説明

光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品

【課題】銀または銀合金からなる反射膜を有する光ディスクにおいて、樹脂の架橋密度や耐熱性に関わらず高い耐久性を付与できる紫外線硬化型樹脂組成物を提供すること
【解決手段】(A)ポリスルフィド化合物、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有することを特徴とする銀又は銀合金からなる反射膜を有する光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物を開示する。本発明の樹脂組成物を用いた光ディスクは、耐久性に優れており、反射膜に銀または銀合金を使用した光ディスク、特にDVD等の接着層又はブルーレイディスク等の光透過層用樹脂組成物として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀又は銀合金からなる反射膜を有する光ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実用化されているDVDは、ディスク製造時から映画等の情報が記録済みであるDVD−ROMと、製造時には情報が記録されておらず、色素記録層、無機記録層に消費者自らが情報を記録するタイプの記録型DVDに大きく分けられる。DVD−ROMには、記録層の構成において記録層が片面読み込み一層で記録容量がおよそ5キガバイトのDVD−5、片面読み込み二層で記録容量がおよそ9ギガバイトのDVD−9、両面読み込み二層で記録容量がおよそ10ギガバイトのDVD−10、及び両面読み込み四層で記録容量が18ギガバイトのDVD−18等がある。現在は、約2時間半の映画を収録できる記録容量を持つことから、DVD−9が主流となっている。DVD−9は、アルミニウム合金からなる全反射膜を備えた0.6mmのポリカーボネート基板と、半透明反射膜を備えた0.6mmのポリカーボネート基板を貼り合せて製造させる。半透明反射膜としては、安価で反射率が高い銀または銀合金を使用するのが主流である。一方、記録型DVDには、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAM等多くのフォーマットが存在している。現在主流のDVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RWは片面一層タイプであり、0.6mmのポリカーボネート基板と、有機色素や無機化合物からなる記録層及び反射膜層を備えた0.6mmのポリカーボネート基板を貼り合わせて製造される。反射膜層の材料としては、安価で反射率が高い銀または銀合金が使用されている。
【0003】
また、近年、単層タイプのDVDの約5倍の記録容量を有するブルーレイディスク(Blu−ray Disc:BD)やHD DVDが発売されている。特に、ブルーレイディスクは、透明または不透明のプラスチック製の基板上に記録層を形成し、ついで記録層上に約0.1mmの光透過層を積層した構造で、光透過層を通して記録/再生するディスクである。ブルーレイディスクもまたDVDと同様に反射膜に銀または銀合金を使用するのが主流である。
【0004】
しかしながら、銀または銀合金は酸化されやすいため、高温高湿環境下で銀または銀合金反射膜が変質し、読み取りエラーが増加する問題がある。
この問題を解決する手段として、特許文献1にはアルキレンチオール化合物、特許文献2にはアルキルチオエーテル化合物を含有することを特徴とする紫外線硬化型CD−R用保護コート樹脂が提案されている。
【0005】
また一般に、CD−R用保護コート層は膜厚が10μm程度と薄く、硬化後の応力の影響が少ないため、架橋密度が高く耐熱性の良い樹脂系であっても基板の反りを規格範囲内に収めることが容易である。一方、膜厚が厚いDVD等の接着層、ブルーレイディスク等の光透過層は、耐熱性が良く架橋密度の高い樹脂を使用すると基板の反りが大きくなるため、樹脂自体の耐熱性を高めることが困難である。
すなわち、従来技術の保護コート樹脂を前提としたアルキレンチオール化合物、アルキルチオエーテル化合物では、DVD等の接着層、ブルーレイディスク等の光透過層の銀または銀合金反射膜の変質を防止する特性が十分得られていない状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3861589号公報
【特許文献2】特許第4016669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、銀または銀合金からなる反射膜を有する光ディスクにおいて、樹脂の架橋密度や耐熱性に関わらず高い耐久性を付与できる紫外線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するポリスルフィド化合物を含有する紫外線硬化型樹脂組成物が、銀または銀合金からなる反射膜を有する光ディスクにおいて、優れた耐久性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、次の(1)〜(11)に関するものである。
(1)(A)ポリスルフィド化合物、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有することを特徴とする銀又は銀合金からなる反射膜を有する光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
(2)ポリスルフィド化合物が、下記一般式(1)

