説明

光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置

【課題】 複数種のスペーサの溝ピッチと反転角度の測定を可能にすること。
【解決手段】 測定装置は、周回する螺旋溝が設けられたスペーサ12,反転する螺旋溝が設けられたスペーサ13の溝ピッチおよび溝反転角度を測定する。スペーサの進行量に対応した信号を発生させる速度パルス発生器16と、螺旋溝に嵌合された回転体18と、回転角度に対応したパルス状の回転角度信号と、回転角度信号から遅延,進行した回転方向判定信号と、螺旋溝の1回転に伴う1回転パルス信号を送出する第1,2パルス発生器19,20とを備えている。演算装置22は、スペーサの種別を選別し、螺旋溝の溝ピッチを演算するとともに、回転角度および回転方向判別信号を受けて、螺旋溝の反転位置を判別し、隣接する反転位置間での前記速度パルス発生器のパルスおよび回転角度信号を計数して、螺旋溝の溝ピッチと溝角度とを演算する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置に関し、特に、所定の回転角度毎に溝の回転方向が反転するスペーサおよび一方向に溝が螺旋状に周回するスペーサの双方に適用することができる溝ピッチおよび溝反転角度の測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバをケーブル化する際に用いられる部材として、光ファイバ担持用スペーサが知られている。この種の光ファイバ担持用スペーサは、外周に一方向に周回する螺旋溝が設けられたものと、所定の角度毎に回転方向が反転する螺旋溝が設けられたものがある。
【0003】これらの光ファイバ担持用スペーサでは、溝内にそれぞれ光ファイバを収納担持させるため、溝のピッチおよび反転角度などには、非常に厳しい精度が要求されており、製造時点でピッチ,反転角度の全長にわたる検査が行われている。
【0004】このようなスペーサの反転状態のピッチを製造ライン中で検出する装置としては、例えば、特公平8−3411号公報にその一例が開示されている。この公告公報に開示されている測定装置は、溝ピッチ検出用のものであって、スペーサの進行量に対応した信号を発生させる速度パルス発生器と、螺旋溝の反転ピッチ以内に嵌合された一対の回転体を介して、これらの回転角度に対応した信号を発生させる一対の角度パルス発生器と、角度パルス発生器の出力信号の一致点を検出する比較器と、速度パルス発生器の信号を計数して、螺旋ピッチを演算する演算回路とを備えている。
【0005】このピッチ測定装置では、比較器で反転角度の絶対値が一致した場所を検出し、一致点間の長さを速度パルス発生器の信号を計数して求める。ところが、このようなピッチ測定装置には、以下に説明する技術的な課題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、上記公告公報に開示されているピッチ測定装置では、スペーサの反転角度の測定ができない。また、溝が反転するスペーサの溝ピッチを測定することができるものの、例えば、溝の回転方向が転換される反転部以外に直線部分が設けられているスペーサでは、この直線部分で比較器から一致信号が送出されることもあって、正確なピッチの測定ができない場合もある。
【0007】さらに、1方向に螺旋溝が周回する構造のスペーサでは、溝ピッチおよび回転角度の測定がいずれもできないという問題もあった。
【0008】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、溝が反転する構造および溝が周回する構造の双方の溝ピッチおよび反転ないしは回転角の測定が可能な溝が反転する構造および溝が周回する構造の双方の溝ピッチおよび反転ないしは回転角の測定が可能な光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置を提供することにある。
【0009】また、別の目的として、反転部間に直線部分があっても、正確な測定ができる光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、外周に所定のピッチで周回する螺旋溝が設けられた第1光ファイバ担持用スペーサないしは外周に所定のピッチと回転角度とで反転する螺旋溝が設けられた第2光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置であって、前記スペーサの進行量に対応した信号を発生させる速度パルス発生器と、前記螺旋溝に嵌合された回転体と、前記回転角度に対応した回転角度信号と、前記回転角度信号から所定角度遅延ないしは進行した回転方向判定信号と、前記螺旋溝の1回転に伴う1回転パルス信号とを、前記回転体の回転に伴って送出するパルス発生器と、予め設定される条件または前記回転方向判定信号により前記第1または第2光ファイバ担持用スペーサを選別し、前記第1光ファイバ担持用スペーサが選択されたときに、前記1回転パルス信号を受けて、1回転中の前記速度パルス発生器のパルスを計数して、前記螺旋溝の溝ピッチを演算するとともに、前記第2光ファイバ担持用スペーサが選択されたときに、前記回転角度および回転方向判別信号を受けて、前記螺旋溝の反転位置を判別し、隣接する前記反転位置間での前記速度パルス発生器のパルスおよび前記回転角度信号を計数して、前記螺旋溝の溝ピッチと溝反転角度とを演算する演算装置とを備えている。