説明

信号処理回路

【課題】内部回路の内部クロックと内部回路の入力信号との位相関係により内部回路の出力が変動する場合であっても、安定した回路動作とすることができる信号処理回路を得る。
【解決手段】入力信号と位相制御信号とを受け、前記入力信号及び前記位相制御信号の位相差に基づき位相比較信号を出力する位相比較手段と、前記位相比較信号を受け、前記位相比較信号に基づく周波数で発振する発振信号を出力する発振手段と、前記発振信号を受け、前記位相制御信号を出力する位相制御信号発生手段とを備え、同時に前記位相制御信号を出力信号とし、該位相制御信号を内部クロックとして供給することを特徴とする位相差制御回路である信号処理回路等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は入力信号に対して一定の位相で同期した信号を出力する位相差制御回路、複数の内部回路に対応した位相差制御回路及び位相差制御回路を内蔵した半導体集積回路等の信号処理回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は従来のLSIに内蔵された位相同期回路の構成を示すブロック図であり、図7はその動作状況を示すタイミング図である。
【0003】
位相同期回路610は、一方の入力端に入力Cの波形641が入力され、この入力端子1に位相比較器611の入力端が接続される。また、他方の入力端に電圧制御発振器613の出力644が印加される。
【0004】
位相比較器611は二つの入力端から受けるそれぞれの信号の位相差を検出し、その結果であるパルス信号をループフィルタ612に出力する。すなわち、位相比較器611は一方の入力端より受ける入力Cの位相に対して他方の入力端より受ける信号が遅れている場合はループフィルタ612から出力される位相比較電圧値の増加を指示するパルス信号642を出力し、その逆の場合はループフィルタ612の位相比較電圧値の減少を指示するパルス信号642を出力する。
【0005】
ループフィルタ612は位相比較器611から出力されるパルス信号642をアナログ電圧に変換し、フィルタリング処理を施して位相比較電圧643を電圧制御発振器613に出力する。
【0006】
電圧制御発振器613はループフィルタ612から得た位相比較電圧643に比例した周波数の発振信号644をクロックツリーシンセシス(Clock Tree Synthesis、以下CTSと称する)620に出力するとともに、位相比較器611の他方の入力端に出力する。CTSとは、一般に、1つのクロック信号を複数個所に配信するためのブロックにおいて、この複数の配信先の出力端子のクロックのタイミングが一致するように相対的な遅延時間を合わせる機能を有するものであって、ここでは、入力Cと信号644の位相が一致するように制御される。
【0007】
そしてこの例では、CTS620から、内部クロック646が、位相同期回路を内蔵するLSI内部の他の内部回路630の内部クロック646として供給される。具体的には、入力A、入力Bなどの入力信号647、648を、フリップフロップ631、632にて内部クロック646で同期させ、出力a、bが安定した出力となる様に動作させている。
【0008】
このように、位相同期回路610は、一方の入力端に入力される入力Cに対し、他方の入力端に入力される信号644の位相が遅れた場合は、位相比較器611はループフィルタ612から出力される位相比較電圧643の増加を指示するパルス信号642を出力することにより、電圧制御発振器613から出力される発振信号644の発振周波数を上昇させ、逆に入力Cに対し発振信号644が進んでいる場合は、位相比較器611はループフィルタ612から出力される位相比較電圧643の減少を指示するパルス信号642を出力することにより、発振信号644の発振周波数を下降させる。その結果、位相同期回路610は入力Cと発振信号644との位相差をなくす方向に作用するため、図7に示すように、入力Cに位相が同期した発振信号644が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−23272号公報
【特許文献2】特開2005−233848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の位相同期回路によるクロック制御では、CTSやマクロなどによる内部クロック646の生成においては、クロックの出力の位相は一致するものの、入力端子からみた場合の遅延時間は不明となる。そのため発振信号644からの遅延時間t7が一定せず、内部回路630の入力647とほぼ同期してクロック動作する場合があり、動作時T72において、予想より遅延時間t71が短い、早いタイミングの動作クロック646甲と、予想より遅延時間t73が長い、遅いタイミングの動作クロック646丙とでは入力A、Bの入力信号647、648との関係では出力a、bが変わってしまう場合がある。特に、内部回路630の入力647とほぼ同期したクロック差(T72−T71)が遅延時間t72とほぼ同じである同期クロック646乙の場合は、どちらの結果が得られるか予測が困難であった。
