説明

作業機の液圧駆動装置

【課題】構造を簡素化してポンプの駆動負荷を調節できる作業機の液圧駆動装置を提供する。
【解決手段】共通のエンジン4によって駆動されるメインピストンポンプ20とサブピストンポンプ50とを備える液圧駆動装置100であって、メインピストンポンプ20はその吐出圧力P1、P2に応じてメイン斜板24の傾転角度が連続的に切換えられ、その吐出容量がきめ細かに調節される一方、サブピストンポンプ50はその吐出圧力P3に応じてサブ斜板54の傾転角度が2位置で切換えられ、その吐出容量が二段階に調節される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の作業機に搭載される液圧駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液圧駆動装置として、特許文献1には、共通のエンジンにより駆動される第1、第2、第3の油圧ポンプを備え、第1、第2の油圧ポンプから吐出される作動油によって油圧ショベルの掘削装置を駆動し、第3の油圧ポンプから吐出される作動油によって油圧ショベルの旋回装置を駆動するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−221842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の液圧駆動装置にあっては、第1、第2、第3の油圧ポンプ毎の吐出容量が各油圧ポンプの吐出圧力に応じてそれぞれ連続的に調節される構成のため、構造が複雑化し、製品のコストアップを招くという問題点があった。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、構造を簡素化してポンプの駆動負荷を調節できる作業機の液圧駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、共通のエンジンによって駆動されるメインピストンポンプとサブピストンポンプとを備える液圧駆動装置であって、メインピストンポンプは、エンジンによって回転駆動されるメインシリンダブロックと、このメインシリンダブロックの回転に伴ってメイン容積室を拡縮するようにメインピストンを往復動させるメイン斜板と、このメイン斜板をその傾転角度を大きくする方向に付勢するスプリングと、このスプリングに抗してメイン斜板をその傾転角度を小さくする方向に動かすメイン液圧アクチュエータと、メインピストンポンプの吐出圧力が上昇するのに応じてメイン液圧アクチュエータがメイン斜板の傾転角度を連続的に切換えてメインピストンポンプの吐出容量を漸次減少させるメイン吐出容量調節手段と、を備え、サブピストンポンプは、エンジンによって回転駆動されるサブシリンダブロックと、このサブシリンダブロックの回転に伴ってサブ容積室を拡縮するようにサブピストンを往復動させるサブ斜板と、サブピストンから受ける押し付け力に抗してサブ斜板を動かすサブ液圧アクチュエータと、サブピストンポンプの吐出圧力に応じてサブ液圧アクチュエータがサブ斜板の傾転角度を2位置に切換えてサブピストンポンプの吐出容量を所定値に減少させるサブ吐出容量調節手段と、を備えることを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、メインピストンポンプはその吐出圧力に応じてメイン斜板の傾転角度が連続的に切換えられ、その吐出容量がきめ細かに調節される一方、サブピストンポンプはその吐出圧力に応じてサブ斜板の傾転角度が位置で切換えられ、その吐出容量が二段階に調節されることにより、エンジンの駆動負荷が過大になることを抑えられ、エンスト等を防止できる。
【0008】
サブピストンポンプは、サブ斜板の傾転角度が位置で切換えられる構成のため、サブ斜板を傾転可能に支持する構造が簡素化されるとともに、サブ斜板を傾転角度が大きくなる方向に付勢するスプリング等が不要になり、製品のコストダウンがはかれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態を示す液圧駆動装置の液圧回路図。
【図2】同じく液圧駆動装置の断面図。
【図3】他の実施の形態を示す液圧駆動装置の液圧回路図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、作業機として油圧ショベルに搭載される液圧駆動装置100を示す液圧回路図である。
【0012】
図示しない油圧ショベルは、左右のクローラによって走行する走行装置と、バケット、アーム、ブーム等によって掘削する掘削装置と、車体に対して掘削装置や運転台を旋回させる旋回装置と、進行方向に土砂等を押し出すドーザとを備え、これらが液圧駆動装置100から供給される加圧作動液によって駆動される。
