説明

信号伝達回路

【課題】新たな構成で複数種類の入力信号を1つのトランスを介して入力側から出力側へ伝達することが可能な信号伝達回路を提供することを目的とする。
【解決手段】温度入力信号が立ち上がると、トランス4の1次側コイルに第1のパルス電圧を発生させ、温度入力信号が立ち下がると、1次側コイルに第2のパルス電圧を発生させる1次側回路2と、トランス4の2次側コイルに第1のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、温度出力信号を立ち上がらせ、2次側コイルに第2のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、温度出力信号を立ち下がらせる2次側回路3とを有して信号伝達回路1を構成し、FAIL入力信号が立ち上がると、1次側コイルに第3又は第4のパルス電圧を発生させ、2次側コイルに第3又は第4のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、FAIL出力信号を立ち上がらせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力側と出力側との間に掛かる直流電圧を電気的に絶縁した状態で、信号を入力側から出力側に伝達する信号伝達回路に関する。
【背景技術】
【0002】
信号伝達回路として、入力側と出力側とを電気的に絶縁状態にする部分にフォトカプラを用いるものがある。
しかしながら、フォトカプラは入出力間の伝送遅延が大きいため、上述の信号伝達回路では、デジタル信号の伝送遅延が大きくなってしまうという問題がある。また、フォトカプラは、100℃以上の環境下で使用できないため、上述の信号伝達回路では、100℃以上の環境下で使用できないという問題もある。
【0003】
これらの問題を解決するために、例えば、入力側と出力側とを電気的に絶縁状態にする部分にフォトカプラの代わりにトランスを用いることが考えられる。
図11は、入力側と出力側とを電気的に絶縁状態にする部分としてトランスを用いた信号伝達回路を示す図である。
【0004】
図11に示す信号伝達回路110は、信号(入力信号)が入力される1次側回路111と、信号(出力信号)を出力する2次側回路112と、1次側回路111から2次側回路112へ信号を電気的に絶縁して伝達するトランス113とを備えて構成されている。
【0005】
上記トランス113は、1次側コイルと2次側コイルとを備えている。
上記信号伝達回路110では、例えば、不図示の温度検出回路から出力される温度を示す温度入力信号及び不図示の異常検出回路から出力される異常を示すFAIL入力信号がそれぞれ1次側回路111に入力されると、それら温度入力信号及びFAIL入力信号がトランス113を介して2次側回路112へ伝達され、温度入力信号に対応する温度出力信号及びFAIL入力信号に対応するFAIL出力信号が2次側回路112から出力される。
【0006】
ところで、このような信号伝達回路において、例えば、トランスの1次側コイルに常に一定周期のパルス電圧をかけておき、入力信号のハイレベル期間、その1次側コイルにかかるパルス電圧を低下させ、トランスの2次側コイルにかかるパルス電圧の低下期間、出力信号をハイレベルにするものがある(例えば、特許文献1参照)。このように構成される信号伝達回路において、上述のように、2種類の入力信号を1つのトランスを介して1次側回路から2次側回路へ伝達する場合、入力信号の種類に応じて、1次側コイルにかけるパルス電圧のレベルを変え、トランスの2次側コイルにかかるパルス電圧のレベルに応じて、出力信号を出力することが考えられる。
【特許文献1】特開2006−280100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、複数種類の入力信号を1つのトランスを介して1次側回路から2次側回路へ伝達する信号伝達回路の構成としては様々な構成が考えられる。
そこで、本発明では、新たな構成で複数種類の入力信号を1つのトランスを介して入力側から出力側へ伝達することが可能な信号伝達回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本発明では、以下のような構成を採用した。
すなわち、本発明の信号伝達回路は、1次側コイルと2次側コイルとを有するトランスと、第1の入力信号が立ち上がると、前記1次側コイルに第1のパルス電圧を発生させ、前記第1の入力信号が立ち下がると、前記1次側コイルに前記第1のパルス電圧と逆極性の第2のパルス電圧を発生させる1次側回路と、前記2次側コイルに前記第1のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、第1の出力信号を立ち上がらせ、前記2次側コイルに前記第2のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、前記第1の出力信号を立ち下がらせる2次側回路とを有する信号伝達回路であって、前記1次側回路は、前記第1の入力信号が立ち上がっているとき、第2の入力信号が立ち上がると、前記1次側コイルに前記第1のパルス電圧と同極性の第3のパルス電圧を発生させ、前記第1の入力信号が立ち下がっているとき、前記第2の入力信号が立ち上がると、前記1次側コイルに前記第2のパルス電圧と同極性の第4のパルス電圧を発生させ、前記2次側回路は、前記2次側コイルに前記第3に対応するパルス電圧又は第4のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、第2の出力信号を立ち上がらせる。
【0009】
これにより、新たな構成で第1及び第2の入力信号のそれぞれの立ち上がりタイミングを1つのトランスを介して入力側から出力側へ伝達することができる。
また、前記1次側回路は、前記1次側コイルに前記第3のパルス電圧または前記第4のパルス電圧を一定周期で発生させ、前記2次側回路は、前記2次側コイルに前記第3のパルス電圧に対応するパルス電圧および前記第4のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生しなくなると、前記第2の出力信号を立ち下がらせるように構成してもよい。
【0010】
これにより、第1及び第2の入力信号のそれぞれの立ち下がりタイミングを1つのトランスを介して入力側から出力側へ伝達することができる。
また、前記1次側回路は、前記第1の入力信号が立ち上がっているとき、前記第2の入力信号が立ち下がると、前記1次側コイルに前記第1のパルス電圧と同極性の第5のパルス電圧を発生させ、前記2次側回路は、前記2次側コイルに前記第5のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、前記第2の出力信号を立ち下がらせるように構成してもよい。
【0011】
これにより、第1及び第2の入力信号のそれぞれの立ち下がりタイミングを1つのトランスを介して入力側から出力側へ伝達することができる。
