説明

作業機の回生制御装置

【課題】作業機の回生制御装置に関し、簡素な構成でコストを抑え、油圧シリンダのエネルギーを効率的に回収して回生利用する。
【解決手段】作業機の油圧ポンプ2及び油圧シリンダ3間に一対の駆動用管路を閉回路状に接続する。
また、油圧シリンダ3に対する負荷の作用方向へ油圧シリンダ3が伸張又は縮小したときに、油圧シリンダ3から排出される作動油を増圧させる増圧手段10Aを設け、増圧手段10Aで増圧された作動油を蓄積する蓄圧手段30Aを設ける。
さらに、油圧シリンダ3に対する負荷の作用方向とは反対方向に油圧シリンダ3が伸張又は縮小したときに、蓄圧手段30Aに蓄積された作動油を油圧ポンプ2へ供給して再生させる再生手段30Bを設け、再生手段30Bによって再生される作動油の圧力に応じて、油圧シリンダ3から油圧ポンプ2へ還流する作動油流量を制御する還流量制御手段30Cを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機の油圧回路における作動油の回生制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベルをはじめとする旋回式作業機では、油圧シリンダの伸張,縮小作動時に油圧シリンダから排出される作動油のエネルギーを蓄え、そのエネルギーで油圧シリンダの駆動アシストを行う回生制御装置が開発されている。
例えば、特許文献1には、ブームシリンダからの戻り油によって回転駆動される回生用油圧モータを備えた油圧ショベルのブーム駆動回路が示されている。この回路では、ブームシリンダの縮小動作時における戻り油の流路を分岐させ、一方の分流で回生用油圧モータを回転駆動して発電してバッテリを充電している。また、ブームシリンダの伸張動作時には回生用油圧モータを電動機として作動させて電気エネルギーを再利用し、作動油の供給をアシストしている。これらの構成により、操作性の急変を招くことなく、回生量の増大と操作性の向上とを高度なレベルで両立させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−136392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では電力を発生させるための回生用油圧モータやエネルギーを蓄えるためのバッテリ装置,インバータ装置,コントローラなどの各種電気装置が必要となり、システムが複雑になる。そのため、コストを抑えることが難しく、かつ、システム全体の信頼性を高めることが難しいという課題がある。
特に、大型の油圧ショベルの場合には、大容量の電動発電機,蓄電器及びインバータ装置等が必要となりコストがさらに高騰するほか、これらの設置スペースも必要となりレイアウトがより困難になるという課題がある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成でコストを抑えることができ、かつ、油圧シリンダのエネルギーを効率的に回収して回生利用することができるようにした、作業機の回生制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明の作業機の回生制御装置は、作業機の油圧ポンプ及び油圧シリンダ間に一対の駆動用管路を閉回路状に接続してなる油圧回路における作動油の回生制御装置であって、該油圧シリンダに対する負荷の作用方向へ該油圧シリンダが伸張又は縮小したときに、該油圧シリンダから排出される作動油を増圧させる増圧手段と、該増圧手段で増圧された作動油を蓄積する蓄圧手段と、該油圧シリンダに対する負荷の作用方向とは反対方向に該油圧シリンダが伸張又は縮小したときに、該蓄圧手段に蓄積された作動油を該油圧ポンプへ供給して再生させる再生手段と、該再生手段によって再生される作動油の圧力に応じて、該油圧シリンダから該油圧ポンプへ還流する作動油流量を制御する還流量制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2記載の本発明の作業機の回生制御装置は、請求項1記載の構成に加え、該還流量制御手段が、該油圧ポンプによる該油圧シリンダの駆動時において、該再生手段によって再生される作動油が所定圧以上である場合に、該油圧シリンダから該油圧ポンプへ還流する作動油流量を減少させ、該再生手段によって再生される作動油が該所定圧未満である場合に、該油圧シリンダから該油圧ポンプへ還流する作動油流量を増加させることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3記載の本発明の作業機の回生制御装置は、請求項1又は2記載の構成に加え、該増圧手段が、該一対の駆動用管路間を接続する回生管路と、該回生管路上に介装され、該油圧シリンダにおける該負荷の作用方向に位置する一方の作動油室から排出される作動油を他方の作動油室へ回生供給する回生弁と、を有することを特徴としている。
また、請求項4記載の本発明の作業機の回生制御装置は、請求項3記載の構成に加え、該蓄圧手段が、操作入力に応じて該作動油の該油圧ポンプからの供給方向を設定する操作レバーと、該一対の駆動用管路のうち該一方の作動油室に接続された第一の駆動用管路上に介装され、該他方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに該第一の駆動用管路を開放し、該一方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに該第一の駆動用管路を閉鎖する切換弁と、該一対の駆動用管路のうち該他方の作動油室に接続された第二の駆動用管路上に介装され、該油圧シリンダ側から該油圧ポンプ側への作動油の流通を遮断するバイパス切換弁と、該第二の駆動用管路上における該バイパス切換弁よりも該油圧ポンプ側から分岐して形成された蓄圧管路と、該蓄圧管路上に介装され、該一方の作動油室から排出される作動油を蓄積するアキュムレータと、を有することを特徴としている。
【0009】
また、請求項5記載の本発明の作業機の回生制御装置は、請求項4記載の構成に加え、該蓄圧手段が、該第一の駆動用管路上における該切換弁よりも該油圧ポンプ側から分岐して形成された蓄圧パイロット管路と、該蓄圧パイロット管路上に介装され、該他方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに該蓄圧パイロット管路を開放し、該一方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに該蓄圧パイロット管路を閉鎖するパイロット切換弁と、該蓄圧管路上に介装され、該蓄圧パイロット管路の作動油圧が第二所定圧力以上である場合に、該蓄圧管路を開放し、該蓄圧パイロット管路の作動油圧が該第二所定圧力未満である場合に、該蓄圧管路を閉鎖する蓄圧切換弁と、該第二の駆動用管路上における該バイパス切換弁と該蓄圧管路の分岐点との間に介装され、該蓄圧パイロット管路の作動油圧が該第二所定圧力以上である場合に、該第二の駆動用管路を閉鎖し、該蓄圧パイロット管路の作動油圧が該第二所定圧力未満である場合に、該第二の駆動用管路における該油圧ポンプ側から該他方の作動油室側への作動油の流通を許容するパイロットチェック弁と、を有することを特徴としている。
