説明

光ピックアップおよび光情報装置

【課題】記録密度が異なる複数の光ディスクに適合し、共振の生じにくい光ックアップを提供する。
【解決手段】2つの対物レンズ301、302と、前記第2つの対物レンズを保持する支持体303と、前記支持体を光ディスクに垂直なフォーカシング方向および光ディスクの半径方向であるトラッキング方向に駆動するアクチュエータとを備え、2つの対物レンズの光軸間隔は5mm以下に構成され、対物レンズアクチュエータのフォーカシング駆動用コイル304a、403bは、支持体303の光ディスクの接線方向に垂直な両端面のそれぞれにおいて、対物レンズアクチュエータの可動部重心を含むフォーカシング方向に平行な軸に対して略対称な2箇所の位置に配置されている光ピックアップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に情報の記録・再生を行う光情報装置および光情報装置に用いられる光ピックアップ、および対物レンズユニットに関する。また、本発明は光情報装置を搭載した応用機器にも関する。
【背景技術】
【0002】
大容量の情報を記録することが可能な情報記録媒体として、光ディスクが広く用いられており、技術の進歩にともなって、より記録密度高い光ディスクが開発されてきている。
【0003】
最初に普及した光ディスクはコンパクトディスク(CD)であり、その後、デジタルバーサタイルディスク(DVD)が普及した。DVDはCDの約6倍の記録密度で情報を記録することができることから、大容量のデータを一枚のDVDに記録することができる。このため、特に、情報量の多い映像情報の記録に用いられている。また、近年、HD−DVD、ブルーレイディスク(BD)といった、より高記録密度で情報を記録することが可能な光ディスクが開発され、特に、高精細映像を記録するために用いられ始めている。
【0004】
種々の光ディスクが開発されるにつれて、光ディスク装置の互換性が重要となる。ユーザの利便性を考慮すれば、光ディスク装置は複数の光ディスクに対応していることが好ましい。
【0005】
記録密度が異なる複数の光ディスクに対応した光ディスク装置用の光ピックアップとして、例えば、特許文献1〜3に示すように複数の対物レンズを備えた光ピックアップが提案されている。従来のこうした光ピックアップは、主としてCDおよびDVDに対応していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−11765号公報
【特許文献2】特開平11−120587号公報
【特許文献3】特開2002−245650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、HD−DVDやBDなどのより高記録密度で情報を記録することが可能な光ディスクと従来のCDやDVDとに対応した光ディスク装置について本願発明者が検討を行ったところ、以下のような課題が存在することが明らかとなった。
【0008】
例えば2つの対物レンズを備えた光ピックアップでは、2つの対物レンズは共通の対物レンズホルダに支持され、対物レンズホルダは1つの対物レンズアクチュエータによって駆動される。
【0009】
このため、対物レンズホルダに対して2つの対物レンズは、それぞれの対物レンズを用いる光学系における光軸に対して最適な位置あわせがなされた状態で対物レンズホルダに固定されている必要がある。このために、例えば、特許文献1は、1つの対物レンズを傾動ホルダに固定し、傾動ホルダの傾きを対物レンズホルダに対して調整ねじで位置を調整、固定した後、傾動ホルダと対物レンズホルダとを接着剤により固定することを開示している。
【0010】
しかし、この構造では、調整ねじによっていったん傾動ホルダを固定する必要があり、位置調整が面倒である。また、傾動ホルダの傾きによって対物レンズに対する開口の大きさが変化してしまい、所望の開口数(NA)を確保できないという問題がある。
【0011】
また、HD−DVDやBDなどの光ディスクでは、高記録密度を達成するため、開口数(NA)の大きな対物レンズを用いて、記録再生を行うための光スポットを小さくする必要がある。このため、対物レンズを固定するレンズホルダには大きな貫通孔を形成する必要がある。
【0012】
このようなレンズホルダは大きな貫通孔のため、剛性が低くなり、所定の周波数において共振しやすい。本願発明者が検討をしたところ、この共振が、対物レンズホルダを駆動する対物レンズアクチュエータの動作に影響を与え、精度の高い対物レンズ制御を行うことが困難となる場合のあることが分かった。
【0013】
また、記録密度が異なる複数の光ディスクに対する記録再生動作では、その制御精度が異なっている。一般に、記録密度が低い光ディスクの記録再生では、高い制御精度は要求されないが、記録密度が低いため、対物レンズの移動範囲は大きいことが求められる。一方、記録密度の高い光ディスクの記録再生では、高い制御精度が要求されるが、対物レンズの移動範囲は狭くてよい。
【0014】
しかし、複数の対物レンズが対物レンズホルダに支持されている場合、対物レンズホルダを駆動するアクチュエータは1つであるため、このような異なる仕様を満たすことは一般に難しい。
【0015】
本願発明はこのような従来技術の課題の少なくとも1つを解決し、複数の対物レンズを備えた光ピックアップおよび光情報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の対物レンズユニットは、第1対物レンズと、第1対物レンズを支持する第1レンズホルダとを備え、前記第1レンズホルダは紫外線を透過する材料からなる。
【0017】
ある好ましい実施形態において、前記第1レンズホルダは、第1および第2の開口を有し、前記第1対物レンズへ入射する光が通過する貫通孔と、前記貫通孔内において周方向に沿って前記貫通孔の中心軸方向へ突出した開口制限部とを含み、前記第1対物レンズは前記第1の開口を塞ぐように支持されており、前記開口制限部は、前記第2の開口から前記開口制限部に入射する光を前記第1対物レンズの光軸から離れる方向に導く。
【0018】
ある好ましい実施形態において、前記開口制限部は、前記第1の開口側に面するように前記貫通孔の内側面に対して傾斜した第1のリング状の斜面を有している。
【0019】
ある好ましい実施形態において、前記開口制限部は、前記第2の開口側に面するように前記貫通孔の内側面に対して傾斜した第2のリング状の斜面を有している。
【0020】
ある好ましい実施形態において、前記開口制限部は、前記第1の開口側に面するように前記貫通孔の内側面に対して傾斜した第1のリング状の斜面と、前記第2の開口側に面するように前記貫通孔の内側面に対して傾斜した第2のリング状の斜面とを有している。
【0021】
ある好ましい実施形態において、前記第2のリング状の斜面へ入射する光と第2のリング状斜面との法線とのなす角度をA1とし、前記第2のリング状の斜面から出射する光と
第2のリング状斜面との法線とのなす角度をA2とし、前記第2のリング状の斜面へ入射する光と前記第1のリング状斜面の法線とのなす角度をA3とし、前記開口制限部の屈折率をnとした場合、sin(A1)=n・sin(A2)かつn・sin(A3+(A1−A2))>1の関係を満たしている。
【0022】
ある好ましい実施形態において、前記リング状の斜面は、同心状に配置された不連続な2つのリング状斜面部を有する。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記開口制限部は、前記貫通孔の中心軸と一致する軸を有する凹レンズの一部を構成する形状を有している。
【0024】
ある好ましい実施形態において、前記開口制限部の前記貫通孔の中心軸を通る断面は前記中心軸へ向かって突出した楕円の一部である。
【0025】
ある好ましい実施形態において、前記開口制限部は、前記第1の開口側に設けられた回折格子を有する。
【0026】
ある好ましい実施形態において、前記開口制限部は、前記第1の開口側に設けられた光線を散乱させる散乱面を有する。
【0027】
ある好ましい実施形態において、前記開口制限部は、前記第1の開口側に設けられた光線を遮蔽する遮蔽面を有する。
【0028】
本発明の光ピックアップは、第1光源と、上記いずれかに規定される対物レンズユニットと、前記対物レンズユニットを保持する支持体と、前記支持体を駆動するアクチュエータと、第1光検出器とを備え、前記光源から出射した光を前記対物レンズユニットの第1対物レンズにより、光ディスクのデータ記録面に集光し、前記データ記録面において反射した光を前記光検出器により電気信号に変換する。
【0029】
ある好ましい実施形態において、前記支持体に対して、前記対物レンズユニットの第1レンズホルダが、紫外線硬化樹脂により接着されている。
【0030】
ある好ましい実施形態において、光ピックアップは、前記対物レンズユニットが構成する光学系と光軸を共有しない第2対物レンズおよび第2光源をさらに備え、前記支持体は前記第2対物レンズを支持する第2レンズホルダである。
【0031】
ある好ましい実施形態において、前記第1対物レンズの光軸と前記第2対物レンズの光軸との間隔は5mm以下である。
【0032】
ある好ましい実施形態において、前記第1対物レンズの光軸と前記第2対物レンズの光軸との間隔は2.5mm以上5mm以下である。
【0033】
ある好ましい実施形態において、前記第1対物レンズおよび前記第2対物レンズは、前記光ディスクのトラッキング方向に位置するように配置されている。
【0034】
ある好ましい実施形態において、前記第1対物レンズおよび前記第2対物レンズは、前記光ディスクのトラッキング方向と垂直な方向に位置するように配置されている。
【0035】
ある好ましい実施形態において、前記第1レンズホルダは前記第2対物レンズに近接する位置において、平坦な側面を有する。
【0036】
ある好ましい実施形態において、前記第1レンズホルダは前記光ディスクの外側において平坦な側面を有する。
【0037】
ある好ましい実施形態において、前記第1対物レンズは前記第2対物レンズより長波長の光の集光に用いられる。
【0038】
ある好ましい実施形態において、前記第1レンズホルダは、前記第1対物レンズの光軸を中心として前記平坦な側面と対称位置において切り欠き部を有する。
