便座装置およびそれを備えるトイレ装置
【課題】省エネルギー化を実現し、発熱体通電開始時に発生する突入電流を抑制する便座装置を提供すること。
【解決手段】便座部400と、便座部を加熱する発熱体450と、人体検知部600と、発熱体450の駆動を制御する制御部90とを備え、制御部19は人体検知部600により使用者の存在が検知された場合に、発熱体450を第1の温度勾配で第1の時間を駆動した後、第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で駆動することにより、発熱体450にて発生する突入電流を抑制することができる。また、人体検知部600により使用者の存在が検知された場合にのみ発熱体450を駆動するので、省エネルギー化が実現される。
【解決手段】便座部400と、便座部を加熱する発熱体450と、人体検知部600と、発熱体450の駆動を制御する制御部90とを備え、制御部19は人体検知部600により使用者の存在が検知された場合に、発熱体450を第1の温度勾配で第1の時間を駆動した後、第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で駆動することにより、発熱体450にて発生する突入電流を抑制することができる。また、人体検知部600により使用者の存在が検知された場合にのみ発熱体450を駆動するので、省エネルギー化が実現される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房機能を有する便座装置およびそれを備えるトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の便座装置としては、便座内にランプヒータを設置し、使用者のトイレットルームへの入室を検知すると前記ランプヒータへの通電を開始し、便座を加熱する暖房機能を備えた便座装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図18は特許文献1の暖房便座の一部切欠き上面図であり、図19は図18のJ−J線断面図である。
【0004】
図18および図19に示すように、暖房便座900は、合成樹脂からなる上ケース926と下ケース927とを備える。上ケース926と下ケース927とは互いに接続されている。上ケース926および下ケース927の内部には、輻射反射板929、ランプヒータ930、サーモスタット931、温度ヒューズ932およびサーミスタ33が設けられている。
【0005】
ここで、輻射反射板929は、下ケース927の形状に沿うように形成されている。輻射反射板929上にはランプヒータ930が配置されている。ランプヒータ930の所定の部分を挟んで、サーモスタット931および温度ヒューズ932が輻射反射板929に取り付けられている。
【0006】
図19に示すように、上ケース926の内面でかつランプヒータ930と対向する箇所にサーミスタ933が取り付けられている。
【0007】
この暖房便座900においては、図示しない赤外線センサが使用者のトイレットルームへの入室を検知する。そこで、赤外線センサの検知信号に基づいてランプヒータ930が駆動される。それにより、ランプヒータ930からの輻射エネルギーが直接的にまたは輻射反射板929を介して間接的に上ケース926に与えられ上ケース926が発熱する。
【0008】
上記構成により、特許文献1の暖房便座900によれば、ランプヒータ930を常に駆動する必要がないので、省エネルギー化が実現される。
【特許文献1】特開2000−14598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記の暖房便座900は、上ケース926の内面に設けられたサーミスタ933により上ケース926の温度が測定され、図示しない制御部によりランプヒータ930の駆動が制御される。それにより、上ケース926を所定の温度になるように暖めることができる。
【0010】
しかしながら、ランプヒータ930は通電開始時点には、ランプヒータ930のヒータ抵抗値は小さく、突入電流が発生する。このような大きな突入電流が発生すると、過電流により家庭内のブレーカが遮断したり、便座装置100が接続される電力配線の電圧降下が発生する。この電圧降下は、便座装置100の暖房便座昇温を低下させるだけでなく、便座装置100と家庭内の同一電源に接続されている照明器具などの輝度低下(フリッカー)を発生させて、使用者に対してまた、他の家電機器に対して不具合が生じるため、突
入電流を抑制する必要がある。
【0011】
本発明の目的は、省エネルギー化を実現するとともに、ヒータ通電時の突入電流を抑制することができる便座装置およびそれを備えるトイレ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従来の課題を解決するために、本発明に係る便座装置は、便座部と、前記便座部を加熱する発熱体と、使用者の存在を検知する人体検知部と、前記発熱体の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記人体検知部により使用者の存在が検知された場合に第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、前記第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動するものである。
【0013】
この便座装置においては、人体検知部により使用者の存在が検知された場合に、第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動することにより、第1の温度勾配での発熱体への通電量が小さいため、発熱体にて発生する突入電流を抑制することができる。
【0014】
また、人体検知部により使用者の存在が検知された場合に発熱体が第2の電力で駆動されるので、使用者の存在が検知されないときに発熱体を便座部の昇温に必要な第2の電力で駆動する必要がない。これにより、消費電力が十分に低減され、省エネルギー化が実現される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る便座装置およびそれを備えるトイレ装置によれば、省エネルギー化が実現されるとともに、発熱体への通電直後には、発熱体への通電量を小さくすることで発熱体にて発生する突入電流を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の発明は、便座部と、前記便座部を加熱する発熱体と、使用者の存在を検知する人体検知部と、前記発熱体の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記人体検知部により使用者の存在が検知された場合に第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、前記第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動するものである。
【0017】
これにより、人体検知部により使用者の存在が検知された場合に、第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動することにより、第1の温度勾配での発熱体への通電量が小さいため、発熱体にて発生する突入電流を抑制することができる。
【0018】
第2の発明は、第1の発明に係る便座装置の構成において、制御部は、所定数の4分の1よりも小さい周期の期間に亘って交流電流を供給する第1の電力により発熱体を駆動することである。
【0019】
これにより、発熱体への供給される電流が小さいので、交流電流の通電制御により発生する高調波成分の影響が小さい。したがって、通電制御によるノイズの発生が低減され、更に、発熱体の突入電流を抑制することができる。
【0020】
第3の発明は、第1の発明に係る便座装置の構成において、制御部は交流電圧が一定電圧よりも低い電圧の期間に亘って発熱体へ交流電流を供給するものである。
【0021】
これにより、低い電圧にて発熱体への電流供給を行うことで、発熱体に流れる電流は小
さくなり、発熱体の突入電流を抑制することができる。
【0022】
第4の発明は、第1または第3の発明に係る便座装置の構成において、交流電圧が一定電圧よりも低い電圧の期間の、交流電圧の電圧上昇時、及び、電圧下降時の少なくともいずれか一方の期間に亘って発熱体へ交流電流を供給するものである。
【0023】
これにより、低い電圧にて発熱体への電流供給を行うことで、発熱体に流れる電流は小さくなり、発熱体の突入電流を抑制することができる。更に、交流電源の電圧上昇時、及び、電圧下降時の両方、又は、どちらか一方の期間、発熱体へ電流を供給することで、発熱体での発熱量は大きくなり、便座部温度を急峻に立ち上げることができるとともに、発熱体での発熱量が大きくなることで、発熱体の抵抗値が大きくなり、発熱体への供給電流も小さくなる為、突入電流の抑制を更に大きくすることができる。
【0024】
第5の発明は、第1、及び第3〜4のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、交流電源電圧を規定の電圧と比較することで、前記発熱体への駆動期間を決定するものである。
【0025】
これにより、交流電源電圧が規定電圧よりも低い電圧のときにのみ発熱体への電流供給を行うことで、発熱体に流れる電流は小さくなり、発熱体の突入電流を抑制することができる。
【0026】
第6の発明は、第1、及び第3〜5のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、交流電源電圧を規定の時間に細分化して検出し、規定の電圧よりも低い電圧の期間、発熱体への駆動するものである。
【0027】
これにより、交流電源電圧を細密に検出することが出来、低い電圧にて発熱体への電流供給を行うことで、発熱体に流れる電流は小さくなり、発熱体の突入電流を抑制することができる。更に、特別な回路を追加しなくても、交流電源の電圧上昇時、及び、電圧下降時の両方、又は、どちらか一方の期間において、規定電圧を電圧上昇時、及び、電圧下降時の規定電圧を切り替えることができる為、他の機器による電圧変動時でも、発熱体への供給電流量を一定に保つことができるため、発熱体での発熱量を一定にし、突入電流の抑制をすることができる。
【0028】
第7の発明は、第1、及び第3〜6のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体への電流を検出するヒータ電流検出部を有し、制御部は、ヒータ電流検出部により発熱体への電流が規定電流よりも小さくなるまで第1の電力により前記発熱体への駆動するものである。
【0029】
これにより、発熱体の突入電流を直接検出することが出来、規定電流よりも発熱体電流が大きい場合には発熱体への電力供給を小さく、規定電流よりも発熱体電流が小さくなった時には、発熱体への電力供給を大きくすることで、突入電流を抑制するとともに、便座部温度を急峻に立ち上げることができる。
