説明

供給装置

【課題】計量対象物を精度よく計量することができる供給装置を提供すること。
【解決手段】
粉粒体を計量装置4に供給する供給装置1において、計量目標重量(WI)に基づいて計算された第1目標重量(Wi1)に、任意の落差重量(kf)を積算して見込み落差重量(Wf1)を計算し、その見込み落差重量(Wf1)を落差検量線(f1:r=f(Wf))に代入して第1回転数(r1)を計算するCPU13を備え、第1供給モード(S1)において、CPU13に、モータ7の回転数を第1回転数(r1)に制御させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量対象物を計量装置に供給する供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スクリューフィーダなどから切り出される樹脂ペレットや樹脂粉砕材などの粉粒体を計量するための計量装置が知られている。
【0003】
このような計量装置において、例えば、計量の途中において、スクリューフィーダを一旦停止させて、停止した後にスクリューフィーダから計量容器へ落下する粉粒体の重量(落差量)を測定し、再度、スクリューフィーダを、停止させる前と同じ速度で作動させて、計量容器において計量されている粉粒体の重量が、目標量から落差量を差し引いた終了量に到達した時点で、スクリューフィーダを完全に停止させることにより、設定された目標量を計量する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−223627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、上記した特許文献1に記載の方法では、スクリューフィーダを一旦停止させて落差量を測定し、その落差量を目標量から差し引いた終了量に到達した時点で、スクリューフィーダを完全に停止させている。
【0006】
そのため、落差量測定後、終了量に到達するまで、スクリューフィーダの速度を変動させることができない。
【0007】
そこで、計量を短時間で終了するためには、予め、落差量を測定する前のスクリューフィーダの供給速度を上げることが検討される。
【0008】
しかし、スクリューフィーダの供給速度を上げると落差量が増加するため、落差量に起因する誤差が増加し、計量対象物を精度よく計量することが困難である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、計量対象物を精度よく計量することができる供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、計量対象物を、第1供給速度で供給する第1供給モードで、計量対象物の重量を計量する計量装置に供給する供給装置であって、前記第1供給速度を制御する速度制御手段と、速度計算プログラムが格納されている記憶装置とを備え、前記速度計算プログラムは、前記速度制御手段に、前記計量装置における計量目標重量に基づいて、前記第1供給モードにおける第1目標重量を計算するステップと、前記第1目標重量に、任意の比率を積算して、見込み落差重量を計算するステップと、前記見込み落差重量を、予め実測に基づいて設定される、落差重量と供給速度との関数に代入し、前記第1供給速度を計算するステップとを実施させ、前記第1供給モードにおいて、前記速度制御手段により計算された前記第1供給速度で計量対象物を供給することを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、第1目標重量に任意の比率を積算して得られる見込み落差重量を、予め実測に基づいて設定される、落差重量(供給装置から計量装置へ供給される途中の計量対象物の重量)と供給速度との関数に代入することにより、第1供給速度を計算する。
【0012】
そのため、第1目標重量に基づいて任意に設定した見込み落差重量から、第1供給速度を設定することができ、落差重量に起因する計量誤差を、任意に調整することができる。
【0013】
その結果、第1供給モードにおいて、計量対象物を精度よく計量することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、さらに、前記第1供給速度よりも低速の第2供給速度で供給する第2供給モードを備え、前記第1目標重量を計算するステップにおいて、前記速度計算プログラムは、前記速度制御手段に、前記計量目標重量から、任意に設定される前記第2供給モードにおける第2目標重量を減算させることを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、第1供給速度よりも低速の第2供給速度で供給する第2供給モードにおいて、第2目標重量を任意に設定し、計量目標重量から第2目標重量を減算させることにより、第1目標重量を計算する。
