説明

光ディスク装置、及び光ディスク装置の再生パワー設定方法

【課題】光ディスク記録媒体が装着されたとき、単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体が3層以上の記憶層を有する多層光ディスク記録媒体であると誤って判別された場合であっても、再生パワーによる光ディスク記録媒体の劣化や破壊を防止する。
【解決手段】光ディスク記録媒体が装着されたとき、光ディスク記録媒体に対して光ピックアップ部によりフォーカスサーチを行い、フォーカスサーチの結果に基づいて光ディスク記録媒体の種類を判別する。3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体であると判別されたとき、3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体と同じ規格であるとともに単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体用の再生パワーを光ピックアップ部に設定し、設定した再生パワーでの再生動作により、光ディスク記録媒体の種類を示す光ディスク情報を読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク記録媒体に対して再生動作を行う光ディスク装置に関し、特に光ディスク装置の再生パワー設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blue-ray Disc:登録商標)などの光ディスク記録媒体が広く普及している。これらの光ディスク記録媒体では単層又は2層の記録層を有しているが、記憶容量をさらに増大させるために、3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体も実用されつつある。(以下では、単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体と区別するために、3層以上の記録層を有する光ディスク記録媒体のみを「多層光ディスク記録媒体」と呼ぶ。)たとえば、BDでは、3〜8層の記録層を有するBDXL(登録商標)が規格化されており、そのうち、3層の記録層を有するBDTLや、4層の記録層を有するBDQLが実用化されている。
【0003】
たとえば、特許文献1では、記録再生可能な7層の記録層と再生専用の1層の記録層とを有する多層光ディスク記録媒体が開示されている。また、特許文献2では、n層(n=2〜8)の記録層を有する光ディスク記録媒体が記載されている。また、特許文献3では、2層又は3層以上の記録層を有する光ディスク記録媒体が記載されている。また、特許文献4では、複数の記録層を有する光ディスク記録媒体の開発が行われていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−186545号公報
【特許文献2】特開2010−160864号公報
【特許文献3】特開2009−140580号公報
【特許文献4】特開2003−257072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体では、単層又は2層の記録層を有する従来の光ディスク記録媒体と比較して、より大きな光出力を必要とする。そのため、光ディスク装置に光ディスク記録媒体をマウントしたときに、単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体が3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体であると誤って判別されると、過大な光出力が設定され、再生動作時の光出力(すなわち、再生パワー)により光ディスク記録媒体が劣化したり破壊されたりすることがある。
【0006】
たとえば、BDでは、CDやDVDなどと比べて、記録面での反射率が低く、記録面側の保護層が非常に薄い。そのため、BDの反りやうねり、フォーカス誤差などにより、装着された光ディスク記録媒体がBDSLやBDDLであっても、BDXLであると誤認識され易い。そして、BDSLやBDDLに対して再生動作を行うとき、BDXL用の再生パワーが設定されていると、BDSLやBDDLが劣化したり破壊されたりすることになる。
【0007】
特許文献1では、光ディスク記録媒体のアドレス情報を再生するとき、記録再生可能な記録層用の再生パワーに設定することしか開示しておらず、特許文献2では、多層光ディスク記録媒体の記録層数の判別方法を開示しているが、多層光ディスク記録媒体の記録層数を誤って判別した場合の処理についての記載はない。そのため、上述のような問題は解決し得ない。また、特許文献3では、再生パワーを基準再生パワーに設定したのち、再生パワーを所定量変化させながら測定したジッタ値の変化量に基づいて、多層光ディスク記録媒体に対して最適な再生パワーを求めているが、基準再生パワーはレーザノイズの影響を受ける程度の低いパワーであることしか記載されていない。また、特許文献4では、1層の記録層を有する光ディスク記録媒体であるか2層の記録層を有する光ディスク記録媒体であるかを判別した結果に基づいて、再生パワー及び記録パワーを設定することしか開示していない。
【0008】