【0030】
第8の発明は、第1〜7のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体の周辺温度を検出するヒータ温度検出部を有し、制御部は、ヒータ温度検出部により発熱体の温度が規定温度よりも高くなるまで第1の電力により発熱体への駆動するものである。
【0031】
これにより、発熱体の温度による発熱体の抵抗値が大きくなるまでは、低電力での通電を行い、発熱体の抵抗値が大きくなった時には、発熱体への供給電力を大きくすることで
、突入電流を抑制するとともに、便座部温度を急峻に立ち上げることができる。
【0032】
第9の発明は、第1〜8のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体と直列に挿入した抵抗と、抵抗の両端電圧を検出する抵抗電圧検出部を有し、制御部は、抵抗電圧検出部により抵抗の両端電圧が規定電圧よりも小さくなるまで第1の電力により前記発熱体への駆動するものである。
【0033】
これにより、発熱体と直列に接続した抵抗には発熱体と同一の電流が流れるため、この電流による抵抗両端の電圧が発熱体に流れる電流となる。この、発熱体に流れる電流を検出することで、発熱体の電流が大きい時には低電力での通電を行い、発熱体の電流が小さくなった時には、発熱体への供給電力を大きくすることで、突入電流を抑制するとともに、便座部温度を急峻に立ち上げることができる。
【0034】
第10の発明は、第1〜9のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、便座部は、少なくとも一部が金属により形成されたものである。
【0035】
これにより、便座部が、樹脂よりも熱伝導率の高い金属により形成されているので、発熱体を駆動することにより便座部に与えられる熱が効率よくその便座部の全体に伝達される。
【0036】
第11の発明は、第10の発明に係る便座装置の構成において、便座部を形成する金属は、アルミニウムを含むものにより形成されたものである。
【0037】
これにより、便座部が、金属の中でより熱伝導率の高いアルミニウムにより形成されているので、発熱体を駆動することにより便座部に与えられる熱が効率よくその便座部の全体に伝達される。
【0038】
第12の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体は便座部の裏面に貼付した線状ヒータとしたものである。
【0039】
これにより、発熱体を直接便座部の裏面に貼付することで、より、便座部への熱伝導が良くなり、便座部を迅速に昇温することができる。
【0040】
第13の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体はランプヒータとしたものである。
【0041】
これにより、発熱体であるランプヒータは、輻射エネルギーにより便座部を迅速に昇温することができる。
【0042】
第14の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体は面状ヒータとしたものである。
【0043】
これにより、便座全面をムラなく発熱させることで、便座部を迅速に昇温することができる。
【0044】
第15の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体はPTCヒータとしたものである。
【0045】
これにより、PTC発熱体の正温度係数特性により、発熱体の各部分の温度によって、個々に通電量を変化させるため、便座部の全面をムラなく、迅速に昇温することができる
。
【0046】
第16の発明は、便器と、第1〜15のいずれか1つの発明に係る便座装置とを備えたトイレ装置である。
【0047】
便器に便座装置が取り付けられたトイレ装置においては、人体検知部により使用者の存在が検知された場合に、第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動することにより、第1の温度勾配での発熱体への通電量が小さいため、発熱体にて発生する突入電流を抑制することができる。また、突入電流が小さくなった時点で、発熱体への電力供給を大きくすることで、便座部温度を急峻に立ち上げることができる。
【0048】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施に形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0049】
(実施の形態1)
(1)便座装置およびそれを備えるトイレ装置の外観
図1は本発明の一実施の形態に係る便座装置およびそれを備えるトイレ装置を示す外観斜視図である。図1に示すように、トイレ装置1000は、便座装置100および便器700を備え、トイレットルーム内に設置される。
【0050】
トイレ装置1000において、便器700上には便座装置100が装着される。便座装置100は、暖房機能を有し、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400、蓋部500および入室検知センサ600により構成される。
【0051】
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉自在に取り付けられる。さらに、本体部200には、洗浄水供給機構および着座センサ290が設けられるとともに、後述する制御部が内蔵されている。
【0052】
本実施の形態において、便座部400には便座ヒータが内蔵されている。
【0053】
本体部200の図示しない洗浄水供給機構は、水道配管に接続されており、便器700内に洗浄水を供給する。着座センサ290は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ290は、人体から反射された赤外線を検出した場合に便座部400上に使用者が存在することを検知する。
【0054】
また、本体部200の上面側に便座温調ランプ280が設けられている。便座温調ランプ280は、後述する便座ヒータ450がオフのときに消灯し、便座ヒータ450の昇温待機時に緑色に点灯し、便座ヒータ450の昇温時に橙色の点滅から点灯に変化する。それにより、使用者が便座ヒータ450の現在の状態を認識することができるので、使い勝手が良い。
【0055】
遠隔操作装置300には、複数のスイッチが設けられている。この遠隔操作装置300は、例えば便座部400上に着座する使用者が操作可能な場所に取り付けられる。
【0056】
入室検知センサ600は、例えばトイレットルームの入り口等に取り付けられる。入室検知センサ600は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、入室検知センサ600は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する。
【0057】
本体部200の制御部は、着座センサ290、遠隔操作装置300および入室検知センサ600から送信される信号に基づいて、便座部400に内蔵された便座ヒータの駆動を制御する。
【0058】
さらに、本体部200の制御部は、洗浄水供給機構(図示せず)、本体部200に設けられた脱臭装置(図示せず)および温風供給装置(図示せず)等の制御も行う。
【0059】
(2)遠隔操作装置の構成
図2は、図1の遠隔操作装置300の一例を示す模式図である。
【0060】
図2に示すように、遠隔操作装置300は、暖房スイッチ301、複数の温度調節スイッチ302、303、304および複数のLED(発光ダイオード)305を備える。
【0061】
使用者により暖房スイッチ301および複数の温度調節スイッチ302、303、304が押下操作される。
【0062】
それにより、遠隔操作装置300は、後述する便座装置100の本体部200に設けられた制御部に所定の信号を無線送信する。本体部200の制御部は、遠隔操作装置300より無線送信される所定の信号を受信し、便座ヒータの駆動等を制御する。
【0063】
冬季のように、使用者が暖房機能を使用する場合には、予め暖房スイッチ301が押下操作されることにより便座装置100の暖房機能がオンする。この状態で、温度調節スイッチ302が押下操作された場合には便座部400の温度が低く(例えば、34℃)設定され、温度調節スイッチ303が押下操作された場合には便座部400の温度が中程度(例えば、36℃)に設定され、温度調節スイッチ304が押下操作された場合には便座部400の温度が高く(例えば、38℃)設定される。
【0064】
なお、夏季のように使用者が暖房機能を使用しない場合には、暖房スイッチ301が押下操作されることにより便座装置100の暖房機能がオフする。
【0065】
以下、温度調節スイッチ302〜304により設定される便座部400の温度を便座設定温度と称する。
【0066】
複数のLED305の各々は、暖房スイッチ301および複数の温度調節スイッチ302、303、304と対応するように設けられている。複数のLED305は、暖房スイッチ301および複数の温度調節スイッチ302、303、304の押下操作に伴い点灯する。
【0067】
(3)便座装置の構成
図3は本発明の一実施の形態に係る便座装置100の構成を示す模式図である。上述のように、便座装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および入室検知センサ600を備える。
【0068】
図3に示すように、本体部200は、制御部90、温度測定部401、ヒータ駆動部402、便座温調ランプ280および着座センサ610を含む。
【0069】
また、便座部400は発熱体である便座ヒータ450およびサーミスタ401aを備える。
【0070】
制御部90は、例えばマイクロコンピュータからなり、使用者の入室および便座部40
0の温度等を判定する判定部、タイマ機能を有する計時部、種々の情報を記憶する記憶部、ならびに、ヒータ駆動部402の動作を制御するための通電率切替回路等を含む。
【0071】
本体部200の温度測定部401は、便座部400のサーミスタ401aに接続されている。これにより、温度測定部401は、サーミスタ401aから出力される信号に基づいて便座部400の温度を測定する。以下、サーミスタ401aを通じて温度測定部401により測定される便座部400の温度を測定温度値と称する。
【0072】
また、本体部200のヒータ駆動部402は、便座部400の便座ヒータ450に接続されている。これにより、ヒータ駆動部402は便座ヒータ450を駆動する。
【0073】
本実施の形態において、便座装置100は次のように動作する。初期設定時では、制御部90がヒータ駆動部402を制御することにより、便座部400が例えば約18℃となるように温度調整される。このときの温度を待機温度と称する。
【0074】
ここで、使用者が遠隔操作装置300の便座温度調整スイッチ333を操作することにより、便座設定温度が制御部90に送信される。制御部90は、遠隔操作装置300から受信した便座設定温度を記憶部に記憶する。
