説明

充填マシンのためのバルブユニット

【課題】本発明は、特にガラスのボトルのフィラーのための容器充填マシン用のバルブユニットに関する。
【解決手段】より詳細には、本発明は、特に容器の充填マシン(8)用のバルブユニット(1)に関する。このバルブユニットは、中空の本体(2)を有し、この中空の本体中に、プラグ(3)が摺動可能に挿入されている。このプラグ(3)は、中空であり、外側のダクト(23)と、この外側のダクト(23)に同軸の内側のダクト(24)とを有している。内側のダクト(24)の開口部よりも小さな直径を有するプローブが、内側のダクト(24)内にこれと同軸的に挿入されている。このバルブユニットは、内側のダクト(24)が電気絶縁材料で形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルの充填マシンのためのバルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
容器を充填するために、線形動若しくは回転形式の設備を使用することが知られている。この設備には、プラグにより閉成されるノズルが装備された複数の適切なタップ、若しくは、充填バルブが設けられている。このプラグは、制御された方法でバルブを開閉可能にするために、プラグの軸線に沿って移動可能なステムで構成されている。充填動作の間に、容器の開口部は、バルブのガスケットにシール形式で当接され、従って、バルブガスケットとの閉成環境を形成する。
【0003】
ガラスのボトルを充填するとき、充填バルブは、ボトル内に収容された空気を開放する可能性を与え、この空気を無菌の空気と交換することができる。炭酸飲料において、特に、この処理は、過度の泡立ちを回避するために、所定の圧力を受けた空気若しくは他の無菌のガスで実施される必要がある。充填動作の完了を容易にするように、ボトルから出なければならないガスのために開放ダクトが設けられることが、さらに不可欠である。
【0004】
これを達成するために、前記プラグは、ボトル内に真空を形成して充填動作の間に無菌のガスを導入するため、並びに、このガス用の通路を形成するために、中空であり、同軸の供給ダクトを有している。
【0005】
さらに、最も内側のダクトに対する中心位置に、適切なプローブが一般に位置されている。このプローブは、容器中に延び、充填レベルを読み取り、そして、現在のレベルが達成されたときに飲料の吐出を停止させる。このプローブは、プローブの読み取りを無効にする短絡を生じさせる周囲のダクトの金属壁との接触が生じるのを回避するように、プラスチック若しくはセラミック材料のような絶縁材料でコーティングされている。
【0006】
このタイプのバルブに生じる第1の問題は、上述された結果、プローブのコーティングが、摩擦によりダメージを受け、かくして、金属ダクトと接触するプローブの部分を露出させることである。
【0007】
さらに、長く薄いステムで構成されたプローブは、中心付けデバイスを必要としている。絶縁材料で形成されたリングにより与えられるこの中心付けデバイスは、内側のダクトの開口部に必然的に位置され、かくして、ボトルからの溢れ若しくは過度の泡立ちを受けやすい。この理由のために、中心付けデバイスは、しばしばダメージを受ける。さらに、中心付けデバイスが端部位置に配設されている場合、この中心付けデバイスは、ボトルのネック部内に挿入されることになり、この結果、ガスの流れを制限してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かくして、本発明は、上述された問題に取り組み、添付の請求項に記載されているような充填バルブにより、このような問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的である充填マシンのためのバルブユニットの更なる特徴並びに効果は、以下の図を参照して非限定的な実例として以下に与えられている好ましい実施形態の説明からより良く理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図において、全体が1で示されている本発明のバルブユニットは、中空の本体2を有し、この本体中には、プラグ3が、摺動可能に挿入されている。
【0011】
前記中空の本体2は、図示されていないブラケット若しくは他の接続部材のような適切な取着手段により、充填マシンのフレームワークに固定される。
【0012】
前記中空の本体2には、容器8の充填流体用の入口アパチャ5と出口アパチャ6とが形成されている。この入口アパチャ5は、充填流体を供給するためのダクト7に接続されている。中空の本体2の下面に形成された出口アパチャ6には、前記プラグ3にアライメントされた吐出ノズル4が設けられている。充填流体用の通路9が、前記中空の本体2内に規定される。
