説明

個人情報表示システム

【課題】被検体画像と共に被検体情報の位置情報を参照でき、閲覧権限の有する者のみが位置情報に基づき被検体情報を閲覧することができる技術を提供する。
【解決手段】画像診断装置と被検体情報を管理する情報管理装置と表示デバイスとを互いに情報取得ができる環境下に配する。画像診断装置は、被検体情報の記憶領域を示す位置情報を取得して被検体画像上に合成する。表示デバイスは、予め識別情報を記憶しておき、位置情報が示す記憶領域へアクセスすると共に、識別情報を送信する。情報管理装置は、識別情報に基づきログイン許可を判断すると共に、アクセスしようとする記憶領域へのアクセス権限を判断する。ログイン許可及びアクセス権限有りの場合には、記憶領域に記憶されている被検体情報を表示デバイスに送信する。表示デバイスは、情報管理装置から送信される情報を受信して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体画像に対応する被検体情報を閲覧する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、X線CT装置やMRI装置等の画像診断装置によって、患者等の被検体を撮影した場合、撮影によって得られた被検体内の断層像である被検体画像には、その被検体に関する被検体情報が合成されて表示画面やフィルムに出力される。被検体情報としては、患者氏名、患者ID、年齢、性別、カルテID等が合成される。
【0003】
この被検体画像と被検体情報との合成では、予め画像診断装置が、被検体情報を管理・蓄積する病院情報管理システム(HIS)、放射線部門情報管理システム(RIS)、又は画像情報管理システム(PACS)等の情報管理装置から、撮影しようとする被検体情報を検索して取得する。画像診断装置は、被検体を撮影して被検体画像を作成すると、この被検体情報と関連づけて記憶する。モニタ等の表示画面に出力する場合には、被検体画像と被検体情報とをオーバレイ表示することにより、合成されて出力される。また、フィルムに出力する場合には、画像診断装置は、作成した被検体画像と被検体情報とを合成して合成画像を作成し、イメージャに送信し、イメージャによってこの合成画像をフィルムに出力させる。
【0004】
個人情報の保護が重視されるなか、病院内で取り扱う被検体情報は、特にプライバシーに関する情報が多いため、病院内でもその取り扱いについても細心の注意が必要となる。従って、被検体画像に被検体情報を合成して出力する上述のような手法は、個人情報保護という観点で全くの無防備であった。
【0005】
そのため、昨今、個人情報の保護のため、被検体情報を墨塗りしたり、被検体情報を被検体画像に合成せずに表示画面やフィルムに出力するといった手法が採られる場合もある。しかし、このような処置を施すと、後に被検体画像を表示画面や、特にフィルム等で参照しようとする場合、さまざまな不都合が生じる。
【0006】
例えば、その場では個人情報の保護としての効果を生ずるが、反面、後日に被検体画像を参照して診断又は読影等する場合には、診断や読影に必要な被検体に関する情報が読みとれなくなり、診断や読影に支障をきたす。
【0007】
そこで、被検体情報を人間が読み取り不能な他の表現形式、例えばバーコード形式に変換して、そのバーコード形式の被検体情報を被検体画像に合成する技術が提示されている(例えば、「特許文献1」参照。)。バーコードを復号することで、被検体情報を、人間がその内容を理解可能な表現形式に変換するものである。この技術によると、表示画面やフィルムからは、直接被検体情報を閲覧することができなくなるため、被検体情報の閲覧権限のない者が、表示画面やフィルムをのぞき込んでも個人情報の保護を図ることができる。
【0008】
【特許文献1】特開2002−73652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、被検体情報をバーコード形式等の人間が理解不能な表現形式に変換して表示画面やフィルムに出力しても、バーコードリーダで閲覧権限のない者に復号化されてしまえば、被検体情報の閲覧が可能となってしまい、個人情報保護の観点からは不十分である。従って、個人情報保護を貫徹するには、閲覧権限のない者には、被検体情報を閲覧することが不可能な技術を提供する必要がある。
【0010】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、被検体画像と共に被検体情報に関わる何らかの情報を参照でき、かつ閲覧権限の有する者のみがその情報に基づき被検体画像に係る被検体情報を閲覧することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、被検体を撮影して被検体画像を作成する画像診断装置と、被検体情報を所定の記憶領域に記憶して管理する情報管理装置と、当該情報管理装置と通信が可能な表示デバイスと、を備える個人情報表示システムであって、画像診断装置は、被検体情報が記憶されている記憶領域を示す位置情報を取得する第1の取得手段と、前記被検体画像上に前記位置情報を合成する合成手段と、を備え、前記表示デバイスは、予め自己の識別情報を記憶する記憶手段と、前記被検体画像上に合成された位置情報を取得する第2の取得手段と、取得した位置情報が示す記憶領域へアクセスすると共に、前記識別情報を送信する第1の送信手段と、前記情報管理装置から送信される情報を受信する受信手段と、前記受信した情報を表示する表示手段と、を備え、前記情報管理装置は、前記表示デバイスから送信された前記識別情報に基づきログイン許可を判断すると共に、前記表示デバイスがアクセスしようとする記憶領域へのアクセス権限を判断する判断部と、ログインが許可され、かつアクセス権限有りと判断された場合には、前記記憶領域に記憶されている被検体情報を、前記表示デバイスに送信する第2の送信手段と、を備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、被検体情報が出力されず、個人情報の漏洩防止となる。被検体画像上には、被検体情報の位置情報が出力される。この位置情報に示される記憶領域に存在する被検体情報へのアクセスは、ログインが許可されている表示デバイスであって、かつその被検体情報へのアクセス権限を有する場合のみ可能となる。