このように、特許文献1〜4においても、単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体が3層以上の記憶層を有する多層光ディスク記録媒体であると誤って判別されると、再生パワーにより光ディスク記録媒体が劣化したり破壊されたりすることになる。
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、光ディスク記録媒体が装着されたとき、単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体が3層以上の記憶層を有する多層光ディスク記録媒体であると誤って判別された場合であっても、再生パワーによる光ディスク記録媒体の劣化や破壊を防止することができる光ディスク装置、及び光ディスク装置の再生パワー設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の光ディスク装置は、光ディスク記録媒体が装着されたとき、前記装着された光ディスク記録媒体に対してフォーカスサーチを行う光ピックアップ部と、前記フォーカスサーチの結果に基づいて、前記装着された光ディスク記録媒体の種類を判別する判別回路部と、前記判別回路部が前記装着された光ディスク記録媒体を3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体であると判別したとき、前記多層光ディスク記録媒体と同じ規格であるとともに単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体用の再生パワーを前記光ピックアップ部に設定する光出力設定回路部と、前記光出力設定回路部が設定した再生パワーでの再生動作により、前記装着された光ディスク記録媒体の種類を示す光ディスク情報を前記装着された光ディスク記録媒体から読み出す再生制御回路部と、を備える。
【0011】
上記構成によれば、光ディスク記録媒体が装着されたとき、光ディスク記録媒体の種類がフォーカスサーチの結果に基づいて判別される。3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体であると判別されると、3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体と同じ規格であるとともに単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体用の再生パワーが設定される。そして、設定された再生パワーでの再生動作により、光ディスク記録媒体の種類を示す光ディスク情報が光ディスク記録媒体から読み出される。従って、光ディスク記録媒体が装着されたとき、単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体が3層以上の記憶層を有する多層光ディスク記録媒体であると誤って判別された場合であっても、再生パワーによる光ディスク記録媒体の劣化や破壊を防止することができる。
【0012】
上記構成において、前記再生制御回路部が前記光ディスク情報を読み出したとき、前記光出力設定回路部が前記光ピックアップ部の再生パワーを、前記光ディスク情報が示す前記装着された光ディスク記録媒体の種類に応じた再生パワーに切り替えてもよい。
【0013】
さらに、上記構成において、前記光出力設定回路部は、前記光ピックアップ部の再生パワーを、前記光ディスク情報が示す前記装着された光ディスク記録媒体の種類に応じた再生パワーに切り替えたのち、前記光ピックアップ部の光出力制御に必要なパラメータを前記再生パワーに応じて調整してもよい。
【0014】
また、上記構成において、前記装着された光ディスク記録媒体がブルーレイディスクであってもよい。
【0015】
また、上記目的を達成するために本発明の光ディスク装置の再生パワー設定方法は、光ディスク記録媒体が装着されたとき、前記装着された光ディスク記録媒体に対してフォーカスサーチが行われるステップと、前記フォーカスサーチの結果に基づいて、前記装着された光ディスク記録媒体の種類が判別されるステップと、前記判別されるステップにおいて前記装着された光ディスク記録媒体が3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体であると判別されたとき、前記多層光ディスク記録媒体と同じ種類であるとともに単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体用の再生パワーが設定されるステップと、前記設定されるステップにおいて設定された前記再生パワーでの再生動作により、前記装着された光ディスク記録媒体の種類を示す光ディスク情報が前記装着された光ディスク記録媒体から読み出されるステップと、を備える。
【0016】
