説明

低雑音冷却装置

本発明は、低雑音冷却装置を提供する。この冷却装置は、外部容器及び内部容器を含み、外部容器と内部容器との間は、真空状態の断熱層を形成し、内部容器は、液体冷媒を含むデュア、内部容器の内部に配置され、液体冷媒に浸る事前磁化コイル、液体冷媒に浸るピックアップコイル、及びピックアップコイルに電気的に連結され、液体冷媒に浸るSQUIDを含む。事前磁化コイルは、超伝導体で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核磁気共鳴装置に関するものとして、より詳細には、低磁場/極低磁場核磁気共鳴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NMR(Nuclear Magnetic Resonance)は、すべての物質を構成する基本粒子である核子(nuclear)に強い磁場を印加するとき、核子の磁気スピン(magnetic spin)が前記磁場に共鳴して歳差運動(precession)する現象である。磁気共鳴映像化(Magnetic Resonance Imaging:MRI)は、前記 NMRを用いて歳差運動の際発生する電磁気波を検出して対象物体内部を非浸湿的(non−invasively)に映像化する技法である。前記 MRIは、医学的検診道具として、人体の内部を映像化するに主に使用される。
【0003】
前記 MRI映像の感度(sensitivity)は、原子核の磁化度(magnetiztion ratio)及び共鳴周波数と比例関係にある。一般的にMRI 映像の感度を向上させるために、超伝導磁石を用いた大変強い主磁場(main magnetic field)が対象物体に印加される。したがって、原子核の磁化度及び共鳴周波数は増加する。
【0004】
一方、NMR信号の弛緩時間(relaxation time)は、前記主磁場の均一度に反比例する。したがって、前記主磁場の強さ及び均一度が重要である。
【0005】
数テスラ(tesla)の強さであり、均一な磁場を生成する超伝導磁石の製作コストが高い。また、前記超伝導磁石の動作は、高価の冷媒である液体ヘリウムを使用する。したがって、超伝導磁石を用いたMRIシステムの維持費用は増加する。
【0006】
低磁場及び極低磁場NMR及びMRI(以下、低磁場MRIという)は、数〜数百マイクロテスラ強さの磁場で動作する新しい概念の MRI装置である。通常的なMRI装置では、映像の感度を増加させるために、原子核の磁化度及び共鳴周波数を増加させた。しかし、前記低磁場MRI装置は、従来のMRI装置の主磁石で生成される主磁場を事前磁化磁場と検出磁場に分離する。前記検出磁場の強さは、数uTないし数十uT程度であることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする一技術的課題は、事前磁化コイル−SQUID一体型磁場測定装置を提供することにある。
【0008】
本発明の解決しようとする一技術的課題は、非導電性補助熱遮蔽膜で熱雑音を減少させた冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例による低雑音冷却装置は、外部容器及び内部容器を含み、前記外部容器と内部容器との間は、真空状態の断熱層を形成し、前記内部容器は、液体冷媒を含むデュア、前記内部容器の内部に配置され、前記液体冷媒に浸る事前磁化コイル、前記液体冷媒に浸るピックアップコイル、及び、前記ピックアップコイルに電気的に連結され、前記液体冷媒に浸るSQUIDを含む。前記事前磁化コイルは、超伝導体で形成される。
【0010】
本発明の一実施例による低雑音冷却装置は、外部容器、前記外部容器の内部に配置され、内部首部(inner neck part)、内部ボディ部を含む内部容器、前記内部首部に連結され、前記内部ボディ部の少なくとも側面を包むように配置される少なくとも一つの伝導性熱遮蔽膜、前記外部容器の下部に配置された試料と隣接した領域に前記遮蔽部と接触して配置される非導電性補助熱遮蔽膜、前記内部容器の内部に配置され、液体冷媒に浸る事前磁化コイル、前記事前磁化コイルの中心軸上に配置され、前記液体冷媒に浸るピックアップコイル、及び前記ピックアップコイルに電気的に連結され、前記液体冷媒に浸るSQUIDを含む。前記外部容器と内部容器との間は、真空状態の断熱層を形成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施例による低雑音冷却装置は、低磁場MRIに適用することができる。前記低雑音冷却装置は、事前磁化コイル及びSQUIDを一つのデュアに装着する一体型システムを提供する。前記事前磁化コイルは、超伝導線材を用いることによって、抵抗発熱の問題を解決することができる。また、凹型デュア構造は、試料の磁化率及び信号の感知度を増加させることができる。
【0012】
本発明の一実施例による低雑音冷却装置は、SQUIDに熱雑音を誘導する現象を解決するために非導電性補助熱遮蔽膜を使用して金属性熱遮蔽膜によるSQUIDへの熱雑音寄与を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例による低雑音冷却装置を説明する図面である。
【図2】本発明の一実施例による事前磁化コイルの構造を説明する図面である。
【図3】本発明の他の実施例による事前磁化コイルの構造を説明する図面である。
【図4】本発明の一実施例による連結部を説明する図面である。
【図5】本発明の一実施例による伝導性熱遮蔽膜を説明する図面である。
【図6】本発明の一実施例による超断熱膜を説明する図面である。
【図7】本発明の他の実施例による磁場測定装置を説明する図面である。
【図8】本発明の他の実施例による磁場測定装置を説明する図面である。
【図9】本発明の他の実施例による磁場測定装置を説明する図面である。
【図10】本発明の他の実施例による磁場測定装置を説明する図面である。
【図11】本発明の他の実施例による冷却装置を説明する図面である。
【図12】本発明の更なる他の実施例による冷却装置を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
低磁場MRIは、試料に事前磁化磁場(prepolarzation magnetic field、Bp)と検出磁場(measurement magnetic field、B)を順次に印加することがある。前記事前磁化磁場(Bp)は、前記試料を事前磁化させた後には消えることがある。また、前記事前磁化磁場(Bp)は、前記試料を十分に磁化させるために検出磁場(B)に比べて遥かに大きい強さを有する。前記事前磁化磁場(Bp)が消えれば、磁化された陽性子のスピン(magnetized proton spin)は、前記検出磁場(B)と共鳴して歳差運動をする。これによって、前記歳差運動するスピンは、電磁気波を発生させ、前記電磁気波信号は測定されることがある。