【0039】
ある好ましい実施形態において、前記第1対物レンズおよび前記第2対物レンズよりも前記第1レンズホルダおよび前記第2レンズホルダから突出した突起部をさらに備え、前記突起部は、前記光ディスクの外周側以外の領域に設けられている。
【0040】
本発明の光ピックアップは、第1波長の光を出射する第1光源と、前記第1光源から出射した光を第1光ディスクの記録面に向けて集光する第1対物レンズと、前記第1光ディスクの記録面に集光した光の反射光を受光し、検出信号を出力する第1検出器と、前記第1波長より短い第2波長の光を出射する第2光源と、前記第2光源から出射した光を第2光ディスクの記録面に向けて集光する第2対物レンズと、前記第2光ディスクの記録面に集光した光の反射光を受光し、検出信号を出力する第2検出器とを備え、前記第1検出器の検出信号に基づいて生成するフォーカスエラー信号のフォーカス検出範囲が、前記第2検出器の検出信号に基づいて生成するフォーカスエラー信号のフォーカス検出範囲に比べて広くなっている。
【0041】
ある好ましい実施形態において、光ピックアップは、前記第1光源から出射した光の発散度を小さくするための第1コリメートレンズと、前記第2光源から出射した光の発散度を小さくするための第2コリメートレンズとをさらに備え、前記第1コリメートレンズの焦点距離を前記第1対物レンズの焦点距離で除算することにより得られる第1倍率は、前記第2コリメートレンズの焦点距離を前記第2対物レンズの焦点距離で除算することにより得られる第2倍率より小さい。
【0042】
ある好ましい実施形態において、前記第1対物レンズの焦点距離が前記第2対物レンズの焦点距離より長くなっている。
【0043】
ある好ましい実施形態において、光ピックアップは、前記第1光源から出射した光の発散度を小さくするための第1コリメートレンズと、前記第2光源から出射した光の発散度を小さくするための第2コリメートレンズとをさらに備え、前記第1コリメートレンズの焦点距離が前記第2コリメートレンズの焦点距離より短くなっている。
【0044】
本発明の光情報装置は、上記いずれかに規定される光ピックアップと、光ディスクを回転駆動させるモータと、前記光ピックアップの少なくとも前記第1光検出器から得られる信号に基づき、前記光ピックアップを制御するための電気回路とを備える。
【0045】
本発明のコンピュータは上記光情報装置を備える。
【0046】
本発明の光ディスクプレーヤは、上記光情報装置を備える。
【0047】
本発明のカーナビゲーションシステムは、上記光情報装置を備える。
【0048】
本発明の光ディスクレコーダは、上記光情報装置を備える。
【0049】
本発明の光ディスクサーバは、上記光情報装置を備える。
【0050】
本発明の車両は、上記光情報装置を備える。
【0051】
本発明の光ピックアップの組み立て方法は、上記光ピックアップの組み立て方法であって、前記第2対物レンズによって前記第2光源からの光ビームを集光した場合における前記光ディスクの記録面上におけるコマ収差が最小となるように前記第1レンズホルダ全体の傾きを調整する第1工程と、前記第1工程により調整された第1レンズホルダ全体の傾きを維持した状態において、前記第2対物レンズによって前記第1光源からの光ビームを集光した場合における前記光ディスクの記録面上におけるコマ収差が最小となるように、前記対物レンズユニットの前記前記第1レンズホルダに対する傾きを調整する第2工程と、を包含する。
【0052】
ある好ましい実施形態において、前記光ピックアップは、第2対物レンズにより集光される第3光源をさらに備え、前記第2工程後、前記第2対物レンズによって前記第3光源からの光ビームを集光した場合における前記光ディスクの記録面上におけるコマ収差が最小となるように、前記第3光源の位置を前記光ビームの光軸に対して垂直方向の位置を調整する第3工程をさらに包含する。
【0053】
本発明の対物レンズ駆動装置は、光ディスクに光ビームを収束させるための第1対物レンズおよび第2対物レンズと前記第1対物レンズおよび第2対物レンズを支持する支持体とを含む可動体を備えた対物レンズ駆動装置であって、前記第1対物レンズおよび第2対物レンズのそれぞれの光軸間の距離が5mm以下である。
【0054】
ある好ましい実施形態において、前記第1対物レンズおよび第2対物レンズのそれぞれの光軸間の距離は2.5mm以上5mm以下である。
【0055】
本発明の対物レンズ駆動装置は、光ディスクに光ビームを収束させるための第1対物レンズおよび第2対物レンズと、前記第1対物レンズを支持する第1レンズホルダと、前記第2対物レンズを支持する第2レンズホルダとを含む可動体を備えた対物レンズ駆動装置であって、前記第1レンズホルダは前記第2レンズホルダに固定されており、前記第1レンズホルダは前記第2レンズホルダに支持された前記第2対物レンズに近接する位置において平坦な側面を有している。
【0056】
ある好ましい実施形態において、前記第1レンズホルダは前記光ディスクの外側において前記平坦な側面を有する。
【0057】
ある好ましい実施形態において、前記第1対物レンズは前記第2対物レンズより長波長の光の集光に用いられる。
【0058】
ある好ましい実施形態において、前記第1レンズホルダは、前記第1対物レンズの光軸を中心として前記平坦な側面と対称位置において切り欠き部を有する。
【0059】
ある好ましい実施形態において、対物レンズ駆動装置は、前記第1対物レンズおよび前記第2対物レンズよりも前記第1レンズホルダおよび前記第2レンズホルダから突出した突起部をさらに備え、前記開口制限部は、前記光ディスクの外周側以外の領域に設けられている。
【発明の効果】
【0060】
本発明の対物レンズユニットによれば、紫外線を透過する材料によって形成されているため、対物レンズユニットを支持体に固定する場合、対物レンズレンズユニットの傾きを調整した後、紫外線硬化樹脂を用いて対物レンズユニットを固定できる。このため、対物レンズユニットの位置や傾きを容易に調整することが可能となる。
【0061】
また、対物レンズユニットが開口制限部を備えるため、支持体に対する対物レンズユニットの傾きを調整しても、外部から対物レンズに入射する光ビームの光径を開口制限部によって、常に一定に調節できる。
【0062】
また、本発明の光ピックアップによれば、2つの対物レンズの光軸間の距離を5mm以下にするため、レンズホルダの共振によるサーボ制御性能の悪化を抑制し、安定した制御を実現することができる。
【0063】
また、第1レンズホルダは第2対物レンズに近接した位置において平坦な側面を有するため、2つの対物レンズ間の距離を小さくすることができ、2つの対物レンズの光軸間の距離を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による光ピックアップの第1の実施形態を示す概略的な側面図である。
【図2】本発明による光ピックアップの第1の実施形態を示す概略的な斜視図である。
【図3】図1の光ピックアップに用いられる対物レンズ駆動装置の可動部の断面を示している。
【図4】図1の光ピックアップに用いられるレンズユニットの拡大断面図である。
【図5】図1の光ピックアップに用いられるレンズホルダの一部分を拡大して示す断面図である。
【図6】レンズホルダの開口制限部に入射する光の光路を説明する図である。
【図7A】レンズホルダの開口制限部の他の形態を示す断面図である。
【図7B】レンズホルダの開口制限部の他の形態を示す断面図である。
【図7C】レンズホルダの開口制限部の他の形態を示す断面図である。
【図7D】レンズホルダの開口制限部の他の形態を示す断面図である。
【図7E】レンズホルダの開口制限部の他の形態を示す断面図である。
【図7F】レンズホルダの開口制限部の他の形態を示す断面図である。
【図7G】レンズユニットの他の形態を示す断面図である。
【図8】フォーカスエラー信号の一例を示す図である。
【図9】本実施形態において、BD用の光学系から得られるフォーカスエラー信号を示す図である。
【図10】本実施形態において、DVD用の光学系から得られるフォーカスエラー信号を示す図である。
【図11】本実施形態において、CD用の光学系から得られるフォーカスエラー信号を示す図である。
【図12】第2の実施形態による対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図13】第2の実施形態による対物レンズ駆動装置を示す分解斜視図である。
【図14】図12の対物レンズ駆動装置のレンズホルダの断面図である。
【図15】光軸間距離とサーボ制御位相の遅れ量との関係を示す図である。
【図16】本実施形態における、フォーカシングコイルに流れる電流値に対するレンズホルダのフォーカシング方向への変位周波数応答特性を示す図である。
【図17】本実施形態における、サーボ制御の位相遅れ量に対するレンズホルダのフォーカシング方向への変位周波数応答特性を示す図である。
【図18】従来のレンズホルダの共振の様子を模式的に示す図である。
【図19】従来の対物レンズ駆動装置における、フォーカシングコイルに流れる電流値に対するレンズホルダのフォーカシング方向への変位周波数応答特性を示す図である。
【図20】従来の対物レンズ駆動装置における、サーボ制御の位相遅れ量に対するレンズホルダのフォーカシング方向への変位周波数応答特性を示す図である。
【図21】第3の実施形態による対物レンズ駆動装置の構成を示す平面図である。
【図22】第3の実施形態による対物レンズ駆動装置の構成を示す分解斜視図である。
【図23】第3の実施形態のレンズホルダの側面図である。
【図24】図21におけるA−A線断面を示している。
【図25】第3の実施形態の対物レンズ駆動装置と光ディスクとの位置関係を示す図である。
【図26】第4の実施形態による光情報装置の構成を示す図である。
【図27】第5の実施形態によるコンピュータの構成を示す図である。
【図28】第6の実施形態による光ディスクプレーヤの構成を示す図である。
【図29】第7の実施形態による光ディスクレコーダの構成を示す図である。
【図30】第8の実施形態によるサーバの構成を示す図である。
