説明

作業機械の油圧制御回路

【課題】少なくとも二台の油圧ポンプとアタッチメント用の優先回路とを備えた作業機械の油圧制御回路に関し、バランスの良い各油圧ポンプの運用を可能とし、他のアクチュエータとの連動性を向上させる。
【解決手段】
第一油圧ポンプに係る第一ネガコン圧を検出する第一圧力センサ7A及び第二油圧ポンプに係る第二ネガコン圧を検出する第二圧力センサ7Bを設ける。それらの第一ネガコン圧及び第二ネガコン圧から、第一設定手段22A,22Bでそれぞれの要求流量を設定する。また、第二設定手段21でアタッチメント用アクチュエータの要求流量を設定する。
流量比演算器23で第一油圧ポンプ及び第二油圧ポンプの余剰流量の比率を算出し、その比率でアタッチメント用アクチュエータの要求流量の負担を第一油圧ポンプ及び第二油圧ポンプに分配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロント作業機の先端にアタッチメントを装着する作業機械に用いて好適な油圧制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベルのフロント作業機に取り付けられるアタッチメントの油圧駆動回路を他のアクチュエータの油圧駆動回路とは別個に用意して、各回路へ分配される作動油流量を適宜制御する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、油圧ポンプから吐出された作動油を圧力補償型分流弁で分流させ、履帯を駆動するための走行回路とアタッチメント用の独立アタッチメント回路とに供給する構成を備えた作業機械の油圧回路が開示されている。この技術では、圧力補償型分流弁において、独立アタッチメント回路側へ供給される作動油圧PA1,PA2と走行回路側へ供給される作動油圧PB1,PB2との差圧を一定値に保つことにより、油圧ポンプの吐出圧にかかわらず安定した分流が可能となっている。
【0003】
一般に、このような独立アタッチメント回路の内部にはコントロール弁が介装されており、このコントロール弁の開度を開閉制御することによってアタッチメントの駆動に係るアクチュエータへ供給される作動油流量が調節されている。例えば、油圧ブレーカや圧砕機等のアタッチメントを装着した場合には、これらを駆動する油圧モータが必要とする作動油流量が得られるように、コントロール弁の開度が適宜制御されるようになっている。
【特許文献1】特開2000−73409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような回路構成では、独立アタッチメント回路へ供給される作動油流量が二つの油圧ポンプから均等に取り出されるようになっているため、アタッチメントとフロント作業機との良好な連動性が得られない場合が生じる。例えば、フロント作業機の稼働によって二台の油圧ポンプの各仕事量に偏りが生じているような状態で、独立アタッチメント回路への作動油が各油圧ポンプから取り出され、一方の油圧ポンプでの作動油の吐出量がその油圧ポンプの最大能力を超えそうになったとする。この場合、他方の油圧ポンプにはまだ余力が残っているにも関わらず、一方の油圧ポンプの出力が頭打ちとなり、フロント作業機側へ供給される作動油流量が減少することになる。
【0005】
また、アタッチメント回路側に複数のアクチュエータが設けられている場合には、作動油流量の制御が難しいという課題もある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、少なくとも二台の油圧ポンプとアタッチメント用の優先回路とを備えた作業機械の油圧制御回路において、バランスの良い各油圧ポンプの運用を可能にするとともに、他のアクチュエータとの連動性を向上させることができるようにした、作業機械の油圧制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明の作業機械の油圧制御回路は、作業機械のフロント作業機を駆動せしめる第一アクチュエータ(例えば、ブームシリンダ)及び第二アクチュエータ(例えば、アームシリンダ)と、該フロント作業機に装着されるアタッチメントを駆動せしめるアタッチメント用アクチュエータ(例えば、油圧モータ)と、それらのアクチュエータの駆動源である第一油圧ポンプ及び第二油圧ポンプを有する作業機械の油圧制御回路において、該第一油圧ポンプと該第一アクチュエータとを接続する第一油圧回路と、該第二油圧ポンプと該第二アクチュエータとを接続する第二油圧回路と、該第一油圧ポンプと該アタッチメント用アクチュエータとを接続する第三油圧回路と、該第二油圧ポンプと該アタッチメント用アクチュエータとを接続する第四油圧回路と、該第一油圧回路上に介装され、該第一アクチュエータへ供給される作動油流量及び流通方向を制御する第一コントロール弁と、該第二油圧回路上に介装され、該第二アクチュエータへ供給される作動油流量及び流通方向を制御する第二コントロール弁と、該第三油圧回路上に介装され、開度を変更可能に形成された第一電磁比例絞り弁と、該第四油圧回路上に介装され、開度を変更可能に形成された第二電磁比例絞り弁と、該第一コントロール弁の第一ネガコン圧を検出する第一圧力センサと、該第二コントロール弁の第二ネガコン圧を検出する第二圧力センサと、該第一ネガコン圧及び該第二ネガコン圧に基づいて、該第一コントロール弁及び該第二コントロール弁の要求流量をそれぞれ設定する第一設定手段と、該アタッチメント用アクチュエータの操作レバーへの操作量を検出する操作量検出手段と、該操作量検出手段で検出された該操作量に応じて該アタッチメント用アクチュエータの要求流量を設定する第二設定手段と、該第一油圧ポンプが吐出しうる最大流量から第一コントロール弁の要求流量を減算したものと、該第二油圧ポンプが吐出しうる最大流量から第二コントロール弁の要求流量を減算したものとの第一比率を算出するポンプ余剰流量比率算出手段と、該第三油圧回路及び該第四油圧回路の作動油流量の比率が該第一比率と等しくなるように、該第三油圧回路の作動油流量及び該第四油圧回路の作動油流量を設定するとともに、該第一電磁比例絞り弁及び該第二電磁比例絞り弁を制御する優先流量設定手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
該第一ネガコン圧は、該第一コントロール弁からのブリードオフ回路の作動油圧であり、該第二ネガコン圧は、該第二コントロール弁からのブリードオフ回路の作動油圧である。また、該第一圧力センサ及び該第二圧力センサはそれぞれセンタバイパス上(該第一コントロール弁,該第二コントロール弁の下流側)に介装されている。
該第一アクチュエータの非作動時には該第一油圧ポンプの吐出圧が該第一ネガコン圧となる。同様に、該第二アクチュエータの非作動時には該第二油圧ポンプの吐出圧が該第二ネガコン圧となる。また、該第一アクチュエータ,第二アクチュエータがそれぞれ作動すると、該第一ネガコン圧,該第二ネガコン圧は低下する。
【0008】
なお、油圧回路上における油圧ポンプ側が上流側であり、アクチュエータ側又は作動油タンク側が下流側である。