【0016】
そのため、第2目標重量を、任意に少量に設定することができ、第2供給モードにおける供給時間を短縮することができる。
【0017】
また、第2供給モードでは、低速の第2供給速度で計量対象物を計量装置に供給するので、計量目標重量を精度よく計量することもできる。
【0018】
その結果、計量対象物の重量を短時間で精度よく計量することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、前記第2目標重量は、定量であることを特徴としている。
【0020】
このような構成によれば、第2目標重量が定量であるため、繰り返し計量する場合に、ほぼ同等の時間で、精度よく、計量対象物の重量を計量することができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、前記第1供給モードは、前記第1供給速度よりも高速の第3供給速度で供給する第3供給モードを含んでいることを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、第1供給モードは、第1供給速度よりも高速の第3供給速度で供給する第3供給モードを含んでいる。
【0023】
そのため、第1供給モードをより短時間で終了することができ、計量対象物の重量を、より短時間で計量することができる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載の発明によれば、第1供給モードにおいて、計量対象物を精度よく計量することができる。
【0025】
また、請求項2に記載の発明によれば、計量対象物の重量を短時間で計量することができる。
【0026】
また、請求項3に記載の発明によれば、繰り返し計量する場合に、ほぼ同等の時間で、精度よく、計量対象物の重量を計量することができる。
【0027】
また、請求項4に記載の発明によれば、第1供給モードをより短時間で終了することができ、計量対象物の重量を、より短時間で計量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の供給装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す供給装置の供給動作を示すフロー図である。
【図3】図2に示す供給条件計算ステップの計算処理を示すフロー図である。
【図4】図3に示す第1供給モード条件計算ステップの計算処理を示すフロー図である。
【図5】図3に示す第3供給モード選択判断ステップの判断処理を示すフロー図である。
【図6】図3に示す第2供給モード条件計算ステップの計算処理を示すフロー図である。
【図7】図2に示す第1供給モードにおける供給装置の動作制御を示すフロー図である。
【図8】図2に示す第2供給モードにおける供給装置の動作制御を示すフロー図である。
【図9】第3供給モードが選択されない場合における供給装置の供給動作を説明するための説明図であって、供給重量と時間との関係を示すグラフである。
【図10】第3供給モードが選択された場合における供給装置の供給動作を説明するための説明図であって、供給重量と時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の供給装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0030】
供給装置1は、図1に示すように、粉粒体(計量対象物の一例)を貯蔵する貯蔵ホッパ2と、貯蔵ホッパ2内の粉粒体を切り出すスクリューフィーダ3とを備え、スクリューフィーダ3によって切り出された粉粒体を計量装置4の計量ホッパ9(後述)へ供給する。
【0031】
貯蔵ホッパ2は、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。
【0032】
スクリューフィーダ3は、供給筒部5、スクリュー6およびモータ7を備えている。
【0033】
供給筒部5は、略水平方向に延びる略筒形状に形成されており、一端部において、貯蔵ホッパ2の下端部に連続されている。また、供給筒部5の他端部には、下方に向かって開口される供給口8が形成されている。
【0034】
スクリュー6は、供給筒部5が延びる方向に沿って、供給筒部5に回転可能に内装されている。
【0035】
モータ7は、スクリュー6の一端部に接続されており、スクリュー6を回転させる。
【0036】
そして、貯蔵ホッパ2内の粉粒体は、スクリュー6の回転によって、供給筒部5内を一方から他方へ搬送され、供給筒部5の供給口8から切り出される。
【0037】
計量装置4は、計量ホッパ9と、計量ホッパ9の重量を計量するロードセル10を備えている。
【0038】
