説明

像担持体駆動装置及び画像形成装置

【課題】 駆動部品の組付けや角度調整が容易で色ズレ及び濃度ムラを抑制することのできる像担持体駆動装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置1の本体フレーム2に対して、感光体駆動ユニット10を着脱可能に構成する。感光体駆動ユニット10は、2枚の側板間に感光体を駆動するための感光体駆動ギヤなどの感光体駆動列を配設したものである。本例では、現像装置を駆動するための現像駆動列もユニット10内に配設してある。感光体駆動ユニット10はユニットの状態で感光体駆動列における位置精度や角度精度あるいは位相合せなどの調整がなされているので、本体組み付け後の調整が不要となる。また、ユニット内のスペースを有効に利用して現像駆動列を配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置における像担持体の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置においてはフルカラー化及びプリント速度の向上が要求されている。そのため、作像ユニットを複数個並設し、各作像ユニットで形成した画像を記録媒体又は中間転写体上に重ね転写してカラー画像を得る方式のものが各種提案・実現されている。
【0003】
このような方式のカラー画像形成装置では、各色作像ユニットの像担持体(感光体)に回転ムラが発生すると、色ズレや濃度ムラが発生して画像品質が低下してしまう。感光体の回転ムラを低減するためには、駆動軸の直角度や駆動軸同士の位置精度及び平行度を厳しく管理する必要がある。
【0004】
また、従来のカラー画像形成装置では、各感光体の駆動軸に同じ駆動ギヤを配置してギヤ列を構成しており、それらのギヤの回転角度を調整して各感光体における回転ムラの位相を合わせて色ズレを低減することが行なわれている。また、
上記特許文献1及び2には、各色作像ユニットの感光体の回転位相を制御して色ズレを防止するようにしたカラー画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置における像担持体の駆動装置は、装置本体のフレームに駆動軸や駆動ギヤを組みつけた構成であり、本体フレームへの取付部や駆動軸及びギヤを保持する部材の寸法精度を厳しく設定する必要があり、組み付けた後に異常が見つかった場合には、駆動軸及びギヤ等を保持する部材を交換したり、調整機構を追加しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の像担持体駆動装置及び画像形成装置における上述の問題を解決し、駆動部品の組付けや角度調整が容易で色ズレ及び濃度ムラを抑制することのできる像担持体駆動装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、本発明により、複数の像担持体を有する画像形成装置の本体に着脱可能に構成された像担持体駆動装置であって、駆動源からの駆動力を前記複数の像担持体に伝達する駆動列を備える像担持体駆動装置において、画像形成装置の本体内に配置された現像装置を駆動するための現像駆動列を当該像担持体駆動装置内に配備したことにより解決される。
【0008】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記駆動列のうち、単数の像担持体に駆動力を伝達する駆動列が他の像担持体に駆動力を伝達する駆動列とは独立して構成されていることを提案する。
【0009】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記現像駆動列のうち、前記単数の像担持体に対する現像装置に駆動力を伝達する駆動列が他の像担持体に対する現像装置に駆動力を伝達する駆動列とは独立して構成されていることを提案する。
【0010】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記単数の像担持体に対する現像装置の現像駆動列中に、駆動力の伝達及び遮断が可能な駆動力伝達遮断装置を設けることを提案する。
【0011】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記駆動力伝達遮断装置が、当該像担持体駆動装置のフレームを分解せずに着脱可能に構成されていることを提案する。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜4のいずれか1項に記載の像担持体駆動装置を供える画像形成装置により解決される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の像担持体駆動装置及び画像形成装置によれば、像担持体駆動装置を画像形成装置本体に組み付けた後でギヤ列等の位置・角度調整などを行なう必要がないため、本体組み付け後に調整を行う手間が省け、また、像担持体駆動装置としての高精度を保持することができる。したがって、各色像担持体における色ズレ及び濃度ムラを抑制することができ、高品質な画像を得ることができる。
【0013】
また、像担持体駆動装置内のスペースを有効に利用して現像駆動列を配備することにより、画像形成装置の小型化に寄与することができる。また、像担持体駆動列と同様に、本体組み付け後での現像駆動列の調整を省くことができ、精度が要求される感光体と現像装置の関係において、各駆動列の寸法・位置精度を維持することができる。したがって、現像品質の向上と維持を図ることができる。
【0014】
請求項2の構成により、使用頻度の高い色の像担持体を他の像担持体とは独立して駆動することが可能となり、他の像担持体及びその駆動列における部品寿命の延長及び省エネルギーに寄与することができる。
【0015】
請求項3の構成により、その像担持体に対する現像装置の駆動列を独立させることにより、他の現像装置及びその駆動列における部品及び現像剤寿命の延長と省エネルギーを図ることができる。
【0016】