また、請求項2記載の本発明の作業機械の油圧制御回路は、請求項1記載の構成に加えて、該第一コントロール弁の下流側からブリードオフされる作動油を該第一油圧ポンプへと導く第一ネガコン回路と、該第二コントロール弁の下流側からブリードオフされる作動油を該第二油圧ポンプへと導く第二ネガコン回路と、該第一ネガコン回路及び該第二ネガコン回路にそれぞれ介装され、作動油流路を開閉自在に形成された第一電磁比例減圧弁及び第二電磁比例減圧弁と、該第一油圧ポンプの吐出流量が該優先流量設定手段で設定された該第三油圧回路の作動油流量及び該第一設定手段で設定された該第一コントロール弁の要求流量を加算した流量と等しくなるように該第一電磁比例減圧弁を制御し、かつ、該第二油圧ポンプの吐出流量が該優先流量設定手段で設定された該第四油圧回路の作動油流量及び該第一設定手段で設定された該第二コントロール弁の要求流量を加算した流量と等しくなるように該第二電磁比例減圧弁を制御するネガコン圧制御手段とをさらに備えたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載の本発明の作業機械の油圧制御回路は、請求項2記載の構成に加えて、該第一ネガコン回路及び該第二ネガコン回路に介装された第二電磁切換弁をさらに備えたことを特徴としている。
また、請求項4記載の本発明の作業機械の油圧制御回路は、請求項1〜3の何れか1項に記載の構成に加えて、該第一油圧回路及び第二油圧回路の双方に介装され、該第一油圧回路及び該第二油圧回路の差圧を保持して該第一油圧ポンプから該アタッチメント用アクチュエータへ供給される一定の作動油流量を確保する第一圧力補償スプールを有する第一圧力補償弁と、該第三油圧回路及び第四油圧回路の双方に介装され、該第三油圧回路及び該第四油圧回路の差圧を保持して該第二油圧ポンプから該アタッチメント用アクチュエータへ供給される一定の作動油流量を確保する第二圧力補償スプールを有する第二圧力補償弁と、該第一電磁比例絞り弁の上流側と該第一圧力補償スプールの一端側とを接続して、該第一油圧回路への作動油流量を増加させる方向へ該第一圧力補償スプールを駆動する第五油圧回路と、該第一電磁比例絞り弁の下流側と該第一圧力補償スプールの他端側とを接続して、該第三油圧回路への作動油流量を増加させる方向へ該第一圧力補償スプールを駆動する第六油圧回路と、該第二電磁比例絞り弁の上流側と該第二圧力補償スプールの一端側とを接続して、該第二油圧回路への作動油流量を増加させる方向へ該第二圧力補償スプールを駆動する第七油圧回路と、該第二電磁比例絞り弁の下流側と該第二圧力補償スプールの他端側とを接続して、該第四油圧回路への作動油流量を増加させる方向へ該第二圧力補償スプールを駆動する第八油圧回路とをさらに備えたことを特徴としている。
【0010】
また、請求項5記載の本発明の作業機械の油圧制御回路は、請求項4記載の構成に加えて、該第六油圧回路及び第八油圧回路と作動油タンクとを接続する優先切換回路と、該優先切換回路上に介装された電磁切換弁とをさらに備えたことを特徴としている。
また、請求項6記載の本発明の作業機械の油圧制御回路は、フロント作業機用の二系統の油圧回路の各々に油圧ポンプを有するとともに、各油圧ポンプから分岐形成されたアタッチメント用の二本の作動油供給ラインを有する油圧回路において、該油圧回路のそれぞれにおけるネガコン圧に応じて、該油圧回路のそれぞれの第一要求流量を設定する第一設定手段と、アタッチメントの操作量に応じて該作動油供給ラインの第二要求流量を設定する第二設定手段と、各油圧ポンプが吐出しうる最大流量から該油圧回路のそれぞれの該第一要求流量を減算して各油圧ポンプの余剰流量を算出し、かつ、該余剰流量の比率を算出するポンプ余剰流量比率算出手段と、該第二要求流量を該余剰流量の比率で分配して該各油圧ポンプに吐出させる優先流量設定手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の作業機械の油圧制御回路(請求項1,6)によれば、アタッチメント用の作動油流量の比率を第一油圧ポンプ及び第二油圧ポンプの余剰能力に応じた比率に設定することができ、バランス良く各油圧ポンプを運用することができる。
また、本発明の作業機械の油圧制御回路(請求項2)によれば、各油圧ポンプの余剰能力に応じて配分されたアタッチメント用の作動油流量に対してネガコン圧に応じたフロント作業機用の作動油流量を加算することにより、過不足のない作動油流量を確保することができる。
【0012】
また、本発明の作業機械の油圧制御回路(請求項3)によれば、フロント用アクチュエータのみの作動時には、ネガコン圧を油圧ポンプへ導入して(すなわち、通常のネガコン制御により)、アクチュエータの作動に必要十分な作動油流量を確保することができる。また、アタッチメント用アクチュエータの作動時には、第二電磁切換弁を閉鎖することにより、ネガコン圧制御手段でモータの動作に必要十分な作動油流量を任意に設定することができ、作業性を高めることができる。
【0013】
また、本発明の作業機械の油圧制御回路(請求項4)によれば、優先回路内に第一圧力補償弁及び第二圧力補償弁を介装させることにより、アタッチメント側への回路へ流通する作動油流量の確保が容易となる。
また、本発明の作業機械の油圧制御回路(請求項5)によれば、優先切換回路上の電磁切換弁を開放することで第一圧力補償弁及び第二圧力補償弁における圧力補償作用が停止するため、アタッチメントへの作動油供給を停止させることが可能となる。これにより、フロント作業機の単動時における作業効率を向上させることができる。また、ポンプ流量を有効に活用することができ、油圧エネルギの浪費を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態に係る油圧制御回路を説明するためのものであり、図1は本油圧制御回路が適用された油圧ショベルの全体構成を示す側面図、図2は本油圧制御回路の全体構成を示す油圧回路図及び制御ブロック図、図3は本油圧制御回路におけるアタッチメント用アクチュエータの操作レバーに係る油圧回路図、図4は本油圧制御回路に係るコントローラの制御ブロック図である。
【0015】
[1.油圧ショベル構成]
本実施形態の油圧制御回路は、図1に示す油圧ショベル40の油圧回路として適用されている。この油圧ショベル40は、クローラ式の油圧走行装置を装備した下部走行体42と、旋回装置を介して下部走行体42の上に旋回自在に搭載された上部旋回体41とを備えて構成される。上部旋回体41の前端部には、フロント作業機としてのブーム43及びアーム44が枢支され、さらにその先端にはアタッチメントとしてツインヘッダ46(回転切削用アタッチメント)が取り付けられている。
【0016】
上部旋回体41のフレームとブーム43との間には、ブーム43を上下方向へ揺動する油圧駆動式のブームシリンダ43a(第一アクチュエータ)が介装されている。このブーム43は、ブームシリンダ43aの伸縮によって上部旋回体41に対して起伏自在に設けられている。同様に、図1中に示されたアームシリンダ44a(第二アクチュエータ),バケットシリンダ45aはそれぞれ、アーム44,ツインヘッダ46の姿勢を動かすための油圧アクチュエータである。
【0017】
ツインヘッダ46の基部には、油圧モータ46a(アタッチメント用アクチュエータ)が内蔵されている。油圧モータ46aはツインヘッダ46の駆動源であり、先端のピックを回転駆動することで土砂壁面を切削できるようになっている。本発明に係る油圧制御回路は、上記の油圧アクチュエータ43a,44a,45aや油圧モータ46aを駆動するための油圧回路である。
