説明

作業機の制御装置

【課題】油圧源20からの供給油を複数の油圧アクチュエータ5,6,7に供給して作業機を駆動させるに、単独操作から複数操作により複数の油圧アクチュエータを駆動するようにした時に、コントローラで、供給油量に対して複数操作による要求油量が多く油量不足を判別し各油圧アクチュエータに油圧源からの供給油を比例配分した油量制限を行うのであるが、単独操作に対応する油圧アクチュエータの駆動速度が遅くなり、操作に違和感を持つ。
【解決手段】上記操作で量不足が生じても、単独操作(先操作)に対応する油圧アクチュエータへは優先してこれまでと同じ油量を供給し、後から操作した油圧アクチュエータに対しては供給油量から先操作の要求油量を減じた残りの油量を比例配分することにより、単独操作(先操作)の油圧アクチュエータの駆動速度を変化なく駆動させ違和感を生じないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に備えた油圧アクチュエータを複数同時操作することによる要求油量に対して油圧源からの供給油量が不足となった場合に、操作に違和感がないよう各油圧アクチュエータを駆動できるようにする作業機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の作業機の制御装置として、油圧源からの供給油を複数の油圧アクチュエータに供給して作業機を駆動するようにした作業機の制御装置は、複数の油圧アクチュエータを駆動するために各油圧アクチュエータが要求する油量の合計要求油量Qbよりも油圧源からの供給油量Qaが以下の時(油量不足の時)に供給油量Qaと合計要求油量Qbの比率(油量制限比率K=Qa/Qb)で各油圧アクチュエータが要求する油量を削減させるようにしている。すなわち、供給油量Qaを各油圧アクチュエータが要求する油量で比例配分し、供給油量Qaの範囲内で複数の油圧アクチュエータを駆動できるようにしている。
【0003】
したがって、単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動している状態から、複数操作(あるいは操作数を多くした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動する状態にした時に、単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータに対して前記油量制限が行われこれら油圧アクチュエータの駆動速度が急に遅くなったり、逆に複数の油圧アクチュエータを駆動している状態から単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動する状態にした時に、前記油量制限が解除され単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータの駆動速度が急に速くなったりする。この油圧アクチュエータの急な速度変化をなくするために、徐々に油量制限を行たり油量制限を徐々に解除するようにして、油圧アクチュエータの急な速度変化を防止するようにした技術が公知である。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開平10−89306号公報(第4頁、図1,図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが上記公知技術では、油圧アクチュエータの急な速度変化を防止できるものの、先に単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動している状態から、複数操作(あるいは操作数を多くした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動する状態にした時に、単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータに対して前記油量制限が行われこれら油圧アクチュエータの駆動速度が遅くなり、操作に違和感を持つものであった。
逆に、複数の油圧アクチュエータを駆動している状態から単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動する状態にした時に、前記油量制限が解除され単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータの駆動速度が速くなり、やはり操作に違和感を持つものであった。
【0005】