このように構成された溝ピッチおよび溝反転角度測定装置によれば、外周に所定のピッチと回転角度とで周回する螺旋溝が設けられた第1光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチの測定と、外周に所定のピッチと回転角度とで反転する螺旋溝が設けられた第2光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび反転角度の測定のいずれもが可能になる。この場合、第2光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度は、回転角度および回転方向判別信号を受けて、螺旋溝の反転位置を判別し、隣接する反転位置間での速度パルス発生器のパルスおよび回転角度信号を計数して求めるので、溝の方向が反転する位置間に直線部分が存在したとしても、反転位置を正確に測定することができる。前記パルス発生器は、前記光ファイバ担持用スペーサの進行方向に沿って所定の間隔を隔てて配置された一対の第1および第2パルス発生器から構成され、各パルス発生器の前記回転方向判別信号を受けて、前記第2光ファイバ担持用スペーサの回転方向を判別する一対の第1,第2回転方向判別回路を設け、前記第1,第2回転方向判別回路の判断が相互に異なった時を前記回転角度信号の計数開始条件として、前記第2パルス発生器の回転角度を検知し、前記回転角度信号の計数開始後の所定時間経過後に検出される変極点を前記反転位置と前記演算装置で判断することができる。この構成によれば、第2パルス発生回路の回転角度信号が螺旋溝の回転方向の転換位置近傍でチャタリングを起こして、見掛け上反転位置であると誤って判断することを排除することができる。すなわち、今例えば、第1回転方向判別回路の回転方向の判断が時計方向であって、第2回転方向判別回路の回転方向の判断が反時計方向であるとすれば、第2パルス発生器の回転角度信号の計数が開始され、回転角度信号の変極点から溝の反転位置が検出される。しかし、この回転角度信号の計数開始直後に、第2パルス発生器にチャタリングが発生し、回転角度信号に変極点が現われたとしても、この変極点は、反転位置として判断されない。このような誤判断の原因となるチャタリングは、溝の回転方向が時計方向から反時計方向に転換する個所、または、溝の回転方向が反時計方向から時計方向に転換するいわゆる反転部(位置)で発生し易い。そこで、本発明では、回転角度信号の計数開始後の所定時間経過後に検出される変極点を反転位置であるとして判断するようにし、誤判断を回避するようにした。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1から図9は、本発明にかかる光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置の一実施例を示している。
【0012】同図に示した測定装置10は、同図中の矢印方向に進行する第1光ファイバ担持用スペーサ12ないしは第2光ファイバ担持用スペーサ13の製造工程の途中に設けられた一対の引取機14,14間に設置されている。
【0013】第1光ファイバ担持用スペーサ12には、外周に所定のピッチで周回する螺旋溝12aが設けられている。第2光ファイバ担持用スペーサ13には、外周に所定のピッチと回転角度とで反転する螺旋溝13aが設けられている。
【0014】測定装置10は、速度パルス発生器16と、一対の回転体17,18と、一対の第1および第2パルス発生器19,20と、演算装置22とから概略構成されている。
【0015】速度パルス発生器16は、スペーサ12,13の進行量に対応したパルス信号を発生するものであって、前方の引取機14内に設置されている。
【0016】第1,第2回転体17,18は、同一構成のものであって、スペーサ12,13の進行方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられており、各回転体17,18は、スペーサ12,13の螺旋溝12a,13aに嵌合して、スペーサ12,13の進行に伴って回転するものであって、引取機14,14間に設置された筐体24上に設けられている。
【0017】なお、図1に示した符号26の部材は、筐体24上に設置されたスペーサ12,13の案内ガイドローラである。
