説明

光ファイバユニット及び光ケーブル

【課題】複数の光ファイバをユニット化して集積性を向上させるに際し、良好な分離性、識別性、及び一括融着接続性を確保しつつ、光ケーブルへの収納も行い易くした光ファイバユニットを提供する。
【解決手段】光ファイバユニット1は、複数本の光ファイバ(4本の光ファイバ11a〜11dで例示)を備えたユニットであって、光ファイバ11a〜11dを2行多列(この例では4本であるため、2行2列)に配置し、光ファイバ11a〜11dを長手方向に間欠的に連結してなる。そして、その連結部分21は、光ファイバ11a〜11dを一纏めに固定してなる。連結部分21は、長手方向に一定長さをもつことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の光ファイバが連結された光ファイバユニットと、その光ファイバユニットを有する光ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、複数本の光ファイバをユニット化した光ファイバテープ心線の構成例を示す断面図である。図7(A),(B)でそれぞれ例示する光ファイバテープ心線7a,7bは、いずれも、複数の光ファイバ11を一列に並列配置して一体化して構成した光ファイバユニットである。
【0003】
光ファイバテープ心線7aは、4本の光ファイバ11を並列させ、その周囲をテープ材12で被覆して一体化した4心タイプのものである。光ファイバ11は、加熱炉で線引きしたガラスファイバに紫外線硬化型樹脂(以下、UV樹脂)を塗布した光ファイバ素線又は光ファイバ心線として供されるものである。また、テープ材12には、一般にUV樹脂が用いられる。光ファイバテープ心線7bは、光ファイバテープ心線7aの4心タイプの構成を2つ並べ、その周囲をさらにUV樹脂による連結被覆材(保護テープ)13で被覆して一体化した8心タイプのものである。なお、光ファイバテープ心線の心線数は4心、8心に限ったものではない。
【0004】
図7で例示したような光ファイバテープ心線を用いた光ケーブルとしては、スペーサの溝に複数の光ファイバテープ心線を収納し、その周囲に押さえ巻きを巻き付けてさらに最外周を外被で被覆した構成のものや、複数ユニットを一方向に撚り合わせて集合した外周に押さえ巻き層を施し、さらにその外周に外被を施した構成のものが用いられる。ここでは、1つの光ファイバテープ心線7a又は7bを構成する複数の光ファイバ11に異なる色を着色して、それぞれの光ファイバ11を識別できるようにしている。また、光ファイバテープ心線7aや7bは、ケーブル化した際にも取り扱いが容易であり、複数心の光ファイバ11が一体化されているため、光ファイバ11の端末部を整列させた一括融着接続が可能であり、良好な接続特性を有している。
【0005】
ところで、近年、細径且つ高密度の光ケーブルの需要が高まっている中で、細径の光ケーブルに高密度で収納でき、且つ光ケーブル布設時の分離性も高い光ファイバテープ心線が求められている。
しかし、図7のように並列した光ファイバに長手方向に樹脂で接着した光ファイバテープ心線は、分離性が悪く、光ケーブル内に高密度で収納する際、樹脂により光ファイバ単心の動きが拘束されるため、曲げ歪みが発生し易くなっている。
【0006】
このような問題に対し、特許文献1には、複数の光ファイバを並列させ、互いに隣接する2心の光ファイバ間のみを連結する連結部分を長手方向に間欠的に設けた光ファイバテープ心線が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、隣り合う光ファイバに接着部と分離部を間欠的に形成して光ファイバテープ心線を製造する製造方法が開示されている。この製造方法では、UV樹脂コーティングダイスに設けた複数の光ファイバ挿通孔に光ファイバを通過させ、各々の光ファイバにUV樹脂を塗布させ、間欠的に紫外線を照射させ、各光ファイバのUV樹脂に硬化部と未硬化部を作っている。この製造方法では、続いて、その複数本の光ファイバを集線させ未硬化部分を接触させた状態で未硬化部分に紫外線を照射させることにより、接着部と分離部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4143651号公報