本発明は、このような操作をした時に操作に違和感を持たない作業機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明に係る請求項1記載の作業機の制御装置は、油圧源からの供給油を複数の油圧アクチュエータに供給して作業機を駆動する作業機の制御装置であって、複数の油圧アクチュエータを駆動制御するために各油圧アクチュエータに対応して配置した各制御手段と、各油圧アクチュエータを駆動制御するために各油圧アクチュエータに対応して配置され操作信号を出力する複数の操作手段と、コントローラとを備えた作業機の制御装置において、前記コントローラは、油圧源の供給油量を算出し供給油量信号を出力する供給油量算出手段と、各油圧アクチュエータの駆動制御を制限する制限信号を出力する各油量制限手段と、前記各操作信号と前記供給油量信号を受け各操作手段を複数操作し複数の操作手段からの操作信号に基づく合計要求油量が供給油量を超え油量不足状態であることを判別して油量不足信号を出力する油量不足判別手段と、各操作手段の操作信号を受けて複数の操作をした時に各操作手段の内最初に操作された操作手段を判別してその操作が終了するまで判別した操作手段を先操作として先操作信号を出力する先操作判別手段と、前記操作信号,前記供給油量信号,前記油量不足信号,前記先操作信号,からの各信号を受け先操作手段が要求する油量を優先して先操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給し供給油量から先操作手段が要求した油量を減じた油量を先操作手段以外の操作手段が要求する油量の比で配分して先操作手段以外の油圧アクチュエータに供給するよう前記各油量制限手段に制限信号を出力し各油圧アクチュエータに供給される油量の配分を決定する油量配分決定手段、とを備えていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2記載の作業機の制御装置は、油圧源からの供給油を複数の油圧アクチュエータに供給して作業機を駆動する作業機の制御装置であって、複数の油圧アクチュエータを駆動制御するために各油圧アクチュエータに対応して配置した各制御手段と、各油圧アクチュエータを駆動制御するために各油圧アクチュエータに対応して配置され操作信号を出力する複数の操作手段と、コントローラとを備えた作業機の制御装置において、前記コントローラは、油圧源の供給油量を算出し供給油量信号を出力する供給油量算出手段と、各油圧アクチュエータの駆動制御を制限する制限信号を出力する各油量制限手段と、前記各操作信号と前記供給油量信号を受け各操作手段を複数操作し複数の操作手段からの操作信号に基づく合計要求油量が供給油量を超え油量不足状態であることを判別して油量不足信号を出力する油量不足判別手段と、各操作手段の操作信号を受けて特定の操作を含む複数の操作をしていることを判別して特定操作信号を出力する特定操作判別手段と、特定操作手段の操作量が所定以上の操作であることを判別して特定操作量信号を出力する特定操作量判別手段と、前記操作信号,前記供給油量信号,前記油量不足信号,前記特定操作信号,特定操作量信号からの各信号を受け特定操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給する油量が所定以上の油量である場合に所定油量となるよう特定操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給する油量を決定するとともに供給油量から所定油量を減じた油量を特定操作手段以外の操作手段が要求する油量の比で配分して特定操作手段以外の油圧アクチュエータに供給するよう前記各油量制限手段に制限信号を出力し各油圧アクチュエータに供給される油量の配分を決定する油量配分決定手段、とを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る本発明の作業機の制御装置は、以上のように構成するものであるから、
油量配分決定手段は、複数操作によって油量不足判別手段から油量不足信号を受けると、先操作判別手段から先操作信号を受け、先に操作した操作手段に対応する油圧アクチュエータに対して当該操作手段からの操作信号に基づく油量を供給するとともに、供給油量から先操作手段が要求した油量を減じた油量を先操作手段以外の操作手段が要求する油量の比で配分して先操作手段以外の油圧アクチュエータに供給するよう前記各油量制限手段に制限信号を出力し各油圧アクチュエータに供給される油量の配分を決定して、前記各油量制限手段に制限信号を出力する。
したがって、先に単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動している状態から、複数操作(あるいは操作数を多くした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動する状態にした時に、後から操作した油圧アクチュエータに対して前記油量制限が行われても、先操作を優先して先操作に対応する油圧アクチュエータへは油量の制限を行われないので、先操作の油圧アクチュエータの駆動速度が遅くなることはなく、違和感なく操作できる。逆に、複数の油圧アクチュエータを駆動している状態から単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動する状態にしても、先操作に対応する油圧アクチュエータへの供給油量は対応する操作手段からの操作信号に基づくもので、先操作の油圧アクチュエータの駆動速度に変化はなく、やはり違和感なく操作できる。
【0009】
請求項2に係る本発明の作業機の制御装置は、以上のように構成するものであるから、コントローラの油量配分決定手段は、特定操作判別手段から特定操作信号を受けるとともに特定操作量判別手段から特定操作量信号を受けている時に、特定操作手段以外の操作手段を操作することによって油量不足判別手段から油量不足信号を受けると、特定操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給する油量を所定油量とするよう該当する油量制限手段に制限信号を出力する。そして当該油量配分決定手段は、供給油量から所定油量を減じた油量を特定操作手段以外の操作手段が要求する油量の比で配分して特定操作手段以外の油圧アクチュエータに供給するよう油量の配分を決定し、前記各油量制限手段に制限信号を出力する。