請求項4の構成により、使用頻度の高い現像駆動列中に駆動力伝達遮断装置を設けたので、必要時にのみ当該現像装置を駆動することができ、その現像装置及び駆動列における部品及び現像剤寿命の延長と省エネルギーを図ることができる。
【0017】
請求項5の構成により、像担持体駆動装置のフレームを分解せずに駆動力伝達遮断装置を着脱することができるので、像担持体駆動装置における精度に影響を与えることなく、駆動力伝達遮断装置のメンテナンスや交換を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る像担持体駆動装置の一例を装着した画像形成装置の作像部付近を示す部分斜視図である。
【図2】感光体駆動ユニットの平面図である。
【図3】その感光体駆動ユニットに組み込まれる駆動部品を示す正面図である。
【図4】その感光体駆動ユニットに装着された現像クラッチを示す斜視図である。
【図5】感光体駆動ユニットから現像クラッチを取り外した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る像担持体駆動装置の一例を装着した画像形成装置の作像部付近を示す部分斜視図である。この図において、画像形成装置1の本体フレーム2に、感光体駆動ユニット10(破線で囲んだ部分)が組み付けられている。この感光体駆動ユニット10は、本体フレーム2に対して着脱可能に構成されたものである。
【0020】
図2は、その感光体駆動ユニット10の平面図である。
この図に示すように、感光体駆動ユニット10は、2枚の側板11,12間に後述する感光体駆動ギヤや現像ローラギヤ等を組み込んだ構成となっており、大きく分けて、感光体駆動エリア:Aと現像駆動エリア:Bの2層構造になっている。また、一方側の側板11には感光体駆動用モータ13,14が装着されている。本例では、第1モータ13はイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)色用の3つの感光体を駆動するためのモータであり、第2モータ14はブラック(BK)感光体専用のモータとしている。ブラック感光体を専用のモータ14で駆動する理由は、モノクロプリント時にメリットがあるためである。なお、感光体駆動ユニット10は、図1から判るように、モータ13,14が装着されている方の側板11が装置の外側になり、他方の側板12が装置内側となるように装置本体に組み付けられる。
【0021】
図3は、感光体駆動ユニット10に組み込まれる駆動部品を示す正面図で、図2の下側、すなわち側板12側から見た状態を示している。
この図に示すように、感光体駆動ユニット10内には大径の感光体駆動ギヤ15y,c,m,bkが並んで配置されている。図2に示す第1モータ13の回転軸には図示しないモータギヤが装着されており、そのモータギヤが感光体駆動ギヤ15cと15mとに噛み合わされている。また、感光体駆動ギヤ15cと15yとに噛みあう感光体駆動アイドラギヤ16が設けられている。これにより、シアンとマゼンタの感光体駆動ギヤ15c,15mは第1モータ13により直接駆動され、イエローの感光体駆動ギヤ15yは感光体駆動ギヤ15cからアイドラギヤ16を介して駆動される。そして、図2の第2モータ14の回転軸に装着された図示しないモータギヤがブラック用の感光体駆動ギヤ15bkに噛みあわされ、感光体駆動ギヤ15bkは第2モータ14から直接駆動される。各感光体駆動ギヤ15y,c,m,bkは、感光体駆動ユニット10を画像形成装置1の本体に組み付けたときに図示しないカップリング手段によりそれぞれイエロー,シアン,マゼンタ及びブラック色用の各感光体ドラム(図示せず)の軸に連結され、各色感光体を駆動する。
【0022】
現像駆動エリア:Bに属する駆動部品としては、現像ローラギヤ17(y,c,m,bk)、アイドルギヤ列18〜20、タイミングギヤ21(y,c)、タイミングベルト22及び伝達ギヤ23等があり、これらが感光体駆動ユニット10に組み込まれている。また、クラッチギヤ24及び伝達ギヤ25も感光体駆動ユニット10に搭載されている。現像駆動モータ30及びその駆動軸に装着された現像モータギヤ31は画像形成装置の本体側に配設されたものである。
【0023】
ブラック(BK)色用の現像駆動列は他の3色の現像駆動列とは独立しており、第2モータ14のモータギヤに噛みあわされる伝達ギヤ25から現像クラッチ(図ではクラッチギヤ24)及びアイドルギヤ列20bk,19b,18bkを経て最終の現像ローラギヤ17bkに駆動力が伝達される。
【0024】
イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M)の現像駆動列は、感光体駆動ユニット10を本体装置に組み付けたときに現像駆動モータ30のモータギヤ31に噛み合わされる伝達ギヤ23から、マゼンタ色においてはアイドルギヤ列18〜20を経て最終の現像ローラギヤ17mに駆動力が伝達される。シアン色においては伝達ギヤ23からタイミングギヤ21c及びアイドルギヤ列18,19を経て最終の現像ローラギヤ17cに駆動力が伝達される。またイエロー色においては、伝達ギヤ23からタイミングギヤ21c,21yとタイミングベルト22及びアイドルギヤ列18,19を経て最終の現像ローラギヤ17yに駆動力が伝達される。タイミングギヤ21c,21yは同軸上にタイミングベルト22が掛け渡されるタイミングプーリが設けられており、これによりタイミングギヤ21cから21yに駆動力が伝達される。
【0025】
各色用の現像ローラギヤ17(y,c,m,bk)は、感光体駆動ユニット10を画像形成装置1の本体に組み付けたときに、本体内に備えられた図示しない伝達ギヤに噛み合うように構成されており、その伝達ギヤを介して現像装置を駆動する。
【0026】