【図31】第9の実施形態による車両の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
(第1の実施形態)
以下本発明による光ピックアップの第1の実施形態を説明する。図1および図2は、光ピックアップ101の概略的な側面図および斜視図である。
【0066】
図1において、方向Tトラッキング方向であり、方向Fはフォーカシング方向である。また、方向Yはトラッキング方向に垂直な方向である。光ピックアップ101はこれらの方向が光情報装置(光ディスク装置)のトラッキング方向、フォーカシング方向およびトラッキング方向と垂直な方向と一致するように配置される。ただし、方向Yおよび方向Tが光情報装置のトラッキング方向およびこれに垂直な方向と一致するように配置することも可能である。
【0067】
光ピックアップ101は、3つの異なる記録密度の光ディスク32、35、46に対して、記録および再生のうちの少なくとも一方を行うことが可能である。光ディスク32、35、46は、例えば、DVD、BDおよびCDである。
【0068】
光ピックアップ101は、最も記録密度が高い光ディスク35に対し記録および再生のうちの少なくとも一方を行うために、光源31および対物レンズ34を備える。
【0069】
光源31は最も短波長の光(例えば青色)を出射する。光源31から出射する光は所定の方向の直線偏光である。偏光ビームスプリッタ1032は光源31から出射した光をコリメートレンズ33へ導く。偏光ビームスプリッタ1032は、光源31から出射した光の方向の直線偏光を強く反射し、それと直交する方向の直線偏光は高い割合で透過させる。以下で説明する1/4波長板48と偏光ビームスプリッタ1032との組み合わせによって光の利用効率を向上させる効果も得ることができる。
【0070】
コリメートレンズ33は光源31から放射された光ビーム56が概ね平行光となるよう、収束状態を変換する。プリズム60は斜面60aを有し、コリメートレンズ33を透過した光ビーム56を光ディスク35に対して直角の方向に反射する。対物レンズ34は光ビーム56を光ディスク35の記録面上に収束させる。光ディスク35の記録面にて反射された光ビームは元の光路を逆にたどり、偏光ビームスプリッタ1032などの分岐手段
によって、光源31とは別の方向に分岐され、光検出器36に入射する。光検出器36は、入射した光を光電変換し、情報信号、サーボ信号(フォーカシング制御のためのフォーカスエラー信号や、トラッキング制御のためのトラッキング信号)を得るための電気信号を出力する。
【0071】
ここで、1/4波長板48を偏光ビームスプリッタ1032と対物レンズ34との間に備えることによって、偏光ビームスプリッタ1032で反射された直線偏光を円偏光に変換できる。光ディスク35の記録面における反射により反対回りの円偏光になった光ビーム56が、再び1/4波長板48に入射する際、元の方向と直交する方向の直線偏光に変換される。このため、偏光ビームスプリッタ1032を高い割合で透過し、光の利用効率が高められる。
【0072】
偏光ビームスプリッタ1032と光検出器36との間にシリンドリカルレンズあるいはトーリックレンズなどの非点収差発生素子50を配置し、かつ、光検出器36に4分割光検出領域(図示せず)を設けてもよい。このような構成を採用し、非点収差発生素子50によって非点収差を付加した光を受光することにより、非点収差法によるフォーカスエラー信号を検出することができる。さらに非点収差発生素子50への集光、拡散力のあるレンズパワーを付加すれば、非点収差発生素子50を光軸方向へ移動し、フォーカスエラー信号のオフセット調整を実現できる。さらに偏光ビームスプリッタ1032と光検出器36との間に回折光学素子(diffractive optical element: DOE)51を配置することにより、1ビーム方式の安定なトラッキング信号を得ることができる。
【0073】
光ピックアップ101は、光源37aおよび対物レンズ41を備える。光源37aは集積ユニット37に収納されており、光源31より長い波長の光(例えば赤色)を放射する。コリメートレンズ39は、光源37aから放射された光ビーム57が概ね平行光となるよう光ビーム57の収束状態を変換する。コリメートレンズ39を透過した光ビーム57は、プリズム60の斜面60aとは別の斜面60bによって光ディスク32に対して直角の方向に反射する。
【0074】
対物レンズ41は光ビーム57を光ディスク32の記録面上に収束させる。光ディスク32の記録面にて反射された光ビームは元の光路を逆にたどり、偏光ホログラム40などの分岐手段によってはじめとは別の方向に分岐され、集積ユニット37の図示していない光検出器に入射し、光電変換される。これにより、情報信号、サーボ信号(フォーカシング制御のためのフォーカスエラー信号や、トラッキング制御のためのトラッキング信号)を得るための電気信号が出力される。光検出器と光源37aとが内蔵された集積ユニット37を用いることにより、光ピックアップの小型、薄型化を実現でき、光ピックアップの動作を安定させることができる。
【0075】
光ピックアップ101は光源43aをさらに備える。光源43aは集積ユニット43に収納されており、最も長い波長の光(例えば赤色)を放射する。コリメートレンズ39は、光源43aから放射された光ビーム58が概ね平行光となるよう光ビーム57の収束状態を変換する。コリメートレンズ39を透過した光ビーム58は、プリズム60の斜面60bによって光ディスク46に対して直角の方向に反射する。
【0076】
対物レンズ41は光ビーム58を光ディスク46の記録面上に収束させる。光ディスク46の記録面にて反射された光ビーム58は元の光路を逆にたどり、ホログラム43bなどの分岐手段によって、光源43aとは別の方向に分岐され、集積ユニット43内の図示していない光検出器に入射し、光電変換される。これにより、情報信号、サーボ信号(フォーカシング制御のためのフォーカスエラー信号や、トラッキング制御のためのトラッキング信号)を得るための電気信号が出力される。光検出器と光源43aとが内蔵された集
積ユニット43を用いることにより、光ピックアップの小型、薄型化を実現でき、光ピックアップの動作を安定させることができる。
【0077】
図1および図2に示すように、光ピックアップ101は、光源37aおよび光源43aから出射する光を合波または分岐するためのダイクロイック膜を有するビームスプリッタ38を備えている。光源43aから出射する光の一部は、ビームスプリッタ38によって反射され、光検出器54へ導かれる。残りの光は、コリメートレンズ39を透過する。また、光ディスク46からの反射光の一部を透過し、集積ユニット43へ導く。ビームスプリッタ38は光源37aの光を全反射する。
【0078】
なお、プリズム60の断面は三角形であるが、頂点(プリズム全体としてみれば稜)を面取りしてチッピング(欠け)を防止してもよい。この場合を含めプリズム60はおおよそ三角形の断面を有する。
【0079】
本実施形態では光ピックアップ101は3種類の光ディスクに対応し、3つの光源を備えているが、2種類の光ディスクに対応する光情報装置を実現するために、光ピックアップ101は、光源43aまたは光源37aのいずれか一方と光源31とを備えていてもよい。
【0080】
光ピックアップ101は対物レンズ駆動装置45を備え、対物レンズ34および対物レンズ41は、対物レンズ駆動装置45内において、所定の位置に配置されている。対物レンズ34および対物レンズ41は方向Yつまり光ディスクのトラック溝の伸びる方向あるいはトラッキング方向と垂直な方向に並べて配置されていることが望ましい。これにより、対物レンズ34または対物レンズ41が、光ディスク32、35、46の最外周や最内周へアクセスし場合において、使用していない対物レンズ41または対物レンズ34が光ディスク32、35、46を回転させるモータや、光情報装置の外装と干渉するのを防止することができる。
【0081】
対物レンズ駆動装置(対物レンズアクチュエータ)45は、対物レンズ34および対物レンズ41を光ディスク35、32、46の記録面と直交するフォーカシング方向Fおよび光ディスクのトラッキング方向Tの両方向に移動させ、光ディスク32、35、46の記録や再生に用いる光スポットの集光状態を調整し、また、光スポットの位置をトラッキング方向へ移動させることができる。
【0082】
図3は、対物レンズ駆動装置45の可動部の断面を示している。可動部は、対物レンズ34および対物レンズ41を支持、固定しており、図示しないコイルおよび磁石などの駆動機構によって、可動部をフォーカシング方向およびトラッキング方向へ移動させることにより、対物レンズ34および対物レンズ41をフォーカシング方向およびトラッキング方向へ移動させる。
【0083】
対物レンズ34および対物レンズ41がともに可動部に固定された後は対物レンズ34および対物レンズ41の方向を独立して調整することはできない。このため、対物レンズ34の光軸に対する対物レンズ41の光軸の方向はあらかじめ調整されている必要がある。
【0084】
本実施形態では、可動部は、対物レンズ34と、レンズホルダ1と、対物レンズ41が支持された対物レンズユニット10とを含み、対物レンズ34が固定された第1のレンズホルダ1に対して、対物レンズユニット10の方向を調節することができる。このために対物レンズユニット10は、レンズホルダ2を有している。レンズホルダ2は、対物レンズ41を支持、固定する。また、レンズホルダ2は曲面で構成された底部2rを有し、レ
ンズホルダ1の曲面で構成された凹部1rにレンズホルダ2の底部2rが接するように支持、固定されている。
【0085】
レンズホルダ2の底部2rが曲面で構成されているため、レンズホルダ1の凹部1r内においてレンズホルダ2の傾きを調整した後、レンズホルダ2とレンズホルダ1とを固定することができる。
【0086】
レンズホルダ2の傾きの調整は、例えば、以下の手順によって行う。まず、図1の斜面60aで反射された光ビーム56が対物レンズ34で集光されたときに、コマ収差が最小になるように、あるいは、収束スポットが光軸に対して最も対称な形になるようにレンズホルダ1の傾き調整する。この調整は、レンズホルダ1の位置を可動部内において調整したり、対物レンズ駆動装置45の傾きを斜面60aで反射された光ビーム56の光軸に対して調整することによって行う。
