説明

光ファイバ端部構造

【課題】コアが樹脂クラッドで被覆された光ファイバにおいて、クラッドモードを除去した状態でコアに光を伝送することが可能な光ファイバ端部構造を提供する。
【解決手段】光ファイバ端部構造Fは、コア11と、該コア11を被覆するように設けられた樹脂クラッド12と、を有する光ファイバ10と、コア21と、該コア21を被覆するように設けられ空孔が形成されたエアクラッド22と、を有するエンドキャップファイバ20と、上記光ファイバ10の一端部におけるコア11と上記エンドキャップファイバ20のコア21とを連結する一方、該光ファイバ10の一端部におけるクラッド11と該エンドキャップファイバ20のクラッド21とを連結しないコア連結部Cと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの一端部にエンドキャップファイバが取り付けられた光ファイバ端部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバレーザーや光学式加速度センサー、光分岐挿入装置(OADM)等では、ミラー又は光フィルターとして、光ファイバのコア内に回折格子を有する光ファイバブラックグレーティング(Fiber Bragg Grating:以下、FBGという)が用いられている。
【0003】
FBGは、ファイバ中心の石英コアが樹脂からなる樹脂クラッドで被覆された構成の光ファイバであり、所定の領域において、コアに周期的な屈折率変化が設けられた回折格子の構成を有する。
【0004】
この回折格子は、所定の領域でコアを露出して紫外線を照射してその部分のコアを高屈折率化させることにより形成することができる。このとき、FBGのクラッドが樹脂で形成されているので、容易にクラッドを剥がして石英コアを露出させることが可能となる。
【0005】
ところで、光ファイバのコアに光を入射するときクラッドに入射光が漏れてクラッドで光が伝送され、クラッドモードによりクラッドやその周囲に設けられた被覆に損傷を与える虞がある。
【0006】
光ファイバのクラッドモードを防止するための対策として、特許文献1には、石英コアが石英クラッドで被覆された光ファイバの一端にガラス管が設けられており、ガラス管と石英クラッドとの光屈折率が互いに等しく、且つ、ガラス管の内周面の一端側がクラッドに融着された構成が開示されている。そして、これによればクラッドモード光は、クラッドに融着されたガラス管の一端側の内周面を介して、ガラス管に伝播し、ガラス管を通じて外部へ放射されると記載されている。
【0007】
特許文献2には、石英コアが石英クラッドで被覆された光ファイバの端末装置として、ファイバ端部において、クラッドの外周に光漏洩部材を設けた構成が開示されている。そして、これによってクラッドモードを吸収することができ、被覆層の損傷を抑制可能であると記載されている。
【特許文献1】特開2008−158094号公報
【特許文献2】特開2001−66483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1及び2の構成は、例えば石英コアが樹脂クラッドで被覆された構成の光ファイバについては、有効なクラッドモード対策ではない。これらの構成の光ファイバによれば、ガラス管や光漏洩部材でクラッドモードを吸収することができるものの、クラッドモードと同時にコアモードも吸収されてしまうからである。
【0009】
本発明の目的は、コアが樹脂クラッドで被覆された光ファイバにおいて、クラッドモードを除去した状態でコアに光を伝送することが可能な光ファイバ端部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光ファイバ端部構造は、コアと、該コアを被覆するように設けられた樹脂クラッドと、を有する光ファイバと、
コアと、該コアを被覆するように設けられ空孔が形成されたエアクラッドと、を有するエンドキャップファイバと、
上記光ファイバの一端部におけるコアと上記エンドキャップファイバのコアとを連結する一方、該光ファイバの一端部におけるクラッドと該エンドキャップファイバのクラッドとを連結しないコア連結部と、
を備えている。
【0011】
上記の構成によれば、エンドキャップファイバに入射した光のうちエンドキャップファイバの開口数を超えた光の成分はコアから漏れてクラッドモードとなる。クラッドモードは、エンドキャップファイバの側方から放射されたりエアクラッドで散乱吸収されたりする。このため、クラッドモードを除去した状態で光ファイバのコアに光を伝送することができ、クラッドモードによってクラッドやその他の部材が損傷を受けるのを抑制することができる。
【0012】
