説明

保持体に固定された物差しを備える配列装置

【課題】物差しが保持体に安定且つ偏差なしに保持され、保持体に固定された物差しを備える配列装置を提供すること。
【解決手段】この発明によると、物差し(1)が球(3)の二次元的配列によって保持体(2)に固定される。球(3)が一方で直接に保持体(2)に載置し、他方で物差し(1)が直接に球(3)上に載置する。保持体(2)と物差し(1)の間の保持力は、保持体(2)に球(3)の固定式保持によって或いは物差し(1)に球(3)の固定式保持によって保証される。球(3)の配列は、それらの球の間に自由空間(4)が残留し、その自由空間が外方に案内する通路を形成するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保持体に固定された物差しを備える配列装置に関し、二つの機械部材の相対位置を測定するために、機械部材の一方には、物差しを固定し、互いに可動な機械部材の他方には、走査ユニットを固定する。位置測定では、物差しの測定部分が走査ユニットによって走査され、位置依存式走査信号が発生される。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0264801号明細書(特許文献1)では、保持体が球に支持されるので、物差しが保持体に組み立てられている。球は小さい領域で転動移動可能に支承されている。物差しと保持体の間の保持力はばねによって導入される。
【0003】
球とばねの組合せによって物差しの縁領域のみの固定と支持を可能とし、それにより平らな支承が物差しの今日の測定領域の内部で達成されない。
【0004】
欧州特許出願公開第1783463号明細書(特許文献2)では、物差し固定が注水によって説明される。特許文献2による接触面が複数の小さい互いに間隔を置いた接触面に仕切られている。支援が一部材で物差し或いは保持体に形成されている。この構成によって確かに物差しの確実な固定と相対的均一な支持が測定領域にも保証されるが、しかし、それにより応力なし且つ全測定部分平面にわたり均一な押圧力が難しく達成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0264801号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1783463号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、物差しが保持体に安定且つ偏差なしに保持され、保持体に固定された物差しを備える配列装置を提供することである。さらに、固定が出来るだけ簡単に且つ価格の安い手段で可能とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に挙げられた配列装置によって解決される。
【0008】
それ故に、物差しが測定部分を有し、二次元的分配されて配置された球を保持体に支持する。測定部分は物差しの表面上に測定領域を定義し、物差しの測定部分に対向位置する表面は、球が接触する載置面を形成する。一方で球が保持体に固定され、他方で物差しに不動に固定されるので、保持体と物差しの間の保持力が伝達される。この固定式固定がそれぞれに材料一体化によって実現されている。
【0009】
球のこの不動の固定式固定のために、保持手段、特に付着手段が用いられ、球の材料一体化固定を奏する。この保持手段が特に被覆として形成されていて、このために、多数の可能性が生じる。球が固定式に保持体に固定されている層が保持体に塗布され得ること或いは層が包装の形態で球に塗布されていることの少なくとも一方が行われる。球が固定式に保持体に固定されている層が物差し上に塗布され得ること或いは層が包装の形態で球に塗布されていることの少なくとも一方が行われる。組み立てられた状態では、これら層が球から浸透されるので、層材料の中間接続なしに、物差しの載置面と保持体と球の直線接触が存在する。
【0010】
硬化の際に収縮され、この収縮効果が積極的に利用される付着手段、特に接着剤の使用が特に好ましい、それにより引張ばねとして作用する保持力が発生され、それにより物差しの載置面が球に作用される。
【0011】
球が物差しの厚さより小さい相互に中心間隔に配置されているときに、特に好ましい。
【0012】
球と保持手段を固定する手段は、その間に外方に案内する通路を形成する自由空間が形成するように配置形成されている。物差しと保持体の中間空間に延びているこれら通路が包装媒体により連通する。
【0013】
固定を回避するために、保持体と物差しの材料がそれぞれに同じ熱膨張係数を有するときに、特に好ましい。保持体と物差しの膨張係数は特に0.1×10-6 -1 より小さい。
【0014】
球は、生じる圧力を出来るだけ変形なしに耐え得る材料からなる。
【0015】
この発明の他の好ましい構成は、従属請求項に与えられている。
【0016】
大きく平らな物差しの平らな平坦性はこの発明の配列装置でも維持されたままであるか、或いは破壊されない、というのは、邪魔する媒体が球の間に形成された自由空間を通って保管され得るからである。この発明の措置によって短い周期的長さ欠陥が測定部分において回避され、高い測定精度が確保されている。
【0017】
物差しが測定稼働で安定に保持体に固定されていて、それは高い剛性を測定方向並びに測定部分平面に垂直に与える。
【0018】
この発明の実施例は図面に基づいて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第一実施例に基づく物差しの載置の際の球を備える保持体を横断面で示す。
【図2】第一実施例に基づく保持体に保持された物差しを横断面で示す。
【図3】図2による配列装置に関する平面図を示す。