【0010】
また、請求項6記載の本発明の作業機の回生制御装置は、請求項5記載の構成に加え、該再生手段が、該蓄圧管路上の該蓄圧切換弁に対して並列に接続された再生管路と、該再生管路上に介装され、該一方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに該再生管路を開放する再生弁と、該再生管路上に介装され、該アキュムレータ側から該第二の駆動用管路側への作動油の流通を許容する再生チェック弁と、を有し、該還流量制御手段が、一端を該バイパス切換弁に接続され、他端を作動油タンクに接続されたバイパス管路と、該バイパス管路上に介装され、該再生管路の作動油圧が該所定圧力以上である場合に、該バイパス管路を開放し、該再生管路の作動油圧が該所定圧未満である場合に、該バイパス管路を閉鎖するバイパス弁と、を有し、該バイパス切換弁が、該一方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに、該他方の作動油室から排出される作動油を該バイパス管路へと導入することを特徴としている。
【0011】
また、請求項7記載の本発明の作業機の回生制御装置は、請求項6記載の構成に加え、該還流量制御手段が、該バイパス管路上における該バイパス切換弁と該バイパス弁との間から分岐して形成され、該第二の駆動用管路に接続されたバイパス還流管路と、該バイパス還流管路上に介装され、該バイパス管路側から該第二の駆動用管路側への作動油の流通を許容するバイパスチェック弁と、を有することを特徴としている。
【0012】
また、請求項8記載の本発明の作業機の回生制御装置は、請求項7記載の構成に加え、該一対の駆動用管路のうち、該油圧シリンダから作動油が排出される側の駆動用管路に接続されて作動油を補充するチャージポンプをさらに備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の作業機の回生制御装置(請求項1)によれば、油圧シリンダから排出される作動油圧を増圧させることにより、作動油を効率的に蓄積することができる。また、閉回路状の油圧回路に還流量制御手段を設けたことにより、蓄積された作動油の再生利用時に、油圧ポンプへ流入する作動油量に過不足が生じない。これにより、再生の前後における閉回路全体の作動油流量の変動を抑制することができ、油圧ポンプ及び油圧シリンダの動作を安定させることができる。
【0014】
また、本発明の作業機の回生制御装置(請求項2)によれば、油圧シリンダから油圧ポンプへ還流する作動油流量を、再生される作動油の圧力に応じて制御することにより、閉回路全体の作動油流量の変動を抑制することができる。
また、本発明の作業機の回生制御装置(請求項3)によれば、油圧シリンダから排出される作動油を再び回生供給しつつ増圧させることができ、作動油のエネルギーの再生効率を高めることができる。
【0015】
また、本発明の作業機の回生制御装置(請求項4)によれば、簡素な構成で油圧シリンダを回生動作させつつ、増圧された作動油をアキュムレータに蓄えることができる。
また、本発明の作業機の回生制御装置(請求項5)によれば、蓄圧パイロット管路から導入される作動油圧に応じた制御により、第二所定圧力以上の圧力でアキュムレータに作動油を蓄えることができる。また、例えば油圧シリンダへの負荷が減少して蓄圧される作動油の圧力が低下した場合には、蓄圧管路を閉鎖してアキュムレータ内に高圧の作動油を保持することができる。
【0016】
また、本発明の作業機の回生制御装置(請求項6)によれば、作動油の再生時に油圧シリンダからの戻り油をバイパス管路に導入することにより、作動油を作動油タンクに排出することができる。つまり、閉回路内における作動油流量を大きく変化させることなく作動油を再生させることができる。また,電子制御装置によらないパイロット制御での実施が容易であり、回路構成を簡素にすることができる。
【0017】
また、本発明の作業機の回生制御装置(請求項7)によれば、作動油の再生時に再生圧が低下した場合に、簡素な構成で、バイパス管路から第二の駆動用管路側へと作動油を流通させることができる。つまり、アキュムレータに蓄えられた作動油が減少して再生が完了したときには、油圧シリンダから排出される作動油を油圧ポンプへ供給することができる。
【0018】
また、本発明の作業機の回生制御装置(請求項8)によれば、作動油を閉回路に補充することができ、回路動作をさらに安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る回生制御装置を備えた油圧ショベルを示す模式的な斜視図である。
【図2】本回生制御装置が適用された油圧回路を示す回路図である。
【図3】図2の油圧回路においてブーム上げ操作時かつ油圧再生時の作動油の流通状態を示す模式的な回路図である。
【図4】図2の油圧回路においてブーム上げ操作時かつ油圧非再生時の作動油の流通状態を示す模式的な回路図である。
【図5】図2の油圧回路においてブーム下げ操作時かつ蓄圧時の作動油の流通状態を示す模式的な回路図である。
【図6】図2の油圧回路においてブーム下げ操作時かつ非蓄圧時の作動油の流通状態を示す模式的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
[1.油圧ショベル構成]
本発明は、図1に示す油圧ショベル50に適用されている。この油圧ショベル50は、クローラ式の走行装置を装備した下部走行体51と、下部走行体51に搭載された上部旋回体52とを備えて構成される。上部旋回体52は、旋回装置を介して下部走行体51の上に旋回自在に設置されている。
【0021】
上部旋回体52の車両前方側には、オペレータ(操作者)が搭乗するキャブ54と、これに隣接して車両前方へ延出するように設けられたフロント作業装置55とが設けられている。また、上部旋回体52の最後端部には機体の重量バランスを保つためのカウンタウェイト56が配設されている。
カウンタウェイト56の直前方にはエンジンルーム及びポンプルームが形成されている。エンジンルーム内には油圧ショベル50の駆動源であるエンジン1が設置され、ポンプルーム内には旋回装置やフロント作業装置55等の作動油供給源である油圧ポンプ2が設置されている。また、ポンプルームの前方には作動油タンク9が設置されている。
【0022】
フロント作業装置55は、各々が独立して作動するブーム3A,スティック4A及びバケット5Aの三部材から構成されている。ブーム3Aと上部旋回体52との間には、ブーム3Aを上下方向へ揺動させる一対の油圧駆動式のブームシリンダ3が介装されている。ブーム3Aは、ブームシリンダ3の伸縮に応じて上部旋回体52に対して起伏自在に設けられている。同様に、図1中に示されたスティックシリンダ4及びバケットシリンダ5はそれぞれ、スティック4A及びバケット5Aを駆動するための油圧シリンダである。
【0023】
本油圧ショベル50のブームシリンダ3は、油圧ポンプ2から作動油の供給を受けて伸縮作動するアクチュエータである。油圧ポンプ2及びブームシリンダ3間には、一対の駆動用管路が閉回路状に接続されている。ブームシリンダ3の伸縮方向は、閉回路内での作動油の流通方向、すなわち油圧ポンプ2からの作動油の供給方向に依存する。