【0013】
従って、閲覧権限のない者が位置情報を閲覧してもそこからは被検体情報を把握できず、強固な個人情報保護が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る各実施形態を図1乃至図19に基づき詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る個人情報表示システム1の構成を示す図である。図1に示すように、個人情報表示システム1は、画像診断装置2とイメージャ3と表示デバイス4と情報管理装置5とで構成される。画像診断装置2は、被検体内を撮影して被検体画像Hを作成する装置である。イメージャ3は、被検体画像HをフィルムFに出力する装置である。表示デバイス4は、文字情報を表示する装置である。情報管理装置5は、被検体情報Pを管理する装置である。
【0016】
画像診断装置2、イメージャ3、表示デバイス4、及び情報管理装置5は、それぞれ通信手段を備え、ネットワーク接続又は無線通信によりデータ通信が可能となっている。
【0017】
画像診断装置2は、被検体内を撮影して被検体画像Hを作成し、被検体画像H上に、撮影した被検体に係る被検体情報Pの記憶領域を示す位置情報Rを合成する。イメージャ3は、被検体画像Hと位置情報Rを含む合成画像GをフィルムFに出力する。
【0018】
被検体情報Pは、被検体に関する情報であり、特にプライバシーの観点から保護されるべき情報を含む。位置情報Rは、被検体情報Pが記憶されている記憶領域を示す情報である。被検体情報Pは、予め定められた記憶位置決定アルゴリズムに従って情報管理装置5の所定の記憶領域に記憶されている。
【0019】
表示デバイス4は、フィルムFに出力されている位置情報Rに示されるアクセス先にアクセスする。アクセスの際には、自己を識別するための筐体識別情報LXを同時に送信する。アクセス先は、情報管理装置5の被検体情報Pが記憶されている記憶領域である。情報管理装置5では、筐体識別情報Lにより表示デバイス4を識別し、アクセス先のアクセス権限を判断した上で応答する。アクセスを許可する場合、応答に際し、位置情報Rに対応する記憶領域の被検体情報Pを送信する。
【0020】
情報管理装置5へのログインが認められている正規の表示デバイス4であって、位置情報Rに対応する被検体情報Pへのアクセス権限を有する表示デバイス4は、被検体情報Pを受信して表示できる。これにより、この表示デバイス4の所有者のみが被検体画像Hに係る被検体情報Pを知り得る。尚、表示デバイス4のログインが認められず、又はアクセス権限を有しない場合は、表示デバイス4にエラー情報Eが表示される。
【0021】
この個人情報表示システム1を詳細に説明する。図2は、個人情報表示システム1の機能を示すブロック図である。図2に示すように、画像診断装置2は、撮影部21と通信部22と合成部23で構成される。イメージャ3は、通信部31と出力部32で構成される。表示デバイス4は、入力部41と筐体識別情報記憶部42と通信部43と表示部44で構成される。情報管理装置5は、通信部51と被検体情報DB(データベース)52と位置情報作成部53と判断部54と参照テーブル55で構成される。
【0022】
画像診断装置2の撮影部21は、被検体を撮影して被検体画像Hを生成する。画像診断装置2がX線CT装置の場合、撮影部21は、X線ビームを曝射し、被検体を透過したX線ビームを透過強度を含めて検出し、検出信号より被検体内を再構成して被検体画像Hを作成する。
【0023】
合成部23は、演算制御部(CPU)、主記憶部(RAM)、外部記憶部(HDD)で構成される。外部記憶部にはOS(オペレーティングシステム)と処理プログラムが記憶され、OS上で処理プログラムを実行することで処理プログラムに従った処理を行う。この合成部23は、被検体画像H上に位置情報Rを合成した合成画像Gを作成する。
【0024】
画像診断装置2の通信部22は、ネットワークインターフェースカード(NIC)で構成される。この通信部22は、イメージャ3に対して合成画像Gを送信する。また、通信部22は、データ通信により情報管理装置5から被検体情報Pとこの被検体情報Pの位置情報Rを取得する。
【0025】
イメージャ3の通信部31は、ネットワークインターフェースカード(NIC)で構成される。この通信部31は、画像診断装置2から合成画像Gを受信する。
【0026】
出力部32は、画像を表示するCRTとレンズで構成される。この出力部32は、CRTに合成画像Gを表示し、表示された合成画像Gをレンズを介してフィルムFにフォーカシングさせ、フィルムFを露光する。
【0027】
表示デバイス4の入力部41は、英数字が対応付けられたボタン群で構成される。表示デバイス4の操作者に入力操作され、フィルムFに出力されている位置情報Rが入力され、位置情報Rを取得する。
【0028】
筐体識別情報記憶部42には、筐体識別情報Lが記憶されている。筐体識別情報Lは、表示デバイス4を一意に識別する識別情報である。筐体識別情報Lは、例えば電話番号、子機端末である場合の表示デバイス4を識別するID(PS−ID)、表示デバイス4自体又は表示デバイス4を構成する部品の製造ID等である。
【0029】
表示デバイス4の通信部43は、ネットワークインターフェースカード(NIC)で構成される。情報管理装置5に対して位置情報Rで示される記憶領域に存在する被検体情報Pへのアクセスを要求し、同時に筐体識別情報Lを送信する。また、情報管理装置5からアクセス要求に対する応答を受ける。
【0030】
通信部43は、応答の受信に際し、エラー情報E、又は、位置情報Rで示される記憶領域に記憶されている被検体情報Pを受信する。表示部44は、受信したエラー情報E又は被検体情報Pを表示する。
【0031】
情報管理装置5の通信部51は、ネットワークインターフェースカード(NIC)で構成される。この通信部51は、画像診断装置2に対して、被検体情報Pとその被検体情報Pの記憶領域を示す位置情報Rを送信する。また、表示デバイス4からのアクセス要求を受信し、アクセス要求に対する応答をする。
【0032】
被検体情報DB52は、外部記憶部(HDD)で構成され、被検体情報Pを記憶する。被検体情報Pには、被検体の患者氏名、患者ID、性別、年齢、住所、カルテID、病名等の被検体に関する情報が含まれる。