【0013】
この液圧駆動装置100は、共通のエンジン4によって駆動される第一ポンプ1、第二ポンプ2、第三ポンプ3を備える。
【0014】
第一ポンプ1、第二ポンプ2から吐出される作動液(オイル)は、それぞれ第一、第二ポンプ通路11、12を通って左右のクローラを駆動する液圧モータ(図示せず)に供給されるとともに、掘削装置を駆動する各液圧シリンダ(図示せず)に供給される。
【0015】
なお、作動液としてオイルの代わりに例えば水溶性代替液等の作動流体を用いても良い。
【0016】
第三ポンプ3から吐出される作動液は、第三ポンプ通路13を通って旋回装置を駆動する液圧モータ(図示せず)に供給されるとともに、ドーザを駆動する液圧シリンダ(図示せず)に供給される。
【0017】
図2は、液圧駆動装置100の断面図である。液圧駆動装置100は、メインピストンポンプ20とサブピストンポンプ50が同軸上に設けられる。
【0018】
このメインピストンポンプ20は、2つの吐出ポートを持つ2フロータイプの可変容量形斜板式ピストンポンプであり、第一ポンプ1、第二ポンプ2を構成する。
【0019】
メインピストンポンプ20は、メインケーシング21とカバー22とにより形成される内部空間にメインシリンダブロック23およびメイン斜板24が収装される。
【0020】
メインシリンダブロック23はシャフト25を介して回転駆動される。シャフト25は、その一端がカバー22にベアリング32を介して支持され、その途中がメインケーシング21にベアリング31を介して支持される。シャフト25はメインケーシング21から外部へ突出されるその一端に図示しないエンジン4から回転が伝達される。
【0021】
メインシリンダブロック23には偶数本のシリンダ26がその回転軸Oと平行に、かつその回転軸Oを中心とする略同一円周上に一定の間隔を持って並んで配置される。
【0022】
各シリンダ26にはメインピストン28がそれぞれ挿入され、両者の間にメイン容積室27が画成される。各メインピストン28の一端側はメインシリンダブロック23から突出され、メイン斜板24に接するシュー29を介して支持される。
【0023】
メインシリンダブロック23の内側にはスプリング48が圧縮して介装され、このスプリング48の弾性復元力が各シュー29に伝えられ、各シュー29がメイン斜板24に押し付けられる。
【0024】
メインシリンダブロック23が回転すると、各メインピストン28はメイン斜板24との間で往復動し、シリンダ26のメイン容積室27を拡縮する。
【0025】
メインシリンダブロック23の端面には各メイン容積室27に連通するシリンダポート33、34が開口する。シリンダポート33、34は、回転軸Oを中心として異なった半径上に交互に配置される。
【0026】
メインケーシング21内にはメインシリンダブロック23の端面を摺接させるバルブプレート30が介装される。バルブプレート30には、図示しない1つの吸込ポートと2つの吐出ポートがそれぞれ開口される。メインシリンダブロック23の回転に伴って各シリンダポート33、34が連通することによって各メイン容積室27に対する作動油の吸込と吐出が制御される。2つの吐出ポートは第一、第二ポンプ通路11、12に連通している。第一、第二ポンプ通路11、12はメインケーシング21内に形成される。
【0027】
メインシリンダブロック23の1回転につき、各メインピストン28がシリンダ26を1往復動する。シリンダ26のメイン容積室27が拡張する吸込行程では、作動油をバルブプレート30の吸込ポートからシリンダポート33、34を通してメイン容積室27に吸い込む。シリンダ26のメイン容積室27が収縮する吐出行程では、作動油をメイン容積室27からシリンダポート33、34からバルブプレート30の2つの吐出ポートを通して第一、第二ポンプ通路11、12へと吐出する。これにより、第一、第二ポンプ通路11、12では互いに独立した作動油の流れが生じ、作動油の流量や圧力を個別に設定できる。
【0028】
メイン斜板24は軸受41を介してカバー22に対して傾転可能に支持される。
【0029】
メイン斜板24とメインケーシング21の間にはスプリング35、36が介装され、メイン斜板24はスプリング35、36によってその傾転角度を最大とする方向に付勢される。スプリング35は常にメイン斜板24を付勢し、スプリング36はメイン斜板24の傾転角度が所定値以内の範囲でメイン斜板24を付勢する。なお、これに限らず、メイン斜板24を単一のスプリングを設けてもよい。
