説明

光ファイバ整列構造を有する組立体

【課題】フェルール、光ファイバ、及び改善された光ファイバ整列構造を有する組立体の提供。
【解決手段】本発明の組立体(1)は、支持部材(2)、フェルール(3)、及び該フェルールに埋め込まれた光ファイバ(4)を有する。フェルールは支持部材に固定される。光ファイバの先端は、整列部材(7)が結合された支持部材上に配置される。光ファイバの先端は整列部材に当接する。整列部材は、所定軸(18)に対して光ファイバの先端を整列させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材、フェルール、及びフェルール内に埋め込まれた光ファイバを有する組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
支持部材、フェルール、及びフェルール内に埋め込まれた光ファイバを有する組立体は、ほぼ全ての光ファイバ通信システムの基本部品である。例えば、より長くするために光ファイバの断片を結合したり、放射源、検出器及びリピータ等の能動デバイスに光ファイバを接続したり、スイッチ及び減衰器等の受動デバイスに光ファイバを接続したりするためのコネクタとして使用される。
【0003】
組立体の基本機能は、光ファイバのコアが光ファイバと嵌合するデバイスの光路と実際に整列するように、光ファイバを保持することである。このため、光ファイバからの光は、関連する光デバイスの光路に最適に結合される。
【0004】
光ファイバを所定光路に整列させるために、フェルールは、保持部材により所定位置に固定される。しかし、この解決法は常に十分であるという訳ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7441963号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、フェルール、光ファイバ、及び光ファイバ用のガイドを有する光デバイスを開示する。光ファイバの先端及びガイドは、互いに嵌まり合う円錐面を有する。
【0007】
フェルール、光ファイバ、及び改善された光ファイバ整列構造を有する組立体に対するニーズがある。本発明は、そのような組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、支持部材、フェルール、及び光ファイバを有し、光路に関して光ファイバをより正確に整列する組立体を提供するものである。
【0009】
ガイド面が円錐状すなわちテーパ状の少なくとも第1部分を有することにより、円錐状の断面は、光ファイバの先端の平坦面の挿入方向に沿って狭くなる。光ファイバの先端の平坦面は第1部分に当接する。円錐状にすることにより、光ファイバの先端の平坦面を開口に挿入する際に、光ファイバの先端を精確に整列させることができる。
【0010】
より精確な整列は、光ファイバの先端の平坦面と円錐状すなわちテーパ状の第1部分との整列によって得られる。このため、所定軸すなわち光路に対する光ファイバの精確な整列が達成される。光ファイバが先端の平坦面と整列すると、より精確な整列が得られる。この新たなアプローチにより、整列部材の第1部分の形状及び光ファイバの先端の形状のずれが小さくなる。
【0011】
本発明の別の実施形態は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明に開示されている。
【0012】
本発明の更に別の実施形態は、所定軸に対してフェルールを整列させる粗い整列手段を具備する。この粗い整列手段はフェルールの取付に役立つ。
【0013】
本発明の別の実施形態は、フェルールの円錐面と支持部材との粗い整列手段に関する。粗い整列手段は、フェルールを支持部材に取り付けることにより光ファイバを整列部材に仮整列させる。この構造は、光ファイバの整列に役立つと共に、整列の間、光ファイバの損傷の危険を低減する。
【0014】
本発明の更に別の実施形態は、支持部材のガイド凹部、及びガイド凹部と組み合うフェルールのガイド先端として構成された粗い整列手段に関する。
【0015】
本発明の別の実施形態は、フェルール及び支持部材に配置されたガイド面である粗い整列手段に関する。
【0016】