【0033】
位置情報作成部53は、被検体情報Pの記憶領域を示す位置情報Rを作成し、被検体情報Pの記憶領域と位置情報Rとの関連づけをする。位置情報Rは、例えば被検体情報Pの記憶領域を示すURL(Uniform Resorce Locator)である。例えば、「http://www.○×△.com/〜toshiba_hanako」のように記述される。
【0034】
「www.○×△.com」は、情報管理装置5を示すドメイン名であり、「〜toshiba_hanako」は、位置情報Rと記憶領域との関連づけにより、被検体情報Pの相対的な記憶領域を示す。この位置情報Rは、表示デバイス4が情報管理装置5にアクセスでき、かつ表示デバイス4がどの被検体情報Pを要求しているかを特定できればよく、関連づけがされればどのような内容であってもよい。例えば、「〜toshiba_hanako」は、被検体情報Pのファイル名である。
【0035】
判断部54は、演算制御部(CPU)、主記憶部(RAM)、外部記憶部(HDD)で構成される。外部記憶部にはOS(オペレーティングシステム)と処理プログラムが記憶され、OS上で処理プログラムを実行することで処理プログラムに従った処理を行う。
【0036】
この判断部54は、表示デバイス4から受信したアクセス要求に対してアクセス許可又は不許可を判断する。アクセス許可の場合には、受信した位置情報Rが示す記憶領域に記憶されている被検体情報Pを取得し、通信部51に当該被検体情報Pを送信させる。アクセス不許可の場合には、通信部51にエラー情報Eを送信させる。
【0037】
アクセス許可又は不許可の判断では、アクセスしようとする表示デバイス4の識別及び被検体情報Pへのアクセス権限を判断する。この判断では、判断部54が予め記憶している参照テーブル55を参照する。
【0038】
参照テーブル55は、外部記憶部(HDD)に予め記憶されている。図3は、この参照テーブル55を示す模式図である。図3に示すように、参照テーブル55は、筐体識別情報Lと、位置情報作成部53が作成した位置情報Rとを関連づけて記憶している。筐体識別情報Lにより、情報管理装置5へのログイン可能な表示デバイス4が指定される。また、筐体識別情報Lに関連づけられている位置情報Rにより、筐体識別情報Lで特定される表示デバイス4がアクセス可能な被検体情報Pが指定される。
【0039】
また、参照テーブル55には、位置情報Rと対になって被検体情報Pの絶対位置を示す絶対位置情報Raが記憶されている。位置情報Rは、URLという相対的な情報であるのに対し、絶対位置情報Raは、メモリの格納アドレス又は被検体情報PのデータベースIDという絶対的な情報である。
【0040】
判断部54は、受信した筐体識別情報Lが参照テーブル55に記憶されているかを検索する。受信した筐体IDが参照テーブル55に記憶されていれば、ログインを許可する。さらに、判断部54は、表示デバイス4がアクセスしようとする記憶領域が、表示デバイス4の筐体識別情報Lに関連づけられているか検索する。アクセスしようとする記憶領域に対応する位置情報Rが、筐体識別情報Lに関連づけられていれば、対になっている絶対位置情報Raが示す記憶領域から被検体情報Pを取得し、通信部51に送信させる。
【0041】
このような構成を有する画像診断装置2の合成画像G作成プロセスについて説明する。図4は、画像診断装置2の合成画像G作成動作を示すフローチャートである。
【0042】
まず、操作者が撮影する被検体を特定する情報を入力すると、通信部22は、当該情報と共に、その情報に関係する被検体情報Pの検索を要求する命令を情報管理装置5へ送信し(S11)、情報管理装置5から要求命令に応じて送信された被検体情報Pと位置情報Rを受信する(S12)。
【0043】
操作者は、受信した被検体情報Pを確認した上で、被検体の撮影を開始させる操作を行う。この操作に応じて、撮影部21は、被検体を撮影し(S13)、被検体画像Hを作成する(S14)。作成した被検体画像Hは、被検体情報Pに関連づけて記憶される(S15)。
【0044】
操作者が、被検体画像HのフィルムFへ出力する操作を入力すると(S16,Yes)、合成部23は、記憶されている被検体画像Hと、受信した位置情報Rを読み出し、両者を合成して合成画像Gを作成する(S17)。合成画像Gが作成されると、通信部22は、この合成画像Gをイメージャ3へ送信する(S18)。
【0045】
この後、イメージャ3で、受信した合成画像GがフィルムFに出力することで、被検体画像H上に位置情報Rが合成された合成画像GのフィルムFが作成される。
【0046】
図5は、合成画像Gを出力したフィルムFを示す図である。図5に示すように、フィルムFには、被検体内を撮影して得た被検体画像H上に位置情報Rが合成されて出力されている。出力されている位置情報Rは、情報管理装置5が作成して画像診断装置2に送信した位置情報Rであり、例えばURL「http://www.○×△.com/〜toshiba_hanako」のようにフィルムF上に出力される。
【0047】
図6は、表示デバイス4の位置情報Rに従った情報管理装置5へのアクセスプロセスを示すフローチャートである。図6に示すように、まず、表示デバイス4の操作者は、入力部41を操作して、フィルムFに出力されている位置情報Rを表示デバイス4に入力する(S21)。
【0048】
位置情報Rが入力されると、筐体識別情報記憶部42から筐体識別情報Lを読み出し(S22)、通信部43を介して、入力された位置情報Rに示されるアクセス先へアクセスし(S23)、同時に筐体識別情報Lを送信する(S24)。アクセス先は、情報管理装置5であり、情報管理装置5は、参照テーブル55を参照してアクセス許可又はアクセス不許可を判断して、判断に応じた応答をする。
【0049】
情報管理装置5からの応答を受信すると(S25)、表示部44は、情報管理装置5からの応答に含まれている被検体情報P若しくはエラー情報Eを表示する(S26)。
【0050】
図7は、表示デバイス4において、情報管理装置5からの応答があった後に表示される画面であり、アクセスが許可されて被検体情報Pが送信された場合の表示画面である。図8は、表示デバイス4において、情報管理装置5からの応答があった後に表示される画面であり、アクセスが不許可となりエラー情報Eが送信された場合の表示画面である。