【0018】
また、これらのフロント作業機の車体左側には、操作者が搭乗するキャブ47が設けられている。キャブ47の内部には、上記の油圧アクチュエータ43a,44a,45aや油圧モータ46aをはじめとして、油圧ショベル20の走行装置,旋回装置といった各装置の操作レバー,各種操作スイッチ,シート等が配設されている。
上部旋回体41に設けられたエンジンルーム48内には、エンジン13によって駆動される二台の油圧ポンプが設けられている。以下、一方の油圧ポンプを第一油圧ポンプ10A,他方を第二油圧ポンプ10Bと呼ぶ。
【0019】
[2.油圧回路構成]
図2に、本油圧制御回路が適用された油圧回路を模式的に示す。この図2では、ブームシリンダ43a,アームシリンダ44a及び油圧モータ46aの駆動に係る油圧回路の概略構成が示されており、他のアクチュエータに係る油圧回路に関しては記載を省略している。
【0020】
本油圧回路はおもに、ブームシリンダ43aの駆動に係る第一油圧回路L1,アームシリンダ44aの駆動に係る第二油圧回路L2,油圧モータ46aの駆動に係る第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4,これらの油圧回路へ供給される作動油流量を配分するための優先回路L10,いわゆるネガコン制御に係るネガコン回路L11等を備えている。
【0021】
[2−1.第一,第二油圧回路L1,L2]
第一油圧回路L1は、第一油圧ポンプ10Aとブームシリンダ43aとを接続して作動油流路を形成する回路である。また、第二油圧回路L2は、第二油圧ポンプ10Bとアームシリンダ44aとを接続する回路である。第一油圧ポンプ10A及び第二油圧ポンプ10Bはそれぞれレギュレータ11A,11Bを備えた容量可変式のポンプである。
【0022】
図2に示すように、第一油圧回路L1及び第二油圧回路L2のそれぞれの中途には、ブームシリンダ43a及びアームシリンダ44aに対する作動油の流量及び流通方向を調整するためのメインコントロール弁4A,4B(第一コントロール弁,第二コントロール弁)が介装されている。これらのメインコントロール弁4A,4Bは流量制御スプール(ステム)位置を複数の位置に切り替えて作動油の流量及び流通方向を可変制御できる電磁流量制御弁として構成されている。
【0023】
また、各メインコントロール弁4A,4Bとタンク15とを接続する回路(すなわち、ブリードオフ回路)上には、ネガコン用リリーフバルブ5A,5Bが介装されている。これらのネガコン用リリーフバルブ5A,5Bは、第一油圧回路L1及び第二油圧回路L2内の作動油圧の上限値を設定するように機能している。なお、後述するネガコン回路は、これらの回路から分岐して形成されている。
【0024】
[2−2.第三,第四油圧回路L3,L4]
第三油圧回路L3は第一油圧ポンプ10Aと油圧モータ46aとを接続する回路であり、第四油圧回路L4は第二油圧ポンプ10Bと油圧モータ46aとを接続する回路である。これらの回路L3,L4は、図2に示すように、それぞれチェック弁よりも下流側で合流して一本になっている。
【0025】
その合流点よりも下流側にはアタッチメント用コントロール弁4Cが介装されている。アタッチメント用コントロール弁4Cは、メインコントロール弁4A,4Bと同様の電磁流量制御弁として構成されており、油圧モータ46aへ供給される作動油流量及び流通方向を調整するためのものである。また、アタッチメント用コントロール弁4Cとタンク15とを接続する回路上には、アタッチメント用リリーフ弁5Cが介装されている。
【0026】
[2−3.優先回路L10]
優先回路L10は、第一油圧ポンプ10Aから供給される作動油の流量を第一油圧回路L1と第二油圧回路L2とに配分するとともに、第二油圧ポンプ10Bから供給される作動油の流量を第三油圧回路L3と第四油圧回路L4とに配分するための回路である。
図2に示すように、第一油圧ポンプ10Aから導かれた作動油の供給ラインは、優先回路L10の内部で第一油圧回路L1と第二油圧回路L2とに分岐形成されている。また、第二油圧ポンプ10Bから導かれた作動油の供給ラインは、優先回路L10の内部で第三油圧回路L3と第四油圧回路L4とに分岐形成されている。
【0027】
この優先回路L10は、電磁比例絞り弁1(第一電磁比例絞り弁,第二電磁比例絞り弁),圧力補償弁2(第一圧力補償弁,第二圧力補償弁)及び電磁切換弁3を備えて構成されている。なお、これらの複数種類の弁が一体に組み合わされたバルブユニットとして優先回路L10を形成してもよい。
第一油圧回路L1及び第二油圧回路L2間で作動油を配分するための回路と、第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4間で作動油を配分するための回路とは同一構成となっている。以下、前者に係る構成要素について詳述する。なお以下、前者の構成要素の符号の末尾にAを付し、後者のものにBを付して説明する。
【0028】
電磁比例絞り弁1Aは、図2に示すように、第3油圧回路L3上に介装された流量調節弁であり、後述するコントローラ20によって電気的に絞りの大きさ(開度)を任意に変更できるようになっている。なお、電磁比例絞り弁1Aは、コントローラ20から何も信号が入力されない場合には第三油圧回路L3を完全に閉鎖している。
また、第一油圧回路L1は、第三油圧回路L3における電磁比例絞り弁1Aよりも上流側から分岐するように形成されている。電磁比例絞り弁1Aの上流側には第一油圧ポンプ10Aによる作動油の吐出圧がそのまま作用している。一方、電磁比例絞り弁1Aの下流側には圧力補償弁2Aが接続されている。
【0029】
圧力補償弁2Aは、第一油圧回路L1及び第三油圧回路L3に跨って介装された弁であり、双方の回路の作動油流量を同時に制御するものである。図2に示すように、圧力補償弁2Aの内部には、第一流路2a及び第二流路2bの二系統の流路が形成されており、それぞれの流路開度が単一のスプール(圧力補償スプール)の移動によって同時に変更されるよう構成されている。ここでは、第一流路2aが第三油圧回路L3上に介装され、第二流路2bが第一油圧回路L1上に介装されている。
【0030】
圧力補償弁2Aのスプールを駆動するためのパイロット回路は、二本用意されている。第五油圧回路L5と第六油圧回路L6である。まず、圧力補償弁2Aのスプールのうち、スプールの摺動方向における第二流路2bが形成された側の一端には、電磁比例絞り弁1Aの上流側の作動油を導く第五油圧回路L5が接続されている。この第五油圧回路L5には、第一油圧ポンプ10Aの吐出圧がそのまま作用することになる。一方、スプールの他端(スプールの摺動方向における第一流路2aが形成された側の一端)には電磁比例絞り弁1の下流側の作動油を導く第六油圧回路L6が接続されている。図2に示すように、第六油圧回路L6上にはオリフィス16が介装されている。
【0031】
このように二本のパイロット回路L5,L6を設けることにより、圧力補償弁2Aのスプールが、第一流路2aの上流側と下流側との差圧を一定に保持する位置に制御される。したがって、第一流路2a側の流量は第一油圧ポンプ10Aの吐出圧にかかわらず一定に制御され、残りの流量が第二流路2b側に流れることになる。つまり、圧力補償弁2Aは、油圧モータ46a側へ供給される一定の作動油流量を確保する圧力補償スプールを有しているといえる。