【0075】
使用者がトイレットルームに入室すると、入室検知センサ600が使用者の入室を検知する。それにより、使用者の入室検知信号が制御部90に送信される。
【0076】
次に、通常の使用時の動作について説明する。制御部90の判定部は、入室検知センサ600からの入室検知信号により使用者のトイレットルームへの入室を検知する。そこで、判定部は、便座部400の測定温度値、および記憶部に記憶された便座設定温度に基づいて便座ヒータ450の駆動に関する特定のヒータ制御パターンを選択する。
【0077】
通電率切替回路は、選択されたヒータ制御パターンおよび計時部により得られる時間情報に基づいてヒータ駆動部402の動作を制御する。
【0078】
それにより、ヒータ駆動部402により便座ヒータ450が駆動され、便座部400の温度が便座設定温度へと瞬時に上昇される。
【0079】
図4は、便座部400の分解斜視図である。図5(a)は、便座部400の便座ヒー
タ450の平面図、図5(b)は、図5(a)の領域C72の拡大図である。図6は、便座部400の平面図である。図7(a)は、図6の便座部400のC73−C73断面図である。
【0080】
図4に示すように、便座部400は、主としてアルミニウムにより形成された略楕円形状の上部便座ケーシング410、発熱体である略馬蹄形状の便座ヒータ450および合成樹脂により形成された略楕円形状の下部便座ケーシング420を備える。
【0081】
以下、着座した使用者から見て前方側を便座部400の前部とし、着座した使用者から見て後方側を便座部400の後部とする。
【0082】
図5(a)および図6に示すように、発熱体である便座ヒータ450は、前部の一部が切り取られた略馬蹄状に形成される。なお、便座ヒータ450は、略楕円形状を有してもよい。便座ヒータ450は、例えばアルミニウムからなる金属箔451、453および線状ヒータ460を含む。
【0083】
線状ヒータ460は、シート中央部SE3からシート一方端部SE1までの領域およびシート中央部SE3からシート他方端部SE2までの領域において上部便座ケーシング410の形状に合わせて蛇行形状に配設される。
【0084】
具体的には、線状ヒータ460は、左右6列程度のU字状部を有するように形成される。これらのU字状部は、着座した使用者の大腿部の方向にほぼ沿って並行に配置される。各U字状部における線状ヒータ460の間隔は5mm程度である。
【0085】
線状ヒータ460のヒータ始端部460aおよびヒータ終端部460bは、便座部400の後部の一方側から引き出されるリード線470にそれぞれ接続される。
【0086】
さらに、図5(b)に示すように、蛇行形状の線状ヒータ460の経路中に熱応力緩衝部となる複数の折曲部CUが設けられる。
【0087】
図7(a)に示すように、上部便座ケーシング410の外側の側辺に沿った領域G1における線状ヒータ460の間隔ds1および内側の側辺に沿った領域G3における線状ヒータ460の間隔ds3は、上部便座ケーシング410の中央部の領域G2における線状ヒータ460の間隔ds2よりも小さく設定される。それにより、上部便座ケーシング410の外側の側辺に沿った領域G1および内側の側辺に沿った領域G3では、中央部の領域G2に比べて線状ヒータ460が密に配列される。
【0088】
さらに、図7(b)に示すように、上部便座ケーシング410は、例えば厚さ1mmのアルミニウム板413により形成される。アルミニウム板413の上面には、表面化粧層411が形成される。また、アルミニウム板413の下面には、塗装膜414が形成される。
【0089】
塗装膜414は第二の絶縁層を形成するものであり、例えば膜厚40μmおよび150℃の耐熱性を有するポリエステル粉体塗装膜であり、電気用品技術基準である1000Vで1分間以上の電気絶縁耐圧性能を十分確保することができる。
【0090】
なお、アルミニウム板413の代わりに、銅板、ステンレス板、アルミニウムめっき鋼板および亜鉛アルミニウムめっき鋼板等のうちいずれかまたは複数を用いてもよい。
【0091】
図7(c)に示すように、塗装膜414の下面に粘着層452aを介して便座ヒータ450が粘着してある。便座ヒータ450は、上部便座ケーシング410にアルミニウムからなる略馬蹄状の金属箔451が配置される。金属箔451の全体の膜厚は50μmである。金属箔451は膜状のポリエチレンテレフタレート樹脂からなるPET層495a25μmと均熱手段としてのアルミ箔層451a25μmで構成されており、PET層451aで強度を増す構造としている。
【0092】
線状ヒータ460は、断面円形の発熱線463aと、第一の絶縁層であるエナメル層463bおよび絶縁被覆層462により構成される。断面円形の発熱線463aの外周面がエナメル層463bおよび絶縁被覆層462で順に被覆される。発熱線463aおよびエナメル層463bによりエナメル線463が構成される。
【0093】
発熱線463aは、例えば0.16〜0.25mmの直径を有し、銅または銅合金からなる。本例では、発熱線463aとして、直径0.176mmの4%Ag−Cu合金からなる高抗張力型ヒータ線が用いられる。抵抗値は0.833Ω/mである。
【0094】
エナメル層463bは、例えば180〜300℃の耐熱性を有するポリエステルイミド
(PEI)からなる。エナメル層463bの膜厚は、20μm以下であり、本例では12〜13μmである。また、エナメル層463bの材料として、ポリイミド(PI)またはポリアミドイミド(PAI)を用いてもよい。
【0095】
絶縁被覆層462は、例えば260℃の耐熱性を有するパーフロロアルコキシ混合物(以下PFAと称する)等のフッ素樹脂からなる。絶縁被覆層462の厚みは、例えば0.1〜0.15mmである。PFAからなる絶縁被覆層462の形成は、押出し加工により行うことができる。 なお、絶縁被覆層462の材料として、ポリイミド(PI)またはポリアミドイミド(PAI)を用いてもよい。
【0096】
線状ヒータ460の外径は、例えば0.46〜0.50mmである。線状ヒータ460の電力密度は、例えば0.95W/cm2である。
【0097】
線状ヒータ460は、粘着層452bおよび例えばアルミニウムからなる金属箔453で覆うように金属箔451に取り付けられる。金属箔453の膜厚は、例えば50μmである。金属箔453はPET層495b25μm、453aアルミ箔層25μmからなりPET層495bで強度を増す構造としている。
【0098】
また図7(b)に示すように、金属箔453と金属箔451を貼り付けた端面全周をコーティング材490でコーティングすることで、便座ヒータ450を設置した便座内の充電部はPET層495bとコーティング材490で覆うことができ、便座内部に水が入った場合でも、漏電等が起こらない構造となる。
【0099】
(4)ヒータ制御
(4−1)ヒータの突入電流
図8はヒータの突入電流を示すタイムチャートである。線状ヒータやランプヒータなど急峻な温度上昇を得ることができるヒータでは、通電開始前のヒータ抵抗値は小さく、このときに流れる電流は、ヒータに定常に流れる電流の数倍〜10倍程度にもなることがある。ヒータの定格電力が1000W−AC100Vの場合は、定常的には10Aであるが、突入電流は数10A〜100A程度になる場合が有る。ヒータ温度が高くなり、抵抗値が大きくなるとこの突入電流は小さくなるが、数100ms〜数秒に亘って、突入電流が発生する場合がある。この突入電流により、家庭内の電力線の抵抗値による電圧降下が発生し、同一電力線に接続されている機器には電圧降下された電圧が印加されることになる。照明器具などでは電圧降下により輝度が低下し、チラツキとなって現れる。
【0100】
(4−2)ヒータ制御方式
図9はヒータを制御する制御回路のブロック図である。便座ヒータ450を駆動するトライアック500、トライアック500のゲートに接続された電流制限抵抗501、駆動トランジスタ502にてマイクロコンピュータ503からの駆動信号を変換してトライアック500をON/OFFする。ヒータへの投入電力低下する制御方式として、トライアック500を用いて、交流電源の通電位相角を遅らせる方式がある。これを位相制御と呼ぶ。
【0101】
トライアック500はトライアックのT1−T2に流れる電流がゼロになると導通(ON)が遮断され、ヒータのOFF信号をトライアックへ与えなくてもよいという利点があるが、逆に、トライアックは一旦導通(ON)状態となるとヒータへの電力を途中でOFFすることが出来ない。
【0102】
図10は上述の位相制御とは別に、交流電源の位相によらずヒータへの通電をいつでもON/OFFできるようにしたヒータ駆動回路のブロック図である。これは、マイクロコ
ンピュータ503からの駆動信号を駆動回路504を介して、ヒータの両端に配置されたトランジスタ等の駆動素子505を交流電源のどの位相であっても、ヒータへの駆動をON/OFFできるものである。駆動素子505をON/OFFする位相、時間によって、ヒータへの通電量を切り替えることができる。
【0103】
(4−3)ヒータ制御位相
ヒータ通電時の突入電流の抑制を行う為には、ヒータを通電する位相が重要となる。ヒータの投入位相角が小さい、即ち、ヒータへの通電量が少ないほど、ヒータの突入電流は小さくなる。しかしながら、ヒータの通電量が少ないと、ヒータの昇温が小さくなり、ヒータ抵抗値は依然として小さいままとなるため、便座部の表面温度上昇が遅くなってしまう。
【0104】
図11(a)、(b)に本実施の形態のヒータ投入位相のイメージを示すタイムチャートを記載する。
【0105】
図11(a)では位相制御の位相角イメージを記載する。ヒータの定常時の消費電力量を1200Wとすると、この制御方式では便座装置周辺の雰囲気温度が0℃の際でもヒータ昇温が可能な70W相当としている。
【0106】
また、図11(b)にトランジスタ等による駆動素子制御での位相角イメージを記載する。駆動素子制御では、上述の位相制御が交流電源の電圧降下の際にのみ行っているのに対し、交流電源の電圧上昇、及び、電圧降下の双方で行うことができる。このときの位相角としては、位相制御の約1/2の40W相当でヒータ昇温が可能となる。駆動素子制御では位相角が小さくてもヒータ昇温が可能なため、突入電流抑制に効果的である。
【0107】
(4−4)位相角の決定の第1の例
ヒータ投入位相角の第1の例として、図12に電圧比較方式を記載する。図12(a)は電圧比較方式のブロック図を示し、(b)は電圧比較方式による制御信号のタイムチャートを示す。
【0108】