【0051】
図7に示すように、表示デバイス4には、アクセスが許可されると、被検体情報Pが表示される。表示される被検体情報Pとしては、例えば、患者氏名、患者ID、性別、年齢、カルテID、その他病名等が表示される。
【0052】
図8に示すように、表示デバイス4には、アクセスが不許可となると、エラー情報Eが表示される。表示されるエラー情報Eとしては、例えば「権限違反により、この被検体情報Pへのアクセスは拒否されました。」等のアクセスが拒否された旨のメッセージが文字として表示される。
【0053】
図9は、情報管理装置5のアクセス判断動作を示すフローチャートである。図10に示すように、表示デバイス4からアクセスがあると(S31,Yes)、判断部54は、参照テーブル55を読み出す(S32)。次に、送信されてきた筐体識別情報Lを検索キーとして、参照テーブル55を検索する(S33)。
【0054】
判断部54は、該当する筐体識別情報Lが参照テーブル55にあれば(S33,Yes)、該当の筐体識別情報Lに関連づけられている位置情報Rに、アクセス先のファイル名が含まれているか検索する(S34)。
【0055】
アクセス先に該当する位置情報Rが関連づけられていれば(S34,Yes)、判断部54は、その位置情報Rと対になっている絶対位置情報Raが示す記憶領域の被検体情報Pを取得し(S35)、通信部51にその被検体情報Pを表示デバイス4へ送信させる(S36)。
【0056】
該当する筐体情報が参照テーブル55になければ(S33,No)、若しくはアクセス先に該当する位置情報Rが関連づけられていなければ(S34,No)、判断部54は、通信部51に表示デバイス4へエラー情報Eを送信させる(S37)。
【0057】
図10は、この個人情報表示システム1の被検体情報表示プロセスを示すシーケンス図である。
【0058】
まず、画像診断装置2は、被検体の撮影の前に、撮影する被検体の被検体情報P及びこの被検体情報Pの記憶領域を示す位置情報Rを、情報管理装置5に要求する(S41)。情報管理装置5は、要求された被検体情報Pを被検体情報DB52から検索し、検索された被検体情報Pの位置情報Rを作成する(S42)。情報管理装置5は、検索した被検体情報P及び作成した位置情報Rを、画像診断装置2に送信する(S43)。
【0059】
画像診断装置2は、被検体情報P及び位置情報Rを受信し、画像診断装置2の操作者が被検体情報Pを確認した後、被検体を撮影して被検体画像Hを作成する(S44)。
【0060】
被検体画像Hが作成されると、画像診断装置2は、情報管理装置5から取得した位置情報Rと被検体画像Hを合成して合成画像Gを作成する(S45)。画像診断装置2は、合成画像Gをイメージャ3に送信する(S46)。
【0061】
イメージャ3は、画像診断装置2が送信した合成画像Gを受信し、合成画像GをフィルムFに出力する(S47)。
【0062】
フィルムFを閲覧する読影医や診断医等の表示デバイス所有者は、フィルムFに出力されている位置情報Rを表示デバイス4に入力する(S48)。表示デバイス4は、位置情報Rが入力されると、筐体識別情報Lを読み出し、入力された位置情報Rに示される記憶領域へのアクセス要求を、読み出した筐体識別情報Lと共に、情報管理装置5へ送信する(S49)。
【0063】
情報管理装置5は、参照テーブル55を読み出して、受信した筐体情報IDの有無、及び参照テーブル55中の該当の筐体情報IDに関連づけられている位置情報Rとアクセスしようとするアクセス先の一致を判断する(S50)。
【0064】
アクセス許可であれば、情報管理装置5は、参照テーブル55中の一致した位置情報Rと対になっている絶対位置情報Raを参照して被検体情報Pを取得し(S51)、取得した被検体情報Pを送信して応答する(S52)。一方、アクセス不許可であれば、エラー情報Eを送信して応答する(S52)。
【0065】
表示デバイス4は、情報管理装置5から応答があると、応答に含まれる被検体情報P若しくはエラー情報Eを表示する(S53)。
【0066】
このように、本実施形態の個人情報表示システム1では、フィルムFには被検体情報Pが出力されず、個人情報の漏洩防止となる。フィルムFには、被検体情報Pの位置情報Rが出力される。この位置情報Rに示される記憶領域に存在する被検体情報Pへのアクセスは、ログインが許可されている表示デバイス4であって、かつその被検体情報Pへのアクセス権限を有する場合のみ可能となるため、さらに強固な個人情報保護が図られる。
【0067】
この個人情報表示システム1の一例を説明する。画像診断装置2は、X線CT装置であり、通信部22及び合成部23を搭載する。表示デバイス4は、無線によりデータ通信が可能な携帯端末である。情報管理装置5は、被検体情報Pを蓄積する病院情報管理システム(HIS)、放射線部門情報管理システム(RIS)、又は画像情報管理システム(PACS)であり、通信部51と判断部54と位置情報作成部53と参照テーブル55を搭載する。
【0068】
画像診断装置2とイメージャ3と情報管理装置5は、ネットワークを介して接続されている。また、画像管理サーバと表示デバイス4は、それぞれ無線通信手段を備えている。ネットワークは、電子データの伝送が可能な電子通信回線である。例えば電話回線網、ISDN、FDDI、専用線、移動体通信網、通信衛星回線、CATV、LAN等、又はこれらの複合が採用される。無線によるデータ通信には、例えばスペクトラム拡散方式等を用いた無線LAN、IrDA、Bluetooth、無線固定アクセス(FWA:Fixd Wirless、Access)が採用される。
【0069】
各装置のデータ通信では、ネットワーク通信技術を利用して、相互のデータ通信が可能となっている。ネットワーク通信技術には、例えばWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)、TCP/IPプロトコル、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)プロトコル等が採用される。
【0070】
表示デバイス4の通信部43は、無線によりデータを送受信するアンテナと送受信機で構成される。また、情報管理装置5の通信部51は、LANケーブル等の有線データ回線と接続されるネットワークインターフェースカード(NIC)と、無線によりデータを送受信するアンテナと送受信機で構成される。