【0087】
次に、この状態で対物レンズ41が固定されたレンズホルダ2のレンズホルダ1に対する傾きの調整を行う。斜面60bで反射された光ビーム57が対物レンズ41で集光されたときに、コマ収差が最小になるように、あるいは、収束スポットが光軸に対して最も対称な形になるようにする。さらに、光源43aを光軸に垂直な方向に位置調整し、斜面60bで反射された光ビーム58が対物レンズ41で集光されたときに、コマ収差が最小になるように、あるいは、収束スポットが光軸に対して最も対称な形になるようにする。
【0088】
特許文献1に開示された従来技術によれば、2つの対物レンズの光軸が平行になるように2つの対物レンズの傾きが決定される。しかし、この方法によれば、対物レンズの製造誤差により生じるコマ収差や、他の光学部品の製造誤差による光ビームのコマ収差が残存し、収束ビームを歪ませてしまう。
【0089】
これに対して、本実施の形態の調整方法であれば、総合的にコマ収差を低減し、あるいは、収束ビームの形状を最良にすることができる。このため、複数の異なる種類の光ディスクに対し、良好な記録、再生性能を発揮することのできる光ピックアップを実現することができる。
【0090】
このようにして、レンズホルダ2のレンズホルダ1に対する傾きを調整した後、図3のように、接着剤22を用いてレンズホルダ2を、レンズホルダ1に対して固着する。電子部品の接着などには、一般に熱硬化性接着剤が広く用いられる。しかし、熱硬化性接着剤を使用するためには高温槽を用意する必要があり、製造設備が余分に必要となる。また、時間経過により硬化する接着剤を用いる場合、製造時間短縮の観点からは硬化時間は短いことが望ましい。しかし、硬化時間が短いとレンズホルダ2の傾きを調整中に接着剤の硬化が進み、調整しにくいという課題がある。
【0091】
本実施形態ではこれらの点を考慮し、接着剤22として紫外線硬化樹脂を用いることが好ましい。また、接着剤22はレンズホルダ1とレンズホルダ2との隙間にも塗布し、レンズホルダ1とレンズホルダ2との強固に接着することが好ましい。このため、レンズホルダ1とレンズホルダ2との隙間にも塗布した接着剤22も硬化させることができるようにレンズホルダ2は、は紫外線を透過する材料からなることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂やポリカーボネイト系樹脂などは紫外線を透過することができ、かつ、安価で物性が安定しているため、レンズホルダ2を構成する材料として適している。レンズホルダ1は、可視光線および紫外線を透過しない材料によって構成されている。
【0092】
上述した手順によって対物レンズ41の光軸を調整した後、接着剤22に紫外線を照射することによって接着剤22を硬化させ、レンズホルダ2をレンズホルダ1に固定する。
これにより、対物レンズ41の光軸を調整中に接着剤22が固まって調整が困難となることもない。また、紫外線硬化樹脂は比較的短時間で硬化させることができるため、調整に要する時間も短縮される。レンズホルダ2が紫外線を透過するため、接着剤22の硬化も均一に行うことができる。また、紫外線を放射する光源があればよいので、設備投資も少なくてよい。もちろん、接着固定時間が短いという効果があることは言うまでもない。
【0093】
なお、レンズホルダ2に固定され対物レンズは、相対的に記録密度の低い光ディスクの記録再生に用いられる光学系を構成しているほうが好ましい。記録密度の低い光ディスクに対する記録再生時の光ビームの制御精度は、記録密度の高い光ディスクに比べて相対的に低くてよい。このため、対物レンズの軸調整の精度も記録密度の高い光ディスクに比べて相対的に低くてよく、光軸の調整が容易となる。
【0094】
図3に示すように、対物レンズ34に所望の大きさの光ビームを入射させるために、レンズホルダ1には、開口1hを規定するよう、対物レンズ34に入射する光ビームの経路を規定する貫通孔の内部に突出した開口制限部14が設けられる。開口制限部14も可視光線および紫外線を透過しない材料によって構成されている。
【0095】
一方、レンズホルダ2を紫外線が透過する材料によって構成する場合、レンズホルダ2は可視光線も透過する。このため、対物レンズ41に所望の大きさの光ビームを入射させ、所望の開口数(NA)を得ることが困難となる。本願では、対物レンズユニット10は
、開口制限部3を備える。以下図4を参照して開口制限部3を詳細に説明する。
【0096】
図4はレンズユニット10の拡大断面図である。図4に示すようにレンズホルダ2は、第1の開口2bおよび第2の開口2aを有し、内側面2fによって規定される貫通孔を有する。対物レンズ41は、第1の開口2bを塞ぐようにレンズホルダ2に支持され、第2の開口2aから貫通孔を通過した光が対物レンズ41に入射する。開口制限部3は、貫通孔の内側面2fの周方向に沿って貫通孔の中心軸2c方向へ突出した形状を有している。これにより、開口制限部3は、対物レンズ4に入射する光ビームの光径2hを規定する。貫通孔の中心軸2cは対物レンズ41の中心41cと概ね一致している。開口制限部3が形成する開口2hは対物レンズ41のレンズとして機能する有効口径D以下に設定される。
【0097】
上述したようにレンズホルダ2は紫外線および可視光を透過する。このため、開口制限部3をレンズホルダ2と同じ材料から一体的に形成する場合、入射した光が開口制限部3も透過するため、対物レンズ41へ入射する光を遮蔽し、所定の光径を規定できない。このため、開口制限部3の第2の開口2aから開口制限部3に入射する光を対物レンズ41の光軸から離れる方向に導く構造を備える。
【0098】
図5は、レンズホルダ2の断面の一部を拡大して示している。図5に示すように、開口制限部3の断面は台形形状であり、台形の2つの斜辺によって、開口制限部3は、レンズホルダ2の貫通孔内に突出する第1のリング状斜面3aおよび第2のリング状斜面3bを含む。第1のリング状斜面3aおよび第2のリング状斜面3bはそれぞれ第1の開口2aおよび第2の開口2a側に面するように内側面2fに対し傾斜している。開口制限部3の側面3cは概ね内側面2fと平行である。
【0099】
図5に示すように、第2の開口2aへ入射する光のうち開口制限部3に入射する光57は、第1のリング状斜面3aから開口制限部3の内部に透過する。このとき、第1のリング状斜面3aにおいて光57が光軸41cから離れる方向に屈折する。これにより、開口制限部3に入射した光を対物レンズ41に入射しないようにすることができる。したがって、図4に示すように開口制限部3が規定する光径2hの光のみを対物レンズ41へ入射
させることができる。
【0100】
開口制限部3の第1のリング状斜面3aおよび第2のリング状斜面3bは、図5において破線で示すように、光軸4cとほぼ一致する凹レンズの2つの球面の一部を構成していてもよい。第1のリング状斜面3aおよび第2のリング状斜面3bをこのような形状にしても開口制限部3に入射する光57を光軸41cから遠ざかる方向に屈折させることができる。これにより、可視光線や紫外線を透過する材料から開口制限部3が構成されていても、開口制限部3によって光を遮蔽し、所望の光径の光を対物レンズ41に入射させることができる。
【0101】
また、開口制限部3を対物レンズ41を支持するレンズホルダ2の対物レンズ41に入射する光が通過する貫通孔の内部に設けるため、開口制限部3を対物レンズ41に近接して配置することが可能となり、開口制限部3の中心と対物レンズ41の光軸とのずれを小さくすることができる。さらに、レンズホルダ1に対する対物レンズ41の傾きを調整する場合でも傾きの調節は、対物レンズ41およびレンズホルダ2を含むレンズユニット全体で行う。このため、ため、上述した開口制限部3の中心と対物レンズ41の光軸とのずれを生じさせることもなく、常に対物レンズ41に入射する光の光径は開口制限部3によって決まる。したがって、対物レンズ41に入射する光の光径の誤差を最小限に抑えることができる。
【0102】
開口制限部3による光の遮蔽の効果を高めるために、第2のリング状斜面3bにおける光の全反射を利用してもよい。具体的には、図6に示すように、第1のリング状斜面3aへ入射する光57と第1のリング状斜面3aの法線とのなす角をA1とし、リング状斜面3aから内部へ進む光と法線とのなす角をA2とする。また、第2のリング状斜面3bに入射する光と法線とのなす角をA4とし、第2のリング状斜面3bから出射する光と法線とのなす角をA3とする。開口制限部3を構成する材料の屈折率をnとする。
【0103】
スネルの法則により、これらの角は、以下の式(1)および(2)の関係を満たす。
【0104】
sin(A1)=n・sin(A2) ・・・(1)
A4=A3+(A1−A2) ・・・(2)
【0105】
第2のリング状斜面3bにおいて全反射が起こる条件は式(3)で示される。
【0106】
n・sin(A4)>1 ・・・(3)
【0107】
したがって、式(2)を式(3)に代入することによって式(4)の関係が得られる。
【0108】
n・sin(A3+(A1−A2))>1 ・・・(4)
【0109】
つまり、式(1)および(4)の関係を角度A1およびA3が満たしていれば、第1のリング状斜面3aに入射した光のすべてを光軸41cから遠ざかる方向に光を屈折させ、対物レンズ41に入射しないようにすることができる。
【0110】
このような構造を採用することによって、対物レンズ41へ不要な光線が入射しないので、迷光成分を完全に除去できるという効果を得ることができる。
【0111】
レンズホルダ2に設ける開口制限部は、図5および図6に示す構造以外の構造を採用してもよい。
【0112】
図7Aに示すように、レンズホルダ62に設けられた開口制限部63は、同心状に配置された2つのリング状斜面部63d、63dと、第2のリング状斜面63bと、側面63cと有している。リング状斜面部63d、63eはそれぞれ第2の開口2a側に傾斜しており、リング状斜面部63dとリング状斜面部63eとは不連続になっている。リング状斜面部63d、63eは第1のリング状斜面63aとして機能し、図5を参照して説明したように開口制限部63に入射する光を光軸41cから遠ざかる方向へ導く。