【0015】
前記事前磁化磁場(Bp)と前記検出磁場(B)は、それぞれ互いに独立されたコイルを用いて印加される。前記事前磁化磁場(Bp)は、事前磁化コイルによって生成される。また、前記検出磁場(B)は、検出磁場コイルによって生成される。前記事前磁化磁場(Bp)は、磁場の均一度と無関に前記試料の磁化のための強い磁場であれば良い。また、前記検出磁場(B)は、その強さが小さくても、均一な磁場であれば良い。したがって、前記低磁場MRIは、超伝導磁石を用いた従来の高磁場MRIに比べて遥かに構造的に単純ながらも安価にシステムを構成することがある。
【0016】
一方、前記検出磁場(B)による陽性子の弛緩信号(relaxation signal)は、数十〜数百Hzの低周波信号である。従来の高磁場MRIにおいて、前記弛緩信号を測定する受信コイル(receiver coil)としてファラデー誘導コイル(Faraday induction coil)が使用される。前記ファラデー誘導コイルの信号対雑音比(SNR)は、測定される弛緩信号の周波数に比例する。したがって、低周波の前記低磁場MRIの前記弛緩信号の測定に、前記ファラデー誘導コイルは不適である。したがって、前記低磁場MRIは、前記ファラデー誘導コイルの低い信号対雑音比を向上させるために超伝導量子干渉装置(Superconducting Q Uantum Interference Device:SQUID)を使用することがある。
【0017】
低磁場MRIは、前記SQUIDを使用してマイクロテスラ大きさの磁場で動作することがある。前記低磁場MRIは、検出磁場(B)の大きさに比例する数〜数百Hz帯域の共鳴信号を用いて物体内部を映像化することができる。前記低磁場MRIは、映像化対象内部又は周りの金属による歪みを減らすことがある。したがって、前記低磁場MRIは、既存の高磁場MRIで生じなかった現象を見ることがある。前記低磁場MRIは、金属補綴物や心ペースメーカー(cardiac pacemaker)などを着用している人にも難なく使用することがある。また、前記低磁場MRIは、金属カン内部の映像も非侵襲的に得ることがある。したがって、前記低磁場MRIは、セキュリティー映像として広く使われるX線を補う機器などに適用されることがある。
【0018】
前記低磁場MRIは、試料を磁化させるための事前磁化コイル、磁化された試料の陽性子スピンの弛緩特性を決める検出磁場コイル、核磁気共鳴信号を読み出すSQUID、及びSQUIDを臨界温度以下に冷却するための冷却システムを含むことがある。
【0019】
前記事前磁化コイルは、試料の十分な磁化のために、通常的に数十から数百ミリテスラ(tesla)大きさの磁場を生成することがある。前記事前磁化コイルには、約数十〜数百アンペアの電流が流れることがある。しかし、抵抗素材である銅導線を用いて製作された前記事前磁化コイルに数百アンペアの電流が流れるとき、前記事前磁化コイルは、約数KWatt以上の抵抗発熱を発生させることがある。前記事前磁化コイルの抵抗発熱は、抵抗の低い厚い導線を使用すれば、容易に減らすことがある。しかし、導線が厚くなるほど、コイルの容積が増加することがある。したがって、前記事前磁化コイルを冷却して比抵抗を減らす方法が最も效果的であることがある。すなわち、温度に比例して減少する金属の比抵抗特性に起因して、前記事前磁化コイルは、できる限り、低い温度で冷却するのが有利である。
【0020】
抵抗性事前磁化コイルの冷却は、一般的に液体窒素や液体ヘリウムなどの冷媒を用いることがある。4.2Kである液体ヘリウムは、77Kである液体窒素に比べて遥かに低い温度を提供することがある。したがって、液体ヘリウムを使用して前記抵抗性事前磁化コイルを冷却する場合、前記抵抗性事前磁化コイルの比抵抗は、さらに低めることがある。また、SQUIDと事前磁化コイルは、一つのデュアを用いて冷却することがある。
【0021】
しかし、液体ヘリウムの気化潜熱は、液体窒素に比べて100倍以上大きい。したがって、液体ヘリウムは、液体窒素に比べてたくさんの量を必要とする。前記抵抗性事前磁化コイルを前記液体ヘリウムで冷却することは、液体窒素の価格に比べて約 100倍ほど高い液体ヘリウムの価格を鑑みると、現実的でない。
【0022】
また、SQUIDが入っている液体ヘリウムデュアに前記抵抗性事前磁化コイルが設けることがある。この場合、液体ヘリウムは、前記抵抗性事前磁化コイルの熱を吸収する過程において、震動を発生させることがある。ヘリウムガスによって発生した震動は、前記SQUIDに伝達されて、前記SQUIDの動作特性を悪化させることがある。
【0023】
前記抵抗性事前磁化コイルの冷却のためには、液体窒素を含む別途のデュアが使用されることがある。この場合、SQUIDが入る液体ヘリウムデュア以外に、前記事前磁化コイルが入る別途の液体窒素デュアが必要となる。しかし、液体窒素及びヘリウムデュアは、冷媒の消耗を最小化しなければならないため、その製作の難易度が高く、高価である。すなわち、二種類のデュアを使用することは、システムの複雑性や費用的な側面を考えると、好ましくない。
【0024】
一方、SQUIDを使用する低磁場MRIは、デュアの製作の際使用される材質によるSQUIDの特性低下という別途の問題が存在する。液体ヘリウムデュアは、断熱特性を向上させるために、デュア内壁と外壁との間に真空状態の断熱層を含む。熱遮蔽膜(thermal shield)は、前記断熱層内部に配置されることがある。前記熱遮蔽膜は、デュアの外部から入る放射熱がデュア内壁の内部に伝導されることを防ぐ。前記熱遮蔽膜は、主に金属材質を使用する。
【0025】
SQUIDを使用する低磁場MRIシステムは、試料とSQUIDのピックアップコイルとの間の距離が近いほど、信号の減少率が少なくて、より效果的に検出することがある。したがって、冷却のためのデュアの断熱層の厚さは、最大限薄くなければならない。この場合、SQUIDのピックアップコイルは、試料及び熱遮蔽膜と近くなる。金属性の前記熱遮蔽膜が有する固有な熱雑音は、前記SQUIDの雑音を増加させる。
【0026】
SQUIDの冷却を目的とするデュアは、不可避に熱遮蔽膜を使用することがある。しかし、最大限SQUIDに影響をより少なくするために、前記熱遮蔽膜の使用は、最小限に抑制される。液体ヘリウムに比べて相対的に温度の高い液体窒素デュアは、ヘリウムデュアに比べて相対的に少ない量が使用されるが、熱遮蔽膜のない構造ではない。したがって、事前磁化コイルの冷却のために使用される窒素デュアは、SQUIDを基準とすると、付加的な雑音の原因を提供することがある。
【0027】
本発明の一実施例による低雑音冷却装置は、超伝導事前磁化コイル−SQUID一体型システムに最適化されたデュアの形態を提示する。また、試料を最大限に磁化させることができるように超伝導事前磁化コイルの配置を提案する。