【0030】
メインピストンポンプ20は、その吐出容量(ポンプ押しのけ容積)を調節するメイン吐出容量調節手段として、第一、第二、第三(連携用)のメイン液圧アクチュエータ7、8、9を備え、これらによってスプリング35、36に抗してメイン斜板24を動かすようになっている。
【0031】
第一、第二のメイン液圧アクチュエータ7、8として、メインケーシング21に同軸上に形成されたシリンダ部37、38と、このシリンダ部37、38に摺動可能に挿入される段付きプランジャ42とを備え、両者の間に液圧室43、44が画成される。
【0032】
図1に示すように、第一のメイン液圧アクチュエータ7の液圧室44に第一ポンプ1の吐出圧力P1が導かれる。液圧室44に導かれる圧力が上昇すると、プランジャ42が移動し、メイン斜板24を傾転角度が小さくなる方向に駆動し、メインピストンポンプ20の吐出容量が連続的に調節される。
【0033】
図1に示すように、第二の液圧アクチュエータ8の液圧室43には第二ポンプ2の吐出圧力P2が導かれ、この圧力P2が上昇すると、段付きプランジャ42が移動し、メイン斜板24を傾転角度が小さくなる方向に駆動し、メインピストンポンプ20の吐出容量が連続的に調節される。
【0034】
第三(連携用)のメイン液圧アクチュエータ9として、図2には示されないシリンダ部と、このシリンダ部に摺動可能に挿入されるプランジャと、両者の間に画成される液圧室とを備える。
【0035】
図1に示すように、第三(連携用)のメイン液圧アクチュエータ9の液圧室には第三ポンプ3の吐出圧力P3が切換弁5を介して導かれ、この圧力P3が上昇すると、プランジャが移動し、メイン斜板24を傾転角度が小さくなる方向に駆動し、メインピストンポンプ20の吐出容量が段階的に調節される。
【0036】
サブピストンポンプ50は、1つの吐出ポートを持つ1フロータイプの可変容量形斜板式ピストンポンプであり、サブピストンポンプ50を構成する。
【0037】
このサブピストンポンプ50は、サブケーシング51とメインケーシング21とにより形成される内部空間にサブシリンダブロック53およびサブ斜板54が収装される。
【0038】
サブシリンダブロック53はシャフト55を介して回転駆動される。シャフト55は、その一端がサブケーシング51にベアリング62を介して支持され、その他端がメインケーシング21にベアリング61を介して支持される。シャフト55はシャフト25と同軸上にて連結され、シャフト25と共に回転する。
【0039】
サブシリンダブロック53には複数本のシリンダ56がその回転軸Oと平行に、かつその回転軸Oを中心とする略同一円周上に一定の間隔を持って並んで配置される。
【0040】
各シリンダ56にはサブピストン58がそれぞれ挿入され、両者の間にサブ容積室57が画成される。各サブピストン58の一端側はサブシリンダブロック53から突出され、サブ斜板54に接するシュー59を介して支持される。
【0041】
サブシリンダブロック53の内側にはスプリング65が圧縮して介装され、このスプリング65の弾性復元力が各シュー59に伝えられ、各シュー59がサブ斜板54に押し付けられる。
【0042】
サブシリンダブロック53が回転すると、各サブピストン58はサブ斜板54との間で往復動し、シリンダ56のサブ容積室57を拡縮する。
【0043】
サブシリンダブロック53の端面には各サブ容積室57に連通するシリンダポート63が開口する。
【0044】
サブケーシング51内にはサブシリンダブロック53の端面を摺接させるバルブプレート60が介装される。バルブプレート60には、図示しない1つの吸込ポートと1つの吐出ポート64がそれぞれ開口される。サブシリンダブロック53の回転に伴って各シリンダポート63が連通することによって各サブ容積室57に対する作動油の吸込と吐出が制御される。吐出ポートは第三ポンプ通路13に連通している。第三ポンプ通路13はメインケーシング21内に形成される。
【0045】
サブシリンダブロック53の1回転につき、各サブピストン58がシリンダ56を1往復動する。シリンダ56のメイン容積室27が拡張する吸込行程では、作動油をバルブプレート60の吸込ポートからシリンダポート63を通してサブ容積室57に吸い込む。サブ容積室57が収縮する吐出行程では、作動油をサブ容積室57からシリンダポート63からバルブプレート60の吐出ポートを通して第三ポンプ通路13へと吐出する。これにより、第三ポンプ通路13は、第一、第二ポンプ通路11、12と独立した作動油の流れが生じ、作動油の流量や圧力を個別に設定できる。
【0046】