計量ホッパ9は、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されており、その上端部には、スクリューフィーダ3によって切り出された粉粒体を受け入れるための受入口11が開口形成されるとともに、その下端部には、粉粒体を排出するための排出ゲート12が設けられている。
【0039】
ロードセル10は、計量ホッパ9を支持しつつ、計量ホッパ9内に切り出された粉粒体の重量を計量できるように構成されており、この計量ホッパ9に受け入れられた粉粒体の重量は、風袋(計量ホッパ9)の重量をキャンセルした状態で、このロードセル10によって計量される。
【0040】
そして、この計量装置4では、スクリューフィーダ3のモータ7およびロードセル10が、CPU13(速度制御手段の一例)に接続されている。
【0041】
CPU13は、速度計算プログラムなどの各種のプログラムが格納されているROM14(記憶装置の一例)、および、各種のプログラムを実行するための一時的な数値を記憶するためのRAM15などを備えている。また、ROM14には、落差検量線(f1、後述)が、予め格納されている。
【0042】
以下、図2〜図10を参照しながら、供給装置1による計量装置4への粉粒体の供給動作を説明する。
【0043】
図2は、図1に示す供給装置の供給動作を示すフロー図である。
【0044】
供給装置1によって所定量の粉粒体を切り出すには、まず、所定の計量目標重量(WI)を設定(たとえば、入力操作によりCPU13にインプット)する。
【0045】
すると、図2に示すように、まず、供給条件計算ステップ(S1)において、速度計算プログラムが実行され、第1供給モード(S2)におけるモータ7の回転数(第1供給速度の一例。以下、第1回転数(r1)とする。)、第3供給モードの有無、および、第2動作重量(WIS2、後述)が計算される。
【0046】
そして、供給条件計算ステップ(S1)における計算結果に基づいて、CPU13が供給装置1を制御することにより、順次、第1供給モード(S2)および第2供給モード(S3)が実施され、計量目標重量(WI)の粉粒体が切り出される。
【0047】
図3は、図2に示す供給条件計算ステップの計算処理を示すフロー図である。図4は、図3に示す第1供給モード条件計算ステップの計算処理を示すフロー図である。図5は、図3に示す第3供給モード選択判断ステップの判断処理を示すフロー図である。図6は、図3に示す第2供給モード条件計算ステップの計算処理を示すフロー図である。
【0048】
供給条件計算ステップ(S1)では、図3に示すように、第1供給モード条件計算ステップ(S11)、第3供給モード選択判断ステップ(S12)および第2供給モード条件計算ステップ(S13)が順次実行される。
【0049】
第1供給モード条件計算ステップ(S11)では、図4に示すように、第1目標重量計算ステップ(S111)、見込み落差重量計算ステップ(S112)および第1回転数計算ステップ(S113)が順次実行されることにより、第1回転数(r1)が計算される。
【0050】
第1目標重量計算ステップ(S111)では、計量目標重量(WI)から、第2供給モード(S3)において切り出される粉粒体の重量(第2目標重量、Wi2)を減算し、第1供給モード(S2)において切り出される粉粒体の重量(第1目標重量、Wi1)を算出する。なお、第2目標重量(Wi2)は、任意に設定され、ROM14にプリセット値として予め記憶されている。
【0051】
見込み落差重量計算ステップ(S112)では、第1目標重量(Wi1)に、落差比率(kf、比率の一例)を積算して、見込み落差重量(Wf1)を算出する。なお、この実施形態では、落差比率(kf)は、任意に設定される。
【0052】
ここで、落差比率(kf)とは、目標重量(具体的には、第1目標重量(Wi1))に対する、落差重量(Wf)の比率である。詳しくは、目標重量を、供給装置1の動作によって計量装置4へ供給される重量(動作重量(WIS))と、供給装置1が停止された後に慣性で計量装置4へ供給される重量(すなわち、落差重量(Wf))とに分けた場合において、目標重量に対する落差重量(Wf)の比率が落差比率(kf)である。なお、供給装置1から計量装置4へ粉粒体を安定供給するには、落差重量(Wf)に対する動作重量(WIS)の倍率(安定供給倍率(kb))が4以上であることが好ましい。
【0053】
また、見込み落差重量(Wf1)には、予め上限値(UL)が設定されている。見込み落差重量(Wf1)の上限値(UL)は、モータ7の最大回転数(rMAX)に応じて設定され、ROM14にプリセット値として予め記憶されている。
【0054】