【0032】
なお、この第六油圧回路L6内の作動油は、第一流路2a側の作動油流量を増加させつつ第二流路2b側の作動油流量を減少させる方向へスプールを移動させるように作用している。また、第五油圧回路L5内の作動油は、第二流路2b側の作動油流量を増加させつつ第一流路2a側の作動油流量を減少させる方向へスプールを移動させるように作用している。例えば、第一油圧ポンプ10Aの吐出圧が上昇した場合には、第一流路2aにおける作動油の流速が上昇するが、これに応じて上昇する第五油圧回路L5内の作動油圧に押されてスプールが図2中左方向へ移動し、弁開度が絞られるため、第一流路2aの下流側の作動油流量は変化しないことになる。
【0033】
また、第六油圧回路L6におけるオリフィス16の下流側には、タンク15へと接続される優先切換回路L9が設けられている。この優先切換回路L9上には電磁切換弁3Aが介装されている。
電磁切換弁3Aは、コントローラ20によって制御される二位置切換弁である。電磁切換弁3Aがオンのときには優先切換回路L9が遮断(閉鎖)されるため、上述のように第六油圧回路L6を介して圧力補償弁2Aのスプールの一端に電磁比例絞り弁1Aの下流側の作動油圧が作用する。一方、電磁切換弁3Aがオフになると、優先切換回路L9がタンク15へ開放(リリーフ)されて、第六油圧回路L6内の作動油圧がタンク圧まで低下するようになっている。
【0034】
つまり、電磁切換弁3Aをオフにすると、電磁比例絞り弁1Aの絞り開度の状態にかかわらず、圧力補償弁2Aのスプールが図2中左方向へ移動して、第一流路2aが完全に閉鎖されるとともに第二流路2bが完全に開放されるようになっている。電磁切換弁3Aは、圧力補償弁2Aにおける圧力補償制御を強制的に停止させるように機能する。また、電磁切換弁3Aがオンの状態でのみ、電磁比例絞り弁1Aによる流量調節が働くことになる。
【0035】
前述の通り、第二油圧ポンプ10B側の優先回路L10の構成は、第一油圧ポンプ10A側のものと同一である。なお、コントローラ20は、それぞれの電磁比例絞り弁1A,1B及び電磁切換弁3A,3Bを個別に制御ができるようになっている。
【0036】
[2−4.ネガコン回路L11]
ネガコン回路L11は、レギュレータ11A,11Bにおけるネガティブコントロール用の回路である。ネガティブコントロールでは、ネガコン回路L11の作動油圧の高低に対応するように第一及び第二油圧ポンプ10A,10Bでの吐出流量を減少又は増加させて、各ポンプの出力を一定に保たせている。以下、ネガコン回路L11を介してレギュレータ11A,11Bへ導入される作動油圧のことをネガコン圧とも呼ぶ。なお、ネガコン回路L11には、第一油圧回路L1側のネガコン回路L12(第一ネガコン回路)と、第二油圧回路L2側のネガコン回路L13(第二ネガコン回路)とが設けられている。
【0037】
一方のネガコン回路L12上には、圧力センサ7A(第一圧力センサ),第二電磁切換弁6A,電磁比例減圧弁8A及びシャトル弁12Aが設けられている。同様に、他方のネガコン回路L13上にも、圧力センサ7B(第二圧力センサ),第二電磁切換弁6B,電磁比例減圧弁8B及びシャトル弁12Bが設けられている。
圧力センサ7A,7Bは、第一油圧回路L1側及び第二油圧回路L2側からブリードオフしたそれぞれの作動油圧PH2,PH3を検出するセンサである。ここで検出された各作動油圧PH2,PH3は、コントローラ20へ入力されるようになっている。
【0038】
以下、各弁の構成は何れのネガコン回路も同一であるため、第一油圧回路L1側のネガコン回路L12を例に挙げて説明する。
第二電磁切換弁6Aは、後述するコントローラ20によって制御される二位置切換弁であり、第一油圧回路L2側からブリードオフした作動油圧の導入及び遮断を担うものである。一方、電磁比例減圧弁8Aは、コントローラ20によって制御される比例減圧弁であり、パイロットポンプ14から供給される作動油をネガコン回路L12へ導入することによって強制的にネガコン圧を変更するものである。
【0039】
電磁比例減圧弁8Aがオン(励磁状態)になると、パイロットポンプ14から供給される作動油が下流側へ流通するようになっている。また、電磁比例減圧弁8Aは、開度調整により下流側の作動油圧を任意に設定することができるようになっている。なお、図2に示すように、電磁比例減圧弁8Aはタンク15にも接続されており、オフ(非励磁状態)のときにはその二次圧が最低圧(タンク圧)に設定されるようになっている。一方、電磁比例減圧弁8がオン(励磁状態)のときには、二次圧を任意の圧力に調節できるようになっている。
【0040】
シャトル弁12Aは、第一油圧回路L2側からの回路とパイロットポンプ14側からの回路との接続部分に介装された選択弁である。これらの回路のうちの高圧側がシャトル弁12Aで自動的に選択されて、第一油圧ポンプ10Aのレギュレータ11Aへと供給されるようになっている。
なお、レギュレータ11Aとは公知のポンプ容量可変手段であり、ネガコン圧が高いほど第一油圧ポンプ10Aの吐出流量を減少させるように、また、ネガコン圧が低いほど吐出流量を増加させるように、斜板制御を実施するものである。
【0041】
[3.アタッチメント用操作レバー]
図3は、ツインヘッダ46の操作レバーの油圧回路図である。各リモコン弁18a,18bは、レバー操作量に応じた大きさのパイロット圧をアタッチメント用コントロール弁4Cの流量制御スプールへと伝達するようになっている。また、各リモコン弁18a,18bにはシャトル弁17が設けられており、各リモコン弁18a,18bの二次圧の高圧選択が行われている。選択された圧力PH1は、圧力センサ(操作量検出手段)9で検出されて、コントローラ20へ入力されるようになっている。なお、この圧力PH1は、油圧モータ46aの要求流量の設定に用いられる。
【0042】
[4.制御構成]
図2に示すように、本油圧ショベル40には、優先回路L10の電磁比例絞り弁1A,1B,電磁切換弁3A,3Bと、ネガコン回路L11の第二電磁切換弁6A,6B,電磁比例減圧弁8A,8Bを制御するコントローラ(制御手段)20が設けられている。コントローラ20は、マイクロコンピュータで構成された電子制御装置であり、周知のマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスとして提供されている。前述の通り、コントローラ20には、圧力センサ7A,7B,9で検出された各圧力PH1,PH2,PH3が入力されている。これらの入力情報に基づき、コントローラ20は以下のような制御を実施する。
【0043】
[4−1.電磁切換弁3A,3Bの制御]
コントローラ20は、圧力センサ9で検出された圧力PH1に基づいてレバー操作の有無を検出し、レバー操作がなされている場合に電磁切換弁3A,3Bをオン(遮断)に制御する。つまり、実際に油圧モータ46aが作動している状態でのみ、圧力補償弁2A,2Bでの圧力補償制御がなされることになる。
【0044】
一方、レバー操作がなされていない場合には電磁切換弁3A,3Bをオフ(流通)に制御する。これにより、例えばブーム43やアーム44といったフロント作業機のみの単動時には、圧力補償弁2A,2Bそれぞれの第一流路2aの作動油流通が遮断され、第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4が遮断されることになる。
