作業車両
【課題】農用作業車のオペレータの疲労軽減。
【解決手段】農用作業車両のキャビン1内に設けられている操縦席2と、操縦席2で作業車両の走行操作及び作業操作をしているオペレータの疲労度を、例えば脈拍や血圧等の変化から検出する疲労検出センサ11と、疲労検出センサ11の所定値以上の疲労検出に基づき作動する疲労軽減手段16を具備し、オペレータの疲労度が所定値以上になると、疲労軽減手段16が作動し、例えばキャビン1内に香りを放出するものである。
【解決手段】農用作業車両のキャビン1内に設けられている操縦席2と、操縦席2で作業車両の走行操作及び作業操作をしているオペレータの疲労度を、例えば脈拍や血圧等の変化から検出する疲労検出センサ11と、疲労検出センサ11の所定値以上の疲労検出に基づき作動する疲労軽減手段16を具備し、オペレータの疲労度が所定値以上になると、疲労軽減手段16が作動し、例えばキャビン1内に香りを放出するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業、土木作業等に利用される作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
継続刺激制御装置において、覚醒リズム周期計測装置にて計測した覚醒リズムを入力し、次いで、覚醒リズムの半周期を計算し、次いで、計算した前記半周期をもとに、人間に断続的に提示する刺激の時間を算出し、次いで、人間に対して刺激として、例えば、CDプレーヤからの音楽を断続的に発生して、作業者の覚醒低下を防止するものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−222802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術は、静かな作業空間でのオペレータの覚醒、即ち、眠気を防止するためのものであり、農用作業車のオペレータのように、凹凸のある圃場で走行操縦及び作業操縦をしなければならないものの疲労の回復を図るものには適用できないものであった。そこで、この発明は、このような比較的厳しい運転状況にあるオペレータの運転疲労の回復を図れる作業車両を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、作業車両のキャビン(1)内に搭乗したオペレータの疲労度を検出する疲労度検出手段(11)と、該疲労度検出手段(11)による疲労度検出結果が所定値以上になることに基づいて作動する疲労軽減手段(16)とを設けたことを特徴とする作業車両とする。
【0005】
前記構成によると、作業車両のキャビン1内で走行操作及び作業操作を行うオペレータに対して、疲労度検出手段11により、例えば、脈拍や血圧等から疲労度が検出され、この疲労度が所定値以上になると、疲労軽減手段16が作動し、例えばキャビン1内に香りが放出される。
【0006】
請求項2の発明は、前記疲労度検出手段(11)を、所定時間(t)内における作業中断回数に基づいて疲労度を検出するものとしたことを特徴とする請求項1記載の作業車両とする。
【0007】
前記構成によると、作業車両に搭乗したオペレータの走行操作及び作業操作中に、例えば車速センサからの停止検出情報により、所定時間t内における作業中断回数を測定して、この作業中断回数が所定回数を超えると、作業中断によるストレスによってオペレータが疲労したと判定し、疲労軽減手段16が作動して、例えばキャビン1内に香りが放出される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によると、オペレータの例えば脈拍や血圧等の身体情報から走行操作及び作業操作による疲労度を検出し、オペレータの疲労やストレスが高くなると、例えばキャビン1内に香りを放出することにより、身体の疲労の軽減及び注意力の喚起を図り、作業の効率化や安全性の向上を図ることができる。
【0009】
請求項2記載の発明によると、作業中断によってオペレータが受けるストレスに起因した疲労度を検出し、適切なタイミングで疲労回復を図ることができ、作業の効率化や安全性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下この発明の実施形態について説明する。
例えば、コンバイン等の農用作業車の穀稈の刈取作業時には、オペレータは刈取穀稈の条合わせながらの走行操作や、刈取穀稈の脱穀部への供給深さの確認や、刈取搬送部の穀稈の詰まり等の確認をしながら、畔際での方向変換時の走行操作、作業部の動力の入切、昇降等の作業操作を行なうため、大きな負担がかかりながらの作業となる。