【0113】
2つの不連続なリング状斜面部63d、63eによって第1のリング状斜面63aを形成することによって、それぞれのリング状斜面部63d、63eの内側面63fに対する傾斜角を小さくし、開口制限部63に入射する光をより大きく光軸41cから遠ざかる方向へ屈折させることができる。また、内側面63fにおいてリング状斜面部63d、63eを設けるのに必要な長さL1を同じ角度で傾斜した1つのリング状斜面を形成する場合に比べて短くすることができる。したがって、レンズホルダ62の貫通孔方向の長さを短くすることができ、厚みの小さい光情報装置を実現するのに適している。
【0114】
図7Bに示すようにレンズホルダ64に設けられた開口制限部65は、第2の開口2a側に設けられたリング状の回折格子65aと第2のリング状斜面65bと側面65cとを備えている。リング状の回折格子65aは開口制限部65に入射する光を光軸41cから遠ざかる方向へ屈折させることができる。回折格子65aは凹凸のパターンによって光の回折方向を設定することが可能である。内側面63fにおいて回折格子65aを設けるのに必要な長さL2を第1のリング状斜面を形成する場合に比べて短くすることができる。したがって、レンズホルダ64の貫通孔方向の長さを短くすることができ、厚みの小さい光情報装置を実現するのに適している。
【0115】
図5に示す開口制限部3は第1のリング状斜面3aおよび第2のリング状斜面3bを備えていたが、いずれか一方の斜面のみを備えていてもよい。図7Cに示すレンズホルダ66に設けられた開口制限部67は、垂直面67aと第2のリング状斜面67bと側面67cを含む。垂直面67aは内側面67fに対して垂直であり、光57が入射した場合、垂直面67aにおける光の屈折は生じない。しかし、第2のリング状斜面67bの内側面67fに対する傾斜角を小さくすることによって第2のリング状斜面67bにおいて、光軸41cから遠ざかるように光57を屈折させることができる。
【0116】
この場合、図7Cに示すように、光57が入射する方向と第2のリング状斜面67bの法線とのなす角をA3とした場合、式(5)を満たせば、光57は第2のリング状斜面67bにおいて全反射し、対物レンズ41に入射するのを防ぐことができる。
【0117】
n・sin(A3)>1 ・・・(5)
【0118】
図7Dに示すレンズホルダ68に設けられた開口制限部69は、第1のリング状斜面69aと、垂直面69bと側面69cとを含む。開口制限部69は、第1のリング状斜面69aによって、光57を光軸41cから遠ざかる方向に屈折させることができる。
【0119】
開口制限部の断面形状は曲線によって構成されていてもよい。図7Eに示すレンズホルダ71に設けられた開口制限部72は、貫通孔の中心軸を通る断面において、中心軸に向かって突出した楕円の一部分からなる形状を有している。このような形状を有する開口制限部72も光57を光軸41cから遠ざかる方向に屈折させることができる。このような形状を有するレンズホルダ71射出成形などの方法により成形することが容易であり、レンズホルダ71の製造コストを低減させることができる。
【0120】
これまで説明した開口制限部は、レンズホルダ71と一体的に形成可能であり、低コス
トで製造が可能な構造を備えていた。しかし、光の遮蔽を確実に行いたい場合には、開口制限部に遮光面を設けてもよい。図7Fに示すように、レンズホルダ73に設けられた開口制限部74は、内側面74f内において光軸41cに向かって突出した、概ね垂直な面74a、74と側面74cとからなるリング状の突起形状を有している。第2の開口2a面する面74aには、リング状の遮蔽面75が設けられている。遮蔽面75は、黒色塗料や黒鉛を含む樹脂、または、着色樹脂などからなるリング状のシートの一面であってもよいし、開口制限部74全体を黒色塗料や黒鉛を含む樹脂、または、着色樹脂によって形成してもよい。また、光を遮蔽する遮蔽面75の代わりに光を散乱させる散乱面を設けてもよい。
【0121】
レンズホルダ2とは異なる構成部材を用いるため、製造コストは多少アップするが、光の遮蔽効果は高く、より確実に不要な光を遮蔽することができる。
【0122】
なお、本実施形態では、レンズユニットはレンズホルダと対物レンズとによって構成されていたが、レンズユニットは更に他の光学素子を含んでいてもよい。
【0123】
例えば、図7Gに示すように、レンズユニット80は対物レンズ41と、レンズホルダ83と、レンズホルダに設けられた開口制限部82と、光学素子84を含んでいる。
【0124】
開口制限部82はこれまで説明した種々の構造の開口制限部のいずれであってもよい。光学素子84には回折レンズなど種々の光学素子を用いることができる。レンズホルダ83は紫外線を透過するため、レンズホルダ83と光学素子84を紫外線硬化樹脂によって接着することができる。このため、対物レンズ41、開口制限部82および光学素子84の傾きや位置を適切に調整した後、上述したように紫外線を照射して、光学素子84をレンズホルダ83の固定することによって、光軸などが調整された光学ユニットを得ることできる。
【0125】
次に図1および図2を参照して、本実施形態における光学系の設計について説明する。光ピックアップ101は、3つの異なる記録密度の光ディスク32、35、46に対応しており光ディスク32、35、46は、例えば、DVD、BDおよびCDである。
【0126】
記録密度が異なる複数の光ディスクに対する記録再生動作では、その制御精度が異なっている。一般に、記録密度が低い光ディスクの記録再生では、高い制御精度は要求されないが、記録密度が低いため、対物レンズの移動範囲は大きいことが求められる。一方、記録密度の高い光ディスクの記録再生では、高い制御精度が要求されるが、対物レンズの移動範囲は狭くてよい。例えば、高記録密度の光ディスクであるBDと低記録密度の光ディスクであるCDとでは記録密度が40倍程度異なるため、こうした制御精度や対物レンズの移動範囲も大きく異なる。
【0127】
このため、記録密度の低いディスクは相対的に大きな形状の歪みが許容される、光情報装置に記録密度の低いディスクを装填し、スピンドルモーターで回転した場合、ディスクの形状の歪みにより記録面の位置が上下に変化する。つまり「面ぶれ」を起こす。面ぶれの大きなディスクに対して、フォーカス制御を確実に開始するためには、フォーカスエラー信号のダイナミックレンジが大きくなければならない。具体的には図8に示すように、フォーカスエラー信号が最大となるデフォーカス点Aおよび最小となるフォーカス点Bの間隔が広いことが望ましい。
【0128】
一方高記録密度の光ディスクでは、光ディスクの記録面上に形成する集光スポットも小さく、その焦点深度も浅い。したがってフォーカス制御をより高精度に行う必要があり、図8におけるデフォーカス点AとB点との間隔は狭く、点AB間における検出感度の高い
ことが必要である。
【0129】
本実施形態では、このような課題に対応するため、各光ディスクに対応する光学系を以下のように設計する。
【0130】
具体的には、光ビーム56よりも長波長の光ビーム57や光ビーム58を光ディスクに照射し、反射光を光検出器によって検出することにより得られるフォーカスエラー信号のデフォーカス検出範囲が、光ビーム56を光ディスクに照射し、反射光を光検出器によって検出することにより得られるフォーカスエラー信号のデフォーカス検出範囲より広くなるように、光ビーム56、57、58が透過する光学系を設計する。
【0131】
好ましくは、対物レンズ34の焦点距離f1を1mm〜1.8mm、コリメートレンズ33の焦点距離fC1を14mm〜30mmにする。また、対物レンズ41の焦点距離f2を2mm〜3mm、コリメートレンズ39の焦点距離fC2を10mm〜20mmにする。
【0132】
さらに、これらの焦点距離の範囲の中で、コリメートレンズ33の焦点距離fC1を対物レンズ34の焦点距離f1で割った第1の倍率を、コリメートレンズ39の焦点距離fC2を第2対物レンズ41の焦点距離で割った第2の倍率より大きく設定する。すなわち、以下の式(6)の関係を満たすように、これらのレンズの焦点距離を設定する。
【0133】
fC1/f1>fC2/f2 ・・・(6)
【0134】
また、式(6)の関係を満たすために対物レンズ34の焦点距離f1よりも、対物レンズ41の焦点距離f2を長くしたり、コリメートレンズ33の焦点距離fC1よりも、コリメートレンズ39の焦点距離fC2を短くすることが好ましい。
【0135】
このように対物レンズ34、41、コリメートレンズ33、39の焦点距離を選択することによって、高密度の光ディスク35記録再生する場合には、高い精度のフォーカス制御を実現することができる。また、低記録密度の光ディスク32、46を記録再生する場合には、デフォーカス検出感度を低くし、デフォーカス検出範囲を広くすることができる。このため、回転する光ディスクの面ぶれが大きい場合でも、確実にフォーカス制御を開始できる。
【0136】
特にリレーレンズ44に凸レンズ作用を持たせて、対物レンズ41の開口部分から光源43aを見込む角度、すなわち光源側開口数(NA)を光源近傍の大きなNAから、コリメートレンズ39側のNAへと変換することによって、本実施例では最も波長の長い赤外光での倍率を最も小さくして、デフォーカス検出感度を低くして、デフォーカス検出範囲を最も広くする効果を得ることができる。
【0137】
このように光学系を設計した光ピックアップにより得られるフォーカスエラー信号を以下に模式的に示す。図9はBDに対して青色光を光源31から照射したときに得られるフォーカスエラー信号である。図10はDVDに対して赤色光を光源37aから照射したときに得られるフォーカスエラー信号である。図11はCDに対して赤外色光を光源43aから照射したときに得られるフォーカスエラー信号である。
【0138】
図9から図11において、横軸はデフォーカス量、すなわち記録面と収束スポットの光軸方向(フォーカス方向)の距離を示し、縦軸はフォーカスエラー信号の強度を示している。
【0139】
図9に示すように、BDのフォーカスエラー信号において、ダイナミックレンジすなわちフォーカスエラー信号強度が最大および最小になるデファーカス量の間隔を約2μmに設定している。また、図10に示すようにDVDのフォーカスエラー信号において、ダイナミックレンジすなわちフォーカスエラー信号強度が最および最小になるデファーカス量の間隔を約4μmに設定している。