【0013】
前記吐出ノズル4は、これの内面に、ショルダー部10を形成した厚みのある部分を有している。このショルダー部10は、下方へとテーパ付けられた上部11と、上方へとテーパ付けられた下部12とを有している。この上部は、プラグ3用の当接面をなしている。下部には、ゴム若しくは他のソフトな材料で形成されたガスケット13が配設されている。また、この下部12は、容器8のネック部用の当接面をなしている。
【0014】
前記容器8は、この容器を前記ネック部に保持させるプレート(図示されず)並びに/若しくは適切なグリッパー14により一般に支持され、容器全体は、線形動若しくは回転のタイプの適切な移動手段上に位置される。この移動手段は、全く通常のものなので図示されていない。
【0015】
前記プラグ3は、ステム15とヘッド部16とを有している。このステム15は、前記中空の本体2の上壁を貫通し、本体に形成された適切なホール内に摺動可能に挿入されている。このホールの面は、充填流体が漏れるのを防止するためのシールガスケット17を有している。このホールは、また、前記プラグ3用のガイド手段として機能する。
【0016】
前記ヘッド部16は、下方に面したショルダー部18を有している。このショルダー部18と中空の本体2の外面との間で、コイルばねのような弾性手段19が、プラグ3のステム15に対して同軸の位置に、配設されている。この弾性手段は、静止状態では、プラグを後退位置に保持するように動作する(バルブは開成している)。
【0017】
前記ヘッド部16は、これの上部にプランジャー20を有し、このプランジャーは、前記中空の本体2の構造と一体的なチャンバ21内を摺動可能である。このチャンバ内には、プラグを空気圧形式で駆動させるための加圧流体が、加圧手段(図示されず)に接続されたアパチャ22を通って導入される。
【0018】
前記プランジャー20には、O−リングのようなシールガスケット35が設けられている。
【0019】
前記プラグ3のステム15は、中空であり、外側のダクト23と、この外側のダクトに対して同軸に配設された内側のダクト24とを有している。
【0020】
前記外側のダクト23は、これの下部に、厚みのある縁部25を有している。この縁部は、下方へとテーパ付けられた面を有し、O−リングのようなガスケット26を有している。このガスケット26は、バルブユニット1が閉成状態にあるときに、前記吐出ノズル4のショルダー部10に関係した当接をなすように意図されている。
【0021】
前記内側のダクト24は、容器が吐出ノズル4に当接しているときに、容器8のネック部内に挿入されるように、前記外側のダクト23よりも下方に突出している。また、内側のダクトは、これの下端部のところで外面に偏向手段27を有している。この偏向手段27は、吐出時に、充填流体を容器8の壁部に沿って分配するのを可能にし、従って、容器のスムーズな充填を容易にする機能を有している。
【0022】
プローブ28が、前記内側のダクト24と同軸的に設けられている。このプローブは、導電性の材料で形成された長く細いステムで構成され、電気絶縁材料でコーティングされていないことが好ましい。このプローブ28は、また内側のダクト24よりもさらに突出し、容器の充填レベルとして選択されたポイントへと容器内に突出している。このプローブ28は、他端部で、プラグ3のヘッド部16に固定され、例えば適切な配線29若しくはワイヤレスシステムにより、制御並びに指令ユニット(図示されず)に動作的に接続されている。この制御並びに指令ユニットは、プローブ28からの信号を検出するために設けられ、開成/閉成の指令をプラグ3の駆動式の空気圧手段に送る。
【0023】
本発明によるバルブユニットの基本的な特徴は、内側のダクト24が、電気絶縁材料、特に、テフロン(登録商標)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、若しくは、PVDF(ポリふっ化ビニリデン)のようなプラスチック材料料で形成されていることである。
【0024】
前記内側のダクト24は、前記プローブ28用の中心付け手段30を有している。電気絶縁材料で形成されたこの中心付け手段30は、この手段が、ボトルからの溢れ若しくは過度の泡立ちの際にダメージを受けるのを防止するように、内側のダクト24の下端部よりも後退した位置に配設されている。好ましくは、前記中心付け手段30は、例えば射出モールド成形により、内側のダクト24の一体成形品として形成されている。内側のダクト24が、モールド成形によって中心付け手段30の一体成形品として与えられることにより、中心付け手段は、所定の位置に配設されることが可能である。これは、中心付け手段が、知られたバルブにより必要とされたときに、後で、ダクト24内に適用されなければならない場合に、非常に困難であろう。この場合、実際、絶縁材料で形成された中心付けリングは、不都合にも、上記の結果、内側のダクトの端部に位置される。