【特許文献2】特開2010−2743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1,2に記載の光ファイバテープ心線では、接着されている光ファイバが2本であり、その接着部分の長手方向の位置が他の光ファイバの接着部分と異なる位置にあるため、各光ファイバを識別するために、全ての光ファイバについて非接着部分を視認できるように長手方向に調べる必要があり、識別し難いだけでなく、末処理時の一括融着接続性も良くない。
さらに、この光ファイバテープ心線では、接着されている光ファイバが2本であるため、複数本の光ファイバを光ケーブルに収納する際に纏まりが悪く、収納し難い。
【0010】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の光ファイバをユニット化して集積性を向上させるに際し、良好な分離性、識別性、及び一括融着接続性を確保しつつ、光ケーブルへの収納も行い易くした光ファイバユニット、並びにその光ファイバユニットを有する光ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による光ファイバユニットは、複数本の光ファイバを備えたユニットであって、上記複数本の光ファイバを2行多列に配置し、上記複数本の光ファイバを長手方向に間欠的に連結し、その連結部分は上記複数本の光ファイバを一纏めに固定してなることを特徴とする。
【0012】
ここで、上記連結部分は、上記複数本の光ファイバをUV樹脂(紫外線硬化型樹脂)で固定してなることが好ましい。
また、上記連結部分は長手方向に一定長さをもち、上記連結部分の長さは30〜150mm、上記連結部分以外の部分である非連結部分の長さは50〜150mmであることが好ましい。
また、本発明による光ケーブルは、上記の光ファイバユニットを収容したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の光ファイバをユニット化して集積性を向上させるに際し、長手方向に間欠的に連結部分を設け且つその連結部分で複数本の光ファイバを一纏めに固定することにより、良好な分離性、識別性、及び一括融着接続性を確保しつつ、光ケーブルへの収納も行い易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る光ファイバユニットの一構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る光ファイバユニットの他の構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る光ファイバユニットの他の構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る光ファイバユニットの他の構成例を示す図である。
【図5】本発明に係る光ファイバユニットを用いた光ケーブルの一構成例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る光ファイバユニットを用いた光ケーブルの他の構成例を示す断面図である。
【図7】複数の光ファイバをユニット化した光ファイバテープ心線の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る光ファイバユニットは、複数本の光ファイバを備えたユニットであり、複数本の光ファイバを2行多列に配置し、それら複数本の光ファイバを長手方向に間欠的に連結してなる。なお、本発明に係る光ファイバユニットは、列数が2以上であるが、列数が3以上の場合には、2行のテープ状に配列されるため、光ファイバテープユニットとも言える。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る光ファイバユニット、並びにその光ファイバユニットを備えた光ケーブルについて説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る光ファイバユニットの一構成例を示す図で、図1(A)は光ファイバユニットの長さ方向の一部分を示す斜視図、図1(B)は図1(A)のB−B断面を示す図、図1(C)は図1(A)のC−C断面を示す図である。
図1で示す光ファイバユニット1は、4本の光ファイバ11a〜11dを備えたユニットである。光ファイバ11a〜11dはいずれも、コアの周りにクラッドが形成された状態で、その周囲をUV樹脂等で被覆した単心の光ファイバ素線又は光ファイバ心線であり、その直径は例えば0.25mm程度である。なお、後述する他の構成例における光ファイバも同様である。
【0017】