【0071】
図11は、本実施形態の画像診断装置2として適用されるX線CT装置の構成を示すブロック図である。このX線CT装置は、架台装置210、寝台装置220、及びコンソール部230を備えて構成されている。撮影部21は、架台装置210、診断装置220、コンソール部230を含み構成される。
【0072】
架台装置210は、X線ビームを曝射し、被検体を透過したX線ビームを検出する装置であり、開口を有する。この架台装置210の内部には、回転架台211(ガントリ)が収容されている。回転架台211には、X線源212とX線検出器213が対向して設置される。また、架台装置210の内部には、X線源212と対になって高電圧発生部214と絞り駆動部216が配置され、回転架台211と対になって架台駆動部216が配置され、X線検出部213と対になってデータ収集部217が配置される。
【0073】
回転架台211は、架台駆動部216により駆動されて開口を中心に回転する。X線源212は、高電圧発生部214から高電圧が供給されてX線ビームを曝射する。X線検出器213は、被検体を透過したX線ビームを検出し、データ収集部217、検出信号を収集する。
【0074】
寝台装置220は、寝台基台221の上面に寝台天板222を載置する。寝台天板222は、開口方向に移動可能となっており、寝台駆動部223により駆動されて開口に挿入される。
【0075】
コンソール部230は、スキャン制御部231と、前処理部232と、再構成処理部233と、画像記憶部234と、画像処理部235と、CPUユニット236と、表示部237と、入力部238と、通信部22を備える。
【0076】
CPUユニット236は、演算制御部、主記憶部、外部記憶部を備えるコンピュータであり、入力部238が受け付けた撮影条件から、スキャン制御部231と、前処理部232、再構成処理部233、画像記憶部234、画像処理部235、表示部237が解釈可能な制御情報を作成してそれぞれに送信する。
【0077】
また、外部記憶部に記憶されたプログラムに従って演算制御部が処理を実行することで、通信部22を介して被検体情報P及び位置情報Rの取得、並びに合成画像Gのイメージャ3への送信を行い、また合成部23として機能する。
【0078】
このX線CT装置では、これから撮影しようとする被検体の被検体情報Pを通信部22を介して情報管理装置5から取得する。同時に情報管理装置5から被検体情報Pの位置情報Rを通信部22を介して取得する。取得した被検体情報Pは、表示部237に表示され、装置操作者はその被検体情報Pを確認した上で、入力部238を操作し、撮影条件を入力する。
【0079】
CPUユニット236は、入力部238に入力された撮影条件を反映した制御情報を作成し、スキャン制御部231、前処理部232、再構成処理部233、画像記憶部234、画像処理部235、及び表示部237に送信する。
【0080】
スキャン制御部231は、制御情報に従い、高電圧発生部214、架台駆動部216、データ収集部217、絞り駆動部215、及び寝台駆動部216に駆動信号を出力する。駆動信号は、制御情報に含まれる撮影条件を反映して生成される。
【0081】
架台駆動部216は、駆動信号に従い回転架台211を回転させる。寝台駆動部216は、駆動信号に従い寝台天板222を移動させる。駆動信号には、回転架台211の1回転当たりの寝台天板222の移動量が反映されている。尚、スキャン時には、寝台天板222には、架台装置210の開口方向に沿って被検体が載置される。
【0082】
高電圧発生部214は、駆動信号に従い高電圧をX線源212に供給する。X線源212は、高電圧発生部214から供給された高電圧によって、ファン状やコーン状などのX線ビームを曝射する。絞り駆動部215は、駆動信号に従い撮影条件に従ってX線遮蔽板を移動させ、X線ビームのスライス方向の曝射範囲を調整する。
【0083】
X線検出器213は、寝台天板222に載置された被検体を透過したX線ビームを検出する。データ収集部217(DAS)は、駆動信号に従った出力タイミングと同期してX線検出器213が出力する検出信号を収集し、チャンネル毎に所定のゲインで増幅してからディジタル信号に変換する。このディジタル信号は、被検体の断層像を反映した投影データとなる。
【0084】
前処理部232は、投影データに対してX線の強度を補正する感度補正を施す。再構成処理部233は、感度補正された投影データから、公知の逆投影処理方法により被検体内を再構成して被検体画像Hを作成する。被検体画像Hは、画像記憶部234に一時的に記憶される。逆投影処理方法は、スライス方向におけるX線パスが平行であると仮定したファンビーム再構成、スライス方向におけるX線曝射角度(コーン角)を考慮したコーンビーム再構成等の再構成方法である。
【0085】
画像処理部235は、画像記憶部234に記憶された被検体画像Hに画像処理を施して表示用に加工する。画像処理は、各種撮影条件、関心領域の設定に基づいて行われる。
【0086】
CPUユニット236は、被検体画像Hと同時に予め取得した被検体情報P又は位置情報Rを表示部237にオーバレイ表示させる。被検体情報P又は位置情報Rのオーバレイ表示は、入力部238を用いて予め操作者によりどちらを表示するか設定されている。
【0087】
即ち、本実施形態の個人情報表示システム1では、フィルムFへの出力の他に、表示部237へ表示させたり、その他のデバイスの表示画面に出力させたりする場合であっても、被検体画像Hと位置情報Rとを合成した合成画像Gを出力させるようにして、デバイスの表示画面上においても個人情報の保護を図るようにしてもよい。
【0088】
操作者が入力部238を用いてフィルムF出力を要求する操作を行うと、CPUユニット236は、予め受信しておいた位置情報Rを、画像記憶部234に記憶されている被検体画像H上に合成して、合成画像Gを作成する。通信部22は、作成された合成画像Gをイメージャ3に送信する。
【0089】
これにより、被検体画像Hとともに、この被検体画像Hに係る被検体情報Pの位置情報RがフィルムFに出力される。このフィルムF上の位置情報Rを表示デバイス4に入力して、筐体識別情報Lとともに、当該位置情報Rで示されるアクセス先にアクセスし、情報管理装置5が表示デバイス4の識別及びアクセス権限を判断することで、アクセス許可されれば表示デバイス4に被検体情報Pが表示される。
