光エレメント、当該光エレメントを含むリソグラフィ装置、デバイス製造方法、およびそれによって製造されたデバイス
光エレメントは、第1材料を含み、第1波長の放射を実質的に反射し、かつ第2波長の放射を実質的に透過させるように構成された第1層(4)を含む。当該光エレメントは、第2材料を含み、第2波長の放射を実質的に吸収する、または透過させるように構成された第2層(2)を含む。当該光エレメントは、第1層と第2層との間で第3材料を含み、第2波長の放射を実質的に透過させ、かつ第1層に対向する第2層の上面からの第2波長の放射の反射を低減させるように構成された第3層を含む。第1波長の放射のスペクトル純度を向上させるために、第1層は、第2層に対して入射光路の上流に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、光エレメント、当該光エレメントを含むリソグラフィ装置、デバイス製造方法、およびそれによって製造されたデバイスに関する。より詳細には、光エレメントを、レーザプラズマ(LPP)極端紫外線(EUV)源用の反射かすめ入射スペクトル純度フィルタとして使用することができる。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] LPP源を使用する場合、レーザ放射それ自体は、プラズマでの散乱および反射によってEUVリソグラフィツール中に放出される望ましくない大量の放射を表す。通常、約10.6μmの波長を有するCO2レーザが使用される。EUVリソグラフィシステムの光学系は、10.6μmにおいて高い反射率を有するため、レーザ放射は、かなり大きいパワーでリソグラフィツール中に伝搬する。このパワーの一部は、最終的にウェーハによって吸収され、ウェーハの望ましくない加熱を引き起こすことになる。
【0004】
[0004] 米国特許第7、196、343B2号に、深紫外(DUV)放射を選択的に通すための反射かすめ入射スペクトル純度フィルタ(SPF)が開示されている。このSPFは、1偏光のDUV放射のための反射防止(AR)コーティングが施された2つの垂直ミラーを含む。図5に示すような2つの垂直反射を使用することにより、基板中での吸収によって(ほとんど非偏光の)DUV放射が効果的に抑制される。さらに、ARコーティングは、EUVに対する反射率が高く、従ってEUV放射がほとんど反射されることを特徴とする。
【0005】
[0005] 10.6μmに対するARコーティングは、通常、EUVに対して非常に低い反射率を有する、そして従来のミラー基板は、10.6μmの放射を吸収するのではなく反射する、という主として2つの理由により、このスペクトル純度フィルタは、LPP源中の10.6μmの放射の抑制に適していない。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本発明の実施形態は、第1材料を含む第1層であって、第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を実質的に透過させる、または吸収するように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収するように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含み、EUV放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントを提供することによってスペクトル純度を向上させることができる。
【0007】
[0007] 本発明の一態様に従い、第1材料を含む第1層であって、第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収するように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含み、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントが提供される。
【0008】
[0008] 本発明の一態様に従い、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、第2方向に前記第2波長の前記放射を実質的に反射するように構成され、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含み、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントが提供される。
【0009】
[0009] 本発明の一態様に従い、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に散乱させるように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含み、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントが提供される。
【0010】
[0010] 本発明の一態様に従い、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、前記放射ビームにパターン形成するように構成されたパターニングデバイスと、基板を保持するように構成されたサポートと、前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影するように構成された投影システムと、を含むリソグラフィ装置であって、前記照明システムおよび/または前記投影システムは、第1材料を含む第1層であって、第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収するように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントを含む、リソグラフィ装置が提供される。
【0011】
[0011] 本発明の一態様に従い、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、前記放射ビームにパターン形成するように構成されたパターニングデバイスと、基板を保持するように構成されたサポートと、前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影するように構成された投影システムと、を含むリソグラフィ装置であって、前記照明システムおよび/または前記投影システムは、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、第2方向に前記第2波長の前記放射を実質的に反射するように構成され、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントを含む、リソグラフィ装置が提供される。
【0012】
[0012] 本発明の一態様に従い、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、前記放射ビームにパターン形成するように構成されたパターニングデバイスと、基板を保持するように構成されたサポートと、前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影するように構成された投影システムと、を含むリソグラフィ装置であって、前記照明システムおよび/または前記投影システムは、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に散乱させるように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントを含む、リソグラフィ装置が提供される。
【0013】
[0013] 本発明の一態様に従い、放射ビームにパターン形成してパターン形成された放射ビームを形成することと、前記パターン形成された放射ビームを基板上に投影することと、第1材料を含む第1層であって、第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収するように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む少なくとも1つの光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、少なくとも1つの光エレメントに対して前記放射ビームを反射することと、を含む、デバイス製造方法が提供される。
【0014】
[0014] 本発明の一態様に従い、放射ビームにパターン形成してパターン形成された放射ビームを形成することと、前記パターン形成された放射ビームを基板上に投影することと、第1材料を含む第1層であって、第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収するように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む少なくとも1つの光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、少なくとも1つの光エレメントに対して前記放射ビームを反射することと、を含む、デバイス製造方法が提供される。
【0015】
[0015] 本発明の一態様に従い、放射ビームにパターン形成してパターン形成された放射ビームを形成することと、前記パターン形成された放射ビームを基板上に投影することと、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、第2方向に前記第2波長の前記放射を実質的に反射するように構成され、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む少なくとも1つの光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、少なくとも1つの光エレメントに対して前記放射ビームを反射することと、を含む、デバイス製造方法が提供される。
【0016】
[0016] 本発明の一態様に従い、放射ビームにパターン形成してパターン形成された放射ビームを形成することと、前記パターン形成された放射ビームを基板上に投影することと、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に散乱させるように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む少なくとも1つの光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、少なくとも1つの光エレメントに対して前記放射ビームを反射することと、を含む、デバイス製造方法が提供される。
【0017】
[0017] 例えば、本発明の実施形態において、第1波長の放射はEUV放射とすることができ、第2波長の放射はCO2またはイットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)レーザ放射とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
[0018] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0019】
【図1】[0019] 図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を示す。
【図2】[0020] 図2は、図1のリソグラフィ装置の光エレメントの一実施形態を示す。
【図3】[0021] 図3は、本発明に係る光デバイスの一実施形態を示す。
【図4】[0022] 図4は、p偏光(RP)およびs偏光(RS)についての波長13.5nmの放射に対する図2の光エレメントの反射率を示す。
【図5】[0023] 図5は、p偏光(RP)およびs偏光(RS)についての波長10.6μmの放射に対する図2の光エレメントの反射率を示す。
【図6】[0024] 層厚さの関数としての、入射角5°での図2の光エレメントのEUV反射率を示す。
【図7】[0025] 図7は、入射角5°での図2の光エレメントのp偏光のDUV反射率を示す。
【図8】[0026] 図8は、DUVレジームでの図3の光デバイスの全反射率を示す。
【図9】[0027] 図9は、非ゼロミラー厚さによるエタンデュ増加を示す。
【図10(a)】[0028] 図10(a)は、光エレメントの実施形態の概略断面図を示す。
【図10(b)】[0028] 図10(b)は、光エレメントの実施形態の概略断面図を示す。
【図10(c)】[0028] 図10(c)は、光エレメントの実施形態の概略断面図を示す。
【図11】[0029] 図11は、p偏光(RP)およびs偏光(RS)についての波長10.6μmでの3°テーパーの光エレメントの反射率を示す。
【図12】[0030] 図12は、入射角10°の光エレメントのテーパー実施形態の半角(semi-angle)の関数としての、点源の仮想源サイズおよび仮想立体角を示す。
【図13】[0031] 図13は、曲面ミラーを有する実施形態の3次元インプレッションを示す。
【図14】[0032] 図14は、入射角2°および入射角10°に最適化された多層光エレメント、ならびに局所入射角に最適化されたグレーデッド(graded)多層光エレメントの反射曲線を示す。
【図15】[0033] 図15は、入射角および第2Ge層の関数としての、ダイヤモンドライクカーボン/Ge/ThF4/Ge/a−SiO2多層光エレメントの10.6μmでの反射率RPを示す。
【図16】[0034] 図16は、図1のリソグラフィ装置の光エレメントの一実施形態を示す。
【図17(a)】[0035] 図17(a)は、本発明に係る光エレメントの一実施形態を示す。
【図17(b)】[0035] 図17(b)は、本発明に係る光エレメントの一実施形態を示す。
【図18】[0036] 図18は、本発明に係る光エレメントの一実施形態を示す。
【図19(a)】[0037] 図19(a)は、ダイヤモンド成長の一例を示す。
【図19(b)】[0037] 図19(b)は、ダイヤモンド成長の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0038] 図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、紫外線、DUV放射、EUV放射、またはEUV放射より短い波長を有する放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されているサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結されている基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0021】
[0039] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0022】