(式中、nは2〜6の整数を示す。R1、R、R、Rは、それぞれ単独に水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。Xはそれぞれ単独に酸素原子または硫黄原子を表す。)で示される(1)項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【0010】
(3)一般式(1)で示されるポリスルフィド化合物(A)が、式(2)

、式(3)

又は式(4)

で表される(2)項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【0011】
(4)一般式(1)で示されるポリスルフィド化合物(A)が、組成物全体に対して0.001〜1重量%含有する(2)項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
(5)光重合性化合物(B)として、(B−1)エポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートの少なくとも一方を含む(1)項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
(6)光重合性化合物(B)として、さらに(B−2)(メタ)アクリレートモノマーを含む(5)項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
(7)(メタ)アクリレートモノマー(B−2)が、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、及びエチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である、(6)項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
(8)光重合性化合物(B)として、さらに、リン酸(メタ)アクリレートを含む(5)ないし(7)項のいずれか一項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
(9)光重合開始剤(C)が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンからなる群から選ばれる1種以上である、(1)項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
(10)前記(1)ないし(9)項のいずれか1項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
(11)銀又は銀合金からなる反射膜を有する光ディスク基板に、(1)ないし(9)項のいずれか1項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して得られる光ディスク。
【発明の効果】
【0012】
反射膜に銀または銀合金を使用した光ディスク、特にDVD等の接着層又はブルーレイディスク等の光透過層に、本発明の一般式(1)で示されるポリスルフィド化合物(A)を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を使用することで耐久性が付与され、該樹脂が高架橋密度でない場合においても、高温高湿下での長時間の使用において信頼性の高い光ディスクを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、ポリスルフィド化合物、光重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。
【0014】
本発明の組成物に含有されるポリスルフィド化合物(A)としては、前記一般式(1)で表される化合物の範囲では、特に限定無く使用することができるが、下記式(2)〜(4)で表される化合物であることが好ましい。
【0015】
式(2)

式(3)

式(4)