【0045】
[4−2.第二電磁切換弁6A,6Bの制御]
また、コントローラ20は、ツインヘッダ46のレバー操作がなされている場合に、第二電磁切換弁6A,6Bをオン(遮断)に制御する。一方、レバー操作がなされていない場合には第二電磁切換弁6A,6Bをオフ(流通)に制御する。つまり、フロント作業機の単動時(ツインヘッダ46の非作動時)にのみ、通常のネガティブコントロールに係る第一,第二油圧回路L1,L2の作動油圧がネガコン回路L12,L13側へと導入されることになる。また、ツインヘッダ46の作動時には、第一,第二油圧回路L1,L2側からの作動油圧が遮断されるため、後述する電磁比例減圧弁8A,8Bの制御に応じてネガコン回路L12,L13のネガコン圧が強制的に変更されることになる。
【0046】
[4−3.電磁比例絞り弁,電磁比例減圧弁の制御]
電磁比例絞り弁1A,1B及び電磁比例減圧弁8A,8Bの制御量の設定に係る制御ブロック図を図4に示す。コントローラ20は、アタッチメント流量設定器21(第二設定手段),メイン流量設定器22A,22B(第一設定手段),流量比演算器23(ポンプ余剰流量比率算出手段),乗算器24A,24B,加算器25A,25B,リミッタ26A,26B,バルブ開度設定器27A,27B,ポンプ指令値変換器28A,28B,バルブ指令値変換器29A,29Bを備えて構成されている。
【0047】
まず、アタッチメント流量設定器21は、圧力センサ9で検出された圧力PH1、すなわち、ツインヘッダ46の操作レバーの操作量に応じて、油圧モータ46aに要求されている要求流量FR(アタッチメントの要求流量)を設定するものである。ここでは、図4中にグラフで示すように、圧力PH1が高いほど(ツインヘッダ46の操作レバーの操作量が大きいほど)要求流量FRが大きくなるようにマップが設定されている。なお、ここで設定された要求流量FRが、第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4の双方から供給される作動油の合計と等しくなるように制御されることになる。また、アタッチメントの要求流量FRは、乗算器24A,24Bへ入力される。
【0048】
続いて、メイン流量設定器22A,22Bは、圧力センサ7A,7Bで検出された作動油圧PH2,PH3に基づいて、ブームシリンダ43a及びアームシリンダ44aに供給すべき作動油流量Fm1,Fm2(すなわち、メインコントロール弁4A,4Bの要求流量)を設定するものである。ここでは、図4中にグラフで示すように、作動油圧PH2,PH3がそれぞれ高いほど(ブーム43,アーム44の操作レバーの操作量が小さいほど)作動油流量Fm1,Fm2がそれぞれ小さくなるようにマップが設定されている。これらの作動油流量Fm1,Fm2のうち、一方のメイン流量設定器22Aで設定される作動油流量Fm1は第一油圧回路L1で要求されている作動油流量であり、他方のメイン流量設定器22Bで設定される作動油流量Fm2は第二油圧回路L2で要求されている作動油流量である。ここで設定された作動油流量Fm1,Fm2は、流量比演算器23へと入力される。
【0049】
流量比演算器23は、メイン流量設定器22A,22Bで設定された作動油流量Fm1,Fm2を受けて、以下の式(1)〜(4)に従ってアタッチメント流量係数k1,k2を演算するものである。
Fa1=Fmax1-Fm1 ・・・(1)
Fa2=Fmax2-Fm2 ・・・(2)
k1=Fa1/(Fa1+Fa2) ・・・(3)
k2=Fa2/(Fa1+Fa2) ・・・(4)
(ただしFmax1:第一油圧ポンプ10Aの最大吐出量,
Fmax2:第二油圧ポンプ10Bの最大吐出量,
Fa1:第一油圧ポンプ10Aの最大余剰流量,
Fa2:第二油圧ポンプ10Bの最大余剰流量,
k1:第一油圧ポンプ10Aのアタッチメント流量係数,
k2:第二油圧ポンプ10Bのアタッチメント流量係数)
ここで演算されるアタッチメント流量係数k1,k2の和は1になる。つまりここでは、二つの油圧ポンプ10A,10Bが吐出しうる最大の流量からフロント作業機側に必要な分を差し引いた余剰流量の比率を求めている。これらの流量係数k1,k2は、それぞれ乗算器24A,24Bへと入力される。
【0050】
乗算器24Aは、入力されたアタッチメントの要求流量FRにアタッチメント流量係数k1を乗算して、第三油圧回路L3へ供給すべき作動油流量を算出する。一方、乗算器24Bは、アタッチメントの要求流量FRにアタッチメント流量係数k2を乗算して、第四油圧回路L4へ供給すべき作動油流量を算出する。つまりここでは、アタッチメントの要求流量FRのうち、第一油圧ポンプ1Aが負担する流量k1・FRがとして算出され、第二油圧ポンプ1Bが負担する流量がk2・FRとして算出されている。ここでの算出結果は、加算器25A,25B及びバルブ開度設定器27A,27Bへ入力される。
【0051】
バルブ開度設定器27A,27Bでは、乗算器24A,24Bで算出されたそれぞれの流量を得るための電磁比例絞り弁1A,1Bのバルブ開度が設定される。そして、ここで設定されたバルブ開度をバルブ指令値変換器29A,29Bがスプールの駆動信号に変換し、電磁比例絞り弁1A,1Bの制御信号として出力する。これにより、優先回路L10におけるアタッチメント側の流量、すなわち、第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4を介して油圧モータ46aへと供給される作動油流量が確保される。
【0052】
加算器25Aは、乗算器24Aで算出された流量k1・FRにメイン流量設定器22Aで設定された作動油流量Fm1を加算したもの(すなわち、k1・FR+Fm1)をリミッタ26Aへと出力する。また、加算器25Bは、乗算器24Bで算出された流量k2・FRにメイン流量設定器22Bで設定された作動油流量Fm2を加算したもの(すなわち、k2・FR+Fm2)をリミッタ26Bへと出力する。つまり、加算器25Aの出力は第一油圧回路L1及び第三油圧回路L3で要求されている作動油流量の合計であり、加算器25Bの出力は第二油圧回路L2及び第四油圧回路L4で要求されている作動油流量の合計である。
【0053】
リミッタ26A,26Bではそれぞれ、加算器25A,25Bからの出力が過大又は過小にならないように流量の最大値及び最小値を制限して、実供給流量を設定する。そして、ここで設定された実供給流量を指令値変換器28A,28Bがスプールの駆動信号に変換し、電磁比例減圧弁8A,8Bの制御信号として出力する。なお、ここで出力される制御信号は、各油圧ポンプ10A,10Bから吐出される作動油流量が実供給流量と等しくなるネガコン圧を電磁比例減圧弁8A,8Bで生成するための制御信号である。これにより、第一油圧回路L1及び第三油圧回路L3で要求されている作動油流量が第一油圧ポンプ10Aから吐出され、第二油圧回路L2及び第四油圧回路L4で要求されている作動油流量が第二油圧ポンプ10Bから吐出される。
【0054】
本発明に係るコントローラ20での制御内容をまとめると以下の通りとなる。
【0055】
【表1】

【0056】