【0011】
ここで従来は、この様な現象を防止するために、別途位相差を補正する回路を必要としていたため、データ転送時間の高速化を妨げる、回路設計が複雑になる、回路面積が増加するなどの問題点があった。
【0012】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、安定した内部回路の動作、高速なデータ転送が可能な位相同期回路及び位相同期回路を内蔵し高速なデータ転送が可能な半導体集積回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係る請求項1記載の位相差制御回路である信号処理回路は、入力信号と位相制御信号とを受け、前記入力信号及び前記位相制御信号の位相差に基づき位相比較信号を出力する位相比較手段と、前記位相比較信号を受け、前記位相比較信号に基づく周波数で発振する発振信号を出力する発振手段と、前記発振信号を受け、前記位相制御信号を出力する位相制御信号発生手段とを備え、同時に前記位相制御信号を出力信号とし、該位相制御信号を内部クロックとして供給することにより構成される。
【0014】
また、請求項2記載の位相差制御回路である信号処理回路のように、位相比較手段と、発振手段と、位相制御信号発生手段とを複数そなえ、入力信号と、外部クロックを共通とし、共通の位相制御信号をクロックとして複数の内部回路に供給することを特徴とするように構成してもよい。
【0015】
また、請求項3や4記載のクロック制御装置である信号処理回路のように、位相差制御回路の出力がクロックで制御される複数の内部回路の各々の入力のうち一方の入力であるように構成してもよい。
【0016】
この発明に係る請求項5記載の半導体集積回路である信号処理回路は、請求項3または請求項4記載のクロック制御装置により回路の動作クロックが制御されているように構成される。
【0017】
この発明に係る請求項6記載の信号処理回路は、請求項3または請求項4記載のクロック制御装置により同一の入力信号を複数の半導体集積回路が同時に受け、前記複数の半導
体集積回路における動作クロックが制御されているように構成される。
【発明の効果】
【0018】
この発明における請求項1記載の位相差制御回路である信号処理回路は、内部回路の内部クロックが位相同期回路の入力と同期できるため、内部回路の内部クロックと内部回路の入力信号との位相関係により内部回路の出力が変動する場合であっても、安定した回路動作とすることができる。
【0019】
従って、内部回路の内部クロックと内部回路の入力信号との位相関係により内部回路の出力が変動する場合であっても、回路の修正をすることなく安定した回路動作とすることができ、また、回路設計においても内部回路の内部クロックと内部回路の入力信号との位相関係により内部回路の出力が変動することによる設計変更をする手間を無くすことが可能になった。
【0020】
特に、入力信号が2つ以上ある場合に、内部回路のさまざまな遅延差を考慮する必要がなくなり、内部回路の外からタイミング制御を行うことが可能になったために、複数の信号の位相管理が、内部回路の外から容易に制御でき、安定した回路動作とすることができる様になった。
【0021】
また、請求項2記載の位相差制御回路である信号処理回路は、2つ以上の内部回路から構成されているときに、各々に内部回路の内部クロックを提供する場合において、その各々の内部回路の内部クロックを同期させることが可能になり、これにより同時に動作させても安定した回路動作とすることができる様になった。
【0022】
これにより、入力信号ビット数を増加させることが容易になり、これにより信号処理速度を向上する設計が容易に行なえる様になった。
【0023】
また、請求項3記載のクロック制御装置である信号処理回路は、請求項1記載の位相差制御回路を用いて内部回路のクロックを制御するので、内部回路の内部クロックを、複数の内部回路から構成されている場合であっても同じ位相で内部回路を動作させることが可能になり、内部回路の内部クロックと内部回路の入力信号との位相関係により内部回路の出力が変動する場合であっても、安定的に並行処理を行うことができる。
【0024】
この発明に係る請求項4記載のクロック制御装置である信号処理回路は、請求項2記載の位相差制御回路を用いて複数の内部回路のクロックを制御するので、複数の内部回路を、同じ位相で動作させることが可能になり、複数の内部回路の内部クロックと複数の内部回路の入力信号との位相関係により内部回路の出力が変動する場合であっても、安定的に並行処理を行うことができるようになったため、多ビット並行処理が可能となり、信号処理速度を向上させることが可能になった。