【0028】
本発明の一実施例による低雑音冷却装置は、金属性の熱遮蔽膜によるSQUIDの熱雑音を解決するために非導電性補助熱遮蔽膜を使用する。
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。しかし、本発明は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態として具体化されることもある。むしろ、ここで紹介する実施例は、開示された内容が徹底で完全になるように、そして当業者に本発明の思想が十分に伝達されるように提供されるものである。図面において、構成要素は、明確性を期するために誇張されたものである。明細書全体にかけて、同一の参照番号で表示された部分は、同一の構成要素を示す。
【0030】
図1は、本発明の一実施例による低雑音冷却装置を説明する図面である。
【0031】
図1を示すように、前記低雑音冷却装置100は、デュア102(dewar)を含む。前記デュア102は、外部容器120及び内部容器110を含む。前記外部容器120と内部容器110との間は、真空状態の断熱層を形成する。 前記内部容器110は、液体冷媒104を含む。
【0032】
前記低雑音冷却装置100は、前記内部容器110の内部に配置され、前記液体冷媒104に浸る事前磁化コイル140、前記液体冷媒104に浸るピックアップコイル172、及び前記ピックアップコイルに電気的に連結され、前記液体冷媒に浸るSQUID150を含む。前記事前磁化コイル140は、超伝導体で形成される。
【0033】
前記外部容器120は、外部ボディ部122及び前記外部ボディ部122の下部面に配置され、試料160を包む外部凹部124を含むことがある。前記外部ボディ部124は、シリンダー型であることがある。前記外部容器120は、外部上板121を含むことがある。前記外部上板121は、前記外部ボディ部122と固定結合することがある。前記外部上板121は、金属性材質で形成されることがある。前記外部上板121は、真空ポート123及び前記外部上板121の中心に貫通穴(図示せず)を含むことがある。前記真空ポート123は、真空ポンプ(図示せず)に連結されることがある。前記外部凹部124は、シリンダー型を有し、前記外部ボディ部122の下部面で陷沒された構造を有することがある。前記外部ボディ部122及び前記外部凹部124は、ガラス繊維強化プラスチック(fiber−reinforced plastic:FRP)であることがある。具体的に、前記外部ボディ部122及び前記外部凹部124は、非金属性のG10−FRPで製作されることがある。
【0034】
前記内部容器110は、前記外部上板121と結合する内部首部116、前記内部首部116と連結される内部ボディ部114、及び前記内部ボディ部114と連結されて前記外部凹部124を包む内部凹部112を含むことがある。前記内部凹部112は、前記外部凹部124の周りに配置されることがある。前記内部容器110及び前記外部容器120は、シリンダー型であることがある。
【0035】
前記内部ボディ部114の直径は、前記内部首部116の直径より小さいことがある。前記内部ボディ部114の直径は、前記内部凹部112の直径より大きいことがある。前記内部容器110は、前記貫通穴を通じて前記外部容器120と固定結合することがある。具体的に、前記内部首部116の一端は、前記貫通穴と結合することがある。前記内部容器110と前記外部容器120のと間の空間は、断熱層を形成することがある。前記断熱層は、前記真空ポート123を通じて排気されて真空を形成することがある。前記内部容器110は、FRPで製作されることがある。前記内部ボディ部114は、シリンダー型であることがある。前記内部凹部112は、前記内部ボディ部114の下部面で陷沒された構造を有することがある。前記内部凹部114は、シリンダー型であることがある。前記内部ボディ部114の一部は、前記液体冷媒104で満たすことがある。前記液体冷媒104は、液体ヘリウム又は液体窒素であることがある。前記液体冷媒104は、前記SQUID150及び前記事前磁化コイル140の材質によって変更されることがある。
【0036】
前記SQUID140(Superconducting Quantum Interference Device)は、低温超伝導SQUIDであることがある。前記低温超伝導SQUIDは、Nb/AlO/Nbジョセフソン接合(Josephson Junction)を利用することがある。前記低温超伝導SQUIDの磁場感度は、1kHz帯域から1〜2fT/√Hz程度である。低磁場MRIのターゲット周波数帯域は、数〜数百Hz帯域であることがある。前記ターゲット周波数帯域において、前記低温超伝導SQUIDの磁場感度は、10fT/√Hz未満であることがある。また、前記低温超伝導SQUIDは、低温状態での長時間動作、又は低温及び常温の間の繰り返し的な熱サイクリング(thermal cycling)において、物理的及び化学的に大変安定した特性を示す。
【0037】
本発明の変形された実施例によれば、前記SQUID140は、高温超伝導SQUIDであることがある。前記高温超伝導SQUIDは、セラミックス系列のYBCO酸化物からなることがある。前記高温超伝導SQUIDの磁場感度は、数〜数百Hz帯域から20 〜100fT/√Hz内外であることがある。前記高温超伝導SQUIDは、物理的化学的安全性において、低温超伝導SQUIDに比べて落ちることがある。
【0038】
磁束変換装置(Flux Transformer)は、前記SQUID140の感度を増加させることがある。前記磁束変換装置は、磁束を感知するピックアップコイル172(pick−up coil)及び磁束を増幅させる入力コイル(input coil、図示せず)を含むことがある。前記磁束変換装置は、すべて超伝導体で構成されている。前記ピックアップコイル172は、多くの磁束を感知するために、広い面積を有することが好ましい。また、入力コイルは、前記SQUID140に磁束を集束させるために、前記SQUID140に類似している面積を有し、増幅させるために数回巻かれることがある。前記ピックアップコイル172は、マグネトメータ(Magnetometer)又はグラディオメータ(Gradiometer)を含むことがある。前記マグネトメータは、一周り(one−turn)のコイルで構成されて、感知された磁束(magnetic flux)を前記入力コイルの巻く数ほど増幅して、前記SQUID140に伝達する。グラディオメータ(Gradiometer)は、二つのコイルが互いに反対方向に巻かれている。したがって、グラディオメータ(Gradiometer)は、均一な磁場に対しては反応しない。しかし、グラディオメータ(Gradiometer)は、傾きが他の磁束に対して二つのコイルにかかった磁束の差異を感知し、前記入力コイルに前記差異を伝達する。前記ピックアップコイル172は、一対のグラディオメータを含むことがある。これによって、前記ピックアップコイル172は、第1ないし第4ピックアップコイル172a〜172dを含むことがある。前記ピックアップコイルの形態は、多様に変形されることがある。