エンドキャップファイバの開口数は上記光ファイバの開口数以下であることが好ましい。
【0013】
エアクラッドは、エンドキャップファイバのコアの屈折率をn、コア径をT,及び開口数をNAとして、長さがT/tan(NA/n)以上であることが好ましい。
【0014】
また、コア連結部は、長さが4mm以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光ファイバの端部構造によれば、コアと及びそれを被覆するように設けられた樹脂クラッドからなる光ファイバと、コア及びそれを被覆するように設けられ空孔が形成されたエアクラッドからなるエンドキャップファイバと、上記光ファイバの一端部におけるコアと上記エンドキャップファイバのコアとを連結する一方、該光ファイバの一端部におけるクラッドと該エンドキャップファイバのクラッドとを連結しないコア連結部と、を備えているので、エンドキャップファイバに入射した光のうちコアから漏れてクラッドモードとなる光はエンドキャップファイバの側方から放射されたり、エアクラッドで散乱吸収されたりする。このため、クラッドモードを除去した状態で光ファイバのコアに光を伝送することができ、クラッドモードによってクラッドやその他の部材が損傷を受けるのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
図1及び2は、本実施形態にかかる光ファイバ端部構造Fを示す。光ファイバ端部構造Fは、光ファイバ10の一端部にエンドキャップファイバ20が接続されたものであり、光ファイバ10とエンドキャップファイバ20の接続部分にはコア連結部Cが構成されている。
【0018】
(光ファイバ)
光ファイバ10は、ファイバ中心のコア11が樹脂クラッド12で被覆された構成を有する。光ファイバ10は、例えば、開口数NA1が0.2〜0.5、及びファイバ径が250〜600μmである。この光ファイバ10は、例えばFBGとして用いられるものである。
【0019】
コア11は、例えば、石英ガラス等で形成されている。コア11が石英ガラスで形成されている場合、純粋石英ガラスで形成されていてもよく、ゲルマニウム(Ge)やアルミニウム(Al)等がドープされて高屈折率化された石英ガラスで形成されていてもよい。コア11は、例えばコア径が125〜400μmである。コア11は、例えば波長1060nmの光に対する屈折率n1が約1.45である。
【0020】
なお、光ファイバ10のコア11はファイバ中心の第1コアを第2コアが囲うように設けられた構成を有していてもよい。その場合、第1コアは、例えば、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)等がドープされ高屈折率化された石英ガラスで形成されていてもよく、イッテルビウム(Yb)やエルビウム(Eb)等の希土類元素がドープされていてもよい。また、その場合、例えば、第1コア径が30〜80μm及び第2コア径が380〜420μmである。
【0021】
樹脂クラッド12は、コア11よりも低屈折率の材料で形成されている。樹脂クラッド12は、光ファイバ10のクラッドとしての機能に加え、外力からコア11を保護するための被覆としての機能も備えている。樹脂クラッド12は、例えば、紫外線硬化型樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂で形成されている。樹脂クラッド12は、波長1060nmの光に対する屈折率が例えば約1.39である。樹脂クラッド12は、単一層で構成されていてもよく、また、複数層で構成されていてもよい。被覆層は、層厚さが、例えば50〜100μmである。
【0022】
光ファイバ10は、一端部においてクラッドが剥がされてコア11が露出した部分を有する。コア露出部分は、例えば長さが3〜10mmである。このコア露出部分が後述するエンドキャップファイバ20のコア露出部分と共にコア連結部Cを構成する。
【0023】
(エンドキャップファイバ)
エンドキャップファイバ20は、ファイバ中心のコア21がエアクラッド22で被覆された構成を有する。そして、エアクラッド22の周囲にはサポート層23が形成されている。エンドキャップファイバ20は、例えば、開口数NA2が0.2〜0.5、ファイバ径が250〜600mm、及び長さが2〜1000mmである。
【0024】
エンドキャップファイバ20のコア21は、例えば、石英ガラス等で形成されている。コア21が石英ガラスで形成されている場合、純粋石英ガラスで形成されていてもよく、ゲルマニウム(Ge)やアルミニウム(Al)等がドープされて高屈折率化された石英ガラスで形成されていてもよい。コア21は、例えばコア径が125〜400μmである。コア21は例えば波長が1060nmの光に対する屈折率n2が約1.45である。