本発明の更に別の実施形態は、フェルールの挿入方向を向く、フェルールの前端に位置する2本のピンと、支持部材のガイド凹部とを具備する粗い整列手段に関する。この粗い整列手段により、ピンは、フェルールの組立後の位置において各ガイド凹部内に配置される。本実施形態は堅牢な整列手段を提供する。また、2本のピンは、対向する両側で光ファイバの先端を保護する。これにより、光ファイバの損傷の危険が低減される。
【0017】
本発明の別の実施形態は、支持部材の後側の凹部に開口する孔として構成された開口に関する。この開口により、光部材は、支持部材の後側で凹部内に少なくとも部分的に整列する。本実施形態は小型の組立体を提供する。
【0018】
本発明の更に別の実施形態は、光ファイバに隣接する先端面に凹部を具備するフェルールに関する。このフェルールにより、整列部材は、粗い整列手段として凹部内に突出する突出部を具備する。
【0019】
本発明の別の実施形態は、フェルールの先端面から先端が突出する光ファイバに関する。この光ファイバにより、光ファイバの先端が整列部材と接触状態になる。
【0020】
本発明の更に別の実施形態に係る組立体は、第1部分を有する孔を具備する。これにより、孔は支持部材の後側に開放し、光部材は支持部材の後側で凹部内に配置される。この構造は組立体を小型にするという結果になる。
【0021】
本発明の別の実施形態に係る組立体において、保持部材及び整列部材が一体に構成される。保持部材及び整列部材の一体構造の結果、組立体の構造が簡単になり、光ファイバの先端及びフェルールの方向性が精確になる。
【0022】
本発明の組立体の更に別の実施形態は、光ファイバに隣接する凹部をフェルールの端面に有するフェルールを具備する。これにより、整列部材は、フェルールの凹部内に突出する。また、本実施形態は、光ファイバの先端の精確な整列を得るための簡単な手段を有する小型の組立体を提供する。
【0023】
本発明の別の一実施形態において、光ファイバの先端がフェルールの端面から突出する。これにより、光ファイバの先端は整列部材と接触状態になる。本実施形態が整列部材の開口内に容易に取り付けられることにより、光ファイバのクラッド又はコアは、整列部材のガイド面に当接する。従って、フェルール内又は光ファイバに別体のガイド面を設ける必要がない。光ファイバの外面は、光ファイバの先端を整列させるためのガイド面として使用される。
【0024】
本発明の更に別の一実施形態において、組立体は、支持部材に接続されると共に取外し可能な方法でフェルールを支持部材に固定する弾性クランプ部材を具備する。弾性クランプ部材は、フェルールを固定するための簡単で安価な手段を提供する。
【0025】
本発明の別の一実施形態において、組立体は、ハウジングの上面の開口に凹部を有するハウジングを具備する。この凹部により、フェルールは、ハウジングの凹部内に配置されると共に凹部の対向する2面により案内され、整列部材は、好適にはハウジングの一部として配置される。
【0026】
本発明の更に別の一実施形態において、整列開口は、所定光路に従って光ファイバを整列させるために、光ファイバの先端を包囲する円形断面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る組立体を示す概略斜視図である。
【図2】図1の組立体の第1の断面図である。
【図3】図1の組立体の第2の断面図である。
【図4】図3の光ファイバの先端の詳細を示す断面図である。
【図5】整列部材を前側から見た斜視図である。
【図6】整列部材を後側から見た斜視図である。
【図7】クランプ部材を有する支持部材の断面図である。
【図8】光ファイバ及び取り付けられたフェルールを有する第2実施形態の組立体を示す断面図である。
【図9】組立工具を示す断面図である。
【図10】小径の光ファイバと共に組立工具を示す断面図である。
【図11】別の一実施形態の支持部材を示す斜視図である。
【図12】別の一実施形態のフェルールを示す斜視図である。
【図13】仮組立されたフェルールを示す断面図である。
【図14】仮組立されたフェルールの別の断面を示す図である。
【図15】組立後の光ファイバを示す断面図である。
【図16】図15の詳細を示す断面図である。
【図17】図15の別の断面図である。
【図18】図15の更に別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。
【0029】