【0011】
この実施形態は、キャビン付き車両において、オペレータの疲労やストレス等の身体状態の疲労度を検出する検出器を設け、この検出器による身体の疲労、ストレスの検出状態に応じて例えばオペレータの周囲に香りを放出し、身体的負担の軽減を図り、安全運転に寄与しようとするものである。
【0012】
例えば、図1に示すように、農用作業車の一種であるコンバインのキャビン1には操縦席2を設け、操縦席2に座って運転操作するオペレータの腕には疲労検出センサ(疲労度検出手段)11を取り付け、疲労検出センサ11により例えば脈拍の乱れや、血圧等を検出し心身の疲労度を検出する。また、キャビン1の前側上部には疲労軽減装置16を設け、例えばアルファビネンの香りをオペレータに向けて放出するように構成している。そして、図2に示すように、コントローラ6の入力側に疲労検出センサ11を接続し、コントローラ6の出力側に疲労軽減装置16を接続している。
【0013】
疲労検出センサ11は、図1に示すように、オペレータの腕に取り付け、脈拍、血圧、発汗量等を検出し、検出情報はコントローラ6に入力され、図5(B)に示すように、脈拍等がしきい値を超えると、疲労、ストレスが増大したと判定するように構成している。
【0014】
図3のフローに示すように、疲労検出センサ11の測定情報がコントローラ6に入力されると(ステップS1)、所定の計算式により脈拍の乱れなどから疲労度が算出され(ステップS2)、疲労度が設定基準値以上になると疲労状態と判定し(ステップS3)、疲労軽減装置16から香りを放出する。
【0015】
前記構成によると、オペレータの脈拍等の身体情報により精度の高い疲労度、ストレス度を測定することができ、オペレータの疲労、ストレスが高くなると、例えば香りを放出することにより、疲労の軽減及び注意力の喚起を図り、運転作業の効率化や安全性の向上を図ることができる。
【0016】
次に、疲労検出センサ11の他の実施形態について説明する。図4に示すように、疲労検出センサ11の脈拍や血圧等の測定情報を順次記憶し、測定値が時間の経過により所定比率以上に増加すると、オペレータの疲労度、ストレス度が上昇したと判定する。このように構成することにより、オペレータの体力や疲労度に個人差があっても、疲労度を正確に測定することができ、個人に合った疲労回復を図ることができる。
【0017】
次に、疲労検出センサ11の他の実施形態について説明する。図6に示すように、コンバイン等の農用作業車で作業をする際に、所定時間(t)内に作業中断回数が所定回数以上になると、疲労度、ストレス度が高まったと判定する。例えば、図6(A)に示すように、コンバインの刈取作業中に車速センサ(図示省略)により走行停止を検出すると作業中断と判定し、所定時間内に所定回数以上の作業中断がありしきい値を超えると、オペレータの疲労度、ストレス度が上昇したと判定する。このように構成すると、オペレータの作業中断によるメンテナンス作業を加味して適正な疲労度の測定をすることができ、適切なタイミングで疲労回復を図ることができる。
【0018】
また、前記疲労軽減装置16による疲労軽減方法として、音楽、1/fゆらぎのある音楽、操縦席2の振動、キャビン1内の温度が高いときの冷気の供給、温度が低いときの暖気の供給等がある。
【0019】
また、図7に示すように構成してもよい。キャビン1内のエンジン騒音をアクティブノイズコントロール装置17により少なくして、前記疲労軽減装置16から1/fゆらぎのある音楽等を流すように構成してもよい。
【0020】
キャビン1内の操縦席2に着座しているオペレータの頭部H位置近傍には、アクティブノズルコントロール装置17を設けている。このアクティブノズルコントロール装置17は、図7(A)及び(B)に示すように、アクティブノズル制御部17aに、左右参照マイク17b,17b、左右誤差マイク17c,17c、左右消音スピーカー17d,17dをそれぞれ接続して構成しいる。
【0021】
そして、コントローラ6の入力側には、疲労検出センサ11を接続し、コントローラ6の出力側に、アクティブノズルコントロール装置17、疲労軽減装置16を接続している。
【0022】
前記構成によると、オペレータの耳元に入る騒音をアクティブノズルコントロール装置17により減音キャンセルした後に、疲労軽減装置16から例えば1/fゆらぎのある音楽等を流すので、効果的に疲労及びストレスの軽減を図ることができる。
