説明

側溝の切断方法、側溝の改修方法および側溝改修用ブロック

【課題】側溝の上端部を完全に切断することができる側溝の切断方法、側溝の上端部の形状を所望の形状に改修することができる側溝の改修方法および側溝の改修方法に使用される側溝改修用ブロックを提供する。
【解決手段】切断手段10の切断刃13Aを側溝U内に配置したのち、切断手段10を側溝Uに沿って移動させながら、切断手段10の切断刃13Aよって側溝Uの側壁UW内面に、側溝Uに沿って切り込み部Uhを形成する切り込み形成工程と、側溝Uの側壁UWにおいて、切り込み部Uhの上方に位置する部分を、側溝Uの溝幅Wよりも直径Dが大きい切断刃13Bを切り込み部Uhの形成されている高さに配置しうる程度に除去して開口領域OAを形成する開口領域形成工程と、開口領域OAから切断刃13Bをいれて、切り込み部Uhの形成されている高さに配置する切断刃配置工程と、切断刃13Bにより、側溝Uの側壁UWを切断する切断工程とを順に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝の切断方法、側溝の改修方法および側溝改修用ブロックに関する。一般的な道路において、路面に降った雨水等は路面上を流れ、道路の側方に設けられた側溝に流れ込み、その側溝内を通して河川や下水管等に排水される。しかるに、時代とともに道路の形態や側溝に要求される機能が変化するため、その時代要求に沿った形状に側溝を改修する必要が生じる。
本発明は、かかる側溝の改修を行うための側溝の改修方法、側溝の改修等の際に側溝を切断する側溝の切断方法および側溝の改修等の際に使用される側溝改修用ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
図6(A)に示すように、従来、歩道Pのある道路においては、歩道Pと車道Rを明確に分離し、歩道Pを歩く人の安全性を高めるために、歩道Pを車道Rよりも少し高くすることが行われていた。かかる構造は歩道Pを歩く人等の安全性を高める上で有効であるが、交差点や住宅の入口などには車道Rから歩道Pへの移動を容易にするためにスロープが設けられており、かかるスロープの存在は人に歩きにくさを感じさせる原因となり、特に、高齢者や車いすを使用する人等にとっては大きな障害となっていた。
【0003】
近年、道路においてもバリアフリー化が検討され、歩道Pと車道Rを同じ高さ、又は高さの差を非常に少なくし、両者の境界は縁石101によって分離することが行われている(図6(B))。かかる構造とすれば、交差点や住宅入口などにおいてスロープを形成する必要がないから、人が歩道Pを歩きやすく、また、高齢者等が歩道Pを歩くときの危険性を少なくすることができる。
【0004】
ここで、図6(B)に示すように、従来からある道路をバリアフリー化する場合には、歩道Pだけでなく、歩道Pに設けられている側溝100の上端の位置を歩道Pの上面と同じ高さにしなければならない。つまり、歩道Pの高さを下げるとともに、側溝100の上端の高さも歩道Pの高さまで下げなければならない。
【0005】
従来、側溝100の上端を下げる場合、側溝100の上端部100bを破砕して除去していた。この場合には上面が凹凸になるため、そのまま放置すると歩道Pに段差ができてしまい歩きにくく段差に躓いて転倒する可能性があるし、また、段差の部分に水が溜まってしまい歩道Pの排水性が悪化する。このため、従来は、側溝100の上端部100bを破砕して除去した後、側溝100の上部に型枠を組んでその中にコンクリートを流し込み、上面が平坦面となった新たな上端部を形成することが行われていた。
【0006】
しかし、この方法は、側溝100の上端部100bの破砕に大変な労力と時間が必要であり、さらに型枠を組んだりする時間や、コンクリートが固化する時間が必要となるため、時間とコストがかかっていた。そして、作業中は通行人や、住民等が歩道Pを使用できなかったりするために不便であり、作業時間を短縮することが非常に望まれていた。
また、歩道のない道路において上部に蓋が設けられている側溝はあるが、かかる側溝では、その蓋にコンクリート製のものが多く使用されており、側溝の上端には蓋の落下を防止するために蓋受けが設けられている。
しかし、かかる蓋受けを備えた側溝では、時間の経過とともに蓋と蓋受けの間にゴミや埃が噛み込んで欠けたり、蓋に車が乗り上げたりすることによる振動等の影響によって損傷する。蓋受けが損傷すると、蓋ががたついて危険であるし、損傷がひどくなると蓋が側溝内に落下するなどの問題も生じてくる。かかる蓋受けが損傷した側溝も、上記のごとくバリアフリー化する場合と同様に、上端部を破砕して除去した後、側溝上部に型枠を組んでその中にコンクリートを流し込み、新たに上端部を形成して補修が行われていたため、作業時間を短縮することが非常に望まれていた。
【0007】
上記のごとく、側溝の補修改修作業に作業時間が長くかかる原因として、側溝100の上端部を破砕して除去していることがあり、この問題を解決する方法として、側溝100の上端を切断して除去することが考えられる。これまでにも側溝の上端を切断する技術として、従来例1〜3の技術(特許文献1〜3)が開発されている。
【0008】
従来1,2の技術は、側溝上端に取り付けられた支持プレートや保護枠等に、側溝に沿って配設されたレールを設け、このレールに沿って移動可能な切断装置を設けるものである。切断装置は、下端に円盤状の切断刃を備えており、切断装置をレールに取り付けた状態において、その切断刃が側溝の開口部から側溝内に挿入することができるように構成されており、また、切断刃を側溝の内面に向けて移動させる手段も備えている。このため、切断刃を回転させながら切断刃を側溝内面に向けて移動させ、切断刃を側溝の内面に接触させれば切断刃によって側溝を切断でき、そして、切断装置をレールに沿って移動させれば、側溝の側壁に、その溝に沿って切り込みを形成することができる。
【0009】
また、従来例3には、円盤状の切断刃を備えた切断装置をショベルカーのショベル先端に取付け、ショベルを移動させることによって切断装置を側溝内に配置し、その状態で切断装置を作動させることによって、側溝を切断する技術が開示されている。
【0010】
しかるに、従来例1〜3の技術によれば側溝の側壁内面に溝状の切り込みは入れることができるものの、側溝上端を完全に切断してしまうことはできない。なぜなら、側溝の側壁の厚さは溝幅が300mmであれば通常約150mmであるのに対し、側溝内に入れることができる切断刃の直径は溝幅が限界であり、切断刃において実際に切断できる切り込み深さは、切断刃の中心に回転軸が取り付けられている関係上、切断刃の直径が280mmであればせいぜい90mmにすぎないからである。
確かに側壁の厚さが薄ければ従来例1,2の装置でも側溝上端を完全に切断できる可能性はある。しかし、従来例1,2では、レールを支持する支持プレート等が側溝上端に取り付けられているため、側溝上端を完全に切断してしまえば、切断された部分は、切断刃の厚さ分だけ下方に移動する、つまり、切断された側溝上端部分が下方に落下してしまう。すると、側溝上端部分が下方に落下したことによって、その部分に取り付けられている支持プレート等とともにレールが下方に移動し、レールの変形が生じる可能性がある。レールの変形が生じれば、切断装置の移動に支障が生じ、最悪の場合、切断中に切断装置の位置がズレて、切断刃に対して刃を曲げる力が加わり、切断刃が破損してしまうおそれがあり大変危険である。したがって、従来例1,2の技術では、たとえ側溝上端を完全に切断できる可能性があっても現実的には側溝上端を完全に切断する作業に使用することはできない。
また、従来例3のように、ショベルカーのショベルの先端に切断装置を取り付けた場合には、側溝上端を完全に切断してもショベルが切断装置を保持するから上記のごとき問題は生じないものの、ショベルカーのアームによって切断刃の位置を調整しなければならないので、切断位置を正確に調整することはできないという別な問題が生じる。
【0011】
【特許文献1】特開平10−183743号
【特許文献2】特開2000−1836号
【特許文献3】特開2002−225027号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑み、側溝の上端部を完全に切断することができる側溝の切断方法、側溝の上端部の形状を所望の形状に改修することができる側溝の改修方法および側溝の改修方法に使用される側溝改修用ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明の側溝の切断方法は、道路に埋設された上部に開口部を有する側溝を、該側溝に沿って移動可能に設けられた、円盤状の切断刃を有する切断手段によって切断する側溝の改修方法であって、前記切断手段の切断刃を前記側溝内に配置したのち、前記切断手段を側溝に沿って移動させながら、該切断手段の切断刃よって前記側溝の側壁内面に、該側溝に沿って切り込み部を形成する切り込み形成工程と、前記側溝の側壁において、前記切り込み部の上方に位置する部分を、前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃を前記切り込み部の形成されている高さに配置しうる程度に除去して開口領域を形成する開口領域形成工程と、前記開口領域から前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃をいれて、前記切り込み部の形成されている高さに配置する切断刃配置工程と、前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃により、前記側溝の側壁を切断する切断工程とを順に行うことを特徴とする。
第2発明の側溝の切断方法は、第1発明において、前記開口領域形成工程終了後、前記切断工程を行う前に、前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃により前記切り込み部の深さを深くする再切り込み形成工程を行い、該再切り込み工程の終了後、前記開口領域形成工程、前記切断刃配置工程、前記切断工程を、この順番で行うことを特徴とする。
第3発明の側溝の切断方法は、第1発明において、前記切断手段が、前記切り込み部が形成される位置よりも下方に配置された案内レールに、該案内レールに沿って移動可能に取り付けられており、該案内レールが、前記側溝の側壁内面における前記切り込み部より下方に位置する部分に固定されていることを特徴とする。