図1は、支持部材2、フェルール3及び光ファイバ4を有する組立体1を示す概略図である。光ファイバは、単心ファイバ又は多心ファイバとして具現化してもよい。説明中の実施形態では多心ファイバ4である。また、光部材19は、光ファイバ4と光学的に接続されて配置される。支持部材2は、板12と、板12上に配置されたハウジング13とを具備する。ハウジング13は、その上面の開口にフェルール凹部14を具備する。フェルール3の先端はフェルール凹部14内に配置されている。フェルール凹部14内には、フェルール3を取外し可能に支持部材2に固定するクランプ部材15が配置されている。
【0030】
図2は、光ファイバ4の縦方向の中心軸に沿った組立体1の、板12に直交する第1平面内での第1断面図である。光ファイバ4は、その縦軸8に沿って配置されたコア16を有する。図示の実施形態において、コア16は、光ファイバ4の束として具現化される。別の一実施形態において、コア16は、1本の光ファイバ4として具現化されてもよい。コア16は、その外面を包むクラッド17により取り囲まれる。ファイバ4は、フェルール3の一端部に埋め込まれる。縦軸8が光部材19の所定光路18と一致すると、光ファイバ4との効果的な光結合には有利である。
【0031】
ハウジング13は、板12の上面に配置された基部板20を具備する。基部板20は、垂直板として配置された整列部材7に結合される。使用される実施形態によっては、クランプ部材15の基部部材を基部板20に埋め込んでもよい。
【0032】
整列部材7が孔21を有することにより、光ファイバ4の先端が孔21内に突出する。また、フェルール3の前端は、光ファイバ4の表面に隣接する整列凹部22を有する。整列部材7の突出部35は、整列凹部22内に延びており、クラッド17の表面又はコア16の表面に直接当接する。
【0033】
また、光部材19は、孔21に対して反対側の整列部材7の光部材凹部28内に少なくとも部分的に配置される。孔21は光部材凹部28内を通る。
【0034】
図3は、縦軸8内にあり基部板20と平行な第2平面内での組立体1の断面図である。図3に見られるように、フェルール3の両側がクランプ部材15により締め付けられる。
【0035】
図4は、図3のフェルール3の端部及び光ファイバ4の先端93の詳細を示す断面図である。フェルール3は、支持部材2の対向する両壁23により整列する。また、フェルール3は、光ファイバ4に隣接する整列凹部22を有する。図示の実施形態において、整列凹部22は、クラッド17の表面に隣接する円形リングの形状を有する。整列部材7の突出部35が整列凹部22内に突出する。本実施形態において、突出部35は円形リングの形状を有する。整列部材7の円形リング35は、光ファイバ4のクラッド17を取り囲む。整列リングである突出部35は、光ファイバ4の縦軸8に沿って円錐状すなわちテーパ状の断面を有する円形状第1部分25を内面に有する。第1部分25の断面は、光部材19へ進むに従って小さくなる。光ファイバ4は、第1部分25で円形外縁95に当接する平坦端面94を有する。第1部分25は、孔21に光ファイバ4を挿入することにより、光ファイバ4を整列するために使用される。光ファイバ4を孔21に挿入することで、光ファイバ4の先端93が第1部分25により案内される。従って、光ファイバ4は、孔21の中心軸に沿った光路18に対して極めて精確な位置にある。光部材19は光路18に整列する。光部材19は、支持部材2の整列部材7の光部材凹部28内に少なくとも部分的に配置される。このため、小型の組立体が提供される。
【0036】
図5は、孔21を有する整列部材7を前側から見た図である。孔21は円錐状の第1部分25を有する。第1部分25は、筒形状の第2部分26につながっている。第2部分26は、光部材凹部28につながる孔21の縮小開口径を取り囲む。使用される実施形態によっては、第2部分26を配置することなく、整列部材7の全厚さにわたって第1部分25が案内してもよい。
【0037】
図6は、孔21がつながっている光部材凹部28を示す整列部材7の後側を示す図である。
【0038】