【0023】
次に、図7乃至図10に基づき、他の実施形態について説明する。
操縦席2の着座部2aに湿度センサ12を内装し、オペレータの発汗量を検出するように構成している。また、操縦席2の着座部2aの表面を通気性表面シート2bで覆い、着座部2aの上面と通気性表面シート2bの下面との間にチューブ2cを内装し、チューブ2cに空気を給排し、チューブ2cが脹らみ着座部2aの表面に凹凸を形成したり、あるいは、チューブ2cから空気を抜いて縮んだ着座部2aの表面をフラットに変更できるように構成している。
【0024】
図9に示すように、コントローラ6の入力側には、湿度センサ12、チューブ2c内の空気圧を検出する圧力センサ13を接続し、コントローラ6の出力側に、加圧装置14、排気バルブ15を接続している。
【0025】
図10に示すように、制御が開始されると、湿度センサ12の測定が開始され(ステップS1)、オペレータの発汗状態か否かが判定される(ステップS2)。発汗状態であると(ステップS2)、加圧装置13の加圧が開始され、操縦席2の着座部2aのチューブ2cに空気の供給が開始される(ステップS3)。次いで、圧力センサ13によりチューブ2c内の空気圧が測定され(ステップS4)、空気圧が設定圧力になると(ステップS5)、加圧装置14の加圧が停止される。
【0026】
また、発汗状態でないと(ステップS2)、次いで、加圧装置13が加圧状態か否かの判定をし、加圧状態であると、排気バルブ15を作動し、チューブ2c内の空気を排出する。
【0027】
前記構成によると、操縦席2の着座部2aが発汗状態であると、着座部2aのチューブ2cに空気を送り込み、着座部2aに凹凸を形成し、オペレータの身体と着座部2aと間の通気性を向上させ、オペレータの不快感を和らげることができる。
【0028】
また、操縦席2の背もたれ部2dの表面を同様に通気性表面シート2bで覆い、背もたれ部2dの上面と通気性表面シート2bの下面との間にチューブ2cを内装し、チューブ2cに空気を給排し、チューブ2cが脹らみ背もたれ部2dの表面に凹凸を形成したり、あるいは、チューブ2cから空気を抜いて縮んだ背もたれ部2dの表面をフラットに変更できるように構成し、操縦席2の着座部2aが発汗状態であると、チューブ2cに空気を送り込み、背もたれ部2dに凹凸を形成し、通気性を向上させオペレータの不快感を和らげるようにしてもよい。
【0029】
また、図11に示すように構成してもよい。操縦席2の着座部2a及び背もたれ部2dの上面と通気性表面シート2bの下面との間に伸縮するチューブ2cを内装し、チューブ2cに空気を給排してチューブ2cを伸縮させ、着座部2a、背もたれ部2dの表面にチューブ2cが拡大した凹凸形成状態、あるいは、チューブ2cを縮小したフラット状態に変更できるように構成する。そして、操縦席2の着座部2aが発汗状態になると、チューブ2cを拡大し、着座部2a、背もたれ部2dに凹凸を形成し、通気性を向上させオペレータの不快感を和らげるようにする。
【0030】
前記構成によると、柔軟性のあるチューブ2cを拡大縮小して操縦席2の着座部2a及び背もたれ部2dに凹凸を形成するため、オペレータの身体形状にフィットしながら通気性を向上させることができる。
【0031】
また、図12に示すように構成してもよい。操縦席2の着座部2a及び背もたれ部2dの上面と通気性表面シート2bの下面との間に、微細な通気孔を多数構成したチューブ2cを内装し、チューブ2cに空気を給排し、空気供給状態ではチューブ2cを膨らましながら通気孔から空気を吹き出すように構成する。そして、操縦席2の着座部2aの発汗状態を検出すると、チューブ2cに空気を供給し、着座部2a及び背もたれ部2dのチューブ2cを膨らまし通気孔から空気を噴出させ、操縦席2の着座部2a及び背もたれ部2dの蒸れを解消し、オペレータの不快感を和らげる。
【0032】
なお、チューブ2cの空気供給状態を圧力センサ13により検出し、前記加圧装置14及び排気バルブ15を作動し、所定空気圧を保ちながらチューブ2cの通気孔から所定圧の空気を噴出するようにすると、操縦席2の噴出空気の流れが安定し、安定した除湿効果を維持することができる。
【0033】
次に、図13に基づき他の実施形態について説明する。
コンバインのキャビン1内の操縦席2の前方には、フロント操作ボックス3aを配設し、このフロント操作ボックス3aの右側端部には、操作レバー4を設けている。この操作レバー4を前後左右に操作すると、コンバインの前後走行、停止及び左右操舵ができ、また、操作レバー4の握持部4aに設けたスイッチ操作により、刈取作業部が昇降するように構成している。