【0025】
なお、図3に示すように、エンドキャップファイバ20のコア21はファイバ中心の第1コア21aを第2コア21bが囲うように設けられた構成を有していてもよい。その場合、第1コア21aは、例えばイッテルビウム(Yb)やエルビウム(Eb)等がドープされて高屈折率化された構成を有する。また、その場合、例えば、第1コア径が30〜80μm及び第2コア径が380〜420μmである。
【0026】
エアクラッド22は、ファイバ軸方向に延びる多数の細孔(空孔)を含んだ多孔構造に構成されている。複数の細孔のそれぞれは、ファイバ断面において周方向に略均一に配設されている。複数の細孔は、例えば、配設ピッチが20〜30μmに形成され、層数が1〜5層である。複数の細孔のそれぞれは、孔径が例えば10〜30μmに形成されている。相互に隣接する細孔間の隔壁は、壁厚さが例えば0.2〜1μmに形成されている。
【0027】
エアクラッド22は、例えば長さが2〜1000mmである。エアクラッド22の最低長さをLmin、エンドキャップファイバ20のコア径をT、屈折率をn2、開口数をNA2、コアモードの最大入射角をθmax(つまり、NA2)、そのときの出射角をΦmaxとおく。このとき、
Φmax=θmax/n2=NA2/n2
である。クラッドモードがエアクラッド22の設けられている部分で必ず反射又は屈折してエアクラッド22に進入するためには、図4に示すように、
min=T/tanΦmax
が成り立つ。上記2式より、
min=T/tan(NA2/n2)
となる。
【0028】
例えば、エンドキャップファイバ20のコア径T=400μm、開口数NA2=0.4、コア21の屈折率n2=1.44である場合、Lmin≒1.4mmである。以上より、エアクラッド22の長さは2mm以上であることが好ましい。
【0029】
サポート層23は、多孔構造のエアクラッド22を保護すると共に、エンドキャップファイバ20の機械的強度を高める機能を有する。サポート層23は、例えば石英ガラスで形成されている。サポート層23は例えば厚さが80〜120μmである。
【0030】
なお、サポート層23の周囲に樹脂等による被覆が設けられていてもよいが、クラッドモードはファイバ側方から放射されるため、その放射によって被覆が損傷を受ける虞があるので、被覆が設けられていないことが好ましい。
【0031】
エンドキャップファイバ20の開口数NA2は、光ファイバ10の開口数NA1と等しい又はそれよりも小さいことが好ましい。エンドキャップファイバ20の開口数NA2よりも大きい入射角でエンドキャップファイバ20のコア21に入射された光は、コア21の内壁で反射しないでエアクラッド22に進入するので、入射角がNA2以下の光だけがエンドキャップファイバ20のコア21を伝送されて光ファイバ10のコア11に進入することができる。つまり、NA2がNA1以下であれば、光ファイバ10に入射される光が全て入射角がNA1以下となるので、光ファイバ10のコア11に入射された光は樹脂クラッド12に漏れ出すことなくコア11内壁で全反射されて伝送されることができる。
【0032】
また、光ファイバ10の開口数NA1とエンドキャップファイバ20との開口数NA2の差は小さいことが好ましく、両者が等しいことがより好ましい。入射角がNA1以下であれば光が光ファイバ10に進入してもクラッドモードが生じることなくコア11内を全反射して伝送可能であるにもかかわらず、入射角がNA2より大きくNA1以下の光は、エンドキャップファイバ20伝送時にクラッドモードとしてエアクラッド22で除去されてしまう。そのため、NA1とNA2との差が大きいと、光ファイバ10全体としての伝送効率の低下の原因になる。
【0033】
なお、エンドキャップファイバ20の開口数NA2は、空孔の直径や密度等で制御することができる。空孔の直径が大きい、つまり空孔部分が多いと、コア21とエアクラッド22の比屈折率が大きくなるので、開口数NA2も大きくなる。
【0034】
エンドキャップファイバ20は、接続端においてエアクラッド22が設けられていないコア21が露出した部分を有する。コア露出部分は、例えば長さが2〜20mmである。このコア露出部分が光ファイバ10のコア露出部分と共にコア連結部Cを構成する。
【0035】
(コア連結部)
光ファイバ10とエンドキャップファイバ20とは、それぞれのコア11,21が互いに突き合わされて融着接続され、コア連結部Cを構成している。コア連結部Cでは、樹脂クラッド12とエアクラッド22は設けられておらず、各コア21が表面に露出している。コア連結部Cは、例えば、ファイバ軸方向の長さが4〜20mmである。
【0036】