第4発明の側溝の改修方法は、道路に埋設された上部に開口部を有する側溝において、その上端部を改修する側溝の改修方法であって、前記側溝の側壁における上端部を除去する、上端部除去工程と、上端部が除去された前記側溝の側壁における上端面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、接着剤が塗布された前記側溝の側壁における上端面上に据付ブロックを配置するブロック据付工程とを順に行う
ことを特徴とする。
第5発明の側溝の改修方法は、第4発明において、前記据付ブロックが、その下端に突起状部を備えており、前記接着剤塗布工程を行う前に、前記側溝の側壁における上端面に、前記据付ブロックの突起状部が挿入される挿入孔を形成する挿入孔形成工程を行うことを特徴とする。
第6発明の側溝の改修方法は、第4発明において、前記上端部除去工程において、請求項1、2または3記載の方法によって上端部が除去されることを特徴とする。
第7発明の側溝改修用ブロックは、道路に埋設された上部に開口部を有する側溝において、その上端部の改修に使用されるブロックであって、前記側溝の側壁における上端部を除去した後、上端部が除去された該側溝の側壁における上端面上に配置されるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1発明によれば、開口領域から切断刃を入れれば、側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃でも切り込み位置に配置することができる。すると、側壁内面から切り込むことができる長さが長くなるので、厚い側壁であっても完全に切断することができ、切り込みが形成された部分よりも上方に位置する部分を側溝から除去することができる。そして、側溝の側壁上端が、切断刃によって切断された凹凸が非常に少ない切断面となるから、切断面をそのまま露出させておくことも可能となる。つまり、側溝の側壁上端を平坦面にする場合には、切断手段によって側壁を切断するだけでよくコンクリートなどによって新たな上端部を形成する必要がないから、作業時間を短縮することができる。
第2発明によれば、切り込み部の深さを深くする再切り込み形成工程を行えば、一つの切断刃による切り込み量を少なくすることができるので、切断刃や切断手段に加わる切断抵抗を小さくすることができ、切断刃等の損傷を防ぐことができる。しかも、切断刃に加わる切断抵抗が少なくなれば、切断刃の振動やびびりも少なくすることができるから、切断面の精度を向上させることができる。
第3発明によれば、切断装置が案内レールに沿って移動するから、切断刃によって切り込み部を正確な高さに形成することができ、正確な高さで側壁を切断することができる。また、案内レールが切断刃よりも下方に位置しており、しかも、案内レールが切り込み部より下方の側壁内面に固定されているから、側壁上端部を完全に切断しても切断された部分の影響によって案内レール等に余分な力が加わったり案内レールが変形したりしないので、安全かつ正確に切断を行うことができる。
第4発明によれば、据付ブロックの形状を変えれば、側溝の側壁上端部を所望の形状の形成することができる。しかも、据付ブロックを載せるだけであるから、作業時間を短くすることができる。
第5発明によれば、突起状部を挿入孔に挿入すれば、据付ブロックを正確な位置に配置することができる。しかも、据付ブロックに対して側溝の側壁上端面と平行な方向の力が加わったときに、その力を突起状部にも支持させることができるから、据付ブロックを備えた側溝の強度を高くすることができる。
第6発明によれば、上端部を除去した側壁の上端面が、凹凸の少ない面となっているから、据付ブロックの底面を平坦にしておけば、据付ブロックが傾いたりすることを防ぐことができるし、据付ブロックを安定した状態で側壁上に配置することができる。
第7発明によれば、据付ブロックの形状を変えれば、側溝の側壁上端部を所望の形状の形成することができる。しかも、据付ブロックを載せるだけであるから、作業時間を短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の側溝Uの切断方法に使用する切断手段10を、側溝U内に切断手段10を配置した状態の概略説明図であって、(A)は平面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。図2は切り込み形成工程の説明図であって、(A)は切り込み部Uhを形成している状態の平面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図であり、(C)は切り込み形成工程終了後の側溝Uの説明図である。図3は(A)は切断刃配置工程終了時における概略平面図であり、(B)は(A)のB−B線矢視図であり、(C)は切断工程の説明図である。なお、図1〜図3では、道路の歩道P等の側溝Uの周辺に位置するものは省略している。
【0016】
まず、本発明の側溝Uの切断方法を説明する前に、この方法に使用する切断手段10を説明する。
図1において、符号Uは地面等に埋設されている側溝を示している。この側溝Uは、一対の互いに対向する面を有する側壁UWを有し、この側壁UWの上端間に開口部を有するものであり、例えばコンクリートで形成されたU字状ブロックや、土中に型枠を組みその型枠の中にコンクリートを流し込んで固化させて形成されたもの等があるが、特に限定されない。
【0017】
また、符号1は、側溝Uの溝において、側溝Uに沿って配設された案内レールを示している。この案内レール1は、支持部材2によって側溝Uの側壁UWの内面に取り付けられており、図示しない歩道や車道の表面と平行となるように配設されている。この支持部材2は、側壁UW内面だけを利用して案内レール1を支持する固定機構、例えば、パンタグラフ状の固定機構を有するものであり、案内レール1を側溝Uの内底面から浮かせた状態となるように支持している。つまり、支持部材2は、側溝Uの側壁UW上端や内底面を利用せずに、側壁UW内面だけを利用して案内レール1を支持できるように構成されているのである。
このため、案内レール1は、側溝Uの内底面や上端に凹凸があっても、歩道や車道の表面と平行に配設することができるし、側溝Uの内底面や上端に対して傾斜させることも可能である。そして、案内レール1の配置に側溝Uの内底面や上端の影響がないから、案内レール1を溝内において正確な位置に配設することができる。
【0018】
なお、案内レール1は、歩道や車道の表面と平行となるように配設されていなくてもよく、歩道や車道の表面に対して所望の角度となるように配設してもよい。
さらになお、支持部材2はパンタグラフ状の固定機構を有するものに限られず、側溝Uの内底面から案内レール1を浮かせた状態で支持でき、かつ、側溝Uの側壁UW上端や内底面を利用せずに、側壁UW内面だけを利用して案内レール1を支持できるものであればよく、特に限定はない。
さらになお、支持部材2は側溝Uの内底面を利用しても案内レール1を支持するものでもよいが、この場合には、側溝Uの内底面にゴミ等の堆積や破損などによる凹凸が形成されていても、その凹凸の影響を受けないように案内レール1を支持できる機構を支持部材2が有していることが必要である。
【0019】
図1に示すように、前記案内レール1には、この案内レール1に沿って移動可能に切断手段10が取り付けられている。この切断手段10は、案内レール1に沿って移動する移動機構を備えた本体部11と、基端が本体部11に取り付けられ基端を支点としてその先端が揺動可能に設けられた揺動アーム12と、円盤状の切断刃13とから構成されている。揺動アーム12は、切断刃13を案内レール1と平行、つまり、歩道や車道の表面と平行となるように保持し、かつ、切断刃13を歩道や車道の表面と平行に移動させるように構成されている。
なお、案内レール1が歩道や車道の表面に対して所望の角度となるように配設している場合には、揺動アーム12は、案内レール1が歩道や車道の表面に対してなす角度と同じ角度で切断刃13を保持し、かつ、案内レール1が歩道や車道の表面と対してなす角度と同じ角度を維持したまま切断刃13を移動させることができる。
【0020】
また、図1(B)に示すように、揺動アーム12は、切断刃13を案内レール1よりも上方に位置するように保持し、かつ、その基端を支点として揺動しても切断刃13および揺動アーム12が案内レール1と干渉しないように配置されている。
なお、揺動アーム12を揺動させる機構および切断刃13を回転させる機構は本体部11に設けられているが、切断刃13を回転させる機構は揺動アーム12の先端に設けてもよい。そして、揺動アーム12を揺動させる機構および切断刃13を回転させる機構は特に限定されない。
【0021】
つぎに、本発明の側溝Uの切断方法について説明する。
図1に示すように、まず、案内レール1を支持部材2によって側溝U内に固定し、この案内レール1に切断手段10の本体部11を取り付ける。ついで、切断手段10の揺動アーム12の先端に切断刃13Aを取り付ければ、切断作業の準備が終了する。ただし、この切断刃13Aは、側溝Uの溝幅Wより直径Dが小さいものしか取り付けることができない。
【0022】
ついで、切断刃13Aを回転させる。そして、揺動アーム12を一方の側壁UW(図2では下方の側壁UW)に向かって揺動させれば、切断刃13Aが側溝Uの側壁UWに接触し、接触した状態からさらに揺動アーム12を揺動させれば、切断刃13Aによって側壁UWが削られ、側壁UWには切断刃13Aの厚さと同等の切り込み部Uhが形成される。
そして、揺動アーム12を、その先端における切断刃13Aを支持する部分が側壁UWと接触しない程度まで揺動させれば、深さDAがこの切断刃13Aによって切り込むことができる最大の切り込み量Dh(図1参照)と同じ長さとなった切り込みが形成される。
この状態から、切断手段10を案内レール1に沿って移動させれば、側溝Uに沿って切り込みが連続した深さDAの切り込み部Uhを、側溝Uに沿って形成することができる(図2(A))。
【0023】
一方の側壁UW(図2では下方の側壁UW)について切り込み部Uhが案内レール1の長さの分だけ形成されれば、切断手段10の移動を停止させ、切断揺動アーム12を他方の側壁UW(図2では上方の側壁UW)に向かって移動させる。すると、切断刃13Aが側壁UWに接触し、他方の側壁UWにも深さDAの切り込みが形成される。そして、この状態から切断手段10を、一方の側壁UWに切り込み部Uhを形成するときに切断手段10が移動した方向と逆方向に移動させれば、他方の側壁UWにも側溝Uに沿って連続した深さDAの切り込み部Uhが形成される(図2(C))。上記の側溝Uに沿った連続した深さDAの切り込み部Uhを形成する工程が、切り込み形成工程である。
【0024】
両方の側壁UWに切り込み部Uhが形成されれば、切断刃13Aを揺動アーム12から取り外す。