上述の通り、本実施形態における流量比演算器23は、第一油圧ポンプ10Aが吐出しうる最大流量から第一コントロール弁4Aの要求流量を減算したものと、第二油圧ポンプ10Bが吐出しうる最大流量から第二コントロール弁4Bの要求流量を減算したものとの第一比率(k1:k2)を算出するポンプ余剰流量比率算出手段として機能している。
また、本実施形態における乗算器24A,24B,バルブ開度設定器27A,27B,バルブ指令値変換器29A,29Bは、第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4の作動油流量の比率が第一比率(k1:k2)と等しくなるように、第三油圧回路L3の作動油流量及び第四油圧回路L4の作動油流量を設定するとともに、第一電磁比例絞り弁1A及び第二電磁比例絞り弁1Bを制御する優先流量設定手段として機能している。
【0057】
また、本実施形態における加算器25A,25B,リミッタ26A,26B,指令値変換器28A,28Bは、第一油圧ポンプ10Aの吐出流量が第三油圧回路L3の作動油流量及び第一コントロール弁4Aの要求流量を加算した流量と等しくなるように第一電磁比例減圧弁8Aを制御する第一油圧ポンプ10Aのネガコン圧制御手段として機能しており、さらに、第二油圧ポンプ10Bの吐出流量が第四油圧回路L4の作動油流量及び第二コントロール弁4Bの要求流量を加算した流量と等しくなるように第二電磁比例減圧弁8Bを制御するネガコン圧制御手段として機能している。
【0058】
[5.作用]
上記のような構成により、本油圧制御回路は以下のように作用する。
[5−1.フロントの単動操作時]
例えば、ブーム43やアーム44といったフロント作業機のみを操作した時には、圧力センサ9で検出される圧力PH1が最小値であってアタッチメント用の操作レバーが操作されていないと判断される。これにより、電磁切換弁3A,3Bがオフ(流通)に制御され、第六油圧回路L6及び第八油圧回路L8がタンク15へと開放される。そのため、圧力補償弁2Aのスプールが図2中左側へ、圧力補償弁2Bのスプールが図2中右側へ移動し、第一流路2aが完全に閉鎖される。
【0059】
つまり、第一流路2a側の作動油流量がゼロになり、第一油圧ポンプ10Aから吐出される作動油は全て第一油圧回路L1へ供給され、第二油圧ポンプ10Bから吐出される作動油は全て第二油圧回路L2へ供給されることになる。したがって、油圧ポンプ10A,10Bの全出力がブームシリンダ43a及びアームシリンダ44aの駆動に割り当てられる。
【0060】
またこのとき、第二電磁切換弁6A,6Bもオフ(流通)に制御されるため、ネガコン回路L12,L13には第一油圧回路L1及び第二油圧回路L2の作動油圧が導かれることになる。一方、電磁比例減圧弁8A,8Bはオフに制御されるため、電磁比例減圧弁8A,8Bの二次圧はタンク圧となる。したがって、シャトル弁12A,12Bでは第一油圧回路L1及び第二油圧回路L2の作動油圧がネガコン圧として選択されることになり、通常のネガコン制御が実施される。
【0061】
[5−2.アタッチメントの単動操作時]
アタッチメントであるツインヘッダ46の単動操作時には、アタッチメント用の操作レバーの操作量が圧力センサ9で検出されるため、電磁切換弁3A,3B及び第二電磁切換弁6A,6Bがオン(遮断)に制御され、優先切換回路L9が遮断される。これにより、第六油圧回路L6及び第八油圧回路L8のそれぞれが圧力補償弁2A,2Bのパイロット回路として機能する。
【0062】
第六油圧回路L6及び第八油圧回路L8の作動油圧は、オリフィス16を経て導入される圧力であるため、油圧ポンプ10A,10Bの吐出圧よりも減圧された大きさとなっている。一方、圧力補償弁2A,2Bの他方のパイロット圧にはそれぞれ、第五油圧回路L5及び第七油圧回路L7を介して油圧ポンプ10A,10Bの吐出圧が導入される。
これにより、圧力補償弁2A,2Bにおける第一流路2aの上流側と下流側との差圧が一定に保持されるため、第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4へ常時一定の作動油を流通させることが可能となる。例えば、第一油圧ポンプ10A側では、ポンプの吐出圧に影響を受けることなく、第三油圧回路L3を流れる作動油流量が一定となり、その流量は電磁比例絞り弁1Aの開度によって定められることになる。第二油圧ポンプ10B側でも同様であり、第四油圧回路L4の作動油流量は第二油圧ポンプ10Bの吐出圧が変化したとしても一定量となる。また、第一油圧回路L1及び第二油圧回路L2側へは、残りの作動油が流れることになる。
【0063】
また、電磁比例減圧弁8A,8Bの開度は、ツインヘッダ46の要求流量FRを含む実供給量と等しい作動油流量が得られるように制御される。フロント作業機の非作動時には、油圧モータ46aの回転に必要な流量だけ供給されることになるため、第一油圧回路L1及び第二油圧回路L2側へ流れる作動油流量も最小限となり、余剰流量が大幅に減少する。
【0064】
一方、電磁比例絞り弁1A,1Bの開度は、ツインヘッダ46の操作レバーの操作量に応じて、油圧モータ46aに要求されている要求流量FR(アタッチメントの要求流量)が第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4の双方から供給される作動油の合計と等しくなるように制御される。このとき、フロント作業機が作動していないため、圧力センサ7A,7Bで検出される作動油圧PH2,PH3は同一の値となり、アタッチメント流量係数k1,k2も等しくなる。したがって、第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4を流通する作動油流量の比率は1:1となる。
【0065】
[5−3.フロント及びアタッチメントの連動操作時]
フロント作業機及びアタッチメントの連動時、例えばアーム44及びツインヘッダ46の連動操作時には、アタッチメントの単動操作時と同様に、電磁切換弁3A,3B及び第二電磁切換弁6A,6Bがともにオン(遮断)に制御され、圧力補償弁2A,2Bにおける圧力補償制御がなされる。また、電磁比例絞り弁1では、油圧モータ46aに要求されている要求流量FRが第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4の双方から供給される作動油の合計と等しくなるように、開度が制御される。
【0066】
一方、電磁比例減圧弁8A,8Bは、フロント作業機側で要求される作動油流量とアタッチメント側で要求される作動油流量との合計が各油圧ポンプ10A,10Bから吐出される大きさのネガコン圧が得られるように開度制御がなされる。これにより、電磁比例減圧弁8の開度は、アタッチメントとフロントとをともに駆動するのに必要なポンプ流量を与えるネガコン圧が得られるように調整される。
【0067】
第一油圧回路L1及び第三油圧回路L3で要求されている作動油流量が第一油圧ポンプ10Aから吐出され、第二油圧回路L2及び第四油圧回路L4で要求されている作動油流量が第二油圧ポンプ10Bから吐出される。
つまり、油圧ポンプ10A,10Bからの作動油の各吐出量が、レギュレータ11A,11Bによってアームシリンダ44a,油圧モータ46aの駆動に必要十分な適量に制御されることになる。したがって、第一油圧回路L1から第四油圧回路L4までの全ての油圧回路に過不足なく作動油が供給され、アーム44とツインヘッダ46との連動性が向上する。