【0140】
この設定は対物レンズおよびコリメートレンズの焦点距離の関係、すなわち、倍率を設定することによって実現できる。これによってBDに対して高感度のフォーカスエラー信号を得て、高精度のフォーカス制御を実現できる。
【0141】
このとき、図11に示すように、CDのフォーカスエラー信号において、ダイナミックレンジすなわちフォーカスエラー信号強度が最大および最小になるデファーカス量の間隔、いわばデフォーカス検出範囲、は約6μmとなる。これは、リレーレンズによって、倍率をDVDより下げた効果である。こうして面ぶれの大きなCDであっても安定にフォーカス制御を開始することが実現できる。
【0142】
なお、赤外光における対物レンズ41の焦点距離を、赤色光に対する対物レンズ41の焦点距離に比べて長く設計することによっても、赤外光でのデフォーカス検出感度を低くして、デフォーカス検出範囲を広くする効果を得ることができる。
【0143】
(第2の実施形態)
複数の対物レンズを備えた光ピックアップでは、光ビームの経路となる複数の貫通孔をレンズホルダに設ける必要がある。特に、高記録密度の光ディスクに対して記録再生を行うためには、開口数の大きな対物レンズを用いる必要がある。このため、貫通孔も大きくなる。このようなレンズホルダは大きな貫通孔のため、剛性が低くなり、所定の周波数において共振しやすい。本実施形態の光ピックアップは、レンズホルダの共振によるサーボ性能の劣化を抑制する構造を有する対物レンズ駆動装置を備えている。
【0144】
図12および図13は、本実施形態による光ピックアップの対物レンズ駆動装置を示す斜視図および分解斜視図である。第1の実施形態と同様、矢印F、T、Yはそれぞれ、フォーカシング方向、トラッキング方向、および光ディスク(図示せず)の接線方向を示す。また、矢印RはY軸回りの回転方向であるチルト方向を示している。これらフォーカシング方向F、トラッキング方向T、及び方向Yは相互に直交し、それぞれ、3次元の直交座標における各座標軸の方向に対応している。
【0145】
本実施形態対物レンズ駆動装置102は可動体251を備える。可動体251は、対物レンズ201、対物レンズ202、レンズホルダ203、第1のプリントコイル204、第2のプリントコイル205および端子板208を含む。
【0146】
レンズホルダ203は樹脂などによって形成されており、対物レンズ201および対物レンズ202を支持している。対物レンズ201は、CD、DVDなどの低記録密度の光ディスクに対して記録再生を行うために用いられる。対物レンズ202は、BDなどの高記録密度の光ディスクに対して記録再生を行うために用いられる。レンズホルダ3における方向Yと平行な2つの側面には第1のプリントコイル204と第2のプリントコイル205が取り付けられており、トラッキング方向Tと平行な2つの側面には端子板208がそれぞれ取り付けられている。
【0147】
第1のプリントコイル204と第2のプリントコイル205は、それぞれ基板上に方向Yと平行な軸の周りに導電性材料を渦巻き状に付着させることによってコイル構造を形成させたプリントコイルである。
【0148】
第1のプリントコイル204においては、トラッキング方向Tに沿って第1のフォーカシングコイル部204aと第1のトラッキングコイル部204bとが、配列され形成されている。また、第2のプリントコイル205においてはトラッキング方向Tに沿って第2のフォーカシングコイル部205aと第2のトラッキングコイル部205bがそれぞれ配列され、形成されている。
【0149】
第1のフォーカシングコイル部204aと第2のフォーカシングコイル部5aとは、方向Yを含みトラッキング方向Tに垂直な平面を中心に、互いに逆向きに等距離だけずれた位置でかつ方向Y沿って互いに離間した位置に配置されている。また、第1のトラッキングコイル部204bおよび第2のトラッキングコイル部205bも、同様関係を満たすように配置されている。したがって、第1のプリントコイル204と第2のプリントコイ205は、同一部品を用い、方向Yに対して回転対称の位置に配置することによって上述の関係を満たすことができる。
【0150】
第1のフォーカシングコイル部204aの両端子および第2フォーカシングコイル部205aの両端子は、それぞれ独立に端子板208およびワイヤー209を通じて制御回路(図示せず)に結線されている。また、第1のトラッキングコイル部204bおよび第2のトラッキングコイル205bは互いに直列に結線され、端子板208およびワイヤー209を通じて制御回路に結線されている。
【0151】
光ピックアップ102は、可動体251を駆動するための第1のマグネット206および第2のマグネット207をさらに備える。第1のマグネット206および第2のマグネット207は、いずれもフォーカシング方向Fおよびトラッキング方向Tの2つの線を境界とする4つの領域で異極着磁されている。
【0152】
第1のマグネット206は、第1のプリントコイル204のフォーカシングコイル部204aの中心線204cおよびトラッキングコイル部204bの中心線204dと磁極の境界線が一致する位置に、第1のプリントコイル204に対向して配置され、ヨーク210に固定されている。同様に、第2マグネット207は、第2のプリントコイル205のフォーカシングコイル部205aの中心線205cおよびトラッキングコイル部205bの中心線205dと磁極の境界線が一致する位置に、第2のプリントコイル205に対向して配置され、ヨーク209に固定されている。
【0153】
第1のマグネット206および第2のマグネッ207の材質、形状、着磁パターンと着磁強度は、好ましくは、全て等しく、第1のマグネット206および第2のマグネッ207により発生する磁界は概ね等しい。
【0154】
第1のフォーカシングコイル部204aの2端子、第2のフォーカシングコイル部205aの2端子および直列接続されたトラッキングコイル部204b、トラッキングコイル部205bの2端子の合計6端子が端子板208を介して6本のワイヤー209の先端側に接続されている。ワイヤー209の基端側はサスホルダ212を通って基板213に固定されている。また、ヨーク210、サスホルダ212、基板213はベース211に固定されている。ワイヤー209はベリリウム銅やリン青銅等の弾性金属材料からななり、円形、多角形、または楕円形等の断面形状を有する線材、又は棒材が用いられる。また、ワイヤー209の支持中心は可動体の重心に概ね一致するように設定されている。
【0155】
対物レンズ201および対物レンズ202は方向Yに沿ってレンズホルダ203上に配列されている。対物レンズ201はワイヤー209の支持中心よりワイヤー209の基端側に、対物レンズ202はワイヤー209の支持中心よりワイヤー209の先端側にそれ
ぞれ配置されている。
【0156】
また、第1のプリントコイル204および第1のマグネット206は、ワイヤー209の基端側に配置され、第2のプリントコイル205および第2のマグネット207はワイヤー209の先端側に配置されている。すなわち方向Yにおいて対物レンズ201側に第1のプリントコイル204および第1のマグネット206が、対物レンズ202側に第2のプリントコイル205および第2のマグネット207が配置されている。
【0157】
図14は方向Yと平行な面におけるレンズホルダ203の断面を示している。対物レンズ201および対物レンズ202はそれぞれの光軸K1およびK2を有する。レンズホルダ203の対物レンズ201および対物レンズ202に対応する位置には光軸K1および光軸K2に沿って、それぞれの対物レンズを透過する光ビームの光路を確保するための貫通孔が配置されている。
【0158】
本願発明者は、レンズホルダの剛性と共振について、種々の検討を行った。その結果、レンズホルダに形成される貫通孔が大きくなるとレンズホルダの剛性が低下することもあるが、サーボ性能の劣化に重要な要因は共振周波数であることが分かった。また、共振周波数は、光軸K1と光軸K2との距離pによって変化し、距離pを適切な値に設定することにより、サーボ性能の劣化を抑制することができることがわかった。
【0159】
図15は光軸K1と光軸K2との距離pと共振によってサーボ制御に生じる位相の遅れ量との関係を示している。図15に示すように、距離が短いほど位相の遅れ量は小さくなる。距離pが小さくなると、レンズホルダの剛性がより低下するため、共振による悪影響が大きくなるとも思われるが、位相の遅れは剛性そのものによるのではなく、共振周波数に依存している。
【0160】
位相の遅れ量は10度以下であれば、サーボ制御の特性が大きく劣化することなく、また制御が不安定になることはない。したがって、図15に示すように、光軸K1と光軸K2との距離pを5mm以下に設定することが好ましい。距離pを5mm以下にすることによって、共振によってサーボ制御に位相の遅れが発生することを抑制し、位相の遅れ量を小さくすることができる。
【0161】
共振による悪影響を抑制するという観点では、距離pが5mm以下であれば効果を得ることができる。距離pの好ましい値の下限値は、対物レンズ201、202の直径に依存する。
【0162】
光ビームは図13に示すベース211の下部に配置された光学ブロック(図示せず)から出射される。光ビームの光軸と対物レンズの光軸とのずれは、記録再生信号の劣化を抑制するため、通常、直径の10%以下にする必要がある。また、光ディスクのトラックを追従するため対物レンズがトラッキング方向に移動する好ましい距離は0.2mmである。これらの点から、対物レンズの有効径としては約2mmであることが好ましい。また、対物レンズの周囲に構成された位置決めのための平坦部の幅として最低0.2mmを確保する必要がある。また、2つの対物レンズの間の隙間として0.1mm以上は設計上、最低必要である。
【0163】
これらの要因から、距離pは2.5mm以上であることが好ましい。つまり、距離pは2.5mm以上5mm以下であることが好ましい。距離pは、より好ましくは、3.4mm以上3.8mm以下であり、この範囲に距離pを設定することにより共振によるサーボ制御の位相遅れ量が5deg程となり、共振がない場合の特性と同等の特性を得ることができる。