図7は、クランプ部材15の領域で光ファイバ4の縦軸8に直交する、組立体1の別の断面図である。クランプ部材15はほぼU形状であり、U形状アーム30,31が中間部32によって結合される。中間部32は、基部板20内に配置され、又は基部板20に結合される。中間部32の対向する両側において、第1及び第2のU形状アーム30,31が中間部32に結合される。第1及び第2のU形状アーム30,31の第1部分は、中間部32に直交して配置され、支持部材2の上面の領域で一平面まで案内される。この平面から始まり、対向する2アーム30,31は、中間部32の方向に中間部32まで折り返される。2アーム30,31の端部63,64は、U形状の第1及び第2のアーム30,31の外側部分まで折り返される。
【0039】
フェルール3がほぼ長方形の断面を有し、対向する2側壁の下部に、傾斜面33,34が配置される。傾斜面33,34は、基部板20上に載置されるフェルール3の底部の方向に沿って外方へ傾斜する。第1及び第2のアーム30,31の曲げられた端部63,64は、それぞれ第1及び第2の傾斜面33,34に向って押圧される。このため、クランプ部材15を使用することにより、支持部材2の基部板20にフェルール3を押圧することが可能である。これによりフェルール3を強く固定できる。アーム30,31が曲げられた端部63,64を有する形状であるため、フェルール3を容易に取り付けることができる。
【0040】
図8は、本発明の一実施形態の垂直方向に沿った別の断面図である。図示の実施形態において、フェルール3の前端は、その第1及び第2の突起部41,42が光ファイバ4の先端93の前面を超えて突出する。整列部材7は、フェルール3の第1及び第2の突起部41,42を受容するよう配置された第1及び第2の凹部39,40を有する。光ファイバ4の組立の際、第1及び第2の突起部41,42が第1及び第2の凹部39,40内に移動する結果、フェルール3を粗く整列させる。この粗い整列は、円錐状第1部分25内で光ファイバ4の先端93を仮整列させるという結果となる。光ファイバ4の先端93は、円形外縁95の少なくとも一部が第1部分25に当接する平坦端面94を有する。第1部分25は、図5を参照して説明したように、テーパ状部すなわち円錐状部として形成される。使用される実施形態によっては、光ファイバの先端の端面全体が平坦面である必要はない。精確な整列のためには、ファイバ4の先端93の端面94の少なくとも外縁95が平坦なリング面であるならば十分であるかもしれない。孔21内に光ファイバ4を挿入する際に、光ファイバ4は、第1部分25により整列され、第1部分25の端位置に当接する。整列部材7の第1及び第2の凹部39,40とフェルール3の第1及び第2の突起部42,41との粗い整列を使用することにより、光ファイバ4の敏感な先端が損傷する危険が低減する。光ファイバ4は、光ファイバ4内に複数の単心ファイバを有する多心ファイバとして構成される。光ファイバ4はその表面により整列され、クラッド17は光ファイバ4の先端の一端部29で剥がされる。
【0041】
光部材19は、光部材凹部28内に配置されることにより、整列部材7の後側で隣接する印刷回路基板38に固定される。光部材19は、例えばレーザダイオード、好適には面発光レーザダイオードである。使用される実施形態によっては、光部材19も、光センサ、光コネクタ部材、又は光ファイバ等の導光部材であってもよい。
【0042】
図9は、整列面71、孔75、及び円錐状部すなわちテーパ状部72を有する組立工具70のZ軸に沿ったX平面の概略断面図である。円錐状部すなわちテーパ状部72は、整列部材7の第1部分25と同じ形状及び同じ寸法を有するのが好ましい。フェルール3は、前端部でフェルール3を包囲する組立面73,74により整列される。また、フェルール3は、その第2停止肩91が組立工具70の第1停止肩90に向って押圧され、円錐状部72及びフェルール3の前部間に所定距離を形成する。この所定距離は、取り付けられたフェルール3が取付位置において整列部材7の第1部分25に対して有する距離と同じである。従って、フェルール3は、整列工具すなわち組立工具70の孔75の中心軸78と平行に整列される。光ファイバ4は、後側からフェルール3の開口92を通って組立工具70へ押圧される。光ファイバ4が整列面71によって整列されることにより、光ファイバ4の先端93の平坦端面94の外縁95は、円錐状部すなわちテーパ状部72に当接する。光ファイバ4はフェルール3には未だ固定されていないので、フェルール3の開口92内でZ軸に沿って移動可能である。整列工具70内での光ファイバ4の整列の次に、光ファイバ4は、接着剤76又は溶接によりフェルール3に固定される。この組立方法は、円錐状部72と接触するために、光ファイバ4の先端がフェルール3の前部から所定距離だけ突出するという利点を有する。整列工具70は、光ファイバ4の先端93の平坦端面94が円錐状部72に当接するので、光ファイバ4の取付が精確に遂行されるという利点を有する。従って、光ファイバ4の縦軸8が中心軸78と一致することにより、円錐状部72は中心軸に対して対称配置される。光ファイバ4は、単一のファイバ又はファイバの束である。