サブ斜板54は図示しない一対のボール軸受を介してサブケーシング51に対して傾転可能に支持される。
【0047】
サブピストンポンプ50は、その吐出容量(ポンプ押しのけ容積)を調節するサブ吐出容量調節手段として、サブ液圧アクチュエータ10を備え、これによって各サブピストン58から受ける押し付け力に抗してサブ斜板54を動かすようになっている。
【0048】
サブ液圧アクチュエータ10として、サブケーシング51の底部に形成されたシリンダ部66と、このシリンダ部66に摺動可能に挿入されるプランジャ67とを備え、両者の間に液圧室68が画成される。シリンダ部66の底部とプランジャ67の間にはスプリング69が介装される。
【0049】
図1に示すように、サブ液圧アクチュエータ10の液圧室68には第三ポンプ3の吐出圧力P3が切換弁5を介して導かれる。液圧室68に導かれる圧力が上昇すると、プランジャ67が移動し、メイン斜板24を傾転角度が小さくなる方向に駆動する。
【0050】
切換弁5は、第三、第四の液圧アクチュエータ9、10に第三ポンプ通路13を介して第三ポンプ3の吐出圧力P3を導く駆動ポジションaと、これらにドレン通路14を介してドレン圧力を導くドレンポジションbとを有する。
【0051】
パイロット式切換弁5は、リターンスプリング6の弾性復元力によりドレンポジションbに付勢され、第三ポンプ通路13に生じる第三ポンプ3の吐出圧力P3がパイロット圧力として導かれる。
【0052】
切換弁5は、これに導かれるパイロット圧力P3が所定値を超えて上昇すると、リターンスプリング6の弾性復元力に抗してドレンポジションbから駆動ポジションaに切換わる。
【0053】
リターンスプリング6の弾性復元力は、手動により調節される。リターンスプリング6の弾性復元力が高く調節されることにより、切換弁5がドレンポジションbから駆動ポジションaに切換わるパイロット圧力P3が高められる。
【0054】
以上のように構成される本発明の実施の形態につき、次に作用を説明する。
【0055】
油圧ショベルの運転時、エンジン4によって第一ポンプ1、第二ポンプ2、第三ポンプ3が駆動される。
【0056】
第一ポンプ1、第二ポンプ2から吐出される作動液は、それぞれ第一、第二ポンプ通路11、12を通って左右のクローラを駆動する液圧モータに供給されるとともに、掘削装置を駆動する各液圧シリンダに供給される。
【0057】
第三ポンプ3から吐出される作動液は、第三ポンプ通路13を通って旋回装置を駆動する液圧モータに供給されるとともに、ドーザを駆動する液圧シリンダに供給される。
【0058】
各装置に供給される作動液の流量は、オペレータによって操作される図示しないコントロールバルブを介して調節され、油圧ショベルの走行、地面の掘削や土砂の搬送作業等が行われる。
【0059】
第一ポンプ1、第二ポンプ2を構成するメインピストンポンプ20は、メイン斜板24の傾転角度がスプリング35、36の付勢力と第一、第二、第三(連携用)のメイン液圧アクチュエータ7、8、9にそれぞれ導かれる第一ポンプ1、第二ポンプ2、第三ポンプ3の吐出圧力P1、P2、P3による駆動力がバランスする位置に調節される。第一ポンプ1、第二ポンプ2、第三ポンプ3の吐出圧力P1、P2、P3のいずれかが上昇すると、この圧力による駆動力とスプリング35、36の付勢力がバランスする位置にメイン斜板24が傾転し、シャフト25の1回転当たりの押しのけ容積を減少する。これにより、メインピストンポンプ20の駆動負荷が増大するのに応じて、メインピストンポンプ20の吐出容量が漸次減少し、エンジン4の出力が所定の範囲に保たれる。
【0060】
第三ポンプ3を構成するサブピストンポンプ50は、その吐出圧力P3に応じてサブ斜板54の傾転角度が2位置で切換えられ、その吐出容量が2段階に切換えられる。
【0061】
第三ポンプ3の吐出圧力P3が所定値以下の作動時、切換弁5はドレンポジションbにあり、サブ液圧アクチュエータ10にドレン圧力が導かれることにより、サブ斜板54が図1に示すように最大傾転角度に保持される。
【0062】
第三ポンプ3の吐出圧力P3が所定値を超えて上昇する作動時、切換弁5はドレンポジションbから駆動ポジションaに切換わり、サブ液圧アクチュエータ10に吐出圧力P3が導かれることにより、サブ斜板54が最小傾転角度に切換えられる。
【0063】
こうして第三ポンプ3の吐出容量が第三ポンプ3の吐出圧力P3に応じて2段階に切換えられることにより、例えば、油圧ショベルの旋回装置が旋回作動を始めるとき、あるいは旋回装置が旋回作動して掘削装置のバケットを対象物に押し当てるとき、第三ポンプ3の吐出圧力P3が所定値を超えて上昇するのに応じてサブ斜板54が最大傾転角度から最小傾転角度に速やかに切換えられ、第三ポンプ3の駆動負荷が高まることを抑えられる。