【0016】
一般式(1)で示される化合物は、例えば、特表2002−524442号記載の方法又はそれに準じた方法により製造することができる。具体的には、式(2)で示される化合物は、モルホリンの石油エーテル溶液を−78℃に冷却してから、二塩化二硫黄を添加し、−78℃で15分間、その後、更に室温で30分間撹拌することによって製造できる。 また、一般式(1)で示される化合物は市販の化合物を使用してもよい。市販の化合物としては、式(2)で示される化合物は、バルノックR(大内新興化学工業(株)製)やアクターR(川口化学工業(株))として入手することができる。
【0017】
(A)成分の紫外線硬化型樹脂組成物中の含有量は通常0.001〜1重量%、好ましくは0.005〜0.5重量%である。0.001重量%未満では耐久性能上の効果が乏しく、1重量%より多く含有すると逆に高温高湿試験下で銀又は銀合金からなる反射膜が変質してしまう傾向がある。
【0018】
本発明の組成物に含有される光重合性化合物(B)としては、(メタ)アクリロイル基を1個以上有する(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。尚、本発明において(メタ)アクリレートとはメタクリレート又はアクリレートを意味し、その種類は特に限定されないが、(B−1)エポキシ(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレート、更には(B−2)(メタ)アクリレートモノマー等を用いることができる。
【0019】
本発明において用いうるエポキシ(メタ)アクリレート(B−1)は、硬化性の向上や硬化物の硬度や硬化速度を向上させる機能がある。また、本発明において、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られたものであればいずれも使用できるが、本発明で好ましく使用されるエポキシ(メタ)アクリレートを得るためのグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールF或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0020】
エポキシ(メタ)アクリレートは、これらグリシジルエーテル型エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸を、下記するような条件で反応させることにより得られる。
【0021】
グリシジルエーテル型エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を0.9〜1.5モル、より好ましくは0.95〜1.1モルの比率で反応させる。反応温度は80〜120℃が好ましく、反応時間は10〜35時間程度である。反応を促進させるために、例えばトリフェニルフォスフィン、TAP、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウムクロライド等の触媒を使用するのが好ましい。又、反応中、重合を防止するために重合禁止剤(例えば、パラメトキシフェノール、メチルハイドロキノン等を使用することもできる。
【0022】
本発明において、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型のエポキシ化合物より得られた、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートがより好ましい。本発明において、エポキシ(メタ)アクリレート(B−1)の分子量としては500〜10000が好ましい。
【0023】
本発明において用いうるウレタン(メタ)アクリレート(B−1)は本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を用いて貼り合せた光ディスクの機械的特性(反り、ゆがみ等)を向上させる機能がある。ウレタン(メタ)アクリレートは、多価アルコール、有機ポリイソシアネート及びヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物を反応させることによって得られる。
【0024】
多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−〔ヒドロキシメチル〕−シクロヘキサン等、これら多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール、多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンアルコール、ポリカーボネートポリオール(例えば1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等)又はポリエーテルポリオール(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等)等が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はジシクロペンタニルイソシアネート等が挙げられる。
【0025】
又、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
前記反応は、例えば、以下のようにして行う。即ち、多価アルコールにその水酸基1当量あたり有機ポリイソシアネートをそのイソシアネート基が好ましくは1.1〜2.0当量になるように混合し、反応温度を好ましくは70〜90℃で反応させ、ウレタンオリゴマーを合成する。次いで、ウレタンオリゴマーのイソシアネート基1当量あたり、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物をその水酸基が好ましくは1〜1.5当量となるように混合し、70〜90℃で反応させて目的とするウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。また、UX−6101:ポリエーテル系ウレタンアクリレート(日本化薬株式会社製)等として市場より入手することも可能である。ウレタン(メタ)アクリレート(B−1)の分子量としては400〜10000程度が好ましい。
【0027】
光重合性化合物(B)として用いうる(メタ)アクリレートモノマー(B−2)は特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基を1つ有するものとして、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−511A)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−512A)、ジシクロペンテニルオキシメタクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−512M)、ジシクロペンタニルアクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−513A)、ジシクロペンタニルメタクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−513M)、1−アダマンチルアクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate AA)、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate MA)、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate EA)、1−アダマンチルメタクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate AM)等を挙げることができる。(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリレートモノマーは本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を用いて貼り合せた光ディスクの機械的特性(反り、ゆがみ等の抑制)を向上させる機能を有する。