【0039】
前記事前磁化コイル140は、前記内部凹部112を包むように配置されることがある。また、前記ピックアップコイル172の一部又は全部は、前記事前磁化コイル140と前記内部凹部112との間に配置されることがある。前記外部凹部124を有する前記デュア102は、前記ピックアップコイル172が前記試料160を完全に包む構造を提供することがある。また、前記事前磁化コイル140は、前記試料160を事前磁化させることができるように十分に近い距離を提供することがある。前記試料160の中心は、前記事前磁化コイル140の中心と一致することがある。一方、前記ピックアップコイル172の中心は、前記試料160の中心と一致しないことがある。
【0040】
前記事前磁化コイル140は、超伝導体を含むことがある。前記事前磁化コイル140は、板材(sheet material)又は線材(line material)で形成されることがある。前記板材で前記事前磁化コイル140を構成する場合、前記板材は、複層構造を有することがある。
【0041】
超伝導体は、一定の臨界温度以下で抵抗が零(zero)である特性を有する物質である。したがって、超伝導体からなった導線を用いて前記事前磁化コイル140を製作し、前記事前磁化コイル140が臨界温度(critical temperature)以下で動作されることがある。この場合、前記事前磁化コイル140に抵抗発熱による冷媒消耗の問題は、除去することがある。また、超伝導体は、一般的な銅導線に比べてその電流密度が100倍以上大きいため、少ないターン数によって大きい磁場を作ることがある。また、銅導線を用いる場合より、事前磁化コイルの容積は、減少することがある。超伝導体事前磁化コイル140は、その材質が高温超伝導体や低温超伝導体にかかわらず、液体ヘリウム温度で動作させることがある。したがって、超伝導体を用いて事前磁化コイルを構成する場合、事前磁化コイル−SQUID一体型システムが可能である。すなわち、一つのデュアは、前記事前磁化コイル140 及びSQUID150を動作させることがある。
【0042】
銅導線を使用して事前磁化コイル−SQUID一体型システムを製作する場合、液体冷媒は、前記事前磁化コイルの熱を吸収する過程において、震動を誘発することがある。前記震動は、SQUIDに伝わって前記SQUIDの動作特性を阻害することがある。
【0043】
銅導線を使用して前記事前磁化コイルを製作する場合、前記事前磁化コイルを冷却する別途のデュアを有することがある。しかし、別途のデュアを使用することは、システムの複雑性及びコストを増加させる。
【0044】
しかし、前記事前磁化コイルは、超伝導体を使用する場合、前記事前磁化コイルの熱を吸収する過程において、震動は、十分に減少することがある。また、前記事前磁化コイル及び前記SQUIDは、一体型に製作されて、システムの複雑性及びコストが減少する。
【0045】
図2は、本発明の一実施例による事前磁化コイルの構造を説明する図面である。
【0046】
図2に示すように、事前磁化コイルを構成する超伝導体は、電流が変わる間、その超伝導特性を失わないながら、同時にこの時発生する交流熱損失を最小化ができなければならない。このために、前記事前磁化コイル10は、微細な超伝導体フィラメント12が基地材料14(matrix)の中にぎっしりと嵌め込んでいる形態であることがある。
【0047】
前記超伝導体フィラメント12の直径が小さいほど、磁化履歴による交流熱損失は小くなることがある。また、前記基地材料14は、CuNi、CuMnなどの銅合金材を使用することがある。この場合、液体ヘリウムの気化点である4Kで銅合金材の比抵抗は、純粋銅より千倍ぐらい高い。したがって、前記基地材料14は、電流変化によって生成された渦流を速く減少させることがある。また、電流変化によって生ずる前記超伝導体フィラメント12の間の結合損失は最小化することがある。
【0048】
前記超伝導体フィラメント12は、低温超伝導体であることがある。前記超伝導体フィラメント12は、NbTi、Nb3Sn、MgB2のうち、少なくとも一つを含むことがある。金属外皮16は、前記基地材料14を包むように配置することがある。前記金属外皮16の熱伝導度及び電気伝導度は、前記基地材料の熱伝導度及び電気伝導度より良いことがある。これによって、前記金属外皮14は、超伝導クエンチング(quenching)現象発生の際、これの拡散防止及び早い超伝導性を回復することを提供することがある。
【0049】
例えば、前記事前磁化コイル10は、0.14ミクロンの太さのNbTi超伝導体フィラメントを銅−ニッケル合金基地材料14の中にぎっしりと配置された形態であることがある。前記事前磁化コイル10の導線の太さが0.2mmであり、前記事前磁化コイル10の合計容積が200cmであることがある。電流の上昇及び下降時間が各5msecであり、最大1000A電流パルスが前記事前磁化コイル10に印加されて、0.5Teslaの磁場を生成することがある。この場合、予想される熱損失は、パルス当たり最大40mJであることがある。前記パルスが4秒に一度加えられる場合、交流熱損失平均値は、最大10mWである。
【0050】
一方、0.58オームの合計抵抗を有する低抗導線で作った事前磁化コイルの熱損失は、液体窒素の温度で40Aの電流を流して0.2Tを生成する場合、1kWであることがある。超伝導体事前磁化コイルの熱損失は、抵抗性事前磁化コイルの熱損失に比べて十万分の一に過ぎない。したがって、超伝導事前磁化コイルは、液体ヘリウムデュアでSQUIDに影響を与えず、液体ヘリウムの蒸発量をわずかに維持することができる。
【0051】
図3は、本発明の他の実施例による事前磁化コイルの構造を説明する図面である。
【0052】
図3に示すように、前記事前磁化コイルは、基板材22上に順序に積層された緩衝材層23、超伝導体24、伝導性保護層25、及びこれを包む銅安定材層21を含むことがある。前記基板材22は、主に高い耐引張度(tensile strength)と機械的な安定性を有したHastelloy 系列のニッケル合金材を約50um厚さで使用することがある。前記緩衝材層23は、前記基板材22上にそれぞれ10〜40nm厚さで酸化物が積層されて機械的緩衝役割をすることがある。前記酸化物は、LaMnO3、MgO、及びAl2O3のうち、少なくとも一つを含むことがある。前記超伝導体24は、前記緩衝材層23上に約1um厚さで積層されることがある。前記超伝導体24は、YBCO系列の古典的超伝導体を含むことがある。前記伝導性保護層25は、前記超伝導体24上に約2um厚さで積層されることがある。前記伝導性保護層25は、前記超伝導体24と外部導線とを電気的に連結する役割を行うことがある。前記伝導性保護層25は、耐腐食性が高くなければならない。前記伝導性保護層25は、銀(Ag)材質で構成されることがある。前記銅安定材層21は、前記基板、前記緩衝材層、前記超伝導体、及び前記伝導性保護層を約20umの厚さで包む形態になることがある。前記銅安定材層25は、前記超伝導体24に流れた電流が変化する時生じる渦流を抵抗発熱を通じて吸収して前記超伝導体24の交流損失を減らすことがある。