つまり、ブームシリンダ3の駆動に係る油圧回路は、特許文献1に記載されたようなコントロールバルブを介して伸縮方向を制御される開放型の油圧回路ではなく、油圧ポンプ2の入出力ポートに対してブームシリンダ3の入出力ポートを一対一に接続してなる閉回路として形成されている。
【0024】
キャブ54内には、ブームシリンダ3の伸縮作動方向(すなわち、ブーム3Aの揺動方向)を入力するためのブーム操作レバー21(操作レバー)が配置されている。ブーム操作レバー21の操作入力に応じて油圧ポンプ2から吐出される作動油の流通方向が選択され、ブームシリンダ3が伸張又は縮小作動する。なお、バケット5Aが接地していない状態では、ブームシリンダ3にフロント作業装置55の自重による負荷が作用する。負荷の作用方向はブームシリンダ3の縮小方向である。
【0025】
ポンプルーム内にはアキュムレータ7が配置されている。アキュムレータ7は、その内部に高圧の作動油を蓄える液体室と、液体室の内圧に応じて伸縮する気体室とを有する蓄圧装置である。本実施形態では、ブームシリンダ3の縮み方向への作動時に排出される高圧の作動油を一時的にアキュムレータ7に蓄えるとともに、ブームシリンダ3の伸び方向への作動時にそれを放出してブームシリンダ3に供給することにより、油圧エネルギーを回生利用する。なお、アキュムレータ7の種別は、ピストン式アキュムレータでもよいし、ブラダ式アキュムレータでもよい。
【0026】
[2.油圧回路構成]
図2に、ブームシリンダ3の駆動に係る油圧回路を示す。ここでは、一対のブームシリンダ3のうちの一方のみを図示する。また、便宜的に油圧回路をその機能毎に分類して順番に説明する。
本油圧回路は、シリンダ駆動閉回路10,増圧回路10A(増圧手段),パイロット圧生成回路20,蓄圧回路30A(蓄圧手段),再生回路30B(再生手段)及び還流量制御回路30C(還流量制御手段)を備えて構成される。図2中では、蓄圧回路30Aに対応する部位を二点鎖線で囲って示し、増圧回路10A,再生回路30B及び還流量制御回路30Cに対応する部位をそれぞれ一点鎖線で囲って示す。
【0027】
[2−1.パイロット圧生成回路20]
パイロット圧生成回路20は、ブーム操作レバー21への入力操作に応じたパイロット圧を出力するための回路である。図2に示すように、ブーム操作レバー21の下端部にはリモコン弁22が固設されている。リモコン弁22は、ブーム操作レバー21に入力される操作量及び操作方向に応じた大きさのパイロット圧を生成する制御弁である。リモコン弁22には、パイロットポンプ25及び作動油タンク9が接続されている。
【0028】
リモコン弁22の内部には、一対の減圧弁23U,23D及びパイロットシャトル弁24が内蔵され、一対の減圧弁23U,23Dの上端部がブーム操作レバー21の下端部に連結されている。一対の減圧弁23U,23Dのうち、ブーム操作レバー21の傾動方向に対応する一方がその傾動角度に応じて開放され、開度に応じたパイロット圧を発生させる。また、パイロットシャトル弁24は、一対の減圧弁23U,23Dのそれぞれの下流側の圧力のうち、高圧の一方を選択する高圧選択弁である。
【0029】
図2中の記号Uはブームシリンダ3を伸張させる方向(伸び方向,ブーム上げ方向)への操作時に生じるパイロット圧を示し、記号Dはブームシリンダ3を縮小させる方向(縮み方向,ブーム下げ方向)への操作時に生じるパイロット圧を示す。また、記号Cは操作方向によらないパイロット圧であって、すなわち何らかの操作入力がなされた時に生じるパイロット圧を示す。これらのパイロット圧U,D,Cは、以下に説明するシリンダ駆動閉回路10,増圧回路10A,蓄圧回路30A,再生回路30B及び還流量制御回路30Cのそれぞれに伝達され、図2中の各所における同一記号の箇所へのパイロット圧として本発明の制御に使用される。
【0030】
[2−2.シリンダ駆動閉回路10]
シリンダ駆動閉回路10は、ブームシリンダ3の駆動に係る閉回路である。シリンダ駆動閉回路10には、エンジン1によって駆動される油圧ポンプ2及びチャージポンプ6が設けられ、さらにこれらの油圧ポンプ2,6から吐出される作動油によって駆動されるブームシリンダ3が設けられている。
【0031】
油圧ポンプ2は、一対の入出力ポートを持った両傾転斜板機構を有しており、二つのポートのうちの何れか一方から作動油を吐出するとともに、他方のポートから作動油を吸引するように構成されている。以下、油圧ポンプ2の二つのポートをそれぞれ上昇ポート2U,下降ポート2Dと呼ぶ。また、ブームシリンダ3のロッド室3a(第二の作動油室)に形成されたポートを下降ポート3Dと呼び、ヘッド室3b(第一の作動油室)に形成されたポートを上昇ポート3Uと呼ぶ。
【0032】
油圧ポンプ2の上昇ポート2Uは、駆動用ラインとしての管路U1及びU2(第一の駆動用管路)を介してブームシリンダ3の上昇ポート3Uに接続されている。同様に、油圧ポンプ2の下降ポート2Dは、管路D1及びD2(第二の駆動用管路)を介してブームシリンダ3の下降ポート3Dに接続されている。
ブームシリンダ3は、上昇ポート3Uへの作動油流入時にピストンを押し上げて伸張作動し、下降ポート3Dから作動油を排出する。また、下降ポート3Dへの作動油流入時にはピストンを押し下げて縮小作動し、上昇ポート3Uから作動油を排出する。
【0033】
油圧ポンプ2には、両傾転斜板の傾斜角を調整することにより吐出流量,吐出圧及び吐出方向を制御する斜板制御機構2a(レギュレータ)が併設されている。また、管路U1,D1の作動油圧のうち高圧の一方(すなわち、油圧ポンプ2の吐出圧)を選択するシャトル弁16が設けられている。斜板制御機構2aには、パイロット圧生成回路20で生成されたパイロット圧U,D及び油圧ポンプ2の吐出圧が入力されている。
【0034】
管路U1及びU2上には切換弁17が介装されている。切換弁17よりも油圧ポンプ2側の作動油流路が管路U1であり、切換弁17よりもブームシリンダ3側の作動油流路が管路U2である。
切換弁17は二位置切換弁であり、スプールの一端にパイロット圧Dを導入するパイロット回路が接続されている。切換弁17は、パイロット圧Dが導入されたときにスプールをD位置に保持して、管路U1側と管路U2側とをそのまま連通させる。一方、パイロット圧Dが導入されないときにはスプールをX位置に保持して、管路U1側から管路U2側への作動油の流通のみを許容するチェック弁として機能する。つまり、管路U2側から管路U1側への作動油の流通するのは、ブーム操作レバー21が縮み方向に操作されているときのみである。
【0035】
なお、ブーム操作レバー21が伸び方向に操作された場合、切換弁17のスプールはX位置に設定されるが、管路U1側から管路U2側への作動油の流通は許容されるため、油圧ポンプ2からブームシリンダ3へと作動油が供給される。
管路D1及びD2上にはバイパス切換弁18が介装されており、このバイパス切換弁18を境として管路D1と管路D2とが区分される。バイパス切換弁18は、二種類のパイロット圧U,Dをスプールの両端にそれぞれ導入されてスプールを駆動する三位置切換弁である。この弁には管路D1,D2に加えて、作動油タンク9へと繋がるバイパス管路D6が連結されている。
【0036】