【0025】
また、請求項5記載の半導体集積回路である信号処理回路は、請求項3記載の位相同期回路や請求項4記載のクロック制御装置によるクロック動作が行われるため、余計な回路を必要とせず、多ビット並行処理が可能となり、信号処理速度を向上させることが可能になった。
【0026】
また、請求項6記載の信号処理回路は、請求項3記載の位相同期回路や請求項4記載のクロック制御装置によるクロック動作が行われるため、余計な回路を必要とせず、多ビット並行処理が、複数の半導体集積回路間で可能となり、信号処理速度を向上させることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施の形態の例である位相差制御回路の構成を用いたクロック制御装置を利用した半導体集積回路の概念ブロック図である。
【図2】図1の実施の形態の例の位相差制御回路の構成を用いたクロック制御装置を利用した半導体集積回路の動作を示すタイミング図である。
【図3】図1とは別なこの発明の実施の形態の例である位相差制御回路の構成を用いたクロック制御装置を利用した複数の内部回路からなる半導体集積回路の概念ブロック図である。第1の実施例の遅延回路の内部構成を示す回路図である。
【図4】図3の実施の形態の例の位相差制御回路の構成を用いたクロック制御装置を利用した半導体集積回路の動作を示すタイミング図である。
【図5】図1や図3の実施の形態の例とは別なこの発明の実施の形態の例である位相差制御回路の構成を用いたクロック制御装置を利用した複数の内部回路を統合した半導体集積回路の概念ブロック図である。
【図6】従来の実施の形態の例である位相同期回路の構成を用いたクロック制御装置を利用した半導体集積回路の概念ブロック図である。
【図7】図6の半導体集積回路の動作を示すタイミング図である。
【図8】図1や図3や図5の実施の形態の例とは別なこの発明の実施の形態の例である位相差制御回路の構成を用いたクロック制御装置を利用した複数の半導体集積回路における動作クロックが制御されていることを特徴とする信号処理回路の概念ブロック図である。
【図9】図8の実施の形態の例のクロック制御装置を利用した信号処理回路の動作を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の各例では、遅延を生じさせる回路としてCTSの場合で説明しているが、他のマクロ回路等でも本発明は利用できる。
【0029】
<第1の実施の形態例>
図1はこの発明の実施例である位相差制御回路の構成を用いたクロック制御装置を利用した半導体集積回路の概念ブロック図の基本となる構成を示すものである。
【0030】
図1はこの発明の実施の形態の例である位相差制御回路の構成を示すブロック図である。同図に示すように、入力Cと位相制御信号146とを受け、前記入力C及び前記位相制御信号146の位相差に基づき位相比較信号142を出力する位相比較手段である位相比較器111と、前記位相比較信号142を受け、それに基づく位相比較電圧143を出力するループフィルタ112と、前記位相比較電圧143に基づく周波数で発振する発振信号144を出力する発振手段の一種である電圧制御発信器113と、前記発振信号144を受け、前記位相制御信号146を出力するCTS120とを備える。
【0031】
この位相制御信号146は同時に内部回路130にも配線され、各入力である入力Aや入力Bの動作クロックを制御するフリップフロップ131、132のクロックCLK入力となす。
【0032】
位相比較器111は入力Cと位相制御信号146から受けるそれぞれの信号の位相差を検出し、その結果であるパルス信号142をループフィルタ112に出力する。すなわち、位相比較器111は入力Cより受ける外部クロックの信号141に対して位相制御信号146より受ける信号の位相が遅れている場合はループフィルタ112から出力される位相比較電圧値の増加を指示するパルス信号142を出力し、その逆の場合はループフィルタ112の位相比較電圧値の減少を指示するパルス信号142を出力する。
【0033】
ループフィルタ112は位相比較器111から出力されるパルス信号142をアナログ電圧に変換し、フィルタリング処理を施して位相比較電圧143を電圧制御発振器113に出力する。
【0034】
電圧制御発振器113はループフィルタ112から得た位相比較電圧143に比例した周波数で発振する発振信号144をCTS120に出力する。
【0035】
CTS120は発振信号144を遅延時間t2遅延させて内部クロック146を位相比較器110の一方の入力端に出力するとともに、内部回路130に内部クロック146を提供する。
【0036】