【0090】
尚、画像診断装置2は、X線CT装置以外にも、X線診断装置、MRI装置、超音波診断装置、又は核医学診断装置等に適用が可能である。それぞれに通信部22を搭載して位置情報Rを取得し、それぞれが備えるCPUユニット236により被検体画像Hと位置情報Rとを合成すればよい。
【0091】
また、画像診断装置2では、フィルムFへの被検体画像H出力とともに、位置情報R若しくは被検体情報Pの何れかを合成して出力するモードを選択することができる。図12は、被検体画像Hへの合成方法のモード変更の設定画面を示す図である。
【0092】
図12に示すように、モード変更画面には、個人情報の被検体画像Hへの合成を選択するリストボックスが表示される。リストボックスには、被検体情報表示モードM1と被検体情報隠蔽モードM2が備えられる。
【0093】
装置操作者が入力部238を用いて被検体情報隠蔽モードM2を選択すると、合成部23は、位置情報Rを被検体画像H上に合成した合成画像Gを作成する。被検体情報表示モードM1を選択すると、合成部23は、被検体情報Pを被検体画像H上に合成した合成画像Gを作成する。
【0094】
(第2の実施形態)
画像診断装置2では、符号化した位置情報Rを被検体画像Hに合成してもよい。以下、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、第1の実施形態との同一構成、同一機能には、同一符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0095】
図13は、本実施形態の画像診断装置2の構成を示すブロック図である。図13に示すように、画像診断装置2は、撮影部21と通信部22と合成部23と符号化部24を備える。
【0096】
符号化部24は、位置情報Rを符号化する。符号化は、位置情報Rを内容は維持して他の表現形式に置き換える処理である。符号化部24は、情報管理装置5から取得した位置情報Rを、その内容の表現形式を2次元コードRcに変換する。
【0097】
合成部23は、符号化部24が2次元コードRc形式の位置情報Rを、撮影部21が作成した被検体画像H上に合成して合成画像Gを作成する。
【0098】
図14は、本実施形態の画像診断装置2の合成画像G作成プロセスを示すフローチャートである。
【0099】
まず、通信部22は、被検体の撮影の前に、撮影する被検体の被検体情報P及びこの被検体情報Pの記憶領域を示す位置情報Rを情報管理装置5に要求する(S61)。情報管理装置5からは、要求した被検体情報Pとその被検体情報Pに係る位置情報Rが送信され、通信部22は、この被検体情報Pと位置情報Rを受信する(S62)。
【0100】
画像診断装置2の装置操作者が被検体情報Pを確認した後、撮影部21は、被検体内を撮影して(S63)、被検体画像Hを作成する(S64)。作成した被検体画像Hは、被検体情報Pに関連づけて記憶される(S65)。
【0101】
操作者が、被検体画像HのフィルムFへ出力する操作を入力すると(S66,Yes)、符号化部24は、位置情報Rを符号化して2次元コードRcに変換する(S67)。2次元コードRc形式の位置情報Rが生成されると、合成部23は、この2次元コードRcと被検体画像Hを合成して合成画像Gを作成する(S68)。通信部22は、作成された合成画像Gをイメージャ3に送信する(S69)。
【0102】
図15は、画像診断装置2で作成された合成画像Gを出力したフィルムFを示す図である。図15に示すように、フィルムFには、被検体内を撮影して再構成して得た被検体画像H上に2次元コードRcが合成されて出力されている。2次元コードRcは、縦横の2次元空間に方形セルを並べ、周囲の特定箇所に位置決めパターンを配した画像である。方形セルは、黒色又は白色を呈し、色によって「0」又は「1」の情報が対応付けされている。位置決めパターンによって、セルの大きさ及び読みとりの方向を規定している。
【0103】
符号化部24は、位置情報Rを構成する「0」及び「1」の並びを、黒色又は白色の並び順に変換し、位置決めパターンを付加して、2次元空間に並べることで、例えば「http://www.○×△.com/〜toshiba_hanako」のような位置情報Rを2次元コードRcに変換している。
【0104】
図16は、本実施形態の表示デバイス4の構成を示すブロック図である。図16に示すように、表示デバイス4は、筐体識別情報Lと通信部43と表示部44とカメラ45と復号部46を備える。
【0105】
カメラ45は、レンズ等の光学系、CCDイメージセンサ、及び処理回路で構成される撮影手段である。このカメラ45では、フィルムF上の2次元コードRcから反射した反射光をレンズを介して受光し、CCDイメージセンサに結像する。CCDイメージセンサでは、受光した入射光を2次元コードRcを反映したアナログ信号に変換し、処理回路では、アナログ信号をディジタルの画像情報に変換する。このカメラ45は、2次元コードRcを撮影することにより、2次元コード形式の位置情報Rを画像情報として取得する。
【0106】
復号部46は、カメラ45が取得した2次元コードRcの画像情報を解析して、2次元コードRcを復号する。2次元コードRcに含まれている位置決めパターンを検出して、2次元コードRc上のセルの並び順及びセルの大きさを算出し、セルの並び順でセル毎の色判定を行う。復号部46は、セルの色を黒色又は白色に区別する明度の閾値を有し、閾値以上又は以下である場合に白色又は黒色と判別する。この判別結果に応じて、2次元コードRcを「0」と「1」が並ぶデータ列に変換する。「0」と「1」の並び順が位置情報Rを示し、「0」と「1」が並ぶデータ列への変換によって、位置情報Rを取得する。
【0107】
図17は、本実施形態の表示デバイス4の位置情報R取得プロセスを示すフローチャートである。まず、カメラ45を起動させ、フィルムFに出力されている2次元コード形式の位置情報Rを撮影する(S71)。撮影により位置情報Rを反映した2次元コードRcを取得すると、復号部は、この2次元コードRcを復号する(S72)。
【0108】