【0043】
図10は、図9の光ファイバ4より小径の光ファイバ4及びフェルール3と共に組立工具70を示すX平面に沿った断面図である。光ファイバ4の直径が小さいことにより、光ファイバ4は、整列工具70の孔75内でより長い距離Lで挿入される。また、本実施形態において、光ファイバ4は、先端93の平坦端部94の外縁95が孔75の円錐状部72に当接する。フェルール3から光ファイバ4の先端93が突出する長さLで整列するために円錐状部72を使用する利点は、所定光路18を表す中心軸78に対して光ファイバ4の縦方向の中心軸8が精確に整列することである。組立工具70を使用することにより、整列されて取り付けられた光ファイバ4を有するフェルール3が得られる。光ファイバ4の先端93は、光ファイバ4の直径に依存する所定距離Lだけフェルール3の前部から突出する。距離Lは、フェルール3が支持部材2に取り付けられる際に、光ファイバ4の先端93の平坦端面94が整列部材7の第1部分25に当接するように、組立工具70により決定される。図9の光ファイバ4の直径は、図10の光ファイバ4の直径よりも大きい。従って、図9の取り付けられた光ファイバ4は、図10の光ファイバ4よりも小さな距離Lでフェルール3の端部から突出する。
【0044】
複数のテストにより、Z方向よりもY方向及びX方向の一方又は双方に精確に整列することがより重要であることが示された。光路18のZ方向に沿った光ファイバ4の先端93の位置は、光ファイバ4及び光部品19間の最適な結合にはあまり重要ではない。これにより、光ファイバ4の先端93は、円錐状第1部分25に当接しなければならない。光ファイバ4の必要な突出長さは、整列工具70を用いて所定範囲で調整することが好ましい。
【0045】
図11は、支持部材2の別の一実施形態を示す。支持部材2は、フェルール凹部14を有するハウジング13を具備する。ハウジング13の前側には、突出ブロック43内に孔21が配置されている。孔21は円錐状第1部分25を具備する。使用される実施形態によっては、図5の実施形態で説明した第2部分であってもよい。しかし、図示の実施形態においては、円錐状第1部分25のみがある。突出ブロック43は、互いに逆向きの2外面に第1及び第2のガイド面44,45を有する。第1及び第2のガイド面44,45は、突出ブロック43の円錐状部すなわちテーパ状部分を形成する。突出ブロック43の幅は、光ファイバ4の挿入方向、すなわちZ方向に沿って増大する。第1及び第2のガイド面44,45は、突出ブロック43の両側面に配置された第1及び第2のガイド凹部46,47を限定する。突出ブロック43は、ハウジング13の前部の第3ガイド凹部48内に配置される。第3ガイド凹部48は、第3ガイド凹部48の円錐状部すなわちテーパ状部の上側及び下側、並びに第1及び第2のガイド凹部46,47の円錐状部すなわちテーパ状部の上側及び下側を限定する対向する2面49,50により限定される。第1及び第2の円錐状面49,50は、第1及び第2のガイド面44,45に直交して配置されると共に、第1及び第2のガイド凹部46,47内に延びている。第3ガイド凹部48の両側面は、第3及び第4の側面51,52により限定される。
【0046】
第3ガイド凹部48はフェルール凹部14に隣接して配置される。第3ガイド凹部48は、突出ブロック43の両側で第1及び第2のガイド凹部46,47につながる。第1及び第2の円錐状面49,50並びに第1及び第2のガイド面44,45は、フェルール3の粗い整列を得るための第1の粗い整列手段を配置する。第3ガイド凹部48がY平面内で円錐状すなわちテーパ状をなすことにより、第3ガイド凹部48の幅は光ファイバ4の挿入方向に沿って縮小する。第1及び第2のガイド凹部46,47がX平面内で円錐状すなわちテーパ状をなすことにより、第1及び第2のガイド凹部44,45の幅は光ファイバ4の挿入方向、すなわちZ方向に沿って縮小する。支持部材2は、整列部材7の方向にフェルール3及び光ファイバ4を付勢するために使用することができる第2及び第3のばね80,81を有する。第2及び第3のばね80,81により、光ファイバ4を円錐状第1部分25に押圧することができるので、光路18に対して光ファイバ4をZ平面内に精確に整列することが達成される。使用される実施形態によっては、フェルール3の位置をクランプ部材15により固定することができるので、第2及び第3のばね80,81を省いてもよい。第3ガイド凹部48は、第1及び第2のガイド凹部46,47につながる。