【0034】
操作レバー4を、車体が停止する中立位置から前方に操作すると前進し、中立位置から後方に操作すると後進し、前後進操作状態で左右に操作すると前進あるいは後進状態で左右に方向変換でき、刈取作業中はオペレータは常時操作レバー4の握持部4aを握り、前方を注視し刈取穀稈の条合わせをしながら刈取作業をするものである。
【0035】
そして、この操作レバー4の握持部4aには、定電流部5a及び抵抗測定部5bからなる電流測定部5が設けられている。しかして、オペレータの電流測定部5を握っている手の発汗状態により、定電流部5a、抵抗測定部5b間の電気抵抗値の変化に基づく電流値の変化がコントローラ6に入力される。しかして、オペレータが運転操作中にヒヤリとした時、あるいは、長時間の継続操縦により疲労が蓄積した時には発汗量が増加する。これらの測定電流値の変化及び電流値増加の測定回数から所定の計算式により疲労度を測定するものである。
【0036】
前記構成によると、構成を簡単化しながらオペレータの疲労度を測定することができる。
次に、図14に基づき農用作業車であるコンバインの走行変速装置について説明する。
【0037】
図14(A)に示すように、エンジン21の動力が変速機22に伝達されると、高速クラッチ22aを経由し高速伝動経路22b、あるいは、低速クラッチ22cを経由し低速伝動経路22dを経てHST(油圧無段変速装置)23に伝達される。そして、HST23で正逆切り替え及び無段変速されて、更に、ミッションケース(図示省略)内の主変速装置(図示省略)で変速され、走行装置(図示省略)あるいは作業装置(図示省略)に伝達される構成である。
【0038】
そして、図14(B)に示すように、コントローラ6の入力側には、エンジン回転センサ24を接続し、コントローラ6の出力側には、変速機22のクラッチ切替用の変速モータ25を接続している。
【0039】
前記構成によると、エンジン21が基準回転数よりも高速回転になると、コントローラ6の低速変速指令に基づき変速モータ25により変速機22が低速側に切り替えられ、また、エンジン21がアイドリング状態となり、基準回転数よりも低速回転になると、コントローラ6の高速変速指令に基づき変速モータ25により変速機22が高速側に切り替えら、HST23に所定回転数の動力が伝達される。
【0040】
従来装置では、エンジン21の回転数が低下すると、HST23の使用範囲が下回ることになり、耐久性不良や故障するという不具合があった。しかし、前記構成によると、エンジン21の回転数が高低に変化しても、HST23を所定回転数に維持することができ、HST23の使用範囲を広範囲に維持し、前記不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】農用作業車のキャビンの側面図
【図2】制御ブロック図
【図3】フローチャート
【図4】作業時間と血圧、脈拍の関係を示すグラフ
【図5】(A)作業時間と血圧、脈拍の関係を示すグラフ (B)作業時間と変化率の関係を示すグラフ
【図6】(A)車速センサによる作業中断の測定を示す図 (B)作業中断回数とストレス度合との関係を示す図
【図7】(A)オペレータとアクティブノズルコントロール装置を示す図 (B)アクティブノズルコントロール装置のブロック図 (C)制御ブロック図
【図8】(A)操縦席の側面図 (B)操縦席の切断側面図 (C)操縦席の切断側面図
【図9】制御ブロック図
【図10】フローチャート
【図11】(A)操縦席の側面図 (B)操縦席の切断側面図 (C)操縦席の切断側面図
【図12】(A)操縦席の側面図 (B)操縦席の切断側面図 (C)操縦席の切断側面図
【図13】(A)キャビン内の斜視図 (B)操作レバーの正面図 (C)制御ブロック図
【図14】(A)伝動ブロック図 (B)制御ブロック図 (C)エンジンの回転数とHSTの回転数を示す図
【符号の説明】
【0042】
1 キャビン1
6 疲労軽減手段
11 疲労検出センサ(疲労度検出手段)
16 疲労軽減手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業、土木作業等に利用される作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