その後、両側壁UWにおける切り込み部Uhの上方の部分B(図2(C)参照)を、一部分だけ除去して、開口領域OAを形成する(開口領域形成工程)。このとき、部分Bを除去する量、つまり、開口領域OAの面積は、切断刃13Aよりも直径Dが大きい切断刃13Bが、切り込み部Uhの高さに配置し得る程度に除去する(図3(A)、(B))。
両側壁UWにおける部分Bを除去する方法は、部分Bの上部に衝撃を加えて破砕する方法と切断刃によって側壁UW上面と切り込み部Uhを連通する切断溝を形成して部分Bを切り離す方法などがあるが、特に限定はない。なお、部分Bを破砕する場合でも、切り込み部Uhが形成されていることによって、切り込み部Uhと側壁UW上面との間に簡単に亀裂が入るし、開口領域OAを形成できる程度に上部Bを除去するだけであるから、部分Bを除去する作業は短時間かつ簡単に行うことができる。
【0025】
開口領域OAが形成されると、この開口領域OAから切断刃13Aより直径Dが大きい切断刃13Bを入れて、この切断刃13Bを揺動アーム12の先端に取り付ける(図3(A):切断刃配置工程)。
切断刃13Bを取り付けると、切断刃13Bを回転させる。そして、切断刃13Bは切り込むことができる最大切り込み量Dhが切断13Aよりも長いので、揺動アーム12を揺動させれば、側壁UWにおいて切断刃13Aでは切り込みを入れることができなかった部分にも切り込みを入れることができる。そして、切断刃13Bの最大切り込み量Dhが側壁UWの厚さよりも長ければ、側壁UWを完全に切断することができる。
この状態から案内レール1に沿って切断手段10を移動させれば、一方の側壁UWを側溝Uに沿って完全に切断することができる。
一方の側壁UWが案内レール1の長さの分だけ切断されれば、切断手段10の移動を停止させ、切断揺動アーム12を他方の側壁UWに向かって移動させる。すると、切断刃13Bが他方の側壁UWに形成されている切り込み部Uhに浸入し、切断刃13Bによって、側壁UWにおいて切断刃13Aでは切り込みを入れることができなかった部分にも切り込みを入れることができ、切断刃13Bの最大切り込み量が側壁UWの厚さよりも長ければ、完全に切断することができる。そして、この状態から切断手段10を逆方向に移動させれば、他方の側壁UWも完全に切断することができる(図4(A)参照)。
この最大切り込み量Dhが、切断刃13Aより長くかつ側壁UWの厚さよりも長い切断刃13Bによって側壁UWを切断する工程が、切断工程である。
【0026】
以上のごとく、側溝Uの切断方法によれば、側溝Uの溝幅Wより直径Dが小さい切断刃13Aによって側溝Uの側壁UWに切り込み部Uhを形成し、側壁UWにおける切り込み部Uhの上方部分Bを除去して開口領域OAを形成するから、側溝Uの溝幅Wよりも直径が大きい切断刃13Bでも切り込み部Uhが形成されている高さに配置することができる。このため、最大切り込み量Dhが側壁UWの厚さよりも長い切断刃13Bによって側壁UWに切り込みを形成することができる、言い換えれば、切断刃13Bによって側壁UW内面から切り込むことができる長さが長くなる。よって、側溝Uの溝幅W程度の直径Dを有する切断刃13Aによって完全に切断することが困難な厚い側壁UWであっても、切断刃13Bによって完全に切断することができる。
なお、上記の例では、側溝Uの両側壁UWを切断する場合を説明したが、側溝Uの片方の側壁UWだけを切断することもできるし、揺動アーム12の揺動量を調整して切断刃13の切り込み量を調整すれば、一方の側壁UWは完全に切断し、他方の側壁UWは所定の切り込みを入れるだけとすることも可能である。すると、完全に切断しない他方の側壁UWには、側溝Uの側壁UWよりも厚さが薄い壁を残しておくことができる(図5(B)参照)
【0027】
また、案内レール1に沿って、つまり、側溝Uに沿って切断手段10を移動させれば、切断刃13Bによって案内レール1の長さの分だけ側壁UWを連続して切断することができる。このため、案内レール1を歩道や車道の表面と平行となるように配設しておけば、切断刃13は歩道や車道の表面と平行なまま側壁UWを切断するから、切断刃13によって切断された切断面CSを歩道や車道の表面と平行に形成することができる。そして、案内レール1は溝内において正確な位置に配設することができるから、案内レール1に沿って切断装置10を移動させて切断刃13により、切り込み部Uh形成、および切断を行うので、切り込み部Uhを正確な高さに形成することができ、正確な高さで側壁UWを切断することができる。
また、案内レール1は、側壁UWの内面だけに固定されている、つまり、支持部材2によって歩道等の表面や側壁UW上端とは無関係に固定されているから、歩道や車道の表面に対して所望の角度で案内レール1を配設することができる。よって、案内レール1を、歩道や車道の表面に対して所望の角度となるように配設すれば、切断され除去される側溝Uの側壁UWの上端面が歩道や車道の表面に対してなす角度と異なる角度を有する切断面CSであっても形成することができる。しかも、側溝U内に案内レール1や切断装置10が配置されているため、側溝Uの近傍に電柱や私有地に設置されている壁等の構造物が存在していても、これら構造物の影響を受けることなく切断作業を行えるし、切断作業によって構造物を損傷することがないので、好適である。
なお、側溝Uは曲がっている場合もあるが、その場合でも、切断刃13と側壁UW内面の相対的な位置が変化するだけ、言い換えれば、切断刃13の切り込み量が変化するだけである。よって、側溝Uは曲がっている場合であっても、その曲がりによる切り込み量の変化を考慮して真っ直ぐな部分における切断刃13の切り込み量を調整しておけば、切断手段10を案内レール1に沿って移動させたときに、切断手段10の揺動アーム12等が接触したりすることを防ぐことができる。
【0028】
さらに、切断刃13Bが側溝Uの側壁UW上端部を完全に切断してしまうと、切断された部分はその自重によって下方に移動しようとする。つまり、側溝Uの側壁UW上端部は、切断刃13Bの厚さの分だけ上方に位置しているが、自重によって切断面CSに向かって移動しようとする。しかし、本発明では、案内レール1は支持部材2によって切り込み部Uhより下方の側壁UW内面に固定されているから、側壁UW上端部が自重によって下方に移動しても、その影響によって案内レール1や支持部材2、切断手段10の各部材等に余分な力が加わったり、案内レール1が変形したりしないので、安全かつ正確に切断を行うことができる。
【0029】
また、切り込みを形成する切断刃13Aと完全切断を行う切断刃13Bだけで側溝Uの側壁UWを完全に切断してしまってもよいが、開口領域形成工程終了後、側溝Uの溝幅Wよりも直径Dが大きいが、側壁UWを完全に切断できる切り込み量Dhをとることができない切断刃13を使用して、切り込み部Uhの深さを深くするための再切り込み形成工程を行ってもよい。
すると、一つの切断刃13による切り込み量を少なくすることができるので、切断刃13や切断手段10に加わる切断抵抗を小さくすることができ、切断刃13等の損傷を防ぐことができる。しかも、切断刃13に加わる切断抵抗が少なくなれば、切断刃の振動やびびりも少なくすることができるから、切断面CSの精度を向上させることができる。そして、再切り込み工程の終了後、開口領域形成工程、切断刃配置工程を行い、切断工程を行えば、側壁UWを完全に切断することができる。
【0030】
なお、再切り込み工程は1回に限られず、複数回行ってもよい。側壁UWを完全に切断するためには大きな切断刃13を使用する必要があるが、切断抵抗が大きくなると直径の小さな切断刃13に比べて湾曲しやすく、湾曲すると切り込み部Uhの内面に接触して内面との間の摩擦抵抗が発生し切断抵抗が大きくなり切断効率が悪くなる。しかし、再切り込み工程を複数回行い、切断刃13を直径の小さな切断刃13から直径の大きな切断刃13に変更して、切り込み部Uhの深さが徐々に深くなるように作業を進めれば、一つの切断刃13による切り込み量をそれほど大きくする必要がないから、各切断刃13に加わる切断抵抗を少なくすることができ、作業効率の低下も防ぐことができる。そして、各切断刃13に加わる切断抵抗を少なくなることから、切断刃13の振動やびびりも少なくすることができ、切断面CSの精度を向上させることができる。
ここで、再切り込み工程を行った後には、開口領域形成工程、切断刃配置工程をその都度行わなければならないため、再切り込み工程の回数、言い換えれば、使用する切断刃13の枚数が多くなれば、作業工数、作業時間は長くなる可能性がある。しかし、再切り込み工程を行う回数と、使用する切断刃およびその切り込み量を適切に選択すれば、作業効率を向上させることができ、作業時間を短縮することができる。
なお、再切り込み工程を行った切断刃によって切断作業を行えば、より確実に作業時間を短縮することができる。例えば、溝幅W300mm、側壁UWの厚さ150mmの側溝Uにおいて、側壁UWの上端部を2mにわたって切断する場合、直径が290mmの切断刃13Aにより切り込み量100mmの切り込み形成工程を行った後、直径が390mmの切断刃13Bにより切断工程を行って、両側壁UWの上部を切断する場合には、作業時間は28分程度必要である。これに対し、直径が290mmの切断刃13Aにより切り込み量50mmの切り込み形成工程を行った後、直径が390mmの切断刃13Bにより切り込み量50mmの再切り込み形成工程を行ってから、直径が390mmの切断刃13Bにより残り50mmの切断工程を行った場合には、作業時間を85%程度(約24分程度)に短縮することができる。
【0031】
つぎに、側溝Uの改修方法について説明する。
上記のごとき切断方法によって側溝Uを切断すれば、側溝Uの上部を除去して側溝Uの高さを低くでき、しかも、切断後の側壁UWの上端面(以下、切断面CSという)の凹凸が少なくなるので、切断面CSをそのまま側溝Uの上端面として使用することも可能である。すると、従来のように側溝Uの側壁UWの上端面を平坦面にするための特別な作業、例えば、型枠を組んでコンクリートを流し込み新たな上端部を形成する等の作業を行う必要がないから、作業時間を短縮することができる。
しかし、側溝Uによっては、上端に蓋を取り付ける必要がある場合等のように、上端部を所定の形状にしなければならない場合がある。かかる場合においても、以下のような改修方法を採用すれば、短時間で改修作業を行うことができる。
【0032】
まず、本発明の側溝Uの改修方法に使用する据え付けブロック20を説明する。