【0047】
図12は、第2の粗い整列手段を有する整列先端53を有するフェルール3を示す図である。整列先端53は、フェルール3の前側に配置されると共に、中心に光ファイバ4の先端93を有する。支持部材2の挿入の際にフェルール3を粗く整列するために使用される2本のピン54,55が、光ファイバ4の両側にある。第1及び第2のピン54,55は、光ファイバ4よりも長い距離でフェルール3の中心から突出する。このため、第1及び第2のピン54,55は、全長にわたって光ファイバ4の先端93を保護する。第1及び第2のピン54,55は、光ファイバ4の先端の方向に対して傾斜面として配置された傾斜内面56,57を有する。傾斜内面56,57の間に、円錐状すなわちテーパ状の空間が形成される。第1及び第2の内面56,57は、それぞれ第1及び第2のピン54,55の全幅にわたる。内面56,57の両側には、第1及び第2のピン54,55を閉じ込める外面58,59がある。外面58,59は、フェルール3の両側に延びる。フェルール3は、互いに平行な2側面、互いに平行な上面及び下面、並びに後面及び前面を有するほぼ直方体の形状を有する。これにより、フェルール3の前面には、第1及び第2のピン54,55が配置される。第1及び第2のピン54,55は、光ファイバ4の縦軸に沿って整列先端53の前面から延びている。
【0048】
第1及び第2のピン54,55は、上面60及び下面61を有する。第1及び第2のピン54,55の対向する上面60及び下面61は、光ファイバ4の先端の方向に互いに対して傾斜する。このため、第1及び第2のピン54,55が円錐形状をなす。
【0049】
フェルール3を支持部材2に挿入することにより、第1及び第2のピン54,55は、第3ガイド凹部48を通ってそれぞれ第1ガイド凹部46及び第2ガイド凹部47内に移動する。上面60及び下面61は、第1円錐状面49及び第2円錐状面50により案内される。ピン54,55の第1外面58及び第2外面59は、第3及び第4の側面51,52により案内される。さらに、第1ピン54の第1内面56及び第2ピン55の第2内面57は、突出ブロック43の第1ガイド面44及び第2ガイド面45により案内される。フェルール3の前端(整列先端)53の設計形状及び第3、第2及び第1のガイド凹部48,47,46の設計形状は、支持部材2内にフェルール3を挿入する際に、第1部分25のZ平面に対して光ファイバ4を粗い仮整列する結果となる第1及び第2の粗い整列手段を提供する。
【0050】
図13は、支持部材2の仮取付位置で光ファイバ4及びフェルール3の縦方向の中心軸8を通るX平面内の断面図である。フェルール3は、仮取付位置に位置することにより、第1及び第2の円錐状面49,50並びに第1及び第2のガイド面44,45(図示せず)により、仮整列される。第1及び第2の円錐状面49,50は、第3ガイド凹部48及び第1ガイド凹部46の円錐状部すなわちテーパ状部を形成する。この位置において、光ファイバ4は、図示されるように第1部分25内への挿入のために仮整列される。実施形態により、孔21は円錐状第1部分25のみを有してもよい。フェルール3の仮整列は、支持部材2内にフェルール3を挿入することにより、光ファイバ4の損傷の危険を低減する。図13に示された実施形態において、フェルール3がクラッド17に固定されることにより、光ファイバ4は、クラッド17を超えて延びると共に図12に示されるようにフェルール3の前端を超えて延びる。フェルール3は、光ファイバ4の前端93の位置に回避凹部62を有する。回避凹部62は、光ファイバ4を取り囲むと共に、孔21への挿入の際に精確な整列のために有用である光ファイバ4のより柔軟な曲げを許容する。
【0051】
図14は、仮組立されたフェルール3の第1ピン54のX平面内での断面を示す。第1ピン54が第2ガイド凹部47内に配置されることにより、第1ピン54の上面60及び下面61は、第1及び第2の円錐状面49,50により案内され、X平面に第3及び第1のガイド凹部48,46の円錐状部すなわちテーパ部を形成する。