上記構成によれば、光ディスク記録媒体が装着されたとき、光ディスク記録媒体の種類がフォーカスサーチの結果に基づいて判別される。3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体であると判別されると、3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体と同じ規格であるとともに単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体用の再生パワーが設定される。そして、設定された再生パワーでの再生動作により、光ディスク記録媒体の種類を示す光ディスク情報が光ディスク記録媒体から読み出される。従って、光ディスク記録媒体が装着されたとき、単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体が3層以上の記憶層を有する多層光ディスク記録媒体であると誤って判別された場合であっても、再生パワーによる光ディスク記録媒体の劣化や破壊を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光ディスク記録媒体が装着されたとき、光ディスク記録媒体の種類がフォーカスサーチの結果に基づいて判別される。3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体であると判別されると、3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体と同じ規格であるとともに単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体用の再生パワーが設定される。そして、設定された再生パワーでの再生動作により、光ディスク記録媒体の種類を示す光ディスク情報が光ディスク記録媒体から読み出される。従って、光ディスク記録媒体が装着されたとき、単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体が3層以上の記憶層を有する多層光ディスク記録媒体であると誤って判別された場合であっても、再生パワーによる光ディスク記録媒体の劣化や破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用した光ディスク装置の構成図である。
【図2】光ディスク装置の再生パワー設定方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図3】光ディスク装置の再生パワー設定方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
本発明を適用した光ディスク装置1は、たとえばBDプレイヤーであり、たとえば、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などの着脱可能な光ディスク2に対して情報の書き込み(記録)や読み出し(再生)を行う。光ディスク装置1に対応する光ディスク2は、BDXL(登録商標)、BDSL及びBDDLなどのBDを少なくとも含む光ディスク記録媒体である。なお、BDXLは3層以上の記録層を有するBD(3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体)である。また、BDSLは単層の記録層を有するBDであり、BDDLは2層の記録層を有するBDである。そのほかに、光ディスク装置1に対応する光ディスク2には、たとえばDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)などの光ディスク記録媒体が含まれるが、特に限定しない。
【0021】
図1は、本発明を適用した光ディスク装置の構成図である。図1に示すように、光ディスク装置1は、光ピックアップ部10と、メモリ20(記憶部)と、制御回路部30と、LDドライバ40と、スレッドモータ50と、スピンドルモータ60と、サーボ回路部70と、映像音声処理回路部80と、出力回路部90と、を備えている。この他、光ディスク装置1は、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置を備えていてもよい。
【0022】
光ピックアップ部10は、光ディスク装置1に光ディスク2がマウント(装着)されたとき、光ディスク2に対してフォーカスサーチを行うとともに、マウントされた光ディスク2に対して、データの書き込み(記録)や読み出し(再生)を行う。光ピックアップ部10は、レーザダイオード101と、ビームスプリッタ102と、対物レンズ103と、アクチュエータ104と、フォトダイオード105と、を有している。なお、以下では、レーザダイオードをLDと呼び、フォトダイオードをPDと呼ぶ。
【0023】
LD101は、LDドライバ40から供給される駆動電力に応じた強さのレーザ光を出射する半導体レーザ素子であり、BD用のレーザ光を出射する第1LD101aと、DVD用のレーザ光を出射する第2LD101bと、を有している。このほか、LD101はCD用のレーザ光を出射する第3LDを有していてもよい。なお、LD101には一定の定格電圧が印加されている。そのため、実際には、LD101のレーザ光の光出力はLDドライバ40から供給される駆動電流Iopにより制御されている。
【0024】
ビームスプリッタ102は、LD101から出射されるレーザ光を、光ディスク装置1にマウントされている光ディスク2の記録面へと導く。また、ビームスプリッタ102は、光ディスク2の記録面にて反射されたレーザ光(以下、反射光と呼ぶ。)を、PD105に導く。
【0025】
対物レンズ103は、光ディスク2の記録面に入射するレーザ光を集光して、レーザ光による光スポットを光ディスク2の記録面上に形成する。
【0026】