また、前記1次側回路は、前記第1の入力信号が立ち下がっているとき、前記第2の入力信号が立ち下がると、前記1次側コイルに前記第2のパルス電圧と同極性の第6のパルス電圧を発生させ、前記2次側回路は、前記2次側コイルに前記第6のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、前記第2の出力信号を立ち下がらせるように構成してもよい。
【0012】
これにより、第1及び第2の入力信号のそれぞれの立ち下がりタイミングを1つのトランスを介して入力側から出力側へ伝達することができる。
また、前記1次側回路は、前記第1のパルス電圧又は前記第2のパルス電圧を2以上発生させるように構成してもよい。
【0013】
これにより、より確実に第1の入力信号を2次側回路へ伝達することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入力側と出力側の間に掛かる直流電圧を電気的に絶縁した状態で、入力信号を入力側から出力側に伝達する信号伝達回路において、新たな構成で複数種類の入力信号を入力側から出力側へ伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の信号伝達回路を示す図である。
図1に示す信号伝達回路1は、1次側回路2と、2次側回路3と、トランス4とを備えて構成されている。
【0016】
上記1次側回路2は、電源部5、6と、電源駆動部7とを備えて構成されている。
上記電源部5、6は、それぞれ、npnバイポーラトランジスタ8と、NチャネルのMOSFET9、10と、ダイオード11と、定電流源12とを備えて構成されている。
【0017】
すなわち、npnバイポーラトランジスタ8のコレクタ端子は電圧VDDの電源及びダイオード11のカソード端子に接続されているとともに定電流源12を介してMOSFET10のドレイン端子及びnpnバイポーラトランジスタ8のベース端子に接続され、npnバイポーラトランジスタ8のエミッタ端子はMOSFET9のドレイン端子及びダイオード11のアノード端子に接続されている。MOSFET9、10のそれぞれのゲート端子は互いに接続され、MOSFET9のソース端子及びMOSFET10のソース端子はそれぞれグランドに接続されている。電源部5においてnpnバイポーラトランジスタ8とMOSFET9との接続点はトランス4の1次側コイルの一方端に接続され、電源部6においてnpnバイポーラトランジスタ8とMOSFET9との接続点はトランス4の1次側コイルの他方端に接続されている。
【0018】
なお、トランス4の1次側コイルの一方端(電源部5に接続される点)をA点とし、トランス4の1次側コイルの他方端(電源部6に接続される点)をB点とする。
上記2次側回路3は、抵抗13と、ダイオード14〜17と、コンパレータ18、19と、RS型のフリップフロップ回路20と、復元回路21とを備えて構成されている。
【0019】
すなわち、コンパレータ18のプラスの入力端子はトランス4の2次側コイルの一方端及びコンパレータ19のマイナスの入力端子に接続され、コンパレータ18の出力端子はフリップフロップ回路20の入力端子S及び復元回路21の一方の入力端子に接続されている。コンパレータ19のプラスの入力端子はトランス4の2次側コイルの他方端及びコンパレータ18のマイナスの入力端子に接続され、コンパレータ19の出力端子はフリップフロップ回路20のリセット端子R及び復元回路21の他方の入力端子に接続されている。ダイオード14のアノード端子はコンパレータ18のプラスの入力端子及びダイオード15のカソード端子に接続され、ダイオード14のカソード端子はダイオード16のカソード端子及び抵抗13の一方端に接続され、ダイオード16のアノード端子はコンパレータ19のプラスの入力端子及びダイオード17のカソード端子に接続され、ダイオード17のアノード端子はダイオード15のアノード端子、抵抗13の他方端、及びグランドに接続されている。
【0020】
第1の実施形態の信号伝達回路1では、電源駆動部7に入力される温度入力信号(第1の入力信号)に対応する温度出力信号(第1の出力信号)がフリップフロップ回路20の出力端子Qから出力され、電源駆動部7に入力されるFAIL入力信号(第2の入力信号)に対応するFAIL出力信号(第2の出力信号)が復元回路21から出力される。
【0021】
なお、トランス4の2次側コイルの一方端(コンパレータ18のプラスの入力端子に接続される点)をC点とし、トランス4の2次側コイルの他方端(コンパレータ19のプラスの入力端子に接続される点)をD点とする。
【0022】
図2は、電源駆動部7を示す図である。
図2に示すように、電源駆動部7は、パルスカウント回路22、23と、OR回路24〜26と、発振器27と、パルス発生回路28と、AND回路29〜31と、駆動部32とを備えて構成されている。
【0023】
上記駆動部32は、駆動回路33、34と、インバータ35とを備えて構成されている。
上記パルスカウント回路22、23は、それぞれ、インバータ36と、T型のフリップフロップ回路37、38とを備えて構成されている。なお、フリップフロップ回路37、38において、入力端子Tに入力される信号は正論理で処理され、入力反転端子T_及びリセット解除端子R_にそれぞれ入力される信号は負論理で処理されるものとする。
【0024】
上記パルス発生回路28は、立上り遅延回路39と、インバータ40と、バッファ41と、AND回路42とを備えて構成されている。
図3は、復元回路21を示す図である。
【0025】
図3に示すように、復元回路21は、パルスカウント回路43、44と、インバータ45〜47と、AND回路48〜51と、OR回路52〜54と、T型のフリップフロップ回路55、56と、リセット回路57とを備えて構成されている。
【0026】
なお、パルスカウント回路43、44は、上記パルスカウント回路22と同様に、インバータ36と、フリップフロップ回路37、38とを備え、コンパレータ18から出力される信号がパルスカウント回路43のフリップフロップ回路37の入力端子T及びインバータ36に入力され、OR回路52から出力される信号がパルスカウント回路43のフリップフロップ回路37のリセット端子R及びフリップフロップ回路38のリセット端子Rに入力され、パルスカウント回路43のフリップフロップ回路38の出力端子Qから出力される信号がフリップフロップ回路55のリセット解除端子R_に入力されるものとする。また、コンパレータ19から出力される信号がパルスカウント回路44のフリップフロップ回路37の入力端子T及びインバータ36に入力され、OR回路53から出力される信号がパルスカウント回路44のフリップフロップ回路37のリセット端子R及びフリップフロップ回路38のリセット端子Rに入力され、パルスカウント回路44のフリップフロップ回路38の出力端子Qから出力される信号がフリップフロップ回路56のリセット解除端子R_に入力されるものとする。
【0027】
上記リセット回路57は、コンデンサ58と、定電流源59と、NチャネルのMOSFET60と、コンパレータ61と、定電圧源62と、インバータ63と、OR回路64とを備えて構成されている。