交流電源の一方のサイクルでは電圧調整用抵抗R1とR2によるR2間の電圧がQ1のベース=エミッタ電圧を下回ったときにトランジスタQ1がOFF、他方のサイクルではR1とR3によるR3間の電圧がQ2のベース=エミッタ電圧を下回ったときにトランジスタQ2がOFFする。交流電圧が高いときには、トランジスタQ1、Q2のいづれかのトランジスタがON状態となり、この時、トランジスタQ3がONする。また、交流電圧が低いときには、Q1、Q2の双方のトランジスタがOFFし、トランジスタQ3がOFFする。即ち、交流電源波形が、R1、R2、R3によって規定された電圧よりも低いときにのみ、マイクロコンピュータへはHiの信号が、規定された電圧よりも高いときには、マイクロコンピュータへはLoの信号が入力される。このパルスをマイクロコンピュータにて判断し、パルスがHi期間の時、即ち規定電圧よりも交流電源の電圧の方が低い場合には、ヒータへの通電を行い、パルスがLo期間の時、即ち規定電圧よりも交流電源の電圧が高くなった時に、ヒータへの通電を遮断する。よって、交流電源電圧が低い電圧のときにのみヒータへの通電を行うことができる為、ヒータON/OFFによるノイズ発生を低下することができる。
【0109】
また、他の例として、図13に電圧細分化検出方式を記載する。この方式は、交流電源を抵抗分割し、この抵抗分割電圧をマイクロコンピュータへ直接入力する。マイクロコンピュータにはアナログ−デジタル変換(A/D変換)器を搭載しており、マイクロコンピュータにて短時間(例えば交流電源の1サイクルである16.6ms(60Hz)、20ms(50Hz))の間に数100μs間隔で検出を行う。マイクロコンピュータ内部の
A/D変換した値(デジタル変換値)は、交流電源波形を検出間隔毎の瞬時の検出値となるため、図示のように不連続値となる。この交流電源のデジタル変換値とマイクロコンピュータ内部で保持している規定電圧と比較し、規定電圧よりも交流電圧が低い場合のみヒータへの通電を行う。
【0110】
また、図14に示すように、マイクロコンピュータが保持している規定電圧を、交流電源電圧の電圧上昇時と電圧下降時とで個別に保有することで、交流電源電圧の上昇時にはヒータ通電をONからOFFする位相角を、交流電源電圧の下降時にはヒータ通電をOFFからONする位相角を切り替えることができる。これは、ヒータ通電がONからOFFの方が、既にヒータを通電している為、ON/OFF切替の際の抵抗値は大きくなっている為、電圧下降時に比べ、ON/OFF切替によるノイズ発生は小さくすることができ、より突入電流を抑制し、ヒータ通電量を大きくすることができる。
【0111】
(4−5)位相角の決定の第2の例
次に、位相角の決定としてヒータに流れている電流を検出し、ヒータの突入電流が小さくなるまで低電力での制御をおこなう例を示す。
【0112】
図15にヒータの突入電流を検出する例として、ヒータ電流検出部としてヒータに接続されているリード線をコイルの間に貫通させ、コイルの両端に発生する磁界を磁界電圧変換部にて電圧変換して、マイクロコンピュータへ入力する。このコイルに発生する磁界は電流に比例する為、電圧が大きいほど、ヒータに流れている電流が大きいことを示している。
【0113】
このヒータ電流が規定電流値(例えば20Aなど)よりも大きい時には、突入電流が低減していないとしてヒータへの通電量を低下させ、規定電流値よりも小さい時には突入電流が低減したとしてヒータへの通電量を増加させる。規定電流値の目安としては、一般家庭内の屋内電力線抵抗値を0.5Ωと仮定すると、20A×0.5Ω=10Vの電圧降下が発生する程度とする。
【0114】
また、図16に示すように、ヒータと直列に抵抗値の小さい抵抗を接続し、この抵抗の両端電圧を検出してヒータ電流を換算する抵抗電圧検出部による方式もある。ヒータ電流を検出した後の制御方式は上述のコイル方式と同一である為説明は省略する。この方式ではコイル方式がヒータへの接続リード線をコイル間に貫通させなければならないのに対し、1Ω以下の小さい抵抗値の抵抗を直列接続にて接続することでヒータ電流を検出することができる。また、この抵抗値の小さい抵抗をヒータ線を用いることにより、このヒータ線による発熱を便座部への昇温へと利用することでより省エネルギー性を向上させることができる。
【0115】
(4−6)位相角の決定の第3の例
さらに、位相角を決定する第3の例として、図17のようにヒータ近傍に温度検出素子401bを貼付し、ヒータ温度を検出することもできる。ヒータ温度が高くなる、即ち、ヒータ抵抗値が大きくなったことを検出して、ヒータの突入電流が小さくなったと判定し、ヒータへの通電量を低電力から高電力へ切替を行う。このことにより、ヒータ突入電流による他機器への影響を小さくすることができる。
【0116】
なお、本実施の形態においては発熱体である便座ヒータ450として、前記線状ヒータ460を採用したが、これに限るものではなく、短時間に急峻な温度上昇を得ることができるヒータであればランプヒータ、面状ヒータ、PTCヒータ等の他のヒータでもよい。
【0117】
また、本実施の形態においては、便座部400の裏面に線状ヒータ460を貼付するこ
とで、線状ヒータ460の発熱を直接伝導することによって便座部400を加熱する構成としたが、発熱体を加熱して短時間に便座部400の表面を急峻に昇温できる構成であれば、これに限るものではない。
【0118】
例えば、便座部400の表面近傍にヒータおよびファンを備えて、加熱された温風を吹きつけて着座部を暖房するような構成や、便座部400の近傍または便座装置の本体200内にヒータおよびファンを備えて、便座部400の内部の空洞部に温風を送り込んで、着座部を暖房する構成でもよい。また、温風でなく温水を便座内部で循環させて着座部を暖房するような構成としてもよい。
【0119】
これらの、本実施の形態で詳細に説明した発熱体に限らず、大電流を通電開始時に投入することで突入電流が生じる発熱体を用いた場合であれば同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上のように、本発明にかかる便座装置は、ヒータ通電時の突入電流を抑制することができるので、高出力の発熱体を備えて大電流を投入し短時間に急峻に温度上昇させる制御を行う他の暖房装置や加熱装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施の形態1に係る便座装置およびそれを備えるトイレ装置を示す 外観斜視図
【図2】図1の遠隔操作装置の一例を示す模式図
【図3】本発明の実施の形態1に係る便座装置の構成を示す模式図
【図4】便座部の分解斜視図
【図5】(a)は便座部の便座ヒータの平面図、(b)は(a)のC72領域の拡大図
【図6】便座部の平面図
【図7】(a)図6の便座部のC73−C73断面図、(b)図6の便座部のC73−C73断面の上部拡大図、(c)は(b)の要部断面図
【図8】ヒータの突入電流を示すタイムチャート
【図9】トライアックでの便座ヒータ制御のブロック図
【図10】トランジスタでの便座ヒータ制御のブロック図
【図11】(a)は位相制御時のヒータ投入位相を示すタイムチャート、(b)はトランジスタ制御時のヒータ投入位相を示すタイムチャート
【図12】(a)は電圧比較方式のブロック図、(b)は制御信号のタイムチャート
【図13】(a)電圧細分化検出方式のブロック図、(b)は制御信号のタイムチャート
【図14】トランジスタ駆動での電圧しきい値を示すタイムチャート
【図15】ヒータ電流検出方式のブロック図
【図16】直接抵抗でのヒータ電流検出のブロック図
【図17】ヒータ温度検出の構成を示す模式図
【図18】従来の便座装置を示す一部切欠き上面図
【図19】図18のJ−J断面図
【符号の説明】
【0122】
100 便座装置
90 制御部
400 便座部
401b 温度検出素子(ヒータ温度検出部)
450 発熱体(便座ヒータ)
600 入室検知センサ(人体検知部)
700 便器
1000 トイレ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房機能を有する便座装置およびそれを備えるトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の便座装置としては、便座内にランプヒータを設置し、使用者のトイレットルームへの入室を検知すると前記ランプヒータへの通電を開始し、便座を加熱する暖房機能を備えた便座装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図18は特許文献1の暖房便座の一部切欠き上面図であり、図19は図18のJ−J線断面図である。
【0004】
図18および図19に示すように、暖房便座900は、合成樹脂からなる上ケース926と下ケース927とを備える。上ケース926と下ケース927とは互いに接続されている。上ケース926および下ケース927の内部には、輻射反射板929、ランプヒータ930、サーモスタット931、温度ヒューズ932およびサーミスタ33が設けられている。
【0005】
ここで、輻射反射板929は、下ケース927の形状に沿うように形成されている。輻射反射板929上にはランプヒータ930が配置されている。ランプヒータ930の所定の部分を挟んで、サーモスタット931および温度ヒューズ932が輻射反射板929に取り付けられている。
【0006】
図19に示すように、上ケース926の内面でかつランプヒータ930と対向する箇所にサーミスタ933が取り付けられている。
【0007】
この暖房便座900においては、図示しない赤外線センサが使用者のトイレットルームへの入室を検知する。そこで、赤外線センサの検知信号に基づいてランプヒータ930が駆動される。それにより、ランプヒータ930からの輻射エネルギーが直接的にまたは輻射反射板929を介して間接的に上ケース926に与えられ上ケース926が発熱する。
【0008】
上記構成により、特許文献1の暖房便座900によれば、ランプヒータ930を常に駆動する必要がないので、省エネルギー化が実現される。
【特許文献1】特開2000−14598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記の暖房便座900は、上ケース926の内面に設けられたサーミスタ933により上ケース926の温度が測定され、図示しない制御部によりランプヒータ930の駆動が制御される。それにより、上ケース926を所定の温度になるように暖めることができる。
【0010】
しかしながら、ランプヒータ930は通電開始時点には、ランプヒータ930のヒータ抵抗値は小さく、突入電流が発生する。このような大きな突入電流が発生すると、過電流により家庭内のブレーカが遮断したり、便座装置100が接続される電力配線の電圧降下が発生する。この電圧降下は、便座装置100の暖房便座昇温を低下させるだけでなく、便座装置100と家庭内の同一電源に接続されている照明器具などの輝度低下(フリッカー)を発生させて、使用者に対してまた、他の家電機器に対して不具合が生じるため、突
入電流を抑制する必要がある。
【0011】
本発明の目的は、省エネルギー化を実現するとともに、ヒータ通電時の突入電流を抑制することができる便座装置およびそれを備えるトイレ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従来の課題を解決するために、本発明に係る便座装置は、便座部と、前記便座部を加熱する発熱体と、使用者の存在を検知する人体検知部と、前記発熱体の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記人体検知部により使用者の存在が検知された場合に第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、前記第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動するものである。