[0040] サポート構造は、パターニングデバイスを支持する、すなわちパターニングデバイスの重量を支える。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、所望の通りに固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0023】
[0041] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応することになる。
【0024】
[0042] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0025】
[0043] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0026】
[0044] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0027】
[0045] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。浸漬技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0028】
[0046] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、所望の場合、ビームデリバリシステムとともに放射システムと呼んでもよい。
【0029】
[0047] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータおよびコンデンサといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0030】
[0048] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0031】
[0049] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0032】
[0050] 1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0033】
[0051] 2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0034】
[0052] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、所望の通りに更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0035】
[0053] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0036】
[0054] 図2において、光エレメント1の一実施形態を示す。図示の実施形態において、光エレメント1は、第1層4、第2層2、および第3層3を含む。図2の実施形態において、第1層4は、第2層2および第3層3に対して、入射光路内の上流に配置され、第3層3は、第2層2に対して、入射光路内の上流に配置される。一実施形態において、第1層4は、第3層3の上部(例えば、上面上)に配置され、第3層3は、第2層2の上部(例えば、上面上)に配置される。
【0037】
[0055] 一つには金属は一般に、非常に薄く塗布された場合でも10.6μmの放射を反射するものであるという理由で、第1層4は、ダイヤモンドライクカーボンまたはTiO2、もしくはそれらの混合物などの適切な非金属を含み得る。この実施形態において、第1層4は、EUV反射キャッピング層である。加えて、第1層4は、よく深紫外線(DUV)放射と称される波長範囲である約100nmから約300nmの波長の放射を少なくとも部分的に透過させるので、それによりDUV放射に対するいわゆる反射防止(AR)コーティングとして機能する。一実施形態において、第1層4は、DUV放射を実質的に透過させる。第1層4は、EUVに対する適切な反射率を有する。第1層は、約1nmから約50nm、約1nmから約20nm、約20nm、または約10nmの範囲の厚さを有し得る。
【0038】
[0056] 第3層3は、いわゆる反射防止コーティングであってよく、また10.6μmの波長の放射を透過性させるように調整されてよい。第3層3の目的は、第2層2からの10.6μmの放射の反射をさらに低減させることである。最適なパラメータは、第2層2の材料と、反射率が低減されるべきかすめ角の範囲とによって決まる。第3層3は、ZnSe、ZnS、GaAs、およびGeなどの1つ以上の物質、ならびに/もしくは、ThF4およびYF3などの低屈折率ハロゲン化合物を含み得る。
【0039】
[0057] 第2層2は、10.6μmの波長を有する放射の高吸収係数を有する材料の層である。第2層2は、Al2O3またはTiO2などのセラミックス、もしくは融解石英またはSiO2などのガラスといった材料を含み得る。その材料は、10.6μmの波長を有する放射に対して低い固有かすめ入射反射率(intrinsic grazing-incidence reflectivity)を有し得る。例えば、TiO2は、Al2O3よりかなり低い反射率を有する。第2層2の厚さは、10.6μmの波長を有する放射の実質的にすべてがその層に吸収されるように選択され、その結果、層の底部側の反射率が低減または解消される。第2層2の厚さは、約0.01mmと約1mmとの間、例えば、約0.05mmであり得る。
【0040】
[0058] 第3層3は、10.6μmの波長を透過させるように構成され得る。また、第1層4(EUVキャッピング層)は、DUV放射に対する反射防止コーティングの厚みを有し得る。従って、光エレメントは、2種の放射の抑制、すなわち10.6μmの波長を有する放射およびDUV放射の抑制を組み合わせる。つまり、光エレメントに入射する10.6μmの波長を有する放射は第1層4および第3層3の中を伝播し、第2層2によって吸収され、またDUV放射は、DUV放射に対する反射防止コーティングとして機能する第1層4によって抑制され得る。
【0041】
[0059] 図2の実施形態において、全反射率の一般値は、EUV放射について85.1%、DUV放射について10〜40%、そして10.6μmの波長を有する放射について10.7%である。
【0042】
[0060] 光エレメント1は基板5上に設けられ得る。図5の実施形態の場合がその例である。第2層2は相当量の熱(一般に約100W/cm2)を吸収し得る。従って、光エレメント1は高い熱伝導率を有する基板5、例えばCu上に配置され、基板5から熱を効率的に運び出すことができる。加えて、冷却をさらに向上させる目的で冷却手段(例えば、水冷却)を利用してよい。
【0043】
[0061] 図3においては一実施形態が示され、2つのミラー7が互いに交差する方向に配置される。これらのミラー7はともに、両側が図2に示す光エレメントを含むように両面を有している。図3の一実施形態は、ソースSOが放出する放射がコレクタによって集束される焦点である、いわゆる中間焦点(intermediate focus)に、適切に配置され得る。図3に示す光デバイスを中間焦点に配置することの潜在的な利点は、少なくとも十分に薄いミラー7について、この実施形態が放射源の結像に及ぼす影響が非常に制限されることである。また、入射角は小さく、高いEUV反射率をもたらす。
【0044】
[0062] 中間焦点での入射の一般的な入射角は、光軸に対して約2°から約9°であり得る。このことはARコーティングの設計に関連し、ARコーティングは特定の角度範囲内で最適化される。光軸からの最小入射角は約2°であり得るが、ミラーに対する最小入射角は約0°とすることができる。従って、ミラーは約0°から約9°の範囲に対して最適化され得る。
【0045】
[0063] この角度範囲に対する光エレメント1の一実施形態は、以下の通りに構成され得る。すなわち、厚さ20nmのダイヤモンドライクカーボンによって形成される第1層4と、厚さ420nmのGeによって形成される中間層と、厚さ5100nmのThF4によって形成される第3層3と、厚さ500nmのGeによって形成されるさらなる中間層と、厚さ50μmのa−SiO2によって形成される第2層2とである。
【0046】
[0064] ダイヤモンドライクカーボン層はGeなどの炭化物形成材料にしっかりと付着し、L.Tao、S.Ramachandran、C.T.Nelson、T.H.Lee、L.J.Overzet、M.J.Goeckner、M.j.Kim、G.S.LeeおよびW.Huによる「Nanofabrication of Diamond−like Carbon Templates for Nanoimprint Lithography」、Mater.Res.Soc.Symp.Proc.、Diamond Electronics−Fundamentals to Applications(2007)、243に示すように高いEUV反射率のために望ましいサブナノメータ粗さを有するように形成することができる。
【0047】
[0065] 図4は、13.5nmでのp偏光(RP)およびs偏光(RS)に対する光エレメントの一実施形態の反射率の一例を示す。この波長において、反射率は、第1層4としてのダイヤモンドライクカーボンによってのみ決定される。偏光の影響は非常に小さく、反射率は角度範囲全体に対して>80%である。
【0048】
[0066] しかし、10.6μmにおいて、図5に示すようにp偏光(RP)とs偏光(RS)との間で反射率に大きな差がある。ARコーティングの目的は、p偏光放射を抑制することである。そして、s偏光放射は他のミラーによって抑制され、そのために再びp偏光される(図3)。この例について、ARコーティングの反射防止特性は、p偏光反射率が0.5%(RP<0.5%)未満であって角度4.5°において最適である。角度範囲の上限に向かって、p偏光反射率は約10%まで増加し得る。また、ゼロ入射角において100%に近づく。
【0049】
[0067] 任意の入射角での図3の光デバイスの2つのミラー7の合成反射率は、[RP(θ)Rs(φ)+Rs(θ)RP(φ)]/2によって与えられ、ここでθは第1ミラーに対する入射角であり、φは第2ミラーに対する入射角である。
【0050】
[0068] 光デバイスの全反射率を得るために、角度(θ、φ)の適切な範囲に対する積分を式(1)によって計算する。
【数1】
【0051】
[0069] 式(1)において、放射強度分布が積分範囲に対して一定であることを前提とする。強度分布は一般にコレクタ配置によって決まる。典型的な楕円コレクタについては、強度は光軸に向かってわずかに増加するが、このことが反射率に対して若干の効果しか及ぼさないことを計算は示す。これらの境界条件のもとでは、全反射率の一般値は13.5nmで85.1%であり、10.6μmで10.7%である。すなわち、全スペクトル純度は8倍に増加する。
【0052】
[0070] 上記の通り、EUV反射キャッピング層(第1層)4の厚さは、DUV放射の反射が制限されるように選択される。図6に示す通り、厚さは、高いEUV反射率を維持するために約10nmまたはそれ以上であり得る。図7は、DUVレジームにおけるp偏光の反射率を示し、この反射率はダイヤモンドライクカーボン層の厚さ、一般に12〜36nm(120〜360A)によって決まる。説明値(legend values)は、オングストローム(A)でのダイヤモンドライクカーボン層の厚さを示す。ダイヤモンドライクカーボン層の厚さが20nmである図2の実施形態については、図8から分かるように、式(1)によって計算された光デバイスの全DUV反射率は10%と40%との間である。図8のグラフが作られる層は、厚さ20nmを有するダイヤモンドライクカーボン層である。
【0053】
[0071] 光エレメント1の全厚さの値は、ソースイメージのひずみを最小化するために、可能な限り低くあるべきである。図9において、点源IFが式(2)によって与えられるサイズsに拡張(stretched)される。
【数2】
【0054】
[0072] 例えば、全厚さd=200μm(100μmCu冷却基板+両側の2x50μmの多層)の典型的な実施形態において、仮想源サイズs=173μmである。これは実際のEUVピンチサイズと比較して小さいため、厚さ200μmの光エレメントの実施形態は、エタンデュの著しい増加をもたらすと見込まれない。
【0055】
[0073] 図2の実施形態において、一部の放射は小角度、特に垂直ミラーで反射され、ここでオブスキュレーションによる入射角の下限はない。このような小角度では、10.6μmに対するARコーティングの働きは、図5に示すように比較的悪く、このことは、全スペクトル純度の観点から非常に不均一なIR遠視野像(IR far-field pattern)および最適以下の性能につながる。
【0056】
[0074] 一実施形態において、両方のミラーに対する最小入射角は、微小角度で入射する放射を遮ることによって増加する。例えば、光デバイスは、使用中に第1および第2ミラーのそれぞれの最小入射角、θmin=2°およびφmin=2°を備えてよい。これらのパラメータについては、波長10.6μmの放射の全反射率は10.7%から3.52%まで減少し、一方、13.5nmでの全反射率はほとんど影響を受けない(85.1%から83.2%)。従って、図2の実施形態での8倍に対し、スペクトル純度は24倍に増加する。しかし、更なるオブスキュレーションに起因して、スループットは基本的な実施形態の72%まで減少する。これは、EUV放射の一部が遮られることになるからである。
【0057】
[0075]一部の用途については、一定方向のオブスキュレーションは許容されない。例えば、スキャナツールにおいて、オブスキュレーションは、特定方向、すなわちスキャンラインに平行な方向で許容されない。従って、別の実施形態において、ミラーは、互いに実質的に垂直であるが、どちらもスキャンラインに平行でないように、例えば、両方のミラーはスキャンラインから45°傾斜するように回転される。
【0058】
[0076] 一実施形態において、1つまたは両方のミラー7の反射面7’および7”は図10aに示すように平行でなく、図10bに示すように放射源に向かってテーパーを持つ、もしくは図10cに示すように放射源に向かって湾曲する。テーパーミラーまたはウェッジミラーの潜在的な利点は、入射角範囲がより高い値に移動してよく、10.6μmの放射がより抑制可能となることである。例えば、テーパー半角が3°である場合、入射角の範囲は0〜10°から3〜13°に移動する。図12は、入射角10°の光エレメントのテーパー実施形態の半角の関数としての点源の仮想源サイズおよび仮想立体角を示す。
【0059】
[0077] ARコーティングのパラメータは、図10bの光エレメントの入射角範囲に対して再最適化することができる。例えば、多層全体は以下の通りである。
【0060】
[0078] この角度範囲についての光エレメント1の実施形態は、以下の通り構成され得る。厚さ20nmのダイヤモンドライクカーボンから形成される第1層4と、厚さ715nmのGeから形成される中間層と、厚さ1400nmのThF4から形成される第3層3と、厚さ50nmのa−SiO2から形成される第2層2とである。
【0061】