なお、CTS120からの出力は、実際は様々であり、数百のセルにつながる場合があり、それら全てのクロックの相対的な位相を調整するのがCTSの役割なのであるが、従来技術の接続の場合、発振信号114から見ると、内部クロック146に対しては遅延回路と同様の意味にしかならず、その遅延時間はどのようになるのか不確定となるところである。しかし本発明では、このCTSの出力のうち1本を位相比較器111にも接続しているので、CTSの絶対的な遅延時間は無視され、発振信号144は内部クロック146に対し、CTSの遅延分だけ早いタイミングで動作することになる。なお本例ではCTSを挙げたが、所望のクロックが出力できればどのような回路でも問題なく、CTSの代わりにマクロ回路等の演算などにより一定の遅延が生ずる回路であっても本発明は成立する。
【0037】
このように、位相同期回路は、入力Cの波形141に対し、内部クロック146の位相が遅れた場合の内部クロック146甲は、位相比較器111のループフィルタ112から出力される位相比較電圧値の増加を指示するパルス信号142を出力することにより、電圧制御発振器113から出力される発振信号144甲の発振周波数を上昇させ、逆に入力Cに対し位相が進んでいる場合の内部クロック146乙は、位相比較器111のループフィルタ112から出力される位相比較電圧値の減少を指示するパルス信号142を出力することにより、発振信号144乙の発振周波数を下降させる。これにより、CTS120の遅延時間t2が一定であることを利用して、内部クロック146の位相を発振信号144の発振周波数で調節する。
【0038】
この結果、位相同期回路は入力Cの信号141と内部クロック146との位相差をなくし、位相が内部クロック146丙になる様な遅延時間t2を組み込んだ発振信号144丙の位相になるべき方向に作用するため、図2に示すように、出力Cの信号141に位相が同期した内部クロック146が得られる。
【0039】
そこで、本実施例の位相同期回路を内蔵するLSIが、LSIの内部回路130の入力Aの信号147および入力Bの信号148を内部回路130で同期させるためのフリップフロップ131、132のクロックCLKとして内部クロック146を用いて動作させると、フリップフロップ131とフリップフロップ132が同クロックで動作し、これらの位相同期回路とフリップフロップ群とでクロック制御装置をなし、これにより内部回路130が正しく動作し、遅延時間t2に関係なくクロックずれがなくなることで出力a、出力bとして正しい値が得られるだけでなく、クロック遅れを最小限にすることができる。
【0040】
<第2の実施の形態例>
図3はこの発明の第2の実施の形態である位相差制御回路の構成を示すブロック図である。同図に示すように、入力Cの信号341と位相制御信号346とを受け、前記入力Cの信号341及び前記位相制御信号346の位相差に基づき位相比較信号342を出力す
る位相比較器311と、前記位相比較信号342を受け、それに基づく位相比較電圧343を出力するループフィルタ312と、前記位相比較電圧343に基づく周波数で発振する発振信号344を出力する電圧制御発信器313と、前記発振信号344を受け、前記位相制御信号346を出力するCTS320とを備える。
【0041】
この位相制御信号346は同時に内部回路330にも配線され、各入力である入力Aや入力Bの動作クロックを制御するフリップフロップ331、332のクロックCLK入力となす。
【0042】
また、同じ入力Cの信号341と位相制御信号396とを受け、前記入力Cの信号341及び前記位相制御信号396の位相差に基づき位相比較信号392を出力する位相比較器361と、前記位相比較信号392を受け、それに基づく位相比較電圧393を出力するループフィルタ362と、前記位相比較電圧393により周波数で発振する発振信号394を出力する電圧制御発信器363と、前記発振信号394を受け、前記位相制御信号396を出力するCTS370とを備える。
【0043】
この位相制御信号396は同時に内部回路380にも配線され、各入力である入力Dや入力Eの動作クロックを制御するフリップフロップ381、382のクロックCLK入力となす。
【0044】
このように、位相同期回路は、入力Cの波形341に対し、内部クロック346と内部クロック396の位相が両方とも入力Cの波形341と同位相となるため、図4に示すように、出力Cの信号341に位相が同期した内部クロック346、内部クロック396が得られる。
【0045】