そして、光ファイバユニット1は、4本の光ファイバを2行2列に配置し、それら4本の光ファイバ11a〜11dを長手方向に間欠的に連結してなる。さらに、各連結部分21は、4本の光ファイバ11a〜11dを一纏めに(つまり一括して)固定してなる。この連結部分21は、長手方向に一定長さをもつことが好ましく、この例及び以下に説明する他の例においては、連結部分は長手方向に一定長さをもつことを前提として説明する。
ここで、連結部分21は、4本の光ファイバ11a〜11dをUV樹脂20で固定してなる。以下、UV樹脂20で固定した例を挙げるが、UV樹脂20以外の接着樹脂材料を用いてもよい。
【0018】
また、連結部分21は、図1(B)に示すように光ファイバ同士がUV樹脂20で接着された部分を指し、全ての光ファイバ11a〜11dが少なくとも外周側で連結されていれば、すなわち外周に沿って隣り合う光ファイバ同士が連結されていればよい。このような連結により、全ての光ファイバ11a〜11dを一纏めに固定することができる。
【0019】
ここでは、図1(B)のようにUV樹脂20が光ファイバ11a〜11dの外周全てに設けられている例を挙げているが、外周の一部であっても連結対象となる光ファイバ同士に跨るようにUV樹脂20が設けられていればよい。また、4本の光ファイバ11a〜11dの内側は図1(B)のように連結されていない(空間を形成している)方がUV樹脂20の使用量や連結方向の簡略化のために好ましいが、外周側と同様に連結されていてもよい。
【0020】
また、連結部分21は長手方向に間欠的に設けられているため、光ファイバユニット1には、連結部分21以外の部分、つまり非連結部分22も存在する。非連結部分22は、連結部分21と次の連結部分21との間の部分であって、光ファイバ11a〜11d同士が分離した部分であり、図1(C)に示すように接着部分が存在しない。
【0021】
このように、光ファイバユニット1では、複数本(この例では4本)の光ファイバを連結してユニット化しているため、ユニット化しない場合に比べて集積性を向上させることができる。
また、光ファイバユニット1では、長手方向に間欠的に連結部分21を設け且つその連結部分21で複数本(この例では4本)の光ファイバを一纏めに固定しているため、(1)分離性、(2)識別性、(3)一括融着接続性をそれぞれ良好に確保しつつ、(4)収納効率を向上させることができる。
【0022】
上記(1)に関し、連結部分だけでなく非連結部分も設けることで、非連結部分では、各光ファイバが個々に動くことができるため、光ケーブルへの収納後の光ファイバの動きが自由となる。このため、曲げ歪みが発生し難くなり、光ファイバユニット1を異方性なくいずれの方向にも曲げ易いユニットにすることができる。さらに、連結部分だけでなく非連結部分も設けることで、光ケーブル布設時に光ファイバを単心に分離し易くなる。
【0023】
上記(2)に関し、連結部分21において外周全てUV樹脂20で覆った場合であっても、接着されている全ての光ファイバは、色分けなどしておくだけで、1箇所の非連結部分のみの確認で識別することができる。また、連結部分21を着色し色分けしておくと、ユニット間の識別が容易となり、それぞれの光ファイバがどのユニットに属しているか判別しやすい。
上記(3)に関し、複数本の光ファイバが連結部分で一体化されているため、複数本の光ファイバの端末部を整列させた一括融着接続が可能となる。
上記(4)に関し、光ファイバを複数本収納する際、光ファイバが分離した部分だけの場合にはバラけてしまい収納効率が悪いが、連結部分を設けることで光ファイバがバラけず収納効率を向上させ、光ケーブルへの収納を行い易くすることができる。
【0024】
さらに、4本の光ファイバ11a〜11dの内側を連結しないように構成した場合には、光ファイバ11a〜11dを連結した連結部分21のうち、特定の2本の光ファイバ間の連結部分21を切断することにより、従来のテープ状の光ファイバユニットを得ることができる。つまり、上記内側を連結しない構成の光ファイバユニット1では、光ファイバ11a〜11dの端末部を整列させて一括融着接続を行う場合において、所定の光ファイバ間の連結部分21を切断することで光ファイバ11a〜11dが一列に並んだテープ状にすることができる。
【0025】
次に、連結部分21と非連結部分22の長さ(間隔)について説明する。
連結部分21の長さは30〜150mm、非連結部分22の長さは50〜150mmであることが好ましい。
【0026】