第1回転数計算ステップ(S113)では、モータ7の回転数(r)と落差重量(Wf)との関数(r=f(Wf)、以下、落差検量線(f1)とする。)に、見込み落差重量(Wf1)を代入して、第1回転数(r1)を計算する。なお、落差検量線(f1)は、例えば、モータ7の回転数(r)と、その回転数(r)における落差重量(Wf)とを、複数、プロットし、最小二乗法によって一次方程式に近似させることにより、一次関数として求められる。
【0055】
以下、第1供給モード条件計算ステップ(S11)をより具体的に説明する。なお、この説明では、計量目標重量(WI)を1200gとする。また、モータ7の回転数(r)の範囲は、100〜3100rpmとする。また、第2目標重量(Wi2)のプリセット値は、200gである。また、モータ7の回転数(r)が最大(rMAX:3100rpm)であるときの落差重量(WfMAX)は、260gである。すなわち、見込み落差重量(Wf1)の上限値(UL)のプリセット値は260gである。また、モータ7の回転数(r)が最小(rMIN:100rpm)であるときの落差重量(WfMIN)は、5gである。また、落差検量線(f1)は、落差重量(Wf)=0.085×(回転数(r)−最小回転数(rMIN))+最小落差重量(WfMIN)と表される。
【0056】
例えば、落差比率(kf)のプリセット値を0.2とした場合(すなわち、見込み落差重量(Wf1)が上限値(UL)未満となる場合)には、まず、第1目標重量計算ステップ(S111)において、第1目標重量(Wi1)が、1000g(1200g−200g)と計算される。次いで、見込み落差重量計算ステップ(S112)において、見込み落差重量(Wf1)が、200g(1000g×0.2)と計算される。次いで、第1回転数計算ステップ(S113)において、落差検量線(f1)に見込み落差重量(Wf1、200g)が代入され、見込み落差重量(Wf1、200g)に対応した回転数(r)として、第1回転数(r1)が2394rpmと計算される。
【0057】
また、例えば、落差比率(kf)のプリセット値を0.3とした場合(すなわち、見込み落差重量(Wf1)が上限値(UL)以上となる場合)には、まず、第1目標重量計算ステップ(S111)において、第1目標重量(Wi1)が、1000g(1200g−200g)と計算される。次いで、見込み落差重量計算ステップ(S112)において、見込み落差重量(Wf1)が、300g(1000g×0.3)と計算され、上限値(UL)のプリセット値に基づいて、260gと設定される。次いで、第1回転数計算ステップ(S113)において、落差検量線(f1)に見込み落差重量(Wf1、260g)が代入され、見込み落差重量(Wf1、260g)に対応した回転数(r)として、第1回転数(r1)が3100rpmと計算される。
【0058】
第3供給モード選択判断ステップ(S12)では、図5に示すように、第1供給モード(S2)において、第1回転数(r1)よりも高速の第3回転数(r3、第3供給速度の一例)による供給を実施するか否かを判断する(S125)。
【0059】
第3供給モード選択判断ステップ(S12)では、第1動作重量計算ステップ(S121)を実行する。
【0060】
第1動作重量計算ステップ(S121)では、第1目標重量(Wi1)から見込み落差重量(Wf1)を減算することにより、第1供給モード(S1)における動作重量(第1動作重量(WIS1))を計算する。
【0061】
また、第3供給モード選択判断ステップ(S12)では、第3回転数計算ステップ(S122)、加速落差重量計算ステップ(S123)およびモード切替重量計算ステップ(S124)を順次実行することにより、モータ7の回転数(r)を第3回転数(r3)から第1回転数(r1)に切り替え、第1回転数(r1)における安定供給に移行するまでの間に、供給装置1から計量装置4へ供給される粉粒体の重量(モード切替重量(WISa))を計算する。
【0062】
第3回転数計算ステップ(S122)では、第1回転数(r1)に加速比率(kup)を積算して、第3回転数(r3)を計算する。加速比率(kup)は、任意に設定され、ROM14にプリセット値として予め記憶されている。また、加速比率(kup)は、例えば、1.0〜1.8である。
【0063】
加速落差重量計算ステップ(S123)では、見込み落差重量(Wf1)に加速比率(kup)を積算して、第3回転数(r3)で供給したときの落差重量(加速落差重量(Wfup))を計算する。
【0064】
モード切替重量計算ステップ(S124)では、まず、見込み落差重量(Wf1)に安定供給倍率(kb)および調整倍率(α)を積算して、第1回転数(r1)における安定供給に必要な重量を求め、次いで、その重量に加速落差重量(Wfup)を加算して、モード切替重量(WISa)を計算する。なお、調整倍率(α)は、第3回転数(r3)から第1回転数(r1)に切り替える途中の動作重量(WIS)に対応して任意に設定され、ROM14にプリセット値として予め記憶されている。
【0065】