二種類のパイロット圧U,Dの何れもが導入されていないときには、バイパス切換弁18のスプールがX位置に設定され、バイパス管路D6を封鎖するとともに管路D2側から管路D1側への作動油流通を阻止するチェック弁として機能する。また、パイロット圧Dが導入されたときにはスプールがD位置に設定され、管路D1とバイパス管路D6とが連通されるとともに管路D2側から管路D1側への作動油流通が阻止される。一方、パイロット圧Uが導入されたときにはスプールがU位置に設定され、バイパス管路D6と管路D2とが連通される。
【0037】
このようにバイパス切換弁18は、管路D1,D2及びバイパス管路D6間の接続を切り換える機能を持つ。すなわち、ブームシリンダ3の伸張時に油圧ポンプ2へ還流しようとする作動油(戻り油)をバイパス管路D6側へ導入する機能と、ブームシリンダ3の縮小時及び停止時に管路D2側から管路D1側への作動油の逆流を防止する機能とを備えている。
【0038】
管路U2,D2間には、ブームシリンダ3に対して並列に接続された三本の通路A1,A2,A3が形成されている。第一の通路A1上には、管路U2側の作動油圧の上限値を設定するオーバーロードリリーフ弁11aが介装され、第二の通路A2上には、管路D2側の作動油圧の上限値を設定するオーバーロードリリーフ弁11bが介装されている。これらのオーバーロードリリーフ弁11a,11bは、ブームシリンダ3に作用する負荷により一方の管路の作動油が過度に高圧となった場合に、その作動油を他方の管路側へ逃がすように機能する。
【0039】
第三の通路A3(回生管路)上には、回生弁13が介装されている。回生弁13は二位置切換弁であり、スプールの一端にパイロット圧Dを導入するパイロット回路が接続されている。回生弁13は、パイロット圧Dが導入されないときには、スプールをX位置に保持して第三の通路A3を遮断する。
一方、パイロット圧Dが導入されたときにはスプールをD位置に保持し、管路U2側から管路D2側への作動油流通を許容するチェック弁として機能する。これにより、ブームシリンダ3が縮小方向に作動すると、ヘッド室3bの上昇ポート3Uから排出された作動油が第三の通路A3を通り、回生弁13を介して管路D2へ導入され、下降ポート3Dからロッド室3aに供給されて回生利用される。
【0040】
このように、第三の通路A3及び回生弁13は、ブームシリンダ3が縮み方向に作動したときに、ヘッド室3bから排出される作動油をロッド室3a側へ流入させることによってピストンの押圧力を増加させ、管路U2内の作動油圧を増圧させる増圧回路(増圧手段)として機能する。
管路U1とバイパス管路D6との間には第四の通路A4が接続されており、この通路A4上にチャージ弁12が介装されている。チャージ弁12は、可変容量型のチャージポンプ6に接続された流路を管路U1,D1に接続するためのパイロット制御弁であり、スプール位置を三位置に切り替えて作動油の流量及び流通方向を可変制御するものである。
【0041】
チャージ弁12のスプールの一端部には前述のパイロット圧Uが導入され、他端部には管路D1の作動油圧がパイロット圧Zとして導入されている。パイロット圧Zを導入するパイロット回路は管路D1上におけるバイパス切換弁18とパイロットチェック弁37との間に接続されている。
二種類のパイロット圧U,Zの何れもが導入されていないときには、チャージ弁12のスプールがX位置に保持され、通路A4がチャージ弁12のスプール内部で閉鎖される。つまり、チャージポンプ6から吐出される作動油はそのまま作動油タンク9へ排出され、シリンダ駆動閉回路10側へは供給されない。
【0042】
また、パイロット圧Uが導入されたときには、チャージ弁12のスプールが移動してU位置に設定され、チャージポンプ6がバイパス管路D6側に接続される。一方、パイロット圧Zが導入されると、チャージ弁12のスプールが移動してZ位置に設定され、チャージポンプ6が管路U1側に接続される。
パイロット圧Zは、ブームシリンダ3の縮小時における非蓄圧時に高圧となり、チャージ弁12のスプールをZ位置に駆動するものである。例えば、ブームシリンダ3の伸張時にはバイパス切換弁18が管路D2内の作動油をバイパス管路D6側へ導入するため、チャージ弁12のスプールを駆動するほど大きなパイロット圧Zは生じない。また、ブームシリンダ3の縮小時であってもアキュムレータ7への蓄圧がなされている状態では、パイロットチェック弁37によって管路D1が閉鎖されるためパイロット圧Zは生じない。なお、パイロットチェック弁37については、蓄圧回路30Aの構成として後述する。
【0043】
チャージ弁12とチャージポンプ6との間には、チェック弁15が介装されている。チャージポンプ6及びチャージ弁12は、後述する還流量制御回路30Cからリリーフされて減少したシリンダ駆動閉回路10内の作動油を補充するように機能する。なお、チャージポンプ6には油圧ポンプ2と同様の斜板制御機構6a(レギュレータ)が併設されている。斜板制御機構6aは、パイロット圧生成回路20で生成されたパイロット圧Cに応じてチャージポンプ6の斜板傾斜角を変更し、チャージポンプ6から吐出される作動油量を制御する。
【0044】
[2−3.蓄圧回路30A,再生回路30B]
蓄圧回路30A及び再生回路30Bは、ブームシリンダ3の縮み方向への作動時に生じる高圧の作動油をアキュムレータ7に蓄積し、これをブームシリンダ3の伸び方向への作動時に再生させるための回路である。
図2に示すように、管路D1から分岐形成された蓄圧再生管路D3の先端には、アキュムレータ7が接続されている。また、蓄圧再生管路D3はその中途で蓄圧管路D4と再生管路D5とに分岐形成され、さらにアキュムレータ7の近傍で一本に合流している。蓄圧管路D4は作動油をアキュムレータ7側へ流入させる際の流路であり、再生管路D5はアキュムレータ7から作動油を流出させる際の流路である。
【0045】
蓄圧管路D4上には、蓄圧切換弁31が介装されている。蓄圧切換弁31は、蓄圧再生パイロット管路B3から導入されるパイロット圧Pに応じてスプール位置を切り換える二位置切換弁である。蓄圧切換弁31は、パイロット圧Pが所定の第一パイロット圧P1(第一所定圧力)未満であるときには、スプールをX位置に保持し、蓄圧管路D4を遮断する。一方、パイロット圧Pが第一パイロット圧P1以上であるときにはスプールをY位置に保持し、アキュムレータ7への流入方向への作動油流通を許容するチェック弁として機能する。なお、蓄圧再生パイロット管路B3については後述する。
【0046】
また、管路D1上における蓄圧再生管路D3との分岐点よりもバイパス切換弁18側にはパイロットチェック弁37が介装されている。パイロットチェック弁37は、パイロット制御によりポペットを固定して作動油流通を遮断する機能を有するチェック弁である。パイロットチェック弁37には蓄圧再生パイロット管路B3から導入されるパイロット圧Pが導入されている。
【0047】
パイロット圧Pが所定の第二パイロット圧P2(第二所定圧力)未満であるときには、油圧ポンプ2側からバイパス切換弁18側への作動油流通を許容する一般的な一方向弁として機能する。一方、パイロット圧Pが第二パイロット圧P2以上であるときには管路D1を閉鎖した状態でポペットを固定して管路D1を遮断する。なお、本実施形態における第二パイロット圧P2は、第一パイロット圧P1以上の大きさに設定されており、少なくともパイロットチェック弁37が管路D1を閉鎖しているときには蓄圧管路D4が閉鎖されない状態となる特性とされている。