【0013】
この便座装置においては、人体検知部により使用者の存在が検知された場合に、第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動することにより、第1の温度勾配での発熱体への通電量が小さいため、発熱体にて発生する突入電流を抑制することができる。
【0014】
また、人体検知部により使用者の存在が検知された場合に発熱体が第2の電力で駆動されるので、使用者の存在が検知されないときに発熱体を便座部の昇温に必要な第2の電力で駆動する必要がない。これにより、消費電力が十分に低減され、省エネルギー化が実現される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る便座装置およびそれを備えるトイレ装置によれば、省エネルギー化が実現されるとともに、発熱体への通電直後には、発熱体への通電量を小さくすることで発熱体にて発生する突入電流を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の発明は、便座部と、前記便座部を加熱する発熱体と、使用者の存在を検知する人体検知部と、前記発熱体の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記人体検知部により使用者の存在が検知された場合に第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、前記第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動するものである。
【0017】
これにより、人体検知部により使用者の存在が検知された場合に、第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動することにより、第1の温度勾配での発熱体への通電量が小さいため、発熱体にて発生する突入電流を抑制することができる。
【0018】
第2の発明は、第1の発明に係る便座装置の構成において、制御部は、所定数の4分の1よりも小さい周期の期間に亘って交流電流を供給する第1の電力により発熱体を駆動することである。
【0019】
これにより、発熱体への供給される電流が小さいので、交流電流の通電制御により発生する高調波成分の影響が小さい。したがって、通電制御によるノイズの発生が低減され、更に、発熱体の突入電流を抑制することができる。
【0020】
第3の発明は、第1の発明に係る便座装置の構成において、制御部は交流電圧が一定電圧よりも低い電圧の期間に亘って発熱体へ交流電流を供給するものである。
【0021】
これにより、低い電圧にて発熱体への電流供給を行うことで、発熱体に流れる電流は小
さくなり、発熱体の突入電流を抑制することができる。
【0022】
第4の発明は、第1または第3の発明に係る便座装置の構成において、交流電圧が一定電圧よりも低い電圧の期間の、交流電圧の電圧上昇時、及び、電圧下降時の少なくともいずれか一方の期間に亘って発熱体へ交流電流を供給するものである。
【0023】
これにより、低い電圧にて発熱体への電流供給を行うことで、発熱体に流れる電流は小さくなり、発熱体の突入電流を抑制することができる。更に、交流電源の電圧上昇時、及び、電圧下降時の両方、又は、どちらか一方の期間、発熱体へ電流を供給することで、発熱体での発熱量は大きくなり、便座部温度を急峻に立ち上げることができるとともに、発熱体での発熱量が大きくなることで、発熱体の抵抗値が大きくなり、発熱体への供給電流も小さくなる為、突入電流の抑制を更に大きくすることができる。
【0024】
第5の発明は、第1、及び第3〜4のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、交流電源電圧を規定の電圧と比較することで、前記発熱体への駆動期間を決定するものである。
【0025】
これにより、交流電源電圧が規定電圧よりも低い電圧のときにのみ発熱体への電流供給を行うことで、発熱体に流れる電流は小さくなり、発熱体の突入電流を抑制することができる。
【0026】
第6の発明は、第1、及び第3〜5のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、交流電源電圧を規定の時間に細分化して検出し、規定の電圧よりも低い電圧の期間、発熱体への駆動するものである。
【0027】
これにより、交流電源電圧を細密に検出することが出来、低い電圧にて発熱体への電流供給を行うことで、発熱体に流れる電流は小さくなり、発熱体の突入電流を抑制することができる。更に、特別な回路を追加しなくても、交流電源の電圧上昇時、及び、電圧下降時の両方、又は、どちらか一方の期間において、規定電圧を電圧上昇時、及び、電圧下降時の規定電圧を切り替えることができる為、他の機器による電圧変動時でも、発熱体への供給電流量を一定に保つことができるため、発熱体での発熱量を一定にし、突入電流の抑制をすることができる。
【0028】
第7の発明は、第1、及び第3〜6のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体への電流を検出するヒータ電流検出部を有し、制御部は、ヒータ電流検出部により発熱体への電流が規定電流よりも小さくなるまで第1の電力により前記発熱体への駆動するものである。
【0029】
これにより、発熱体の突入電流を直接検出することが出来、規定電流よりも発熱体電流が大きい場合には発熱体への電力供給を小さく、規定電流よりも発熱体電流が小さくなった時には、発熱体への電力供給を大きくすることで、突入電流を抑制するとともに、便座部温度を急峻に立ち上げることができる。
【0030】
第8の発明は、第1〜7のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体の周辺温度を検出するヒータ温度検出部を有し、制御部は、ヒータ温度検出部により発熱体の温度が規定温度よりも高くなるまで第1の電力により発熱体への駆動するものである。
【0031】
これにより、発熱体の温度による発熱体の抵抗値が大きくなるまでは、低電力での通電を行い、発熱体の抵抗値が大きくなった時には、発熱体への供給電力を大きくすることで
、突入電流を抑制するとともに、便座部温度を急峻に立ち上げることができる。
【0032】
第9の発明は、第1〜8のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体と直列に挿入した抵抗と、抵抗の両端電圧を検出する抵抗電圧検出部を有し、制御部は、抵抗電圧検出部により抵抗の両端電圧が規定電圧よりも小さくなるまで第1の電力により前記発熱体への駆動するものである。
【0033】
これにより、発熱体と直列に接続した抵抗には発熱体と同一の電流が流れるため、この電流による抵抗両端の電圧が発熱体に流れる電流となる。この、発熱体に流れる電流を検出することで、発熱体の電流が大きい時には低電力での通電を行い、発熱体の電流が小さくなった時には、発熱体への供給電力を大きくすることで、突入電流を抑制するとともに、便座部温度を急峻に立ち上げることができる。
【0034】
第10の発明は、第1〜9のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、便座部は、少なくとも一部が金属により形成されたものである。
【0035】
これにより、便座部が、樹脂よりも熱伝導率の高い金属により形成されているので、発熱体を駆動することにより便座部に与えられる熱が効率よくその便座部の全体に伝達される。
【0036】
第11の発明は、第10の発明に係る便座装置の構成において、便座部を形成する金属は、アルミニウムを含むものにより形成されたものである。
【0037】
これにより、便座部が、金属の中でより熱伝導率の高いアルミニウムにより形成されているので、発熱体を駆動することにより便座部に与えられる熱が効率よくその便座部の全体に伝達される。
【0038】
第12の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体は便座部の裏面に貼付した線状ヒータとしたものである。
【0039】
これにより、発熱体を直接便座部の裏面に貼付することで、より、便座部への熱伝導が良くなり、便座部を迅速に昇温することができる。
【0040】
第13の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体はランプヒータとしたものである。
【0041】
これにより、発熱体であるランプヒータは、輻射エネルギーにより便座部を迅速に昇温することができる。
【0042】
第14の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体は面状ヒータとしたものである。
【0043】
これにより、便座全面をムラなく発熱させることで、便座部を迅速に昇温することができる。
【0044】
第15の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明に係る便座装置の構成において、発熱体はPTCヒータとしたものである。
【0045】
これにより、PTC発熱体の正温度係数特性により、発熱体の各部分の温度によって、個々に通電量を変化させるため、便座部の全面をムラなく、迅速に昇温することができる
。
【0046】
第16の発明は、便器と、第1〜15のいずれか1つの発明に係る便座装置とを備えたトイレ装置である。
【0047】
便器に便座装置が取り付けられたトイレ装置においては、人体検知部により使用者の存在が検知された場合に、第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動することにより、第1の温度勾配での発熱体への通電量が小さいため、発熱体にて発生する突入電流を抑制することができる。また、突入電流が小さくなった時点で、発熱体への電力供給を大きくすることで、便座部温度を急峻に立ち上げることができる。
【0048】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施に形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0049】
(実施の形態1)
(1)便座装置およびそれを備えるトイレ装置の外観
図1は本発明の一実施の形態に係る便座装置およびそれを備えるトイレ装置を示す外観斜視図である。図1に示すように、トイレ装置1000は、便座装置100および便器700を備え、トイレットルーム内に設置される。
【0050】
トイレ装置1000において、便器700上には便座装置100が装着される。便座装置100は、暖房機能を有し、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400、蓋部500および入室検知センサ600により構成される。