アクチュエータ104は、フォーカスサーチやトラッキング調整などを行うために、サーボ回路部70から出力される制御信号に基づいて、対物レンズ103をフォーカス方向(光ディスク2の記録面に略垂直な方向)やトラッキング方向(光ディスク2の半径方向)に駆動する。
【0027】
PD105は、受光する反射光を光電変換し、この反射光の強さに応じた大きさの電流信号を生成する。なお、PD105において生成された電流信号は、所定の変換回路によって、当該電流信号の大きさに対応した電圧信号に変換されるようになっていてもよい。いずれにしても、光ピックアップ部10によって、反射光の強さに応じた大きさの光電変換信号(電流信号あるいは電圧信号)が生成されることになる。また、この光電変換信号は、反射光の強さを反映しているため、光ディスク2に対して記録又は読み取ったデータを含むとともに、LD101から出射されたレーザ光の光出力の情報をも含んでいる。そこで光ディスク装置は、この光電変換信号をLD101が発するレーザ光の光出力をフィードバック制御するための制御信号としても利用する。そのため、PD105から出力される光電変換信号は、LDドライバ40及び映像音声処理回路部80に出力される。
【0028】
メモリ20は不揮発性の記録媒体である。メモリ20は、制御回路部30により利用される制御情報及びプログラムや光ディスク2から読み出した情報(たとえば光ディスク情報などを含む物理情報)などを格納している。制御情報は、光出力データテーブルや切替情報などを含んでいる。光出力データテーブルには、光ディスク2の物理的特性(たとえば、反射率など)、フォーカスサーチの条件(フォーカスサーチに必要な時間など)、LD101のレーザ光の光出力(たとえば、再生パワー及び記録パワー)の設定値、LD101に供給する駆動電力(駆動電圧及び駆動電流Iop)の設定値などが光ディスク2の種類と関連付けられて予め設定されている。また、切替情報は、光ピックアップ部10の再生パワー(すなわち、再生動作時のLD101の光出力)がBDXL用の再生パワーに切り替え済みであるか否かを示している。また、光ディスク情報は、光ディスク2の種類などを示す管理情報であり、光ディスク2の内周領域(たとえば、BDのPIC領域)に記録されている物理情報に含まれている。そのほか、メモリ20は、映像音声処理回路部80にて生成されるコンテンツデータや、映像音声出力回路部90に対して入出力されるデータなどを格納している。
【0029】
制御回路部30は、メモリ20に格納された制御情報やプログラムを利用して光ディスク装置1の各部を制御している。また、制御回路部30は、判別回路部301と、光出力設定回路部302と、再生制御回路部303と、を有している。
【0030】
判別回路部301は、フォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2の種類を判別する。なお、光ディスク2の種類とは、光ディスク2の規格(たとえば、CD、DVD、BDなど)、光ディスク2の記録層の数、光ディスク2が再生専用、追記型の記録再生用、書き換え可能型の記録再生用のうちのいずれに該当するか、などを意味している。
【0031】
光出力設定回路部302は、メモリ20に格納されている光出力データテーブルを参照し、光ディスク2の種類に応じて、LDドライバ40がLD101に供給する駆動電力の電力値を設定するとともに、設定した駆動電力の電力値に応じたLD101の光出力の制御、及びLD101の発光/停止(すなわち、LD101に駆動電力を供給するか否か)の制御をするための発光制御信号をLDドライバ40に出力する。また、光出力設定回路部302は、これらの駆動電力の電力値に応じたLD101の光出力の制御、及びLD101の発光/停止(すなわち、LD101に駆動電力を供給するか否か)の制御をするための発光制御信号をLDドライバ40に出力する。なお、実際には、LD101に一定値の駆動電圧が印加されるため、LD101の光出力はLD101に供給する駆動電流Iopにより制御される。従って、光出力設定回路部302は、光ディスク2の種類に応じて、LDドライバ40がLD101に供給する駆動電流Iopの電流値を設定する。
【0032】
また、光出力設定回路部302は、判別回路部301が光ディスク2を3層以上の記録層を有するBDXLであると判別したとき、BDXLと同じ種類であるBDSL又はBDDL用の再生パワーを光ピックアップ部10に設定する。このとき、光出力設定回路部302はさらに、メモリ20から切替情報を読み出し、光ピックアップ部10の再生パワーがBDXL用の再生パワーに切り替え済みでないことを切替情報に設定してメモリ20に上書きで格納する。
【0033】
また、光出力設定回路部302は、再生制御回路部303が光ディスク情報を読み出したとき、光ピックアップ部10の再生パワーを、光ディスク情報が示す光ディスク2の種類に応じた再生パワーに切り替える。このとき、光出力設定回路部302はさらに、メモリ20に格納されている切替情報を参照する。切替情報が、光ピックアップ部10の再生パワーがBDXL用の再生パワーに切り替え済みでないことを示すとき、光出力設定回路部302は、BDXL用の再生パワーを光ピックアップ部10に設定するとともに、切替情報を切り替え済みに設定してメモリ20に上書きで格納する。
【0034】