【0048】
再生管路D5上には、再生弁32及び再生チェック弁33が直列に介装されている。再生弁32は、パイロット制御によりスプール位置を切り換える二位置切換弁であり、そのスプールの一端にはパイロット圧Uを導入するパイロット回路が接続されている。再生弁32は、パイロット圧Uが導入されたときにスプールをU位置に保持して、再生管路D5を開放する。一方、パイロット圧Uが導入されていないとき(つまり、何も操作されていないか、ブーム操作レバー21が縮み方向に操作されているとき)にはスプールをX位置に保持して、再生管路D5を遮断する。
【0049】
再生チェック弁33は、再生管路D5上における再生弁32よりも蓄圧再生管路D3との分岐点側に介装された一方向弁であり、管路D1側から再生弁32側への作動油の逆流を防止するものである。
本シリンダ駆動閉回路10には、管路U1から分岐形成された蓄圧パイロット管路B1が設けられている。蓄圧パイロット管路B1は、蓄圧時の作動油圧を各制御弁のパイロット圧として伝達するための管路である。
【0050】
また、再生管路D5における再生チェック弁33よりも蓄圧再生管路D3側(アキュムレータ7から作動油が流出する際の下流側)からは、再生パイロット管路B2が分岐形成されている。再生パイロット管路B2は、アキュムレータ7からの圧油供給時におけるその作動油圧、すなわち、再生される作動油圧を各制御弁のパイロット圧として伝達する管路である。
【0051】
これらの蓄圧パイロット管路B1及び再生パイロット管路B2の作動油圧の何れか一方が、パイロット切換弁34で選択されて、蓄圧再生パイロット管路B3へ導入されている。パイロット切換弁34はパイロット制御弁であり、スプール位置を三位置に切り替えて作動油の流通方向を可変制御するものである。パイロット切換弁34のスプールの両端部には、前述のパイロット圧U,Dが導入されている。
【0052】
二種類のパイロット圧U,Dの何れもが導入されていない場合、パイロット切換弁34はスプールをX位置に保持し、蓄圧パイロット管路B1,再生パイロット管路B2及び蓄圧再生パイロット管路B3の全てを遮断する。一方、パイロット圧Uが導入された場合はスプールをU位置に移動させ、再生パイロット管路B2と蓄圧再生パイロット管路B3とを接続する。また、パイロット圧Dが導入された場合にはスプールをD位置に移動させ、蓄圧パイロット管路B1と蓄圧再生パイロット管路B3とを接続する。
【0053】
したがって、蓄圧再生パイロット管路B3内のパイロット圧Pの大きさは、蓄圧時にはその蓄圧される作動油圧となり、再生時にはアキュムレータ7の出口圧となる。
このように本実施形態では、ブーム操作レバー21,切換弁17,バイパス切換弁18の働きにより、ブームシリンダ3の縮み方向への作動時に生じる高圧の作動油が管路U2及び管路U1から油圧ポンプ2を介して管路D1へ導入される。また、蓄圧再生管路D3,蓄圧管路D4,蓄圧パイロット管路B1,パイロット切換弁34,蓄圧切換弁31の働きにより、この高圧の作動油がアキュムレータ7に導かれて蓄積される。さらに、再生管路D5,再生弁32及び再生チェック弁33の働きにより、ブームシリンダ3の伸び方向への作動時における作動油の再生がなされる。
【0054】
[2−4.還流量制御回路30C]
還流量制御回路30Cは、アキュムレータ7からシリンダ駆動閉回路10内に再生供給される圧油の流量とブームシリンダ3側から油圧ポンプ2側へ還流しようとする作動油流量とのバランスを取り、閉回路内における作動油の総流量を安定させるための制御を実施する回路である。
【0055】
バイパス管路D6は、バイパス切換弁18と作動油タンク9との間を接続する還流排出用のラインである。バイパス管路D6上には、バイパス弁35が介装されている。バイパス弁35は、パイロット制御によりスプール位置を切り換える二位置切換弁であり、スプールの一端にはパイロット圧Cを導入するパイロット回路が接続されている。また、スプールの他端にはパイロット圧Pを導入する蓄圧再生パイロット管路B3が接続されている。
【0056】
バイパス弁35は、パイロット圧Cが導入され、かつ、パイロット圧Pが所定の第三パイロット圧P3(第三所定圧力)未満である場合に、スプールをC位置に移動させてバイパス管路D6を閉鎖するように構成されている。一方、パイロット圧Cが導入されない場合(すなわち、ブーム操作レバー21が操作されていない場合)、又は、パイロット圧Pが第三パイロット圧P3以上である場合には、スプールをY位置に移動させてバイパス管路D6を作動油タンク9へと開放する。
【0057】
なお、本実施形態における第三パイロット圧力P3は、第一パイロット圧力P1及び第二パイロット圧P2よりも小さい値である。したがって、再生管路D5を介して作動油が管路D1に導入され始めたときには、バイパス弁35のスプール位置がY位置となっている。その後、作動油の再生供給がある程度なされてアキュムレータ7から再生供給される作動油圧が低下すると、バイパス弁35のスプール位置がC位置となり、作動油タンク9への還流の排出が停止する。
【0058】
また、蓄圧管路D4を介して作動油がアキュムレータ7に蓄圧されているときには、バイパス弁35のスプール位置がY位置となる。一方、例えばバケット5Aの接地などにより蓄圧時にアキュムレータ7へ導入される作動油圧が低下すると、バイパス弁35のスプール位置がC位置となる。
バイパス管路D6には、管路D1との間を接続するバイパス還流管路D7が設けられている。バイパス還流管路D7のバイパス管路D6側の端部はバイパス切換弁18とバイパス弁35との間に接続されている。また、バイパス還流管路D7の管路D1側の端部は、管路D1上におけるパイロットチェック弁37よりも油圧ポンプ2側に接続されている。
【0059】
バイパス還流管路D7上にはバイパスチェック弁36が介装されており、バイパス管路D6側から管路D1側への作動油の流通のみが許容されている。これにより、例えばバイパス切換弁18のスプールがU位置に設定され、かつ、バイパス弁35のスプールがC位置に設定されている状態では、バイパス管路D6に導入されたブームシリンダ3からの還流がそのまま管路D1側へ供給され、油圧ポンプ2の下降ポート2Dへ吸入される。
【0060】
このように、本実施形態では、バイパス切換弁18,バイパス管路D6,バイパス還流管路D7,バイパス弁35及びバイパスチェック弁36によって、アキュムレータ7内の作動油の再生時における閉回路内の作動油総量が制御されている。
本実施形態におけるブーム操作レバー21の操作状態及び蓄圧再生パイロット管路B3のパイロット圧Pと、回生弁13,切換弁17,バイパス切換弁18,蓄圧切換弁31,再生弁32,バイパス弁35の制御状態との関係を以下に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
[3.作用]
図3〜図6を用いて本油圧回路における作動油の流通状態を説明する。なお、これらの図3〜図6では便宜上、一部の記号,符号,構成要素等を省略している。また、図3〜図6中に矢印で示された方向は作動油の流通方向を意味する。なお、破線で表示された矢印は、実線で表示された矢印よりも低圧の作動油である。