継続刺激制御装置において、覚醒リズム周期計測装置にて計測した覚醒リズムを入力し、次いで、覚醒リズムの半周期を計算し、次いで、計算した前記半周期をもとに、人間に断続的に提示する刺激の時間を算出し、次いで、人間に対して刺激として、例えば、CDプレーヤからの音楽を断続的に発生して、作業者の覚醒低下を防止するものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−222802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術は、静かな作業空間でのオペレータの覚醒、即ち、眠気を防止するためのものであり、農用作業車のオペレータのように、凹凸のある圃場で走行操縦及び作業操縦をしなければならないものの疲労の回復を図るものには適用できないものであった。そこで、この発明は、このような比較的厳しい運転状況にあるオペレータの運転疲労の回復を図れる作業車両を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、作業車両のキャビン(1)内に搭乗したオペレータの疲労度を検出する疲労度検出手段(11)と、該疲労度検出手段(11)による疲労度検出結果が所定値以上になることに基づいて作動する疲労軽減手段(16)とを設けたことを特徴とする作業車両とする。
【0005】
前記構成によると、作業車両のキャビン1内で走行操作及び作業操作を行うオペレータに対して、疲労度検出手段11により、例えば、脈拍や血圧等から疲労度が検出され、この疲労度が所定値以上になると、疲労軽減手段16が作動し、例えばキャビン1内に香りが放出される。
【0006】
請求項2の発明は、前記疲労度検出手段(11)を、所定時間(t)内における作業中断回数に基づいて疲労度を検出するものとしたことを特徴とする請求項1記載の作業車両とする。
【0007】
前記構成によると、作業車両に搭乗したオペレータの走行操作及び作業操作中に、例えば車速センサからの停止検出情報により、所定時間t内における作業中断回数を測定して、この作業中断回数が所定回数を超えると、作業中断によるストレスによってオペレータが疲労したと判定し、疲労軽減手段16が作動して、例えばキャビン1内に香りが放出される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によると、オペレータの例えば脈拍や血圧等の身体情報から走行操作及び作業操作による疲労度を検出し、オペレータの疲労やストレスが高くなると、例えばキャビン1内に香りを放出することにより、身体の疲労の軽減及び注意力の喚起を図り、作業の効率化や安全性の向上を図ることができる。
【0009】
請求項2記載の発明によると、作業中断によってオペレータが受けるストレスに起因した疲労度を検出し、適切なタイミングで疲労回復を図ることができ、作業の効率化や安全性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下この発明の実施形態について説明する。
例えば、コンバイン等の農用作業車の穀稈の刈取作業時には、オペレータは刈取穀稈の条合わせながらの走行操作や、刈取穀稈の脱穀部への供給深さの確認や、刈取搬送部の穀稈の詰まり等の確認をしながら、畔際での方向変換時の走行操作、作業部の動力の入切、昇降等の作業操作を行なうため、大きな負担がかかりながらの作業となる。
【0011】
この実施形態は、キャビン付き車両において、オペレータの疲労やストレス等の身体状態の疲労度を検出する検出器を設け、この検出器による身体の疲労、ストレスの検出状態に応じて例えばオペレータの周囲に香りを放出し、身体的負担の軽減を図り、安全運転に寄与しようとするものである。
【0012】
例えば、図1に示すように、農用作業車の一種であるコンバインのキャビン1には操縦席2を設け、操縦席2に座って運転操作するオペレータの腕には疲労検出センサ(疲労度検出手段)11を取り付け、疲労検出センサ11により例えば脈拍の乱れや、血圧等を検出し心身の疲労度を検出する。また、キャビン1の前側上部には疲労軽減装置16を設け、例えばアルファビネンの香りをオペレータに向けて放出するように構成している。そして、図2に示すように、コントローラ6の入力側に疲労検出センサ11を接続し、コントローラ6の出力側に疲労軽減装置16を接続している。
【0013】
疲労検出センサ11は、図1に示すように、オペレータの腕に取り付け、脈拍、血圧、発汗量等を検出し、検出情報はコントローラ6に入力され、図5(B)に示すように、脈拍等がしきい値を超えると、疲労、ストレスが増大したと判定するように構成している。