【0164】
対物レンズ駆動装置において、第1のプリントコイル204のフォーカシングコイル部204aおよび第2のプリントコイル205のフォーカシングコイル部205aに電流が流されると第1のマグネット206および第2のマグネット720との間にそれぞれ電磁力を発生し、フォーカシング方向Fに駆動される。
【0165】
図16はフォーカシングコイル部204aに流された電流値に対するレンズホルダ203のフォーカシング方向Fへの変位周波数応答特性を示している。また。図17は、サーボ制御の位相遅れ量に対するレンズホルダ203のフォーカシング方向Fへの変位周波数応答特性を示している。図16に示すように、変位周波数が高くなるにつれて電流値は低下するが、周波数による乱れはほとんど発生していない。また図17に示すように、位相の遅れ量は、概ね数百Hzから10000Hzまでの領域において5度以下であり、ほとんど位相の遅れが発生していない。このことは、フォーカス制御に位相の遅れが生じることがなく、良好な制御が実現することを示している。また、位相の遅れによって制御が不安定になることがなく、安定した制御が実現することも示している。
【0166】
図18は、対物レンズ116、117を備えた従来のレンズホルダ114において、共振が発生する様子を模式的に示している。従来の対物レンズ駆動装置においては、2つの対物レンズ間の距離は約6mm程度である。図19および図20は従来の対物レンズ駆動装置における、電流値に対するレンズホルダのフォーカシング方向Fへの変位周波数応答特性および、サーボ制御の位相遅れ量に対するレンズホルダのフォーカシング方向Fへの変位周波数応答特性を示している。図19に示すように数万Hzにおいて、電流値が急激に低下している。これはレンズホルダの共振による影響である。図20に示すように、共振によって、数万Hz付近において位相遅れ量が大きくなっている。この影響を受け10000Hz付近においても位相の遅れ量が大きくなっている。
【0167】
このように、本実施形態によれば、2つの対物レンズ間の距離を小さくすることによってレンズホルダの共振周波数を適切に制御することができ、サーボ制御における位相の遅れ量を小さくすることができる。したがって、本実施形態の対物レンズ駆動装置によれば、精度の高いサーボ制御を安定して実現することが可能となる。
【0168】
本実施形態の対物レンズ駆動装置は、第1の実施形態の光ピックアップにおいて対物レンズ駆動装置45として好適に用いることができる。これにより、第1の実施形態の効果に加えて本実施形態の効果を奏する光ピックアップが実現する。
【0169】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第2の実施形態で説明した2つの対物レンズ間の距離を実現するのに好適な構造を備えた対物レンズ駆動装置を説明する。
【0170】
図21および図22は、本実施形態による、対物レンズ駆動装置103の構成を示す平面図および分解斜視図である。図21および図22に示す方向T、方向Yおよび方向Fは第2の実施形態と同様フォーカシング方向トラッキング方向および光ディスクの接線方向を示す。
【0171】
対物レンズ駆動装置103は、対物レンズ301、対物レンズ302、レンズホルダ303、フォーカシングコイル304a〜304dおよびトラッキングコイル305a、305bから構成される可動体を備えている。
【0172】
レンズホルダ303は樹脂からなり、対物レンズ301および対物レンズ302を支持している。対物レンズ301は、CDやDVDなど低記録密度の光ディスクの記録再生に
用いられる。また、対物レンズ302は、BDなど高記録密度の光ディスクの記録再生に用いられる。
【0173】
レンズホルダ3におけるトラッキング方向Tと平行な2つの側面にはフォーカシングコイル304a〜304dとトラッキングコイル305a、305bが取り付けられており、方向Yと平行な2つの側面には端子板308が取り付けられている。フォーカシングコイル304a、304cは直列に接続され、その両端子が、端子板308およびワイヤー309、基板313を通じて制御回路(図示せず)に結線されている。同様にフォーカシングコイル304b、304dは直列に接続され、両端子が端子板308およびワイヤー309、基板313を通じて制御回路(図示せず)に結線されている。
【0174】
また、トラッキングコイル305aおよびトラッキングコイル305bは互いに直列に結線されて端子板308およびワイヤー309、基板313を通じて制御回路(図示せず)に結線されている。
【0175】
可動体を駆動するために、対物レンズ駆動装置は、第1のマグネット306および第2のマグネット307をさらに備える。第1のマグネット306および第2のマグネット7をはいずれもフォーカシングコイル304a〜304dおよびトラッキングコイル305a、305bに対応した線を境界として分割された領において、多極着磁されたており、ヨーク310に固定されている。
【0176】
ワイヤー309の基端側はサスホルダ312を通って基板313に固定されている。また、ヨーク310、サスホルダ312、基板313はベース311に固定されている。ワイヤー309はベリリウム銅やリン青銅等の弾性金属材料からななり、円形、多角形、又は楕円形等の断面形状を有する線材、またhは棒材が用いられる。また、ワイヤー309の支持中心は可動体の重心に概ね一致するように設定されている。
【0177】
対物レンズ301および対物レンズ302は方向Yに沿ってレンズホルダ303上に配列されており、対物レンズ301はワイヤー309の支持中心よりワイヤー309の基端側に、対物レンズ302はワイヤー309の支持中心よりワイヤー309の先端側にそれぞれ設置されている。
【0178】
図23は、レンズホルダ314の側面図であり、図24は、レンズホルダ303の図21におけるA−A線断面を示している。図22、図24に示すように、レンズホルダ303の対物レンズ301が搭載される部分には球面状の凹面部3aが形成されており、対物レンズ301は球面状の凸面部314aを有するレンズホルダ314に搭載されたレンズユニットとしてレンズホルダ303の球面状凹面部303aに配置されている。したがって、第1の実施形態で説明したように、対物レンズ301はレンズホルダ303の球面状凹面部303aと傾動ホルダ314の球面状凸面部314aを接触摺動させることにより対物レンズ302とは独立に角度を調整することが可能である。
【0179】
図23および図24に示すようにレンズホルダ314は対物レンズ302に近接する位置において、平坦な側面(Dカット面)314bを有している。また、対物レンズ301の光軸に対して側面314bと対称となる位置に球面の一部を切り欠いた切欠き部314cを有している。
【0180】
また、レンズホルダ303は対物レンズ302および対物レンズ301の周囲に突起部303bが形成され、好ましくは、突起部303bの上面にポリウレタン系の樹脂からなる衝突防止材が塗布されている。これにより対物レンズ302および対物レンズ301と光ディスク(図示せず)とが直接衝突するのを防止している。図25に示すように、突起
部303bは光ディスク(図示せず)の外周側以外の位置に形成されている。
【0181】
本実施形態によれば、2つの対物レンズはレンズホルダ上に隣接して配置され、対物レンズ301はレンズホルダ314を介してレンズホルダ3に固定される。レンズホルダ314の少なくとも対物レンズ302に近接する位置には平坦な側面が設けられているため、対物レンズ301および対物レンズ302を最も近接して配置できる。
【0182】
したがって、2つのレンズ間の距離を小さくできるため、光ヘッドの光学配置に無駄な空間をつくることなく光ヘッドの小型化を実現することができる。
【0183】
また、第2の実施形態で説明したように2つの対物レンズの光軸を近接させる配置を実現することにより、2つの対物レンズの光路となる2つの貫通穴の間隔も小さくすることができ、可動部全体の小型化が可能となり、かつ、レンズホルダの共振による悪影響を低減し、良好な変位周波数応答特性を得ることができる。これにより、安定なサーボ性能を確保し、安定した記録再生動作を行うことのできる光情報装置を実現することができる。
【0184】
また、図25に示すようにレンズホルダ314の少なくとも光ディスク15の外周側の側面に平坦な側面314bを配置することにより、カートリッジ316に内包された光ディスク315に対する記録再生を行う場合に外周側のカートリッジ縁部316aとレンズホルダ314が接触することがなくなり、安定した記録再生を実現することができる。
【0185】
同様にレンズホルダ303の突起部303bが外周側以外の位置に形成されているため、カートリッジ316に内包された光ディスク315に対する記録再生を行う場合に外周側のカートリッジ縁部316aとレンズホルダ314が接触することがなくなり、安定した記録再生を実現することができる。
【0186】
さらに、図23および図24に示すように、レンズホルダ314は球面の摺動面314aを有するとともに、対物レンズ2の光軸を中心として平坦な側面と対称とな位置に球面の一部を切り欠いた切欠き部314cを設けている。このため、図24に示すようにレンズホルダ314とレンズホルダ303との接触面積を光軸を中心に対称にすることができ、レンズホルダ303とレンズホルダ314とを接着剤により接合する場合に、熱による変形量および熱の伝導性が対称となり信頼性を向上することができる。
【0187】
本実施形態の対物レンズ駆動装置は上述したように第2の実施形態と好適に組み合わせることができる。さらに第1の実施形態と組み合わせてもよいし、本実施形態と第1の実施形態とのみを組み合わせてもよい。
【0188】
(第4の実施形態)
本発明による光情報装置の実施形態を図26を参照しながら説明する。
【0189】
光情報装置104は、光ピックアップ402と電気回路403とモータ404とを備えている。
【0190】
光ディスク407〜409は記録密度が互いに異なっており、いずれか1つを操作者が選択して、選択した光ディスクをターンテーブル405に載置する。載置された光ディスクは、クランパ406によって、ターンテーブル405に固定されモータ404によって回転駆動される。