すなわち、特定操作手段の操作量が所定以上に操作されている時に、特定操作手段以外の操作手段を操作することによって油量不足状態になると、特定操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給する油量を所定油量に減じて特定操作手段に対応する油圧アクチュエータの速度を少し遅くする。そして、特定操作手段以外の操作手段で操作されている油圧アクチュエータに対しては、供給油量から所定油量を減じた油量を特定操作手段以外の操作手段が要求する油量の比で油量を配分する。ただし、ここでの所定油量は、特定操作手段に対応する油圧アクチュエータへの供給油量を所定油量に減じても、特定操作手段に対応する油圧アクチュエータの操作に違和感を生じない程度に減速させるような油量であり、特定操作手段に対応する油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータがある程度駆動できるようにその油量を予め決定している。逆に、特定操作手段以外の操作手段を操作を取り止めると油量不足状態は解消されるので、特定操作手段の操作量に基づいて特定操作手段に対応する油圧アクチュエータは駆動されるようになる。
したがって、特定操作手段以外の操作手段を操作することによって油量不足状態になっても、特定操作手段に対応する油圧アクチュエータの速度を少し遅くすることによって特定操作手段以外の操作手段に対応する油圧アクチュエータも駆動できる油量を確保し当該油量を特定操作手段以外の操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給することができる。しかも、特定操作手段に対応する油圧アクチュエータは、油量不足状態になっても所定油量の供給を補償しているものであるから、特定操作手段に対応する油圧アクチュエータの操作を可及的に違和感なく操作できるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下本発明の請求項1に係る作業機の制御装置の実施形態を第1実施形態として、図1および図3に図示し以下に説明する。この種の作業機として図3に図示する高所作業車Aを例に以下に説明する。高所作業車Aは、車両1上に旋回自在に旋回台2を配置し、当該旋回台2に起伏自在に伸縮ブーム3を設け、伸縮ブーム3の先端部に作業台4を設けている。そして旋回台2は車両1と旋回台2間に配置した旋回駆動装置により旋回駆動可能にしており、旋回駆動装置には旋回モータ5を備え当該旋回モータ5を駆動することにより旋回するようになっている。伸縮ブーム3と旋回台2間には起伏シリンダ6が配置され、旋回台2に対して伸縮ブーム3を起伏できるようにしてある。また、伸縮ブーム3は基ブーム7、中間ブーム8、先ブーム9の多段ブームからなり、少なくとも基ブーム7と中間ブーム8間には伸縮シリンダ10が配置され基ブーム7に対して中間ブーム8が伸縮駆動されるようにしている。中間ブーム8に対して先ブーム9は、適宜の伸縮駆動装置(基ブーム7に対して中間ブーム8の伸縮動に連動して伸縮駆動する同時伸縮装置等があり図示しない)が配置してある。ここで旋回モータ5、起伏シリンダ6、伸縮シリンダ10は、特許請求の範囲に記載の油圧アクチュエータに該当する。
【0011】
このような高所作業車Aは、作業台4上に備えた操作手段Bを操作することで前記各油圧アクチュエータを駆動できるようにしてある。操作手段Bは、図1に図示する如く、旋回操作レバー11を操作することにより旋回操作信号aを出力する旋回操作手段12と、起伏操作レバー13を操作することにより起伏操作信号bを出力する起伏操作手段14と、伸縮操作レバー15を操作することにより伸縮操作信号cを出力する伸縮操作手段16からなっている。
【0012】
旋回操作信号a、起伏操作信号b、伸縮操作信号cは、それぞれ制御手段17,18,19に伝達される。制御手段17,18,19は、電磁比例制御弁で構成された旋回用制御弁17,起伏用制御弁18,伸縮用制御弁19で、操作方向と操作量は前記操作信号a,b,cによって決定される。そして油圧源20からの油が旋回モータ5、起伏シリンダ6、伸縮シリンダ7、にそれぞれ旋回用制御弁17,起伏用制御弁18,伸縮用制御弁19を介して供給される。
【0013】
すなわち、高所作業車Aは、作業台4上に備えた操作手段B(旋回操作レバー11、起伏操作レバー13、伸縮操作レバー15)からの操作信号に基づいて、旋回用制御弁17,起伏用制御弁18,伸縮用制御弁19を介して旋回モータ5、起伏シリンダ6、伸縮シリンダ7を駆動するようにしてある。なお、各制御弁17,18,19は、特許請求の範囲に記載の制御手段に該当する。
【0014】