【0028】
すなわち、コンデンサ58の一方端は、定電流源59、コンパレータ61のプラスの入力端子、及びMOSFET60のドレイン端子に接続され、コンデンサ58の他方端は、グランドに接続されている。コンパレータ61のマイナスの入力端子は、定電圧源62のプラス端子に接続され、コンパレータ61の出力端子は、OR回路52、53のそれぞれの一方端に接続されている。インバータ63の入力端子は、OR回路54の出力端子に接続され、インバータ63の出力端子は、OR回路64の入力端子に接続されている。MOSFET60のゲート端子は、OR回路64の出力端子に接続され、MOSFET60のソース端子は、グランドに接続されている。
【0029】
図4は、第1の実施形態の信号伝達回路1内の各回路の出力タイミングチャートを示す図である。なお、温度入力信号及びFAIL入力信号のハイレベル期間やローレベル期間は、電源部5のMOSFET9、10を駆動するための駆動信号M4及び電源部6のMOSFET9、10を駆動するための駆動信号M3のそれぞれのハイレベルのパルス幅よりも十分に長いものとする。また、npnバイポーラトランジスタ8のベース−エミッタ間電圧をVbe、ダイオード11が動作する際の閾値電圧をVFとする。
【0030】
まず、温度入力信号の立ち上がりタイミングにおいて、駆動回路34から出力される駆動信号M1がローレベルからハイレベルになる(例えば、温度入力信号の立ち上がりタイミングにおいて、駆動信号M1の連続するハイレベルの2つのパルス電圧のうち1つ目のパルス電圧が立ち上がる)。このとき、駆動信号M2はローレベルである。ハイレベルの駆動信号M1は、OR回路26を介して電源部6へ駆動信号M3として出力され、ローレベルの駆動信号M2は、OR回路25を介して電源部5へ駆動信号M4として出力される。
【0031】
すると、電源部5のnpnバイポーラトランジスタ8と電源部6のMOSFET9とがオン、電源部5のMOSFET9と電源部6のnpnバイポーラトランジスタ8とがオフとなり、1次側回路2のB点がグランドに繋がり、1次側回路2のA点が電源電圧VDDから電圧Vbe降下した分の電圧(VDD−Vbe)となる。したがって、1次側回路2のA点−B点間(トランス4の1次側コイル)にプラス極性の電圧(VDD−Vbe)(第1のパルス電圧)が発生し、トランス4を介して2次側回路3のC点−D点間(トランス4の2次側コイル)にA点−B点間に発生したプラス極性の電圧に対応するプラス極性の電圧が発生する。このプラス極性の電圧は、コンパレータ18で設定される閾値(第1の閾値)以上の電圧であり、コンパレータ18に入力されるとコンパレータ18からハイレベルの電圧が出力される。
【0032】
そして、コンパレータ18からフリップフロップ回路20の入力端子Sにハイレベルの電圧が出力されると、フリップフロップ回路20の出力端子Qから出力される温度出力信号が立ち上がる。
【0033】
一方、温度入力信号の立ち下がりタイミングにおいて、駆動回路33から出力される駆動信号M2がローレベルからハイレベルになる(例えば、温度入力信号の立ち下がりタイミングにおいて、駆動信号M2の連続するハイレベルの2つのパルス電圧のうち1つ目のパルス電圧が立ち上がる)。このとき、駆動信号M1はローレベルである。ハイレベルの駆動信号M2は、OR回路25を介して電源部5へ駆動信号M4として出力され、ローレベルの駆動信号M1は、OR回路26を介して電源部6へ駆動信号M3として出力される。
【0034】
すると、電源部5のMOSFET9と電源部6のnpnバイポーラトランジスタ8とがオン、電源部5のnpnバイポーラトランジスタ8と電源部6のMOSFET9とがオフとなり、1次側回路2のA点がグランドと繋がり、1次側回路2のB点が電源電圧VDDから電圧Vbe降下した分の電圧(VDD−Vbe)となる。したがって、1次側回路2のA点−B点間にマイナス極性の電圧(−(VDD−Vbe))(第2のパルス電圧)が発生し、トランス4を介しC点−D点間にマイナス極性の電圧が発生する。このマイナス極性の電圧は、コンパレータ19で設定される閾値(第2の閾値)以上の電圧であり、コンパレータ19に入力されるとコンパレータ19からハイレベルの電圧が出力される。
【0035】
そして、コンパレータ19からフリップフロップ回路20のリセット端子Rにハイレベルの電圧が出力されると、フリップフロップ回路20の出力端子Qから出力される電圧が立ち下がる。
【0036】
なお、コンパレータ18、19は、C点―D点間電圧が(VDD−Vbe)と(Vbe+VF)との間に閾値を持つように設定されているものとする。但し、(VDD−Vbe)>(Vbe+VF)とする。
【0037】
このように、第1の実施形態の信号伝達回路1は、温度入力信号と同じ立ち上がりタイミング及び立ち下がりタイミングの温度出力信号をトランス4を介して出力する。
次に、FAIL入力信号の立ち上がりタイミング及び立ち下がりタイミングにおける信号伝達回路1の動作について説明する。
【0038】
なお、温度入力信号がハイレベルの期間、パルスカウント回路22におけるフリップフロップ回路37、38のそれぞれのリセット解除端子R_には、ハイレベルの温度入力信号がインバータ79により反転されたローレベルの信号が入力されるため、パルスカウント回路22におけるフリップフロップ回路37、38のそれぞれの出力端子Qから出力される信号がローレベルとなり、温度入力信号がローレベルの期間、パルスカウント回路23におけるフリップフロップ回路37、38のそれぞれのリセット解除端子R_には、ローレベルの信号が入力されるため、パルスカウント部4におけるパルスカウント回路23におけるフリップフロップ回路37、38のそれぞれの出力端子Qから出力される信号がローレベルになる。
【0039】
また、発振器27から出力されるパルス信号の周期は調整可能とする。
また、パルス発生回路28から出力される一定周期のパルス電圧の各パルス幅は、トランス4のリーケージインダクタンスに基づいて調整されていてもよい。
【0040】
まず、温度入力信号が立ち上がると、そのタイミングで、駆動回路34から1つ目のパルス電圧が出力され、パルスカウント回路23におけるフリップフロップ回路37の入力端子Tに入力される。すると、フリップフロップ回路37の出力反転端子Q_からフリップフロップ回路38の入力端子Tへ出力される信号がハイレベルからローレベルに変わり、フリップフロップ回路38の出力端子Qから出力される信号はローレベルのままである。
【0041】
次に、駆動回路34から2つ目のパルス電圧が出力され、パルスカウント回路23におけるフリップフロップ回路37の入力端子Tに入力される。すると、フリップフロップ回路37の出力反転端子Q_からフリップフロップ回路38の入力端子Tへ入力される信号がローレベルからハイレベルに変わり、フリップフロップ回路38の出力端子QからOR回路24を介してAND回路29の一方の入力端子へ出力される信号がローレベルからハイレベルに変わる。
【0042】