【0063】
[3−1.ブーム上げ操作時、かつ、圧油供給時]
ブーム操作レバー21が伸び方向(ブーム上げ方向)に操作されると、パイロット圧生成回路20における減圧弁23Uの下流側にパイロット圧Uが生じ、シリンダ駆動閉回路10,蓄圧回路30A及び再生回路30Bの各回路へと伝達される。また、パイロットシャトル弁24からはパイロット圧Uと同圧のパイロット圧Cがシリンダ駆動閉回路10及び還流量制御回路30Cへ伝達される。
【0064】
これらのパイロット圧U,Cを受けて、シリンダ駆動閉回路10では、斜板制御機構2a,6aが油圧ポンプ2及びチャージポンプ6の斜板を制御する。チャージポンプ6はパイロット圧Cの大きさに応じた流量の作動油を吐出する。
図3に示すように、チャージ弁12のスプール位置はU位置に設定され、チャージポンプ6から吐出された作動油がバイパス管路D6側へ供給される。また、油圧ポンプ2は、上昇ポート2Uから管路U1側へ作動油を吐出し、管路D1側の下降ポート2Dから作動油を吸引する。
【0065】
このとき、切換弁17のスプールはX位置に保持され、バイパス切換弁18のスプールはU位置に設定される。また、回生弁13のスプールはX位置となり、回生管路A3が閉鎖される。したがって、管路U1を流通する作動油は管路U2を通ってブームシリンダ3のヘッド室3bに供給される。
一方、再生弁32のスプールはU位置に設定され、再生管路D5が開放される。これにより、アキュムレータ7内に蓄積された高圧の作動油が再生管路D5及び蓄圧再生管路D3を介して管路D1を通り、油圧ポンプ2に導入される。つまり、アキュムレータ7に蓄えられていた作動油が油圧ポンプ2で再生利用される。この作動油は、さらに管路U1及び管路U2を通ってブームシリンダ3のヘッド室3bに供給される。
【0066】
アキュムレータ7から供給された高圧の作動油は、再生管路D5から分岐形成された再生パイロット管路B2にも導入される。パイロット切換弁34のスプールはU位置に設定されているため、蓄圧再生パイロット管路B3には、再生圧(すなわちアキュムレータ7の出口圧)が導入される。
ブームシリンダ3のロッド室3aの作動油は、バイパス切換弁18を介して管路D2からバイパス管路D6側へと導入される。バイパス管路D6上に介装されたバイパス弁35は、蓄圧再生パイロット管路B3のパイロット圧P(アキュムレータ7の出口圧)を受け、スプール位置をY位置に制御される。したがって、パイロット圧Pが第三パイロット圧P3以上である状態では、バイパス管路D6の作動油が作動油タンク9へ排出される。つまり、シリンダ駆動閉回路10がアキュムレータ7側から作動油の再生供給を受けているときには、ブームシリンダ3から油圧ポンプ2への戻り油が作動油タンク9へ排出される。なおこのとき、チャージポンプ6から供給される作動油も併せて作動油タンク9へ排出される。
【0067】
[3−2.ブーム上げ操作時、かつ、圧油非供給時]
さらにブーム上げ操作が継続されて、圧油供給がある程度なされた場合の油圧回路の状態を図4に示す。アキュムレータ7から油圧ポンプ2に供給される作動油が減少すると、蓄圧再生パイロット管路B3のパイロット圧Pが低下する。その後、パイロット圧Pが第三パイロット圧P3未満になると、バイパス弁35のスプールがC位置に設定され、バイパス管路D6が閉鎖される。バイパス管路D6の作動油は、バイパス還流管路D7及びバイパスチェック弁36を通って管路D1側へ供給され、油圧ポンプ2の下降ポート2Dに吸引される。つまり、再生が終了すると、ブームシリンダ3から油圧ポンプ2への戻り油が再びシリンダ駆動閉回路10内に導入される。なお、チャージポンプ6からバイパス管路D6側へ供給された作動油も、バイパス還流管路D7から管路D1側へと流通し、油圧ポンプ2に吸引される。
【0068】
これらの作用により、管路D1から油圧ポンプ2の下降ポート2Dに吸引される作動油流量に過不足が生じることはなく、シリンダ駆動閉回路10内の作動油流量の変動が防止される。なお、油圧ポンプ2からの実際の吐出流量及び吐出圧(出力馬力)は、斜板制御機構2aによってパイロット圧D,U及び管路D1,U1の作動油圧に応じて適宜調整される。仮に、油圧ポンプ2からの吐出流量が一定であるとすると、本シリンダ駆動閉回路10では、再生管路D5側からの再生量が減少した分だけブームシリンダ3からの還流が油圧ポンプ2側へ補充され、さらにその不足を補うようにチャージポンプ6からの作動油が補充される。
【0069】
[3−3.ブーム下げ操作時、かつ、蓄圧時]
ブーム操作レバー21が縮み方向(ブーム下げ方向)に操作されると、パイロット圧生成回路20における減圧弁23Dの下流側にパイロット圧Dが生じ、シリンダ駆動閉回路10及び蓄圧回路30Aへと伝達される。また、パイロットシャトル弁24からはパイロット圧Dと同圧のパイロット圧Cがシリンダ駆動閉回路10及び還流量制御回路30Cへ伝達される。
【0070】
これらのパイロット圧D,Cを受けて、シリンダ駆動閉回路10では、斜板制御機構2a,6aが油圧ポンプ2及びチャージポンプ6の斜板を制御する。油圧ポンプ2は、下降ポート2Dから管路D1側へ作動油を吐出し、管路U1側の上昇ポート2Uから作動油を吸引する。
ここで、油圧ショベル50のバケット5Aが接地していない姿勢のときには、フロント作業装置55の自重による負荷がブームシリンダ3のヘッド室3bに作用する。これにより、ヘッド室3bから排出される作動油圧はロッド室3a側の作動油圧よりも高圧となる。
【0071】
また、回生弁13,切換弁17,バイパス切換弁18及びパイロット切換弁34の各々のスプールは、図5に示すように、パイロット圧Dを受けてD位置に設定される。したがって、ブームシリンダ3のヘッド室3bから排出された作動油は、管路U2と第三の通路A3との分岐点で二手に分流される。分流された一方は、回生管路A3上の回生弁13を介して管路D2側へ流通し、ブームシリンダ3のロッド室3aに回生される。このような作動油の回生利用によってヘッド室3b内の作動油圧が上昇し、ヘッド室3bから排出される作動油圧はさらに高圧となる。
【0072】
また、分流のうちの他方は切換弁17を介して管路U1側へ流通し、油圧ポンプ2の上昇ポート2Uに吸引される。この管路U1の作動油圧は、前述の回生作用により増圧されている。高圧の作動油は、蓄圧パイロット管路B1に導入され、パイロット切換弁34を介して蓄圧再生パイロット管路B3に導入される。
蓄圧再生パイロット管路B3内のパイロット圧Pは、蓄圧切換弁31,バイパス弁35及びパイロットチェック弁37のそれぞれに作用する。蓄圧切換弁31のスプール位置は、パイロット圧Pが第一パイロット圧P1以上であるときにY位置に設定される。また、パイロットチェック弁37では、パイロット圧Pが第二パイロット圧P2以上であるときに管路D1が閉鎖される。
【0073】
したがって、ブームシリンダ3からの戻り油は、油圧ポンプ2を介して管路D1,蓄圧再生管路D3及び蓄圧管路D4を流通し、蓄圧切換弁31を通ってアキュムレータ7に蓄積される。このときアキュムレータ7には、第一パイロット圧P1以上の圧力の作動油が蓄えられる。蓄えられた作動油は、ブームシリンダ3が伸び方向へ作動する時に再利用されることになる。
【0074】