具体的に説明すると、連結部分21は、短すぎると、光ケーブルに収納した際に隣り合う光ファイバユニットの側圧により容易に分離してしまうため、30mm以上であることが好ましい。また、連結部分21は、光ファイバユニット1の分離作業性を考慮すると150mm以下であることが好ましい。非連結部分22は、光ファイバユニット1の分離作業時に人の指が挿入できる長さであることが好ましく、そのため50mm以上であることが好ましい。また、非連結部分22は、連結部分21との識別性を考慮すると、150mm以下であることが好ましい。
実際、これらの範囲になるように連結部分21及び非連結部分22を構成することで、良好な非分離性、分離作業性、指挿入の容易性、識別性が得られた。
【0027】
図2は、本発明に係る光ファイバユニットの他の構成例を示す図で、図2(A)は光ファイバユニットの長さ方向の一部分を示す斜視図、図2(B)は図2(A)のB−B断面を示す図、図2(C)は図2(A)のC−C断面を示す図である。
【0028】
図2に示す光ファイバユニット2は、図1の光ファイバユニット1と同様に間欠的に設けられた連結部分21によって複数の光ファイバが連結された構成を有するものであり、その効果も基本的に同様であるが、光ファイバの本数が8本となっている点が、図1の構成と異なる。以下、光ファイバユニット2について、図1の構成と異なる部分を中心に説明する。
【0029】
光ファイバユニット2は、8本の光ファイバ11a〜11hを2行4列に配置し、それら8本の光ファイバ11a〜11hを長手方向に間欠的に連結してなる。各連結部分21は、長手方向に一定長さをもち、8本の光ファイバ11a〜11hを一纏めに固定してなる。
【0030】
光ファイバユニット2における連結部分21は、図2(B)に示すように光ファイバ同士がUV樹脂20で接着された部分を指し、全ての光ファイバ11a〜11hが少なくとも外周側で連結、すなわち外周に沿って隣り合う光ファイバ同士が連結されていればよい。このような連結により、全ての光ファイバ11a〜11hを一纏めに固定することができる。
【0031】
ここでは、図2(B)のようにUV樹脂20が光ファイバ11a〜11hの外周全てに設けられている例を挙げているが、外周の一部であっても連結対象となる光ファイバ同士に跨るようにUV樹脂20が設けられていればよい。また、8本の光ファイバ11a〜11hの内側は図2(B)のように連結されていない方が好ましいが、外周側と同様に連結されていてもよい。
また、光ファイバユニット2にも非連結部分22が存在する。非連結部分22は、連結部分21と次の連結部分21との間の部分であって、光ファイバ11a〜11h同士が分離した部分であり、図2(C)に示すように接着部分が存在しない。
【0032】
図3は、本発明に係る光ファイバユニットの他の構成例を示す図で、図3(A)は光ファイバユニットの長さ方向の一部分を示す斜視図、図3(B)は図3(A)のB−B断面を示す図、図3(C)は図3(A)のC−C断面を示す図である。
【0033】
図3に示す光ファイバユニット3は、図1の光ファイバユニット1と同様に間欠的に設けられた連結部分21によって複数の光ファイバが連結された構成を有するものであり、その効果も基本的に同様であるが、上段の光ファイバ11a,11cと下段の光ファイバ11b,11dとが互い違いに配列されている点が、図1の構成と異なる。よって、光ファイバユニット3では、図1の構成に比べて隙間を埋めて配列することができるため、より集積性を向上させることができる。以下、光ファイバユニット3について図1の構成と異なる部分を中心に説明する。
【0034】
光ファイバユニット3は、4本の光ファイバ11a〜11dが2行4列に配置してあるが、その配列が互い違いになっている。つまり、光ファイバユニット3では、各光ファイバ11a〜11dの中心を結んだ線が図1でのように直角の格子状にならずに、菱形の格子状になるような配列となっている。光ファイバユニット3も、図1の構成と同様に、4本の光ファイバ11a〜11dを長手方向に間欠的に連結してなり、各連結部分21は、長手方向に一定長さをもち、4本の光ファイバ11a〜11dを一纏めに固定してなる。
【0035】
光ファイバユニット3における連結部分21は、図3(B)に示すように光ファイバ同士がUV樹脂20で接着された部分を指し、全ての光ファイバ11a〜11dが少なくとも外周側で連結されていれば、すなわち外周に沿って隣り合う光ファイバ同士が連結されていればよい。このような連結により、全ての光ファイバ11a〜11dを一纏めに固定することができる。