このパルスカウント回路23のフリップフロップ回路38からのハイレベルの信号がAND回路29の一方の入力端子に入力されると、AND回路29の他方の入力端子にはハイレベルの信号が入力されているため、AND回路29から発振器27へ出力される信号がハイレベルになり、発振器27からパルス発生回路28へ一定周期のパルス信号が出力される。
【0043】
そして、パルス発生回路28に入力されるパルス信号は、立上り遅延回路39により立ち上がりタイミングが遅延された後、インバータ40により反転されAND回路42の一方の入力端子に入力されるとともにバッファ41を介してAND回路42の他方の入力端子に入力される。これにより、AND回路42からAND回路31の一方の入力端子へ出力されるパルス信号は、発振器27から出力されるパルス信号と同じ周期で、かつ、立上り遅延回路39の遅延時間と同じハイレベル期間のパルス信号になる。
【0044】
なお、このとき、AND回路31の他方の入力端子にハイレベルの温度入力信号が入力されているため、AND回路31から出力される信号はパルス発生回路28から出力されるパルス信号と同じパルス信号になり、そのパルス信号がOR回路26を介して電源部6へ駆動信号M3として出力される。このとき、AND回路30から出力される信号はローレベルであるため、OR回路25から電源部5へ駆動信号M4として出力される信号もローレベルである。
【0045】
これにより、温度入力信号のハイレベル期間において、1次側回路2のA点−B点間に連続する2つのプラス極性のパルス電圧が発生した後、FAIL入力信号がハイレベルになると、1次側回路2のA点−B点間に一定周期(T1)のプラス極性のパルス電圧(第3のパルス電圧)が発生する。
【0046】
一方、温度入力信号が立ち下がると、そのタイミングで、駆動回路33から1つ目のパルス電圧が出力され、パルスカウント回路22におけるフリップフロップ回路37の入力端子Tに入力される。すると、フリップフロップ回路37の出力反転端子Q_からフリップフロップ回路38の入力端子Tへ出力される信号がハイレベルからローレベルに変わる。フリップフロップ回路38の出力端子Qから出力される信号はローレベルのままである。
【0047】
次に、駆動回路33から2つ目のパルス電圧が出力され、パルスカウント回路22におけるフリップフロップ回路37の入力端子Tに入力される。すると、フリップフロップ回路37の出力反転端子Q_からフリップフロップ回路38の入力端子Tへ入力される信号がローレベルからハイレベルに変わり、フリップフロップ回路38の出力端子QからOR回路24を介してAND回路29の一方の入力端子へ出力される信号がローレベルからハイレベルに変わる。
【0048】
このパルスカウント回路22のフリップフロップ回路38からのハイレベルの信号がAND回路29の一方の入力端子に入力されると、AND回路29の他方の入力端子にはハイレベルの信号が入力されているため、AND回路29から発振器27へ出力される信号がハイレベルになり、発振器27からパルス発生回路28へ一定周期のパルス信号が出力される。
【0049】
そして、パルス発生回路28に入力されるパルス信号は、立上り遅延回路39により立ち上がりタイミングが遅延された後、インバータ40により反転されAND回路42の一方の入力端子に入力されるとともに、バッファ41を介してAND回路42の他方の入力端子に入力される。これにより、AND回路42からAND回路30の一方の入力端子へ出力されるパルス信号は、発振器27から出力されるパルス信号と同じ周期で、かつ、立上り遅延回路39の遅延時間と同じハイレベル期間のパルス信号になる。このとき、AND回路30の他方の入力端子にハイレベルの温度入力信号が入力されているため、AND回路30から出力される信号はパルス発生回路28から出力されるパルス信号と同じになり、そのパルス信号がOR回路25を介して電源部5へ駆動信号M4として出力される。
【0050】
なお、このとき、AND回路31から出力される信号はローレベルであるため、OR回路26から電源部6へ駆動信号M3として出力される信号もローレベルである。
これにより、温度入力信号のローレベル期間において、1次側回路2のA点−B点間に連続する2つのマイナス極性のパルス電圧が発生した後、FAIL入力信号がハイレベルであると、1次側回路2のA点−B点間に一定周期(T1)のマイナス極性のパルス電圧(第4のパルス電圧)が発生する。
【0051】
また、温度入力信号のハイレベル期間又はローレベル期間において、FAIL入力信号がローレベルになると、AND回路29から出力される信号がハイレベルからローレベルになり、発振器27から一定周期(T1)のパルス信号が出力されなくなる。
【0052】
このように、第1の実施形態の信号伝達回路1では、温度入力信号とFAIL入力信号が共にハイレベルの場合、1次側回路2のA点−B点間に連続する2つのプラス極性のパルス電圧が発生した後、1次側回路2のA点−B点間に一定周期のプラス極性のパルス電圧を発生させるとともに、温度入力信号がローレベルでFAIL入力信号がハイレベルの場合、1次側回路2のA点−B点間に連続する2つのマイナス極性のパルス電圧が発生した後、1次側回路2のA点−B点間に一定周期のマイナス極性のパルス電圧を発生させる。そして、FAIL入力信号がローレベルになると、発振器27から一定周期(T1)のパルス信号が出力されないようにしている。
【0053】
次に、復元回路21の動作について説明する。
なお、パルスカウント回路43、44におけるフリップフロップ回路37、38は、それぞれ、リセット端子Rにハイレベルの信号が入力されると、ローレベルの信号を出力するものとする。また、フリップフロップ回路55、56は、それぞれ、リセット解除端子R_にローレベルの信号が入力されると、ローレベルの信号を出力するものとする。まず、温度入力信号のハイレベル期間において、FAIL入力信号が立ち上がると、2次側回路3のC点−D点間に発生する1つ目のプラス極性のパルス電圧により、コンパレータ18から復元回路21のAND回路50の一方の入力端子へ出力される信号がハイレベルになる。このとき、すでに、温度入力信号の立ち上がり時に2次側回路3のC点−D点間に連続して発生する2つのプラス極性のパルス電圧により、パルスカウント回路43のフリップフロップ回路38の出力端子Qからフリップフロップ回路55のリセット解除端子R_へハイレベルの信号が出力され、フリップフロップ回路55の出力端子Qからインバータ46へローレベルの信号が出力され、インバータ46からAND回路50の他方の入力端子へハイレベルの信号が出力されている。そのため、AND回路50からフリップフロップ回路55の入力端子Tへ出力される信号がハイレベルになり、フリップフロップ回路55の出力端子QからOR回路54を介して出力されるFAIL出力信号がローレベルからハイレベルになる。
【0054】