【0028】
光重合性化合物(B)として用いうる(メタ)アクリロイル基を2個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,3−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)社製、KAYARAD R−684、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等)、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)社製、KAYARAD R−604、ジオキサングリコールジアクリレート)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)ジアクリレート、アルキレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)ジアクリレート、ヒドロキシシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0029】
光重合性化合物(B)として用いうる(メタ)アクリロイル基を3個有する(メタ)アクリレートモノマー(B−2)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクロイルオキシエチル]イソシアヌレ−ト、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0030】
光重合性化合物(B)として用いうる(メタ)アクリロイル基を4個有する(メタ)アクリレートモノマー(B−2)としては、ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0031】
光重合性化合物(B)として用いうる(メタ)アクリロイル基を5個有する(メタ)アクリレートモノマー(B−2)としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0032】
光重合性化合物(B)として用いうる(メタ)アクリロイル基を6個有する(メタ)アクリレートモノマー(B−2)としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なお、本発明において用いうる(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリロイル基を7個以上有する多官能のものであってもよい。
【0033】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物においては、これら(B)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。(B)成分の紫外線硬化型樹脂組成物中の含有量は通常80〜98重量%、好ましくは85〜98重量%である。また、(B)成分として(B−1)と(B−2)を併せて用いる場合、通常(B−1)はB成分100重量部に対して20〜80重量部、好ましくは25〜75重量部程度であり、(B−2)はB成分100重量部に対して20〜80重量部、好ましくは25〜75重量部程度用いられる。
【0034】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物においては、(B)成分として、必要によりリン酸(メタ)アクリレートを加えることができる。リン酸(メタ)アクリレートは、アルミニウム、銀または銀合金と接着剤硬化物との接着性を向上させるが、金属膜を腐食させる恐れがありその使用量は制限される。
【0035】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物に含有し得るリン酸(メタ)アクリレートとしては、リン酸エステル骨格を有する(メタ)アクリレートであれば、モノエステル、ジエステルあるいはトリエステル等特に限定されず、例えば、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性オクチルオキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、日本化薬(株)社製PM−2(エチレンオキシド変性リン酸ジメタクリレート)等として入手可能である。本発明においては、エチレンオキシド変性リン酸ジメタクリレートが好ましく用いられる。リン酸(メタ)アクリレートは1種または2種以上を任意の割合で混合使用することができる。リン酸(メタ)アクリレートを本発明の接着用樹脂組成物中に含有させる場合、その含有量は通常0.005〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%である。
【0036】
本発明の組成物に含有される光重合開始剤(C)としては、特に限定はされないが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアー184;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(ONE-Rifined)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュアー2959;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュアー127;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュア651;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュアー907;チバスペシャリティーケミカルズ製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0037】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物においては、これら(C)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。(C)成分の紫外線硬化型樹脂組成物中の含有量は通常0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。
【0038】
更に、光重合開始助剤となりうるアミン類等を上記の光重合開始剤と併用することもできる。使用しうるアミン類等としては、安息香酸2−ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルまたはp−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等が挙げられる。該アミン類等の光重合開始助剤を使用する場合、本発明の接着用樹脂組成物中の含有量は通常0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%である。
【0039】
本発明の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、有機溶剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、蛍光増白剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン化合物等)、充填剤等の添加剤を加えてもよい。