上記のように構成された感光体駆動ユニット10においては、感光体駆動ユニットの状態で各感光体駆動ギヤ15の平行度や直角度、あるいは位相合わせ等の調整がなされた状態でユニットとして完成されている。したがって、この感光体駆動ユニット10を画像形成装置本体に組み付けた後ではそれらの調整は不要であるため、従来の感光体駆動装置のように本体組み付け後に調整を行う手間が省け、また、感光体駆動装置としての精度を高いレベルで保持することができる。したがって、各色感光体における色ズレ及び濃度ムラを抑制することができ、高品質な画像を得ることができる。なお、感光体駆動ユニット内における各種調整を行うための構成及び方法は、公知のものを適宜採用しえるため、ここでは説明を省略する。
【0027】
また、画像形成装置本体に着脱可能な感光体駆動装置においては、ユニット内に感光体駆動部品が使用しないデッドスペースが多少なりとも存在するものである。そこで、本発明においては、上述のように感光体駆動ユニット10内のスペースを有効に活用して、現像装置を駆動するための駆動列をユニット内に配設している。これにより、従来、画像形成装置の本体においてスペースを占めていた現像駆動列を感光体駆動ユニットのデッドスペースに配置することができ、画像形成装置の小型化に寄与することができる。また、感光体駆動列と同様に、駆動ユニットを装置本体に取り付けた後での現像駆動列の調整は不要であり、精度が要求される感光体と現像装置の関係において、各駆動列の寸法精度を高いレベルで容易に維持することができる。したがって、現像品質の向上と維持を図ることができる。
【0028】
ところで、本例の感光体駆動ユニット10においては、上述したようにブラック(BK)色用の現像駆動列は他の3色の現像駆動列とは独立しており、その現像駆動列中に現像クラッチを配している。図4には、感光体駆動ユニット10に装着された現像クラッチ26を示してある。この現像クラッチ26は、図5に示すように、軸受27及びクラッチカバー28を取り外すことにより、ユニット10から取り外せるように構成されている。
【0029】
使用頻度の高いブラック色において、現像駆動列中にクラッチを配したことにより、必要時にのみ現像装置を駆動することができ、現像剤の寿命や現像装置を構成する部品の寿命を延ばすことができる。また、電力を効率良く使用することも可能である。
【0030】
そして、感光体駆動ユニット10を分解したり、側板11あるいは12を外すことなく現像クラッチ26をユニット10から取り外せるので、感光体駆動ユニット10の完成時に設定された各色感光体駆動ギヤの位相関係や軸の平行度・直角度などに影響を与えずに現像クラッチを交換することができる。
【0031】
なお、本例の感光体駆動ユニット10が装着された画像形成装置1は、電子写真方式を採用した4連タンデム型のカラー画像形成装置であり、その基本的構成と画像形成動作については従来周知なものと同様であるので、説明を省略する。
【0032】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。感光体駆動列及び現像装置駆動列の構成は適宜変更しえるものである。また、4連タンデムに限らず、3色あるいは他の色数の感光体駆動装置にも本発明を適用可能である。また、画像形成装置としてはプリンタ、複写機、ファクシミリあるいはそれらの機能を兼ねる複合機であっても構わない。
【符号の説明】
【0033】
1 画像形成装置
10 感光体駆動ユニット
11,12 側板
13,14 感光体駆動用モータ
15 感光体駆動ギヤ
16 感光体駆動アイドラギヤ
22 タイミングベルト
26 現像クラッチ
27 軸受
28 クラッチカバー
30 現像駆動モータ
A 感光体駆動エリア
B 現像駆動エリア
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開2000−330450号公報
【特許文献2】特公平7−31446号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体を有する画像形成装置の本体に着脱可能に構成された像担持体駆動装置であって、駆動源からの駆動力を前記複数の像担持体に伝達する駆動列を備える像担持体駆動装置において、
画像形成装置の本体内に配置された現像装置を駆動するための現像駆動列を当該像担持体駆動装置内に配備したことを特徴とする像担持体駆動装置。
【請求項2】
前記駆動列のうち、単数の像担持体に駆動力を伝達する駆動列が他の像担持体に駆動力を伝達する駆動列とは独立して構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の像担持体駆動装置。
【請求項3】
前記現像駆動列のうち、前記単数の像担持体に対する現像装置に駆動力を伝達する駆動列が他の像担持体に対する現像装置に駆動力を伝達する駆動列とは独立して構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の像担持体駆動装置。
【請求項4】
前記単数の像担持体に対する現像装置の現像駆動列中に、駆動力の伝達及び遮断が可能な駆動力伝達遮断装置を設けたことを特徴とする、請求項3に記載の像担持体駆動装置。
【請求項5】
前記駆動力伝達遮断装置が、当該像担持体駆動装置のフレームを分解せずに着脱可能に構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の像担持体駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の像担持体駆動装置を供えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−97233(P2010−97233A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22051(P2010−22051)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【分割の表示】特願2003−430188(P2003−430188)の分割
【原出願日】平成15年12月25日(2003.12.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】