【0052】
図15は、光ファイバ4が一端位置に挿入されたフェルール3のX平面内での断面図である。第1及び第2のピン54,55の上面60及び下面61は、第1及び第2の円錐状面49,50に当接する。光ファイバ4が取付位置に位置することにより、光ファイバ4の先端93の端面94は、孔21の円錐状第1部分25内に配置される。図示の実施形態が光ファイバ4の束を示すことにより、各光ファイバ4は、平坦端面94が光ファイバ4の束の共通の平坦端面を形成する先端93を有する。
【0053】
図16は、光ファイバ4の端面94及びフェルール3の端面の詳細を示す図である。フェルール3の端面は第3ガイド凹部48内に配置され、第1及び第2のピン54,55は第1及び第2のガイド凹部46,47内に配置される。光ファイバ4の先端93の端面94は、第1部分25の領域内に配置される。光ファイバ4の束の先端93の平坦端面94の外縁95が、第1部分25に当接する。外縁95は円形形状を有する。光ファイバの束は、マルチコアポリマ光ファイバとして構成されてもよい。
【0054】
図17は、支持部材2の接地平面と平行に配置されたY平面に沿った光ファイバ4の縦方向中心軸8を通る断面である。第1及び第2のピン54,55は、第1及び第2のガイド凹部46,47に沿って延びる。また、第1及び第2のピン54,55それぞれの第1内面56及び第2内面57は、それぞれ第1ガイド面44及び第2ガイド面45に位置する。図17は図15の断面を示す。
【0055】
図18は、第1ピン54を通る第2のX平面内の別の断面図である。図示された第1ピン45の上面60及び下面61が、第2ガイド凹部47の第1及び第2のガイド面49,50に当接して位置する。
【0056】
使用される実施形態によっては、フェルール3により光ファイバ4の粗い整列を得るには1本のピン54(55)で十分かもしれない。また、ガイド面が異なる方向性又は異なる形状を有することにより、フェルール3の使用による光ファイバ4の仮整列の機能も得られる。
【0057】
また、第1部分25は精確な円錐形状ではなく、円形断面のテーパ形状を有してもよい。
【0058】
別の一実施形態において、ガイド面の位置も、光ファイバ4の端部29の背後にあってもよい。さらに、フェルール3の仮整列を、フェルール3の両側のガイド面、直方体部の上面及び下面により実現してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 組立体
2 支持部材
7 整列部材
13 ハウジング
14 凹部
21 孔(開口)
23 壁
25 円錐状第1部分(ガイド面)
26 第2部分
28 光部材凹部(凹部)
35 突出部
44 第1ガイド面
45 第2ガイド面
46 第1ガイド凹部(整列手段)
47 第2ガイド凹部(整列手段)
48 第3ガイド凹部
49 第1円錐状面(ガイド面)
50 第2円錐状面(ガイド面)
3 フェルール
53 整列先端(ガイド先端)
54 第1のピン(整列手段、突出部)
55 第2のピン(整列手段、突出部)
56 第1内面(ガイド面)
57 第2内面(ガイド面)
60 上面(ガイド面)
61 下面(ガイド面)
62 回避凹部(凹部)
4 光ファイバ
93 先端
94 平坦端面
95 外縁
18 所定光路(所定軸)
19 光部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材(2)、フェルール(3)、及び該フェルールに埋め込まれた光ファイバ(4)を有する組立体(1)であって、
前記フェルールは、整列部材(7)が結合された前記支持部材に固定され、
前記光ファイバの先端(93)は前記整列部材に当接し、
前記整列部材は、所定軸(18)に対して前記光ファイバの前記先端を整列させ、
前記整列部材は、ガイド面を有する開口(21)を具備し、
前記ガイド面は、テーパ形状の少なくとも第1部分(25)を有し、
前記テーパ形状の断面は、前記光ファイバの前記先端の挿入方向に沿って狭くなっており、
前記光ファイバの前記先端の平坦端面(94)は、前記第1部分に少なくとも部分的に当接することを特徴とする組立体。
【請求項2】