ヒンダードアミン化合物の具体例として例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアルコール、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアルコール、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート(LA-82)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、またチバスペシャルティーケミカルズ社製、CHIMASSORB 119FL、CHIMASSORB 2020FDL、CHIMASSORB 944FDL、TINUVIN 622LD、TINUVIN 123S、TINUVIN 144、TINUVIN 765、TINUVIN 770DF、TINUVIN 111FDL、TINUVIN 783FDL、TINUVIN 791FB、TINUVIN XT850FF、TINUVIN XT855FF、などが挙げられる。
【0040】
本発明の接着用樹脂組成物は、前記した各成分を常温〜80℃で混合溶解して得ることができ、必要により夾雑物をろ過等の操作により取り除いてもよい。本発明の接着用樹脂組成物は、塗布性を考え、25℃の粘度が100〜5000mPa・sの範囲となるように、成分の配合比を適宜調節することが好ましい。
【0041】
本発明の接着用樹脂組成物は、光ディスク用保護コート剤としても使用可能であるが、特にDVD等の貼り合わせ型光ディスク用接着剤、又はブルーレイディスク等のレーザー入射側の光透過層用コート剤として好適に使用できる。具体的には塗布した樹脂の膜厚が1〜150μmとなるように任意の方法、例えば、スピンコート法、2P法、ロールコート法、スクリーン印刷法等で組成物を光ディスク基板に塗工する。貼り合わせ型であれば、2枚の光ディスク基板を重ね合わせた後、片側もしくは両面から紫外〜近紫外(波長200〜400nm付近)の光線を照射して接着層を硬化させ接着する。また、光透過層であれば組成物を塗布後、片側もしくは両面から紫外〜近紫外(波長200〜400nm付近)の光線を照射して硬化させる。照射量は約50〜1500mJ/cm2が好ましく、特に好ましくは、100〜1000mJ/cm2程度である。紫外〜近紫外の光線照射による硬化には、紫外〜近紫外の光線を照射するランプであれば光源を問わない。例えば、低圧、高圧若しくは超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、(パルス)キセノンランプ、または無電極ランプ等が挙げられる。
【0042】
光ディスク基板としては公知のもの、即ち、半透明反射膜としてシリコン、シリコン化合物、銀及び銀合金を使用したもの等が使用できる。特に本発明の組成物は、全反射膜または半透明反射膜として銀または銀合金を使用した、光ディスクに好適である。
【0043】
本発明には、本発明の樹脂組成物を用い、紫外線を照射して光ディスク基板を接着して得られる光ディスク、特に光ディスク基板が、その少なくとも一方が銀または銀合金の全反射膜または半透明反射膜を有する光ディスク基板である貼り合わせ光ディスク、銀または銀合金の全反射膜または半透明反射膜を有する1.1mmの光ディスク基板上に、組成物の塗布による硬化膜または透明フィルムの貼り合わせにより光透過層を形成した光ディスクも含まれる。該光ディスクはDVD−ROM(DVD−5、DVD−10、DVD−9、DVD−14、DVD−18)、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAM、DVD−R片面2層方式、DVD+R片面2層方式、DVD−RW片面2層方式、DVD+R片面2層方式、HD DVD−ROM、HD DVD−R、BD−ROM、BD−R、BD−RE等に使用される。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
実施例D1〜D5、比較例D1〜D2、実施例B1〜B7、比較例B1〜B2
実施例D1〜D5、比較例D1〜D2を表1に、実施例B1〜B7、比較例B1〜B2を表2に示した組成からなる紫外線硬化型樹脂組成物を調整した。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
なお、表1、表2中に略称で示した各成分は下記の通りである。
式(2)の化合物:バルノックR(大内新興化学工業(株)製)
EPA:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート
UA−1:ポリテトラメチレングリコール(分子量850)、イソホロンジイソシアネート、
2−ヒドロヒキシエチルアクリレートの3成分をモル比1:2:2の反応物。
BPE4A:エチレンオキサイド4モル変性ビスフェノールA型ジアクリレート、第一工業製薬(株)社製
BPE−10:エチレンオキサイド10モル変性ビスフェノールA型ジアクリレート、第一工業製薬(株)社製
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート
HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、日本化薬(株)社製
FA−512A:ジシクロペンタジエンオキシエチルアクリレート、日立化成(株)社製
PHE−2:エチレンオキサイド2モル変性フェノキシエチルアクリレート
PM−2:エチレンオキシド変性リン酸ジメタクリレート、日本化薬(株)社製
イルガキュアー184D:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製
エサキュアONE-Rifined:2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、日本シーベルへグナー社製
LA−82:1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタアクリレート、旭電化
(株)社製
L−7002:シリコーン、東レ・ダウコーニング(株)社製
KBM−803:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学(株)社製
各々の実施例及び比較例の組成物の粘度については、25℃(E型粘度計)にて測定した。
【0048】
得られた本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を用いて、貼り合せタイプのDVD+R、光透過層
タイプのBD−ROMを作成し、特性評価を行った。
【0049】
試験例1(表1)
実施例D1〜D5、および比較例D1〜D2で得られた紫外線硬化型樹脂組成物を以下の方法で評価した。
(1−1)表1 貼り合せタイプのDVD+Rとして
1.銀反射膜基板は、DVD+R用のピットが形成されている0.6mm厚PC基板にアゾ色素記録層をスピンコート法により作成し、80℃で15分間乾燥させた後、ユナクシス社製銀を使用し、平均100nmの膜厚になるようスパッタし作製した。
2.銀反射膜基板内周上に本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を2.5g円状に供給した。
3.0.6mmPC基板を、銀反射膜基板上(スパッタ面が上)に乗せ、3000rpmの速度で4秒間スピンコートし、PC基板と銀反射膜との間の本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の膜厚が35から55μmになるように重ね合わせた。装置はグローバルマシーナリー社製を使用した。
4.キセノンフラッシュランプを使用し、上側から80Jで8ショット照射して本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を硬化せしめ、ディスク基板を接着させた。なお、DVDディスクの向きは上側PC基板、下側銀反射膜基板である。
5.上記1〜4により作製した、DVD+R基板に、パイオニア社製ドライブ(型式:DVR−110)により8倍速の書き込み速度で、約4.7ギガバイトの信号を記録した。
【0050】