再生制御回路部303は、光ディスク装置1に光ディスク2がマウントされたとき、光出力設定回路部302が設定した再生パワーでの再生動作により、光ディスク2の種類を示す光ディスク情報を含む物理情報を光ディスク2から読み出す。
【0035】
LDドライバ40は、光出力設定回路部302から入力される発光制御信号に基づいて、LD101の発光/停止を制御する発光制御回路部である。また、LDドライバ40は、LD101に一定の駆動電圧を印加するとともに、LD101の光出力制御を行うために、LD101に供給する駆動電流Iopの電流値を制御している。また、LDドライバ40は、LD101の光出力をフィードバック制御するAPC(Automatic Power Control)機能を有している。LDドライバ40は、LD101から出射されるレーザ光の光出力(たとえば記録パワーや再生パワー)が変動しないように、PD105から入力される光電変換信号に基づいて、LD101に供給する駆動電流Iopの電流値をフィードバック制御している。
【0036】
スレッドモータ50は、サーボ回路部70から出力される制御信号に基づいて、光ディスク2の半径方向に光ピックアップ部10を移動させる駆動部である。スピンドルモータ60は、サーボ回路部70から出力される制御信号に基づいて、光ディスク2を回転させる駆動部である。サーボ回路部70は、制御回路部30から入力される制御信号に基づいて、光ピックアップ部10内のアクチュエータ104、スレッドモータ50、及びスピンドルモータ60の駆動制御を行っている。
【0037】
映像音声処理回路部80は、光電変換信号に対して各種の処理(復調処理など)を施し、光電変換信号に基づいて様々なコンテンツデータ(たとえば、映像データや、音声データ、文字データなど)を生成し、たとえば映像信号や音声信号として出力回路部90に出力する。出力回路部90は、外部接続端子を有し、外部の機器に対して映像信号や音声信号、制御信号を入出力するインターフェースである。
<第1実施形態>
【0038】
次に、光ディスク装置1に光ディスク2がマウントされたとき、光ディスク装置1が光ピックアップ部10に再生パワーを設定する方法の第1実施形態について説明する。図2は、光ディスク装置の再生パワー設定方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【0039】
まず、光ディスク装置1に光ディスク2がマウント(装着)されると、光ピックアップ部10が光ディスク2に対してフォーカスサーチを行う(ステップS101)。このとき、LD101の光出力は光出力設定回路部302により予め定められる光出力に設定される。この光出力は、少なくとも光ディスク2の第1記録層(所謂Layer0)に対してフォーカスサーチを適正に行うことができる光出力であればよく、特に限定しない。
【0040】
次に、判別回路部301が、フォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2の種類を判別する(ステップS102)。たとえば、判別回路部301は、フォーカスサーチの際に光ディスク2の反射率及びフォーカスエラー信号のS字カーブの数を検出し、光出力データテーブルを参照して、光ディスク2の種類を判別する。或いは、光出力データテーブルを参照して、フォーカスサーチに要した時間から光ディスク2の種類を判別してもよい。光ディスク2の構造(たとえば、記録面側の保護層の厚さなど)や光学特性(記録面での反射率など)は、光ディスク2の規格(たとえばCD、DVD、及びBDなど)によって大きく異なるし、光ディスク2の規格が同じあっても、フォーマットによって異なる。たとえば、BDの場合、再生専用のBD−ROMと、追記型のBD−Rと、書き換え可能型のBD−REとでは記録面の反射率などが異なる。また、BDSL、BDDL、及びBDXLでは記録面側の保護層の厚さが大きく異なる。そのため、光出力データベースを参照して、フォーカスサーチの際に検出した反射率、フォーカスエラー信号のS字カーブの数、フォーカスサーチに要した時間などを比較すれば、光ディスク2の種類をおおよそ判別することが可能である。
【0041】
フォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2が3層以上の記録層を有するBDXLであると判別されたとき(ステップS103でYes)、光出力設定回路部302は、光出力データテーブルを参照して、光ピックアップ部10の再生パワーを、BDXLと同じ規格の光ディスク記録媒体(ここではBD)であるとともに単層又は2層の記録層を有するBDSL又はBDDL用の再生パワーに設定する。(ステップS104)。こうすれば、光ディスク装置1に光ディスク2がマウントされたとき、光ディスク2が3層以上の記憶層を有するBDXL以外の光ディスク記録媒体であるにもかかわらず、光ディスク2がBDXLであると誤って判別された場合であっても、再生パワーによる光ディスク2の劣化や破壊を防止することができる。
【0042】
一方、フォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2が3層以上の記録層を有するBDXLではないと判別されたとき(ステップS103でNo)、光出力設定回路部302は、光出力データテーブルを参照して、光ピックアップ部10の再生パワーを、ステップS102において判別された光ディスク2の種類に対応する再生パワーに設定する(ステップS105)。たとえば、ステップS102において光ディスク2がフォーカスサーチの結果に基づきBDSLと判別された場合、光出力設定回路部302はBDSL用の再生パワーに設定する。