【0036】
ここでは、図3(B)のようにUV樹脂20が光ファイバ11a〜11dの外周全てに設けられている例を挙げているが、外周の一部であっても連結対象となる光ファイバ同士に跨るようにUV樹脂20が設けられていればよい。また、4本の光ファイバ11a〜11dの内側は連結されていない方が好ましいが、外周側と同様に連結されていてもよい。
【0037】
また、光ファイバユニット3にも非連結部分22が存在する。非連結部分22は、連結部分21と次の連結部分21との間の部分であって、光ファイバ11a〜11d同士が分離した部分であり、図3(C)に示すように接着部分が存在しない。
【0038】
図4は、本発明に係る光ファイバユニットの他の構成例を示す図で、図4(A)は光ファイバユニットの長さ方向の一部分を示す斜視図、図4(B)は図4(A)のB−B断面を示す図、図4(C)は図4(A)のC−C断面を示す図である。
【0039】
図4に示す光ファイバユニット4は、図2の光ファイバユニット2と同様に間欠的に設けられた連結部分21によって複数の光ファイバが連結された構成を有するものであり、その効果も基本的に同様であるが、上段の光ファイバ11a,11c,11e,11gと下段の光ファイバ11b,11d,11f,11hとが互い違いに配列されている点が、図2の構成と異なる。よって、光ファイバユニット4では、図2の構成に比べて隙間を埋めて配列することができるため、より集積性を向上させることができる。また、光ファイバユニット4は、図3の光ファイバユニット3と比べて、心数が4本ではなく8本になっている点が異なる。以下、光ファイバユニット4について図3の構成と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
光ファイバユニット4は、8本の光ファイバ11a〜11hが2行4列に配置し、それら4本の光ファイバ11a〜11dを長手方向に間欠的に連結してなる。各連結部分21は、長手方向に一定長さをもち、8本の光ファイバ11a〜11hを一纏めに固定してなる。
【0041】
光ファイバユニット4における連結部分21は、図4(B)に示すように光ファイバ同士がUV樹脂20で接着された部分を指し、全ての光ファイバ11a〜11hが少なくとも外周側で連結されていれば、すなわち外周に沿って隣り合う光ファイバ同士が連結されていればよい。このような連結により、全ての光ファイバ11a〜11hを一纏めに固定することができる。
【0042】
ここでは、図4(B)のようにUV樹脂20が光ファイバ11a〜11hの外周全てに設けられている例を挙げているが、外周の一部であっても連結対象となる光ファイバ同士に跨るようにUV樹脂20が設けられていればよい。また、8本の光ファイバ11a〜11hの内側は連結されていない方が好ましいが、外周側と同様に連結されていてもよい。
また、光ファイバユニット4にも非連結部分22が存在する。非連結部分22は、連結部分21と次の連結部分21との間の部分であって、光ファイバ11a〜11h同士が分離した部分であり、図4(C)に示すように接着部分が存在しない。
【0043】
以上、図1〜図4を参照して、本発明に係る光ファイバユニットについて説明したが、本発明に係る光ファイバユニットが収容している単心の光ファイバの心数は図1〜図4で例示した数に限らず、2行多列となる心数であればよく、また上段と下段の心数も例えば上段を3列と下段を2列とするなど同じである必要はない。
【0044】
次に、図1〜図4で説明した各構成例において適用可能な、連結部分21を形成する方法や装置について説明する。以下の例では図1の構成例を再度参照しながら説明するが、他の構成例でも同様である。
【0045】
一例として、光ファイバ間に連結部分21となるUV樹脂等の材料を塗布する塗布装置を用いることができる。塗布装置としては、走行する光ファイバ11a〜11dの周囲に長手方向に間欠的にUV樹脂を付与するディスペンサー式のものを用いることができる。なお、上記内側に対応する部分に塗布しないか、若しくは空間が埋まる程度に多く塗布しなければ、上記内側を連結せずに空間を形成することができる。また、インクジェットヘッド方式のように、連結部分21となる材料を光ファイバ11a〜11dの周囲に長手方向に間欠的に吹き付けるものであってもよい。
【0046】