図4は側溝Uの改修方法の説明図であって、(A)は上端部除去工程の説明図であり、(B)はブロック据付工程の説明図であり、(C)は据付ブロックBが取り付けられた側溝Uの説明図である。同図において、符号20は、側溝Uの上端に据え付けるための据付ブロックを示している。この据え付けブロック20は、一対の壁面ブロック21,21と、この一対の壁面ブロック21,21の上端間に配置された蓋ブロック22とから構成されており、各ブロックは、改修を行う側溝Uとは別に、コンクリートや鋼材等によってそれぞれ別々に形成されたブロックである。つまり、各ブロックを組み合わせて据え付けブロック20が形成されているのである。
なお、各ブロックは、組み合わせた状態で完全に固定されていてもよいが、アンカーボルト等の各ブロック同士を着脱可能に固定する部材によって固定されていてもよい。
【0033】
前記一対の壁面ブロック21,21は、その壁の厚さが側溝Uの壁厚と同じ厚さになるように形成された板状のブロックであり、図4では紙面と垂直な方向に沿って延びている。この一対の壁面ブロック21,21は、据え付けブロック20となった状態では、両者の互いに対向する面間の距離が、側溝Uの溝幅Wと同じ長さとなるように組み合わされている。
この一対の壁面ブロック21,21には、その上端と対向する内面とによって形成される角が除去されて、蓋受け21hが形成されている。この一対の壁面ブロック21,21の蓋受け21hは、蓋ブロック22を載せて支持しておくためのものであり、据え付けブロック20となった状態では、一対の壁面ブロック21,21の蓋受け21hの上に蓋ブロック22の両側端が載せられるのである。なお、蓋ブロック22は、単なる板状のブロックであり、従来から使用されている蓋ブロックと実質同様のものである。
また、一対の壁面ブロック21,21の下端には、突起状部21aが形成されている。この突起状部21aは、壁面ブロック21の長手方向に沿って、つまり、図4では紙面と垂直な方向に沿って所定の間隔をあけて複数の箇所設けられている。この突起状部21aは、例えば、一対の壁面ブロック21,21の鉄筋の一部を下方に突出させたり、壁面ブロック21を形成するときにコンクリートによって形成したり、また、形成された壁面ブロック21の下端にアンカーボルト等を取り付けて形成されたもの等であるが、その形成方法は特に限定されない。
なお、突起状部21aは、所定の間隔をあけて複数箇所設けてもよいが、壁面ブロック21の長手方向に沿って連続した形状としてもよく、特に限定されない。
【0034】
つぎに、上記のごとき据え付けブロック20を使用して側溝Uを改修する方法について説明する。
図4(A)に示すように、上述した側溝Uの切断方法によって側壁UWの上端部を切断した後、切断された側壁UW上部を取り除くと、切断面CSが側壁UW上端に露出する。なお、上述した側溝Uの切断方法と、切断された側壁UW上部を取り除く作業が上端部除去工程である。
【0035】
ついで、切断面CSに、突起状部21aが挿入される挿入孔Usを形成する。この挿入孔Usは、後述するように突起状部21aが挿入孔Usに挿入されるように壁面ブロック21を側溝Uの側壁UW上に載せると、側溝Uの側壁UW内面と、一対の壁面ブロック21,21の互いに対向する面が同一面上に位置するように形成する(挿入孔形成工程、図4(B))。
【0036】
ついで、露出した切断面CSに、エポキシ樹脂や無収縮モルタル等の接着剤adを塗布し(接着剤塗布工程、図4(B))、接着剤adが塗布された切断面CS上に、据え付けブロック20を突起状部21aが挿入孔Usに挿入されるように載せる(ブロック据付工程)。
そして、接着剤adが固化すれば、据え付けブロック20の壁面ブロック21と側溝Uの側壁UWとが結合されるから、改修前の側溝Uを、上部に蓋ブロック22を備えた側溝Uに改修することができる(図4(C))。
【0037】
以上のごとくであるから、本発明の側溝の改修方法によれば、側溝Uの上端部を除去して据付ブロック20を載せるだけで側溝Uの上端部を改修することができるので、型枠を組んでコンクリートを流し込み新たな上端部を形成する等の作業を行う必要がなく、作業時間を短縮することができる。
しかも、据付ブロック20の各部材の形状を変えれば、改修された側溝Uの側壁UW上端部を所望の形状に形成することができるし、側溝Uの回収作業の現場で型枠を形成しないから、各部材の型枠の自由度が高くなる。言い換えれば、形成される据付ブロック20の形状の自由度が非常に高くなるので、所望の形状の据付ブロック20を容易かつ安価に形成することができる。
なお、据え付けブロック20の形状および据え付けブロック20を構成する部材の数、その組み合わせ方は特に限定されない。例えば、側溝Uを完全に蓋してしまう場合などであれば、据え付けブロック20は単なる板状のブロックだけとしてもよい(図5(A))。
【0038】
また、据え付けブロック20を突起状部21aが挿入孔Usに挿入されるように載せれば、突起状部21aによって据え付けブロック20の位置決めができるので、据付ブロック20を正確な位置に配置することができる。しかも、据付ブロック20に対して側溝Uの側壁UW上端面と平行な方向の力が加わったときに、その力を突起状部21aにも支持させることができるから、据付ブロック20を備えた側溝Uの強度を高くすることができる。
なお、突起状部21aは、据付ブロック20が小型、軽量で位置決めが容易な場合や、接着剤adの強度が高い場合等には特に設けなくてもよい。
【0039】
なお、上端部除去工程において側溝Uの上端部を除去する方法は、上述した側溝Uの切断方法に限られず、従来から行われているように、側溝Uの上端部をハツリ作業だけで除去したり、上述した切り込み形成工程を行った後ハツリ作業を行って側溝Uの上端部を除去してもよく、どのような方法を用いてもよいが、上述した側溝Uの切断方法を採用すれば切断面CSが凹凸の少ない面となる。すると、側壁UW上端面の凹凸などによって壁面ブロック21が傾いたり、がたついたりすることを防ぐことができる。とくに、壁面ブロック21の下端面を、その側面、言い換えれば、一対の壁面ブロック21,21の互いに対向する面と直交する平坦な面に形成しておけば、据付ブロック20を切断面CS上に載せたときに、据付ブロック20が傾くことを防ぐことができ、据付ブロック20をより確実に安定した状態で側溝Uの側壁UW上に配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の側溝の切断方法は、道路をバリアフリー化するときに側溝を切断する場合や、店舗の前の工事など工事期間の短縮が求められる場合などに採用することができる。
また、本発明の側溝の切断方法は、側溝の上端部の形状を改修する場合や、古くなった側溝の破損部を修繕する場合などに採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の側溝Uの切断方法に使用する切断手段10を、側溝U内に切断手段10を配置した状態の概略説明図であって、(A)は平面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】切り込み形成工程の説明図であって、(A)は切り込みを形成している状態の平面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図であり、(C)は切り込み形成工程終了後の側溝Uの説明図である。
【図3】(A)は切断刃配置工程終了時における概略平面図であり、(B)は(A)のB−B線矢視図であり、(C)は切断工程の説明図である。
【図4】側溝Uの改修方法の説明図であって、(A)は上端部除去工程の説明図であり、(B)はブロック据付工程の説明図であり、(C)は据付ブロックBが取り付けられた側溝Uの説明図である。
【図5】改修された側溝Uの他の例を示した図である。
【図6】(A)は従来の歩道Pを有する道路の説明図であり、(B)はバリアフリー化された道路の説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 案内レール
10 切断手段
13 切断刃
20 据付ブロック
21a 突起状部
U 側溝
UW 側壁
Uh 切り込み部
Us 挿入孔
CS 切断面
OA 開口領域
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝の切断方法、側溝の改修方法および側溝改修用ブロックに関する。一般的な道路において、路面に降った雨水等は路面上を流れ、道路の側方に設けられた側溝に流れ込み、その側溝内を通して河川や下水管等に排水される。しかるに、時代とともに道路の形態や側溝に要求される機能が変化するため、その時代要求に沿った形状に側溝を改修する必要が生じる。
本発明は、かかる側溝の改修を行うための側溝の改修方法、側溝の改修等の際に側溝を切断する側溝の切断方法および側溝の改修等の際に使用される側溝改修用ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
図6(A)に示すように、従来、歩道Pのある道路においては、歩道Pと車道Rを明確に分離し、歩道Pを歩く人の安全性を高めるために、歩道Pを車道Rよりも少し高くすることが行われていた。かかる構造は歩道Pを歩く人等の安全性を高める上で有効であるが、交差点や住宅の入口などには車道Rから歩道Pへの移動を容易にするためにスロープが設けられており、かかるスロープの存在は人に歩きにくさを感じさせる原因となり、特に、高齢者や車いすを使用する人等にとっては大きな障害となっていた。
【0003】
近年、道路においてもバリアフリー化が検討され、歩道Pと車道Rを同じ高さ、又は高さの差を非常に少なくし、両者の境界は縁石101によって分離することが行われている(図6(B))。かかる構造とすれば、交差点や住宅入口などにおいてスロープを形成する必要がないから、人が歩道Pを歩きやすく、また、高齢者等が歩道Pを歩くときの危険性を少なくすることができる。
【0004】
ここで、図6(B)に示すように、従来からある道路をバリアフリー化する場合には、歩道Pだけでなく、歩道Pに設けられている側溝100の上端の位置を歩道Pの上面と同じ高さにしなければならない。つまり、歩道Pの高さを下げるとともに、側溝100の上端の高さも歩道Pの高さまで下げなければならない。
【0005】
従来、側溝100の上端を下げる場合、側溝100の上端部100bを破砕して除去していた。この場合には上面が凹凸になるため、そのまま放置すると歩道Pに段差ができてしまい歩きにくく段差に躓いて転倒する可能性があるし、また、段差の部分に水が溜まってしまい歩道Pの排水性が悪化する。このため、従来は、側溝100の上端部100bを破砕して除去した後、側溝100の上部に型枠を組んでその中にコンクリートを流し込み、上面が平坦面となった新たな上端部を形成することが行われていた。
【0006】