また、パイロットチェック弁37が管路D1を閉鎖するため、チャージ弁12のスプールはX位置に保持された状態となり、チャージポンプ6から吐出された作動油はそのまま作動油タンク9へと排出される。
【0075】
[3−4.ブーム下げ操作時、かつ、非蓄圧時]
一方、ブーム下げ操作中に油圧ショベル50のバケット5Aが接地すると、フロント作業装置55の自重による負荷が接地した部位にも分散されるため、ブームシリンダ3のヘッド室3bから排出される作動油圧が低下する。これにより、管路U2,U1内の作動油圧が低下し、蓄圧パイロット管路B1及び蓄圧再生パイロット管路B3内のパイロット圧Pも低下する。
【0076】
パイロットチェック弁37では、パイロット圧Pが第二パイロット圧P2未満まで低下するとポペットの固定が解除され、油圧ポンプ2側からバイパス切換弁18側への作動油流通が許容される。また、蓄圧切換弁31では、図6に示すように、パイロット圧Pが第一パイロット圧P1未満まで低下するとスプールがX位置に移動し、蓄圧管路D4が遮断される。この時点でアキュムレータ7への蓄圧が終了し、管路D1内の作動油はバイパス切換弁18側へと流通する。
【0077】
これにより、チャージ弁12のスプールをZ位置に駆動するパイロット圧Zが生じ、チャージポンプ6側の作動油通路及び管路U1の双方が作動油タンク9に連通される。したがって、管路U1側の作動油圧に応じて適宜、チャージポンプ6の作動油がシリンダ駆動閉回路10内へ補充され、作動油流量が過剰である場合には作動油タンク9へ排出される。
【0078】
また、バイパス弁35では、パイロット圧Pが第三パイロット圧P3未満まで低下するとスプールがC位置に移動し、バイパス管路D6が閉鎖される。したがって、管路D1内の作動油はバイパス切換弁18を介して管路D2を流通し、ブームシリンダ3のロッド室3aに供給されてロッド室3a側の加圧に用いられる。
【0079】
[4.効果]
このように、本回生制御装置によれば、油圧回路のみでブームシリンダ3の縮小作動時にヘッド室3bから排出される作動油を回生利用して増圧させることができる。また、蓄圧される作動油の圧力に応じてパイロットチェック弁37及び蓄圧切換弁31を制御することにより、昇圧された作動油のエネルギーをアキュムレータ7に蓄えることができ、作動油のエネルギーの利用効率を高めることができる。
【0080】
また、昇圧された作動油を蓄える構造であるため、アキュムレータ7の容量を小さくすることができる。さらに、蓄圧管路D4と並列に形成された再生管路D5上の再生弁32を制御することにより、蓄えたエネルギーをブームシリンダ3の伸張作動時に再利用することができる。
すなわち、電動機や蓄電器といった電気機器を用いた従来の技術と比較して構成がシンプルであり、システム全体のコストを大きく削減することができる。また、センサやコントローラといった精密電子機器が不要なため信頼性が高く、メンテナンスや点検整備が容易であるという利点がある。また、従来の油圧機器を利用することにより、大型機にも比較的容易に適用することができる。
【0081】
また、本実施形態では、作動油の再生時におけるブームシリンダ3から油圧ポンプ2への還流量を制御する還流量制御回路30Cが形成されているため、アキュムレータ7による作動油の再生の前後におけるシリンダ駆動閉回路10全体の作動油流量の変動を抑制することができる。例えば、ブームシリンダ3が縮み方向への作動を開始した直後の再生開始時においても、再生管路D5内の作動油圧が低下した再生終了時においても、油圧ポンプ2に流入する作動油量に過不足が生じない。したがって、油圧ポンプ2及びブームシリンダ3の動作を安定させることができる。
【0082】
特に、還流量制御回路30Cにおけるバイパス弁35が、アキュムレータ7の出口圧を制御用のパイロット圧Pとしてスプールに導入する構造を有しており、簡素な構成で確実にかつ容易に還流量を減少させることができる。
また、本シリンダ駆動閉回路10では、チャージ弁12を介してチャージポンプ6から吐出される作動油が管路D1又はU1の何れか一方へ供給されているため、バイパス管路D6から排出される作動油を適宜補充することができ、閉回路内の作動油総量をほぼ一定にすることができる。これにより、回路動作をさらに安定させることができる。
【0083】
また、再生パイロット管路B2が再生管路D5における再生チェック弁33よりも下流側から分岐して形成されているため、再生後にアキュムレータ7内に残留する圧力(残圧)の影響を排して正確に再生時のパイロット圧Pを生成することができる。すなわち、アキュムレータ7内の圧油が無くなったことを確実に検知することができ、圧油供給時におけるバイパス弁35及びパイロットチェック弁37の制御精度を高めることができる。
【0084】
[5.その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態では、バイパス弁35が蓄圧再生パイロット管路B3のパイロット圧Pに応じてバイパス管路D6を断接制御しているが、このような構成に代えて、パイロット圧Pに応じてバイパス管路D6の開度を制御する構成とすることも考えられる。
【0085】
例えば、蓄圧再生パイロット管路B3のパイロット圧Pが高圧であるほど作動油タンク9への排出量を増加させ、低圧になるほど排出量を減少させる構成とする。この場合、油圧ポンプ2に吸引される作動油量をより正確に制御することが可能となる。
また、上述の実施形態では、蓄圧切換弁31,パイロットチェック弁37及びバイパス弁35の各々のスプール位置の制御に係るパイロット圧Pのしきい値が、それぞれ第一パイロット圧P1,第二パイロット圧P2及び第三パイロット圧P3となっているが、これらのしきい値の大小関係は適宜設定することができ、例えば同一の値としてもよい。
【0086】
また、上述の実施形態では、油圧ショベル50の旋回動作に係るブームシリンダ3の駆動回路に本発明を適用したものを例示したが、本発明の適用対象はこれに限定されず、他の油圧シリンダの駆動回路に適用することも可能である。なお、本発明はブームシリンダ3のヘッド室3b側に作用するフロント作業装置55の自重による負荷を利用して蓄圧しているため、このような負荷の作用方向を考慮して油圧回路を構成することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、油圧ポンプ及び油圧シリンダ間に閉回路状の油圧回路を有する油圧ショベルや油圧式クレーン等の作業機全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 エンジン
2 油圧ポンプ
2U 上昇ポート
2D 下降ポート
2a 斜板制御機構(レギュレータ)
3 ブームシリンダ(油圧シリンダ)
3U 上昇ポート
3D 下降ポート
3a ロッド室(第二の作動油室)
3b ヘッド室(第一の作動油室)
3A ブーム
4 スティックシリンダ
4A スティック
5 バケットシリンダ
5A バケット
6 チャージポンプ
6a 斜板制御機構(レギュレータ)
7 アキュムレータ
9 作動油タンク
10 シリンダ駆動閉回路(油圧回路)
10A 増圧回路(増圧手段)
11a,11b オーバーロードリリーフ弁
12 チャージ弁
13 回生弁
15 チェック弁
16 シャトル弁