各操作手段B(旋回操作手段12,起伏操作手段14,伸縮操作手段16)と各制御手段(旋回用制御弁17,起伏用制御弁18,伸縮用制御弁19)間には、次に説明するコントローラ21を介挿させている。コントローラ21は、供給油量算出手段22、各油量制限手段(旋回油量制限手段23,起伏油量制限手段24,伸縮油量制限手段25)、油量不足判別手段26、先操作判別手段27、油量配分決定手段28を備えている。
【0015】
供給油量算出手段22は、油圧源20の供給油量Qaを算出し供給油量信号dを出力する手段である。なお、供給油量算出手段22は、定吐出量の油圧ポンプで当該油圧ポンプをエンジンまたは電動モータで定回転させる場合は、予め定めた供給油量を算出させるように供給油量算出手段22を構成しておけばよい。また、可変容量油圧ポンプあるいはエンジンまたは電動モータの回転を可変回転させるようにした場合には、可変容量油圧ポンプの吐出容量、エンジンまたは電動モータの回転を検出して供給油量Qaを算出するように供給油量算出手段22を構成しておけばよい。
【0016】
各油量制限手段(旋回油量制限手段23,起伏油量制限手段24,伸縮油量制限手段25)は、各油圧アクチュエータ5,6,7の駆動制御を制限する制限信号を出力する手段である。油量不足判別手段26は、前記各操作信号a,b,cと前記供給油量信号dを受け各操作手段12,14,16を複数操作し複数の操作手段からの操作信号に基づく合計要求油量Qbが供給油量Qaを超え油量不足状態であることを判別して油量不足信号eを出力する手段である。先操作判別手段27は、各操作手段12,14,16の操作信号a,b,cを受けて複数の操作をした時に各操作手段12,14,16の内最初に操作された操作手段を判別してその操作が終了するまで判別した操作手段を先操作として先操作信号fを出力する手段である。
【0017】
油量配分決定手段28は、前記操作信号a,b,c、前記供給油量信号d、前記油量不足信号e、前記先操作信号f、からの各信号を受け先操作手段が要求する油量Qcを優先して先操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給し供給油量Qaから先操作手段が要求した油量Qcを減じた油量Qa−Qcを先操作手段以外の操作手段が要求する油量の比で配分して先操作手段以外の油圧アクチュエータに供給するよう前記各油量制限手段23,24,25に制限信号を出力し各油圧アクチュエータに供給される油量の配分を決定する手段である。
【0018】
このように構成した本発明に係る作業機の制御装置は、次のように作用する。例えば、旋回操作レバー11のみを操作して先に旋回操作手段12により旋回操作信号aにより単独で旋回モータ5を駆動させているとする。この場合単独で旋回モータ5を駆動させているものであるから、供給油量Qaと旋回操作手段12の要求油量Qcの関係はQa>Qcとなっている。よって油量不足判別手段26は、旋回操作信号aと供給油量算出手段22からの供給油量信号dを受けて、油量不足判別信号eを油量配分決定手段28に出力しない。また油量配分決定手段28も旋回油量制限手段23に制限信号を出力しない。したがって、旋回操作手段12からの旋回操作信号aは減じられることなく旋回用制御弁17に入力され、旋回操作信号aでもって旋回用制御弁17を制御して旋回モータ5を駆動させる。
【0019】
この状態から起伏操作レバー13と伸縮操作レバー15を操作して、起伏操作手段14から油量Qdを要求する起伏操作信号bを出力させ、伸縮操作手段16から油量Qeを要求する伸縮操作信号cを出力させて、旋回操作、起伏操作および伸縮操作の複数操作をした場合について説明する。この場合、供給油量Qaと旋回操作手段12の要求油量Qc、起伏操作手段14の要求油量Qdおよび伸縮操作手段16の要求油量Qeの関係は、Qa<Qc+Qd+Qe=要求油量の合計Qbで、油量不足になる状態にあるとする。したがって油量不足判別手段26は、旋回操作信号a、起伏操作信号b、伸縮操作信号cおよび供給油量算出手段22からの供給油量信号dを受けて油量不足信号eを油量配分決定手段28に出力する。
【0020】
先操作判別手段27は、旋回操作信号aを起伏操作信号bおよび伸縮操作信号cより先に信号を受けているものであるから、先操作は旋回操作である先操作信号fを油量配分決定手段28に出力する。
【0021】
よって油量配分決定手段28は、複数操作によって油量不足判別手段26から油量不足信号eを受け、先操作判別手段27から先操作信号fを受け、先に操作した旋回操作手段12に対応する油圧アクチュエータ(旋回モータ5)に対しては制限しないようにし、先操作手段以外の操作手段(起伏操作手段14と伸縮操作手段16)に対応する各油圧アクチュエータ(起伏シリンダ6と伸縮シリンダ7)に対しては、供給油量Qaから先操作手段である旋回操作手段12が要求した油量Qcを減じた油量Qa−Qcを、先操作手段以外の操作手段(起伏操作手段14と伸縮操作手段16)からの操作信号に基づいて比例配分して各油圧アクチュエータ(起伏シリンダ6と伸縮シリンダ7)に供給するよう、旋回油量制限手段23、起伏油量制限手段24および伸縮油量制限手段25に制限信号を出力する。すなわち、旋回操作手段12からの旋回操作信号aは減じられることなく旋回用制御弁17に入力され、旋回操作信号aでもって旋回用制御弁17を制御して旋回モータ5を駆動させる。起伏シリンダ6には、(Qa−Qc)×Qd/(Qd+Qe)の油量が供給され、伸縮シリンダ7には(Qa−Qc)×Qe/(Qd+Qe)の油量が供給されることになる。