2次元コードRcを復号すると、筐体識別情報記憶部42から筐体識別情報Lを読み出し(S73)、通信部43は、位置情報Rに示されるアクセス先へアクセスし(S74)、同時に筐体識別情報Lを送信する(S75)。アクセス先は、情報管理装置5であり、情報管理装置5ではアクセス許可を判断して、被検体情報P若しくはエラー情報Eを返信する。
【0109】
情報管理装置5から被検体情報P若しくはエラー情報Eを受信すると(S76)、表示部44は、被検体情報P若しくはエラー情報Eを表示する(S77)。
【0110】
このように、位置情報Rを2次元コードRc化することで、簡便に情報管理装置5へ被検体情報Pの要求を行うことが可能となり、個人情報の隠蔽と個人情報の閲覧の便利性とのバランスを図ることができる。
【0111】
(第3の実施形態)
画像診断装置2は、位置情報Rを情報管理装置5から取得せず、作成するようにしてもよい。以下、本発明の第3の実施形態について詳細に説明する。尚、第1の実施形態との同一構成、同一機能には、同一符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0112】
図18は、本実施形態の画像診断装置2の構成を示すブロック図である。図18に示すように、画像診断装置2は、撮影部21と通信部22と合成部23と位置情報作成部25を備える。
【0113】
位置情報作成部25は、予め取得した被検体情報Pを基にして、当該被検体情報Pの情報管理装置5における記憶領域を示す位置情報Rを作成する位置情報Rの取得手段である。この位置情報作成部25は、情報管理装置5が備える位置情報作成部53と同一のアルゴリズムで位置情報Rを作成する。本実施形態では、位置情報作成部25は、被検体情報Pが含む患者氏名を抽出し、予め記憶している情報管理装置5のドメイン名以下に、患者氏名を示すファイル名を追加して位置情報Rを作成する。
【0114】
合成部23は、位置情報作成部25が作成した位置情報Rを、撮影部21が作成した被検体画像H上に合成して合成画像Gを作成する。本実施形態の場合、通信部22は、情報管理装置5から位置情報Rを取得しない。
【0115】
図19は、この画像診断装置2を備える個人情報表示システム1の被検体情報P表示プロセスを示すシーケンス図である。
【0116】
まず、画像診断装置2は、被検体の撮影の前に、撮影する被検体の被検体情報Pを情報管理装置5に要求する(S81)。情報管理装置5は、要求された被検体情報Pを被検体情報DB52から検索し(S82)、被検体情報Pを画像診断装置2に送信する(S83)。
【0117】
画像診断装置2は、被検体情報Pを受信し、装置操作者が被検体情報Pを確認した後、被検体内を撮影して被検体画像Hを作成する(S84)。
【0118】
被検体画像Hが作成されると、画像診断装置2は、被検体情報Pから患者氏名を抽出し、情報管理装置5の位置情報作成部53と同一のアルゴリズムで位置情報Rを作成する(S85)。次に、画像診断装置2は、作成した位置情報Rと被検体画像Hを合成して合成画像Gを作成し(S86)、合成画像Gをイメージャ3に送信する(S87)。
【0119】
イメージャ3は、合成画像Gを受信し、合成画像GをフィルムFに出力する(S88)。
【0120】
フィルムFを閲覧する読影医や診断医等の表示デバイス所有者は、表示デバイス4の入力部41を用いて、フィルムFに出力されている位置情報Rを入力する(S89)。表示デバイス4は、位置情報Rが入力されると、筐体識別情報Lを筐体識別情報記憶部42より読み出し、筐体識別情報Lと共に、この位置情報Rに示される記憶領域へのアクセス要求を情報管理装置5へ送信する(S90)。
【0121】
情報管理装置5では、参照テーブル55を読み出して、受信した筐体情報IDの有無、及び参照テーブル55中の該当の筐体情報IDに関連づけられている位置情報Rとアクセスしようとするアクセス先の一致を判断する(S91)。
【0122】
アクセス許可であれば、情報管理装置5は、参照テーブル55中の一致した位置情報Rと対になっている絶対位置情報Raを参照して被検体情報Pを取得し(S92)、取得した被検体情報Pを送信して応答する(S93)。一方、アクセス不許可であれば、エラー情報Eを送信して応答する(S93)。
【0123】
表示デバイス4は、情報管理装置5から受信した被検体情報P若しくはエラー情報Eを表示する(S93)。
【0124】
このように、本実施形態の個人情報表示システム1では、画像診断装置2のみで合成画像Gの作成までを完結することができる。
【0125】
尚、以上の各実施形態では、表示デバイス4を携帯端末を例に取り説明したが、デスクトップコンピュータのような据え置きのコンピュータ端末に表示デバイス4の機能を持たせてもよい。位置情報Rを2次元コードRcで表現する場合には、コンピュータ端末にカメラ45等の2次元コードリーダを搭載するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】個人情報表示システムの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る個人情報表示システムの機能を示すブロック図である。
【図3】参照テーブルを示す模式図である。
【図4】第1の実施形態に係る画像診断装置の合成画像作成動作を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る合成画像を出力したフィルムを示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る表示デバイスの位置情報に従った情報管理装置へのアクセスプロセスを示すフローチャートである。
【図7】表示デバイスに表示される画面であり、アクセスが許可されて被検体情報が送信された場合の表示画面である。
【図8】表示デバイスに表示される画面であり、アクセスが不許可となりエラー情報が送信された場合の表示画面である。
【図9】情報管理装置のアクセス判断動作を示すフローチャートである。
【図10】個人情報表示システムの被検体情報表示プロセスを示すシーケンス図である。
【図11】第1の実施形態に係る画像診断装置として適用されるX線CT装置の構成を示すブロック図である。
【図12】被検体画像への合成方法のモード変更の設定画面を示す図である。