【0025】
前記プローブ28の直径は、第1の環状通路31が、プローブと内側のダクト24の面との間に形成されるように、内側のダクト24の開口部よりも小さい。この第1の環状通路は、充填動作の間に、ボトル内に収容された空気のための開放チャネルとして一般に使用される。
【0026】
第2の環状の通路32が、容器8に真空状態をもたらすために、前記内側のダクト24と外側のダクト23との間に形成されている。
【0027】
前記第1の環状通路31と第2の環状通路32とは、適切な収集器(図示されず)により、空気用の通気口と、(例えば真空ポンプのような)真空用の手段とにそれぞれ通じている関連のチャネル33とチャネル34とにそれぞれ流通している。真空状態を与えるためのチャネル34は、また、適切なバルブ手段により、前記真空手段ではなく無菌の空気源を選択することにより、無菌の空気、可能であれば加圧された無菌の空気を簡単に導入するように機能することもできる。このような特徴は、全く通常のものであるので、より詳細に説明されない。
【0028】
図をさらに参照して、本発明によるバルブユニットの動作が、以下に説明される。
【0029】
図1において、バルブユニット1は、吐出状態で示され、容器8は、バルブユニット1の吐出ノズル4にすでに当接された状態で位置されている。動作の前の工程により、容器8が容器の移動手段によって位置され、容器8内に本来存在した空気が、第2の環状通路32を通って開放され、加圧されることが可能な無菌の空気が、同じ環状の通路32を通って導入される。
【0030】
充填の際に、偏向手段27は、充填流体を容器の壁部に沿って分配し、かくして、乱流は最小にされ、開放される不活性ガスが通る第1の環状通路31への自由なアクセスは残される。この不活性ガスは、容器を充填可能にするために、図面の矢印により示されているように容器8から出なければならない。
【0031】
この充填は、プローブ28の先端部が充填流体に接触するまで続けられる。この工程で、プローブは、プランジャー20の駆動式の空気圧手段を作動させる制御並びに指令ユニットに信号を送る。このプランジャー20は、下方への短い移動を果たし、かくして、プラグ3がバルブ手段1のアパチャ6の閉成位置にもたらされるまで、弾性手段19に負荷をかける。
【0032】
本発明の目的であるバルブユニットの効果は、上述されたことから容易に理解されるだろう。
【0033】
第1に、内側のダクト24は、従来技術のような金属ではなく絶縁材料(プラスチック)で形成されているので、プローブ28の絶縁コーティングに対するダメージからもたらされる可能性のある短絡に関係した問題が十分に除去されるというかなりの効果が、達成される。本発明において、プローブ28は、絶縁材料でコーティングされる必要がない。
【0034】
本発明に使用された解決策の他の重要な効果は、内側のダクト24がプラスチック材料料の射出モールド成形により形成されているので、中心付け手段が、最も望ましい効果的な位置、即ちダクト24の下端部に対して後退した位置に、一体成形品として獲得され得ることである。従って、中心付けデバイスに対するダメージが回避されるだけではなく、後退された配設が、(例えば、不活性ガスの改善された流入/流出を可能にするために)必要とされたときに、明らかに固定された容器のネック部のサイズに影響することなく、このポイントで内側のダクト24の開口部を変更することが可能である。
【0035】
本発明のバルブユニットは、さらに、使用される部品の数が少ないため(内側のダクトと中心付け手段とが一体成形されている)、また、安価な材料が使用されているため(内側のダクト24はプラスチックで形成されている)、製造が安価である。
【0036】
本発明の目的であるバルブユニットの特定の実施形態のみが説明されているが、当業者は、添付の請求項に規定されているような本発明の保護の範囲から逸脱することなく、特定の適用例に適合するいずれか並びに全ての変形例を形成し得ることは理解されるだろう。
【0037】
再び、プラグ3の持ち上げは、弾性手段19の抵抗に抗して果たされることができ、かくして、バルブユニットが、開成状態ではなく、一例として上述されたような閉成状態にある当接位置を規定する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】動作状態にある本発明のバルブユニットの側方の断面の概略図である。
【符号の説明】
【0039】