【0053】
図4は、本発明の一実施例による連結部を説明する図面である。
【0054】
図4及び図1に示すように、連結部180は、前記事前磁化コイル140と電源部(図示せず)を電気的に連結することがある。
【0055】
前記連結部180は、液体冷媒104に一部が浸り、前記事前磁化コイル140と電気的に連結される超伝導体で形成された第1配線186、前記第1配線186と電気的に連結され、前記内部容器110 内部に配置される第2配線182、前記第1配線186と第2配線182を電気的に連結する第1接続部184、前記第2配線182と電気的に連結され、前記デュア102の外部に配置される第3配線189、及び前記第2配線182と第3配線189を電気的に連結する第2接続部188を含むことがある。前記第2配線182及び第3配線189は、リッツ線であることがある。前記第2配線182と前記第3配線189は、それぞれ複数の導線を含み、前記導線は、前記第2接続部188を通じて個別的に連結することがある。
【0056】
前記第1配線186は、前記事前磁化コイル140と連結されることがある。前記第1配線186の一端は、前記液体冷媒104に浸り、前記第1配線186の他端は、前記液体冷媒104の外部に露出されることがある。前記第1配線186は、高温超伝導体であることがある。前記第2配線182の一端は、第1接続部184を通じて前記第1配線186の他端と連結されることがある。前記第2配線182の他端は、前記第2接続部188を通じて前記第3配線189に連結されることがある。前記第2配線182及び前記第3配線189は、リッツ線の形態の抵抗導線であることがある。前記抵抗導線は、銅を含むことがある。
【0057】
前記第1配線186は、セラミック基盤の高温超伝導体で形成されることがある。前記第1配線186は、前記第2配線182を通じて入るデュア102外部の熱がデュア102内部の液体冷媒104に伝達することを最小化するように構成されることがある。前記第2配線182を単線又は撚線で構成する場合、前記電源部から前記事前磁化コイル140に供給される電流の量が早く変化するとき、導線の表面效果によって実効交流抵抗が増加することがある。前記第2配線182を単線又は撚線で構成される場合、電流が流れる方向への導線実効断面積が広くなることがある。これによって、熱雑音(ジョンソンノイズ)電流が生じやすくなる。前記熱雑音の電流から発生する磁場は、SQUID150に影響を与えて測定雑音として作用することがある。前記熱雑音電流は、導線が細いほど、そして導線が長いほど減少することがある。前記実効交流抵抗を減らし、前記熱雑音電流を最小化するために、前記第2配線182は、複数の導線が捩れたリッツ線形態で構成されることがある。すなわち、前記第2配線182は、電気抵抗を最小化する同時に、熱伝導度は下がるようにして、デュア外部からの熱流入を最小化することがある。この場合、前記第2配線182の導線数は、最大の電流が流れる時、抵抗発熱による導線の温度を上げ過ぎないように十分な数にする。
【0058】
前記第2配線182及び第3配線189は、前記第2接続部188を通じて熱ノイズ発生を最小化するように構成されることがある。前記第2接続部188は、雌コネクター188bと雄コネクター188aを含むことがある。前記第2接続部188は、前記第2配線182を構成する銅導線188dが互いに絶縁された状態でそれぞれ独立的な端子を有するように複数の接触ピン188cを含むことがある。前記第2接続部188は、前記デュア内部の銅導線の間の短い経路の導線ループの形成を防止して熱ノイズの大きさを減少させることがある。導線ループの経路が長いほど発生する熱ノイズの大きさが減少する。リッツ線の導線がすべて一端子を通じて連結される場合、デュア内部のリッツ線個別導線の間に短い経路の導線ループが形成されることがある。
【0059】
例えば、前記第2配線182及び第3配線189は、0.5mm銅導線200個で構成されることができる。この場合、前記第2配線182及び前記第3配線189の総厚は8mm程度となる。前記第3配線189に100Aの電流を流す場合、前記第3配線189で発生する抵抗発熱は、導線1m当たり4.3Watt程度である。前記抵抗発熱は、冷却を無視する場合、導線の温度を秒当たり0.3度上げることができる発熱量である。空気を通じる前記第3配線189の冷却を考慮すれば、前記第3配線189の実際の温度上昇はわずかである。
【0060】
図5は、本発明の一実施例による伝導性熱遮蔽膜を説明する図面である。
【0061】
再び、図1及び図5に示すように、熱遮蔽膜130は、前記内部首部116に結合して前記内部ボディ部114を包む構造を有することがある。前記熱遮蔽膜130は、導電性物質であることがある。前記熱遮蔽膜130は、前記内部凹部112の側面の一部まで延長されることがある。前記熱遮蔽膜130は、銅又はアルミニウムで形成されることがある。前記熱遮蔽膜130の一端は、前記内部首部116に結合し、前記熱遮蔽膜130の他端は、互いに分離されるスリット形態を有することがある。前記熱遮蔽膜130は、円筒型であることがある。
【0062】
前記熱遮蔽膜130は、第1熱遮蔽膜132及び前記第1熱遮蔽膜132を包む第2熱遮蔽膜134を含むことがある。前記熱遮蔽膜130は、導電性物質であるため、前記熱遮蔽膜130の固有の熱雑音は、前記SQUID150又は前記ピックアップコイル172に悪影響を与えることがある。前記熱遮蔽膜130を通じて収集された放射熱(radaiaton heat)は、前記内部首部116に伝達熱(conduction heat)の形態として伝達されることがある。前記内部首部116に伝達された伝達熱は、蒸発された液体冷媒によって冷却されることがある。前記熱遮蔽膜130は、前記SQUID150に固有の熱雑音を与えることがあって、制限的に使用される必要がある。したがって、前記試料160と前記ピックアップコイル172との間の前記伝導性熱遮蔽膜130の一部又は全部は除去されることがある。前記熱遮蔽膜130と前記内部首部116の熱接触は、クランプ133、135によって向上されることがある。前記クランプ133、135は、前記熱遮蔽膜130と結合して前記内部首部116の接触面積を増加させることがある。
【0063】