[0079] 図11は、10.6μmでのこのミラーの反射率を示している。p偏光放射の反射率は、基本的な実施形態と比較してかなり低く、すべての入射角に対してRP<13%である。本発明に係る光エレメントの一部の実施形態、すなわち2つのテーパーミラーからなるデバイスについては、全反射率は、10.6μmに対して5.66%、13.5nmに対して74.6%となり得る。従って、スペクトル純度は、図2の実施形態での8倍との比較において13倍に増加し得る。ここで、2つのテーパーミラーに関して2つの反射がもはや正確に垂直でないという事実は無視されている。例えば、ウェッジ半角3°については、2つの面の間の角度は90°ではなく89.84°であるので、この影響は、実際は非常に小さくなると想定される。
【0062】
[0080] ウェッジミラーの実施形態は、平面ミラーを有する図2の実施形態とは異なる方法でソースイメージを変化させる。ウェッジ半角αおよび厚さdについては、点源は式(3)によって与えられる仮想源サイズに拡張される。
【数3】
式(3)はα=0°については式(2)となる。また、テーパリングは中間焦点に対して光路の下流に放射が放出される立体角に影響を及ぼす。立体角Ωは、2π(1−cosθmax)から2π[1cos(θmax+2α)]まで増加する。図11は、αという関数としての両方の効果を示す。α=3°の典型的な実施形態については、エタンデュ(〜Ωs2)は推定で2.4倍に増加し、これは、エタンデュ要件および放射源の当初のエタンデュに応じて許容され得る。
【0063】
[0081] 一実施形態において、光エレメント、例えばミラーは、図10cに示す通り湾曲される。ミラー面の少なくとも一部の曲率は、放射源SOによって放出され、かつコレクタCOによって中間焦点上に集束される放射に関して、中間焦点が光エレメントに対する所定位置に位置決めされ、放射が入射する場所にかかわらず入射角が同一であり、ならびにエタンデュが最も影響を受けないようであり得る。このことは、ミラーの有限厚に起因して光軸からの放射角度がミラー上の位置によって変化するという理由で起こり得る。例えば、ミラーは、全放射が4.5°のかすめ入射で反射されるように形成することができる。この場合、反射された放射は光軸から5°以内で放出される。すなわち、立体角は減少する。また、仮想源サイズは、ミラーの正確な形状によって変化することになる。これによってエタンデュの最終的な増加が決定することになる。
【0064】
[0082] 4.5°の反射角において、図2の実施形態のARコーティングは、10.6μmの放射を最大で抑制する(図5を参照)。従って、全反射率は、10.6μmで0.05%まで低くなり、13.5nmで84.3%まで高くなる。放射が反射される角度を減少させることによって、全EUV反射率をさらにもっと増加させることができる(2°に対して92.8%まで)。なお、この例は点源の理想的な場合について挙げられるものである。有限の放射源サイズでは、一般に、ミラー表面の各点の入射角の非ゼロ範囲が存在する。従って、ARコーティングは単一の角度ではなく角度範囲に対して最適化され得るので、10.6μm放射の全反射率は、実際にはより高くなり得る。
【0065】
[0083] 一実施形態において、コーティングのパラメータは、ミラー上の横位置の関数として変化する。各位置のコーティングは、p偏光の10.6μm放射の反射率が当該位置に対応する入射角に対して最小になるようなパラメータを有し得る。このことは一般に起こり得る。というのはミラー上の任意の位置において、放射はただ1つの入射角で入射するからである。0.05%未満というRP値は、約2°以上の角度すべてに対して達成することができる。例えば、入射角10°でのRP=0.04%は、以下の構成を有する光エレメントについて達成され得る。すなわち、厚さ20nmのダイヤモンドライクカーボンによって形成される第1層4と、厚さ730nmのGeによって形成される中間層と、厚さ980nmのThF4によって形成される第3層3と、厚さ1500nmのGeによって形成されるさらなる中間層と、厚さ50μmのa−SiO2によって形成される第2層2とである。
【0066】
[0084] 入射角2°でのRP=0.04%は、以下の構成について達成され得る。すなわち、厚さ20nmのダイヤモンドライクカーボンによって形成される第1層4と、厚さ710nmのGeによって形成される中間層と、厚さ2500nmのThF4によって形成される第3層3と、厚さ700nmのGeによって形成されるさらなる中間層と、厚さ50μmのa−SiO2によって形成される第2層2とである。
【0067】
[0085] これらの2つの多層の入射角の関数としての反射率を図14に示す。図15は、単に1つのパラメータ、すなわちGe層のうちの1つの層の厚さを変えることによっても、大きい角度範囲に対するコーティングの最適化が可能であることを示している。
【0068】
[0086] 10.6μmでの全反射率の算出については、第1実施形態の構成と同様の、平面ミラーを有する光エレメントを利用し、2°以下の角度に対して0.04%、そして>2°の角度に対して0.05%と等しいRP値を有するコーティングを使用する。
【0069】
[0087] s偏光RSの反射率は、すべての角度に対して1であることを前提とする。このことは、10.6μmでの3.29%および13.5nmでの85.1%という全反射率につながる。従って、スペクトル純度は、26倍に増加する。再び、このことは、点源の理想的な場合においてのみ成立し得る。有限の放射源サイズでは、一般に、ミラー表面の各点の入射角の非ゼロ範囲が存在する。従って、ARコーティングは単一の角度ではなく角度範囲に対して最適化され得るので、10.6μm放射の全反射率は、実際にはより高くなり得る。
【0070】
[0088] 同様に、第1層4(EUV反射キャッピング層)の厚さもまた、各入射角でのDUV抑制を最適化するために、横位置の関数として変化し得る。一実施形態において、第1層4の厚さ範囲は約10nmから約50nmである。より小さい厚さでは、EUV反射率は著しく低下することがあり(図6参照)、一方、より大きい厚さでは、IR反射率は増加を開始し得る。
【0071】
[0089] 原子水素が中間焦点、特にLPP源に存在し得る。この水素は、光エレメントをさらに冷却するために使用され得る。一実施形態において、保護キャッピング層が、第1層4上に堆積されて光エレメントを水素誘起ダメージから保護する。例えば、厚さ数ナノメータのSi3N4層は、反射率へのはっきり認められるほどの影響なしに使用され得る。ダイヤモンドライクカーボン層を第1層4として使用する場合(上述した実施形態と同様に)、ダイヤモンドライクカーボンは原子水素の影響をそれほど受けないので、保護層は必要でなくてよい。
【0072】
[0090] 一実施形態において、光エレメントは十字形に、および/または中間焦点に配置される必要はないが、2つの直交するミラーの別の対として配置される。例えば、光エレメントは、投影光学系の2つの直交するかすめ入射ミラーとして実施され得る。また、本明細書で開示する第3層3を、スペクトル純度を向上させるための中間焦点でのミラーの代わりに、またはこれらのミラーに加えて、他のかすめ入射ミラー(例えば、gミラー)に塗布してスペクトル純度を向上させてよい。
【0073】
[0091] 光エレメントの別の実施形態は、図16に示すような以下の構成要素を含む。すなわち、10.6μmで高反射率を有する材料の反射層5と、10.6μmを透過させる材料の第2層2と、10.6μm用に調整される第3層3と、EUV反射第1層4とである。
【0074】
[0092] 反射層5の材料は、10.6μmで高反射率を有するように選択される。たいていの金属(例えば、Mo)がこの部類に入る。この層の厚さは、ミラーの機械的ロバスト性のために最小限必要なだけの大きさ、例えば、0.2mmであることが望ましい。あるいは、この層はより薄く、かつ支持基板上に設けることもできる。
【0075】
[0093] 第2層2の目的は、10.6μm放射を反射層1に対して透過させつつ、EUV反射第1層4のための平面のベースを提供することである。従って、この層の厚さは均一であり得ない。この第2層2は、ZnSe、ZnS、GaAs、およびGeなどのCO2レーザウィンドウ材料から形成されることが望ましい。
【0076】
[0094] 第3層3は、第2層2からの反射率をさらに低減させ得る。このコーティングの最適なパラメータは、反射率が低減されるべきかすめ角の範囲によって決まる。第3層3は、例えば、ZnSe、ZnS、GaAs、およびGeなどのCO2レーザウィンドウ材料および/またはThF4およびYF3などの低屈折率ハロゲン化物を含み得る。
【0077】
[0095] 第1層4は、EUVに対する高反射率を有し、一般にその厚さは約10nmが望ましい。金属は、非常に薄い層として塗布された場合でも、一般に10.6μm放射を反射するので、第1層4は非金属材料、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)またはTiO2で形成されることが望ましい。
【0078】
[0096] 第1層4もまたDUVに対する反射防止(AR)コーティングとして機能するので、その厚さは、DUV範囲内で望ましい抑制を与えるように調整される。
【0079】
[0097] 本実施形態において、2つのミラーは十字形に配置され、かつ中間焦点(図1も参照)に設けられる。図16に示す構造は各ミラーの両側に施される。
【0080】
[0098] 中間焦点での一般的な入射角は、光軸から2°から9°までであることが前提とされ得る。このことはARコーティングの設計に関連し、ARコーティングは一定の角度範囲内で最適化される。また、このことは、IR反射面とEUV反射面との間の角度を選択することに関連する。光軸に対する最小入射角は2°であるが、ミラーへの最小入射角は0°である(0°に近い)。従って、ミラーは0°から9°までの範囲に対して最適化されるべきである。
【0081】
[0099] この角度範囲についての一般的な実施形態は、以下の通りである。
【0082】
[00100] DLC[20nm]/Ge[420nm]/ThF4[5100nm]/Ge[500nm]/ZnSe[変動する]/Mo。
【0083】
[00101] ここで、DLCはEUV反射キャップ層であり、Ge/ThF4/GeスタックはARコーティングであり、ZnSeは分離層であり、Moはグレーデッド赤外反射層である。
【0084】
[00102] 0°から9°までの角度範囲を考慮すると、層1の表面は、第1層4の表面と少なくとも5°を成すことが望ましく、その結果、赤外放射は光軸から少なくとも10°で反射され、従ってEUV放射から分離される。一般に、光軸に沿うミラーの長さは約1cmとなる。従って、反射層1の表面が連続している場合、図16に示すスタックの望ましい厚さは約1mmとなり、両面ミラーの全厚さは2mmとなるであろう。許容できるエタンデュを維持するために、より小さい厚さを有することが望ましい。このことは、図16に示すように鋸歯(sawtooth)状反射層1を使用することによって達成され得る。例えば、鋸歯は1mmの周期を有してよく、その結果スタックの厚さは約0.1mmまで低減される。
【0085】
[00103] 別の実施形態において、反射層1の周期はほぼ赤外波長(10.6μm)と同程度、例えば、0.1mm未満である。この実施形態において、反射層1は反射格子として機能することができ、これによってCO2またはYAGレーザ放射を回折させ得る(CO2またはYAGレーザ放射を多数の回折次数に反射し得る)。表面プロファイルは放射の大部分をEUVビーム外の回折次数に誘導するように最適化されてよい。
【0086】
[00104] 図4は、13.5nmでのp偏光およびs偏光の、図16の実施形態の反射率を示す。図5は、10.6μmでの反射率を示す。波長13.5nmにおいて、反射率は単にDLCキャップ層によって決定される。偏光効果は非常に小さく、角度範囲全体に対して反射率は>80%である。波長10.6μmにおいて、p偏光とs偏光との間で反射率に大きな差が存在する。ARコーティングの目的はp偏光放射を抑制することである。そして、s偏光放射は、他のミラーによって抑制され、そのために再びp偏光される。この例については、ARコーティングの反射防止特性は、RP<0.5%であって角度4.5°において最適となる。角度範囲の上限に向かって、反射率は約10%まで増加する。また、ゼロ入射角に向かって、反射率は(必然的に)100%に近づく。
【0087】
[00105] 別の実施形態は、図17に示す以下の構成要素を含む。すなわち、10.6μmの放射を実質的に透過させる材料の層2と、10.6μm用に調整される反射防止コーティング3と、EUV反射キャップ層4とである。
【0088】
[00106] 層2の材料は、10.6μmで高透過率を有するように選択される。この層は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、またはZnSe、ZnS、GaAs、およびGeなどのCO2レーザウィンドウ材料から形成されることが望ましい。
【0089】
[00107] ARコーティング3は、層1の赤外かすめ入射反射率をさらに低減させる。このコーティングの最適なパラメータは、反射率が低減されるべきかすめ角の範囲によって決まる。ARコーティングは、例えば、ZnSe、ZnS、GaAs、およびGeなどのCO2レーザウィンドウ材料および/またはThF4およびYF3などの低屈折率ハロゲン化物を含み得る。
【0090】
[00108] キャップ層4は、EUVに対する高反射率を有し、一般にその厚さは約10nmが望ましい。金属は、非常に薄い層として塗布された場合でも、一般に10.6μm放射を反射するので、キャッピング層4は非金属材料、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)またはTiO2で形成されることが望ましい。
【0091】
[00109] キャップ層4もまたDUVに対するARコーティングとして機能するので、その厚さは、DUV範囲内で望ましい抑制を与えるように調整される。
【0092】
[00110] 本実施形態において、2つのミラーは図3に示すように十字形に配置され、かつ中間焦点に設けられ得る。図17に示す構造は、図18に示すように各ミラーの両側に施される。赤外放射が、ミラーを介した透過後にEUVビームの外側に誘導されることを確実にするために、層2の裏面は本発明の態様に従ってパターン形成される。
【0093】
[00111] 一実施形態において、裏面は、図17(a)に示すように、EUV反射キャップ層3に対して一般に傾斜する表面配向を有し得る。そして、赤外放射は、EUVが反射される立体角の外側に回折される。図17(a)の鋸歯状プロファイルの周期が赤外波長よりはるかに大きいという条件で、放射が誘導される角度は、単に頂点法線およびスネルの法則によって与えられる。
【0094】
[00112] 一実施形態において、裏面のパターンは赤外放射と同程度の周期を有するので透過格子として機能する。格子プロファイルは、放射の大部分をEUVビーム外の回折次数に誘導するように最適化されてよい。
【0095】