しかし、この方法は、側溝100の上端部100bの破砕に大変な労力と時間が必要であり、さらに型枠を組んだりする時間や、コンクリートが固化する時間が必要となるため、時間とコストがかかっていた。そして、作業中は通行人や、住民等が歩道Pを使用できなかったりするために不便であり、作業時間を短縮することが非常に望まれていた。
また、歩道のない道路において上部に蓋が設けられている側溝はあるが、かかる側溝では、その蓋にコンクリート製のものが多く使用されており、側溝の上端には蓋の落下を防止するために蓋受けが設けられている。
しかし、かかる蓋受けを備えた側溝では、時間の経過とともに蓋と蓋受けの間にゴミや埃が噛み込んで欠けたり、蓋に車が乗り上げたりすることによる振動等の影響によって損傷する。蓋受けが損傷すると、蓋ががたついて危険であるし、損傷がひどくなると蓋が側溝内に落下するなどの問題も生じてくる。かかる蓋受けが損傷した側溝も、上記のごとくバリアフリー化する場合と同様に、上端部を破砕して除去した後、側溝上部に型枠を組んでその中にコンクリートを流し込み、新たに上端部を形成して補修が行われていたため、作業時間を短縮することが非常に望まれていた。
【0007】
上記のごとく、側溝の補修改修作業に作業時間が長くかかる原因として、側溝100の上端部を破砕して除去していることがあり、この問題を解決する方法として、側溝100の上端を切断して除去することが考えられる。これまでにも側溝の上端を切断する技術として、従来例1〜3の技術(特許文献1〜3)が開発されている。
【0008】
従来1,2の技術は、側溝上端に取り付けられた支持プレートや保護枠等に、側溝に沿って配設されたレールを設け、このレールに沿って移動可能な切断装置を設けるものである。切断装置は、下端に円盤状の切断刃を備えており、切断装置をレールに取り付けた状態において、その切断刃が側溝の開口部から側溝内に挿入することができるように構成されており、また、切断刃を側溝の内面に向けて移動させる手段も備えている。このため、切断刃を回転させながら切断刃を側溝内面に向けて移動させ、切断刃を側溝の内面に接触させれば切断刃によって側溝を切断でき、そして、切断装置をレールに沿って移動させれば、側溝の側壁に、その溝に沿って切り込みを形成することができる。
【0009】
また、従来例3には、円盤状の切断刃を備えた切断装置をショベルカーのショベル先端に取付け、ショベルを移動させることによって切断装置を側溝内に配置し、その状態で切断装置を作動させることによって、側溝を切断する技術が開示されている。
【0010】
しかるに、従来例1〜3の技術によれば側溝の側壁内面に溝状の切り込みは入れることができるものの、側溝上端を完全に切断してしまうことはできない。なぜなら、側溝の側壁の厚さは溝幅が300mmであれば通常約150mmであるのに対し、側溝内に入れることができる切断刃の直径は溝幅が限界であり、切断刃において実際に切断できる切り込み深さは、切断刃の中心に回転軸が取り付けられている関係上、切断刃の直径が280mmであればせいぜい90mmにすぎないからである。
確かに側壁の厚さが薄ければ従来例1,2の装置でも側溝上端を完全に切断できる可能性はある。しかし、従来例1,2では、レールを支持する支持プレート等が側溝上端に取り付けられているため、側溝上端を完全に切断してしまえば、切断された部分は、切断刃の厚さ分だけ下方に移動する、つまり、切断された側溝上端部分が下方に落下してしまう。すると、側溝上端部分が下方に落下したことによって、その部分に取り付けられている支持プレート等とともにレールが下方に移動し、レールの変形が生じる可能性がある。レールの変形が生じれば、切断装置の移動に支障が生じ、最悪の場合、切断中に切断装置の位置がズレて、切断刃に対して刃を曲げる力が加わり、切断刃が破損してしまうおそれがあり大変危険である。したがって、従来例1,2の技術では、たとえ側溝上端を完全に切断できる可能性があっても現実的には側溝上端を完全に切断する作業に使用することはできない。
また、従来例3のように、ショベルカーのショベルの先端に切断装置を取り付けた場合には、側溝上端を完全に切断してもショベルが切断装置を保持するから上記のごとき問題は生じないものの、ショベルカーのアームによって切断刃の位置を調整しなければならないので、切断位置を正確に調整することはできないという別な問題が生じる。
【0011】
【特許文献1】特開平10−183743号
【特許文献2】特開2000−1836号
【特許文献3】特開2002−225027号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑み、側溝の上端部を完全に切断することができる側溝の切断方法、側溝の上端部の形状を所望の形状に改修することができる側溝の改修方法および側溝の改修方法に使用される側溝改修用ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明の側溝の切断方法は、道路に埋設された上部に開口部を有する側溝を、該側溝に沿って移動可能に設けられた、円盤状の切断刃を有する切断手段によって切断する側溝の改修方法であって、前記切断手段の切断刃を前記側溝内に配置したのち、前記切断手段を側溝に沿って移動させながら、該切断手段の切断刃よって前記側溝の側壁内面に、該側溝に沿って切り込み部を形成する切り込み形成工程と、前記側溝の側壁において、前記切り込み部の上方に位置する部分を、前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃を前記切り込み部の形成されている高さに配置しうる程度に除去して開口領域を形成する開口領域形成工程と、前記開口領域から前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃をいれて、前記切り込み部の形成されている高さに配置する切断刃配置工程と、前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃により、前記側溝の側壁を切断する切断工程とを順に行うことを特徴とする。
第2発明の側溝の切断方法は、第1発明において、前記開口領域形成工程終了後、前記切断工程を行う前に、前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃により前記切り込み部の深さを深くする再切り込み形成工程を行い、該再切り込み工程の終了後、前記開口領域形成工程、前記切断刃配置工程、前記切断工程を、この順番で行うことを特徴とする。
第3発明の側溝の切断方法は、第1発明において、前記切断手段が、前記切り込み部が形成される位置よりも下方に配置された案内レールに、該案内レールに沿って移動可能に取り付けられており、該案内レールが、前記側溝の側壁内面における前記切り込み部より下方に位置する部分に固定されていることを特徴とする。
第4発明の側溝の改修方法は、道路に埋設された上部に開口部を有する側溝において、その上端部を改修する側溝の改修方法であって、前記側溝の側壁における上端部を、第1、第2または第3発明の方法によって除去する、上端部除去工程と、上端部が除去された前記側溝の側壁における上端面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、接着剤が塗布された前記側溝の側壁における上端面上に据付ブロックを配置するブロック据付工程とを順に行うことを特徴とする。
第5発明の側溝の改修方法は、第4発明において、前記据付ブロックが、その下端に突起状部を備えており、前記接着剤塗布工程を行う前に、前記側溝の側壁における上端面に、前記据付ブロックの突起状部が挿入される挿入孔を形成する挿入孔形成工程を行うことを特徴とする
【発明の効果】
【0014】
第1発明によれば、開口領域から切断刃を入れれば、側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃でも切り込み位置に配置することができる。すると、側壁内面から切り込むことができる長さが長くなるので、厚い側壁であっても完全に切断することができ、切り込みが形成された部分よりも上方に位置する部分を側溝から除去することができる。そして、側溝の側壁上端が、切断刃によって切断された凹凸が非常に少ない切断面となるから、切断面をそのまま露出させておくことも可能となる。つまり、側溝の側壁上端を平坦面にする場合には、切断手段によって側壁を切断するだけでよくコンクリートなどによって新たな上端部を形成する必要がないから、作業時間を短縮することができる。
第2発明によれば、切り込み部の深さを深くする再切り込み形成工程を行えば、一つの切断刃による切り込み量を少なくすることができるので、切断刃や切断手段に加わる切断抵抗を小さくすることができ、切断刃等の損傷を防ぐことができる。しかも、切断刃に加わる切断抵抗が少なくなれば、切断刃の振動やびびりも少なくすることができるから、切断面の精度を向上させることができる。
第3発明によれば、切断装置が案内レールに沿って移動するから、切断刃によって切り込み部を正確な高さに形成することができ、正確な高さで側壁を切断することができる。また、案内レールが切断刃よりも下方に位置しており、しかも、案内レールが切り込み部より下方の側壁内面に固定されているから、側壁上端部を完全に切断しても切断された部分の影響によって案内レール等に余分な力が加わったり案内レールが変形したりしないので、安全かつ正確に切断を行うことができる。
第4発明によれば、上端部を除去した側壁の上端面が、凹凸の少ない面となっているから、据付ブロックの底面を平坦にしておけば、据付ブロックが傾いたりすることを防ぐことができるし、据付ブロックを安定した状態で側壁上に配置することができる。また、据付ブロックの形状を変えれば、側溝の側壁上端部を所望の形状の形成することができる。しかも、据付ブロックを載せるだけであるから、作業時間を短くすることができる。
第5発明によれば、突起状部を挿入孔に挿入すれば、据付ブロックを正確な位置に配置することができる。しかも、据付ブロックに対して側溝の側壁上端面と平行な方向の力が加わったときに、その力を突起状部にも支持させることができるから、据付ブロックを備えた側溝の強度を高くすることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の側溝Uの切断方法に使用する切断手段10を、側溝U内に切断手段10を配置した状態の概略説明図であって、(A)は平面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。図2は切り込み形成工程の説明図であって、(A)は切り込み部Uhを形成している状態の平面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図であり、(C)は切り込み形成工程終了後の側溝Uの説明図である。図3は(A)は切断刃配置工程終了時における概略平面図であり、(B)は(A)のB−B線矢視図であり、(C)は切断工程の説明図である。なお、図1〜図3では、道路の歩道P等の側溝Uの周辺に位置するものは省略している。