【0051】
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉自在に取り付けられる。さらに、本体部200には、洗浄水供給機構および着座センサ290が設けられるとともに、後述する制御部が内蔵されている。
【0052】
本実施の形態において、便座部400には便座ヒータが内蔵されている。
【0053】
本体部200の図示しない洗浄水供給機構は、水道配管に接続されており、便器700内に洗浄水を供給する。着座センサ290は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ290は、人体から反射された赤外線を検出した場合に便座部400上に使用者が存在することを検知する。
【0054】
また、本体部200の上面側に便座温調ランプ280が設けられている。便座温調ランプ280は、後述する便座ヒータ450がオフのときに消灯し、便座ヒータ450の昇温待機時に緑色に点灯し、便座ヒータ450の昇温時に橙色の点滅から点灯に変化する。それにより、使用者が便座ヒータ450の現在の状態を認識することができるので、使い勝手が良い。
【0055】
遠隔操作装置300には、複数のスイッチが設けられている。この遠隔操作装置300は、例えば便座部400上に着座する使用者が操作可能な場所に取り付けられる。
【0056】
入室検知センサ600は、例えばトイレットルームの入り口等に取り付けられる。入室検知センサ600は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、入室検知センサ600は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する。
【0057】
本体部200の制御部は、着座センサ290、遠隔操作装置300および入室検知センサ600から送信される信号に基づいて、便座部400に内蔵された便座ヒータの駆動を制御する。
【0058】
さらに、本体部200の制御部は、洗浄水供給機構(図示せず)、本体部200に設けられた脱臭装置(図示せず)および温風供給装置(図示せず)等の制御も行う。
【0059】
(2)遠隔操作装置の構成
図2は、図1の遠隔操作装置300の一例を示す模式図である。
【0060】
図2に示すように、遠隔操作装置300は、暖房スイッチ301、複数の温度調節スイッチ302、303、304および複数のLED(発光ダイオード)305を備える。
【0061】
使用者により暖房スイッチ301および複数の温度調節スイッチ302、303、304が押下操作される。
【0062】
それにより、遠隔操作装置300は、後述する便座装置100の本体部200に設けられた制御部に所定の信号を無線送信する。本体部200の制御部は、遠隔操作装置300より無線送信される所定の信号を受信し、便座ヒータの駆動等を制御する。
【0063】
冬季のように、使用者が暖房機能を使用する場合には、予め暖房スイッチ301が押下操作されることにより便座装置100の暖房機能がオンする。この状態で、温度調節スイッチ302が押下操作された場合には便座部400の温度が低く(例えば、34℃)設定され、温度調節スイッチ303が押下操作された場合には便座部400の温度が中程度(例えば、36℃)に設定され、温度調節スイッチ304が押下操作された場合には便座部400の温度が高く(例えば、38℃)設定される。
【0064】
なお、夏季のように使用者が暖房機能を使用しない場合には、暖房スイッチ301が押下操作されることにより便座装置100の暖房機能がオフする。
【0065】
以下、温度調節スイッチ302〜304により設定される便座部400の温度を便座設定温度と称する。
【0066】
複数のLED305の各々は、暖房スイッチ301および複数の温度調節スイッチ302、303、304と対応するように設けられている。複数のLED305は、暖房スイッチ301および複数の温度調節スイッチ302、303、304の押下操作に伴い点灯する。
【0067】
(3)便座装置の構成
図3は本発明の一実施の形態に係る便座装置100の構成を示す模式図である。上述のように、便座装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および入室検知センサ600を備える。
【0068】
図3に示すように、本体部200は、制御部90、温度測定部401、ヒータ駆動部402、便座温調ランプ280および着座センサ610を含む。
【0069】
また、便座部400は発熱体である便座ヒータ450およびサーミスタ401aを備える。
【0070】
制御部90は、例えばマイクロコンピュータからなり、使用者の入室および便座部40
0の温度等を判定する判定部、タイマ機能を有する計時部、種々の情報を記憶する記憶部、ならびに、ヒータ駆動部402の動作を制御するための通電率切替回路等を含む。
【0071】
本体部200の温度測定部401は、便座部400のサーミスタ401aに接続されている。これにより、温度測定部401は、サーミスタ401aから出力される信号に基づいて便座部400の温度を測定する。以下、サーミスタ401aを通じて温度測定部401により測定される便座部400の温度を測定温度値と称する。
【0072】
また、本体部200のヒータ駆動部402は、便座部400の便座ヒータ450に接続されている。これにより、ヒータ駆動部402は便座ヒータ450を駆動する。
【0073】
本実施の形態において、便座装置100は次のように動作する。初期設定時では、制御部90がヒータ駆動部402を制御することにより、便座部400が例えば約18℃となるように温度調整される。このときの温度を待機温度と称する。
【0074】
ここで、使用者が遠隔操作装置300の便座温度調整スイッチ333を操作することにより、便座設定温度が制御部90に送信される。制御部90は、遠隔操作装置300から受信した便座設定温度を記憶部に記憶する。
【0075】
使用者がトイレットルームに入室すると、入室検知センサ600が使用者の入室を検知する。それにより、使用者の入室検知信号が制御部90に送信される。
【0076】
次に、通常の使用時の動作について説明する。制御部90の判定部は、入室検知センサ600からの入室検知信号により使用者のトイレットルームへの入室を検知する。そこで、判定部は、便座部400の測定温度値、および記憶部に記憶された便座設定温度に基づいて便座ヒータ450の駆動に関する特定のヒータ制御パターンを選択する。
【0077】
通電率切替回路は、選択されたヒータ制御パターンおよび計時部により得られる時間情報に基づいてヒータ駆動部402の動作を制御する。
【0078】
それにより、ヒータ駆動部402により便座ヒータ450が駆動され、便座部400の温度が便座設定温度へと瞬時に上昇される。
【0079】
図4は、便座部400の分解斜視図である。図5(a)は、便座部400の便座ヒー
タ450の平面図、図5(b)は、図5(a)の領域C72の拡大図である。図6は、便座部400の平面図である。図7(a)は、図6の便座部400のC73−C73断面図である。
【0080】
図4に示すように、便座部400は、主としてアルミニウムにより形成された略楕円形状の上部便座ケーシング410、発熱体である略馬蹄形状の便座ヒータ450および合成樹脂により形成された略楕円形状の下部便座ケーシング420を備える。
【0081】
以下、着座した使用者から見て前方側を便座部400の前部とし、着座した使用者から見て後方側を便座部400の後部とする。
【0082】
図5(a)および図6に示すように、発熱体である便座ヒータ450は、前部の一部が切り取られた略馬蹄状に形成される。なお、便座ヒータ450は、略楕円形状を有してもよい。便座ヒータ450は、例えばアルミニウムからなる金属箔451、453および線状ヒータ460を含む。
【0083】
線状ヒータ460は、シート中央部SE3からシート一方端部SE1までの領域およびシート中央部SE3からシート他方端部SE2までの領域において上部便座ケーシング410の形状に合わせて蛇行形状に配設される。
【0084】
具体的には、線状ヒータ460は、左右6列程度のU字状部を有するように形成される。これらのU字状部は、着座した使用者の大腿部の方向にほぼ沿って並行に配置される。各U字状部における線状ヒータ460の間隔は5mm程度である。
【0085】
線状ヒータ460のヒータ始端部460aおよびヒータ終端部460bは、便座部400の後部の一方側から引き出されるリード線470にそれぞれ接続される。
【0086】
さらに、図5(b)に示すように、蛇行形状の線状ヒータ460の経路中に熱応力緩衝部となる複数の折曲部CUが設けられる。
【0087】
図7(a)に示すように、上部便座ケーシング410の外側の側辺に沿った領域G1における線状ヒータ460の間隔ds1および内側の側辺に沿った領域G3における線状ヒータ460の間隔ds3は、上部便座ケーシング410の中央部の領域G2における線状ヒータ460の間隔ds2よりも小さく設定される。それにより、上部便座ケーシング410の外側の側辺に沿った領域G1および内側の側辺に沿った領域G3では、中央部の領域G2に比べて線状ヒータ460が密に配列される。
【0088】
さらに、図7(b)に示すように、上部便座ケーシング410は、例えば厚さ1mmのアルミニウム板413により形成される。アルミニウム板413の上面には、表面化粧層411が形成される。また、アルミニウム板413の下面には、塗装膜414が形成される。
【0089】
塗装膜414は第二の絶縁層を形成するものであり、例えば膜厚40μmおよび150℃の耐熱性を有するポリエステル粉体塗装膜であり、電気用品技術基準である1000Vで1分間以上の電気絶縁耐圧性能を十分確保することができる。
【0090】
なお、アルミニウム板413の代わりに、銅板、ステンレス板、アルミニウムめっき鋼板および亜鉛アルミニウムめっき鋼板等のうちいずれかまたは複数を用いてもよい。
【0091】
図7(c)に示すように、塗装膜414の下面に粘着層452aを介して便座ヒータ450が粘着してある。便座ヒータ450は、上部便座ケーシング410にアルミニウムからなる略馬蹄状の金属箔451が配置される。金属箔451の全体の膜厚は50μmである。金属箔451は膜状のポリエチレンテレフタレート樹脂からなるPET層495a25μmと均熱手段としてのアルミ箔層451a25μmで構成されており、PET層451aで強度を増す構造としている。
【0092】
線状ヒータ460は、断面円形の発熱線463aと、第一の絶縁層であるエナメル層463bおよび絶縁被覆層462により構成される。断面円形の発熱線463aの外周面がエナメル層463bおよび絶縁被覆層462で順に被覆される。発熱線463aおよびエナメル層463bによりエナメル線463が構成される。
【0093】
発熱線463aは、例えば0.16〜0.25mmの直径を有し、銅または銅合金からなる。本例では、発熱線463aとして、直径0.176mmの4%Ag−Cu合金からなる高抗張力型ヒータ線が用いられる。抵抗値は0.833Ω/mである。