【0064】
このとき、前述したように、第三ポンプ3の吐出圧力P3が所定値を超えて上昇するのに応じて吐出圧力P3が第三(連携用)のメイン液圧アクチュエータ9にも導かれることにより、メインピストンポンプ20のメイン斜板24が吐出圧力P3に応じて傾転角度を小さくし、第一ポンプ1、第二ポンプ2の駆動負荷が軽減される。
【0065】
こうして第三ポンプ3の吐出圧力P3が所定値を超えて上昇するのに応じて、切換弁5はドレンポジションbから駆動ポジションaに切換わって、第一ポンプ1、第二ポンプ2、第三ポンプ3の吐出容量が段階的に減少することにより、エンジン4の駆動負荷が応答性よく軽減され、エンスト等を防止できる。
【0066】
本実施の形態では、共通のエンジン4によって駆動されるメインピストンポンプ20とサブピストンポンプ50とを備える液圧駆動装置100であって、
メインピストンポンプ20は、エンジン4によって回転駆動されるメインシリンダブロック23と、このメインシリンダブロック23の回転に伴ってメイン容積室27を拡縮するようにメインピストン28を往復動させるメイン斜板24と、このメイン斜板24をその傾転角度を大きくする方向に付勢するスプリング35、36と、このスプリング35、36に抗してメイン斜板24をその傾転角度を小さくする方向に動かすメイン液圧アクチュエータ7、8と、メインピストンポンプ20の吐出圧力P1、P2が上昇するのに応じてメイン液圧アクチュエータ7、8がメイン斜板24の傾転角度を連続的に切換えてメインピストンポンプ20の吐出容量を漸次減少させるメイン吐出容量調節手段と、を備え、サブピストンポンプ50は、エンジン4によって回転駆動されるサブシリンダブロック53と、このサブシリンダブロック53の回転に伴ってサブ容積室57を拡縮するようにサブピストン58を往復動させるサブ斜板54と、サブピストン58から受ける押し付け力に抗してサブ斜板54を動かすサブ液圧アクチュエータ10と、サブピストンポンプ50の吐出圧力P3に応じてサブ液圧アクチュエータ10がサブ斜板54の傾転角度を2位置に切換えてサブピストンポンプ50の吐出容量を所定値に減少させるサブ吐出容量調節手段と、を備える構成とした。
【0067】
上記構成に基づき、メインピストンポンプ20はその吐出圧力P1、P2に応じてメイン斜板24の傾転角度が連続的に切換えられ、その吐出容量がきめ細かに調節される一方、サブピストンポンプ50はその吐出圧力P3に応じてサブ斜板54の傾転角度が2位置で切換えられ、その吐出容量が二段階に調節されることにより、エンジン4の駆動負荷が過大になることを抑えられ、エンスト等を防止できる。
【0068】
サブピストンポンプ50は、サブ斜板54の傾転角度が2位置で切換えられる構成のため、サブ斜板54を傾転可能に支持する構造が簡素化されるとともに、サブ斜板54を傾転角度が大きくなる方向に付勢するスプリング等が不要になり、製品のコストダウンがはかれる。
【0069】
本実施の形態では、サブ吐出容量調節手段は、パイロット圧力に応じてこのサブ液圧アクチュエータ10に導かれる液圧力を切換える切換弁5を備え、この切換弁5は、サブ液圧アクチュエータ10にサブピストンポンプ50の吐出圧力P3を導く駆動ポジションaと、サブ液圧アクチュエータ10にドレン圧力を導くドレンポジションbとを有し、パイロット圧力として導かれるサブピストンポンプ50の吐出圧力P3が所定値を超えて上昇するのに応じて駆動ポジションaからドレンポジションbに切換わる構成とした。
【0070】
上記構成に基づき、サブピストンポンプ50の吐出圧力P3が所定値を超えて上昇するのに応じてドレンポジションbから駆動ポジションaに切換わり、サブ液圧アクチュエータ10を作動させることにより、サブピストンポンプ50の吐出容量が応答性よく段階的に調節され、エンジン4の駆動負荷が過大になることを抑えられ、エンスト等を防止できる。
【0071】
本実施の形態では、メインピストンポンプ20の吐出容量を変える第三(連携用)のメイン液圧アクチュエータ9を備え、このメイン液圧アクチュエータ9とサブ液圧アクチュエータ10とに切換弁5を介してドレン圧力とサブピストンポンプ50の吐出圧力P3とが選択的に導かれる構成とした。
【0072】
上記構成に基づき、サブピストンポンプ50の吐出圧力P3が所定値を超えて上昇するのに応じてドレンポジションbから駆動ポジションaに切換わり、サブ液圧アクチュエータ10とメイン液圧アクチュエータ9を作動させることにより、サブピストンポンプ50とメインピストンポンプ20の吐出容量が段階的に調節され、エンジン4の駆動負荷が過大になることを抑えられ、エンスト等を防止できる。