【0022】
次に、この状態から起伏操作レバー13の操作を元に戻して起伏操作を中止した場合について説明する。この場合、供給油量Qaと旋回操作手段12の要求油量Qc、伸縮操作手段16の要求油量Qeの関係は、Qa<Qc+Qe=要求油量の合計Qbで、油量不足になる状態にあるとする。したがって油量不足判別手段26は、旋回操作信号a、伸縮操作信号cおよび供給油量算出手段22からの供給油量信号dを受けて油量不足信号eを油量配分決定手段28に出力する。
【0023】
先操作判別手段27は、旋回操作信号aを伸縮操作信号cより先に信号を受けているものであるから、先操作は旋回操作である先操作信号fを油量配分決定手段28に出力する。
【0024】
よって油量配分決定手段28は、複数操作によって油量不足判別手段26から油量不足信号eを受け、先操作判別手段27から先操作信号fを受け、先に操作した旋回操作手段12に対応する油圧アクチュエータ(旋回モータ5)に対しては制限しないようにし、伸縮シリンダ7に対しては旋回操作手段12が要求した油量Qcを減じた油量Qa−Qc内で油量を供給するよう旋回油量制限手段23と起伏油量制限手段24に制限信号を出力する。したがって、旋回操作手段12からの旋回操作信号aは減じられることなく旋回用制御弁17に入力され、旋回操作信号aでもって旋回用制御弁17を制御して旋回モータ5を駆動させる。そして伸縮シリンダ7は、Qa−Qc>Qeの場合は、伸縮操作手段16からの操作信号cに基づく油量Qeを供給し、Qa−Qc<Qeの場合はQa−Qcを伸縮シリンダ7に供給して駆動されるようになる。
【0025】
また、上記では起伏操作レバー13の操作を元に戻して起伏操作を中止した場合について説明したが、逆に伸縮操作レバー15の操作を元に戻して起伏操作を中止した場合については同様に作用することは容易に理解できるのでここでは説明を省略する。
【0026】
更に、上記で起伏操作レバー13と伸縮操作レバー15の両方の操作を元に戻して起伏操作および伸縮操作を中止した場合については、上記した旋回操作の単独操作に戻ることがあえて説明しなくても容易に理解されるのでこの場合についても説明を省略する。
【0027】
ここで上記説明では、旋回操作を先に操作した場合を説明したが、伸縮操作あるいは起伏操作を先に操作して先操作とするようにしても同様に作用すること明らかであり、この場合についての説明を省略する。
【0028】
以上のように、先に単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動している状態から、複数操作(あるいは操作数を多くした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動する状態にした時に、後から操作した油圧アクチュエータに対して前記油量制限が行われても、先操作を優先して先操作に対応する油圧アクチュエータへは油量の制限を行わないので、先操作の油圧アクチュエータの駆動速度が遅くなることはなく、違和感なく操作できる。逆に、複数の油圧アクチュエータを駆動している状態から単独操作(あるいは操作数を少なくした複数操作)による油圧アクチュエータを駆動する状態にしても、先操作に対応する油圧アクチュエータへの供給油量は対応する操作手段からの操作信号に基づくもので、先操作の油圧アクチュエータの駆動速度に変化はなく、やはり違和感なく操作できる。
【0029】
(2)第2実施形態
次に本発明の請求項2に係る作業機の制御装置の実施形態を図3に図示する高所作業車に備えた例を第2実施形態として図2に図示し以下に説明する。したがって高所作業車Aの説明ならびに第1実施形態と共通する部分については同符合を用い詳細な説明を省略する。
【0030】
各操作手段B(旋回操作手段12,起伏操作手段14,伸縮操作手段16)と各制御手段(旋回用制御弁17,起伏用制御弁18,伸縮用制御弁19)間には、次に説明するコントローラ31を介挿させている。コントローラ31は、供給油量算出手段22、各油量制限手段(旋回油量制限手段23,起伏油量制限手段24,伸縮油量制限手段25)、油量不足判別手段26、特定操作判別手段32、特定操作量判別手段33、油量配分決定手段34を備えている。
【0031】
特定操作判別手段32は、各操作手段の操作信号a,b,cを受けて予め定めた特定の操作を含む複数の操作をしていることを判別して特定操作信号gを出力する手段である。特定操作量判別手段33は、特定操作手段の操作量が所定以上の操作であることを判別して特定操作量信号hを出力する手段である。
【0032】
ここで特定操作ならびに特定操作手段の所定以上の操作量は、次のように決定している。特定操作手段による操作と特定操作手段以外による操作手段の操作をして複数操作した場合に、特定操作手段に対応する油圧アクチュエータの負荷が小で、当該油圧アクチュエータに対して特定操作手段以外の操作手段に対応する油圧アクチュエータの負荷が大で、特定操作手段以外の操作手段に対応する油圧アクチュエータの駆動ができない場合がある。このような組合せによる複数操作の場合、複数操作の組合せの中で比較的負荷が小となる油圧アクチュエータに対する操作手段を特定操作手段としており、特定操作手段の操作量が所定以上の操作であると特定操作手段以外に対応する油圧アクチュエータが駆動できなくなるのを防止するために、特定操作手段を所定以上操作していて複数操作する場合には、特定操作手段を所定操作にまで減じる必要がある。