第1熱遮蔽膜132は、板型部132aとストリップ部132bとを含むことがある。前記板型部132aは、前記内部首部116と結合して前記内部ボディ部114を包むように配置されることがある。前記ストリップ部132bは、前記板型部132aと連続的に連結されて、前記内部ボディ部114の下部に配置されることがある。前記板型部132aは、円筒型であることがある。
【0064】
本発明の変形された実施例によれば、前記板型部132aは、前記内部ボディ部114の下部面まで延長されることがある。前記ストリップ部132bは、前記内部凹部112と前記外部凹部124との間に配置されることがある。
【0065】
図6は、本発明の一実施例による超断熱膜のノード(node)を説明する図面である。
【0066】
図1及び図6に示すように、前記超断熱膜192は、細糸繊維192a、192b及び前記細糸繊維192a、192b上に非等方性を有し、蒸着された導電物質192cを含むことがある。前記導電物質192cは、前記細糸繊維の屈曲によって導電領域が断続的に形成されることがある。
【0067】
超断熱膜192(Super Thermal Insulation layer)は、前記内部凹部112と前記外部凹部124との間に配置されることがある。前記超断熱膜192は、前記内部ボディ部114を包むように延長されることがある。前記超断熱膜192は、前記断熱層内部に配置される。したがって、前記超断熱膜192は、前記デュア102の外部から流入された放射熱が前記デュア102内部へ伝達されることを抑制することがある。前記超断熱膜192は、非導電性断熱材であることがある。
【0068】
本発明の変形された実施例によれば、前記超断熱膜192は、表面が互いに電気的に絶縁されるよう複数の格子形態に分離されることがある。前記超断熱膜192は、アルミニウムマイラー(aluminm mylar)を含むことがある。前記超断熱膜192は、複数の積層された前記アルミニウムマイラーフィルムを含むことがある。
【0069】
前記試料160と前記ピックアップコイル172との間に前記熱遮蔽膜130は、配置されず、前記超断熱膜192のみ配置されることがある。これによって、前記ピックアップコイル172は、前記伝導性熱遮蔽膜130に起因した熱雑音から影響を少なく受けることがある。
【0070】
前記試料160と前記事前磁化コイル140との間の距離及びその配置方式によって前記試料160の磁化度が変わることがある。また、前記試料160と前記ピックアップコイル172との間の距離によって信号の大きさが変わることがある。 したがって、試料−事前磁化コイル及び試料−ピックアップコイルの空間的配置は、低磁場MRIシステムの性能に大きい影響を与えることがある。
【0071】
本発明の一実施例による冷却装置は、超伝導事前磁化コイルを適用したSQUID−超伝導事前磁化コイル一体型低磁場MRIシステムに適用されることがある。この場合、前記事前磁化コイルによるマイスノー效果(Meissner effect)は、前記SQUIDに磁気的な影響を与えることがある。したがって、事前磁化コイルの配置及びデュアの形態は、システムの性能に重要な影響を与えることがある。
【0072】
SQUID−超伝導事前磁化コイル一体型低磁場MRIシステムを従来の形態のデュアに適用する場合、試料は、事前磁化コイルの内部中心からはずれた位置に配置される。したがって、このような構造は、低磁場MRIシステムに不適であることもある。
【0073】
SQUID−超伝導事前磁化コイル一体型低磁場MRIシステムが最適の性能で動作するために、前記デュアは、最適化される必要がある。具体的に、前記最適化されたデュアは、内部凹部及び外部凹部を含んだ凹型デュアである。前記凹型デュアは、次のような長所を有することがある。
【0074】
第一、平面形や突出形デュアの場合、試料は、磁場の大きさが最大である事前磁化コイルの内部中心からはずれた位置に配置される。したがって、前記試料の磁化度が下がる。一方、凹型デュアの場合、前記試料が前記凹型デュアの窪んだシリンダー内部に配置される。また、前記事前磁化コイルは、前記シリンダー内部を包む形態で配置されることがある。したがって、前記試料は、前記事前磁化コイルの内部中心に配置されることがある。したがって、前記試料の磁化度は、増加することがある。
【0075】
第二、試料の核磁気共鳴信号の大きさは、試料とピックアップコイルとの間の距離に比例する。突出形及び平面形デュアの場合、前記核磁気共鳴信号の大きさを増加させるために、試料と隣接したデュアの断熱層が最大限に薄くなければならない。突出形及び平面形デュアは、300Kに至る温度差を安定的に維持するためには、最小限の断熱層の厚さが要求される。一般的に、突出形及び平面形デュアは、内部容器と外部容器に使用されるFRP材質の厚さ(8〜10mm)は、熱遮蔽膜及び超断熱層が配置される内外部容器の間の真空断熱層の厚さ(8〜10mm)を要求する。したがって、突出形及び平面形デュアの場合、前記試料と前記ピックアップコイルは、前記断熱層の厚さほど離れる。しかし、凹型デュアの場合、試料とピックアップコイルは、同一の平面上に位置することができる。したがって、試料とピックアップコイルは、垂直方向の距離差異がないため、試料とピックアップコイルとの間の距離による信号減少を抑制することがある。また、前記試料と前記ピックアップコイルが隣接した部位の断熱層の厚さ(d)は、相対的に突出形デュア又は平面型デュアに比べて厚いことがある。したがって、前記凹型デュアの製作の難易度が減少することがある。具体的に、前記内部凹部の厚さ、前記外部凹部の厚さ、及び前記内部凹部と前記内部凹部との間の断熱層の厚さは、減少することがある。
【0076】
第三、凹型デュアの場合、前記凹部に入射する放射熱の立体角(solid angle)が少ないため、放射熱が少なく流入される。試料が配置される窪んだシリンダー部分は、液体ヘリウムが満たされている部分で囲まれている構造である。したがって、突出形又は平面形デュアに比べて、前記凹型デュアの内部凹部は、相対的に常温との露出部位が少なく、流入される放射熱が少ない。
【0077】
一方、突出形又は平面形デュアは、試料と前記ピックアップコイルが対向する領域は、伝導性熱遮蔽膜が除去されることがある。したがって、試料と前記ピックアップコイルが対向する領域は、他の領域に比べて流入される放射熱が多い。しかし、凹型デュアの場合、試料と前記ピックアップコイルが対向する領域は、十分な断熱層を確保することができるため、前記放射熱の流入を最小化することができる。
【0078】
図7ないし図10は、本発明の他の実施例による磁場測定装置を説明する図面である。図1に説明したものと重複する部分は省略する。
【0079】