そして、間欠的にUV樹脂を塗布した後は、紫外線を照射してUV樹脂を硬化させて、連結部分21を形成するとよい。この方法によれば、UV樹脂を塗布しない部分が非連結部分22となる。なお、連結部分21に用いるUV樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート系の樹脂を用いることができる。
【0047】
他の例としては、特許文献2に記載のように、隣り合う光ファイバ間(光ファイバ11a,11b間、光ファイバ11b,11d間、光ファイバ11d,11c間、光ファイバ11c,11a間)に硬化部分と未硬化部分とを間欠的に形成する方法が挙げられる。具体的には、UV樹脂コーティングダイスに設けた複数の光ファイバ挿通孔に光ファイバ11a〜11dを通過させ、各々の光ファイバ11a〜11dにUV樹脂を塗布させ、間欠的にUV照射をさせ、各光ファイバのUV樹脂に硬化部分と未硬化部分とを形成する。なお、この例でも、上記内側に対応する部分に塗布しないか、若しくは空間が埋まる程度に多く塗布しなければ、上記内側を連結せずに空間を形成することができる。
【0048】
続いて、その複数本の光ファイバ11a〜11dを集線させ未硬化部分を接触させた状態で未硬化部分にUV照射させることにより、光ファイバ11a〜11dに接着により連結した連結部分21と連結していない非連結部分22とを形成することができる。
【0049】
さらに他の例としては、まず、光ファイバ11a〜11dを2行2列に並べた状態で長手方向に連続してUV樹脂を塗布して硬化させ、共通被覆を形成する。なお、この例でも、光ファイバ11a〜11dを蜜に並べるなどして上記内側に対応する部分にUV樹脂を塗布しないか、若しくは空間が埋まる程度に多く塗布しなければ、上記内側を連結せずに空間を形成することができる。
【0050】
このようにして共通被覆により一体化したユニットに対し、隣り合う光ファイバ間(光ファイバ11a,11b間、光ファイバ11b,11d間、光ファイバ11d,11c間、光ファイバ11c,11a間)に、カッター刃により長手方向に間欠的な切込みを入れる。ここで、切込みの機構としては、例えば隣り合う光ファイバ間に沿ってスイングするようなカッター刃(この例では4つのカッター刃)を配設し、それらのカッター刃をスイング動作させて、隣り合う光ファイバ間に間欠的に切込みを入れるようにすればよい。
【0051】
次に、本発明に係る光ケーブルについて、図5及び図6を参照しながら説明する。本発明に係る光ケーブルは、上記の光ファイバユニットを収容したものである。なお、本発明に係る光ケーブルは、どのような配列や心数の光ファイバユニットをどれだけ収納するかは以下の例に限らず、任意に設計すればよい。但し、本発明に係る光ケーブルには、本発明に係る光ファイバユニットが少なくとも1ユニット含まれていればよい。
【0052】
図5は、本発明に係る光ファイバユニットを用いた光ケーブルの一構成例を示す断面図である。
図5で示す光ケーブル5は、単心被覆の光ファイバ11を2行多列に配置した光ファイバユニット50a〜50eが収納されている。この例では、光ファイバユニット50a,50eが2行9列の18心、光ファイバユニット50b,50dが2行11列の22心、光ファイバユニット50cが2行13列の26心のユニットとなっている。これらの光ファイバユニット50a〜50eは、重ねた状態で一方向又はSZ方向に撚り合わせて集合しておくとよいが、撚り無しのストレートで集合させてもよい。
【0053】
なお、この例のように、同じ心数の光ファイバユニットを2以上収納する場合には、接着部分にユニット毎に異なる色に着色するか、別途、識別用糸をユニット毎に異なる色で設けるか、光ファイバ11の被覆部分を全て異なる色にするなどの対策を施しておけばよい。このような対策は、異なる心数の光ファイバユニットのみが光ケーブルに収納されている場合でも有益である。
【0054】
また、光ケーブル5では、光ファイバユニット50a〜50eの押さえ巻き層として保護テープ51が巻かれ、その周囲にポリエチレン等でなる外被52が施されている。さらに、光ケーブル5には、2本の切り裂き紐53と2本の抗張力体54とが設けられている。
【0055】
2本の抗張力体54は、光ケーブル5の中心に対して互いに対称の位置になるように、外被52に埋め込まれており、これにより外被52は突起部を形成している。この突起部における外被52の厚さは、突起部以外の外被52の厚さよりも厚くなっている。本実施形態では、抗張力体54は、例えば直径0.95mmの鋼線で構成されている。
【0056】