そこで、本実施例の位相同期回路を内蔵するLSIが、LSIの内部回路330、内部回路380の入力Aの信号347、入力Bの信号348、入力Dの信号397および入力Eの信号398を内部回路330と内部回路380で同期させるためのフリップフロップ331、332、381、382のクロックCLKとして内部クロック346、396を用いて動作させると、全てのフリップフロップが同クロックで動作し、これらの複数の位相同期回路とフリップフロップ群とでクロック制御装置をなし、これにより内部回路330、内部回路380、が正しく動作し、クロックずれもなくなることで出力a、出力b、出力d、出力eとして正しい値が得られるだけでなく、クロック遅れを最小限にすることができる。この結果、4入力4出力系をなし、内部回路330と内部回路380が独立に動作しても支障のない回路であれば、遅延時間が内部回路330の遅延時間t41と、内部回路380の遅延時間t42とが違っていても、分離して並行処理が確実に行え、実質的な4ビット処理が可能になる。
【0046】
これを応用して、内部回路を増やすことにより、所望の多ビット処理が可能になる。
【0047】
<第3の実施の形態例>
図5はこの発明の第3の実施の形態である位相差制御回路の構成を示すブロック図である。同図に示すように、入力Cの信号541と位相制御信号546とを受け、前記入力Cの信号541及び前記位相制御信号546の位相差に基づき位相比較信号542を出力する位相比較器511と、前記位相比較信号542を受け、それに基づく位相比較電圧543を出力するループフィルタ512と、前記位相比較電圧543に基づく周波数で発振する発振信号544を出力する電圧制御発信器513と、前記発振信号544を受け、前記位相制御信号546を出力するCTS520とを備える。
【0048】
この位相制御信号546は同時に、入力Aや入力Bの動作クロックを制御するフリップ
フロップ531、532のクロックCLK入力となす。
【0049】
また、同じ入力Cの信号541と位相制御信号596とを受け、前記入力Cの信号541及び前記位相制御信号596の位相差に基づき位相比較信号592を出力する位相比較器561と、前記位相比較信号592を受け、それに基づく位相比較電圧593を出力するループフィルタ562と、前記位相比較電圧593により周波数で発振する発振信号594を出力する電圧制御発信器563と、前記発振信号594を受け、前記位相制御信号596を出力するCTS570とを備える。
【0050】
LSIの入力Aの信号547、入力Bの信号548、入力Dの信号597および入力Eの信号598を同期させるためのフリップフロップ531、532、581、582のクロックCLKとして上述の様にして得られた内部クロック546、596を用いて動作させると、全てのフリップフロップが同クロックで動作し、これらの複数の位相同期回路とフリップフロップ群とでクロック制御装置をなし、これによりLSIが正しく動作し、クロックずれがなくなることで出力a、出力b、出力d、出力eとして正しい値が得られるだけでなく、クロック遅れを最小限にすることができる。この結果、4入力4出力系をなし、分離して並行処理が確実に行え、実質的な4ビット処理が可能になる。
【0051】
これを応用して、フリップフロップを増やすことにより、所望の多ビット処理が可能になる。
【0052】
<第4の実施の形態例>
図8はこの発明の第4の実施の形態である信号処理回路の構成を示すブロック図である。同図に示すように、入力Cの信号841と位相制御信号846とを受け、前記入力Cの信号841及び前記位相制御信号846の位相差に基づき位相比較信号842を出力する位相比較器811と、前記位相比較信号842を受け、それに基づく位相比較電圧843を出力するループフィルタ812と、前記位相比較電圧843により周波数で発振する発振信号844を出力する電圧制御発信器813と、前記発振信号844を受け前記位相制御信号846を出力するCTS820とを備える。
【0053】
この位相制御信号846は同時に半導体集積回路830にも配線され、各入力である入力Aや入力Bの動作クロックを制御するフリップフロップ831、832のクロックCLK入力となす。
【0054】
また、同じ入力Cの信号841と位相制御信号896とを受け、前記入力Cの信号841及び前記位相制御信号896の位相差に基づき位相比較信号892を出力する位相比較器861と、前記位相比較信号892を受け、それに基づく位相比較電圧893を出力するループフィルタ862と、前記位相比較電圧893により周波数で発振する発振信号894を出力する電圧制御発信器863と、前記発振信号894を受け、前記位相制御信号896を出力するCTS870とを備える。
【0055】
この位相制御信号896は同時に半導体集積回路880にも配線され、各入力である入力Dや入力Eの動作クロックを制御するフリップフロップ881、882のクロックCLK入力となす。
【0056】
このように、位相同期回路は、入力Cの波形841に対し、内部クロック846と内部クロック896の位相が両方とも入力Cの波形841と同位相となるため、図9に示すように、出力Cの信号841に位相が同期した内部クロック846、内部クロック896が得られる。