光ファイバ10のコア連結部Cは、外力からの保護や作業者のアイセーフのために、保護筐体(図示せず)内にセットされている。保護筐体は、例えばアルミ製である。保護筐体は、例えば、縦30〜60mm、横10〜30mm、高さが10〜20mm、及び厚さが3〜10mmである。
【0037】
エンドキャップファイバ20に入射されてエアクラッド22に漏れだした光は、コア連結部Cにおいてエアクラッド22と樹脂クラッド12とが連結されないでコア11,21が露出しているので、エアクラッド22に吸収されたクラッドモードが樹脂クラッド12に進入するのを防止することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、光ファイバ10のコア露出部分及びエンドキャップファイバ20のコア露出部分がコア連結部Cを構成しているとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光ファイバにはコア露出部分が設けられておらず、コア連結部がエンドキャップファイバのコア露出部分のみで構成されている場合でも、コア連結部においてエアクラッドと樹脂クラッドとが連結されていないので、エンドキャップファイバのエアクラッドに漏れだした光を空気中に放出することとなり、樹脂クラッドへの進入を防止することができる。また、逆に、エンドキャップファイバにはコア露出部分が設けられておらず、コア連結部が光ファイバのコア露出部分のみで構成されている場合でも同様である。さらに、光ファイバのコアとエンドキャップファイバのコアとが、石英等からなる裸ファイバを介して接続されている場合でも、同様の効果が得られる。
【0039】
<光ファイバ端部構造の形成方法>
次に、本実施形態に係る光ファイバ端部構造Fの形成方法を説明する。
【0040】
(光ファイバ作製工程)
まず、OVD法、VAD法、ロッドインチューブ法等によりプリフォームを形成し、これを線引き炉で加熱、延伸してファイバ素線とする。このとき、延伸と同時に樹脂を被覆し、光ファイバ10を作製する。
【0041】
次に、引き伸ばしたファイバ素線に樹脂で被覆を行う。この被覆が樹脂クラッド12を構成する。こうして光ファイバ10を作製することができる。
【0042】
(エンドキャップファイバ作製工程)
まず、エアクラッドを備えた光ファイバ作製する。エアクラッド光ファイバの作製では、コア21となるための1又は複数本のコア用ロッド、エアクラッド22の空孔を構成するための複数本のキャピラリ、及びサポート管を用意する。これらはすべて、石英ガラス製である。なお、コア21を第1コア21a及び第2コア21bで構成する場合には、1又は複数本の第1コア用ロッド及び複数本の第2コア用ロッドを用意する。これらを用いて、OVD法、VAD法、ロッドインチューブ法等により、サポート管内の中心位置にコア用ロッドが、その周囲にキャピラリが配置されたプリフォームを得る。
【0043】
続いて、プリフォームを線引き炉で加熱、延伸することによりエアクラッド光ファイバ素線を作製する。
【0044】
次に、エアクラッド光ファイバを、ファイバカッター等を用いて例えば50mm程度に切断し、エンドキャップファイバ20を得る。
【0045】
(コア連結工程)
次に、光ファイバ10のコア11とエンドキャップファイバ20のコア21との接続方法を説明する。
【0046】
まず、光ファイバ10の端部において、所定長さの樹脂クラッド12を剥がしてコア11を露出させる。具体的には、光ファイバ10の端から20mm程度を被覆除去の専用工具などを用いて剥離する。
【0047】
一方、エンドキャップファイバ20の光ファイバ10との接続端においても、所定長さのエアクラッド22を剥がしてコア21を露出させる。具体的には、サポート層にガラス切り又はレーザーを照射して傷を入れ、指でサポート層を引っ張って引き抜く。なお、長いエアクラッド光ファイバを切断してエンドキャップファイバ20とする際にすでに切断面においてコア露出部分が形成されているときには、この工程は省略可能である。
【0048】
続いて、光ファイバ10とエンドキャップファイバ20とを、光ファイバ融着接続器にセットして、互いの光軸が一致するように軸合わせを行い、アーク放電等によって融着して両者を接続する。これにより、光ファイバ10とエンドキャップファイバ20とのコア同士を連結することができる。
【0049】
最後に、接続部分を保護するために、例えばアルミ製の保護筐体に接続部分を収納する。こうして、光ファイバ10にエンドキャップファイバ20が取り付けられた構成の光ファイバ端部構造Fを形成できる。
【0050】
(本実施形態の効果)