また、温度入力信号のローレベル期間において、FAIL入力信号が立ち上がると、2次側回路3のC点−D点間に発生する1つ目のマイナス極性のパルス電圧により、コンパレータ19から復元回路21のAND回路51の一方の入力端子へ出力される信号がハイレベルになる。このとき、すでに、温度入力信号の立ち下がり時に2次側回路3のC点−D点間に連続して発生する2つのマイナス極性のパルス電圧により、パルスカウント回路44のフリップフロップ回路38の出力端子Qからフリップフロップ回路56のリセット解除端子R_へハイレベルの信号が出力され、フリップフロップ回路56の出力端子Qからインバータ47へローレベルの信号が出力され、インバータ47からAND回路51の他方の入力端子へハイレベルの信号が出力されている。そのため、AND回路51からフリップフロップ回路56の入力端子Tへ出力される信号がハイレベルになり、フリップフロップ回路56の出力端子QからOR回路54を介して出力されるFAIL出力信号がローレベルからハイレベルになる。
【0055】
また、温度入力信号のハイレベル期間又はローレベル期間において、FAIL出力信号が立ち上がると、インバータ63からOR回路64を介してMOSFET60のゲート端子へ出力される信号がローレベルになり、MOSFET60がオフし、定電流源59によりコンデンサ58の両端電圧が上昇していく。このコンデンサ58の両端電圧は、2次側回路3のC点−D点間にパルス電圧が発生すると、コンパレータ18またはコンパレータ19からパルス電圧が出力され、MOSFET60がオンし、グランドの電圧に低下する。
【0056】
そして、温度入力信号のハイレベル期間又はローレベル期間において、FAIL入力信号が立下がり、2次側回路3のC点−D点間に一定周期のパルス電圧が発生しなくなると、コンパレータ18またはコンパレータ19からパルス電圧が出力されなくなり、MOSFET60がオフし続ける。その後、コンデンサ58の両端電圧がコンパレータ61のマイナスの入力端子に入力される電圧V1よりも高くなると、コンパレータ61から出力される信号がハイレベルになり、そのハイレベルの信号がOR回路52を介してパルスカウント回路43のフリップフロップ回路38のリセット端子Rに入力されるとともにOR回路53を介してパルスカウント回路44のフリップフロップ回路38のリセット端子Rに入力される。すると、パルスカウント回路43のフリップフロップ回路38の出力端子Qからフリップフロップ回路55のリセット解除端子R_へ出力される信号がローレベルになるとともにパルスカウント回路44のフリップフロップ回路38の出力端子Qからフリップフロップ回路56のリセット解除端子R_へ出力される信号がローレベルになり、フリップフロップ回路55またはフリップフロップ回路56の出力端子QからOR回路54を介して出力されるFAIL出力信号がローレベルになる。
【0057】
このように、本実施形態の信号伝達回路1では、温度入力信号をトランス4を介して1次側回路2から2次側回路3へ伝達し温度出力信号として出力することができるとともにFAIL入力信号をトランス4を介して1次側回路2から2次側回路3へ伝達しFAIL出力信号として出力することができる。
【0058】
次に、本発明の第2の実施形態の信号伝達回路を説明する。
図5は、第2の実施形態の信号伝達回路の電源駆動部を示す図である。
図5に示す電源駆動部65は、インバータ66、67と、駆動回路68〜71と、OR回路72、73と、AND回路74、75とを備えて構成されている。
【0059】
なお、駆動回路68、70は、それぞれ、ハイレベルの信号が入力されると、連続する2つのパルス電圧を出力し、駆動回路69、71は、それぞれ、ハイレベルの信号が入力されると、1つのパルス電圧を出力するものとする。
【0060】
図6は、第2の実施形態の信号伝達回路の復元回路を示す図である。
図6に示す復元回路76は、パルスカウント回路77、78と、AND回路79、80と、OR回路81と、T型のフリップフロップ回路82と、立上り遅延回路83、84とを備えて構成されている。
【0061】
なお、パルスカウント回路77、78は、上記パルスカウント回路22、23と同様に、インバータ36と、フリップフロップ回路37、38とを備え、コンパレータ18から出力される信号がパルスカウント回路77のフリップフロップ回路37のT端子及びインバータ36に出力され、コンパレータ19から出力される信号がパルスカウント回路77のフリップフロップ回路37のリセット解除端子R_及びフリップフロップ回路38のリセット解除端子R_に出力され、パルスカウント回路77のフリップフロップ回路38の出力端子Qから出力される信号が立上り遅延回路83を通してAND回路79の一方の入力端子に出力されるものとする。また、コンパレータ19から出力される信号がパルスカウント回路78のフリップフロップ回路37のT端子及びインバータ36に出力され、コンパレータ18から出力される信号がパルスカウント回路78のフリップフロップ回路37のリセット解除端子R_及びフリップフロップ回路38のリセット解除端子R_に入力され、パルスカウント回路78のフリップフロップ回路38の出力端子Qから出力される信号が立上り遅延回路84を通してAND回路80の一方の入力端子に出力されるものとする。
【0062】
なお、第2の実施形態の信号伝達回路における電源駆動部65及び復元回路76以外の構成は、図1に示す第1の実施形態の信号伝達回路1の構成と同様とする。
図7は、本発明の第2の実施形態の信号伝達回路内の各回路の出力タイミングチャートを示す図である。
【0063】
また、立上り遅延回路83、84の遅延時間はパルスの幅より長くなるように設定されている。
次に、第2の実施形態の信号伝達回路の動作について図5〜図7を参照して説明する。
【0064】
まず、温度入力信号がローレベルからハイレベルになると、駆動回路70から連続する2つのパルス電圧が出力され、その連続する2つのパルス電圧がOR回路73を介してAND回路75の一方の入力端子に出力される。このとき、AND回路75の他方の入力端子には、ハイレベルの温度入力信号が入力されているので、連続する2つのパルス電圧がAND回路75から電源部6のMOSFET9、10のそれぞれのゲート端子へ駆動信号M3として出力される。このとき、駆動信号M4はローレベルである。以降の第2の実施形態の信号伝達回路における電源部5、6の動作は、図1に示す第1の実施形態の信号伝達回路1の電源部5、6の動作と同様であり、1次側回路2のA点−B点間及び2次側回路3のC点−D点間に連続して発生する2つのプラス極性のパルス電圧によりコンパレータ18からフリップフロップ回路20の入力端子Sへ出力される信号がハイレベルになると、フリップフロップ回路20から出力される温度出力信号がローレベルからハイレベルになる。
【0065】