【0033】
このようなことから、比較的負荷の小さい油圧アクチュエータを特定操作手段とし、この油圧アクチュエータの所定以上の操作量を予め決定している。本実施形態の場合は旋回操作手段12の操作を特定操作として特定操作判別手段32に記憶させており、特定操作量判別手段33で旋回操作手段12の操作量が所定以上の操作であるか否かの判断を行うようにしている。
【0034】
油量配分決定手段34は、前記操作信号a,b,c,前記供給油量信号d,前記油量不足信号e,前記特定操作信号g,特定操作量信号hからの各信号を受け特定操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給する油量が所定以上の油量である場合に所定油量となるよう特定操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給する油量を決定するとともに供給油量から所定油量を減じた油量を特定操作手段以外の操作手段が要求する油量の比で配分して特定操作手段以外の油圧アクチュエータに供給するよう前記各油量制限手段23,24,25に制限信号を出力し各油圧アクチュエータに供給される油量の配分を決定する手段である。
【0035】
このように構成した本発明の請求項2に係る作業機の制御装置は、次のように作用する。例えば、旋回操作レバー11のみを操作して先に旋回操作手段12により旋回操作信号aにより単独で旋回モータ5を駆動させているとする。この場合単独で旋回モータ5を駆動させているものであるから、供給油量Qaと旋回操作手段12の要求油量Qcの関係はQa>Qcとなっている。よって油量不足判別手段26は、旋回操作信号aと供給油量算出手段22からの供給油量信号dを受けて、油量不足判別信号eを油量配分決定手段34に出力しない。また油量配分決定手段34も旋回油量制限手段23に制限信号を出力しない。したがって、旋回操作手段12からの旋回操作信号aは減じられることなく旋回用制御弁17に入力され、旋回操作信号aでもって旋回用制御弁17を制御して旋回モータ5を駆動させる。なお、旋回操作手段12を操作して旋回操作信号aにより旋回操作手段12が要求する要求油量Qcは特定操作量判別手段33に記憶されている所定以上の操作量であるとする。
【0036】
この状態から起伏操作レバー13と伸縮操作レバー15を操作して、起伏操作手段14から油量Qdを要求する起伏操作信号bを出力させ、伸縮操作手段16から油量Qeを要求する伸縮操作信号cを出力させて、旋回操作、起伏操作および伸縮操作の複数操作をした場合について説明する。この場合、供給油量Qaと旋回操作手段12の要求油量Qc、起伏操作手段14の要求油量Qdおよび伸縮操作手段16の要求油量Qeの関係は、Qa<Qc+Qd+Qe=要求油量の合計Qbで、油量不足になる状態にあるとする。したがって油量不足判別手段26は、旋回操作信号a、起伏操作信号b、伸縮操作信号cおよび供給油量算出手段22からの供給油量信号dを受けて油量不足信号eを油量配分決定手段34に出力する。
【0037】
特定操作判別手段32は、旋回操作信号a、起伏操作信号bおよび伸縮操作信号cを受け特定操作である旋回操作をしていることを判別し特定操作信号gを油量配分決定手段34に出力する。また、特定操作量判別手段33は、旋回操作信号aを受けて旋回操作手段12の操作量は所定以上であることを判別し、所定操作量信号hを油量配分決定手段34に出力する。
【0038】
油量配分決定手段34は、複数操作によって油量不足判別手段26から油量不足信号eを受け、特定操作判別手段32から特定操作信号gを受け、特定操作量判別手段33から特定操作量信号hを受け、旋回油圧モータ5に供給される油量Qcを所定油量Qfとなるようにし、旋回操作手段12以外の操作手段(起伏操作手段14と伸縮操作手段16)に対応する各油圧アクチュエータ(起伏シリンダ6と伸縮シリンダ7)に対しては、供給油量Qaから所定油量Qfを減じた油量Qa−Qfを、旋回操作手段12以外の操作手段(起伏操作手段14と伸縮操作手段16)からの操作信号に基づいて比例配分して各油圧アクチュエータ(起伏シリンダ6と伸縮シリンダ7)に供給するよう、旋回油量制限手段23、起伏油量制限手段24および伸縮油量制限手段25に制限信号を出力する。
【0039】
すなわち、旋回操作手段12からの旋回操作信号aは、旋回油量制限手段23により制限され、旋回モータ5に所定油量Qfを供給するように旋回用制御弁17を制御することになる。そして起伏操作手段14からの起伏操作信号bと伸縮操作手段16からの伸縮操作信号cは、起伏油量制限手段24および伸縮油量制限手段25により制限され、起伏シリンダ6には、(Qa−Qf)×Qd/(Qd+Qe)の油量が供給され、伸縮シリンダ7には(Qa−Qf)×Qe/(Qd+Qe)の油量が供給されるように、起伏制御弁18および伸縮操作弁19を制御することになる。
【0040】