【0073】
次に図3に示す他の実施の形態を説明する。これは基本的には図1の実施の形態と同じ構成を有し、相違する部分のみ説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0074】
第三ポンプ3(サブピストンポンプ50)から吐出される作動液を導く第三ポンプ通路13にプライオリティバルブ16と低圧リリーフバルブ17が直列に介装される。第三ポンプ通路13は、プライオリティバルブ16を介して吐出圧力P3の作動液が導かれるポンプ通路18と、プライオリティバルブ16によって制御された流量の作動液が導かれるポンプ通路19に分岐される。これにより、第三ポンプ3から2系統のポンプ通路18、19が取り出される。
【0075】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0076】
1 第一ポンプ
2 第二ポンプ
3 第三ポンプ
4 エンジン
5 切換弁
7 第一のメイン液圧アクチュエータ
8 第二のメイン液圧アクチュエータ
9 第三(連携用)のメイン液圧アクチュエータ
10 サブ液圧アクチュエータ
11 第一ポンプ通路
12 第二ポンプ通路
13 第三ポンプ通路
14 ドレン通路
20 メインピストンポンプ
23 メインシリンダブロック
24 メイン斜板
27 メイン容積室
28 メインピストン
35、36 スプリング
50 サブピストンポンプ
53 サブシリンダブロック
54 サブ斜板
57 サブ容積室
58 サブピストン
100 液圧駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通のエンジンによって駆動されるメインピストンポンプとサブピストンポンプとを備える液圧駆動装置であって、
前記メインピストンポンプは、
前記エンジンによって回転駆動されるメインシリンダブロックと、
このメインシリンダブロックの回転に伴ってメイン容積室を拡縮するようにメインピストンを往復動させるメイン斜板と、
このメイン斜板をその傾転角度を大きくする方向に付勢するスプリングと、
このスプリングに抗して前記メイン斜板をその傾転角度を小さくする方向に動かすメイン液圧アクチュエータと、
前記メインピストンポンプの吐出圧力が上昇するのに応じて前記メイン液圧アクチュエータが前記メイン斜板の傾転角度を連続的に切換えて前記メインピストンポンプの吐出容量を漸次減少させるメイン吐出容量調節手段と、を備え、
前記サブピストンポンプは、
前記エンジンによって回転駆動されるサブシリンダブロックと、
このサブシリンダブロックの回転に伴ってサブ容積室を拡縮するようにサブピストンを往復動させるサブ斜板と、
前記各サブピストンから受ける押し付け力に抗してサブ斜板を動かすサブ液圧アクチュエータと、
前記サブピストンポンプの吐出圧力に応じてサブ液圧アクチュエータが前記サブ斜板の傾転角度を2位置に切換えて前記サブピストンポンプの吐出容量を所定値に減少させるサブ吐出容量調節手段と、を備えたことを特徴とする作業機の液圧駆動装置。
【請求項2】
前記サブ吐出容量調節手段は、
パイロット圧力に応じてこの前記サブ液圧アクチュエータに導かれる液圧力を切換える切換弁を備え、
この切換弁は、
前記サブ液圧アクチュエータに前記サブピストンポンプの吐出圧力を導く駆動ポジションと、
前記サブ液圧アクチュエータにドレン圧力を導くドレンポジションと、を有し、
パイロット圧力として導かれるサブピストンポンプの吐出圧力が所定値を超えて上昇するのに応じて駆動ポジションからドレンポジションに切換わる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の作業機の液圧駆動装置。
【請求項3】
前記メインピストンポンプの吐出容量を変える連携用のメイン液圧アクチュエータを備え、
この連携用のメイン液圧アクチュエータと前記サブ液圧アクチュエータとに前記切換弁を介してドレン圧力と前記サブピストンポンプの吐出圧力とが選択的に導かれる構成としたことを特徴とする請求項2に記載の作業機の液圧駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−255244(P2010−255244A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105219(P2009−105219)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】