【0068】
[6.効果]
本油圧制御回路によれば、第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4を流通するアタッチメント用の作動油流量の比率を第一油圧ポンプ10A及び第二油圧ポンプ10Bの余剰能力に応じた比率に設定することができ、バランス良く各油圧ポンプを運用することができる。
【0069】
例えば、第一油圧ポンプ10Aが最大出力の20%,第二油圧ポンプ10Bが最大出力の60%で作動している場合、余剰能力の比率は、2:1となる。そこで、アタッチメント側へ供給する作動油流量の比率をこれに倣って2:1にすれば、何れか一方に余力が残っている状態で他方がオーバーワークになる(出力上限値になる)ことを防止することができる。したがって、アタッチメントとフロント作業機との連動操作性を向上させることができる。
【0070】
また、各油圧ポンプ10A,10Bの余剰能力に応じて配分されたアタッチメント用の作動油流量に対し、ネガコン圧に応じたフロント作業機用の作動油流量を加算することによって、最終的なレギュレータ11A,11Bの制御用のネガコン圧を設定しているため、過不足のない作動油流量を確保することができる。
なお、アタッチメント用アクチュエータが複数設けられている場合であっても、それらの全てのアクチュエータが要求する作動油流量を過不足なく第三油圧回路L3及び第四油圧回路L4へ供給することができる。
【0071】
また、本実施形態では、ネガコン回路L12,13に第二電磁切換弁6A,6Bを介装させるという簡素な構成で、フロント作業機のみの作動時には、第一油圧回路L1及び第二油圧回路L2のネガコン圧を油圧ポンプ10A,10Bへ導入して(すなわち、通常のネガコン制御により)、各アクチュエータの作動に必要十分な作動油流量を確保することができる。また、アタッチメント用の油圧モータ46aの作動時には、この第二電磁切換弁6A、6Bを閉鎖することにより、ネガコン回路L11内で必要十分な作動油流量を任意に設定することができ、アタッチメントの単動及び連動作業性を高めることができる。
【0072】
また、優先回路L10内に第一圧力補償弁2A及び第二圧力補償弁2Bを介装させることにより、アタッチメント側への回路L3,L4へ流通する作動油流量の確保が容易となる。
また、優先切換回路L9上の電磁切換弁3A,3Bを開放することで第一圧力補償弁2A及び第二圧力補償弁2Bにおける圧力補償作用が停止するため、アタッチメントへの作動油供給を停止させることも容易である。これにより、フロント作業機の単動時における作業効率を向上させることができる。また、ポンプ流量を有効に活用することができ、油圧エネルギの浪費を抑えることができる。
【0073】
[7.その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態ではブーム43,アーム44及びツインヘッダ46の駆動に係る油圧回路が例示されているが、本発明の油圧制御回路は、アタッチメントとその他の油圧アクチュエータとを備えた油圧回路に広く適用可能である。すなわち、ブームシリンダ43aやアームシリンダ44a以外の油圧シリンダ45aや上部旋回体41の旋回装置、下部走行体42の走行装置等のアクチュエータを駆動する油圧回路を具備した油圧回路に適用してもよい。また、ツインヘッダ46だけでなくブレーカやマグネット,グラップルカッター等、油圧シリンダ,油圧モータで駆動される各種油圧装置をアタッチメントとして具備した油圧回路に適用することができる。
【0074】
なお、上述の実施形態における優先回路L10やネガコン回路L11に関しても必須ではなく、少なくとも二系統の油圧回路の各々に油圧ポンプを有するとともに、各油圧ポンプからアタッチメント側へ接続された二本の作動油供給ラインを有する油圧回路において、アタッチメントへの作動油供給量を各油圧ポンプの余剰流量の比率で分配するものであればよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、ネガコン回路L11から導入されるネガコン圧を利用した油圧ポンプ10A,10Bの出力制御が行われているが、ネガコン回路L11に係る構成は省略することが可能である。同様に、電磁切換弁3A,3B及び第二電磁切換弁6A,6Bの開度制御に関して、上述の実施形態ではコントローラ20を介した制御が行われているが、このような電子制御の代わりに、物理的にこれらの電磁切換弁3A,3B,6A,6Bを開閉するパイロット制御機構を備えた構成とすることも考えられる。少なくとも、上記の表1に記載されたような対応関係で各弁の開度が制御されるようなものであればよい。
【0076】
また、上述の実施形態では、図3に示すように圧力センサ9を用いてツインヘッダ46の操作レバーへの操作量を検出しているが、例えば電子式操作レバーの場合には電気的に操作量を検出する構成としてもよい。
また、上述の実施形態では、本発明を油圧ショベル40の油圧回路に適用したものを例示したが、本発明の適用対象はこれに限定されず、ブルドーザやホイールローダ,油圧式クレーン等様々な作業機械の油圧回路に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係る油圧制御回路が適用された油圧ショベルの全体構成を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る油圧制御回路の全体構成を示す油圧回路図及び制御ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る油圧制御回路におけるアタッチメント用アクチュエータの操作レバーに係る油圧回路図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る油圧制御回路に係るコントローラの制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
1A,1B 電磁比例絞り弁(第一電磁比例絞り弁,第二電磁比例絞り弁)
2A,2B 圧力補償弁(第一圧力補償弁,第二圧力補償弁)
2a 第一流路
2b 第二流路
3A,3B 電磁切換弁
4A,4B メインコントロール弁(第一コントロール弁,第二コントロール弁)
4C アタッチメント用コントロール弁
5A,5B ネガコン用リリーフ弁
5C アタッチメント用リリーフ弁
6A,6B 第二電磁切換弁
7A,7B 圧力センサ(第一圧力センサ,第二圧力センサ)
8A,8B 電磁比例減圧弁(第一電磁比例減圧弁,第二電磁比例減圧弁)
9 圧力センサ(操作量検出手段)
10A 第一油圧ポンプ
10B 第二油圧ポンプ
11A,11B レギュレータ
12A,12B,17 シャトル弁
13 エンジン
14 パイロット油圧ポンプ
15 タンク
16 オリフィス
18a,18b アタッチメント用リモコン弁
20 コントローラ
21 アタッチメント流量設定器(第二設定手段)
22A,22B メイン流量設定器(第一設定手段)
23 流量比演算器(ポンプ余剰流量比率算出手段)
24A,24B 乗算器(優先流量設定手段の一つ)
25A,25B 加算器(ネガコン圧制御手段の一つ)
26A,26B リミッタ(ネガコン圧制御手段の一つ)
27A,27B バルブ開度設定器(優先流量設定手段の一つ)