【0094】
エナメル層463bは、例えば180〜300℃の耐熱性を有するポリエステルイミド
(PEI)からなる。エナメル層463bの膜厚は、20μm以下であり、本例では12〜13μmである。また、エナメル層463bの材料として、ポリイミド(PI)またはポリアミドイミド(PAI)を用いてもよい。
【0095】
絶縁被覆層462は、例えば260℃の耐熱性を有するパーフロロアルコキシ混合物(以下PFAと称する)等のフッ素樹脂からなる。絶縁被覆層462の厚みは、例えば0.1〜0.15mmである。PFAからなる絶縁被覆層462の形成は、押出し加工により行うことができる。 なお、絶縁被覆層462の材料として、ポリイミド(PI)またはポリアミドイミド(PAI)を用いてもよい。
【0096】
線状ヒータ460の外径は、例えば0.46〜0.50mmである。線状ヒータ460の電力密度は、例えば0.95W/cm2である。
【0097】
線状ヒータ460は、粘着層452bおよび例えばアルミニウムからなる金属箔453で覆うように金属箔451に取り付けられる。金属箔453の膜厚は、例えば50μmである。金属箔453はPET層495b25μm、453aアルミ箔層25μmからなりPET層495bで強度を増す構造としている。
【0098】
また図7(b)に示すように、金属箔453と金属箔451を貼り付けた端面全周をコーティング材490でコーティングすることで、便座ヒータ450を設置した便座内の充電部はPET層495bとコーティング材490で覆うことができ、便座内部に水が入った場合でも、漏電等が起こらない構造となる。
【0099】
(4)ヒータ制御
(4−1)ヒータの突入電流
図8はヒータの突入電流を示すタイムチャートである。線状ヒータやランプヒータなど急峻な温度上昇を得ることができるヒータでは、通電開始前のヒータ抵抗値は小さく、このときに流れる電流は、ヒータに定常に流れる電流の数倍〜10倍程度にもなることがある。ヒータの定格電力が1000W−AC100Vの場合は、定常的には10Aであるが、突入電流は数10A〜100A程度になる場合が有る。ヒータ温度が高くなり、抵抗値が大きくなるとこの突入電流は小さくなるが、数100ms〜数秒に亘って、突入電流が発生する場合がある。この突入電流により、家庭内の電力線の抵抗値による電圧降下が発生し、同一電力線に接続されている機器には電圧降下された電圧が印加されることになる。照明器具などでは電圧降下により輝度が低下し、チラツキとなって現れる。
【0100】
(4−2)ヒータ制御方式
図9はヒータを制御する制御回路のブロック図である。便座ヒータ450を駆動するトライアック500、トライアック500のゲートに接続された電流制限抵抗501、駆動トランジスタ502にてマイクロコンピュータ503からの駆動信号を変換してトライアック500をON/OFFする。ヒータへの投入電力低下する制御方式として、トライアック500を用いて、交流電源の通電位相角を遅らせる方式がある。これを位相制御と呼ぶ。
【0101】
トライアック500はトライアックのT1−T2に流れる電流がゼロになると導通(ON)が遮断され、ヒータのOFF信号をトライアックへ与えなくてもよいという利点があるが、逆に、トライアックは一旦導通(ON)状態となるとヒータへの電力を途中でOFFすることが出来ない。
【0102】
図10は上述の位相制御とは別に、交流電源の位相によらずヒータへの通電をいつでもON/OFFできるようにしたヒータ駆動回路のブロック図である。これは、マイクロコ
ンピュータ503からの駆動信号を駆動回路504を介して、ヒータの両端に配置されたトランジスタ等の駆動素子505を交流電源のどの位相であっても、ヒータへの駆動をON/OFFできるものである。駆動素子505をON/OFFする位相、時間によって、ヒータへの通電量を切り替えることができる。
【0103】
(4−3)ヒータ制御位相
ヒータ通電時の突入電流の抑制を行う為には、ヒータを通電する位相が重要となる。ヒータの投入位相角が小さい、即ち、ヒータへの通電量が少ないほど、ヒータの突入電流は小さくなる。しかしながら、ヒータの通電量が少ないと、ヒータの昇温が小さくなり、ヒータ抵抗値は依然として小さいままとなるため、便座部の表面温度上昇が遅くなってしまう。
【0104】
図11(a)、(b)に本実施の形態のヒータ投入位相のイメージを示すタイムチャートを記載する。
【0105】
図11(a)では位相制御の位相角イメージを記載する。ヒータの定常時の消費電力量を1200Wとすると、この制御方式では便座装置周辺の雰囲気温度が0℃の際でもヒータ昇温が可能な70W相当としている。
【0106】
また、図11(b)にトランジスタ等による駆動素子制御での位相角イメージを記載する。駆動素子制御では、上述の位相制御が交流電源の電圧降下の際にのみ行っているのに対し、交流電源の電圧上昇、及び、電圧降下の双方で行うことができる。このときの位相角としては、位相制御の約1/2の40W相当でヒータ昇温が可能となる。駆動素子制御では位相角が小さくてもヒータ昇温が可能なため、突入電流抑制に効果的である。
【0107】
(4−4)位相角の決定の第1の例
ヒータ投入位相角の第1の例として、図12に電圧比較方式を記載する。図12(a)は電圧比較方式のブロック図を示し、(b)は電圧比較方式による制御信号のタイムチャートを示す。
【0108】
交流電源の一方のサイクルでは電圧調整用抵抗R1とR2によるR2間の電圧がQ1のベース=エミッタ電圧を下回ったときにトランジスタQ1がOFF、他方のサイクルではR1とR3によるR3間の電圧がQ2のベース=エミッタ電圧を下回ったときにトランジスタQ2がOFFする。交流電圧が高いときには、トランジスタQ1、Q2のいづれかのトランジスタがON状態となり、この時、トランジスタQ3がONする。また、交流電圧が低いときには、Q1、Q2の双方のトランジスタがOFFし、トランジスタQ3がOFFする。即ち、交流電源波形が、R1、R2、R3によって規定された電圧よりも低いときにのみ、マイクロコンピュータへはHiの信号が、規定された電圧よりも高いときには、マイクロコンピュータへはLoの信号が入力される。このパルスをマイクロコンピュータにて判断し、パルスがHi期間の時、即ち規定電圧よりも交流電源の電圧の方が低い場合には、ヒータへの通電を行い、パルスがLo期間の時、即ち規定電圧よりも交流電源の電圧が高くなった時に、ヒータへの通電を遮断する。よって、交流電源電圧が低い電圧のときにのみヒータへの通電を行うことができる為、ヒータON/OFFによるノイズ発生を低下することができる。
【0109】
また、他の例として、図13に電圧細分化検出方式を記載する。この方式は、交流電源を抵抗分割し、この抵抗分割電圧をマイクロコンピュータへ直接入力する。マイクロコンピュータにはアナログ−デジタル変換(A/D変換)器を搭載しており、マイクロコンピュータにて短時間(例えば交流電源の1サイクルである16.6ms(60Hz)、20ms(50Hz))の間に数100μs間隔で検出を行う。マイクロコンピュータ内部の
A/D変換した値(デジタル変換値)は、交流電源波形を検出間隔毎の瞬時の検出値となるため、図示のように不連続値となる。この交流電源のデジタル変換値とマイクロコンピュータ内部で保持している規定電圧と比較し、規定電圧よりも交流電圧が低い場合のみヒータへの通電を行う。
【0110】
また、図14に示すように、マイクロコンピュータが保持している規定電圧を、交流電源電圧の電圧上昇時と電圧下降時とで個別に保有することで、交流電源電圧の上昇時にはヒータ通電をONからOFFする位相角を、交流電源電圧の下降時にはヒータ通電をOFFからONする位相角を切り替えることができる。これは、ヒータ通電がONからOFFの方が、既にヒータを通電している為、ON/OFF切替の際の抵抗値は大きくなっている為、電圧下降時に比べ、ON/OFF切替によるノイズ発生は小さくすることができ、より突入電流を抑制し、ヒータ通電量を大きくすることができる。
【0111】
(4−5)位相角の決定の第2の例
次に、位相角の決定としてヒータに流れている電流を検出し、ヒータの突入電流が小さくなるまで低電力での制御をおこなう例を示す。
【0112】
図15にヒータの突入電流を検出する例として、ヒータ電流検出部としてヒータに接続されているリード線をコイルの間に貫通させ、コイルの両端に発生する磁界を磁界電圧変換部にて電圧変換して、マイクロコンピュータへ入力する。このコイルに発生する磁界は電流に比例する為、電圧が大きいほど、ヒータに流れている電流が大きいことを示している。
【0113】
このヒータ電流が規定電流値(例えば20Aなど)よりも大きい時には、突入電流が低減していないとしてヒータへの通電量を低下させ、規定電流値よりも小さい時には突入電流が低減したとしてヒータへの通電量を増加させる。規定電流値の目安としては、一般家庭内の屋内電力線抵抗値を0.5Ωと仮定すると、20A×0.5Ω=10Vの電圧降下が発生する程度とする。
【0114】
また、図16に示すように、ヒータと直列に抵抗値の小さい抵抗を接続し、この抵抗の両端電圧を検出してヒータ電流を換算する抵抗電圧検出部による方式もある。ヒータ電流を検出した後の制御方式は上述のコイル方式と同一である為説明は省略する。この方式ではコイル方式がヒータへの接続リード線をコイル間に貫通させなければならないのに対し、1Ω以下の小さい抵抗値の抵抗を直列接続にて接続することでヒータ電流を検出することができる。また、この抵抗値の小さい抵抗をヒータ線を用いることにより、このヒータ線による発熱を便座部への昇温へと利用することでより省エネルギー性を向上させることができる。
【0115】
(4−6)位相角の決定の第3の例
さらに、位相角を決定する第3の例として、図17のようにヒータ近傍に温度検出素子401bを貼付し、ヒータ温度を検出することもできる。ヒータ温度が高くなる、即ち、ヒータ抵抗値が大きくなったことを検出して、ヒータの突入電流が小さくなったと判定し、ヒータへの通電量を低電力から高電力へ切替を行う。このことにより、ヒータ突入電流による他機器への影響を小さくすることができる。
【0116】
なお、本実施の形態においては発熱体である便座ヒータ450として、前記線状ヒータ460を採用したが、これに限るものではなく、短時間に急峻な温度上昇を得ることができるヒータであればランプヒータ、面状ヒータ、PTCヒータ等の他のヒータでもよい。
【0117】
また、本実施の形態においては、便座部400の裏面に線状ヒータ460を貼付するこ
とで、線状ヒータ460の発熱を直接伝導することによって便座部400を加熱する構成としたが、発熱体を加熱して短時間に便座部400の表面を急峻に昇温できる構成であれば、これに限るものではない。
【0118】
例えば、便座部400の表面近傍にヒータおよびファンを備えて、加熱された温風を吹きつけて着座部を暖房するような構成や、便座部400の近傍または便座装置の本体200内にヒータおよびファンを備えて、便座部400の内部の空洞部に温風を送り込んで、着座部を暖房する構成でもよい。また、温風でなく温水を便座内部で循環させて着座部を暖房するような構成としてもよい。