【0043】
また、光出力設定回路部302は、メモリ20から切替情報を読み出し、光ピックアップ部10の再生パワーがBDXL用の再生パワーに切り替え済みでないことを切替情報に設定してメモリ20に上書きで格納する。(ステップS106)。そして、光出力設定回路部302は、メモリ20に格納されている光出力データテーブルを参照し、LD101の光出力制御に必要なパラメータ(たとえば、サーボゲインやRF信号のレベルなど)を再生パワーに応じて調整する。(ステップS107)
【0044】
次に、再生制御回路部303は、光出力設定回路部302が設定した再生パワーでの再生動作により、光ディスク2の内周領域(たとえば、BDのPIC領域)から物理情報を読み出す(ステップS108)。取得した物理情報には、光ディスク2の管理情報(たとえば、光ディスク2の種類など)を示す光ディスク情報が含まれている。
【0045】
判別回路部301は、光ディスク情報が示す光ディスク2の種類がBDXLであるか否かを判別する(ステップS109)。光ディスク2がBDXLでないと判別される場合(ステップS109でNo)、制御回路部30が処理を終了する。なお、制御回路部30が処理を終了する前に、光出力設定回路部301は、光ディスク情報が示す光ディスク2の種類に対応する再生パワーを光ピックアップ部10に再設定してもよい。
【0046】
また、光ディスク2がBDXLであると判別される場合(ステップS109でYes)、判別回路部301はさらに、メモリ20に格納されている切替情報を参照し、光ピックアップ部10の再生パワーがBDXL用の再生パワーに切り替え済みであることが切替情報に設定されているか否かを判別する(ステップS110)。BDXL用の再生パワーに切り替え済みであると判別される場合(ステップS110でYes)、制御回路部30が処理を終了する。
【0047】
また、BDXL用の再生パワーに切り替え済みでないと判別される場合(ステップS110でNo)、光出力設定回路部302が、BDXL用の再生パワーを光ピックアップ部10に設定するとともに、切替情報を切り替え済みに設定してメモリ20に上書きで格納する(ステップS112)。そして、制御回路部30が処理をステップS107に戻す。
<第2実施形態>
【0048】
次に、光ディスク装置1に光ディスク2がマウントされたときに、光ディスク装置1が光ピックアップ部10に再生パワーを設定する方法の第2実施形態について説明する。図3は、光ディスク装置の再生パワー設定方法の第2実施形態を示すフローチャートである。第2実施形態では、メモリ20に格納されている切替情報を利用せず、光ディスク2から読み出された光ディスク情報が示す光ディスク2の種類がBDXLであると判別された場合には、BDXL用の再生パワーが光ピックアップ部10に設定される。そして、LD101の光出力制御に必要なパラメータ(たとえば、サーボゲインやRF信号のレベルなど)が再生パワーに応じて調整された後に、処理が終了する。それ以外は、第1の実施形態と同様の動作をする。
【0049】
まず、光ディスク装置1に光ディスク2がマウント(装着)されると、光ピックアップ部10が光ディスク2に対してフォーカスサーチを行う(ステップS201)。次に、判別回路部301が、フォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2の種類を判別する(ステップS202)。
【0050】
フォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2が3層以上の記録層を有するBDXLであると判別されたとき(ステップS203でYes)、光出力設定回路部302は、光出力データテーブルを参照して、光ピックアップ部10の再生パワーを、BDXLと同じ規格の光ディスク記録媒体(ここではBD)であるとともに単層又は2層の記録層を有するBDSL又はBDDL用の再生パワーに設定する。(ステップS204)。こうすれば、光ディスク装置1に光ディスク2がマウントされたとき、光ディスク2が3層以上の記憶層を有するBDXL以外の光ディスク記録媒体であるにもかかわらず、光ディスク2がBDXLであると誤って判別された場合であっても、再生パワーによる光ディスク2の劣化や破壊を防止することができる。
【0051】
一方、フォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2が3層以上の記録層を有するBDXLではないと判別されたとき(ステップS203でNo)、光出力設定回路部302は、光出力データテーブルを参照して、光ピックアップ部10の再生パワーを、ステップS202において判別された光ディスク2の種類に対応する再生パワーに設定する(ステップS205)。
【0052】
また、光出力設定回路部302は、メモリ20に格納されている光出力データテーブルを参照し、設定した再生パワーに応じて、LD101の光出力制御に必要なパラメータ(たとえば、サーボゲインやRF信号のレベルなど)を調整する。(ステップS207)そして、再生制御回路部303は、光出力設定回路部302が設定した再生パワーでの再生動作により、光ディスク2の内周領域(たとえば、BDのPIC領域)から物理情報を読み出す(ステップS208)。