【図13】第2の実施形態に係る画像診断装置の構成を示すブロック図である。
【図14】第2の実施形態に係る画像診断装置の合成画像作成プロセスを示すフローチャートである。
【図15】第2の実施形態に係る画像診断装置で作成された合成画像を出力したフィルムを示す図である。
【図16】第2の実施形態に係る表示デバイスの構成を示すブロック図である。
【図17】第2の実施形態に係る表示デバイスの位置情報取得プロセスを示すフローチャートである。
【図18】第3の実施形態に係る画像診断装置の構成を示すブロック図である。
【図19】第3の実施形態に係る個人情報表示システムの被検体情報表示プロセスを示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0127】
1 個人情報表示システム
2 画像診断装置
21 撮影部
22 通信部
23 合成部
24 符号化部
25 位置情報作成部
3 イメージャ
31 通信部
32 出力部
4 表示デバイス
41 入力部
42 筐体識別情報記憶部
43 通信部
44 表示部
45 カメラ
46 復号部
5 情報管理装置
51 通信部
52 被検体情報DB
53 位置情報作成部
54 判断部
55 参照テーブル
P 被検体情報
E エラー情報
F フィルム
H 被検体画像
G 合成画像
R 位置情報
Rc 2次元コード
M1 被検体情報表示モード
M2 被検体情報隠蔽モード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮影して被検体画像を作成する画像診断装置と、被検体情報を所定の記憶領域に記憶して管理する情報管理装置と、当該情報管理装置と通信が可能な表示デバイスと、を備える個人情報表示システムであって、
画像診断装置は、
被検体情報が記憶されている記憶領域を示す位置情報を取得する第1の取得手段と、
前記被検体画像上に前記位置情報を合成する合成手段と、
を備え、
前記表示デバイスは、
予め自己の識別情報を記憶する記憶手段と、
前記被検体画像上に合成された位置情報を取得する第2の取得手段と、
取得した位置情報が示す記憶領域へアクセスすると共に、前記識別情報を送信する第1の送信手段と、
前記情報管理装置から送信される情報を受信する受信手段と、
前記受信した情報を表示する表示手段と、
を備え、
前記情報管理装置は、
前記表示デバイスから送信された前記識別情報に基づきログイン許可を判断すると共に、前記表示デバイスがアクセスしようとする記憶領域へのアクセス権限を判断する判断部と、
ログインが許可され、かつアクセス権限有りと判断された場合には、前記記憶領域に記憶されている被検体情報を、前記表示デバイスに送信する第2の送信手段と、
を備えること、
を特徴とする個人情報表示システム。
【請求項2】
前記情報管理装置は、
ログインを許可する表示デバイスの識別情報と当該表示デバイスがアクセス権限を有する記憶領域を示す位置情報とを関連づけて記憶する参照テーブルをさらに備え、
前記判断部は、表示デバイスから送信された識別情報と前記参照テーブルに基づき、当該表示デバイスのログイン許可を判断すると共に、ログイン許可の場合には、当該表示デバイスがアクセスしようとする記憶領域を示す位置情報と前記参照テーブルに基づき、当該表示デバイスのアクセス権限を判断すること、
を特徴とする請求項1記載の個人情報表示システム。
【請求項3】
前記第1の取得手段は、
位置情報として、被検体情報が記憶されている記憶領域を示すURLを取得すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の個人情報表示システム。
【請求項4】
前記画像診断装置は、
前記第1の取得手段が取得した位置情報を2次元コード形式に変換する符号化手段をさらに備え、
前記合成手段は、2次元コード形式の位置情報を前記被検体画像上に合成すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の個人情報表示システム。
【請求項5】
前記第2の取得手段は、2次元コード形式の位置情報を撮影する撮影手段であり、
前記表示デバイスは、
前記第2の取得手段が撮影した2次元コードの位置情報を復号する復号化手段と、
をさらに備えること、
を特徴とする請求項4記載の個人情報表示システム。
【請求項6】
前記第1の取得手段は、前記情報管理装置から前記位置情報を受信する通信手段であること、
を特徴とする請求項1又は2記載の個人情報表示システム。
【請求項7】
前記第1の取得手段は、前記被検体情報を取得して、当該被検体情報に基づき前記位置情報を作成する位置情報作成手段であること、
を特徴とする請求項1又は2記載の個人情報表示システム。
【請求項8】
前記位置情報が合成された前記被検体画像は、フィルムに出力され、
前記第2の取得手段は、フィルムから位置情報を取得すること、
を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の個人情報表示システム。
【請求項9】
前記位置情報が合成された前記被検体画像は、モニタに出力され、
前記第2の取得手段は、モニタから位置情報を取得すること、
前記請求項1又は2記載の個人情報表示システム。
【請求項10】
前記第2の送信手段は、
患者氏名、患者ID、年齢、性別、又はカルテIDの何れかを少なくとも含む被検体情報を前記表示デバイスに送信すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の個人情報表示システム。
【請求項11】
前記第2の送信手段は、
前記判断部によりログイン不許可若しくはアクセス権限無しと判断された場合には、エラー情報を前記表示デバイスに送信すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の個人情報表示システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−207163(P2007−207163A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28375(P2006−28375)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】