一方、温度入力信号がハイレベルからローレベルになると、その温度入力信号がインバータ67により反転され駆動回路68へ出力される。すると、駆動回路68から連続する2つのパルス電圧がOR回路72を介してAND回路74の一方の入力端子に出力される。このとき、AND回路74の他方の入力端子には、インバータ67から出力されるハイレベルの信号が入力されているので、連続する2つのパルス電圧がAND回路74から電源部5のMOSFET9、10のそれぞれのゲート端子へ駆動信号M4として出力される。このとき、駆動信号M3はローレベルである。以降の第2の実施形態の信号伝達回路における電源部5、6の動作は、図1に示す第1の実施形態の信号伝達回路1の電源部5、6の動作と同様であり、1次側回路2のA点−B点間及び2次側回路3のC点−D点間に連続して発生する2つのマイナス極性のパルス電圧によりコンパレータ19からフリップフロップ回路20のリセット端子Rに出力される信号がハイレベルになると、フリップフロップ回路20から出力される温度入力信号がハイレベルからローレベルになる。
【0066】
次に、温度入力信号のハイレベル期間において、FAIL入力信号がローレベルからハイレベルになるときの第2の実施形態の信号伝達回路の動作について説明する。なお、温度入力信号はハイレベルになっているため、復元回路76のパルスカウント回路77には、すでに連続する2つのパルス電圧が入力されており、パルスカウント回路77からAND回路79の一方の入力端子へはハイレベルの信号が入力されているものとする。
【0067】
まず、FAIL入力信号がハイレベルになり、電源駆動部65の駆動回路71からOR回路73を介してAND回路75の一方の入力端子へ1つのパルス電圧が出力されると(このとき、AND回路75の他方の入力端子には、ハイレベルの温度入力信号が入力されている)、1つのパルス電圧がAND回路75から駆動信号M3として出力される。そして、この駆動信号M3が電源部6のMOSFET9、10のそれぞれのゲート端子に入力されると(このとき、駆動信号M4はローレベルである)、1次側回路2のA点−B点間及び2次側回路3のC点−D点間に1つのプラス極性のパルス電圧(第3のパルス電圧)が発生し、コンパレータ18から復元回路76のAND回路79の他方の入力端子へハイレベルの信号が出力される。そして、パルスカウント回路77から出力されるハイレベルの信号が立ち上がり遅延回路83を介してAND回路79の一方の入力端子に入力されると、AND回路79からOR回路81を介してフリップフロップ回路82の入力端子Tに出力される信号がハイレベルになり、フリップフロップ回路82の出力端子Qから出力されるFAIL出力信号がハイレベルになる。
【0068】
次に、温度入力信号のローレベル期間において、FAIL入力信号がローレベルからハイレベルになるときの第2の実施形態の信号伝達回路の動作について説明する。なお、温度入力信号はすでにローレベルになっているため、復元回路76のパルスカウント回路78には連続する2つのパルス電圧が入力されており、パルスカウント回路78からAND回路80の一方の入力端子へハイレベルの信号が入力されているものとする。
【0069】
まず、FAIL入力信号がハイレベルになり、電源駆動部65の駆動回路71からOR回路72を介してAND回路74の一方の入力端子へ1つのパルス電圧が入力されると(このとき、AND回路74の他方の入力端子にはインバータ67により反転されたハイレベルの温度入力信号が入力されている)、1つのパルス電圧がAND回路74から駆動信号M4として出力される。そして、この駆動信号M4が電源部5のMOSFET9、10のそれぞれのゲート端子に入力されると(このとき、駆動信号M3はローレベルである)、1次側回路2のA点−B点間及び2次側回路3のC点−D点間に1つのマイナス極性のパルス電圧(第4のパルス電圧)が発生し、コンパレータ19から復元回路76のAND回路80の他方の入力端子へ出力される信号がハイレベルになる。そして、パルスカウント回路78から出力されるハイレベルの信号が立ち上がり遅延回路84を介してAND回路80の一方の入力端子に入力されると、AND回路80からOR回路81を介してフリップフロップ回路82の入力端子Tに出力される信号がハイレベルになり、フリップフロップ回路82の出力端子Qから出力されるFAIL出力信号がハイレベルになる。
【0070】
次に、温度入力信号のハイレベル期間において、FAIL入力信号がハイレベルからローレベルになるときの第2の実施形態の信号伝達回路の動作について説明する。なお、温度入力信号はすでにハイレベルになっているため、復元回路76のパルスカウント回路77には連続する2つのパルス電圧が入力されており、パルスカウント回路77からAND回路79の一方の入力端子へハイレベルの信号が入力されているものとする。
【0071】
まず、FAIL入力信号がローレベルになり、電源駆動部65の駆動回路69からOR回路73を介してAND回路75の一方の入力端子へ1つのパルス電圧が入力されると(このとき、AND回路75の他方の入力端子にはハイレベルの温度入力信号が入力されている)、1つのパルス電圧がAND回路75から駆動信号M3として出力される。そして、この駆動信号M3が電源部6のMOSFET9、10のそれぞれのゲート端子に入力されると(このとき、駆動信号M4はローレベルである)、1次側回路2のA点−B点間及び2次側回路3のC点−D点間に1つのプラス極性のパルス電圧(第5のパルス電圧)が発生し、コンパレータ18から復元回路76のAND回路79の他方の入力端子へ出力される信号がハイレベルになる。そして、パルスカウント回路77から出力されるハイレベルの信号が立ち上がり遅延回路83を介してAND回路79の一方の入力端子に入力されると、AND回路79からOR回路81を介してフリップフロップ回路82の入力端子Tに出力される信号がハイレベルになり、フリップフロップ回路82の出力端子Qから出力されるFAIL出力信号がハイレベルからローレベルになる。
【0072】
次に、温度入力信号のローレベル期間において、FAIL入力信号がハイレベルからローレベルになるときの第2の実施形態の信号伝達回路の動作について説明する。なお、温度入力信号はすでにローレベルになっているため、復元回路76のパルスカウント回路78には連続する2つのパルス電圧が入力されており、パルスカウント回路78からAND回路80の一方の入力端子へハイレベルの信号が入力されているものとする。
【0073】
まず、FAIL入力信号がローレベルになり、電源駆動部65の駆動回路69からOR回路72を介してAND回路74の一方の入力端子へ1つのパルス電圧が入力されると(このとき、AND回路74の他方の入力端子にはインバータ67により反転されたハイレベルの温度入力信号が入力されている)、1つのパルス電圧がAND回路74から駆動信号M4として出力される。そして、この駆動信号M4が電源部5のMOSFET9、10のそれぞれのゲート端子に入力されると(このとき、駆動信号M3はローレベルである)、1次側回路2のA点−B点間及び2次側回路3のC点−D点間に1つのマイナス極性のパルス電圧(第6のパルス電圧)が発生し、コンパレータ19から復元回路76のAND回路80の他方の入力端子へ出力される信号がハイレベルになる。そして、パルスカウント回路78から出力されるハイレベルの信号が立ち上がり遅延回路84を介してAND回路80の一方の入力端子に入力されると、AND回路80からOR回路81を介してフリップフロップ回路82の入力端子Tに出力される信号がハイレベルになり、フリップフロップ回路82の出力端子Qから出力されるFAIL出力信号がハイレベルからローレベルになる。