次いで、第3供給モード選択判断ステップ(S12)では、第1目標重量(Wi1)からモード切替重量(WISa)を減算することにより判断値を計算する。
【0066】
そして、判断値が0を超過していれば(S125:YES)、第3供給モードを選択し(S126)、判断値が0以下であれば(S125:NO)、第3供給モードを選択しない(S127)。なお、判断値が0を超過している場合には、その判断値が、第3供給モードにおいて供給装置1から計量装置4へ供給される動作重量(第3動作重量(WIS3))となる。
【0067】
第3供給モード選択判断ステップ(S12)をより具体的に説明する。なお、この説明では、計量目標重量(WI)を1200gとする。また、第2目標重量(Wi2)のプリセット値は、200g、見込み落差重量(Wf1)の上限値(UL)のプリセット値は、260g、加速比率(kup)のプリセット値は、1.2、安定供給倍率(kb)のプリセット値は、4.0、調整倍率(α)のプリセット値は、1.0とする。
【0068】
例えば、落差比率(kf)を0.2とした場合(すなわち、見込み落差重量(Wf1)を比較的多量に設定した場合)には、上述したように、第1供給モード条件計算ステップ(S11)において、第1目標重量(Wi1)が1000gと計算され(S111)、見込み落差重量(Wf1)が200gと計算され(S112)、第1回転数(r1)が2394rpmと計算される(S113)。
【0069】
そして、第1動作重量計算ステップ(S121)において、第1動作重量(WIS1)が800g(1000g−200g)と計算される。
【0070】
また、第3回転数計算ステップ(S122)において、第3回転数(r3)が2873rpm(2394rpm×1.2)と計算される。次いで、加速落差重量計算ステップ(S123)において、加速落差重量(Wfup)が240g(200g×1.2)と計算される。次いで、モード切替重量計算ステップ(S124)において、モード切替重量(WISa)が1040g(240g+200g×4.0×1.0)と計算される。
【0071】
この場合には、判断値が−60g(1000g−1040g)となり、判断値が0以下であるため(S125:NO)、CPU13は、第3供給モードを選択しない(S127)。
【0072】
また、例えば、落差比率(kf)を0.15とした場合(すなわち、見込み落差重量(Wf1)を比較的少量に設定した場合)には、上述したように、第1供給モード条件計算ステップ(S11)において、第1目標重量(Wi1)が1000gと計算され(S111)、見込み落差重量(Wf1)が150g(1000g×0.15)と計算され(S112)、第1回転数(r1)が1806rpmと計算される(S113)。
【0073】
そして、第1動作重量計算ステップ(S121)において、第1動作重量(WIS1)が850g(1000g−150g)と計算される。
【0074】
そして、第3回転数計算ステップ(S122)において、第3回転数(r3)が2167rpm(1806rpm×1.2)と計算される。次いで、加速落差重量計算ステップ(S123)において、加速落差重量(Wfup)が180g(150g×1.2)と計算される。次いで、モード切替重量計算ステップ(S124)において、モード切替重量(WISa)が780g(180g+150g×4.0×1.0)と計算される。
【0075】
この場合には、判断値が220g(1000g−780g)となり、判断値が0を超過しているため(S125:YES)、CPU13は、第3供給モードを選択する(S126)。そして、第3動作重量(WIS3)は、220gと設定される。
【0076】
第2供給モード条件計算ステップ(S13)では、図6に示すように、第2落差重量計算ステップ(S131)および第2動作重量計算ステップ(S132)を順次実行することにより、第2動作重量(WIS2)を計算する。
【0077】
第2落差重量計算ステップ(S131)では、落差検量線(f1)に、第1回転数(r1)よりも低速の第2回転数(r2、第2供給速度の一例)を代入して、第2回転数(r2)で供給したときの落差重量(第2落差重量(Wf2))を計算する。なお、第2回転数(r2)は、任意に設定され、ROM14にプリセット値として予め記憶されている。
【0078】
第2動作重量計算ステップ(S132)では、計量目標重量(WI)から第2落差重量(Wf2)を減算して、第2動作重量(WIS2)を計算する。
【0079】
第2供給モード条件計算ステップ(S13)をより具体的に説明する。なお、この説明では、第2回転数(r2)のプリセット値は、100rpmとする。
【0080】