[00113] 一実施形態において、図17(b)に示すように、裏面は、赤外放射(10.6μm)と同程度の長さスケールで、高い表面粗さを有する。この場合、赤外放射は、その放射の大部分がEUVビームの外側に誘導されるように散乱される。本実施形態は、製造しやすいという特別な利点を有し得る。例えば、層2の材料は前述の通りダイヤモンドであってよく、これは平面基板、例えばSi上に成長され得る。適切な成長パラメータを選択することによって、図19に示すように、望ましい粗さがダイヤモンド層の上面に自動的に生じ得る。従って、図17(b)に示すように、基板からのリフトオフ後、層は滑らかな面と粗い面を有する。残りの成されるべきことは、層の滑らかな面へのコーティング3および4の堆積である。
【0096】
[00114] 先行する実施形態のいずれかに基づいた実施形態において、層2のパターン形成された裏面もまた、ARコーティング3と同様の(しかし一般に異なるパラメータを有する)反射防止コーティングで覆われてよい。この追加のARコーティングは層2の内反射を減少させ、それによってスタック全体の透過率を増加させ得る。追加のARコーティングは任意のものである。というのは、内反射は、光がEUVビームの外側で反射または回折される限り、一般に問題とならないからである。
【0097】
[00115] 一実施形態において、層2の裏面はパターン形成されない、または粗くないが、EUV反射面に対して連続的に傾斜される。これは、実質的な傾斜角(例えば、5°)はEUVビームの外側で放射を回折する必要があるので、好適な実施形態であり得ない。このことは比較的厚いミラーの生成につながることになり、図3に示すようにSPFがIFで設けられる場合、エタンデュの望ましくない増加という結果になり得る。従って、傾斜面を数段階で分割して図17(a)に示すような鋸歯パターンを得ることが望ましい場合がある。
【0098】
[00116]中間焦点での入射角は、光軸から2°から9°までであることが前提とされ得る。このことはARコーティングの設計に関連し、ARコーティングは一定の角度範囲内で最適化される。光軸からの最小入射角は2°であるが、ミラーへの最小入射角は0°である(0°に近い)。従って、ミラーは0°から9°までの範囲に対して最適化されるべきである。
【0099】
[00117] この角度範囲についての実施形態は、以下の通りである。
【0100】
[00118] DLC[20nm]/Ge[420nm]/ThF4[5100nm]/Ge[500nm]/ZnSe[変動する]。
【0101】
[00119] ここで、DLC層はEUV反射キャップ層であり、Ge/ThF4/GeスタックはARコーティングであり、ZnSe層はパターン形成された裏面を有する赤外線透過層である。
【0102】
[00120] 図4は、13.5nmでのp偏光およびs偏光に対する一般的な実施形態の反射率を示す。この波長において、反射率は、DLCキャップ層によってのみ決定される。偏光の影響は非常に小さく、反射率は角度範囲全体に対して>80%である。
【0103】
[00121] 図5は、鏡面反射に対するミラー(すなわち、層2の裏面によって反射され、一般にEUVビームの外側に誘導される部分ではない)の赤外反射率を示す。10.6μmでが、p偏光とs偏光との間で反射率に大きな差がある。ARコーティングの目的は、p偏光放射を抑制することである。そして、s偏光放射は他のミラーによって抑制され、そのために再びp偏光される。この例について、ARコーティングの反射防止特性は、RP<0.5%であって角度4.5°において最適である。角度範囲の上限に向かって、反射率は約10%まで増加し得る。また、ゼロ入射角に向かって(必然的に)100%に近づく。
【0104】
[00122] 基本的な実施形態について算出された全反射率は13.5nmで85.1%であり、10.6μmで10.7%である。すなわち、全スペクトル純度は8倍に増加する。SPFの各位置において、放射はただ1つの角度で入射することを前提とすると、横方向に勾配を持ったコーティングを使用することによって、10.6μmでの反射率を3.29%にまで理想的に低減させることができる。実際に入射角の範囲が存在するので(放射源サイズおよびSPFミラーの厚さに応じて)、その低減は一般により小さくなる。
【0105】
[00123] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0106】
[00124] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0107】
[00125] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0108】
[00126] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0109】
[00127] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0110】
[00128] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、光エレメント、当該光エレメントを含むリソグラフィ装置、デバイス製造方法、およびそれによって製造されたデバイスに関する。より詳細には、光エレメントを、レーザプラズマ(LPP)極端紫外線(EUV)源用の反射かすめ入射スペクトル純度フィルタとして使用することができる。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] LPP源を使用する場合、レーザ放射それ自体は、プラズマでの散乱および反射によってEUVリソグラフィツール中に放出される望ましくない大量の放射を表す。通常、約10.6μmの波長を有するCO2レーザが使用される。EUVリソグラフィシステムの光学系は、10.6μmにおいて高い反射率を有するため、レーザ放射は、かなり大きいパワーでリソグラフィツール中に伝搬する。このパワーの一部は、最終的にウェーハによって吸収され、ウェーハの望ましくない加熱を引き起こすことになる。
【0004】
[0004] 米国特許第7、196、343B2号に、深紫外(DUV)放射を選択的に通すための反射かすめ入射スペクトル純度フィルタ(SPF)が開示されている。このSPFは、1偏光のDUV放射のための反射防止(AR)コーティングが施された2つの垂直ミラーを含む。図5に示すような2つの垂直反射を使用することにより、基板中での吸収によって(ほとんど非偏光の)DUV放射が効果的に抑制される。さらに、ARコーティングは、EUVに対する反射率が高く、従ってEUV放射がほとんど反射されることを特徴とする。
【0005】
[0005] 10.6μmに対するARコーティングは、通常、EUVに対して非常に低い反射率を有する、そして従来のミラー基板は、10.6μmの放射を吸収するのではなく反射する、という主として2つの理由により、このスペクトル純度フィルタは、LPP源中の10.6μmの放射の抑制に適していない。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本発明の実施形態は、第1材料を含む第1層であって、第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を実質的に透過させる、または吸収するように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収するように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含み、EUV放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントを提供することによってスペクトル純度を向上させることができる。
【0007】
[0007] 本発明の一態様に従い、第1材料を含む第1層であって、第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収するように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含み、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントが提供される。
【0008】
[0008] 本発明の一態様に従い、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、第2方向に前記第2波長の前記放射を実質的に反射するように構成され、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含み、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントが提供される。
【0009】
[0009] 本発明の一態様に従い、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に散乱させるように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含み、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントが提供される。
【0010】
[0010] 本発明の一態様に従い、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、前記放射ビームにパターン形成するように構成されたパターニングデバイスと、基板を保持するように構成されたサポートと、前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影するように構成された投影システムと、を含むリソグラフィ装置であって、前記照明システムおよび/または前記投影システムは、第1材料を含む第1層であって、第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収するように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントを含む、リソグラフィ装置が提供される。
【0011】
[0011] 本発明の一態様に従い、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、前記放射ビームにパターン形成するように構成されたパターニングデバイスと、基板を保持するように構成されたサポートと、前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影するように構成された投影システムと、を含むリソグラフィ装置であって、前記照明システムおよび/または前記投影システムは、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、第2方向に前記第2波長の前記放射を実質的に反射するように構成され、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントを含む、リソグラフィ装置が提供される。
【0012】
[0012] 本発明の一態様に従い、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、前記放射ビームにパターン形成するように構成されたパターニングデバイスと、基板を保持するように構成されたサポートと、前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影するように構成された投影システムと、を含むリソグラフィ装置であって、前記照明システムおよび/または前記投影システムは、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に散乱させるように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントを含む、リソグラフィ装置が提供される。
【0013】
[0013] 本発明の一態様に従い、放射ビームにパターン形成してパターン形成された放射ビームを形成することと、前記パターン形成された放射ビームを基板上に投影することと、第1材料を含む第1層であって、第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収するように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む少なくとも1つの光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、少なくとも1つの光エレメントに対して前記放射ビームを反射することと、を含む、デバイス製造方法が提供される。
【0014】
[0014] 本発明の一態様に従い、放射ビームにパターン形成してパターン形成された放射ビームを形成することと、前記パターン形成された放射ビームを基板上に投影することと、第1材料を含む第1層であって、第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収するように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む少なくとも1つの光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、少なくとも1つの光エレメントに対して前記放射ビームを反射することと、を含む、デバイス製造方法が提供される。
【0015】
[0015] 本発明の一態様に従い、放射ビームにパターン形成してパターン形成された放射ビームを形成することと、前記パターン形成された放射ビームを基板上に投影することと、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、第2方向に前記第2波長の前記放射を実質的に反射するように構成され、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む少なくとも1つの光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、少なくとも1つの光エレメントに対して前記放射ビームを反射することと、を含む、デバイス製造方法が提供される。
【0016】
[0016] 本発明の一態様に従い、放射ビームにパターン形成してパターン形成された放射ビームを形成することと、前記パターン形成された放射ビームを基板上に投影することと、第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を反射し、かつ第2波長の放射を少なくとも部分的に透過させるように構成された第1層と、第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に散乱させるように構成された第2層と、前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を少なくとも部分的に透過させる第3層と、を含む少なくとも1つの光エレメントであって、前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、少なくとも1つの光エレメントに対して前記放射ビームを反射することと、を含む、デバイス製造方法が提供される。