1・・・バルブユニット、2・・・中空の本体、3・・・プラグ、8・・・容器、23・・・外側のダクト、24・・・内側のダクト、28・・・プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の本体(2)を具備し、この本体中に、プラグ(3)が摺動可能に挿入され、このプラグ(3)は、中空であり、外側のダクト(23)と、この外側のダクト(23)に同軸的な内側のダクト(24)とを有し、この内側のダクト(24)の開口部よりも小さな直径を有したプローブ(28)が、前記内側のダクト(24)内にこれと同軸的に挿入されている、特に容器(8)の充填マシンのためのバルブユニット(1)において、
前記内側のダクト(24)は、電気絶縁材料で形成されていることを特徴とするバルブユニット。
【請求項2】
前記内側のダクト(24)は、プラスチック材料で形成されている請求項1のバルブユニット。
【請求項3】
前記プラスチック材料は、テフロン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、若しくは、PVDF(ポリふっ化ビニリデン)から選択されている請求項2のバルブユニット。
【請求項4】
前記内側のダクト(24)は、前記プローブ(28)用の中心付け手段(30)を有している請求項1ないし3のいずれか1のバルブユニット。
【請求項5】
前記中心付け手段(30)は、前記内側のダクト(24)の一体成形品として形成されている請求項4のバルブユニット。
【請求項6】
前記内側のダクト(24)は、射出モールド成形により形成されている請求項2ないし5のいずれか1のバルブユニット。
【請求項7】
前記内側のダクト(24)は、動作状態において前記容器(8)中に位置されるように、前記外側のダクト(23)より下方に突出している請求項1ないし6のいずれか1のバルブユニット。
【請求項8】
前記プローブ(28)は、動作工程の間に、前記容器(8)のために選択された充填レベルに対応したポイントへと、前記内側のダクト(24)より下方に突出している請求項1ないし7のいずれか1のバルブユニット。
【請求項9】
前記プラグ(3)は、空気を開放するための第1の環状通路(31)と、真空状態を生じさせるための、並びに/若しくは、加圧されることが可能な無菌の空気を前記容器(8)内に導入するための第2の環状の通路(32)とを有している請求項1ないし8のいずれか1のバルブユニット。
【請求項10】
前記プラグ(3)は、空気圧手段により駆動される請求項1ないし9のいずれか1のバルブユニット。
【請求項11】
このバルブユニット(1)を閉成するための前記プラグ(3)の移動は、前記プラグ(3)のヘッド部(16)と前記中空の本体(2)の面との間に配設された弾性手段(19)の抵抗に抗して果たされる請求項10のバルブユニット。
【請求項12】
前記プラグ(3)の外側のダクト(23)は、これの下端部に縁部(25)を有し、この縁部(25)は、ガスケット(26)を備え、かつ下方へとテーパ付けられた面を有している請求項1ないし11のいずれか1のバルブユニット。
【請求項13】
前記中空の本体(2)は、これの下部に、吐出ノズル(4)を有し、この吐出ノズルは、これの内面に配設されたショルダー部(10)を有し、このショルダー部(10)は、下方へとテーパ付けられた上部(11)と、上方へとテーパ付けられた下部(12)とを有し、前記上部は、前記プラグ(3)用の当接面をなし、前記下部には、ガスケット(13)が配設され、また、この下部は、前記容器(8)のネック部用の当接面をなしている請求項1ないし12のいずれか1のバルブユニット。
【請求項14】
前記内側のダクト(24)は、これの下端部で、外面に、充填流体用の偏向手段(27)を有している請求項1ないし13のいずれか1のバルブユニット。
【請求項15】
前記プローブ(28)は、このプローブからの信号を検出して、前記プラグ(3)を動作させる指令並びに制御ユニットに動作的に接続されている請求項1ないし14のいずれか1のバルブユニット。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1のバルブユニットを具備している充填マシン。

【図1】
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【公開番号】特開2007−314249(P2007−314249A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−137866(P2007−137866)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(506272345)シデル ホールディングス アンド テクノロジー エス. エー. (12)
【氏名又は名称原語表記】SIDEL HOLDINGS & TECHNOLOGY S.A.
【住所又は居所原語表記】Avenue General Guisan, 70, Pully CH−1009, Switzerland
【Fターム(参考)】