切り裂き紐53は、外被52中の抗張力体54相互間の中間部に、光ケーブルの中心に対して互いに対称となる位置に設けられている。切り裂き紐53は外被52を切り裂いて光ファイバユニット50a〜50eを取り出すために設けられる。また、図示しないが、切り裂き紐53が配設された部分の外被52の表面には、切り裂き紐53の位置を示すために、突起部若しくは着色がなされていることが好ましい。
【0057】
光ケーブル5では、光ファイバユニット50a〜50eにおいて光ファイバ11が矩形状に一体化されているため、光ファイバユニット50a〜50eを内部に集積した場合にも、空間を効率良く使用した高い集積性が得られる。また、光ファイバユニット50a〜50eが光ファイバ11の内側を連結していないユニットである場合には、特定の光ファイバ11間のみ連結部分21を長手方向に切断することにより、光ファイバ11が1列に並んだテープ状のユニットとすることができ、2行の光ファイバユニットであることによって一括融着接続の作業性を阻害することがない。
【0058】
図6は、本発明に係る光ファイバユニットを用いた光ケーブルの他の構成例を示す断面図である。
図6で示す光ケーブル6は、抗張力体61を中心に有するスペーサ62を備える。そして、このスペーサ62には複数(この例では5つ)のスロット溝63が設けられ、これらのスロット溝63のそれぞれに、単心被覆の光ファイバ11を2行多列に配置した光ファイバユニット60a〜60dが重ねられて収納されている。この例では、光ファイバユニット60aが2行4列の8心、光ファイバユニット60b〜60dが2行2列の4心のユニットとなっている。なお、スペーサ62に形成しておくスロット溝63の深さや形状、数などは図示したものに限ったものではない。
【0059】
そして、スペーサ62は、光ファイバユニット60a〜60dがスロット溝63に収納された状態でSZ方向に撚られている。スペーサ62の外周には、押さえ巻きとしての保護テープ64が巻き付けられ、その外周にポリエチレン等でなる外被65が被覆されている。
【0060】
光ケーブル6では、光ファイバユニット60a〜60dにおいて光ファイバ11が矩形状に一体化されているため、光ファイバユニット60a〜60dをスロット溝63の内部に集積した場合にも、空間を効率良く使用した高い集積性が得られる。また、光ファイバユニット60a〜60dが光ファイバ11の内側を連結していないユニットである場合には、特定の光ファイバ11間のみ連結部分21を長手方向に切断することにより、光ファイバ11が1列に並んだテープ状のユニットとすることができ、2行の光ファイバユニットであることによって一括融着接続の作業性を阻害することもない。
【符号の説明】
【0061】
1,2,3,4,50a,50b,50c,50d,50e,60a,60b,60c,60d…光ファイバユニット、5,6…光ケーブル、11,11a,11b,11c,11d,11e,11f,11g,11h…光ファイバ、20…UV樹脂、21…連結部分、22…非連結部分、51,64…保護テープ、52,65…外被、53…切り裂き紐、54,61…抗張力体、62…スペーサ、63…スロット溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光ファイバを備えた光ファイバユニットであって、
前記複数本の光ファイバを2行多列に配置し、前記複数本の光ファイバを長手方向に間欠的に連結し、
連結部分は、前記複数本の光ファイバを一纏めに固定してなることを特徴とする光ファイバユニット。
【請求項2】
前記連結部分は、前記複数本の光ファイバを紫外線硬化型樹脂で固定してなることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバユニット。
【請求項3】
前記連結部分は長手方向に一定長さをもち、前記連結部分の長さは30〜150mm、前記連結部分以外の部分である非連結部分の長さは50〜150mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバユニットを収容したことを特徴とする光ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−109172(P2013−109172A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254484(P2011−254484)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】