【0018】第1および第2回転体17,18の詳細を図2に示している。なお、この回転体17,18の構成は、全く同一なので、以下の説明では、後方側に設けられた一方の第2回転体18を代表にして説明する。
【0019】同図に示した第2回転体18は、外周部にギア18aが嵌着固定された鍔付き中空円筒状の本体18bと、複数のピン18cとを備えている。
【0020】ピン18cは、スペーサ12,13の螺旋溝12a,13a内に先端側が嵌合挿入されるものであって、本体18bの鍔部に凹設され、中心方向を指向する放射溝内にネジにより固定されている。
【0021】第2回転体18は、スペーサ12,13の挿通孔が設けられたホルダ30により回転自在支持されている。ホルダ30は、支持脚32により支持されていて、支持脚32は、筐体24上に固設されている。
【0022】第2パルス発生器20は、ホルダ30の上端側に固設されたフランジ34に取付け支持されていて、第1パルス発生器20の回転軸200には、ギア18aと歯合する従動ギア201が固設されている。
【0023】第2パルス発生器20は、スペーサ12,13が進行すると、これに伴って回転体18が回転し、回転体18の回転により回転駆動されて、図3に示すような複数のパルス信号が送出される。
【0024】同図に示したパルス信号は、螺旋溝13aの回転角度に対応したパルス状の回転角度信号aと、この回転角度信号aから、螺旋溝13aの回転方向に対応して、回転角度信号aから所定角度θだけ遅延ないしは進行した回転方向判定信号bと、螺旋溝12aが1回転する度に送出される1回転パルス信号cである。
【0025】図3に示した例では、第2パルス発生器20の回転軸200が時計方向(CW)の場合の各信号の送出状態が同図(A)に示され、反時計方向(CCW)の場合の各信号の送出状態が同図(B)に示されている。
【0026】なお、詳細は図示していないが、第1パルス発生器19は、第1回転体17に上記と同じ構成により取付けられていて、前記と同様な3種類のパルス信号が送出される。
【0027】演算装置22のブロック構成図を図4に示している。同図に示した演算装置22は、マイコンから構成されたものであって、CPU22aと、メモリ22bと、I/Oポート22cとを有している。
【0028】I/Oポート22cには、速度パルス発生器16,第1,第2パルス発生器19,20の出力信号が入力されるとともに、筐体24に設けられた溝ピッチ表示部35および溝反転角度表示部36が接続されている。
【0029】これらの各表示部35,36は、現在の測定値の表示と、設定値の表示および許容値の表示が可能になっている。また、第1および第2パルス発生器19,20には、各パルス信号発生器19,20から送出される信号a,bを受けて、第2光ファイバ担持用スペーサ13の回転方向(CW,CCW)を判別する第1および第2方向判別回路19a,20aがそれぞれ接続されている。
【0030】第1および第2方向判別回路19a,20aから送出される判別信号d,eは、I/Oポート22cに入力されている。さらに、I/Oポート22cには、キーボード38,プリンタ40,記録計42,高速カウンタ44,警報器46が接続されている。
【0031】CPU22aでは、予め設定される条件または回転方向判定信号bにより第1または第2光ファイバ担持用スペーサ12,13を選別し、第1光ファイバ担持用スペーサ12が選択されたときに、第2パルス発生器20の1回転パルス信号cを受けて、1回転中の速度パルス発生器16のパルスを計数して、螺旋溝12aの溝ピッチを演算する。
【0032】また、第2光ファイバ担持用スペーサ13が選択されたときに、回転角度および回転方向判別信号a,bを受けて、螺旋溝13aの反転位置を判別し、隣接する反転位置間での速度パルス発生器16のパルスおよび回転角度信号aを計数して、螺旋溝13aの溝反転ピッチと溝反転角度とを演算する。
【0033】図5〜図7にCPU22aで実行される手順の一例を示している。同図に示した手順では、スタートすると、まず、ステップs1で、スペーサ12,13の種別判断が行われる。この判断に際しては、例えば、スペーサ12,13をある程度進行させて、回転方向判別信号bが変わるか否かにより判断することができるし、また、初期設定で、キーボード38により入力して判断してもよい。
【0034】ステップs1で、第1光ファイバ担持用スペーサ12であると判断された場合には、ステップs2に移行し、ステップs2では、螺旋溝12aのピッチの設定値および許容値が入力され、これが溝ピッチ表示部34に表示される。
【0035】続くステップs3では、測定予定が終了したか否かが判断され、測定予定が終了していなければ、ステップs4で、1回転パルス信号cの取込みを確認した後に、ステップs5で、この信号cの立ち上りで高速カウンタ44を起動し、次の1回転パルス信号cの立ち上りで停止させて、1回転中の速度パルス発生器16のパルス信号を計数して、螺旋溝12aの溝ピッチを求める。