【0053】
次に、判別回路部301は、光ディスク情報が示す光ディスク2の種類がBDXLであるか否かを判別する(ステップS209)。光ディスク2がBDXLでないと判別される場合(ステップS209でNo)、制御回路部30が処理を終了する。なお、制御回路部30が処理を終了する前に、光出力設定回路部301は、光ディスク情報が示す光ディスク2の種類に対応する再生パワーを光ピックアップ部10に再設定してもよい。
【0054】
また、光ディスク2がBDXLであると判別される場合(ステップS209でYes)、光出力設定回路部302がBDXL用の再生パワーを光ピックアップ部10に設定する(ステップS212)。そして、光出力設定回路部302は、メモリ20に格納されている光出力データテーブルを参照し、設定した再生パワーに応じて、LD101の光出力制御に必要なパラメータ(たとえば、サーボゲインやRF信号のレベルなど)を調整する(ステップS215)。そして、制御回路部30が処理を終了する。
【0055】
以上、本発明について実施形態をもとに説明した。これら実施形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせに色々な変形例が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0056】
1 光ディスク装置
10 光ピックアップ部
101 レーザダイオード、LD
102 ビームスプリッタ
103 対物レンズ
104 アクチュエータ
105 フォトダイオード、PD
20 メモリ(記憶部)
30 制御回路部
301 判別回路部
302 光出力設定回路部
303 再生制御回路部
40 LDドライバ
50 スレッドモータ
60 スピンドルモータ
70 サーボ回路部
80 映像音声処理回路部
90 出力回路部
2 光ディスク(光ディスク記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク記録媒体が装着されたとき、前記装着された光ディスク記録媒体に対してフォーカスサーチを行う光ピックアップ部と、
前記フォーカスサーチの結果に基づいて、前記装着された光ディスク記録媒体の種類を判別する判別回路部と、
前記判別回路部が前記装着された光ディスク記録媒体を3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体であると判別したとき、前記多層光ディスク記録媒体と同じ規格であるとともに単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体用の再生パワーを前記光ピックアップ部に設定する光出力設定回路部と、
前記光出力設定回路部が設定した再生パワーでの再生動作により、前記装着された光ディスク記録媒体の種類を示す光ディスク情報を前記装着された光ディスク記録媒体から読み出す再生制御回路部と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記再生制御回路部が前記光ディスク情報を読み出したとき、前記光出力設定回路部が前記光ピックアップ部の再生パワーを、前記光ディスク情報が示す前記装着された光ディスク記録媒体の種類に応じた再生パワーに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記光出力設定回路部は、前記光ピックアップ部の再生パワーを、前記光ディスク情報が示す前記装着された光ディスク記録媒体の種類に応じた再生パワーに切り替えたのち、前記光ピックアップ部の光出力制御に必要なパラメータを前記再生パワーに応じて調整することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記装着された光ディスク記録媒体がブルーレイディスクであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項5】
光ディスク記録媒体が装着されたとき、前記装着された光ディスク記録媒体に対してフォーカスサーチが行われるステップと、
前記フォーカスサーチの結果に基づいて、前記装着された光ディスク記録媒体の種類が判別されるステップと、
前記判別されるステップにおいて前記装着された光ディスク記録媒体が3層以上の記録層を有する多層光ディスク記録媒体であると判別されたとき、前記多層光ディスク記録媒体と同じ種類であるとともに単層又は2層の記録層を有する光ディスク記録媒体用の再生パワーが設定されるステップと、
前記設定されるステップにおいて設定された前記再生パワーでの再生動作により、前記装着された光ディスク記録媒体の種類を示す光ディスク情報が前記装着された光ディスク記録媒体から読み出されるステップと、
を備えることを特徴とする光ディスク装置の再生パワー設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−256396(P2012−256396A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130332(P2011−130332)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】