図7に示すように、前記事前磁化コイル240は、ヘルムホルツ(Helmholtz)形態であり、前記事前磁化コイル240によって形成された事前磁化磁場(Bp)は、前記内部凹部112の中心軸方向であることがある。前記事前磁化コイル240は、第1事前磁化コイル240a及び第2事前磁化コイル240bを含むことがある。前記第1事前磁化コイル240aと前記第2事前磁化コイル240bは、同一の形態であり、互いに離隔されて配置されることがある。前記第1事前磁化コイル240a及び第2事前磁化コイル240bは、直列又は並列連結されることがある。前記第1事前磁化コイル240a及び第2事前磁化コイル240bは、前記内部凹部112を包むように配置されることがある。
【0080】
本発明の変形された実施例によれば、前記事前磁化コイル240は、ヘルムホルツ形態に限定されるものではない。したがって、前記事前磁化コイル240は、一つ又はその以上のコイルを直列及び/又は並列連結されることがある。
【0081】
図8に示すように、事前磁化コイル340は、ヘルムホルツ形態であり、前記事前磁化コイル340によって形成された事前磁化磁場(Bp)は、前記内部凹部112の中心軸に垂直した方向であることがある。前記事前磁化コイル340は、第1事前磁化コイル340a及び第2事前磁化コイル340bを含むことがある。前記第1事前磁化コイル340aと前記第2事前磁化コイル340bは、前記内部凹部112を中心に互いに離隔されて配置されることがある。前記第1事前磁化コイル340a及び第2事前磁化コイル340bは、直列又は並列連結されることがある。
【0082】
本発明の変形された実施例によれば、前記事前磁化コイル340は、ヘルムホルツ形態に限定されるものではない。したがって、前記事前磁化コイル340は、一つ又はその以上のコイルを直列及び/又は並列連結されることがある。
【0083】
図9に示すように、前記超断熱膜192、194は、前記熱遮蔽膜132、134の間に配置されることがある。
【0084】
図10に示すように、補助熱遮蔽膜197は、前記熱遮蔽膜130と結合し、前記内部凹部112と前記外部凹部124との間に配置される非導電性物質であることがある。前記補助熱遮蔽膜197は、非導電性であり、金属酸化膜を含むことがある。具体的に、前記補助熱遮蔽膜は、アルミニウム酸化膜(アルミナ)、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素のうち、少なくとも一つを含むことがある。
【0085】
デュアは、構造的に熱雑音が最小になるように熱遮蔽膜を使用する。通常的に、試料とピックアップコイルが隣接した領域には、熱遮蔽膜を使用しない。代わりに、超断熱膜が放射熱を遮断するように使用されるが、十分な断熱效果を得にくい。したがって、デュア内部に流入される放射熱を遮断する非金属性の補助熱遮蔽膜が必要である。前記補助熱遮蔽膜は、高い熱伝導度を有しながらも、SQUIDに熱雑音及び磁気雑音を伝導しない非金属性物質であることがある。
【0086】
しかし、非金属性の物質は、たいてい熱伝導度が低くて熱遮蔽膜としての機能が落ちることができる。酸化アルミニウム(アルミナ)の場合、セラミック系列の非金属物質でありながらも、その熱伝導度が300Kで約30W/mK、5Kで約1.7W/mKで、高い方に属する物質である。したがって、前記ピックアップコイルと前記試料の距離が遠く離れた所には、既存の金属性熱遮蔽膜が使用される。一方、前記ピックアップコイルと前記試料が近い領域には、前記補助熱遮蔽膜が配置されることがある。前記補助熱遮蔽膜と前記熱遮蔽膜は、信頼性あるように接触されることがある。これによって、外部から流入される放射熱は、遮断しながらも金属性熱遮蔽膜による熱雑音の流入は抑制することがある。特に、前記補助熱遮蔽膜は、液体ヘリウムを使用するデュアに適用されることがある。
【0087】
図11は、本発明の他の実施例による冷却装置を説明する図面である。
【0088】
図11に示すように、前記冷却装置400は、外部容器420及び内部容器410を含むことがある。前記内部容器410は、前記外部容器420内部に配置され、内部首部416及び内部ボディ部414を含むことがある。伝導性熱遮蔽膜430は、前記内部首部416に連結され、前記内部ボディ部414の少なくとも側面を包むように配置されることがある。補助熱遮蔽膜479は、前記外部容器412の下部に配置された試料460と隣接した領域に前記熱遮蔽膜430と接触して配置され、アルミニウム酸化物で形成される。前記外部容器420と内部容器410との間は、真空状態の断熱層を形成し、前記内部容器410は、液体冷媒404を含むことがある。
前記外部容器420と内部容器410の下部面は、平面であることがある。超伝導体で形成された事前磁化コイル440、SQUID450、及びピックアップコイル470は、前記液体冷媒内部に配置されることがある。超断熱膜492は、前記内部ボディ部414を包むように配置されることがある。
【0089】
図12は、本発明の更なる他の実施例による冷却装置を説明する図面である。
図12に示すように、前記冷却装置500は、外部容器520及び内部容器510を含むことがある。前記内部容器510は、前記外部容器520内部に配置され、内部首部516及び内部ボディ部514を含むことがある。伝導性熱遮蔽膜530は、前記内部首部516に連結され、前記内部ボディ部514の少なくとも側面を包むように配置されることがある。補助熱遮蔽膜579は、前記外部容器512の下部に配置された試料560と隣接した領域に前記熱遮蔽膜530と接触して配置され、アルミニウム酸化物に形成される。前記外部容器520と内部容器510との間は、真空状態の断熱層を形成し、前記内部容器510は、液体冷媒504を含むことがある。
【0090】
前記外部容器520は、外部突出部524及び外部ボディ部522を含むことがある。前記内部容器510は、内部突出部512を含むことがある。前記内部突出部512は、前記外部突出部524の内部に配置されることがある。前記補助熱遮蔽膜579は、前記内部突出部512の下部面と前記外部突出部524の下部面との間に配置されることがある。超伝導体で形成された事前磁化コイル540、及びピックアップコイル570は、前記内部突出部512の内部に配置されることがある。SQUID450は、前記液体冷媒504に浸ることがある。超断熱膜(図示せず)は、前記内部ボディ部514を包むように配置されることがある。
【0091】
これまで本発明に対してその好ましい実施例を中心に述べた。本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形された形態で具現できることが分かる。したがって、開示された実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求範囲に述べ、それと同等な範囲内にあるすべての差異は、本発明に含まれるものと解釈されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部容器及び液体冷媒を含む内部容器を含むデュア;