【0036】この溝ピッチを求める際に用いる高速カウンタ44のデータの取込みは、ポート1で行われる。
【0037】次に、ステップs5で、求めた溝ピッチを溝ピッチ表示部34に送出して、測定値として表示する(ステップs6)とともに高速カウンタ44のポート1をリセットして、ステップs8に移行する。
【0038】ステップs8では、設定値と測定値とを比較演算し、これが許容値以内に納まっているか否かが判断され、許容値以内に納まっていない場合には、ステップs9で警報器46を作動して、警報を発した後に、ステップs10でその値をプリンタ40に送出する。
【0039】一方、ステップs8で許容値以内に納まっていると判断された場合には、ステップs10でその値をプリンタ40に送出し、ステップs3に戻る。以上のような溝ピッチの測定が継続されて、ステップs3で、測定終了であると判断された場合には、ステップs11で、それまでの測定によって得られた溝ピッチの最大値,最小値,平均値をそれぞれ演算し、これらの各値をプリンタ40に出力して(ステップs12)、測定を終了する。
【0040】他方、ステップs1で第2光ファイバ担持用スペーサ13であると判断された場合には、図6,7に示す処理が行われる。ここで、まず、処理手順を説明する前に、以下の説明で用いる用語について説明する。
【0041】第2光ファイバ担持用スペーサ13においては、第1および第2パルス発生器19,20から送出される回転角度信号bは、図9(A)に■,■に示すように表わすことができる。
【0042】また、第2光ファイバ担持用スペーサ13では、図9(B)に模式的に示すように、螺旋溝13aが、CW方向に角度2αだけ進行した後に、反転して、元の位置に戻り、その後、CCW方向に同様に角度2αだけ進行状態を繰り返す。
【0043】本実施例では、CW方向に角度2αだけ進行した点、すなわち、CW方向の最大回転角度をピーク値P0,1,2nと定義し、CCW方向に角度2αだけ進行した点、すなわち、CCW方向の最大回転角度をボトム値B0,1,2nと定義する。
【0044】つまり、本実施例の場合には、ピーク値P0,1,2nないしはボトム値B0,1,2nが得られる個所が螺旋溝13aの反転位置であり、反転角度2αは、ピーク値P0,1,2n−ボトム値B0,1,2nとなる。また、本実施例の反転ピッチpは、図8に示した、進行方向に沿って隣接するピーク値P0,1,2nとボトム値B0,1,2nとの間の距離とする。
【0045】図6に示した手順が開始されると、ステップs13で、螺旋溝13aの反転ピッチp,反転角度2αの設定値が入力されるとともに、これらの許容値も合せて入力される。
【0046】続くステップs14では、第1方向判別回路19aの信号dを取込み、その出力信号dがCCWになるまで待機する。この信号dがCCWになったと判断されるとステップs15に移行する。
【0047】ステップs15では、第2方向判別回路20aの信号eを取込み、その出力信号eがCWになるまで待機し、CWになったと判断されると、ステップs16で、第2パルス発生器20の回転角度信号bを受けて、その所定時間ごとの高速カウンタ44の計数値(ポート2)を記憶させるとともに、高速カウンタ44のポート1のデータ(速度パルス発生器16の送出信号)を取込む。
【0048】続くステップs17では、高速カウンタ44のポート2の計数値の前後を、所定時間間隔毎に順次比較することによりボトム値が検出された否かが判断される。
【0049】このボトム値の判断手順では、第2パルス発生器20の回転角度信号bの変極点を検出するものであって、この変極点が検出されると、その時の高速カウンタ44の計数値がボトム値B0として記憶される。
【0050】ステップS17でボトム値B0が求められると、続くステップs18で、ボトム値B0が、回転角度信号bの計数開始後にΔt時間経過した後に得られたものか否かが判断され、Δt時間経過していない場合には、ステップs17に戻り、Δt時間経過していれば次のステップs19に移行する。
【0051】ここで、ステップs14〜18の処理についてより詳細に説明すると、これらの処理を経ることにより、第2パルス発生回路20の回転角度信号bが螺旋溝13aの回転方向の転換位置近傍でチャタリングを起こして、見掛け上反転位置であると誤って判断することを排除することができる。
【0052】すなわち、第1回転方向判別回路19aの回転方向の判断がCWであって、第2回転方向判別回路20aの回転方向の判断がCCWであれば、ステップs16で、第2パルス発生器20の回転角度信号bの計数が開始され、回転角度信号bの変極点から溝13aの反転位置が検出される。
【0053】ところが、この回転角度信号bの計数開始直後に、第2パルス発生器20にチャタリングが発生し、回転角度信号bに変極点が表れたとしても、この変極点は、反転位置として判断されない。