例えば、計量目標重量(WI)が1200gである場合には、まず、第2落差重量計算ステップ(S131)において、落差検量線(f1)に第2回転数(r2、100rpm)が代入され、第2回転数(r2、100rpm)に対応した落差重量として、第2落差重量(Wf2)が5gと計算される。次いで、第2動作重量計算ステップ(S132)において、第2動作重量(WIS2)が1195g(1200g−5g)と計算される。
【0081】
これにより、供給条件計算ステップ(S1)が終了する。
【0082】
図7は、図2に示す第1供給モードにおける供給装置の動作制御を示すフロー図である。図8は、図2に示す第2供給モードにおける供給装置の動作制御を示すフロー図である。図9は、第3供給モードが選択されない場合における供給装置の供給動作を説明するための説明図であって、供給重量と時間との関係を示すグラフである。図10は、第3供給モードが選択された場合における供給装置の供給動作を説明するための説明図であって、供給重量と時間との関係を示すグラフである。
【0083】
次いで、供給条件計算ステップ(S1)において計算された第1回転数(r1)、および、供給条件計算ステップ(S1)において判断された第3供給モードの有無に基づいて、供給装置1が、第1供給モード(S2)で動作される。
【0084】
第1供給モード(S2)では、図7および図9に示すように、見込み落差重量(Wf1)が比較的多量(200g、kf=0.2)に設定され、第3供給モードを選択しない場合(S21:NO)には、CPU13によってモータ7の回転数(r)が第1回転数(r1、2394rpm)に制御され、第1回転数(r1、2394rpm)で粉粒体が供給される(S22)。
【0085】
そして、時間t1において、計量装置4における実測重量(W)が第1動作重量(WIS1、800g)に到達すると(S23:YES)、CPU13の制御によって、時間t2までの間、モータ7が停止される(S24)。なお、モータ7が停止された後における実測重量(W)の増加分が、実際の落差重量(WF)として実測される。
【0086】
次いで、実際の落差重量(WF)と見込み落差重量(Wf1)とに基づくPID演算により、補正第1回転数(r1’)を計算する。
【0087】
詳しくは、補正第1回転数(r1’)を計算するには、まず、実際の落差重量(WF)を見込み落差重量(Wf1)で除算し、見込み落差重量(Wf1)に対する、実際の落差重量(WF)の変動割合(落差変動割合(RWf1))を計算する(S25)。
【0088】
次いで、PID演算を実施するための関数(f2)に落差変動割合(RWf1)を代入して得られた補正値を、第1回転数(r1、2394rpm)に積算することにより、補正第1回転数(r1’)を算出する(S26)。
【0089】
また、第1供給モード(S2)では、図7および図10に示すように、見込み落差重量(Wf1)が比較的少量(150g、kf=0.15)に設定され、第3供給モードを選択する場合(S21:YES)には、CPU13によってモータ7の回転数(r)が第3回転数(r3、2167rpm)に制御され、第1回転数(r1、1806rpm)よりも高速の第3回転数(r3、2167rpm)で粉粒体が供給される(S27)。
【0090】
そして、時間t3において、計量装置4における実測重量(W)が第3動作重量(WIS3、220g)に到達すると(S28:YES)、時間t3から時間t4までの間において、CPU13の制御によって、モータ7の回転数(r)が第3回転数(r3、2167rpm)から第1回転数(r1、1806rpm)に切り替えられる(S29)。
【0091】
そして、上記したように、第1回転数(r1、1806rpm)で粉粒体が供給され(S22)、時間t1において、計量装置4における実測重量(W)が第1動作重量(WIS1、850g)に到達すれば(S23:YES)、CPU13の制御によって、時間t2までの間、モータ7が停止される(S24)。
【0092】
その後、上記したように、実際の落差重量(WF)と見込み落差重量(Wf1)とに基づくPID演算により、補正第1回転数(r1’)を計算する(S25、S26)。
【0093】
これにより、第1供給モード(S2)が終了する。
【0094】
次いで、図9および図10に示すように、時間t2において、供給条件計算ステップ(S1)において計算された第2動作重量(WIS2、1195g)に基づいて、供給装置1が、第2供給モード(S3)で動作される。
【0095】
第2供給モード(S3)では、図8に示すように、CPU13によってモータ7の回転数(r)が第2回転数(r2、100rpm)に制御され、第2回転数(r2、100rpm)で粉粒体が供給される(S31)。
【0096】
その後、時間t5において、計量装置4における実測重量(W)が第2動作重量(WIS2、1195g)に到達すると(S32:YES)、CPU13の制御によって、モータ7が停止される。
【0097】
これにより、供給装置1による粉粒体の供給動作が終了する。
【0098】