(1−2) DVD+Rの耐久性試験前後の電気信号、反射膜外観
本発明の貼り合せ光ディスク及び比較例の貼り合せ光ディスクを、80℃、85%RH環境下、500時間放置した。DVDデータ信号測定装置AUDIO DEV.社製DVD−CATS SA−300を用いて、耐久性試験後の貼り合せ光ディスクの電気信号(PISum8)を測定し、評価した。PISum8は光ディスクの電気信号のひとつであり、これらの数値が高いほど、貼り合せ光ディスクのデータが劣化していることを示す。また、目視により反射膜の状態を観察した。評価した結果を以下の表記により表1に示した。
【0051】
PIsum8の評価
○・・・PISum8値280未満。
×・・・PISum8値280以上。
反射膜外観
○・・・接着直後と比較し、500時間後の評価において反射膜の状態に変化が見られない。
×・・・接着直後と比較し、500時間後の評価で反射膜に変色が見られる。
【0052】
試験例2(表2)
実施例B1〜B6、または比較例B1、B2で得られた紫外線硬化型樹脂組成物を以下の方法で評価した。
(2−1) 表2 光透過層タイプのBD−ROMとして
1.銀反射膜基板は、BD−ROM用のピットが形成されている1.1mm厚PC基板に神戸製鋼所社製銀合金GB−100を使用し、平均30nmの膜厚になるようスパッタし、銀反射膜付きディスク基板を作製した。
2.銀反射膜面が上になるようスピンテーブルに乗せ、内径11.5mmまで覆う様に円状のキャップ処理を行い、ついで本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を2.5g中心部のキャップ上に供給した。
3.本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の粘度に合わせ、1000rpmから1500rpmの速度範囲で4秒から7秒間スピンコートし、各塗布膜厚が95μmから105μmとなるよう塗布した。スピンコート終了間際にキセノンフラッシュランプを2ショット照射し、表面の流動性が無くなる程度に硬化させた。
4.キセノンフラッシュランプを使用し、上側から80Jで8ショット照射して本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を完全硬化させ、光透過層を有するBD−ROMを得た。
なお、本願発明のディスクは樹脂表面にハードコート処理を行う事が可能であるが、本評価においては光透過層自体の耐久性評価を実施するため、ハードコート処理を実施せずに評価を行った。
【0053】
(2−2) BD−ROMの耐久性試験前後の電気信号、反射膜外観
本発明の光ディスク及び比較例の光ディスクを、80℃、85%RH環境下、250時間放置した。ブルーレイディスクデータ信号測定装置パルステック社製ODU−1000を用いて、耐久性試験後のBD−ROMの電気信号(RSER)を測定し、評価した。RSERは光ディスクの電気信号のひとつであり、これらの数値が高いほど、BD−ROMのデータが劣化していることを示す。また、目視により反射膜の状態を観察した。評価した結果を以下の表記により表2に示した。
【0054】
RSERの評価
○・・・RSER値2.0E−04(2.0×10−4を表す)未満。
×・・・RSER値2.0E−04(2.0×10−4を表す)以上。
なお、RSER値の「2.0E−04」は「2.0×10−4」を表し、表2における同様な記載も、同様な意味を表す。例えば、実施例B1における初期値5.1E−05は「5.1×10−5」を表し、他の記載も同様である。
反射膜外観
○・・・接着直後と比較し、250時間後の評価において反射膜の状態に変化が見られない。
×・・・接着直後と比較し、250時間後の評価で反射膜に変色が見られる。
【0055】
表1および表2の結果より、式(2)で示される硫黄含有化合物を含有する実施例D1〜D5、及びB1〜B6の本発明の樹脂組成物は、DVDやブルーレイディスクの耐久性試験の試験において良好な電気特性と反射膜外観評価が得られた。一方、ポリスルフィド化合物を含有しない比較例D1、D2、B1、B2は耐久性試験の電気特性と反射膜外観評価において不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の樹脂組成物を用いた光ディスクは銀又は銀合金からなる反射膜を有するものであっても、耐久性に優れており、反射膜に銀または銀合金を使用した光ディスク、特にDVD等の接着層又はブルーレイディスク等の光透過層用樹脂組成物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリスルフィド化合物、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有することを特徴とする銀又は銀合金からなる反射膜を有する光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
ポリスルフィド化合物が、下記一般式(1)

(式中、nは2〜6の整数を示す。R1、R、R、Rは、それぞれ単独に水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。Xはそれぞれ単独に酸素原子または硫黄原子を表す。)で示される請求項1に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
一般式(1)で示されるポリスルフィド化合物(A)が、式(2)

、式(3)

又は式(4)

で表される請求項2に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
一般式(1)で示されるポリスルフィド化合物(A)が、組成物全体に対して0.001〜1重量%含有する請求項2に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
光重合性化合物(B)として、(B−1)エポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートの少なくとも一方を含む請求項1に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
光重合性化合物(B)として、さらに(B−2)(メタ)アクリレートモノマーを含む請求項5に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項7】
(メタ)アクリレートモノマー(B−2)が、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、及びエチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である、請求項6に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項8】
光重合性化合物(B)として、さらに、リン酸(メタ)アクリレートを含む請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項9】
光重合開始剤(C)が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
【請求項11】
銀又は銀合金からなる反射膜を有する光ディスク基板に、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の光ディスク用紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して得られる光ディスク。

【公開番号】特開2011−96320(P2011−96320A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249502(P2009−249502)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】