【0054】このような誤判断の原因となるチャタリングは、溝13aの回転方向がCWからCCWに転換する個所、または、溝13aの回転方向がCCWからCWに転換する個所で発生し易い。
【0055】図9にこのチャタルングの発生状況を破線で示している。同図に示したように、チャタリングは、螺旋溝13aの方向が転換する位置の近傍で発生し易い。そこで、本実施例では、回転角度信号bの計数開始後の所定時間(Δt)経過後に検出される変極点を反転位置であるとして判断するようにし、誤判断を回避するようにした。
【0056】図9に示したチャタリングの発生状況において、一旦ピーク値P0ないしはボトム値B0が求められた後にチャタリングが発生することもあるが、この場合には、これらの値が求められると、次のステップに移行するので誤判断になることはない。
【0057】ステップs19では、第1方向判別回路19aがCWになるまで待機し、CWになったと判断されると、ステップs20に移行し、第2方向判別回路20aがCCWになると、図7に示す、ステップs21で、第2パルス発生回路20の回転角度信号aを受けて、その所定時間ごとの高速カウンタ44の計数値(ポート2)を記憶させるとともに、高速カウンタ44のポート1のデータを取込む。
【0058】続くステップs22では、高速カウンタ44のポート2の計数値の前後を順次比較することによりピーク値が検出されたか否かが判断される。このピーク値の判断手順では、第2パルス発生器20aの回転角度信号bの変極点を検出するものであって、この変極点が検出されると、その時の高速カウンタ44の計数値がピーク値P0として記憶される。
【0059】ステップs23では、求められたピーク値P0が、回転角度信号bの計数開始後にΔt時間経過した後に得られたものか否かが判断され、Δt時間経過していない場合には、ステップs22に戻り、Δt時間経過していれば次のサブルーチンSUB1に移行する。
【0060】このピーク値P0を求める手順は、実質的にステップs14〜s18と同じであり、これらの手順を経ることによりチャタリングの影響が排除される。サブルーチンSUB1では、前述したステップs5〜s10と同じ手順が実行され、反転ピッチpの演算および設置値との比較が行われ、異常の有無が判断されて、その結果がプリントアウトされる。
【0061】サブルーチンSUB1の処理が終了するとメインルーチンに戻り、引き続いてサブルーチンSUB2の処理が実行される。サブルーチンSUB2では、まず、ステップs100で、反転角度2αの演算が行われる。この演算は、ピーク値P0−ボトム値B0である。
【0062】反転角度2αが求められると、その値が設定値とともに表示され(ステップs101)、設定値−測定値を演算し、これが許容値以内に納まっているか否かがステップs102で判断され、許容値以内に納まっていない場合には、ステップs103で警報器46を作動して、警報を発した後に、ステップs104でその値をプリンタ40に送出する。
【0063】一方、ステップs102で許容値以内に納まっていると判断された場合には、ステップs104でその値をプリンタ40に送出し、ステップs105に移行する。
【0064】ステップs105では、計測終了か否かが判断され、計測が終了していない場合には、再びメインルーチンのステップs24に戻る。メインルーチンのステップs24〜s28までの処理手順は、前述したステップs14〜s18と同じなので説明を省略する。
【0065】そして、ステップs24〜s28の実行によりボトム値B1が求められると、再びサブルーチンSUB1,2が実行され、ステップS19に戻る。以上のような反転ピッチpおよび反転角度2αの計測が継続されて、ステップs105で計測が終了したと判断されると、ステップs106で、それまでの測定によって得られた反転ピッチpおよび反転角度2αの最大値,最小値,平均値をそれぞれ演算し、これらの各値をプリンタ40に出力して(ステップs107)、測定を終了する。
【0066】さて、以上のように構成された光ファイバ担持用スペーサの螺旋溝ピッチおよび溝反転角度測定装置によれば、外周に所定のピッチで周回する螺旋溝が設けられた第1光ファイバ担持用スペーサ12の溝ピッチの測定と、外周に所定のピッチと回転角度とで反転する螺旋溝13aが設けられた第2光ファイバ担持用スペーサ13の反転ピッチpおよび反転角度2αの測定のいずれもが可能になる。
【0067】この場合、第2光ファイバ担持用スペーサ13の反転ピッチpおよび反転角度2αは、回転角度および回転方向判別信号を受けて、螺旋溝13aの反転位置を判別し、隣接する反転位置間での速度パルス発生器のパルスおよび回転角度信号を計数して求めるので、溝13aの方向が転換する反転位置間に直線部分が存在したとしても、反転位置を正確に測定することができる。
【0068】また、本実施例の場合には、特に、螺旋溝13aの反転位置を判別する際のチャタリングの影響を確実に防止することができる。