【0057】
そこで、本実施例の複数の半導体集積回路を含む信号処理回路が、半導体集積回路830、半導体集積回路880の入力Aの信号847、入力Bの信号848、入力Dの信号897および入力Eの信号898を半導体集積回路830と半導体集積回路880で同期させるためのフリップフロップ831、832、881、882のクロックCLKとして内部クロック846、896を用いて動作させると、全てのフリップフロップが同クロックで動作し、これらの複数の位相同期回路とフリップフロップ群とでクロック制御装置をなし、これにより半導体集積回路830、半導体集積回路880、が正しく動作し、クロックずれがなくなることで出力a、出力b、出力d、出力eとして正しい値が得られるだけでなく、クロック遅れを最小限にすることができる。この結果、4入力4出力系をなし、半導体集積回路830と半導体集積回路880が独立に動作しても支障のない回路であれば、遅延時間が半導体集積回路830の遅延時間t91と半導体集積回路880の遅延時間t92が違っていても、分離して並行処理が確実に行え、実質的な4ビット処理が可能になる。
【0058】
これを応用して、半導体集積回路を増やすことにより、所望の多ビット処理が可能になる。
【符号の説明】
【0059】
111、311、361、511、561、611、811、861 位相比較器
112、312、362、512、562、612、812、862 ループフィルタ
113、313、363、513、563、613、813、863 電圧制御発信器
120、320、370、520、570、620、820、870 CTS
131、132、331、332、381、382、531、532、581、582、631、632、831、832、881、882 フリップフロップ
130、330、380、630 内部回路
830、880 半導体集積回路
T71、T72 クロック
t2、t41、t41、t71、t72、t73、t91、t92 遅延時間
143、343、393、543、593、643、843、893 位相比較電圧
141、142、144、145、146、147、148、341、342、344、345、346、347、348、392、394、396、397、398、541、542、544、545、546、547、548、592、594、596、597、598、641、642、644、645、646、647、648、842、844、845、846、847、848、892、894、896、897、898 信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号と位相制御信号とを受け、前記入力信号及び前記位相制御信号の位相差に基づき位相比較信号を出力する位相比較手段と、前記位相比較信号を受け、前記位相比較信号に基づく周波数で発振する発振信号を出力する発振手段と、前記発振信号を受け、前記位相制御信号を出力する位相制御信号発生手段とを備え、同時に前記位相制御信号を出力信号とし、該位相制御信号を内部クロックとして供給する位相差制御回路であることを特徴とする信号処理回路。
【請求項2】
請求項1記載の位相差制御回路のうち、位相比較手段と、発振手段と、位相制御信号発生手段とを複数そなえ、入力信号と、外部クロックを共通とし、共通の位相制御信号をクロックとして複数の内部回路に供給する位相差制御回路であることを特徴とする信号処理回路。
【請求項3】
請求項1記載の位相差制御回路の出力がクロックで制御される複数の内部回路の各々の入力のうち一方の入力となるクロック制御装置であることを特徴とする信号処理回路。
【請求項4】
請求項2記載の位相差制御回路の出力がクロックで制御される複数の内部回路の各々の入力のうち一方の入力となるクロック制御装置であることを特徴とする信号処理回路。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載のクロック制御装置により回路の動作クロックが制御されている半導体集積回路からなることを特徴とする信号処理回路。
【請求項6】
請求項3または請求項4記載のクロック制御装置により同一の入力信号を複数の半導体集積回路が同時に受け、前記複数の半導体集積回路における動作クロックが制御されていることを特徴とする信号処理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−49949(P2012−49949A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191972(P2010−191972)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】