【0074】
このように、本発明の第2の実施形態の信号伝達回路においても、温度入力信号をトランス4を介して1次側回路2から2次側回路3へ伝達し温度出力信号として出力することができるとともにFAIL入力信号をトランス4を介して1次側回路2から2次側回路3へ伝達しFAIL出力信号として出力することができる。
【0075】
次に、A点−B点間に発生するプラス極性のパルス電圧(例えば、温度入力信号の立ち上がりタイミングに発生するプラス極性のパルス電圧やFAIL入力信号の立ち上がりタイミングに発生するプラス極性のパルス電圧)が立ち下がった後の第1の実施形態の信号伝達回路1又は第2の実施形態の信号伝達回路の動作について説明する。
【0076】
図8に示すように、まず、A点−B点間に発生するプラス極性のパルス電圧が立ち下がると、トランス4の1次側コイルの一端(A点)が電源部5のnpnバイポーラトランジスタ8を介して電源部5の電源(VDD)に接続され、1次側コイルの他方端(B点)が電源部6のダイオード11を介して電源部6の電源(VDD)に接続されるため、A点−B点間にマイナス極性の電圧(−(VF+Vbe))が発生するとともに、電源部5の電源(VDD)、電源部5のnpnバイポーラトランジスタ8、トランス4の1次側コイル、電源部6のMOSFET9、電源部6のグランドの順に流れていた電流が、電源部5の電源(VDD)、電源部5のnpnバイポーラトランジスタ8、トランス4の1次側コイル、電源部6のダイオード11、電源部6の電源(VDD)の順に流れるため、トランス4に蓄積されたエネルギーがリセットされる。そして、トランス4に蓄積されたエネルギーがリセットされると、トランス4に流れる電流はゼロになり、A点、B点の電圧はそれぞれ電源電圧VDDになる。
【0077】
なお、このときA点−B点間に発生するマイナス極性の電圧(−(VF+Vbe))はコンパレータ19からハイレベルの電圧が出力されない大きさの電圧とする。すなわち、マイナス極性の電圧(−(VF+Vbe))は上記第2の閾値未満の電圧とする。
【0078】
次に、A点−B点間に発生するマイナス極性のパルス電圧(例えば、温度入力信号の立ち下がりタイミングに発生するマイナス極性のパルス電圧やFAIL入力信号の立ち下がりタイミングに発生するマイナス極性のパルス電圧)が立ち上がった後の第1の実施形態の信号伝達回路1又は第2の実施形態の信号伝達回路の動作について説明する。
【0079】
図8に示すように、まず、A点−B点間に発生するマイナス極性のパルス電圧が立ち上がると、トランス4の1次側コイルの一端(A点)が電源部5のダイオード11を介して電源部5の電源(VDD)に接続され、1次側コイルの他方端(B点)が電源部6のnpnバイポーラトランジスタ8を介して電源部6の電源(VDD)に接続されるため、A点−B点間にプラス極性の電圧(VF+Vbe)が発生するとともに、電源部6の電源(VDD)、電源部6のnpnバイポーラトランジスタ8、トランス4の1次側コイル、電源部5のMOSFET9、電源部5のグランドの順に流れていた電流が、電源部6の電源(VDD)、電源部6のnpnバイポーラトランジスタ8、トランス4の1次側コイル、電源部5のダイオード11、電源部5の電源(VDD)の順に流れるため、トランス4に蓄積されたエネルギーがリセットされる。そして、トランス4に蓄積されたエネルギーがリセットされると、トランス4に流れる電流はゼロになり、A点、B点の電圧はそれぞれ電源電圧VDDになる。
【0080】
なお、このときA点−B点間に発生するプラス極性の電圧(VF+Vbe)はコンパレータ18からハイレベルの電圧が出力されない大きさの電圧とする。すなわち、プラス極性の電圧(VF+Vbe)は上記第1の閾値未満の電圧とする。
【0081】
従って、第1の実施形態の信号伝達回路1や第2の実施形態の信号伝達回路は、トランス4の結合係数が悪くても、入力信号の立ち上がりタイミング後や立ち下がりタイミング後において、トランス4のリーケージインダクタンスとC点、D点の容量成分とによりLC発振を抑えることができ、フリップフロップ回路20の誤動作を防止できる。
【0082】
次に、上記駆動回路33、34の構成について説明する。
図9は、駆動回路33を示す図である。なお、駆動回路34の回路構成は、駆動回路33の回路構成と同様であるため説明を省略する。
【0083】
図9に示す駆動回路33は、インバータ89、90と、立上り遅延回路91〜93と、バッファ94、95と、AND回路96、97と、OR回路98とを備えて構成されている。
【0084】
図10は、駆動回路33、34内の各回路から出力される信号のタイミングチャートを示す図である。なお、駆動回路33の立上り遅延回路91、93及び駆動回路34の立上り遅延回路91、93のそれぞれの遅延時間は同じものとし、駆動回路33の立上り遅延回路92及び駆動回路34の立上り遅延回路92のそれぞれの遅延時間は同じものとする。また、駆動回路33、34において、立上り遅延回路91の遅延時間:立上り遅延回路92の遅延時間=(VF+Vbe):(VDD−Vbe)を目安とする。
【0085】
まず、立ち上がりタイミング時の温度入力信号は、駆動回路34において、バッファ94を介してAND回路96の一方の入力端子に入力されるとともに、立上り遅延回路91により所定時間遅延され、インバータ89により反転され、AND回路96の他方の入力端子に入力される。これにより、AND回路96からOR回路98を介してハイレベルのパルス電圧が駆動信号M1としてOR回路26へ出力される。また、立ち上がりタイミング時の温度入力信号は、駆動回路34において、立上り遅延回路91、92により所定時間遅延され、バッファ95を介してAND回路97の一方の入力端子に入力されるとともに、立上り遅延回路91〜93により所定時間遅延され、インバータ90により反転され、AND回路97の他方の入力端子に入力される。これにより、AND回路96からOR回路98を介してハイレベルのパルス電圧が駆動信号M1としてOR回路26へ出力された後、さらにAND回路97からOR回路98を介してハイレベルのパルス電圧が駆動信号M1としてOR回路25へ出力される。
【0086】
また、立ち下がりタイミング時の温度入力信号は、インバータ35により反転された後、駆動回路33において、バッファ94を介してAND回路96の一方の入力端子に入力されるとともに、立上り遅延回路91により所定時間遅延され、インバータ89により反転され、AND回路96の他方の入力端子に入力される。これにより、AND回路96からOR回路98を介してハイレベルのパルス電圧が駆動信号M2としてOR回路25へ出力される。また、立ち下がりタイミング時の温度入力信号は、インバータ35により反転された後、駆動回路33において、立上り遅延回路91、92により所定時間遅延され、バッファ95を介してAND回路97の一方の入力端子に入力されるとともに、立上り遅延回路91〜93により所定時間遅延され、インバータ90により反転され、AND回路97の他方の入力端子に入力される。これにより、AND回路96からOR回路98を介してハイレベルのパルス電圧が駆動信号M2としてOR回路25へ出力された後、さらにAND回路97からOR回路98を介してハイレベルのパルス電圧が駆動信号M2としてOR回路25へ出力される。