【0017】
[0017] 例えば、本発明の実施形態において、第1波長の放射はEUV放射とすることができ、第2波長の放射はCO2またはイットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)レーザ放射とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
[0018] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0019】
【図1】[0019] 図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を示す。
【図2】[0020] 図2は、図1のリソグラフィ装置の光エレメントの一実施形態を示す。
【図3】[0021] 図3は、本発明に係る光デバイスの一実施形態を示す。
【図4】[0022] 図4は、p偏光(RP)およびs偏光(RS)についての波長13.5nmの放射に対する図2の光エレメントの反射率を示す。
【図5】[0023] 図5は、p偏光(RP)およびs偏光(RS)についての波長10.6μmの放射に対する図2の光エレメントの反射率を示す。
【図6】[0024] 層厚さの関数としての、入射角5°での図2の光エレメントのEUV反射率を示す。
【図7】[0025] 図7は、入射角5°での図2の光エレメントのp偏光のDUV反射率を示す。
【図8】[0026] 図8は、DUVレジームでの図3の光デバイスの全反射率を示す。
【図9】[0027] 図9は、非ゼロミラー厚さによるエタンデュ増加を示す。
【図10(a)】[0028] 図10(a)は、光エレメントの実施形態の概略断面図を示す。
【図10(b)】[0028] 図10(b)は、光エレメントの実施形態の概略断面図を示す。
【図10(c)】[0028] 図10(c)は、光エレメントの実施形態の概略断面図を示す。
【図11】[0029] 図11は、p偏光(RP)およびs偏光(RS)についての波長10.6μmでの3°テーパーの光エレメントの反射率を示す。
【図12】[0030] 図12は、入射角10°の光エレメントのテーパー実施形態の半角(semi-angle)の関数としての、点源の仮想源サイズおよび仮想立体角を示す。
【図13】[0031] 図13は、曲面ミラーを有する実施形態の3次元インプレッションを示す。
【図14】[0032] 図14は、入射角2°および入射角10°に最適化された多層光エレメント、ならびに局所入射角に最適化されたグレーデッド(graded)多層光エレメントの反射曲線を示す。
【図15】[0033] 図15は、入射角および第2Ge層の関数としての、ダイヤモンドライクカーボン/Ge/ThF4/Ge/a−SiO2多層光エレメントの10.6μmでの反射率RPを示す。
【図16】[0034] 図16は、図1のリソグラフィ装置の光エレメントの一実施形態を示す。
【図17(a)】[0035] 図17(a)は、本発明に係る光エレメントの一実施形態を示す。
【図17(b)】[0035] 図17(b)は、本発明に係る光エレメントの一実施形態を示す。
【図18】[0036] 図18は、本発明に係る光エレメントの一実施形態を示す。
【図19(a)】[0037] 図19(a)は、ダイヤモンド成長の一例を示す。
【図19(b)】[0037] 図19(b)は、ダイヤモンド成長の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0038] 図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、紫外線、DUV放射、EUV放射、またはEUV放射より短い波長を有する放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されているサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結されている基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0021】
[0039] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0022】
[0040] サポート構造は、パターニングデバイスを支持する、すなわちパターニングデバイスの重量を支える。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、所望の通りに固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0023】
[0041] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応することになる。
【0024】
[0042] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0025】
[0043] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0026】
[0044] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0027】
[0045] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。浸漬技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0028】
[0046] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、所望の場合、ビームデリバリシステムとともに放射システムと呼んでもよい。
【0029】
[0047] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータおよびコンデンサといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0030】
[0048] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0031】
[0049] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0032】
[0050] 1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0033】
[0051] 2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0034】
[0052] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、所望の通りに更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0035】
[0053] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0036】
[0054] 図2において、光エレメント1の一実施形態を示す。図示の実施形態において、光エレメント1は、第1層4、第2層2、および第3層3を含む。図2の実施形態において、第1層4は、第2層2および第3層3に対して、入射光路内の上流に配置され、第3層3は、第2層2に対して、入射光路内の上流に配置される。一実施形態において、第1層4は、第3層3の上部(例えば、上面上)に配置され、第3層3は、第2層2の上部(例えば、上面上)に配置される。
【0037】
[0055] 一つには金属は一般に、非常に薄く塗布された場合でも10.6μmの放射を反射するものであるという理由で、第1層4は、ダイヤモンドライクカーボンまたはTiO2、もしくはそれらの混合物などの適切な非金属を含み得る。この実施形態において、第1層4は、EUV反射キャッピング層である。加えて、第1層4は、よく深紫外線(DUV)放射と称される波長範囲である約100nmから約300nmの波長の放射を少なくとも部分的に透過させるので、それによりDUV放射に対するいわゆる反射防止(AR)コーティングとして機能する。一実施形態において、第1層4は、DUV放射を実質的に透過させる。第1層4は、EUVに対する適切な反射率を有する。第1層は、約1nmから約50nm、約1nmから約20nm、約20nm、または約10nmの範囲の厚さを有し得る。
【0038】
[0056] 第3層3は、いわゆる反射防止コーティングであってよく、また10.6μmの波長の放射を透過性させるように調整されてよい。第3層3の目的は、第2層2からの10.6μmの放射の反射をさらに低減させることである。最適なパラメータは、第2層2の材料と、反射率が低減されるべきかすめ角の範囲とによって決まる。第3層3は、ZnSe、ZnS、GaAs、およびGeなどの1つ以上の物質、ならびに/もしくは、ThF4およびYF3などの低屈折率ハロゲン化合物を含み得る。
【0039】
[0057] 第2層2は、10.6μmの波長を有する放射の高吸収係数を有する材料の層である。第2層2は、Al2O3またはTiO2などのセラミックス、もしくは融解石英またはSiO2などのガラスといった材料を含み得る。その材料は、10.6μmの波長を有する放射に対して低い固有かすめ入射反射率(intrinsic grazing-incidence reflectivity)を有し得る。例えば、TiO2は、Al2O3よりかなり低い反射率を有する。第2層2の厚さは、10.6μmの波長を有する放射の実質的にすべてがその層に吸収されるように選択され、その結果、層の底部側の反射率が低減または解消される。第2層2の厚さは、約0.01mmと約1mmとの間、例えば、約0.05mmであり得る。
【0040】
[0058] 第3層3は、10.6μmの波長を透過させるように構成され得る。また、第1層4(EUVキャッピング層)は、DUV放射に対する反射防止コーティングの厚みを有し得る。従って、光エレメントは、2種の放射の抑制、すなわち10.6μmの波長を有する放射およびDUV放射の抑制を組み合わせる。つまり、光エレメントに入射する10.6μmの波長を有する放射は第1層4および第3層3の中を伝播し、第2層2によって吸収され、またDUV放射は、DUV放射に対する反射防止コーティングとして機能する第1層4によって抑制され得る。
【0041】
[0059] 図2の実施形態において、全反射率の一般値は、EUV放射について85.1%、DUV放射について10〜40%、そして10.6μmの波長を有する放射について10.7%である。
【0042】
[0060] 光エレメント1は基板5上に設けられ得る。図5の実施形態の場合がその例である。第2層2は相当量の熱(一般に約100W/cm2)を吸収し得る。従って、光エレメント1は高い熱伝導率を有する基板5、例えばCu上に配置され、基板5から熱を効率的に運び出すことができる。加えて、冷却をさらに向上させる目的で冷却手段(例えば、水冷却)を利用してよい。
【0043】
[0061] 図3においては一実施形態が示され、2つのミラー7が互いに交差する方向に配置される。これらのミラー7はともに、両側が図2に示す光エレメントを含むように両面を有している。図3の一実施形態は、ソースSOが放出する放射がコレクタによって集束される焦点である、いわゆる中間焦点(intermediate focus)に、適切に配置され得る。図3に示す光デバイスを中間焦点に配置することの潜在的な利点は、少なくとも十分に薄いミラー7について、この実施形態が放射源の結像に及ぼす影響が非常に制限されることである。また、入射角は小さく、高いEUV反射率をもたらす。
【0044】
[0062] 中間焦点での入射の一般的な入射角は、光軸に対して約2°から約9°であり得る。このことはARコーティングの設計に関連し、ARコーティングは特定の角度範囲内で最適化される。光軸からの最小入射角は約2°であり得るが、ミラーに対する最小入射角は約0°とすることができる。従って、ミラーは約0°から約9°の範囲に対して最適化され得る。
【0045】
[0063] この角度範囲に対する光エレメント1の一実施形態は、以下の通りに構成され得る。すなわち、厚さ20nmのダイヤモンドライクカーボンによって形成される第1層4と、厚さ420nmのGeによって形成される中間層と、厚さ5100nmのThF4によって形成される第3層3と、厚さ500nmのGeによって形成されるさらなる中間層と、厚さ50μmのa−SiO2によって形成される第2層2とである。
【0046】
[0064] ダイヤモンドライクカーボン層はGeなどの炭化物形成材料にしっかりと付着し、L.Tao、S.Ramachandran、C.T.Nelson、T.H.Lee、L.J.Overzet、M.J.Goeckner、M.j.Kim、G.S.LeeおよびW.Huによる「Nanofabrication of Diamond−like Carbon Templates for Nanoimprint Lithography」、Mater.Res.Soc.Symp.Proc.、Diamond Electronics−Fundamentals to Applications(2007)、243に示すように高いEUV反射率のために望ましいサブナノメータ粗さを有するように形成することができる。
【0047】
[0065] 図4は、13.5nmでのp偏光(RP)およびs偏光(RS)に対する光エレメントの一実施形態の反射率の一例を示す。この波長において、反射率は、第1層4としてのダイヤモンドライクカーボンによってのみ決定される。偏光の影響は非常に小さく、反射率は角度範囲全体に対して>80%である。
【0048】
[0066] しかし、10.6μmにおいて、図5に示すようにp偏光(RP)とs偏光(RS)との間で反射率に大きな差がある。ARコーティングの目的は、p偏光放射を抑制することである。そして、s偏光放射は他のミラーによって抑制され、そのために再びp偏光される(図3)。この例について、ARコーティングの反射防止特性は、p偏光反射率が0.5%(RP<0.5%)未満であって角度4.5°において最適である。角度範囲の上限に向かって、p偏光反射率は約10%まで増加し得る。また、ゼロ入射角において100%に近づく。
【0049】
[0067] 任意の入射角での図3の光デバイスの2つのミラー7の合成反射率は、[RP(θ)Rs(φ)+Rs(θ)RP(φ)]/2によって与えられ、ここでθは第1ミラーに対する入射角であり、φは第2ミラーに対する入射角である。
【0050】
[0068] 光デバイスの全反射率を得るために、角度(θ、φ)の適切な範囲に対する積分を式(1)によって計算する。
【数1】
【0051】
[0069] 式(1)において、放射強度分布が積分範囲に対して一定であることを前提とする。強度分布は一般にコレクタ配置によって決まる。典型的な楕円コレクタについては、強度は光軸に向かってわずかに増加するが、このことが反射率に対して若干の効果しか及ぼさないことを計算は示す。これらの境界条件のもとでは、全反射率の一般値は13.5nmで85.1%であり、10.6μmで10.7%である。すなわち、全スペクトル純度は8倍に増加する。