前記所定軸に対して前記フェルールを整列させる整列手段(46,47,54,55)が配置されていることを特徴とする請求項1記載の組立体。
【請求項3】
前記フェルールを前記支持部材に取り付けることにより前記光ファイバを前記整列部材に整列させるために、前記整列手段が、前記フェルール及び前記支持部材に設けられていることを特徴とする請求項2記載の組立体。
【請求項4】
前記整列手段は、前記所定軸に直交する平面に対して前記フェルールを整列させることを特徴とする請求項2又は3記載の組立体。
【請求項5】
前記整列手段は、前記支持部材のガイド凹部(46,47)、及び該ガイド凹部と組み合う前記フェルールのガイド先端(53)として構成されていることを特徴とする請求項2ないし4のうちいずれか1項記載の組立体。
【請求項6】
前記整列手段は、前記フェルールに配置されたガイド面(56,57,60,61)、及び前記支持部材に配置されたガイド面(44,45,49,50)として構成されていることを特徴とする請求項2ないし5のうちいずれか1項記載の組立体。
【請求項7】
前記整列手段は、前記光ファイバの挿入方向を向く、前記フェルールの前端(53)に位置する2本のピン(54,55)と、前記支持部材のガイド凹部とを具備し、
前記ピンは、前記フェルールの組立後の位置で前記ガイド凹部のそれぞれに配置されることを特徴とする請求項2ないし6のうちいずれか1項記載の組立体。
【請求項8】
前記開口は、前記支持部材の後側の凹部(28)に開口する孔(21)であり、
前記凹部内に、光部材(19)が少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項記載の組立体。
【請求項9】
前記フェルールは、前記光ファイバに隣接する先端面に凹部(62)を具備し、
前記整列部材は、前記フェルールのための粗い整列手段として前記凹部内に突出する突出部(35)を具備することを特徴とする請求項1ないし8のうちいずれか1項記載の組立体。
【請求項10】
前記光ファイバの先端は、前記フェルールの先端から突出しており、
前記フェルールの前記先端は、一側で前記光ファイバを保護する少なくとも1個の突出部(54,55)を具備することを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1項記載の組立体。
【請求項11】
前記支持部材はハウジング(13)を具備し、
前記ハウジングは、該ハウジングの上面の開口に凹部(14)を有し、
前記フェルールは、前記ハウジングの前記凹部内に配置され、
前記フェルールは、前記凹部の対向する2壁(23)により案内されることを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1項記載の組立体。
【請求項12】
前記光ファイバの束が前記光ファイバの平坦端面(94)を形成し、
前記平坦端面の外縁(95)は、前記第1部分に少なくとも部分的に当接することを特徴とする請求項1ないし11のうちいずれか1項記載の組立体。
【請求項13】
前記整列部材は、前記光ファイバの挿入方向に沿って円錐状又はテーパ状の形状を有する少なくとも1個のガイド凹部(46,47,48)を具備し、
前記フェルールの一部は、前記ガイド凹部内に突出し、
前記フェルールは、1本又は2本の直交軸に関して前記ガイド凹部によって整列されることを特徴とする請求項1ないし12のうちいずれか1項記載の組立体。
【請求項14】
前記整列部材の前記開口の両側に、前記フェルールの2個の前記突出部を受容する2個の前記ガイド凹部が配置されていることを特徴とする請求項13記載の組立体。
【請求項15】
前記整列部材に、第3ガイド凹部(48)が配置され、
前記第3ガイド凹部は、前記挿入方向に沿った前記2個のガイド凹部の前に位置すると共に該2個のガイド凹部につながっていることを特徴とする請求項13記載の組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−217891(P2010−217891A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55680(P2010−55680)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(503168201)タイコ エレクトロニクス ネーデルランド ビーヴイ (20)
【Fターム(参考)】