【図4】第二実施例に基づく物差しの載置の際の球を備える保持体を横断面で示す。
【図5】第二実施例に基づく保持体に保持された物差しを横断面で示す。
【図6】第三実施例に基づく物差しの載置の際の球を備える保持体を横断面で示す。
【図7】第三実施例に基づく保持体に保持された物差しを横断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至3に基づいてこの発明の第一実施例が説明される。この場合に、ガラス或いはガラスセラミック(例えばゼロデュル)から成る物差し1が測定部分11を備えて図示されている。測定部分11は、二つの測定方向XとYの位置測定の際に図示されていない走査ユニットにより位置依存式走査信号を発生させるように光電的に走査される増大部分である。測定部分11は、公知形式でかなり正確に干渉し合う位置測定するために用いられる反射する増幅格子或いは位相格子である。物差し1がこの位置測定中に保持体2に保持されている。この保持体2は、物差し1のように、同じ膨張係数を有する材料から成る。物差し1と保持体2の0°から50°の温度範囲のこの平均熱膨張係数αは特にゼロデュル(ZERODUR), ジタル(SITAL),ウレ(ULE) のような所謂零膨張を備えるガラスの使用の際の0.1×10-6-1 より小さく、そして例えばインバル(INVAR) のような金属の使用の際の1.5×10-6-1 より小さい。
【0021】
物差し1の保持体2に向いた表面12にはこの物差しが球によって支持されている。これら球3は二次元的分配配置されていて、幾何学的に均一に規則的格子に分配されるか、或いは静止的に分配される。球3は物差し1の厚さDの1/10より小さい相互の中心間隔Aを備えて配置されている。この条件は球3の二次元的分配の各箇所に、しかし、少なくとも測定範囲Mの内部で満たされる。測定範囲Mは、かなり正確な位置測定に利用される測定部分11の範囲によって定義されている。物差し1の厚さDは測定部分平面Eの間の間隔であり、この測定部分平面には測定部分11が位置し、載置面12により物差しが球3を支持される。
【0022】
この措置によって、固定によって取付けられる全ての引張と圧縮応力は、この物差しが物差し1の厚さDの上に分解され、測定部分平面において長さ欠陥として作用しないように立体的に高周波であることが保証されている。測定部分11に直接に対向位置する支持によって、物差し1が測定稼働で安定に保持体2に固定され、それは高い剛性を測定方向XとY並びに測定部分平面に垂直で与える。
【0023】
図3には、物差し1の二次元的測定部分11が平面図に図示されている。物差し1と保持体2の間の球3の二次元的分配配列装置をより良く図示できるために、上左部分では、物差し1の正面が省略される。
【0024】
図3に平面図として示された球3の二次元的立体分配は、球3の間に自由空間4が生じ、互いに接続されていて、それにより外方に案内する通路を形成するように、行われる。この措置によって空気が物差し1の全面にわたり通路の上に均一に外方に周囲に引き出され、それは物差し1の良い平坦性を確保する。
【0025】
物差し1の厚さD用の典型的値は0.5mmから15mmまでである。
【0026】
球3は、生じる圧力を出来るだけ変形なしに耐え得る材料から成る。適した材料は例えばガラスである。好ましい形式では、球3は、物差し1のような同じ熱膨張係数を有する材料から成る。
【0027】
球3は、特に20μmと200μmの間の直径、典型的に50μmを有する。直径と丸さに関する球の公差が特に5μmであり、即ち50μmの目標直径の際には球3が最高±5μmの偏差を有する。
【0028】
保持体2に物差し1の固有の固定は、あらゆる実施例の際に一方で保持体2にと他方で物差し1に球3を不動に固定することによって行われる。この固定は、材料一体的結合、つまり、例えば接着、半田付け或いは溶接である。
【0029】
第一実施例では、物差し1や保持体2に球3を偏差なしに保持するために、保持手段が保持体2に塗布された層51の形態で用いられ、その層には球3が埋め込まれて、それにより場所的に安定に保持体2に結合されている。この層51は付着手段、例えばしっかりと硬化する接着材料、写真ラッカー或いはポリマーであり、球3の直径の一部分である厚さを有する。
【0030】
保持体2に位置固定した球3に対する物差し1の位置固定は、同様に、付着手段の形態、例えば接着材料、他のしっかりと硬化する材料の形態の保持手段53によって行われ、この材料は球3を包囲して付着的に作用する。
【0031】
球3は一方で物差し1をその下面に、つまり、載置面12にそれぞれに点状に接触し、他方で保持体2に同様に点状に接触する。それにより物差し1の平坦性が他の媒体、例えば接着材料によって欠点に影響されないことが保証される。保持手段51、53は、球3を固定式に固定し、保持力を保持体2と物差し1の間に発生させて維持する目的のみを有する。
【0032】
球形状と層51と53の厚さの適した選択によってそれぞれに二つの球3の間にこの球が互いに衝突するときに、自由空間4が生じることが保証される。保持手段51、53、つまり、層材料は、保持体2と物差し1の間の間隔に影響させることなしに、硬化と後の変更のために十分な容積を有する。
【0033】
球3の二次元的配列では、自由空間4が互いに接続され、それにより外部に案内する通路を形成する。この措置によって空気が物差し1の全面の上に通路にわたり均一に外部に周辺に引き渡され、それは組み立ての際に且つ測定稼働中にも物差し1の良好な平坦性を確保する。
【0034】