【0069】
【発明の効果】以上実施例で詳細に説明したように、本発明にかかる光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置によれば、溝が反転する構造および溝が周回する構造の双方の溝ピッチおよび反転角の測定が可能になり、方向転換部分間に直線部分があっても正確な測定が行える。また、請求項2の構成によれば、チャタリングの影響を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光ファィバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置の一実施例を示す配置状態の側面図である。
【図2】同測定装置に用いる回転体およびパルス発生器の取付状態の要部を破断した側面図である。
【図3】同パルス発生器の出力信号の説明図図である。
【図4】図1に示した測定装置のブロック図である。
【図5】同測定装置の測定手順のフローチャート図である。
【図6】同測定装置の測定手順のフローチャート図である。
【図7】同測定装置の測定手順のフローチャート図である。
【図8】本発明の測定装置の測定対象である螺旋スペーサの反転ピッチおよび反転角度の説明図である。
【図9】螺旋スペーサの反転角度を検出する際のチャタリングの発生状態の説明図である。
【符号の説明】
10 測定装置
12 第1光ファイバ担持用スペーサ
12a 螺旋溝
13 第2光ファイバ担持用スペーサ
13a 螺旋溝
14 引取機
16 速度パルス発生器
17,18回転体
19 第1パルス発生器
19a 第1方向判別回路
20 第2パルス発生器
20a 第2方向判別回路
22 演算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周に所定のピッチで周回する螺旋溝が設けられた第1光ファイバ担持用スペーサないしは外周に所定のピッチと回転角度とで反転する螺旋溝が設けられた第2光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置であって、前記スペーサの進行量に対応した信号を発生させる速度パルス発生器と、前記螺旋溝に嵌合された回転体と、前記回転角度に対応した回転角度信号と、前記回転角度信号から所定角度遅延ないしは進行した回転方向判定信号と、前記螺旋溝の1回転に伴う1回転パルス信号とを、前記回転体の回転に伴って送出するパルス発生器と、予め設定される条件または前記回転方向判定信号により前記第1または第2光ファイバ担持用スペーサを選別し、前記第1光ファイバ担持用スペーサが選択されたときに、前記1回転パルス信号を受けて、1回転中の前記速度パルス発生器のパルスを計数して、前記螺旋溝の溝ピッチを演算するとともに、前記第2光ファイバ担持用スペーサが選択されたときに、前記回転角度および回転方向判別信号を受けて、前記螺旋溝の反転位置を判別し、隣接する前記反転位置間での前記速度パルス発生器のパルスおよび前記回転角度信号を計数して、前記螺旋溝の溝ピッチと溝反転角度とを演算する演算装置とを備えたことを特徴とする光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置。
【請求項2】 前記パルス発生器は、前記光ファイバ担持用スペーサの進行方向に沿って所定の間隔を隔てて配置された一対の第1および第2パルス発生器から構成され、各パルス発生器の前記回転方向判別信号を受けて、前記第2光ファイバ担持用スペーサの回転方向を判別する一対の第1,第2回転方向判別回路を設け、前記第1,第2回転方向判別回路の判断が相互に異なった時を前記回転角度信号の計数開始条件として、前記第2パルス発生器の回転角度を検知し、前記回転角度信号の計数開始後の所定時間経過後に検出される変極点を前記反転位置と前記演算装置で判断することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ担持用スペーサの溝ピッチおよび溝反転角度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図9】
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【図4】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2000−65558(P2000−65558A)
【公開日】平成12年3月3日(2000.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−240314
【出願日】平成10年8月26日(1998.8.26)
【出願人】(000120010)宇部日東化成株式会社 (203)
【Fターム(参考)】