前記内部容器の内部に配置され、前記液体冷媒に浸る事前磁化コイル(prepolarization coil);
前記液体冷媒に浸るピックアップコイル;及び、
前記ピックアップコイルに電気的に連結され、前記液体冷媒に浸るSQUIDを含み、
前記事前磁化コイルは、超伝導体で形成され、
前記外部容器と内部容器との間は、真空状態の断熱層を形成し、
試料は、前記事前磁化コイルによって磁化され、前記ピックアップコイルの測定対象になり、
前記デュアは、凹形を含み、前記試料は、前記凹形の内部に配置されることを特徴とする低雑音冷却装置。
【請求項2】
前記外部容器は、
外部ボディ部;及び、
前記事前磁化コイルが配置される領域の中心部に前記試料が配置されるように前記試料を包む外部凹部を含み、
前記内部容器は、
前記外部容器と結合する内部首部;
前記内部首部と連結される内部ボディ部;及び、
前記内部ボディ部と連結されて前記外部凹部を包む内部凹部を含み、
前記内部凹部は、前記外部凹部の周りに配置されることを特徴とする請求項1に記載の低雑音冷却装置。
【請求項3】
前記内部首部に結合して前記内部ボディ部を包む少なくとも一つの伝導性熱遮蔽膜をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の低雑音冷却装置。
【請求項4】
前記伝導性熱遮蔽膜は、板型部とストリップ部とを含み、
前記板型部は、前記内部首部と結合して前記内部ボディ部を包むように配置され、
前記ストリップ部は、前記板型部と連続的に連結されて前記内部ボディ部の下部に配置されることを特徴とする請求項3に記載の低雑音冷却装置。
【請求項5】
前記内部凹部と前記外部凹部との間に配置され、前記外部凹部を包む少なくとも一つの超断熱膜(Super Thermal Insulation layer)をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の低雑音冷却装置。
【請求項6】
前記超断熱膜は、
細糸纎維;及び、
前記細糸繊維上に非等方性を有し、蒸着された導電物質を含み、
前記導電物質は、前記細糸繊維の屈曲によって導電領域が断続的に形成されることを特徴とする請求項5に記載の低雑音冷却装置。
【請求項7】
前記熱遮蔽膜と結合し、前記内部凹部と前記外部凹部との間に配置される少なくとも一つの非導電性補助熱遮蔽膜をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の低雑音冷却装置。
【請求項8】
前記非導電性補助熱遮蔽膜は、アルミナ、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項7に記載の低雑音冷却装置。
【請求項9】
前記事前磁化コイルは、前記内部凹部を包むように配置され、
前記受信コイルの一部又は全部は、前記事前磁化コイルと前記内部凹部との間に配置されることを特徴とする請求項2に記載の低雑音冷却装置。
【請求項10】
前記事前磁化コイルは、少なくとも一つのコイルが直列又は並列で連結された形態であり、前記事前磁化コイルによって形成された事前磁化磁場は、前記内部凹部の中心軸に垂直した方向であることを特徴とする請求項2に記載の低雑音冷却装置。
【請求項11】
前記事前磁化コイルは、少なくとも一つのコイルが直列又は並列で連結された形態であり、前記事前磁化コイルによって形成された事前磁化磁場は、前記内部凹部の中心軸方向であることを特徴とする請求項2に記載の低雑音冷却装置。
【請求項12】
前記事前磁化コイルは、
抵抗が大きい合金材基地材料;及び、
前記基地材料の中に配置された複数の微細な超伝導体フィラメントを含むことを特徴とする請求項1に記載の低雑音冷却装置。
【請求項13】
前記超伝導フィラメントは、NbTi、Nb3Sn、MgB2のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項12に記載の低雑音冷却装置。
【請求項14】
前記事前磁化コイルと電源部とを電気的に連結する連結部をさらに含み、
前記連結部は、
前記液体冷媒に一部が浸り、前記事前磁化コイルと電気的に連結される超伝導体で形成された第1配線;及び、
前記液体冷媒から露出した前記第1配線の一端と電気的に連結配置され、前記液体冷媒から露出した第2配線を含み、
前記第2配線は、単線(solid−wire)、撚線(stranded−wire)、又はリッツ線(Litz−wire)形態の抵抗導線であることを特徴とする請求項1に記載の低雑音冷却装置。
【請求項15】
外部容器;
前記外部容器内部に配置され、内部首部、内部ボディ部を含む内部容器;
前記内部首部に連結され、前記内部ボディ部の少なくとも側面を包むように配置される少なくとも一つの伝導性熱遮蔽膜;
前記外部容器の下部に配置された試料と隣接した領域に前記遮蔽部と接触して配置される非導電性補助熱遮蔽膜;
前記内部容器の内部に配置され、液体冷媒に浸る事前磁化コイル;
前記事前磁化コイルの中心軸上に配置され、前記液体冷媒に浸るピックアップコイル;及び、
前記ピックアップコイルに電気的に連結され、前記液体冷媒に浸るSQUIDを含み、
前記外部容器と内部容器との間は、真空状態の断熱層を形成することを特徴とする低雑音冷却装置。
【請求項16】
前記外部容器は、外部突出部をさらに含み、
前記内部容器は、内部突出部をさらに含み、
前記内部突出部は、前記外部突出部の内部に配置され、
前記補助熱遮蔽膜は、前記内部突出部の下部面と前記外部突出部の下部面との間に配置されることを特徴とする請求項15に記載の低雑音冷却装置。
【請求項17】
前記外部容器は、外部凹部をさらに含み、
前記内部容器は、内部凹部をさらに含み、
前記外部凹部は、前記内部凹部の内部に配置され、
前記補助熱遮蔽膜は、前記外部凹部と前記内部凹部との間に配置されることを特徴とする請求項15に記載の低雑音冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−515964(P2013−515964A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546986(P2012−546986)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/KR2010/008145
【国際公開番号】WO2011/081299
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(307022033)コリア・リサーチ・インスティチュート・オブ・スタンダーズ・アンド・サイエンス (2)
【氏名又は名称原語表記】KOREA RESEARCH INSTITUTEOF STANDARDS AND SCIENCE
【Fターム(参考)】