【0052】
[0070] 上記の通り、EUV反射キャッピング層(第1層)4の厚さは、DUV放射の反射が制限されるように選択される。図6に示す通り、厚さは、高いEUV反射率を維持するために約10nmまたはそれ以上であり得る。図7は、DUVレジームにおけるp偏光の反射率を示し、この反射率はダイヤモンドライクカーボン層の厚さ、一般に12〜36nm(120〜360A)によって決まる。説明値(legend values)は、オングストローム(A)でのダイヤモンドライクカーボン層の厚さを示す。ダイヤモンドライクカーボン層の厚さが20nmである図2の実施形態については、図8から分かるように、式(1)によって計算された光デバイスの全DUV反射率は10%と40%との間である。図8のグラフが作られる層は、厚さ20nmを有するダイヤモンドライクカーボン層である。
【0053】
[0071] 光エレメント1の全厚さの値は、ソースイメージのひずみを最小化するために、可能な限り低くあるべきである。図9において、点源IFが式(2)によって与えられるサイズsに拡張(stretched)される。
【数2】
【0054】
[0072] 例えば、全厚さd=200μm(100μmCu冷却基板+両側の2x50μmの多層)の典型的な実施形態において、仮想源サイズs=173μmである。これは実際のEUVピンチサイズと比較して小さいため、厚さ200μmの光エレメントの実施形態は、エタンデュの著しい増加をもたらすと見込まれない。
【0055】
[0073] 図2の実施形態において、一部の放射は小角度、特に垂直ミラーで反射され、ここでオブスキュレーションによる入射角の下限はない。このような小角度では、10.6μmに対するARコーティングの働きは、図5に示すように比較的悪く、このことは、全スペクトル純度の観点から非常に不均一なIR遠視野像(IR far-field pattern)および最適以下の性能につながる。
【0056】
[0074] 一実施形態において、両方のミラーに対する最小入射角は、微小角度で入射する放射を遮ることによって増加する。例えば、光デバイスは、使用中に第1および第2ミラーのそれぞれの最小入射角、θmin=2°およびφmin=2°を備えてよい。これらのパラメータについては、波長10.6μmの放射の全反射率は10.7%から3.52%まで減少し、一方、13.5nmでの全反射率はほとんど影響を受けない(85.1%から83.2%)。従って、図2の実施形態での8倍に対し、スペクトル純度は24倍に増加する。しかし、更なるオブスキュレーションに起因して、スループットは基本的な実施形態の72%まで減少する。これは、EUV放射の一部が遮られることになるからである。
【0057】
[0075]一部の用途については、一定方向のオブスキュレーションは許容されない。例えば、スキャナツールにおいて、オブスキュレーションは、特定方向、すなわちスキャンラインに平行な方向で許容されない。従って、別の実施形態において、ミラーは、互いに実質的に垂直であるが、どちらもスキャンラインに平行でないように、例えば、両方のミラーはスキャンラインから45°傾斜するように回転される。
【0058】
[0076] 一実施形態において、1つまたは両方のミラー7の反射面7’および7”は図10aに示すように平行でなく、図10bに示すように放射源に向かってテーパーを持つ、もしくは図10cに示すように放射源に向かって湾曲する。テーパーミラーまたはウェッジミラーの潜在的な利点は、入射角範囲がより高い値に移動してよく、10.6μmの放射がより抑制可能となることである。例えば、テーパー半角が3°である場合、入射角の範囲は0〜10°から3〜13°に移動する。図12は、入射角10°の光エレメントのテーパー実施形態の半角の関数としての点源の仮想源サイズおよび仮想立体角を示す。
【0059】
[0077] ARコーティングのパラメータは、図10bの光エレメントの入射角範囲に対して再最適化することができる。例えば、多層全体は以下の通りである。
【0060】
[0078] この角度範囲についての光エレメント1の実施形態は、以下の通り構成され得る。厚さ20nmのダイヤモンドライクカーボンから形成される第1層4と、厚さ715nmのGeから形成される中間層と、厚さ1400nmのThF4から形成される第3層3と、厚さ50nmのa−SiO2から形成される第2層2とである。
【0061】
[0079] 図11は、10.6μmでのこのミラーの反射率を示している。p偏光放射の反射率は、基本的な実施形態と比較してかなり低く、すべての入射角に対してRP<13%である。本発明に係る光エレメントの一部の実施形態、すなわち2つのテーパーミラーからなるデバイスについては、全反射率は、10.6μmに対して5.66%、13.5nmに対して74.6%となり得る。従って、スペクトル純度は、図2の実施形態での8倍との比較において13倍に増加し得る。ここで、2つのテーパーミラーに関して2つの反射がもはや正確に垂直でないという事実は無視されている。例えば、ウェッジ半角3°については、2つの面の間の角度は90°ではなく89.84°であるので、この影響は、実際は非常に小さくなると想定される。
【0062】
[0080] ウェッジミラーの実施形態は、平面ミラーを有する図2の実施形態とは異なる方法でソースイメージを変化させる。ウェッジ半角αおよび厚さdについては、点源は式(3)によって与えられる仮想源サイズに拡張される。
【数3】
式(3)はα=0°については式(2)となる。また、テーパリングは中間焦点に対して光路の下流に放射が放出される立体角に影響を及ぼす。立体角Ωは、2π(1−cosθmax)から2π[1cos(θmax+2α)]まで増加する。図11は、αという関数としての両方の効果を示す。α=3°の典型的な実施形態については、エタンデュ(〜Ωs2)は推定で2.4倍に増加し、これは、エタンデュ要件および放射源の当初のエタンデュに応じて許容され得る。
【0063】
[0081] 一実施形態において、光エレメント、例えばミラーは、図10cに示す通り湾曲される。ミラー面の少なくとも一部の曲率は、放射源SOによって放出され、かつコレクタCOによって中間焦点上に集束される放射に関して、中間焦点が光エレメントに対する所定位置に位置決めされ、放射が入射する場所にかかわらず入射角が同一であり、ならびにエタンデュが最も影響を受けないようであり得る。このことは、ミラーの有限厚に起因して光軸からの放射角度がミラー上の位置によって変化するという理由で起こり得る。例えば、ミラーは、全放射が4.5°のかすめ入射で反射されるように形成することができる。この場合、反射された放射は光軸から5°以内で放出される。すなわち、立体角は減少する。また、仮想源サイズは、ミラーの正確な形状によって変化することになる。これによってエタンデュの最終的な増加が決定することになる。
【0064】
[0082] 4.5°の反射角において、図2の実施形態のARコーティングは、10.6μmの放射を最大で抑制する(図5を参照)。従って、全反射率は、10.6μmで0.05%まで低くなり、13.5nmで84.3%まで高くなる。放射が反射される角度を減少させることによって、全EUV反射率をさらにもっと増加させることができる(2°に対して92.8%まで)。なお、この例は点源の理想的な場合について挙げられるものである。有限の放射源サイズでは、一般に、ミラー表面の各点の入射角の非ゼロ範囲が存在する。従って、ARコーティングは単一の角度ではなく角度範囲に対して最適化され得るので、10.6μm放射の全反射率は、実際にはより高くなり得る。
【0065】
[0083] 一実施形態において、コーティングのパラメータは、ミラー上の横位置の関数として変化する。各位置のコーティングは、p偏光の10.6μm放射の反射率が当該位置に対応する入射角に対して最小になるようなパラメータを有し得る。このことは一般に起こり得る。というのはミラー上の任意の位置において、放射はただ1つの入射角で入射するからである。0.05%未満というRP値は、約2°以上の角度すべてに対して達成することができる。例えば、入射角10°でのRP=0.04%は、以下の構成を有する光エレメントについて達成され得る。すなわち、厚さ20nmのダイヤモンドライクカーボンによって形成される第1層4と、厚さ730nmのGeによって形成される中間層と、厚さ980nmのThF4によって形成される第3層3と、厚さ1500nmのGeによって形成されるさらなる中間層と、厚さ50μmのa−SiO2によって形成される第2層2とである。
【0066】
[0084] 入射角2°でのRP=0.04%は、以下の構成について達成され得る。すなわち、厚さ20nmのダイヤモンドライクカーボンによって形成される第1層4と、厚さ710nmのGeによって形成される中間層と、厚さ2500nmのThF4によって形成される第3層3と、厚さ700nmのGeによって形成されるさらなる中間層と、厚さ50μmのa−SiO2によって形成される第2層2とである。
【0067】
[0085] これらの2つの多層の入射角の関数としての反射率を図14に示す。図15は、単に1つのパラメータ、すなわちGe層のうちの1つの層の厚さを変えることによっても、大きい角度範囲に対するコーティングの最適化が可能であることを示している。
【0068】
[0086] 10.6μmでの全反射率の算出については、第1実施形態の構成と同様の、平面ミラーを有する光エレメントを利用し、2°以下の角度に対して0.04%、そして>2°の角度に対して0.05%と等しいRP値を有するコーティングを使用する。
【0069】
[0087] s偏光RSの反射率は、すべての角度に対して1であることを前提とする。このことは、10.6μmでの3.29%および13.5nmでの85.1%という全反射率につながる。従って、スペクトル純度は、26倍に増加する。再び、このことは、点源の理想的な場合においてのみ成立し得る。有限の放射源サイズでは、一般に、ミラー表面の各点の入射角の非ゼロ範囲が存在する。従って、ARコーティングは単一の角度ではなく角度範囲に対して最適化され得るので、10.6μm放射の全反射率は、実際にはより高くなり得る。
【0070】
[0088] 同様に、第1層4(EUV反射キャッピング層)の厚さもまた、各入射角でのDUV抑制を最適化するために、横位置の関数として変化し得る。一実施形態において、第1層4の厚さ範囲は約10nmから約50nmである。より小さい厚さでは、EUV反射率は著しく低下することがあり(図6参照)、一方、より大きい厚さでは、IR反射率は増加を開始し得る。
【0071】
[0089] 原子水素が中間焦点、特にLPP源に存在し得る。この水素は、光エレメントをさらに冷却するために使用され得る。一実施形態において、保護キャッピング層が、第1層4上に堆積されて光エレメントを水素誘起ダメージから保護する。例えば、厚さ数ナノメータのSi3N4層は、反射率へのはっきり認められるほどの影響なしに使用され得る。ダイヤモンドライクカーボン層を第1層4として使用する場合(上述した実施形態と同様に)、ダイヤモンドライクカーボンは原子水素の影響をそれほど受けないので、保護層は必要でなくてよい。
【0072】
[0090] 一実施形態において、光エレメントは十字形に、および/または中間焦点に配置される必要はないが、2つの直交するミラーの別の対として配置される。例えば、光エレメントは、投影光学系の2つの直交するかすめ入射ミラーとして実施され得る。また、本明細書で開示する第3層3を、スペクトル純度を向上させるための中間焦点でのミラーの代わりに、またはこれらのミラーに加えて、他のかすめ入射ミラー(例えば、gミラー)に塗布してスペクトル純度を向上させてよい。
【0073】
[0091] 光エレメントの別の実施形態は、図16に示すような以下の構成要素を含む。すなわち、10.6μmで高反射率を有する材料の反射層5と、10.6μmを透過させる材料の第2層2と、10.6μm用に調整される第3層3と、EUV反射第1層4とである。
【0074】
[0092] 反射層5の材料は、10.6μmで高反射率を有するように選択される。たいていの金属(例えば、Mo)がこの部類に入る。この層の厚さは、ミラーの機械的ロバスト性のために最小限必要なだけの大きさ、例えば、0.2mmであることが望ましい。あるいは、この層はより薄く、かつ支持基板上に設けることもできる。
【0075】
[0093] 第2層2の目的は、10.6μm放射を反射層1に対して透過させつつ、EUV反射第1層4のための平面のベースを提供することである。従って、この層の厚さは均一であり得ない。この第2層2は、ZnSe、ZnS、GaAs、およびGeなどのCO2レーザウィンドウ材料から形成されることが望ましい。
【0076】
[0094] 第3層3は、第2層2からの反射率をさらに低減させ得る。このコーティングの最適なパラメータは、反射率が低減されるべきかすめ角の範囲によって決まる。第3層3は、例えば、ZnSe、ZnS、GaAs、およびGeなどのCO2レーザウィンドウ材料および/またはThF4およびYF3などの低屈折率ハロゲン化物を含み得る。
【0077】
[0095] 第1層4は、EUVに対する高反射率を有し、一般にその厚さは約10nmが望ましい。金属は、非常に薄い層として塗布された場合でも、一般に10.6μm放射を反射するので、第1層4は非金属材料、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)またはTiO2で形成されることが望ましい。
【0078】
[0096] 第1層4もまたDUVに対する反射防止(AR)コーティングとして機能するので、その厚さは、DUV範囲内で望ましい抑制を与えるように調整される。
【0079】
[0097] 本実施形態において、2つのミラーは十字形に配置され、かつ中間焦点(図1も参照)に設けられる。図16に示す構造は各ミラーの両側に施される。
【0080】
[0098] 中間焦点での一般的な入射角は、光軸から2°から9°までであることが前提とされ得る。このことはARコーティングの設計に関連し、ARコーティングは一定の角度範囲内で最適化される。また、このことは、IR反射面とEUV反射面との間の角度を選択することに関連する。光軸に対する最小入射角は2°であるが、ミラーへの最小入射角は0°である(0°に近い)。従って、ミラーは0°から9°までの範囲に対して最適化されるべきである。
【0081】
[0099] この角度範囲についての一般的な実施形態は、以下の通りである。
【0082】
[00100] DLC[20nm]/Ge[420nm]/ThF4[5100nm]/Ge[500nm]/ZnSe[変動する]/Mo。
【0083】
[00101] ここで、DLCはEUV反射キャップ層であり、Ge/ThF4/GeスタックはARコーティングであり、ZnSeは分離層であり、Moはグレーデッド赤外反射層である。
【0084】