次に、この状態から起伏操作レバー13の操作を元に戻して起伏操作を中止した場合について説明する。この場合、供給油量Qaと旋回操作手段12の要求油量Qc、伸縮操作手段16の要求油量Qeの関係は、Qa<Qc+Qe=要求油量の合計Qbで、油量不足になる状態にあるとする。したがって油量不足判別手段26は、旋回操作信号a、伸縮操作信号cおよび供給油量算出手段22からの供給油量信号dを受けて油量不足信号eを油量配分決定手段34に出力する。
【0041】
特定操作判別手段32は、旋回操作信号a、起伏操作信号bを受け特定操作である旋回操作をしていることを判別し特定操作信号gを油量配分決定手段34に出力する。また、特定操作量判別手段33は、旋回操作信号aを受けて旋回操作手段12の操作量は所定以上であることを判別し特定操作量信号hを油量配分決定手段34に出力する。
【0042】
油量配分決定手段34は、油量不足判別手段26から油量不足信号eを受け、特定操作判別手段32から特定操作信号gを受け、特定操作量判別手段33から特定操作量信号hを受け、旋回油圧モータ5に供給される油量Qcを所定油量Qfとなるようにし、旋回操作手段12以外の操作手段(起伏操作手段14と伸縮操作手段16)に対応する各油圧アクチュエータ(伸縮シリンダ7)に対しては、供給油量Qaから所定油量Qfを減じた油量Qa−Qf内で油量を供給するよう旋回油量制限手段23と伸縮油量制限手段24に制限信号を出力する。したがって、旋回操作手段12からの旋回操作信号aは旋回油量制限手段23で制限されて旋回用制御弁17に入力される。そして伸縮操作手段16からの伸縮操作信号cは、伸縮油量制限手段25により制限され伸縮シリンダ7には、Qa−Qf>Qeの場合は、伸縮操作手段16からの操作信号cに基づく油量Qeを供給し、Qa−Qf<Qeの場合は油量Qa−Qfを伸縮シリンダ7に供給して駆動されるようになる。
【0043】
また、上記では起伏操作レバー13の操作を元に戻して起伏操作を中止した場合について説明したが、逆に伸縮操作レバー15の操作を元に戻して起伏操作を中止した場合については同様に作用することは容易に理解できるのでここでは説明を省略する。
【0044】
更に、上記で起伏操作レバー13と伸縮操作レバー15の両方の操作を元に戻して起伏操作および伸縮操作を中止した場合については、上記した旋回操作の単独操作に戻ることがあえて説明しなくても容易に理解されるのでこの場合についても説明を省略する。
【0045】
以上のように、特定の操作手段である旋回操作手段12を操作中に特定操作手段以外の操作手段である起伏操作手段14あるいは伸縮操作手段16を操作することによって油量不足状態になっても、特定操作手段である旋回操作手段12に対応する油圧アクチュエータ(旋回モータ5)の速度を少し遅くすることによって特定操作手段以外の操作手段(起伏操作手段14あるいは伸縮操作手段16)に対応する油圧アクチュエータ(起伏シリンダ6あるいは伸縮シリンダ7)も駆動できる油量を確保し、当該油量を特定操作手段以外の操作手段に対応する油圧アクチュエータ(起伏シリンダ6あるいは伸縮シリンダ7)に供給することができる。しかも、特定操作手段に対応する油圧アクチュエータ(旋回モータ5)は、油量不足状態になっても所定油量の供給を補償しているものであるから、特定操作手段(旋回操作手段12)に対応する油圧アクチュエータ(旋回モータ5)の操作を可及的に違和感なく操作できるようにすることができる。
【0046】
なお、上記実施形態では、旋回操作を特定の操作としたが、起伏操作あるいは伸縮操作を特定の操作にするようにしてもよい。この場合、特定操作を各操作手段の中から選択スイッチで選択できるようにしておき、選択スイッチで選択された操作手段を特定操作として優先させるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態の所定油量は、特定操作に対応する油圧アクチュエータの作業状態によって決定されるようにしてもよい。すなわち、作業機の作業状態を検出する検出器(例えば、高所作業車Aでは旋回台2の旋回角、伸縮ブーム3の伸縮長さ、伸縮ブーム3の起伏角等の検出器)を配置し、当該検出器からの信号を受けて作業機の作業状態を判別して各油圧アクチュエータが特定操作に該当する時にその油圧アクチュエータに供給する油量を所定油量とするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
なお、コントローラに上記第1実施形態の機能と第2実施形態の機能を持たせ、両機能を択一的に使用できるようにしてもよい。すなわち、コントローラには前記各手段を配置し、油量配分決定手段28または油量配分決定手段34から各制限手段への出力を切換えスイッチで択一的に切換え接続するようにしておけばよい。
【0049】
また、上記第1実施形態では先操作優先機能を持ち、第2実施形態では特定の操作を所定の速度まで補償するようにしたものであるが、複数の操作をして油量不足となった時に、従来からの公知技術である供給油量内での油量を各操作手段の操作量に比例配分する機能をコントローラに備え、この機能と上記第1実施形態の機能または第2実施形態の機能とを択一的に切換えて使用できるようにしてもよい。
【0050】
更に、上記実施形態では、各操作信号を各制御弁へ伝達させる途中に各制御手段を配置し、各制御手段を油量配分決定手段からの制限信号で制限して、各油圧アクチュエータに供給される油量を調整するようにしたが、各制御弁への供給油量を調整する流量調整弁を設け前記制限信号をこの流量調整弁を調整させて行うようにしたものであってもよい。