そして、同条件の計量を複数実施する場合には、補正第1回転数(r1’)を第1回転数(r1)として、再度、上記したように、供給装置1から計量装置4へ粉粒体が供給される。
【0099】
また、同条件の計量が終了するまでの間、第2目標重量(Wi2、200g)は、定量を維持する。
【0100】
この供給装置1によれば、図4に示すように、第1目標重量(Wi1)に任意の落差比率(kf)を積算して得られる見込み落差重量(Wf1)を、予め実測に基づいて設定される、落差重量(Wf)と、モータ7の回転数(r)との関数(f1:r=f(Wf))に代入することにより、第1回転数(r1)を計算する。
【0101】
そのため、第1目標重量(r1)に基づいて任意に設定した見込み落差重量(Wf1)から、第1回転数(r1)を設定することができ、落差重量に起因する計量誤差を、任意に調整することができる。
【0102】
その結果、第1供給モード(S2)において、粉粒体を精度よく計量することができる。
【0103】
また、この供給装置1によれば、図8および図9に示すように、第1回転数(r1)よりも低速の第2回転数(r2)で供給する第2供給モード(S3)において、第2目標重量(Wi2)を任意に設定し、計量目標重量(WI)から第2目標重量(Wi2)を減算させることにより、第1目標重量(Wi1)を計算する。
【0104】
そのため、第2目標重量(Wi2)を、任意に少量に設定することができ、第2供給モード(S2)における供給時間を短縮することができる。
【0105】
また、第2供給モード(S2)では、低速の第2回転数(r2)で粉粒体を計量装置4に供給するので、計量目標重量(WI)を精度よく計量することもできる。
【0106】
その結果、粉粒体の重量を短時間で精度よく計量することができる。
【0107】
また、この供給装置1によれば、第2目標重量(Wi2)が定量であるため、繰り返し計量する場合に、ほぼ同等の時間で、精度よく、粉粒体の重量を計量することができる。
【0108】
また、この供給装置1によれば、図7および図10に示すように、第1供給モード(S2)は、第1回転数(r1)よりも高速の第3回転数(r3)で供給する第3供給モードを含んでいる。
【0109】
そのため、第1供給モード(S1)をより短時間で終了することができ、粉粒体の重量を、より短時間で計量することができる。
【0110】
なお、上記した実施形態では、供給装置1は、スクリューフィーダ3を備えているが、計量対象物を計量装置4へ供給する供給手段は、特に限定されず、計量対象物に応じて、例えば、振動フィーダ、例えば、スライドゲートなどの開度を調整可能な開閉弁、公知のバルブなどを用いることもできる。
【符号の説明】
【0111】
1 供給装置
4 計量装置
13 CPU(速度制御手段の一例)
14 ROM(記憶装置の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量対象物を、第1供給速度で供給する第1供給モードで、計量対象物の重量を計量する計量装置に供給する供給装置であって、
前記第1供給速度を制御する速度制御手段と、
速度計算プログラムが格納されている記憶装置とを備え、
前記速度計算プログラムは、前記速度制御手段に、
前記計量装置における計量目標重量に基づいて、前記第1供給モードにおける第1目標重量を計算するステップと、
前記第1目標重量に、任意の比率を積算して、見込み落差重量を計算するステップと、
前記見込み落差重量を、予め実測に基づいて設定される、落差重量と供給速度との関数に代入し、前記第1供給速度を計算するステップと
を実施させ、
前記第1供給モードにおいて、前記速度制御手段により計算された前記第1供給速度で計量対象物を供給することを特徴とする、供給装置。
【請求項2】
さらに、前記第1供給速度よりも低速の第2供給速度で供給する第2供給モードを備え、
前記第1目標重量を計算するステップにおいて、前記速度計算プログラムは、前記速度制御手段に、前記計量目標重量から、任意に設定される前記第2供給モードにおける第2目標重量を減算させることを特徴とする、請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記第2目標重量は、定量であることを特徴とする、請求項2に記載の供給装置。
【請求項4】
前記第1供給モードは、前記第1供給速度よりも高速の第3供給速度で供給する第3供給モードを含んでいることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−2870(P2013−2870A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132137(P2011−132137)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】