[00102] 0°から9°までの角度範囲を考慮すると、層1の表面は、第1層4の表面と少なくとも5°を成すことが望ましく、その結果、赤外放射は光軸から少なくとも10°で反射され、従ってEUV放射から分離される。一般に、光軸に沿うミラーの長さは約1cmとなる。従って、反射層1の表面が連続している場合、図16に示すスタックの望ましい厚さは約1mmとなり、両面ミラーの全厚さは2mmとなるであろう。許容できるエタンデュを維持するために、より小さい厚さを有することが望ましい。このことは、図16に示すように鋸歯(sawtooth)状反射層1を使用することによって達成され得る。例えば、鋸歯は1mmの周期を有してよく、その結果スタックの厚さは約0.1mmまで低減される。
【0085】
[00103] 別の実施形態において、反射層1の周期はほぼ赤外波長(10.6μm)と同程度、例えば、0.1mm未満である。この実施形態において、反射層1は反射格子として機能することができ、これによってCO2またはYAGレーザ放射を回折させ得る(CO2またはYAGレーザ放射を多数の回折次数に反射し得る)。表面プロファイルは放射の大部分をEUVビーム外の回折次数に誘導するように最適化されてよい。
【0086】
[00104] 図4は、13.5nmでのp偏光およびs偏光の、図16の実施形態の反射率を示す。図5は、10.6μmでの反射率を示す。波長13.5nmにおいて、反射率は単にDLCキャップ層によって決定される。偏光効果は非常に小さく、角度範囲全体に対して反射率は>80%である。波長10.6μmにおいて、p偏光とs偏光との間で反射率に大きな差が存在する。ARコーティングの目的はp偏光放射を抑制することである。そして、s偏光放射は、他のミラーによって抑制され、そのために再びp偏光される。この例については、ARコーティングの反射防止特性は、RP<0.5%であって角度4.5°において最適となる。角度範囲の上限に向かって、反射率は約10%まで増加する。また、ゼロ入射角に向かって、反射率は(必然的に)100%に近づく。
【0087】
[00105] 別の実施形態は、図17に示す以下の構成要素を含む。すなわち、10.6μmの放射を実質的に透過させる材料の層2と、10.6μm用に調整される反射防止コーティング3と、EUV反射キャップ層4とである。
【0088】
[00106] 層2の材料は、10.6μmで高透過率を有するように選択される。この層は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、またはZnSe、ZnS、GaAs、およびGeなどのCO2レーザウィンドウ材料から形成されることが望ましい。
【0089】
[00107] ARコーティング3は、層1の赤外かすめ入射反射率をさらに低減させる。このコーティングの最適なパラメータは、反射率が低減されるべきかすめ角の範囲によって決まる。ARコーティングは、例えば、ZnSe、ZnS、GaAs、およびGeなどのCO2レーザウィンドウ材料および/またはThF4およびYF3などの低屈折率ハロゲン化物を含み得る。
【0090】
[00108] キャップ層4は、EUVに対する高反射率を有し、一般にその厚さは約10nmが望ましい。金属は、非常に薄い層として塗布された場合でも、一般に10.6μm放射を反射するので、キャッピング層4は非金属材料、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)またはTiO2で形成されることが望ましい。
【0091】
[00109] キャップ層4もまたDUVに対するARコーティングとして機能するので、その厚さは、DUV範囲内で望ましい抑制を与えるように調整される。
【0092】
[00110] 本実施形態において、2つのミラーは図3に示すように十字形に配置され、かつ中間焦点に設けられ得る。図17に示す構造は、図18に示すように各ミラーの両側に施される。赤外放射が、ミラーを介した透過後にEUVビームの外側に誘導されることを確実にするために、層2の裏面は本発明の態様に従ってパターン形成される。
【0093】
[00111] 一実施形態において、裏面は、図17(a)に示すように、EUV反射キャップ層3に対して一般に傾斜する表面配向を有し得る。そして、赤外放射は、EUVが反射される立体角の外側に回折される。図17(a)の鋸歯状プロファイルの周期が赤外波長よりはるかに大きいという条件で、放射が誘導される角度は、単に頂点法線およびスネルの法則によって与えられる。
【0094】
[00112] 一実施形態において、裏面のパターンは赤外放射と同程度の周期を有するので透過格子として機能する。格子プロファイルは、放射の大部分をEUVビーム外の回折次数に誘導するように最適化されてよい。
【0095】
[00113] 一実施形態において、図17(b)に示すように、裏面は、赤外放射(10.6μm)と同程度の長さスケールで、高い表面粗さを有する。この場合、赤外放射は、その放射の大部分がEUVビームの外側に誘導されるように散乱される。本実施形態は、製造しやすいという特別な利点を有し得る。例えば、層2の材料は前述の通りダイヤモンドであってよく、これは平面基板、例えばSi上に成長され得る。適切な成長パラメータを選択することによって、図19に示すように、望ましい粗さがダイヤモンド層の上面に自動的に生じ得る。従って、図17(b)に示すように、基板からのリフトオフ後、層は滑らかな面と粗い面を有する。残りの成されるべきことは、層の滑らかな面へのコーティング3および4の堆積である。
【0096】
[00114] 先行する実施形態のいずれかに基づいた実施形態において、層2のパターン形成された裏面もまた、ARコーティング3と同様の(しかし一般に異なるパラメータを有する)反射防止コーティングで覆われてよい。この追加のARコーティングは層2の内反射を減少させ、それによってスタック全体の透過率を増加させ得る。追加のARコーティングは任意のものである。というのは、内反射は、光がEUVビームの外側で反射または回折される限り、一般に問題とならないからである。
【0097】
[00115] 一実施形態において、層2の裏面はパターン形成されない、または粗くないが、EUV反射面に対して連続的に傾斜される。これは、実質的な傾斜角(例えば、5°)はEUVビームの外側で放射を回折する必要があるので、好適な実施形態であり得ない。このことは比較的厚いミラーの生成につながることになり、図3に示すようにSPFがIFで設けられる場合、エタンデュの望ましくない増加という結果になり得る。従って、傾斜面を数段階で分割して図17(a)に示すような鋸歯パターンを得ることが望ましい場合がある。
【0098】
[00116]中間焦点での入射角は、光軸から2°から9°までであることが前提とされ得る。このことはARコーティングの設計に関連し、ARコーティングは一定の角度範囲内で最適化される。光軸からの最小入射角は2°であるが、ミラーへの最小入射角は0°である(0°に近い)。従って、ミラーは0°から9°までの範囲に対して最適化されるべきである。
【0099】
[00117] この角度範囲についての実施形態は、以下の通りである。
【0100】
[00118] DLC[20nm]/Ge[420nm]/ThF4[5100nm]/Ge[500nm]/ZnSe[変動する]。
【0101】
[00119] ここで、DLC層はEUV反射キャップ層であり、Ge/ThF4/GeスタックはARコーティングであり、ZnSe層はパターン形成された裏面を有する赤外線透過層である。
【0102】
[00120] 図4は、13.5nmでのp偏光およびs偏光に対する一般的な実施形態の反射率を示す。この波長において、反射率は、DLCキャップ層によってのみ決定される。偏光の影響は非常に小さく、反射率は角度範囲全体に対して>80%である。
【0103】
[00121] 図5は、鏡面反射に対するミラー(すなわち、層2の裏面によって反射され、一般にEUVビームの外側に誘導される部分ではない)の赤外反射率を示す。10.6μmでが、p偏光とs偏光との間で反射率に大きな差がある。ARコーティングの目的は、p偏光放射を抑制することである。そして、s偏光放射は他のミラーによって抑制され、そのために再びp偏光される。この例について、ARコーティングの反射防止特性は、RP<0.5%であって角度4.5°において最適である。角度範囲の上限に向かって、反射率は約10%まで増加し得る。また、ゼロ入射角に向かって(必然的に)100%に近づく。
【0104】
[00122] 基本的な実施形態について算出された全反射率は13.5nmで85.1%であり、10.6μmで10.7%である。すなわち、全スペクトル純度は8倍に増加する。SPFの各位置において、放射はただ1つの角度で入射することを前提とすると、横方向に勾配を持ったコーティングを使用することによって、10.6μmでの反射率を3.29%にまで理想的に低減させることができる。実際に入射角の範囲が存在するので(放射源サイズおよびSPFミラーの厚さに応じて)、その低減は一般により小さくなる。
【0105】
[00123] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0106】
[00124] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0107】
[00125] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0108】
[00126] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0109】
[00127] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0110】
[00128] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を実質的に反射し、かつ第2波長の放射を実質的に透過させる第1層と、
第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収する、または透過させる第2層と、
前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に透過させ、かつ前記第1層に面する前記第2層の上面からの前記第2波長の前記放射の反射を低減させる第3層と、を含み、
前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメント。
【請求項2】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、第2方向に前記第2波長の放射を実質的に反射し、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる、請求項1に記載の光エレメント。
【請求項3】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に回折させる、請求項1に記載の光エレメント。
【請求項4】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に散乱させる、請求項1に記載の光エレメント。
【請求項5】
前記第2層の前記底面は、前記第2波長と同程度の長さスケールで表面粗さを有する、請求項4に記載の光エレメント。
【請求項6】
第4層をさらに含み、前記第4層は前記第2層の前記底面に対して設けられる、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項7】
前記第1材料は、ダイヤモンドライクカーボンおよびTiO2からなる群のうちの少なくとも一つの材料を含む、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項8】
前記第3材料は、ZnSe、ZnS、GaAs、Ge、ThF4、およびYF3からなる群から選択される少なくとも一つの材料を含む、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項9】
前記第1波長の前記放射は、EUV放射である、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項10】
前記第2波長の前記放射は、赤外放射である、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項11】
前記第1層の厚さは、前記第1層が第3波長の放射に対する反射防止コーティングとして機能する程度である、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項12】
前記第1層の前記厚さは、1〜20nmの範囲内にある、請求項11に記載の光エレメント。
【請求項13】
前記第3波長の前記放射はDUV放射である、請求項11または12に記載の光エレメント。
【請求項14】
実質的にEUV放射のみが反射される、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項15】
前記第1波長の前記放射の約70%〜約95%が反射される、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項16】
前記第3波長の前記放射の約0%〜約50%が反射される、請求項15に記載の光エレメント。
【請求項17】
前記第2波長の前記放射の約0%〜約20%が反射される、請求項12または13に記載の光エレメント。
【請求項18】
先行する請求項のいずれかに記載の少なくとも2つの光エレメントを含む光デバイス。
【請求項19】
前記光エレメントのうちの少なくとも2つの光エレメントの反射面が互いに対向しない、請求項18に記載の光デバイス。
【請求項20】
前記光エレメントのうちの少なくとも2つの光エレメントの反射面が互いに交差して位置付けられる、請求項18に記載の光デバイス。
【請求項21】
前記反射面は、互いに少なくとも実質的に垂直に方向決めされる、請求項20に記載の光デバイス。
【請求項22】
前記第1層は、前記第2波長の前記放射を実質的に透過させる、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項23】
先行する請求項のいずれかに記載の少なくとも1つの光エレメントを含むリソグラフィ装置。
【請求項24】
先行する請求項のいずれかに記載の少なくとも2つの光エレメントを含むリソグラフィ装置であって、前記光エレメントのそれぞれの前記反射面が互いに実質的に垂直に方向付けられる、リソグラフィ装置。
【請求項25】
放射ビームを調整する照明システムと、
前記放射ビームにパターン形成するパターニングデバイスと、
基板を保持するサポートと、
前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影する投影システムと、をさらに含む、請求項23に記載のリソグラフィ装置。
【請求項26】
放射ビームを調整する照明システムと、
前記放射ビームにパターン形成するパターニングデバイスと、
基板を保持するサポートと、
前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影する投影システムと、を含むリソグラフィ装置であって、
前記照明システムおよび/または前記投影システムは、