【0016】
まず、本発明の側溝Uの切断方法を説明する前に、この方法に使用する切断手段10を説明する。
図1において、符号Uは地面等に埋設されている側溝を示している。この側溝Uは、一対の互いに対向する面を有する側壁UWを有し、この側壁UWの上端間に開口部を有するものであり、例えばコンクリートで形成されたU字状ブロックや、土中に型枠を組みその型枠の中にコンクリートを流し込んで固化させて形成されたもの等があるが、特に限定されない。
【0017】
また、符号1は、側溝Uの溝において、側溝Uに沿って配設された案内レールを示している。この案内レール1は、支持部材2によって側溝Uの側壁UWの内面に取り付けられており、図示しない歩道や車道の表面と平行となるように配設されている。この支持部材2は、側壁UW内面だけを利用して案内レール1を支持する固定機構、例えば、パンタグラフ状の固定機構を有するものであり、案内レール1を側溝Uの内底面から浮かせた状態となるように支持している。つまり、支持部材2は、側溝Uの側壁UW上端や内底面を利用せずに、側壁UW内面だけを利用して案内レール1を支持できるように構成されているのである。
このため、案内レール1は、側溝Uの内底面や上端に凹凸があっても、歩道や車道の表面と平行に配設することができるし、側溝Uの内底面や上端に対して傾斜させることも可能である。そして、案内レール1の配置に側溝Uの内底面や上端の影響がないから、案内レール1を溝内において正確な位置に配設することができる。
【0018】
なお、案内レール1は、歩道や車道の表面と平行となるように配設されていなくてもよく、歩道や車道の表面に対して所望の角度となるように配設してもよい。
さらになお、支持部材2はパンタグラフ状の固定機構を有するものに限られず、側溝Uの内底面から案内レール1を浮かせた状態で支持でき、かつ、側溝Uの側壁UW上端や内底面を利用せずに、側壁UW内面だけを利用して案内レール1を支持できるものであればよく、特に限定はない。
さらになお、支持部材2は側溝Uの内底面を利用しても案内レール1を支持するものでもよいが、この場合には、側溝Uの内底面にゴミ等の堆積や破損などによる凹凸が形成されていても、その凹凸の影響を受けないように案内レール1を支持できる機構を支持部材2が有していることが必要である。
【0019】
図1に示すように、前記案内レール1には、この案内レール1に沿って移動可能に切断手段10が取り付けられている。この切断手段10は、案内レール1に沿って移動する移動機構を備えた本体部11と、基端が本体部11に取り付けられ基端を支点としてその先端が揺動可能に設けられた揺動アーム12と、円盤状の切断刃13とから構成されている。揺動アーム12は、切断刃13を案内レール1と平行、つまり、歩道や車道の表面と平行となるように保持し、かつ、切断刃13を歩道や車道の表面と平行に移動させるように構成されている。
なお、案内レール1が歩道や車道の表面に対して所望の角度となるように配設している場合には、揺動アーム12は、案内レール1が歩道や車道の表面に対してなす角度と同じ角度で切断刃13を保持し、かつ、案内レール1が歩道や車道の表面と対してなす角度と同じ角度を維持したまま切断刃13を移動させることができる。
【0020】
また、図1(B)に示すように、揺動アーム12は、切断刃13を案内レール1よりも上方に位置するように保持し、かつ、その基端を支点として揺動しても切断刃13および揺動アーム12が案内レール1と干渉しないように配置されている。
なお、揺動アーム12を揺動させる機構および切断刃13を回転させる機構は本体部11に設けられているが、切断刃13を回転させる機構は揺動アーム12の先端に設けてもよい。そして、揺動アーム12を揺動させる機構および切断刃13を回転させる機構は特に限定されない。
【0021】
つぎに、本発明の側溝Uの切断方法について説明する。
図1に示すように、まず、案内レール1を支持部材2によって側溝U内に固定し、この案内レール1に切断手段10の本体部11を取り付ける。ついで、切断手段10の揺動アーム12の先端に切断刃13Aを取り付ければ、切断作業の準備が終了する。ただし、この切断刃13Aは、側溝Uの溝幅Wより直径Dが小さいものしか取り付けることができない。
【0022】
ついで、切断刃13Aを回転させる。そして、揺動アーム12を一方の側壁UW(図2では下方の側壁UW)に向かって揺動させれば、切断刃13Aが側溝Uの側壁UWに接触し、接触した状態からさらに揺動アーム12を揺動させれば、切断刃13Aによって側壁UWが削られ、側壁UWには切断刃13Aの厚さと同等の切り込み部Uhが形成される。
そして、揺動アーム12を、その先端における切断刃13Aを支持する部分が側壁UWと接触しない程度まで揺動させれば、深さDAがこの切断刃13Aによって切り込むことができる最大の切り込み量Dh(図1参照)と同じ長さとなった切り込みが形成される。
この状態から、切断手段10を案内レール1に沿って移動させれば、側溝Uに沿って切り込みが連続した深さDAの切り込み部Uhを、側溝Uに沿って形成することができる(図2(A))。
【0023】
一方の側壁UW(図2では下方の側壁UW)について切り込み部Uhが案内レール1の長さの分だけ形成されれば、切断手段10の移動を停止させ、切断揺動アーム12を他方の側壁UW(図2では上方の側壁UW)に向かって移動させる。すると、切断刃13Aが側壁UWに接触し、他方の側壁UWにも深さDAの切り込みが形成される。そして、この状態から切断手段10を、一方の側壁UWに切り込み部Uhを形成するときに切断手段10が移動した方向と逆方向に移動させれば、他方の側壁UWにも側溝Uに沿って連続した深さDAの切り込み部Uhが形成される(図2(C))。上記の側溝Uに沿った連続した深さDAの切り込み部Uhを形成する工程が、切り込み形成工程である。
【0024】
両方の側壁UWに切り込み部Uhが形成されれば、切断刃13Aを揺動アーム12から取り外す。
その後、両側壁UWにおける切り込み部Uhの上方の部分B(図2(C)参照)を、一部分だけ除去して、開口領域OAを形成する(開口領域形成工程)。このとき、部分Bを除去する量、つまり、開口領域OAの面積は、切断刃13Aよりも直径Dが大きい切断刃13Bが、切り込み部Uhの高さに配置し得る程度に除去する(図3(A)、(B))。
両側壁UWにおける部分Bを除去する方法は、部分Bの上部に衝撃を加えて破砕する方法と切断刃によって側壁UW上面と切り込み部Uhを連通する切断溝を形成して部分Bを切り離す方法などがあるが、特に限定はない。なお、部分Bを破砕する場合でも、切り込み部Uhが形成されていることによって、切り込み部Uhと側壁UW上面との間に簡単に亀裂が入るし、開口領域OAを形成できる程度に上部Bを除去するだけであるから、部分Bを除去する作業は短時間かつ簡単に行うことができる。
【0025】
開口領域OAが形成されると、この開口領域OAから切断刃13Aより直径Dが大きい切断刃13Bを入れて、この切断刃13Bを揺動アーム12の先端に取り付ける(図3(A):切断刃配置工程)。
切断刃13Bを取り付けると、切断刃13Bを回転させる。そして、切断刃13Bは切り込むことができる最大切り込み量Dhが切断13Aよりも長いので、揺動アーム12を揺動させれば、側壁UWにおいて切断刃13Aでは切り込みを入れることができなかった部分にも切り込みを入れることができる。そして、切断刃13Bの最大切り込み量Dhが側壁UWの厚さよりも長ければ、側壁UWを完全に切断することができる。
この状態から案内レール1に沿って切断手段10を移動させれば、一方の側壁UWを側溝Uに沿って完全に切断することができる。
一方の側壁UWが案内レール1の長さの分だけ切断されれば、切断手段10の移動を停止させ、切断揺動アーム12を他方の側壁UWに向かって移動させる。すると、切断刃13Bが他方の側壁UWに形成されている切り込み部Uhに浸入し、切断刃13Bによって、側壁UWにおいて切断刃13Aでは切り込みを入れることができなかった部分にも切り込みを入れることができ、切断刃13Bの最大切り込み量が側壁UWの厚さよりも長ければ、完全に切断することができる。そして、この状態から切断手段10を逆方向に移動させれば、他方の側壁UWも完全に切断することができる(図4(A)参照)。
この最大切り込み量Dhが、切断刃13Aより長くかつ側壁UWの厚さよりも長い切断刃13Bによって側壁UWを切断する工程が、切断工程である。
【0026】
以上のごとく、側溝Uの切断方法によれば、側溝Uの溝幅Wより直径Dが小さい切断刃13Aによって側溝Uの側壁UWに切り込み部Uhを形成し、側壁UWにおける切り込み部Uhの上方部分Bを除去して開口領域OAを形成するから、側溝Uの溝幅Wよりも直径が大きい切断刃13Bでも切り込み部Uhが形成されている高さに配置することができる。このため、最大切り込み量Dhが側壁UWの厚さよりも長い切断刃13Bによって側壁UWに切り込みを形成することができる、言い換えれば、切断刃13Bによって側壁UW内面から切り込むことができる長さが長くなる。よって、側溝Uの溝幅W程度の直径Dを有する切断刃13Aによって完全に切断することが困難な厚い側壁UWであっても、切断刃13Bによって完全に切断することができる。
なお、上記の例では、側溝Uの両側壁UWを切断する場合を説明したが、側溝Uの片方の側壁UWだけを切断することもできるし、揺動アーム12の揺動量を調整して切断刃13の切り込み量を調整すれば、一方の側壁UWは完全に切断し、他方の側壁UWは所定の切り込みを入れるだけとすることも可能である。すると、完全に切断しない他方の側壁UWには、側溝Uの側壁UWよりも厚さが薄い壁を残しておくことができる(図5(B)参照)
【0027】
また、案内レール1に沿って、つまり、側溝Uに沿って切断手段10を移動させれば、切断刃13Bによって案内レール1の長さの分だけ側壁UWを連続して切断することができる。このため、案内レール1を歩道や車道の表面と平行となるように配設しておけば、切断刃13は歩道や車道の表面と平行なまま側壁UWを切断するから、切断刃13によって切断された切断面CSを歩道や車道の表面と平行に形成することができる。そして、案内レール1は溝内において正確な位置に配設することができるから、案内レール1に沿って切断装置10を移動させて切断刃13により、切り込み部Uh形成、および切断を行うので、切り込み部Uhを正確な高さに形成することができ、正確な高さで側壁UWを切断することができる。