17 切換弁
18 バイパス切換弁
20 パイロット圧生成回路
21 ブーム操作レバー(操作レバー)
22 リモコン弁
23U,23D 減圧弁
24 パイロットシャトル弁
25 パイロットポンプ
30A 蓄圧回路(蓄圧手段)
30B 再生回路(再生手段)
30C 還流量制御回路(還流量制御手段)
31 蓄圧切換弁
32 再生弁
33 再生チェック弁
34 パイロット切換弁
35 バイパス弁
36 バイパスチェック弁
37 パイロットチェック弁
50 油圧ショベル
51 下部走行体
52 上部旋回体
54 キャブ
55 フロント作業装置
56 カウンタウェイト
U1,U2 管路(第一の駆動用管路)
D1,D2 管路(第二の駆動用管路)
D3 蓄圧再生管路
D4 蓄圧管路
D5 再生管路
D6 バイパス管路
D7 バイパス還流管路
A1 第一の通路
A2 第二の通路
A3 第三の通路(回生管路)
A4 第四の通路
B1 蓄圧パイロット管路
B2 再生パイロット管路
B3 蓄圧再生パイロット管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機の油圧ポンプ及び油圧シリンダ間に一対の駆動用管路を閉回路状に接続してなる油圧回路における作動油の回生制御装置であって、
該油圧シリンダに対する負荷の作用方向へ該油圧シリンダが伸張又は縮小したときに、該油圧シリンダから排出される作動油を増圧させる増圧手段と、
該増圧手段で増圧された作動油を蓄積する蓄圧手段と、
該油圧シリンダに対する負荷の作用方向とは反対方向に該油圧シリンダが伸張又は縮小したときに、該蓄圧手段に蓄積された作動油を該油圧ポンプへ供給して再生させる再生手段と、
該再生手段によって再生される作動油の圧力に応じて、該油圧シリンダから該油圧ポンプへ還流する作動油流量を制御する還流量制御手段と、
を備えたことを特徴とする、作業機の回生制御装置。
【請求項2】
該還流量制御手段が、該油圧ポンプによる該油圧シリンダの駆動時において、該再生手段によって再生される作動油が所定圧以上である場合に、該油圧シリンダから該油圧ポンプへ還流する作動油流量を減少させ、該再生手段によって再生される作動油が該所定圧未満である場合に、該油圧シリンダから該油圧ポンプへ還流する作動油流量を増加させる
ことを特徴とする、請求項1記載の作業機の回生制御装置。
【請求項3】
該増圧手段が、
該一対の駆動用管路間を接続する回生管路と、
該回生管路上に介装され、該油圧シリンダにおける該負荷の作用方向に位置する一方の作動油室から排出される作動油を他方の作動油室へ回生供給する回生弁と、を有する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の作業機の回生制御装置。
【請求項4】
該蓄圧手段が、
操作入力に応じて該作動油の該油圧ポンプからの供給方向を設定する操作レバーと、
該一対の駆動用管路のうち該一方の作動油室に接続された第一の駆動用管路上に介装され、該他方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに該第一の駆動用管路を開放し、該一方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに該第一の駆動用管路を閉鎖する切換弁と、
該一対の駆動用管路のうち該他方の作動油室に接続された第二の駆動用管路上に介装され、該油圧シリンダ側から該油圧ポンプ側への作動油の流通を遮断するバイパス切換弁と、
該第二の駆動用管路上における該バイパス切換弁よりも該油圧ポンプ側から分岐して形成された蓄圧管路と、
該蓄圧管路上に介装され、該一方の作動油室から排出される作動油を蓄積するアキュムレータと、を有する
ことを特徴とする、請求項3記載の作業機の回生制御装置。
【請求項5】
該蓄圧手段が、
該第一の駆動用管路上における該切換弁よりも該油圧ポンプ側から分岐して形成された蓄圧パイロット管路と、
該蓄圧パイロット管路上に介装され、該他方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに該蓄圧パイロット管路を開放し、該一方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに該蓄圧パイロット管路を閉鎖するパイロット切換弁と、
該蓄圧管路上に介装され、該蓄圧パイロット管路の作動油圧が第二所定圧力以上である場合に、該蓄圧管路を開放し、該蓄圧パイロット管路の作動油圧が該第二所定圧力未満である場合に、該蓄圧管路を閉鎖する蓄圧切換弁と、
該第二の駆動用管路上における該バイパス切換弁と該蓄圧管路の分岐点との間に介装され、該蓄圧パイロット管路の作動油圧が該第二所定圧力以上である場合に、該第二の駆動用管路を閉鎖し、該蓄圧パイロット管路の作動油圧が該第二所定圧力未満である場合に、該第二の駆動用管路における該油圧ポンプ側から該他方の作動油室側への作動油の流通を許容するパイロットチェック弁と、を有する
ことを特徴とする、請求項4記載の作業機の回生制御装置。
【請求項6】
該再生手段が、
該蓄圧管路上の該蓄圧切換弁に対して並列に接続された再生管路と、
該再生管路上に介装され、該一方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに該再生管路を開放する再生弁と、
該再生管路上に介装され、該アキュムレータ側から該第二の駆動用管路側への作動油の流通を許容する再生チェック弁と、を有し、
該還流量制御手段が、
一端を該バイパス切換弁に接続され、他端を作動油タンクに接続されたバイパス管路と、
該バイパス管路上に介装され、該再生管路の作動油圧が該所定圧力以上である場合に、該バイパス管路を開放し、該再生管路の作動油圧が該所定圧未満である場合に、該バイパス管路を閉鎖するバイパス弁と、を有し、
該バイパス切換弁が、該一方の作動油室へ作動油を供給する方向に該操作レバーが操作されているときに、該他方の作動油室から排出される作動油を該バイパス管路へと導入する
ことを特徴とする、請求項5記載の作業機の回生制御装置。
【請求項7】
該還流量制御手段が、
該バイパス管路上における該バイパス切換弁と該バイパス弁との間から分岐して形成され、該第二の駆動用管路に接続されたバイパス還流管路と、
該バイパス還流管路上に介装され、該バイパス管路側から該第二の駆動用管路側への作動油の流通を許容するバイパスチェック弁と、を有する
ことを特徴とする、請求項6記載の作業機の回生制御装置。
【請求項8】
該一対の駆動用管路のうち、該油圧シリンダから作動油が排出される側の駆動用管路に接続されて作動油を補充するチャージポンプをさらに備えた
ことを特徴とする、請求項7記載の作業機の回生制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−69432(P2011−69432A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220744(P2009−220744)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(505236469)キャタピラー エス エー アール エル (144)
【Fターム(参考)】