【0014】
図3のフローに示すように、疲労検出センサ11の測定情報がコントローラ6に入力されると(ステップS1)、所定の計算式により脈拍の乱れなどから疲労度が算出され(ステップS2)、疲労度が設定基準値以上になると疲労状態と判定し(ステップS3)、疲労軽減装置16から香りを放出する。
【0015】
前記構成によると、オペレータの脈拍等の身体情報により精度の高い疲労度、ストレス度を測定することができ、オペレータの疲労、ストレスが高くなると、例えば香りを放出することにより、疲労の軽減及び注意力の喚起を図り、運転作業の効率化や安全性の向上を図ることができる。
【0016】
次に、疲労検出センサ11の他の実施形態について説明する。図4に示すように、疲労検出センサ11の脈拍や血圧等の測定情報を順次記憶し、測定値が時間の経過により所定比率以上に増加すると、オペレータの疲労度、ストレス度が上昇したと判定する。このように構成することにより、オペレータの体力や疲労度に個人差があっても、疲労度を正確に測定することができ、個人に合った疲労回復を図ることができる。
【0017】
次に、疲労検出センサ11の他の実施形態について説明する。図6に示すように、コンバイン等の農用作業車で作業をする際に、所定時間(t)内に作業中断回数が所定回数以上になると、疲労度、ストレス度が高まったと判定する。例えば、図6(A)に示すように、コンバインの刈取作業中に車速センサ(図示省略)により走行停止を検出すると作業中断と判定し、所定時間内に所定回数以上の作業中断がありしきい値を超えると、オペレータの疲労度、ストレス度が上昇したと判定する。このように構成すると、オペレータの作業中断によるメンテナンス作業を加味して適正な疲労度の測定をすることができ、適切なタイミングで疲労回復を図ることができる。
【0018】
また、前記疲労軽減装置16による疲労軽減方法として、音楽、1/fゆらぎのある音楽、操縦席2の振動、キャビン1内の温度が高いときの冷気の供給、温度が低いときの暖気の供給等がある。
【0019】
また、図7に示すように構成してもよい。キャビン1内のエンジン騒音をアクティブノイズコントロール装置17により少なくして、前記疲労軽減装置16から1/fゆらぎのある音楽等を流すように構成してもよい。
【0020】
キャビン1内の操縦席2に着座しているオペレータの頭部H位置近傍には、アクティブノズルコントロール装置17を設けている。このアクティブノズルコントロール装置17は、図7(A)及び(B)に示すように、アクティブノズル制御部17aに、左右参照マイク17b,17b、左右誤差マイク17c,17c、左右消音スピーカー17d,17dをそれぞれ接続して構成しいる。
【0021】
そして、コントローラ6の入力側には、疲労検出センサ11を接続し、コントローラ6の出力側に、アクティブノズルコントロール装置17、疲労軽減装置16を接続している。
【0022】
前記構成によると、オペレータの耳元に入る騒音をアクティブノズルコントロール装置17により減音キャンセルした後に、疲労軽減装置16から例えば1/fゆらぎのある音楽等を流すので、効果的に疲労及びストレスの軽減を図ることができる。
【0023】
次に、図7乃至図10に基づき、他の実施形態について説明する。
操縦席2の着座部2aに湿度センサ12を内装し、オペレータの発汗量を検出するように構成している。また、操縦席2の着座部2aの表面を通気性表面シート2bで覆い、着座部2aの上面と通気性表面シート2bの下面との間にチューブ2cを内装し、チューブ2cに空気を給排し、チューブ2cが脹らみ着座部2aの表面に凹凸を形成したり、あるいは、チューブ2cから空気を抜いて縮んだ着座部2aの表面をフラットに変更できるように構成している。
【0024】
図9に示すように、コントローラ6の入力側には、湿度センサ12、チューブ2c内の空気圧を検出する圧力センサ13を接続し、コントローラ6の出力側に、加圧装置14、排気バルブ15を接続している。
【0025】
図10に示すように、制御が開始されると、湿度センサ12の測定が開始され(ステップS1)、オペレータの発汗状態か否かが判定される(ステップS2)。発汗状態であると(ステップS2)、加圧装置13の加圧が開始され、操縦席2の着座部2aのチューブ2cに空気の供給が開始される(ステップS3)。次いで、圧力センサ13によりチューブ2c内の空気圧が測定され(ステップS4)、空気圧が設定圧力になると(ステップS5)、加圧装置14の加圧が停止される。
【0026】