この互いに接続した自由空間4は、球3上に物差し1の載置の際に空気が中間空間で強制力無しに漏れ得る利点を有する。さらに、自由空間4を物差し1の真空吸込みする通路として利用する可能性が存在する。この場合には、物差し1が球3上に載置され、層材料が完全に硬化されるまで、保持力を自由空間4に負圧の形成によって案内される。外部に案内する自由空間4が利用され得て、球3間の中間空間を媒体により洗浄させ、例えば層材料を適切に影響させるか、或いは温度調整させる。負圧の代わりに、過剰圧も励起され得るか、或いは層材料を分離する媒体がもたらされ、物差し1の分解を可能とする。
【0035】
保持体2、物差し1と測定部分11に対する上記実施態様は次の実施例にも適用する。それ故に、これら要素のために、全ての実施例にも同じ参照符号が使用される。
【0036】
図4と5に図示された第二実施例は、第一実施例と比べて、物差し1に球3の固定式位置固定するために、保持手段が層52の形態で物差し1の載置面12に塗布されていることが相違している。
【0037】
ここでも、球3が一方では物差し1を載置面12にそれぞれに点状に接触し、つまり、物差し1の載置の際に層52を突き破る。他方では球3が同様に、保持体2に点状に接触する。それにより、物差し1の平坦性が他の媒体、特に層材料によって欠点に影響されないことが保証される。保持手段51、52は球3を固定式に固定し且つ保持力を保持体2と物差し1の間に発生させて維持させる目的のみを有する。
【0038】
球形状と層51と52の厚さの適した選択によって、それぞれの二つの球3の間に、これら球が互いに衝突するときに、自由空間4が生じることが保証される。保持手段51、52、つまり、層材料は、保持体2と物差し1の間の間隔に影響させることなしに、硬化や後の変更のために十分な容積を有する。
【0039】
球3の二次元的配列の際にこれら自由空間4が互いに接続していて、それにより外部に案内する通路を形成する。この措置によって空気が物差し1の全面の上に通路にわたり均一に外部に周辺に伝えられ、それは組み立ての際に且つ測定稼働中に物差し1の良好な平坦性を確保する。
【0040】
第一実施例と比べて図6と7に図示された第三実施例の相違は、保持手段として球3の包装としての機能を果たす層53が保持体2に球3を固定式に固定し、並びに物差し1に球3を固定式に固定する機能を果たす。この包装は、球3が保持手段、例えば接着剤或いはホトレジストに混合されるので、実現され得るので、球3が分配され、この混合物が保持体2に塗布される。
【0041】
保持体2に球3をより良く取り扱い分配するために、これら球は保持体、例えば箔に固定され得て、この予め仕上げられた箔が保持体2或いは物差し1の少なくとも一方の上に載置される。
【0042】
全ての実施例には、固定式保持が球3と保持体2の間並びに球3と物差し1の間に接着剤、ホトラッカー、半田材料(例えばガラス半田)、燒結層の形態の付着手段によって或いは冷間接着によって実現される。
【0043】
増加する測定部分11の代わりに或いは追加して、絶対符号化も企図され得る。
【符号の説明】
【0044】
1.....物差し
2.....保持体
3.....球
4.....自由空間
12....載置面
51、52....層(保持手段)
53....層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持体(2)に固定された物差し(1)を備える配列装置において、物差し(1)が測定部分(11)を有し、二次元的に分配されて配置された球(3)の上に保持体(2)に支持され、球が測定領域(M)を形成する物差し(1)の測定部分(11)に対向位置して配置されていて、球(3)が一方で保持体(2)に、他方で物差し(1)に不動に固定されていることを特徴とする配列装置。
【請求項2】
球(3)が保持手段(51、52、53)を介してその球位置で保持体(2)や物差し(1)に不動に保持されていて、保持手段(51、52、53)が球(3)と保持体(2)の間並びに球(3)と物差し(1)の間に材料一体化を奏することを特徴とする請求項1に記載の配列装置。
【請求項3】
保持手段が保持体(2)に配置された第一層(51)と物差し(1)に配置された第二層(52)とであり、それらの層に球(3)が埋め込まれていることを特徴とする請求項2に記載の配列装置。
【請求項4】
保持手段が球(3)を包装する層(53)であることを特徴とする請求項2或いは3に記載の配列装置。
【請求項5】
球(3)が物差し(1)の厚さ(D)より小さい相互中心間隔(A)に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の配列装置。
【請求項6】
球(3)は、これら球が後方へ案内する通路を形成する相互自由空間(4)を有するように、配置固定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の配列装置。
【請求項7】
保持体(2)や物差し(1)の材料は同じ熱膨張係数を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の配列装置。
【請求項8】
保持体(2)や物差し(1)の膨張係数は1.5×10-6-1 より小さい、好ましくは0.1×10-6 -1 より小さいことを特徴とする請求項7に記載の配列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−145281(P2011−145281A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254042(P2010−254042)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(390014281)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】