第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を実質的に反射し、かつ第2波長の放射を実質的に透過させる第1層と、
第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収する、または透過させる第2層と、
前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に透過させ、かつ前記第1層に対向する前記第2層の上面からの前記第2波長の前記放射の反射を低減させる第3層と、を含む光エレメントであって、
前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントを含む、リソグラフィ装置。
【請求項27】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、第2方向に前記第2波長の放射を実質的に反射し、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる、請求項26に記載のリソグラフィ装置。
【請求項28】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に回折させる、請求項26に記載のリソグラフィ装置。
【請求項29】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に散乱させる、請求項26に記載のリソグラフィ装置。
【請求項30】
前記第2層の前記底面は、前記第2波長と同程度の長さスケールで表面粗さを有する、請求項29に記載のリソグラフィ装置。
【請求項31】
第4層をさらに含み、前記第4層は前記底面に対して設けられる、請求項27〜30のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項32】
放射ビームにパターン形成してパターン形成された放射ビームを形成することと、
前記パターン形成された放射ビームを基板上に投影することと、
第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を実質的に反射し、かつ第2波長の放射を実質的に透過させる第1層と、
第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収する、または透過させる第2層と、
前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に透過させ、かつ前記第1層に面する前記第2層の上面からの前記第2波長の前記放射の反射を低減させる第3層と、を含む少なくとも1つの光エレメントであって、
前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、少なくとも1つの光エレメントに対して前記放射ビームを反射することと、を含む、デバイス製造方法。
【請求項33】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、第2方向に前記第2波長の放射を実質的に反射し、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる、請求項32に記載のデバイス製造方法。
【請求項34】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に回折させる、請求項32に記載のデバイス製造方法。
【請求項35】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に散乱させる、請求項32に記載のデバイス製造方法。
【請求項36】
前記第2層の前記底面は、前記第2波長と同程度の長さスケールで表面粗さを有する、請求項35に記載のデバイス製造方法。
【請求項37】
第4層をさらに含み、前記第4層は前記底面に対して設けられる、請求項33〜36のいずれかに記載のデバイス製造方法。
【請求項38】
請求項32〜37に記載の方法により製造されたデバイス。
【請求項1】
第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を実質的に反射し、かつ第2波長の放射を実質的に透過させる第1層と、
第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収する、または透過させる第2層と、
前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に透過させ、かつ前記第1層に面する前記第2層の上面からの前記第2波長の前記放射の反射を低減させる第3層と、を含み、
前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメント。
【請求項2】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、第2方向に前記第2波長の放射を実質的に反射し、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる、請求項1に記載の光エレメント。
【請求項3】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に回折させる、請求項1に記載の光エレメント。
【請求項4】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に散乱させる、請求項1に記載の光エレメント。
【請求項5】
前記第2層の前記底面は、前記第2波長と同程度の長さスケールで表面粗さを有する、請求項4に記載の光エレメント。
【請求項6】
第4層をさらに含み、前記第4層は前記第2層の前記底面に対して設けられる、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項7】
前記第1材料は、ダイヤモンドライクカーボンおよびTiO2からなる群のうちの少なくとも一つの材料を含む、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項8】
前記第3材料は、ZnSe、ZnS、GaAs、Ge、ThF4、およびYF3からなる群から選択される少なくとも一つの材料を含む、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項9】
前記第1波長の前記放射は、EUV放射である、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項10】
前記第2波長の前記放射は、赤外放射である、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項11】
前記第1層の厚さは、前記第1層が第3波長の放射に対する反射防止コーティングとして機能する程度である、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項12】
前記第1層の前記厚さは、1〜20nmの範囲内にある、請求項11に記載の光エレメント。
【請求項13】
前記第3波長の前記放射はDUV放射である、請求項11または12に記載の光エレメント。
【請求項14】
実質的にEUV放射のみが反射される、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項15】
前記第1波長の前記放射の約70%〜約95%が反射される、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項16】
前記第3波長の前記放射の約0%〜約50%が反射される、請求項15に記載の光エレメント。
【請求項17】
前記第2波長の前記放射の約0%〜約20%が反射される、請求項12または13に記載の光エレメント。
【請求項18】
先行する請求項のいずれかに記載の少なくとも2つの光エレメントを含む光デバイス。
【請求項19】
前記光エレメントのうちの少なくとも2つの光エレメントの反射面が互いに対向しない、請求項18に記載の光デバイス。
【請求項20】
前記光エレメントのうちの少なくとも2つの光エレメントの反射面が互いに交差して位置付けられる、請求項18に記載の光デバイス。
【請求項21】
前記反射面は、互いに少なくとも実質的に垂直に方向決めされる、請求項20に記載の光デバイス。
【請求項22】
前記第1層は、前記第2波長の前記放射を実質的に透過させる、先行する請求項のいずれかに記載の光エレメント。
【請求項23】
先行する請求項のいずれかに記載の少なくとも1つの光エレメントを含むリソグラフィ装置。
【請求項24】
先行する請求項のいずれかに記載の少なくとも2つの光エレメントを含むリソグラフィ装置であって、前記光エレメントのそれぞれの前記反射面が互いに実質的に垂直に方向付けられる、リソグラフィ装置。
【請求項25】
放射ビームを調整する照明システムと、
前記放射ビームにパターン形成するパターニングデバイスと、
基板を保持するサポートと、
前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影する投影システムと、をさらに含む、請求項23に記載のリソグラフィ装置。
【請求項26】
放射ビームを調整する照明システムと、
前記放射ビームにパターン形成するパターニングデバイスと、
基板を保持するサポートと、
前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影する投影システムと、を含むリソグラフィ装置であって、
前記照明システムおよび/または前記投影システムは、
第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を実質的に反射し、かつ第2波長の放射を実質的に透過させる第1層と、
第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収する、または透過させる第2層と、
前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に透過させ、かつ前記第1層に対向する前記第2層の上面からの前記第2波長の前記放射の反射を低減させる第3層と、を含む光エレメントであって、
前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、光エレメントを含む、リソグラフィ装置。
【請求項27】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、第2方向に前記第2波長の放射を実質的に反射し、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる、請求項26に記載のリソグラフィ装置。
【請求項28】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に回折させる、請求項26に記載のリソグラフィ装置。
【請求項29】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に散乱させる、請求項26に記載のリソグラフィ装置。
【請求項30】
前記第2層の前記底面は、前記第2波長と同程度の長さスケールで表面粗さを有する、請求項29に記載のリソグラフィ装置。
【請求項31】
第4層をさらに含み、前記第4層は前記底面に対して設けられる、請求項27〜30のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項32】
放射ビームにパターン形成してパターン形成された放射ビームを形成することと、
前記パターン形成された放射ビームを基板上に投影することと、
第1材料を含む第1層であって、第1方向に第1波長の放射を実質的に反射し、かつ第2波長の放射を実質的に透過させる第1層と、
第2材料を含む第2層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に吸収する、または透過させる第2層と、
前記第1層と前記第2層との間の第3材料を含む第3層であって、前記第2波長の前記放射を実質的に透過させ、かつ前記第1層に面する前記第2層の上面からの前記第2波長の前記放射の反射を低減させる第3層と、を含む少なくとも1つの光エレメントであって、
前記第1波長の前記放射のスペクトル純度を向上させるために、前記第1層は、前記第2層に対して入射光路の上流に位置する、少なくとも1つの光エレメントに対して前記放射ビームを反射することと、を含む、デバイス製造方法。
【請求項33】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、第2方向に前記第2波長の放射を実質的に反射し、前記第1方向および前記第2方向は互いに実質的に異なる、請求項32に記載のデバイス製造方法。
【請求項34】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に回折させる、請求項32に記載のデバイス製造方法。
【請求項35】
前記第1層に対向しない、前記第2層の底面が、前記第2波長の放射を実質的に散乱させる、請求項32に記載のデバイス製造方法。
【請求項36】
前記第2層の前記底面は、前記第2波長と同程度の長さスケールで表面粗さを有する、請求項35に記載のデバイス製造方法。
【請求項37】
第4層をさらに含み、前記第4層は前記底面に対して設けられる、請求項33〜36のいずれかに記載のデバイス製造方法。
【請求項38】
請求項32〜37に記載の方法により製造されたデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図10(C)】
【図13】
【図16】
【図17(a)】
【図17(b)】
【図19(a)】
【図19(b)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図18】
【図2】
【図3】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図10(C)】
【図13】
【図16】
【図17(a)】
【図17(b)】
【図19(a)】
【図19(b)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図18】
【公表番号】特表2011−524076(P2011−524076A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548013(P2010−548013)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001299
【国際公開番号】WO2009/106291
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001299
【国際公開番号】WO2009/106291
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
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