【0051】
次に、上記実施形態では、作業機として高所作業車に本発明を適用したものであるが、複数の油圧アクチュエータを備えた作業機、例えば移動式クレーン、掘削機、等に実施できること勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の請求項1に係る作業機の制御装置を説明する説明図である。
【図2】本発明の請求項2に係る作業機の制御装置を説明する説明図である。
【図3】高所作業車を説明する説明する説明図である。
【符号の説明】
【0053】
B 操作手段
5 旋回モータ(油圧アクチュエータ)
6 起伏シリンダ(油圧アクチュエータ)
7 伸縮シリンダ(油圧アクチュエータ)
17 旋回用制御弁(制御手段)
18 起伏用制御弁(制御手段)
19 伸縮用制御弁(制御手段)
20 油圧源
21 コントローラ
22 供給油量算出手段
23 旋回油量制限手段(油量制限手段)
24 起伏油量制限手段(油量制限手段)
25 伸縮油量制限手段(油量制限手段)
26 油量不足判別手段
27 先操作判別手段
28 油量配分決定手段
31 コントローラ
32 特定操作判別手段
33 特定操作量判別手段
34 油量配分決定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧源からの供給油を複数の油圧アクチュエータに供給して作業機を駆動する作業機の制御装置であって、複数の油圧アクチュエータを駆動制御するために各油圧アクチュエータに対応して配置した各制御手段と、各油圧アクチュエータを駆動制御するために各油圧アクチュエータに対応して配置され操作信号を出力する複数の操作手段と、コントローラとを備えた作業機の制御装置において、
前記コントローラは、油圧源の供給油量を算出し供給油量信号を出力する供給油量算出手段と、各油圧アクチュエータの駆動制御を制限する制限信号を出力する各油量制限手段と、前記各操作信号と前記供給油量信号を受け各操作手段を複数操作し複数の操作手段からの操作信号に基づく合計要求油量が供給油量を超え油量不足状態であることを判別して油量不足信号を出力する油量不足判別手段と、各操作手段の操作信号を受けて複数の操作をした時に各操作手段の内最初に操作された操作手段を判別してその操作が終了するまで判別した操作手段を先操作として先操作信号を出力する先操作判別手段と、前記操作信号,前記供給油量信号,前記油量不足信号,前記先操作信号,からの各信号を受け先操作手段が要求する油量を優先して先操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給し供給油量から先操作手段が要求した油量を減じた油量を先操作手段以外の操作手段が要求する油量の比で配分して先操作手段以外の油圧アクチュエータに供給するよう前記各油量制限手段に制限信号を出力し各油圧アクチュエータに供給される油量の配分を決定する油量配分決定手段、とを備えていることを特徴とする作業機の制御装置。
【請求項2】
油圧源からの供給油を複数の油圧アクチュエータに供給して作業機を駆動する作業機の制御装置であって、複数の油圧アクチュエータを駆動制御するために各油圧アクチュエータに対応して配置した各制御手段と、各油圧アクチュエータを駆動制御するために各油圧アクチュエータに対応して配置され操作信号を出力する複数の操作手段と、コントローラとを備えた作業機の制御装置において、
前記コントローラは、油圧源の供給油量を算出し供給油量信号を出力する供給油量算出手段と、各油圧アクチュエータの駆動制御を制限する制限信号を出力する各油量制限手段と、前記各操作信号と前記供給油量信号を受け各操作手段を複数操作し複数の操作手段からの操作信号に基づく合計要求油量が供給油量を超え油量不足状態であることを判別して油量不足信号を出力する油量不足判別手段と、各操作手段の操作信号を受けて特定の操作を含む複数の操作をしていることを判別して特定操作信号を出力する特定操作判別手段と、特定操作手段の操作量が所定以上の操作であることを判別して特定操作量信号を出力する特定操作量判別手段と、前記操作信号,前記供給油量信号,前記油量不足信号,前記特定操作信号,特定操作量信号からの各信号を受け特定操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給する油量が所定以上の油量である場合に所定油量となるよう特定操作手段に対応する油圧アクチュエータに供給する油量を決定するとともに供給油量から所定油量を減じた油量を特定操作手段以外の操作手段が要求する油量の比で配分して特定操作手段以外の油圧アクチュエータに供給するよう前記各油量制限手段に制限信号を出力し各油圧アクチュエータに供給される油量の配分を決定する油量配分決定手段、とを備えていることを特徴とする作業機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−9813(P2006−9813A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183229(P2004−183229)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】