【0087】
なお、上記第2の実施形態の信号伝達回路における駆動回路68、70のそれぞれの構成は、駆動回路33の構成と同じであるため、説明を省略する。
また、上記第2の実施形態の信号伝達回路における駆動回路69、71は、それぞれ、駆動回路33におけるインバータ89と、立上り遅延回路91と、バッファ94と、AND回路96とで構成され、AND回路96から出力される信号が駆動回路69、71のそれぞれの出力信号となる。
【0088】
また、上記実施形態では、温度入力信号及びFAIL入力信号がトランス4を介して1次側回路2から2次側回路3へ伝達され2次側回路3から温度出力信号及びFAIL出力信号として出力される構成であるが、トランス4を介して1次側回路2から2次側回路3へ伝達する信号は特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態の信号伝達回路を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の信号伝達回路内の駆動部を示す図である。
【図3】本発明の実施形態の信号伝達回路内の復元回路を示す図である。
【図4】本発明の実施形態の信号伝達回路内の各回路から出力される信号のタイミングチャートを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の信号伝達回路内の駆動部を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の信号伝達回路内の復元回路を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の信号伝達回路内の各回路から出力される信号のタイミングチャートを示す図である。
【図8】第1の実施形態の信号伝達回路又は第2の実施形態の実施形態の信号伝達回路における1次側回路のA点−B点間にかかる電圧を示す図である。
【図9】本実施形態の信号伝達回路における駆動回路を示す図である。
【図10】駆動回路内の各回路から出力される信号のタイミングチャートを示す図である。
【図11】従来の信号伝達回路を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1 信号伝達回路
2 1次側回路
3 2次側回路
4 トランス
5、6 電源部
7 電源駆動部
8 npnバイポーラトランジスタ
9、10 MOSFET
11 ダイオード
12 定電流源
13 抵抗
14〜17 ダイオード
18、19 コンパレータ
20 フリップフロップ回路
21 復元回路
22、23 パルスカウント回路
24〜26 OR回路
27 発振器
28 パルス発生回路
29〜31 AND回路
32 駆動部
33 駆動回路
34 駆動回路
35 インバータ
36 インバータ
37 フリップフロップ回路
38 フリップフロップ回路
39 立上り遅延回路
40 インバータ
41 バッファ
42 AND回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側コイルと2次側コイルとを有するトランスと、
第1の入力信号が立ち上がると、前記1次側コイルに第1のパルス電圧を発生させ、前記第1の入力信号が立ち下がると、前記1次側コイルに前記第1のパルス電圧と逆極性の第2のパルス電圧を発生させる1次側回路と、
前記2次側コイルに前記第1のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、第1の出力信号を立ち上がらせ、前記2次側コイルに前記第2のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、前記第1の出力信号を立ち下がらせる2次側回路と、
を有する信号伝達回路であって、
前記1次側回路は、前記第1の入力信号が立ち上がっているとき、第2の入力信号が立ち上がると、前記1次側コイルに前記第1のパルス電圧と同極性の第3のパルス電圧を発生させ、前記第1の入力信号が立ち下がっているとき、前記第2の入力信号が立ち上がると、前記1次側コイルに前記第2のパルス電圧と同極性の第4のパルス電圧を発生させ、
前記2次側回路は、前記2次側コイルに前記第3に対応するパルス電圧又は第4のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、第2の出力信号を立ち上がらせる
ことを特徴とする信号伝達回路。
【請求項2】
請求項1に記載の信号伝達回路であって、
前記1次側回路は、前記1次側コイルに前記第3のパルス電圧または前記第4のパルス電圧を一定周期で発生させ、
前記2次側回路は、前記2次側コイルに前記第3のパルス電圧に対応するパルス電圧および前記第4のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生しなくなると、前記第2の出力信号を立ち下がらせる
ことを特徴とする信号伝達回路。
【請求項3】
請求項1に記載の信号伝達回路であって、
前記1次側回路は、前記第1の入力信号が立ち上がっているとき、前記第2の入力信号が立ち下がると、前記1次側コイルに前記第1のパルス電圧と同極性の第5のパルス電圧を発生させ、
前記2次側回路は、前記2次側コイルに前記第5のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、前記第2の出力信号を立ち下がらせる
ことを特徴とする信号伝達回路。
【請求項4】
請求項1又は請求項3に記載の信号伝達回路であって、
前記1次側回路は、前記第1の入力信号が立ち下がっているとき、前記第2の入力信号が立ち下がると、前記1次側コイルに前記第2のパルス電圧と同極性の第6のパルス電圧を発生させ、
前記2次側回路は、前記2次側コイルに前記第6のパルス電圧に対応するパルス電圧が発生すると、前記第2の出力信号を立ち下がらせる
ことを特徴とする信号伝達回路。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の信号伝達回路であって、
前記1次側回路は、前記第1のパルス電圧又は前記第2のパルス電圧を2以上発生させる
ことを特徴とする信号伝達回路。

【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−147564(P2009−147564A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321376(P2007−321376)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】