【0191】
光ヘッド402には、第1の実施形態で説明した光ピックアップ101または第2、第3の実施形態で説明したい対物レンズ駆動装置102、103を搭載した光ピックアップ
を好適に用いることができる。
【0192】
光ピックアップ402はトラバースモータなどの駆動機構401によってトラッキング方向に移動することができ、所望のトラックへジャンプすることができる。
【0193】
光ピックアップ403は、光ディスク407〜409との位置関係に対応して、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を電気回路403へ出力する。電気回路403はこの信号に対応して、光ピックアップ403へ、対物レンズを微動させるための信号を送る。この信号によって、光ピックアップ402は、光ディスク407〜409に対してフォーカス制御およびトラッキング制御を行い、光ピックアップ104によって、情報の再生または情報の記録を行う。
【0194】
本実施形態によれば、第1の実施形態の光ピックアップまたは第2、第3の実施形態の対物レンズ駆動装置を備えているため、記録密度の異なる複数の光ディスクの記録再生動作を高い精度で安定して行うことのできる光情報装置を実現することができる。
【0195】
(第5の実施形態)
図27を参照しながら、本発明によるコンピュータの実施形態を説明する。
【0196】
コンピュータ105は、第4の実施形態で説明した光情報装置104と同じ光情報装置501を備える。コンピュータ105は、さらに情報の入力を行うためのキーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置503と、入力装置503から入力された情報や、光情報装置501から読み出した情報などに基づいて演算を行う中央演算装置(CPU)などの演算装置502を備える。
【0197】
また、演算装置502によって演算された結果などの情報を表示するブラウン管や液晶表示装置、プリンターなどの出力装置504を備える。
【0198】
コンピュータ105によれば、第4の実施形態で説明した光情報装置と同じ光情報装置501を備えるので、映像情報、音声情報あるいはデータを異なる種類の光ディスクに記録したり、光ディスクに記録されたこれらの情報を読み出し、情報の加工、編集を行う際、異なる光ディスクに対する記録再生動作を高い精度で安定して行うことができる。
【0199】
(第6の実施形態)
図28を参照しながら、本発明による光ディスクプレーヤの実施形態を説明する。
【0200】
光ディスクプレーヤ106は、第4の実施形態で説明した光情報装置104と同じ光情報装置601を備える。光ディスクプレーヤ106は、光情報装置601から得られる情報信号を画像に変換するデコーダなどの変換装置602をさらに備える。光ディスクプレーヤ106はカーナビゲーションシステムとしても利用してもよい。また、液晶モニターなどの表示装置603をさらに備えていてもよい。
【0201】
(第7の実施形態)
図29を参照しながら、本発明による光ディスクレコーダの実施形態を説明する。
【0202】
光ディスクレコーダ107は、第4の実施形態で説明した光情報装置104と同じ光情報装置701を備える。また、画像情報を、光情報装置701によって光ディスクへ記録する情報へ変換するエンコーダなどの変換装置702をさらに備える。光情報装置701から得られる情報信号を画像に変換するデコーダ703をさらに備えていてもよい。また、情報を表示するブラウン管や液晶表示装置、プリンターなどの出力装置704を備えて
もよい。
【0203】
(第8の実施形態)
図30を参照しながら、本発明による光ディスクサーバの実施形態を説明する。
【0204】
光ディスクサーバ108は、第4の実施形態で説明した光情報装置104と同じ光情報装置801を備える。さらに、サーバ108は、情報の入力を行うためのキーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置805と、光情報装置801に記録する情報を取り込んだり、光情報装置801によって読み出した情報を外部に出力する有線または無線の入出力端子802を備える。これによって、ネットワーク、すなわち、複数の機器、例えば、コンピュータ、電話、テレビチューナなどと情報をやりとりし、これら複数の機器と情報を共有する光ディスクサーバとして機能する。情報を表示するブラウン管や液晶表示装置、プリンターなどの出力装置804をさらに備えてもよい。また、複数の光ディスクを光情報装置801に出し入れするチェンジャー(図示せず)を設けることによって、多くの情報を記録・蓄積することができる。
【0205】
(第9の実施形態)
図31を参照しながら、本発明による車両109の実施形態を説明する。
【0206】
車両109は、第4の実施形態で説明した光情報装置104と同じ光情報装置901を備える。
【0207】
車両109は車体915と、車体915を駆動するための動力を発生する動力発生部912を備える。また、動力発生部912へ供給する燃料を貯蔵する燃料貯蔵部911、あるいは/さらに、電源910を備える。このように車両109に光情報装置901を搭載
することにより、移動体の中に居ながら、様々な種類の光ディスクから安定に情報を得ることができ、あるいは、情報を記録することができる。車両109が電車や車である場合には走行のために車輪907をさらに備える。また、走行方向を変えるためのハンドル916を備える。
【0208】
さらに、チェンジャー902や光ディスク収納部903を備えることにより、手軽に多数の光ディスクを利用することができる。光ディスクから得られる情報を加工し、画像を得る演算装置908や情報を一時的に蓄える半導体メモリ909、表示装置905を備えることにより、光ディスクから映像情報を再生することも可能である。また、アンプ913とスピーカ914を備えることにより光ディスクから音声や音楽を再生することもできる。
【0209】
また、GPS906などの位置センサーを備えることにより光ディスクから再生した地図情報と併せて、現在位置や進行方向を表示装置905に表示させ、スピーカ914から交通情報や道案内の情報を音声として発声させることができる。さらに無線通信部904を備えることにより、外部からの情報を得て、光ディスクの情報と相補的に利用することもできる。
【0210】
なお、第4から第9の実施形態において、出力装置や入力装置を示しているが、入力端子や出力端子のみを備え、出力装置や入力装置は、第4から第9の実施形態の機器が備えていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0211】
本発明は、種々の光ディスクに対して記録および再生の少なくとも一方を行う光ディスク装置などの光情報装置に好適に用いられる。特に、複数の対物レンズを備える光ディス
ク装置などの光情報装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0212】
1、2 レンズホルダ
3 開口制限部
31、37a、43a 光源
34、41 対物レンズ
33、39 コリメートレンズ
32、35、46 光ディスク
45 対物レンズ駆動装置
56、57、58 光ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源と、
第1対物レンズと、
第2光源と、
第2対物レンズと、
前記第1対物レンズと前記第2対物レンズを保持する支持体と、
前記支持体を前記光ディスクに垂直なフォーカシング方向および前記光ディスクの半径方向であるトラッキング方向に駆動するアクチュエータと、
光検出器と、
を備え、
前記第1光源は第1波長の光を出射し、
前記第1光源から出射した光を前記第1対物レンズにより、第1の光ディスクのデータ記録面に集光し、
前記第2光源は前記第1波長より短い第2波長の光を出射し、
前記第2光源から出射した光を前記第2対物レンズにより、第2の光ディスクのデータ記録面に集光し、
前記第1対物レンズの光軸と前記第2対物レンズの光軸との間隔は5mm以下に構成され、かつ、
前記対物レンズアクチュエータのフォーカシングコイルは、前記支持体の前記光ディスクの接線方向に垂直な両端面のそれぞれにおいて、前記対物レンズアクチュエータの可動部重心を含む前記フォーカシング方向に平行な軸に対して略対称な2箇所の位置に配置されている光ピックアップ。
【請求項2】
前記両端面それぞれ2カ所に配置されるフォーカシングコイルの間に、それぞれ1個のトラッキングコイルが配置されている請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項3】
前記第1対物レンズおよび前記第2対物レンズのそれぞれの光軸間の距離は2.5mm以上5mm以下である請求項1または2のいずれかに記載の光ピックアップ。
【請求項4】
前記第1対物レンズおよび前記第2対物レンズは、前記光ディスクのトラッキング方向と垂直な方向に沿って並列配置されている請求項1から3のいずれかに記載の光ピックアップ。
【請求項5】
前記第1対物レンズの焦点距離を前記第2対物レンズの焦点距離より長くすることによって、第1波長の光に基づいて生成するフォーカスエラー信号のフォーカス検出範囲が、前記第2波長の検出信号に基づいて生成するフォーカスエラー信号のフォーカス検出範囲に比べて広くなっている請求項1から4のいずれかに記載の光ピックアップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−53978(P2012−53978A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246264(P2011−246264)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【分割の表示】特願2007−532180(P2007−532180)の分割
【原出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】