また、発汗状態でないと(ステップS2)、次いで、加圧装置13が加圧状態か否かの判定をし、加圧状態であると、排気バルブ15を作動し、チューブ2c内の空気を排出する。
【0027】
前記構成によると、操縦席2の着座部2aが発汗状態であると、着座部2aのチューブ2cに空気を送り込み、着座部2aに凹凸を形成し、オペレータの身体と着座部2aと間の通気性を向上させ、オペレータの不快感を和らげることができる。
【0028】
また、操縦席2の背もたれ部2dの表面を同様に通気性表面シート2bで覆い、背もたれ部2dの上面と通気性表面シート2bの下面との間にチューブ2cを内装し、チューブ2cに空気を給排し、チューブ2cが脹らみ背もたれ部2dの表面に凹凸を形成したり、あるいは、チューブ2cから空気を抜いて縮んだ背もたれ部2dの表面をフラットに変更できるように構成し、操縦席2の着座部2aが発汗状態であると、チューブ2cに空気を送り込み、背もたれ部2dに凹凸を形成し、通気性を向上させオペレータの不快感を和らげるようにしてもよい。
【0029】
また、図11に示すように構成してもよい。操縦席2の着座部2a及び背もたれ部2dの上面と通気性表面シート2bの下面との間に伸縮するチューブ2cを内装し、チューブ2cに空気を給排してチューブ2cを伸縮させ、着座部2a、背もたれ部2dの表面にチューブ2cが拡大した凹凸形成状態、あるいは、チューブ2cを縮小したフラット状態に変更できるように構成する。そして、操縦席2の着座部2aが発汗状態になると、チューブ2cを拡大し、着座部2a、背もたれ部2dに凹凸を形成し、通気性を向上させオペレータの不快感を和らげるようにする。
【0030】
前記構成によると、柔軟性のあるチューブ2cを拡大縮小して操縦席2の着座部2a及び背もたれ部2dに凹凸を形成するため、オペレータの身体形状にフィットしながら通気性を向上させることができる。
【0031】
また、図12に示すように構成してもよい。操縦席2の着座部2a及び背もたれ部2dの上面と通気性表面シート2bの下面との間に、微細な通気孔を多数構成したチューブ2cを内装し、チューブ2cに空気を給排し、空気供給状態ではチューブ2cを膨らましながら通気孔から空気を吹き出すように構成する。そして、操縦席2の着座部2aの発汗状態を検出すると、チューブ2cに空気を供給し、着座部2a及び背もたれ部2dのチューブ2cを膨らまし通気孔から空気を噴出させ、操縦席2の着座部2a及び背もたれ部2dの蒸れを解消し、オペレータの不快感を和らげる。
【0032】
なお、チューブ2cの空気供給状態を圧力センサ13により検出し、前記加圧装置14及び排気バルブ15を作動し、所定空気圧を保ちながらチューブ2cの通気孔から所定圧の空気を噴出するようにすると、操縦席2の噴出空気の流れが安定し、安定した除湿効果を維持することができる。
【0033】
次に、図13に基づき他の実施形態について説明する。
コンバインのキャビン1内の操縦席2の前方には、フロント操作ボックス3aを配設し、このフロント操作ボックス3aの右側端部には、操作レバー4を設けている。この操作レバー4を前後左右に操作すると、コンバインの前後走行、停止及び左右操舵ができ、また、操作レバー4の握持部4aに設けたスイッチ操作により、刈取作業部が昇降するように構成している。
【0034】
操作レバー4を、車体が停止する中立位置から前方に操作すると前進し、中立位置から後方に操作すると後進し、前後進操作状態で左右に操作すると前進あるいは後進状態で左右に方向変換でき、刈取作業中はオペレータは常時操作レバー4の握持部4aを握り、前方を注視し刈取穀稈の条合わせをしながら刈取作業をするものである。
【0035】
そして、この操作レバー4の握持部4aには、定電流部5a及び抵抗測定部5bからなる電流測定部5が設けられている。しかして、オペレータの電流測定部5を握っている手の発汗状態により、定電流部5a、抵抗測定部5b間の電気抵抗値の変化に基づく電流値の変化がコントローラ6に入力される。しかして、オペレータが運転操作中にヒヤリとした時、あるいは、長時間の継続操縦により疲労が蓄積した時には発汗量が増加する。これらの測定電流値の変化及び電流値増加の測定回数から所定の計算式により疲労度を測定するものである。
【0036】
前記構成によると、構成を簡単化しながらオペレータの疲労度を測定することができる。
次に、図14に基づき農用作業車であるコンバインの走行変速装置について説明する。
【0037】