また、案内レール1は、側壁UWの内面だけに固定されている、つまり、支持部材2によって歩道等の表面や側壁UW上端とは無関係に固定されているから、歩道や車道の表面に対して所望の角度で案内レール1を配設することができる。よって、案内レール1を、歩道や車道の表面に対して所望の角度となるように配設すれば、切断され除去される側溝Uの側壁UWの上端面が歩道や車道の表面に対してなす角度と異なる角度を有する切断面CSであっても形成することができる。しかも、側溝U内に案内レール1や切断装置10が配置されているため、側溝Uの近傍に電柱や私有地に設置されている壁等の構造物が存在していても、これら構造物の影響を受けることなく切断作業を行えるし、切断作業によって構造物を損傷することがないので、好適である。
なお、側溝Uは曲がっている場合もあるが、その場合でも、切断刃13と側壁UW内面の相対的な位置が変化するだけ、言い換えれば、切断刃13の切り込み量が変化するだけである。よって、側溝Uは曲がっている場合であっても、その曲がりによる切り込み量の変化を考慮して真っ直ぐな部分における切断刃13の切り込み量を調整しておけば、切断手段10を案内レール1に沿って移動させたときに、切断手段10の揺動アーム12等が接触したりすることを防ぐことができる。
【0028】
さらに、切断刃13Bが側溝Uの側壁UW上端部を完全に切断してしまうと、切断された部分はその自重によって下方に移動しようとする。つまり、側溝Uの側壁UW上端部は、切断刃13Bの厚さの分だけ上方に位置しているが、自重によって切断面CSに向かって移動しようとする。しかし、本発明では、案内レール1は支持部材2によって切り込み部Uhより下方の側壁UW内面に固定されているから、側壁UW上端部が自重によって下方に移動しても、その影響によって案内レール1や支持部材2、切断手段10の各部材等に余分な力が加わったり、案内レール1が変形したりしないので、安全かつ正確に切断を行うことができる。
【0029】
また、切り込みを形成する切断刃13Aと完全切断を行う切断刃13Bだけで側溝Uの側壁UWを完全に切断してしまってもよいが、開口領域形成工程終了後、側溝Uの溝幅Wよりも直径Dが大きいが、側壁UWを完全に切断できる切り込み量Dhをとることができない切断刃13を使用して、切り込み部Uhの深さを深くするための再切り込み形成工程を行ってもよい。
すると、一つの切断刃13による切り込み量を少なくすることができるので、切断刃13や切断手段10に加わる切断抵抗を小さくすることができ、切断刃13等の損傷を防ぐことができる。しかも、切断刃13に加わる切断抵抗が少なくなれば、切断刃の振動やびびりも少なくすることができるから、切断面CSの精度を向上させることができる。そして、再切り込み工程の終了後、開口領域形成工程、切断刃配置工程を行い、切断工程を行えば、側壁UWを完全に切断することができる。
【0030】
なお、再切り込み工程は1回に限られず、複数回行ってもよい。側壁UWを完全に切断するためには大きな切断刃13を使用する必要があるが、切断抵抗が大きくなると直径の小さな切断刃13に比べて湾曲しやすく、湾曲すると切り込み部Uhの内面に接触して内面との間の摩擦抵抗が発生し切断抵抗が大きくなり切断効率が悪くなる。しかし、再切り込み工程を複数回行い、切断刃13を直径の小さな切断刃13から直径の大きな切断刃13に変更して、切り込み部Uhの深さが徐々に深くなるように作業を進めれば、一つの切断刃13による切り込み量をそれほど大きくする必要がないから、各切断刃13に加わる切断抵抗を少なくすることができ、作業効率の低下も防ぐことができる。そして、各切断刃13に加わる切断抵抗を少なくなることから、切断刃13の振動やびびりも少なくすることができ、切断面CSの精度を向上させることができる。
ここで、再切り込み工程を行った後には、開口領域形成工程、切断刃配置工程をその都度行わなければならないため、再切り込み工程の回数、言い換えれば、使用する切断刃13の枚数が多くなれば、作業工数、作業時間は長くなる可能性がある。しかし、再切り込み工程を行う回数と、使用する切断刃およびその切り込み量を適切に選択すれば、作業効率を向上させることができ、作業時間を短縮することができる。
なお、再切り込み工程を行った切断刃によって切断作業を行えば、より確実に作業時間を短縮することができる。例えば、溝幅W300mm、側壁UWの厚さ150mmの側溝Uにおいて、側壁UWの上端部を2mにわたって切断する場合、直径が290mmの切断刃13Aにより切り込み量100mmの切り込み形成工程を行った後、直径が390mmの切断刃13Bにより切断工程を行って、両側壁UWの上部を切断する場合には、作業時間は28分程度必要である。これに対し、直径が290mmの切断刃13Aにより切り込み量50mmの切り込み形成工程を行った後、直径が390mmの切断刃13Bにより切り込み量50mmの再切り込み形成工程を行ってから、直径が390mmの切断刃13Bにより残り50mmの切断工程を行った場合には、作業時間を85%程度(約24分程度)に短縮することができる。
【0031】
つぎに、側溝Uの改修方法について説明する。
上記のごとき切断方法によって側溝Uを切断すれば、側溝Uの上部を除去して側溝Uの高さを低くでき、しかも、切断後の側壁UWの上端面(以下、切断面CSという)の凹凸が少なくなるので、切断面CSをそのまま側溝Uの上端面として使用することも可能である。すると、従来のように側溝Uの側壁UWの上端面を平坦面にするための特別な作業、例えば、型枠を組んでコンクリートを流し込み新たな上端部を形成する等の作業を行う必要がないから、作業時間を短縮することができる。
しかし、側溝Uによっては、上端に蓋を取り付ける必要がある場合等のように、上端部を所定の形状にしなければならない場合がある。かかる場合においても、以下のような改修方法を採用すれば、短時間で改修作業を行うことができる。
【0032】
まず、本発明の側溝Uの改修方法に使用する据え付けブロック20を説明する。
図4は側溝Uの改修方法の説明図であって、(A)は上端部除去工程の説明図であり、(B)はブロック据付工程の説明図であり、(C)は据付ブロックBが取り付けられた側溝Uの説明図である。同図において、符号20は、側溝Uの上端に据え付けるための据付ブロックを示している。この据え付けブロック20は、一対の壁面ブロック21,21と、この一対の壁面ブロック21,21の上端間に配置された蓋ブロック22とから構成されており、各ブロックは、改修を行う側溝Uとは別に、コンクリートや鋼材等によってそれぞれ別々に形成されたブロックである。つまり、各ブロックを組み合わせて据え付けブロック20が形成されているのである。
なお、各ブロックは、組み合わせた状態で完全に固定されていてもよいが、アンカーボルト等の各ブロック同士を着脱可能に固定する部材によって固定されていてもよい。
【0033】
前記一対の壁面ブロック21,21は、その壁の厚さが側溝Uの壁厚と同じ厚さになるように形成された板状のブロックであり、図4では紙面と垂直な方向に沿って延びている。この一対の壁面ブロック21,21は、据え付けブロック20となった状態では、両者の互いに対向する面間の距離が、側溝Uの溝幅Wと同じ長さとなるように組み合わされている。
この一対の壁面ブロック21,21には、その上端と対向する内面とによって形成される角が除去されて、蓋受け21hが形成されている。この一対の壁面ブロック21,21の蓋受け21hは、蓋ブロック22を載せて支持しておくためのものであり、据え付けブロック20となった状態では、一対の壁面ブロック21,21の蓋受け21hの上に蓋ブロック22の両側端が載せられるのである。なお、蓋ブロック22は、単なる板状のブロックであり、従来から使用されている蓋ブロックと実質同様のものである。
また、一対の壁面ブロック21,21の下端には、突起状部21aが形成されている。この突起状部21aは、壁面ブロック21の長手方向に沿って、つまり、図4では紙面と垂直な方向に沿って所定の間隔をあけて複数の箇所設けられている。この突起状部21aは、例えば、一対の壁面ブロック21,21の鉄筋の一部を下方に突出させたり、壁面ブロック21を形成するときにコンクリートによって形成したり、また、形成された壁面ブロック21の下端にアンカーボルト等を取り付けて形成されたもの等であるが、その形成方法は特に限定されない。
なお、突起状部21aは、所定の間隔をあけて複数箇所設けてもよいが、壁面ブロック21の長手方向に沿って連続した形状としてもよく、特に限定されない。
【0034】
つぎに、上記のごとき据え付けブロック20を使用して側溝Uを改修する方法について説明する。
図4(A)に示すように、上述した側溝Uの切断方法によって側壁UWの上端部を切断した後、切断された側壁UW上部を取り除くと、切断面CSが側壁UW上端に露出する。なお、上述した側溝Uの切断方法と、切断された側壁UW上部を取り除く作業が上端部除去工程である。
【0035】
ついで、切断面CSに、突起状部21aが挿入される挿入孔Usを形成する。この挿入孔Usは、後述するように突起状部21aが挿入孔Usに挿入されるように壁面ブロック21を側溝Uの側壁UW上に載せると、側溝Uの側壁UW内面と、一対の壁面ブロック21,21の互いに対向する面が同一面上に位置するように形成する(挿入孔形成工程、図4(B))。
【0036】
ついで、露出した切断面CSに、エポキシ樹脂や無収縮モルタル等の接着剤adを塗布し(接着剤塗布工程、図4(B))、接着剤adが塗布された切断面CS上に、据え付けブロック20を突起状部21aが挿入孔Usに挿入されるように載せる(ブロック据付工程)。
そして、接着剤adが固化すれば、据え付けブロック20の壁面ブロック21と側溝Uの側壁UWとが結合されるから、改修前の側溝Uを、上部に蓋ブロック22を備えた側溝Uに改修することができる(図4(C))。
【0037】
以上のごとくであるから、本発明の側溝の改修方法によれば、側溝Uの上端部を除去して据付ブロック20を載せるだけで側溝Uの上端部を改修することができるので、型枠を組んでコンクリートを流し込み新たな上端部を形成する等の作業を行う必要がなく、作業時間を短縮することができる。
しかも、据付ブロック20の各部材の形状を変えれば、改修された側溝Uの側壁UW上端部を所望の形状に形成することができるし、側溝Uの回収作業の現場で型枠を形成しないから、各部材の型枠の自由度が高くなる。言い換えれば、形成される据付ブロック20の形状の自由度が非常に高くなるので、所望の形状の据付ブロック20を容易かつ安価に形成することができる。