【0119】
これらの、本実施の形態で詳細に説明した発熱体に限らず、大電流を通電開始時に投入することで突入電流が生じる発熱体を用いた場合であれば同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上のように、本発明にかかる便座装置は、ヒータ通電時の突入電流を抑制することができるので、高出力の発熱体を備えて大電流を投入し短時間に急峻に温度上昇させる制御を行う他の暖房装置や加熱装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施の形態1に係る便座装置およびそれを備えるトイレ装置を示す 外観斜視図
【図2】図1の遠隔操作装置の一例を示す模式図
【図3】本発明の実施の形態1に係る便座装置の構成を示す模式図
【図4】便座部の分解斜視図
【図5】(a)は便座部の便座ヒータの平面図、(b)は(a)のC72領域の拡大図
【図6】便座部の平面図
【図7】(a)図6の便座部のC73−C73断面図、(b)図6の便座部のC73−C73断面の上部拡大図、(c)は(b)の要部断面図
【図8】ヒータの突入電流を示すタイムチャート
【図9】トライアックでの便座ヒータ制御のブロック図
【図10】トランジスタでの便座ヒータ制御のブロック図
【図11】(a)は位相制御時のヒータ投入位相を示すタイムチャート、(b)はトランジスタ制御時のヒータ投入位相を示すタイムチャート
【図12】(a)は電圧比較方式のブロック図、(b)は制御信号のタイムチャート
【図13】(a)電圧細分化検出方式のブロック図、(b)は制御信号のタイムチャート
【図14】トランジスタ駆動での電圧しきい値を示すタイムチャート
【図15】ヒータ電流検出方式のブロック図
【図16】直接抵抗でのヒータ電流検出のブロック図
【図17】ヒータ温度検出の構成を示す模式図
【図18】従来の便座装置を示す一部切欠き上面図
【図19】図18のJ−J断面図
【符号の説明】
【0122】
100 便座装置
90 制御部
400 便座部
401b 温度検出素子(ヒータ温度検出部)
450 発熱体(便座ヒータ)
600 入室検知センサ(人体検知部)
700 便器
1000 トイレ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座部と、前記便座部を加熱する発熱体と、使用者の存在を検知する人体検知部と、前記発熱体の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記人体検知部により使用者の存在が検知された場合に第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、前記第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記制御部は、所定数の4分の1よりも小さい周期の期間に亘って交流電流を供給する前記第1の電力により前記発熱体を駆動することを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記制御部は、交流電圧が一定電圧よりも低い電圧の期間に亘って交流電流を供給する前記第1の電力により前記発熱体を駆動することを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項4】
前記制御部は、交流電圧が一定電圧よりも低い電圧の期間の、交流電圧の電圧上昇時、及び、電圧下降時の少なくともいずれか一方の期間に亘って交流電流を供給する前記第1の電力により前記発熱体を駆動することを特徴とする請求項1または3に記載の便座装置。
【請求項5】
前記制御部は、交流電源電圧を規定の電圧と比較することで、前記発熱体への駆動期間を決定することを特徴とする請求項1、及び3〜4のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項6】
前記制御部は、交流電源電圧を規定の時間に細分化して検出し、規定の電圧よりも低い電圧の期間、前記発熱体への駆動することを特徴とする請求項1、及び3〜5のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項7】
前記発熱体への電流を検出するヒータ電流検出部を有し、前記制御部は、前記ヒータ電流検出部により前記発熱体への電流が規定電流よりも小さくなるまで前記第1の電力により前記発熱体への駆動することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項8】
前記発熱体の周辺温度を検出するヒータ温度検出部を有し、前記制御部は、前記ヒータ温度検出部により前記発熱体の温度が規定温度よりも高くなるまで前記第1の電力により前記発熱体への駆動することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項9】
前記発熱体と直列に挿入した抵抗と、前記抵抗の両端電圧を検出する抵抗電圧検出部を有し、前記制御部は、前記抵抗電圧検出部により前記抵抗の両端電圧が規定電圧よりも小さくなるまで前記第1の電力により前記発熱体への駆動することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項10】
前記便座部は、少なくとも一部が金属により形成されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項11】
前記便座部を形成する金属は、アルミニウムを含むことを特徴とする請求項10に記載の便座装置。
【請求項12】
前記発熱体は前記便座部の裏面に貼付した線状ヒータであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項13】
前記発熱体はランプヒータであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項14】
前記発熱体は面状ヒータであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項15】
前記発熱体はPTCヒータであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項16】
便器と、請求項1〜15のいずれかに記載の便座装置とを備えるトイレ装置。
【請求項1】
便座部と、前記便座部を加熱する発熱体と、使用者の存在を検知する人体検知部と、前記発熱体の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記人体検知部により使用者の存在が検知された場合に第1の温度勾配で第1の時間駆動した後、前記第1の温度勾配よりも急峻な第2の温度勾配で前記発熱体を駆動することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記制御部は、所定数の4分の1よりも小さい周期の期間に亘って交流電流を供給する前記第1の電力により前記発熱体を駆動することを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記制御部は、交流電圧が一定電圧よりも低い電圧の期間に亘って交流電流を供給する前記第1の電力により前記発熱体を駆動することを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項4】
前記制御部は、交流電圧が一定電圧よりも低い電圧の期間の、交流電圧の電圧上昇時、及び、電圧下降時の少なくともいずれか一方の期間に亘って交流電流を供給する前記第1の電力により前記発熱体を駆動することを特徴とする請求項1または3に記載の便座装置。
【請求項5】
前記制御部は、交流電源電圧を規定の電圧と比較することで、前記発熱体への駆動期間を決定することを特徴とする請求項1、及び3〜4のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項6】
前記制御部は、交流電源電圧を規定の時間に細分化して検出し、規定の電圧よりも低い電圧の期間、前記発熱体への駆動することを特徴とする請求項1、及び3〜5のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項7】
前記発熱体への電流を検出するヒータ電流検出部を有し、前記制御部は、前記ヒータ電流検出部により前記発熱体への電流が規定電流よりも小さくなるまで前記第1の電力により前記発熱体への駆動することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項8】
前記発熱体の周辺温度を検出するヒータ温度検出部を有し、前記制御部は、前記ヒータ温度検出部により前記発熱体の温度が規定温度よりも高くなるまで前記第1の電力により前記発熱体への駆動することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項9】
前記発熱体と直列に挿入した抵抗と、前記抵抗の両端電圧を検出する抵抗電圧検出部を有し、前記制御部は、前記抵抗電圧検出部により前記抵抗の両端電圧が規定電圧よりも小さくなるまで前記第1の電力により前記発熱体への駆動することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項10】
前記便座部は、少なくとも一部が金属により形成されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項11】
前記便座部を形成する金属は、アルミニウムを含むことを特徴とする請求項10に記載の便座装置。
【請求項12】
前記発熱体は前記便座部の裏面に貼付した線状ヒータであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項13】
前記発熱体はランプヒータであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項14】
前記発熱体は面状ヒータであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項15】
前記発熱体はPTCヒータであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項16】
便器と、請求項1〜15のいずれかに記載の便座装置とを備えるトイレ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−119251(P2009−119251A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271701(P2008−271701)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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