図14(A)に示すように、エンジン21の動力が変速機22に伝達されると、高速クラッチ22aを経由し高速伝動経路22b、あるいは、低速クラッチ22cを経由し低速伝動経路22dを経てHST(油圧無段変速装置)23に伝達される。そして、HST23で正逆切り替え及び無段変速されて、更に、ミッションケース(図示省略)内の主変速装置(図示省略)で変速され、走行装置(図示省略)あるいは作業装置(図示省略)に伝達される構成である。
【0038】
そして、図14(B)に示すように、コントローラ6の入力側には、エンジン回転センサ24を接続し、コントローラ6の出力側には、変速機22のクラッチ切替用の変速モータ25を接続している。
【0039】
前記構成によると、エンジン21が基準回転数よりも高速回転になると、コントローラ6の低速変速指令に基づき変速モータ25により変速機22が低速側に切り替えられ、また、エンジン21がアイドリング状態となり、基準回転数よりも低速回転になると、コントローラ6の高速変速指令に基づき変速モータ25により変速機22が高速側に切り替えら、HST23に所定回転数の動力が伝達される。
【0040】
従来装置では、エンジン21の回転数が低下すると、HST23の使用範囲が下回ることになり、耐久性不良や故障するという不具合があった。しかし、前記構成によると、エンジン21の回転数が高低に変化しても、HST23を所定回転数に維持することができ、HST23の使用範囲を広範囲に維持し、前記不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】農用作業車のキャビンの側面図
【図2】制御ブロック図
【図3】フローチャート
【図4】作業時間と血圧、脈拍の関係を示すグラフ
【図5】(A)作業時間と血圧、脈拍の関係を示すグラフ (B)作業時間と変化率の関係を示すグラフ
【図6】(A)車速センサによる作業中断の測定を示す図 (B)作業中断回数とストレス度合との関係を示す図
【図7】(A)オペレータとアクティブノズルコントロール装置を示す図 (B)アクティブノズルコントロール装置のブロック図 (C)制御ブロック図
【図8】(A)操縦席の側面図 (B)操縦席の切断側面図 (C)操縦席の切断側面図
【図9】制御ブロック図
【図10】フローチャート
【図11】(A)操縦席の側面図 (B)操縦席の切断側面図 (C)操縦席の切断側面図
【図12】(A)操縦席の側面図 (B)操縦席の切断側面図 (C)操縦席の切断側面図
【図13】(A)キャビン内の斜視図 (B)操作レバーの正面図 (C)制御ブロック図
【図14】(A)伝動ブロック図 (B)制御ブロック図 (C)エンジンの回転数とHSTの回転数を示す図
【符号の説明】
【0042】
1 キャビン1
6 疲労軽減手段
11 疲労検出センサ(疲労度検出手段)
16 疲労軽減手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両のキャビン(1)内に搭乗したオペレータの疲労度を検出する疲労度検出手段(11)と、該疲労度検出手段(11)による疲労度検出結果が所定値以上になることに基づいて作動する疲労軽減手段(16)とを設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記疲労度検出手段(11)を、所定時間(t)内における作業中断回数に基づいて疲労度を検出するものとしたことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項1】
作業車両のキャビン(1)内に搭乗したオペレータの疲労度を検出する疲労度検出手段(11)と、該疲労度検出手段(11)による疲労度検出結果が所定値以上になることに基づいて作動する疲労軽減手段(16)とを設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記疲労度検出手段(11)を、所定時間(t)内における作業中断回数に基づいて疲労度を検出するものとしたことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−56023(P2008−56023A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233945(P2006−233945)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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