、洗浄槽201で下降、上昇させる時は、ワークを傾斜姿勢にすれば、スムーズな動作を確保できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、電解アルカリ性水、マイクロバブル、及び超音波を組み合わせたことを特徴とし、それにより、各種被処理物に対して、脱脂およびパーティクル除去などの洗浄力、および、洗浄の均一性を格段に向上させることを可能にしているため、無機アルカリが微量に含有する洗浄液を製造工程の洗浄プロセスに適用することが許せる分野の各種基板、および、機械加工部品等のような一般工業部品の、低環境負荷対応の洗浄の全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の洗浄ユニットの構成を示す図である。
【図2】臨界表面張力と残留油性物質量(相対値)の相関図である。
【図3】テストピース作成方法を説明するための図である。
【図4】洗浄処理シーケンスを説明するための図である。
【図5】テストピース姿勢(垂直)と油剥離現象を説明する図である。
【図6】テストピース姿勢(水平)と油剥離現象説明する図である。
【図7】洗浄液、マイクロバブル、超音波の組合せによる脱脂能力を説明する図である。
【図8】本発明の洗浄装置の実施例の第1形態を説明するための図である。
【図9】本発明の洗浄装置の実施例の第2形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0060】
100 洗浄ユニット
101 洗浄液
102 超音波洗浄槽
103 マイクロバブル発生ノズル
104 ポンプ
105 熱交換器
106 恒温水循環装置
107 水用流量計
108 空気用流量計
109、110 ボールバルブ
111 ニードルバルブ
112、113 圧力計
200 バッチ式洗浄装置基本構成
201 洗浄槽
202 超音波振動子
203 マイクロバブル発生ノズル
204 バッファ槽
205 ポンプ
206 熱交換器
207 恒温水循環ユニット
208 水流量検知器
209、210 圧力検知器
211 空気流量検知器
212 減圧検知器
213 電解アルカリ性水供給ユニット
214 汚れ回収ユニット
215 電解アルカリ性水
300 枚葉式洗浄装置基本構成

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液としての電解アルカリ性水にマイクロバブルを発生させ、その液中で超音波を間欠照射させて処理することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
洗浄液としての電解アルカリ性水の液温は常温(25℃程度)とすることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の洗浄方法を実施するための洗浄ユニットであって、
洗浄液としての電解アルカリ性水を内部に蓄えるための洗浄槽(102)と、
該洗浄槽(102)内にマイクロバブルを発生させるためのマイクロバブル発生ノズル(103)と、
前記洗浄槽(102)の内部に蓄えた電解アルカリ性水中に超音波を照射可能な超音波振動子と、を具備したことを特徴とする洗浄ユニット。
【請求項4】
被洗浄物を洗浄するための洗浄ユニットと、被洗浄液に付着した洗浄液を除去するためのリンスユニットと、被処理物を水切り乾燥する乾燥ユニットを具備した洗浄装置において、前記洗浄ユニットとして、請求項3に記載の洗浄ユニットを用いたことを特徴とする洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−137134(P2010−137134A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313943(P2008−313943)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(392014933)株式会社ラスコ (16)
【Fターム(参考)】