28A,28B 指令値変換器(ネガコン圧制御手段の一つ)
29A,29B バルブ指令値変換器(優先流量設定手段の一つ)
40 油圧ショベル
41 上部旋回体
42 下部走行体
43 ブーム(フロント作業機の一つ)
43a ブームシリンダ(第一アクチュエータ)
44 アーム(フロント作業機の一つ)
44a アームシリンダ(第二アクチュエータ)
45a バケットシリンダ
46 ツインヘッダ(アタッチメント)
46a 油圧モータ(アタッチメント用アクチュエータ)
47 キャブ
48 エンジンルーム
L1 第一油圧回路
L2 第二油圧回路
L3 第三油圧回路
L4 第四油圧回路
L5 第五油圧回路
L6 第六油圧回路
L7 第七油圧回路
L8 第八油圧回路
L9 優先切換回路
L10 優先回路
L11 ネガコン回路
L12 第一ネガコン回路
L13 第二ネガコン回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のフロント作業機を駆動せしめる第一アクチュエータ及び第二アクチュエータと、該フロント作業機に装着されるアタッチメントを駆動せしめるアタッチメント用アクチュエータと、それらのアクチュエータの駆動源である第一油圧ポンプ及び第二油圧ポンプを有する作業機械の油圧制御回路において、
該第一油圧ポンプと該第一アクチュエータとを接続する第一油圧回路と、
該第二油圧ポンプと該第二アクチュエータとを接続する第二油圧回路と、
該第一油圧ポンプと該アタッチメント用アクチュエータとを接続する第三油圧回路と、
該第二油圧ポンプと該アタッチメント用アクチュエータとを接続する第四油圧回路と、
該第一油圧回路上に介装され、該第一アクチュエータへ供給される作動油流量及び流通方向を制御する第一コントロール弁と、
該第二油圧回路上に介装され、該第二アクチュエータへ供給される作動油流量及び流通方向を制御する第二コントロール弁と、
該第三油圧回路上に介装され、開度を変更可能に形成された第一電磁比例絞り弁と、
該第四油圧回路上に介装され、開度を変更可能に形成された第二電磁比例絞り弁と、
該第一コントロール弁の第一ネガコン圧を検出する第一圧力センサと、
該第二コントロール弁の第二ネガコン圧を検出する第二圧力センサと、
該第一ネガコン圧及び該第二ネガコン圧に基づいて、該第一コントロール弁及び該第二コントロール弁の要求流量をそれぞれ設定する第一設定手段と、
該アタッチメント用アクチュエータの操作レバーへの操作量を検出する操作量検出手段と、
該操作量検出手段で検出された該操作量に応じて該アタッチメント用アクチュエータの要求流量を設定する第二設定手段と、
該第一油圧ポンプが吐出しうる最大流量から第一コントロール弁の要求流量を減算したものと、該第二油圧ポンプが吐出しうる最大流量から第二コントロール弁の要求流量を減算したものとの第一比率を算出するポンプ余剰流量比率算出手段と、
該第三油圧回路及び該第四油圧回路の作動油流量の比率が該第一比率と等しくなるように、該第三油圧回路の作動油流量及び該第四油圧回路の作動油流量を設定するとともに、該第一電磁比例絞り弁及び該第二電磁比例絞り弁を制御する優先流量設定手段と
を備えたことを特徴とする、作業機械の油圧制御回路。
【請求項2】
該第一コントロール弁の下流側からブリードオフされる作動油を該第一油圧ポンプへと導く第一ネガコン回路と、
該第二コントロール弁の下流側からブリードオフされる作動油を該第二油圧ポンプへと導く第二ネガコン回路と、
該第一ネガコン回路及び該第二ネガコン回路にそれぞれ介装され、作動油流路を開閉自在に形成された第一電磁比例減圧弁及び第二電磁比例減圧弁と、
該第一油圧ポンプの吐出流量が該優先流量設定手段で設定された該第三油圧回路の作動油流量及び該第一設定手段で設定された該第一コントロール弁の要求流量を加算した流量と等しくなるように該第一電磁比例減圧弁を制御し、かつ、該第二油圧ポンプの吐出流量が該優先流量設定手段で設定された該第四油圧回路の作動油流量及び該第一設定手段で設定された該第二コントロール弁の要求流量を加算した流量と等しくなるように該第二電磁比例減圧弁を制御するネガコン圧制御手段とをさらに備えた
ことを特徴とする、請求項1記載の作業機械の油圧制御回路。
【請求項3】
該第一ネガコン回路及び該第二ネガコン回路に介装された第二電磁切換弁をさらに備えた
ことを特徴とする、請求項2記載の作業機械の油圧制御回路。
【請求項4】
該第一油圧回路及び第二油圧回路の双方に介装され、該第一油圧回路及び該第二油圧回路の差圧を保持して該第一油圧ポンプから該アタッチメント用アクチュエータへ供給される一定の作動油流量を確保する第一圧力補償スプールを有する第一圧力補償弁と、
該第三油圧回路及び第四油圧回路の双方に介装され、該第三油圧回路及び該第四油圧回路の差圧を保持して該第二油圧ポンプから該アタッチメント用アクチュエータへ供給される一定の作動油流量を確保する第二圧力補償スプールを有する第二圧力補償弁と、
該第一電磁比例絞り弁の上流側と該第一圧力補償スプールの一端側とを接続して、該第一油圧回路への作動油流量を増加させる方向へ該第一圧力補償スプールを駆動する第五油圧回路と、
該第一電磁比例絞り弁の下流側と該第一圧力補償スプールの他端側とを接続して、該第三油圧回路への作動油流量を増加させる方向へ該第一圧力補償スプールを駆動する第六油圧回路と、
該第二電磁比例絞り弁の上流側と該第二圧力補償スプールの一端側とを接続して、該第二油圧回路への作動油流量を増加させる方向へ該第二圧力補償スプールを駆動する第七油圧回路と、
該第二電磁比例絞り弁の下流側と該第二圧力補償スプールの他端側とを接続して、該第四油圧回路への作動油流量を増加させる方向へ該第二圧力補償スプールを駆動する第八油圧回路とをさらに備えた
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の作業機械の油圧制御回路。
【請求項5】
該第六油圧回路及び第八油圧回路と作動油タンクとを接続する優先切換回路と、
該優先切換回路上に介装された電磁切換弁とをさらに備えた
ことを特徴とする、請求項4記載の作業機械の油圧制御回路。
【請求項6】
フロント作業機用の二系統の油圧回路の各々に油圧ポンプを有するとともに、各油圧ポンプから分岐形成されたアタッチメント用の二本の作動油供給ラインを有する油圧回路において、
該油圧回路のそれぞれにおけるネガコン圧に応じて、該油圧回路のそれぞれの第一要求流量を設定する第一設定手段と、
アタッチメントの操作量に応じて該作動油供給ラインの第二要求流量を設定する第二設定手段と、
各油圧ポンプが吐出しうる最大流量から該油圧回路のそれぞれの該第一要求流量を減算して各油圧ポンプの余剰流量を算出し、かつ、該余剰流量の比率を算出するポンプ余剰流量比率算出手段と、
該第二要求流量を該余剰流量の比率で分配して該各油圧ポンプに吐出させる優先流量設定手段と
を備えたことを特徴とする、作業機械の油圧制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−59738(P2010−59738A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228596(P2008−228596)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】