なお、据え付けブロック20の形状および据え付けブロック20を構成する部材の数、その組み合わせ方は特に限定されない。例えば、側溝Uを完全に蓋してしまう場合などであれば、据え付けブロック20は単なる板状のブロックだけとしてもよい(図5(A))。
【0038】
また、据え付けブロック20を突起状部21aが挿入孔Usに挿入されるように載せれば、突起状部21aによって据え付けブロック20の位置決めができるので、据付ブロック20を正確な位置に配置することができる。しかも、据付ブロック20に対して側溝Uの側壁UW上端面と平行な方向の力が加わったときに、その力を突起状部21aにも支持させることができるから、据付ブロック20を備えた側溝Uの強度を高くすることができる。
なお、突起状部21aは、据付ブロック20が小型、軽量で位置決めが容易な場合や、接着剤adの強度が高い場合等には特に設けなくてもよい。
【0039】
なお、上端部除去工程において側溝Uの上端部を除去する方法は、上述した側溝Uの切断方法に限られず、従来から行われているように、側溝Uの上端部をハツリ作業だけで除去したり、上述した切り込み形成工程を行った後ハツリ作業を行って側溝Uの上端部を除去してもよく、どのような方法を用いてもよいが、上述した側溝Uの切断方法を採用すれば切断面CSが凹凸の少ない面となる。すると、側壁UW上端面の凹凸などによって壁面ブロック21が傾いたり、がたついたりすることを防ぐことができる。とくに、壁面ブロック21の下端面を、その側面、言い換えれば、一対の壁面ブロック21,21の互いに対向する面と直交する平坦な面に形成しておけば、据付ブロック20を切断面CS上に載せたときに、据付ブロック20が傾くことを防ぐことができ、据付ブロック20をより確実に安定した状態で側溝Uの側壁UW上に配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の側溝の切断方法は、道路をバリアフリー化するときに側溝を切断する場合や、店舗の前の工事など工事期間の短縮が求められる場合などに採用することができる。
また、本発明の側溝の切断方法は、側溝の上端部の形状を改修する場合や、古くなった側溝の破損部を修繕する場合などに採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の側溝Uの切断方法に使用する切断手段10を、側溝U内に切断手段10を配置した状態の概略説明図であって、(A)は平面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】切り込み形成工程の説明図であって、(A)は切り込みを形成している状態の平面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図であり、(C)は切り込み形成工程終了後の側溝Uの説明図である。
【図3】(A)は切断刃配置工程終了時における概略平面図であり、(B)は(A)のB−B線矢視図であり、(C)は切断工程の説明図である。
【図4】側溝Uの改修方法の説明図であって、(A)は上端部除去工程の説明図であり、(B)はブロック据付工程の説明図であり、(C)は据付ブロックBが取り付けられた側溝Uの説明図である。
【図5】改修された側溝Uの他の例を示した図である。
【図6】(A)は従来の歩道Pを有する道路の説明図であり、(B)はバリアフリー化された道路の説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 案内レール
10 切断手段
13 切断刃
20 据付ブロック
21a 突起状部
U 側溝
UW 側壁
Uh 切り込み部
Us 挿入孔
CS 切断面
OA 開口領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に埋設された上部に開口部を有する側溝を、該側溝に沿って移動可能に設けられた、円盤状の切断刃を有する切断手段によって切断する側溝の改修方法であって、
前記切断手段の切断刃を前記側溝内に配置したのち、前記切断手段を側溝に沿って移動させながら、該切断手段の切断刃よって前記側溝の側壁内面に、該側溝に沿って切り込み部を形成する切り込み形成工程と、
前記側溝の側壁において、前記切り込み部の上方に位置する部分を、前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃を前記切り込み部の形成されている高さに配置しうる程度に除去して開口領域を形成する開口領域形成工程と、
前記開口領域から前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃をいれて、前記切り込み部の形成されている高さに配置する切断刃配置工程と、
前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃により、前記側溝の側壁を切断する切断工程とを順に行う
ことを特徴とする側溝の切断方法。
【請求項2】
前記開口領域形成工程終了後、前記切断工程を行う前に、前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃により前記切り込み部の深さを深くする再切り込み形成工程を行い、
該再切り込み工程の終了後、前記開口領域形成工程、前記切断刃配置工程、前記切断工程を、この順番で行う
ことを特徴とする請求項1記載の側溝の切断方法。
【請求項3】
前記切断手段が、前記切り込み部が形成される位置よりも下方に配置された案内レールに、該案内レールに沿って移動可能に取り付けられており、
該案内レールが、前記側溝の側壁内面における前記切り込み部より下方に位置する部分に固定されている
ことを特徴とする請求項1記載の側溝の改修方法。
【請求項4】
道路に埋設された上部に開口部を有する側溝において、その上端部を改修する側溝の改修方法であって、
前記側溝の側壁における上端部を除去する、上端部除去工程と、
上端部が除去された前記側溝の側壁における上端面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
接着剤が塗布された前記側溝の側壁における上端面上に据付ブロックを配置するブロック据付工程とを順に行う
ことを特徴とする側溝の改修方法。
【請求項5】
前記据付ブロックが、その下端に突起状部を備えており、
前記接着剤塗布工程を行う前に、前記側溝の側壁における上端面に、前記据付ブロックの突起状部が挿入される挿入孔を形成する挿入孔形成工程を行う
ことを特徴とする請求項4記載の側溝の改修方法。
【請求項6】
前記上端部除去工程において、請求項1、2または3記載の方法によって上端部が除去される
ことを特徴とする請求項4記載の側溝の改修方法。
【請求項7】
道路に埋設された上部に開口部を有する側溝において、その上端部の改修に使用されるブロックであって、
前記側溝の側壁における上端部を除去した後、上端部が除去された該側溝の側壁における上端面上に配置されるものである
ことを特徴とする側溝改修用ブロック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に埋設された上部に開口部を有する側溝を、該側溝に沿って移動可能に設けられた、円盤状の切断刃を有する切断手段によって切断する側溝の改修方法であって、
前記切断手段の切断刃を前記側溝内に配置したのち、前記切断手段を側溝に沿って移動させながら、該切断手段の切断刃よって前記側溝の側壁内面に、該側溝に沿って切り込み部を形成する切り込み形成工程と、
前記側溝の側壁において、前記切り込み部の上方に位置する部分を、前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃を前記切り込み部の形成されている高さに配置しうる程度に除去して開口領域を形成する開口領域形成工程と、
前記開口領域から前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃をいれて、前記切り込み部の形成されている高さに配置する切断刃配置工程と、
前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃により、前記側溝の側壁を切断する切断工程とを順に行う
ことを特徴とする側溝の切断方法。
【請求項2】
前記開口領域形成工程終了後、前記切断工程を行う前に、前記側溝の溝幅よりも直径が大きい切断刃により前記切り込み部の深さを深くする再切り込み形成工程を行い、
該再切り込み工程の終了後、前記開口領域形成工程、前記切断刃配置工程、前記切断工程を、この順番で行う
ことを特徴とする請求項1記載の側溝の切断方法。
【請求項3】
前記切断手段が、前記切り込み部が形成される位置よりも下方に配置された案内レールに、該案内レールに沿って移動可能に取り付けられており、
該案内レールが、前記側溝の側壁内面における前記切り込み部より下方に位置する部分に固定されている
ことを特徴とする請求項1記載の側溝の改修方法。
【請求項4】
道路に埋設された上部に開口部を有する側溝において、その上端部を改修する側溝の改修方法であって、
前記側溝の側壁における上端部を、請求項1、2または3記載の方法によって除去する、上端部除去工程と、
上端部が除去された前記側溝の側壁における上端面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
接着剤が塗布された前記側溝の側壁における上端面上に据付ブロックを配置するブロック据付工程とを順に行う
ことを特徴とする側溝の改修方法。
【請求項5】
前記据付ブロックが、その下端に突起状部を備えており、
前記接着剤塗布工程を行う前に、前記側溝の側壁における上端面に、前記据付ブロックの突起状部が挿入される挿入孔を形成する挿入孔形成工程を行う
ことを特徴とする請求項4記載の側溝の改修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−214104(P2006−214104A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25695(P2005−25695)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【特許番号】特許第3784820号(P3784820)
【特許公報発行日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000107251)ジェーピーイー株式会社 (18)
【出願人】(502220403)株式会社スカイ・アーク (6)
【出願人】(000230836)日本興業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】