従来の構成の光ファイバによれば、光ファイバの開口数よりも大きな入射角で光を入射すると、コア内壁で全反射できずにクラッドモードとなり、樹脂クラッドが損傷を受ける問題がある。特に、光コンバイナ等の入射端側から出射端側に向かうに従って縮径するテーパ状の構成の光学部品から本実施形態の光ファイバに光が入射される場合には、テーパ状の内面で反射を繰り返して伝送されることによって光の入射角が大きくなり、クラッドモードによる被覆の損傷の問題がより深刻となる。
【0051】
しかしながら、本実施形態の光ファイバ端部構造Fによれば、コア11と及びそれを被覆するように設けられた樹脂クラッド12からなる光ファイバ10と、コア21及びそれを被覆するように設けられ空孔が形成されたエアクラッド22からなるエンドキャップファイバ20と、上記光ファイバ10の一端部におけるコア11と上記エンドキャップファイバ20のコア21とを連結する一方、該光ファイバ10の一端部における樹脂クラッド12と該エンドキャップファイバ20のエアクラッド22とを連結しないコア連結部Cと、を備えているので、エンドキャップファイバ20に入射した光のうちコア21から漏れてクラッドモードとなる光はエンドキャップファイバの側方から放射されたり、エアクラッドで散乱吸収されたりする。このため、クラッドモードを除去した状態で光ファイバ10のコア11に光を伝送することができ、クラッドモードによって樹脂クラッド12やその他の部材が損傷を受けるのを抑制することができる。
【0052】
エンドキャップファイバ20の開口数NA2が光ファイバ10の開口数NA1以下である場合、光ファイバ10に入射してクラッドモードとなる光(つまり、入射角がNA1よりも大きい光)は開口数がNA2であるエンドキャップファイバ20のエアクラッド22で吸収されるので、より効率よくクラッドモードを除去することができる。
【0053】
また、エアクラッド22の長さがT/tan(NA2/n2)以上である場合、クラッドモードはエンドキャップファイバ20内でエアクラッド22が設けられている部分で必ずコア21内壁に衝突するので、より効率よくクラッドモードを除去することができる。
【0054】
さらに、コア連結部Cの長さが4mm以上であるので、エアクラッド22で吸収されたクラッドモードの光ファイバ10の樹脂クラッド12への進入を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、本発明は、光ファイバの一端部にエンドキャップファイバが取り付けられた光ファイバ端部構造について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態の光ファイバ端部構造を示す図である。
【図2】本実施形態の光ファイバ端部構造を示す断面図である。
【図3】本実施形態の変形例の光ファイバ端部構造を示す図である。
【図4】エアクラッドの長さの説明図である。
【符号の説明】
【0057】
C コア連結部
F 光ファイバ端部構造
10 光ファイバ
11 コア
12 樹脂クラッド
20 エンドキャップファイバ
21 コア
22 エアクラッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、該コアを被覆するように設けられた樹脂クラッドと、を有する光ファイバと、
コアと、該コアを被覆するように設けられ空孔が形成されたエアクラッドと、を有するエンドキャップファイバと、
上記光ファイバの一端部におけるコアと上記エンドキャップファイバのコアとを連結する一方、該光ファイバの一端部におけるクラッドと該エンドキャップファイバのクラッドとを連結しないコア連結部と、
を備えた光ファイバ端部構造。
【請求項2】
請求項1に記載された光ファイバの端部構造において、
上記エンドキャップファイバの開口数が上記光ファイバの開口数以下であることを特徴とする光ファイバ端部構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光ファイバ端部構造において、
上記エアクラッドは、上記エンドキャップファイバのコアの屈折率をn、コア径をT,及び開口数をNAとして、長さがT/tan(NA/n)以上であることを特徴とする光ファイバ端部構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載された光ファイバ端部構造において、
上記コア連結部は、長さが4mm以上であることを特徴とする光ファイバ端部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−217666(P2010−217666A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65915(P2009−65915)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】